説明

ストレッチラベル用ストレッチフイルムとこのフイルムを用いたストレッチラベル

【目的】 排気処理の必要がなく、生産速度を向上したストレッチラベル用ストレッチフイルムとそのフイルムを用いたストレッチラベルを提供する。
【構成】 ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、から選んだ樹脂と、夫々10重量%以上のLLDPEと、LDPEからなる樹脂組成物で形成した、メルトインデックスが1.0〜1.8で、抗張力が0.9kg/15mm以上であり、厚さが40μm以上であるストレッチラベル用ストレッチフイルムと、このフイルムで作成したストレッチラベルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着して使用するストレッチラベルに使用する、ストレッチフイルムとこのフイルムで形成したストレッチラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック、ガラス、あるいは、金属等からなる各種の包装用容器の外周表面に装着されるラベルとしては、種々のものが使用されているが、それらの一つに、フイルムの自己伸縮性を利用して、包装用容器の外周表面に装着されるストレッチラベルがある。
このラベルは、自己伸縮性を有するものであるから、包装用容器の寸法形状変化等に対し追従することができる利点を有する。他方、使用後においては、包装用容器とラベルとの分離が容易であり、分別回収できるので環境対応に適する等の種々の利点を有するものである。
従来から、ストレッチラベルを構成するフイルムとしては、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%で、自己伸縮性を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルムからなる原反フイルムが最も一般的に使用されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
更には、自己伸縮性を有する低密度ポリエチレンフイルム等からなる原反フイルム等も使用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開昭55−40474号公報
【特許文献2】実開平6−74330号公報
【特許文献3】特開昭58−144883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のストレッチラベルは、ストレッチフイルムの両端を接着剤で接着して円筒形状に形成し、これを容器に被着している。しかしながら、接着剤方式はスピードがあがらず、接着剤や溶剤を用いるため、排気処理を行わなければならない等の付加費用を必要とする問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
「1. ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、から選んだ樹脂と、夫々10重量%以上のLLDPEと、LDPEからなる樹脂組成物で形成した、メルトインデックスが1.0〜1.8で、抗張力が0.9kg/15mm以上であり、厚さが40μm以上であるストレッチラベル用ストレッチフイルム。
2. 5%伸張の状態で、0.3分経過後の応力緩和率が67%である、請求項1に記載されたストレッチラベル用ストレッチフイルム。
3. 10%伸張の状態で、0.3分経過後の応力緩和率が63%である、請求項1に記載されたストレッチラベル用ストレッチフイルム。
4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたストレッチフイルムに印刷を施し、所定の形に裁断した後、フイルムの両端を熱融着して筒状としたストレッチラベル。」
に関する。
