説明

ストレージ装置、及びストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法

【課題】複数のODDを有するストレージ装置において、複数の光ディスクに格納されたファイルから所定のファイルを容易に検索できるようにする。
【解決手段】ストレージ装置のストレージ制御部はストレージバスを介して、複数のODDと不揮発メモリに接続されている。各ODDに装着された光ディスクは自分自身が格納するファイルの格納構造を示すファイルシステムを有する。不揮発メモリは、装着された全光ディスクのファイルシステムのコピーを格納する。ユーザがファイル検索する際は、不揮発メモリに格納されたファイルシステムを参照する。光ディスクが排出される際には、他の光ディスクのファイルシステムのコピーを格納してから排出される。該光ディスクを他のストレージ装置に取付けた際、ユーザは他の光ディスクのファイルも検索できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストレージ装置、及びストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法に係り、特にファイルの検索を容易にしたストレージ装置、及びストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ストレージ装置の進化に伴い、例えば光ディスクなどの記録媒体に対してデータを記録再生するための記録媒体ドライブを複数備えて、高度な情報処理を行うストレージ装置が開発されている。この装置では取外し可能な記録媒体が複数個使用されるためチェンジャ、又はライブラリ装置と呼ばれることがある。
特許文献1においては、複数の光記録媒体を収容するライブラリと、複数の光記録媒体を収容するカセットと、記録再生ドライブを有するライブラリ装置のレスポンスを向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したようなストレージ装置においては一般に、格納された情報ファイルが膨大な量になることが多い。このため、ユーザが必要とするファイルをストレージ装置で検索する際は、検索作業が難しくなり易い。特にストレージ装置が光ディスクをはじめとするリムーバブルな記録媒体を用いる場合には、ユーザが必要とするファイルを格納した記録媒体がストレージ装置から取外され、所謂オフラインの状態になることがある。この場合には、ファイルの検索がいっそう難しくなり、幸いに発見できたとしても、ユーザは検索作業に長い時間を費やすこととなる。
本発明の目的は前記した問題に鑑み、ファイルの検索を容易にしたストレージ装置、及びストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため本発明は、複数の記録媒体ドライブを有するストレージ装置であって、前記記録媒体ドライブは、内蔵する記録媒体に少なくも自分自身に格納されるファイルに関わる該ファイルの格納構造を表すファイルシステムを格納し、前記ストレージ装置は、前記複数の記録媒体ドライブに内蔵された記録媒体に格納されたファイルシステムの全てのコピーに基づく仮想的なファイルシステムを有することを特徴としている。
【0006】
また本発明は、複数の記録媒体ドライブを有するストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法であって、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置に初めて装着された記録媒体であるか否かを判定する記録媒体判定ステップと、該記録媒体判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置に初めて装着された記録媒体であると判定された場合には、前記初めて装着された記録媒体が有するファイルシステムを読出して記憶部に格納する第1の格納ステップと、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが更新されたか否かを判定する記録媒体更新判定ステップと、該記録媒体更新判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが更新されたと判定された場合には、前記更新された記録媒体が有するファイルシステムのうち前記更新された記録媒体に関わるファイルシステムを読出して記憶部に更新して格納する第2の格納ステップと、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置から排出されるよう指示されたか否かを判定する排出指示判定ステップと、該排出指示判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置から排出されるよう指示されたと判定された場合には、前記排出される記録媒体が有するファイルシステムのうち前記排出される記録媒体に関わるファイルシステムを読出して記憶部に更新して格納し、前記記憶部が有するファイルシステムのうち前記排出される記憶媒体以外の記憶媒体に関わるファイルシステムを読出して前記排出される記録媒体に更新して格納する第3の格納ステップを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファイルの検索を容易にしたストレージ装置、及びストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法を提供でき、ストレージ装置の使い勝手の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例におけるストレージ装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施例におけるファイルシステムの生成方法の説明図である。
