説明

スピードスプレーヤ

【課題】 高い位置と低い位置の双方に対して未散布の部分を生じることなく均一かつ満遍なく薬液散布するとともに、一台のスピードスプレーヤにより実現して付加価値及びコストパフォーマンスを高める。
【解決手段】 薬液タンク10から供給される薬液Lを複数の噴霧ノズル部N…から少なくとも上方に噴霧する薬液噴霧機構部2を備えるスピードスプレーヤ1を構成するに際して、少なくとも複数の噴霧ノズル部N…を含む薬液噴霧機構部2の一部又は全部を上下方向へ変位可能に支持する噴霧機構支持部3と、この噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へ選択的に変位させる噴霧機構移動部4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液タンクから供給される薬液を複数の噴霧ノズル部から噴霧する薬液噴霧機構部を備えるスピードスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、果樹園や農耕地などの圃場内を走行しながら薬液を散布し、防除作業を行うスピードスプレーヤは知られており、この種のスピードスプレーヤは、薬液タンクから供給される薬液を複数の噴霧ノズル部から上方,左方及び右方に噴霧する薬液噴霧機構部を搭載している。
【0003】
従来、このような薬液噴霧機構部としては、特許文献1で開示されるスピードスプレーヤの薬液噴霧装置が知られている。同文献1には、薬液タンクから複数の噴霧ノズルに薬液を供給し、各噴霧ノズルから薬液を噴霧するスピードスプレーヤの薬液噴霧装置において、噴霧ノズルから薬液を噴霧する複数の噴霧系統と、薬液タンクから各噴霧系統に対して異なる噴霧圧力の薬液を供給する異圧薬液供給手段と、各噴霧系統に対する薬液の供給又は停止を切換える切換手段とを備えて構成したスピードスプレーヤの薬液噴霧装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−205126号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来におけるスピードスプレーヤの薬液噴霧装置(薬液噴霧機構部)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0005】
通常、スピードスプレーヤの車高は、リンゴや桃等のように比較的大きな樹木に対して薬液散布を行う場合にはほとんど問題になることはないが、ブドウ栽培のような棚作の場合、スピードスプレーヤの車高は無視できない問題となる。即ち、スピードスプレーヤに搭載する薬液噴霧機構部は、図10に示すように、複数の噴霧ノズル部N…が所定間隔置きに配されるとともに、各噴霧ノズル部N…間の間隔は、送風性能の確保やコスト面を考慮してある程度の広さを確保している。このため、特に、車高が120〔cm〕前後となる中型或いは大型のスピードスプレーヤにより薬液散布を行う場合、比較的高い位置Haにあるリンゴや桃等に対しては、各噴霧ノズル部N…から噴霧されるミスト状の薬液Lが比較的均一かつ満遍なく散布されるが、高さが170〔cm〕程度に設置されるブドウ棚の場合には、比較的低い位置Hgにブドウ等があるため、各噴霧ノズル部N…がブドウ等に接近し、図10に示すように、薬液Lの散布に濃淡のムラが生じたり、未散布の部分Ln…が発生してしまう。したがって、栽培農家がリンゴや桃等の栽培に加え、ブドウ栽培等の棚作を行う場合、所有するスピードスプレーヤを使用しても良好な薬液散布を行うことができなかったり、或いは使用することができない問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したスピードスプレーヤの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するため、薬液タンク10から供給される薬液Lを複数の噴霧ノズル部N…から少なくとも上方に噴霧する薬液噴霧機構部2を備えるスピードスプレーヤ1を構成するに際して、少なくとも複数の噴霧ノズル部N…を含む薬液噴霧機構部2の一部又は全部を上下方向へ変位可能に支持する噴霧機構支持部3と、この噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へ選択的に変位させる噴霧機構移動部4を設けたことを特徴とする。
