説明

ステータ構造

【課題】本発明は、ステータ構造の小型化が図れ、ステータ構造の組み立て工程が簡易になり、外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、コイルの品質確保が図れるステータ構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のステータ構造1は、スロット21が形成されるステータコア部11を有するステータ構造において、導体表面からなる直線部導体セグメント32と、直線部導体セグメント32が挿入される挿入孔41が形成されスロット21に挿入される絶縁インシュレータ31と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメント33と、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを接着する導電性接着剤34とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に小型化を図ることができるステータ構造とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、以下のような特許文献に記載された発明が存在する。
まず、従来技術1として特許文献1について図13および図14を用いて説明する。図13は、特許文献1における回転電機のステータ構造101を分解して示した概要図である。図14は、一体型積層コイル片120a,120m間の接続概要図である。
図13に示すように、特許文献1に記載されている回転電機のステータ構造101は、固定子鉄心110と、積層コイル片120と、接続環側薄板状接続コイル片130と、他端側薄板状接続コイル片140と、接続環150とから構成されている。
そして、固定子鉄心110は、円周方向に歯部112が12個分配置され、隣接する歯部112の間に形成されたスロット114が12個分配置されている。
【0003】
積層コイル片120には、各々独立した一体型積層コイル片120a,120b,…,120k,120m(以下、「一体型積層コイル片120a等」という)が12個分構成されている。ここで、図14に示すように、一体型積層コイル片120a等は、薄板状導体(例えば、銅)を一定の間隔を空けて複数積層し、絶縁樹脂を用いて一体モールドしたものである。上記の固定子鉄心110の12個のスロット114内には、この一体型積層コイル片120a等がそれぞれ挿入される。また、一体型積層コイル片120a等の両端部には、接続端部122a1,122a2,…,122m2(以下、「接続端部122a1等」という)および接続端部124a1,124a2,…,124m2(以下、「接続端部124a1等」という)を備えている。なお、図13においては表現の便宜上、各々3つずつ(接続端部122a1,122a2,122m2と接続端部124a1,124a2,124m2)のみ符号を付している。
【0004】
接続環側薄板状接続コイル片130には、12個の接続コイル片130ab,130bc,…130km,130ma(以下、「接続コイル片130ab等」という)が構成され、それぞれ円環状に配置されている。なお、図13においては表現の便宜上、接続コイル片130maのみ示している。ここで、接続コイル片130ab等は薄板状導体(例えば、銅)を一定の間隔を空けて複数積層し、絶縁樹脂を用いて一体モールドしたものである。そして、図14に示すように、例えば、接続コイル片130maは、一体型積層コイル片120aの接続環側薄板状接続コイル片130の側に設けられた接続端部122a1と、一体型積層コイル片120mの接続環側薄板状接続コイル片130の側に設けられた接続端部122m2を接続する。
【0005】
他端側薄板状接続コイル片140には、12個の接続コイル片140ab,140bc,…140km,140ma(以下、「接続コイル片140ab等」という)が構成され、それぞれ円環状に配置されている。なお、図13においては表現の便宜上、接続コイル片140maのみ示している。ここで、接続コイル片140ab等は薄板状導体(例えば、銅)を一定の間隔を空けて複数積層し、絶縁樹脂を用いて一体モールドしたものである。そして、図14に示すように、例えば、接続コイル片140maは、一体型積層コイル片120aの他端側薄板状接続コイル片140の側に設けられた接続端部124a1と、一体型積層コイル片120mの他端側薄板状接続コイル片140の側に設けられた接続端部124m2を接続する。
【0006】
接続環150は、一体型積層コイル片120a等を接続するとともに、独立した複数の接続環片と中性片とから構成外部との導通をとっている。複数の接続環片と中性片は、それぞれ、複数枚の薄板状導体(例えば、銅)を隙間を空けて円環状に組み上げた上で、絶縁樹脂により一体モールドしたものである。
【0007】
このような回転電機のステータ構造101は、以下のように形成される。
まず、接続環側薄板状接続コイル片130内に配置される接続コイル片130maに、一体型積層コイル片120aの接続環側薄板状接続コイル片130の側に設けられた接続端部122a1が突き合わせられた後、溶接接続される。そして、一体型積層コイル片120aに隣り合う一体型積層コイル片120mの接続環側薄板状接続コイル片130の側に設けられた接続端部122m2も突き合わせられた後、溶接接続される。
同様に、他端側薄板状接続コイル片140内に配置される接続コイル片140maに、一体型積層コイル片120aの他端側薄板状接続コイル片140の側に設けられた接続端部124a1が突き合わせられた後、溶接接続される。そして、一体型積層コイル片120aに隣り合う一体型積層コイル片120mの他端側薄板状接続コイル片140の側に設けられた接続端部124m2も突き合わせられた後、溶接接続される。
以上のような接続を一体型積層コイル片120aから一体型積層コイル片120mまで順次行う。