【図3A】本発明の一実施例におけるファイルシステムの構成図である。
【図3B】本発明の一実施例におけるファイルシステムの別な構成図である。
【図4】本発明の一実施例におけるファイルシステムの生成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例におけるストレージ装置のブロック図である。
ストレージ装置1は、該装置全体の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)101を有する。
【0010】
CPU101は、ローカルバス100を介してネットワーク制御部103を制御して、ネットワーク2に接続された他のストレージ装置(図示せず)から供給されるデータやプログラムをダウンロードさせる。ダウンロードされたデータやプログラムは、ネットワーク制御部103、ローカルバス100、不揮発性メモリ102、ストレージ制御部104、ストレージバス108を介して、例えばHDD(Hard Disc Drive)107に格納される。
【0011】
またCPU101は、ストレージ装置1のユーザが、例えばマウスやキーボード(図示せず)を使用して入力したデータを、不揮発性メモリ102に一時的に格納した後、ユーザからの指示に応じて例えばHDD107に格納する。
HDD107に格納されたデータやプログラムは、CPU101に入力されたユーザからの指示に応じて、ODD(Optical Disc Drive)0〜3(105A〜105D)の内のいずれか一つ、或いはいずれか複数に対して転送される。転送されたデータやプログラムは、ODD(Optical Disc Drive)0〜3(105A〜105D)において、必要に応じて、不揮発メモリ102に格納されたデバイスキーをはじめとするID(Identification)に基づいて暗号化されたうえで、各々に装着されている光ディスク0〜3(106A〜106D)に格納される。光ディスク0〜3(106A〜106D)に格納されたデータやプログラムは、必要に応じてHDD107からは消去しても良い。光ディスク0〜3(106A〜106D)は、周知のとおりストレージ装置1から取外して保存することができる。
【0012】
ここではODD105A〜106Dを4個有する例を示したが、もちろんこれは本実施例の前提条件ではなく、複数個であれば何個でも良い。同様にHDD107も複数個であっても良いし、その一部がストレージ装置の内部にはなく、外付けされていても良い。不揮発性メモリ102も複数個に分割されていても良く、その一部がストレージ装置の内部にはなく、外付けされていても良い。
【0013】
光ディスク0〜3(106A〜106D)に格納されたデータやプログラム(以下、単にデータと記す)を再生して処理する場合は、CPU101は前記したデータを再生する動作を開始するようにストレージ制御部104を制御する。ストレージ制御部104からの指示を受けたODDは装着されている光ディスクから、例えば暗号化された記録データを読出し記録時の暗号を復号化して、再生データをストレージ制御部104に供給する。
【0014】
ストレージ制御部104に供給された再生データは、出力端子110から出力されてユーザに供給される。図1に一例を示すように、出力端子110に映像モニタなどの表示部3が接続された場合、前記再生データが含む映像情報が表示される。なお、表示部3は後記するファイルシステムを表示する際にも使用されて良い。また、表示部3はストレージ装置1に対して外付されるのではなく、一体であっても良い。
【0015】
次に本実施例の一つの特徴であるところの、前記ストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施例におけるファイルシステムの生成方法の説明図である。ファイルシステムとは、記録媒体に格納されたファイル全体のファイル構造を表すものである。例えばPC(Personal Computer)の表示部では、接続されたストレージ装置におけるルートの下にフォルダ、文書ファイル、プログラムファイルなどが階層を伴って表示される。以下に説明するように、ファイルシステムとはフォルダ、文書ファイル、プログラムファイルそのものではなく、これらの記録媒体上での階層的な構造を示すものである。
【0016】
図2に示す実施例において、ストレージ装置1のODD0〜3(105A〜105D)に装着された光ディスク0〜3(106A〜106D)には、文書ファイルやプログラムファイルなどの本体データの他に、自分自身に格納されているデータのファイルシステムが格納されている。例えばODD0(105A)に装着された光ディスク0(106A)には、自分自身に格納されているデータのファイルシステムFS0が格納されており、ODD1(105B)に装着された光ディスク1(106B)には、自分自身に格納されているデータのファイルシステムFS1が格納されている(以下、同様)。特定のストレージ装置1から、いずれか一つの光ディスクが取外されて他のストレージ装置に装着された場合でも、この光ディスク一つに対して前記ファイルシステムを書込み、読出すことができるため、前記ファイルシステムは汎用性が高いことを一つの特徴としている。
【0017】
