説明

スピーカシステムおよび嵌め込み装置

【課題】バスレフ型のスピーカシステムとして、システムの大型化を来たすことなく、ダクトの有効長を十分に大きくすることができ、十分な低域増強効果を得ることができるとともに、ダクトを確実に密閉できるようにする。
【解決手段】フロントバッフル20には、ダクト前方部22を一体に形成し、リアバッフル30には、スピーカユニット1の背面と対向する位置に開口部32を形成し、ダクト前方部22と対向する位置にダクト連結部33を一体に形成するとともに、背面側に嵌め込み部35を一体に形成する。嵌め込み部35は、断面形状が半筒状のものとし、その背面には、周回する溝を形成する。嵌め込み部品40は、断面形状が半筒状の部品として、骨格部をABSとし、周縁部をエラストマとして、ダブルモールドによって形成する。その嵌め込み部品40の周縁部をリアバッフル30の周回する溝内に挿入し、嵌め込み部品40をリアバッフル30に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低域共振用のダクトを備える、いわゆるバスレフ型のスピーカシステム、および、2本の管を連結する場合などに用いる嵌め込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バスレフ型のスピーカシステムは、スピーカユニットの背面から発生する低音を、ダクト内を通すことによって位相反転させ、スピーカユニットの前面から発生する低音と同じ位相にして、スピーカユニットの前面側に放射することによって、低域の特性を改善し、低域を増強するものである。
【0003】
従来、このバスレフ型のスピーカシステムは、特許文献1(特開2003−61177号公報)や特許文献2(特開2003−324795号公報)に示されているように、スピーカエンクロージャ内に、スピーカユニットの前後方向に延長したダクトを設けたものとされている。
【0004】
図9に、この従来のスピーカシステムの概略的な断面構造を示す。このスピーカシステムは、筐体10、フロントバッフル20およびリアバッフル30からなるスピーカエンクロージャ内に、スピーカユニット1が収納され、ダクト9が設けられたもので、スピーカユニット1は、開口21の位置でフロントバッフル20に取り付けられ、ダクト9は、フロントバッフル20と一体に形成される。
【0005】
スピーカユニット1の背面から発生した低音は、ダクト9の後方端から、ダクト9内を通って、フロントバッフル20の前方側に放射される。
【0006】
なお、特許文献3(特開2006−253948号公報)には、バスレフ型のスピーカ装置をテレビジョン受信機などの画像表示装置に搭載する場合のように、スピーカボックスを薄型化する場合にも、バスレフ用のダクトの経路を長くすることができるように、ダクトの経路を曲げるとともに、スピーカユニットの前後方向に対して垂直な方向に延びたダクト部分を設けることが示されている。
【0007】
上に挙げた先行技術文献は、以下の通りである。
【特許文献1】特開2003−61177号公報
【特許文献2】特開2003−324795号公報
【特許文献3】特開2006−253948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図9に示した従来のスピーカシステムでは、ダクト9の全長を筐体10の奥行きLより短くしなければならないため、ダクト9の有効長を十分に大きくすることができず、十分な低域増強効果を得ることができない。
【0009】
もちろん、筐体10の奥行きLを長くすれば、ダクト9の有効長を大きくすることができるが、そうすると、スピーカシステムが大きくなってしまうだけでなく、デザイン的にも好ましくなくなる。
【0010】
また、図9に示した従来のスピーカシステムでは、ダクト9の後方端部を大きく口が開いた曲面にすることが難しいため、ダクト9内の流速が急激に変化し、風切り音が発生しやすい。
【0011】
フロントバッフル20とは別の部品として、大きく口が開いた曲面を有する管体を作成して、ダクト9の後方端面に連結することも考えられるが、そうすると、製造コストが高くなり、組み立て工数が多くなる。
【0012】
