説明

スパウト付き収容体および栓体

【課題】内容物注出時に外気などが入り込むことを防止して再封止が可能なスパウト付き収容体および栓体を提供する。
【解決手段】本発明のスパウト付き収容体1は、収容本体1aの収容部S内を外部に連通させるための注出流路を形成する中空状の流路壁6bを有し、流路壁6bの内側には、その外周面が流路壁6aの内面に圧接される栓体部10が配される。収容本体1aに対する外圧に伴う内容物の押圧力によって流路壁6aが栓体部10から離間するように押し広げられることにより内容物の注出流路が確保される。一方、流路壁6a及び/又は栓体部の復元力によって流路壁6aの内面が栓体部10の外面に圧接することにより注出流路が閉じられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を取り出し可能にするスパウトを取着したスパウト付き収容体に係わり、特に、スパウト構造に特徴を有するスパウト付き収容体に関する。また、本発明は、前記特徴的なスパウト構造を有する栓体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば合成樹脂製のシート(プラスチックフイルムなど)を重ねて溶着(熱溶着)すると共に、これにスパウトと称される注出口を溶着(熱溶着)したスパウト付き収容体が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなスパウト付き収容体は、内部(収容部)に液体や半流動体などの内容物を充填し、スパウトを介して内容物が注出されるようになっており、医療分野、食品分野、日用品分野等、様々な分野で使用されている。
【0003】
また、上記したスパウト付きの収容体では、内容物を取り出した後、再封止できるように、キャップのような閉塞体を設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−291549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したようなスパウト付きの収容体を利用するに際し、特定の分野では、スパウトを介して内容物を取り出す際に、収容部内に外気などが入り込むのを防止したいことがある。これは、外気が入り込むことで内容物と反応し、内容物の性質が変化してしまう可能性があるためである。
【0006】
従来のような閉塞体を有するスパウトでは、使用時において、閉塞体を外し、そのまま内容物を注出した後、再び閉塞体を取着しても、閉塞体を開封して注出操作をする際に、必然的に外気が収容部に入り込んでしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、内容物注出時に外気などが入り込むことを防止して再封止が可能なスパウト付き収容体および栓体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、シート状部材を重ねて周囲を溶着することにより内容物を収容するための収容部を形成する収容本体と、前記収容本体に取着されて内容物を取り出し可能にするスパウトとを有するスパウト付き収容体であって、前記スパウトは、内容物を外部に注出するための注出口部と、前記収容本体に取着される取着部と、前記注出口の内側に配設され、前記内容物を外部に注出させるための注出流路を形成する中空状の流路壁と、を有し、前記流路壁の内側には、前記流路壁の内面に圧接される外面を具備した栓体部が配され、前記収容本体に対する外圧に伴う前記内容物の押圧力によって前記流路壁と栓体部が離間するように押し広げられることにより前記注出流路が確保され、前記流路壁及び/又は栓体部の復元力によって前記流路壁の内面と前記栓体部の外面が圧接して前記注出流路が閉じられることを特徴とする。
【0009】
上記した構成によれば、収容部を外部に連通させるための注出流路を形成する流路壁の内面が、栓体部の外面に圧接された通常の閉塞状態から、収容本体に対する外圧に伴う内容物の押圧力によって流路壁が栓体部から離間するように押し広げられることにより、流路壁の内面と栓体部の外面との間に注出流路が確保され、注出口部からの内容物の注出が可能になる。一方、収容本体に対する外圧が解除されると、流路壁及び/又は栓体部の復元力によって流路壁の内面と栓体部の外面とが圧接し、注出流路が封止される(流路壁の内面と栓体部の外面とが密着することで収容部が閉塞される)。そのため、スパウトを介して内容物を取り出す際に、外部から気体や液体などが収容本体内に流入することが防止され、内容物の性質が変化してしまうといった事態を防止できる。また、流路壁内に栓体部を嵌入させることで、流路壁の内面に栓体部の外面を圧接することが可能であるため、スパウトの成形が容易であるとともに、栓体部の組み付け作業も簡略化される。また、構造が簡単であるため、小型化も可能である。
【0010】
また、上記した構成においては、前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して圧入される中空状の円筒部を有するように構成することが好ましい。
【0011】
このような構成では、流路壁および栓体部の両者が、径方向に弾性変形することが容易となって注出流路が開放/閉塞されるため、外部から収容本体内への気体や液体の流入を効果的に防止しつつ十分な内容物の流れを確保することが可能となる。
【0012】
