スプール弁を備えた液圧システムおよびその使用方法
外科手術装置の制御部および従属部を作動する液圧シリンダ間の流体連通を制御するスプール弁。スプール弁を使用して制御部および従属部を互いに切断することにより、制御部および従属部間の流体連通がなくなる。スプール弁を使用して制御部および従属部間を係合するか、その流体連通を可能にすることができる。スプール弁を使用してさらに、従属部および制御部と流体容器の間の流体連通を可能にすることによって、蒸発、漏れ又は流出で失った流体を補充することができる。スプール弁は、少なくとも2つのポートを備える本体部と該少なくとも2つのポートと連通するように一つの位置に移動可能な少なくとも1つの通路を備えるスプールからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月22日提出の米国仮出願番号No.61/297,630の優先権を主張するものであり、その全体はこの参照により開示に含まれるものである。また、本出願は、2010年8月25日提出の「連結式手術ツール」と題した同出願人による同時係属中の国際出願番号No.PCT/US10/46619号に関するものであり、その全体はこの参照により開示に含まれるものである。
【0002】
本発明の態様は、液圧システムに関し、特に、スプール弁を備えた液圧システムに関する。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡手術ツールに適用される従来技術による液圧システムは、他の外科手術のツールとともに周知である。しかし、現行の腹腔鏡手術器具には、典型的に、その臓器やその他の障害物によって妨害される体の部分への接近可能性に関する制限を含め、かなりの制限があり、従来技術の装置は、典型的に滅菌が難しい。さらに、これらの装置は、まっすぐな本体および/または他の取り扱いが厄介で使用が難しいツールを使用することが多い。
【0004】
さらに、従来技術の腹腔鏡手術器具は、典型的にケーブルと液圧ラインを使って器具の手術用先端部分を操作する。液圧は手術環境または他の特殊な環境に対して必ずしも適しているとは言えない特別な液圧流体を使用する必要があることが多い。例えば、手術環境で従来の液圧オイルを使用することは、賢明でなく、特に装置に漏れが起きたり、液圧導管が破裂しやすいと、様々な危険が生まれる可能性がある。より医学に好適な液圧流体を使用できるが(例えば、水、ミネラルオイル)、そうした流体は、かなりの速さで蒸発する傾向にある。そのような流体を手動で監視して補充するのはコストがかかり、労力もかかる。さらに、流体レベルに関して注意を払わないと、特に手術環境では深刻な事態になる。
【0005】
さらに、ケーブルや液圧ラインを使って器具の手術用先端部分を遠隔操作する従来技術の腹腔鏡手術器具は、直接的に触知できるフィードバックが不足しているために、往々にして予想外の誤使用や使用者の過補償に対して脆弱である。この危険性は、装置を意図的な使用状態でない場合(例えば、他の設備を使用している手術の重要な箇所で休止状態である場合)、修理中または収納中、あるいは、熟練の医師による操作中でない場合に特に顕著である。例えば、装置が手術室間を移動する場合、あるいは、日常保守を行っているときなどに操作に不注意な、そして潜在的なダメージを与える可能性がある。特に、使用者が、装置自体に、補助的な装置に、そして/または患者にダメージを与えうるような方法で腹腔鏡手術装置の制御を移したときに問題が起きうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、技術的に改良された液圧システム、さらに詳しくは、改良された液圧手術装置が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示した目的のため、外科手術を使用して以下につづく本発明の態様について考察するが、その環境は外科手術のみに限らず、当然のことながら、様々な他の環境で使用できる。特に、ここに説明する発明のバリエーションは、任意の好適な液圧システムまたは用途で使用することができる。例えば、本発明の態様は、製造、建築、組み立てライン、危険材料の取り扱いおよび廃棄、水中マニピュレーション、高温材料の取り扱い、使用者が操作対象物から離れている、あるいは、機械的装置を操作した場合に疲労してしまうような、その他の適した環境で使用することができる。
【0008】
本発明の一態様では、単一スプール弁が、装置の制御部および従属部内で作動する液圧シリンダ間の流体連通を制御する。特に、単一スプール弁を使用して液圧システムの制御部および従属部を互いに切断することにより、装置の制御部および従属部間の流体連通がほとんど、もしくは完全になくなる。このモードは、「ブレーキモード」と呼ばれ、外科手術中またはその他の使用中の、不注意な動きを防止する。さらに、そのモードは、一定の部分を停止させなければならない操作中にその装置の一定の部分を停止させる役割も果たすことができる。単一のスプール弁を使って装置の制御部および従属部の間を係合する、もしくは流体連通を可能にすることができる。このモードは、「使用モード」と呼ばれ、使用者は、装置のその機械的能力の最大限まで作動させることができる。また、単一スプール弁を使って装置の従属部および制御部と流体容器の間の流体連通を可能にすることによって、液圧システムが例えば蒸発又は漏れで失った流体を補充することができるようになる。このモードは、「収納モード」と呼ばれ、長期または短期にわたって液圧流体を実質的に失うことなく、装置を収納、移動、または修理できる。
