説明

スピロホスフィン−オキサゾリン、その製造方法、及びその応用

本発明は一種のスピロホスフィン−オキサゾリン配位子、そのイリジウム錯体、その合成、及びα−置換アクリル酸の触媒的不斉水素化反応におけるイリジウム錯体の応用に関する。その製造方法は、置換された7−ジアリールホスフィノ−7’−カルボキシ1,1'−スピロインデンを出発原料として用い、2段階の反応を経てスピロホスフィン−オキサゾリン配位子を形成する工程と、上記配位子をイリジウム前駆体と錯形成反応させる工程と、必要に応じて、イオン交換により異なるイオンを備えるスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体を得る工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なスピロホスフィン−オキサゾリン、その製造方法、及びその応用に関する。詳しくは、置換された7−ジアリールホスフィノ−7′-カルボキシ1,1’−Lo−ジヒドロ−インデンを出発原料をとし、2段階の反応を経て本発明に係る新規スピロホスフィン−オキサゾリンを合成する。新規スピロホスフィン−オキサゾリンとイリジウム前駆体とを錯形成反応させ、更にイオン交換を経て、異なる陰イオンを含むイリジウム/ホスフィン−スピロオキサゾリン錯体を得ることができる。新規スピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体は、α−置換アクリル酸の不斉水素化反応を触媒することができ、非常に高い活性とエナンチオ選択性とを示す。
【背景技術】
【0002】
触媒的不斉合成は現在、有機合成化学の研究分野において注目を浴びている(Ohkuma, T.; Kitamura, M.; Noyori, R. Catalytic Asymmetric Synthesis, Wiley, New York, 2000)。高エナンチオ選択性及び触媒活性を備えるキラル触媒を設計し、合成することが触媒的不斉合成の鍵となっている。キラル配位子はキラル触媒に不斉誘導をもたらすとともに制御する源であるので、ある意味では、キラル触媒を設計し合成することは、キラル配位子を設計し合成することである。1966年、Wilkinsonが[Rh(PhP)Cl]錯体という高活性均一系触媒を発見し、そのことが触媒的不斉水素化の発展の基礎となった(Osborn, J. A.; Jardine, F. H.; Young, J. F.; Wilkinson, G. J. Chem. Soc. A 1966, 1711)。1968年、KnowlesとHorneはそれぞれ最初の金属触媒による不斉触媒反応を報告した(Knowles, W. S.; Sabacky, M. J. J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1968, 1445;Horner, L.; Siegel, H.; Buthe, H. Angew. Chem. Int. Ed. 1968, 7, 942)。彼らはキラルホスフィン配位子をWilkinson触媒に導入して、均一系触媒による不斉水素化反応を行い、15%eeを得た。この業績は均一系触媒による不斉水素化反応の扉を開いただけでなく、キラル配位子に対する開発も促した。今日までに開発されたキラル配位子は、千種以上に上る(Comprehensive Asymmetric Catalysis; Jacobsen, E. N.; Pfaltz, A.; Yamamoto, H., Eds.; Springer-Verlag: Heidelberg, 1999)。
【0003】
中国特許CN1884290Aは、スピロ骨格構造を有するキラルスピロホスフィン−オキサゾリン配位子「SIPHOX」を開示した。前記配位子とイリジウムにより形成された錯体触媒は、イミンの触媒的不斉水素化に高い立体選択性を示し、ee値が最高で97%に達することができ、更に、高い反応性を備える等の長所を兼ね備えている。しかしながら、前記配位子の合成に際して、合成原料として光学的に純粋なアルカミン系化合物を使用するので、SIPHOX配位子を合成するコストは比較的高くなる。また、オキサゾリン環の第4位の位置における置換基の立体効果により、一部の基質は金属原子に近づいて配位することができなくなるため、SIPHOX配位子を適用可能な基質の範囲が限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第1884290号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ohkuma, T.; Kitamura, M.; Noyori, R. Catalytic Asymmetric Synthesis, Wiley, New York, 2000
【非特許文献2】Osborn, J. A.; Jardine, F. H.; Young, J. F.; Wilkinson, G. J. Chem. Soc. A 1966, 1711
【非特許文献3】Knowles, W. S.; Sabacky, M. J. J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1968, 1445
【非特許文献4】Horner, L.; Siegel, H.; Buthe, H. Angew. Chem. Int. Ed. 1968, 7, 942
【非特許文献5】Comprehensive Asymmetric Catalysis; Jacobsen, E. N.; Pfaltz, A.; Yamamoto, H., Eds.; Springer-Verlag: Heidelberg, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既存の技術の欠点を克服することができるスピロホスフィン−オキサゾリン、その製造方法、及びその応用を提供することである。安価かつ容易に入手できるアミノアルコールを原料として用いて、オキサゾリン環の第4位の位置に置換基のない新規なスピロホスフィン−オキサゾリンを合成する。この新規なスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体は、a−置換アクリル酸の不斉水素化反応を触媒することができ、非常に高い活性とエナンチオ選択性とを示し、高い研究価値と工業化の展望を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はスピロホスフィン−オキサゾリン(I)を開示し、下記の構造を備える:
【化1】


