ステータ
【課題】冷却媒体を絶縁インシュレータの隙間から流れるようにし、冷却効率を向上すること。
【解決手段】
複数のスロットTS1〜TS48を放射線状に備えるステータコア20と、スロットTS1〜TS48にステータコア20の径方向に複数個備えられる一対の直線部15dと連結部15cによりU字形状に構成されたセグメントコイル15と、直線部15dの端部Mに個別絶縁インシュレータ5を個別に挿入することにより、ステータの径方向に対して冷却媒体を流すことができる。
【解決手段】
複数のスロットTS1〜TS48を放射線状に備えるステータコア20と、スロットTS1〜TS48にステータコア20の径方向に複数個備えられる一対の直線部15dと連結部15cによりU字形状に構成されたセグメントコイル15と、直線部15dの端部Mに個別絶縁インシュレータ5を個別に挿入することにより、ステータの径方向に対して冷却媒体を流すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、スロットにステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の技術として、図17乃至図19に示すステータがある。図17乃至図19に示すステータは、本来円周形状のものであるが、セグメントコイルとの関係が理解し易いようにセグメントコイルを平面上に並べることにより表した概念図とする。
図17に示すようにステータ100に対して径方向に一列に配列された複数のセグメントコイル101が挿入されている。セグメントコイル101は、直線部101aと連結部101bを有し、直線部101aにはセグメント端部101cが形成されている。図18に示すように複数のセグメントコイル101のセグメント端部101cの間に絶縁インシュレータ102を挿入する。図19に示すように、絶縁インシュレータ102を挿入後、セグメントコイル101のセグメント端部101cを把持して捻り、セグメント端部101c同士を接合し環状に配列することによりステータ100を形成する。
【0003】
図19に示すステータ100にあっては、絶縁インシュレータ102が挿入されていることにより、セグメント端部101c同士の間に隙間が形成され接触することがない。そのため、良好な絶縁性を確保することができる。
【0004】
特許文献1及び特許文献2にも同様にステータに絶縁インシュレータが挿入されたものが掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186872号
【特許文献2】特開2005−124388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、本ステータコアはハイブリッドモータに使用するものであるが、ハイブリッドモータを使用しステータコアに通電するとコイルは発熱し大きな熱を持つ。特にハイブリッドモータは高出力を必要とするため、高熱になりやすい。モータが高熱になると電気抵抗が上がりモータの出力効率が低下、又は、セグメントコイルに施してあるワニスや絶縁インシュレータの熱劣化を促進させ絶縁抵抗が下がって故障の原因となる。
そのため、図20に示す状態においてステータ200に直接冷却媒体を掛け、ステータコア100のセグメントコイルの熱を下げることが必要となる。
【0007】
しかし、図20の点線Yの一部拡大図である図21に示すように、絶縁インシュレータ102は、円筒状の形状で周方向にステータコア100に配置されている。図21に示すように冷却媒体を流した場合、冷却媒体は4層部のうち最外周にある絶縁インシュレータ102Aに当たりそのまま周方向に流れる。そのため、4層部のセグメントコイルであるセグメントコイル101Aに対しては直接冷却媒体を流し冷却することができる。他方、1層から3層までの内部のセグメントコイルであるセグメントコイル101B〜101D等は、絶縁インシュレータ102A〜102C等により隔離された状態となるため、直接冷却媒体が流れ冷却することが難しい。そのため、1層から3層までの内部のセグメントコイル101B〜101D等の冷却効果が低下するため問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は冷却媒体を絶縁インシュレータの隙間から流れるようにし、冷却効率が向上したステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様におけるステータは、以下の構成を有する。
(1)複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、前記スロットに前記ステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、前記直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータにおいて、前記端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていること、を特徴とする。
ここで端部とは、セグメントコイルの直線部のうちステータコアから突出している部分のことをいう。
【0010】
(2)(1)に記載するステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータに、前記セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、前記2か所の切込孔は平行の位置に位置すること、が好ましい。
【0011】
(3)(2)に記載するステータにおいて、前記切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていること、が好ましい。
【0012】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか一つのステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていること、が好ましい。
【0013】
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか一つのステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記ステータの作用及び効果について説明する。
(1)セグメントコイルの直線部の端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていることにより、個別絶縁インシュレータ同士の隙間から冷却媒体を流すことができる。そのため、ステータの径方向に対して冷却媒体を流すことができる。冷却媒体が径方向であるステータの中心部にまで浸透することにより、ステータ全体の冷却効率を向上させることができる。
また、個別絶縁インシュレータをセグメントコイルの直線部の端部に個別に挿入することにより、絶縁性が必要な部分に対して直接個別絶縁インシュレータを位置させることができ、確実に絶縁することができる。さらに、個別絶縁インシュレータとすることにより、個別絶縁インシュレータの間には隙間ができ、冷却媒体が流れることができる。
また、個別絶縁インシュレータを用いることにより、絶縁の必要な部分についてのみ用意すればよいため余分な絶縁インシュレータを排除することができる。そのため、材料費を低減することができる。
また、セグメントコイル毎に個別絶縁インシュレータが挿入されているため、絶縁インシュレータの位置ずれを防止することができ、確実にセグメントコイル同士の絶縁を図ることができる。
【0015】
(2)(1)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータに、セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、2か所の切込孔は平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータを容易にセグメントコイルの端部に挿入し固定することができる。
また、1か所の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入し、さらに他方の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入することで、個別絶縁インシュレータをセグメントコイルの固定することができる。特に、セグメントコイルは断面平角形状であるため、2か所の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入することにより個別絶縁インシュレータは回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータが固定されることにより、セグメントコイル同士の距離を確実に取ることができるため確実に絶縁することができる。
【0016】
(3)(2)に記載する作用効果のほか、切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていることにより、切込孔が破れるのを防止することができる。切込孔は、セグメントコイルに対して元の位置に戻ろうとする反発力を有する。そして、反発力により個別絶縁インシュレータはセグメントコイルに固定される。そのため、切込孔が破れると切込孔による反発力が失われ固定力が発揮できなくなる。したがって、切込孔が破れるのを防止することができることにより、個別絶縁インシュレータを変わらずセグメントコイルに固定することができる。
【0017】
(4)(1)乃至(3)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていることにより、絶縁インシュレータを冷却媒体が流れることができる。個別絶縁インシュレータを冷却媒体が流れることができることにより、冷却媒体がステータの径方向に流れることができる。そのため、冷却媒体がステータの中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ全体の冷却効率を向上させることができる。
【0018】
(5)(1)乃至(4)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていることにより、個別絶縁インシュレータがセグメントコイルを捻った場合の捻り曲面の形状と合致する。それにより、個別絶縁インシュレータがセグメントコイルからはみ出す面積が小さくなるため、個別絶縁インシュレータが他のセグメントコイル及び他の個別絶縁インシュレータの邪魔をすることがない。