【0009】
本発明の他の態様によると、同じ装置の複数の構成要素に対して複数のスプール弁を使うことができる。スプール弁は、例えば、異なる機械制御に、または同じ機械操作の異なる態様を制御するために使用することができる。複数のスプール弁は同じまたは非常に類似していてもよく、あるいは、特定の用途によって実質的に変化させてもよい。さらに、本発明の態様によるスプール弁は、ここに論じる態様それぞれを省略しても、あるいは含まなくてもよい(例えば、本発明の態様によるスプール弁はブレーキモードを有していなくてもよい)。
【0010】
本発明の別の態様では、スプール弁と液圧ラインの間の1か所以上の接続を密閉するOリングを組み込んで、スプール弁を使用してもよい。本発明の別の態様によると、シール管を組み込んだスプール弁を使って、スプール弁と1本以上の液圧ラインの間の接続を密閉してもよい。また、本発明のさらに別の態様によると、Oリングとシール管の両方を組み込んだスプール弁を使用して、スプール弁と液圧ラインの間の1か所以上の接続を密閉することができる。
【0011】
本発明の各態様によると、意図しない動きやその結果として起こる液圧で起動したシステムへの損傷に対する防止能力を含む利得と利点が提供される。本発明の態様によると、液圧流体の補充を含む利得と利点が提供される。よって、液圧システムをさらにロバストにすることができるとともに、精密な液圧機器を、比較的繊細な器具が損なわれてしまうような環境でも使用することができるようになる。
【0012】
本発明の各態様に関する更なる利点および新たな機能の一部は下記の説明において述べるが、一部分については、当業者が下記の説明を検討すれば、あるいは、その態様を施行して学習すれば、さらに明らかとなろう。
【0013】
本発明の各態様は、下記の詳細な説明および添付の図面からさらに完全に理解できよう。これらは説明および実施例を示すためのみのものであり、本発明の各態様に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の各態様において、特許に対し外科手術を実施する際に使用できる例示のシステムの斜視図である。
【図2A】本発明の各態様において使用することができる例示の制御部の一形態の側面図である。
【図2B】本発明の各態様において使用することができる別の例示の制御部の形態を示す側面図である。
【図2C】本発明において使用することができる例示の従属部の側面図である。
【図2D】本発明の各態様において使用することができる例示のツールの端部の拡大側面図である。
【図3A】本発明の各態様による、例示の制御シリンダが収縮位置にあるところを示す側面図である。
【図3B】本発明の各態様による、例示の制御シリンダが延長位置にあるところを示す側面図である。
【図3C】本発明の各態様による図3Aに示す制御シリンダの側断面図である。
【図4A】本発明の各態様による2個の制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用するスプール弁の例を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図5A】使用モードに位置する図4Aに例示のスプール弁の態様の一部断面拡大側面図である。
【図5B】使用モードにある図5Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図6A】ブレーキモードに位置する図4Aに例示のスプール弁500の一部断面拡大側面図である。
【図6B】ブレーキモードにある図6Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図7A】収納モードに位置する図4Aに例示のスプール弁500の一部断面拡大側面図である。
【図7B】収納モードにある図7Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図8】本発明の態様による、2個の制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用する、例示のスプール弁の側面図である。
【図9】使用モードにある、図8に例示のスプール弁700の一部断面拡大側面図である。
【図10】ブレーキモードにある、図8に例示のスプール弁700の部分断面拡大側面図である。
【図11】収納モードにある図8に例示のスプール弁700の一部断面拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の各態様について、本発明の各種形態および機能の例を示す添付の図面を参照しながら詳しく説明する。しかし、本発明の各態様は、多くの異なる形態で実現可能であるとともにここに述べる各種形態に限定されるものではない。むしろ、本開示が例示の実施形態おいて綿密且つ完璧に示されるよう、また、当業者に対しその範囲を十分伝えられるように、各種形態を示すものである。
【0016】
特に定義しない限り、ここで使用する技術的および科学的用語は、本発明の態様が属する技術分野における通常の当業者が理解するものと同じ意味を持つものとする。ここに示す方法や例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0017】
