説明

スティック組成物

(i)N−アシル置換基が式−CO−R(式中、Rは、分岐CからC11アルキル基を表す)を有するN−アシルアミノ酸アミドと、(ii)N−アシル置換基が線状アルキル基を含有するN−アシルアミノ酸アミドとを含むアミド構造剤を一次ゲル化剤として使用し、さらに、融点が20℃以下であり沸点が100℃を超える25から50重量%の水非混和性一価アルコールを含む化粧品用キャリア油を使用することによって、所望の知覚特性を有するスティック組成物を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック組成物に関し、特に、懸濁された制汗剤またはデオドラントと、これらのための、アミド置換アミノ酸によって固化される化粧品として許容される水非混和性油を含むキャリア材料とを含むこのような組成物、ならびにこれらの調製および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品用制汗剤配合物は公知であり、粉末混合物、フォーム、ゲル化または濃化した液体、スプレー可能な低粘度の液体、エアロゾル配合物、クリーム、軟質固体、およびスティックのためのディスペンサーなどの対応する種類のアプリケーターを使用して適用するための数種類の異なる物理形態で一般に使用されている。好ましい物理的形態の選択は、この製品の歴史、および地域による好みに依存することが多く、これら自体も流行の変化によって時間とともに変化しうる。特に北アメリカにおいて最近の20年間で制汗剤およびデオドラント組成物として一般的な物理的形態の1つはスティックの形態である。本明細書において、用語「スティック」は、通常の意味で使用され、すなわち、手触りが堅く、ロッドやバーの形状であることが多い材料を意味するために使用され、一般に、開放端と反対側のピストンとを有するバレルを含む容器中に収容され、このピストンは、スティックを押し出すためにバレル上方向に摺動することができ、押し出し中にスティックの形状および完全性は維持される。
【0003】
化粧品用制汗剤スティックは、典型的には、少なくとも一部が化粧品として許容される水非混和性油である化粧品として許容されるキャリア材料中に溶解または懸濁した制汗有効成分を含む。スティック状化粧品の非常に望ましい種類の1つにおいて、キャリア材料は、非極性液体を含むか、または水非混和性の油または油混合物と1つの液性を形成することができる比率以下の比率を含むかのいずれかである。
【0004】
水非混和性油を固化させるためにこれまで提案されていた材料のクラスの1つは、非ポリマー系繊維形成性構造剤を含む。このような構造剤の多くは、マルトースまたは特にセロビオースなどのある種の糖類のアルキルエステル誘導体を含み、他のものは、アミノ酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸、またはシクロヘキサンのN−アシルアミド誘導体を含む。
【0005】
本発明は、特に、水非混和性油を含む連続相がアミノ酸のN−アシルアミド誘導体で固化されている組成物に関する。
【0006】
化粧品に許容される油をある程度固化させるために好適なアミノ酸のN−アシルアミド誘導体の多くは、味の素株式会社(Ajinomoto Co Ltd)による米国特許第3969087号に記載されており、特にグルタミン酸またはアスパラギン酸の誘導体が挙げられている。長年にわたって同社から市販された唯一のこのような材料(商品名GP−1)であることから、この文献に開示されている味の素株式会社にとって最も好ましいと思われる誘導体はN−ラウロイルグルタミン酸、−ジ−n−ブチルアミドであった。
【0007】
GP−1構造剤は、スティック状化粧品中の水非混和性油の構造化への使用が開示されている、または使用されているが、単独では使用されないことが多く、代わりに、たとえば構造剤混合物の小さな重量比率となる1種類またはそれ以上の構造剤と併用される。たとえば、ホフリヒター(Hofrichter)(プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble))は、米国特許第5650144号明細書、米国特許第5591424号明細書、および米国特許第5429816号明細書において、大きな比率の12−ヒドロキシステアリン酸または関連化合物(一次ゲル化剤)と、小さな比率のN−アシルアミノ酸アミド(二次ゲル化剤)、たとえば12−HSAに対する重量比率が2:6であるGP−1および関連するN−アシルグルタミン酸ジアミドとの混合物で化粧品用油が固化されるスティック配合物を記載している。上記のホフリヒターの特許に記載されているヒドロキシステアリン酸とN−アシルアミノ酸アミドゲル化剤との組み合わせは、許容できる加工条件下で加工することができ、これは非常に望ましい性質である。
【0008】
本発明につながる研究の過程で、一次ゲル化剤または唯一のゲル化剤としてGP−1などのN−アシルアミノ酸アミドを使用してスティックを製造することができるが、結果として得られる製品は、製造時に比較的軟質で、局所適用した場合に皮膚上に「濡れた」油状皮膜が付着することが分かった。このような感触は消費者に嫌われる。このような不都合な特性は、製品の保管中にさらに悪化する傾向にあった。
【0009】
GP−1を使用して製造されたこのような製品が比較的軟質であることは、味の素自体によっても認識されている。より最近になって、米国特許出願公開第2002/0159961号明細書において、味の素は、米国特許第3969087号明細書に記載される範囲全体に含まれるアミノ酸のN−アシルアミド誘導体を選択することを記載している。この選択において、N−アシル置換基−CO−R中のアルキル基Rは、7から10個の炭素原子を含み、分岐していてもよいことを特徴としている。’961号明細書には、このアミノ酸誘導体の新しい選択を使用すると、非極性有機液体をゲル化して、より硬質のゲルを製造できることが開示されている。’961号明細書には、これらの選択されたゲル化剤の代表的なものの単独、またはGP−1との混合物を、一次ゲル化剤としてのヒドロキシステアリン酸との組み合わせにおける少量のゲル化剤(重量比2:7)として使用することによる制汗剤組成物の形成も開示されている。このようなゲル化剤の組み合わせを使用する組成物は、比較的容易に加工してスティックを形成することができるが、結果として得られる製品は許容できない知覚特性を示し、比較的多量の組成物が基材上に付着した。
【0010】
組成物の低い知覚特性および多量の付着の問題の克服方法の検討において、あらゆる研究者が、ある種のアミドゲル化剤を使用した場合の潜在的な製造の問題も考慮してきた。このようなゲル化剤の濃度が増加すると、スティック組成物の形成がますます困難になる。分岐N−アシル置換基を有するN−アシルアミノ酸アミドゲル化剤を使用した場合に、水非混和性化粧品用油がゲル化する温度は、線状N−アシル置換基を有する同様のゲル化剤を同量使用した場合と同等であった。他の同じ組成物の場合、分岐N−アシル置換基を有するゲル化剤は、はるかに高い温度、たとえば20℃を超える温度差で、このような組成物をゲル化させる。N−アシルアミノ酸アミドなどのゲル化剤とキャリア油との混合物は、ゲル化剤が溶解する前にこのゲル化温度を実質的に超えるまで加熱する必要があり、一般に制汗剤またはデオドラント組成物の場合、アミドの溶解温度まで加熱することは実際的ではなく、このため実際においては、一度ゲル化ししたがってゲル化した状態のままであるこのような組成物を加熱することによってゲル化剤を再溶解させることは実際的ではない。したがって、水の沸点を超えるような非常に高い温度で組成物をゲル化させるゲル化剤を使用することは、本質的に不都合となる。高いゲル化温度のために、有効成分または感温性成分を導入することができる温度に冷却する前に組成物がゲル化する危険性、または、組成物全体の大きな比率を構成する有効成分を導入する瞬間に、組成物の温度が油のゲル化温度よりも低温に急速に下がり、製品ディスペンサーの充填などの多量の規模での後の操作が不可能ではないにしても非常に困難となる危険性が高くなる。
【0011】
しかし、配合者は、得られる配合物の知覚特性への考慮もまた追求している。本発明を成す過程で、キャリア液体中に混入することができる水非混和性アルコールの比率が、最終配合物の知覚特性への寄与に重要であることが分かった。大まかに言えば、この比率が増加すると、このような特性が損なわれていく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一目的は、化粧品有効成分を含有し固化された水非混和性油の製造において、前述の1つまたはそれ以上の問題または欠点を回避すること、または少なくとも改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によると、請求項1に記載の化粧品用制汗剤またはデオドラント組成物が提供される。
【0014】
