説明

ストリーム再生情報の処理装置及び処理方法

【課題】ストリームを再生するためのタグ情報を、効率的に生成又は編集することができる技術を提供する。また、ストリーム情報を効率的に再生する技術を提供する。
【解決手段】追加システム10は、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する。ここで、タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始時間を特定するための開始情報とを含む。ついで、編集システム20は、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存する。再生システム30は、保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、ストリーム情報の一部を、タグ情報で特定された開始位置から再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーム再生情報の処理装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの高性能化、通信技術の発達による伝送速度の高速化、デジタルデータの圧縮技術の進歩に伴う高度情報の小データサイズ化が進み、さらにマルチメディアの利用技術の進歩とともに、情報処理に占める動画像や音声情報の比率が高まってきている。
【0003】
そこで、電子博物館などのアーカイブ系、ビジネス・プロモーションなどのプレゼンテーション系、医療などの学術系、スポーツの記録分野、技能・芸能の研修や記録、教育分野としてのe-Learningなど、さまざまな領域でマルチメディアデータの高度利用が高まってきている。その中にあって、連続した長時間にわたる映像/音声情報のすべてを利用しようとすると、非常に大きな時間の無駄が生ずることにある。
【0004】
たとえば、手術の記録において、回数を重ねて確認したり研究対象としたりしなければならない部分は、全体からみれば数十分の一ないし数百分の一に過ぎない。
【0005】
さらに、スポーツの分野、たとえばゴルフにおいては、スウィングの部分だけを再生して、自分のクセを把握したり、あるいは一流選手の同じ動作と比較対照したりするという用途が多い。
【0006】
技能習得においても、コツをつかむために熟練者の特定の動作個所だけを繰り返し確認したり、場合によってはそれと似た個所を含めて見たり、さらには自分の動作と熟練者の動作とを比較して欠点を克服したいという要求がある。
【0007】
芸能の習得においても同様である。芸能では、演目が同じであっても演者によって非常に趣が異なる。そこで、とくに習得中の者にとっては、これらの僅かな違いを、同一個所について繰り返し鑑賞することで把握し、演技力を身につけたいという要求がある。
【0008】
e-Learningにおいても、特定の箇所だけの繰り返し利用が学習に有効とされている。
【0009】
ところで、一連の映像/音声情報の中から、ある部分だけを切り出し、それを再編集して再生させることは、古くから行われてきた。とくに情報のデジタル化が進んでからは、多くの「画像編集ツール」と呼ばれるものが市場に出てきている。テレビ放送などを見れば、そのようにして編集された情報の方が多いことに気が付くはずである。
【0010】
近年に開発された一例では、たとえばサッカーの競技において、ゴールの瞬間には観客の声援の音量が急に増大するという特性を利用し、観客の声援等を含む音声の音量の変化率を自動的に抽出し、そのn秒(nは任意)前に再生スタート点を設定することによって、効率よくゴール映像をみることができるという技術が提案されている。映像の明度の積分値を計算し、短時間で極端に明度が変化するところを場面の切り替わりと認識して時間軸上で映像を分割するという試みもある。
【0011】
しかし、データベースとの有機的連動や再利用性を考慮した、動画像/音声情報の記録方式としては、タグ情報を付加できるような方式に頼らざるを得ないであろう。技術的には他の方法が考えられるとしても、すでに世界標準としてXML系の処理方式が普及しているからである(ちなみにウェブ言語として普及しているHTMLは、XMLのルーツとも言うべきSGMLのサブセットであり、XMLとは、いわば親戚関係にある方式であるが、今後はXHTMLという、XMLベースの記述方式に移行するとみられている)。
【0012】
タグ情報を用いた映像/音声情報編集装置も、いくつか提案され、一部には実用化されているものもある。
【0013】
たとえば、特開2004-214786号公報(下記特許文献1)は、動画像・音声情報データに対してインデックスデータを付加し、編集時にはそのインデックスデータを参照することによって自動編集を可能にするというものである。このインデックスデータとは映像音声データの必要部分(または不要部分)を識別するための開始点情報および終了点情報を意味する。このインデックスデータは、ひとつのファイルの複数個所に対して設定でき、再生時にはこれを参照して必要箇所だけを再生できるようにする。
【0014】
しかし、この機能だけでは、この公報中で述べられているように、テレビ番組情報からコマーシャルを削除して再生するなど、限定的な利用しかできない。それはインデックスデータの記録メカニズムが規定されていないからである。この公報(0028段落)では、インデックスデータの記録方法として、「動画情報の格納されている場所を特定できる数値であれば何でもよく、カウンタでも、また時間情報であってもよい」と述べているように、インデックスデータは単なる時間情報だけであり、コンテンツに関する属性情報などを付与できる機構を持っていない。これでは、後に検索をして所望のデータだけを取り出すなどの応用は難しい。その実現のためにはタグ情報化しなければならず、その場合、現在の標準的情報処理との整合性を勘案すればXML系タグの使用がもっとも優れているといえる。
【0015】
さらに、インデックス情報では映像の開始、終了位置を保持しているが、誤った位置を修正する手段や作成後に編集する手段が提供されていないため、再度インデックス情報の作成を行わなければならない問題がある。
【0016】
また、この提案では、作成したインデックス情報を用いて所望の箇所の映像を取り出す。その際、取り出された新しい映像情報そのものを格納するため、格納するデータのサイズが大きくて格納場所を圧迫するという問題がある。また、新しい映像情報を格納する場合に、その基となる映像情報が複数あり、それらのフォーマットが異なれば、格納するときに変換処理を行わなければならず、使用する機器の能力を消費してしまうという不都合もある。
【0017】
このような点に関して、タグを用いた提案もいくつかなされている。SMIL技術を応用したものとして、たとえば特開2001-118078号公報(特許文献2)がある。これは、SMIL記述における対話型処理の拡張を、modifier要素を追加することによって得ようとするものである。SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)は、W3C(World Wide Web Consortium)が勧告し、実質的な世界標準の一つとなっているマルチメディア記述言語である。
【0018】
また、特開2001-202378号公報(特許文献3)は、複数のメディアの部分再生手段を提供するものであるが、その目的は、とくに変化の少ない部分を省略してダイジェスト情報を生成することに過ぎない。
