説明

ストリップ材を備えた窓組立体の製造方法と該方法に用いるストリップ中間材及びその製造方法

【課題】窓板の裏面側に接合されるストリップ材の接合位置を所定の基準位置に保って窓板の裏面側に正しく該ストリップ材を装着し得る窓組立体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明により提供される窓組立体1の製造方法は、長尺なストリップ材本体部21と位置決め基準片部60とを有するストリップ中間材20Aを用意する工程、該位置決め基準片部を窓板10の外周縁14に係止させてストリップ中間材を窓板の外周縁に一定の関係を保って接合する工程、及び、ストリップ材本体部の接合部を窓板の被接合部に接合した後に位置決め基準片部を分離してストリップ材本体部から除去する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される、ストリップ材を備えた窓組立体を製造する方法に関する。また本発明は、かかる製造方法に用いるストリップ材の中間材(ストリップ中間材)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ガラスからなる窓板と、長尺なストリップ材(モールディング、ガスケット、フレーム(枠)等と呼ばれることもあり、接着兼シール作用を呈するシーラントの所定位置からのはみ出し防止を目的とするものではダムラバーと呼称される場合もある。以下、これらを総称して「ストリップ材」という。)とを備えた窓組立体(「モジュールウインドウ」、「モジュラーウインドウ」と呼ばれることもある。)が知られている。かかるストリップ材は、種々のポリマー材料を典型的には押出成形することによって形成され、窓板の外周縁に沿って装着される部材である。
このような窓組立体は、車両または建築物や工作物等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される。例えば特許文献1には、自動車用ウインドウモールの一例が記載されている。この特許文献1には、上記窓板の外周縁に沿って装着されるストリップ材として、窓板の裏面に係止すると共に接合されて位置決めされるストリップ材が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−118669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるような構造のストリップ材では、窓板の外周縁の端面と接触する部分がないために(換言すれば、窓板の面方向と平行する方向に位置を定める手段がないために)、外周縁に沿って上記端面から一定寸法を保った所定位置に正確に接合するのが困難であった。即ち、この種のストリップ材では、窓板裏面側の所定の接合位置から面方向と平行な方向に位置ずれが生じる虞があった。かかるストリップ材の位置ずれは、窓板の装着状態が車体毎に異なる要因となり得、延いては車両間での窓板装着に関する美観や品質の同一性が維持されなくなる虞があり、好ましくない。また、上記ストリップ材の窓開口縁へ当接する部分の弾発力が上記位置ずれによって異なる場合、当該弾発力の違いにより車両毎に窓板組立体の装着状態が異なる結果となり得、結果、一部の車両において(例えば上記間隔寸法が最大となる車両や最小となる車両において)窓板組立体の装着不良が生じる虞があり、好ましくない。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、窓板の裏面側に接合されるストリップ材の接合位置を所定の基準位置に保って窓板の裏面側に正しく該ストリップ材を装着し得る窓組立体の製造方法を提供することである。また、他の目的は、そのような製造方法の実施に適したストリップ材の中間材(ストリップ中間材)を提供することである。また、他の目的は、そのようなストリップ中間材を好適に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するべく本発明によって窓組立体の製造方法が提供される。
即ち、請求項1の発明は、表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する方法である。そして本発明の製造方法は、以下に記す各工程を包含する。
(a).長尺なストリップ材本体部と、長手方向で該本体部と平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に連結部を介して前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部とを有するストリップ中間材を用意する工程。
(b).前記位置決め基準片部を窓板の外周縁に係止させて前記ストリップ中間材を該窓板の外周縁に一定の関係を保って仮配置した状態で、前記ストリップ中間材のストリップ材本体部における少なくとも接合部を前記窓板の裏面の被接合部に接触させ、該接合部を該窓板の被接合部に接合する工程。および
(c).前記ストリップ材本体部の接合部を前記窓板の被接合部に接合した後に、前記位置決め基準片部を前記連結部で分離してストリップ材本体部から除去する工程。
【0007】
かかる構成の請求項1に記載の窓組立体製造方法では、前記ストリップ中間材(即ち、前記位置決め基準片部を分離する前のプレ・ストリップ材)が、上述の構成、即ち位置決め基準片部を備えるので、窓板の外周縁の端面を基準として位置決め基準片部を利用(係止)してストリップ中間材を窓板の被接合部に接合する。このため、前記外周縁端面からの距離(寸法)を長手方向で一定に保って所定の位置の被接合部にストリップ材本体部(即ちストリップ材)を正確に接合することができる。従って、請求項1の製造方法によると、所望する正確な位置にストリップ材を接合し、品質の安定した窓組立体を製造することができるという効果が得られる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の窓組立体製造方法において、前記ストリップ中間材を用意する工程は、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から前記ストリップ中間材を構成する長尺な成形体を押出成形する工程と、該押出成形された前記成形体を所定の長さに切断して前記ストリップ中間材を得る工程とを包含することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項2の製造方法によると、請求項1の製造方法の奏する効果に加えて、所望する形状のストリップ中間材を容易に成形できるという効果が得られる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の窓組立体製造方法において、前記窓板は、前記中心位置から第1の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置する第1と第2の外周縁と、前記中心位置から該第1の方向と直交する第2の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置し該第1と第2の外周縁とそれぞれ交差する方向の第3と第4の外周縁を有しており、前記ストリップ中間材を、前記第1から第4の外周縁のうちの少なくともいずれか一つの外周縁に沿って接合することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項3の窓組立体製造方法によると、請求項1又は2の製造方法の奏する効果に加えて、矩形状窓板の少なくともいずれか一つの外周縁に沿ってストリップ中間材を正確に位置決めが行えるという効果が得られる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの窓組立体製造方法において、前記窓板は、前記中心位置から第1の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置する第1と第2の外周縁と、前記中心位置から該第1の方向と直交する第2の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置し該第1と第2の外周縁とそれぞれ交差する方向の第3と第4の外周縁を有しており、前記ストリップ中間材を少なくとも前記第1の外周縁、第2の外周縁および第3の外周縁に沿ってそれぞれ接合し、ここで第1の外周縁に沿って接合される第1ストリップ中間材の本体部の該第1の外周縁の長手方向の一方の端末部分と、第3の外周縁に沿って接合される第3ストリップ中間材の該第3の外周縁の長手方向の第1の外周縁に近接する方の端末部分とが、所定の交差角度を有して接合され、且つ、第2の外周縁に沿って接合される第2ストリップ中間材の該第2の外周縁の長手方向の一方の端末部分と、第3の外周縁に沿って接合される第3ストリップ中間材の該第3の外周縁の長手方向の第2の外周縁に隣接する方の端末部分とが、所定の交差角度を有して接合され、且つ、前記各端末部分において各ストリップ中間材の前記位置決め基準片部が相互に干渉しないように長手方向に所定の長さだけ除去されることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項4の窓組立体製造方法によると、請求項1〜3のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、矩形状窓板のコーナー部分で位置決め基準片部同士の干渉がなく、矩形状窓枠の3ヶ所の外周縁に沿ってストリップ中間材をほぼ門形(窓板を正面から見たときに門形)に容易に接合することができるという効果が得られる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの窓組立体製造方法において、前記位置決め基準片部を前記連結部で分離する際に、前記連結部に前記本体部から離れる方向の外力を加えることによって前記連結部を破断することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項5の窓組立体製造方法によると、請求項1〜4のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、位置決め基準片部を前記連結部で容易に分離し得るという効果が得られる。