図1は、手術システムのような、例示の装置10の略ブロック図であり、使用者からの入力を1つ以上の制御部12で受信し、それらの入力を液圧システム14を介して作業を行うための1つ以上の従属部16へ転送するように構成されている。液圧システム14は、スプール弁システム18を備え、装置の制御および操作性を高めることと、装置内の各種作動シリンダの間の流体連通を異なる状態にすることができることと、液圧システム14または装置10における液圧流体を保持および補充することのうち1つ、もしくはそれ以上の組み合わせから構成されている。限定するものではないが、ある1つの形態では、本発明の各態様を特許Pに対して外科手術を行う際に使用できる。例えば装置10は、米国特許第6,607,475にさらに詳細に説明する外科手術システムを有するものであり、この参照により開示に含まれるものである。例えば、装置10は外科手術、メンテナンス、または他の操作の実施を補助するために適した被駆動機械装置をいくつ含んでいてもよい。図1に外科用装置10を示すが、本発明の各態様は、機械的に起動する機能を有する他の任意の好適な装置に関しても使用できるものである。図1に示すもののような被駆動機械装置の一部は、受信した使用者の入力を装置10の従属部16の作業端末まで転送するために1つ以上の対応する従属アクチュエータ22に液圧で接続された1つ以上の制御アクチュエータ20を備えていてもよい。制御アクチュエータ20および従属アクチュエータ22はそれぞれ、シリンダ、ピストン、軸、および液圧シリンダに共通の他の機能を含む液圧シリンダを備えていてもよい。ある形態では、例えば、制御アクチュエータ20は外科医から制御部12の一部の動作といった入力を受け取り、その入力を直接もしくはある所定の割合で従属アクチュエータ22に転送し、装置10の従属部16に接続されたエンドエフェクタまたはツールにおいて機械的操作を起動させる。一般的に、入力機構および1つ以上の制御アクチュエータ20は装置10の制御部12の一部でよく、1つ以上の従属アクチュエータ22および/または1つ以上のエンドエフェクタまたはツールは装置10の従属部16の一部でもよい。制御部12と従属部16の間の接続は、実際は二つの部分の間の機械的力の伝達を可能にする第1の液圧でもよい。しかし、様々なタイプの情報を、装置の二つの部分間で伝達するための他の接続(例えば、電気、空気圧、電磁気、光学および/または他の機械的要素)もある。
【0018】
図2Aは、本発明の各態様による制御部12(図1)において使用できる、例示の制御部50の一形態の詳細図である。図2Aは、使用者と相互作用するハンドル52および親指ループ54含む制御部50の機能の例をいくつか示している。一般的に、使用者は、ハンドル52を把持し、親指を親指ループ54の内側に置き、握りしめる。この動作およびそれに類似した動作は一般的に制御シリンダ100を機械的に応答させ、その機械的応答を、従属部16など、装置の他の部分に伝達する。また、制御シリンダ100はスプール弁システム18に接続してもよい。下記に詳しく説明するように、本発明の各形態におけるスプール弁システム18の1つの目的は、とりわけ、装置10の制御シリンダ100と従属部16の間の流体連通を制御することにある。ここで留意すべきは、図2Aの制御部50は、制御部12(図1)において使用可能な数またはタイプの制御部のうちの一例に過ぎないことである。
【0019】
図2Bは制御部12(図1)において使用できる、例示の制御部200の別の形態の詳細図である。図2Bは、使用者と相互作用するハンドル211とトリガループ212を含む制御部200のいくつかの機能の例を示す図である。制御部200は、図2Aの制御部50の例とは異なり、制御部200は、装置10の制御部12から従属部16に伝達できる動作の自由度が大きい。態様によっては、それぞれの自由度が対応する制御シリンダ100に対応しており、よって制御部200は複数の制御シリンダを有していてもよい。一般的に制御部200を操作するためには、使用者は、ハンドル211を把持し、1本またはそれ以上の指をトリガループ212の内側に置き、トリガループ212を握りしめ、同時にハンドル211を様々な方向に移動させる。この動作およびそれに類似する動作は、一般的に一つもしくはそれ以上のそれぞれの制御シリンダ100を機械的に応答させ、その機械的応答を、装置10の従属部16の、対応する一つ以上の従属アクチュエータ22に伝達する。
【0020】
さらに、制御部200は、一つまたはそれ以上の制御シリンダ100のそれぞれに接続した一つ以上のスプール弁150を備えていてもよい。スプール弁150は一般的に一端、あるいはそれぞれのピストンの一側が、制御シリンダ100のそれぞれ接続されており、装置10の制御シリンダ100と従属部16の間の流体連通を制御する部分を含む。例えば、下記にさらに詳しく説明するように、各スプール弁150は制御シリンダ100とポートを介して流体連通し、従属アクチュエータ16と出口を介して流体連通する。例えば、接続は制御アクチュエータ20のそれぞれとそれに対応する従属アクチュエータ22との間を連通させるそれぞれの液圧ラインを含んでいてもよい。この構成によれば、制御部200によって制御される自由度は、それぞれ、制御部12の1つの制御シリンダ(制御アクチュエータ20)とそれに付随する従属部16の1つの制御シリンダ(従属アクチュエータ22)に、同様に流体通路または接続の一部を形成するスプール弁150を備えたものであってもよい。ここで留意すべきは、図2Bの制御部200は、本発明の各態様による制御部12に使用できる制御部のタイプのうちの一例に過ぎないことである。
【0021】
