説明

スピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法、並びにスピネル型マンガン酸リチウムを使用する正極活物質及び非水電解質電池

【課題】低コストで安全性が高く、さらにエネルギー密度にも優れた電池特性を有する正極活物質となるスピネル型のマンガン酸リチウムおよびその製造方法と、これを含む正極を有する非水電解質電池を提供すること。
【解決手段】平均粒径が10nm〜500nmであり、BET値が1〜50m/gであり、粒径の変動係数が0.40以下であるスピネル型マンガン酸リチウム、及び、マンガン塩、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリを水性条件下で混合し、得られる水性液と酸素含有ガスとを接触させることにより酸化マンガン粒子を得、該酸化マンガン粒子をリチウム源と混合し、焼成することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、低コストで安全性が高く、さらにエネルギー密度にも優れ、また高速充放電特性に優れた電池特性を有する正極活物質となるスピネル型マンガン酸リチウムおよびその製造方法と、これを含む正極を有する非水電解質電池に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、リチウム二次電池は携帯電話、ビデオカメラやノートパソコン等の電子機器の電源として、広く普及している。また、環境保全問題やエネルギー問題から、電気自動車や夜間電力用の安価で安全性の高い大型リチウム二次電池の開発も進められている。
【0004】
従来、リチウム二次電池の正極活物質には層状岩塩型のLiCoOが主に用いられてきた。LiCoOは充放電特性、サイクル特性において優れているが、原料であるコバルトの資源量は少なく、コストも高価である。またLiCoOはLiの拡散が遅いため、ハイレートでのサイクル特性が劣る問題がある。そのため、代替の正極活物質として、層状岩塩型のLiNiOやLiCo1/3Ni1/3Mn1/3が研究されており、小型電池用としては、これらの元素を組み合わせた新規正極材が提案されてきているが、コスト、安全性の面でさらに要求レベルの高くなる大型電池用正極活物質として、またハイレートで使用できる材料が望まれてきた。
【0005】
これらのリチウム二次電池用正極活物質を用いた場合、粒子が細かいほど電池のレート特性が向上し、良好なサイクル特性と、高い充放電速度が得られる。しかしこれまで報告されているリチウム二次電池の正極活物質の工業的な製造法では得られる粒子径は0.5μm〜10μmであった。微粒子が得られる共沈法やエアロゾル法では20nm〜100nmの微粒子が得られるが、得られる正極活物質の粒度分布が均一でないこと、コストが高くなる等の問題があり、量産性に劣るものであった。
【0006】
一般的なLiMnの製造方法としては、例えば、下記特許文献1〜10等が挙げられる。これら特許文献に記載の方法において、前駆体の種類、形状、サイズを調整し微粒子を製造するものであるがいずれも技術的な限界があり、工業的な問題があり十分満足のいくものではない。また特許文献11では粒度分布に優れたマンガン酸化物を作製し、これを前駆体に用いることで充放電容量とサイクル特性の高バランス化を実現させた非水二次電池用正極材料を提案している。しかし、この方法はカルシウム又は/及びマグネシウムを0.01〜2.50モル%添加することによりBET値1〜100m/g,粒度分布0.4以下を達成する方法であり、Mn又は/及びLiをCa又は/及びMgで置換したものである。またこの手法ではリチウムと酸化マンガンの組成むらに着目したものであり焼成後のスピネル型マンガン酸リチウムについてはBET比表面積のみの記載で粒径、粒度分布には言及されていない。
【0007】
スピネル型マンガン酸リチウムの場合、これらの方法の組み合わせだけでは十分な電池特性、十分なサイクル特性と、高い充放電速度を有するスピネル型マンガン酸リチウムは得られていない。
【0008】
【特許文献1】特開平4−198028号公報
【特許文献2】特開平9−86933号公報
【特許文献3】特開平10−162826号公報
【特許文献4】特開平10−172569号公報
【特許文献5】特開平6−295724号公報
【特許文献6】特開2000−128540号公報
【特許文献7】特開2002−151077号公報
【特許文献8】特開2003−229127号公報
【特許文献9】特開2003−272629号公報
【特許文献10】特開2004−292264号公報
【特許文献11】特開2000−128540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コスト、安全性、信頼性に優れた正極活物質として利用できる高充放電速度を有するマンガン酸リチウム及びその製造方法、その方法によって得られた正極活物質およびこれを用いた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような優れた特性を有する正極活物質を製造するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
[1] 平均粒径が10nm〜500nmであり、BET比表面積値が1〜50m/gであり、粒径の変動係数が0.40以下であるスピネル型マンガン酸リチウム。
