説明

ストーカ式焼却炉及びその運転方法

【課題】燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路と、再循環通路のファンの上流部位に設けられる集塵装置を備えたストーカ式焼却炉において、焼却炉起動時のバーナ等からの熱による再循環通路、集塵装置、ファン等の損傷を防止するとともに、集塵装置自身が損傷した場合に、再循環ガスを炉本体から吸引せずに二次空気を供給し、有害物質の排出を抑制することが可能なストーカ式焼却炉及びその運転方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室3内の燃焼排ガスの一部を再循環ファン13により炉本体2a内へ再循環ガスとして還流する再循環通路15〜18を備え、再循環通路の再循環ファン13の上流部位に集塵装置12を設けたストーカ式焼却炉2において、再循環通路16と炉本体2aとの接続部付近に、再循環通路16を開閉する開閉自在なダンパ41を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ、産業廃棄物等の被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路と、再循環通路のファンの上流部位に設けられる集塵装置を備えたストーカ式焼却炉及び該ストーカ式焼却炉の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストーカ式焼却炉は、固定段と可動段の火格子を交互に配置してなるストーカを備え、油圧装置により可動段を往復移動させることにより、ホッパより投入されたごみ(被燃焼物)の攪拌と前進を行いながら、該ストーカの上流側に配置された乾燥帯でごみの乾燥を行い、次の主燃焼帯で一次空気を投入しながら主燃焼を行い、最下流側のおき燃焼帯で燃え残り分のおき燃焼を行うように構成された焼却炉である。
このようなストーカ式焼却炉において、ストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部を抽出した再循環ガスを、再循環通路を通して前記燃焼室内の二次燃焼部に還流させて二次空気と共に燃焼に供するようにした技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1にて提供されている技術のストーカ式焼却炉には、ストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路が設けられているとともに、この再循環通路のファンの上流部位には、ファン及び配管摩耗、ノズル閉塞を抑えるための集塵装置が設けられている。
このストーカ式焼却炉においては、ストーカの下方より一次空気を導入し、ストーカ上方の燃焼室で一次燃焼を行った後、燃焼室の上方部位で二次燃焼を行うとともに、燃焼室内の燃焼排ガスの一部を炉本体内へ再循環ガスとしてファンにより再循環通路を通して再循環せしめ、さらに、再循環通路のファンの上流部位において再循環ガスに空気を供給して混合するとともに、集塵装置によって燃焼排ガス中のダストなどを除去してから、混合ガスを前記燃焼室内に還流するようにしている。これによって、未燃ガスや未燃物を完全燃焼させるとともにNOxを低減せしめ、ファンの腐食の進行を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術のストーカ式焼却炉及びその運転方法にあっては、次のような問題がある。
すなわち、上記従来技術のストーカ式焼却炉では、焼却炉起動時において、燃料に着火して自燃を促すために、通常、バーナ等で予め炉内温度を上昇させてから運転することが行われている。そのため、起動時のバーナからの高温の燃焼排ガスが再循環通路に進入して集塵装置やファンに送られることになり、熱によって再循環通路、集塵装置、ファン等が損傷するおそれがある。これを防ぐために、再循環通路、集塵装置、ファン等を高価な耐熱材料を使用して製作すると、装置コストの上昇を招くことになる。
また、再循環通路に設置した集塵装置が損傷した場合には、再循環ガスと空気との混合ガスを二次空気として炉本体内に供給することができなくなるという不具合を有している。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路と、再循環通路のファンの上流部位に設けられる集塵装置を備えたストーカ式焼却炉において、焼却炉起動時のバーナ等からの熱による再循環通路、集塵装置、ファン等の損傷を防止するとともに、集塵装置自身が損傷した場合に、再循環ガスを炉本体から吸引せずに二次空気を供給し、有害物質の排出を抑制することが可能なストーカ式焼却炉及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路を備え、該再循環通路の前記ファンの上流部位に集塵装置を設けたストーカ式焼却炉において、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設けている。
【0008】
この発明において、具体的には次のように構成されていることが好ましい。
(1)前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内には、室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知されたガス温度が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置が開閉するように構成されている。
(2)前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方には、前記再循環通路に空気を供給する空気供給通路が設けられている。
(3)前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路には、通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知された上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されている。