ここで、n=0〜3;R、Rは、それぞれH、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、(C〜Cアシル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ハロゲン基、フェニル基、C〜Cアルキル基で置換されたフェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、C〜Cアルコキシ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシルオキシル基で置換されたフェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノ基で置換されたフェニル基、(C〜Cアシル)アミノ基で置換されたフェニル基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシル基で置換されたフェニル基、C〜Cエステル基で置換されたフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、であり、或いは脂環又は芳香環の複合環である(nが2以上の場合);RとRとは同じでも良いし、異なっていても良い。
、R、R、Rは、それぞれH、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、(C〜Cアシル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ハロゲン基、フェニル基、C〜Cアルキル基で置換されたフェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、C〜Cアルコキシ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシルオキシル基で置換されたフェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノ基で置換されたフェニル基、(C〜Cアシル)アミノ基で置換されたフェニル基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシル基で置換されたフェニル基、C〜Cエステル基で置換されたフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、であり、或いはR〜R、R〜Rは脂環又は芳香環の複合環である;R、R、R、Rは同じでも良いし、異なっていても良い。
は、C〜Cアルキル基、フェニル基、C〜Cアルキル基で置換されたフェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、スルホ基で置換されたフェニル基、C〜Cアルコキシ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシルオキシル基で置換されたフェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノ基で置換されたフェニル基、(C〜Cアシル)アミノ基で置換されたフェニル基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシル基で置換されたフェニル基、C〜Cエステル基で置換されたフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、である。
【0008】
前記スピロホスフィン−オキサゾリンにおいて、
前記C〜Cアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソアミル(イソペンチル)基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ネオオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、又はシクロオクチル基、である。
前記C〜Cアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、ネオヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、ネオオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、又はシクロオクチルオキシ基、である。
前記C〜Cアシル基は、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル(ブタノイル)基、イソブチリル基、n−バレリル(ペンタノイル)基、イソバレリル基、sec−バレリル基、ネオバレリル基、n−カプロイル(ヘキサノイル)基、イソカプロイル基、ネオカプロイル基、sec−カプロイル基、n−エナントイル(ヘプタノイル)基、イソエナントイル基、ネオエナントイル基、sec−エナントイル基、n−オクタノイル基、イソオクタノイル基、ネオオクタノイル基、sec−オクタノイル基、1−シクロプロピルホルミル基、1−シクロブチルホルミル基、1−シクロペンチルホルミル基、1−シクロヘキシルホルミル基、又は1−シクロヘプチルホルミル基、である。
前記C〜Cアシルオキシル基は、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ(ブタノイルオキシ)基,イソブチリルオキシ基、n−バレリルオキシ(ペンタノイルオキシ)基、イソバレリルオキシ基、sec−バレリルオキシ基、ネオバレリルオキシ基、n−カプロイルオキシ(ヘキサノイルオキシ)基、イソカプロイルオキシ基、ネオカプロイルオキシ基、sec−カプロイルオキシ基、n−ヘプチルアシルオキシ(ヘプタノイルオキシ)基、イソヘプチルアシルオキシ基、ネオヘプチルアシルオキシ基、sec−ヘプチルアシルオキシ基、n−オクチルアシルオキシ(オクタノイルオキシ)基、イソオクチルアシルオキシ基、ネオオクチルアシルオキシ基、sec−オクチルアシルオキシ基、1−シクロプロピルホルミルオキシ基、1−シクロブチルホルミルオキシ基、1−シクロペンチルホルミルオキシ基、1−シクロヘキシルホルミルオキシ基、又は1−シクロヘプチルホルミルオキシ基、である。
前記C〜Cエステル基は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基、sec−ヘキシルオキシカルボニル基、tert−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、イソヘプチルオキシカルボニル基、ネオヘプチルオキシカルボニル基、sec−ヘプチルオキシカルボニル基、tert−ヘプチルオキシカルボニル基、又はシクロヘプチルオキシカルボニル基、である。
前記ハロアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、を含むハロアルキル基である。
【0009】
前記スピロホスフィン−オキサゾリンは、同じ化学構造式を有するが三次元構造及び光学特性が異なるラセミ体、すなわち右旋性の異性体と左旋性の異性体、を含む。
【0010】
本発明に係るスピロホスフィン−オキサゾリンの製造方法は、以下の工程を含む:
置換された7−ジアリールホスフィノ−7’−カルボキシ1,1'−Lo−ジヒドロ−インデンを出発原料とし、0〜60℃の温度条件下、有機溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、及びエチレングリコールジメチルエーテルの中の一種又は複数種)中において、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt,2〜4mol)及びN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,3〜6mol)の存在下で、アミノエタノール(2〜4mol)と10〜32時間縮合反応させて、対応するアミドアルコール化合物を得る工程;
前記工程により得られたアミドアルコール化合物を、0〜25℃の温度条件下、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンの中の一種又は複数種を溶媒として使用し、5〜10mol%のN、N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)の触媒作用により、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン(2〜4mol)を酸結合剤として、塩化メチルスルホニルや塩化パラトルエンスルホニル等の塩化試薬(1〜1.2mol)と1〜12時間反応させ、新規スピロホスフィン−オキサゾリンを得る工程;
具体的な反応は以下のようになる:
【化2】


