スパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法
【課題】カルーセルのような回転ドラムを使用した成膜において、カルーセルの回転軸と装置本体の軸受けの非常に微小な偏芯が製品の特性バラツキに影響を及ぼす。
【解決手段】チャンバーのスパッタ室3内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板11が装着される(格納される)基板ホルダ9が取り付けられ、該ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら基板11に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、チャンバーであるスパッタ室3内壁に設けられ基板11に成膜するターゲット7,8と、基板ホルダ9がターゲット7、8と正面に対向した位置のターゲットと基板11との距離を測定し各基板ホルダとターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置10と、を備え、偏芯制御装置10からの出力により基板ホルダ9とターゲット間の距離を修正する。
【解決手段】チャンバーのスパッタ室3内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板11が装着される(格納される)基板ホルダ9が取り付けられ、該ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら基板11に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、チャンバーであるスパッタ室3内壁に設けられ基板11に成膜するターゲット7,8と、基板ホルダ9がターゲット7、8と正面に対向した位置のターゲットと基板11との距離を測定し各基板ホルダとターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置10と、を備え、偏芯制御装置10からの出力により基板ホルダ9とターゲット間の距離を修正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクター等に用いられる光学多層膜をスパッタ方式により成膜する場合の、スパッタ方式による光学多層膜の成膜装置及びスパッタ成膜方法に関するものであり、特に、カルーセル型スパッタ成膜装置のような回転式スパッタ成膜装置において成膜された光学多層膜の光学特性の安定性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学多層膜は基板上に高屈折率と低屈折率の2種類の膜の交互積層膜あるいは3種類以上の膜の積層膜で構成されている。そして、これら各層の膜厚が光学特性を決定する最も重要な要素であり、この膜厚をより正確に制御することが成膜装置では重要な事項である。現在この光学多層膜では膜厚の誤差は数%以下から厳しい仕様では1%以下に抑えることが必要とされている。そのため成膜レートの安定性が確保されなければ、透過率、透過帯の半値波長等の要求光学特性を得られない。更に、量産機で連続成膜を行うためには、前記安定性が確保できなければ、ロット間の再現性が得られない。
【0003】
従来、光学多層膜の成膜には、真空蒸着法を利用するのが一般的であったが、付着粒子の運動エネルギーが非常に低いため、近年は緻密な微細構造を持ち、波長シフトのない薄膜を成膜するには、基板加熱やイオンアシスト蒸着法やイオンプレーティング法のようにイオンのプラズマアシストによって付着粒子にエネルギーを与えるようなPassive Energeticプロセスやスパッタ方式等が提案されている。また、スパッタ方式による成膜技術では、安定したプラズマの発生により高い再現性が得られ、特に膜厚モニタを設置せずとも、予め設定した成膜レートに従って所定の膜厚を成膜するのに必要な時間を算定して制御することで成膜中の各層の膜厚制御精度がますます良くなっている。従ってスパッタ方式における成膜レートは、真空蒸着法に比べると極めて安定しており、膜厚の制御は、水晶式膜厚計や光学式膜厚計等を使用しなくても時間管理の制御が可能であるという利点がある。
【0004】
特にスパッタ方式の中でも大面積成膜が可能なカルーセル型の回転スパッタ方式による成膜技術および成膜装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。カルーセルと言われる回転ドラムを搭載したスパッタ成膜装置では、このカルーセルを回転させながら、金属ターゲット材及びこれとは別の金属ターゲット材を交互に放電させ、反応性スパッタもしくは酸化アシストプロセスにより光学多層膜を形成する方法が取られている。
【特許文献1】特開平8−176821号公報
【特許文献2】特開2003−27226号公報
【特許文献3】特開昭62−284076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カルーセル型の回転スパッタ方式は、大面積の基板、又は多数の基板への成膜が可能であるが、光学特性の面内バラツキの制御が非常に困難であるといった課題がある。その面内バラツキの要因としては、基板縦方向、基板横方向、基板ホルダ間、ロット間バラツキが挙げられる。
【0006】
基板縦方向の膜厚調整は、基板とターゲット間に膜厚補正板を儲けることで、ターゲットからスパッタされて基板方向へ飛散する粒子の一部を遮ることができるため、この補正板の形状を調整することにより膜厚分布を均一に補正することや場所により膜厚を変える所望の不均一膜にすることを可能にすることができる。また、基板横方向の膜厚バラツキとしては、基板の中央部周辺と基板の両端部ではプラズマの密度が違いによるスパッタ原子の付着確率の違いから生じるためにスパッタ条件の最適化、またはカルーセルの回転速度の調整により付着確率の均一化を可能することができる。基板ホルダ間においては、カルーセルの調整による取り組み、ロット間の膜厚調整においては、成膜結果をフィードバックする取り組みでそれぞれ安定化を図っている。
【0007】
しかしながら、現在この光学多層膜では益々厳しい光学仕様が必要とされており、上記の取り組みのみでは現行の面内バラツキ特性を実現するのが非常に困難になっており、中でも特に基板ホルダ間の取り組みのような機械的な寸法調整には限界がきている。現にカルーセルの回転軸と装置本体の軸受けの非常に微小な偏芯が光学特性のバラツキに影響を及ぼすといった問題が浮上してきている。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、この基板ホルダ間の膜厚分布を均一にすることができるスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のスパッタ成膜装置は、チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットと、前記基板ホルダが前記ターゲットと正面に対向した位置の前記ターゲットと基板との距離を測定して前記回転ドラムの偏芯量を測定し各基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置と、を備え、前記偏芯制御装置からの出力により基板ホルダとターゲット間の距離を修正することを特徴としたものである。