図2Cは、本発明の各態様において使用できる、例示の従属部250の側面図である。図12Cは、特に、装置の従属部の形態の一例において例示の3つのマクロな自由度の概要を示す。注目すべきは、ここで議論する自由度の例は、一定の用途には有効ではあるが、それらがすべてであるということを意味するものではない。他の自由度もその範囲に含まれるものである。実際には、上記のような現存の装置を変更し、必要に応じて自由度の追加または削減を包含することが可能である。
【0022】
図2Cに示すマクロな自由度の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の前進/後退の旋回運動である。前進/後退の旋回運動により、器具254は、図2Cに示す旋回ポイントのような中央の旋回ポイントを中心に旋回することができるようになる。この特有の旋回自由度は、とりわけ、手術環境Oの特定の関心領域に器具254を位置決めする場合に有益である。例えば、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスのような器具を、切開を行うのに適した位置に位置決めすることができる。あるいは、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば、臓器や組織)を把持するために適した位置に位置決めするような操作を行うことができる。
【0023】
図2Cに示す、さらに別のマクロな自由度の別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の側方スイベルである。側方スイベルにより、器具254が軸Aを中心に旋回することができるようになる。この特有の自由度は、とりわけ、手術環境Oの特定の関心領域に器具254を位置決めする場合に有益である。側方スイベルによる自由度は、例えば、器具254の端部の外科用メスを切開するのに適した位置に位置決めする場合に使用する。あるいは、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば、臓器や組織)を把持するために適した位置に位置決めするような操作を行うことができる。
【0024】
図2Cに示すマクロな自由度のさらに別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の延長/収縮運動である。延長/収縮運動により、器具254は手術環境Oに接近、またはそこから離れることができるようになる。この特有の自由度により、例えば、器具254を手術環境にある対象物から安全な距離まで後退させることができるようになる一方、前進/後退旋回運動と側方スイベル動作を利用して元の位置まで戻す。器具254の位置が一度戻されると、延長/収縮による自由度を利用して手術環境Oと接触もしくは近接した位置まで戻ることができる。
【0025】
図2Dは、本発明の各態様において使用できる、例示のツール254の端部の拡大側面図である。図2Dは、また、本発明の各態様による器具および/またはツールの4つの例示的なミクロな自由度の概要である。注目すべきは、例示の自由度は一定の用途で有益である一方、それがすべてであるということを意味するものではない。他の自由度もその範囲内にある。実際には、上記のような現存の装置を変更し、必要に応じて自由度の追加または削減を包含することも可能である。このような変更は、その範囲内に含まれると考えるべきである。
【0026】
図2Dに示すミクロな自由度の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の前腕回転運動である。前腕回転運動により、器具254は器具254の主軸Bを中心に回転することができるようになる。この特定の自由度は、とりわけ、器具254を手術環境O(図2C参照)の関心領域の周りに位置させるのに有益である。例えば、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスのようなツールを、切開を行うのに適するように係合するおよび/または位置決めさせることができる。さらに、例えば、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスで弧を描くような切断動作を行うことができる。また別の例では、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットのようなツールを特定の対象物(例えば臓器や組織)を把持するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0027】
また、図2Dに示すミクロな自由度の別の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の手首曲げ運動である。手首曲げ運動により、例えば、器具254を、器具254の主軸Bに対して曲げることができるようになる(例えば、角度Cについて)。この特定の自由度は、とりわけ、器具254の一部および/またはツールを、手術環境Oにおける特定の関心領域のまわりに位置決めする場合に有益である(図2C参照)。例えば、手首曲げ運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスを、切開を行うのに適した位置に位置決めする。例えば、手首曲げ運動による自由度を利用して器具254の端部に位置する外科用メスで弧を描くような切開動作を行うことができる。別の例では、手首曲げ運動による自由度を利用して器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば臓器または組織)を把持するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0028】