また、個別絶縁インシュレータが必要な部分のみとなるため材料費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るステータの製造過程(1)の概念図である。
【図2】本発明に係るステータの製造過程(2)の概念図である。
【図3】本発明に係るステータの製造過程(3)の概念図である。
【図4】本発明に係るステータの概念図である。
【図5】本発明に係る図4に示すステータの点線Xに係る一部拡大概念図である。
【図6】本発明に係る個別絶縁インシュレータの正面図である。
【図7】本発明に係るセグメントコイルの端部に個別絶縁インシュレータを挿入した状態の正面図である。
【図8】本発明に係る図3に示すステータの一部拡大概念図である。
【図9】本発明に係る個別絶縁インシュレータの挿入孔の変形例を示した図である。
【図10】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(1)の正面図である。
【図11】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(2)の正面図である。
【図12】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(3)の正面図である。
【図13】本発明に係るセグメントコイルの概念図である。
【図14】本発明に係る各スロット内に10本のスロット内導線S1〜S10が配置されているステータコアの一部概念断面図である。
【図15】本発明に係るU相第1コイルU1のセグメントコイルの配置及び接続を示す図である。
【図16】本発明に係るU相第2コイルU2のセグメントコイルの配置及び接続を示す図である。
【図17】従来技術に係るステータの製造過程(1)の概念図である。
【図18】従来技術に係るステータの製造過程(2)の概念図である。
【図19】従来技術に係るステータの製造過程(3)の概念図である。
【図20】従来技術に係るステータの概念図である。
【図21】従来技術に係る図20に示すステータの点線Yに係る一部拡大概念図である。
【図22】本発明に係るステータ全体を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係るステータの一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
<モータの構成>
本発明のモータは、ステータ1、固定子、及び、ハウジング等により形成される。本実施形態におけるモータは、以下で詳細に説明するステータ1の構造以外従来技術と異なるところがないため説明を割愛する。なお、本発明のモータは、従来技術のモータが有する作用効果と同様の作用効果を有する。
【0022】
<ステータの構成>
図4にステータ1の概念断面図を示す。図14にステータ1の各スロット内に10本のスロット内導線S1〜S10が配置されているステータコアの一部概念断面図を示す。
図4に示すように、ステータ1は、ステータコア20等により構成されている。本実施例のステータコア20は、48個のティースT1〜T48と、48箇所のスロットTS1〜TS48を備えている。また、図14に示すように、各スロットTS1〜TS48内には、10本のスロット内導線S1〜S10が装着されている。本文においてスロット内導線というときは、セグメントコイルをステータコア内に挿入したものをスロット内導線という。そのため、セグメントコイルとスロット内導線は同一の物品である。
【0023】
図14に示すように、ティースT21とティースT22の間のスロットTS22に、U相第1コイルU1の第1セグメント群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線U1A1S1〜U1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT22とティースT23の間のスロットTS23に、U相第2コイルU2の第1セグメント群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線U2A1S1〜U2A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。
ティースT23とティースT24の間のスロットTS24に、V相第1コイルV1の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線V1A1S1〜V1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT24とティースT25の間のスロットTS25に、V相第2コイルV2の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線V2A1S1〜V2A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。
【0024】
ティースT25とティースT26の間のスロットTS26に、W相第1コイルW1の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線W1A1S1〜W1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT26とティースT27の間のスロットTS27に、W相第2コイルW2の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線W2A1S1〜W2A1S10が外周側から内周側に重ねて配置されている。
ティースT27とティースT28の間のスロットTS28は、U相第1コイルU1の第1セグメントコイル群Aの他方の10本の直線部A2を構成するスロット内導線U1A2S1〜U1A2S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。10本のセグメントコイル9により各々、U相第1コイルU1、U相第2コイルU2、V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2が構成されている。
【0025】
そして、U相第1コイルU1、U相第2コイルU2、V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2の6個のコイルは、各々4個のセグメントコイル群A、B、C、Dより構成されている。
U相第1コイルU1のセグメントコイルの配置を図15に示し、U相第2コイルU2のセグメントコイルの配置を図16に示す。V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2の配置も、図15、図16に準じている。
図15に示すように、48スロットには、U相第1コイルU1として、セグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dが、スロットTS22(U1A1)、TS28(U1A2)、TS34(U1B1)、TS40(U1B2)、TS46(U1C1)、TS4(U1C2)、TS10(U1D1)、及びTS16(U1D2)の8箇所に挿入されている。
また、図16に示すように、U相第2コイルとして、セグメントコイル群U2A、U2B、U2C、U2Dが、スロットTS23(U2A1)、TS29(U2A2)、TS35(U2B1)、TS41(U2B2)、TS47(U2C1)、TS5(U2C2)、TS11(U2D1)、及びTS17(U2D2)の8箇所に挿入されている。
【0026】
同様に、V相第1コイルV1として、セグメントコイル群V1A、V1B、V1C、V1Dが、スロットTS24(V1A1)、TS30(V1A2)、TS36(V1B1)、TS42(V1B2)、TS48(V1C1)、TS6(V1C2)、TS12(V1D1)、TS18(V1D2)の8箇所に挿入されている。
また、V相第2コイルとして、セグメントコイル群V2A、V2B、V2C、V2Dが、スロットTS25(V2A1)、TS31(V2A2)、TS37(V2B1)、TS43(V2B2)、TS1(V2C1)、TS7(V2C2)、TS13(V2D1)、及びTS19(V2D2)の8箇所に挿入されている。
【0027】
同様に、W相第1コイルW1として、セグメントコイル群W1A、W1B、W1C、W1Dが、スロット26(W1A1)、TS32(W1A2)、TS38(W1B1)、TS44(W1B2)、TS2(W1C1)、TS8(W1C2)、TS14(W1D1)、及びTS20(W1D2)の8箇所に挿入されている。
また、W相第2コイルとして、セグメントコイル群W2A、W2B、W2C、W2Dが、スロットTS27(W2A1)、TS33(W2A2)、TS39(W2B1)、TS45(W2B2)、TS3(W2C1)、TS9(W2C2)、TS15(W2D1)、及びTS21(W2D2)の8箇所に挿入されている。
6個のコイルが、一対10本、計20本の直線部を備えるため、その4倍で、合計480本の直線部となり、48個のスロットTS1〜TS48に対して、10本ずつ配置される。
【0028】
ここで、U相の分布巻きコイルを形成するためには、U相第1コイルのセグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dの各々の内部で、内部接続すると共に、U相第1コイルU1の4個のセグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dを、順次接続する必要がある。同様に、U相第2コイルのセグメント群U2A、U2B、U2C、U2Dを、順次接続する必要がある。
さらに、U相第1コイルU1DとU相第2コイルU2Aとを接続する必要がある。同様に、V相の分布巻きコイルを形成するためには、V相第1コイルV1Dと、V相第2コイルV2AをU相と同様に接続する必要がある。同様に、W相の分布巻きコイルを形成するためには、W相第1コイルW1D、W相第2コイルW2AをU相と同様に接続する必要がある。
【0029】
内部接続に関し、ステータ1の一部拡大概念側面図を示した図8を用いて説明する。
図8に示すように、U相第1コイルの片側の直線部U1A1のスロット内導線U1A1S1の端部U1A1S1Mと、他方の直線部U1A2のスロット内導線U1A2S2の端部U1A2S2M(以降、構成するスロット内導線の端部を示す場合には末尾に「M」を付けて表す)とを接続する必要がある。そのためには、スロット内導線U1A1S1のステータコア11から突出している端部U1A1S1Mを図14に矢印で示すように、反時計周りに捻り成形し、スロット内導線U1A2S2のステータコア11から突出している端部U1A2S2Mを時計回りに捻り成形して、両者を近づけて溶接接合する。