【0008】
この場合、発明の好適な態様により、噴霧機構支持部3は、送風ファン5fを含む風洞部5及び複数の噴霧ノズル部N…を備える薬液噴霧機構部2の全部を支持することができるとともに、噴霧機構支持部3には、薬液噴霧機構部2における前端部2fの上部2u及び下部2dを支持するリニアガイド6up,6uq,6dp,6dqを用いることができる。なお、噴霧機構移動部4には、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へ昇降移動させる一又は二以上の動力アクチュエータ部7a,7b,7cを用いてもよいし、或いは噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へマニュアル操作により昇降移動させる手動操作部8を用いてもよい。
【発明の効果】
【0009】
このような構成を有する本発明に係るスピードスプレーヤ1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0010】
(1) 噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を少なくとも上位置Xuと下位置Xdへ選択的に変位させる噴霧機構移動部4を設けたため、高い位置に対する薬液散布と低い位置に対する薬液散布の双方を良好に行うことができる。即ち、高い位置にあるリンゴや桃等に加えて、棚作による低い位置にあるブドウ等に対しても、未散布の部分を生じることなく均一かつ満遍なく薬液散布することができる。しかも、一台のスピードスプレーヤ1により実現できるため、スピードスプレーヤ1の付加価値、更にはコストパフォーマンスを飛躍的に高めることができる。
【0011】
(2) スピードスプレーヤ1は、凹凸や段差のある地面を走行することが多いため、最低地上高はある程度高くすることが望ましいが、薬液噴霧機構部2を上位置Xuに対して下位置Xdに変位させる選択モードを備えるため、上位置Xuをより高い位置に設定することができる。したがって、上位置Xuで使用するリンゴや桃等に対する薬液散布や一般道路等の走行、更には凹凸や段差の大きい地面の走行等における走行性能(走行性)を高めることができる。
【0012】
(3) 好適な態様により、噴霧機構支持部3を構成するに際し、送風ファン5fを含む風洞部5及び複数の噴霧ノズル部N…を備える薬液噴霧機構部2の全部を支持するようにすれば、噴霧ノズル部N…の変位に対応して、送風機5fを有する風洞部5も一体に変位させることができるため、上位置Xuと下位置Xdにおける薬液噴霧機構部2の基本的な噴霧能力の変動が回避され、もって、噴霧能力(噴霧性能)の安定性を確保できる。
【0013】
(4) 好適な態様により、噴霧機構支持部3を構成するに際し、薬液噴霧機構部2における前端部2fの上部2u及び下部2dを支持するリニアガイド6up,6uq,6dp,6dqを用いれば、薬液噴霧機構部2及びその周辺部位の大型化を招くことなく、小型コンパクトに構成することができる。
【0014】
(5) 好適な態様により、噴霧機構移動部4を構成するに際し、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へ昇降移動させる一又は二以上の動力アクチュエータ部7a,7b,7cを用いれば、運転席に設けた操作スイッチ等により遠隔操作できるため、利便性の向上に寄与できる。
【0015】
(6) 好適な態様により、噴霧機構移動部4を構成するに際し、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、少なくとも上位置Xuと下位置Xdの二位置へマニュアル操作により昇降移動させる手動操作部8を用いれば、簡易な構造により構築できるため、低コスト性に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
まず、本実施形態に係るスピードスプレーヤ1の理解を容易にするため、スピードスプレーヤ全体の概略構成について、図6を参照して説明する。
【0018】