【0019】
このような提案はあるものの、これらの応用技術の前提としての、(1)必要な部分動画または音声を正確に、しかも効率よく切り出すことができ、(2)それらの部分データを汎用的に利用できる状態に保持し、(3)その内容に対して必要に応じて簡単なテキスト属性やサムネイル画像を付与することにより検索・再利用性を高める、などの手段は提供されていなかった。
【0020】
さらに、従来の技術では、再生開始位置と再生終了位置との関係にも、各種の制限が生じる。対象とするコンテンツによっては、再生終了位置の前に、次の再生における再生開始位置を配置することが制限されることもあり、このような場合は、コンテンツの再利用性を損なう。
【0021】
【特許文献1】特開2004-214786号公報
【特許文献2】特開2001-118078号公報
【特許文献3】特開2001-202378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、前記の状況に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、ストリーム情報(例えば映像や音声)を再生するためのタグ情報を、効率的に生成又は編集することができる技術を提供することである。本発明の他の目的は、ストリーム情報を効率的に再生する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る、ストリーム再生情報の処理装置は、追加システムと、編集システムと、再生システムを備えている。前記追加システムは、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっている。前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでいる。前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されている。前記編集システムは、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、前記タグ情報についての修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存する構成となっている。前記再生システムは、前記保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、前記ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された前記開始位置から再生する構成となっている。
【0024】
前記追加システムは、ストリーム情報の再生中に終了位置指示を受け付けた場合には、前記ストリーム情報における終了位置を特定するための終了情報を生成して、前記タグ情報の一部として保存する構成であってもよい。
【0025】
前記追加システムが生成するタグ情報は、前記開始位置の近傍における、前記ストリーム情報のサムネイル情報をさらに含むことができる。
【0026】
前記ストリーム情報を動画像とし、前記サムネイル情報を、前記動画像の一部である静止画像とすることができる。
【0027】
前記編集システムが受け付ける修正内容は、使用者から入力されるコメント情報を含んでもよい。さらに、前記編集システムは、入力された前記コメント情報を、編集対象となっているタグ情報の一部として保存する構成であってもよい。
【0028】
前記再生システムで生成される前記指示情報とは、例えばSMILファイルである。
【0029】
前記追加システム又は前記再生システムにおいては、前記タグ情報を、例えばXMLまたはCSVの形式で保存することができる。
【0030】
前記追加システムにおける前記開始位置指示の入力と前記終了位置指示の入力とを、異なる入力キーに割り付けてもよい。
【0031】
前記追加システムにおける前記開始位置指示の入力と前記終了位置指示の入力とを、同じ入力キーにおける奇数回目の入力と偶数回目の入力とに割り付けてもよい。
【0032】
本発明に係る、ストリーム再生情報の処理方法は、追加システムと編集システムと再生システムを備えており、さらに、以下のステップを備えている:
(1)前記追加システムが、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存するステップ、
ここで、前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでおり、前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されている;
(2)前記編集システムが、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、前記タグ情報についての修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存するステップ;
(3)前記再生システムが、前記保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、前記ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された前記開始位置から再生するステップ。
【0033】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記した処理方法を実行させるものである。
【0034】
本発明に係るタグ情報追加システムは、再生部と、開始情報生成部とを備えている。前記再生部は、使用者に提示されるストリーム情報を再生する構成となっている。前記開始情報生成部は、前記ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっている。前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでいる。前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されている。
【0035】
タグ情報追加システムは、さらに終了情報生成部を備えていてもよい。この終了情報生成部は、前記ストリーム情報の再生中に終了位置指示を受け付けた場合には、ストリーム情報における終了位置を特定するための終了情報を生成して、前記タグ情報の一部として保存する構成であってもよい。
【0036】
本発明に係るタグ情報編集システムは、再生部と、開始情報編集部とを備えている。前記再生部は、使用者に提示されるストリーム情報を、指定されたタグ情報に基づいて提示する構成となっている。前記開始情報編集部は、新たな開始情報の入力を受け付け、さらに、入力された新たな開始情報に基づいて前記タグ情報を更新して保存する構成となっている。
【0037】
本発明に係るストリーム情報再生システムは、ファイル生成部と、再生部と、提示部とを備えている。前記ファイル生成部は、保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成する構成となっている。前記再生部は、この指示情報によって、ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された開始位置から再生する構成となっている。前記提示部は、前記再生部で再生されたストリーム情報を使用者に提示する構成となっている。