すなわち、固定子鉄心110のそれぞれの歯部112に巻回された固定子コイルを形成するために、一体型積層コイル片120の両端部を、接続環側薄板状接続コイル片130及び他端側薄板状接続コイル片140により接続するとしている。
その後、接続環150を所定の位置に接続することにより回転電機のステータ構造101が形成される。
【0008】
次に、従来技術2として特許文献2について図15を用いて説明する。図15は特許文献2における回転電機のステータ構造201を示しており、図15(a)は外観図、図15(b)は断面図である。
図15に示すように従来技術2のステータ構造201は、主にシャフト202、電機子コア203、コイル分割体205、コイル分割体206で構成されている。そして、コイル分割体205、コイル分割体206は電機子コア203に形成される貫通孔204内に挿入され、各々端面同士で接合している。なお、コイル分割体205はコイル片205a、205bから構成され、コイル分割体206はコイル片206a、206bから構成される。
【0009】
このステータ構造201は以下のように組み立てられている。
まず、端面同士が接合するようにコイル分割体205の各コイル片205a、205bとコイル分割体206の各コイル片206a、206bを貫通孔204に挿入する。そして、これらの端面同士を以下のような方法で電気的に接合するとしている。
(1)コイル分割体205とコイル分割体206とを軸方向に押圧しながら両者に通電し端面同士を溶接する方法。
(2)コイル分割体205とコイル分割体206とを軸方向に押圧しながら両者に超音波を加えて接合する方法。
(3)コイル分割体205やコイル分割体206の溶融点より低い溶融点の金属材料を用いて、ろう付けにより接合する方法。
(4)コイル分割体205のコイル片205a、205bとコイル分割体206のコイル片206a、206bの端面同士に嵌合手段を設けて機械的に結合する方法。(例えば、コイル分割体205のコイル片205a、205bの端面に設けた凸部と、コイル分割体206のコイル片206a、206bの端面に設けた凹部とを、各々軸方向から押圧して嵌合する方法。)
【0010】
次に、従来技術3として特許文献3について図16および図17を用いて説明する。図16は、特許文献3における回転電機のステータ構造301の一部における外観図である。図17は、導体セグメント333の外観図である。
図16に示すように従来技術3のステータ構造301は、固定子鉄心332、導体セグメント333、インシュレータ334を有している。固定子鉄心332は、その内周面に多数のスロット335を形成するために薄い鋼板を重ね合わせて形成されている。導体セグメント333は複数の電気導体として固定子巻線を構成している。インシュレータ334は、固定子鉄心332と導体セグメント333との間を電気絶縁している。そして、固定子巻線のコイルエンド331は、この固定子鉄心332から露出している導体セグメント333によって形成されている。
【0011】
このステータ構造301は以下のように組み立てられている。
まず、図17に示すような略Uの字に形成される導体セグメント333を固定子鉄心332の各スロット335に挿入していく。そして、挿入後、導体セグメント333を屈曲させて任意の導体セグメント333の端部333a同士を溶接接合して結線するとしている。
【0012】
次に、従来技術4として特許文献4について図18を用いて説明する。図18は、特許文献4における回転電機のステータ構造401の一部における外観図である。
図18に示すように、ステータ構造401は、ステータ412、導体セグメント416、帯状スペーサ420を有している。ステータ412には、スロット414が形成されている。
そして、このステータ構造401は以下のように組み立てられている。
略U字型に形成される導体セグメント416を、スロット414内に周方向および径方向に亘って複数挿入する。そして、導体セグメント416をスロット414内に挿入したときに突出した部分について屈曲させて、任意の導体セグメント416の端部同士を溶接接合させる。このように形成した相コイルを位相角隔てて複数形成する。そして、導体セグメント416が互いに溶接接合された接合部418について、径方向に隣接する部分にはスペーサ420を嵌挿する。このスペーサ420は、樹脂などの絶縁性の高い材料にて形成され、径方向に隣接する接合部418同士が絶縁されるとしている。
【特許文献1】特開2001−178053(第0011−0019,0032,0037段落、第1図)
【特許文献2】特開平10−117455(第0013,0014段落、第1図)
【特許文献3】特開平11−341730(第0017,0029−0032段落、第6図)
【特許文献4】特開2003−219591(第0009,0010段落、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来技術には以下の問題点が存在する。
まず、従来技術1については、固定子鉄心110に形成されたスロット114より突出する接続端部122a1等および接続端部124a1等にて溶接接合している。すなわち、スロット114の外側に接合部分が存在している。そのため、スロット114より突出した接続端部122a1等および接続端部124a1等の高さ分、回転電機のステータ構造101の中心軸方向に大きくなってしまう。従って、回転電機のステータ構造101が大型化してしまうおそれがある。
また、接続端部122a1等および接続端部124a1等と、接続コイル片130ab等および接続コイル片140ab等との間で正確に溶接接合を行なうため、溶接作業のための十分な作業スペースを確保することが必要になる。