請求項1に記載の一次ゲル化剤としての繊維形成性構造剤の組み合わせを、水非混和性キャリア液体の特定の比率範囲内で特定のアルコールと併用することによって、前述の1つまたはそれ以上の問題を改善する方法でスティック状化粧品を製造することが可能になる。望ましくは、配合物の加工が可能となるのに十分な水非混和性アルコールが使用されるが、得られる配合物の知覚特性が著しく損なわれるほど多くは使用されない。
【0015】
本発明において、選択されたアミドゲル化剤(i)および(ii)がともに一次ゲル化剤を構成しており、これらは単独で使用されるか、または二次ゲル化剤が存在する場合には、これらが一次ゲル化剤および二次ゲル化剤の全体の過半量の重量比率を構成する。
【0016】
本明細書における本発明の組成物は無水であり、本明細書においてこれは液体キャリア油が分散水相などの極性層を含有しないことを意味する。
【0017】
本発明の第2の側面によると、請求項33に記載の化粧品用制汗剤またはデオドラント組成物の調製方法が提供される。
【0018】
本発明の第3の側面によると、第1の側面による組成物の有効量を皮膚に局所適用することによって、発汗および/または身体の悪臭を抑制または制御するための化粧方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、化粧品用制汗剤またはデオドラントの有効成分を含有する制汗剤またはデオドラントのスティックであって、水非混和性油相が、アミド結合を含有する少なくとも2つのクラスの繊維形成性構造剤の混合物を使用して固化され、このクラスの1つが、アシル基が4から12個の炭素原子の分岐アルキル基を含有するN−アシルアミノ酸アミドであるゲル化剤(i)であるスティックに関する。本発明の組成物は、少なくとも4重量%のアミド繊維形成性ゲル化剤を含み、この中で少なくとも3%が一次ゲル化剤、すなわちクラス(i)および(ii)で構成される。本明細書において、アミドゲル化剤という用語は、シクロジペプチドを含んでいる。
【0020】
ゲル化剤(i)
ゲル化剤(i)は、一般式(1)A−CO−Rを満たすN−アシルアミノ酸アミドである(式中、Aは、アミノ酸アミドの残基を表し、Rは、4から12個の炭素原子、場合により7から10個の炭素原子を含有する分岐アルキル基を表す。)。多くの場合、アミノ酸アミド残基Aは式(2)
【0021】
【化1】

で表すことができる(上式中、nは、1または2の整数を表し、Rは、線状でも分岐でもよく、1から10個、特に3から5個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、R基のそれぞれは、同種でも異種でもよい。)。したがって、このようなアミド残基Aを誘導することができるアミノ酸は、グルタミン酸またはアスパラギン酸である。ある特に好ましい実施態様においては、各Rはブチル基、特にn−ブチル基を表し、特に、グルタミン酸誘導体中に含まれ、この残基は式(3)
【0022】
【化2】

によって表される。
【0023】
式(1)において、Rは、好ましくは、1つまたは2つ、または場合によっては3つの側鎖、たとえば特に1つの側鎖を含有するアルキル基を表す。望ましくは、R中のあらゆる側鎖は、1から4個の炭素原子を含有し、たとえばメチル、エチルプロピル、またはブチルなどであり、多くの場合1から3個の炭素原子を含有し、エチルが非常に好都合である。アルキル主鎖は、好ましくは4から8個の炭素原子を含有し、多くの場合4から7個の炭素原子を含有し、場合により7または8個の炭素原子を含有する。アルキル基主鎖に沿った側鎖の位置は製造者の判断により、2位が好ましい場合が多い。Rの特に望ましい分岐鎖基は1−エチルペンチルであり、この場合得られるアシル基は2−エチルヘキサノイルとなる。Rの他の分岐鎖基としては、1−メチルブチル、イソブチル、および1−ブチルヘプチルが挙げられる。Rが、前述の分岐アルキル基の1つまたはそれ以上によるものであり、アミド残基がグルタミン酸ジブチルアミドから誘導されるゲル化剤(i)を使用することが特に望ましい。
【0024】
組成物中のゲル化剤(i)の重量比率は、一般に少なくとも1.5%w/wの範囲から選択され、多くの望ましい実施態様においては最大8%であり、特に少なくとも2%w/wである。組成物中に6%w/wを超えるゲル化剤(i)を使用する必要はない場合が多い。組成物中のゲル化剤の比率は、構造化される水非混和性相との関係、すなわちこの相を構成するキャリア油中に懸濁しているあらゆる材料の重量を除いた重量との関係によって決定することもできる。ゲル化剤(i)の重量比率は、通常、水非混和性相の3から15%w/wの範囲で選択され、多くの場合この相の少なくとも4%w/wの比率で存在する。多数の好ましい実施態様におけるこの相の重量比率は最大9%である。組成物中または水非混和性相中の各ゲル化剤の重量比率は、共ゲル化剤(ii)の比率、あらゆる二次ゲル化剤の選択および重量、ならびにスティックの所望の硬度に合わせて選択されることが多い。
【0025】
ゲル化剤(i)は、第2のアミド繊維形成性構造剤(ii)、すなわち、ゲル化剤(i)の分岐鎖置換N−アシルアミノ酸アミド以外のN−アシルアミノ酸アミドと併用される。
【0026】
ゲル化剤(ii)によるN−アシルアミノ酸アミドは、米国特許第3969087号明細書に記載されている。多数のこのようなアミドの一覧および一般的製造方法が上記特許明細書の第1欄63行から第4欄47行に記載され、具体的なアミド誘導体が第6から8欄の実施例1に挙げられており、この文献におけるこれらの引用部分は本明細書中に参照により組込まれる。本明細書において、ゲル化剤(iia)は式(4)A−CO−Rを満たすことが多い(式中、Aは、アミノ酸アミドを表し、Rは、9から21個の炭素原子を含有する線状アルキル基を表す)。非常に望ましくは、Aは、式(5)
【0027】
【化3】

によるアミノ酸アミド残基を表す(上式中、nは、1または2の整数を表し、およびRは、線状でも分岐でもよく、1から10個、特に3から5個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、R基のそれぞれは同種でも異種でもよい。)。したがって、このようなアミド残基を誘導することができるアミノ酸は、グルタミン酸またはアスパラギン酸である。特に好ましいある実施態様においては、各Rは、ブチル基、特にn−ブチル基を表し、特に、グルタミン酸誘導体中に含まれる。このようなものは、前出の式(3)の残基Aで示されている。
【0028】
式(5)において、Rは、多くの場合9から15個の線状炭素を含有し、好ましい基の1つはウンデシルを含む。’087号明細書の実施例14で使用されている、式(6)
【0029】
【化4】

(n−Un=ウンデシル)のN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ−n−ブチルアミドが、本発明の組成物中に使用すると特に望ましいアミド構造剤であり、味の素より商品名GP−1で市販されている。
【0030】
本発明において、組成物中のゲル化剤(ii)の重量比率は、一般に少なくとも1.5%w/wの範囲から選択され、および多くの望ましい実施態様においては最大8%であり、特に少なくとも2%w/wである。組成物中に6%w/wを超えるゲル化剤(ii)を使用する必要はない場合が多い。組成物中のゲル化剤(ii)の比率は、構造化される水非混和性相との関係によって決定することもできる。ゲル化剤(ii)の重量比率は、通常、水非混和性相の3から12%w/wの範囲で選択され、多くの場合この相の少なくとも3.5%w/wの比率で存在する。多数の好ましい実施態様におけるこの相の重量比率は最大8%である。組成物中または水非混和性相中のゲル化剤の重量比率は、あらゆる1種類またはそれ以上の二次ゲル化剤の選択および比率、ならびにスティックの所望の硬度に合わせて選択されることが多い。
【0031】
ゲル化剤(i)のゲル化剤(ii)に対する重量比は、3:1から1:3の範囲で選択されることが多い。多くの場合、この重量比は2:1以下であり、このような場合または他の場合では、重量比は少なくとも1:2である。好都合な重量比は1.1:1から1:1.1の範囲とすることができる。
【0032】
組成物中のゲル化剤(i)と(ii)との合計の重量比率は、4から10%の範囲で選択されることが多く、ある望ましい実施態様においては4.5から8%、特に少なくとも5%である。水非混和性相中の2種類のゲル化剤の重量比率で表現される場合、これは多くの場合、相の6から15%w/wであり、多くの望ましい実施態様においては7.5から12%w/wである。
【0033】
一次ゲル化剤の組み合わせは、単独で使用することができるし、希望するなら、二次ゲル化剤、すなわちゲル化剤(i)および(ii)以外の1種類またはそれ以上のゲル化剤によって補うこともできる。二次とは、このような1種類またはそれ以上のゲル化剤が、本発明の組成物中のゲル化剤の総重量の小さな部分を構成し、好ましくはゲル化剤の総重量の3分の1以下を構成することを意味する。一次ゲル化剤、すなわちゲル化剤(i)および(ii)の組み合わせは、常に、組成物の少なくとも3%重量、多くの場合少なくとも3.5重量%となる。多くの望ましい実施態様においては、二次ゲル化剤の比率は、ゲル化剤の総重量の0から25%w/wである。好都合には、本発明の組成物は、二次ゲル化剤を含有しないまたはほとんど含有しないことができ、たとえば0から5%w/wのこれらのゲル化剤を含有することができる(組成物の重量を基準としている)。