(4)前記集塵装置には、前後のガス差圧を検知する圧力センサが設けられ、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されている。
(5)前記ファンには、振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段が設けられ、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されている。
【0009】
また、本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内に室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知したガス温度が設定のガス温度閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じている。
【0010】
さらに、本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路に通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知した上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度差閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給している。
【0011】
また、本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置に前後のガス差圧を検知する圧力センサを設置し、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給している。
【0012】
さらに、本発明は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記ファンに振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段を設置し、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給している。
【発明の効果】
【0013】
上述の如く、本発明に係るストーカ式焼却炉は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路を備え、該再循環通路の前記ファンの上流部位に集塵装置を設けたものであって、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設けているので、開閉装置を閉じることにより、焼却炉起動時において炉内温度を上昇させるバーナ等の加熱装置からの熱が再循環通路に進入するのを確実に防ぐことができる。
これによって、従来のストーカ式焼却炉で生じていた、起動時におけるバーナ等の熱による再循環通路、集塵装置、ファン等の損傷を防止でき、長期間にわたり連続運転することができるとともに、これら構成要素を安価な材料で製作することが可能となり、焼却炉設備のコストを低減できる。
【0014】
また、本発明において、前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内には、室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知されたガス温度が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置が開閉するように構成されているため、焼却炉が起動する際のガス温度上昇時(例えば、400℃以上)には、開閉装置により再循環通路を迅速に閉じて高温の燃焼排ガスが進入するのをより確実に防げるとともに、定常運転時には、開閉装置により再循環通路を迅速に開いて燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして使用することができる。
【0015】
さらに、本発明において、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方には、前記再循環通路に空気を供給する空気供給通路が設けられ、前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路には、通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知された上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されているので、集塵装置自身が損傷したことを上下流側通路の温度差で確認できるような異常時に、開閉装置により再循環通路を迅速に閉じるとともに、空気供給通路を開ければ、燃焼室内から燃焼排ガスの一部を吸引して再循環ガスとして使用せずに炉本体内へ二次空気を供給することが可能となり、CO、DXNs等に代表される有害物質が排出するのを抑制でき、信頼性の高いストーカ式焼却炉を提供することができる。
【0016】
また、本発明において、前記集塵装置には、前後のガス差圧を検知する圧力センサが設けられ、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成され、あるいは、前記ファンには、振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段が設けられ、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されているので、集塵装置自身が損傷したことを前後のガス差圧で確認できるような異常時や、ファンが損傷したことを振動速度や変位で確認できるような異常時においても、上記発明と同様の効果を奏することができる。
【0017】
