説明

ステンレス鋼帯の洗浄装置

【課題】 洗浄液中に含まれる固形物の屑除去が可能であり、保守管理が容易で長期間安定して洗浄液を清浄化することのできるステンレス鋼帯の洗浄装置を提供する。
【解決手段】 ステンレス鋼帯を洗浄する洗浄装置20は、ステンレス鋼帯21の洗浄に用いられた洗浄液29を回収する回収手段22と、回収された洗浄液中に含まれる固形物を除去する除去手段23と、固形物が除去された洗浄液をステンレス鋼帯21の表面に供給する供給手段24とを含む。除去手段23は、複数の棒状体部材42が間隔をあけて配置されて形成されるスリット43を有する格子部41を備えるように構成される。洗浄液を、棒状体部材42の延びる方向に対して交差する方向に流過させることによって、洗浄液がスリット43を通過し、固形物が格子部41に捕捉されて清浄化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼帯の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼は、普通鋼のようにめっきまたは塗装などの処理が施されずに使用されることが大半なので、表面の美麗さが要求される。このことから、ステンレス鋼帯は、圧延その他の加工後の巻取り時に、巻締めまたは巻ずれに起因する層間スリップによる表面疵の発生を防止するべく、合紙と呼ばれる紙または不織布を間挿してコイル状に巻取られている。合紙を間挿して巻取られたステンレス鋼帯は、次工程において、巻戻し時に合紙を取除いて工程を通板し、巻取り時には、再度合紙を間挿しながら巻取ることを繰返して製造される。
【0003】
このようにステンレス鋼帯の製造においては、合紙が用いられるので、合紙から繊維屑の発生することを避けることができない。この合紙から発生する繊維屑は、往々にしてステンレス鋼帯の表面に付着する。繊維屑は、小さくかつ軟質ではあるけれども、固形物であり、加工装置に備わるロールなどによってステンレス鋼帯の表面に押圧されると押込み疵等の発生原因となるので、除去されなければならない。
【0004】
またステンレス鋼帯に限らず、一般的に鋼帯圧延時には、スリップ疵の発生防止および圧延荷重の軽減を目的として圧延油が用いられる。この圧延油中に含有される油分もステンレス鋼帯の表面に付着しており、ステンレスの製造工程で光輝焼鈍ラインを通板する場合には、着色などの表面欠陥発生の原因となり、表面品質を低下させるので、光輝焼鈍炉に入るまでに除去されなければならない。
【0005】
従来、ステンレス鋼帯の洗浄には、トリクロロエタンまたはトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いた溶剤洗浄が多用されていたけれども、環境保護に対する配慮および有機溶剤を廃液処理する困難性の問題から、溶剤洗浄に代わり、アルカリ洗浄剤を用いたアルカリ洗浄法が用いられるに至っている。
【0006】
図5は、従来のステンレス鋼帯の洗浄装置1の構成を簡略化して示す系統図である。図5は、アルカリ洗浄剤を含む洗浄液を用いたステンレス鋼帯の洗浄装置1、いわゆるアルカリ脱脂洗浄装置の構成を示す。
【0007】
ステンレス鋼帯の洗浄装置1(以後、洗浄装置1と略称する)は、大略洗浄液の供給源2と、供給源2から供給される洗浄液をステンレス鋼帯3の表面に噴射する噴射する噴射手段4と、ステンレス鋼帯3の洗浄に用いられた洗浄液を回収する回収手段5と、供給源2と噴射手段4との間に設けられ、噴射手段4に供給される洗浄液をろ過するろ過手段6とを含む構成である。
【0008】
供給源2は、洗浄液を貯留する貯留槽7(図5では、脱脂液タンクと表記)と、貯留槽7から排出される洗浄液の流路である第1配管8と、第1配管8に設けられる送給ポンプ9とから構成される。噴射手段4は、ステンレス鋼帯3を介して対向するように設けられ、通板されるステンレス鋼帯3の表面に洗浄液11を噴射する複数のノズル10a,10bと、複数のノズル10a,10bに接続される第2配管12とを含む。
【0009】
回収手段5は、ノズル10a,10bを覆うように設けられ、ノズル10a,10bから噴射され、またステンレス鋼帯3表面で反射されて飛散する洗浄液を回収するケーシング13と、トレイ状に形成されるケーシング底面13aに接続されて、回収した洗浄液を貯留槽7まで流過させる洗浄液流路である第3配管14とを含む。
【0010】
