説明

スピニング機の金型交換装置及び該装置を備えたスピニング機

【課題】立形スピニング機の金型交換作業の時間短縮と安全性を確保する金型交換装置を提供すること。
【解決手段】立形スピニング機の本体の一部にスピニング機主軸と平行な方向に移動と回転可能な駆動部材を設け、該駆動部材に2段又は1段のスイングアームとスイングアームの端部に金型受台を取着して、金型をスピニング機の主軸上に搬入/搬出する。前記駆動部材として、ピストン軸に嵌合して回転及び摺動可能な油圧/空圧シリンダーを用いるか、ボールネジとそれに係合するナット筺を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造又は鋳造製の車両用軽合金製ホイールのスピニング加工(フローフォーミング)に使用されるスピニング機の金型交換を迅速且つ安全に行うための金型交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用軽合金製ホイールのスピニング機に使用される金型は、17″径のホイールでも上下又は左右金型セットで300kg余りになり最近はホイールの大型化に伴い金型重量も増加傾向にある。図12に示すように、従来の立形スピニング機109の場合は、ローラを備えた金型台102に金型101a、101bを載せ、金型台を運搬する車輪108を備えた金型交換台車105を、スピニング機の正面の床に取付けたレール107上を所定の位置まで走行させ、その後金型台102を移動させてスピニング機の主軸110上に前記金型を運び、金型交換台車上のガイドレール103の高さを調整する昇降装置106により高さを調整して、スピニング機の主軸に金型を取付けている。従って装置全体の占める床面積はかなり広くなるとともに交換作業は画一的であり、例えばガイドレール方向の金型位置調整は可能であるが、その左右方向への位置調整は難しいなど融通性の乏しい構成である。金型交換装置に関する先行技術としては次の特許文献が挙げられる。
【特許文献1】特開平3−52727号公報
【特許文献2】特開平7−237269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、金型交換台車は金型をスピニング機主軸に取り付ける際偏荷重が発生し台車が転倒する危険性があり、それを防止するために、必然的に重くなりまた大型にもなり、保管場所スペースがかなり必要で、更に重い台車の移動にも時間を要している。また金型台を支承するガイドローラとガイドレールの組み合わせは精密さを欠き、金型中心をスピニング機主軸中心に合致させるのに時間を要し、結果的に上下型の取り替えに30分ぐらいの時間かかっていた。本発明ではこのような台車収納のスペースの問題、交換装置の精度の問題、更に長い金型交換時間の問題の解消が課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の金型交換装置は、立形スピニング機の金型交換装置であり、該スピニング機の主軸に対して平行方向に移動可能な駆動部材と、該駆動部材に軸支された回動可能な1又は2段のスイングアームと、該スイングアームの端部に設けた金型受台とから成り、前記駆動部材の固定側を前記スピニング機本体の一部に固定し、前記金型受台に載せた金型を前記スピニング機の主軸位置と該機の機外位置の間の上下左右及び奥行きなどの立体的位置に自在に搬送(搬入・搬出)することを特徴としており、金型交換装置がスピニング機の本体に固定されたことで重量の大きい金型を搬送する際に傾きが生じず、位置決めが容易となる。固定されたピストン軸に嵌合するシリンダー自体が回転と上下移動を行うようになっており、装置全体の専有面積を小さくすることができる。
【0005】
また、前記シリンダーにコンパクトに支承した2段又は1段の回動可能なスイングアームを設けて、このスイングアーム全体を昇降できる構造とし、更に金型受台部には金型を自由に回転できるようにする。スイングアームは1段でも実用上大きな支障はないが、金型の中心を容易にスピニング機の主軸中心に合致させるためには2段とした方がよい。このように金型を平面及び立体的に移動可能とすることにより、正確にスピニング機軸上に運搬でき、更に金型自体が自由に回転できるので、金型クランパーのボルト孔とスピニング機主軸側のボルトとの位置合わせが容易で迅速な作業が可能となる。また、本発明では通常運転時にはスピニングアームを、スピニング機本体のフレームに密接してコンパクトに収納できるのでスペースも大幅にセーブできる。