【0038】
前記ストリーム情報再生システムにおいて、ストリーム情報再生のための指示情報は、例えばSMILファイルである。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ストリーム情報を再生するためのタグ情報を、効率的に生成又は編集することが可能となる。また、本発明によれば、ストリーム情報を効率的に再生することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の一実施形態に係るストリーム再生情報の処理装置を、添付の図面に基づいて説明する。
【0041】
(ハードウエア構成例)
まず、この処理装置のために用いるハードウエア構成の一例を、図1に基づいて説明する。このハードウエアは、入力部1と、入力I/F部2と、提示部3と、出力I/F部4と、CPU5と、記憶部6と、ネットワークI/F部7と、ネットワーク8と、記憶装置9とを備えている。
【0042】
入力部1は、例えばキーボードやマウスなど、コンピュータへの入力用に用いられる器具である。
【0043】
提示部3は、例えばディスプレイやスピーカなど、コンピュータからの出力を使用者が受け取るための器具である。
【0044】
記憶部6は、後述するストリーム情報、タグ情報、XMLデータ、SMILデータなどを記憶する装置である。また、記憶部6は、コンピュータで本実施形態の装置を構成するためのコンピュータプログラムも格納している。コンピュータプログラムはモジュールである場合を含む。
【0045】
記憶装置9は、ネットワーク(例えばインターネット)8を介してCPU5に接続されている。本実施形態で用いるストリーム情報を、記憶装置9に格納しておくこともできる。
【0046】
(処理装置のシステム構成)
本実施形態の処理装置は、追加システム10と、編集システム20と、再生システム30とを備えている。
【0047】
追加システム10は、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっている。具体的には、追加システム10は、再生部11と、開始情報生成部12と、終了情報生成部13とを備えている。
【0048】
再生部11は、記憶部6又は記憶装置9に格納されているストリーム情報を再生して、提示部3により、使用者に提示する構成となっている。再生部11としては映像や音声などのストリーム情報を再生できるものであればよく、例えばRealPlayer(商標)を用いることができる。
【0049】
開始情報生成部12は、ストリーム情報の再生中に、使用者から入力された開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっている。使用者からの入力は、入力部1から行われる。たとえば、開始位置指示を、特定の入力キーに割り付けておき、そのキーが押されると、開始位置指示があったものとして処理することができる。あるいは、ある入力キーにおける奇数回目または偶数回目の入力を持って、開始位置指示があったものとして処理することもできる。
【0050】
開始情報生成部12で生成されるタグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始時間を特定するための開始情報とを含んでいる。さらに、本実施形態でのタグ情報のテーブル40は、図3に示されるように、これらのID情報と開始情報以外に、後述する終了情報とコメント情報とサムネイル情報とを含んでいる。生成されたタグ情報のテーブル40は、記憶部6に格納される。
【0051】
本実施形態の開始情報生成部12は、開始位置指示を受け付けた場合、さらに、開始位置(つまりストリーム情報の時間軸における開始時間)の近傍における、ストリーム情報のサムネイル情報を取得する。サムネイル情報とは、例えば、ストリーム情報が動画像である場合、開始時間における、前記動画像の静止画像(すなわち動画像の一部である静止画像)である。開始情報生成部12は、サムネイル情報を、前記したように、タグ情報の一部として保存する。この場合、追加システム10の開始情報生成部12が生成するタグ情報は、開始時間の近傍における、ストリーム情報のサムネイル情報をさらに含んでいることになる。
【0052】
終了情報生成部13は、ストリーム情報の再生中に終了位置指示を受け付けた場合には、ストリーム情報における終了位置(つまり終了時間)を特定するための終了情報を生成して、タグ情報の一部として保存する構成となっている。使用者からの終了位置の入力は、入力部1から行われる。たとえば、終了位置指示を、開始位置指示の場合とは異なる特定の入力キーに割り付けておき、そのキーが押されると、終了位置指示があったものとして処理することができる。あるいは、ある入力キーにおける偶数回目または奇数回目の入力(つまり開始の場合とは異なるタイミングでの入力)を持って、終了位置指示があったものとして処理することもできる。
【0053】
編集システム20は、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、タグ情報についての修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存する構成となっている。具体的には、本実施形態における編集システム20は、再生部21と、開始情報編集部22と、終了情報編集部23と、コメント編集部24とを備えている。再生部21は、指定されたタグ情報に基づいてストリーム情報を再生し、提示部3により使用者に提示する構成となっている。再生部21は、追加システム10の再生部11と同様に、ストリーム情報を再生できるものであり、再生部11と再生部21とが共用であってもよい。
【0054】
開始情報編集部22は、入力部1からの新たな開始情報の入力を受け付け、さらに、新たな開始情報に基づいてタグ情報を更新して保存する構成となっている。新たな開始情報の入力があった場合は、その開始情報で特定される開始時間の近傍におけるサムネイル情報を取得して、このサムネイル情報も更新する。
【0055】
終了情報編集部23は、入力部1からの新たな終了情報の入力を受け付け、さらに、新たな終了情報に基づいてタグ情報を更新して保存する構成となっている。
【0056】
コメント編集部24は、編集されるタグ情報についてのコメント情報の入力を受け付け、このコメント情報を、編集対象となっているタグ情報の一部として保存する構成となっている。つまり、編集システム20が受け付ける修正内容は、入力されたコメント情報を含んでいる。
【0057】
再生システム30は、追加システム10又は編集システムによって保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、ストリーム情報の一部を、タグ情報で特定された開始位置から再生する構成となっている。
【0058】
具体的には、本実施形態の再生システム30は、ファイル生成部31と、再生部32と、提示部33とを備えている。
【0059】
ファイル生成部31は、保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成する構成となっている。後述するとおり、本実施形態では、追加又は編集モードの終了時において、タグ情報を、XML又はCSVの形式で保存する。再生システム30のファイル生成部31で生成される指示情報は、本実施形態ではSMILファイルである。つまり、再生システム30は、XML又はCSVファイルからSMILファイルを生成する。ただし、SMILに代えて、HTML+TIMEのように、ストリーム再生の指示情報を指定できる他の記述言語を用いることもできる。