ろ過手段6は、たとえばカートリッジフィルタであり、その入側に第1配管8が接続され、出側に第2配管12が接続される。なお、洗浄装置1には、カートリッジフィルタ6をバイパスし、第1配管8と第2配管12とを直接接続するバイパス配管15が設けられる。また第1および第2配管8,12ならびにバイパス配管15には、流路切換時に動作させる流量調整バルブが設けられるけれども、図示を省略する。
【0011】
噴射手段4からステンレス鋼帯3の表面に噴射され、ステンレス鋼帯3表面の油および繊維屑などの固形物の屑を洗浄した洗浄液が回収手段5によって、貯留槽7へ回収される。貯留槽7中の洗浄液は、送給ポンプ9によってカートリッジフィルタ6へ送給される。洗浄液は、カートリッジフィルタ6を通過することによって、その液中の油および固形物の屑がろ過されて、清浄化される。清浄化された洗浄液は、再び第2配管12を流過してノズル10a,10bに供給されてステンレス鋼帯3の洗浄に用いられる。なお、バイパス配管15は、カートリッジフィルタ6の交換の際、供給手段2から直接噴射手段4へ洗浄液を供給するために用いられる。したがって、カートリッジフィルタ6交換の際には、ろ過されていない洗浄液が供給されるけれども、洗浄装置1の操業停止を避けるための措置である。
【0012】
このように、従来の洗浄装置1では、カートリッジフィルタ6で洗浄液を清浄化することによって、洗浄液の繰返し使用を可能にしている。しかしながら、カートリッジフィルタ6は、油および固形物の屑をろ過することによって、目詰まりを起こし、ろ過能力が低下するので、交換されなければならない。その交換頻度は、たとえば24時間操業すると1日あたり数回に及ぶので、カートリッジフィルタの消耗費用が多大であるとともに、交換作業の労力負荷が多大になるという問題がある。またカートリッジフィルタの交換作業中は、清浄化されない洗浄液がそのまま供給されるので、ステンレス鋼帯表面の洗浄が充分ではないという問題もある。
【0013】
このような問題を解決する従来技術の一つに、洗浄液を清浄化するために油水分離する膜分離手段を設け、さらに膜分離手段に洗浄剤を供給する供給路または膜分離手段を通過する洗浄液の循環路へ界面活性剤を注入することによって、膜面の汚染による通液差圧の上昇を防止し、長期に亘り安定な運転を継続するというものがある(特許文献1参照)。
【0014】
特許文献1に開示される従来技術では、膜分離手段の直近の管路へ界面活性剤が注入されるので、界面活性剤による膜洗浄効果を有効に発現することができ、膜の洗浄液清浄化作用が再生されるとする。しかしながら、特許文献1開示の技術では、膜に付着する油分を除去することはできるけれども、ステンレス鋼帯独自の固形の屑である合紙から発生する繊維屑による膜の目詰まりに対しては、対処することができないという問題がある。
【0015】
【特許文献1】特開2002−212768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、洗浄液中に含まれる固形物の屑除去が可能であり、保守管理が容易で長期間にわたり安定して洗浄液の清浄化をすることのできるステンレス鋼帯の洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ステンレス鋼帯の表面に洗浄液を供給することによって洗浄する洗浄装置において、
ステンレス鋼帯の洗浄に用いられた洗浄液を回収する回収手段と、回収手段によって回収された洗浄液中に含まれる固形物を除去する除去手段と、固形物が除去された洗浄液をステンレス鋼帯の表面に供給する供給手段とを含み、
除去手段は、複数の棒状体部材が間隔をあけて配置されて形成されるスリットを有する格子部を備え、該格子部が、棒状体部材の延びる方向に対して交差する方向に、洗浄液を流過させるように設けられることを特徴とするステンレス鋼帯の洗浄装置である。
【0018】
また本発明は、前記除去手段の格子部は、水平面に対して勾配を有するように設けられることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記棒状体部材は、長手方向に垂直な断面が略三角形状を有し、複数の棒状体部材によって形成されるスリットの間隔が、洗浄液の流過する面から離反するのに伴って、大きくなるように配置されることを特徴とする。