【0006】
請求項2の発明は、金型交換装置の具体的な構成であり、各要素の形状は特に限定されないが、一例として図3及び4を参照して説明すると、スピニング機本体1に第1支点ブラケット8を固定し、該第1支点ブラケットに固定された第1支点軸10を中心として自在に回動するとともに摺動可能に油圧/空圧シリンダー12を設け、該油圧/空圧シリンダーに固定された第1スイングアーム14と、該第1スイングアームに設けたボールベアリング16a、16bを介して回動自在に軸支された第2支点軸15と、該第2支点軸に回動自在に軸支された第2スイングアーム17と、該第2スイングアームに設けた金型受台18に、下側金型4a及び/又は上側金型4bを保持して水平面内で回動させるベアリング、ローラ又は複数の自転するボールなどを用いた金型回転装置を備え、前記金型受台を用いて前記金型を支承し搬送することを特徴とする。第1支点軸はピストン軸であり、これに嵌合するシリンダーが回動と上下の移動が可能であるため、これに取着した第1スイングアームはピストン軸の回りに回動するから装置が簡略になる。金型受台18に載せた金型はスピニング機主軸に近接した位置で手動により回転微調整が可能となる。
【0007】
請求項3の発明は、同様に図3を参照すると前記金型受台18を備えた第2スイングアーム17が、前記油圧/空圧シリンダー12に対して、オフセットして取り付けられていることを特徴としており、オフセット位置は2箇所にあり、一つは前記シリンダーより高い位置にスイングアームがセットされていること、他の一つは第1支点軸10と第2スイングアームを軸支する第2支点軸15が軸間距離を有してセットされていることである。駆動部材としての油圧/空圧シリンダーと第1支点軸は、スピニング機の主軸に近い位置が好ましいが、スピニング機の主軸前面は開口され作業空間であり、前記駆動部材は本機の下方部分に取着する必要がある。金型を前記主軸に取着する高さは前記駆動部材より高い位置にあり、金型受台を備えた第2スイングアーム17は必然的に駆動部材より高い位置でスイングさせることで駆動部材の移動距離を少なくする利点が生じる。また第2スイングアームを軸支する第2支点軸とシリンダーと嵌合する第1支点軸が軸間距離を有している点は、第2支点軸が人に例えると腕の関節に相当し駆動部材の軸心とスピニング機の主軸軸心の平行距離を自在に調整できる利点を有している。
【0008】
請求項4の発明は、前記第1スイングアーム14を用いずに、前記第2スイングアーム17が第1支点軸10に嵌合された油圧/空圧シリンダー12に直接固定され、回動及び摺動自在に取り付けられていることを特徴としており、予め前記第2スイングアームの回転半径がスピニング機の主軸軸心上に位置するように設定して金型交換作業を簡素化する。金型は円運動と上下方向の移動が可能であり装置もより簡素なものとなる。
【0009】
請求項5の発明は、前記第1スイングアーム14を省くか、若しくは第2スイングアームを支持する部材を設けて第2支点軸を省き、前記第2スイングアーム17が第1支点軸10に嵌設された油圧/空圧シリンダー12に直接固定され、回動及び上下方向の移動が自在に取り付けられ、更に前記第2スイングアーム17の一部に摺動部を設けてアームの長さLを伸縮自在に構成したことを特徴としており、第1支点軸と金型の距離が自在に調節できるから、金型を回動するときの半径を小さくすることができ専有面積を削減することができる。
【0010】
請求項6の発明は、前記金型受台の一部を分離可能に構成し、金型受台を拡開して金型下方に挿置することを特徴としており、金型受台は金型の周囲全体を支持することができより安全な構成となる。スピニング機の主軸上で金型のパターンの位相を修正する場合、修正幅が大きくても金型を自在に回動させることができる。
【0011】
請求項7の発明は、前記駆動部材が、スピニング機の本体に固定された前記シリンダーと、これに嵌合して回転と摺動可能に軸支された第1支点軸から成り、該第一支点軸に1又は2段のスイングアームを取着したことを特徴としており、第2スイングアームのみを使用する場合には第1支点軸を延長するだけで第2スイングアームのオフセット位置を簡便にセットできる利点がある。装置は簡略になり専有面積も小さいものとなる。
【0012】
