説明

ストリップ包装体

【課題】内容物の取り出しをPTP包装と同様に積層フィルムを容易に突き破って取り出すことができ、その際に内容物が飛び出すことがなく、また、輸送時の安全性にも優れたストリップ包装体を提供する。
【解決手段】錠剤等の内容物の両側を積層フィルムで挟み、内容物の周囲をヒートシールして連続形式に個包装するストリップ包装体であって、該積層フィルムを基材フィルム、接着層、AL箔、アンカーコート層、ポリエチレン系樹脂層を順に積層して形成し、該AL箔の厚みを 7〜20μm、該ポリエチレン系樹脂層の厚みを 5〜50μmの範囲とし、前記各個包装の片側の積層フィルムの外面に、封入された内容物と重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部を除く位置に、内容物の最大径と同一長さから 3.5倍の長さのハーフカット線を少なくとも一本設け、該ハーフカット線部を突き破って内容物を取り出す際の突き破り強度を13.0〜30.0Nの範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ包装体に関し、更に詳しくは、主に医薬品などの錠剤を積層フィルムで連包形式などに個包装するストリップ包装体において、内容物を取り出す際の開封が容易で、且つ開封時に内容物を飛び出しにくくしたストリップ包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品などの錠剤やカプセル等の個包装には、主に、ストリップ包装またはPTP(press through pack)と呼ばれる包装形態が採られてきた。
上記PTPは、錠剤等を収納するポケット成形側の材料に比較的厚みのあるプラスチックシートを使用し、ポケット開口部を封止する蓋材にはアルミニウム箔を主体とする薄い積層材を用いているので、包装体に剛性があり、錠剤等の内容物の保護性に優れると共に、内容物を取り出す際にはポケット側から蓋材側に押すことにより内容物で容易に蓋材を突き破って内容物を取り出すことができる。
しかし、PTP形式の包装は、その生産性をよくするため、通常、シートへのポケットの成形、内容物の充填、そして、蓋材のシールなどをインラインで行う包装機を使用しており、包装機が高価になり、包装材料費も含めて包装コストが高くなる問題があった。
【0003】
これに対して、ストリップ包装は、包装材料が積層フィルムのみでポケットの成形も行わないため、包装機が安価で包装材料費も比較的安く、包装コストを安くできるメリットがある。しかし、ストリップ包装体は、内容物を取り出す際の開封方法として、例えば、周囲のヒートシール部の外側端部にノッチや微細な傷痕群、或いは、ぎざぎざの切断端などを設け、そこから積層フィルムを引き裂いて開封する方法を採っていた。この場合、開封自体は比較的容易であるが、開口部が大きく且つ引き裂き位置が安定しにくいため、錠剤などの内容物が飛び出し、汚したり、紛失したりする問題があった。
【0004】
このような問題を解決する方法として、内容物の取り出しにフィルムを引き裂くのではなく、内容物を包装フィルムの外側から指先で押し出して簡単に取り出すことができるようにしたストリップ包装用フィルムが提案されている。
このようなストリップ包装用フィルムとして、具体的には、「全面に微細な多数の孔を形成した厚さが10〜30μmのポリテレフタル酸エチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムに厚さが10〜40μmのシーラント層を積層してなるストリップ包装用フィルムであって、上記孔はシーラント層に向って逆円錐又は逆角錐状あるいは逆円錐台又は逆角錐台状に形成されてシーラント層との積層面で15μmφ以下の径を有し、かつ該孔を1cm2 当たり400〜3000個設けてなることを特徴とするストリップ包装用フィルム。」がある(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されたストリップ包装用フィルムは、前記のようにシーラント層を除く表面のフィルム全面に前記のような孔を多数設けているので、錠剤などの内容物を取り出す際のフィルムの突き破りは容易になるが、包装体としての防湿性の低下が大きくなる問題があった。