一方、本発明に係るストーカ式焼却炉の運転方法は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたものであって、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内に室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知したガス温度が設定のガス温度閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じているので、焼却炉起動時においてバーナ等の熱を再循環通路に進入させることなく、運転することができるとともに、ガス温度が設定のガス温度閾値以下である定常運転時などでは、開閉装置により再循環通路を開いて燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして使用しながら運転することができる。
【0018】
また、本発明に係るストーカ式焼却炉の運転方法は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたものであって、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路に通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知した上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度差閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給しているので、集塵装置自身が損傷したような異常時に、燃焼室内の燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして使用しなくても、炉本体内へ二次空気を供給しながら支障なく運転することができる。
【0019】
さらに、本発明に係るストーカ式焼却炉の運転方法は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたものであって、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置に前後のガス差圧を検知する圧力センサを設置し、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給しているので、上記発明と同様、集塵装置自身が損傷したような異常時に、燃焼室内の燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして使用しなくても、炉本体内へ二次空気を供給しながら支障なく運転することができる。
【0020】
そして、本発明に係るストーカ式焼却炉の運転方法は、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたものであって、前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記ファンに振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段を設置し、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給しているので、ファンが損傷したような異常時に、燃焼室内の燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして使用しなくても、炉本体内へ二次空気を供給しながら支障なく運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るストーカ式焼却炉の集塵装置の異常時における運転操作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るストーカ式焼却炉の再循環ファンの異常時における運転操作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態の変形例に係るストーカ式焼却炉であって、再循環ガス抜出し口の近傍を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
図1において、1はごみや産業廃棄物等の被燃焼物が投入されるごみホッパ、2はストーカ式焼却炉である。このストーカ式焼却炉2は、外殻を画成する炉本体2aを備えており、ごみホッパ1からの投入口の炉内底部に主として乾燥帯を構成する乾燥帯ストーカ21、主として燃焼帯を構成する主燃焼帯ストーカ22、及び主としておき燃焼帯を構成するおき燃焼帯ストーカ23が敷設されている。乾燥帯ストーカ21は最上流側に位置し、主燃焼帯ストーカ22は乾燥帯ストーカ21の下流側に位置し、おき燃焼帯ストーカ23は主燃焼帯ストーカ22の下流で最下流側に位置している。ここで、主燃焼帯とは、ごみ層上で火炎を上げて燃えている領域を指している。
【0023】
各ストーカ21,22,23は、固定火格子の間に配設された移動火格子を備え、該移動火格子の往復運動によりごみ(被燃焼物)を投入した後、該ごみをストーカ21で乾燥し、ストーカ22で主燃焼を行い、最後にストーカ23でおき燃焼を行うものである。おき燃焼帯ストーカ23の下方には、灰捕集槽8が設けられている。なお、この実施形態では主燃焼帯ストーカ22は3個であるが、1個または複数個設けられていればよい。
また、ストーカ21,22,23の上方の炉本体2a内には一次燃焼室3が設けられ、さらにその上方には二次燃焼室4が設けられている。この二次燃焼室4に臨んで少なくとも一対の再循環ガス吹出しノズル19a,19bが炉本体2aの側壁にそれぞれ設置されており、好ましくは更に再循環ガス吹出しノズル19c,19dのように炉本体2aの側壁に複数段設置されている。そして、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dは、対応する再循環通路17,18にそれぞれ接続され、再循環ファン13からの燃焼用空気を混合した再循環ガスを再循環ガス吹出しノズル19a,19bから(好ましくは更に再循環ガス吹出しノズル19c,19dから)二次燃焼室4内に噴出するように構成されている。さらに、二次燃焼室4の排気ガス出口には、ボイラ81が接続されている。なお、前記再循環ガス吹出しノズルは、最低1段以上設けられていればよい。