請求項8の発明は、電動機で回転するボールネジと該ボールネジに嵌合するボールネジナットを内包した筺体に前記スイングアームを取着し、電動機の回転により前記スイングアームをボールネジの軸方向に移動させることを特徴としており、前記筺体が油圧/空圧シリンダーの代わりに利用され、筺体のオフセット位置にスイングアームの支点軸を設ける。油圧/空圧を利用しないので装備が簡素化される。筺体はボールネジナットを収容する部分を円筒状若しくは半円筒状ににすることでスイングアームの回動範囲が広くとれる。ボールネジを停止させ同ナット部を回転させるとボールネジのリード角に相当する分だけスイングアームがネジ軸方向に移動するが、金型を主軸に取着するときにボールネジを回転させて高さの調整を行う。
【0013】
請求項8の発明は、金型交換装置を装備したので金型交換時間が短縮され、作業効率の良いスピニング機を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特に軽合金製ホイールを鍛造法により製作する際に、300kgを越える金型の交換が容易となり、作業者の安全と交換時間の短縮が可能であり、省スペース化が図られ工場のレイアウトに多大の貢献をもたらすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
立形スピニング機の本体壁面の一部に油圧/空圧による上下方向の駆動部若しくは電動機で駆動するボールネジとナットを用いた駆動部を固定し、該駆動部にスイングアームを配置してこれに金型を保持する金型受台を設けて、金型を立体的位置に搬送させ、金型交換工程の簡素化を実現した。以下に本発明の実施例を添付図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は立形スピニング機1の構成を説明する正面図であり、本発明の金型交換装置2はスピニング機主軸3の左側又は右側のフレームに取付けるが、本実施例では主軸に向かって左側に取付けている。取替えが必要な金型は、主軸に取着される下側金型4aと従動軸(上)の上側金型4bである。金型4aと4bを重ねて同時にスピニング機の主軸上から取出す方法と、金型4a、4bを1個ずつ取替える方法があるが、本発明には影響しない事項なので説明を省く。図2は本発明の金型交換装置2を取付けたスピニング機の平面図で、図1のA−A断面図である。本図では、スピニングローラ5a、5b、5cの3個のローラを備えたスピニング機を示しているが、ローラ本数と本発明とは無関係である。本図では金型交換装置2の第2スイングアーム6がスピニング機の主軸3の中心に置かれ、金型4a、4bが主軸3に移動される位置を示している。鎖線で描かれた第2スイングアーム6及び金型受台7は、本装置の待機又は金型の新旧積載位置を示す。勿論、この積載位置はこの位置に限定するものではなく、機外の第2スイングアーム6の軌跡内であればどこでも可能である。スピニング機主軸3から取外された金型は、スイングアーム6を機外にスイングして、しかる後にクレーン等(図示せず)で金型を上方に吊り上げて、金型受台7から排除し、次ぎに新しい金型をクレーン等で金型受台7に載せて、スイングアーム6をスイングさせてスピニング機内に移動させる。
【0017】
図3(a)は、本発明の一例を示す2段のスイングアームを備えた金型交換装置2の縦断面を示す説明図である。第1支点ブラケット8はスピニング機1に取付けボルト9で強固に固定されている。第1支点ブラケット8に第1支点軸10が固定され、その軸の両端には油圧/空圧管11a、11bが接続されている。第1支点軸10には油圧/空圧シリンダ12が第1支点軸を中心として回動及びその軸方向に摺動可能に組み付けられている。シリンダ12にはボルト13で第1スイングアーム14が固定されていて、このアームには更に第2支点軸15がボールベアリング16a、16bを介して回転自在に軸支されている。第2支点軸15の片側端部には第2スイングアーム17が固定され、このアームの先端には略半円環形状の金型受台18が一体に取り付けられていて、該金型受台には定位置で自転可能に構成されたボール19が挿入されていている。このボール上に金型4a、4bが載せられるので金型は手動で容易に回動させることができる。ボール19部分の鎖線で囲まれた部分を(b)図に拡大して示す。本実施例では自転可能なボールを用いているが、回転軸を設けたローラ、軸支されたボールベアリングなどが用いられ、低摩擦係数の樹脂板でもよい。金型を搬送する途中に於いて、金型受台18が略半円環状であるため、金型の落下を防止するために、ボルト29を用いて金型を仮止めするようにしている。