また、従来技術1については、隣り合うスロット114内に挿入される一体型積層コイル片120a等の接続端部122a1等および接続端部124a1等同士でコイルを構成する、いわゆる集中巻きというコイルの巻き方を構成することを想定したものである。そのため、構成上、離れたスロット114内に挿入される一体型積層コイル片120a等の接続端部122a1等および接続端部124a1等同士でコイルを構成する、いわゆる分布巻きというコイルの巻き方をすることはできない。
【0014】
次に、従来技術2については、押圧しながら溶接する方法、超音波を加えて接合する方法、ろう付けにより接合する方法など、接合を行うためには別途溶接機、超音波機、ろう付け機などが必要となり、ステータ構造201の組み立て工程が複雑になってしまい、また材料のコストが大きくなってしまう。
また、嵌合手段を設けて機械的に結合する方法に関しては、嵌合部分に引張力が作用する場合に、その力に十分耐えることができないおそれがある。
【0015】
次に、従来技術3ついては導体セグメント333の端部333a同士を、また、従来技術4ついては導体セグメント416の端部同士を溶接接合するが、一般に当該溶接手法としてはTIG溶接がなされるものと考えられる。ここで、TIG溶接するためには溶接アースを取る必要があり、溶接部をクランプするための形状(導体セグメント333においてはクランプ形状333b、導体セグメント416においては接合部418にて示すもの)が必要になる。そのため、導体セグメント333の端部333aや導体セグメント416の端部を含めたコイルエンド部分が大きくなり、回転電機のステータ構造301または401の中心軸方向に大きくなってしまう。従って、回転電機のステータ構造301または401が大型化してしまうおそれがある。
また、導体セグメント(333,416)の端部で溶接できるような形状にするためにコイル端部捻り工程が別途必要になる。さらに、導体セグメント(333,416)として絶縁皮膜付きコイルを使用する場合には皮膜除去工程が別途必要になる。そのため、ステータ構造301またはステータ構造401の組み立て工程が複雑になってしまい、また材料のコストが大きくなってしまう。
また、溶接接合を行なうことによって、コイル端部で溶接する際の熱により絶縁皮膜にダメージを与えることになり品質確保が困難な構造となっている。
【0016】
そこで本発明は以上のような課題を解消するためになされたものであり、ステータ構造の小型化が図れ、ステータ構造の組み立て工程が簡易になり、外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、コイルの品質確保が図れるステータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有する。
(1)スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造において、導体表面からなる直線部導体セグメントと、直線部導体セグメントが挿入される挿入孔が形成されスロットに挿入される絶縁インシュレータと、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを接着する導電性接着剤とを有することを特徴とする。
【0018】
(2)(1)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面は、接着時に導電性接着剤が挿入孔から溢れ出ない挿入孔内の位置で接着されることを特徴とする。
【0019】
(3)(1)または(2)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面には面取りが形成されており、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを導電性接着剤により接着するときに、直線部導体セグメントと挿入孔の隙間およびコイルエンド部導体セグメントと挿入孔の隙間に導電性接着剤を流れ込ませて挿入孔の内周面における接着面積を拡大し、かつ直線部導体セグメントとコイルエンド部導体セグメントとの間における導電性接着剤の投入容積を拡大することを特徴とする。
【0020】
(4)(1)から(3)に記載するいずれか一つのステータ構造において、コイルエンド部導体セグメントは、ステータコア部に組み付けられるステータエンド部に一体化されるものであることを特徴とする。
【0021】
(5)スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータをスロットに挿入する工程と、絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、直線部導体セグメントの端面に導電性接着剤を塗布する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部をステータコア部に取り付ける工程とを有することを特徴とする。
【0022】
(6)スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータをスロットに挿入する工程と、絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部をステータコア部に取り付ける工程と、ステータエンド部を加圧することにより直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面を拡散接合する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このような特徴を有する本発明は、以下のような作用・効果を有する。