【0010】
また本発明のスパッタ成膜方法は、チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜方法において、前記基板と前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットとの距離を測定する工程、前記測定量に基づいて基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する工程と、を備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法によれば、基板ホルダとターゲットとの間の距離を制御し、ターゲットと基板ホルダに格納される基板間の距離の調整を行うことで、カルーセルの回転軸と装置本体の軸受けの偏芯による光学特性のバラツキを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明のスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明にかかるスパッタ成膜装置の構成を模式的に示す断面図で、上から見た断面図である。図2は、本発明にかかるスパッタ成膜装置に用いられるカルーセル1及び基板ホルダ9の構成を示す斜視図である。図1のスパッタ成膜装置はカルーセルといわれるドラム状の治具1を出し入れする真空室2とスパッタ成膜処理をするチャンバであるスパッタ室3とで構成されたロードロック式スパッタ成膜装置である。真空室2とスパッタ室3は連結されており、真空室2には、カルーセル1の搬入、搬出を行うための扉4が備えられている。また、真空室2とチャンバであるスパッタ室3の間には、各々の部屋を独立して真空化するためにゲートバルブ5が備えられている。カルーセル1は、搬送機構によって、真空室2からチャンバであるスパッタ室3、もしくはスパッタ室3から真空室2へ搬送される。また、カルーセル1は、スパッタ室3内に設置されている回転機構6によって、回転することが出来、スパッタ室の側面に対向して備え付けている2つのターゲット7、8によって、このスパッタ室3内においてカルーセル1上の複数の基板ホルダ9に備えられている基板11上にスパッタ成膜をすることができる。
【0014】
図1、図2に示すように、一実施態様として、カルーセル1に24個の基板ホルダ9を取り付け、正24面体を構成し、それぞれの基板ホルダ9には、3個の基板を格納している。
【0015】
スパッタガスには例えばアルゴン、反応ガスには例えば酸素を一定の圧力になるようにガスを流しながら保ち、Aターゲット7(ここではSi)を保持するスパッタカソード(図示せず)に外部から電力を印加することで反応性スパッタ状態の中をカルーセル1が回転機構6により回転することで、カルーセル1上の基板11上に反応性スパッタ法によってSiO2膜が形成される。次に同様にもう一方のBターゲット8(ここではNb)を保持するスパッタカソード(図示せず)にも電力を印加することでカルーセル1上の基板11に反応性スパッタ法によってNbO5膜が形成される。このような繰り返しによってSiO2とNb2O5の多層膜が基板11上に形成される。なお、ターゲット7の材質はSi、ターゲット8の材質にはNbを用いているが、他にもTi、Ta、Zrやその酸化物、窒化物、炭化物など様々な材質をターゲットに用いることが出来る。ターゲットの数は1つでもよく、3以上であってもよい。その他、このスパッタ装置には偏芯制御機構10が備え付けてられている。
【0016】
図2に示されるように、カルーセル1は円筒状に形成されており、そのカルーセルの外周には基板ホルダ9が取り付けられている。そしてカルーセル1の外周に設けられた基板ホルダ9の外周の各側面には、基板11が配列されている。このカルーセル1の中心軸12とスパッタ室3内の回転軸13とは鉛直方向にのびるスパッタ室3内の中心線と一致するように回転可能に設けられている。基板ホルダ9は、正24角形筒等の多角形筒状に形成され、このカルーセル1をスパッタ室3内で回転させることにより、基板ホルダ9および基板11が回転軸13を中心に回転し、スパッタ室3内のターゲット7、8の前を順次通過するようになっている。なお、基板ホルダ11は正24面体に限定されるものではなく、基板11の形状、大きさなどにより他の多面体でも良い。基板に関しても基板ホルダ内に格納されれば、いかなる形状、サイズも問題はない。
【0017】
偏芯制御機構10としては、偏芯測定機構と偏芯修正機構で構成されている。これは、回転軸13に取り付けられたカルーセル1において、回転軸13とカルーセル1の中心軸12の寸法公差、ならびに取り付け公差から生じてしまう回転時のカルーセル1のブレ、つまり偏芯を制御する機能を備えている。偏芯が生じてしまうと各基板ホルダ9がターゲット7の正面に位置した時の基板11との距離(以下、T/S間距離14とする)が基板ホルダ9毎に異なってしまい、基板11上に成膜される材料の膜厚が異なってしまうので制御することが必要である。
【0018】
以下に、偏芯制御装置10の機能について図に基づいて説明する。図3は、本発明にかかるスパッタ成膜装置の構成の一部を説明する図であって、図3(a)は基板ホルダAがスパッタ成膜されている様子を模式的に示す断面図であり、図3(b)は基板ホルダBがスパッタ成膜されている様子を模式的に示す断面図である。図3において、偏芯が生じているとカルーセル1の回転軸13とカルーセルの中心軸12は一致していない。したがってターゲット7と基板ホルダA間の距離T1とターゲット7と基板ホルダB間の距離T2との関係がT1>T2、もしくはT1<T2となってしまう。図3においてはT1<T2となっている。同様にその他の基板ホルダ9においてもT/S間距離14がカルーセル1の回転に応じて変化する。T/S間距離14が短くなると、スパッタ電子の付着確率が大きくなり、基板11上の膜厚も厚くなってしまい、その結果、光学薄膜の光学特性も長波長側にシフトしてしまい、各基板ホルダ9の光学特性にも差が出てきてしまうことがわかる。
【0019】
本発明にかかるスパッタ成膜装置の偏芯制御装置10は、T/S距離14による光学薄膜の光学特性を均一にするために、スパッタ成膜前にT/S距離14をスパッタ室3内で測定する機構を備えている。測定方法としては、スパッタ室3内に取り付けられた光マイクロセンサ15によってカルーセル1が回転軸13に取り付けられた状態で回転動作を行い、T/S距離14を測定している。光マイクロセンサ15は、基板ホルダ9の中心軸12に対して垂直方向に取り付けられており、スパッタ電子の影響を受けない領域に設置されている。即ち、ターゲット7、8と離れた位置、図1においては、ターゲット7、8の配置されない側に配置される。なお、この光マイクロセンサ15の基板ホルダ9上のセンシング領域41、つまりターゲット7、8と対向している基板ホルダ9の上部面は高平坦化処理、もしくは鏡面処理等を施している方が高精度な測定をするためには適している。なお、T/S距離14の測定には光マイクロセンサ15を用いているが、他の磁気センサ等の非接触式による距離測定装置、ならびにタッチプローブのような接触式の距離測定装置を用いることもできる。