【特許文献1】登録実用新案第3035529号公報(第2頁〜第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、医薬品等の錠剤などを積層フィルムで連包形式などに個包装するストリップ包装体において、内容物を取り出す際にPTP包装と同様な突き破りによる易開封性を付与すると同時に、開封時の内容物の飛び出しを防止し、更に輸送時などの破損も防止できるストリップ包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、錠剤等の内容物の両側を積層フィルムで挟み、内容物の周囲をヒートシールして連続包装形式に個包装されるストリップ包装体において、該積層フィルムが、基材フィルムとアルミニウム箔とを押し出しラミネート法またはドライラミネート法で貼り合わせた後、該アルミニウム箔面にアンカーコート層を介してシーラント層のポリエチレン系樹脂層を押し出しコート法または押し出しラミネート法で積層して形成され、前記アルミニウム箔の厚みが7〜20μmの範囲で、且つ前記ポリエチレン系樹脂層の厚みが5〜50μmの範囲であり、また、前記各個包装の片側の積層フィルムの外面には、封入された内容物と重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部を除く位置に、内容物の最大径と同一長さから3.5倍の長さのハーフカット線が少なくとも一本設けられ、該ハーフカット線部を突き破って内容物を取り出す際の突き破り強度が13.0〜30.0Nの範囲であることを特徴とするストリップ包装体からなる。
尚、本発明において、上記突き破り強度は、テンシロン試験機の圧縮試験モードを利用して、図5に示した方法で測定したものであり、測定方法の詳細は、後記段落番号〔0025〕、〔0026〕の図5の説明に記載した通りである。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記ハーフカット線が、少なくとも基材フィルムを貫通しアルミニウム箔はカットしない深さに設けられていることを特徴とする請求項1記載のストリップ包装体からなる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記アルミニウム箔面にシーラント層のポリエチレン系樹脂を積層する際に設けるアンカーコート層が、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のストリップ包装体からなる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、ストリップ包装体を前記のように構成しているので、以下に列挙するような作用効果が得られる。
(1)包装体の積層フィルムを、外側から基材フィルム、アルミニウム箔、シーラント層のポリエチレン系樹脂層が順に積層された構成としているので、基材フィルムにより必要な各種機械的強度や印刷適性が付与され、中間層のアルミニウム箔により優れたガスバリヤー性、防湿性、遮光性が付与され内容物の保存性が高められ、また、シーラント層のポリエチレン系樹脂層により優れたヒートシール性が付与され、これらの性能に優れたストリップ包装体とすることができる。
(2)前記積層フィルムのアルミニウム箔の厚みを7〜20μmの範囲とし、且つポリエチレン系樹脂層の厚みを5〜50μmの範囲としているので、両者の厚みの組み合わせを適宜に選定することにより、包装体を突き破って内容物を取り出す際の開封し易さと、開封時の内容物の飛び出しを防止する効果と、輸送時などの包装体の破損を防止する強度とをバランスよく兼ね備えたストリップ包装体とすることができる。
(3)また、前記各個包装の片側の積層フィルムの外面には、封入された内容物と重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部を除く位置に、内容物の最大径と同一長さから3.5倍の長さのハーフカット線が少なくとも一本設けられ、該ハーフカット線部を突き破って内容物を取り出す際の突き破り強度が13.0〜30.0Nの範囲となる構成としているので、包装体に封入された内容物を取り出す際に、内容物をハーフカット線部に向けて背面側から押すことにより、一層容易に安定した力でハーフカット線部を突き破って開封することができ、また、開封時の内容物の飛び出し防止効果、および輸送時などの包装体の破損防止効果についても良好で安定した性能のストリップ包装体とすることができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明のストリップ包装体の構成において、前記ハーフカット線が、少なくとも基材フィルムを貫通しアルミニウム箔はカットしない深さに設けられた構成としているので、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、アルミニウム箔による優れたバリヤー性を維持しながら、封入された内容物を包装体を突き破って取り出す際の開封のし易さを一層確実に得られるようになる