【0012】
また、上記目的を実現するべく本発明によって窓組立体製造方法において好ましく利用し得るストリップ中間材を提供する。
即ち、請求項6の発明は、表面と裏面、及び外周縁を有する窓板の該裏面に接合され、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されるストリップ中間材である。このストリップ中間材は、長尺なストリップ材本体部と、該本体部と長手方向で平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部と該本体部と前記位置決め基準片部とを連結する連結部とを有する。そして、前記ストリップ材本体部は、該窓板の裏面上に外周縁に沿って形成された被接合部と接合される接合部を有し、前記位置決め基準片部は、前記窓板の少なくとも外周縁端面に係止及び係止の解除可能な側片を有することを特徴とする。
かかる構成の請求項6のストリップ中間材は、前記位置決め基準片部を窓板の外周縁の端面に係止させて当該中間材を位置決めし、その状態で窓板の外周縁端面から一定の距離を保って前記接合部を窓板の裏面の被接合部に正確に接合することができる。従って、請求項6のストリップ中間材によると、窓板の裏面上の所望する正確な位置にストリップ材(本体部)を接合することができるため、品質の安定した窓組立体を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6のストリップ中間材において、前記連結部は、前記位置決め基準片部に対して前記ストリップ材本体部を回転状に変位可能に構成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項7のストリップ中間材によると、容易に変位可能であるため、請求項6のストリップ中間材の奏する効果に加えて、ストリップ中間材を窓板の裏面上の所望する正確な位置に効率よく接合することができるという効果が得られる。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6又は7のストリップ中間材において、前記位置決め基準片部は、少なくとも前記窓板の外周縁の端面と係止可能な側片と窓板の裏面に係止可能な下片とで横断面形状が略L字形の係止部を有することを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項8のストリップ中間材によると、請求項6又は7のストリップ中間材の奏する効果に加えて、窓板の外周縁端面から一定の位置でのストリップ中間材の接合作業が容易に行えるという効果が得られる。
【0015】
請求項9の発明は、請求項6又は7のストリップ中間材において、前記位置決め基準片部は、少なくとも前記窓板の外周縁の表面と端面と裏面にそれぞれ係止可能な横断面形状が略U字形の係止部を有することを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項9のストリップ中間材によると、請求項6又は7のストリップ中間材の奏する効果に加えて、前記係止部のU字形部分に窓板の外周縁を差し込むことにより、窓板にストリップ中間材を仮配置(典型的には仮固定)する作業を簡単に行うことができると効果が得られる。
【0016】
請求項10の発明は、請求項6〜9のいずれかのストリップ中間材において、前記連結部には、前記位置決め基準片部を折り曲げる力よりも小さい力で折り曲げ可能な折り曲げ容易部が形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項10のストリップ中間材によると、請求項6〜9のストリップ中間材の奏する効果に加えて、ストリップ中間材を連結部で容易且つ確実に折り曲げてストリップ中間材の本体部を回転変位させ窓板の裏面上の正確な位置に接合し得るという効果が得られる。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10のストリップ中間材において、前記折り曲げ容易部は、前記連結部の長手方向に沿って形成された凹溝により前記位置決め基準片部よりも薄肉に形成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項11のストリップ中間材によると、請求項10のストリップ中間材の奏する効果に加えて、接合後に前記薄肉部で位置決め基準片部を容易に分離し得るという効果が得られる。特に好ましくは、請求項12の発明のように、溝が形成された前記薄肉部分の厚さが0.01mm〜0.5mmの範囲に設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項10〜12のいずれかのストリップ中間材において、前記折り曲げ容易部には、前記ストリップ材本体部と前記位置決め基準片部との間を分離する分離部と、前記ストリップ材本体部と前記位置決め基準片部との間を連結する非分離部とが、長手方向に沿って交互に複数個形成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項13のストリップ中間材によると、請求項10〜12のストリップ中間材の奏する効果に加えて、前記分離部と非分離部とが交互に形成された部分(即ちミシン目部分)において、より容易に正確な位置で位置決め基準片部を分離し除去し得るという効果が得られる。
【0019】
請求項14の発明は、請求項13のストリップ中間材において、前記複数の非分離部は、厚さと長さが同一に形成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項14のストリップ中間材によると、請求項13のストリップ中間材の奏する効果に加えて、長手方向に沿い一定の外力で非分離部を破断して位置決め基準片部を分離し除去し得るという効果が得られる。
【0020】
請求項15の発明は、請求項6〜14のいずれかのストリップ中間材において、前記位置決め基準片部及び前記連結部は、ストリップ材本体部を構成するポリマー材料よりも硬度が高く且つ破断伸びが小さいポリマー材料から形成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項15のストリップ中間材では、位置決め基準片部を窓板の外周縁端面に係止させるとき、長手方向で蛇行せず正確な位置に係止できる。更に、破断部の千切れが発生した場合でも当該千切れ部分が長く延びないので窓板表面側から視認されない。従って、請求項15のストリップ中間材によると、請求項6〜14のいずれかのストリップ中間材の奏する効果に加えて、位置決め基準片部をより正確な位置に保って係止させることができ、更に破断部(即ち発生した千切れ部分)による窓板組立体の美観悪化を防止することができるという効果が得られる。
【0021】
請求項16の発明は、請求項6〜15のいずれかのストリップ中間材において、ストリップ材本体部の接合部には、外側に離型紙を付着させた感圧両面粘着テープが貼着されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項16のストリップ中間材によると、請求項6〜15のいずれかのストリップ中間材の奏する効果に加えて、接合が一層容易に行えるという効果が得られる。
【0022】
請求項17の発明は、請求項6〜16のいずれかのストリップ中間材において、窓板の外周縁におけるコーナー部分に対応する部分で、前記位置決め基準片部は、長手方向で隣接する他のストリップ中間材の位置決め基準片部との干渉が避けられる所定寸法だけ除去されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項17のストリップ中間材では、窓板コーナー部分で位置決め基準片部同士の干渉がない。従って、請求項17のストリップ中間材によると、請求項6〜16のいずれかのストリップ中間材の奏する効果に加えて、例えば矩形状の窓枠の外周縁に沿ってストリップ中間材をほぼ門形に容易に接合することができるという効果が得られる。