スピードスプレーヤ1において、51はシャーシであり、このシャーシ51の前側に左右一対の前輪52…を備えるとともに、後側に左右一対の後輪53…を備える。前輪52…及び後輪53…は、シャーシ51に搭載されるエンジンにより四輪駆動される。また、シャーシ51上のボディ54には、前部に運転席55を備えるとともに、運転席55の前方におけるフロントパネル56には、ヘッドライト等のライト類やバックミラー等を備える。なお、57はドライバシート、58はステアリングハンドルを示す。一方、運転席55の後方には薬液タンク10を搭載する。そして、この薬液タンク10の後方には薬液噴霧機構部2を搭載する。
【0019】
次に、この薬液噴霧機構部2を含む本発明の要部構成について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1(a)に示すように、薬液噴霧機構部2は、下端に位置するベースフレーム部21を備え、このベースフレーム部21の上に風洞部5及びこの前方に配した噴霧部22を設置して構成する。したがって、この薬液噴霧機構部2は、上述したシャーシ51及びボディ54を含むスピードスプレーヤ1の本体側とは別体に構成する。風洞部5は、全体を円筒形(トンネル形)に構成し、内部に送風ファン5fを備える。噴霧部22は、風洞部5の前方に配した前後一対の整流板23,24を備えるとともに、この整流板23,24の周方向に沿って配した複数の噴霧ノズル部N…を備える。この場合、整流板23,24の周方向に沿って配した薬液送管P…(図5参照)を備え、この薬液送管P…の中途位置に分岐管を介して各噴霧ノズル部N…を付設する。なお、図5に示す噴霧ノズル部N…は、上側のみである。
【0021】
これにより、薬液タンク10の薬液Lは、不図示の噴霧ポンプを介して薬液送管P…に供給され、各噴霧ノズル部N…から噴霧されるとともに、噴霧された薬液Lは、風洞部5(送風ファン5f)からの送風によって、スピードスプレーヤ1の右方,左方及び上方を含む放射方向の所定エリアに散布される。その他、図2中、25…はブレーキランプ及びウィンカ等を有するランプユニットを示すとともに、26は状況に応じて右方への薬液散布を遮断する開閉式の遮蔽プレートを示す。なお、図1及び図6における遮蔽プレート26の記載は省略した。
【0022】
一方、この薬液噴霧機構部2は、噴霧機構支持部3により上下方向へ変位可能に支持される。噴霧機構支持部3は、薬液噴霧機構部2の前端部2fにおける上部2u及び下部2dを支持する四つのリニアガイド6up,6uq,6dp,6dqを備える。即ち、上側に離間して配した左右一対のリニアガイド6up,6uqと下側に離間して配した左右一対のリニアガイド6dp,6dqを備える。上側のリニアガイド6up(6uqも同じ)は、図4に示すように、ガイドシリンダ部31pとシャフト部32pを備え、ガイドシリンダ部31pは、薬液タンク10の後端に配した後端パネル部10rに固定するとともに、シャフト部32pは、薬液噴霧機構部2の前端部2fを構成する前側の整流板24の前端部24fに取付ける。この場合、シャフト部32pの下端には、大径の取付部32pcを一体に形成し、この取付部32pcを前端部2fに固定した被取付ブロック34pに取付ける。他方、下側のリニアガイド6dp(6dqも同じ)は、図4に示すように、ガイドシリンダ部35pとシャフト部36pを備え、ガイドシリンダ部35pは、後端パネル部10rに固定した取付フレーム37に取付けるとともに、シャフト部36pは、下端をベースフレーム部21の前端に固定した取付フレーム38に取付けることにより上方に起立させる。
【0023】
これにより、各シャフト部32p…,36p…は各ガイドシリンダ部31p…,35p…に対して軸方向に挿通し、各シャフト部32p…,36p…は各ガイドシリンダ部31p…,35p…により上下方向にスライド自在にガイドされる。即ち、薬液噴霧機構部2の全体(全部)が、各リニアガイド6up…,6dp…により上下方向へ変位可能に支持される。このように、噴霧機構支持部3を、薬液噴霧機構部2における前端部2fの上部2u及び下部2dに配したリニアガイド6up,6uq,6dp,6dqにより構成すれば、薬液噴霧機構部2及びその周辺部位の大型化を招くことなく、小型コンパクトに構成できる利点がある。なお、上側のリニアガイド6up…も下側のリニアガイド6dp…と同様の前後方向位置に配設してもよい。この場合、後端パネル部10rに、前方へ膨出させた凹部を設け、この凹部に上側のリニアガイド6up…の実質的な部分を収容すればよい。これにより、上側のリニアガイド6up…は、後端パネル部10rの後面よりも後方に突出しなくなるため、送風ファン5fからの送風が通る空間内に配される不具合が回避される。