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2に記載した発明のストリップ包装体の構成において、前記アルミニウム箔面にシーラント層のポリエチレン系樹脂層を積層する際に設けるアンカーコート層が、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤で形成された構成としているので、請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、アルミニウム箔にポリエチレン系樹脂層をラミネートした時のラミネート強度が、強くなりすぎず且つ弱くなりすぎることもなく中程度のラミネート強度にすることができる。このため、包装体に封入された内容物を取り出す際に、ハーフカット線部を内容物を押して突き破ると、断裂した積層フィルムの破断端に沿ってポリエチレン系樹脂層の剥離(デラミネーション)が発生し、その部分でポリエチレン系樹脂層が引き伸ばされて破断され、不規則な破断端が形成されるため、これが内容物の飛び出し防止の作用をし、開封時の内容物の飛び出し防止効果を一層確実に得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のストリップ包装体は、例えば、図1に示すような構成の積層フィルムを錠剤などの内容物の両側にそのポリエチレン系樹脂層同士が対向するように配置し、内容物の周囲で両者をヒートシールして製造することができる。
即ち、図1は、本発明のストリップ包装体に用いる積層フィルムの構成を示す模式断面図であり、図1に示した積層フィルム10は、包装体にした時の外側(図において上側から、基材フィルム1、接着層2、アルミニウム箔3、アンカーコート層4、ポリエチレン系樹脂層5を順に積層して構成したものであり、また、積層フィルム10の外面側には、前記ハーフカット線6を少なくとも基材フィルム1を貫通しアルミニウム箔はカットしない深さに設けて構成したものである。
【0014】
前記基材フィルム1としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどのほか、防湿セロハン、紙、合成紙などを使用することができる。
【0015】
前記接着層2は、基材フィルム1とアルミニウム箔3とを貼り合わせる方法によって異なり、両者を押し出しラミネート法(所謂、サンドイッチラミネート法)で貼り合わせる場合は、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、低密度ポリエチレンなどを単独、またはこれらにハードレジンなどの接着性向上剤をブレンドした樹脂などを使用することができる。この場合、図には示していないが、基材フィルム1の貼り合わせ面に更にアンカーコート層を設けてもよい。このアンカーコート層は、特に限定はされないが、基材フィルム1と接着層2の接着性を一層向上させるために設けるものであり、例えば、イソシアネート系アンカーコート剤などを好適に使用することができる。
また、基材フィルム1とアルミニウム箔3とをドライラミネート法で貼り合わせてもよく、その場合は接着層2として、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤などを使用することができる。
【0016】
前記アルミニウム箔3は、厚みが7〜20μmの範囲のものを使用するが、錠剤などの内容物を取り出す際に、内容物の飛び出しを一層確実に防止するためには、厚みが12〜20μmの範囲のアルミニウム箔を使用することがより好ましい。
アルミニウム箔の厚みが7μm未満の場合は、包装体を開封する際の開封性は良いが、ピンホールが発生しやすくバリヤー性が低下し、また、包装体開封時の内容物の飛び出し防止効果も得にくくなり、更には包装体の輸送時などにアルミニウム箔に亀裂などの損傷が発生しやすくなるため好ましくない。また、アルミニウム箔の厚みが20μmを超える場合は、バリヤー性および内容物の飛び出し防止効果は十分に得られるが、包装体の開封性が低下し、また、包材コストも高くなるため好ましくない。
【0017】
前記アンカーコート層4は、アルミニウム箔3面にアンカーコート剤を塗布し、加熱乾燥して形成するものであり、このようなアンカーコート層4に使用するアンカーコート剤(以下、AC剤と記載する)は、基本的には特に限定はされず、公知の有機チタン系AC剤、ポリエチレンイミン系AC剤、イソシアネート系AC剤(ウレタン系)、ポリブタジエン系AC剤のほか、ポリオレフィン共重合体を水に分散した水性ポリオレフィン共重合体系AC剤など、いずれも使用することができる。