また、上記した構成においては、前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して挿入される中実部を具備すると共に、その外周面には、前記流路壁に圧接する環状突起が長手方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
【0013】
このような構成では、前記環状突起により、栓体部の外周面と流路壁の内周面との接触面積を減少させることができ、それにより、これらの周面同士の圧接力を低減できるため、少ない押圧力で周面同士の密着を開放して内容物を収容本体の外部に容易に流出させることが可能になる。
【0014】
また、上記した構成においては、前記栓体部は、栓体部を前記注出口部に対して係止固定して栓体部の軸方向の動きを規制する係止手段を有することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、流路壁に対する栓体部の軸方向の相対的な動きが規制されるため、内容物の押圧力を流路壁(あるいは、流路壁および栓体部)の径方向の変形へと効率的に変換でき、内容物の十分な流出を確実にすることができる。
【0016】
また、上記した構成においては、前記栓体部は、前記収容部を前記注出流路に連通させるための連通手段を有することが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、栓体部に係止手段を設けることに伴って遮断される注出流路を連通手段によって確保することが可能となる。
【0018】
また、本発明は、所定の内容物を収容する収容容器の注出口部に着脱自在に取り付けられる栓体であって、前記栓体の内側に配設され、前記内容物を外部に注出させるための注出流路を形成する中空状の流路壁と、前記流路壁の内側に配され、前記流路壁の内面に圧接される外面を具備した栓体部と、を有し、前記収容容器に対する外圧に伴う前記内容物の押圧力によって前記流路壁と栓体部が離間するように押し広げられることにより前記注出流路が確保され、前記流路壁及び/又は栓体部の復元力によって前記流路壁の内面と前記栓体部の外面が圧接して前記注出流路が閉じられることを特徴とする栓体を提供する。
【0019】
この栓体によれば、前述した特徴を有する構造を既存の任意の容器に自在に適用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内容物注出時に外気などが入り込むことを防止して再封止が可能なスパウト付き収容体および栓体が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスパウト付き収容体の主要構造を示す概略斜視図。
【図2】図1のスパウト付き収容体のスパウトを構成する栓体部の斜視図。
【図3】図1のスパウトの注出口部の流路壁内に栓体部を配した組み付け状態の断面図。
【図4】図3の閉塞状態から内容物の押圧力によって流路壁の内面が栓体の外面から離間されるように径方向に押し広げられて注出流路が確保された状態を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るスパウト付き収容体の主要構造を示す概略斜視図。
【図6】図5のスパウト付き収容体のスパウトを構成する栓体部の斜視図。
【図7】図5のスパウトの注出口部の流路壁内に栓体部を配した組み付け状態の断面図。
【図8】図7の閉塞状態から内容物の押圧力によって流路壁の内面が栓体の外周面から離間されるように径方向に押し広げられて注出流路が確保された状態を示す断面図。
【図9】(a)〜(d)は栓体の外周面に設けられる環状突起の様々な変形例を示す部分斜視図。
【図10】本発明に係る栓体を収容容器に取り付けた状態を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、図1から図4は本発明の第1の実施形態に係るスパウト付き収容体の構成図であり、図1は、本実施形態に係るスパウト付き収容体の主要構造を示す概略斜視図、図2は、本実施形態のスパウト付き収容体のスパウトを構成する栓体部の斜視図、図3は、本実施形態のスパウトの注出口部の流路壁内に栓体部を配した組み付け状態(閉塞状態)の断面図、そして、図4は、図3の閉塞状態から内容物の押圧力によって流路壁の内面が栓体の外面から離間されるように径方向に押し広げられて注出流路が確保された状態を示す断面図である。なお、図4では、その作用をわかりやすく説明するために、流路壁と栓体部の変形状態をデフォルメして示してある。
【0023】
図1は、スパウト付き収容体1の略上半部を示しており、スパウト5を取着した状態を示す図である。スパウト付き収容体1の収容本体1aは、例えば、合成樹脂のような比較的柔軟な材質で構成されているシート状部材8a,8bを重ね、これを周囲で溶着(熱溶着)することによって形成される。溶着部分は、斜線部3で示されており、それ以外の部分が袋状になって、例えば流体状の内容物が収容される収容部Sを形成する。ここで、収容本体1aについては、その全体形状、大きさ、溶着領域等について、特に限定されることはなく、各種のものが含まれる。例えば、収容本体1aの全体形状としては、底面部を有して直立可能ないわゆる自立体容器、あるいは、2枚のシート状部材8a,8bの周囲領域を溶着しただけのいわゆる三方体等が含まれる。
【0024】