ここで、n=0〜3;R、R、R、R、R、R、Rは化合物(I)において定義されたものと同じである;DCCはN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミドである;HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである;MsClは塩化メチルスルホニルである。
【0011】
本発明により提供されるスピロホスフィン−オキサゾリンを用いて製造されるスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体(II)は、以下の構造を備える:
【化3】


ここで、
【化4】


はシクロオクタジエニルである;n=0〜3;R、R、R、R、R、R、Rは化合物(I)において定義されたものと同じである;Xは、ハロゲン、C〜Cカルボキシレート、硫酸、四(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸、四(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、四(パーフルオロ−tert−ブトキシ)アルミニウムイオン、四(ヘキサフルオロイソプロポキシ)アルミニウムイオン、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸である;シクロオクタジエニル配位子は、エチレン又はノルボルナジエンによって置換可能である;ナトリウム塩は、対応するカリウム塩、アンモニウム塩、銀塩、又はタリウム塩によって置換可能である。
【0012】
前記スピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体(II)は、以下の工程によって製造される:
20〜50℃の温度条件下、有機溶媒(ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンの中の一種又は複数種)中において、スピロホスフィン−オキサゾリン(1mol)と[Ir(COD)Cl]2(COD=シクロオクタジエニル)(0.5〜1mol)等の一価イリジウム化合物とナトリウム塩(1〜3mol)とを3〜24時間反応させて生成物を得て、更に陰イオン交換により、異なる陰イオンを備えるスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体を得る工程;
【化5】


ここで、n=0〜3;R、R、R、R、R、R、R、Xは、化合物(I)において定義されたものと同じである;CODはシクロオクタジエニルである;シクロオクタジエニル配位子は、エチレン又はノルボルナジエンによって置換可能である。
【0013】
前記スピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体(II)は、α−置換アクリル酸の不斉水素化反応の触媒に応用される。
【化6】


ここで、[Ir]は式(II)に示すスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体である;R8は、ハロゲン基、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、(C〜Cアシル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニル基、C〜Cアルキル基で置換されたフェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、C〜Cアルコキシ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシルオキシル基で置換されたフェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノ基で置換されたフェニル基、(C〜Cアシル)アミノ基で置換されたフェニル基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基で置換されたフェニル基、C〜Cアシル基で置換されたフェニル基、C〜Cエステル基で置換されたフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、である;「*(星印)」をつけた位置はキラル中心である。
【0014】
具体的には、以下のような工程となる:
アルゴンガス又は窒素ガスの保護下で触媒と基質とを反応器内管に添加し、添加剤と溶媒とを更に添加する。反応器を封止するとともに反応器内を水素ガスによって3〜5回置換する。その後反応器内を水素ガスで充填し、反応終了まで攪拌する。
前記触媒的水素化反応の反応条件は以下のようになる:
溶媒としてC〜Cアルコールを用いる;触媒の量は0.001〜1mol%である;基質濃度は0.001〜10.0Mである;添加剤は、イソプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、カリウムtert−ブトキシド、水酸化セシウム、及び炭酸セシウム、の中の一種又は複数種である;反応温度は0〜100℃である;水素ガス圧力は0.1〜10MPaである;反応時間は0.5〜48時間である。
【0015】
本発明は、既存技術の欠点を克服することが可能なスピロホスフィン−オキサゾリン、その製造方法、及びその応用を提供する。安価かつ容易に入手できるアミノアルコールを原料として、オキサゾリン環の第4位の位置に置換基のない新規なスピロホスフィン−オキサゾリンを合成する。この新規スピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体は、α−置換アクリル酸の不斉水素化反応を触媒することができ、非常に高い活性とエナンチオ選択性とを示し、高い研究価値と工業化の展望を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に示す実施例により、本発明をより詳細に理解することができるが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。本発明に係る製造方法は、代表的な化合物と共に、更に以下のように表される。
【0017】
(一般的説明)
実施例においては以下の略語を用いる。
Meはメチル基を表し、Buはtert−ブチル基を表し、Phはフェニル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Anはメトキシフェニル基を表し、Xylは3,5−ジメチルフェニル基を表し、DMMは3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基を表し、DTBは3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基を表し、BARFは四(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ酸を表し、NMRは核磁気共鳴を表し、キラルSFCはキラルカラムを備える超臨界流体クロマトグラフィーを表し、キラルGCはキラルキャピラリカラムを備える気相クロマトグラフィーを表し、ee値は鏡像異性体過剰率を表す。
【0018】
用いる溶媒は、使用前に標準操作によって精製・乾燥される;用いる試薬は、市販品として、又は従来文献に記載された方法で合成して得られ、使用前に精製される。
【0019】
(実施例1)
(Sa)−N−ヒドロキシエチル−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン−7−ホルムアミドの製造
【化7】