【0018】
図4は、図3に示す金型交換装置2の平面図であり、同じ符号を用いている。鎖線で図示した部分は第1及び第2スイングアームが回動した場合を示す。
【0019】
ここで油圧/空圧シリンダ12の構造について詳細を図5を用いて説明する。図5(a)図はシリンダーの断面を示し、第1支点軸10には油圧/空圧源(図示せず)から延びる油圧/空圧管11a、11bが接続され、これに通じる油圧/空圧路20a、20bが設けられている。ピストン21は第1支点軸10の中央に一体的に構成されその外周にはパッキン22が装着されている。同(a)図では油圧/空圧管11a側から加圧された油圧/空圧を供給し、シリンダー室12aを充満させることによりシリンダー12は図の右方向へ移動する。シリンダー室12b内の油/空気は油圧/空圧管11bを通じて前記油圧/空圧源のタンクに環流する。図5(b)図では、同(a)図の場合と逆の状態を示し、シリンダー室12bに加圧された油圧/空圧を供給しこれを充満させることでシリンダー12は図の左方向へ移動する。シリンダー室12aの油/空気は油圧/空圧管11aを通じて前記油圧/空圧源のタンクに環流する。このようにしてシリンダー12を第1支点軸10の軸方向の双方に移動させることができるようになっている。また油圧/空圧の流量をコントロールすることによりシリンダー12を任意の位置に止めることが可能で、該シリンダー12に連結される第1スイングアーム及び第2スイングアームとその端部に保持した金型4aと4bは第1支点軸10の任意の軸方向の位置に移動できることとなる。金型受台に金型が載せられたとき、シリンダー12には偏荷重がかかるので、該シリンダーの端部にはベアリングユニット28aと28bを取着し、偏荷重に耐えるようにしている。
【実施例2】
【0020】
金型交換装置の駆動部材として油圧/空圧を用いたシリンダーに代えて、電動機を用いた別の駆動部材の例を図6に一部を断面図で示す。減速モータ23に取付けられたボールネジ24にはボールネジナット25が係合されていて該ナット25はナットボックス26(筺体)に取付けられている。ボールネジ24の片側端部は減速モータに接続されボールベアリングで軸支されるが、他の側端部もまたボールベアリング26にて支承されていて、このベアリング26は第1支点ブラケット8と一体的に取付けられている軸受箱27に固定されている。ナットボックス26は前出の油圧/空圧シリンダ12に相当し、減速モータ23の回転方向及び回転数を制御することにより、図の左右の方向に任意の量だけ移動させられ、ナットボックス26に固定される第1スイングアーム14又は第2スイングアーム17は自在に回動することができる。第2スイングアームに取付けられた金型受台18がボールネジ24の軸方向に移動され、実際にはボールネジの軸心は鉛直方向に取着されるから水平方向にも回動可能となる。本実施例ではボールネジを使用した例を示したが、ボールネジの代わりに通常の送りネジでも勿論実施可能である。また、減速モータはブレーキ付きとするか、サーボモータを使用する方が高精度の位置決めに有利である。
【実施例3】
【0021】
前出の第2スイングアームを第1スイングアームで軸支する代わりに、アームの長さを可変にする構成を説明する。本実施例では油圧/空圧を用いたシリンダー12をスピニング機1の本体に固定し、第1支点軸10を軸方向に移動させる構成を用いている。図7(a)図は、本実施例の金型交換装置2aの平面図である。第1支点ブラケット8aはスピニング機1の本体に固定される。第1支点ブラケットにはシリンダー12が固定され、該シリンダーには第1支点軸10が軸方向に移動可能に軸支される。第1支点軸10にはスイングアーム30が固定され、その片側端部に摺動アーム31が嵌設され、該摺動アームの端部に金型受台18が取付けられる。該金型受台は前出のものと同じ構造であり、ボール19を備え金型の微動回転を容易に行える。金型受台18は軸方向に移動可能な第1支点軸10を中心として回動するとともに摺動アーム30はアームの長さLを自在に変更できるので、金型をスピニング機1の主軸上にセットすることが容易に行える。金型を搬送する途中で金型をボルト29で仮止めし落下を防止する。
【0022】