[2] マンガン塩、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリを水性条件下で混合し、得られる水性液と酸素含有ガスとを接触させることにより酸化マンガン粒子を得、該酸化マンガン粒子をリチウム源と混合し、焼成することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
【0012】
[3] マンガンに対するアルカリの当量比が0.7〜3.0である、[2]の方法。
[4] 水酸化アルカリ/炭酸アルカリの当量比が0.6〜2.95/0.05〜0.5である、[2]又は[3]の方法。
【0013】
[5] 酸化マンガン粒子が500nm以下の平均粒径、1〜150m/gのBET比表面積値、0.40以下の粒径の変動係数を有する、[2]〜[4]の何れかの方法。
[6] 焼成が700℃〜900℃の温度で行われる、[2]〜[5]の何れかの方法。
【0014】
[7] [1]に記載のスピネル型マンガン酸リチウム又は[2]〜[6]の方法で製造されたスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極活物質。
[8] [7]の正極活物質を含む正極を有する非水電解質電池。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法]
本発明によれば、酸化マンガン粒子及びリチウム源を混合し、焼成することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法が提供される。この方法において、酸化マンガンが、微細で、粒度分布の揃った酸化マンガン粒子であることが重要である。
【0016】
酸化マンガン粒子は微細で、粒度分布を正確に制御して調製することができる。本発明者らはこの点に着目し、マンガン源として酸化マンガン粒子を用いることにより、極めて微細な粒子で、かつ、粒度分布が制御されたスピネル型マンガン酸リチウムを得、この微細でかつ粒度分布の良好なスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極活物質を用いることにより、優れた性能の非水電解質電池を製造することに成功した。
【0017】
(酸化マンガン粒子)
酸化マンガン粒子は、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下の平均粒径を有し、より好ましくは300nm以下、最も好ましくは100nm以下、特に10〜100nmの平均粒径を有する。酸化マンガン粒子はまた、標準偏差σが50nm以下の粒度分布を有することが好ましく、粒径の変動係数[=(標準偏差/平均粒径)]が0.40以下の変動係数を有することが好ましく、1〜150m/g、特に10〜150m/gのBET比表面積値を有することが好ましい。
【0018】
本発明では、マンガン塩、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリを水性条件下で混合し、得られる水性液と酸素含有ガスとを接触させることにより得られる酸化マンガン粒子を好適に使用することができる。
【0019】
マンガンに対するアルカリの当量比は0.7〜3.0が好ましい。アルカリの当量比が0.7より少ない場合には得られる酸化マンガン中に不定形物質が存在する傾向があり、3.0を越える場合には製造にかかるコストが高くなる傾向があり、好ましくない。また水酸化アルカリ/炭酸アルカリの当量比は0.6〜2.95/0.05〜0.5が好ましい。炭酸アルカリが0.5を超える場合には酸化マンガンの他、原料中に炭酸マンガンの混入が確認される場合があり、また0.05未満では粒度分布が広くなるほか、得られる粒子が大きくなる傾向がある。
【0020】
水酸化アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が挙げられる。一方、炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属アルカリを用いても、水洗により、中和反応の副生物であるアルカリ金属塩分のほとんどは除去が可能であるが、アルカリ金属の混入を極めて低くするためにアンモニア水及び炭酸アルカリに炭酸アンモニウムを、又はアンモニア水に炭酸ガスを吹き込むことにより得られる炭酸塩含有アンモニア水溶液を用いることがより好ましい。
【0021】
本発明に用いられるマンガン塩としては硫酸マンガン、硝酸マンガン、シュウ酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このマンガン塩は水溶液の形で使用されることが好ましい。アルカリとの混合水性液におけるマンガン塩の濃度としては0.2〜1.0モル/L程度が好ましい。マンガン塩の濃度が0.2モル/L以下では生産性の面からコストが高くなり、1.0モル/Lを超える場合には目的とする粒子は得られるが、攪拌に多大なエネルギーを必要とするほか、粒度分布が悪くなる場合がある。
【0022】
酸化反応の温度としては30℃〜60℃が好ましい。30℃を下回る場合には量産工程において制御が難しく、管理する場合には冷却機等が必要となる場合がある。60℃を超える場合には粒径が大きくなる場合があるほか、アルカリとしてアンモニアを使用した場合にはアンモニアの気散が起こり、反応液中のアンモニアの濃度変化による粒度分布の増大が認められる場合がある。
【0023】