【0060】
再生部32は、この指示情報(本実施形態ではSMILファイル)によって、ストリーム情報の一部を、タグ情報で指定された開始位置から再生する構成となっている。また、再生部32は、タグ情報で指定された終了位置があるときは、その位置までストリーム情報を再生する。タグ情報において終了位置が指定されていない場合、再生部32は、ストリーム情報を最後まで再生する。
【0061】
提示部33は、再生部32で再生されたストリーム情報を使用者に提示する構成となっている。提示部33は、この実施形態では、ハードウエアとしての提示部3によって構成されている。また、提示部33としては、追加システム10や編集システム20で使用する提示部と異なる提示部を用いても良い。
【0062】
(ストリーム再生情報の処理方法)
次に、前記した処理装置を用いてストリーム再生情報の処理を行う方法の一実施形態を、タグ情報の追加、タグ情報の編集、ストリーム情報の再生の各モードについて説明する。以降では、ストリーム再生情報には、タグ情報とストリーム再生用の指示(具体例としてはSMIL)とを含むものとする。また、タグ情報には、XML化される前の情報と後の情報とを含むものとする。
【0063】
(タグ情報の追加)
(図4のステップSA−0)
使用者が追加システム10を起動すると、処理装置は追加モードとなる。追加モードでは、以下の手順により、タグ情報の追加を行う。
【0064】
(図4のステップSA−1)
まず、使用者は、再生すべきストリーム情報を、入力部2により入力する。具体的には、ストリーム情報を示す領域やアイコンをマウスでクリックしたり、キーボードを操作したりすることにより、この入力を行うことができる。追加システム10の再生部11は、ストリームを特定する情報を受け付ける。
【0065】
(図4のステップSA−2)
ついで、追加システム10の再生部11は、特定されたストリーム情報を再生し、使用者にその情報を提示する。ストリーム情報とは、動画像情報や音声情報などのように、時間的に連続して提示される情報である。
【0066】
(図4のステップSA−3)
ついで、使用者は、再生されているストリーム情報の提示を受けながら(たとえば動画像を見ながら)、ストリーム情報を後に再生したい位置で、入力部1を操作する。例えば特定のキーを押す。これにより、追加システム10の開始情報生成部12は、使用者からの開始位置指示を受け付けることができる。
【0067】
(図4のステップSA−4)
ついで、開始情報生成部12は、タグ情報を生成して、記憶部6に保存する。もちろん、タグ情報を記憶する場所としては、ネットワーク8を介して接続された記憶装置9であってもよい。
【0068】
ここで、保存されるタグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始時間を特定するための開始情報と、サムネイル情報とを含んでいる。ここでのタグ情報はXML化あるいはCSV化されてもよいが、本実施形態では、この時点では、システム特有の適宜な形式で記録されるものとする。また、ここでID情報は、タグ情報毎に付される(具体例は後述する)。
【0069】
(図4のステップSA−5)
ついで、使用者は、再生されているストリーム情報の提示を受けながら(たとえば動画像を見ながら)、ストリーム情報の再生を終了したい位置で、入力部1を操作する。例えば特定のキーを押す。指示内容をキーに割り付ける方法は前記したとおりである。これにより、追加システム10の終了情報生成部13は、使用者からの終了位置指示を受け付けることができる。ただし、終了情報を入力することは必須ではない。終了情報を入力せずに追加モードを終了した場合は、ステップSA−5及びステップSA−6を行わずにステップSA−7に進むことになる。
【0070】
(図4のステップSA−6)
ついで、終了情報生成部13は、終了情報を生成して、これをタグ情報の一部として、記憶部6に保存する。もちろん、タグ情報を記憶する場所としては、ネットワーク8を介して接続された記憶装置9であってもよい。終了位置が開始位置より前であった場合は、エラー処理として動作停止又は警告としてもよいし、終了位置の入力が無かったことにしても良い。
【0071】
(図4のステップSA−7)
ついで、使用者は、追加モードの終了指示を、入力部1を用いて入力する。ただし、使用者は、ステップSA−6の後、ステップSA−7に進まずに、ステップSA−3〜5のいずれかに戻り、複数のタグ情報を入力することもできる。
【0072】
(図4のステップSA−8)
ついで、追加システム10は、以上の動作により生成されたタグ情報を、XMLの形式で記憶部6に保存する。このとき、追加システム10は、対応するストリーム情報も、タグ情報の一種として保存する(タグ情報の具体例は後述)。保存する箇所は、前記と同様に、ネットワーク上のほかの場所でもよい。また、記録形式はCSVであってもよい。
【0073】
(タグ情報追加の具体例)
ここで、図5を参照して、タグ情報追加の具体例を説明する。タグ情報とは、図3に示す内容を持つ情報である(ただし、図3において終了情報、コメント情報及びサムネイル情報は必須ではない)。後述する図7に示すXMLファイルを例にして説明すると、内にあるがタグ情報を示している。は、タグ情報の集まり(つまりタグ情報群)を示している。参照するストリーム情報(図7では映像ファイル)は、で示されている。これとをあわせたXMLファイル全体は、クリップ情報と呼ばれることがある。
【0074】
図5に示されるタグ61及びタグ62においては、開始情報と終了情報とが生成されている。タグ6Nにおいては、開始情報のみが生成され、終了情報は生成されていない。前記したように、このような、終了情報を生成しない操作も可能である。終了情報を生成しない場合の再生の方法は後述する。
【0075】
図5の例から判るように、本実施形態においては、タグ61の終了時間の前に、タグ62の開始時間を設定してもよい。ただし、前記では、一つのタグ情報中に複数のタグ情報を含めているが、各タグ情報に対応して個別にタグ情報(すなわちクリップ情報のファイル)を生成しても良い。
【0076】
さらに、図6により、タグ情報追加の別の具体例を説明する。この例では、ストリーム情報50の再生中に、前記と同様にして、タグ61及びタグ62という二つのタグ情報を生成している。この例では、タグ61の開始時間の後にタグ62の開始時間が設定され、タグ61の終了時間の前にタグ62の終了時間が設定されている。つまり、時間の関係としては、タグ62がタグ61の中に含まれている。このような指定をすることも本実施形態では可能である。このように指定した場合の再生方法も後述する。このことは、クリップ情報どうしの間でも同様である。
【0077】
(XMLの具体例)