そこで、この発明は、バスレフ型のスピーカシステムとして、スピーカシステムの大型化を来たすことなく、ダクトの有効長を十分に大きくすることができ、十分な低域増強効果を得ることができるとともに、ダクトを確実に密閉することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明のスピーカシステムは、
筐体と、
この筐体の前面に取り付けられたフロントバッフルと、
このフロントバッフルの背面に取り付けられて、上記筐体内に収納されたスピーカユニットと、
上記筐体の背面に取り付けられたリアバッフルと、
このリアバッフルの背面側に嵌合された嵌め込み部品とを備え、
上記フロントバッフルには、その背面側にダクト前方部が一体に形成され、
上記リアバッフルには、上記スピーカユニットの背面と対向する位置に開口部が形成され、上記ダクト前方部と対向する位置にダクト連結部が一体に形成されるとともに、上記開口部から上記ダクト連結部に渡って後方側に突出した、断面形状が半筒状の嵌め込み部が一体に形成され、
上記開口部、上記嵌め込み部および上記ダクト連結部の背面には、これら三者を周回する溝が形成されるとともに、上記嵌め込み部の上記溝の外側の壁には、嵌合用の穴が形成され、
上記嵌め込み部品は、断面形状が半筒状の部品として、骨格部が相対的に硬質な第1の樹脂材料により、周縁部が相対的に柔軟な第2の樹脂材料により、ダブルモールドによって形成されるとともに、その上記骨格部の外側面には、嵌合用の爪が形成され、
上記ダクト前方部の後方端面と上記ダクト連結部の前方端面とが、両者間が密閉される状態で突き合わされ、
上記周縁部が上記溝内に、その底面に突き当たる位置まで挿入され、上記爪が上記穴に嵌合して、上記嵌め込み部および上記嵌め込み部品によってダクト後方部が形成されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成の、この発明のスピーカシステムでは、リアバッフルのスピーカユニットの背面と対向する開口部をダクト開始部として、これからリアバッフルの嵌め込み部および嵌め込み部品によって形成されたダクト後方部を通り、さらにリアバッフルに形成されたダクト連結部およびフロントバッフルに形成されたダクト前方部を通って、フロントバッフルの前面側に抜けるダクトが形成され、ダクトの全長を筐体の奥行きに比べて十分に長くすることができる。したがって、スピーカシステムの大型化を来たすことなく、ダクトの有効長を十分に大きくすることができ、十分な低域増強効果を得ることができる。
【0015】
しかも、嵌め込み部品は、骨格部が相対的に硬質な樹脂材料により、周縁部が相対的に柔軟な樹脂材料により、ダブルモールドによって形成されて、周縁部がパッキング部材として作用するので、ダクト後方部においてもダクトが確実に密閉される。
【0016】
さらに、ダクト開始部となるリアバッフルの開口部は、容易に大きく口が開いた曲面にすることができ、ダクト内の流速の急激な変化を抑えて、風切り音の発生を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[1.スピーカシステムの概略構成:図1]
図1に、この発明のスピーカシステムの概略的な断面構造を示す。
【0018】
この発明のスピーカシステムでは、低域共振用のダクト5として、リアバッフル30のスピーカユニット1の背面と対向する位置から、筐体10の後方側に展開され、さらに方向を変えて筐体10の内部を貫通し、フロントバッフル20の前面側に抜けるものを形成する。
【0019】
これによれば、ダクト5の全長を筐体10の奥行きLに比べて十分に長くすることができ、スピーカシステムの大型化を来たすことなく、ダクト5の有効長を十分に大きくすることができ、十分な低域増強効果を得ることができる。
【0020】
しかし、このダクト5中の、フロントバッフル20から後方に直線的に延びる部分は、フロントバッフル20と一体に形成することができるが、筐体10の後方に突出した部分を含むリアバッフル30側の部分は、その全てをリアバッフル30と一体に形成することができず、リアバッフル30と一体に形成した部分に別に形成した部品を組み付ける必要があり、そのため、組み付け部の密閉性の確保が問題となる。
【0021】