【0023】
請求項18の発明は、請求項6〜17のいずれかのストリップ中間材において、前記連結部は、前記位置決め基準片部を前記窓板外周縁に係止させたときに、前記窓板の外周縁端面から窓板の中心側に所定寸法だけ後退した位置になるように形成されていることを特徴とするストリップ中間材である。
かかる構成の請求項18のストリップ中間材では、連結部が窓板の表面側から視認されない。従って、請求項18のストリップ中間材によると、請求項6〜17のいずれかのストリップ中間材の奏する効果に加えて、連結部の存在による窓板組立体の美観悪化を防止することができるという効果が得られる。
【0024】
また、上記目的を実現するべく本発明によってストリップ中間材を好適に製造し得る方法を提供する。
即ち、請求項19の発明は、表面と裏面、及び外周縁を有する窓板の前記外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合される接合部を有するストリップ中間材を製造する方法である。かかる製造方法は、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から、長尺なストリップ材本体部と、該本体部と長手方向で平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部と、該本体部と前記位置決め基準片部とを連結する連結部とを有するストリップ中間材となる長尺な成形体を長手方向に連続して成形する工程と、該成形された前記成形体を所定の長さに切断して所望する長さの前記ストリップ中間材を得る工程とを包含する。
かかる構成の請求項19のストリップ中間材製造方法によると、上述したような効果を奏するストリップ中間材を製造することができる。
【0025】
請求項20の発明は、請求項19のストリップ中間材製造方法において、前記長尺な成形体を押出成形により長手方向に連続して形成することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項20のストリップ中間材製造方法によると、所望する横断面形状のストリップ中間材を容易に製造することができる。
【0026】
請求項21の発明は、請求項20のストリップ中間材製造方法において、前記位置決め基準片部は、前記本体部を形成するためのポリマー材料よりも硬度が高く且つ破断伸びが小さいポリマー材料により形成し、これらポリマー材料を用いて共押出成形により前記位置決め基準片部と前記本体部とを形成することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項21のストリップ中間材製造方法によると、請求項20のストリップ中間材製造方法の奏する効果に加えて、窓板に対するストリップ中間材の仮配置が位置決め基準片部により正確に行えると共に位置決め基準片部を破断等で分離して容易に除去可能なストリップ中間材を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0027】
請求項22の発明は、請求項20又は21のストリップ中間材製造方法において、前記押出成形で前記成形体を連続成形する工程に同期して、該連続成形される成形体の前記連結部に前記位置決め基準片部よりも小さい力で折り曲げ可能な折り曲げ容易部を連続的又は断続的に形成することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項22のストリップ中間材製造方法によると、請求項20又は21のストリップ中間材製造方法の奏する効果に加えて、前記連結部で容易且つ確実に折り曲げてストリップ中間材の本体部を回転変位させ窓板の裏面上の正確な位置に接合し得るストリップ中間材を製造することができるという効果が得られる。
【0028】
請求項23の発明は、請求項22のストリップ中間材製造方法において、前記連結部の長手方向に沿って前記連結部に凹溝を形成し、該凹溝により該連結部の厚さを前記位置決め基準片部よりも薄肉にした前記折り曲げ容易部を形成することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項23のストリップ中間材製造方法によると、請求項22のストリップ中間材製造方法の奏する効果に加えて、押出成形型のオリフィス形状を凹溝と反転形の突起形に製作することにより、ストリップ中間材を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0029】
請求項24の発明は、請求項22又は23のストリップ中間材製造方法において、前記連結部の長手方向に沿って前記連結部に前記本体部と前記位置決め基準片部との間を分離する分離部と、前記本体部と前記位置決め基準片部とを連結したままの非分離部とを長手方向に沿って交互に複数個形成した前記折り曲げ容易部を形成することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項24のストリップ中間材製造方法によると、請求項22又は23のストリップ中間材製造方法の奏する効果に加えて、前記分離部において連結部の破断が容易に行えるストリップ中間材を製造することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0031】
ここで開示される製造方法によって製造される窓組立体は、窓板と、窓板の裏面側の外周縁に沿って装着される長尺なストリップ材とを備えるものであり、その他のエレメント(付属部分や装飾)の有無に関しては特に制限はない。
ストリップ材に求められる一つの典型的な機能としては、所定の位置に取り付けられた窓板の外周縁と被取付体の窓開口縁との隙間を遮蔽する機能が挙げられる。当該ストリップ材は、上記のとおり遮蔽部材として機能することから、モールディング、ガスケット、フレームとも呼ばれることがある。
また、本製造方法によって製造される窓組立体は、車両または建築物もしくは工作物等の被取付体の窓開口に取り付けて好ましく使用されるが、特にこれらに限定するものではない。また、車両用としては、フロントウインドウ、ルーフウインドウ(サンルーフ)、リアウインドウ等、いかなる箇所の窓にも好ましく使用される。
【0032】
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明するが、かかる説明は本発明を図面に示したものに限定するものではない。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る窓組立体1は、一般的な車両(自動車)のフロントウインドウとして装着される車両用窓組立体1である。本実施形態に係る窓板10は、車体パネル2に形成された矩形状のフロント窓枠部(凹部)4に嵌め込まれる矩形状の窓板10である。
窓板10は、図中の符号Pで示した矩形状窓板10の面方向における中心位置Pから全方位に離れて(本実施形態では中心位置Pから上下左右方向に離れて)外周縁を有する。具体的には、装着時の上下方向の長辺部に相当する上縁部(本実施形態に係る第3の外周縁)13及び下縁部(本実施形態に係る第4の外周縁)15、ならびに窓板10の左右方向の短辺部に相当する左縁部(本実施形態に係る第1の外周縁)14及び右縁部(本実施形態に係る第2の外周縁)16の計4つの縁部から矩形状の外周縁13,14,15,16を有する。
なお、図2に示すように、この窓板10は、一般的な車両装着用窓板と同様、車両外面側のガラス板11Aと、車両内面側のガラス板11Bと、当該二つのガラス板を相互に密着させて貼り合わせるための接着層として機能する中間膜11Cとから成る三層構造体である。このような構成により、窓板10の機械的強度と安全性(割れた際の破片飛散防止)を確保している。
【0033】