図2のさらなる特徴として、ストレージバス108を介してODD0〜3(105A〜105D)に接続されている不揮発メモリ109には、ストレージ装置1に装着された全光ディスクのファイルシステムのコピーFS0〜FS3(図2において破線で囲うファイルシステムは、元の光ディスクからのコピーであることを示す)が格納されている。さらに光ディスク0(106A)に一例を示したように、光ディスクがODDから取外される(排出される)際には、自分自身のファイルシステムFS0を格納するだけではなく、HDD109から供給されたストレージ装置1に装着されている他の光ディスク1〜3(106B〜106D)のファイルシステムFS1〜FS3のコピーを格納する。これらの動作はストレージ制御部104が、ストレージバス108を介してODD0(105A)、HDD107、不揮発メモリ109を制御することで実施される。
【0018】
不揮発メモリ109に関しては、SDRAMであっても良く、SSD(Solid State Drive)
と呼ばれる大容量半導体メモリであっても良い。またSDカードのような取外し可能なメモリも適用できる。
また不揮発メモリ109を特に設けなくとも、HDD107に全光ディスクのファイルシステムのコピーを格納しても良く、またストレージ装置1に外付けされたHDDに格納しても良い。図1の不揮発メモリ102の一部を共用しても良い。さらには、いずれかのODDに装着された光ディスクをマスターディスクとして常に使用することとし、これに他の光ディスクのファイルシステムのコピーを全て格納しても良い。
【0019】
図2の実施例の特徴や効果をさらに詳しく述べる前に、前記ファイルシステムについて図3Aと図3Bを用いて説明する。
図3Aは本発明の一実施例におけるファイルシステムの構成図である。
【0020】
図3Aに示すファイルシステムの一例は、不揮発メモリ109や排出された光ディスクに格納される。図3Aに示すファイルシステムは、排出された光ディスク(例えば光ディスク0)に格納される一例を示す。全体を統括するルートの下に、各光ディスクごとに分かれ独立したファイルシステムFS0〜FS3が所属している。例えばファイルシステムFS0のルートの下には、二つのフォルダ1,2、文書ファイル1とファイルシステムFS1〜FS3が所属し、ファイルシステムFS3のルートの下には、フォルダ1とプログラムファイル1が所属している。以上のフォルダの下には、さらにサブフォルダ、文書ファイル、プログラムファイルなどが所属するのが一般的だが、ここでは煩雑化を避けるため、ファイルシステムFS0〜3の一つ下まで示すに留めている。
【0021】
即ち、ファイルシステムはPC画面に表示されるような、フォルダやファイルの階層構造を示すものである。但し、図3Aにおいて例えば文書ファイルについては、文書のデータそのものは有しておらず、ファイル名、作成日時、データサイズなど書誌的事項の情報のみを有している。このためファイルシステム自体のデータサイズは一般に小さい。
【0022】
図3Aにおいては、各光ディスクごとに一つの特殊データファイルであるファイルシステムFS0〜FS3を作成している。このため、一つの光ディスクが排出される際に、排出される光ディスクを有するODDに対して、不揮発メモリ109から転送される他の光ディスクのファイルシステムのコピーは、前記特殊データファイルを解析することにより、容易に選択することができる。
【0023】
図3Bは本発明の一実施例におけるファイルシステムの別な構成図である。
図3Bに示すファイルシステムは、排出された光ディスク(例えば光ディスク0)に格納される一例を示す。全体を統括するルートの下に、自分自身に格納されているデータのファイルシステムFS0を有しているが、その下には元々光ディスク0に格納されていた二つのフォルダ1,2と文書ファイル1が所属している。さらに光ディスク0がストレージ装置1から排出される際には、他の光ディスクのファイルシステムのコピーもFS0の下に所属される。即ち、ファイルシステムFS0は、特殊属性ファイルとなって他の光ディスクのファイルシステムのコピーもマージされる。この場合は、図3BにFS1〜FS3で示したように、各々がいずれの光ディスクに関わるかを判定できるように属性情報を付加してマージすると良い。
【0024】
不揮発メモリ109に、図3Bで示すファイルシステムを格納しても良い。この場合は光ディスク0に関わるものにFS0の属性情報を付加しても良い。いずれかの光ディスクがストレージ装置1から取外される際には、ストレージ制御部104は該属性情報により他の光ディスクに関わるものを選択して、ファイルシステムのコピーを該当するODDへ送り、取外される光ディスクへ格納する。
【0025】
図3A、図3Bのいずれにおいても、生成されたファイルシステムは、複数の記録媒体を見かけ上で一つの記録媒体と見做した、仮想的なファイルシステムと言うことができる。
前記したファイルシステムが格納された光ディスクにつき、例えば図1の表示部3に前記ファイルシステムを図3Aや図3Bに示した形式で表示する場合には、該光ディスクに関わる部分を他の光ディスクに関わる部分と区別ができるように、表示する色を変えると便利である。或いは、他の光ディスクに関わる部分を隠しファイルとし、ユーザの選択により表示されないようにしても良い。
【0026】
ファイルシステムが有するデータとしては、前記したような書誌的事項のほか、所謂メタデータを有しても良い。例えばデジカメで撮影された映像データに伴うメタデータはExifファイルにあって、使用したカメラの機種、撮像日時、シャッタスピード、絞りなどが記憶されている。同様なメタデータとして、DVDのIFOファイル、BDのプレイリストやクリップファイルなどがある。これらはデータ容量が小さいので、ファイルシステムに伴うようにしても特に問題はなく、むしろファイル検索するうえでの利便性を向上することができる。
【0027】