【0034】
二次ゲル化剤は、望ましくは、ゲル化剤(iii)、すなわちゲル化剤(i)および(ii)のアミノ酸アミド以外のカルボン酸の繊維形成性アミド誘導体、または、ゲル化剤(iv)、すなわちヒドロキシステアリン酸から選択することができる。ゲル化剤(i)、(ii)、および(iii)の合計の重量比率は組成物の少なくとも4%である。
【0035】
このような別のアミド誘導体(iii)は、好都合には、(iiia)のジアミド置換およびトリアミド置換シクロヘキサン、ゲル化剤(iiib)の二塩基性および三塩基性カルボン酸のアミド誘導体、(iiic)のヒドロキシステアリン酸アミド、ならびに(iiid)のシクロジペプチドから選択することができる。多くの場合、好都合にはアミドゲル化剤(iii)はサブクラス(iiia)から(iiic)から選択される。
【0036】
二次ゲル化剤(iiia)は、ジアミドおよびトリアミド置換シクロヘキサンを含む。このような化合物の特定のサブクラスには、−1,2または−1,3置換シクロヘキサン化合物、および1,3,5−トリアミド置換シクロヘキサンが含まれ、このアミド基は、望ましくは一般式−(CH−CO−NH−R111および−(CH−NH−CO−R111)を満たす(式中、R111は、5から27個の炭素原子のアルキル基を表し、vは、0および1から選択される整数である。)。
【0037】
シクロヘキサン環が2つのアミド置換基で置換されている場合、これらの置換基は、好ましくは−(CH−NH−CO−R111)を満たし、非常に望ましくはシクロヘキサン核の周囲で互いに対して1,2位または1,3位に存在する。これらが1,3位の相対位置にある場合、vは好ましくは1を表す。これらの2つの置換基が1,2位の相対位置にある場合、vは好ましくは0である。
【0038】
シクロヘキサン環が3つのアミド基で置換されている場合、好ましくはこれらがそれぞれ−(CH−CO−NH−R111を満たす。R111は線状でも分岐でもよい。好ましくはR111中の炭素数は8から20の範囲から選択される。たとえば、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル、またはジメチルオクチルである。
【0039】
二次ゲル化剤(iiib)は、二塩基性および三塩基性のカルボン酸のアミド誘導体を含む。このようなゲル化剤は、米国特許第5840288号明細書、特に第12欄37行から第14欄20行の段落、または米国特許第6190673号明細書、特に第1欄47行から第2欄38行および第3欄47から第5欄23行の段落のいずれかの記載によるものであってよい。これらの一般的製造方法は、米国特許第5840288号明細書の第12欄37から39行の段落、または米国特許第6190673号明細書の第5欄28から43行の段落に記載されている。アミド誘導体の調製に好都合なカルボン酸としては、コハク酸、および1−プロペン三酸などの3つのビシナルなカルボン酸基を含有する脂肪族酸が挙げられる。各アミド置換基は好ましくはアルキルを含有し、特に3から12個の炭素の線状アルキル基を含有する。具体的な好適なゲル化剤(iiib)は、米国特許第5840288号明細書の第13欄62行から第14欄7行、および米国特許第6190673号明細書の第13欄の表1に挙げられている。特に好ましいゲル化剤(iiib)は、2−ドデシル−N,N’−ジブチルスクシンアミド、または1−プロペン−1,2,3−トリオクチルアミド、または2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパン−トリブチルアミドである。これらの引用箇所は、本明細書中に参照により組込まれる。
【0040】
ゲル化剤(iii)に含まれるアミドゲル化剤の二次ゲル化剤(iiic)は、ヒドロキシステアルアミドを含み、特に12−ヒドロキシ−ステアルアミドを含む。このようなアミド中のアミド置換基は、好ましくはアルキルを含み、特に3から13個の間の炭素原子の線状アルキル基、たとえばプロピル、ブチル、ヘプチル、またはウンデカニルを含む。
【0041】
本発明において使用すると好適な二次ゲル化剤(iiid)は、次の一般式:
【0042】
【化5】

を満たす構造材を含む(上式中、RおよびRの一方は、アルキル基、アルキルエステル基を表し、他方はアルキル基またはアルカリール基を表す。)。このようなアミドの例は、ハナブサ(Hanabusa)らによる2つの論文で、それぞれの表題が、有機流体を硬化させるための低分子量セル形成剤としてのシクロ(ジペプチド)(Cyclo(dipeptide)s as low molecular−mass Gelling Agents to harden Organic Fluids),J.Chem Soc.Commun.,1994 ppl401/2、および有機流体用低分子量ゲル化剤:一群のシクロ(ジペプチド)を使用したゲル化(Low Molecular Weight Gelators for Organic Fluids:Gelation using a Family of Cyclo(dipeptide)s),Journal of Colloid and Interface Science 224,231−244(2000)である論文に記載されており、これらのアミド構造剤の説明は本明細書中に参照により組込まれる。
【0043】
しかし、ハナブサによって明確には開示されていないシクロジペプチドのあるサブクラスを本発明に使用することが特に好ましく、このサブクラスは一般式(8):
【0044】
【化6】

を満たす(上式中、Rは、2つ以下の環を含有する炭素環式基炭素環式または複素環式基を表す。)。このような材料を、本明細書ではDOPA誘導体と記載する場合がある。
【0045】
DOPA誘導体において、Rは2つの縮合環を含むことができるが、好ましくは炭素環式または複素環式、または架橋した環のいずれかの1つの6員環を含む。Aが炭素環式である場合、これは飽和または不飽和のいずれであってもよく、好ましくは不飽和または芳香族である。Rが複素環式である場合、これは好ましくは飽和している。
【0046】
内の環状基は未置換であってもよいが、この16個以下の炭素原子を含むことが好ましい少なくとも1つのアルキル置換基で置換されることが好ましい。ある非常に望ましい実施態様においては、アルキル置換基は最長鎖長さが最大4個の炭素原子であり、ある実施態様またはこれらの実施態様では全炭素含有量が最大5個の炭素原子である。このアルキル置換基は線状でも分岐でもよい。好ましい例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルイソブチルまたはt−ブチル、またはイソペンチルが挙げられる。多数の非常に好適なDOPA誘導体においては、Rは、2つまたはそれ以上のアルキル置換基を含有し、特にこれらは上述の好ましい例から選択される。これらのアルキル置換基は、2つまたはそれ以上のメチル置換基などのように同種であってもよいし、メチル置換基とイソプロピル置換基のように異なる置換基の組み合わせであってもよい。Rが飽和している場合、この置換基は、2つのメチル基などの環内の同じ炭素原子に結合することもできるし、異なる炭素原子に結合することもできる。ある非常に望ましい誘導体においては、2つのアルキル置換基が互いにメタ位またはパラ位にあり、たとえばメタ位の複数のメチル基またはパラ位のメチル基およびイソプロピル基となる。さらに別の誘導体においては、環はメチレン架橋を含むことができ、好ましくは同様にこれが6員環を完成させる。
【0047】
ある好適なDOPA誘導体において、このアルキル置換基またはあるアルキル置換基は、4−メチル−フェニル−などのDOPA残基を有する結合に対してオルト位またはパラ位となる場合がある。別のDOPA誘導体において、DOPA残基との結合は、1つ、または好ましくは2つのメチル置換基に対してメタ位となる。
【0048】
が複素環式である場合、複素環原子は窒素が好適である。好都合には、複素環原子は、DOPA残基との結合に対してパラ位であってよい。さらに、多数の望ましい誘導体においては、ヘテロ原子は、少なくとも1つのアルキル基に対してオルト位であり、これは好ましくは飽和環中にあり、特に最大4個のオルト位メチル基を有する。
【0049】
基Rは、最も容易には、DOPAと反応してエステル結合を形成することができる対応するアルコールからの残基として言及されることが多い。したがって、Rの望ましい例としては、4−アルキルフェノール、たとえば4−ノニル−フェノール、および2,6−ジアルキル−または2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノール、たとえば2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの残基が挙げられる。