一般に、ある部品に別の部品を組み付ける際に密閉性を得る方法としては、ウレタンやコルクなどのガスケットを使用する方法、ゴム製のオーリングやヒメロンなどの不織布を利用する方法、ボンドを塗布する方法などがある。
【0022】
しかし、ガスケットを使用する方法は、組み付けは容易にできるが、組み合わせ面が3次元形状や曲面になると形状的に追従することができず、平面での突き合わせにしか用いることができない。オーリングは、成形で作成すれば、ある程度の形状追従が可能であるが、複雑な形状の部分や大きな部分では、筐体へのセットが困難となる。不織布も、複雑な形状になると、追従が不可能となる。さらに、ボンドを塗布する方法や、液体パッキンを使用する方法は、作業性が悪く、工数が増加するだけでなく、塗布量が一定しないため、隙間が開く、はみ出すなどの問題がある。
【0023】
そのため、この発明のスピーカシステムは、具体的には、以下のように構成する。
【0024】
[2.スピーカシステムの実施形態:図2〜図6]
図2に、この発明のスピーカシステムの一例を、各構成部品を分解した状態で示す。
【0025】
この例のスピーカシステムは、スピーカユニット1、筐体10、フロントバッフル20、リアバッフル30、嵌め込み部品40、防塵メッシュ51、ゴムパッキング52,53,54、リアカバー55および台座56によって構成する。
【0026】
筐体10は、アルミニウムなどによって筒状に形成し、一側に脚部11を形成する。
【0027】
台座56は、上下の枠体57,58間に、スピーカユニット1を駆動する回路などが設けられた基板59を収納し、筐体10は、その脚部11を枠体57に形成された長穴57aに挿入して、台座56に支持する。
【0028】
フロントバッフル20は、例えばABSのモールドによって形成する。フロントバッフル20には、スピーカユニット1の前面が臨む開口21を形成し、取り付け用の穴29を形成するとともに、前後方向に延長するダクト前方部22を一体に形成する。
【0029】
ダクト前方部22の前方側の開口部23は、大きく口が開いた曲面にし、ダクト前方部22の後方端面24は、前後方向に対して垂直な面とする。
【0030】
そして、開口21の周辺位置でフロントバッフル20の背面にスピーカユニット1を取り付け、筐体10の前面凹部12にゴムパッキング52を嵌め込んだ状態で、フロントバッフル20の周辺部を筐体10の前面に突き合わせ、穴29の位置でネジによってフロントバッフル20を筐体10に取り付け、その後、防塵メッシュ51をフロントバッフル20に被せる。
【0031】
リアバッフル30も、例えばABSのモールドによって形成する。リアバッフル30には、スピーカユニット1の背面と対向する位置に開口部32を形成し、取り付け用の穴39を形成するとともに、フロントバッフル20のダクト前方部22と対向する位置にダクト連結部33および補強用リブ34を一体に形成し、背面側に後述のような嵌め込み部35を一体に形成する。
【0032】
リアバッフル30の嵌め込み部35には、この嵌め込み部35と共にダクト後方部38を形成する後述のような嵌め込み部品40を嵌め込む。
【0033】
そして、フロントバッフル20のダクト前方部22の後方端面24にゴムパッキング53を嵌め込み、筐体10の背面凹部にゴムパッキング54を嵌め込み、リアバッフル30の嵌め込み部35に嵌め込み部品40を嵌め込み、リアバッフル30および嵌め込み部品40の背面側にリアカバー55を被せた状態で、ダクト連結部33の前方端面をダクト前方部22に嵌め込まれたゴムパッキング53に突き合わせ、リアバッフル30の周辺部を筐体10の背面に突き合わせ、リアカバー55の穴55aおよびリアバッフル30の穴39の位置でネジによってリアバッフル30およびリアカバー55を筐体10に取り付ける。
【0034】
図3〜図6に、リアバッフル30および嵌め込み部品40の構成を詳細に示す。図3は、嵌め込み部品40がリアバッフル30に嵌め込まれる前の状態を背面側から見た図であり、図4は、嵌め込み部品40がリアバッフル30に嵌め込まれる前の状態を前面側から見た図であり、図5は、嵌め込み部品40がリアバッフル30に嵌め込まれた状態をリアバッフル30の中央の位置で断面にして示す図であり、図6は、図5の一部を拡大して示す図である。
【0035】
リアバッフル30の背面側には、開口31を形成する開口部32の筒状部分32aから、ダクト連結部33の延長部分33aに渡って、後方側に突出した、断面形状が半筒状の嵌め込み部35を一体に形成する。