一方、例えば空き領域管理データ(例えばSpace Bitmap)や冗長データ(例えばMetadata Mirror File)などは、他の光ディスクに関わるデータであれば前記ファイルシステムから除去することが望ましい。これらは他の光ディスクのものであれば利用される機会が少なく、却って格納するファイルシステムのデータ容量が増加することによる弊害の方が大きいためである。
【0028】
次に、図2の実施例の特徴や効果をさらに詳しく説明する。
まず、前記したように光ディスクに格納されたファイルシステムは、一般的なシステムと互換性を有するため、書込み、読出をすることが容易であり、汎用性が高いという特徴がある。
【0029】
不揮発メモリ109や排出された光ディスクに格納されたファイルシステムは、ストレージ装置1に装着された光ディスク全体のファイルシステムをマージし、見かけ上で一つファイルシステムとして扱えるように生成されている。従ってユーザは、ストレージ装置1に装着された光ディスクを一つずつ意識する必要がなく、全体を一つの大容量な記録媒体として扱うことができる。このため、特定のファイルを検索するうえでの使い勝手を向上することができる。また、排出された光ディスクを他のストレージ装置に装着した場合にも、全く同様にファイル検索を行うことができ、使い勝手を向上することができる。
【0030】
全ての光ディスクのファイルシステムは、ストレージ装置内の例えば不揮発メモリ109でマージされて構築される。このため特定の光ディスクが排出される際、他の光ディスクのファイルシステムを前記メモリから取得することができ、個々の光ディスクに問合せる必要はない。このため、アクセス時間を短縮することができる。ファイルシステムの書込みを伴わず読出しだけを行う場合には、前記不揮発メモリ109から読出せば良く、個々の光ディスクから読出す必要がないため、やはりアクセス時間を短縮することができる。
【0031】
前記不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムは、各光ディスクのファイルシステムのコピーを集積したものである。従い前記不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムは、例えば文書ファイルをHDD107で編集する場合において、データが更新されるたびに更新される必要はない。少なくもストレージ装置1からいずれかの光ディスクを排出する際や、例えばHDD107で編集されたデータを光ディスクに転送して格納する際、或いはストレージ装置1の電源を切断する際に前記ファイルシステムを更新すれば良い。これにより、ファイルシステムが頻繁に更新されることによるオーバヘッドを回避することができる。
【0032】
前記したように空き領域管理データや冗長データなどは、不揮発メモリ109に格納しないようにすることで、不揮発メモリ109の容量を有効に使用することができ、また不揮発メモリ109から排出される光ディスクが装着されたODDへ転送されるデータ量を低減して、動作を高速化することができる。
【0033】
さらに、不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムは、前記したようにいずれかの光ディスクに対してデータの書込みが行われる際に更新される。即ち、不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムと、個々の光ディスクに格納されたファイルシステムは、同時に更新されることにより、同期がとられている。従い、ユーザがファイル検索するためにファイルシステムを参照する場合には、個々の光ディスクに対してアクセスする必要はなく、不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムを見れば良い。このため、ファイル検索のための時間が低減され、ユーザにとって使い勝手が向上する。
【0034】
前記したように、通常は不揮発メモリ109に格納されたファイルシステムのみが更新され、光ディスクに格納されたファイルシステムは、ストレージ装置1からいずれかの光ディスクを排出する際や、例えばHDD107で編集されたデータを光ディスクに転送して格納する際、或いはストレージ装置1の電源を切断する際にのみ更新される。これにより、ODDへのアクセス回数を低減でき、またODDのシーク動作を低減できるので、やはりストレージ装置1へのアクセスを高速化できる。
【0035】
先に図3Aで示した構造のファイルシステムを適用した場合には、ルートの下に各光ディスクのIDに基づくルートを所属させ、該ルートの下に各光ディスクごとのフォルダ、文書ファイル、プログラムファイルなどを所属させている。前記ルートの下は、ユーザが個々の光ディスクを扱った際に利用したフォルダ構成と変わらない。従って、ユーザは過去に記憶したツリー構造の記憶に基づき、容易にファイル検索を行えるという特徴がある。
【0036】
以上述べたように本実施例によれば、複数のODDを有するストレージ装置において、ユーザが複数の光ディスクから所定のファイルを容易に検索することができ、そのためのアクセス時間を高速化することもでき、ストレージ装置の使い勝手の向上を図ることができる。
【0037】
なお、ここまで特定の光ディスクが排出される際に、不揮発メモリ109におけるファイルシステムのコピーを全て、前記光ディスクへ転送して格納する場合を説明したが、同じストレージ装置が、これと異なる動作モードを併せて有していても良い。例えば、光ディスクに大容量なファイルを格納する場合、複数の光ディスクにファイルを分割して格納することがある。この場合、該ファイルを格納する複数の光ディスクのみに、該ファイルに関わるファイルシステムだけを格納すると便利な場合がある。本実施例においても、該当する動作モードを切替えて適用しても良い。