【0020】
アンチストッパーと排気パイプと磁気攪拌器とを備える250mLの二口フラスコに、(Sa)−7−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−7’−カルボキシ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン1(1.0g,1.48mmol)、アミノエタノール(284mg,4.65mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt,504mg,3.29mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,881mg,4.27mmol)、を秤量する。氷水冷却下、蒸留テトラヒドロフラン(THF,80mL)を追加後、混合液の温度は室温まで自然に上昇し、混合液を攪拌して反応させることによって、反応系において大量の白色の沈殿物が生成する。変換が完全に完了するまで、薄層クロマトグラフィーによって反応を監視する。次にシリカゲル5gを追加して溶媒を蒸発除去し、その後生成物を乾燥法によるカラムに加える。石油エーテル/酢酸エチル混合溶媒(v/v=1:1)を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、白色固体化合物である(Sa)−N−ヒドロキシエチル−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン−7−ホルムアミド2(660mg,62%)を得る。
【0021】
Mp 169〜172℃;[α]18D−122.6(c 0.5,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.57 (d, J = 7.2 Hz, 1H, Ar-H), 7.35-7.20 (m, 5H, Ar-H), 7.06 (t, J = 7.6 Hz, 1H, Ar-H), 6.93-6.89 (m, 3H, Ar-H), 6.82 (d, J = 8.0 Hz, 2H, Ar-H), 3.75-3.69 (m, 1H, CH2), 3.56-3.50 (m, 1H, CH2), 3.41-3.28 (m, 2H, CH2), 3.06-2.91 (m, 3H, CH2), 2.78-2.69 (m, 2H, CH2), 2.06-2.21 (m, 1H, CH2), 1.99-1.89 (m, 2H, CH2), 1.20 (s, 18H, CH3), 1.17 (s, 18H, CH3);31P NMR(162MHz,CDCl) δ -15.8 (s); 13C NMR(100MHz,CDCl) δ 165.1, 154.0, 153.8, 150.2, 150.2, 149.9, 149.9, 149.7, 145.2, 144.7, 144.6, 138.0, 137.9, 137.5, 137.4, 133.9, 133.7, 133.0, 128.8, 128.7, 128.6, 128.4, 126.8, 126.7, 126.2, 124.5, 121.8, 121.5, 66.8, 63.5, 54.8, 40.0, 39.3, 35.1, 35.0, 31.7, 31.3, 31.0; HRMS(ESI) 計算値([M+H, C48H61NOP]+) 698.4485, 実測値 698.4483
【0022】
以下の化合物の合成方法は、実施例1の合成方法と同様である。
【化8】


ここで、Arは、フェニル基(78%)、4−メチルフェニル基(75%)、4−メトキシフェニル基(83%)、3,5−ジメチルフェニル基(70%)、3,4,5−トリメチルフェニル基(60%)、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基(79%)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル基(67%)である。
【0023】
(実施例2)
(Sa)−7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデンの製造
【化9】

【0024】
電磁攪拌器を備える100mLのシュレンク(Schlenk)反応管に、(Sa)−N−ヒドロキシエチル−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロインデン−7−ホルムアミド2(660mg,0.92mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,5mg,0.041mmol)とを秤量し、真空ライン上の窒素ガスによって反応管内を置換する。その後、蒸留後に脱気したジクロロメタン60mLを添加して十分に攪拌する。氷水浴で冷却しながら、0.28mLのトリエチルアミンと塩化メチルスルホニル(MsCl,105L,1.36mmol)とを順次添加し、保温したまま攪拌して30分反応させる。1.20mLのトリエチルアミンを追加すると、混合液の温度は室温まで自然に上昇し、その後混合液を一晩攪拌する。変換が完全に完了するまで、薄層クロマトグラフィーによって反応を監視する。反応系にシリカゲル5gを追加して反応を終了させ、溶媒を蒸発除去し、その後生成物を乾燥法によるカラムに加える。2%のトリエチルアミンを添加した石油エーテル/酢酸エチル混合溶媒(v/v=8:1)を溶離液としてカラムクロマトグラフィーを行い、白色固体化合物の(Sa)−7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン3(463mg,72%)を得る。
【0025】
Mp 229〜231℃;[α]22D −184.4(c 0.5,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.57 (d, J= 7.2 Hz, 1H, Ar-H), 7.35-7.20 (m, 5H, Ar-H), 7.06 (t, J= 7.6 Hz, 1H, Ar-H), 6.93-6.89 (m, 3H, Ar-H), 6.82 (d, J= 8.0 Hz, 2H, Ar-H), 3.75-3.69 (m, 1H, CH2), 3.56-3.50 (m, 1H, CH2), 3.41-3.28 (m, 2H, CH2), 3.06-2.91 (m, 3H, CH2), 2.78-2.69 (m, 2H, CH2), 2.06-2.21 (m, 1H, CH2), 1.99-1.89 (m, 2H, CH2), 1.20 (s, 18H, CH3), 1.17 (s, 18H, CH3);31P NMR(162MHz,CDCl)δ -15.8 (s);13C NMR(100MHz,CDCl)δ 165.1, 154.0, 153.8, 150.2, 150.2, 149.9, 149.9, 149.7, 145.2, 144.7, 144.6, 138.0, 137.9, 137.5, 137.4, 133.9, 133.7, 133.0, 128.8, 128.7, 128.6, 128.4, 126.8, 126.7, 126.2, 124.5, 121.8, 121.5, 66.8, 63.5, 54.8, 40.0, 39.3, 35.1, 35.0, 31.7, 31.3, 31.0;HRMS(ESI) 計算値([M+H, C48H61NOP]+) 698.4485, 実測値 698.4483
【0026】
以下の化合物の合成方法は、実施例2の合成方法と同様である。
【化10】