図7(a)図に於ける摺動アーム31の支持構造は、同(b)図のA−A断面図及び同(c)図のB−B断面図に示される。スイングアーム30の先端部には凹部32が設けられ蓋部材33はベアリング35の支持ボルト34及び他の固定ボルト(図示せず)によりスイングアーム30に固定される。35はボールベアリングであり、36はスライドベアリングである。37は蓋部材33をスイングアームに固定するボルトの挿入孔である。これらのベアリングで支持された摺動アーム31は手動でその長さLを調整することができ金型の位置を変更できる。
【0023】
図8は、図7(a)図の側面図であり、金型4aをスピニング機1の主軸3に装着する様子を示している。符号は同(a)図の説明に用いた番号を用いている。
【実施例4】
【0024】
本実施例では実施例1に示した第1スイングアームを用いずに第2スイングアームのみを利用する構成を説明する。図9は金型交換装置2bの平面図を示す。第1支点ブラケット8aはスピニング機1の本体に固定される。第1支点ブラケットにはシリンダー12が固定され、該シリンダーには第1支点軸10が回動及び軸方向に移動可能に軸支される。第1支点軸10にはスイングアーム40が固定され、該スイングアームの端部に金型受台41が取付けられる。金型受台41は一部が分割された略半円環状であり、スイングアーム40に固定された金型受台41aと蝶番42を介して拡開可能な金型受台41bから成る。金型搬送途中では金型の落下を防止するためボルト43により金型受台41bをスイングアーム40に仮固定する。金型の中心をスピニング機主軸中心に合致させた後にスイングアーム40を降下し、金型をスピニング機主軸に嵌合する。その後ボルト43を外して金型受台41bを拡開してスイングアーム40をスピニング機外にスイングさせる。鎖線で示した位置は金型の交換又は格納のため、スイングアームと金型受台が回動した位置を示す。本実施例では第1支点軸10と金型受台41の中心間距離は一定であり、回動する半径上にスピニング機の主軸の中心が位置することが必要である。本装置は構成要素が少ないのでコストの削減には好適であるが回転半径は大きくなる。
【0025】
図10は、図9に示す金型交換装置2bの側面図であり、符号は同じ番号を用いている。スイングアーム40がスピニング機1の主軸3の上に金型4aを搬送する様子が示されている。
【実施例5】
【0026】
図11は、実施例1における図3に示す金型交換装置の別の構成を示す金型交換装置2cの側面図である。シリンダー45はブラケットを一体に構成しており、スピニング機1の本体に固定される。シリンダー45に嵌合して回転と軸方向の摺動が可能な第1支点軸10の端部にはブラケット46aと46bが取着され、該ブラケットには第1スイングアーム14aが固定される。第二支点軸15に軸支された第2スイングアーム17の端部に金型受台を設けるところは、実施例1と同じであるので詳細な説明を省く。
【産業上の利用可能性】
【0027】
立形スピニング機は上下に金型を取着する軸が装備されるので、機械の天井部が塞がれるため、金型を吊るすクレーン等は使用できない。金型は上下金型を合わせると300kg程度になり、奥まった位置に金型を搬送する機械本体に取付けた金型交換装置が不可欠である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の金型交換装置を取付けたスピニング機の正面図である。(実施例1)
【図2】図1のA−A矢視断面図である。(実施例1)
【図3】(a)図は本発明の金型交換装置の一例を示す断面図であり、(b)図は一部拡大図である。(実施例1)
【図4】図3に示した金型交換装置の平面図である。(実施例1)
【図5】(a)図は本発明の金型交換装置に使用するシリンダーの構造を示す断面図であり、(b)図は同シリンダーの異なる動作状態を示す断面図である。(実施例1)
【図6】金型交換装置の別の駆動源を示す一部断面図である。(実施例2)
【図7】(a)図は本発明の構成の異なる金型交換装置の平面図であり、(b)図はA−A断面図であり、(c)図はB−B断面図である。(実施例3)
【図8】図7に示す金型交換装置の側面図である。(実施例3)
【図9】本発明の構成の異なる金型交換装置の平面図である。(実施例4)
【図10】図9に示す金型交換装置の側面図である。(実施例4)
【図11】本発明の構成の異なる金型交換装置の側面図である。(実施例5)