【0050】
ある好ましいDOPA誘導体において、R中の環は炭素環式であり、少なくとも2つのアルキル基で置換されており、この少なくとも一方がメチルであり、他方または残りの中の1つがイソプロピルである。このような好ましいR残基の例としては、メントール、イソピノカンフェノール、および3,5−ジアルキルシクロヘキサノール、たとえば3,5−ジメチルシクロヘキサノールが挙げられる。特に好ましいR残基としてはチモールが挙げられる。さらに別のものとしては、カルベオールおよびカルバクロールからのDOPA誘導体が挙げられる。
【0051】
本発明において使用されるDOPA誘導体は、記載の一般式に含まれる化合物の混合物であってもよいし、1種類の化合物であってもよい。
【0052】
DOPA誘導体は、それぞれのアルコールを酸形態のDOPA(DOPAA)と、または場合によりDOPA残基を含有する酸塩化物と、または場合によりDOPA残基を含有する無水物またはエステルと反応させることによって調製することができる。DOPAAは、アスパルテームを環化させることによって得ることができる。DOPAAは、式ROHの関連するアルコールと反応させることができ、好ましくはDOPAAに対するモル比が少なくとも2:1であり、ジメチルスルホキシド中、6:1から12:1の比率、カルボニルジイミダゾールなどの促進剤の存在下、好ましくはDOPA酸1モル当たり促進剤0.5から2モルの量で反応させることができる。この反応は40から60℃の温度で実施すると好都合である。
【0053】
二次ゲル化剤(iv)は、ヒドロキシステアリン酸であり、より望ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0054】
二次ゲル化剤(iii)および(iv)は、それぞれ単独で、または両者を併用して、たとえば3:1から1:3の重量比で使用することができる。
【0055】
本発明において組成物中の二次ゲル化剤(iiia)から(iiid)および(iv)の全重量比率は、一般に0から5%の範囲から選択され、多くの望ましい実施態様においては3%w/w以下であり、この重量がゲル化剤の総重量の小さな比率を構成することが確認される。組成物中の二次ゲル化剤(iiia)から(iiid)および(iv)の比率は、構造化される水非混和性油との関係によって決定することもできる。上記二次ゲル化剤の重量比率は、通常、水非混和性油の0から7.5%w/wの範囲で選択され、多くの場合これらの油の4.5%w/w以下の比率で存在する。ゲル化剤(iii)のゲル化剤(iiv)に対する重量比は、両方が存在する場合、好都合には3:1から1:5の範囲で選択することができる。
【0056】
本発明の組成物中の一次ゲル化剤および二次ゲル化剤の合計の重量比率は、多くの場合4から10%の範囲で選択され、ある望ましい実施態様では5から8%の範囲で選択される。水非混和性油中のこれら2つのゲル化剤の重量比率で表現する場合は、これは、多くの場合これの油の6から15%w/wとなり、多くの望ましい実施態様においては7.5から12%w/wとなる。
【0057】
(水非混和性キャリア油)
20℃において液体である脂肪族アルコールを、キャリア油の25から50%w/wの範囲内の比率で、本発明において使用することができる。特に望ましくはこれらの材料が水非混和性である。このようなものとしては、少なくとも10個の炭素原子、多くの場合では最大30個の炭素原子、特に15から25個の炭素原子を有する分岐鎖アルコール、たとえばイソステアリルアルコール、ヘキシル−デカノール、およびオクチル−ドデカノールが挙げられる。他の好適な水非混和性アルコールとしては、一般に9から13個の炭素原子を含有する中間鎖長の線状アルコール、たとえば、デカノールまたはドデカノールが挙げられる。さらに別の好適なアルコールはベンジルアルコールである。このようなアルコールは、構造化ゲルの製造中に、水非混和性キャリア液体中でアミド置換ゲル化剤(i)、(ii)、および(iii)(存在する場合)の溶液を形成する工程を促進することができる。このようなアルコールは、多くの場合、油の少なくとも30重量%から45重量%を構成することができる。多くの組成物では、この比率は油の35から40重量%となる。水非混和性油中に存在する一価アルコール全体の比率の制御以外に、アミドゲル化剤(i)、(ii)、および任意の(iii)の総重量に対するこの含有率を選択することが非常に望ましい。この一価アルコールの、アミドゲル化剤の重量の合計に対する重量比は、3.5:1から5:1である。
【0058】
少なくとも12個の炭素を含有する線状アルコール、たとえばステアリルアルコールなどの20℃において固体である脂肪族アルコールも、二次構造剤として考慮することができるが、これらは、前述したように存在しないか、または組成物全体の3重量%以下で存在することが好ましく、この理由は、これらによって構造化した組成物を皮膚に局所適用した場合に、目に見える白色付着物が生じる、または増加するからである。
【0059】
水非混和性キャリア液体は、水に対して非混和性となるように比較的疎水性である材料の中の1種類、またはこれらの材料の混合物を含む。連続相と分散相との間で分配した後、全体のキャリア液体混合物が水に対して非混和性である場合、親水性液体の小さな分画が連続相中に残留することがある。キャリア油混合物は、15℃以上の温度において液体(構造剤が存在しない場合)であることが一般に望ましい。ある程度揮発性を有する場合もあるが、25℃における蒸気圧は一般に4kPa(30mmHg)未満であり、このためこの材料を油または油混合物と呼ぶことができる。より具体的には、疎水性キャリア液体の少なくとも80重量%が、25℃において4kPaのこの値を超えない蒸気圧を有する材料からなることが望ましい。
【0060】
疎水性キャリア材料は、揮発性液体シリコーン、すなわち液体ポリオルガノシロキサンを含むことが好ましい。「揮発性」であると分類するためには、このような材料が20℃または25℃において測定可能な蒸気圧を有するべきである。典型的には揮発性シリコーンの蒸気圧は、25℃において1または10Paから2kPaの範囲にある。
【0061】
組成物を皮膚に適用した後に、適用された皮膜に「より乾燥した」感触が与えられるので、揮発性シリコーンを含むことが望ましい。
【0062】
揮発性ポリオルガノシロキサンは、線状または環状、またはこれらの混合物であってよい。好ましい環状シロキサンとしては、ポリジメチルシロキサンが挙げられ、特に3から9個のケイ素原子、好ましくは7個以下のケイ素原子、最も好ましくは4から6個のケイ素原子を含有するものが挙げられ、これらはシクロメチコーンと呼ばれることも多い。好ましい線状シロキサンとしては、3から9個のケイ素原子を含有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。揮発性シロキサン自体は通常、10−5/秒(10センチストークス)未満の粘度、特に10−7/秒(0.1センチストークス)を超える粘度を示し、線状シロキサンは通常、5×10−6/秒(5センチストークス)未満の粘度を示す。揮発性シリコーンは、1つまたはそれ以上のペンダント−O−Si(CH基で置換された前述の線状または環状シロキサンなどの、分岐した線状または環状のシロキサンを含むこともできる。市販のシリコーン油の例としては、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)のグレード名344、345、244、245、および246の油;ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)のシリコーン(Silicone)7207(商標)およびシリコーン(Silicone)7158(商標);ならびにゼネラル・エレクトリック(General Electric)のSF1202が挙げられる。
【0063】
本発明の組成物中に使用される疎水性キャリアは、この代わりに、またはこれに加えて、不揮発性シリコーン油を含むことができ、このようなものとしてはポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、およびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。これらはジメチコーンおよびジメチコーンコポリオールから適宜選択することができる。市販の不揮発性シリコーン油としては、商標ダウ・コーニング(Dow Corning)556およびダウ・コーニング200のシリーズで入手可能な製品が挙げられる。他の不揮発性シリコーン油としては、商標DC704を有する不揮発性シリコーン油が挙げられる。1.5を超えるなど高い屈折率を有する少なくとも一部の不揮発性シリコーン油を、たとえばシリコーン油の少なくとも10重量%(好ましくは少なくとも25%から100%、特に40から80%)混入すると、ある組成物において有益となる場合が多い。
【0064】