(1)本発明は、スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造において、導体表面からなる直線部導体セグメントと、直線部導体セグメントが挿入される挿入孔が形成されスロットに挿入される絶縁インシュレータと、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを接着する導電性接着剤とを有するので、コイルエンド部分の高さを小さくすることによってステータ構造の小型化が図れ、ステータコア部とステータエンド部を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になり、導電性接着剤により直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを確実に接着して外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、溶接作業は不要であり直線部導体セグメントやコイルエンド部導体セグメントを高温にさらすことがなくコイルの品質確保が図れる。
【0024】
(2)(1)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面は、接着時に導電性接着剤が挿入孔から溢れ出ない挿入孔内の位置で接着されるので、(1)に記載する効果に加えて、必要な絶縁性を確保することができる。
【0025】
(3)(1)または(2)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面には面取りが形成されており、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを導電性接着剤により接着するときに、直線部導体セグメントと挿入孔の隙間およびコイルエンド部導体セグメントと挿入孔の隙間に導電性接着剤を流れ込ませて挿入孔の内周面における接着面積を拡大し、かつ直線部導体セグメントとコイルエンド部導体セグメントとの間における導電性接着剤の投入容積を拡大するので、(1)または(2)に記載する効果に加えて、導電性接着剤の接着面積の拡大により接着力が増大し、かつ直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面との間における接着部の断面積の拡大により直線部導体セグメントとコイルエンド部導体セグメントの間に作用する引張応力が分散することとなり、大きな引張力に対しても十分に耐久性を有する接着状態を実現することができる。
【0026】
(4)(1)から(3)に記載するステータ構造において、コイルエンド部導体セグメントは、ステータコア部に組み付けられるステータエンド部に一体化されるものであるので、(1)から(3)に記載する効果に加えて、ステータコア部とステータエンド部を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になる。
【0027】
(5)スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータをスロットに挿入する工程と、絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、直線部導体セグメントの端面に導電性接着剤を塗布する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部をステータコア部に取り付ける工程とを有するので、コイルエンド部分の高さを小さくすることによってステータ構造の小型化が図れ、ステータコア部とステータエンド部を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になり、導電性接着剤により直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面とを確実に接着して外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、溶接作業は不要であり直線部導体セグメントやコイルエンド部導体セグメントを高温にさらすことがなくコイルの品質確保が図れる。
【0028】
(6)スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータをスロットに挿入する工程と、絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部をステータコア部に取り付ける工程と、ステータエンド部を加圧することにより直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面を拡散接合する工程とを有するので、接合材の原子の拡散を利用して接合するという拡散接合の性質から、より強い接合力を発揮して外部からの力に耐え得る丈夫なコイルからなるステータ構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0030】
実施例1のステータ構造1について説明する。
まず、図1から図5をもとにステータ構造1の構造について説明する。
ここで、図1はステータ構造1の構成を示す外観図を、図2はステータ構造1を構成する部品についての分解図を示しており、図2(a)は全体の外観図を示し、図2(b)はステータエンド部12から突出したコイルエンド部導体セグメント33の概要図(図2(a)の点線で囲まれた部分)を示している。図3はステータコア部11の外観図を、図4はステータエンド部12の外観図(一部は透視図)とコイルエンド部導体セグメント33の外観図を、図5はステータ構造1におけるコイルの外観図を示しており、図5(a)はコイルが3分割される様子を示し、図5(b)はコイルの分割部分(図5(a)の点線で囲まれた部分)の詳細を示している。
【0031】
図1や図2に示すようにステータ構造1は、その外観がステータコア部11の両面にステータエンド部12が配置されるように構成されている。図3に示すようにステータコア部11は、円周にわたって放射状に形成された「スロット(21)」と呼ばれる溝を複数備えている。なお、実施例1ではその一例として48個のスロット21を備えることとしている。そして、後で述べるように、この各スロット21内には絶縁インシュレータ31が挿入されることになる。