【図12】従来の金型交換装置の側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 スピニング機
2 金型交換装置
3 スピニング機の主軸
4 金型
5 スピニングローラ
6 第2スイングアーム
7 金型受台
8 第1支点ブラケット
9 スポーク
10 第1支点軸
12 シリンダー
14 第1スイングアーム
15 第2支点軸
17 第2スイングアーム
18 金型受台
23 減速モータ
24 ボールネジ
25 ボールネジナット
31 摺動アーム
40 スイングアーム
41 金型受台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立形スピニング機の金型交換装置であって、
該スピニング機の主軸に対して平行方向に移動可能な駆動部材と、
該駆動部材に軸支された回動可能な1又は2段のスイングアームと、
該スイングアームの端部に設けた金型受台とから成り、
前記駆動部材の固定側を前記スピニング機本体の一部に固定し、前記金型受台に載せた金型を前記スピニング機の主軸位置と該機の機外位置の間の立体的位置に自在に搬送することを特徴とする金型交換装置。
【請求項2】
前記立体的位置に自在に金型受台を移動させる手段として、
前記スピニング機本体に第1支点ブラケットを固定し、該第1支点ブラケットに固定された第1支点軸を中心として自在に回動するとともに摺動可能に油圧/空圧シリンダーを設けて前記駆動部材となし、該油圧/空圧シリンダーに固定された第1スイングアームと、該第1スイングアームに設けたボールベアリングを介して回動自在に軸支された第2支点軸と、該第2支点軸に回動自在に軸支された第2スイングアームと、該第2スイングアームに設けた金型受台に、下側金型及び/又は上側金型を保持して水平面内で回動可能に支持する金型回転装置を備え、前記金型受台を用いて前記金型を支承し搬送することを特徴とする請求項1に記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項3】
前記金型受台を備えた第2スイングアームが、前記油圧/空圧シリンダーに対して、オフセットして取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項4】
前記第1スイングアームを用いずに、前記第2スイングアームが第1支点軸に嵌合する油圧/空圧シリンダーに直接固定され、回動及び摺動自在に取り付けられたことを特徴とする請求項1又は3のいずれかに記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項5】
前記第2支点軸を省き、前記第2スイングアームの一部に摺動部を設けて該アームの長さLを伸縮自在に構成した請求項1、3又は4のいずれか1項に記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項6】
前記金型受台の一部を分離可能に構成し、金型受台を拡開して金型下方に挿置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項7】
前記駆動部材が、スピニング機の本体に固定された前記シリンダーと、これに嵌合して回転と摺動可能に軸支された第1支点軸から成り、該第一支点軸に1又は2段のスイングアームを取着した請求項1、3、5又は6のいずれか1項に記載の金型交換装置。
【請求項8】
前記駆動部材が電動機で回転するボールネジと該ボールネジに嵌合するボールネジナットを内包した筺体から成り、該筺体にスイングアームを取着し、電動機の回転により前記スイングアームを移動させることを特徴とする請求項1、3、5又は6のいずれか1項に記載のスピニング機の金型交換装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の金型交換装置を備えたスピニング機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−192464(P2006−192464A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6313(P2005−6313)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000116231)ワシ興産株式会社 (25)
【Fターム(参考)】