ステップSA−8において説明したXML形式のクリップ情報(タグ情報)を図7に示す。図示したクリップ情報中のタグ情報はコメント情報やサムネイル情報を含んでいるが、これらは、後述する編集モードにおいて追加的に記録されるものであり、追加モードの終了時には一般には含まれていない。この例では、tag0とtag1という二つのタグ情報が一つのクリップ情報の中に含まれている。この例では、一つのクリップ情報で参照するストリーム情報は一つ(movie.mpg)となっている。また、図7の例で、タグ情報を特定するためのID情報とは、tag0とtag1である。ストリーム情報を特定するタグ情報として、Filenameが記載されている。Filenameは、ID情報で特定されるタグ情報群の前に通常は記載される。
【0078】
(タグ情報の編集)
(図8のステップSB−0)
使用者が編集システム20を起動すると、処理装置は編集モードとなる。編集モードでは、以下の手順により、タグ情報の編集を行う。
【0079】
(図8のステップSB−1)
使用者は、編集対象とするタグ情報を特定するための指示を、入力部1により入力する。これにより、編集システム20は、タグ情報特定指示を受け付ける。
【0080】
具体的には、編集システム20は、まず、図9に示されるような、各タグ情報を選択する画面を表示する。ここでは、第1…第Nのタグに対応した表示領域71,72,…,7Nが表示される。各表示領域は、サムネイル情報を表示するためのシーン画像領域71a,72a,…,7Naと、開始時間を表示するための開始位置領域71b,72b,…,7Nbと、終了時間を表示するための終了位置領域71c,72c,…,7Ncと、後述する方法で記録されるコメントを表示するためのコメント領域71d,72d,…,7Ndとをそれぞれ備えている。
【0081】
この状態で、使用者は、編集対象とするタグ情報を、入力部1を用いて指定する。タグ情報が指定されると、次のステップSB−2に移る。
【0082】
(図8のステップSB−2)
ついで、編集システム20の再生部21は、使用者からの再生指示が入力部1から入力されると、タグ情報で特定されるストリーム情報を再生する。ここで、編集システム20は、追加システムで生成されたXMLファイル(あるいはCSVファイル)を参照し、そこで特定されているストリーム情報(図7の例ではmovie.mpgという動画像ファイル)を再生する。本実施形態では、クリップ情報の一部であるタグ情報が指定されたとき、そのクリップ情報中のタグで特定されるストリーム情報を最初から再生する。
【0083】
ステップSB−2の後、使用者は、開始位置編集(ステップSB−3以降)、終了位置編集(ステップSB−9以降)及びコメント編集(ステップSB−13以降)のいずれかの作業を選択して行うことができる。編集モードを終了する前であれば、ひとつの作業が終了した後に他の作業を続けて行うことも可能である。以下、各作業について説明する。
【0084】
(図8のステップSB−3及びSB−4)
使用者は、入力部1を用いて、開始位置の編集を行うことの指令を入力することができる。具体的には、たとえば、図9に示される開始位置領域71b…71Nのいずれかをクリックすることにより、この入力を行うことができる。これにより、編集システム20は、開始位置の編集の指示を受け取る。また、本実施形態では、使用者が、図9に示される特定の開始位置をクリックすると、編集対象とするタグ情報を特定することができる。たとえば、図9における開始位置領域71bをクリックすると、第1のタグについての編集であることを特定することができる。これにより、編集システム20は、編集するタグ情報の特定と編集内容の特定とを行うことができる。したがって、本実施形態では、図8のステップSB−3とSB−4とが同時に実行される。
【0085】
(図8のステップSB−5)
ついで、使用者は、入力部1を用いて、新たな開始位置を指定する。指定方法は、追加システム10における開始位置の指定方法と同様とすることができる。これにより、編集システム20の開始情報編集部22は、修正された新たな開始位置指定情報を受け取ることができる。
【0086】
(図8のステップSB−6)
ついで、編集システム20の開始情報編集部22は、新たな開始位置指定情報で指定された時間におけるサムネイル情報を取得する。さらに、開始情報編集部22は、あらたな開始位置指定情報と新たなサムネイル情報とを、タグ情報に書き込む(すなわちタグ情報を更新する)。
【0087】
(図8のステップSB−7及びSB−8)
ついで、編集モード終了の指令を使用者から受け付けると、編集モードを終了し、更新されたタグ情報をXML形式(又はCSV形式)で記録する。
【0088】
(図8のステップSB−9及びSB−10)
ステップSB−2の後、使用者は、入力部1を用いて、終了位置の編集を行うことの指令を入力することができる。具体的には、たとえば、図9に示されるいずれかの終了位置領域71c…7Nのいずれかをクリックすることにより、この入力を行うことができる。これにより、編集システム20は、終了位置の編集の指示を受け取る。また、これにより、編集対象とするタグ情報を特定することもできる。たとえば、図9における終了位置領域71cをクリックすると、第1のタグについての編集であることを特定することができる。これにより、編集システム20は、編集するタグ情報の指示を受け取ることもできる。したがって、本実施形態では、図8のステップSB−7とSB−8とが同時に実行される。
【0089】
(図8のステップSB−11)
ついで、使用者は、入力部1を用いて、新たな終了位置を指定する。指定方法は、追加システム10における終了位置の指定方法と同様とすることができる。これにより、編集システム20の終了情報編集部23は、修正された新たな終了位置指定情報を受け取ることができる。
【0090】
(図8のステップSB−12)
ついで、編集システム20の終了情報編集部23は、新たな開始位置指定情報を、タグ情報に書き込む(すなわちタグ情報を更新する)。
【0091】
(図8のステップSB−7及びSB−8)
ついで、編集モード終了の指令を使用者から受け付けると、編集モードを終了し、更新されたタグ情報をXML形式(又はCSV形式)で記録する。
【0092】
(図8のステップSB−13及びSB−14)
ステップSB−2の後、使用者は、入力部1を用いて、コメントの編集を行うことの指令を入力することができる。具体的には、たとえば、図9に示されるいずれかのコメント領域71d…7Ndをクリックすることにより、この入力を行うことができる。これにより、編集システム20は、コメント編集の指示を受け取る。また、本実施形態では、使用者が、図9に示される特定のコメント領域をクリックすると、編集対象とするタグ情報を特定することができる。たとえば、図9におけるコメント領域71dをクリックすると、第1のタグについての編集であることを特定することができる。これにより、編集システム20は、編集するタグ情報の指示を受け取ることもできる。したがって、本実施形態では、図8のステップSB−13とSB−14とが同時に実行される。
【0093】
(図8のステップSB−15)
ついで、使用者は、入力部1を用いて、コメントを入力する。たとえば、キーボードを用いて適宜なテキストをコメントとして入力する。これにより、編集システム20のコメント編集部24は、コメント情報を受け取ることができる。
【0094】
(図8のステップSB−16)
ついで、編集システム20のコメント編集部24は、入力されたコメントを、タグ情報に書き込む(すなわちタグ情報を更新する)。また、編集モードを終了するステップSB−16に進む前に、前記したステップを繰り返して、複数の編集作業を行うこともできる。
【0095】
(図8のステップSB−7及びSB−8)