【0036】
さらに、開口部32の筒状部分32a、嵌め込み部35、およびダクト連結部33の延長部分33aの背面には、これら三者を周回する溝36を形成するとともに、嵌め込み部35の溝36の外側の壁には、嵌合用の穴37を複数形成する。
【0037】
フロントバッフル20のダクト前方部22の開口部23と同様に、リアバッフル30の開口部32も、大きく口が開いた曲面にする。
【0038】
一方、嵌め込み部品40は、断面形状が半筒状の部品として、ダブルモールドによって、骨格部41を相対的に硬質な樹脂材料により形成し、周縁部43を相対的に柔軟な樹脂材料により形成する。一例として、骨格部41の樹脂材料としてはABSを用い、周縁部43の樹脂材料としてはエラストマを用いる。
【0039】
さらに、骨格部41の周縁部43に近い外側面には、嵌合用の爪(凸部)42を複数形成する。
【0040】
嵌め込み部品40は、その周縁部43および骨格部41の周縁部43に近い部分を、リアバッフル30の溝36内に、周縁部43が溝36の底面に突き当たる位置まで挿入し、嵌め込み部品40の爪42を、リアバッフル30の嵌め込み部35の穴37に嵌合する。
【0041】
このとき、図6に示すように、嵌め込み部品40のエラストマからなる周縁部43が、ABSからなる溝36の底面部分によって0.2mm程度押されて変形し、溝36の底面部分に密着して、嵌め込み部35および嵌め込み部品40によって形成されるダクト後方部38が確実に密閉されるとともに、爪42が穴37に嵌合していることによって、その密閉状態が保持される。
【0042】
したがって、この例のスピーカシステムでは、上述したように、スピーカシステムの大型化を来たすことなく、ダクトの有効長を十分に大きくすることができ、十分な低域増強効果を得ることができるだけでなく、ダクト開始部となるリアバッフル30の開口部32から、ダクト終了部となるフロントバッフル20の開口部23に渡って、ダクトを確実に密閉することができる。
【0043】
しかも、そのために特別の道具を必要としないとともに、組み立て工数も増加せず、単にダブルモールドによって形成された嵌め込み部品40をリアバッフル30に嵌め込むだけでよい。
【0044】
さらに、ダクト開始部となるリアバッフル30の開口部32も、容易に大きく口が開いた曲面にすることができ、ダクト内の流速の急激な変化を抑えて、風切り音の発生を低減させることができる。
【0045】
なお、フロントバッフル20と筐体10との間、およびリアバッフル30と筐体10との間を、それぞれゴムパッキング52および54によって密閉する代わりに、例えば、フロントバッフル20およびリアバッフル30を、それぞれの周縁部をエラストマなどの相対的に柔軟な樹脂材料により形成するように、ダブルモールドによって形成し、そのフロントバッフル20およびリアバッフル30の周縁部を筐体10に嵌合して、フロントバッフル20と筐体10との間、およびリアバッフル30と筐体10との間を、それぞれ密閉するようにしてもよい。
【0046】
フロントバッフル20のダクト前方部22とリアバッフル30のダクト連結部33との間についても、ゴムパッキング53によって密閉する代わりに、例えば、フロントバッフル20を、そのダクト前方部22の後方端縁をエラストマなどの相対的に柔軟な樹脂材料により形成するように、ダブルモールドによって形成し、そのダクト前方部22の後方端縁をダクト連結部33の前方端面に嵌合して、ダクト前方部22とダクト連結部33との間を密閉するようにしてもよい。
【0047】
[3.嵌め込み装置の実施形態:図7および図8]
この発明に係る嵌め込み構造は、バスレフ型のスピーカシステムのダクト以外にも適用することができる。
【0048】
図7および図8に、その一例を示す。図8は、図7のラインA−Aの位置での断面を示し、図6に対応するものである。
【0049】
この例は、機器筐体91の図7において左側の機器内部に平行に配設された、排気用または排水用のダクトなどを構成する2本の管92および93を、機器の外側で連結する場合である。
【0050】
この例の嵌め込み装置60は、ベース部品70および嵌め込み部品80によって構成する。
【0051】