出発原料となる微細でかつ粒度分布の良好な酸化マンガン粒子は、例えば、マンガン塩水溶液と炭酸アルカリ及び水酸化アルカリの混合水溶液とをマンガンに対するアルカリの当量比で0.7〜3.0、水酸化アルカリ/炭酸アルカリの当量比で0.6〜2.95/0.05〜0.5の割合で不活性雰囲気下混合し、30℃〜60℃の温度で酸素含有ガス(例えば、酸素、空気、酸素と不活性ガスとの混合物など)を吹込むことによりマンガン塩を酸化することにより酸化マンガン(一般式:Mn2+x3+x(0≦x≦1))を生成し、これをろ過、水洗、乾燥することにより製造することができる。
【0024】
(リチウム源)
上記のマンガン源にLi源を混合して、焼成して、スピネル型マンガン酸リチウムを得る。 Li源としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム等が挙げられる。
【0025】
(混合工程)
混合方法は特に限定されず、湿式混合でも乾式混合でも良く、装置としては、ミキサー、遊星ボールミル、ジェットミル、マグネチックスターラー等を用いることが適当である。
【0026】
本発明におけるリチウム源と酸化マンガン粒子との混合比(原子比(Li/Mn at比))は0.5〜0.7が好ましい。この混合比が0.5より小さい場合、マンガン酸リチウム中に原料の酸化マンガンが混在し、このリチウム不足マンガン酸リチウムを用いて正極を構成した場合には良好な充放電特性、サイクル特性が得られない傾向がある。また混合比が0.5より小さい場合、焼成時に粒子及び粒子間の焼結が確認される。一方、上記混合比が0.7を超える場合にはスピネル構造以外の副生物が生じ、充放電容量が低くなる。
【0027】
(焼成工程)
焼成工程は、原料の混合物に熱エネルギーを供給することにより、その混合物を熱力学的に安定なスピネル型マンガン酸リチウム化合物に転化させ、不純物を除去し、本発明の正極活物質の微細粒子を生成する工程である。
【0028】
焼成工程は、好ましくは、仮焼成工程と本焼成工程の二段階の焼成工程から成る。
仮焼成の有無、条件は特に限定されない。一般的には、仮焼成は200〜400℃で行われる。
【0029】
本焼成は、700℃以上、好ましくは700〜900℃、より好ましくは700〜800℃で、酸化性雰囲気で行う必要がある。また本焼成時間は通常2時間〜24時間、好ましくは4時間〜12時間である。酸化性雰囲気としては空気、不活性ガスにより分圧を調整した酸素ガス等が挙げられる。
【0030】
[正極活物質]
本発明の正極活物質は、スピネル型マンガン酸リチウムを主成分として含むことが必要であるが、スピネル型マンガン酸リチウム以外の他の成分として、炭素などの導電性物質などを含ませることができる。他の成分の配合割合は、正極活物質の30%以下とすることが望ましい。
【0031】
正極活物質であるLiMnの平均粒径は、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは10〜200nmであり、特に10〜150nmである。正極活物質であるLiMnは標準偏差σが50nm以下、特に40nm以下の粒度分布を有することが好ましく、粒径の変動係数が0.40以下、特に0.30以下の変動係数を有することが好ましく、1〜50m/g、特に5〜50m/gのBET比表面積値を有することが好ましい。
【0032】
[非水電解質電池]
(電池の構造)
本発明の正極活物質を用いた非水電解質電池の一例を添付図面を用いて説明する。
図22は電池の概略を示す断面図である。この図において非水電解質電池1は、大まかに言って電池の外部負極として機能する負極部材2と、電池の外部正極として機能する正極部材3と、両部材間に負極集電体4、負極活物質層5、セパレータ8、正極活物質層7及び正極集電体6をこの順番で有してなる。負極部材2はほぼ円筒形をしており、その内部に負極集電体4及び負極活物質層5を収容できるように構成されている。一方、正極部材3もほぼ円筒形をしており、その内部に正極集電体6及び正極活物質層7を収容できるように構成されている。正極部材3及びセパレータ8の半径方向の寸法は負極部材2のものよりもやや大きめに設定されており、負極部材2の周端部とセパレータ8及び正極部材3の周端部とが重なり合うようになっている。電池内部の空間は非水電解質9が充填され、負極部材2、セパレータ8及び正極部材3の周端部の重なり合う部分には封止材10が施されて、電池内部が気密状態に保たれている。
【0033】
負極は、負極部材2を外部負極として、それに接する負極集電体4、及び負極集電体上の負極活物質層5が形成されてなる。負極集電体としては、例えばニッケル箔、銅箔等が用いられる。負極活物質としては、リチウムをドープ/脱ドープ可能なものを用い、具体的には、リチウム金属箔、リチウム合金、リチウムがドープされた導電性高分子、層状化合物(グラファイト、活性炭素繊維などの炭素材料や金属酸化物等)等を用いる。負極活物質層に含有される結着材としては、この種の非水電解質電池の負極活物質層の結着材として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。特に、金属リチウム箔は負極活物質層としてのみならず負極集電体としても用いることができるので、負極に金属リチウム箔を使用することにより電池構造を簡易なものとすることができる。
【0034】