さらに、図2Dに示す2つのミクロな自由度の別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の先端回転運動と先端把持運動である。先端回転運動により、器具254および/またはツールを主軸Bを中心として回転させることができるようになる、あるいは、主軸Bに対して器具254の一部を曲げた後に副軸Dを中心として回転させることができるようになる。先端把持運動により、例えば、器具254および/またはツールを、器具254の主軸に対して曲げることができるようになる、あるいは、器具254の一部を主軸に対して曲げた後に形成された副軸を中心として曲げることができるようになる。さらに、例えば、先端把持運動により、2つの対応する器具またはツール部、例えば、抓みアームの相対的な曲げ運動または旋回運動により、ものを把持したり解放したりすることができるようになる。これらの特定の自由度は、とりわけ、器具254および/またはツールを手術環境Oの特定の関心領域の周囲に位置決めする場合に有益である(図2C参照)。例えば、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスを、切開を行うのに適した位置に係合または位置決めすることができる。さらに、例えば、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスで弧を描くような切断動作を行うことができる。別の例では、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば臓器または組織)を把持または解放するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0029】
図3A〜3Cは、図1の制御アクチュエータ20または従属アクチュエータ22の機能の例を示しており、本発明の各態様によると、それぞれがおおむね制御シリンダ100を特徴づけている。図3Cは、例えば、制御シリンダ100の様々な機能を示す断面図である。図3A,3Bおよび3Cに示すように、制御シリンダのこれらの機能には、例えば制御シリンダ軸102を有する外側シリンダ101が含まれる。装置10(図1)の制御部12からの入力を受け取ると、例えば、制御部50(図2A)の親指ループ54または制御部200のトリガループ212(図2B)を握りしめると、制御シリンダ100は図3Aに示す収縮位置から図3Bに示す延長位置まで一連のレバーとギヤを介して起動される。
【0030】
図3A〜3Cに例示する制御シリンダ100は、外側シリンダ101と制御シリンダ軸102を備える。制御シリンダ軸102は外側シリンダ101に対して一定の自由度の範囲内で自由に動くことができ、軸102は制御部10(図1)と機械的連通状態となることができる。図3A〜3Cに示すように、上記の制御部12(図1)の動作により、制御シリンダ軸102を、固定された外側シリンダ101に対して長手方向に移動させる。流体ポート101aおよび101bにより、装置の他の態様との流体連通をシリンダ101と軸102の相対的動作に影響させることができる。
【0031】
1つの例示形態では、液圧流体120(図3C)が内側シリンダ102に位置している。制御部12(図1)が上記のように移動すると、制御シリンダ軸102が動く。液圧流体120は、例えば、ポート(例えば101b)を介して外側シリンダ101から出て、装置の先端のポイントで液圧の変化を引き起こす。例えば、従属シリンダから変位した液圧流体120は、ポート101bを介して外側シリンダ101に入り、それにより、システム内の液圧流体120を略一定量に維持する。一般的に、制御シリンダ軸102は図3Aおよび3Bに示すように外側シリンダ101内で前後にスライドする。例えば、ある態様では、制御シリンダ100を備えた制御部12(図1)の一部が一方向の限界位置まで移動すると、制御シリンダ軸102は、その後退位置(図3Aに示す位置)となる。このように、とりわけ、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部は、制御シリンダ100を使って、使用者からの機械的力を制御部12から受け取ると、アプリケーションまたは装置10(図1参照)の従属部16に伝える。一般的に従属部16は、受け取った液圧入力を緩和し装置10(図1)のエンドエフェクタを駆動するための出力を生成する従属アクチュエータ22を有する。
【0032】
例えば、エンドエフェクタは、限定はしないが、機械的グリッパ、レバーアーム、切断ツール、把持ツールおよびその他の適当な装置を含んでもよい。従属部16(図1)で生成された機械的力は、装置の従属部によって様々な適した方法で使用することができる。例えば、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部を使って外科処置を行ったり、対象物を移動したり、様々な適した用途に機械的に力を提供する。図1に示すように、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部は、外科手術を行うための様々な外科用装置(例えば、鉗子、刃、針)に連結してもよい。
【0033】
図3Aおよび3Bに示すような制御シリンダ100は、他の制御シリンダと協力する複雑な機械システムを駆動する場合に使用できる。例えば、1つの制御シリンダは、図2Aの制御システムによって起動し、最終的には装置の従属部の1つ、もしくはそれ以上の制御シリンダで流体を連通させることができる。装置の主部および従属部の制御シリンダの間での液圧の連結は、直接液圧ラインを接続することによって、さらに適したコネクタやクリンパー、弁、その他の機能を多数使用することによってなど、様々な方法や機能によって達成できる。