ここで、Arは、フェニル基(76%)、4−メチルフェニル基(75%)、4−メトキシフェニル基(73%)、3,5−ジメチルフェニル基(70%)、3,4,5−トリメチルフェニル基(65%)、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基(78%)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル基(65%)である。
【0027】
(実施例3)
[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARFの製造
【化11】

【0028】
グローブボックス内において、配位子となる(Sa)−7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン3(60mg,0.085mmol)、[Ir(COD)Cl](32mg,0.047mmol)、NaBARF(100mg,0.107mmol)、を秤量して15mLのシュレンク(Schlenk)反応管に添加する。シュレンク反応管を取り出した後、新たな蒸留ジクロロメタン(2mL)をシリンジによって添加し、45℃の温浴で加熱攪拌しながら1時間反応させる。生成物サンプルを薄層クロマトグラフィーで分析することによって反応状態を監視し、配位子が完全に錯形成した後加熱を停止して、反応系を室温まで自然放冷する。溶媒を回転蒸発除去した後、残留物をカラムクロマトグラフィーにかけることにより、橙色泡状固体の[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARF4(132mg,82%)を得る。
【0029】
Mp 196℃;[α]21D+122.6(c 0.5,CHCl); H NMR(300MHz,CDCl)δ 7.65 (brs, 9H, Ar-H), 7.50-7.35 (m, 8H, Ar-H), 7.27-7.24 (m, 1H, Ar-H), 7.18-7.07 (m, 4H, Ar-H), 6.75 (brs, 1H, Ar-H), 6.24 (br d, J= 10.8 Hz, 1H, Ar-H), 4.38-4.24 (m, 2H, CH=CH), 3.90-3.63 (m, 3H, CH=CH and CH2), 3.39-3.29 (m, 1H, CH2), 3.16-3.07 (m, 1H, CH2), 2.95-2.56 (m, 4H, CH2), 2.43-2.30 (m, 1H, CH2), 2.08-1.90 (m, 5H, CH2), 1.48-0.80 (m, 40H, CH2 and CH3), 0.47-0.40 (m, 3H, CH2);31P NMR(122MHz,CDCl)δ 16.7 (s);13C NMR(75MHz,CDCl)δ 170.9, 162.8, 162.1, 161.5, 160.8, 152.3, 150.9, 150.8, 148.0, 147.9, 147.7, 147.6, 145.5, 143.8, 134.9, 132.3, 132.2, 131.5, 130.9, 130.0, 129.7, 129.2, 128.8, 128.4, 128.0, 127.9, 127.8, 127.7, 127.6, 127.1, 126.9, 126.7, 126.4, 126.3, 124.3, 122.8, 121.1, 119.2, 117.5, 76.7, 71.9, 71.6, 70.7, 70.5, 69.4, 63.1, 51.6, 41.7, 35.0, 34.0, 31.6, 31.5, 31.0, 30.5, 30.2, 29.7, 29.6, 28.8;HRMS(ESI) 計算値(C56H72IrNOP+) 998.4975, 実測値 998.4977
【0030】
以下の化合物の合成方法は、実施例3の合成方法と同様である。
【化12】


ここで、Arは、フェニル基(81%)、4−メチルフェニル基(83%)、4−メトキシフェニル基(85%)、3,5−ジメチルフェニル基(80%)、3,4,5−トリメチルフェニル基(71%)、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基(85%)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル基(82%)である。
【0031】
(実施例4)
(R)−イソイブプロフェンの不斉合成
【化13】

【0032】
グローブボックス内において、触媒[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARF4(4.7mg,0.0025mmol)と2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5(102mg,0.5mmol)とを秤量して、攪拌子を備える反応内管に添加後、シールする。反応内管を取り出した後、トリエチルアミン(25mg,0.25mmol)と無水メタノール(2mL)とをシリンジによって添加する。その後反応内管を水素化反応器内に配置し、室温で混合液を攪拌しながら0.6MPaの水素圧力下で24時間反応させる。その後、攪拌を停止して水素を放出する。反応系の溶媒を回転蒸発除去して濃縮した後、3N塩酸溶液を用いて反応系のpHが3未満となるように調整する。ジエチルエーテル(10mL×3)による抽出と分液とにより有機相を収集し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過によって乾燥剤を除去後、溶媒を回転蒸発除去し、白色固体の目的生成物6を得る。H NMRの解析によれば、コンバージョン率(転化率)は100%であり、収率は96%である。
【0033】
Mp 53〜55℃;[α]30D−41.5 (c 2.0,ethanol); H NMR(400MHz,CDCl): d11.27 (brs, 1H, COOH), 7.24 (d, J= 8.4 Hz, 2H, Ar-H), 7.08 (d, J= 7.6 Hz, 2H, Ar-H), 3.68 (q, J= 6.8 Hz, 1H, CH), 2.43 (d, J= 6.8 Hz, 2H, CH2), 1.88-1.78 (m, 1H, CH), 1.48 (d, J= 7.2 Hz, 3H, CH3), 0.88 (d, J= 6.4 Hz, 6H, CH3);メチルエステルへの変換後、キラルGC分析によるee値は90%である。
【0034】
(比較例1)
キラル触媒
【化14】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は15%であり、得られた生成物のee値は12%である。
【0035】
(比較例2)
キラル触媒
【化15】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は20%であり、得られた生成物のee値は10%である。
【0036】
(比較例3)
キラル触媒
【化16】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は55%であり、得られた生成物のee値は27%である。
【0037】
(比較例4)
キラル触媒
【化17】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は50%であり、得られた生成物のee値は48%である。
【0038】
(比較例5)
キラル触媒
【化18】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は90%であり、得られた生成物のee値は57%である。
【0039】
(比較例6)
キラル触媒
【化19】


