説明

ストレージシステム、論理ボリュームのレプリケーション方法・プログラム

【課題】レプリケーションを行う際にストレージ装置間を結ぶ通信回線の使用率を低く抑えることができるストレージシステム等を提供すること
【解決手段】プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置は、比較対象範囲のデータを自装置のマスターボリュームまたは複製ボリュームから読み出して、このデータのチェックコードを作成してメモリに記憶するチェックコード作成手段を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置のうち一方は、自装置のチェックコードと通信回線を介して取得した他装置のチェックコードを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較手段を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置はそれぞれ、自装置と他装置のチェックコードが一致する場合に比較対象範囲に対応する差分マップをマスターボリュームと複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、論理ボリュームのレプリケーション技術に関し、特に、レプリケーションを行う際にストレージ装置間を結ぶ通信回線の使用率を低く抑えることができるストレージシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクアレイ装置等のストレージ装置が備えるレプリケーション機能は、マスターボリュームと複製ボリュームのペアを構築後にホストから受信した更新IOは差分マップとして管理しホストからの同期化指示を受信すると差分マップに従って差分コピーを行うことが、特許文献1にも記載されてあるように一般的に知られている。
【0003】
差分マップに従えば、ホストから更新のあった領域のみコピー対象となり毎回フル差分コピーとならない利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−330730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、以下のような場合でも差分マップに従ってコピーを行うのでマスターボリュームを備える装置と複製ボリュームを備える装置が遠隔地にあって装置間を結ぶ回線帯域が小さな場合に、ペアの同期を取るまでに時間を要し、又、本来不要なコピーデータが回線を流れるといった問題がある。
【0006】
(第1の場合)
論理ディスク構築直後は、マスターボリューム、複製ボリューム共に初期データでありデータが同一である可能性が高い。しかし、ディスクアレイ装置を接続するホストコンピュータによっては、ボリュームラベルを書き込むことで僅かなデータの違いが生じることがある。
このような場合でも、ペアボリューム構築直後はデータの同一性が保証できない為、全データ格納領域に相当する差分マップへの登録を行い、初回のコピーはすべての領域についてコピーを行うフル差分コピーとなる。
【0007】
(第2の場合)
マスターボリュームと複製ボリュームの同期をとった後一旦分離させ、複製ボリュームのバックアップをとり複製ボリュームを用いてコンピュータシステムのテストを行う場合には、テスト終了後、複製ボリュームのバックアップを複製ボリュームにコピーする。
この時点でマスターボリュームと複製ボリュームは同期しているが、ホストコンピュータから複製ボリュームへの更新IOによって差分マップが更新されているので、フル差分コピーとなる。
【0008】
そこで、本発明は、レプリケーションを行う際にストレージ装置間を結ぶ通信回線の使用率を低く抑えることができるストレージシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のストレージシステムは、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置はそれぞれ、プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、ホスト装置から指定された比較対象範囲のデータを自装置のマスターボリュームまたは複製ボリュームから読み出して、このデータのチェックコードを作成してメモリに記憶するチェックコード作成手段を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置のうち一方は、自装置のメモリから読み出したチェックコードと通信回線を介して取得した他装置のチェックコードを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較手段を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置はそれぞれ、
自装置と他装置のチェックコードが一致する場合に比較対象範囲に対応する差分マップをマスターボリュームと複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新手段とを備えている。
【0010】
上記ストレージ装置によれば、マスターボリュームと複製ボリュームのレプリケーションを行う際にプライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置とを接続する通信回線を介して送受信する必要があるのは、ボリュームの比較対照範囲に記録されているデータのチェックコードだけである。
そのため、レプリケーションを行う際にストレージ装置間を結ぶ通信回線の使用率を低く抑えることができる
【0011】
本発明の第2のストレージシステムは、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置のうち一方は、プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、自装置のファイル更新テーブル記憶領域から読み出したデータと、通信回線を介して取得した他装置のファイル更新テーブル記憶領域のデータを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較手段を備え、プライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置はそれぞれ、自装置と他装置のファイル更新テーブル記憶領域のデータが一致する場合にホスト装置から指定された検証済み範囲に対応する差分マップをマスターボリュームと複製ボリュームに差分がないことを示すように更新するデータ比較手段を備えている。