また、スロット内導線U2A1S1のステータコア11から突出している端部U2A1S1Mを図14に矢印で示すように、反時計周りに捻り成形し、スロット内導線U1A2S2のステータコア11から突出している端部U1A2S2Mを時計回りに捻り成形して、両者を近づけて溶接接合する。
その他のスロット内導線の端部も同様に捻り成形することにより溶接接合を行う。
【0030】
次に、ステータ1全体でのセグメントコイルの接続を説明する。
図22に示すように、U相第1コイルU1のスロットTS28内に挿入されたスロット内導線の最外周に位置するU1A2S1の端部U1A2S1Mは、スロットTS34内に挿入されたスロット内導線U1B1S1の端部U1B1S2Mと接続されている。そして、図15に示すように、スロット内導線U1A2S1は、連結部12側でスロット内導線U1A1S1と一体である。図22に示すように、スロット内導線U1A1S1の端部U1A1S1Mは、スロット内導線U1A2S2の端部U1A2S2Mと接続されている。スロット内導線U1A2S2は、図15に示すように、連結部12側でスロット内導線U1A1S3と一体である。
【0031】
スロット内導線U1A1S3の端部U1A1S3Mは、スロット内導線U1A2S4の端部U1A2S4Mと接続されている。スロット内導線U1A2S4は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S5と一体である。スロット内導線U1A1S5の端部U1A1S5Mは、スロット内導線U1A2S6の端部U1A2S6Mと接続されている。スロット内導線U1A2S6は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S7と一体である。スロット内導線U1A1S7の端部U1A1S7Mは、スロット内導線U1A2S8の端部U1A2S8Mと接続されている。スロット内導線U1A2S8は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S9と一体である。
【0032】
スロット内導線U1A1S9の端部U1A1S9Mは、スロット内導線U1A2S10の端部U1A2S10Mと接続されている。スロット内導線U1A2S10は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S10と一体である。そして、スロット内導線U1A1S10の端部U1A1S10Mは、スロットTS16内に挿入されているスロット内導線U1D2S9の端部U1D2S9Mと接続されている。
これにより、U1Aで構成されるコイルは、スロットTS28内に挿入されたスロット内導線の最外周に位置するU1A2S1の端部U1A2S1Mにより、スロットTS34内に挿入されたスロット内導線U1B1S1の端部U1B1S1Mと接続され、コイル内で巻回された後、最内周に位置するスロット内導線U1A1S10により、スロットTS16内に挿入されているスロット内導線U1D2S9と接続されている。
【0033】
(セグメントコイルの構成)
スロット内導線S1〜S10に用いられる内の一つのセグメントコイル15について説明する。
本実施例で使用しているセグメントコイル15の一例を図13に示す。セグメントコイル15は断面が、縦約1.8mm、横約3.3mmの平角形状の銅線の表面に被覆が形成された平角導線を成形したものである。セグメントコイル15は、2本の直線部15d1、15d2と、直線部15d1と直線部15d2とを連結する連結部15cを備えている。連結部15cの中間位置にレーンチェンジを行うための段差部15eが形成されている。セグメントコイル15の直線部15d1と直線部15d2の端部には端部M(構成するスロット内導線の端部を示す場合には末尾に「M」を付けて表す)が形成されている。
図13に示すセグメントコイル15の形状は、一例であり、本実施例では、少しずつ形状の異なる10余の種類のセグメントコイル15を使用している。
【0034】
<個別絶縁インシュレータの構成>
図6に個別絶縁インシュレータ5の正面図を示す。
個別絶縁インシュレータ5は、セグメントコイル15の端部Mが他のセグメントコイルの端部Mと接触しないようにするために挿入する絶縁紙である。本実施形態においては、例えば個別絶縁インシュレータ5の材質について、PPSを用いる。PPSを用いるのは、溶接時の熱に耐えうるように耐熱性と、耐油性、耐薬品、絶縁性等を考慮したためである。
【0035】
図6に示すように、個別絶縁インシュレータ5は、略長方形形状である。一対の角部は、面取りされ、面取り部51が形成されている。本実施形態において、面取り部51の角度θは、約65度である。角度θは、個別絶縁インシュレータ5の短辺5aを底辺にした場合の面取り部51の角度を表す。
個別絶縁インシュレータ5には、一本のセグメントコイル15の端部Mを挿入するため、第1切込孔52及び第2切込孔53が形成されている。本実施形態において、第1切込孔52及び第2切込孔53の形状は、ひし形形状である。第1切込孔52及び第2切込孔53は、個別絶縁インシュレータ5の長手方向の離れた部分に形成されている。
【0036】
図1にステータの製造過程(1)の概念図を示し、図2にステータの製造過程(2)の概念図を示す。なお、図1及び図2は円形状のステータを平面として示したものであるためセグメントコイルが同じ形状で並んで示されているが、実際ステータは円形状であるため図面とは異なる。
図1に示すように、セグメントコイル15の端部Mごとに対応する個別絶縁インシュレータ5を用意する。続いて図2に示すように、端部Mごとに個別絶縁インシュレータ5を挿入する。
【0037】
図2の個別絶縁インシュレータ5の挿入を具体的に図7を用いて説明する。図7に個別絶縁インシュレータ5を一本のセグメントコイル15の端部Mに挿入した状態の正面図を示す。
図7に示すように、セグメントコイル15の端部Mに対して、奥に第2切込孔53が来る。そのため、個別絶縁インシュレータ5のうち始めに第2切込孔53を端部Mに挿入する。その際に、端部Mが図7中の表面側に出るように、個別絶縁インシュレータ5の後方から前方に対して挿入する。続いて、端部Mを、個別絶縁インシュレータ5の第1切込孔52に前方から後方に挿入する。それにより、図7及び図2に示す状態になる。
【0038】
個別絶縁インシュレータ5の第1切込孔52及び第2切込孔53はひし形形状であることにより、断面平角形状のセグメントコイル15の端部Mに固定することができる。すなわち、第1切込孔52及び第2切込孔53のうちひし形の4辺がセグメントコイル15の断面平角の4角と接触する。4辺と4角が接触することにより、個別絶縁インシュレータ5を一本のセグメントコイル15の端部Mに固定することができる。そのため、個別絶縁インシュレータ5は回転せず、端部Mに常に位置させることができる。したがって、確実に隙間を形成し距離を開けることができるため、確実に絶縁することができる。
【0039】
図3及び図8に示すように、セグメントコイルであるスロット内導線は捻られることにより、他のセグメントコイルであるスロット内導線を5本またぐ形となる。
例えば、図8に示すように、スロット内導線U1A1S1は捻られることにより、他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2を5本またぐ形となる。そのため、スロット内導線U1A1S1は、他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2と接触する。
その他のスロット内導線もスロット内導線U1A1S1と同様に他のスロット内導線を5本またぎ、接触する形状となる。
【0040】
スロット内導線U1A1S1が他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2と接触する部分には個別絶縁インシュレータ5が固定されている。そのため、スロット内導線U1A1S1と他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2の間には個別絶縁インシュレータ5が存在し、直接接触することがない。したがって、確実に絶縁状態を確保することができる。
本実施形態においては、スロット内導線U1A1S1について説明したが、その他のスロット内導線も同様に絶縁状態を確保することができる。
【0041】
また、図8に示すようにスロット内導線U1A1S1、U2A1S1等を捻った場合、例えばスロット内導線U1A1S1とU2A1S1に固定された個別絶縁インシュレータ5の間に隙間Hが形成される。隙間Hは、個別絶縁インシュレータ5がスロット内導線U1A1S1、U2A1S1等に対して個別に固定されているため形成される隙間である。隙間Hが形成されることにより、冷却媒体をセグメントコイル15に流した場合、冷却媒体が隙間Hを流れステータの径方向に対して冷却媒体をいきわたらせることができる。
その他の個別絶縁インシュレータ5の間にもそれぞれ隙間Hが同様に形成される。
【0042】
また、セグメントコイル15の端部Mを挿入する切込孔が第1切込孔52及び第2切込孔53と2か所に形成されている。図6に示すように、第1切込孔52及び第2切込孔53は平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータ5を容易にセグメントコイル15の端部である端部Mに挿入し固定することができる。
さらに、第2切込孔53に端部Mを挿入し、続いて第1切込孔52に端部Mを挿入することで、個別絶縁インシュレータ5をセグメントコイル15に固定することができる。特に、セグメントコイル15は断面平角形状であるため、ひし形形状である第1切込孔52及び第2切込孔53に挿入することにより個別絶縁インシュレータ5は回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータ5が固定されることにより、他の端部Mとの距離を確実に取り確実に絶縁することができる。
本実施形態においてはセグメントコイル15について説明したが他の形状のセグメントコイルであっても同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
スロット内導線U1A1S1は捻られることにより角部K(構成するスロット内導線の角部を示す場合には末尾に「K」を付けて表す)が形成される。角部U1A1S1Kは、捻られた状態であるため角部外周は略円形状となる。そのため、角部外周には鋭角の角部が存在せず、その角部の部分には導体が存在しない。