を用い、実施例4と同じ条件で2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸5の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は90%であり、得られた生成物のee値は68%である。
【0040】
(実施例5)
2−ベンジルアクリル酸の触媒的不斉水素化
【化20】

【0041】
グローブボックス内において、触媒[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARF4(2.4mg,0.00125mmol)と2−ベンジルアクリル酸7(81mg,0.5mmol)と炭酸セシウム(82mg,0.25mmol)とを秤量して、攪拌子を備える反応内管に添加後、シールする。反応内管を取り出した後、無水メタノール(2mL)をシリンジによって添加する。その後反応内管を水素化反応器内に配置し、室温で混合液を攪拌しながら0.6MPaの水素圧力下で12時間反応させる。その後、攪拌を停止して水素を放出する。反応系の溶媒を回転蒸発除去して濃縮した後、3N塩酸溶液を用いて反応系のpHが3未満となるように調整する。ジエチルエーテル(10mL×3)による抽出と分液とにより有機相を収集し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過によって乾燥剤を除去後、溶媒を回転蒸発除去し、無色油状液体の目的生成物8を得る。H NMRの解析によれば、コンバージョン率(転化率)は100%であり、収率は94%である。
【0042】
[α]30D −31.9(c 1.0,CHCl); H NMR(400MHz,CDCl): δ 9.95 (brs, 1H, COOH), 7.31-7.18 (m, 5H, Ar-H), 3.08 (dd, J= 13.2 and 6.4 Hz, 1H, CH2), 2.77 (sextet, J= 6.8 Hz, 1H, CH), 2.67 (dd, J= 13.2 and 8.0 Hz, 1H, CH2), 1.18 (d, J= 6.8 Hz, 3H, CH3);フェニルアミドへの変換後、キラルSFC分析によるee値は91%である。
【0043】
(比較例7)
キラル触媒
【化21】


を用い、実施例5と同じ条件で2−ベンジルアクリル酸7の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%、収率は92%であり、得られた生成物のee値は47%である。
【0044】
(比較例8)
キラル触媒
【化22】


を用い、実施例5と同じ条件で2−ベンジルアクリル酸7の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%、収率は93%であり、得られた生成物のee値は23%である。
【0045】
(比較例9)
キラル触媒
【化23】


を用い、実施例5と同じ条件で2−ベンジルアクリル酸7の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%、収率は93%であり、得られた生成物のee値は71%である。
【0046】
(比較例10)
キラル触媒
【化24】


を用い、実施例5と同じ条件で2−ベンジルアクリル酸7の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%、収率は93%であり、得られた生成物のee値は73%である。
【0047】
(比較例11)
キラル触媒
【化25】


を用い、実施例5と同じ条件で2−ベンジルアクリル酸7の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%であり、得られた生成物のee値は21%である。
【0048】
(実施例6)
2−フェニルエチルアクリル酸の触媒的不斉水素化
【化26】

【0049】
グローブボックス内において、触媒[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARF4(2.4mg,0.00125mmol)と2−フェニルエチルアクリル酸9(88mg,0.5mmol)と炭酸セシウム(82mg,0.25mmol)とを秤量して、攪拌子を備える反応内管に添加後、シールする。反応内管を取り出した後、無水メタノール(2mL)をシリンジによって添加する。その後反応内管を水素化反応器内に配置し、室温で混合液を攪拌しながら0.6MPaの水素圧力下で24時間反応させる。その後、攪拌を停止して水素を放出する。反応系の溶媒を回転蒸発除去して濃縮した後、3N塩酸溶液を用いて反応系のpHが3未満となるように調整する。ジエチルエーテル(10mL×3)による抽出と分液とにより有機相を収集し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過によって乾燥剤を除去後、溶媒を回転蒸発除去し、無色油状液体の目的生成物10を得る。H NMRの解析によれば、コンバージョン率(転化率)は100%であり、収率は94%である。
【0050】
[α]20D−17.5(c 0.9,CHCl); H NMR(300MHz,CDCl): δ 10.98 (br s, 1H, COOH), 7.24-7.09 (m, 5H, Ar-H), 2.60 (t, J= 8.1 Hz, 2H, CH2), 2.50-2.38 (m, 1H, CH), 2.04-1.91 (m, 1H, CH2), 1.73-1.61 (m, 1H, CH2), 1.16 (d, J= 7.2 Hz, 3H, CH3);フェニルアミドへの変換後、キラルSFC分析によるee値は91%である。
【0051】
(比較例12)
キラル触媒
【化27】


を用い、実施例6と同じ条件で2−フェニルエチルアクリル酸9の触媒的不斉水素化反応を行った。この反応のコンバージョン率は100%、収率は91%であり、得られた生成物のee値は36%である。
【0052】
(実施例7)
2−フェノキシアクリル酸の触媒的不斉水素化
【化28】