そして、シート状部材8a,8bが溶着される際、その上端部には、内容物を取り出し可能にするスパウト5が溶着される。このスパウト5は、合成樹脂等によって予め一体成形されており、2枚のシート状部材8a,8bの上端部を溶着する際、その間に介在されて取着される。
【0025】
また、前記スパウト5は、収容本体1aから外部に突出して内容物を外部に注出するための筒状の注出口部6と、収容本体1の各シート状部材に取着される取着部7とを備えている。この場合、注出口部6には、図1に示されるように、注出口部6の外周面にキャップ螺合用のネジ部21を形成してキャップ20等の閉塞体を着脱自在に取り付けるようにしても良い。なお、このようなキャップ20については、後述する本実施形態の自発的閉塞機能により排除することも可能である。
【0026】
また、前記シート状部材8a,8bは、前述したように柔軟性を有する合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)であり、例えば、溶着し易いようにポリエチレンやポリプロピレンなどによって構成され、公知のように、その表面側に、内容物に対するバリア性(ガスバリア性および遮光性)を高めるように、ナイロン、アルミホイルなどを積層した、いわゆる複合層で構成されることが好ましい。
【0027】
また、本実施形態のスパウト5は、注出口部6を構成する円筒状の口部本体6aの内側に、口部本体6aの内周面基部から略同軸に立ち上がるように延びる流路壁6bを備えている。この場合、流路壁6bは、後述するように径方向に弾性変形し易いように断面が円形状となる筒状に形成されている。
【0028】
前記流路壁6bは、注出口部6の開口11(外部環境)と収容本体1の収容部S内との間の隔壁を形成するものであり、その内孔部分によって注出流路17が形成される。すなわち、流路壁6bは、収容部S内に収容された内容物を外部に連通させるための注出流路17を形成すべく、中空状の管状体として構成されている。この場合、流路壁6bは、収容部S内の内容物の押圧力によって、径方向に変形可能な材料(例えば、樹脂、ゴムなど)によって形成されており、口部本体6aの内周面から環状空間18を隔てて略同軸に配置され、この環状空間18により径方向外側への変形が許容される。
【0029】
前記流路壁6bの内側には、図2に示すような栓体部10が配されている。前記栓体部10は、収容部S内の内容物の押圧力によって変形できる材料(例えば、樹脂、ゴムなど)から形成され、且つその外面が、前記流路壁6bの内面に圧接される中空管状の栓本体10aと、スパウト5の取着部7の内孔に嵌合される中空状の嵌合部10bと、嵌合部10bの下端外周に設けられ且つ収容部Sに面する取着部7の開口の周縁部に係止されるフランジ状の係止部(係止手段)15とを備えている。
【0030】
なお、前記流路壁6b及び栓体部10は、いずれか一方が径方向に弾性変形し易い材料によって形成されたものであっても良い(本実施形態では、両者が、径方向に弾性変形し易い材料で形成されている)。また、流路壁6b及び栓体部10は、軸方向に同一の長さであっても良いが、図に示すように、内側に嵌入される栓体部10の長さを長くすることで、流路壁6bに沿って流れる内容物を案内し易くなり、注出口部6の上端開口11から安定した注出操作を行うことが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の栓本体10aは、中空状に形成されており、その内孔となる中空部12によって、その径方向内側への変形が許容されるようになっている。また、嵌合部10bは、収容部S内に向けて開口する開口部13を有しており、この部分に収容部S内の内容物が流れ込むようになっている。また、嵌合部10bの下端外周に設けられるフランジ状の係止部15は、栓体部10bを注出口部6側(具体的には、スパウト5の取着部7)に対して係止固定して、栓体部10の軸方向の動きを規制する機能を果たす。
【0032】
なお、嵌合部10bから栓本体10aへの移行領域である傾斜上面には、収容部S内(したがって、嵌合部10bの中空部内)を注出流路17に連通させるための連通手段としての複数の注出口19が設けられ(具体的には、前記傾斜上面の周方向に沿って所定の間隔で設けられる)、また、前記傾斜上面と流路壁6bの内面との間には、注出口19を通じて注出流路17への内容物の流出を容易にするための略環状の空隙部42が形成されている(図3参照)
【0033】
以上のように構成されるスパウト付き収容体1においては、まず、手で収容本体1aを挟圧するなどして収容本体1aに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物Pが収容部S内から押し出される。押し出された内容物Pは、図4に示されるように、嵌合部10bの開口部13内に流れ込み、嵌合部10bの注出口19を通じて空隙部42に流入する。そして、そこから、さらに押圧力によって流路壁6bを栓体部10の栓本体10aから離間させるように径方向外側に押し広げる(拡張させる)とともに、栓体部10の栓本体10aを流路壁6bから離間させるように径方向内側に収縮させて、内容物Pの注出流路S’を確保する。
【0034】
なお、このときの内容物Pの注出量(流出量)については、収容本体1a内の内圧(挟圧力)を制御することにより調整可能である。このように、流路壁6bの内面と栓本体10aの外面との間に注出流路S’が確保されると、収容本体1a内の内容物が注出口部6の上端開口11から流出する。