また、図5(a)に示すように、ステータ構造1におけるコイルは3分割されている。一つは直線形状の直線部導体セグメント32であり、残り2つは略Uの字型や略Vの字型など両端面が同じ方向に向いた形状のコイルエンド部導体セグメント33である。そして、図5(b)に示すように、この直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33は、導電性接着剤34にて接着されている。
なお、図4(a)や図4(b)に示すように、コイルエンド部導体セグメント33は円周状に配線された状態で、プレス成形などによりステータエンド部12と成形・樹脂モールドして一体化されている。
【0032】
次に、図6から図11をもとにステータ構造1の組み立て方法について説明する。
ここで、図6は図3に示すステータコア部12の一部分においてスロット21に絶縁インシュレータ31を挿入する様子を示す図を、図7は絶縁インシュレータ31の外観図を、図8は絶縁インシュレータ31の挿入孔41に直線部導体セグメント32を挿入する様子を示す図を、図9は絶縁インシュレータ31の挿入孔41内において、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面の接着する位置と導電性接着剤34による接着状況を示す図を、図10は接着部厚みと接合抵抗の値の関係を示す実験値のグラフ図を、図11は接着部厚みと引張強度の値の関係を示す実験値のグラフ図を示している。
【0033】
まず、図6に示すように、ステータコア部11に形成されるスロット21に絶縁インシュレータ31を挿入する。図7に示すように、絶縁インシュレータ31はツバ31aが形成されており、このツバ31aの部分がスロット21の両脇の部分に引っ掛かるので、絶縁インシュレータ31はスロット21内に保持される。
【0034】
次に、図8に示すように、絶縁インシュレータ31に形成される挿入孔41内に直線部導体セグメント32を挿入する。挿入孔41は、絶縁インシュレータ31の1つ当たりに複数個形成され、本実施例では12個形成されている。この挿入孔41によって直線部導体セグメント32は径方向に位置決めがなされる。一方、挿入孔41内における軸方向については、後で説明するようにコイルエンド部導体セグメント33によって押圧することにより位置決めがなされる。なお、挿入孔41の内径は直線部導体セグメント32が圧入されるような大きさに設定されており、直線部導体セグメント32は挿入孔41内で保持される。
また、直線部導体セグメント32の断面の形状は四角形や円形など様々な形状にできるが、本実施例では、限られたスロット21内で最大限の断面積を確保できるように、四角形に形成されている。
また、直線部導体セグメント32の端面には面取りを施しており、挿入孔41内に挿入しやすい工夫がなされている。
さらに、絶縁インシュレータ31により直線部導体セグメント32同士の絶縁が図れるので、直線部導体セグメント32として絶縁皮膜を持たない導体表面からなるものを使用することができる。
【0035】
次に、直線部導体セグメント32の両端面に導電性接着剤34を塗布する。この導電性接着剤34としては、例えば銀ペーストで銀の重量含有率が80%のものを使用する。
次に、ステータコア部11の両面にステータエンド部12を組み付ける。ここで、図4(a)に示すように、ステータエンド部12にはコイルエンド部導体セグメント33が円周状に配線された状態でモールドされ一体化されている。そして、コイルエンド部導体セグメント33の両端面をステータエンド部12から所定量突出させている。これにより、ステータコア部11の両面にステータエンド部12を組み付けることにより、コイルエンド部導体セグメント33の両端面が絶縁インシュレータ31に形成された挿入孔41内に挿入され、直線部導体セグメント32の端面に塗布された導電性接着剤34を押圧することになる。さらに、この状態で所定の温度のもと所定時間加熱することにより導電性接着剤34が硬化して、コイルエンド部導体セグメント33の端面と直線部導体セグメント32の端面とが接着する。なお、具体的な接着条件として、直線部導体セグメント32およびコイルエンド部導体セグメント33の断面積が6mmの場合、導電性接着剤34の塗布量を約16mg、加圧力を8.5g/mmとし、150℃の温度のもと30分間加熱する。ここで、絶縁インシュレータ31の材質はPPS樹脂であり、融点が約280℃であるため、上記接着条件下でも問題が生じることはない。
以上より、ステータ構造1が組み立てられる。
なお、図9に示すように、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面との接着は、導電性接着剤34が挿入孔41から溢れ出ない位置(図9において挿入孔41の入口から深さdの位置)で行なう。そのため、直線部導体セグメント32同士やコイルエンド部導体セグメント33同士の間で必要な絶縁性を確保することができる。
【0036】
ここで、コイルエンド部導体セグメント33の端面と直線部導体セグメント32の端面には面取りが形成されていることから、塗布された導電性接着剤34の一部はこの面取り部分を伝って直線部導体セグメント32と挿入孔41の隙間、およびコイルエンド部導体セグメント33と挿入孔41の隙間に流れ込む。そのため、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面の端面同士が接着するのみならず、図9に示すように、直線部導体セグメント32の側面と挿入孔41の内周面の部分、およびコイルエンド部導体セグメント33の側面と挿入孔41の内周面の部分においても接着する。従って、直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33と挿入孔41との間で、接着部分の面積が広くとれ接着力が大きくなる。また、導電性接着剤34の部分の断面積が大きくとれ、直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33との間に生じる引張り力が分散され、引張応力が小さくなる。従って、直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33との間の接着状態を維持して、外部からの力にも耐え得る丈夫なコイルを有するステータ構造1を実現することができる。