正極は、正極部材3を外部正極として、それに接する正極集電体6、及び正極集電体上の正極活物質層7が形成されてなる。正極活物質として、上述した本発明の正極活物質を使用する。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等が用いられる。正極活物質層に含有される結着材としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のこの種の非水電解質電池の正極活物質層の結着材として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。正極活物質層には、導電性を向上させるために導電材を配合することができる。この導電材としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック等が挙げられる。
【0035】
セパレータ8は、正極と負極とを離間させるものであり、この種の非水電解質電池のセパレータとして通常用いられている公知の材料を用いることができ、例えば、ポリプロピレン等の高分子フィルム、ポリエチレンカーボネート多孔質膜等が用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータの厚みはできるだけ薄いことが望ましい。具体的には、セパレータの厚みは例えば50μm以下が好ましい。
【0036】
封止材10としては、この種の非水電解質電池の正極活物質層の封止材として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。
非水電解質としては、液体電解質のみならず、固体電解質、溶媒を含有するゲル状電解質など種々の形態のものが使用できる。液体電解質としては、非プロトン性非水溶媒に電解質を溶解させた溶液を用いる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類、3−メチル1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル等を挙げることができる。特に、電圧安定性の点からは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類を使用することが好ましい。また、このような非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。これらのリチウム塩の中でも、LiPF、LiBFを使用することが好ましい。また、固体電解質としては、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等の無機固体電解質;ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)等の有機高分子電解質等が挙げられる。更に、ゲル状電解質を形成するための材料としては、上記液体電解質を吸収してゲル化できる材料であれば特に制限無く使用することができ、例えば、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などの含フッ素重合体が挙げられる。
【0037】
(電池の製造方法)
本発明の正極活物質を使用した非水電解質電池は、例えば、以下のように製造される。
まず、負極の製造方法から説明する。負極活物質と結着材とを溶媒中に分散させてスラリーを調製する。得られたスラリーを集電体上に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成する。得られた負極集電体及び負極活物質層からなる積層体を負極部材内に負極集電体と負極部材内面が接するように収容して負極が形成される。また、前述したように負極活物質及び負極活物質として金属リチウム箔をそのまま用いることもできる。
【0038】
次に正極の製造方法を説明する。本発明の正極活物質、導電材及び結着材を溶媒中に分散させてスラリーを調製する。スラリーを集電体上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成する。得られた正極集電体及び正極活物質層からなる積層体を正極部材内に正極集電体と正極部材内面が接するように収容して正極が形成される。
【0039】
非水電解質は、液状のものを採用する場合は、電解質塩を非水溶媒中に溶解することにより調製される。
上述のようにして製造された負極及び正極を、負極活物質層と正極活物質層との間にセパレータが介在するように重ね合わせ、非水電解質を充填し、封止材により電池内部を密封することにより、非水電解質電池が完成する。
【0040】
本発明の非水電解質電池は、その形状については特に限定されることはなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等の形状とすることができ、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。また、本発明は、一次電池についても二次電池についても適用可能である。
【0041】
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において、酸化マンガン、正極活物質及び非水電解質電池の分析は次の方法により行った。
【0042】
(X線回折)
X線回折測定は、CoKα Rigaku RINT 2200V((株)リガク社製)を用いて行った。
【0043】
(比表面積)
比表面積測定は、BET法に従って、全自動表面積測定装置 マルチソーブ12(湯浅アイオニックス(株)社製)を用いて行った。
【0044】
(金属組成分析)
組成分析はICP発光分光分析(ICP発光分光分析装置SPS1500VR Seiko Instruments Inc.製)で測定し、Mnに対するmol比で算出した。
【0045】
(粒子径)