【0012】
上記ストレージ装置によれば、マスターボリュームと複製ボリュームのレプリケーションを行う際にプライマリストレージ装置とセカンダリストレージ装置とを接続する通信回線を介して送受信する必要があるのは、ファイル更新テーブルの記憶領域に記録されているデータだけである。
そのため、レプリケーションを行う際にストレージ装置間を結ぶ通信回線の使用率を低く抑えることができる
【0013】
上記第1または第2のストレージシステムにおいて、チェックコード比較手段とデータ比較手段と差分マップ更新手段は、マスターボリュームと複製ボリュームとのペアが構築された直後に作動するようにしてもよい(請求項3)。
【0014】
上記第1または第2のストレージシステムにおいて、チェックコード比較手段とデータ比較手段と差分マップ更新手段は、複製ボリュームのバックアップにより複製ボリュームが復元された直後に作動するようにしてもよい(請求項4)。
【0015】
本発明の論理ボリュームのレプリケーション方法及びプログラムによっても上記ストレージシステムと同様に、上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0016】
第一の効果は、レプリケーションに要する時間が節約できることにある。
本発明によれば、データ比較手段がマスターボリュームと複製ボリュームの同一性を検証するために必要なデータを検証し、このデータが同一である場合には、差分マップを消去することにより、本来は必要でないデータのコピーを行わなくても済むようにする為である。
第二の効果は、ディスクアレイ間を中継する回線コストが節約できることにある。
通信回線を介してディスクアレイ間で送受信されるデータは同一性を検証するために必要なデータだけとなり、従来の方式によるレプリケーションでは通信回線に流していたマスター・複製ボリューム間で一致しているデータを流す必要がなくなるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態であるストレージシステム1の構成と動作について図1、図2、図3を参照し説明する。
図1は、ストレージシステム1の構成を表す図である。ストレージシステム1は、プライマリホスト10、セカンダリホスト20、ディスクアレイ装置11、ディスクアレイ装置21を備えている。ディスクアレイ装置11とディスクアレイ装置21は、それぞれ、プライマリホスト10、セカンダリホスト20と接続されリード/ライトIO及び同期化指示コマンドを受信して処理する。プライマリホスト10とディスクアレイ装置112によりプライマリサイト12が、セカンダリホスト10とディスクアレイ装置21によりセカンダリサイト22が、それぞれ構成されている。
プライマリサイト12とセカンダリサイト22は、地理的に遠隔の場所に設置されているが、ディスクアレイ装置11とディスクアレイ装置21は、ネットワーク2により通信可能に接続され、通常の運用時は、後述する差分マップ作成回路100(200)によって作成される差分マップを利用して、マスターボリューム120と複製ボリューム220のレプリケーションを行っている。
【0018】
ディスクアレイ装置11(21)は、それぞれ、差分マップ作成回路100(200)、チェックコード作成回路101(201)、データ比較回路102(202)、メモリ110(210)、マスターボリューム120(複製ボリューム220)を備えている。
【0019】
マスターボリューム120は、プライマリホスト10からは、ひとつのまとまった記憶領域として認識される論理ボリュームで、物理的には、単数または複数のディスク装置により構成される。複製ボリューム220は、マスターボリューム120を複製した論理ボリュームである。マスターボリューム120と複製ボリューム220の同期(レプリケーション)は、プライマリホスト10からの同期化指示を契機として行われるが、その際、差分マップ111を参照して更新のあった領域のみをコピーする。
マスターボリューム120と複製ボリューム220のペアは、図1の符号MV1ないしMVn(RV1ないしRVn)に示すようにn組が構築されている。以下の説明は、これらのうち任意の一組に着目して行う。
【0020】
メモリ110(210)は、例えばRAM(Random Access Memory)によって構成され、マスターボリューム120(複製ボリューム220)の差分マップ111(211)とチェックコード112(21)を記憶する。
【0021】
差分マップ作成回路100(200)は、マスターボリューム120(複製ボリューム220)に対して更新IOを処理する際に差分マップ111(211)を作成し、メモリ110(210)に格納する。
【0022】
チェックコード作成回路101(201)は、マスターボリューム120(複製ボリューム220)から、プライマリホスト10から指定された比較対照範囲に格納されているデータを読み出して、そのデータのチェックコードを作成し、メモリ110(210)に格納する。チェックコードは、例えば読み出したデータのハッシュ値などとし、元のデータよりもサイズが小さくなるように作成する。
【0023】
データ比較回路102(202)は、次の三つの機能を備えている。
(1)自装置のメモリ110(210)から読み出したチェックデータと、ネットワーク2を介して取得した他装置のチェックコードとを比較し比較結果を他装置に通知する(データ比較手段としての機能)。
(2)自装置のマスターボリューム120(複製ボリューム220)から読み出したファイル更新テーブル領域のデータと、ネットワーク2を介して取得した他装置のファイル更新テーブル領域のデータを比較し比較結果を他装置に通知する(データ比較手段としての機能)。