なお、前記したように実際には挿入孔41の内径は直線部導体セグメント32が圧入されるような大きさに設定されているが、図9は説明の便宜上、直線部導体セグメント32と挿入孔41の隙間、およびコイルエンド部導体セグメント33と挿入孔41の隙間を極端に大きくして示している。
【0037】
また、このようなステータ構造1によれば、コイルエンド部導体セグメント33の両端面を任意の間隔に形成してステータエンド部12と成形・樹脂モールドして一体化することにより、任意の直線部導体セグメント32同士を導通させて、任意のインダクタンスが発生する分布巻きコイルを実現することができる。
さらに、従来技術のようにセグメントの捻りや巻き線工程、およびセグメントの皮膜除去工程が不要であり、簡単にステータ構造1の組み立てを行うことができ、組み立て工程を簡素化することができる。
【0038】
なお、接着後の直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面との間における導電性接着剤34の厚み(以下、接着部厚みという)は、接着部分に生じる接合抵抗の値や接着部分の引張強度に影響を与える。
すなわち、一般的に導体の抵抗値は長さに比例し断面積に反比例することから、接着部分に生じる接合抵抗の値は、接着部厚みが小さいほど小さくなるものと考えられる。
一方、本発明において接着部分の引張強度は、直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33の端面と導電性接着剤34との間の引張強度、すなわちその間の接着力で定まる。なぜならば、直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33自身、および硬化後の導電性接着剤34自身は各々材質が銅からなるものであり、その引張強度は直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33の端面と導電性接着剤34との間の引張強度(接着力)よりも十分に大きいと考えられるからである。従って、接着部分の引張強度は、導電性接着剤34自身の特性により影響されるものと考えられ、導電性接着剤34自身の特性として最も接着力が発揮される接着部厚みの値に近づくほど大きくなるものと考える。
【0039】
そこで、本出願にかかる発明者はこれらの影響について実験により検証を行ない、図10と図11に示すような結果を得た。図10は、接着部厚みと接合抵抗の値の関係を示す実験値データの1次近似線を示し、図11は、接着部厚みと引張強度の値の関係を示す実験値データの1次近似線を示している。この実験結果より明らかなように、接着部厚みが小さいほど接合抵抗の値は小さくなり、引張強度は大きくなることが分かる。そのため、本発明においても接着部厚みを0.01mm以下とすることを推奨したいが、この接着部厚みを規定するコイルエンド部12や直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33などの各部品の製作上の寸法精度を考慮すると、接着部厚みを0.01mm以下とすることは製作上困難であると考えられる。そこで、本発明では製作上可能な範囲内で最も引張強度が大きくなる接着部厚みの値として、0.1mm以下を推奨値とする。
【0040】
なお、コイルエンド部12を製作は、コイルエンド部導体セグメント33の端面を成形型にて所定位置に固定し、その状態で樹脂を成形型に流し込むことにより行なう。そのため、成形型にてコイルエンド部12の端面からのコイルエンド部導体セグメント33の突出量を管理することが可能である。従って、この突出量を管理することにより、接着部厚みを0.1mm以下に管理することは可能である。
また、図11において、接着部厚みが0mmの場合とは直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面との間に導電性接着剤が無い状態であり、この場合には当然のことながら引張強度は0kg/mmとなるので、接着部厚みが0mmの場合は実験値として示していない。
【0041】
以上のような実施例1により、以下の効果が得られる。
(1)本発明は、スロット21が形成されるステータコア部11を有するステータ構造において、導体表面からなる直線部導体セグメント32と、直線部導体セグメント32が挿入される挿入孔41が形成されスロット21に挿入される絶縁インシュレータ31と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメント33と、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを接着する導電性接着剤34とを有するので、コイルエンド部分の高さを小さくすることによってステータ構造の小型化が図れ、ステータコア部11とステータエンド部12を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になり、導電性接着剤34により直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを確実に接着して外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、溶接作業は不要であり直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33を高温にさらすことがなくコイルの品質確保が図れる。