粒子径について、TEM(透過型電子顕微鏡 H−7600 日立製)又はSEM(走査型電子顕微鏡 DS130 (株)トプコン電子ビームサービス社製)で観察される200個の粒子を無作為に選び、各粒子の粒子径を測定し、それらの測定値の平均値及び標準偏差、変動係数[=(標準偏差/平均粒径)]を算出した。この平均値を粒子径とした。
【実施例1】
【0046】
60Lの反応容器にNaOHを0.81mol/L、NaCOを0.135mol/L含む水溶液40Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、50℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液20Lを添加して、懸濁液とし、50℃で60分間混合した。次に、空気を10L/minで通気させ、5時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、マンガン1molあたり10Lの脱イオン水(以下「10L/molの脱イオン水」という。)で洗浄後、乾燥して、微粒子酸化マンガンを得た。試料のBET比表面積測定は窒素吸着法で測定した。得られた試料のBET値は26.0m/gであった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察し、TEM写真を図1に示す。粒子径はTEM写真から200個の粒子を無作為に測定し、それらの測定値の平均値及び標準偏差、変動係数[=(標準偏差/平均粒径)]を算出した。得られた試料の平均粒子径は73nmであり、標準偏差は23nm、変動係数は0.32であった。図2に得られた粒子のX線回折図を示す。X線回折図より酸化マンガン単相であることが確認された。
【実施例2】
【0047】
酸化反応温度を40℃に変更した以外は実施例1と同様の手法で微粒子酸化マンガンを得た。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。得られた試料のBET値は35.7m/gであった。得られた試料の平均粒子径は39nmであり、標準偏差は15nm、変動係数は0.38であった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。
【実施例3】
【0048】
40Lの反応容器にNHを1.350mol/L、(NHCOを0.135mol/L含む水溶液14Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、40℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液7Lを添加して、懸濁液とし、40℃で60分間混合した。次に、空気を5L/minで通気させ、3時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、10L/molの脱イオン水で洗浄後、乾燥して、微粒子酸化マンガンを得た。得られた試料のBET値は45.9m/gであった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察し、TEM写真を図3に示す。得られた試料の平均粒子径は80nmであり、標準偏差は28nm、変動係数は0.35であった。図4に得られた粒子のX線回折図を示す。X線回折図より酸化マンガン単相であることが確認された。
【実施例4】
【0049】
40Lの反応容器にNHを1.350mol/L、(NHCOを0.090mol/L含む水溶液14Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、40℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液7Lを添加して、懸濁液とし、45℃で60分間混合した。次に、空気を5L/minで通気させ、3時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、10L/molの脱イオン水で洗浄後、乾燥して、微粒子酸化マンガンを得た。得られた試料のBET値は62.5m/gであった。得られた試料の平均粒子径は50nmであり、標準偏差は14nm、変動係数は0.28であった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。
【実施例5】
【0050】
酸化反応温度を55℃に変更した以外は実施例4と同様の手法で微粒子酸化マンガンを得た。得られた試料のBET値は33.4m/gであった。得られた試料の平均粒子径は81nmであり、標準偏差は25nm、変動係数は0.31であった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。
【比較例1】
【0051】
電解二酸化マンガン80gと水酸化リチウム一水和物20.3g及び純水100mLを250mL遊星ボールミル容器に入れ、更に純水 100mLを添加して、250r.p.m.で、12時間混合した。乾燥後、メノウ乳鉢で粉砕し、大気雰囲気下、400℃で6時間焼成し、その後850℃で12時間、本焼成し、正極活物質LiMnを得た。図16に生成したLiMnのSEM画像を、図17に生成したLiMnのXRDを、それぞれ示す。
【比較例2】
【0052】