【0024】
乾燥帯ストーカ21、燃焼帯ストーカ22及びおき燃焼帯ストーカ23には、それぞれの下部の風箱に開口する一次空気管51,52(例えば3個),53が配設され、該一次空気管から一次空気が供給されるように構成されている。6は一次空気供給用のファン、5は当該ファン6と一次空気管51,52(例えば3個),53のそれぞれとを接続する一次空気主管であり、ファン6から圧送された一次空気は、一次空気主管5から一次空気管51,52,53に分配されるようになっている。一次空気管51,52,53には、これらをそれぞれ開閉する開閉弁54,55,56が設けられている。また、一次空気主管5には、これを開閉する開閉弁7が設けられている。
【0025】
おき燃焼帯ストーカ23側に位置する炉本体2aの側壁には、一次燃焼室3内(二次燃焼室4内でもよい)の燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして再循環ファン13により抜き出す再循環ガス抜出し口40が設けられ、該再循環ガス抜出し口40から抜き出された再循環ガスは、再循環通路16及び集塵装置12を通って再循環ファン13の吸入通路12aに導入されるようになっている。
しかも、本実施形態に係る再循環通路16と炉本体2aとの接続部付近、すなわち再循環ガス抜出し口40の近傍には、再循環通路16を開閉する開閉自在なダンパ(開閉装置)41が設けられている。また、一次燃焼室3内の再循環ガス抜出し口40近傍には、室内のガス温度を検知するガス温度センサ42が設けられており、該ガス温度センサ42により検知されたガス温度が設定のガス温度閾値(例えば、400℃以上)を超えたか否かに基づいて、ダンパ41が開閉するように構成されている。そのため、ダンパ41及びガス温度センサ42は、図示しない制御装置に電気的に接続されており、該制御装置によってダンパ41の開閉が制御されるようになっている。なお、ガス温度センサ42は、再循環ガス抜出し口40付近の再循環通路16内に設けて、通路内のガス温度を検知するようにしても良い。
【0026】
一方、集塵装置12は、再循環通路16の再循環ファン13の上流部位に設けられ、集塵装置12の入口通路14が再循環通路16に接続されている。また、集塵装置12の出口と再循環ファン13の入口とは、吸入通路12aを介して互いに接続されている。したがって、再循環ガス抜出し口40と吸入通路12aとは、ダンパ41、再循環通路16、入口通路14及び集塵装置12を介して接続されており、吸入管路12aには、再循環ファン13の入口を開閉する開閉弁013が設けられている。また、集塵装置12の出口の吸入通路12aには、集塵装置12の出口を開閉する開閉装置39が設けられている。
【0027】
また、集塵装置12の入口通路14には、開閉弁7の上流部位で一次空気主管5から分岐された混入空気通路30が接続され、該混入空気通路30には、これを開閉する開閉弁30aが設けられており、当該開閉弁30aを開くと、一次空気主管5からの燃焼用空気が混入空気通路30を通って入口通路14及び集塵装置12に導かれ、吸入通路12aを経て再循環ファン13の入口に投入され、前記再循環ガスに燃焼用空気を混合した混合ガスが再循環ファン13に導入されるようになっている。
しかも、再循環ファン13の開閉弁013の上流部位で、集塵装置12と再循環ファン13との間の吸入通路12aには、開閉弁7と混入空気通路30との間で一次空気主管5から分岐された上流側空気供給通路31aが接続され、該上流側空気供給通路31aには、これを開閉する開閉弁9aが設けられている。したがって、この開閉弁9aを開くと、一次空気主管5からの燃焼用空気が上流側空気供給通路31aを通って集塵装置12の下流側の吸入通路12aに導かれ、吸入通路12aを経て再循環ファン13に投入されることになり、再循環ガスを一次燃焼室3から吸引することなく、再循環ファン13によって燃焼用空気を二次空気として燃焼室3,4内に供給することが可能に構成されている。
なお、開閉弁7、開閉弁013、開閉弁30a及び開閉弁9aは、図示しない制御装置によって開閉動作や開度などが制御されるようになっている。これによって、混入空気通路30及び上流側空気供給通路31aを流れる燃焼用空気の流量が調整され、あるいは、再循環ファン13に導入される再循環ガスの燃焼排ガスと燃焼用空気との混合割合が調整されるように構成されている。
【0028】
さらに、再循環ファン13によって出口側の再循環通路15に圧送された燃焼用空気混合後の再循環ガスは、下流側の再循環通路17,18に分岐されて再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめられるようになっている。また、再循環通路17内にはこれを開閉する開閉弁33が設けられ、再循環通路18内にはこれを開閉する開閉弁32が設けられている。
なお、この実施形態では、再循環ファン13の入口の再循環ガスに一次空気を混合して再循環ファン13に導入するように構成したが、当該一次空気に代えて二次燃焼室4内に噴出される二次空気あるいは外部からの空気を再循環ガスに混合して再循環ファン13に導入するように構成してもよい。
【0029】
一方、集塵装置12の上流側通路である入口通路14には、当該通路内のガス温度を検知する第1ガス温度センサ34が設けられ、集塵装置12の下流側通路である吸入通路12aには、当該通路内のガス温度を検知する第2ガス温度センサ35が設けられており、これら第1及び第2ガス温度センサ34,35により検知された入口通路14の温度と吸入通路12aの温度との差が設定されたガス温度差閾値(例えば、5℃以上)を超えたか否かに基づいて、ダンパ41及び上流側空気供給通路31aが開閉するように構成されている。そのため、第1及び第2ガス温度センサ34,35は、上記制御装置に電気的に接続されており、該制御装置によってダンパ41及び開閉弁9aの開閉が制御されるようになっている。
【0030】