ついで、編集モード終了の指令を使用者から受け付けると、編集モードを終了し、更新されたタグ情報をXML形式(又はCSV形式)で記録する。
【0096】
(再生モード)
つぎに、前記のように生成され、あるいは編集されたタグ情報を記録したXMLファイル(又はCSVファイル)を用いてストリーム情報を再生する方法について、図10を参照しながら説明する。
【0097】
(図10のステップSC−0)
再生モードに入るために、使用者は、入力部1を用いて、再生モードに入るための指示を入力する。これにより再生システム30を立ち上げて以下の処理を行う。再生システム30は、まず、図11に示すようなタグ情報の表示領域71…7Nを使用者に提示する。
【0098】
(図10のステップSC−1)
ついで、使用者は、再生するタグ情報を指定する。たとえば、使用者は、タグ情報における特定のシーン画像領域71a…をマウスでクリックすることにより、この指定を行うことができる。再生システム30は、これにより、再生すべきタグ情報の指定を受け取る。ここで、使用者は、複数のシーン画像領域をクリックすることにより、複数のタグ情報を指定することもできる。
【0099】
(図10のステップSC−2)
ついで、再生システム30は、指定されたタグ情報を記録しているXMLファイル(又はCSVファイル)から、SMILファイルを生成する。XMLファイルからSMILファイルを生成するモジュール(このモジュールは、この実施形態では、再生システム30に含まれるものとする)の動作手順の一例を、図12に示す。
【0100】
(図12のステップSD−1〜SD−3)
まず、再生システム30は、XMLファイルから、再生に必要なタグ情報と、再生対象となるストリーム情報とを取得する。どのようなタグ情報を必要とするかはあらかじめ設定しておく。また、再生システムは、SMILファイル生成のために、〈smil〉要素等の要素を生成しておく。ここで、〈head〉要素、〈body〉要素は、〈smil〉要素の子要素として、〈seq〉要素は〈body〉要素の子要素として設定する。ストリーム情報が映像の場合は、さらに、〈head〉要素の生成時に、映像を表示するサイズ(〈root-layout〉要素)、映像を表示する領域(〈region〉要素)をも生成する。この例では、表示するためのサイズを320×240ドットとしている。
【0101】
(図12のステップSD−4〜SD−8)
ついで、再生システム30は、取得したタグ情報群から、clipBegin属性の値や、clipEnd属性の値を取得し、video要素を生成する。ここで、図示されているように、再生終了位置が取得されていない場合は、ステップSD−7を飛ばしてステップSD−8に進む。
【0102】
(図12のステップSD−9及びSD−10)
ついで、タグ情報群から生成した〈video〉要素を〈seq〉要素の子要素に設定し、生成した要素をファイルに保存する。これによりSMILファイルを生成することができる。
【0103】
生成されるSMILファイルの一例を図13に示す。この例では、ひとつのストリーム情報における二つの部分(第1タグ及び第2タグ)を再生する例を示している。また、この例では、ストリーム情報として動画像が用いられている。さらに、この例では、SMILファイルで指定された動画像(movie.mpg)を、vdorgnという領域に、タグ情報で指定された開始時間から終了時間の間、それぞれのタグを表示するようになっている。なお、この例では、開始時間をclipBegin、終了時間をclipEndで示している。ここに示された時間は、ストリーム情報中での(ストリーム情報の時間座標での)時間である。また、ストリーム情報が音声のときは領域を指定する必要はない。
【0104】
(図10のステップSC−3)
ついで、再生システム30は、生成されたSMILファイルを、ストリーム情報再生用のソフトウエアモジュール(例えばRealPlayer(商標))を用いて再生する。本実施形態では、ストリーム情報再生用のモジュールが、再生システム30の一部をなしているものとする。ただし、再生システム30の他に再生用モジュールが存在し、両者が協働して、実質的に再生システム30の機能を実現すると考えても良い。ストリーム情報再生用のモジュールは、SMILファイルに基づいてストリーム情報を再生できるのであれば、一般に配布されているものを使用できる。また、SMILファイルに代えて他の記述言語(たとえばHTML+TIME)を用いるときは、それを解釈できるモジュール(たとえばInternetExplorer(商標))を用いることが適切である。
【0105】
ストリーム再生用のモジュールは、SMILファイルでの記述にしたがって、ストリーム情報を記憶部6又はネットワーク上の記憶装置9から読み込んで、指定された開始位置から終了位置までのストリーム情報を再生する。終了位置が指定されていない場合は、ストリーム情報の最後まで再生する。終了位置が開始位置の前に指定されているときも、ストリーム情報の最後まで再生する。
【0106】
本実施形態では、SMILファイルの記述にしたがって、指定した時間の間、ストリーム情報を再生することができる。しかも、本実施形態では、あらかじめ編集したストリーム情報を格納しておかなくても、その再生が可能である。仮に、あらかじめ編集したストリーム情報を格納しておく場合、ストリーム情報は一般に大容量となるため、記憶領域を圧迫するという不都合がある。これに対して、SMILファイルは、基本的にテキストデータであって小容量である。また、XMLデータやCSVデータもテキストデータであって小容量である。よって、本実施形態の装置では、使用する記憶領域を少なく抑えることができるという利点がある。
【0107】
さらに、SMILは機器不依存の記述言語であるから、基本的にはSMILの処理系が動作する環境であれば、コンピュータやOSの種類を問わないという利点もある。
【0108】
また、タグ情報をテキストデータで保存することとしているので、CGI(Common Gateway Interface)によりタグ情報を取得するスクリプトを容易に作成することができる。これにより、CGIを介して、タグ情報が格納されているXMLファイルもしくはCSVファイルを取得し、SMILファイルを生成して、サーバから、インターネット又はイントラネットで配信することができる。
【0109】
また、本実施形態では、SMILファイルの記述(図10)にしたがって、二つのタグ情報を連続して再生するように動作する。すなわち、第1タグについて、開始時間から終了時間まで再生した後、第2タグについて、その開始時間から再生時間まで再生することができる。
【0110】
従来の技術では、異なる複数の映像フォーマットを扱うことは可能であるが、インデックス情報に基づいて映像情報を格納したときに、それぞれの映像を同じフォーマットに変換する作業が発生する。このため、ある程度以上の仕様を持った機器を用いないと作業効率が落ちてしまう。これに対して、本実施形態では、映像/音声(つまりストリーム情報)の再生にはSMILを用いるために、映像/音声情報の変換作業が発生せず、映像/音声が再生できる程度の能力の機器により、短時間で新しい映像/音声情報の再生情報を作成することができる。
【0111】
(図10のステップSC−4)
ついで、再生されたストリーム情報は、提示部3によって使用者に提示される。
【0112】
(図10のステップSC−5)