希望するなら、液体シリコーン油は、水非混和性液体キャリア油の残部、すなわちこの油の50から75%w/wを構成することができる。しかし、希望するならシリコーン油は、他の油によって補充されてもよく、このような場合、組成物全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%となるのに十分な液体シリコーンが存在する。
【0065】
ケイ素非含有疎水性液体を、好ましくは液体シリコーンに加えて使用することができる。混入することができるケイ素非含有疎水性有機液体としては、液体脂肪族炭化水素、たとえば鉱油、または水素化ポリイソブテンが挙げられ、多くの場合、低粘度となるように選択される。液体炭化水素のさらに別の例は、ポリデセン、ならびに少なくとも10個の炭素原子のパラフィンおよびイソパラフィンである。炭化水素液体は、好ましくは油の0から20%w/w、特に0から5%の範囲で存在する。
【0066】
他の好適な疎水性キャリアは、液体で脂肪族または芳香族のエステルを含む。好適な脂肪族エステルは、少なくとも1つの長鎖アルキル基を含有し、たとえば、C−C22アルカン酸またはC−C10アルカン二酸でエステル化されたC−C20アルカノールから誘導されるエステルである。アルカノール部分および酸部分、またはこれらの混合物は、それぞれが20℃未満の融点を有するように好ましくは選択される。このようなエステルとしては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ラウリル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、およびアジピン酸ジイソプロピルが挙げられる。
【0067】
20℃未満の融点を有することが好ましい、好適な液体芳香族エステルとしては、脂肪族アルキルの安息香酸エステルが挙げられる。このようなエステルの例としては、好適な安息香酸C−C18アルキルまたはこれらの混合物が挙げられ、特に安息香酸C12−C15アルキル、たとえば商標フィンソルブ(Finsolv)が挙げられる。脂肪族または芳香族であるエステル油は、望ましくは油の0 20%w/wを構成し、好ましくは0から10%w/wを構成する。
【0068】
好適な疎水性のキャリアのさらに別の例は、少なくとも1種類の脂肪アルコールから誘導される液体の脂肪族エーテルを含み、たとえば、ミリスチルエーテル誘導体、たとえばPPG−3ミリスチルエーテル、またはポリグリコールの低級アルキルエーテル、たとえばCTFAによる名称PPG−14ブチルエーテルのエーテルを含む。このようなエーテルは、望ましくは油の0から20%w/w、好ましくは0から10%w/wを構成する。
【0069】
(制汗剤またはデオドラント有効成分)
本発明の組成物は、好ましくは制汗有効成分を含有する。制汗有効成分は、好ましくは、組成物の重量の0.5から60%、特に5から30%または40%、特に5または10%から30または35%の量で混入される。
【0070】
本発明で使用するための制汗有効成分は、特に、無機塩、有機陰イオンおよび錯体の塩の両方を含めたアルミニウム塩、ジルコニウム、および混合アルミニウム/ジルコニウム塩などの収斂性塩から選択されることが多い。好ましい収斂性塩としては、アルミニウム、ジルコニウム、およびアルミニウム/ジルコニウムのハロゲン化物、ならびにハロハイドレート塩、たとえばクロロハイドレート類および活性アルミニウムクロロハイドレートが挙げられる。
【0071】
アルミニウムハロハイドレートは、通常、一般式Al(OH)−wHOで定義される(式中、Qは、塩素、臭素、またはヨウ素を表し、xは2から5を変動し、x+y=6であり、wHOは変動可能な水和量を表す)。特に有効なアルミニウムハロハイドレート塩は、活性アルミニウムクロロハイドレートとして公知であり、欧州特許出願公開第6739号明細書(ユニリーバ(Unilever)NVら)に記載されており、この明細書の記載内容は本明細書中に参照により組込まれる。ある活性塩は、水の存在下で向上した活性を維持しないが、実質的に無水の配合物、すなわち明確な水相を含有しない配合物中では有用となる。
【0072】
ジルコニウム有効成分は、通常、一般実験式:ZrO(OH)2n−nz・wHOで表すことができる(式中、zは、2n−nzの値が0または正であることを条件として、0.9から2.0の範囲の変数であり、nはBの価数であり、Bは、塩化物、他のハロゲン化物、スルファメート、サルフェート、およびこれらの混合物からなる群より選択される。)。変動範囲の可能な水和がwHOで表される。好ましくは、Bが塩化物を表し、変数zが1.5から1.87の範囲となる。実際には、通常このようなジルコニウム塩がそれ自体で使用されることはなく、複合アルミニウムおよびジルコニウム系制汗剤の成分として使用される。
【0073】
上記のアルミニウム塩およびジルコニウム塩は、種々の量の水が配位および/または結合することができ、および/またはポリマー種、混合物、または錯体として存在することができる。特に、ジルコニウムヒドロキシ塩は、種々の量のヒドロキシ基を有する一連の塩として存在することが多い。ジルコニウムアルミニウムクロロハイドレートが特に好ましいであろう。
【0074】
前述の収斂性アルミニウム塩および/またはジルコニウム塩を主成分とする制汗性錯体を使用することができる。この錯体には、カルボキシレート基を有する化合物が使用されることが多く、好都合にはこれはアミノ酸である。好適なアミノ酸の例としては、dl−トリプトファン、dl−β−フェニルアラニン、dl−バリン、dl−メチオニン、およびβ−アラニンが挙げられ、好ましくは式CH(NH)COOHを有するグリシンが挙げられる。
【0075】
アルミニウムハロハイドレートおよびジルコニウムクロロハイドレートと、グリシンなどのアミノ酸との組み合わせの錯体を使用することが非常に望ましく、これらは米国特許第3792068号明細書(リューダーズ(Luedders)ら)に開示されている。これらのAl/Zr錯体の一部は、一般に文献においてZAGと記載されている。ZAG有効成分は一般に、アルミニウム、ジルコニウム、および塩化物を含有し、Al/Zr比が2から10の範囲、特に2から6の範囲であり、Al/Cl比が2.1から0.9の範囲であり、種々の量のグリシンを有する。この好ましい種類の有効成分は、ウェストウッド(Westwood)、サミット(Summit)、およびレーヒス(Reheis)より入手可能である。
【0076】
使用することができる他の有効物質としては、たとえば英国特許第2299506号明細書に記載されているような収斂性チタン塩が挙げられる。
【0077】
制汗性塩の粒径は、多くの場合0.1から200μmの範囲内であり、特に0.2から100μmの範囲内であり、ある望ましい製品は、少なくとも95重量%が50μm未満であり、平均粒径が3から30μmとなることが多く、多くの場合5から20μmとなる。本発明の粒子状有効制汗性塩重量には、一般に存在するあらゆる水和水が含まれる。
【0078】
(デオドラント有効成分)
好適なデオドラント有効成分は、デオドラントに有効な濃度の制汗性金属塩、デオパヒューム(deoperfume)、および/または殺微生物剤、たとえば特に殺菌剤、たとえば塩素化芳香族、たとえばビグアニド誘導体を含むことができ、特に、イガサン(Igasan)DP300(商標)(トリクロサン)、トリクロバン(Tricloban)(商標)、およびクロルヘキシジン(Chlorhexidine)として公知である材料が挙げられる。さらに別のクラスは、商標コスモシル(Cosmocil)(商標)で入手可能なものなどのビグアニド塩を含む。デオドラント有効成分は一般に0.1から25重量%の濃度で使用される。
【0079】
(場合により使用される成分)
場合により使用される成分としては、ウォッシュオフ剤が挙げられ、皮膚または衣類から配合物を除去しやすくするため、多くの場合、最大10%w/wの量で使用される。このようなウォッシュオフ剤は、C−C22アルキル部分と、ポリオキシアルキレン基(POEまたはPOP)および/またはポリオールを含むことができる親水性部分とを含有するエステルまたはエーテルなどの非イオン界面活性剤が典型的である。
【0080】
本発明の組成物には、化粧品固体または軟質固体用に従来考慮することができた1種類またはそれ以上の化粧品用補助剤を混入することができる。このような化粧品用補助剤としては、たとえば最大約10%の量のタルクまたは微粉砕ポリエチレンなどの皮膚触感改善剤;たとえば最大約5%の量のグリセリンなどの保湿剤;たとえば最大5%の量のアラントインまたは脂質などの皮膚効果剤;着色剤;多くの場合最大2%の量のメントールおよびメントール誘導体などの前述のアルコール以外の皮膚冷却剤を挙げることができ、これらすべてのパーセント値は組成物の重量を基準にしている。一般的に使用されている補助剤は香料であり、これは通常、組成物の0から4重量%の濃度で存在し、多くの配合物では0.25から2重量%の濃度で存在する。
【0081】
ゲル化剤(i)および(ii)組み合わせを使用して製造した懸濁液スティックは、たとえば従来の蝋で構造化した無水組成物と比較して目に見える付着物が少なく、良好な皮膚感触を有する傾向にある。