【0020】
次に、偏芯制御装置10の偏芯修正機構に関して説明する。偏芯制御装置10の偏芯修正機構とは、偏芯量つまりT/S距離14を測定した後に各基板ホルダ9間の距離を修正する機構のことである。図4に示すように各基板ホルダ9に取り付けられた真空用ステッピングモータ16を動作させることで各基板ホルダ9とターゲット7面に対する距離を制御して、T/S距離14を変化させることができる。この真空用ステッピングモータ16はカルーセル1上板にパターニングされた配線17と繋がっており、この配線のもう一方の端子部は回転軸の真上に位置するスパッタ室内の回転支え軸18にパターニングされた配線19に繋がっている。実際に基板ホルダ9毎にT/S距離14を変化させるには、偏芯制御装置10の偏芯測定機構で基板ホルダ9毎のT/S距離14を検出した後、各真空用ステップモータ16に外部からプログラムによって修正偏芯量を偏芯制御装置10内の制御部(図示せず)に伝達し、ステッピングモータを修正偏芯量に基づいて駆動することによって行われる。
【0021】
実際の偏芯制御方法を図5に示すフローチャートで説明する。まず、カルーセル1に基板ホルダ9および基板11をセットする。次にカルーセル1を真空室2に搬入し、扉を閉めて真空排気を行う。真空室2が所定の真空度まで排気した後に、ゲートバルブ5を開放し、カルーセル1を搬送機構によってスパッタ室3に搬入する。そして、ゲートバルブ5を閉じ、所定真空度まで真空排気を行う。この真空排気の間にカルーセル1を回転させ、偏芯制御装置10により偏芯測定を行う。その偏芯測定結果に応じて、真空用ステッピングモータ16を用いて偏芯量の修正を行う。その後、スパッタ室が所定真空度に排気されるとスパッタ成膜が開始し、光学多層膜が形成される。
【0022】
ここで、例えば、カルーセルはφ960mm、基板ホルダとしては正24角形筒の多角形筒でサイズはW:250mm×H:550mm、基板はW:100mm×H:100mmが縦方向に3枚格納されているものを用いて、24層のLWPFをスパッタ成膜行い、偏芯測定時のカルーセルの回転速度としては7rpm、スパッタ成膜時の回転速度としては100rpmで行った。図6に偏芯制御をしない場合の光マイクロセンサ15で測定した各基板ホルダ偏芯量、および成膜後の各基板の光学特性として半値波長の変化をそれぞれ示す。
【0023】
成膜後の基板11の透過光量を測定し、透過光量が半分に低下する波長が半値波長である。図6(a)は、24個の基板ホルダ11に任意のホルダから順次番号を付し、10番目の基板ホルダ11を偏芯量の測定の基準として測定したものであり、図6(b)は、成膜後の基板の半値波長の測定例を示すものである。
【0024】
光学特性としては、各基板ホルダに格納されている3枚の基板のうちの真ん中に位置する1枚のみの測定結果を示している。図を見てわかるように回転方向にSINカーブのような特性を示し、P−Pで約2000umのT/S距離の差、P−Pで約4nmの半値波長の特性バラツキが見られている。このように回転方向にSINカーブのような傾向を示していることからも回転の軸ズレによる偏芯が見られていることがわかる。
【0025】
また、図6の結果より図7に偏芯量と半値波長の関係を示す。偏芯量と半値波長では直線上の比例関係があり、偏芯量を減少させることで半値波長のバラツキを減少させることが可能であることがわかる。
【0026】
次に図8にカルーセルの回転速度を変化させた場合の5番目の基板ホルダの偏芯量の測定結果を示す。測定としては回転速度を変えて1つの基板ホルダのみを測定した結果である。図を見てわかるように回転速度を変化させても偏芯量は変わらないことがわかる。つまり、偏芯測定時の回転速度は装置内での許容回転速度内であればいずれの回転速度で行っても良い。
【0027】
図9に基板ホルダ9の中のNo.10番目の基板ホルダを基準にして、実際に偏芯制御装置10によって修正した基板ホルダの距離のバラツキである偏芯量と半値波長を示す。図9(a)に示す偏芯量とは、後述の実施例と異なり、特定の基板ホルダNo.10のターゲット7との距離を基準として他の基板ホルダの距離のバラツキを示すものである。偏芯量はP−Pで2000umから100um以下まで修正されており、半値波長もP−Pで4nmから1nm以下と改善されていることがわかる。このようにT/S距離を変化させることで、半値波長がP−Pで約4nmであった特性分布をP−Pで約1nmにまで改善することができた。
【0028】
このようにして、スパッタ成膜前に基板ホルダ毎のT/S距離を制御するので、基板上の光学特性分布を均一にすることができる。なお、本発明の実施の形態は例示であり、基板サイズ、ターゲット材に応じて、好適なT/S距離の設定を行うことができる。
【実施例2】
【0029】
図10は、本発明の実施例2における偏芯制御装置10の偏芯修正機構を示す図である。図10に示すようにカルーセル21のカルーセル取り付け枠23によってすべての基板ホルダ22が一体的に格納される構成をしており、すべての基板ホルダ22が偏芯制御装置10の制御により同時に動作するようになっている。そのカルーセル取り付け枠23に任意に決定される1番目の基板ホルダ9を0度として、基板ホルダ9をX方向に移動させるステッピングモータ24が設けられる。90度の位置に真空用ステッピングモータ25が設けられ、この真空用ステッピングモータ24、25を動作させることで、カルーセル取り付け枠23をX方向及びY方向に、即ち、四方に移動させることで基板ホルダ22も移動し、T/S距離を変化させることができる。この真空用ステッピングモータ24、25はカルーセル21上板にパターニングされた配線26と繋がっており、この配線26のもう一方の端子部は回転軸の真上に位置するスパッタ室内の回転支え軸28にパターニングされた配線27に繋がっている。このように実施例1の構成と異なるところは、実施例1では偏芯制御装置10においてすべての基板ホルダ9がそれぞれに対応した真空用ステッピングモータを動作することで基板ホルダ一つ一つを動かしているのに対して、本実施の形態では、カルーセル取り付け枠23を動かすことですべての基板ホルダ22が一体となって動く点である。
【0030】
図11に、例えばカルーセルはφ960mm、基板ホルダとしては正24角形筒の多角形筒でサイズはW:250mm×H:550mmを使用した際の偏芯量測定結果を示す。偏芯測定時のカルーセルの回転速度としては7rpmで行った。図を見て分かるようにカルーセル21の中心軸29が回転軸30の中心一致しておらず、ズレていることがわかる。この中心軸29のズレを考慮して偏芯制御装置10で修正する。その方法としては、偏芯量測定結果から偏芯量の中心61の位置(X方向とY方向の座標)を算出して制御信号とし、X方向には0度の位置に取り付けられている真空用ステッピングモータ24で移動させ、Y方向には90度の位置に取り付けられている真空用ステッピングモータ25で移動させ、回転軸30の中心とこの偏芯量の中心61を一致するようにカルーセル取り付け枠21を移動させる。図12に実際に偏芯修正動作後の偏芯量を示す。図を見て分かるに偏芯量がほぼゼロとかなり改善していることがわかる。この結果、光学特性も良好になる。