【0053】
グローブボックス内において、触媒[(Sa−DTB−SIPHOX)Ir(COD)]BARF4(4.8mg,0.0025mmol)と2−フェノキシアクリル酸11(32mg,0.20mmol)と炭酸セシウム(41mg,0.125mmol)とを秤量して、攪拌子を備える反応内管に添加後、シールする。反応内管を取り出した後、無水メタノール(2mL)をシリンジによって添加する。その後反応内管を水素化反応器内に配置し、30℃で混合液を攪拌しながら0.6MPaの水素圧力下で24時間反応させる。その後、攪拌を停止して水素を放出する。反応系の溶媒を回転蒸発除去して濃縮した後、2N水酸化ナトリウム溶液とともに分液漏斗に転送し、石油エーテルによって抽出・分離を行い、3N塩酸溶液を用いて水相のpHが3未満となるように調整する。ジエチルエーテル(10mL×3)による抽出と分液とにより有機相を収集し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。吸引ろ過によって乾燥剤を除去後、溶媒を回転蒸発除去し、白色固体の目的生成物12を得る。H NMRの解析によれば、コンバージョン率(転化率)は100%であり、収率は90%である。
【0054】
H NMR(400MHz,CDCl): δ 7.70 (brs, 1H, COOH), 7.37-6.89 (m, 5H, Ar-H), 4.79 (sextet, J= 6.8 Hz, 1H, CH), 1.67 (d, J= 6.8 Hz, 3H, CH3);フェニルアミドへの変換後、キラルSFC分析によるee値は90%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有するスピロホスフィン−オキサゾリン。
【化1】


[ここで、n=0〜3であり、R、Rは、それぞれH、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、C〜Cアシルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ハロゲン基、フェニル基、(C〜Cアルキル)フェニル基、水酸化フェニル基、(C〜Cアルコキシ)フェニル基、(C〜Cアシルオキシル)フェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノフェニル基、(C〜Cアシルアミノ)フェニル基、(ジ(C〜Cアルキル)アミノ)フェニル基、(C〜Cアシル)フェニル基、(C〜Cエステル)フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、であり、或いは脂環又は芳香環の複合環であり(nが2以上の場合)、RとRとは同じでも良いし、異なっていても良く、
、R、R、Rは、それぞれH、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、C〜Cアシルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ハロゲン基、フェニル基、(C〜Cアルキル)フェニル基、水酸化フェニル基、(C〜Cアルコキシ)フェニル基、(C〜Cアシルオキシル)フェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノフェニル基、(C〜Cアシルアミノ)フェニル基、(ジ(C〜Cアルキル)アミノ)フェニル基、(C〜Cアシル)フェニル基、(C〜Cエステル)フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、であり、或いはR〜R、R〜Rは脂環又は芳香環の複合環であり、R、R、R、Rは同じでも良いし、異なっていても良く、
は、C〜Cアルキル基、フェニル基、(C〜Cアルキル)フェニル基、水酸化フェニル基、スルホフェニル基、(C〜Cアルコキシ)フェニル基、(C〜Cアシルオキシル)フェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノフェニル基、(C〜Cアシルアミノ)フェニル基、(ジ(C〜Cアルキル)アミノ)フェニル基、(C〜Cアシル)フェニル基、(C〜Cエステル)フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、である。]
【請求項2】
前記C〜Cアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、ネオヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ネオオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、又はシクロオクチル基、であり、
前記C〜Cアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、ネオヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、ネオオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、又はシクロオクチルオキシ基、であり、
前記C〜Cアシル基は、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、n−ペンタノイル基、イソペンタノイル基、sec−ペンタノイル基、ネオペンタノイル基、n−ヘキサノイル基、イソヘキサノイル基、ネオヘキサノイル基、sec−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、イソヘプタノイル基、ネオヘプタノイル基、sec−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、イソオクタノイル基、ネオオクタノイル基、sec−オクタノイル基、1−シクロプロピルホルミル基、1−シクロブチルホルミル基、1−シクロペンチルホルミル基、1−シクロヘキシルホルミル基、又は1−シクロヘプチルホルミル基、であり、
前記C〜Cアシルオキシル基は、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、イソペンタノイルオキシ基、sec−ペンタノイルオキシ基、ネオペンタノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、イソヘキサノイルオキシ基、ネオヘキサノイルオキシ基、sec−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、イソヘプタノイルオキシ基、ネオヘプタノイルオキシ基、sec−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、イソオクタノイルオキシ基、ネオオクタノイルオキシ基、sec−オクタノイルオキシ基、1−シクロプロピルホルミルオキシ基、1−シクロブチルホルミルオキシ基、1−シクロペンチルホルミルオキシ基、1−シクロヘキシルホルミルオキシ基、又は1−シクロヘプチルホルミルオキシ基、であり、
前記C〜Cエステル基は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基、sec−ヘキシルオキシカルボニル基、tert−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、イソヘプチルオキシカルボニル基、ネオヘプチルオキシカルボニル基、sec−ヘプチルオキシカルボニル基、tert−ヘプチルオキシカルボニル基、又はシクロヘプチルオキシカルボニル基、であり、
前記ハロアルキル基は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、を含むハロアルキル基である請求項1に記載のスピロホスフィン−オキサゾリン。
【請求項3】
同じ化学構造式を有するが三次元構造及び光学特性が異なるラセミ体、すなわち右旋性の異性体と左旋性の異性体、を含む請求項1に記載のスピロホスフィン−オキサゾリン。
【請求項4】
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ジフェニルホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(4−メチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデン、又は、
7−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−ベース)−7’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ−1,1’−Lo−ジヒドロ−インデンである請求項1記載のスピロホスフィン−オキサゾリン。
【請求項5】
置換された7−ジアリールホスフィノ−7’−カルボキシ1,1'−Lo−ジヒドロ−インデンを出発原料とし、テトラヒドロフラン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、及びエチレングリコールジメチルエーテルの中の一種又は複数種からなる有機溶媒中において、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及びN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、アミノエタノールと縮合反応させて、対応するアミドアルコール化合物を得る工程と、
前記工程により得られたアミドアルコール化合物を、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンの中の一種又は複数種を溶媒として使用し、N、N−ジメチル−4−アミノピリジンの触媒作用により、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンを酸結合剤として、塩化メチルスルホニル又は塩化パラトルエンスルホニルと反応させ、新規スピロホスフィン−オキサゾリンを得る工程と、を含み、下記の反応式で表される請求項1に記載のスピロホスフィン−オキサゾリンの製造方法。
【化2】