図1及び図2に示すように、窓板10の裏面10B側(車内側の面)には、外周縁のうち下縁部(本実施形態に係る第4の外周縁)15を除く上縁部13と左右の縁部14,16に沿ってストリップ材20,40,50が後述するように各端末部分を接合されてストリップ組立体5となり、門形に装着されている。図2に示す断面図では、左縁部(本実施形態に係る第1の外周縁)14に沿って装着されるストリップ材20についての横断面形状が示されているが、上縁部(本実施形態に係る第3の外周縁)13および右縁部(本実施形態に係る第2の外周縁)16に沿って装着されるストリップ材40,50も同様の横断面形状である。従って、重複した説明を避けるため、ストリップ材及びストリップ中間材の構成に関する以下の説明は、主として左縁部14に装着されるものについて行う。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係るストリップ材20は、所定硬度の軟質ポリマー材料を押出成形することによって一定の横断面形状に成形された長尺状の部材である。詳細には、本実施形態に係るストリップ材20は、横断面形状がL字形状である本体部21を備えている。この本体部21の窓板10側に対向する面側に配置される頭部27には、突起状で長手方向に沿って延びる凸条部22と該凸条部22と平行に長手方向に延びる凹溝部28とが形成されている。本実施形態では、かかる凹溝部28が後述する接合部に該当し、該凹溝部28の底面には、前記凸条部22の突出高さよりも僅かに厚い寸法を有し、可縮性及び復元性を有する基材の両面に感圧粘着剤層が形成された両面粘着テープ32が貼着されている。具体的には、左縁部14に沿って装着されるストリップ材20及び上縁部13に沿って装着されるストリップ材40について図3、4に示すように、凸条部22,42がガイドとなり、該凸条部22,42に沿って凹溝部28,48(図2)に対応する横幅に形成された両面粘着テープ32を当該凹溝部(接合部)28,48に正確に貼着することができる。また、両面粘着テープ32の長手方向の端部には、両面粘着テープ32の上に被着してあるセパレータ(離型紙)32Aにタブテープ32Bが付着している。これにより、後述する窓板10との接合作業時には、該タブテープ32Bを引っ張ることにより、セパレータ32Aを容易に引き剥がせ、両面粘着テープ32の窓板10側に面する感圧粘着剤層を容易に露出させることができる。
なお、両面粘着テープ32の感圧粘着剤層の組成は特に限定されず、好適例として、アクリル系、酢酸ビニル系、ブチルゴム系等が挙げられる。
【0035】
一方、本体部21の窓板10側とは反対側、即ち、フロント窓枠部(凹部)4の底面フランジ部6方向に延びる脚部26の外側面には、遮蔽リップ24が窓板10から外向きに突出するように形成されている。特に限定しないが、本体部21,41,51は、比較的軟質(JIS K7215によるデュロメータ硬さがHDA40〜90)の熱可塑性エラストマー(TPE)または熱可塑性樹脂(例えばPVC)を用いて成形され得る。特に、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)材料を主体とする成形材料を押出成形して好適に形成することができる。特にリサイクル性の観点からハードセグメントがオレフィン系樹脂であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好適である。オレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメント(オレフィン成分)としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ−1−ペンテン等が挙げられる。これらのうちPE及びPPが好ましく、PPが特に好ましい。また、かかるオレフィン系熱可塑性エラストマーのソフトセグメント(エラストマー成分)としては、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いることが可能である。ハードセグメントとして二種以上の重合体を含有してもよく、ソフトセグメントについても同様である。
【0036】
遮蔽リップ24,44,54は、上述のようなストリップ材本体部21,41,51の成形材料と実質的に同じ組成の成形材料により成形してもよく、異なる組成の成形材料により形成してもよい。例えば、本体部21,41,51と異なる組成の成形材料としては、本体部21,41,51よりも軟質でクリープ変形が少なく弾性に富む成形材料を用いることができる。この場合、遮蔽リップ24,44,54の成形材料としては、比較的軟質でクリープ変形が少ない熱可塑性エラストマー、例えば、ハードセグメントがポリプロピレン等のオレフィン系樹脂であって、基部の材料よりもソフトセグメントの割合を多くしたものを主体とする成形材料や、軟質な成形材料の塩素化エチレンコポリマー等を好ましく用いることができる。例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料を主体とし且つ本体部よりも柔軟な成形体を形成し得る成形材料を押出成形して形成されたものが好ましい。なお、本体部21,41,51と遮蔽リップ24,44,54とは互いに相溶性を有する材料を用い、共押出成形時にその境界部分で溶着により一体化させることができる。
また、強度保持のため及び/又は特定範囲内での伸びを許容し、前記範囲を超える伸びを阻止するため、本体部のほぼ中心部分には、金属、ガラス繊維の撚糸若しくは硬質樹脂から成る芯材30が長手方向に埋設されている。
【0037】
上記形状のストリップ材20,40,50は、窓板10の裏面10B上に全外周縁13,14,15,16に沿って形成されている不透明なフリット層17のうち、外周縁13,14,16に沿うフリット層17上に接合される。かかるフリット層17は比較的高融点の無機粉末(典型的にはガラス粉末)が分散して構成されており、この結果、窓板10の他の部分、即ち表面(車外側)10Aやフリット層17が形成されていない部分の裏面10Bよりも粗化された表面となっている。フリット層17は着色不透明であり、典型的には黒く着色されている。即ちフリット層17は窓組立体10の表面から見たときに窓板10の外周部分の裏側を遮蔽する機能を有する。
【0038】
図2に示すように、窓板10の裏面10B側のフリット層17の範囲内に規定される被接合部17Aに、ストリップ材20の上記接合部(凹溝部)28に貼着した両面粘着テープ32の窓板10側に面する感圧粘着剤層(即ち予めセパレータ32Aを引き剥がしておく)を接触させ、さらに押圧力を加えることによって、窓板10のフリット層17内の被接合部17Aとストリップ材20の接合部28との接合を容易に且つ確実に行うことができる。この際、凸条部22の突出高さは、両面粘着テープ32の厚さを超えないので、接合に支障を招くことがない。
また、図示されるように、外周縁13,14,15,16に沿ってストリップ材20,40,50の接合部(凹溝部)28の幅を超える幅に不透明なフリット層17が形成されている。これにより、窓板10の裏面10B側に接合されるストリップ材20,40,50が不透明フリット層17によって遮蔽されるため、窓板10の表面10A側からストリップ材20,40,50が視認されない。従って、見栄えのよい外観に優れた窓組立体10が得られる。
上記のようにして本実施形態では外周縁(上縁部13,左縁部14,右縁部16)に沿って計3ヶ所でストリップ材20,40,50が窓板10の裏面10B側に接合されている。
【0039】
外周縁(上縁部13,左縁部14,右縁部16)に沿って門形をなす計3つのストリップ材20,40,50が一体となったストリップ組立体5が窓板10の裏面10B側に接合された窓組立体10は、所定のフロント窓枠部(凹部)4に嵌め込まれて装着される。
即ち、図2に示すように、遮蔽リップ24,44,54は、装着時と使用時において車体パネル2の側部パネル部材3に当接し、弾性変形して図2に二点鎖線で示すように、側部パネル部材3に弾性的に圧接する。これにより窓板10の外周縁とフロント窓枠部4の車体パネル2(図では側部パネル部材3)との間の隙間が遮蔽される。このとき、窓板10の裏面10B側(フリット層17形成部分)には底面フランジ部6との間の隙間に対応する部分に予めペースト状のシーラント7が窓板10の全周に亘って吐出されていて、当該シーラント7のはみ出しを抑えるためのダムラバー8が窓板10の全周に亘って設けられている。かかるシーラント7は、硬化するとゴム状弾性を呈する接着材として機能する材料である。例えばウレタン系樹脂製のものが好ましい。これにより、窓組立体10(窓板10)が所定のフロント窓枠部(凹部)4に接着(固定)されて装着される。
【0040】
次に、本実施形態に係るストリップ材20のプレ・ストリップ材たるストリップ中間材20Aについて詳細に説明する。
図6に示すように、本実施形態に係るストリップ中間材20Aは、窓組立体1の一部となる最終形態のストリップ材本体部21における凸条部22から側方(即ち遮蔽リップ24の延びる方向と同方向)に延びる位置決め基準片部60を備えている。かかる位置決め基準片部60は、本体部21を形成する上記のようなポリマー材料よりも硬度が高く(例えばJIS K7215によるデュロメータ硬さがHDA90以上)、自己保形力に優れ、且つ破断伸びが小さい熱可塑性エラストマー(TPO、TPS等)を用いて好適に成形され得る。位置決め基準片部60は、後述するように窓組立体1が完成するときに除去されるものである。従って、この位置決め基準片部60を成形する材料は、除去されたものを回収して再度使用するか、他の部材の廃棄用破砕材を利用するのが経済的、環境的な観点から好ましい。なお、本体部21と位置決め基準片部60とは、相溶性を有する材料を選択して使用することにより、共押出成形時にその境界部分で溶着により一体化させることができる。図示されるように、この位置決め基準片部60は、横断面が略U字状に形成されている。詳しくは、本体部21の凸条部22から突出する下片63と、該下片63から概ね直角に曲がる方向に延びる側片64と、該側片64から更に直角に曲がり前記下片63とほぼ平行方向に延びる上片66と、該上片66の先端からやや外方に向けて(即ち本体部21から離れる方向に)延びるガイド片68とを有する。