また本発明は、前記洗浄液は、アルカリ洗浄剤を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、格子部では、洗浄液および洗浄液中に含有される微粒子が、格子部のスリットを通過することができるけれども、固形の繊維屑および固形物ばかりでなく乳化不充分な状態で存在する径の大きい油粒子が、スリットを通過することができずに格子部に捕捉される。このようにして、洗浄液中に含まれる固形物の屑である繊維屑の除去が可能になる。さらに、格子部が水平面に対して勾配を有するように設けられることによって、格子部に捕捉された繊維屑と径の大きい油粒子とが堆積し、ある程度の自重を有するようになると、堆積物が重力の作用で格子部からずり落ちる。したがって、除去手段の格子部を定期的に清掃する必要がなくなり、また洗浄液の清浄化機能の再生が自然に行われるので、保守管理が容易で長期間にわたり安定して洗浄液の清浄化をすることのできるステンレス鋼帯の洗浄装置が実現される。
【0021】
また本発明によれば、棒状体部材は、長手方向に垂直な断面が略三角形状を有し、複数の棒状体部材によって形成されるスリットの間隔が、洗浄液の流過する面から離反するのに伴って大きくなるように配置されるので、格子部を流過する洗浄液の液体成分が毛細管現象によって効率的にスリットを通過し、通過した液体成分が、間隔の大きくなったスリット部分から容易に滴下される。すなわち、格子部による洗浄液の清浄化が効率的に行われる。
【0022】
また本発明によれば、洗浄液にアルカリ洗浄剤が含まれるので、いわゆるアルカリ脱脂液として用いることができる。このことによって、ステンレス鋼帯のアルカリ脱脂洗浄を行うのに好適なアルカリ脱脂洗浄装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態であるステンレス鋼帯の洗浄装置20の構成を簡略化して示す系統図である。本実施の形態では、ステンレス鋼帯の洗浄装置20(以後、単に洗浄装置20と略称する)として、ステンレス鋼帯21の表面にアルカリ洗浄剤を含有する洗浄剤を供給して洗浄するアルカリ脱脂洗浄装置について例示する。
【0024】
なお、アルカリ洗浄剤を含有する洗浄液とは、たとえばアルカリ洗浄剤として、水酸化アルカリ塩、アルカリ炭酸塩、アルカリリン酸塩、アルカリケイ酸などを含み、その他キレート剤、界面活性剤などが含まれるものである。洗浄液のこれら成分の組成比は、特に限定されるものではなく、配合成分の浸透性、乳化性、分散性、活性アルカリ度、水すすぎ性、排水処理性などを考慮して適宜調整されればよい。
【0025】
洗浄装置20は、ステンレス鋼帯21の洗浄に用いられた洗浄液を回収する回収手段22と、回収手段22によって回収された洗浄液中に含まれる固形物を除去する除去手段23と、固形物が除去された洗浄液をステンレス鋼帯21の表面に供給する供給手段24とを含んで構成される。
【0026】
供給手段24は、洗浄液を貯留し供給源となる貯留槽25(図1では、脱脂液タンクと表記)と、貯留槽25から排出される洗浄液の流路である洗浄液供給配管26と、洗浄液供給配管26に設けられて、貯留槽25の洗浄液を圧送する送給ポンプ27と、送給ポンプ27よりも洗浄液流過方向下流側において洗浄液供給配管26に接続される複数のノズル28a,28bであって、ステンレス鋼帯21を介して対向するように設けられ、通板されるステンレス鋼帯21の表面に洗浄液29を噴射するノズル28a,28bとを含む。
【0027】
回収手段22は、ノズル28a,28bを覆うように設けられ、ノズル28a,28bから噴射され、またステンレス鋼帯21表面で反射されて飛散する洗浄液29を、天板30aおよび側板30b,30cを伝わらせてトレイ状に形成される底面30dへと回収するケーシング30と、ケーシング30の底面30dに接続されて、回収した洗浄液29を貯留槽25まで流過させる洗浄液流路である洗浄液回収配管31とを含む。
【0028】
図2は除去手段23の構成を簡略化して示す側面図であり、図3は図2に示す除去手段23に備わる格子部41の構成を示す図である。なお図2は、厳密には、除去手段23の側壁板を除いて内部構成が見通せるようにして示す側面図である。
【0029】
除去手段23は、複数の棒状体部材42が間隔をあけて配置されて形成されるスリット43を有する格子部41を備え、格子部41が、棒状体部材42の延びる方向に対して交差する方向である矢符44方向に洗浄液を流過させるように、かつ仮想水平面32に対して勾配θを有するように設けられる。
【0030】