【0024】
また、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を上位置Xuと下位置Xdの二位置へ選択的に変位させる噴霧機構移動部4を備える。この噴霧機構移動部4には、薬液噴霧機構部2を昇降移動させる三つのリニアアクチュエータ(動力アクチュエータ部)7a,7b,7cを用いる。リニアアクチュエータ7a(7b,7cも同じ)は、モータ及びボールねじ機構を用いた駆動部41aとこの駆動部41aにより昇降するシャフト42aを備える。各リニアアクチュエータ7a…(駆動部41a…)は、図2及び図3に示すように、上述した後端パネル部10rに固定した取付フレーム37に一定間隔おきに取付けるとともに、各シャフト42a…は下方に向け、その先端を、上述したベースフレーム部21に固定した取付フレーム38に結合、望ましくは回動軸部を介して回動自在に結合する。そして、各リニアアクチュエータ7a…の駆動部41a…は、図3に示すように、コントローラ45の出力ポートに接続するとともに、このコントローラ45の入力ポート運転席55に配した操作スイッチ等の操作部46を接続する。なお、例示のリニアアクチュエータ7a…は電動式であるが、同様の機能を備える油圧シリンダやエアシリンダ等を用いてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係るスピードスプレーヤ1の要部の機能及び使用方法について、図1〜図5を参照して説明する。
【0026】
まず、操作部46を「上位置」側に切換えれば、コントローラ45は各リニアアクチュエータ7a…を正方向に駆動制御して各シャフト42a…を上昇させる。これにより、薬液噴霧機構部2は、図1(b)に示す上位置Xuまで移動して停止する。この際、薬液噴霧機構部2は、各リニアガイド6up…,6dp…によりガイドされ、矢印Fu方向に上昇変位する。
【0027】
一方、操作部46を「下位置」側に切換えれば、コントローラ45は各リニアアクチュエータ7a…を逆方向に駆動制御して各シャフト42a…を下降させる。これにより、薬液噴霧機構部2は、図1(a)に示す下位置Xdまで移動して停止する。この際、薬液噴霧機構部2は、各リニアガイド6up…,6dp…によりガイドされ、矢印Fd方向に下降変位する。なお、図1に例示する上位置Xuと下位置Xd間のストローク差ΔHnは、概ね5〔cm〕程度に設定している。このストローク差ΔHnの大きさは、任意に設定できるが、ストローク差ΔHnが5〔cm〕程度であっても、実際上、十分な効果を得ることができる。
【0028】
このように、本実施形態に係るスピードスプレーヤ1は、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、噴霧機構移動部4により上位置Xuと下位置Xdの二位置へ選択的に変位させることができる。この場合、上位置Xuが標準位置となるため、通常は、この上位置Xuで使用する。即ち、比較的高い位置にあるリンゴや桃等の樹木に対する薬液散布や一般道路の走行などでは上位置Xuで使用する。
【0029】
これに対して、比較的低い位置にある棚作によるブドウ等に対して薬液散布を行う場合には、下位置Xdに下降させて使用する。前述したように、高さが170〔cm〕程度に設置されるブドウ棚の場合には、比較的低い位置Hgにブドウがあるため、噴霧ノズル部N…がブドウに接近し、薬液Lの散布に濃淡のムラが生じたり、未散布の部分Ln…が発生してしまうが、薬液噴霧機構部2を下位置Xdまで下降させ、図5に示すように、噴霧ノズル部N…をブドウの位置Hgに対して、ストローク差ΔHnだけ下降させれば、ブドウの位置Hgと噴霧ノズル部N…間の間隔を広げることができるため、散布する薬液Lに濃淡のムラが生じたり、未散布の部分Ln…が発生する不具合を有効に回避できる。
【0030】