角部U1A1S1Kの角部外周に対応する部分には個別絶縁インシュレータ5の面取り部51が形成されている。個別絶縁インシュレータ5の面取り部51が形成され絶縁紙が面取りされた状態であっても、対応する部分には導体が存在しないため絶縁性には何ら影響を与えることがない。
本実施形態においては角部U1A1S1Kについてのみ説明したが、その他の角部Kに対応する部分には面取り部51がそれぞれ形成されている。
他方、個別絶縁インシュレータ5は面取り部51が形成されることにより、絶縁紙が不要な部分を削減することができるため材料費を低減することができる。
【0044】
個別絶縁インシュレータ5には面取り部51が形成されていることにより、セグメントコイル15からはみ出す面積が小さくなる。そのため、個別絶縁インシュレータ5が他のセグメントコイル15及び他の個別絶縁インシュレータの邪魔をすることがない。
また、個別絶縁インシュレータが必要な部分のみとなるため材料費を低減することができる。
図8に示すように、個別絶縁インシュレータ5の面取り部51は、隣り合う両隣りの端部側に形成されている。そのため、端部Mを捻る場合にも、隣の個別絶縁インシュレータ5が邪魔となることがない。そのため、端部Mを容易に捻ることができる。
【0045】
<モータの作用効果>
図4に示す状態において、ステータ1に対して、図中上方向から冷却媒体を流入させる。冷却媒体を流入させることによりスロット内導線を直接冷却する。それにより、モータの温度が下がり、電気抵抗が上がるのを防止することができ、モータの出力効率の低下を防止することができる。また、セグメントコイルに施してあるワニスや個別絶縁インシュレータ5の熱劣化を防止することができる。
【0046】
特に本実施形態においては、図5に示すように冷却媒体を流入させた場合、冷却媒体は個別絶縁インシュレータ5に邪魔されることなく、直接スロット内導線に触れることができる。そのため、スロット内導線を効率よく冷却することができる。すなわち、個別絶縁インシュレータ5はセグメントコイル15に対して個別に固定されているため、冷却媒体が流れてきたとしてもステータ1の径方向に流れることができ、径方向に存在するセグメントコイルを冷却することができる。例えば、図5に示すように、スロット内導線U2A1S1に触れた冷却媒体は個別絶縁インシュレータ5Aが妨げになることなく左右方向に流れる。スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、ステータ1の径方向に存在する他のスロット内導線U2A1S2、U2A1S3、U2A1S4・・・に触れることができる。そのため、冷却媒体は径方向のスロット内導線U2A1S2、U2A1S3、U2A1S4・・・に対して触れることができ冷却することができる。
また、スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、径方向のみならず周方向に流れるものもある。そのため、スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、ステータ1の周方向に存在する他のスロット内導線U1A1S1、V1A1S1・・・に触れることができる。そのため、スロット内導線U1A1S1、V1A1S1・・・に対して直接冷却することができる。
なお、図5に示すステータの一部拡大概念図は、本実施形態における個別絶縁インシュレータ5を用いた場合の効果をわかりやすく図解した概念図である。すなわち、図5に示すスロット内導線は、図8に示すようにスロット内導線の端部が捻られた状態における個別絶縁インシュレータ5の効果である。スロット内導線は図8に示すように捻られた状態で使用され、捻られた状態で冷却されるためである。
【0047】
以上詳細に説明したように、本実施形態のステータによれば、以下の作用効果を有する。
セグメントコイル15の直線部15dの端部である端部Mに、個別絶縁インシュレータ5が個別に挿入されていることにより、個別絶縁インシュレータ5の隙間Hから冷却媒体が流れる。そのため、ステータ1の径方向に冷却媒体が流れることができる。冷却媒体がステータ1の中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ1全体の冷却効率を向上させることができる。
また、ステータ1の径方向だけではなく冷却媒体を周方向に流すこともできる。
また、セグメントコイル15同士が隣り合い接触する恐れがある絶縁が必要な個所にのみ絶縁インシュレータを個別絶縁インシュレータ5として使用することができるため余分な絶縁インシュレータを排除することができる。そのため、絶縁インシュレータに係る材料費を低減することができる。
また、セグメントコイル15毎に個別絶縁インシュレータ5が挿入されているため、個別絶縁インシュレータ5の位置ずれを防止することができ、確実にセグメントコイル15同士の絶縁を図ることができる。
【0048】
個別絶縁インシュレータ5に、セグメントコイル15を挿入する第1切込孔52及び第2切込孔53の2つが形成され、さらに、両切込孔が平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータ5を容易にセグメントコイル15の端部Mに挿入し固定することができる。
また、例えば第2切込孔53に端部Mを挿入し、さらに第1切込孔52に挿入することで、個別絶縁インシュレータ5をセグメントコイル15の固定することができる。特に、セグメントコイル15は断面平角形状であるため、第1切込孔52及び第2切込孔53にセグメントコイル15の端部を挿入することにより個別絶縁インシュレータ5は回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータ5が固定されることにより、セグメントコイル15同士の距離を確実に取ることができるため確実に絶縁することができる。
【0049】
(個別絶縁インシュレータの切込孔に破れ防止孔を形成した変形例)
図9の変形例は、図6に示す個別絶縁インシュレータ5と比較して、切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されている点で異なるのみである。その他の構成及び作用効果は同一であるため、その他の部分についての詳細な説明を割愛する。
図9の個別絶縁インシュレータ61のひし形形状の切込孔62のうち対向する角部に破れ防止孔63が形成されている。ここでいう対向する角部は、角部を結んだ線が短辺61Aと平行になる角部である。切込孔62にセグメントコイル15を挿入した時に、最も広がる部分が当該角部であるためである。
破れ防止孔63が形成されていることにより、通常切込孔62にセグメントコイル15を挿入した場合であっても切込孔62が引き裂かれて破れてしまうことを防止することができる。したがって、切込孔62が避けてセグメントコイル15に対しての反発力が弱まることがないため個別絶縁インシュレータ61の固定力を維持することができる。
【0050】
(個別絶縁インシュレータに流体孔を形成した変形例)
図10に個別絶縁インシュレータの変形例(1)の正面図を、図11に変形例(2)の正面図を、図12に変形例(3)の正面図を示す。
図10乃至図12の変形例は、図6に示す個別絶縁インシュレータ5と比較して、冷却媒体を流入させるための流体孔が形成されている点で異なるのみである。その他の構成及び作用効果は同一であるため、その他の部分についての詳細な説明を割愛する。
図10の個別絶縁インシュレータ71には、個別絶縁インシュレータ71の短辺71Aと平行に形成された複数の横状スリットの流体孔72が形成されている。
図11の個別絶縁インシュレータ73には、水球形状の複数の流体孔74が形成されている。
図12の個別絶縁インシュレータ76には、個別絶縁インシュレータ76の長辺76Bと平行に形成された複数の縦状スリットの流体孔77が形成されている。
【0051】
図10乃至図12の変形例に示すように、個別絶縁インシュレータ71、73、76に対して流体孔72、74、77が形成されていることにより、冷却媒体が個別絶縁インシュレータ71、73、76の間を流れることができる。冷却媒体が流れることができることにより、冷却媒体がステータ1の径方向により流れやすくなる。そのため、冷却媒体がステータ1の中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ1全体の冷却効率を向上させることができる。
【0052】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態において、切込孔をひし形形状としたが、切込線とすることもできる。切込線とすることにより、切込孔を形成することが容易になり、コストを低減することができる。
【0053】
例えば、図9の破れ防止孔及び図10乃至図13の流体孔72、74、77を組み合わせることもできる。組み合わせることで、個別絶縁インシュレータは、切込孔は破れにくくなることにより長期間にわたり反発力を有することができるためセグメントコイルに個別絶縁インシュレータを固定することができる。また、個別絶縁インシュレータに流体孔が形成されているため冷却媒体が流入し易くなりステータの温度上昇を防ぐことができる。よって、両方を組み合わせることにより、個別絶縁インシュレータが熱劣化することを防止でき、長期間個別絶縁インシュレータをセグメントコイルに固定させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ステータ
20 ステータコア
T1〜T48 ティース
TS1〜TS48 スロット
5 個別絶縁インシュレータ
51 面取り部
52 第1切込孔
53 第2切込孔
15 セグメントコイル
M 端部
15c 連結部
15d 直線部
H 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、スロットにステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の技術として、図17乃至図19に示すステータがある。図17乃至図19に示すステータは、本来円周形状のものであるが、セグメントコイルとの関係が理解し易いようにセグメントコイルを平面上に並べることにより表した概念図とする。
図17に示すようにステータ100に対して径方向に一列に配列された複数のセグメントコイル101が挿入されている。セグメントコイル101は、直線部101aと連結部101bを有し、直線部101aにはセグメント端部101cが形成されている。図18に示すように複数のセグメントコイル101のセグメント端部101cの間に絶縁インシュレータ102を挿入する。図19に示すように、絶縁インシュレータ102を挿入後、セグメントコイル101のセグメント端部101cを把持して捻り、セグメント端部101c同士を接合し環状に配列することによりステータ100を形成する。