【実施例3】
【0031】
図13は、本発明の実施例3における偏芯制御装置10の偏芯修正機構を示す図である。図13に示すようにカルーセル31の上板に各基板ホルダ32に対応して穴33が形成されており、その穴33にはバランス補正用のおもり34が取り付けられるようになっている。偏芯測定機構によって各基板ホルダ9の偏芯量を検出した後にカルーセルの中心軸35を求め、スパッタ装置の回転軸36とのズレを求める。そして、そのズレがスパッタ装置の回転軸36より1番目の基板ホルダ32をX正方向として、1番目の基板ホルダ32から半時計方向に90度の基板ホルダ37をY正方向として、どの方向にどの程度生じているか中心軸35の位置(X方向位置とY方向位置の座標位置=X、Y)を導出する。
【0032】
次に、図14、図15を用いて、その補正方法について説明する。遠心力 F=m×r×ω2より、カルーセルに働く遠心力F1は、m1をカルーセルの質量、r1はカルーセルの半径、ωを角速度、(X、Y)は、X方向位置、Y方向位置とすると、以下の(数1)のように表現できる。
【0033】
【数1】
【0034】
偏芯量を補正するためには、このカルーセルに偏芯によって働く遠心力F1とは逆方向に遠心力F2を発生させてやれば良い。
遠心力F2は、F2=(m1+Δm)×r1×ω2となり、ここで、Δmはバランス補正用のおもり34である。
【0035】
F1=F2の条件を成立すればよいので、Δmは、以下の(数2)となるように設定すればよい。
【0036】
【数2】
【0037】
つまり、中心軸35の位置から−X方向、−Y方向の位置に相当する穴にΔmのバラン
ス補正用のおもり34を取り付けることで、中心軸35と回転軸36を一致させることができ、偏芯量の低減を行うことができる。バランスの取り付け方法としては、真空チャンバー59内のスパッタ電子の影響を受けない領域におもり収納室53が設置されている。即ち、ターゲット51、52と離れた位置、図15においては、ターゲット51、52の配置されない側に配置される。おもり収納室53にはバランス補正用のおもり34の搬入、搬出を行うための扉54が備えられている。カルーセル31へのバランス補正用のおもり34の取り付けは、おもり搬送機構56によって行われる。
【0038】
このように実施例1の構成と異なるところは、実施例1では偏芯制御装置10で基板ホルダを直接動作させて、T/S距離を変化させているのに対して、本実施の形態では、基板ホルダを動かさずにカルーセルの重量バランスをバランス補正用のおもり34によって変化させ、カルーセルの中心軸35とスパッタ装置の回転軸36とを一致させる点である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかるスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法は、ターゲットと基板間の距離の調整を行うことで、偏芯による光学特性の面内バラツキを抑制し、このような均一な特性分布を持つ薄膜を有する基板を用いる映像機器等の光学フィルタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1におけるスパッタ成膜装置の構成を模式的に示す上面図
【図2】本発明の実施例1におけるカルーセル及び基板ホルダの構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施例1におけるスパッタ成膜装置の構成の一部を説明する図
【図4】本発明の実施例1における偏芯修正機構を示す図
【図5】本発明の実施例1における偏芯制御方法を示すフローチャート
【図6】本発明の実施例1における偏芯制御をしない場合の各基板ホルダ偏芯量および各基板の光学特性として半値波長の変化を示す図
【図7】本発明の実施例1における偏芯量と半値波長の関係を示す図
【図8】本発明の実施例1におけるカルーセルの回転速度と偏芯量を示す図
【図9】本発明の実施例1における偏芯制御を行った場合の各基板ホルダ偏芯量および各基板の光学特性として半値波長の変化を示す図
【図10】本発明の実施例2における偏芯制御装置を説明するための図
【図11】本発明の実施例2における偏芯測定量を示す図
【図12】本発明の実施例2における偏芯修正後の偏芯量を示す図
【図13】本発明の実施例3における偏芯修正機構を示す図
【図14】本発明の実施例3における偏芯制御装置を説明するための図
【図15】本発明の実施例3における偏芯制御を説明するための図
【符号の説明】
【0041】
1、21、31 カルーセル
2 真空室
3 スパッタ室
4、54 扉
5 ゲートバルブ
6 回転機構
7、8、51、52 ターゲット
9、22、32、37 基板ホルダ
10 偏芯制御機構
11 基板
12、29、35 中心軸
13、30、36 回転軸
14 T/S間距離
15 光マイクロセンサ
16、24、25 真空用ステッピングモータ
17、19、26、27 配線
18、28 回転支え軸
23 カルーセル取り付け枠
33 穴
34 バランス補正用のおもり
38、39 遠心力
41 センシング領域
53 おもり収納室
61 偏芯量の中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクター等に用いられる光学多層膜をスパッタ方式により成膜する場合の、スパッタ方式による光学多層膜の成膜装置及びスパッタ成膜方法に関するものであり、特に、カルーセル型スパッタ成膜装置のような回転式スパッタ成膜装置において成膜された光学多層膜の光学特性の安定性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学多層膜は基板上に高屈折率と低屈折率の2種類の膜の交互積層膜あるいは3種類以上の膜の積層膜で構成されている。そして、これら各層の膜厚が光学特性を決定する最も重要な要素であり、この膜厚をより正確に制御することが成膜装置では重要な事項である。現在この光学多層膜では膜厚の誤差は数%以下から厳しい仕様では1%以下に抑えることが必要とされている。そのため成膜レートの安定性が確保されなければ、透過率、透過帯の半値波長等の要求光学特性を得られない。更に、量産機で連続成膜を行うためには、前記安定性が確保できなければ、ロット間の再現性が得られない。
【0003】
従来、光学多層膜の成膜には、真空蒸着法を利用するのが一般的であったが、付着粒子の運動エネルギーが非常に低いため、近年は緻密な微細構造を持ち、波長シフトのない薄膜を成膜するには、基板加熱やイオンアシスト蒸着法やイオンプレーティング法のようにイオンのプラズマアシストによって付着粒子にエネルギーを与えるようなPassive Energeticプロセスやスパッタ方式等が提案されている。また、スパッタ方式による成膜技術では、安定したプラズマの発生により高い再現性が得られ、特に膜厚モニタを設置せずとも、予め設定した成膜レートに従って所定の膜厚を成膜するのに必要な時間を算定して制御することで成膜中の各層の膜厚制御精度がますます良くなっている。従ってスパッタ方式における成膜レートは、真空蒸着法に比べると極めて安定しており、膜厚の制御は、水晶式膜厚計や光学式膜厚計等を使用しなくても時間管理の制御が可能であるという利点がある。