只、本発明のストリップ包装体に使用する積層フィルム10では、アンカーコート層4面に積層されるポリエチレン系樹脂層5のラミネート強度は、前述したように、強すぎず弱すぎず、中程度の強度であることがより好ましく、そのためにはポリエチレンイミン系AC剤を使用することが一層好ましい。
【0018】
前記ポリエチレン系樹脂層5は、シーラント層となるものであり、前記アンカーコート層4面に、ポリエチレン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリエチレン系樹脂フィルムを同様なポリエチレン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成することができる。
このようなポリエチレン系樹脂層5に使用する樹脂としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレンのほか、直鎖状低密度ポリエチレン、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどを好適に使用することができる。
ポリエチレン系樹脂層5の厚みは、5〜50μmの範囲が好ましく、20〜40μmの範囲が更に好ましい。ポリエチレン系樹脂層の厚みが5μm未満の場合は、ヒートシール強度がやや弱く且つ不安定になりやすいので好ましくない。また、ポリエチレン系樹脂層の厚みが50μmを超える場合は、ヒートシール強度は十分に得られ、包装体開封時の内容物の飛び出し防止効果も良くなるが、包装体開封時の突き破り強度が大きくなり開封性が悪くなるので好ましくない。
【0019】
また、本発明において、ストリップ包装体の開封時の開封のし易さと、開封時に内容物が飛び出すのを防止する効果と、輸送時などに包装体が破損するのを防止する強度とをバランスよく包装体に兼ね備えさせるためには、前記積層フィルム10のアルミニウム箔3とポリエチレン系樹脂層5の厚みが、特に重要であり、例えば、アルミニウム箔の厚みが前記範囲のうち、7〜9μmのように薄い場合は、ポリエチレン系樹脂層の厚みを前記範囲のうち、20〜50μmのように厚くすることが好ましく、また、アルミニウム箔の厚みが12〜20μmのように比較的厚い場合は、ポリエチレン系樹脂層の厚みを5〜40μmのように薄めにすることが好ましい。
【0020】
前記ハーフカット線6は、少なくとも基材フィルム1を貫通する深さで、アルミニウム箔3は切らないように設けるものである。このようなハーフカット線6は、レーザー光照射による方法のほか、刃物を用いる機械的方法によっても設けることができる。いずれの方法を採用するかは、基材フィルムの種類により、適する方法を採用すればよく、例えば、基材フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合は、レーザー光照射による方法が簡便で且つ安定した深さのハーフカット線を設けることができる。また、基材フィルムが紙などの場合は、刃物を用いる機械的方法が焦げ目が付くこともない点で適している。
【0021】
次に、図2は、本発明のストリップ包装体の一実施例の構成を示す平面図である。
また、図3は、図2に示したストリップ包装体のA−A線断面図である。
尚、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの図面に限定されるものではない。
【0022】
図2、図3に示したストリップ包装体100は、図2に示すように、錠剤等の内容物Tが、縦方向に5個と横方向に2個、合計10個がそれぞれ所定の間隔をおいて配置され、その両側を図1に示した構成の積層フィルム10、10′で挟み、個々の内容物Tの周囲をヒートシール部11でヒートシールして、連続包装形式に個包装したものである。
また、この場合、各個包装の片側(図2では前面側)の積層フィルム10の外面には、封入された内容物Tと重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部11を除く位置に、内容物Tの最大径の約1.6倍の長さの直線状のハーフカット線6が一本設けられており、更に、各個包装の間には、それぞれの個包装の切り離しを容易にするためのミシン目線状の断続的な切り目線12を設けて構成したものである。
【0023】
尚、前記ハーフカット線6は、例えば、内容物Tを包装する前の巻き取り状の積層フィルム10に予め設けることができる。その場合、図には示していないが、ハーフカット線6と内容物Tの充填位置を位置合わせするための制御用マークなどを積層フィルム10に印刷することができる。
【0024】
また、図4の(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のストリップ包装体に設けるハーフカット線の別の形状を示す平面図であり、(ハ)は、ハーフカット線の応用例の形状を示す平面図であある。