【0038】
次に、本実施例におけるストレージ装置のファイルシステムの生成方法につき図4を用いて説明する。
図4は、本発明の一実施例におけるファイルシステムの生成方法を示すフローチャートである。
【0039】
ストレージ装置1に電源が供給され、起動されることでフローは開始される。
ステップS401でストレージ制御部104は、ODD0〜ODD3(105A〜105D)にこれまで装着されたことのない光ディスクが装着されているか否かを判定する。
【0040】
ステップS401での判定の結果、これまで装着されたことのない光ディスクが装着されていると判定された場合には(図中のYes)、ステップS402でストレージ制御部104は該当する光ディスクが装着されたODDに指示して、該光ディスクに格納された自分自身のファイルシステムのコピーを不揮発メモリ109に転送させる。不揮発メモリ109は、転送されたファイルシステムのコピーを自身の格納エリアに格納する。もちろん、不揮発メモリ109はこれまでストレージ装置1に装着された光ディスクのファイルシステムのコピーを、消去する指示があるまでは全て格納している。
【0041】
その後、ステップS401での判定の結果、これまで装着されたことのない光ディスクは装着されていないと判定された場合(図中のNo)も含め、ステップS403に到る。
ステップS403でストレージ制御部104は、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクのうち、いずれかが更新されたか否かを判定する。
【0042】
ステップS403での判定の結果、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクのうち、いずれかが更新されたと判定された場合には(図中のYes)、ステップS404でストレージ制御部104は該当する光ディスクが装着されたODDに指示して、該光ディスクに格納された自分自身の更新されたファイルシステムのコピーを不揮発メモリ109に転送させる。不揮発メモリ109は、転送されたファイルシステムのコピーを自身の格納エリアに更新して格納する。
【0043】
その後、ステップS403での判定の結果、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクは、いずれも更新されていないと判定された場合(図中のNo)も含め、ステップS405に到る。
ステップS405でストレージ制御部104は、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクのうち、いずれかがストレージ装置1から排出されるための指示を受けたか否かを判定する。
【0044】
ステップS405での判定の結果、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクのうち、いずれかがストレージ装置1から排出されるための指示を受けたと判定された場合には(図中のYes)、ステップS406でストレージ制御部104は該当する光ディスクが装着されたODDに指示して、該光ディスクに格納された自分自身のファイルシステムのコピーを不揮発メモリ109に転送させる。不揮発メモリ109は、転送されたファイルシステムのコピーを自身の格納エリアに更新して格納する。また、ストレージ制御部104は不揮発メモリ109に指示して、不揮発メモリ109に格納された他の光ディスクのファイルシステムのコピーを該当する光ディスクが装着されたODDに転送させる。該ODDは、転送された他の光ディスクのファイルシステムのコピーを該当する光ディスクに格納したうえで、該当する光ディスクをストレージ装置1の外部に排出する。
【0045】
その後、ステップS405での判定の結果、ODD0〜ODD3(105A〜105D)に装着された光ディスクのいずれもがストレージ装置1から排出されるための指示を受けていないと判定された場合(図中のNo)を含め、ステップS407に到る。
ステップS407でストレージ制御部104は、CPU101からストレージ装置の電源を切断する指示を受けたか否かを判定する。
【0046】
ステップS407での判定の結果、ストレージ装置の電源を切断する指示を受けたと判定された場合には(図中のYes)、ステップS408でストレージ制御部104はODD0〜ODD3(105A〜105D)に指示して、現在装着している光ディスクの自分自身のファイルシステムのコピーを不揮発メモリ109に転送させる。不揮発メモリ109は、転送されたファイルシステムのコピーを自身の格納エリアに更新して格納する。その後、電源が切断されてフローを終了する。
【0047】
ステップS407での判定の結果、ストレージ装置の電源を切断する指示を受けていないと判定された場合には(図中のNo)、ステップS401に戻ってフローを繰返す。
なお、説明の都合上、ステップS403、S405、S407をシリーズに並べる例を述べたが、例えばステップS402の下にこれらをパラレルに並べるようにしても良い。
【0048】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば取外しのできる記録媒体として光ディスクを例にあげて説明したが、SSDやHDDなど取外すことのできる記録媒体を使用するストレージ装置には、本発明を適用することができる。その他にも本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0049】