[ここで、n=0〜3であり、R、R、R、R、R、R、Rは請求項1において定義されたものと同じであり、DCCはN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、MsClは塩化メチルスルホニルであり、NEtはトリエチルアミンである。]
【請求項6】
以下の構造を備える、請求項1に記載のスピロホスフィン−オキサゾリンを用いて製造されるスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体。
【化3】

[ここで、

【化4】


はシクロオクタジエンであり、n=0〜3であり、R、R、R、R、R、R、Rは請求項1において定義されたものと同じであり、Xは、ハロゲン、C〜Cカルボキシレート、硫酸、四(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸、四(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、四(パーフルオロ−tert−ブトキシ)アルミニウムイオン、四(ヘキサフルオロイソプロポキシ)アルミニウムイオン、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸であり、シクロオクタジエニル配位子は、エチレン又はノルボルナジエンによって置換可能である。]
【請求項7】
20〜50℃の温度条件下、ジクロロメタン、トリクロロメタン、及び1,2−ジクロロエタンの中の一種又は複数種からなる有機溶媒中において、スピロホスフィン−オキサゾリンとイリジウム化合物とナトリウム塩とを反応させて生成物を得て、更に陰イオン交換により、異なる陰イオンを備えるスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体を得る工程を有し、以下の反応式で表される請求項6に記載のスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体の製造方法。
【化5】


[ここで、n=0〜3であり、R、R、R、R、R、R、R、Xは、請求項6において定義されたものと同じであり、CODは1,5−シクロオクタジエニルであり、シクロオクタジエニル配位子は、エチレン又はノルボルナジエンによって置換可能であり、ナトリウム塩は、対応するカリウム塩、アンモニウム塩、銀塩、又はタリウム塩によって置換可能である。]
【請求項8】
請求項6に記載のスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体の、以下の反応式で示されるα−置換アクリル酸の不斉水素化反応における触媒としての応用。
【化6】


[ここで、[Ir]は請求項6に記載のスピロホスフィン−オキサゾリンのイリジウム錯体であり、Rは、ハロゲン基、C〜Cアルキル基、ハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、C〜Cアシルオキシル基、C〜Cアシル基、C〜Cエステル基、C〜Cアシルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニル基、(C〜Cアルキル)フェニル基、水酸化フェニル基、(C〜Cアルコキシ)フェニル基、(C〜Cアシルオキシル)フェニル基、ハロゲン化フェニル基、アミノフェニル基、(C〜Cアシルアミノ)フェニル基、(ジ(C〜Cアルキル)アミノ)フェニル基、(C〜Cアシル)フェニル基、(C〜Cエステル)フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、であり、「*(星印)」をつけた位置はキラル中心である。]
【請求項9】
アルゴンガス又は窒素ガスの保護下で前記触媒と基質とを反応器内管に添加し、添加剤と溶媒とを更に添加して、反応器を封止するとともに反応器内を水素ガスによって3〜5回置換し、その後反応器内を水素ガスで充填し、反応終了まで攪拌する触媒的水素化反応において、
前記触媒的水素化反応の反応条件が、前記溶媒としてC〜Cアルコールを用い、前記触媒の量は0.001〜1mol%であり、前記基質の濃度は0.001〜10.0Mであり、前記添加剤は、イソプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、カリウムtert−ブトキシド、水酸化セシウム、及び炭酸セシウム、の中の一種又は複数種であり、反応温度は0〜100℃であり、水素ガス圧力は0.1〜10MPaであり、反応時間は0.5〜48時間である請求項8に記載の応用。
【請求項10】
前記溶媒はメタノールであり、前記添加剤はトリエチルアミン又は炭酸セシウムであり、α,β−不飽和カルボン酸は、2−(4−イソブチルフェニル)アクリル酸、2−ベンジルアクリル酸、2−フェニルエチルアクリル酸、又は2−フェノキシアクリル酸である請求項8に記載の応用。

【公表番号】特表2011−518788(P2011−518788A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505350(P2011−505350)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【国際出願番号】PCT/CN2009/070229
【国際公開番号】WO2009/129700
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510283476)浙江九洲▲薬▼▲業▼股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】