【0004】
特にスパッタ方式の中でも大面積成膜が可能なカルーセル型の回転スパッタ方式による成膜技術および成膜装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。カルーセルと言われる回転ドラムを搭載したスパッタ成膜装置では、このカルーセルを回転させながら、金属ターゲット材及びこれとは別の金属ターゲット材を交互に放電させ、反応性スパッタもしくは酸化アシストプロセスにより光学多層膜を形成する方法が取られている。
【特許文献1】特開平8−176821号公報
【特許文献2】特開2003−27226号公報
【特許文献3】特開昭62−284076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カルーセル型の回転スパッタ方式は、大面積の基板、又は多数の基板への成膜が可能であるが、光学特性の面内バラツキの制御が非常に困難であるといった課題がある。その面内バラツキの要因としては、基板縦方向、基板横方向、基板ホルダ間、ロット間バラツキが挙げられる。
【0006】
基板縦方向の膜厚調整は、基板とターゲット間に膜厚補正板を儲けることで、ターゲットからスパッタされて基板方向へ飛散する粒子の一部を遮ることができるため、この補正板の形状を調整することにより膜厚分布を均一に補正することや場所により膜厚を変える所望の不均一膜にすることを可能にすることができる。また、基板横方向の膜厚バラツキとしては、基板の中央部周辺と基板の両端部ではプラズマの密度が違いによるスパッタ原子の付着確率の違いから生じるためにスパッタ条件の最適化、またはカルーセルの回転速度の調整により付着確率の均一化を可能することができる。基板ホルダ間においては、カルーセルの調整による取り組み、ロット間の膜厚調整においては、成膜結果をフィードバックする取り組みでそれぞれ安定化を図っている。
【0007】
しかしながら、現在この光学多層膜では益々厳しい光学仕様が必要とされており、上記の取り組みのみでは現行の面内バラツキ特性を実現するのが非常に困難になっており、中でも特に基板ホルダ間の取り組みのような機械的な寸法調整には限界がきている。現にカルーセルの回転軸と装置本体の軸受けの非常に微小な偏芯が光学特性のバラツキに影響を及ぼすといった問題が浮上してきている。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、この基板ホルダ間の膜厚分布を均一にすることができるスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のスパッタ成膜装置は、チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットと、前記基板ホルダが前記ターゲットと正面に対向した位置の前記ターゲットと基板との距離を測定して前記回転ドラムの偏芯量を測定し各基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置と、を備え、前記偏芯制御装置からの出力により基板ホルダとターゲット間の距離を修正することを特徴としたものである。
【0010】
また本発明のスパッタ成膜方法は、チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜方法において、前記基板と前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットとの距離を測定する工程、前記測定量に基づいて基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する工程と、を備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法によれば、基板ホルダとターゲットとの間の距離を制御し、ターゲットと基板ホルダに格納される基板間の距離の調整を行うことで、カルーセルの回転軸と装置本体の軸受けの偏芯による光学特性のバラツキを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明のスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明にかかるスパッタ成膜装置の構成を模式的に示す断面図で、上から見た断面図である。図2は、本発明にかかるスパッタ成膜装置に用いられるカルーセル1及び基板ホルダ9の構成を示す斜視図である。図1のスパッタ成膜装置はカルーセルといわれるドラム状の治具1を出し入れする真空室2とスパッタ成膜処理をするチャンバであるスパッタ室3とで構成されたロードロック式スパッタ成膜装置である。真空室2とスパッタ室3は連結されており、真空室2には、カルーセル1の搬入、搬出を行うための扉4が備えられている。また、真空室2とチャンバであるスパッタ室3の間には、各々の部屋を独立して真空化するためにゲートバルブ5が備えられている。カルーセル1は、搬送機構によって、真空室2からチャンバであるスパッタ室3、もしくはスパッタ室3から真空室2へ搬送される。また、カルーセル1は、スパッタ室3内に設置されている回転機構6によって、回転することが出来、スパッタ室の側面に対向して備え付けている2つのターゲット7、8によって、このスパッタ室3内においてカルーセル1上の複数の基板ホルダ9に備えられている基板11上にスパッタ成膜をすることができる。
【0014】
図1、図2に示すように、一実施態様として、カルーセル1に24個の基板ホルダ9を取り付け、正24面体を構成し、それぞれの基板ホルダ9には、3個の基板を格納している。
【0015】
スパッタガスには例えばアルゴン、反応ガスには例えば酸素を一定の圧力になるようにガスを流しながら保ち、Aターゲット7(ここではSi)を保持するスパッタカソード(図示せず)に外部から電力を印加することで反応性スパッタ状態の中をカルーセル1が回転機構6により回転することで、カルーセル1上の基板11上に反応性スパッタ法によってSiO2膜が形成される。次に同様にもう一方のBターゲット8(ここではNb)を保持するスパッタカソード(図示せず)にも電力を印加することでカルーセル1上の基板11に反応性スパッタ法によってNbO5膜が形成される。このような繰り返しによってSiO2とNb2O5の多層膜が基板11上に形成される。なお、ターゲット7の材質はSi、ターゲット8の材質にはNbを用いているが、他にもTi、Ta、Zrやその酸化物、窒化物、炭化物など様々な材質をターゲットに用いることが出来る。ターゲットの数は1つでもよく、3以上であってもよい。その他、このスパッタ装置には偏芯制御機構10が備え付けてられている。
【0016】
図2に示されるように、カルーセル1は円筒状に形成されており、そのカルーセルの外周には基板ホルダ9が取り付けられている。そしてカルーセル1の外周に設けられた基板ホルダ9の外周の各側面には、基板11が配列されている。このカルーセル1の中心軸12とスパッタ室3内の回転軸13とは鉛直方向にのびるスパッタ室3内の中心線と一致するように回転可能に設けられている。基板ホルダ9は、正24角形筒等の多角形筒状に形成され、このカルーセル1をスパッタ室3内で回転させることにより、基板ホルダ9および基板11が回転軸13を中心に回転し、スパッタ室3内のターゲット7、8の前を順次通過するようになっている。なお、基板ホルダ11は正24面体に限定されるものではなく、基板11の形状、大きさなどにより他の多面体でも良い。基板に関しても基板ホルダ内に格納されれば、いかなる形状、サイズも問題はない。