【0042】
(2)(1)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面は、接着時に導電性接着剤34が挿入孔41から溢れ出ない挿入孔41内の位置で接着されるので、(1)に記載する効果に加えて、必要な絶縁性を確保することができる。
【0043】
(3)(1)または(2)に記載するステータ構造において、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面には面取りが形成されており、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを導電性接着剤34により接着するときに、直線部導体セグメント32と挿入孔41の隙間およびコイルエンド部導体セグメント33と挿入孔41の隙間に導電性接着剤34を流れ込ませて挿入孔41の内周面における接着面積を拡大し、かつ直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33との間における導電性接着剤34の投入容積を拡大するので、(1)または(2)に記載する効果に加えて、導電性接着剤34の接着面積の拡大により接着力が増大し、かつ直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面との間における接着部の断面積の拡大により直線部導体セグメント32とコイルエンド部導体セグメント33の間に作用する引張応力が分散することとなり、大きな引張力に対しても十分に耐久性を有する接着状態を実現することができる。
【0044】
(4)(1)から(3)に記載するステータ構造において、コイルエンド部導体セグメント33は、ステータコア部11に組み付けられるステータエンド部12に一体化されるものであるので、(1)から(3)に記載する効果に加えて、ステータコア部11とステータエンド部12を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になる。
【0045】
(5)スロット21が形成されるステータコア部11を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータ31をスロット21に挿入する工程と、絶縁インシュレータ31に形成される挿入孔41に導体表面からなる直線部導体セグメント32を挿入する工程と、直線部導体セグメント32の端面に導電性接着剤34を塗布する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメント33と一体化しているステータエンド部12をステータコア部11に取り付ける工程とを有するので、コイルエンド部分の高さを小さくすることによってステータ構造の小型化が図れ、ステータコア部11とステータエンド部12を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になり、導電性接着剤34により直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを確実に接着して外部からの力にも耐え得る丈夫なコイル構造を持ち、溶接作業は不要であり直線部導体セグメント32やコイルエンド部導体セグメント33を高温にさらすことがなくコイルの品質確保が図れる。
【実施例2】
【0046】
次に、実施例2のステータ構造2について図12をもとに説明する。図12は、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面における拡散接合の概要図を示す。
実施例2は拡散接合により直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面とを接合する点が、実施例1と異なるだけである。従って、その他の説明は省略する。
ここで拡散接合とは、接合材を加熱・加圧し原子の拡散を利用して接合する技術である。
本発明においては図12に示すように、直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面に予め金メッキ35を施しておき、両端面を付き合わした後、所定の圧力で所定時間加圧することにより拡散の現象を発生させて接合させるものである。
【0047】
以上のような実施例2により、以下の効果が得られる。
【0048】
(1)本発明では、コイルエンド部導体セグメント33は、ステータコア部11に組み付けられるステータエンド部12に一体化されるものであるので、実施例1における効果に加えて、ステータコア部とステータエンド部を組み付けるだけでステータ構造を完成できることからステータ構造の組み立て工程が簡易になる。
【0049】
(2)スロット21が形成されるステータコア部11を有するステータ構造の製造方法において、絶縁インシュレータ31をスロット21に挿入する工程と、絶縁インシュレータ31に形成される挿入孔41に導体表面からなる直線部導体セグメント32を挿入する工程と、同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメント33と一体化しているステータエンド部12をステータコア部11に取り付ける工程と、ステータエンド部12を加圧することにより直線部導体セグメント32の端面とコイルエンド部導体セグメント33の端面を拡散接合する工程とを有するので、接合材の原子の拡散を利用して接合するという拡散接合の性質から、より強い接合力を発揮して外部からの力に耐え得る丈夫なコイルからなるステータ構造を実現することができる。
【0050】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様
々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1および実施例2にかかるステータ構造の構成を示す外観図である。