下片63の一部には、後述する連結部形成装置150の円板形カッター154によってミシン目状の連結部61(即ち本実施形態では、所定の間隔で分離部62Aと非分離部62B(図3参照)とが交互に長手方向に沿って複数ヶ所に形成された折り曲げ容易部62)が形成されている。好ましくは、当該連結部61は、後述するように位置決め基準片部60を窓板10の外周縁に係止させた際に、窓板10の表面側10Aから視認されないように窓板10の外周縁端面から窓板10の中心P側に所定寸法mだけ後退した位置に配置されるように形成されている。
【0041】
そして、下片63と上片66との間の寸法W(即ち側片64の寸法)は、上記窓板10の厚さと同じか或いは若干大きく設計される(即ち窓板10の厚さを下回らない。)。このことによって、後述するように、窓板10の外縁部(端面)に位置決め基準片部60を容易に係止することができる。即ち、後述する図11等に示されるように、窓板10の外周縁に沿う表面10Aには上片66が係止され、端面10Cには側片64が係止され、そして裏面10Bには下片63が係止され得る横断面形状であり、これら各片63,64,66により横断面が略U字状である本実施形態に係る係止部60Aが構成されている。
また、上片66の先端からやや外方に向けて開口するように延びるガイド片68が位置決め基準片部60に形成されているので、係止部60Aを窓板10の縁に嵌め込んで前記中間材20Aを窓板10に仮配置する際に、窓板10の外周縁をガイド片68で案内させながら係止部60Aに容易に挿入することができる。
さらに、側片64の略中央部であって、窓板10の中間膜11Cに対応する位置には、突起部65が形成されて中間膜11Cに嵌り込んでいる。このような突起部65を備えることで、窓板10への仮配置(典型的には仮固定)の際の位置ずれを更に防止することができる。
【0042】
次に、上記形状のストリップ中間材20Aの製造方法について説明する。上述したストリップ中間材20Aは、例えば、図7に模式的に示すような押出成形装置100を用いて容易に製造することができる。図示される押出成形装置100は、大まかにいって、前記芯材30を押出成形ダイ142に連続して供給する芯材アンコイラ110と、芯材30の表面に所定の接着剤を塗布する接着剤塗布機120と、該塗布された接着剤を焼き付ける接着剤焼付機130と、所定の開口形状のオリフィス143を有する押出成形ダイ142と、押し出されたストリップ中間材20Aの連結部61に折り曲げ容易部62を形成する折り曲げ容易部形成装置150と、冷却機160と、引取機170と、所定長に切断する切断機180とを備える。
【0043】
かかる構成の押出成形装置100を用いることによって、本実施形態に係るストリップ中間材20Aを押出成形によって好適に製造することができる。具体的には、芯材アンコイラ110からフープ状に巻かれた芯材30を引き出して、押出成形ダイ(型)142に連続して供給する。このとき、引き出された芯材30の表面には接着剤塗布機120により所定の接着剤が塗布される。塗布された接着剤は、接着剤塗布機120の下流側に配置されている接着剤焼付機(ヒータ内蔵)130により焼き付けられる。このように表面処理された芯材30は、次いで、押出成形ダイ142のダイ内部144に供給される。
一方、図示しない押出機の樹脂成形材料供給部より加熱された溶融状態の成形材料が樹脂材料供給路141を介して押出成形ダイ142の内部144に供給される。そして、芯材30とともに本実施形態に係るストリップ中間材20Aの横断面形状に対応する開口形状のオリフィス143から連続的に樹脂成形体が押し出される。なお、かかる押出成形ダイ142の構成と作動態様自体は、一般的な押出成形ダイ142と同様であるためこれ以上の詳細な説明は省略する。なお、図7では、樹脂材料供給路141を一つしか記載していないが、本実施形態に係るストリップ中間材20Aを異なる2種類以上の成形材料(例えば本体部21を成形する材料と遮蔽リップ24及び/又は位置決め基準片部60とを相互に異なる樹脂材料で成形する場合)を用いて共押出(二色成形)を行う場合には、それぞれの成形材料に対応した樹脂材料供給路を備える複数の押出機が使用される。
【0044】
押出成形ダイ142のオリフィス143から押し出された樹脂成形体(即ちストリップ中間材20Aとなる長尺材)は、本実施形態に係る折り曲げ容易部形成装置150に供給される。
図8に示すように、折り曲げ容易部形成装置150は、オリフィス143から押し出されたストリップ中間材20Aを支持する支持台152と、円周部がシャープなエッジを有するブレード部156を構成する円板形カッター154とを備える。図8及び図9に示すように、円板形カッター154の中心孔155に、押出成形ダイ142のオリフィス側の外壁部に設けられている軸受部159に支持された中心軸158が嵌め込まれている。この回転軸158は回転自在とするのが好ましいが、図示しない低速モーターに接続してもよい。これにより、ブレード部156の回転方向がストリップ中間材20Aの押出方向(即ち長手方向)と一致するようにして、円板形カッター154を回転可能に所定位置に支持することができる。なお、軸受部159は、支持台152との間の取付誤差、円板形カッター154の摩耗による誤差、及び作動時の振動に伴う位置ズレ等を吸収するためにコンプレッションスプリング(図示せず)等により下方に押し付けた状態で支持することが好ましい。これにより円板形カッター154を正確且つ安定して作動させることができる。
【0045】
図9に示すように、本実施形態に係る円板形カッター154のブレード部156は、鋭利な所定周長の刃先部156Aと、当該刃先部156Aの周方向で所定の間隔を空けて周縁の少なくとも1箇所以上に設けられた凹部156B(径方向内側に後退する切穴状の凹部)を有する。
そして、円板形カッター154は前記樹脂成形体の押出速度と同一の周速度で回転し、その回転する刃先部156Aによって支持台152上を下流側に移動するストリップ中間材20A(長尺材)の位置決め基準片部60の下片63の一部(即ち連結部61)を刃先部156Aの周長長さだけ長手方向に切り裂いて位置決め基準片部60を本体部21から分離する。
なお、支持台152上には、刃先部156Aの形状と略同様の深さαのV字状のガイド溝153が形成されている。これにより、円板形カッター154の外周縁(ブレード部156)が軸方向(図10の左右方向)に位置ずれするのを防止し、所望する正確な位置で位置決め基準片部60の下片63の一部(即ち連結部61)を切り裂く、即ち切れ目を入れていくことができる。
ここで、上述のとおりブレード部156には所定間隔で凹部156Bが設けられている。本実施形態においては、かかる凹部156Bの深さdは、上記下片63の一部(即ち連結部61)を完全には切断しない深さに設定されている。即ち、図10から明らかなように、刃先部156Aの先端がガイド溝153に入り込んで前記溝の底に接している状態で、凹部156Bの底の部位は支持台152の面と離れて空間が形成されているので、連結部61を(d−α)の厚さだけ残した非分離部が形成される。その結果、連結部61に刃先部156Aによって切り裂いた分離部62Aと凹部156Bによって切り裂いていない非分離部62Bを形成することができる。また、ブレード部156に設けられた凹部156Bの数を多くすると凹部156B間同士の長さLの間隔が狭くなり、非分離部62Bを長手方向に多く備えた折り曲げ容易部62が形成される。
このように円板形カッター154を設けることにより、所定の間隔で分離部62Aと非分離部62B(図3参照)とが交互に長手方向に沿って形成された折り曲げ容易部62をストリップ中間材20Aの押出成形プロセスの一部において容易に形成することができる。また、薄肉で繋がっている非分離部62Bの厚さ(即ちd−α)は、0.01〜0.5mm(より好ましくは0.05〜0.1mm)となるように、凹部156Bの深さdを設定するのが好ましい。
なお、刃先部156Aにより切断された分離部62Aにおいて、切断面の削り屑が余剰部分69として発生する。余剰部分69が窓板10への装着後に外観から見える位置(即ちストリップ本体部21)に残らないようにするため、ブレード部156の刃先部156Aは斜面側を位置決め基準片部60側に配置し、余剰部分を位置決め基準片部60側に発生させることができる。なお、凹溝による薄肉部で折り曲げ容易部62を形成する場合には、押出成形ダイ142のオリフィス143の形状を変更することで形成できる。即ち、連結部の一部で押出成形ダイ142を突出させ、オリフィスの隙間を小さくすることにより成形できる。
【0046】
次いで、図7に示すように、連結部61に折り曲げ容易部62が形成されたストリップ中間材20A(長尺材)は、冷却用媒体が入った冷却槽を備える冷却機160に送られて冷却して固化された後、引取機170を介して引き取られ、切断刃182を備える切断機180により所定の長さに切断される。かかる一連のプロセスによって、所望する長さのストリップ中間材20Aが得られる。