【0017】
偏芯制御機構10としては、偏芯測定機構と偏芯修正機構で構成されている。これは、回転軸13に取り付けられたカルーセル1において、回転軸13とカルーセル1の中心軸12の寸法公差、ならびに取り付け公差から生じてしまう回転時のカルーセル1のブレ、つまり偏芯を制御する機能を備えている。偏芯が生じてしまうと各基板ホルダ9がターゲット7の正面に位置した時の基板11との距離(以下、T/S間距離14とする)が基板ホルダ9毎に異なってしまい、基板11上に成膜される材料の膜厚が異なってしまうので制御することが必要である。
【0018】
以下に、偏芯制御装置10の機能について図に基づいて説明する。図3は、本発明にかかるスパッタ成膜装置の構成の一部を説明する図であって、図3(a)は基板ホルダAがスパッタ成膜されている様子を模式的に示す断面図であり、図3(b)は基板ホルダBがスパッタ成膜されている様子を模式的に示す断面図である。図3において、偏芯が生じているとカルーセル1の回転軸13とカルーセルの中心軸12は一致していない。したがってターゲット7と基板ホルダA間の距離T1とターゲット7と基板ホルダB間の距離T2との関係がT1>T2、もしくはT1<T2となってしまう。図3においてはT1<T2となっている。同様にその他の基板ホルダ9においてもT/S間距離14がカルーセル1の回転に応じて変化する。T/S間距離14が短くなると、スパッタ電子の付着確率が大きくなり、基板11上の膜厚も厚くなってしまい、その結果、光学薄膜の光学特性も長波長側にシフトしてしまい、各基板ホルダ9の光学特性にも差が出てきてしまうことがわかる。
【0019】
本発明にかかるスパッタ成膜装置の偏芯制御装置10は、T/S距離14による光学薄膜の光学特性を均一にするために、スパッタ成膜前にT/S距離14をスパッタ室3内で測定する機構を備えている。測定方法としては、スパッタ室3内に取り付けられた光マイクロセンサ15によってカルーセル1が回転軸13に取り付けられた状態で回転動作を行い、T/S距離14を測定している。光マイクロセンサ15は、基板ホルダ9の中心軸12に対して垂直方向に取り付けられており、スパッタ電子の影響を受けない領域に設置されている。即ち、ターゲット7、8と離れた位置、図1においては、ターゲット7、8の配置されない側に配置される。なお、この光マイクロセンサ15の基板ホルダ9上のセンシング領域41、つまりターゲット7、8と対向している基板ホルダ9の上部面は高平坦化処理、もしくは鏡面処理等を施している方が高精度な測定をするためには適している。なお、T/S距離14の測定には光マイクロセンサ15を用いているが、他の磁気センサ等の非接触式による距離測定装置、ならびにタッチプローブのような接触式の距離測定装置を用いることもできる。
【0020】
次に、偏芯制御装置10の偏芯修正機構に関して説明する。偏芯制御装置10の偏芯修正機構とは、偏芯量つまりT/S距離14を測定した後に各基板ホルダ9間の距離を修正する機構のことである。図4に示すように各基板ホルダ9に取り付けられた真空用ステッピングモータ16を動作させることで各基板ホルダ9とターゲット7面に対する距離を制御して、T/S距離14を変化させることができる。この真空用ステッピングモータ16はカルーセル1上板にパターニングされた配線17と繋がっており、この配線のもう一方の端子部は回転軸の真上に位置するスパッタ室内の回転支え軸18にパターニングされた配線19に繋がっている。実際に基板ホルダ9毎にT/S距離14を変化させるには、偏芯制御装置10の偏芯測定機構で基板ホルダ9毎のT/S距離14を検出した後、各真空用ステップモータ16に外部からプログラムによって修正偏芯量を偏芯制御装置10内の制御部(図示せず)に伝達し、ステッピングモータを修正偏芯量に基づいて駆動することによって行われる。
【0021】
実際の偏芯制御方法を図5に示すフローチャートで説明する。まず、カルーセル1に基板ホルダ9および基板11をセットする。次にカルーセル1を真空室2に搬入し、扉を閉めて真空排気を行う。真空室2が所定の真空度まで排気した後に、ゲートバルブ5を開放し、カルーセル1を搬送機構によってスパッタ室3に搬入する。そして、ゲートバルブ5を閉じ、所定真空度まで真空排気を行う。この真空排気の間にカルーセル1を回転させ、偏芯制御装置10により偏芯測定を行う。その偏芯測定結果に応じて、真空用ステッピングモータ16を用いて偏芯量の修正を行う。その後、スパッタ室が所定真空度に排気されるとスパッタ成膜が開始し、光学多層膜が形成される。
【0022】
ここで、例えば、カルーセルはφ960mm、基板ホルダとしては正24角形筒の多角形筒でサイズはW:250mm×H:550mm、基板はW:100mm×H:100mmが縦方向に3枚格納されているものを用いて、24層のLWPFをスパッタ成膜行い、偏芯測定時のカルーセルの回転速度としては7rpm、スパッタ成膜時の回転速度としては100rpmで行った。図6に偏芯制御をしない場合の光マイクロセンサ15で測定した各基板ホルダ偏芯量、および成膜後の各基板の光学特性として半値波長の変化をそれぞれ示す。
【0023】
成膜後の基板11の透過光量を測定し、透過光量が半分に低下する波長が半値波長である。図6(a)は、24個の基板ホルダ11に任意のホルダから順次番号を付し、10番目の基板ホルダ11を偏芯量の測定の基準として測定したものであり、図6(b)は、成膜後の基板の半値波長の測定例を示すものである。
【0024】
光学特性としては、各基板ホルダに格納されている3枚の基板のうちの真ん中に位置する1枚のみの測定結果を示している。図を見てわかるように回転方向にSINカーブのような特性を示し、P−Pで約2000umのT/S距離の差、P−Pで約4nmの半値波長の特性バラツキが見られている。このように回転方向にSINカーブのような傾向を示していることからも回転の軸ズレによる偏芯が見られていることがわかる。
【0025】
また、図6の結果より図7に偏芯量と半値波長の関係を示す。偏芯量と半値波長では直線上の比例関係があり、偏芯量を減少させることで半値波長のバラツキを減少させることが可能であることがわかる。
【0026】
次に図8にカルーセルの回転速度を変化させた場合の5番目の基板ホルダの偏芯量の測定結果を示す。測定としては回転速度を変えて1つの基板ホルダのみを測定した結果である。図を見てわかるように回転速度を変化させても偏芯量は変わらないことがわかる。つまり、偏芯測定時の回転速度は装置内での許容回転速度内であればいずれの回転速度で行っても良い。
【0027】
図9に基板ホルダ9の中のNo.10番目の基板ホルダを基準にして、実際に偏芯制御装置10によって修正した基板ホルダの距離のバラツキである偏芯量と半値波長を示す。図9(a)に示す偏芯量とは、後述の実施例と異なり、特定の基板ホルダNo.10のターゲット7との距離を基準として他の基板ホルダの距離のバラツキを示すものである。偏芯量はP−Pで2000umから100um以下まで修正されており、半値波長もP−Pで4nmから1nm以下と改善されていることがわかる。このようにT/S距離を変化させることで、半値波長がP−Pで約4nmであった特性分布をP−Pで約1nmにまで改善することができた。