除去手段23の外殻は、鋼製の直方体形状を有するハウジング45によって構成される。ハウジング45の背面46の上部には、ケーシング30の底面30dに連なる洗浄液回収配管31(31a)が接続されて、洗浄液をハウジング45内へ流入させる流入口部材47が設けられる。流入口部材47は、略管状の部材であり、一端部48が洗浄液回収配管31に接続され、他端部49がハウジング45の内部空間へ挿入するように、ハウジング45に装着される。流入口部材47からハウジング45内へ流入した洗浄液は、ハウジング45内の流入口部材47の他端部49につらなるようにして設けられる仕切板50に沿って流過し、仕切板50から立設し、かつ流入口部材47の他端部49に臨んで設けられる堰51をオーバーフローして、前述の格子部41へと流れる。
【0031】
格子部41を構成する棒状体部材42は、長手方向に垂直な断面が略三角形状を有し、複数の棒状体部材42によって形成されるスリット43の間隔Gが、洗浄液の流過する面では間隔G1になるように、洗浄液の流過する面から離反するのに伴って大きくなるように配置され、洗浄液の流過する面から最も離反した位置の間隔G2は、前述の間隔G1よりも大きい(G2>G1)。このように構成される格子部41によれば、格子部41を流過する洗浄液の液体成分が毛細管現象によって効率的にスリット43を通過し、通過した液体成分が、間隔の大きくなったスリット部分から容易に滴下される。すなわち、格子部41による洗浄液の清浄化が効率的に行われる。
【0032】
また格子部41は、仮想水平面32に対して勾配θを有するように設けられ、この勾配θは、30〜60度であることが好ましい。勾配θが30度未満では、流過速度が遅すぎるので、洗浄液の清浄化処理速度が低下する。逆に60度を超えると、洗浄液の流過速度が速すぎるので、洗浄液を充分に清浄化することができないまま流過させてしまう。したがって、勾配θを30〜60度とした。
【0033】
図3は、格子部41の面上を、固形物52a,52bを含む洗浄液が流過する状態を示し、図3(a)が斜視図であり、図3(b)が棒状体部材42の切断端面図である。前述の堰51をオーバーフローして、格子部41へと流れ来た洗浄液は、格子部41の面上を流過する過程において、液体成分とその液中に含まれる微粒子状の固形物52bとが、スリット43を通過し、大きい固形物52aが、格子部41に捕捉される。なお、格子部41においては、固形物52aのみでなく、液体成分であっても、乳化不充分で径の大きな油粒子も、棒状体部材42に付着するようにして捕捉される。
【0034】
ただし、除去手段23の格子部41は、洗浄液中に含まれるすべての固形物を除去するものではなく、前述のように微粒子状の固形物52bはスリット43を通過する。本実施の形態の格子部41、たとえば間隔G1=0.2mm、間隔G2=1.0mmに形成される格子部41では、スリット間隔G1のおおよそ1/2未満の大きさの微粒子状固形物52bは、除去できずに通過する。
【0035】
微粒子状固形物52bは、スリット43を通過し、次のステンレス鋼帯21の洗浄に供給されるけれども、大きさが小さいので、ステンレス鋼帯21の表面に付着して押圧された場合でも、微細疵の発生にとどまるので、表面品質に対して大きな影響を及ぼすことがない。格子部41のスリット43を通過した微粒子状固形物52bを含む洗浄液が、繰返しステンレス鋼帯21の洗浄に用いられ、固形物であるたとえば繊維屑がからまるなどして、表面品質に影響を及ぼす程度に肥大化した場合には、格子部41を流過する際に捕捉除去されるので問題がない。
【0036】
図4は、除去手段23の格子部41における洗浄液の清浄化の状態を示す模式図である。ステンレス鋼帯21の洗浄に用いられて回収された洗浄液は、固形物52a,52bを懸濁させたスラリー状態で、除去手段23に流入され、さらに矢符44方向に格子部41の面上を流過される。スラリー状の洗浄液に含まれる固形物52aおよび径の大きい油粒子が、格子部41で捕捉され、洗浄液の液体成分と微粒子状の固形物52bのみがスリット43を通過する。このようにして、洗浄液からは固形物52aが除去されて清浄化される。
【0037】
図2へ戻って、格子部41を通過することによって清浄化された洗浄液は、ハウジング45の下部であって、格子部41の下方に設けられる容器である洗浄液滞留部53に貯留される。洗浄液滞留部53に貯留された洗浄液は、ハウジング45の背面46を挿通し、洗浄液滞留部53の底部53a付近に他端部54が接続され、一端部55が貯留槽25に連なる洗浄液回収配管31(31b)に接続される管状部材である排出口部材56を通じ、貯留槽25へ向けて排出される。
【0038】