【図2】本発明の実施例1および実施例2にかかるステータ構造を構成する部品についての分解図である。
【図3】本発明の実施例1および実施例2にかかるステータコア部の外観図である。
【図4】本発明の実施例1および実施例2にかかるステータエンド部の外観図(一部は透視図)とコイルエンド部導体セグメントの外観図である。
【図5】本発明のステータ構造におけるコイルの外観図を示しており、(a)はコイルが3分割される様子を示し、(b)はコイルの分割部分((a)に示す点線で囲まれた部分)の詳細を示している。
【図6】図3に示すステータコア部の一部分において、スロットに絶縁インシュレータを挿入する様子を示す図である。
【図7】絶縁インシュレータの外観図である。
【図8】絶縁インシュレータの挿入孔に直線部導体セグメントを挿入する様子を示す図である。
【図9】絶縁インシュレータの挿入孔内において、直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面の接合する位置と導電性接着剤による接着状況を示す図である。
【図10】接着部厚みと接合抵抗の値の関係を示す実験値のグラフ図である。
【図11】接着部厚みと引張強度の値の関係を示す実験値のグラフ図である。
【図12】直線部導体セグメントの端面とコイルエンド部導体セグメントの端面における拡散接合の概要図である。
【図13】特許文献1の回転電機のステータ構造の分解図である。
【図14】特許文献1の一体型積層コイル片間の接続概要図である。
【図15】特許文献2の回転電機のステータ構造を示しており、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図16】特許文献3の回転電機のステータ構造の一部における外観図である。
【図17】特許文献3の導体セグメントの外観図である。
【図18】特許文献4の回転電機のステータ構造の一部における外観図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ステータ構造
11 ステータコア部
12 ステータエンド部
21 スロット
31 絶縁インシュレータ
31a ツバ
32 直線部導体セグメント
33 コイルエンド部導体セグメント
34 導電性接着剤
35 金メッキ
41 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造において、
導体表面からなる直線部導体セグメントと、
前記直線部導体セグメントが挿入される挿入孔が形成され前記スロットに挿入される絶縁インシュレータと、
同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと、
前記直線部導体セグメントの端面と前記コイルエンド部導体セグメントの端面とを接着する導電性接着剤と、
を有することを特徴とするステータ構造。
【請求項2】
請求項1に記載するステータ構造において、
前記直線部導体セグメントの端面と前記コイルエンド部導体セグメントの端面は、接着時に前記導電性接着剤が前記挿入孔から溢れ出ない前記挿入孔内の位置で接着されることを特徴とするステータ構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するステータ構造において、
前記直線部導体セグメントの端面と前記コイルエンド部導体セグメントの端面には面取りが形成されており、前記直線部導体セグメントの端面と前記コイルエンド部導体セグメントの端面とを前記導電性接着剤により接着するときに、前記直線部導体セグメントと前記挿入孔の隙間および前記コイルエンド部導体セグメントと前記挿入孔の隙間に前記導電性接着剤を流れ込ませて前記挿入孔の内周面における接着面積を拡大し、かつ前記直線部導体セグメントと前記コイルエンド部導体セグメントとの間における前記導電性接着剤の投入容積を拡大することを特徴とするステータ構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載するいずれか一つのステータ構造において、
前記コイルエンド部導体セグメントは、前記ステータコア部に組み付けられるステータエンド部に一体化されるものであることを特徴とするステータ構造。
【請求項5】
スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、
絶縁インシュレータを前記スロットに挿入する工程と、
前記絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、
前記直線部導体セグメントの端面に導電性接着剤を塗布する工程と、
同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部を前記ステータコア部に取り付ける工程と、
を有することを特徴とするステータ構造の製造方法。
【請求項6】
スロットが形成されるステータコア部を有するステータ構造の製造方法において、
絶縁インシュレータを前記スロットに挿入する工程と、
前記絶縁インシュレータに形成される挿入孔に導体表面からなる直線部導体セグメントを挿入する工程と、
同方向の向きに両端面が形成されるコイルエンド部導体セグメントと一体化しているステータエンド部を前記ステータコア部に取り付ける工程と、
前記ステータエンド部を加圧することにより前記直線部導体セグメントの端面と前記コイルエンド部導体セグメントの端面を拡散接合する工程と、
を有することを特徴とするステータ構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−141076(P2006−141076A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325787(P2004−325787)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】