【0035】
一方、収容本体1aに対して加えていた外圧を解除すると、流路壁6bの内面および栓本体10aの外面に作用する押圧力がなくなり、したがって、流路壁6bおよび栓本体10aの弾性的な復元力によって、栓本体10aの外面と流路壁6bの内面とが互いに圧接して、注出流路S’が閉じられる。外圧を解除することで、このように栓本体10aの外面と流路壁6bの内面とが互いに圧接するため、外気が収容部S内に入り込むことはない。すなわち、収容本体に対して外圧を加えることで、内容物Pは流出するものの、このとき、外気が収容部S内に入り込むことはなく、かつ、外圧を解除することで、直ちに注出流路が閉塞されるため、内容物Pと外気が反応するようなことはない。
【0036】
また、上記した構成によれば、開封後において、収容体1が転倒しても、内容物Pの流出を防止することが可能となる。さらに、上記したような自発的閉塞機能を備えていることで、図1に示すようなキャップ20を省略することも可能となり、したがって、キャップ取り付けのための加工をスパウトに施す必要がなく、収容体全体の製造コストの低減を図ることもできる。また、流路壁6b内に栓体部10を嵌入して係止させるだけの簡単な構成であるため、成形が容易であるとともに、組み付け作業も簡略化される。また、構造が簡単であるため、小型化することも可能である。
【0037】
また、本実施形態では、流路壁6bおよび栓体部10(栓本体10a)の両者が弾性変形することにより注出流路が開放され、かつ流路壁6bおよび栓体部10(栓本体10a)の両者が弾性的に圧接することにより注出流路が閉塞されるため、反応が良好であると共に、収容本体1a内への気体や液体の流入を効果的に防止しつつ十分な内容物の流れを確保することができる。
【0038】
また、本実施形態では、係止部15によって流路壁6bに対する栓体部10の軸方向の相対的な動きが規制されるため、内容物Pの押圧力を流路壁6bおよび栓体部10(栓本体10a)の径方向の変形へと効率的に変換でき、内容物Pの十分な流出を確実にすることができる。
【0039】
図5から図9は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態のスパウト付き収容体1Aは、前述した実施形態の栓本体が中実構造を成している。すなわち、本実施形態の栓体部30は、図6に示されるように、略円柱形状を成した中実状の栓本体30aと、スパウト5の取着部7の内孔に嵌合される中空状の嵌合部30bと、嵌合部30bの下端外周に設けられ、且つ収容部Sに面する取着部7の開口の周縁部に係止されるフランジ状の係止部(係止手段)15とを備えている。この場合、嵌合部30bは、第1の実施形態の嵌合部10bと同じ構造となっている。
【0040】
また、本実施形態において、栓体部30の栓本体30aの外周面には、環状突起32が長手方向に沿って複数設けられている。この環状突起32は、その外面が、流路壁6bの内面に圧接するようになっており、環状突起32以外の部分については、流路壁6bの外面との間で所定の隙間を確保するようにしている。
【0041】
この場合、本実施形態の環状突起32は、縦断面が略矩形となるリング状を成しているが、図9に示されるような様々な形状とすることが可能である。すなわち、環状突起32は、図9(a)に示されるような縦断面が略矩形のリング状の環状突起32に限らず、図9(b)に示されるような縦断面が略半円形となる環状突起32A、図9(c)に示されるような縦断面が略二等辺三角形となる環状突起32B、あるいは、図9(d)に示されるような縦断面が略直角三角形となる環状突起32Cのように構成することが可能である。
【0042】
なお、上記した以外の構成については、第1の実施形態と同じであり、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0043】
このような構成のスパウト付き収容体1Aでは、収容本体1aに対する外圧に伴う内容物Pの押圧力によって流路壁6bが栓体部10(栓本体10a)から離間するように押し広げられることにより内容物Pの注出流路が確保される(栓本体10aは変形しない)。一方、収容本体1aに対して加えていた外圧を解除すると、流路壁6bの弾性的な復元力によって流路壁6bの内周面が栓本体10aの外周面(環状突起32の外面)に圧接することにより注出流路が閉じられる。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果が得られるとともに、環状突起32の存在に起因して、栓本体10aの外周面と流路壁6bの内周面との接触面積を減少させることができ、それにより、これらの周面同士の圧接力を低減できるため、少ない押圧力で周面同士の密着を開放して内容物Pを収容本体1aの外部に容易に流出させることが可能になる。
【0045】
図10は、上記したスパウト構造を有する独立した栓体を示しており、この栓体を既存の任意の収容容器に着脱自在に装着できる実施形態を示している。
【0046】
具体的には、本実施形態の栓体50は、所定の内容物を収容する収容容器60の注出口部60aに着脱自在に螺着や圧入等によって取り付けられるようになっており、前述した第1の実施形態または第2の実施形態のスパウト5と同様の内部構造を有している。
【0047】