なお、上述の説明からも自明であるが、所望する長さのストリップ中間材20Aが最終的に製造されるまでに上記折り曲げ容易部62が形成されればよく、上記連結部形成装置150を図示される押出成形ダイ142に隣接した位置に配置して材料が未だ軟化状態を保っているときに成形するのが好ましいが、必ずしも前記位置である必要はない。例えば、図7中に二点鎖線で示したように、冷却機160或いは引取機170の下流側に連結部形成装置150を配置してもよいし、ストリップ中間材20Aを所定長に切断した後に別工程で折り曲げ容易部62を形成してもよい。
【0047】
次に、ストリップ中間材20Aを窓板10の所定位置(被接合部17A)に仮固定ならびに正確な位置に接合する手順について説明する。
先ず、上記のように押出成形し、所望する長さ(ここでは窓板10の各縁部13,1416にそれぞれ装着される3種類のストリップ中間材20A,40A,50Aに適する長さ)に切断する。ここで図1、図3及び図4に示すように(図3及び図4については後述する位置決め基準片部60を本体部21、41から破断等で除去する前のストリップ中間材20A,40Aの状態で示している。即ち、ここで位置決め基準片部60を除去する前のストリップ材をストリップ中間材20A,40A,50Aといい、位置決め基準片部60を除去した後のストリップ材をストリップ材20,40,50という。)、窓板10の上縁部13の両サイドのコーナー部18A,18B、即ち上縁部ストリップ中間材40Aと左縁部ストリップ中間材20Aとが互いに隣接する方の両ストリップ中間材20A,40Aの端末部分、ならびに、上縁部ストリップ中間材40Aと右縁部ストリップ中間材50Aとが互いに隣接する方の両ストリップ中間材50A,40Aの端末部分では、互いに隣接する両ストリップ中間材が相互に重ならないように上縁部ストリップ中間材40Aの両端部及び左縁部ストリップ中間材20Aと右縁部ストリップ中間材50Aのそれぞれの上側の端部を予め所定の交差角度で所定の長さだけ切断、除去しておく。
具体的には、窓板10の上縁部13の両サイドのコーナー部18A,18Bにおける交差角度をθとしたとき、各ストリップ中間材の長軸方向(長辺)と直角90°をなす切断面よりも小さい交差角度(切断角度)が上記内角度θの半分の角度(0.5×θ)となるように斜めに切断しておく。
そして、隣接する二つのストリップ中間材(即ち、上縁部ストリップ中間材40Aと左縁部ストリップ中間材20A、および、上縁部ストリップ中間材40Aと右縁部ストリップ中間材50A)の端部同士(即ち(0.5×θ)で切断した切断面同士)を溶着等で接合する。こうして、窓板10の外縁部13,14,16に仮固定するため、ストリップ中間材20A,40A,50Aが相互に接合している門形のストリップ中間材組立体5Aを予め形成しておく。
なお、門形に接合されたストリップ中間材組立体5Aを形成するには、ストリップ中間材20A,40A,50Aの端末同士の接合前に、位置決め基準片部60も上記と同様に端末部分を切断、除去しておくのが好ましい。
【0048】
この場合、図3に示すように、コーナー部18A,18Bにおいてストリップ中間材20A,40A,50Aについては、上述のとおり、上記内角度θの半分の角度(0.5×θ)にて斜めに直線的に切断すればよいのであるが、遮蔽リップ24,44,54部分については、図示されるように略円弧状に切徐する。即ち、窓組立体1を車体パネル2に装着したとき遮蔽リップ24,44,54は、車体パネル2の側部パネル部材3(図2)に当接し、弾性変形して図5に示すように所定の変位量nだけ車外側に向けて変位した状態で配置される。従って、コーナー部18A,18Bにおいて遮蔽リップ24,44,54に長手方向の余剰部分による重なり合い(干渉)が生じるのを防止するべく、上記円弧状に切徐すると共に、前記コーナー部18A,18Bでは、図4に示すように、上記遮蔽リップが車外側に向けて予めnだけ変位した状態で遮蔽リップ同士が接合されている。なお、ストリップ中間材が上縁部13にのみ配置されるとき、及び左縁部14と右縁部16にのみ配置されるときは、上記の斜め切断及び遮蔽リップの円弧状切断は必ずしも必要でない。
【0049】
以下は門形に接合されたストリップ中間材組立体5Aを窓板10に仮固定する工程を説明する。以下の記載は、門形に接合されたストリップ中間材組立体5Aのうち、窓板10の左縁部14に沿ってストリップ中間材20A部分を仮固定する場合を説明するが、他の縁部13,16に沿ってストリップ中間材40A,50A部分を仮固定するときも同様である。
ストリップ中間材20Aの本体部21の凹溝部(接合部)28にセパレータ(離型紙)32Aとタブテープ32Bを備える両面粘着テープ32が予め貼着されている(図6)。
ストリップ中間材20Aのコーナー部18Aを始点として、コーナー部18Aの近傍の位置決め基準片部60の係止部60Aを、窓板10の外縁部(ここでは左縁部14)に係止(仮固定)させる。具体的には、図11に示すように、位置決め基準片部60をガイド片68で案内させながら位置固定した窓板10の端面に向けて押し付け、係止部60Aである下片63と側片64と上片66とによって形成される略U字形状の囲いで窓板10の外縁部(左縁部)14をくわえ込ませてストリップ中間材20Aを係止する。即ち、下片63が窓板10の裏面10Bに接し、側片64が端面10Cに接し、そして上片66が表面10Aに接するようにして窓板10の外縁部(左縁部)14を挟み込む。上記の手順をコーナー部18Aの近傍から左縁部14に沿って下縁部15側に向けて連続して行う。この後に図11中の矢印Xで示すように、ストリップ中間材20Aの本体部21を端面10C寄りから裏面10B側に回転変位させる。これにより、本体部21及び遮蔽リップ24が後述するプッシャー本体部の押圧面215と窓板端面10Cとの間の位置から退避し、当該プッシャー本体部が前進するときに干渉しない。
【0050】
次に、門形に接合されたストリップ中間材組立体5Aのうち、20A部分の窓板10の外縁部14への装着(本固定)方法を図面を参照しつつ説明する。
図11に本実施形態に係るストリップ中間材取り付け装置200を模式的に示す。図示されるように、本実施形態に係るストリップ中間材取り付け装置200は、大まかにいって、架台202上に形成された窓板支持部204と、該窓板支持部204の側方に設けられたプッシャー装置210とから構成されている。
窓板支持部204は、窓板10を載置するフラットな上面部206を有しており、該上面部206は、窓板10の表面にキズ等が生じるのを防止するべく、窓板10よりも軟らかいフェルト(若しくはクッション)やゴム板のような軟質材料によって形成されている。
【0051】
一方、プッシャー装置210は、図示しない外部のシリンダ駆動源に接続された流体圧シリンダ(典型的には空圧シリンダ)212と、その流体圧シリンダ212のロッド213の先端に前進及び後退可能に取り付けられている本体部214とから構成されている。
かかる本体部214は、窓板支持部204に窓板10が載置された際の当該窓板10の外周縁(例えば左縁部14)の端面10Cに対向する位置に配置されており、且つ、当該端面10Cの長さとほぼ同じ長さに形成されている。その端面10Cとの対向面には、当該窓板端面10Cに対して位置決め基準片部60を押圧可能に端面がフラットに形成され、長手方向が窓板の外周縁と対応した形状に形成された押圧面215が形成されている。かかる本体部214は窓板10よりも軟らかく僅かに弾性変形可能な材料(例えば硬質ゴム材や硬質ウレタン樹脂)から形成されていることが好ましい。
また、押圧面215の下端部215Aには、対向する窓板10(窓板支持部204)の面と平行な方向に突出した係止片216が形成されている。図示されるように、かかる係止片216は、先端部216Aがテーパ状に形成されており、その先端部216Aの張り出した部分と基幹部216Cとの間には、上面側に凹溝部216Bが形成されている。かかる係止片216は弾性変形可能な材料(例えば弾性ゴム材)から形成されている。
かかる構成の結果、流体圧シリンダ212を作動させることにより、プッシャー本体部214を窓板支持部204上に載置された窓板10の端面10Cに対して前進及び後退動させることができる。
なお、ストリップ中間材の一部であって窓板10のコーナー部18A,18Bに仮固定される部位については、上述した図3に示すように、互いに隣接する両ストリップ中間材(例えば図3に示される上縁部ストリップ材40を構成する中間材40Aと左縁部ストリップ材20を構成する中間材20A)同士の位置決め基準片部60が互いに干渉しないように各ストリップ中間材20A,40Aの相互に隣接する端部を所定の長さだけ予め切断、除去してあるので、仮固定の支障にはならない。
【0052】