【0003】
図19に示すステータ100にあっては、絶縁インシュレータ102が挿入されていることにより、セグメント端部101c同士の間に隙間が形成され接触することがない。そのため、良好な絶縁性を確保することができる。
【0004】
特許文献1及び特許文献2にも同様にステータに絶縁インシュレータが挿入されたものが掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186872号
【特許文献2】特開2005−124388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、本ステータコアはハイブリッドモータに使用するものであるが、ハイブリッドモータを使用しステータコアに通電するとコイルは発熱し大きな熱を持つ。特にハイブリッドモータは高出力を必要とするため、高熱になりやすい。モータが高熱になると電気抵抗が上がりモータの出力効率が低下、又は、セグメントコイルに施してあるワニスや絶縁インシュレータの熱劣化を促進させ絶縁抵抗が下がって故障の原因となる。
そのため、図20に示す状態においてステータ200に直接冷却媒体を掛け、ステータコア100のセグメントコイルの熱を下げることが必要となる。
【0007】
しかし、図20の点線Yの一部拡大図である図21に示すように、絶縁インシュレータ102は、円筒状の形状で周方向にステータコア100に配置されている。図21に示すように冷却媒体を流した場合、冷却媒体は4層部のうち最外周にある絶縁インシュレータ102Aに当たりそのまま周方向に流れる。そのため、4層部のセグメントコイルであるセグメントコイル101Aに対しては直接冷却媒体を流し冷却することができる。他方、1層から3層までの内部のセグメントコイルであるセグメントコイル101B〜101D等は、絶縁インシュレータ102A〜102C等により隔離された状態となるため、直接冷却媒体が流れ冷却することが難しい。そのため、1層から3層までの内部のセグメントコイル101B〜101D等の冷却効果が低下するため問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は冷却媒体を絶縁インシュレータの隙間から流れるようにし、冷却効率が向上したステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様におけるステータは、以下の構成を有する。
(1)複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、前記スロットに前記ステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、前記直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータにおいて、前記端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていること、を特徴とする。
ここで端部とは、セグメントコイルの直線部のうちステータコアから突出している部分のことをいう。
【0010】
(2)(1)に記載するステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータに、前記セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、前記2か所の切込孔は平行の位置に位置すること、が好ましい。
【0011】
(3)(2)に記載するステータにおいて、前記切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていること、が好ましい。
【0012】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか一つのステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていること、が好ましい。
【0013】
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか一つのステータにおいて、前記個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記ステータの作用及び効果について説明する。
(1)セグメントコイルの直線部の端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていることにより、個別絶縁インシュレータ同士の隙間から冷却媒体を流すことができる。そのため、ステータの径方向に対して冷却媒体を流すことができる。冷却媒体が径方向であるステータの中心部にまで浸透することにより、ステータ全体の冷却効率を向上させることができる。
また、個別絶縁インシュレータをセグメントコイルの直線部の端部に個別に挿入することにより、絶縁性が必要な部分に対して直接個別絶縁インシュレータを位置させることができ、確実に絶縁することができる。さらに、個別絶縁インシュレータとすることにより、個別絶縁インシュレータの間には隙間ができ、冷却媒体が流れることができる。
また、個別絶縁インシュレータを用いることにより、絶縁の必要な部分についてのみ用意すればよいため余分な絶縁インシュレータを排除することができる。そのため、材料費を低減することができる。
また、セグメントコイル毎に個別絶縁インシュレータが挿入されているため、絶縁インシュレータの位置ずれを防止することができ、確実にセグメントコイル同士の絶縁を図ることができる。
【0015】
(2)(1)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータに、セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、2か所の切込孔は平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータを容易にセグメントコイルの端部に挿入し固定することができる。
また、1か所の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入し、さらに他方の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入することで、個別絶縁インシュレータをセグメントコイルの固定することができる。特に、セグメントコイルは断面平角形状であるため、2か所の切込孔にセグメントコイルの端部を挿入することにより個別絶縁インシュレータは回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータが固定されることにより、セグメントコイル同士の距離を確実に取ることができるため確実に絶縁することができる。
【0016】
(3)(2)に記載する作用効果のほか、切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていることにより、切込孔が破れるのを防止することができる。切込孔は、セグメントコイルに対して元の位置に戻ろうとする反発力を有する。そして、反発力により個別絶縁インシュレータはセグメントコイルに固定される。そのため、切込孔が破れると切込孔による反発力が失われ固定力が発揮できなくなる。したがって、切込孔が破れるのを防止することができることにより、個別絶縁インシュレータを変わらずセグメントコイルに固定することができる。
【0017】
(4)(1)乃至(3)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていることにより、絶縁インシュレータを冷却媒体が流れることができる。個別絶縁インシュレータを冷却媒体が流れることができることにより、冷却媒体がステータの径方向に流れることができる。そのため、冷却媒体がステータの中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ全体の冷却効率を向上させることができる。
【0018】
(5)(1)乃至(4)に記載する作用効果のほか、個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていることにより、個別絶縁インシュレータがセグメントコイルを捻った場合の捻り曲面の形状と合致する。それにより、個別絶縁インシュレータがセグメントコイルからはみ出す面積が小さくなるため、個別絶縁インシュレータが他のセグメントコイル及び他の個別絶縁インシュレータの邪魔をすることがない。
また、個別絶縁インシュレータが必要な部分のみとなるため材料費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るステータの製造過程(1)の概念図である。
【図2】本発明に係るステータの製造過程(2)の概念図である。
【図3】本発明に係るステータの製造過程(3)の概念図である。
【図4】本発明に係るステータの概念図である。
【図5】本発明に係る図4に示すステータの点線Xに係る一部拡大概念図である。
【図6】本発明に係る個別絶縁インシュレータの正面図である。
【図7】本発明に係るセグメントコイルの端部に個別絶縁インシュレータを挿入した状態の正面図である。
【図8】本発明に係る図3に示すステータの一部拡大概念図である。
【図9】本発明に係る個別絶縁インシュレータの挿入孔の変形例を示した図である。
【図10】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(1)の正面図である。
【図11】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(2)の正面図である。
【図12】本発明に係る個別絶縁インシュレータの変形例(3)の正面図である。
【図13】本発明に係るセグメントコイルの概念図である。
【図14】本発明に係る各スロット内に10本のスロット内導線S1〜S10が配置されているステータコアの一部概念断面図である。
【図15】本発明に係るU相第1コイルU1のセグメントコイルの配置及び接続を示す図である。
【図16】本発明に係るU相第2コイルU2のセグメントコイルの配置及び接続を示す図である。
【図17】従来技術に係るステータの製造過程(1)の概念図である。
【図18】従来技術に係るステータの製造過程(2)の概念図である。
【図19】従来技術に係るステータの製造過程(3)の概念図である。
【図20】従来技術に係るステータの概念図である。