よって、このような本実施形態に係るスピードスプレーヤ1によれば、複数の噴霧ノズル部N…を含む薬液噴霧機構部2を上下方向へ変位可能に支持する噴霧機構支持部3と、この噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を少なくとも上位置Xuと下位置Xdへ選択的に変位させる噴霧機構移動部4を備えるため、高い位置に対する薬液散布と低い位置に対する薬液散布の双方を良好に行うことができる。即ち、高い位置にあるリンゴや桃等に加えて、棚作を行う低い位置にあるブドウ等に対しても、未散布の部分を生じることなく均一かつ満遍なく薬液散布を行うことができる。しかも、一台のスピードスプレーヤ1により実現できるため、スピードスプレーヤ1の付加価値、更にはコストパフォーマンスを飛躍的に高めることができる。
【0031】
また、スピードスプレーヤ1は、凹凸や段差のある地面を走行することが多いため、最低地上高はある程度高くすることが望ましいが、薬液噴霧機構部2を上位置Xuに対して下位置Xdに変位させる選択モードを備えるため、上位置Xuをより高い位置に設定することができる。したがって、上位置Xuで使用するリンゴや桃等に対する薬液散布や一般道路等の走行、更には凹凸や段差の大きい地面の走行等における走行性能(走行性)を高めることができる。
【0032】
次に、本発明の変更実施形態に係るスピードスプレーヤ1について、図7〜図9を参照して説明する。
【0033】
図7は、操作部46の変更例を示す。図3に示した操作部46は、運転席55に配した操作スイッチ等を想定したものであるが、図7に示す変更例は、ボディ54の上端面に配設した超音波センサ等を用いた測距センサ71により棚作によるブドウ等を自動で検出し、かつ薬液噴霧機構部2を自動で上位置Xu又は下位置Xに移動させるようにしたものである。このような測距センサ71は、左右方向に複数配置し、より確実に検出できるようにすることが望ましい。その他、基本構成は、図1〜図3に示した実施形態と同様に実施できる。このため、図7において、図1〜図3と同一部分(同一機能部分)については同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図8は、噴霧機構移動部4の変更例を示す。図2及び図3に示した噴霧機構移動部4は、動力アクチュエータ部7a,7b,7cを利用したが、図8に示す変更例は、噴霧機構支持部3に支持される薬液噴霧機構部2を、上位置Xuと下位置Xdの二位置へマニュアル操作により昇降移動させる手動操作部8を用いたものである。例示の手動操作部8は、回転操作するハンドル72を示すが、レバー等の他の手動操作部8を用いてもよい。通常、薬液を散布する場所は事前に判っているため、作業者は、予め手動操作部8をマニュアル操作して、薬液噴霧機構部2を上位置Xu又は下位置Xdに移動させておけばよい。このような手動操作部8を用いれば、動力アクチュエータ部(リニアアクチュエータ)7a,7b,7cは不要になる。したがって、簡易な構造により構築することができ、低コスト性に優れる。その他、基本構成は、図2及び図3に示した実施形態と同様に実施できる。このため、図8において、図2及び図3と同一部分(同一機能部分)については同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図9は、薬液噴霧機構部2の変更例を示す。図1〜図3に示した薬液噴霧機構部2は、全体(全部)を移動対象として構成したが、図9に示す変更例は、薬液噴霧機構部2の一部、即ち、噴霧ノズル部N…を含む噴霧部22のみを上位置Xu又は下位置Xdに移動できるようにしたものである。このため、図9に示すように、薬液噴霧機構部2に備えるベースフレーム部21はシャーシ51に対して一体に構成した。したがって、送風ファン5fを含む風洞部5もシャーシ51に対して一体に固定される。一方、噴霧ノズル部N…及び整流板23,24を含む噴霧部22は、ベースフレーム部21から分離し、別途の可動フレーム部73上に配設するとともに、この可動フレーム部73をリニアアクチュエータ7a…により昇降させることにより、噴霧部22のみを上位置Xu又は下位置Xdに移動できるようにした。このように構成すれば、リニアアクチュエータ7a…により昇降させる対象物の軽量化を図れるため、リニアアクチュエータ7a…の小型化を図れるとともに、他の構成においても機械的強度などの点で有利になる。しかし、上位置Xuと下位置Xdでは、噴霧能力(噴霧性能)に差が出る点が不利になる。なお、この例では、噴霧部22の全体を変位させたが、噴霧ノズル部N…のみを変位させることもできる。その他、基本構成は、図1〜図3に示した実施形態と同様に実施できる。このため、図9において、図1〜図3と同一部分(同一機能部分)については同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0036】