ベース部品70は、機器筐体91の窓部に取り付けるもので、例えばABSのモールドによって形成する。
【0052】
ベース部品70は、上記の例のスピーカシステムのリアバッフル30に対応するが、この例の嵌め込み装置60では、ベース部品70の機器内側となる面側には、2個の筒部72および73を一体に形成し、ベース部品70の機器外側となる面側には、筒部72の延長部分72aから、筒部73の延長部分73aに渡って、上記の例のスピーカシステムのリアバッフル30の嵌め込み部35と同様の、外側に突出した、断面形状が半筒状の嵌め込み部75を一体に形成する。
【0053】
さらに、上記の例のスピーカシステムのリアバッフル30と同様に、筒部72の延長部分72a、嵌め込み部75、および筒部73の延長部分73aの外側端面には、これら三者を周回する溝76を形成するとともに、嵌め込み部75の溝76の外側の壁には、嵌合用の穴77を複数形成する。
【0054】
一方、嵌め込み部品80は、上記の例のスピーカシステムの嵌め込み部品40と同様に、断面形状が半筒状の部品として、ダブルモールドによって、骨格部81を相対的に硬質な樹脂材料により形成し、周縁部83を相対的に柔軟な樹脂材料により形成する。一例として、骨格部81の樹脂材料としてはABSを用い、周縁部83の樹脂材料としてはエラストマを用いる。
【0055】
さらに、骨格部81の周縁部83に近い外側面には、嵌合用の爪(凸部)82を複数形成する。
【0056】
嵌め込み部品80は、その周縁部83および骨格部81の周縁部83に近い部分を、ベース部品70の溝76内に、周縁部83が溝76の底面に突き当たる位置まで挿入し、嵌め込み部品80の爪82を、ベース部品70の嵌め込み部75の穴77に嵌合する。
【0057】
このとき、嵌め込み部品80のエラストマからなる周縁部83が、ABSからなる溝76の底面部分によって0.2mm程度押されて変形し、溝76の底面部分に密着して、嵌め込み部75および嵌め込み部品80によって形成されるパイプ部が確実に密閉されるとともに、爪82が穴77に嵌合していることによって、その密閉状態が保持される。
【0058】
この例の嵌め込み装置60は、上記のように嵌め込み部品80が嵌め込まれた状態の、または嵌め込み部品80が嵌め込まれる前のベース部品70を、その筒部72および73を管92および93に突き合わせて、機器筐体91に取り付け、嵌め込み部品80を嵌め込む前にベース部品70を機器筐体91に取り付ける場合には、その取り付け後、上記のように嵌め込み部品80をベース部品70に嵌め込む。
【0059】
このとき、例えば、管92および93のベース部品70側の端面に、それぞれゴムパッキングを嵌合し、筒部72および73を、そのゴムパッキングに突き合わせて、管92と筒部72との間、および管93と筒部73との間を、それぞれ密閉する。
【0060】
これによって、管92と管93との間で、嵌め込み装置60によって形成されるパイプ部を通じて、気体または液体を流すことができる。
【0061】
さらに、この例では、管92,93内に詰まった異物を除去するときや、管92,93内を清掃するときには、一旦、気体または液体の流通を止めた上で、ベース部品70の穴77が形成された壁を外側に広げて、嵌め込み部品80の爪82を穴77から外し、嵌め込み部品80をベース部品70から取り外して、筒部72,73の延長部分72a,73aから、管92,93内に詰まった異物を除去し、管92,93内を清掃することができる。
【0062】
嵌め込み装置が取り付けられる機器や器具によっては、図7の例のようにベース部品70の内側に筒部72および73を形成することなく、ベース部品70の嵌め込み部75の両端部を、例えば、上記の例のスピーカシステムのリアバッフル30の開口部32のような開口部としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明のスピーカシステムの概略的な断面構造を示す図である。
【図2】この発明のスピーカシステムの一例を各構成部品を分解した状態で示す図である。
【図3】この発明のスピーカシステムの一例の嵌め込み部品がリアバッフルに嵌め込まれる前の状態を背面側から見た図である。
【図4】この発明のスピーカシステムの一例の嵌め込み部品がリアバッフルに嵌め込まれる前の状態を前面側から見た図である。