【0028】
このようにして、スパッタ成膜前に基板ホルダ毎のT/S距離を制御するので、基板上の光学特性分布を均一にすることができる。なお、本発明の実施の形態は例示であり、基板サイズ、ターゲット材に応じて、好適なT/S距離の設定を行うことができる。
【実施例2】
【0029】
図10は、本発明の実施例2における偏芯制御装置10の偏芯修正機構を示す図である。図10に示すようにカルーセル21のカルーセル取り付け枠23によってすべての基板ホルダ22が一体的に格納される構成をしており、すべての基板ホルダ22が偏芯制御装置10の制御により同時に動作するようになっている。そのカルーセル取り付け枠23に任意に決定される1番目の基板ホルダ9を0度として、基板ホルダ9をX方向に移動させるステッピングモータ24が設けられる。90度の位置に真空用ステッピングモータ25が設けられ、この真空用ステッピングモータ24、25を動作させることで、カルーセル取り付け枠23をX方向及びY方向に、即ち、四方に移動させることで基板ホルダ22も移動し、T/S距離を変化させることができる。この真空用ステッピングモータ24、25はカルーセル21上板にパターニングされた配線26と繋がっており、この配線26のもう一方の端子部は回転軸の真上に位置するスパッタ室内の回転支え軸28にパターニングされた配線27に繋がっている。このように実施例1の構成と異なるところは、実施例1では偏芯制御装置10においてすべての基板ホルダ9がそれぞれに対応した真空用ステッピングモータを動作することで基板ホルダ一つ一つを動かしているのに対して、本実施の形態では、カルーセル取り付け枠23を動かすことですべての基板ホルダ22が一体となって動く点である。
【0030】
図11に、例えばカルーセルはφ960mm、基板ホルダとしては正24角形筒の多角形筒でサイズはW:250mm×H:550mmを使用した際の偏芯量測定結果を示す。偏芯測定時のカルーセルの回転速度としては7rpmで行った。図を見て分かるようにカルーセル21の中心軸29が回転軸30の中心一致しておらず、ズレていることがわかる。この中心軸29のズレを考慮して偏芯制御装置10で修正する。その方法としては、偏芯量測定結果から偏芯量の中心61の位置(X方向とY方向の座標)を算出して制御信号とし、X方向には0度の位置に取り付けられている真空用ステッピングモータ24で移動させ、Y方向には90度の位置に取り付けられている真空用ステッピングモータ25で移動させ、回転軸30の中心とこの偏芯量の中心61を一致するようにカルーセル取り付け枠21を移動させる。図12に実際に偏芯修正動作後の偏芯量を示す。図を見て分かるに偏芯量がほぼゼロとかなり改善していることがわかる。この結果、光学特性も良好になる。
【実施例3】
【0031】
図13は、本発明の実施例3における偏芯制御装置10の偏芯修正機構を示す図である。図13に示すようにカルーセル31の上板に各基板ホルダ32に対応して穴33が形成されており、その穴33にはバランス補正用のおもり34が取り付けられるようになっている。偏芯測定機構によって各基板ホルダ9の偏芯量を検出した後にカルーセルの中心軸35を求め、スパッタ装置の回転軸36とのズレを求める。そして、そのズレがスパッタ装置の回転軸36より1番目の基板ホルダ32をX正方向として、1番目の基板ホルダ32から半時計方向に90度の基板ホルダ37をY正方向として、どの方向にどの程度生じているか中心軸35の位置(X方向位置とY方向位置の座標位置=X、Y)を導出する。
【0032】
次に、図14、図15を用いて、その補正方法について説明する。遠心力 F=m×r×ω2より、カルーセルに働く遠心力F1は、m1をカルーセルの質量、r1はカルーセルの半径、ωを角速度、(X、Y)は、X方向位置、Y方向位置とすると、以下の(数1)のように表現できる。
【0033】
【数1】
【0034】
偏芯量を補正するためには、このカルーセルに偏芯によって働く遠心力F1とは逆方向に遠心力F2を発生させてやれば良い。
遠心力F2は、F2=(m1+Δm)×r1×ω2となり、ここで、Δmはバランス補正用のおもり34である。
【0035】
F1=F2の条件を成立すればよいので、Δmは、以下の(数2)となるように設定すればよい。
【0036】
【数2】
【0037】
つまり、中心軸35の位置から−X方向、−Y方向の位置に相当する穴にΔmのバラン
ス補正用のおもり34を取り付けることで、中心軸35と回転軸36を一致させることができ、偏芯量の低減を行うことができる。バランスの取り付け方法としては、真空チャンバー59内のスパッタ電子の影響を受けない領域におもり収納室53が設置されている。即ち、ターゲット51、52と離れた位置、図15においては、ターゲット51、52の配置されない側に配置される。おもり収納室53にはバランス補正用のおもり34の搬入、搬出を行うための扉54が備えられている。カルーセル31へのバランス補正用のおもり34の取り付けは、おもり搬送機構56によって行われる。
【0038】
このように実施例1の構成と異なるところは、実施例1では偏芯制御装置10で基板ホルダを直接動作させて、T/S距離を変化させているのに対して、本実施の形態では、基板ホルダを動かさずにカルーセルの重量バランスをバランス補正用のおもり34によって変化させ、カルーセルの中心軸35とスパッタ装置の回転軸36とを一致させる点である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかるスパッタ成膜装置及びスパッタ成膜方法は、ターゲットと基板間の距離の調整を行うことで、偏芯による光学特性の面内バラツキを抑制し、このような均一な特性分布を持つ薄膜を有する基板を用いる映像機器等の光学フィルタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1におけるスパッタ成膜装置の構成を模式的に示す上面図
【図2】本発明の実施例1におけるカルーセル及び基板ホルダの構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施例1におけるスパッタ成膜装置の構成の一部を説明する図
【図4】本発明の実施例1における偏芯修正機構を示す図
【図5】本発明の実施例1における偏芯制御方法を示すフローチャート
【図6】本発明の実施例1における偏芯制御をしない場合の各基板ホルダ偏芯量および各基板の光学特性として半値波長の変化を示す図
【図7】本発明の実施例1における偏芯量と半値波長の関係を示す図
【図8】本発明の実施例1におけるカルーセルの回転速度と偏芯量を示す図
【図9】本発明の実施例1における偏芯制御を行った場合の各基板ホルダ偏芯量および各基板の光学特性として半値波長の変化を示す図
【図10】本発明の実施例2における偏芯制御装置を説明するための図
【図11】本発明の実施例2における偏芯測定量を示す図
【図12】本発明の実施例2における偏芯修正後の偏芯量を示す図