【図21】従来技術に係る図20に示すステータの点線Yに係る一部拡大概念図である。
【図22】本発明に係るステータ全体を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係るステータの一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
<モータの構成>
本発明のモータは、ステータ1、固定子、及び、ハウジング等により形成される。本実施形態におけるモータは、以下で詳細に説明するステータ1の構造以外従来技術と異なるところがないため説明を割愛する。なお、本発明のモータは、従来技術のモータが有する作用効果と同様の作用効果を有する。
【0022】
<ステータの構成>
図4にステータ1の概念断面図を示す。図14にステータ1の各スロット内に10本のスロット内導線S1〜S10が配置されているステータコアの一部概念断面図を示す。
図4に示すように、ステータ1は、ステータコア20等により構成されている。本実施例のステータコア20は、48個のティースT1〜T48と、48箇所のスロットTS1〜TS48を備えている。また、図14に示すように、各スロットTS1〜TS48内には、10本のスロット内導線S1〜S10が装着されている。本文においてスロット内導線というときは、セグメントコイルをステータコア内に挿入したものをスロット内導線という。そのため、セグメントコイルとスロット内導線は同一の物品である。
【0023】
図14に示すように、ティースT21とティースT22の間のスロットTS22に、U相第1コイルU1の第1セグメント群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線U1A1S1〜U1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT22とティースT23の間のスロットTS23に、U相第2コイルU2の第1セグメント群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線U2A1S1〜U2A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。
ティースT23とティースT24の間のスロットTS24に、V相第1コイルV1の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線V1A1S1〜V1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT24とティースT25の間のスロットTS25に、V相第2コイルV2の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線V2A1S1〜V2A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。
【0024】
ティースT25とティースT26の間のスロットTS26に、W相第1コイルW1の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線W1A1S1〜W1A1S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。ティースT26とティースT27の間のスロットTS27に、W相第2コイルW2の第1セグメントコイル群Aのうち、片側の10本の直線部A1を構成するスロット内導線W2A1S1〜W2A1S10が外周側から内周側に重ねて配置されている。
ティースT27とティースT28の間のスロットTS28は、U相第1コイルU1の第1セグメントコイル群Aの他方の10本の直線部A2を構成するスロット内導線U1A2S1〜U1A2S10が、外周側から内周側に重ねて配置されている。10本のセグメントコイル9により各々、U相第1コイルU1、U相第2コイルU2、V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2が構成されている。
【0025】
そして、U相第1コイルU1、U相第2コイルU2、V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2の6個のコイルは、各々4個のセグメントコイル群A、B、C、Dより構成されている。
U相第1コイルU1のセグメントコイルの配置を図15に示し、U相第2コイルU2のセグメントコイルの配置を図16に示す。V相第1コイルV1、V相第2コイルV2、W相第1コイルW1、及びW相第2コイルW2の配置も、図15、図16に準じている。
図15に示すように、48スロットには、U相第1コイルU1として、セグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dが、スロットTS22(U1A1)、TS28(U1A2)、TS34(U1B1)、TS40(U1B2)、TS46(U1C1)、TS4(U1C2)、TS10(U1D1)、及びTS16(U1D2)の8箇所に挿入されている。
また、図16に示すように、U相第2コイルとして、セグメントコイル群U2A、U2B、U2C、U2Dが、スロットTS23(U2A1)、TS29(U2A2)、TS35(U2B1)、TS41(U2B2)、TS47(U2C1)、TS5(U2C2)、TS11(U2D1)、及びTS17(U2D2)の8箇所に挿入されている。
【0026】
同様に、V相第1コイルV1として、セグメントコイル群V1A、V1B、V1C、V1Dが、スロットTS24(V1A1)、TS30(V1A2)、TS36(V1B1)、TS42(V1B2)、TS48(V1C1)、TS6(V1C2)、TS12(V1D1)、TS18(V1D2)の8箇所に挿入されている。
また、V相第2コイルとして、セグメントコイル群V2A、V2B、V2C、V2Dが、スロットTS25(V2A1)、TS31(V2A2)、TS37(V2B1)、TS43(V2B2)、TS1(V2C1)、TS7(V2C2)、TS13(V2D1)、及びTS19(V2D2)の8箇所に挿入されている。
【0027】
同様に、W相第1コイルW1として、セグメントコイル群W1A、W1B、W1C、W1Dが、スロット26(W1A1)、TS32(W1A2)、TS38(W1B1)、TS44(W1B2)、TS2(W1C1)、TS8(W1C2)、TS14(W1D1)、及びTS20(W1D2)の8箇所に挿入されている。
また、W相第2コイルとして、セグメントコイル群W2A、W2B、W2C、W2Dが、スロットTS27(W2A1)、TS33(W2A2)、TS39(W2B1)、TS45(W2B2)、TS3(W2C1)、TS9(W2C2)、TS15(W2D1)、及びTS21(W2D2)の8箇所に挿入されている。
6個のコイルが、一対10本、計20本の直線部を備えるため、その4倍で、合計480本の直線部となり、48個のスロットTS1〜TS48に対して、10本ずつ配置される。
【0028】
ここで、U相の分布巻きコイルを形成するためには、U相第1コイルのセグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dの各々の内部で、内部接続すると共に、U相第1コイルU1の4個のセグメントコイル群U1A、U1B、U1C、U1Dを、順次接続する必要がある。同様に、U相第2コイルのセグメント群U2A、U2B、U2C、U2Dを、順次接続する必要がある。
さらに、U相第1コイルU1DとU相第2コイルU2Aとを接続する必要がある。同様に、V相の分布巻きコイルを形成するためには、V相第1コイルV1Dと、V相第2コイルV2AをU相と同様に接続する必要がある。同様に、W相の分布巻きコイルを形成するためには、W相第1コイルW1D、W相第2コイルW2AをU相と同様に接続する必要がある。
【0029】
内部接続に関し、ステータ1の一部拡大概念側面図を示した図8を用いて説明する。
図8に示すように、U相第1コイルの片側の直線部U1A1のスロット内導線U1A1S1の端部U1A1S1Mと、他方の直線部U1A2のスロット内導線U1A2S2の端部U1A2S2M(以降、構成するスロット内導線の端部を示す場合には末尾に「M」を付けて表す)とを接続する必要がある。そのためには、スロット内導線U1A1S1のステータコア11から突出している端部U1A1S1Mを図14に矢印で示すように、反時計周りに捻り成形し、スロット内導線U1A2S2のステータコア11から突出している端部U1A2S2Mを時計回りに捻り成形して、両者を近づけて溶接接合する。
また、スロット内導線U2A1S1のステータコア11から突出している端部U2A1S1Mを図14に矢印で示すように、反時計周りに捻り成形し、スロット内導線U1A2S2のステータコア11から突出している端部U1A2S2Mを時計回りに捻り成形して、両者を近づけて溶接接合する。
その他のスロット内導線の端部も同様に捻り成形することにより溶接接合を行う。
【0030】
次に、ステータ1全体でのセグメントコイルの接続を説明する。
図22に示すように、U相第1コイルU1のスロットTS28内に挿入されたスロット内導線の最外周に位置するU1A2S1の端部U1A2S1Mは、スロットTS34内に挿入されたスロット内導線U1B1S1の端部U1B1S2Mと接続されている。そして、図15に示すように、スロット内導線U1A2S1は、連結部12側でスロット内導線U1A1S1と一体である。図22に示すように、スロット内導線U1A1S1の端部U1A1S1Mは、スロット内導線U1A2S2の端部U1A2S2Mと接続されている。スロット内導線U1A2S2は、図15に示すように、連結部12側でスロット内導線U1A1S3と一体である。
【0031】
スロット内導線U1A1S3の端部U1A1S3Mは、スロット内導線U1A2S4の端部U1A2S4Mと接続されている。スロット内導線U1A2S4は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S5と一体である。スロット内導線U1A1S5の端部U1A1S5Mは、スロット内導線U1A2S6の端部U1A2S6Mと接続されている。スロット内導線U1A2S6は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S7と一体である。スロット内導線U1A1S7の端部U1A1S7Mは、スロット内導線U1A2S8の端部U1A2S8Mと接続されている。スロット内導線U1A2S8は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S9と一体である。
【0032】