また、集塵装置12の前後の入口及び出口付近には、前後のガス差圧を検知する第1及び第2圧力センサ36,37が設けられており、これら第1及び第2圧力センサ36,37により検知された集塵装置12における入口の圧力と出口の圧力とのガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値(例えば、0.1mbar/sec以上)を超えたか否かに基づいて、ダンパ41及び上流側空気供給通路31aが開閉するように構成されている。そのため、第1及び第2圧力センサ36,37は、上記制御装置に電気的に接続されており、該制御装置によってダンパ41及び開閉弁9aの開閉が制御されるようになっている。
【0031】
さらに、再循環ファン13には、振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段38が設けられており、この異常検知手段38により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値(例えば、10mm/sec以上あるいは100μm以上)を超えたか否かに基づいて、ダンパ41及び上流側空気供給通路31aが開閉するように構成されている。そのため、異常検知手段38は、上記制御装置に電気的に接続されており、該制御装置によってダンパ41及び開閉弁9aの開閉が制御されるようになっている。
【0032】
[第2実施形態]
図2は本発明の第2実施形態に係るストーカ式焼却炉の構成図である。
この第2実施形態においては、上記第1実施形態の上流側空気供給通路31aに代えて、下流側空気供給通路31bが設置されている。この下流側空気供給通路31bは、開閉弁7の上流側で一次空気主管5から分岐されたものであり、再循環ファン13の出口側の再循環通路15に接続されている。下流側空気供給通路31bには、これを開閉する開閉弁9bが設けられている。したがって、この開閉弁9bを開くと、一次空気主管5からの燃焼用空気が下流側空気供給通路31bを通って再循環ファン13の下流側の再循環通路15に導かれることになり、再循環ガスを一次燃焼室3から吸引することなく、燃焼用空気を二次空気として燃焼室3,4内に供給することが可能に構成されている。
その他の構成は上記記第1実施形態(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
次に、本発明の第1及び第2実施形態に係るストーカ式焼却炉2の運転方法を説明する。
まず、ストーカ式焼却炉2の起動運転時においては、炉本体2aの一次燃焼室3内に燃料及び空気を供給し、バーナ等で燃料を燃焼させて炉内温度を予め上昇させる。この際、発生した室内のガス温度をガス温度センサ42によって検知し、検知したガス温度が設定のガス温度閾値を超えたときには、再循環ガス抜出し口40の近傍に設置したダンパ41を作動させて再循環通路16を閉じ、高温の燃焼排ガスが再循環通路16に進入して集塵装置12及び再循環ファン13等に送られるのを阻止する。
また、定常運転時においては、ホッパ1より被燃焼物のごみを投入し、ファン6から一次空気主管5及び一次空気管51,52,53を通って一次空気を各ストーカ21,22,23に圧送し、各ストーカ21,22,23によりごみを燃焼する。これに伴い、燃焼排ガスが発生し、発生した燃焼排ガスは、ストーカ上方の一次燃焼室3及び二次燃焼室4内に導かれ、一次燃焼及び二次燃焼が行われる。一次燃焼室3内の燃焼排ガスの一部は、再循環ガス抜出し口40よりダンパ41を介して再循環ガスとして再循環通路16に抜き出される。この再循環ガスは、ファン6から一次空気主管5及び混入空気通路30を通って入口通路14に供給される燃焼用空気と混合され、その後、集塵装置12、再循環ファン13等を介して再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより還流されることになる。
【0034】
一方、このようなストーカ式焼却炉2の集塵装置12自体が損傷した場合の運転方法を説明する。
図3中の(1)のフローチャートで示すように、2つのガス温度センサ34,35を使用した場合では、第1ガス温度センサ34が入口通路14のガス温度T.Aを検知するとともに、第2ガス温度センサ34が吸入通路12aのガス温度T.Bを検知し、これらガス温度T.Aとガス温度T.Bとの温度差がガス温度差閾値を超えていると、集塵装置12が異常であると検知する。
これは集塵装置12にて外気を吸い込んでいることを意味するため、その時には、再循環ガス抜出し口40の近傍に設置したダンパ41を全閉して再循環通路16を閉じ、開閉弁9a(開閉弁9b)を開いて上流側空気供給通路31a(下流側空気供給通路31b)を開けるとともに、開閉弁30aを全閉して混入空気通路30を閉じる。そして、再循環ファン13を停止し、上流側空気供給通路31aの場合には開閉弁013を全開するとともに、開閉装置39を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び上流側空気供給通路31aを通って吸入通路12aに燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路15,17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。一方、下流側空気供給通路31bの場合には開閉弁013を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び下流側空気供給通路31bを通って集塵装置12の出口側の再循環通路15に燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。
【0035】
また、図3中の(2)のフローチャートで示すように、2つの圧力センサ36,37を使用した場合では、定常運転時に、第1圧力センサ36が集塵装置12の前後である入口側のガス圧力を検知するとともに、第2圧力センサ37が出口側のガス圧力を検知し、これら2つのガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えていると、集塵装置12が異常であると検知する。