【0082】
(組成物の調製)
本発明による組成物を調製するための好都合な工程順序は、最初に、水非混和性液体中または複数の水非混和性液体のうちの1種類の中で、構造剤の組み合わせの溶液を形成するステップを含む。通常これは、すべての構造剤が溶解するのに十分高い温度(溶解温度)、たとえば70から140℃の範囲の温度で混合物を撹拌することによって実施される。構造剤を導入する前または後のいずれかで、あらゆる油溶性化粧品有効成分を油相に導入することができる。通常、得られた構造剤溶液が、構造剤が溶解する温度とこれが固化する温度との間の温度、多くの場合60から90℃の範囲の温度に冷却される。
【0083】
ある経路では、ゲル化剤、および制汗剤またはデオドラント有効成分を導入する前にキャリア油を互いに混合することができる。別の製造経路では、アミド置換構造剤のすべてまたは一部を組成物の第1の分画中に溶解させることが望ましく、この第1の分画は、アルコールなどであり、たとえばアルコール性キャリア流体、すなわち分岐脂肪族アルコール、たとえばイソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールであり、場合により、ある程度水混和性を有し、アルコール性流体中のアミドゲル化剤の溶解温度より高い沸点を有するアルコールと併用される。これによって、キャリア流体の残りが、構造剤が溶解または溶融する温度まで加熱されるのを回避できる。構造剤を溶解させるためのキャリア流体の比率は、多くの場合キャリア流体の25から50重量%である。
【0084】
上記の別の製造経路では、キャリア油、たとえばシリコーンおよび/またはエステルおよび/または炭化水素の油の第2の分画中に粒子状材料が導入され、この後、溶解した構造剤を含有する第1の分画と、懸濁した粒子状材料を含有する第2の分画とが、組成物がゲルする温度よりも高温、多くの場合、組成物の標準的な固化温度よりも5℃から30℃高い温度で混合され、供給容器に充填され、周囲温度まで冷却または放冷される。冷却は、容器および内容物を放冷するだけで実施することができる。周囲空気または冷却空気を容器およびこれらの内容物の上に吹き付けることによって冷却を促進することができる。
【0085】
(製品のディスペンサー)
本発明による懸濁液スティックは、通常、供給容器中に収容され、これらの供給容器は、これらの形状および寸法、これらの構造の材料、ならびにスティックを供給するために内部に使用される機構が化粧品に対応している供給容器中に収容される。制汗剤またはデオドラントスティックは、バレル中に収容されることが多く、一般にこのバレルは、円形または楕円形の横断面で、スティックが通過することができる開放端と、反対側の閉鎖端とを有し、バレルに沿って軸方向に移動可能な台または昇降機を一般に含む。この台は、指を挿入することによって上昇させることができるし、またはより一般的には、協働する台のねじ付き孔を通って軸方向に延在するねじ付き軸を回転させる外部に露出した回転ホイールによって上昇させることもできる。通常、このバレルは、バレルの開放端を覆うことができる取り外し可能なキャップも有する。通常バレルは、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの押出可能な熱可塑性材料から製造される。
【0086】
本発明は、本明細書で前述した本発明のスティック状化粧品が供給バレル内に配置された半透明化粧品用制汗剤またはデオドラント製品も提供する。
【0087】
本発明による組成物について要約し、好ましい実施態様を説明してきたが、これよりこれらの特定の実施態様を、単なる例として、より詳細に説明する。
【実施例】
【0088】
後述の実施例および比較例の懸濁液スティック中に以下の成分を使用した。
【0089】
【表1】


【0090】
実施例および比較例におけるスティックの送り出し(payoff)、および目に見える付着物(白色度)を黒色綿上、スティック適用から24時間後に測定した。
【0091】
実施例および比較例のスティックを以下の方法で製造した。キャリア油C1およびC2またはC3を互いに混合し、撹拌しながらすべてのゲル化剤を導入した。ゲル化剤が溶解するまで、この混合物の温度を上昇させた。得られたゲル化剤溶液を90℃まで冷却し、粒子状制汗剤を導入した。得られた混合物の温度を85℃の一定に維持し、十分に撹拌して、次に任意の香料を加えた。この混合物を冷却し、続いて混合物の標準的固化温度(静止条件下で試料を固化させることによって、または従来の試験によって求めた)より約5℃高い範囲内の後述の温度でスティックバレル中に注ぎ、周囲温度まで冷却した。
【0092】
重量部の単位で示される処方、およびスティックの性質を以下の表1にまとめている。
【0093】

【表2】

【0094】
Ex1.1で製造したスティックは、適切な硬さで、許容できる送り出しを有し、皮膚知覚特性は良好であり、皮膚上への白色/脂肪性付着物はわずかであった。
【0095】
比較例のComp1.Aで製造したスティックは、米国特許出願公開第2002/0159961号明細書の実施例11の実施例であり、一次ゲル化剤として12−HSAを使用したものであった。このスティックは、全体的により多くのゲル化剤を使用しても硬度が劣っており、送り出しが多く、皮膚適用における知覚特性が劣り、皮膚に適用した場合に厚い白色および脂肪性付着物が残留した。
【0096】
比較例のComp1.Cで製造したスティックは、実施例1.1と同じキャリア油を使用した。これはComp1.Bよりもさらに軟質であり、送り出しが実質的に多く、知覚特性が劣り、皮膚に適用するとスティックが崩壊し、非常に厚い白色および脂肪性付着物が残留した。
【0097】
Comp1.Cでは、油溶液のゲル化温度が100℃よりはるかに高く、すなわち制汗有効成分を安全に導入できる温度よりもかなり高かったため、スティックを製造することができなかった。
【0098】
(実施例2.1から2.4)
これらの実施例は、実施例1で使用した一般方法によって製造し、クラス(iii)の二次ゲル化剤をさらに含有した。重量部の単位で表したこれらの処方、およびスティックの特性を以下の表2にまとめている。
【0099】
【表3】

【0100】
実施例2.1、2.2、2.3、および2.4のそれぞれで製造したスティックは堅い不透明のスティックとなった。これらを皮膚に十分適用しても、白色付着物および油状皮膜は実質的に残留しなかった。
【0101】
(実施例3.1から3.7)
これらの実施例において、他のキャリア油を使用し、懸濁した無機材料をさらに含有するさらにべつのスティックを、実施例1の一般方法によって製造した。重量部の単位で表したこれらの処方、およびスティックの特性を以下の表3にまとめている。
【0102】
【表4】

n/dは測定を行わなかったことを意味する。
【0103】
実施例3.1、3.6、および3.7について、高温での溶融に対する安定性を評価した。すべてが少なくとも55℃まで安定であり、不可逆的な硬度低下または溶媒のもれは見られなかった。このことは、主要構造剤としてステアリルアルコールを使用し、場合により小さな割合(1から5%w/w)のカスターワックスを使用して構造化される従来の不透明スティックに対する大きな利点となる。このようなスティックは、50℃以上の貯蔵温度で軟化し、構造が失われる傾向を有する。この温度は、費用のかかる冷却を行っても、熱帯または亜熱帯の気候における倉庫中、または輸送用ワゴン中で発生しうる。
【0104】
(実施例4)
この実施例は、クラス(i)の別の代表的なゲル化剤であるG8を使用している。スティックは実施例の一般方法によって製造される。重量部の単位で表したこの処方、およびこの特性を以下の表4にまとめている。
【0105】
(ゲル化剤G8の調製方法)
ゲル化剤G8は2段階方法で製造した。段階1でN−アシルLグルタミン酸ジメチルエステルを形成し、段階2でこれを対応するN−アシルLグルタミン酸ジブチルアミドに転化させ、両方の段階でシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)の実験室グレードの化学物質を使用した。
【0106】
マグネチックスターラーを取り付けた250mlの三口丸底フラスコにL−グルタミン酸ジメチルエステル塩酸塩(15g、71mmol)を投入した。次に、このフラスコに、実験室の周囲温度(20℃)において撹拌しながら、ジクロロメタン(150ml、HCl塩1g当たり約10ml)を加えた。実験室の周囲温度(20℃)において撹拌しながら、このフラスコにジクロロメタン(150ml、HCl塩1g当たり約10ml)を加えた。
【0107】