スロット内導線U1A1S9の端部U1A1S9Mは、スロット内導線U1A2S10の端部U1A2S10Mと接続されている。スロット内導線U1A2S10は、連結部15c側でスロット内導線U1A1S10と一体である。そして、スロット内導線U1A1S10の端部U1A1S10Mは、スロットTS16内に挿入されているスロット内導線U1D2S9の端部U1D2S9Mと接続されている。
これにより、U1Aで構成されるコイルは、スロットTS28内に挿入されたスロット内導線の最外周に位置するU1A2S1の端部U1A2S1Mにより、スロットTS34内に挿入されたスロット内導線U1B1S1の端部U1B1S1Mと接続され、コイル内で巻回された後、最内周に位置するスロット内導線U1A1S10により、スロットTS16内に挿入されているスロット内導線U1D2S9と接続されている。
【0033】
(セグメントコイルの構成)
スロット内導線S1〜S10に用いられる内の一つのセグメントコイル15について説明する。
本実施例で使用しているセグメントコイル15の一例を図13に示す。セグメントコイル15は断面が、縦約1.8mm、横約3.3mmの平角形状の銅線の表面に被覆が形成された平角導線を成形したものである。セグメントコイル15は、2本の直線部15d1、15d2と、直線部15d1と直線部15d2とを連結する連結部15cを備えている。連結部15cの中間位置にレーンチェンジを行うための段差部15eが形成されている。セグメントコイル15の直線部15d1と直線部15d2の端部には端部M(構成するスロット内導線の端部を示す場合には末尾に「M」を付けて表す)が形成されている。
図13に示すセグメントコイル15の形状は、一例であり、本実施例では、少しずつ形状の異なる10余の種類のセグメントコイル15を使用している。
【0034】
<個別絶縁インシュレータの構成>
図6に個別絶縁インシュレータ5の正面図を示す。
個別絶縁インシュレータ5は、セグメントコイル15の端部Mが他のセグメントコイルの端部Mと接触しないようにするために挿入する絶縁紙である。本実施形態においては、例えば個別絶縁インシュレータ5の材質について、PPSを用いる。PPSを用いるのは、溶接時の熱に耐えうるように耐熱性と、耐油性、耐薬品、絶縁性等を考慮したためである。
【0035】
図6に示すように、個別絶縁インシュレータ5は、略長方形形状である。一対の角部は、面取りされ、面取り部51が形成されている。本実施形態において、面取り部51の角度θは、約65度である。角度θは、個別絶縁インシュレータ5の短辺5aを底辺にした場合の面取り部51の角度を表す。
個別絶縁インシュレータ5には、一本のセグメントコイル15の端部Mを挿入するため、第1切込孔52及び第2切込孔53が形成されている。本実施形態において、第1切込孔52及び第2切込孔53の形状は、ひし形形状である。第1切込孔52及び第2切込孔53は、個別絶縁インシュレータ5の長手方向の離れた部分に形成されている。
【0036】
図1にステータの製造過程(1)の概念図を示し、図2にステータの製造過程(2)の概念図を示す。なお、図1及び図2は円形状のステータを平面として示したものであるためセグメントコイルが同じ形状で並んで示されているが、実際ステータは円形状であるため図面とは異なる。
図1に示すように、セグメントコイル15の端部Mごとに対応する個別絶縁インシュレータ5を用意する。続いて図2に示すように、端部Mごとに個別絶縁インシュレータ5を挿入する。
【0037】
図2の個別絶縁インシュレータ5の挿入を具体的に図7を用いて説明する。図7に個別絶縁インシュレータ5を一本のセグメントコイル15の端部Mに挿入した状態の正面図を示す。
図7に示すように、セグメントコイル15の端部Mに対して、奥に第2切込孔53が来る。そのため、個別絶縁インシュレータ5のうち始めに第2切込孔53を端部Mに挿入する。その際に、端部Mが図7中の表面側に出るように、個別絶縁インシュレータ5の後方から前方に対して挿入する。続いて、端部Mを、個別絶縁インシュレータ5の第1切込孔52に前方から後方に挿入する。それにより、図7及び図2に示す状態になる。
【0038】
個別絶縁インシュレータ5の第1切込孔52及び第2切込孔53はひし形形状であることにより、断面平角形状のセグメントコイル15の端部Mに固定することができる。すなわち、第1切込孔52及び第2切込孔53のうちひし形の4辺がセグメントコイル15の断面平角の4角と接触する。4辺と4角が接触することにより、個別絶縁インシュレータ5を一本のセグメントコイル15の端部Mに固定することができる。そのため、個別絶縁インシュレータ5は回転せず、端部Mに常に位置させることができる。したがって、確実に隙間を形成し距離を開けることができるため、確実に絶縁することができる。
【0039】
図3及び図8に示すように、セグメントコイルであるスロット内導線は捻られることにより、他のセグメントコイルであるスロット内導線を5本またぐ形となる。
例えば、図8に示すように、スロット内導線U1A1S1は捻られることにより、他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2を5本またぐ形となる。そのため、スロット内導線U1A1S1は、他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2と接触する。
その他のスロット内導線もスロット内導線U1A1S1と同様に他のスロット内導線を5本またぎ、接触する形状となる。
【0040】
スロット内導線U1A1S1が他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2と接触する部分には個別絶縁インシュレータ5が固定されている。そのため、スロット内導線U1A1S1と他のスロット内導線U2A1S2、V1A1S2、V2A1S2、W1A1S2、W2A1S2の間には個別絶縁インシュレータ5が存在し、直接接触することがない。したがって、確実に絶縁状態を確保することができる。
本実施形態においては、スロット内導線U1A1S1について説明したが、その他のスロット内導線も同様に絶縁状態を確保することができる。
【0041】
また、図8に示すようにスロット内導線U1A1S1、U2A1S1等を捻った場合、例えばスロット内導線U1A1S1とU2A1S1に固定された個別絶縁インシュレータ5の間に隙間Hが形成される。隙間Hは、個別絶縁インシュレータ5がスロット内導線U1A1S1、U2A1S1等に対して個別に固定されているため形成される隙間である。隙間Hが形成されることにより、冷却媒体をセグメントコイル15に流した場合、冷却媒体が隙間Hを流れステータの径方向に対して冷却媒体をいきわたらせることができる。
その他の個別絶縁インシュレータ5の間にもそれぞれ隙間Hが同様に形成される。
【0042】
また、セグメントコイル15の端部Mを挿入する切込孔が第1切込孔52及び第2切込孔53と2か所に形成されている。図6に示すように、第1切込孔52及び第2切込孔53は平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータ5を容易にセグメントコイル15の端部である端部Mに挿入し固定することができる。
さらに、第2切込孔53に端部Mを挿入し、続いて第1切込孔52に端部Mを挿入することで、個別絶縁インシュレータ5をセグメントコイル15に固定することができる。特に、セグメントコイル15は断面平角形状であるため、ひし形形状である第1切込孔52及び第2切込孔53に挿入することにより個別絶縁インシュレータ5は回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータ5が固定されることにより、他の端部Mとの距離を確実に取り確実に絶縁することができる。
本実施形態においてはセグメントコイル15について説明したが他の形状のセグメントコイルであっても同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
スロット内導線U1A1S1は捻られることにより角部K(構成するスロット内導線の角部を示す場合には末尾に「K」を付けて表す)が形成される。角部U1A1S1Kは、捻られた状態であるため角部外周は略円形状となる。そのため、角部外周には鋭角の角部が存在せず、その角部の部分には導体が存在しない。
角部U1A1S1Kの角部外周に対応する部分には個別絶縁インシュレータ5の面取り部51が形成されている。個別絶縁インシュレータ5の面取り部51が形成され絶縁紙が面取りされた状態であっても、対応する部分には導体が存在しないため絶縁性には何ら影響を与えることがない。
本実施形態においては角部U1A1S1Kについてのみ説明したが、その他の角部Kに対応する部分には面取り部51がそれぞれ形成されている。
他方、個別絶縁インシュレータ5は面取り部51が形成されることにより、絶縁紙が不要な部分を削減することができるため材料費を低減することができる。
【0044】
個別絶縁インシュレータ5には面取り部51が形成されていることにより、セグメントコイル15からはみ出す面積が小さくなる。そのため、個別絶縁インシュレータ5が他のセグメントコイル15及び他の個別絶縁インシュレータの邪魔をすることがない。
また、個別絶縁インシュレータが必要な部分のみとなるため材料費を低減することができる。
図8に示すように、個別絶縁インシュレータ5の面取り部51は、隣り合う両隣りの端部側に形成されている。そのため、端部Mを捻る場合にも、隣の個別絶縁インシュレータ5が邪魔となることがない。そのため、端部Mを容易に捻ることができる。
【0045】
<モータの作用効果>
図4に示す状態において、ステータ1に対して、図中上方向から冷却媒体を流入させる。冷却媒体を流入させることによりスロット内導線を直接冷却する。それにより、モータの温度が下がり、電気抵抗が上がるのを防止することができ、モータの出力効率の低下を防止することができる。また、セグメントコイルに施してあるワニスや個別絶縁インシュレータ5の熱劣化を防止することができる。
【0046】
特に本実施形態においては、図5に示すように冷却媒体を流入させた場合、冷却媒体は個別絶縁インシュレータ5に邪魔されることなく、直接スロット内導線に触れることができる。そのため、スロット内導線を効率よく冷却することができる。すなわち、個別絶縁インシュレータ5はセグメントコイル15に対して個別に固定されているため、冷却媒体が流れてきたとしてもステータ1の径方向に流れることができ、径方向に存在するセグメントコイルを冷却することができる。例えば、図5に示すように、スロット内導線U2A1S1に触れた冷却媒体は個別絶縁インシュレータ5Aが妨げになることなく左右方向に流れる。スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、ステータ1の径方向に存在する他のスロット内導線U2A1S2、U2A1S3、U2A1S4・・・に触れることができる。そのため、冷却媒体は径方向のスロット内導線U2A1S2、U2A1S3、U2A1S4・・・に対して触れることができ冷却することができる。