その後、使用者が、入力部1によって再生モード終了を指示すると、再生システム30は、再生モードを終了する。ただし、再生モードを終了するステップSC−5に進む前に、前のステップに戻り、複数のタグ情報を再生することも可能である。
【0113】
(変形例)
前記の実施形態では、タグ情報をXMLファイルで保存する例を示した。図14には、タグ情報をCSV形式で保存する場合の例を示す。図14(a)において1行目の#はコメント行を示す。#の後には、通常、ストリーム情報のファイル名が記載される。2行目以降に、タグ情報に対応した情報を記録する。各行におけるフィールドは図14(b)のように指定される。改行された複数行を有する場合、各行が各タグ情報に対応する。
【0114】
つぎに、本実施形態の実施に伴って作成されるフォルダの例を図15に示す。ここでは、フォルダを記憶部6に作成しているが、ネットワークを介して接続された記憶装置9に作成することも可能である。この例では、タグ情報をHTMLとしてhtmlフォルダに格納している。この場合、HTMLファイルのほかに、各タグ情報のSMILファイル及びサムネイル画像(サムネイル情報)のファイルをまとめて生成し、それぞれを別個のフォルダに格納している。HTMLファイルを用いる場合は、HTMLファイルから選択されたタグ情報に対応するSMILファイルをRealPlayer(商標)に送ることで、ストリーム情報を再生することができる。さらに、この例では、ストリーム情報である映像又は音声ファイルも別個のフォルダに格納している。
【0115】
つぎに、コメント中のキーワードを使ってタグ情報を検索する例を、図16を参照して説明する。この例では、編集システム20又は再生システム30が、検索画面を表示し、キーワードの入力を受け付ける。編集システム20又は再生システム30は、受け付けたキーワードに基づいて、タグ情報を検索し、キーワードを有するコメントがあるときは、当該タグ情報の枠を、他と区別できるように表示(たとえばハイライト表示)する。もちろん、テキスト検索においては、一致検索だけでなく、あいまい検索など、検索に適する技術を応用することができる。
【0116】
つぎに、複数のストリーム情報の比較を行う例を、図17に基づいて説明する。この例では、再生システム30において、使用者により、複数のタグが選択され、かつ、比較を行う旨の指示が入力されると、それぞれのタグを同時に並列して表示する内容のSMILファイルが生成される(図17(a)参照)。すると、ストリーム情報を再生する再生ソフトウエアにおいては、二つのタグに対応する二つの動画像が並列して表示される(図17(b)参照)。このようにすれば、二つの映像を比較しながら観察することができる。たとえば、映画や演劇などにおいては、同一作品を別の役者が演じることがある。この場合、同一シーンでそれぞれの役者の映像を比較することができる。また、スポーツ分野においても一人の選手の新人の頃と数年後での映像比較(もしくは別の選手の映像比較)を行うことで、進歩の確認やトレーニングの指針として利用することができる。また、映像を用いたe-Learningへ本実施形態の装置を応用することもできる。この場合、閲覧者自身が、講義映像のチェックすべきポイントなどにタグ情報を付加することができる。閲覧者は、後で、タグ情報を付した部分の映像を重点的に確認することによって学習効率を上げることができる。
【0117】
本実施形態では、生成したタグ情報をXML又はCSVの形式で保存するので、データの並べ替えや検索の効率が高く、作成したタグ情報の有効活用が可能であるという利点もある。
【0118】
また、本実施形態では、追加、編集、再生のモードを設けたので、各モードで行える動作を制限することにより、誤操作を防ぐことができる。また、どのモードでもタグ情報の削除を可能にすることにより、不要なタグが整理しやすくなる。
【0119】
前記した本実施形態の動作は、コンピュータに適宜のコンピュータソフトウエアを組み込むことにより実施することができる。
【0120】
なお、本発明に係る処理装置及び処理方法は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。
【0121】
例えば、前記した各構成要素は、機能ブロックとして存在していればよく、独立したハードウエアとして存在しなくても良い。また、実装方法としては、ハードウエアを用いてもコンピュータソフトウエアを用いても良い。さらに、本発明における一つの機能要素が複数の機能要素の集合によって実現されても良く、本発明における複数の機能要素が一つの機能要素により実現されても良い。
【0122】
また、機能要素は、物理的に離間した位置に配置されていてもよい。この場合、機能要素どうしがネットワークにより接続されていても良い。グリッドコンピューティングにより機能を実現し、あるいは機能要素を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施形態に用いるコンピュータのハードウエアの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るストリーム再生情報処理装置の概略的なブロック図である。
【図3】タグ情報のテーブルの一例を示す説明図である。
【図4】追加モードの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】生成されるタグ情報とストリーム情報との関係を説明するための説明図である。
【図6】生成されるタグ情報とストリーム情報との関係を説明するための説明図である。
【図7】タグ情報に基づいて生成されるXMLファイルの記述内容の一例を示す説明図である。
【図8】編集モードの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】編集モードにおいて使用者に提示される作業用画面表示の一例を示す説明図である。
【図10】再生モードの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】再生モードの動作を説明するための説明図であって、画面表示の流れを示す図である。
【図12】XMLファイルからSMILファイルを生成するモジュールの動作手順を示すフローチャートである。
【図13】ストリーム情報の再生時に生成されるSMILファイルの記述内容の一例を示す説明図である。
【図14】タグ情報に基づいて生成されるCSVファイルの記述内容の一例を示す説明図である。
【図15】本実施形態の装置において生成されるファイルとそれを格納するフォルダの一例を説明するための説明図である。
【図16】キーワード検索を行う場合の画面表示の一例を示す説明図である。
【図17】映像比較を行う場合の画面表示の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0124】
1 入力部
2 入力I/F部
3 提示部
4 出力I/F部
5 CPU
6 記憶部
7 ネットワークI/F部
8 ネットワーク(インターネット)
9 記憶装置
10 追加システム(タグ情報追加システム)
11 追加システムの再生部
12 開始情報生成部
13 終了情報生成部
20 編集システム(タグ情報編集システム)
21 編集システムの再生部
22 開始情報編集部
23 終了情報編集部
24 コメント編集部
30 再生システム(ストリーム情報再生システム)
31 ファイル生成部
32 再生システムの再生部
33 提示部
40 タグ情報のテーブル
50 ストリーム情報