次に、撹拌しながらトリエチルアミン(TEA、8.61g、85mmol)を加えると、直後に白色沈殿物が現れた。室温で60分間、この混合物の撹拌を続けた。次に、2回目のTEA(7.17g、71mmol)を、それぞれの2−エチルブタン酸塩化物(50mlのDCM中71mmol)とともに反応混合物に加え、添加中0℃から10℃の温度を維持した。この反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。翌朝、沈殿物を濾過し、透明な濾液を得て、これを分液漏斗中で希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、および水を使用して連続して洗浄した。減圧下ですべての溶媒を蒸発させると、対応するN−アシルL−グルタミン酸ジメチルエステルが得られ、これが残留する酸および出発物質を含有しないことを検出した。
【0108】
第2の段階では、段階1の生成物(典型的には10g、23から38mmol)を、トルエン(100ml、ジメチルエステル1gあたり10ml)中に溶解させ、続いて、マグネチックスターラー、滴下漏斗、および水凝縮器を取り付けた250mlの反応容器に加えた。次に、過剰のブチルアミン(30から50ml、300から500mmol)をゆっくりと滴下し、この後、反応溶液を90℃まで加熱し、十分に撹拌した。ジメチルエステルからジアミドへの転化の進行を、抜き取った試料のRP HPLCおよびFT−IRの両方で監視し、エステルが検出されなくなるまで、または、エステルが一部残留する場合は、アミド赤外ピークに対するエステルの相対強度が一定となるまで続けた。この反応は約24時間を要した。
【0109】
周囲温度まで冷却すると、反応混合物がゲルを形成し、これを減圧濾過し、白色の粗固体材料が得られるまで冷溶媒で洗浄した。エタノール中の25gの酸系アンバーリスト(Amberlyst)A−15(商標)樹脂で粗生成物を洗浄して残留ブチルアミンを除去し、続いて、表5に記載されるように、チャコールによる濾過によって脱色を行った。この純度(面積%)は94.06であり、融点は172℃であった。
【0110】
【表5】

【0111】
実施例4は、皮膚上に適用すると優れた滑りを示し、白色付着物は実質的に残留しなかった。
【0112】
(特性の測定)
(i)スティック硬度−針入度計
堅い固体である組成物の硬度および剛性は、針入度測定によって求めることができる。組成物がより軟らかい固体である場合は、針入度計のプローブに対する抵抗が実質的に不足しているように観測される。
【0113】
好適な手順では、規定の針先端の円錐角が90°10’+/−15”であるセタ(Seta)ワックスニードル(重量2.5g)を取り付けた実験室用PNT針入度計を使用する。平坦な上面を有する組成物の試料を使用する。組成物の表面に向けて針を下げ、次に、ホルダーを有する針を総重量(すなわち、針とホルダーとの重量の合計)50gをかけて5秒間降下させ、この後押し込み深さを記録することによって、押し込み硬さ測定を実施する。望ましくはこの試験は、各試料について多くの点で行い、これらの結果を平均する。この性質の試験を使用する場合、開放端を有する供給容器中で使用するのに適切な硬度は、この試験での押し込みが30mm未満、たとえば2から30mmの範囲である。好ましくは押し込みは5mmから20mmの範囲である。
【0114】
この試験の指定の手順で、スティックに対する測定をスティックバレル中で実施した。バレルの開放端から突出するようにスティックを巻き上げ、次に、平坦で均一な表面が残るように切断した。スティック表面に向けて針を注意深く下げ、押し込み硬さ測定を実施した。この方法は、スティック表面の6つの異なる場所で行った。記載の硬度読み取り値は6回の測定の平均値である。
【0115】
(ii)堅いスティックによる付着(送り出し)
組成物の第2の性質は、組成物を表面にわたって塗布する(スティック製品のヒトの皮膚への適用を表す)場合にこの表面に供給される量であり、送り出しとも呼ばれる。組成物が堅いスティックでありこの形状を維持できる場合、この付着試験を実施するために、規格化された形状および寸法を有する組成物試料を装置に取り付け、温度および適用圧力の標準条件下で、指定の回数(各方向で3回)試験表面に試料を塗布する。表面に移行した量は、塗布された基材の重量増加として求められる。希望するなら、付着物の色、不透明性、または透明性を後に測定することができる。堅い固体スティックに適用可能な付着物および白色度のこのような試験の特定な手順では、標準条件下で装置を使用して付着物をスティックから基材上に適用し続いて、画像分析を使用して白色付着物の平均量を求める。
【0116】
使用した基材は、黒色綿織物の12×28cmのストリップであった。使用前にこの基材を秤量した。スティックは未使用のものであり、ドーム型の上部は修正しなかった。
【0117】
装置は、各端部でクリップによって平坦な基材が取り付けられる平坦な台座を含んだ。標準寸法のスティックバレルを収容するための取り付け部を有する柱を、空気圧式ピストンによって基材上を水平方向に移動可能なアームに取り付けた。
【0118】
各スティックは、測定を行う前に、実験室周囲温度で一晩維持した。このスティックを測定された量だけバレルから突出させた。次に、バレルを装置に取り付け、規格の力(500gの荷重)で基材に対してスティックが偏るようにバネを配置した。装置を作動させ、最終速度140mm/sで、基材に対して横方向にスティックを120mmだけ6回移動させた。注意して基材を装置から取り外し、再度秤量した。続いて、付着物の白色度は後述の(v)のように測定することができた。
【0119】
(iii)付着物の白色度
前述の試験(ii)で得られた付着物について、約24時間後に白色度を評価した。
【0120】
この評価は、影をなくすために蛍光灯を使用して高角度から照明した黒色テーブルの上に垂直に配置したコスミカー(Cosmicar)16mm焦点距離レンズを有するソニー(Sony)XC77白黒ビデオカメラを取り付けたKS画像分析装置(KS Image Analyser)を使用して行った。先ずこの装置は、安定な光出力が得られるのに十分な時間蛍光灯を点灯した後で、参照白色カードを使用して較正した。前述の試験で付着物が付着した布を、テーブル上に置き、カメラを使用して画像を取り込んだ。付着物画像の領域を選択し、KS400(商標)画像ソフトウェアを使用して分析した。理論的には、これで、画像を多数の画素の配列に分割し、各画素の灰色レベルを0(黒色)から255(白色)で測定した。灰色強度の平均を計算し、布の10箇所の背景読み取り値と比較することができた。これが付着物の白色度測定の出発点であり、数字が大きいほど、より白い付着物を示している。小さい数値は透明な付着物を示しており、基材の色を見ることができると考えた。
【0121】
(iv)ゲル化剤の純度を測定するためのHPLC法
UV検出による逆相HPLCによってゲル化剤の純度を測定した。
【0122】
移動相は、300mlの脱イオン水を含む、これに700mlのHPLCグレードアセトニトリルと1.0mlのトリフルオロ酢酸(Aldrich(商標)分光測定グレード)とを加え、次にすべての溶媒を十分混合して脱気することによって調製した。0.001gの試料を2mlのHPLCバイアル中に量り取り、移動相を加えて体積を調整した。
【0123】
次に、ハイパージル(Hypersil)ODS 5μm C18、250×4.6mmIDカラム、HPオートサンプラー(HP Autosampler)(商標)、および210nmに設定したUVダイオード・アレイ・ディテクター(UV Diode Array Detector)を取り付けたヒューレット・パッカード1050HPLCシステム(Hewlett Packard 1050 HPLC System)(商標)を使用して試料を分析した。
【0124】
分析は以下の条件下で実施した:
定組成/グラジエント:定組成
流量:1.2ml/分
実行時間:10分
温度:周囲
注入体積:20μl
すべての結果は領域%で表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水非混和性液体と、この中に懸濁した化粧品有効成分とおよび前記水非混和性液体のための固化する量のゲル化剤とを含む固体化粧品組成物であって、前記水非混和性液体のための前記ゲル化剤が、少なくとも4重量%の一次および二次アミドゲル化剤を含み、前記ゲル化剤が、ゲル化剤(i)である式:A−CO−R(式中、Aはアミノ酸アミドの残基を表し、Rは4から12個の炭素原子を含有する分岐アルキル基を表す。)のN−アシル置換アミノ酸アミドとおよびゲル化剤(ii)である式:A−CO−R(式中、Aはアミノ酸アミドを表し、Rは9から21個の炭素原子を含有する線状アルキル基を表す。)のN−アシル置換アミノ酸アミドとの、一次ゲル化剤として有効な相対重量比での一次ゲル化剤の組み合わせの少なくとも3重量%を含むこと、ならびに、前記水非混和性液体が、融点が20℃以下であり沸点が100℃を超える水非混和性一価アルコールを前記水非混和性液体の25%から50%の比率で含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
が、ジアミド置換グルタミン酸またはアスパラギン酸の残基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、ジアミド置換グルタミン酸の残基を表すことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