また、スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、径方向のみならず周方向に流れるものもある。そのため、スロット内導線U2A1S1の左右方向に流れた冷却媒体は、ステータ1の周方向に存在する他のスロット内導線U1A1S1、V1A1S1・・・に触れることができる。そのため、スロット内導線U1A1S1、V1A1S1・・・に対して直接冷却することができる。
なお、図5に示すステータの一部拡大概念図は、本実施形態における個別絶縁インシュレータ5を用いた場合の効果をわかりやすく図解した概念図である。すなわち、図5に示すスロット内導線は、図8に示すようにスロット内導線の端部が捻られた状態における個別絶縁インシュレータ5の効果である。スロット内導線は図8に示すように捻られた状態で使用され、捻られた状態で冷却されるためである。
【0047】
以上詳細に説明したように、本実施形態のステータによれば、以下の作用効果を有する。
セグメントコイル15の直線部15dの端部である端部Mに、個別絶縁インシュレータ5が個別に挿入されていることにより、個別絶縁インシュレータ5の隙間Hから冷却媒体が流れる。そのため、ステータ1の径方向に冷却媒体が流れることができる。冷却媒体がステータ1の中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ1全体の冷却効率を向上させることができる。
また、ステータ1の径方向だけではなく冷却媒体を周方向に流すこともできる。
また、セグメントコイル15同士が隣り合い接触する恐れがある絶縁が必要な個所にのみ絶縁インシュレータを個別絶縁インシュレータ5として使用することができるため余分な絶縁インシュレータを排除することができる。そのため、絶縁インシュレータに係る材料費を低減することができる。
また、セグメントコイル15毎に個別絶縁インシュレータ5が挿入されているため、個別絶縁インシュレータ5の位置ずれを防止することができ、確実にセグメントコイル15同士の絶縁を図ることができる。
【0048】
個別絶縁インシュレータ5に、セグメントコイル15を挿入する第1切込孔52及び第2切込孔53の2つが形成され、さらに、両切込孔が平行の位置に位置することにより、個別絶縁インシュレータ5を容易にセグメントコイル15の端部Mに挿入し固定することができる。
また、例えば第2切込孔53に端部Mを挿入し、さらに第1切込孔52に挿入することで、個別絶縁インシュレータ5をセグメントコイル15の固定することができる。特に、セグメントコイル15は断面平角形状であるため、第1切込孔52及び第2切込孔53にセグメントコイル15の端部を挿入することにより個別絶縁インシュレータ5は回転することなく固定される。個別絶縁インシュレータ5が固定されることにより、セグメントコイル15同士の距離を確実に取ることができるため確実に絶縁することができる。
【0049】
(個別絶縁インシュレータの切込孔に破れ防止孔を形成した変形例)
図9の変形例は、図6に示す個別絶縁インシュレータ5と比較して、切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されている点で異なるのみである。その他の構成及び作用効果は同一であるため、その他の部分についての詳細な説明を割愛する。
図9の個別絶縁インシュレータ61のひし形形状の切込孔62のうち対向する角部に破れ防止孔63が形成されている。ここでいう対向する角部は、角部を結んだ線が短辺61Aと平行になる角部である。切込孔62にセグメントコイル15を挿入した時に、最も広がる部分が当該角部であるためである。
破れ防止孔63が形成されていることにより、通常切込孔62にセグメントコイル15を挿入した場合であっても切込孔62が引き裂かれて破れてしまうことを防止することができる。したがって、切込孔62が避けてセグメントコイル15に対しての反発力が弱まることがないため個別絶縁インシュレータ61の固定力を維持することができる。
【0050】
(個別絶縁インシュレータに流体孔を形成した変形例)
図10に個別絶縁インシュレータの変形例(1)の正面図を、図11に変形例(2)の正面図を、図12に変形例(3)の正面図を示す。
図10乃至図12の変形例は、図6に示す個別絶縁インシュレータ5と比較して、冷却媒体を流入させるための流体孔が形成されている点で異なるのみである。その他の構成及び作用効果は同一であるため、その他の部分についての詳細な説明を割愛する。
図10の個別絶縁インシュレータ71には、個別絶縁インシュレータ71の短辺71Aと平行に形成された複数の横状スリットの流体孔72が形成されている。
図11の個別絶縁インシュレータ73には、水球形状の複数の流体孔74が形成されている。
図12の個別絶縁インシュレータ76には、個別絶縁インシュレータ76の長辺76Bと平行に形成された複数の縦状スリットの流体孔77が形成されている。
【0051】
図10乃至図12の変形例に示すように、個別絶縁インシュレータ71、73、76に対して流体孔72、74、77が形成されていることにより、冷却媒体が個別絶縁インシュレータ71、73、76の間を流れることができる。冷却媒体が流れることができることにより、冷却媒体がステータ1の径方向により流れやすくなる。そのため、冷却媒体がステータ1の中心部までいきわたらせることができることにより、ステータ1全体の冷却効率を向上させることができる。
【0052】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態において、切込孔をひし形形状としたが、切込線とすることもできる。切込線とすることにより、切込孔を形成することが容易になり、コストを低減することができる。
【0053】
例えば、図9の破れ防止孔及び図10乃至図13の流体孔72、74、77を組み合わせることもできる。組み合わせることで、個別絶縁インシュレータは、切込孔は破れにくくなることにより長期間にわたり反発力を有することができるためセグメントコイルに個別絶縁インシュレータを固定することができる。また、個別絶縁インシュレータに流体孔が形成されているため冷却媒体が流入し易くなりステータの温度上昇を防ぐことができる。よって、両方を組み合わせることにより、個別絶縁インシュレータが熱劣化することを防止でき、長期間個別絶縁インシュレータをセグメントコイルに固定させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ステータ
20 ステータコア
T1〜T48 ティース
TS1〜TS48 スロット
5 個別絶縁インシュレータ
51 面取り部
52 第1切込孔
53 第2切込孔
15 セグメントコイル
M 端部
15c 連結部
15d 直線部
H 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、前記スロットに前記ステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、前記直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータにおいて、
前記端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項2】
請求項1に記載するステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータに、前記セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、
前記2か所の切込孔は平行の位置に位置すること、
を特徴とするステータ。
【請求項3】
請求項2に記載するステータにおいて、
前記切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載するいずれか一つのステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載するいずれか一つのステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていること、
を特徴とするステータ。
【請求項1】
複数のスロットを放射線状に備えるステータコアと、前記スロットに前記ステータコアの径方向に複数個備えられる一対の直線部と連結部によりU字形状に構成されたセグメントコイルと、前記直線部の端部の間に絶縁インシュレータを有するステータにおいて、
前記端部に、個別絶縁インシュレータが個別に挿入されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項2】
請求項1に記載するステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータに、前記セグメントコイルを挿入する切込孔が2か所に形成されていること、
前記2か所の切込孔は平行の位置に位置すること、
を特徴とするステータ。
【請求項3】
請求項2に記載するステータにおいて、
前記切込孔の両端部に破れ防止孔が形成されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載するいずれか一つのステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータに流体を流入させるための流体孔が形成されていること、
を特徴とするステータ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載するいずれか一つのステータにおいて、
前記個別絶縁インシュレータの角部が面取りされていること、
を特徴とするステータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−34330(P2013−34330A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169670(P2011−169670)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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