(3)上記の(1)または(2)の比較の結果、チェックコードまたはファイル更新テーブル領域のデータが自装置と他装置の間で一致する場合には、差分マップのうちプライマリホスト10から指定された範囲に対応する部分を消去し(値を0とし)、差分マップ111(211)をマスターボリューム120と複製ボリューム220の間に差がないことを示すように更新する(差分マップ更新手段としての機能)。
上記の三つの機能のうち、(3)はデータ比較回路102、データ比較回路202の両方に必要であるが、(1)と(2)の機能は、いずれか一方だけが備えるようにしてもよい。以下、(1)と(2)の機能はデータ比較回路102だけが備える、すなわちチェックコードまたはファイル更新テーブル領域のデータの比較はディスクアレイ装置11が行い、その比較結果をディスクアレイ装置21に通知するものとして説明する。
【0024】
図2と図3は、マスターボリューム120と複製ボリューム220に記憶されているデータ113、213とそれに対応する差分マップ111、211がストレージシステム1の動作によって変化する様子を表す図である。
【0025】
まず、プライマリホスト10からのペア構築指示コマンドにより、ディスクアレイ装置11内の論理ボリュームとディスクアレイ装置21内の論理ボリュームがそれぞれマスターボリューム120と複製ボリューム220となるペア関係が構築される。これを第一の状態と呼び、この状態からの動作説明図を図2に示す。
このままでは、両ボリューム間のデータの同一性が保証できないことから、一般的な方法ではマスターボリューム120から複製ボリューム220へのフル差分コピーを行い、ペアを一旦同期化する。
【0026】
運用時は、ポリシーに基づいてペアを同期状態のままか或いは分離状態にして使用するが、同期状態で運用する場合でも複製ボリュームを用いたセカンダリサイトの運用テストをするときなどはペアを同期状態から分離状態とする。これを第二の状態と呼ぶ。この状態からの動作説明図を図3に示す。
【0027】
第一の状態において、ペア構築前にはマスターボリューム120となるデータと複製ボリューム220となるデータが完全に一致しているか、僅かに不一致となるデータがあるがそのデータの格納領域が明らかであると想定する。
この状態を表わすのが図2の状態500であって、データ113とデータ213は一致しているにもかかわらず差分マップ111、211は差分があることを示す”1”のビットが全面にセットされた状態となる。
プライマリホスト10からマスターボリューム120と複製ボリューム220のデータの同一性を検証するコマンドをディスクアレイ装置11が受信すると、ディスクアレイ装置11はディスクアレイ装置21と通信し、ディスクアレイ装置11、21間でデータ同一性の検証を開始する。
【0028】
データ同一性の検証方法は二つの方式があり、用途に応じて使い分けることが可能である。
第一の方式は、論理ボリューム内のファイル更新テーブルが記憶されている領域が特定困難なファイルシステムの場合に用いる方式であって、プライマリホスト10から指示のあったデータ格納領域(比較対象領域)を対象に論理ボリューム120、220からデータを読み出し、チェックコード作成回路101、201を通してチェックコードを作成し、メモリ110、210に記憶する。
データ比較回路102は、このようにして作成されたたかだか数バイトのチェックコードを、ディスクアレイ装置11についてはメモリ110から読み出し、ディスクアレイ装置21についはネットワーク2を介してディスクアレイ装置21から取得して両者を比較し、比較結果をデータ比較回路202に通知する。
【0029】
第二の方式は、論理ボリューム内のファイル更新テーブルが記憶されている領域が特定可能なファイルシステムの場合に用いる方式であって、ファイル更新テーブル領域のデータをディスクアレイ装置11については論理ボリューム120から読み出し、ディスクアレイ装置21についてはネットワーク2を介してディスクアレイ装置21から取得して両者を比較し、比較結果をデータ比較回路202に通知する(図2の状態510)。
【0030】
上記の第一の方式、第二の方式のいずれによる場合も、比較データが一致した場合、プライマリホスト10から指示のあった同一性データ検証範囲に関してデータの同一性が検証されたこととして、メモリ110、210に記憶している検証済み領域に該当する差分マップを消去する。この状態を表すのが図2の状態520であって、差分マップ111、211は差分がないことを示す”0”のビットが同一性データ検証済みの箇所にセットされた状態となる。
同一性データ検証範囲は、第一の方式では上記の比較対照範囲と一致する。第二の方式では、マスター・複製両ボリュームそれぞれのファイル更新テーブルが記録されている特定のブロック、例えば先頭の1ブロック、が一致していればボリューム全体が一致していると判断できるので、同一性データ検証範囲はボリューム全体(検証済み範囲の一例)となる。
【0031】
第二の状態において、セカンダリホスト20はプライマリサイトと同一データである複製ボリューム220を使用してシステムテストを行うと想定する。その際、複製ボリュームのバックアップ230はあらかじめ用意しているものとする(図3の状態800)。
【0032】
システムテストの際のセカンダリホスト20からの更新IOは、一般的にディスクアレイ装置21で複製ボリュームにデータが書き込まれると共に差分マップ作成回路200を通してデータの更新位置情報がメモリ210の差分マップ211に登録される。
この状態を表すのが図2の状態810であって、差分マップ211は差分があることを示す”1”のビットが更新IO位置にセットされた状態となる。
【0033】
システムテストが完了すると、複製ボリュームのバックアップ230を用いてテスト前のデータに復元する。
この時、プライマリサイト12のマスターボリューム120と同一データとなるが、複製ボリューム220は更新IO差分として差分マップに登録された状態を保持している(図3の状態820)。
【0034】
この状態で、前記第一の方式または第二の方式でデータの同一性の検証を行い(図3の状態830)、差分マップ720を消去する。この状態を表すのが図3の状態840であって、差分マップ720は差分がないことを示す”0”のビットが同一性データ検証済みの箇所にセットされた状態となる。
【0035】
以上の実施例は、ディスクアレイ装置に備えるマスターボリュームと複製ボリュームが遠隔地にあって1対1ペアの関係を例にして記載しているが、マスターボリュームと複製ボリュームが同じキャンパスにある場合や、ひとつのマスターボリュームに対して2個以上の複製ボリュームがある場合にも、適用可能である。