中の各アミド置換基が、式−CO−NH−R(式中、Rは3から6個の炭素原子を含有するアルキル基を表す。)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
が、線状アルキル基を表すことを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
が、ブチルを表すことを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
が、4から8個の炭素原子を含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
が、7または8個の炭素原子を含有することを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
が、1つの側鎖を含有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
−CO−Rが、2−エチル−ヘキサン酸の残基であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ゲル化剤(i)が、前記組成物の1.5から8重量%の濃度で存在する、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ゲル化剤(i)が、前記水非混和性油の2から15重量%の濃度で存在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ゲル化剤(i)のゲル化剤(ii)に対する重量比が、3:1から1:3の範囲から選択されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
ゲル化剤(i)のゲル化剤(ii)に対する重量比が、2:1から1:2の範囲から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
が、ウンデカニルを表すことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
が、ジアミド置換グルタミン酸の残基を表すことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
中の各アミド置換基が、式−CO−NH−R(式中、Rは、3から6個の炭素原子を含有するアルキル基を表す。)を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
が、線状アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
が、ブチルを表すことを特徴とする、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
N−アシルアミノ酸アミドゲル化剤(ii)の比率が、前記組成物の1:5から8重量%であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
N−アシルアミノ酸アミドゲル化剤(ii)の比率が、前記水非混和性油の2から15重量%であることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記一次ゲル化剤を形成するゲル化剤(i)および(ii)の重量の合計が、前記組成物の4.5から8%である、請求項1から21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
ゲル化剤(i)および(ii)以外のアミド含有ゲル化剤またはヒドロキシステアリン酸の1種類以上から選択される二次ゲル化剤を小さな比率で含有することを特徴とする、請求項1から22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
一次および二次ゲル化剤の総重量が前記組成物の5から10%であることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記アルコールが、12から22個の炭素原子を含有する分岐脂肪族アルコールであることを特徴とする、請求項1から24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記水非混和性油の一価アルコールの比率が、30から45重量%であることを特徴とする、請求項1から25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記一価アルコールが、アミドゲル化剤の総重量に対して、3.5:1から5:1の重量比で存在することを特徴とする、請求項1から26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記水非混和性油が、シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1から27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記シリコーン油が、前記水非混和性キャリア油の30から75重量%の比率で存在することを特徴とする、請求項1から28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記シリコーン油が、揮発性シリコーン油、好ましくはシクロペンタメチコーンおよび/またはシクロヘキサメチコーンを含むことを特徴とする、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記制汗剤またはデオドラント有効成分が、収斂性アルミニウム塩および/またはジルコニウム塩を含むことを特徴とする、請求項1から30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記アルミニウム塩またはジルコニウム塩が、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウム−ジルコニウムクロロハイドレート、またはアルミニウム−ジルコニウムクロロハイドレート錯体を含むことを特徴とする、請求項1から31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記化粧品有効成分が、前記組成物の5から40%の重量比率で存在することを特徴とする、請求項1から32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
制汗剤またはデオドラントスティックの製造方法であって、
a.(i)水非混和性油を含む液相と、(ii)前記水非混和性油のためのゲル化剤とぽよび(iii)懸濁した粒子状制汗剤またはデオドラントとの可動性混合物の形成を、
a1.前記液相を前記ゲル化剤と混合すること、
a2.前記ゲル化剤が溶解する温度まで前記液相を加熱すること、
a3.前記ゲル化剤が溶解する前または溶解後のいずれかで、前記粒子状制汗剤またはデオドラント有効成分を前記液相中に導入すること
によって行うステップと、
b.前記可動性混合物を供給容器中に導入するステップと、ならびに
d.前記可動性混合物を、これが固化する温度まで冷却または放冷するステップと
を含み、前記ゲル化剤が、請求項1に記載のゲル化剤(i)およびゲル化剤(ii)を含み、前記水非混和性油の25重量%から50重量%が請求項1に記載の水非混和性一価アルコールであることを特徴とする、前記方法。
【請求項35】
ゲル化剤(i)および(ii)の少なくとも一方が、前記水非混和性液体の第1の分画中に溶解され、前記制汗剤またはデオドラント有効成分が、前記水非混和性液体の第2の分画中に懸濁され、続いて前記第1の分画が前記第2の分画と混合されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
液体の前記第1の分画が前記水非混和性一価アルコールを含むことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
発汗および/または悪臭の発生を抑制または制御する化粧方法であって、請求項1またはこの従属請求項のいずれかに記載の化粧品組成物の有効量をヒトの皮膚、好ましくは脇の下に局所適用するステップを含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−525969(P2006−525969A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505313(P2006−505313)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004512
【国際公開番号】WO2004/098552
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】