【図13】本発明の実施例3における偏芯修正機構を示す図
【図14】本発明の実施例3における偏芯制御装置を説明するための図
【図15】本発明の実施例3における偏芯制御を説明するための図
【符号の説明】
【0041】
1、21、31 カルーセル
2 真空室
3 スパッタ室
4、54 扉
5 ゲートバルブ
6 回転機構
7、8、51、52 ターゲット
9、22、32、37 基板ホルダ
10 偏芯制御機構
11 基板
12、29、35 中心軸
13、30、36 回転軸
14 T/S間距離
15 光マイクロセンサ
16、24、25 真空用ステッピングモータ
17、19、26、27 配線
18、28 回転支え軸
23 カルーセル取り付け枠
33 穴
34 バランス補正用のおもり
38、39 遠心力
41 センシング領域
53 おもり収納室
61 偏芯量の中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、
前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットと、
前記基板ホルダが前記ターゲットと正面に対向した位置の前記ターゲットと基板との距離を測定して前記回転ドラムの偏芯量を測定し各基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置と、を備え、
前記偏芯制御装置からの出力により基板ホルダとターゲット間の距離を修正することを特徴とするスパッタ成膜装置。
【請求項2】
前記偏芯制御装置内の非接触型センサを用いて前記ターゲットと各基板との距離を測定し、当該測定信号に基づき生成される制御信号により前記基板ホルダをそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項3】
前記偏芯制御装置内の非接触型センサを用いて前記ターゲットと基準となる基板との距離を測定し、当該測定信号に基づき生成されるX方向制御信号とY方向制御信号により前記基板ホルダを一体的にX方向とY方向に位置制御するステッピングモータとを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項4】
前記偏芯制御装置により前記カルーセルの中心軸を算出し、
前記カルーセルの中心軸が前記チャンバーの回転軸の中心軸と一致するように前記基板ホルダを一体的にX方向とY方向に位置制御することを特徴とする請求項3に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項5】
前記カルーセルの上板に各基板ホルダに対応して所定の重さのおもりを取り付けるための穴を有し、
前記偏芯制御装置により前記カルーセルの中心軸を算出し、
前記カルーセルの中心軸が前記チャンバーの回転軸の中心軸と一致するように前記カルーセル上の穴に前記重りを取り付けて前記カルーセルの重量バランスを制御することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項6】
チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜方法において、
前記基板と前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットとの距離を測定する工程、
前記測定量に基づいて基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する工程と、を備えることを特徴とするスパッタ成膜方法。
【請求項7】
前記基板ホルダを位置制御するステッピングモータにより前記ターゲットとの間の距離を制御する特徴とする請求項6に記載のスパッタ成膜方法。
【請求項1】
チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜装置において、
前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットと、
前記基板ホルダが前記ターゲットと正面に対向した位置の前記ターゲットと基板との距離を測定して前記回転ドラムの偏芯量を測定し各基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する偏芯制御装置と、を備え、
前記偏芯制御装置からの出力により基板ホルダとターゲット間の距離を修正することを特徴とするスパッタ成膜装置。
【請求項2】
前記偏芯制御装置内の非接触型センサを用いて前記ターゲットと各基板との距離を測定し、当該測定信号に基づき生成される制御信号により前記基板ホルダをそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項3】
前記偏芯制御装置内の非接触型センサを用いて前記ターゲットと基準となる基板との距離を測定し、当該測定信号に基づき生成されるX方向制御信号とY方向制御信号により前記基板ホルダを一体的にX方向とY方向に位置制御するステッピングモータとを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項4】
前記偏芯制御装置により前記カルーセルの中心軸を算出し、
前記カルーセルの中心軸が前記チャンバーの回転軸の中心軸と一致するように前記基板ホルダを一体的にX方向とY方向に位置制御することを特徴とする請求項3に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項5】
前記カルーセルの上板に各基板ホルダに対応して所定の重さのおもりを取り付けるための穴を有し、
前記偏芯制御装置により前記カルーセルの中心軸を算出し、
前記カルーセルの中心軸が前記チャンバーの回転軸の中心軸と一致するように前記カルーセル上の穴に前記重りを取り付けて前記カルーセルの重量バランスを制御することを特徴とする請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項6】
チャンバー内に円筒状または多角形状のドラムが回転可能に設けられ、該ドラムの外周面上に基板が格納される基板ホルダが取り付けられ、前記ドラムが垂直な回転軸の周りを回転しながら前記基板に成膜するカルーセル型のスパッタ成膜方法において、
前記基板と前記チャンバーの内壁に設けられ前記基板に成膜するターゲットとの距離を測定する工程、
前記測定量に基づいて基板ホルダと前記ターゲットとの間の距離を制御する工程と、を備えることを特徴とするスパッタ成膜方法。
【請求項7】
前記基板ホルダを位置制御するステッピングモータにより前記ターゲットとの間の距離を制御する特徴とする請求項6に記載のスパッタ成膜方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−95158(P2008−95158A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280060(P2006−280060)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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