【0034】
図4Aはスプール弁システム18もしくは液圧システム14(図1参照)で使用して2つの制御シリンダ間、そして、任意で他の付加的構成要素間の流体連通を制御するスプール弁500の態様を示すブロック図である。図4Bは図4Aのスプール弁500の例に関する液圧システムの略ブロック図である。図4Aおよび4Bに示すように、例示したスプール弁500は、装置10の制御部12の制御シリンダを装置10(図1参照)の従属部16の制御シリンダで接続することができる。図4Aおよび4Bではスプール弁に対する装置の制御部および従属部の特定の方向づけを示すが、この構成は単に例示のみを意図してもので必要に応じて変更または逆転してもよい。また、図4Aおよび4Bは、2つの制御シリンダ100のみを接続する、例示のスプール弁500を示している。例示のスプール弁500に接続する制御シリンダの数は、任意の好適な数でよい。さらに、一つ以上の例示したスプール弁500を介して、またはここで説明する他の例示したスプール弁のいずれかもしくはいずれかの組み合わせを介して接続する装置の従属部の制御シリンダと装置の制御部の制御シリンダの数は任意の好適な数でよい。
【0035】
図4Aに例示したスプール弁500は、制御シリンダ100を液圧ライン600を介して接続する4つのポート501aとスプール503を受容するためのスプール受容開口501bとを有する本体部501を有していてもよい。ポート501aは4つのみを表示しているが、追加の制御シリンダを含む、他の装置と流体連通させるための例示したスプール弁500に設けるポート501aの数は任意の好適な数でよいことは理解できよう。ポート501aは、本体部501と液圧ライン600の間の流体連通を可能とする適当なタイプの流体接続を含む。例えば、ポート501aは、液圧ライン600と例示したスプール弁500の本体部501との間に流体密封のシールが形成されるように液圧ライン600の端部を固定する保持機構を備えていてもよい。あるいは、液圧ライン600は、例えばソケットとコネクタの結合システムを介して本体部501に連結してもよい。この場合、ソケットは、液圧ライン上でも、本体部501上に設けてもよい。その使用方法が本発明の態様と合致していれば、これ以外にも適した接続機構が多数存在することは、当業者にとっては明らかであろう。
【0036】
スプール弁500内に使用するそして本発明の他の例示した態様の液圧流体120は、任意の好適な液圧流体でよい。この適した液圧流体120としては、例えば、ミネラルオイルのようなあらゆる適したオイルを使用してもよい。液圧流体120は、生理食塩水または水のような、医学的に無害な流体でもよい。
【0037】
液圧ライン600は、プラスチック、ゴムを含む様々な材料から成っていてもよく、さらに/または、例えば、略一定の体積断面を維持するため、追加の構造的支持を確保するために様々な繊維や金属織物を含んでいてもよい。液圧ライン600、それに対応する制御シリンダ、およびスプール弁の寸法は任意の好適な寸法でよく、また、特定の用途に対して適した内径および外径を有するものでよい。ここに示す本発明の様々な態様に関する構成要素の図面は、必ずしも縮尺通りではない。実際、ここに明確に表現した構成要素および原理は、代替えとして、あるいは同時に異なる別の寸法縮尺でも機能する。
【0038】
例示のスプール弁500は、液圧流体120を保存するための容器502を含んでいてもよい。一般的に、容器502の流体120は液体が使用によりまたは他の理由から失われるので、液圧ライン600または装置の他の液圧部の流体120を補充するために使用することができる。例えば、液圧流体120は、様々な理由から、使用中、および装置が休止状態の場合(例えば、将来の使用のために保存されるなど)のいずれにおいても失われることがある。これらの理由は、液圧ライン600の壁を通じて蒸発したり、装置の別の箇所で蒸発または漏れが起きたり(例えば、連結部または接続部)、あるいは、装置のいずれかの構成要素の不具合および/または破裂などが含まれる。上記に加え、あるいは上記に代わって、液圧流体120をシステムから排水して容器502から液圧流体を交換するのが有利である。
【0039】
容器502は可撓性を有するものでよく、あるいはゴム、エラストマー、各種ポリマーおよびプラスチック、さらにはラテックスのような可撓性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、容器502は、剛体でもよく、金属、セラミクス、あるいは他の硬い材料を含んでいてもよい。容器502には、容器内の液圧流体の液位が容易に確認できるようにある種の透明な材料またはウィンドウのような透明な部分を含んでいると有利である。しかしながら、容器502は必ずしも透明でなくてもよく、また、透明な部分を有していなくてもよい。さらに、センサまたは他の様々な適したタイプのメータや検出器などを使用して、容器502内の液圧流体の液位を追跡または取得してもよい。このようなセンサは光学、機械または、他の適した機構を使用するものでよい。
【0040】