また、ディスクアレイ装置に限らず、他の種類の記憶装置にも適用可能である。
また、差分マップ作成回路100(200)、チェックコード作成回路101(201)、データ比較回路102(202)と同様の動作をディスクアレイ装置11(21)で実行されるコンピュータプログラムで実現することもできる。
【0036】
次に、ストレージシステム1の効果について説明する。
第一の効果は、レプリケーションに要する時間が節約できることにある。
ストレージシステム1では、データ比較回路102(202)がマスターボリューム120と複製ボリューム220の同一性検証データ(チェックコードまたはファイル更新テーブル領域のデータ)を検証し、このデータが同一である場合には、差分マップを消去することにより、本来は必要でないデータのコピーを行わなくても済むようにする為である。
第二の効果は、ディスクアレイ装置11、21間を中継する回線コストが節約できることにある。
前記の特徴により、ネットワーク2を介してディスクアレイ装置11、21間で送受信されるデータは同一性検証データだけとなり、従来の方式によるレプリケーションではネットワーク2に流していたマスター・複製ボリューム間で一致しているデータを流す必要がなくなるためである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態であるストレージシステムの機能ブロック図である。
【図2】ストレージシステムの動作を説明する図である。
【図3】ストレージシステムの動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ストレージシステム
2 ネットワーク
10 プライマリホスト
11、21 ディスクアレイ装置
12 プライマリサイト
20 セカンダリホスト
22 セカンダリサイト
100、200 差分マップ作成回路
101、201 チェックコード作成回路
102、202 データ比較回路
110、210 メモリ
111、211 差分マップ
112、212 チェックコード
120 マスターボリューム
220 複製ボリューム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置を含み、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームのレプリケーションを行うストレージシステムにおいて、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置はそれぞれ、
前記プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、ホスト装置から指定された比較対象範囲のデータを自装置のマスターボリュームまたは複製ボリュームから読み出して、このデータのチェックコードを作成してメモリに記憶するチェックコード作成手段を備え、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方は、
自装置の前記メモリから読み出したチェックコードと前記通信回線を介して取得した他装置のチェックコードを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較手段を備え、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置はそれぞれ、
自装置と他装置の前記チェックコードが一致する場合に前記比較対象範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新手段と、
を備えたことを特徴としたストレージシステム。
【請求項2】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置を含み、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームの同期を行うストレージシステムにおいて、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方は、
前記プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、自装置のファイル更新テーブル記憶領域から読み出したデータと、前記通信回線を介して取得した他装置のファイル更新テーブル記憶領域のデータを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較手段を備え、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置はそれぞれ、
自装置と他装置の前記ファイル更新テーブル記憶領域のデータが一致する場合に前記ホスト装置から指定された検証済み範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新するデータ比較手段、
を備えたことを特徴としたストレージシステム。
【請求項3】
前記チェックコード比較手段と前記データ比較手段と前記差分マップ更新手段は、前記マスターボリュームと前記複製ボリュームとのペアが構築された直後に作動することを特徴とした請求項1または請求項2に記載のストレージシステム。
【請求項4】
前記チェックコード比較手段と前記データ比較手段と前記差分マップ更新手段は、前記複製ボリュームのバックアップにより前記複製ボリュームが復元された直後に作動することを特徴とした請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載のストレージシステム。
【請求項5】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置との間で、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームの同期を行う論理ボリュームのレプリケーション方法において、