上記のようにしてストリップ中間材20Aを窓板10の左縁部14に沿って係止(仮固定)した状態で、流体圧シリンダ212を作動させ、プッシャー本体部214を前進させる。そして、図12に示すように、押圧面215を位置決め基準片部60(係止部60A)の全長に亘り側片64に所定の圧力で押し当てるとともに、当該側片64を窓板10の端面10Cに密着させる。また、プッシャー本体部214を前進させた際に、弾性変形可能な係止片216の先端部216Aがガイド片68に押し当てられて変形し、変形した係止片216がガイド片68を乗り越え、係止片凹溝部216Bにガイド片68を収容するとともに、図12に示されるように係止片216がガイド片68に引っ掛かった状態を保つ。
【0053】
上記のようにプッシャー装置210を使用することによって、ストリップ中間材20Aの係止部60Aを正確な位置且つ確実に窓板10の外縁部に係止(固定)することができる。また、係止片216がガイド片68に引っ掛かった状態となっているため、後述するようにプッシャー本体部214を後退させる際にガイド片68を引き抜く方向に引っ張り、位置決め基準片部60の係止解除を容易に行うことができる。
このとき、ストリップ中間材20Aは、窓板10の端面10Cに係止する側片64から延びる下片63の寸法が全長に亘り一定である。従って、窓板10の端面10Cから本体部21の位置までの寸法が左縁部14の全長に亘って一定に保たれている。
このように、本実施形態に係る位置決め基準片部60(係止部60A)を備えるストリップ中間材20Aを使用することによって、窓板10の裏面10B側に接合されるストリップ材20の接合位置を全長に亘り所定の基準位置に保って装着することができる。
【0054】
而して、プッシャー装置210によって所定の位置にストリップ中間材20Aを係止(固定)した後、接合作業を開始する前に、ストリップ中間材20Aからセパレータ(離型紙)32Aを剥がす。このとき、上述のタブテープ32Bを把持して引っ張ることにより、セパレータ(離型紙)32Aを簡易且つ迅速に剥がして、両面粘着テープ32の窓板12側に面する感圧粘着剤層32を露出させる。
次いで、窓板10の裏面10Bの被接合部17Aに両面粘着テープ(感圧粘着剤層)32を接触させ、作業者自ら若しくは適当な機材を用いて、所定の押圧力を本体部21の鉛直方向(図12中の矢印Yの方向)から本体部21の全長に亘り加える。これにより、ストリップ中間材20Aの窓板10への接合が完了する。
【0055】
上述のようにして、所定の位置に門形に接合されたストリップ中間材組立体5Aを窓板10の裏面に接合した後、不要となった位置決め基準片部60を除去する。
まず、流体圧シリンダ212を作動させ、プッシャー本体部214を窓板10から所定の位置まで後退させる。このとき、上述のとおり、係止片216がガイド片68に引っ掛かった状態を保っているため、プッシャー本体部214の後退に伴って係止片216に引っ掛かっているガイド片68(即ち位置決め基準片部60)もまたプッシャー本体部214の後退方向に移動する。これにより、位置決め基準片部60を窓板10の端面10Cから所定の位置(即ち、係止片216とガイド片68との引っ掛かり状態が解除される位置、例えば図13の点線で示す位置)まで引き離すことが実現できる。
【0056】
具体的には、図13に示すように、上記プッシャー本体部214の後退に伴って、窓板10の端面10Cから点線で示す位置まで外れていた位置決め基準片部60を指等で把持し、窓板10から引き離す方向(図13の矢印Zの方向)に所定の力で引っ張ることによって上記ミシン目の形成されている連結部61における非分離部62Bを破断し、当該連結部61から先の位置決め基準片部60全体を容易に切り離すことができる。これにより、ストリップ材20の装着が完了する。こうして窓板の裏面側10Bの所定位置に正確にストリップ組立体5(ストリップ材20,40,50)が接合された窓板を所定のフロント窓枠部(凹部)4に装着することができる。なお、非分離部62Bを破断するのに要する力が粘着テープの接合力を上回ったり、接合されたストリップ中間材20Aの位置を不測に変位させる虞があるときは、引っ張りに代えて、又は弱い引っ張りに加えて加熱した別のホットカッター等で連結部61を分離してもよい。
【0057】
以上、図面を参照しつつ本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、所望する窓組立体1に応じて、ストリップ材は窓板の外周縁の一つの縁(例えば上縁部13)のみに沿って接合しても良く、あるいはストリップ材は窓板の両側(左右縁部14,16)の外周縁のみに沿って接合することもある。また、上述の位置決め基準片部60は、少なくとも窓板10の外周縁の端面10Cと係止可能な側片64と、窓板の裏面10Bに係止可能な下片63と、を備える横断面形状が略L字形の形状に成形されたものであっても、略U字形の係止部60Aを有する位置決め基準片部60と同様の係止効果を実現することができる。また、ガイド片68を備えていない位置決め基準片部60であってもよい。
また、本発明の窓組立体には、用途・目的に応じて種々の付属品を装着することができる。粘着テープに代えて、接合面と被接合面の少なくともいずれかに形成した接着剤層であってもよい。この場合、前述した凸条部22は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一実施形態に係る車両フロントウインドウ用窓組立体を模式的に示す正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】窓板のコーナー部におけるストリップ材の端部のカッティング状態を模式的に示す説明図である。
【図4】窓板のコーナー部におけるストリップ材の配置状態を模式的に示す説明図である。
【図5】図4中のV−V線断面図であり、遮蔽リップの湾曲状態を示す説明図である。
【図6】一実施形態に係るストリップ中間材の構造を示す説明図である。
【図7】本発明のストリップ中間材の一製造例を模式的に示す説明図である。
【図8】一実施形態に係る折り曲げ容易部形成装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】一実施形態に係る折り曲げ容易部形成装置が備える円板形カッターの構成を模式的に示す説明図である。
【図10】一実施形態に係る折り曲げ容易部の形成方法を模式的に示す説明図である。
【図11】一実施形態に係るストリップ中間材を窓板の外周縁に仮配置する工程を模式的に示す説明図である。
【図12】窓板の外周縁に仮配置したストリップ中間材の位置決め基準片部をさらにプッシャー装置によって窓板の端面に押し当てる工程を模式的に示す説明図である。
【図13】一実施形態に係るストリップ中間材を窓板に接合した後に位置決め基準片部を除去する工程を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 窓組立体
10 窓板
10A 表面
10B 裏面
10C 端面
13 上縁部(第3の外周縁)
14 左縁部(第1の外周縁)
15 下縁部(第4の外周縁)
16 右縁部(第2の外周縁)
17 フリット層
17A 被接合部
18A,18B コーナー部
20A,40A ストリップ中間材
20,40,50 ストリップ材
21,51,41 本体部
24,54,44 遮蔽リップ
30 芯材
32 両面粘着テープ
32A セパレータ
32B タブテープ
60 位置決め基準片部
60A 係止部
61 連結部
62 折り曲げ容易部
62A 分離部
62B 非分離部
63 下片
64 側片
65 突起部
66 上片
68 ガイド片
69 余剰部分
100 押出成形装置(全体構成)
142 押出成形ダイ
143 オリフィス
144 ダイ内部(キャビティ)
150 折り曲げ容易部形成装置
152 支持台
153 ガイド溝
154 円板形カッター
156 ブレード部
156A 刃先部
156B 凹部
158 回転軸
159 軸受部
200 ストリップ中間材取り付け装置
202 架台
204 窓板支持部
206 上面部(クッション部)
210 プッシャー装置
212 流体圧シリンダ
214 本体部
215 押圧面
216 係止片
216A 先端部(テーパ部)
216B 凹溝部
216C 基幹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する方法であって、以下の工程:
(a).長尺なストリップ材本体部と、長手方向で該本体部と平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に連結部を介して前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部とを有するストリップ中間材を用意する工程;
(b).前記位置決め基準片部を窓板の外周縁に係止させて前記ストリップ中間材を該窓板の外周縁に一定の関係を保って仮配置した状態で、前記ストリップ中間材のストリップ材本体部における少なくとも接合部を前記窓板の裏面の被接合部に接触させ、該接合部を該窓板の被接合部に接合する工程;および
(c).前記ストリップ材本体部の接合部を前記窓板の被接合部に接合した後に、前記位置決め基準片部を前記連結部で分離してストリップ材本体部から除去する工程;