一方、格子部41で捕捉された固形物52a等は、ある程度の量が堆積し、堆積層の自重が大きくなると、格子部41が仮想水平面32に対して勾配θを有するように設けられているので、重力の作用によって格子部41の面から剥離し、勾配に沿って下方に落下する。落下した固形物52a等は、格子部41の下方に設けられる固形物回収パレット57に受容される。
【0039】
除去手段23によって清浄化されて貯留槽25に貯留された洗浄液は、送給ポンプ27によって、ノズル28a,28bへ送給され、ノズル28a,28bからステンレス鋼帯21の表面に噴射供給されることによって、ステンレス鋼帯21を洗浄する。ステンレス鋼帯21の洗浄に使用された洗浄液は、回収手段22によって回収され、除去手段23で清浄化されて、繰返しステンレス鋼帯21の洗浄に用いられる。
【0040】
洗浄液の繰返し使用に際し、除去手段23の格子部41で捕捉される固形物52a等の堆積層は、重力の作用によって自重で剥離落下し、格子部41の清浄化機能が再生されるので、格子部41の清掃作業が不要になり、また格子部41を交換する必要もない。したがって、洗浄液中に含まれる固形物の屑除去が可能であり、保守管理が容易で長期間にわたり安定して洗浄液の清浄化をすることのできる洗浄装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の一形態であるステンレス鋼帯の洗浄装置20の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】除去手段23の構成を簡略化して示す側面図である。
【図3】図2に示す除去手段23に備わる格子部41の構成を示す図である。
【図4】除去手段23の格子部41における洗浄液の清浄化の状態を示す模式図である。
【図5】従来のステンレス鋼帯の洗浄装置1の構成を簡略化して示す系統図である。
【符号の説明】
【0042】
20 洗浄装置
21 ステンレス鋼帯
22 回収手段
23 除去手段
24 供給手段
25 貯留槽
26 洗浄液供給配管
27 送給ポンプ
28a,28b ノズル
29 洗浄液
30 ケーシング
31 洗浄液回収配管
41 格子部
42 棒状体部材
43 スリット
45 ハウジング
47 流入口部材
53 洗浄液滞留部
56 排出口部材
57 固形物回収パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼帯の表面に洗浄液を供給することによって洗浄する洗浄装置において、
ステンレス鋼帯の洗浄に用いられた洗浄液を回収する回収手段と、
回収手段によって回収された洗浄液中に含まれる固形物を除去する除去手段と、
固形物が除去された洗浄液をステンレス鋼帯の表面に供給する供給手段とを含み、
除去手段は、
複数の棒状体部材が間隔をあけて配置されて形成されるスリットを有する格子部を備え、該格子部が、棒状体部材の延びる方向に対して交差する方向に、洗浄液を流過させるように設けられることを特徴とするステンレス鋼帯の洗浄装置。
【請求項2】
前記除去手段の格子部は、
水平面に対して勾配を有するように設けられることを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼帯の洗浄装置。
【請求項3】
前記棒状体部材は、
長手方向に垂直な断面が略三角形状を有し、
複数の棒状体部材によって形成されるスリットの間隔が、洗浄液の流過する面から離反するのに伴って、大きくなるように配置されることを特徴とする請求項1または2記載のステンレス鋼帯の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄液は、
アルカリ洗浄剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のステンレス鋼帯の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−231404(P2007−231404A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58037(P2006−58037)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(504007844)東洋スクリーン工業株式会社 (1)
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】