本発明で言う、LLDPEは低密度線状ポリエチレンの略称である。LDPEとは低密度ポリエチレンの略称である。EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体、EAAはエチレン−アクリル酸共重合体の略称である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、LLDPEとLDPEの特定量を配合したことにより、得られるストレッチフイルムの熱溶断性を良好にし、溶断シール性を付与する効果が奏される。この効果によりシート状のストレッチフイルムの端部を溶断シールして筒状のストレッチラベルを高速且つ無排気で形成することができ、また印刷適性も優れている効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のストレッチラベル用ストレッチフイルムは、LLDPEとLDPEを夫々10%以上含有している。そしてこの他に、EVA、EVV 等を含有する樹脂組成物で形成されるが、LLDPEが10%以下では結晶化が早く、印刷等のピッチ収縮が大きく、応用緩和率が大きいためストレッチ時にたるみが発生する。またLDPE10%以下でも同じ欠点が生じるので、LLDPEとLDPEは10%以上含有しなくてはならない。
また、フイルムの厚みが40μm以下であると、抗張力が低くなり、溶断シール強度が出ない。印刷ピッチ収縮も大きく、応力緩和率が大きくなり、ストレッチ時にたるみが発生するので好ましくない。
フイルムのメルトインデックスは、1.0〜18の範囲になくてはならない。この範囲以上となると、印刷ピッチ収縮が大きく、応力緩和率も大きくなりストレッチ時にたるみが発生する。また範囲以下となると、溶断シール時の外観(盛り上がり)が悪い。したがって、この範囲にあることが必要である。
フイルムの抗張力は、0.9kg/15mm以上でなくてはならない。これ以下では、溶断シール強度が低い。印刷時のピッチ収縮が大きく、応力緩和率も大きくなり、ストレッチ時にたるみが発生するので好ましくない。
また、5%伸張の状態で、0.3分経過後の応力緩和率が67%以上であるか、10%伸張状態で0.3分経過後の応力緩和率が63%以上であることが重要であって、応力緩和率がこれ以下では、ストレッチ時にたるみが発生し、ストレッチラベル用に適さない。
【0007】
次にストレッチラベル用ストレッチフイルムと、これを用いたストレッチラベルの製造方法を説明する。
所定事項を印刷したストレッチラベル用ストレッチフイルム原紙を単面にスリットし、巻き取る。単面の巻き取りを反折りし、溶断シールして巻き取る。
使用するときは、巻き取ったフイルムを1個当たりに切り、ストレッチしてボトルに装着する。
このように、ストレッチフイルムの両端部を熱融着すると、ストレッチフイルム融着部の強度は、接着剤で接着した場合より大きくなる。これは、同質のフイルムが融着したためで、接着剤を用いた場合の異質の材料が接合した場合は、接着部が弱くなるのとは大きく異なる効果が奏される。
本発明において、ストレッチラベルを構成する筒状体の外径は、ボトル胴部の外径よりやや小さい外径として、筒状のストレッチラベルを形成することが好ましい。
本発明において、上記の筒状のストレッチラベルをボトル胴部の外周表面に装着するには、筒状のストレッチラベルの外径を、伸張機等を使用して引き伸ばし、広げた状態で装着する。
ストレッチラベルが、ボトル胴部の外周表面に装着されると、ストレッチラベルは、ストレッチラベルを構成する樹脂フイルムの自己弾性伸縮力あるいは自己回復性等により、外径が収縮しボトル胴部の外周表面に緊密に密接着した状態で装着される。
なお、本発明において、上記のようにボトル胴部の外周表面にストレッチラベルを装着した後、ボトル内に炭酸飲料、果汁等の内容物を充填包装し、次いで、キャッピングして密閉し、次いで、約70℃位の熱水シャワー等を10数分間かけて低温殺菌を施しても、ボトル胴部の外表面に対するストレッチラベルの密接着性は劣化せず、ラベルとボトル胴部は強固に密接着し、ストレッチラベルが、ボトル胴部の外表面から滑って脱落することもなく、強靭性、耐表面傷性、その他の特性に優れたストレッチラベルを極めて良好にボトル胴部の外表面に装着し得ることができる。
【0008】
なお、本発明は、ボトルに内容物を充填し、殺菌処理後、ストレッチラベルを装着することもできる。
本発明においては、ボトルを使用後において、ボトルとストレッチラベルを極めて容易に、かつ、簡単に分離して、分別回収することができる利点もある。
なお、本発明のストレッチラベルは、例えば、プラスチック製、ガラス製、金属製、その他の種々の形態からなるボトル容器に適用することができ、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、あるいは、ポリエチレン系樹脂等からなる延伸ブロー成形容器等に好適に使用される。
また、ボトル内に充填包装する内容物としては、炭酸飲料、果汁、調味料、その他等の種々の飲食物、化学品ないし医薬品等を挙げることができる。
【実施例】
【0009】
次に実施例を挙げて具体的に説明する。
実施例1