容器502は、限定はしないが、図4Aに示すようなスプール弁500の頂点に位置するポートのような充填ポート502aを有していてもよい。充填ポート502aにより、液圧流体120を再投入、補充、交換することができる。充填ポート502aは、代替えとして、容器502にアクセスできるように他の適した位置に位置してもよい。充填ポート502aは、図4Aに示すようなキャップまたはプラグを有する開口でもよく、あるいは、より複雑な機構を備えるものでもよい。例えば、充填ポート502aは複数の接続部、プラグ、キャップ、またはポートを有していてもよい。充填ポート502aは、図4Aに示すように独立して密閉可能なものでもよく、あるいは、ポンプ、流体供給ライン、または他の機能または装置に接続されていてもよい。
【0041】
図4Aに例示のスプール弁500は、とりわけ例示のスプール弁500のいずれかの側の制御シリンダ間の流体連通を制御することができるスプール503も備えている。スプール503は、スプール503内でのあるいは、スプール503と流体連通にある他の構成要素の間での流体の相互連通、あるいは他の連通を防止するための流体密閉シールを得るための様々な機能を有していてもよい。例えば、ある態様では、スプール弁500は一連のシール管503aおよびOリング503bを含んでいてもよい。シール管503aおよびOリング503bは流体密閉シールを提供するために適した材料を含んでいてもよい。例えば、シール管503aとOリング503bはゴム、ポリマーまたはプラスチックなどから構成されるものでもよい。シール管503aおよびOリング503bは流体に対して完全に不浸透性のものでも、半浸透性のものでも、あるいは選択的に浸透性のものでもよい。さらに、スプール503は、通路、フィルタのような、スプール503の異なる箇所の間で流体を連通させることができる他の機能を有していてもよい。
【0042】
図5Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500の使用モードの拡大図である。図5Bは使用モードにある図5Aの例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図5Aに示すように、スプール503は、スプール503のいずれかの側で対応する流体ライン600の間の流体連通を可能とする2本の通路503cを備える(図5Aに、バルブ軸全体を貫通して切った通路を示すが、これは、通路がバルブ軸を分断していないものであると理解するよう留意のこと)。図5Aは通路503cがチャネルであることを示すが、弁のような、流体の通過を実施できるような他の適した機能もその範囲に含まれる。図5Bは、流体が、使用モードにおいて、これらの通路をいずれかの方向に流れることができることを示すものである。また、図5Bに示すように、使用モードでは、スプール503はシリンダまたは液圧ライン600と容器502の間に流体の連通が起きないように位置している。図5Aには、2本の通路503cが示されているが、特定の用途により、他の任意の好適な数の通路が可能である。スプール弁503は、通路503c間の、あるいは1本以上の通路503cおよび容器502の間の流体連通を封鎖するまたは防止するための装置および機能を有していてもよい。これらの装置および機能は、他のいくつかの機能の中でも特に、Oリング503b、弁、またはストッパを含んでいてもよい。装置および機能は、ゴム、エラストマー、ポリマー、プラスチック、または適したあらゆる材料の組み合わせを含んでもよい。態様によっては、装置および機能は液圧流体に対する浸透性は有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。また、別の態様によると、一定の形態では、装置および機能は液圧流体に対しても半浸透性および/または多孔性でもよい。
【0043】
図5Aに示すような使用モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール503の構造によって制限されていてもよい。使用モードでは、図5Bにもっともわかりやすく示すように、スプール503は装置の容器502、従属部16、および制御部12の間での流体連通を防止するように構成してもよい。装置の液圧機能部(例えば、従属部および制御部)から容器502を隔離することにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が、容器502に対して起きる圧力を開放することなく、装置の従属部の制御シリンダを起動することができる。
【0044】
例示のスプール弁500(図4A)は、図5Aに示すように、軸方向のD方向に、あるいは、適した方向にスプール503を移動してスプール内の流路503cをバルブ本体501のポート501aと位置合わせすることによって使用モードになる。スプール503と通路503cは、スプール503のある動作によって使用モードとなるような、好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路503cは、軸長方向(軸D)へ直接動作させる、またはスプール503を、軸Dを中心として回転させることによって、例えば、回転させて通路503cとポート501aの位置を合わせる、もしくはD方向に、好適な軸方向の動きを生じさせて位置を合わせるなどして、使用モードにすることができるように構成してもよい。あるいは、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール弁と通路を、使用モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール弁と通路503cを、スプール503にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、使用モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0045】