図4の(イ)に示したハーフカット線は、個包装された包装体の片側(図において前面側)の積層フィルム10の外面に、錠剤等の内容物Tと重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部11を除く位置に内容物Tの最大径の略1.6倍の長さの直線状のハーフカット線6を二本、その中心部で互いに直交する形状に設けて構成したものである。尚、前記二本のハーフカット線6は、必ずしも直交する形状でなくてもよい。
図4の(ロ)に示したハーフカット線は、前記(イ)と同様な直線状のハーフカット線6を更に一本増やして、三本のハーフカット線6がその中心部で互いに等しい角度で交差する形状に設けて構成したものである。この場合も前記三本のハーフカット線6が交差する角度は必ずしも等しい角度でなくてもよい。
また、図4の(ハ)に示したハーフカット線は、ハーフカット線の応用例の形状を示すものであり、個包装された包装体の片側(図において前面側)の積層フィルム10の外面に、錠剤等の内容物Tと重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部11を除く位置に内容物Tの最大径の略0.8倍の長さの直線状のハーフカット線6三本を、それぞれの一端が内容物Tの中心部で交わり、そこから外方に向けて等しい角度で放射状に広がる形状に設けて構成したものである。
【0025】
図5は、本発明のストリップ包装体に封入された内容物を、その積層フィルムを突き破って取り出す際の突き破り強度を測定する方法を説明する要部の拡大断面図である。
本発明において、ストリップ包装体に個包装された錠剤等の内容物を取り出す際には、内容物を密封している両側の積層フィルムのうち、前記ハーフカット線を設けていない方の積層フィルムの外側から、ハーフカット線を設けた方の積層フィルムに向けて指で内容物を押し、内容物によって積層フィルムに設けられたハーフカット線部を突き破って取り出すように、包装体を設計したものである。
従って、包装体の突き破り強度の測定方法は、上記の設計主旨にできるだけ合致した方法であることが望ましく、そのために、以下に記載する図5に示した方法を採ったものである。
【0026】
即ち、図5において、下側に示した試料固定具21aと試料固定具21bの間に測定試料となる包装体を、そのハーフカット線6が設けられた積層フィルム10が下側に位置するように周囲のヒートシール部の領域で締め付けて固定すると共に、上側に示したような取り付け用支柱の下端に下面に平面部が設けられた半球状の突き破り試験用ヘッド20が設けられた突き破り具を、その突き破り試験用ヘッド20が包装体に密封された内容物Tに向くように試験装置に取り付けて、所定の速度で突き破り試験用ヘッド20を下降させて内容物Tを下方に押し、内容物Tで積層フィルム10のハーフカット線6部を突き破らせて、その突き破りに必要とした最大荷重を記録して突き破り強度としたものである。
尚、上記突き破り試験には、テンシロン万能試験機〔(株)エー・アンド・デイ社製 型式:SAT−1150〕を用い、その圧縮試験装置を利用して測定したものであり、前記試料固定具21a、21bを圧縮試験装置の下側の固定盤に取り付け、突き破り試験用ヘッド20はその取り付け用支柱を圧縮試験装置の上側昇降盤に取り付けて測定したものである。
前記突き破り試験用ヘッド20は、上面が直径10mmの円形で下面に直径6mmの円形の平面部を設けた半球状の形状とし、また、試料固定具21a 、21b は、それぞれ厚みが4mmの金属板でその中央部が直径23mmの円形に切り欠かれた形状で、両者の間に試料の包装体の周囲のヒートシール部を挟んで、四隅をボルトとナットなどで締め付けできる構成とし、突き破り試験用ヘッド20の下降速度は50mm/分で測定した。
また、測定試料の包装体は、図2、図3に示した形状で、個々の包装体は、一辺が36mmの正方形で、その中心部に直径が10mmの円形で縦断面の最大部の厚みが5mmの楕円形状の錠剤が内容物Tとして封入され、周囲が中心部に直径23mmの円形の非シール部を残してヒートシール部11でヒートシールされると共に、包装体の片側の積層フィルム10の外面に、封入された内容物Tと重なる位置で前記円形の非シール部の領域内に長さが16mmの直線状のハーフカット線6を一本、前記積層フィルム10の中間層のアルミニウム箔を切らない深さに設けて構成したものである。
【0027】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0028】