すなわち、本実施形態の栓体50は、収容容器60内を外部に連通させるための流路を形成する中空状の流路壁6bと、流路壁6bの内側に配され、その外面が流路壁6bの内面に圧接される栓体部10とを有している。そして、上記した実施形態と同様、収容容器60に対する外圧に伴う内容物の押圧力によって流路壁6bが栓体部10から離間するように押し広げられることにより内容物の注出流路が確保され、流路壁6bの弾性的な復元力によって流路壁6bの内面が栓体部10の外面に圧接することにより注出流路が閉じられるようになっている。
【0048】
このような栓体50によれば、前述した特徴を有する構造を既存の任意の容器60に自在に適用することも可能である。なお、栓体50には螺着等によって閉塞キャップ70が取り付けられても良い。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることは無く、種々変形することが可能である。例えば、注出口の内側に配される流路壁6bについては、断面円形以外にも、楕円形状にしたり、多角形状にしたものであっても良い。また、これに伴い、栓体部の形状についても適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,1A スパウト付き収容体
1a 収容本体
5 スパウト
6 注出口部
6a 口部本体
6b 流路壁
7 取着部
8a,8b シート状部材
10 栓体部
15 係止部(係止手段)
17 注出流路
19 注出口(連通手段)
32,32A,32B,32C 環状突起
50 栓体
60 収容容器
S 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材を重ねて周囲を溶着することにより内容物を収容するための収容部を形成する収容本体と、前記収容本体に取着されて内容物を取り出し可能にするスパウトとを有するスパウト付き収容体であって、
前記スパウトは、内容物を外部に注出するための注出口部と、前記収容本体に取着される取着部と、前記注出口の内側に配設され、前記内容物を外部に注出させるための注出流路を形成する中空状の流路壁と、を有し、
前記流路壁の内側には、前記流路壁の内面に圧接される外面を具備した栓体部が配され、
前記収容本体に対する外圧に伴う前記内容物の押圧力によって前記流路壁と栓体部が離間するように押し広げられることにより前記注出流路が確保され、前記流路壁及び/又は栓体部の復元力によって前記流路壁の内面と前記栓体部の外面が圧接して前記注出流路が閉じられることを特徴とするスパウト付き収容体。
【請求項2】
前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して圧入される中空状の円筒部を有することを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き収容体。
【請求項3】
前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して挿入される中実部を具備すると共に、その外周面には、前記流路壁に圧接する環状突起が長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き収容体。
【請求項4】
前記栓体部は、栓体部を前記注出口部に対して係止固定して栓体部の軸方向の動きを規制する係止手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のスパウト付き収容体。
【請求項5】
前記栓体部は、前記収容部を前記注出流路に連通させるための連通手段を有することを特徴とする請求項4に記載のスパウト付き収容体。
【請求項6】
所定の内容物を収容する収容容器の注出口部に着脱自在に取り付けられる栓体であって、
前記栓体の内側に配設され、前記内容物を外部に注出させるための注出流路を形成する中空状の流路壁と、前記流路壁の内側に配され、前記流路壁の内面に圧接される外面を具備した栓体部と、を有し、
前記収容容器に対する外圧に伴う前記内容物の押圧力によって前記流路壁と栓体部が離間するように押し広げられることにより前記注出流路が確保され、前記流路壁及び/又は栓体部の復元力によって前記流路壁の内面と前記栓体部の外面が圧接して前記注出流路が閉じられることを特徴とする栓体。
【請求項7】
前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して圧入される中空状の円筒部を有することを特徴とする請求項6に記載の栓体。
【請求項8】
前記流路壁は、円筒形状を成し、前記栓体部は、前記円筒形状の流路壁に対して挿入される中実部を具備すると共に、その外周面には、前記流路壁に圧接する環状突起が長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項6に記載の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−240972(P2011−240972A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115588(P2010−115588)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000228408)日本キム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】