60Lの反応容器にNaOHを0.99mol/L含む水溶液40Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、70℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液20Lを添加して、懸濁液とし、70℃で60分間混合した。次に、空気を5L/minで通気させ、5時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、10L/molの脱イオン水で洗浄後、乾燥して、酸化マンガンを得た。得られた試料のBET値は8.5m/gであった。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察し、TEM写真を図5に示す。図6に得られた粒子のX線回折図を示す。X線回折図より酸化マンガン単相であることが確認された。
【比較例3】
【0053】
水酸化ナトリウムのマンガンに対する当量比を1.1から2.0に変更した以外は比較例2と同様の手法で酸化マンガンを得た。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。
【比較例4】
【0054】
反応温度を40℃に変更した以外は比較例2と同様の手法で酸化マンガンを得た。表1に酸化マンガンの合成条件と反応生成物の特性を示す。
【比較例5】
【0055】
60Lの反応容器にNaOHを0.54mol/L、NaCOを0.27mol/L含む水溶液40Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、70℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液20Lを添加して、懸濁液とし、70℃で60分間混合した。次に、空気を10L/minで通気させ、5時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、10L/molの脱イオン水で洗浄後、乾燥して、粒子を得た。得られた試料のBET値は16.6m/gであった。
【0056】
得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察し、TEM写真を図7に示す。図8に得られた粒子のX線回折図を示す。X線回折図より酸化マンガンと炭酸マンガンの混合物であることが確認された。
【比較例6】
【0057】
反応温度を40℃に変更した以外は比較例5と同様の手法で粒子を得た。得られた粒子のBET値は25.5m/gであり、X線回折の測定結果は酸化マンガンと炭酸マンガンの混合物であった。
【比較例7】
【0058】
40Lの反応容器にNHを1.350mol/L 、(NHCOを0.27mol/L含む水溶液14Lを仕込み、窒素ガスを通気して置換し、40℃にて0.5hr保持した。ここに、窒素通気、攪拌しながら、0.9mol/LのMnSO水溶液7Lを添加して、懸濁液とし、40℃で60分間混合した。次に、空気を5L/minで通気させ、3時間、酸化反応を行った。得られた懸濁液をろ過し、10L/molの脱イオン水で洗浄後、乾燥して、粒子を得た。表1に合成条件と反応生成物の特性を示す。得られた粒子のBET値は40.6m/gであり、X線回折の測定結果は酸化マンガンと炭酸マンガンの混合物であった。
【0059】
表1から明らかなように本製造法による酸化反応で、極めて微細な粒子で、かつ、粒度分布の揃ったスピネル型酸化マンガンが得られることがわかる。
【実施例6】
【0060】
実施例1で得られた酸化マンガンを原料にスピネル型マンガン酸リチウムを合成した。実施例1で得られた酸化マンガン 80g, LiOH・HO 24.3gを250mL遊星ボールミル容器に入れ、更に純水 100mLを添加して、250r.p.m.で、12時間混合した。乾燥後、メノウ乳鉢で粉砕し、大気雰囲気下、400℃で6時間焼成し、その後750℃で6時間、本焼成し、正極活物質LiMnを得た。得られた試料のBET値は10.4m/gであった。得られた試料のSEM写真を図9に示す。粒子径はTEM写真から200個の粒子を無作為に測定し、それらの測定値の平均値及び標準偏差を算出した。得られた試料の平均粒子径は108nm、標準偏差30nm、変動係数0.28であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を示す。
【0061】
得られた粒子のX線回折測定をおこなった。図10に得られた粒子のX線回折図を示す。X線回折図よりLiMn単相であることが確認された。
【0062】
(電池特性の評価)
実施例6で得られた正極活物質を使って、リチウム二次電池を作製した。溶剤にN−メチル−2−ピロリドンを用い、正極活物質:導電材(アセチレンブラック):結着材(ポリフッ化ビニリデン)=72:18:10の重量比で混合し、ペースト状に混練したスラリーをアルミニウム箔集電体に塗布し、乾燥した後、直径15mmの円形に打ち抜いて正極とした。セパレータには直径24mm、厚さ25μmのポリエチレンカーボネート多孔質膜を、電解液にはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの体積比1:1混合溶媒に1MのLiPFを溶解した溶液を、負極には直径16mm、厚さ0.2mmの円形に打ち抜いた金属リチウムを用いて簡易リチウム二次電池を作製した。本実施例で使用した簡易リチウム二次電池の概略を図11に示す。
【0063】
このようにして得られた簡易リチウム二次電池について充放電試験を行った。定電流充放電試験は25℃において、電位範囲:3500〜4300mVの範囲で行った。表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。図12に1Cでの初期充放電特性を図13に20Cでの初期充放電特性を示す。また25℃における1Cでのサイクル特性を図14に、20Cでのサイクル特性を図15に示す。