これは集塵装置12にて外気を吸い込んでいることを意味するため、その時には、2つのガス温度センサ34,35を使用した場合の(1)と同様、再循環ガス抜出し口40の近傍に設置したダンパ41を全閉して再循環通路16を閉じ、開閉弁9a(開閉弁9b)を開いて上流側空気供給通路31a(下流側空気供給通路31b)を開けるとともに、開閉弁30aを全閉して混入空気通路30を閉じる。そして、再循環ファン13を停止し、上流側空気供給通路31aの場合には開閉弁013を全開するとともに、開閉装置39を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び上流側空気供給通路31aを通って吸入通路12aに燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路15,17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。一方、下流側空気供給通路31bの場合には開閉弁013を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び下流側空気供給通路31bを通って集塵装置12の出口側の再循環通路15に燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。
【0036】
なお、2つの圧力センサ36,37を使用する(2)のフローチャートにおいて、ガス差圧を検知する操作に代えて、再循環ファン13の出口の風量を検知することも可能である。この場合、風量が設定の閾値を超えていると、集塵装置12が異常であると検知し、その後は同様の運転操作を行うことになる。
上記(1)と(2)の運転操作は、両方を同時に行うことも可能であり、あるいは、いずれか一方を行うことも可能である。
【0037】
さらに、図4中のフローチャートで示すように、異常検知手段38を使用した場合では、再循環ファン13の振動速度及び変位の少なくとも一方を検知し、検知した振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えていると、再循環ファン13が異常であると検知する。
この異常を検知すると、再循環ガス抜出し口40の近傍に設置したダンパ41を全閉して再循環通路16を閉じるとともに、再循環ファン13を停止する。また、開閉弁9a(開閉弁9b)を開いて上流側空気供給通路31a(下流側空気供給通路31b)を開ける。そして、上流側空気供給通路31aの場合には開閉弁013を全開するとともに、開閉装置39を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び上流側空気供給通路31aを通って吸入通路12aに燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路15,17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。一方、下流側空気供給通路31bの場合には開閉弁013を全閉し、ファン6から一次空気主管5及び下流側空気供給通路31bを通って集塵装置12の出口側の再循環通路15に燃焼用空気を供給し、二次空気として再循環通路17,18を通って再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより供給されることになる。
【0038】
したがって、本発明の第1及び第2実施形態のストーカ式焼却炉2及びその運転方法によれば、バーナ等で炉本体2aの一次燃焼室3内の温度を上昇させる焼却炉起動時に、再循環ガス抜出し口40の近傍に設置したダンパ41を全閉して再循環通路16を閉じることが可能となり、高温の燃焼排ガスが再循環通路16に進入して集塵装置12、再循環ファン13などに与える熱負荷を小さくすることができる。これにより、高価な耐熱材料を使用することなく低コスト化した再循環通路16、集塵装置12、再循環ファン13を設置でき、長期間の耐久性及び寿命を維持することができる。
また、本実施形態のストーカ式焼却炉2及びその運転方法によれば、各種のセンサ34〜38や空気供給通路31a,31bを所定の箇所に設置し、集塵装置12や再循環ファン13の異常検知時に、ダンパ41により再循環通路16を閉じるとともに、空気供給通路31a,31bを利用してファン6からの燃焼用空気を二次空気として使用することが可能となり、焼却炉を支障なく継続して運転することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0040】
例えば、既述の実施の形態では、再循環ファン13の上流部位であって、集塵装置12とファン13との間に上流側空気供給通路31aが設けられ、あるいは再循環ファン13の下流部位に下流側空気供給通路31bが設けられているが、再循環ファン13の上流部位及び下流部位の両方に空気供給通路が設けられていても良い。また、既述の実施の形態における混入空気通路30は省略しても良い。
一方、既述の実施の形態におけるダンパ41は、再循環ガス抜出し口40の近傍に位置する再循環通路16の水平ダクト16aに設けられているが、図5に示すように、再循環ガス抜出し口40の近傍に位置する再循環通路16を垂直に引き回した垂直ダクト16bに設けられても良い。この配置によれば、燃焼排ガス中のダストなどが垂直ダクト16b及びダンパ41に付着することが少なくなり、ダンパ41の開閉動作を長期間にわたり円滑に行うことが可能となる。また、循環ガス抜出し口40の近傍に位置する再循環通路16の水平ダクト16a及び垂直ダクト16bの外周壁には、これらダクト16a,16bを保護するための耐火材または冷却構造体43が設けられても良い。さらに、ダンパ41の回動軸受部は、冷却構造となっている方が良い。
【符号の説明】
【0041】
1 ごみホッパ
2 ストーカ式焼却炉
3 一次燃焼室
4 二次燃焼室
5 一次空気主管
12 集塵装置
12a 吸入通路
13 再循環ファン
14 入口通路
15,16,17,18 再循環通路
19a,19b,19c,19d 再循環ガス吹出しノズル
21 乾燥帯ストーカ
22 主燃焼帯ストーカ
23 おき燃焼帯ストーカ
30 混入空気通路