以上、最良の実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、噴霧機構移動部4は、薬液噴霧機構部2を上位置Xu又は下位置Xdの二位置へ選択的に変位させる場合を示したが、三位置以上へ変位させてもよいし、任意の位置へ変位させることができるようにしてもよい。また、リニアガイド6up,6uq,6dp,6dqは四つ使用し、動力アクチュエータ部7a,7b,7cは三つ使用した例を挙げたが、これらは任意の数量で実施できる。さらに、リニアガイド6up…と動力アクチュエータ部7a…は両者が一体のタイプを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るスピードスプレーヤの要部の構成を示す側面図、
【図2】同スピードスプレーヤの要部の構成を示す背面図、
【図3】同スピードスプレーヤの要部を抽出して示す原理構成図、
【図4】同スピードスプレーヤの要部を抽出して示す断面側面図、
【図5】同スピードスプレーヤの作用説明図、
【図6】同スピードスプレーヤの全体を示す外観側面図、
【図7】本発明の変更実施形態に係るスピードスプレーヤの後部の構成を示す外観側面図、
【図8】本発明の他の変更実施形態に係るスピードスプレーヤの後部の構成を示す外観側面図、
【図9】本発明の他の変更実施形態に係るスピードスプレーヤの後部の構成を示す外観側面図、
【図10】従来技術に係るスピードスプレーヤの作用説明図、
【符号の説明】
【0038】
1:スピードスプレーヤ,2:薬液噴霧機構部,2f:薬液噴霧機構部の前端部,3:噴霧機構支持部,4:噴霧機構移動部,5:風洞部,5f:送風ファン,6up:リニアガイド,6uq:リニアガイド,6dp:リニアガイド,6dq:リニアガイド,7a:動力アクチュエータ部,7b:動力アクチュエータ部,7c:動力アクチュエータ部,8:手動操作部,10:薬液タンク,L:薬液,N…:噴霧ノズル部,Xu:上位置,Xd:下位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液タンクから供給される薬液を複数の噴霧ノズル部から少なくとも上方に噴霧する薬液噴霧機構部を備えるスピードスプレーヤにおいて、少なくとも前記複数の噴霧ノズル部を含む前記薬液噴霧機構部の一部又は全部を上下方向へ変位可能に支持する噴霧機構支持部と、この噴霧機構支持部に支持される前記薬液噴霧機構部を少なくとも上位置と下位置の二位置へ選択的に変位させる噴霧機構移動部を備えることを特徴とするスピードスプレーヤ。
【請求項2】
前記噴霧機構支持部は、送風ファンを含む風洞部及び前記複数の噴霧ノズル部を備える前記薬液噴霧機構部の全部を支持することを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ。
【請求項3】
前記噴霧機構支持部は、前記薬液噴霧機構部における前端部の上部及び下部を支持するリニアガイドを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のスピードスプレーヤ。
【請求項4】
前記噴霧機構移動部は、前記噴霧機構支持部に支持される前記薬液噴霧機構部を、少なくとも上位置と下位置の二位置へ昇降移動させる一又は二以上の動力アクチュエータ部を備えることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ。
【請求項5】
前記噴霧機構移動部は、前記噴霧機構支持部に支持される前記薬液噴霧機構部を、少なくとも上位置と下位置の二位置へマニュアル操作により昇降移動させる手動操作部を備えることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−195766(P2009−195766A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36907(P2008−36907)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000186784)株式会社ショーシン (13)
【Fターム(参考)】