【実施例7】
【0064】
水酸化リチウム一水和物の混合重量を24.3gから22.9gに変更した以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は9.6m/gであった。得られた試料の平均粒子径は101nm、標準偏差28nm、変動係数0.28であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例8】
【0065】
本焼成温度を800℃に変更した以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は5.7m/gであった。得られた試料の平均粒子径は129nm、標準偏差38nm、変動係数0.29であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例9】
【0066】
原料の酸化マンガンを実施例1で得られた微粒子酸化マンガンから実施例2で得られた微粒子酸化マンガンに変更し、本焼成時間を12時間にした以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は8.4m/gであった。得られた試料の平均粒子径は79nm、標準偏差21nm、変動係数0.27であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例10】
【0067】
原料の酸化マンガンを実施例3で得られた微粒子酸化マンガンとした以外は実施例6と同様の手法で微粒子マンガン酸リチウムを得た。得られた試料のBET値は13.4m/gであった。得られた試料の平均粒径は106nm、標準偏差24nm、変動係数0.23であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例11】
【0068】
原料の酸化マンガンを実施例4で得られた微粒子酸化マンガンとした以外は実施例6と同様の手法で微粒子マンガン酸リチウムを得た。得られた試料のBET値は14.8m/gであった。得られた試料の平均粒径は55nm、標準偏差14nm、変動係数0.25であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例12】
【0069】
原料の酸化マンガンに実施例4で得られた酸化マンガンを使用し、水酸化リチウム一水和物の混合重量を24.3gから22.9gに変更し、本焼成温度を800℃とした以外は実施例6と同様の手法で微粒子マンガン酸リチウムを得た。得られた試料のBET値は7.8m/gであった。得られた試料の平均粒径は145nm、標準偏差45nm、変動係数0.31であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【実施例13】
【0070】
原料の酸化マンガンを実施例5で得られた微粒子酸化マンガンとした以外は実施例6と同様の手法で微粒子マンガン酸リチウムを得た。得られた試料のBET値は9.8m/gであった。得られた試料の平均粒径は115nm、標準偏差31nm、変動係数0.27であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例9】
【0071】
原料の酸化マンガンを比較例2で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は4.7m/gであった。得られた試料の平均粒子径は950nm、標準偏差432nm、変動係数0.45であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例10】
【0072】
原料の酸化マンガンを比較例3で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は2.1m/gであった。得られた試料の平均粒子径は1800nm、標準偏差930nm、変動係数0.52であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例11】
【0073】
原料の酸化マンガンを比較例4で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は1.6m/gであった。得られた試料の平均粒子径は2300nm、標準偏差1100nm、変動係数0.48であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例12】
【0074】
原料の酸化マンガンを比較例5で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は2.7m/gであった。得られた試料の平均粒子径は1150nm、標準偏差590nm、変動係数0.51であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例13】
【0075】
原料の酸化マンガンを比較例6で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は3.7m/gであった。得られた試料の平均粒子径は980nm、標準偏差600nm、変動係数0.61であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【比較例14】