図1に示した構成の積層フィルム10を用いて、図2、図3に示した構成の連続包装形式のストリップ包装体100を作製することとし、積層フィルム10以外の構成は以下の構成で共通とし、積層フィルム10の構成のみを以下のように変更して実施例1〜20のストリップ包装体を作製した。
即ち、個々の包装単位の形状は、縦・横が各36mmの正方形で、縦方向に5個と横方向に2個、合計10個の個包装体がそれぞれミシン目線状の断続的な切り目線12を介して連接された構成であり、各個包装体には、その中心部に内容物Tとして、直径10mmの円形で縦断面が最大部の厚みが5mmの楕円形状の錠剤1個が封入されると共に、その外側周囲が、中心部に直径23mmの円形の非シール部を残してヒートシール部11で両側の積層フィルム10、10′をヒートシールして密封され、また、各個包装体の片側の積層フィルム10の前記非シール部の領域には、内容物Tと重なる位置に長さが16mmの直線状のハーフカット線6を一本、積層フィルム10の外側の基材フィルム1を貫通し、中間層のアルミニウム箔3はカットしない深さに設けた構成とした。
そして、積層フィルム10の構成としては、基材フィルム1には厚みが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載する)を用い、その貼り合わせ面にはイソシアネート系のアンカーコート層を追加して設け、そのPETフィルムのアンカーコート層面とアルミニウム箔(以下、AL箔と記載する)3(厚み7〜20μm)とを接着層2としてエチレン・メタクリル酸共重合体を厚み5μmに用いて押し出しラミネート法で貼り合わせ、次いで、そのAL箔3面にアンカーコート層4としてポリエチレンイミン系のアンカーコート層を設け、そのアンカーコート層面にシーラント層となるポリエチレン系樹脂層5として低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記載する)層またはエチレン・メタクリル酸共重合体(以下、EMAAと記載する)層(厚み5〜50μm)を押し出しコートして積層した構成とした。
(上記積層フィルムの構成)
PETフィルム(厚み12μm)/イソシアネート系アンカーコート層(厚み0.5μm)/EMAA層(厚み5μm)/AL箔(厚み7〜20μm)/ポリエチレンイミン系アンカーコート層(厚み0.5μm)/LDPE層またはEMAA層(厚み5〜50μm)
上記積層フィルムの構成において、AL箔の厚みと、シーラント層のLDPE層またはEMAA層の厚みのみを、表1に記載したように変更して積層フィルムを作製し、その積層フィルムを用いて前記のような構成に加工して実施例1〜実施例20のストリップ包装体を作製した。
【0029】
上記のように作製した実施例1〜実施例20のストリップ包装体を試料として、開封時の操作性、具体的には各個包装体のハーフカット線部を内容物を外側から押して突き破る際の「突破り易さ」と、その時の内容物の「飛出し難さ」、そして、包装体の「突破り強度」及び輸送時の安全性、具体的には「AL箔の破損のし難さ」について、以下の方法で評価し、その結果を表1にまとめて示した。
【0030】
(1)開封時の操作性、「突破り易さ」と「飛出し難さ」の評価方法
各試料の包装体の内容物を、ハーフカット線を設けていない側の積層フィルムの外側からハーフカット線に向けて指で押し、ハーフカット線部を突き破った時の力の掛け方の大小で「突破り易さ」を評価し、また、その時に、突き破りと同時に内容物が勢いよく飛び出すことがなかったどうか、「飛出し難さ」の程度を官能評価した。
「突破り易さ」の評価基準
◎:軽い力で簡単に突き破ることができたもの
○:普通の力で特に問題なく突き破ることができたもの
△:突き破りに多少力を要するが、特に厄介ではなく実用上問題のないもの
「飛出し難さ」の評価基準
◎:包装体を突き破った時に、内容物が飛び出さず、破断部に確実に保持されていたもの
○:包装体を突き破った時に、内容物が飛び出さず、破断部に軽く係止されていたもの
△:包装体を突き破った時に、内容物が飛び出すことはないが、簡単にこぼれ落ちる程度のもの
【0031】
(2)包装体の「突破り強度」の測定方法
図5および段落番号〔0025〕、〔0026〕に記載した突き破り強度の測定方法による。
【0032】
(3)輸送時の安全性、特に「AL箔の破損のし難さ」の評価方法
各試料のストリップ包装体20シート(錠剤数は200個)ずつをカートンに収納し、更に、そのカートンを段ボール箱に詰め合わせてトラックに混載し、500kmの輸送試験を行った後、それぞれのストリップ包装体を取り出して目視により、特にAL箔の折れ曲がり、亀裂の発生などの損傷を調べた。
「AL箔の破損のし難さ」の評価基準