前記プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置が、前記ホスト装置から指定された比較対照範囲のデータを自装置のマスターボリュームまたは複製ボリュームから読み出して、このデータのチェックコードを作成してメモリに記憶するチェックコード作成工程と、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方が自装置の前記メモリから読み出したチェックコードと前記通信回線を介して取得した他装置のチェックコードを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較工程と、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置が自装置と他装置の前記チェックコードが一致する場合に前記比較対象範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新工程と、
を備えたことを特徴とした論理ボリュームのレプリケーション方法。
【請求項6】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置との間で、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームの同期を行う論理ボリュームのレプリケーション方法において、
前記プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方が自装置のファイル更新テーブル記憶領域から読み出したデータと、前記通信回線を介して取得した他装置のファイル更新テーブル記憶領域のデータを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較工程と、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置が自装置と他装置の前記ファイル更新テーブル記憶領域のデータが一致する場合に前記ホスト装置から指定された検証済み範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新工程と、
を備えたことを特徴とした論理ボリュームのレプリケーション方法。
【請求項7】
前記チェックコード比較工程と前記データ比較工程と前記差分マップ更新工程は、前記マスターボリュームと前記複製ボリュームとのペアが構築された直後に行うことを特徴とした請求項5または請求項6に記載の論理ボリュームのレプリケーション方法。
【請求項8】
前記チェックコード比較工程と前記データ比較工程と前記差分マップ更新工程は、前記複製ボリュームのバックアップにより前記複製ボリュームが復元された直後に行うことを特徴とした請求項5ないし請求項7のいずれかひとつに記載の論理ボリュームのレプリケーション方法。
【請求項9】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置との間で、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームの同期を行う論理ボリュームのレプリケーションプログラムにおいて、
プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置に、ホスト装置から指定された比較対照範囲のデータを自装置のマスターボリュームまたは複製ボリュームから読み出して、このデータのチェックコードを作成してメモリに記憶するチェックコード作成処理を、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方に自装置の前記メモリから読み出したチェックコードと前記通信回線を介して取得した他装置のチェックコードを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較処理を、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置に自装置と他装置の前記チェックコードが一致する場合に前記比較対象範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新処理を、
実行させることを特徴とした論理ボリュームのレプリケーションプログラム。
【請求項10】
マスターボリュームを備えた1台のプライマリトレージ装置とこのマストストレージ装置と通信回線で接続され前記マスターボリュームの複製ボリュームを備えたセカンダリストレージ装置との間で、差分マップを利用して前記マスターボリュームと前記複製ボリュームの同期を行う論理ボリュームのレプリケーションプログラムにおいて、
プライマリストレージ装置がホスト装置から検証指示を受けたときに、前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置のうち一方に、自装置のファイル更新テーブル記憶領域から読み出したデータと、前記通信回線を介して取得した他装置のファイル更新テーブル記憶領域のデータを比較し比較結果を他方に通知するデータ比較処理を、
前記プライマリストレージ装置と前記セカンダリストレージ装置に自装置と他装置の前記ファイル更新テーブル記憶領域のデータが一致する場合に前記ホスト装置から指定された検証済み範囲に対応する差分マップを前記マスターボリュームと前記複製ボリュームに差分がないことを示すように更新する差分マップ更新処理を、
実行させることを特徴とした論理ボリュームのレプリケーションプログラム。
【請求項11】
前記チェックコード比較処理と前記データ比較処理と前記差分マップ更新処理は、前記マスターボリュームと前記複製ボリュームとのペアが構築された直後に実行させることを特徴とした請求項9または請求項10に記載の論理ボリュームのレプリケーションプログラム。
【請求項12】
前記チェックコード比較処理と前記データ比較処理と前記差分マップ更新処理は、前記複製ボリュームのバックアップにより前記複製ボリュームが復元された直後に実行させることを特徴とした請求項9ないし請求項11のいずれかひとつに記載の論理ボリュームのレプリケーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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