【図5】この発明のスピーカシステムの一例の嵌め込み部品がリアバッフルに嵌め込まれた状態をリアバッフルの中央の位置で断面にして示す図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】この発明の嵌め込み装置の一例を示す図である。
【図8】図7のラインA−Aの位置での断面を示す図である。
【図9】従来のバスレフ型のスピーカシステムの概略的な断面構造を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
主要部については図中に全て記述したので、ここでは省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
この筐体の前面に取り付けられたフロントバッフルと、
このフロントバッフルの背面に取り付けられて、上記筐体内に収納されたスピーカユニットと、
上記筐体の背面に取り付けられたリアバッフルと、
このリアバッフルの背面側に嵌合された嵌め込み部品とを備え、
上記フロントバッフルには、その背面側にダクト前方部が一体に形成され、
上記リアバッフルには、上記スピーカユニットの背面と対向する位置に開口部が形成され、上記ダクト前方部と対向する位置にダクト連結部が一体に形成されるとともに、上記開口部から上記ダクト連結部に渡って後方側に突出した、断面形状が半筒状の嵌め込み部が一体に形成され、
上記開口部、上記嵌め込み部および上記ダクト連結部の背面には、これら三者を周回する溝が形成されるとともに、上記嵌め込み部の上記溝の外側の壁には、嵌合用の穴が形成され、
上記嵌め込み部品は、断面形状が半筒状の部品として、骨格部が相対的に硬質な第1の樹脂材料により、周縁部が相対的に柔軟な第2の樹脂材料により、ダブルモールドによって形成されるとともに、その上記骨格部の外側面には、嵌合用の爪が形成され、
上記ダクト前方部の後方端面と上記ダクト連結部の前方端面とが、両者間が密閉される状態で突き合わされ、
上記周縁部が上記溝内に、その底面に突き当たる位置まで挿入され、上記爪が上記穴に嵌合して、上記嵌め込み部および上記嵌め込み部品によってダクト後方部が形成されている、
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項2】
請求項1のスピーカシステムにおいて、
上記リアバッフルは、上記第1の樹脂材料のモールドによって形成されていることを特徴とするスピーカシステム。
【請求項3】
請求項1のスピーカシステムにおいて、
上記第1の樹脂材料がABSであり、上記第2の樹脂材料がエラストマであることを特徴とするスピーカシステム。
【請求項4】
ベース部品と嵌め込み部品とを備え、
上記ベース部品には、その一面側である外側に突出した、断面形状が半筒状の嵌め込み部が一体に形成され、
上記嵌め込み部の上記外側の端面には、上記嵌め込み部を周回する溝が形成されるとともに、上記嵌め込み部の上記溝の外側の壁には、嵌合用の穴が形成され、
上記嵌め込み部品は、断面形状が半筒状の部品として、骨格部が相対的に硬質な第1の樹脂材料により、周縁部が相対的に柔軟な第2の樹脂材料により、ダブルモールドによって形成されるとともに、その上記骨格部の外側面には、嵌合用の爪が形成され、
上記周縁部が上記溝内に、その底面に突き当たる位置まで挿入され、上記爪が上記穴に嵌合することによって、上記嵌め込み部および上記嵌め込み部品によってパイプ部が形成される、
ことを特徴とする嵌め込み装置。
【請求項5】
請求項4の嵌め込み装置において、
上記ベース部品は、上記第1の樹脂材料のモールドによって形成されていることを特徴とする嵌め込み装置。
【請求項6】
請求項4の嵌め込み装置において、
上記第1の樹脂材料がABSであり、上記第2の樹脂材料がエラストマであることを特徴とする嵌め込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−55157(P2009−55157A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217909(P2007−217909)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】