31a,31b 空気供給通路
34,35 ガス温度センサ
36,37 圧力センサ
38 異常検知手段
40 再循環ガス抜出し口
41 ダンパ(開閉装置)
42 ガス温度センサ
43 耐火材または冷却構造体
51,52,53 一次空気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路を備え、該再循環通路の前記ファンの上流部位に集塵装置を設けたストーカ式焼却炉において、
前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設けたことを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項2】
前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内には、室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知されたガス温度が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置が開閉するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のストーカ式焼却炉。
【請求項3】
前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方には、前記再循環通路に空気を供給する空気供給通路が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のストーカ式焼却炉。
【請求項4】
前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路には、通路内のガス温度を検知するガス温度センサが設けられ、該ガス温度センサにより検知された上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストーカ式焼却炉。
【請求項5】
前記集塵装置には、前後のガス差圧を検知する圧力センサが設けられ、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のストーカ式焼却炉。
【請求項6】
前記ファンには、振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段が設けられ、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたか否かに基づいて前記開閉装置及び前記空気供給通路が開閉するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のストーカ式焼却炉。
【請求項7】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、
前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記燃焼室または前記接続部付近の再循環通路内に室内または通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知したガス温度が設定のガス温度閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じることを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。
【請求項8】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、
前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置の上流側通路及び下流側通路に通路内のガス温度を検知するガス温度センサを設置し、該ガス温度センサにより検知した上流側通路及び下流側通路の温度差が設定のガス温度差閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給することを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。
【請求項9】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、
前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記集塵装置に前後のガス差圧を検知する圧力センサを設置し、該圧力センサにより検知されたガス差圧の時間変化率の絶対値が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給することを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。
【請求項10】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして再循環通路を通して再循環せしめる際に、前記再循環通路の前記ファンの上流部位に設けた集塵装置を経て還流するようにしたストーカ式焼却炉の運転方法において、
前記再循環通路と前記炉本体との接続部付近に、前記再循環通路を開閉する開閉自在な開閉装置を設置するとともに、前記ファンに振動速度及び変位の少なくとも一方を検知する異常検知手段を設置し、該異常検知手段により検知された振動速度及び変位の少なくとも一方が設定の閾値を超えたときに、前記開閉装置により前記再循環通路を閉じるとともに、前記ファンの上流部位及び下流部位の少なくとも一方に設けた空気供給通路より前記再循環通路に空気を供給することを特徴とするストーカ式焼却炉の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−223474(P2010−223474A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69971(P2009−69971)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】