◎:AL箔に折れ曲がり、或いは亀裂の発生などの損傷が全くないもの
○:AL箔に亀裂などの損傷はないが、包装体の周囲のヒートシール部の一部にAL箔を含むシートの僅かな曲がりなどの変形が発生したもの
△:AL箔に亀裂などの損傷はないが、包装体の周囲のヒートシール部にAL箔を含むシートの曲がりなどの変形がやや多かったもの、但し、実用上は問題のない程度のもの
【0033】
【表1】

【0034】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜実施例20のストリップ包装体は、いずれも開封時の包装体の「突破り易さ」および内容物の「飛出し難さ」、そして、輸送の安全性、具体的には「AL箔の破損のし難さ」について、良好ないし悪くても実用上問題のない結果が得られており、また、「突破り強度」の測定結果についても14.5〜26.7Nの範囲であり、規定した13.0〜30.0Nの範囲をクリアーしており、課題とした突き破りによる易開封性と開封時の内容物の飛び出し防止性、および輸送時などの破損の防止性を兼ね備えたストリップ包装体を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のストリップ包装体は、前述したように、主に医薬品などの錠剤用の包装体として好適に使用できるものであるが、その性能を有効に利用できる用途であれば、内容物の種類、用途などに関して特に制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のストリップ包装体に用いる積層フィルムの構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明のストリップ包装体の一実施例の構成を示す平面図である。
【図3】図2に示したストリップ包装体のA−A線断面図である。
【図4】(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のストリップ包装体に設けるハーフカット線の別の形状を示す平面図であり、(ハ)は、ハーフカット線の応用例の形状を示す平面図である。
【図5】本発明のストリップ包装体に封入された内容物を、その積層フィルムを突き破って取り出す際の突き破り強度を測定する方法を説明する要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 基材フィルム
2 接着層
3 アルミニウム箔
4 アンカーコート層
5 ポリエチレン系樹脂層
6 ハーフカット線
10、10′ 積層フィルム
11 ヒートシール部
12 ミシン目線状の断続的な切り目線 20 突き破り試験用ヘッド
21a 、21b 試料固定具 100 ストリップ包装体
T 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤等の内容物の両側を積層フィルムで挟み、内容物の周囲をヒートシールして連続包装形式に個包装されるストリップ包装体において、該積層フィルムが、基材フィルムとアルミニウム箔とを押し出しラミネート法またはドライラミネート法で貼り合わせた後、該アルミニウム箔面にアンカーコート層を介してシーラント層のポリエチレン系樹脂層を押し出しコート法または押し出しラミネート法で積層して形成され、前記アルミニウム箔の厚みが7〜20μmの範囲で、且つ前記ポリエチレン系樹脂層の厚みが5〜50μmの範囲であり、また、前記各個包装の片側の積層フィルムの外面には、封入された内容物と重なる位置で、且つ周囲のヒートシール部を除く位置に、内容物の最大径と同一長さから3.5倍の長さのハーフカット線が少なくとも一本設けられ、該ハーフカット線部を突き破って内容物を取り出す際の突き破り強度が13.0〜30.0Nの範囲であることを特徴とするストリップ包装体。
【請求項2】
前記ハーフカット線が、少なくとも基材フィルムを貫通しアルミニウム箔はカットしない深さに設けられていることを特徴とする請求項1記載のストリップ包装体。
【請求項3】
前記アルミニウム箔面にシーラント層のポリエチレン系樹脂層を積層する際に設けるアンカーコート層が、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のストリップ包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−201437(P2008−201437A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38453(P2007−38453)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】