LLDPE50重量部:LDPE50重量部の割合で、LLDPEとLDPEとを配合した樹脂組成物を使用し、マルチマニフォールドタイプのTダイ押出機を用いて未延伸樹脂フイルムを製造し、次いで加熱ロール間を通して10%1軸方向に延伸し熱固定して、膜厚90μmの長尺フイルムを製造した。
次にこの長尺のフイルムの片面にラベルとして必要な事項を印刷して、長尺状のラベル原反フイルムを製造した。この原反フイルムを所定の片に切断し、両端を熱融着して筒状のラベルを製造した。ストレッチフイルムの性能を表1に示す。
【0010】
実施例2〜9
ストレッチフイルムの内訳と応力緩和率を表1に示した通りとした。ストレッチフイルムの性能を表1に示す。
【0011】
比較例1〜7
ストレッチフイルムの内訳と応力緩和率を表1の通りとし、ストレッチフイルムの性能を表1に示す。
【0012】
【表1】

【0013】
(注)
比較例1:LLDPE単独では、溶断シール時の外観(毛羽立ち)が悪い。印刷時のピッチ収縮が大きい。応力緩和率が大きいため、ストレッチ時に弛みが見られる。
比較例2:LDPE単独では、印刷時のピッチ収縮が大きい。応力緩和率が大きいため、ストレッチ時に弛み・皺が見られる。
比較例3:LLDPE量が少ないため、結晶化が早く、印刷時にピッチ収縮が大きい。応力緩和率が大きいため、ストレッチ時に弛み・皺が見られる。
比較例4:厚みが薄いため、抗張力が低くなり、溶断シール強度が出ない。また印刷ピッチ収縮が大きい。応力緩和率が大きいため、ストレッチ時に弛みが見られる。
比較例5:フイルムMIが大きいため、印刷ピッチ収縮がやや大きく、応力緩和率も大きくなるため、ストレッチ時に弛み・皺が見られる。
比較例6:フイルムMIが小さいため、溶断シール時の外観(盛り上がり)が悪い。
比較例7:初期抗張力が小さいため、溶断シール強度が低い。印刷時のピッチ収縮もやや大きい。応力緩和率もやや大きいため、ストレッチ時に弛みややが見られる。
測定条件:(1)応力緩和率:引張試験機テンシロン、引張速度200mm/min、伸張率5%、10%緩和時間0.3分にて測定する。
(2)溶断シール強度:引張試験機テンシロン、引張速度300mm/min、シール温度140〜200℃(10℃毎)にて測定する。
(3)溶断シール状態:T型剥離におけるフイルムの伸び、切れの状態を目視で観察する。
(4)印刷適性:オーブン温度(プレヒート60℃、1〜7色40℃)、速度100m/min、テンション70〜100N似て印刷した時のピッチ収縮を測定する。
(5)ストレッチ適性:ボトルに装着した時の皺・弛みの状態を目視で観察する。
(6)抗張力:引張試験機テンシロン、引張速度200mm/minにて測定する。
(7)フイルムMI(メルトインデックス):JIS K7210に準じる。
評価について
○……良い、△……良くない、×……悪い
【産業上の利用可能性】
【0014】
ストレッチフイルムは、飲料ボトルのラベルとして非常に多く使用されており、その使用量は着実に伸びている。
従来方法は円筒状体の形成は殆どが接着剤を用いた接着方式であり、スピードがあがらない問題、接着剤や溶剤を必要とする本発明は、排気処理等の問題がないので、容器のラベル等に広く使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、から選んだ樹脂と、夫々10重量%以上のLLDPEと、LDPEからなる樹脂組成物で形成した、メルトインデックスが1.0〜1.8で、抗張力が0.9kg/15mm以上であり、厚さが40μm以上であるストレッチラベル用ストレッチフイルム。
【請求項2】
5%伸張の状態で、0.3分経過後の応力緩和率が67%である、請求項1に記載されたストレッチラベル用ストレッチフイルム。
【請求項3】
10%伸張の状態で、0.3分経過後の応力緩和率が63%である、請求項1に記載されたストレッチラベル用ストレッチフイルム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたストレッチフイルムに印刷を施し、所定の形に裁断した後、フイルムの両端を熱融着して筒状としたストレッチラベル。

【公開番号】特開2007−41113(P2007−41113A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222693(P2005−222693)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(598095101)株式会社カナオカ (20)
【Fターム(参考)】