1:ストレージ装置、2:ネットワーク、3:表示部、101:CPU、102:不揮発性メモリ、103:ネットワーク制御部、104:ストレージ制御部、105A〜105D:ODD、106A〜106D:光ディスク、107:HDD、108:ストレージバス、109:不揮発メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体ドライブを有するストレージ装置であって、
前記記録媒体ドライブは、内蔵する記録媒体に少なくも自分自身に格納されるファイルに関わる該ファイルの格納構造を表すファイルシステムを格納し、
前記ストレージ装置は、前記複数の記録媒体ドライブに内蔵された記録媒体に格納されたファイルシステムの全てのコピーに基づく仮想的なファイルシステムを有する
ことを特徴とするストレージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージ装置において、前記記録媒体は前記記録媒体ドライブに対して着脱可能であることを特徴とするストレージ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のストレージ装置において、該ストレージ装置は前記仮想的なファイルシステムを格納するための不揮発メモリを有することを特徴とするストレージ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のストレージ装置において、前記着脱可能な記録媒体が前記記録媒体ドライブから排出される場合には、前記仮想的なファイルシステムのうち排出される記録媒体以外の記録媒体に関わる仮想的なファイルシステムのコピーを、前記排出される記録媒体に格納することを特徴とするストレージ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のストレージ装置において、前記着脱可能な記録媒体が前記記録媒体ドライブから排出される場合には、前記仮想的なファイルシステムのうち排出される記録媒体に関わる仮想的なファイルシステムを、前記排出される記録媒体が有する自分自身のファイルシステムのコピーにより更新することを特徴とするストレージ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のストレージ装置において、前記排出された記録媒体が再び前記ストレージ装置に装着され、前記ファイルシステムを表示のために再生して出力する場合には、前記記録媒体以外の記録媒体に関わる仮想的なファイルシステムのコピーを含めて出力することを特徴とするストレージ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のストレージ装置において、前記仮想的なファイルシステムは、前記ストレージ装置に装着される記録媒体ごとに独立したファイルシステムであることを特徴とするストレージ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のストレージ装置において、前記仮想的なファイルシステムは、前記ストレージ装置に装着される記録媒体が有するファイルシステムと同一の構造を有することを特徴とするストレージ装置。
【請求項9】
複数の記録媒体ドライブを有するストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法であって、
前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置に初めて装着された記録媒体であるか否かを判定する記録媒体判定ステップと、
該記録媒体判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置に初めて装着された記録媒体であると判定された場合には、前記初めて装着された記録媒体が有するファイルシステムを読出して記憶部に格納する第1の格納ステップと、
前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが更新されたか否かを判定する記録媒体更新判定ステップと、
該記録媒体更新判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが更新されたと判定された場合には、前記更新された記録媒体が有するファイルシステムのうち前記更新された記録媒体に関わるファイルシステムを読出して記憶部に更新して格納する第2の格納ステップと、
前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置から排出されるよう指示されたか否かを判定する排出指示判定ステップと、
該排出指示判定ステップでの判定の結果、前記記録媒体ドライブに装着された記録媒体のいずれかが前記ストレージ装置から排出されるよう指示されたと判定された場合には、前記排出される記録媒体が有するファイルシステムのうち前記排出される記録媒体に関わるファイルシステムを読出して記憶部に更新して格納し、前記記憶部が有するファイルシステムのうち前記排出される記憶媒体以外の記憶媒体に関わるファイルシステムを読出して前記排出される記録媒体に更新して格納する第3の格納ステップ
を有することを特徴とするストレージ装置におけるファイルシステムの生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−203977(P2011−203977A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70235(P2010−70235)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】