を包含する、窓組立体製造方法。
【請求項2】
前記ストリップ中間材を用意する工程は、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から前記ストリップ中間材を構成する長尺な成形体を押出成形する工程と、該押出成形された前記成形体を所定の長さに切断して前記ストリップ中間材を得る工程とを包含する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記窓板は、前記中心位置から第1の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置する第1と第2の外周縁と、前記中心位置から該第1の方向と直交する第2の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置し該第1と第2の外周縁とそれぞれ交差する方向の第3と第4の外周縁を有しており、
前記ストリップ中間材を、前記第1から第4の外周縁のうちの少なくともいずれか一つの外周縁に沿って接合する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記窓板は、前記中心位置から第1の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置する第1と第2の外周縁と、前記中心位置から該第1の方向と直交する第2の方向に沿い互いに反対側に等距離だけ離れて位置し該第1と第2の外周縁とそれぞれ交差する方向の第3と第4の外周縁を有しており、
前記ストリップ中間材を少なくとも前記第1の外周縁、第2の外周縁および第3の外周縁に沿ってそれぞれ接合し、
ここで第1の外周縁に沿って接合される第1ストリップ中間材の本体部の該第1の外周縁の長手方向の一方の端末部分と、第3の外周縁に沿って接合される第3ストリップ中間材の該第3の外周縁の長手方向の第1の外周縁に近接する方の端末部分とが、所定の交差角度を有して接合され、且つ、第2の外周縁に沿って接合される第2ストリップ中間材の該第2の外周縁の長手方向の一方の端末部分と、第3の外周縁に沿って接合される第3ストリップ中間材の該第3の外周縁の長手方向の第2の外周縁に隣接する方の端末部分とが、所定の交差角度を有して接合され、且つ、前記各端末部分において各ストリップ中間材の前記位置決め基準片部が相互に干渉しないように長手方向に所定の長さだけ除去されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記位置決め基準片部を前記連結部で分離する際に、前記連結部に前記本体部から離れる方向の外力を加えることによって前記連結部を破断する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
表面と裏面、及び外周縁を有する窓板の該裏面に接合され、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されるストリップ中間材であって、
長尺なストリップ材本体部と、
該本体部と長手方向で平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部と、該本体部と前記位置決め基準片部とを連結する連結部と
を有し、
前記ストリップ材本体部は、該窓板の裏面上に外周縁に沿って形成された被接合部と接合される接合部を有し、
前記位置決め基準片部は、前記窓板の少なくとも外周縁端面に係止及び係止の解除可能な側片を有することを特徴とするストリップ中間材。
【請求項7】
前記連結部は、前記位置決め基準片部に対して前記ストリップ材本体部を回転状に変位可能に構成されている、請求項6に記載のストリップ中間材。
【請求項8】
前記位置決め基準片部は、少なくとも前記窓板の外周縁の端面と係止可能な側片と窓板の裏面に係止可能な下片とで横断面形状が略L字形の係止部を有する、請求項6又は7に記載のストリップ中間材。
【請求項9】
前記位置決め基準片部は、少なくとも前記窓板の外周縁の表面と端面と裏面にそれぞれ係止可能な横断面形状が略U字形の係止部を有する、請求項6又は7に記載のストリップ中間材。
【請求項10】
前記連結部には、前記位置決め基準片部を折り曲げる力よりも小さい力で折り曲げ可能な折り曲げ容易部が形成されている、請求項6〜9のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項11】
前記折り曲げ容易部は、前記連結部の長手方向に沿って形成された凹溝により前記位置決め基準片部の厚さよりも薄肉に形成されている、請求項10に記載のストリップ中間材。
【請求項12】
溝が形成された前記薄肉部分の厚さが0.01mm〜0.5mmの範囲に設定されている、請求項11に記載のストリップ中間材。
【請求項13】
前記折り曲げ容易部には、前記ストリップ材本体部と前記位置決め基準片部との間を分離する分離部と、前記ストリップ材本体部と前記位置決め基準片部との間を連結する非分離部とが、長手方向に沿って交互に複数個形成されている、請求項10〜12のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項14】
前記複数の非分離部は、厚さと長さが同一に形成されている、請求項13に記載のストリップ中間材。
【請求項15】
前記位置決め基準片部及び前記連結部は、ストリップ材本体部を構成するポリマー材料よりも硬度が高く且つ破断伸びが小さいポリマー材料から形成されている、請求項6〜14のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項16】
ストリップ材本体部の接合部には、外側に離型紙を付着させた感圧両面粘着テープが貼着されている、請求項6〜15のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項17】
窓板の外周縁におけるコーナー部分に対応する部分で、前記位置決め基準片部は、長手方向で隣接する他のストリップ中間材の位置決め基準片部との干渉が避けられる所定寸法だけ除去されている、請求項6〜16のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項18】
前記連結部は、前記位置決め基準片部を前記窓板外周縁に係止させたときに、前記窓板の外周縁端面から窓板の中心側に所定寸法だけ後退した位置になるように形成されている、請求項6〜17のいずれかに記載のストリップ中間材。
【請求項19】
表面と裏面、及び外周縁を有する窓板の前記外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合される接合部を有するストリップ材の中間材を製造する方法であって、
前記窓板よりも軟質のポリマー材料から、長尺なストリップ材本体部と、該本体部と長手方向で平行な位置関係を保って該本体部の外向き側面から離れる方向に突出すると共に前記本体部と一体に長尺に形成された位置決め基準片部と、該本体部と前記位置決め基準片部とを連結する連結部とを有するストリップ中間材となる長尺な成形体を長手方向に連続して成形する工程と、
該成形された前記成形体を所定の長さに切断して所望する長さの前記ストリップ中間材を得る工程と、
を包含する、ストリップ中間材製造方法。
【請求項20】
前記長尺な成形体を押出成形により長手方向に連続して形成する、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記位置決め基準片部は、前記本体部を形成するためのポリマー材料よりも硬度が高く且つ破断伸びが小さいポリマー材料により形成し、これらポリマー材料を用いて共押出成形により前記位置決め基準片部と前記本体部とを形成する、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記押出成形で前記成形体を連続成形する工程に同期して、該連続成形される成形体の前記連結部に前記位置決め基準片部よりも小さい力で折り曲げ可能な折り曲げ容易部を連続的又は断続的に形成する、請求項20又は21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記連結部の長手方向に沿って前記連結部に凹溝を形成し、該凹溝により該連結部の厚さを前記位置決め基準片部よりも薄肉にした前記折り曲げ容易部を形成する、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記連結部の長手方向に沿って前記連結部に前記本体部と前記位置決め基準片部との間を分離する分離部と、前記本体部と前記位置決め基準片部とを連結したままの非分離部とを長手方向に沿って交互に複数個形成した前記折り曲げ容易部を形成する、請求項22又は23に記載の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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