【0076】
原料の酸化マンガンを比較例7で得られた酸化マンガンに代えた以外は実施例6と同様の手法で微粒子LiMnを得た。得られた試料のBET値は5.5m/gであった。得られた試料の平均粒子径は280nm、標準偏差180nm、変動係数0.64であった。表2にスピネル型マンガン酸リチウムの作成条件と反応生成物の組成及び粉体特性を、表3に各レートで測定した充放電特性とサイクル特性を示す。
【0077】
表2、表3から明らかなように本発明により製造された正極材料の内でも平均粒径が10nm〜500nmであり、BET値が1〜50m/gであり、粒径の変動係数が0.50以下であるスピネル型マンガン酸リチウムは、非常に微細であり、また粒度分布が均一であるため、この正極材料を使用した高速充放電時の放電容量、及び高速充放電時のサイクル特性が非常に優れていることがわかる。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
[発明の効果]
本発明に係る正極活物質を用いることで、特に、高速充放電時の放電容量の劣化のない、且つ高速充放電時のサイクル特性に優れた非水電解質電池を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の正極活物質を利用した非水電解質電池としては、例えば、金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等のリチウム二次電池が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例1の原料酸化マンガンのTEM画像(倍率30000)である。
【図2】実施例1の原料酸化マンガンのXRD図である。
【図3】実施例3の原料酸化マンガンのTEM画像(倍率30000)である。
【図4】実施例3の原料酸化マンガンのXRD図である。
【図5】比較例2の原料酸化マンガンのTEM画像(倍率30000)である。
【図6】比較例2の原料酸化マンガンのXRD図である。
【図7】比較例5の原料酸化マンガンのTEM画像(倍率30000)である。
【図8】比較例5の原料酸化マンガンのXRD図である。
【図9】実施例6のLiMnのSEM画像(倍率15000)である。
【図10】実施例6のLiMnのXRD図である。
【図11】実施例で使用した電池の構成を示す図である。
【図12】実施例6で作製したリチウム二次電池の1Cの条件で測定した充放電プロファイルである。
【図13】実施例6で作製したリチウム二次電池の20Cの条件で測定した充放電プロファイルである。
【図14】実施例6で作製したリチウム二次電池の1Cの充放電条件でのサイクル特性を示す図である。
【図15】実施例6で作製したリチウム二次電池の20Cの充放電条件でのサイクル特性を示す図である。
【図16】比較例1のLiMnのSEM画像(倍率5000)である。
【図17】比較例1のLiMnのXRD図である。
【図18】比較例1で作製したリチウム二次電池の1Cの条件で測定した充放電プロファイルである。
【図19】比較例1で作製したリチウム二次電池の20Cの条件で測定した充放電プロファイルである。
【図20】比較例1で作製したリチウム二次電池の1Cの充放電条件でのサイクル特性を示す図である。
【図21】比較例1で作製したリチウム二次電池の20Cの充放電条件でのサイクル特性を示す図である。
【図22】電池の概略を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が10nm〜500nmであり、BET比表面積値が1〜50m/gであり、粒径の変動係数が0.40以下であるスピネル型マンガン酸リチウム。
【請求項2】
マンガン塩、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリを水性条件下で混合し、得られる水性液と酸素含有ガスとを接触させることにより酸化マンガン粒子を得、該酸化マンガン粒子をリチウム源と混合し、焼成することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
【請求項3】
マンガンに対するアルカリの当量比が0.7〜3.0である、請求項2の方法。
【請求項4】
水酸化アルカリ/炭酸アルカリの当量比が0.6〜2.95/0.05〜0.5である、請求項2又は3の方法。
【請求項5】
酸化マンガン粒子が500nm以下の平均粒径、1〜150m/gのBET比表面積値、0.40以下の粒径の変動係数を有する、請求項2〜4の何れかの方法。
【請求項6】
焼成が700℃〜900℃の温度で行われる、請求項2〜5の何れかの方法。
【請求項7】
請求項1に記載のスピネル型マンガン酸リチウム又は請求項2〜6の方法で製造されたスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極活物質。
【請求項8】
請求項7の正極活物質を含む正極を有する非水電解質電池。

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−41577(P2008−41577A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217546(P2006−217546)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000157119)関東電化工業株式会社 (68)
【Fターム(参考)】