61〜6N 第1〜第Nタグ
71〜7N 表示領域
71a〜7Na シーン画像領域(サムネイル情報領域)
71b〜7Nb 開始位置領域
71c〜7Nc 終了位置領域
71d〜7Nd コメント領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追加システムと、編集システムと、再生システムを備えており、
前記追加システムは、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっており、
前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでおり、前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されており、
前記編集システムは、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、前記タグ情報についての修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存する構成となっており、
前記再生システムは、前記保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、前記ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された前記開始位置から再生する構成となっている
ことを特徴とするストリーム再生情報の処理装置。
【請求項2】
前記追加システムは、ストリーム情報の再生中に終了位置指示を受け付けた場合には、前記ストリーム情報における終了位置を特定するための終了情報を生成して、前記タグ情報の一部として保存する構成となっている
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記追加システムが生成するタグ情報は、前記開始位置の近傍における、前記ストリーム情報のサムネイル情報をさらに含んでいる
請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記ストリーム情報は動画像であり、前記サムネイル情報は、前記動画像の一部である静止画像である
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記編集システムが受け付ける修正内容には、使用者から入力されるコメント情報を含んでおり、さらに、前記編集システムは、入力された前記コメント情報を、編集対象となっているタグ情報の一部として保存する構成となっている
請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記再生システムで生成される前記指示情報とはSMILファイルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記追加システム又は前記再生システムにおいては、前記タグ情報が、XMLまたはCSVの形式で保存される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記追加システムにおける前記開始位置指示の入力と前記終了位置指示の入力とは、異なる入力キーに割り付けられている、請求項2に記載の処理装置。
【請求項9】
前記追加システムにおける前記開始位置指示の入力と前記終了位置指示の入力とは、同じ入力キーにおける奇数回目の入力と偶数回目の入力とに割り付けられている、請求項2に記載の処理装置。
【請求項10】
追加システムと編集システムと再生システムを備えており、さらに、以下のステップを備える、ストリーム再生情報の処理方法:
(1)前記追加システムが、ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存するステップ、
ここで、前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでおり、前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されている;
(2)前記編集システムが、編集の指示、及び、編集されるタグ情報を特定する指示を受け付けた場合、前記タグ情報についての修正内容の入力を受け付け、さらに、入力された修正内容に基づいて前記タグ情報を更新して保存するステップ;
(3)前記再生システムが、前記保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成し、この指示情報によって、前記ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された前記開始位置から再生するステップ。
【請求項11】
コンピュータに、請求項10記載の処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
再生部と、開始情報生成部とを備えており、
前記再生部は、使用者に提示されるストリーム情報を再生する構成となっており、
前記開始情報生成部は、前記ストリーム情報の再生中に開始位置指示を受け付けた場合、タグ情報を生成して保存する構成となっており、
前記タグ情報は、このタグ情報を特定するためのID情報と、ストリーム情報における開始位置を特定するための開始情報とを含んでおり、前記開始位置は、前記開始位置指示を受け付けた時点又はその近傍に設定されている
ことを特徴とするタグ情報追加システム。
【請求項13】
さらに終了情報生成部を備えており、前記終了情報生成部は、前記ストリーム情報の再生中に終了位置指示を受け付けた場合には、ストリーム情報における終了位置を特定するための終了情報を生成して、前記タグ情報の一部として保存する構成となっている
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
再生部と、開始情報編集部とを備えており、
前記再生部は、使用者に提示されるストリーム情報を、指定されたタグ情報に基づいて提示する構成となっており、
前記開始情報編集部は、新たな開始情報の入力を受け付け、さらに、入力された新たな開始情報に基づいて前記タグ情報を更新して保存する構成となっている
ことを特徴とするタグ情報編集システム。
【請求項15】
ファイル生成部と、再生部と、提示部とを備え、
前記ファイル生成部は、保存されたタグ情報から、ストリーム情報再生のための指示情報を生成する構成となっており、
前記再生部は、この指示情報によって、ストリーム情報の一部を、前記タグ情報で特定された開始位置から再生する構成となっており、
前記提示部は、前記再生部で再生されたストリーム情報を使用者に提示する構成となっている
ことを特徴とするストリーム情報再生システム。
【請求項16】
前記ストリーム情報再生のための指示情報とはSMILファイルであることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−267339(P2007−267339A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93383(P2006−93383)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(301031026)ネクストソリューション株式会社 (2)
【Fターム(参考)】