図6Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500のブレーキモードの拡大図である。図6Bはブレーキモードにある図6Aに例示したスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図6Aに示すように、ブレーキモードでは、スプール503は、使用モードのスプール503のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路503cが、ポート501aを介して液圧ライン600と流体連通しないように位置決めされる。また、図6Aに示すように、スプール弁503は、液圧ライン600への接続をそれぞれ閉鎖するための装置および機能を有していてもよい。図6Aでは、液圧ライン600を閉鎖するための装置と機能が、液圧ライン600を例示のスプール弁500に接続するポート501aのそれぞれの開口と重なるような寸法を有するOリングのようなシール管503aを含んでいてもよい。シール管503aは、ゴム、エラストマー、ポリマーあるいはその他の弾性材などのような材料を含んでいてもよい。しかしながら、シール管503aは、すでに述べた材料の組み合わせをはじめ他の好適な材料を含む、流体密閉シールを形成するのに好適な他の材料でもよい。態様によっては、シール管503aは液圧流体120に対する浸透性は有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。態様によっては、シール管503aは、半浸透性および/または多孔性でもよい。シール管503aは一般的に、液圧ライン600からの流体の流れに対する障壁として働くが、それらは他の目的を果たしてもよく、また、液圧ライン600からの流体の流れを制限するものでもよい。
【0046】
スプール弁500のブレーキモードの使用法のうちの一つとして、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を変更、防止、阻止、あるいは干渉することが挙げられる。例えば、外科手術中、患者を安定した状態にするため、必要なツールおよび/または資源(例えば薬剤)を調達する、あるいは単純に外科医が休憩するなどのために一時停止することが必要な場合もある。さらに、1つの処置の異なる態様を行うために複数の外科医が存在する場合もある。新しい外科医が手術を引き継ぐ際、装置をブレーキモードにロックして、交代の際に装置の制御部との不注意な接触で装置に損傷を与えたり、患者を傷つけたり、あるいは手術室において他の有害な状態にならないようにする必要がある。さらに、手術の途中、動作の停止が必要な他の機能を実行するツールを使用する必要がある場合もある。このような状況では、他の状況も同様だが、装置が使用するツールを一時的に停止して、装置が使用されていない間に、患者や、手術の他の態様に被害を与えないようにする必要がある。ブレーキモードは、装置の制御部と従属部間の液圧接続を遮断し、制御部への入力の転送が従属部において出力に転換されないように防ぎ、装置の制御部への不注意な動作によって患者の負傷や他の損傷が引き起こされないようにすることができる。
【0047】
図6aに示すように、例示のスプール弁500は、例えば、スプール上のシール管503aを、バルブ本体501のポート501aに位置合わせするように、スプール503を軸方向のD方向に移動させることによってブレーキモードにすることができる(例えば、図6Aに示す位置へ、図5Aに示す位置から)。しかしながら、スプール弁500は、その背景の範囲内で、スプール503が別の位置にあるときにブレーキモードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール503と、ポート501aと、通路503cと、シール管503aは、スプール503の他の代替え動作によってブレーキモードとなるような好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路503cとシール管503aは、スプール503をその軸を中心に回転させることによって(例えば、通路503cがポート501aとずれることによって、流体の流れが阻止されるように、あるいは、スプール503をD方向に変位させるようなねじ式の動作によって)ブレーキモードとなるように構成することができる。あるいは、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール503と通路503cとシール管503aをブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール弁と通路503cを、スプール503にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0048】
図7Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500の収納モードの拡大図である。図7Bは、図7Aに例示した収納モードのスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図7Aおよび7Bに示すように、収納モードでは、ブレーキモードと同様に、スプール503は、使用モードのスプール503のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路503cが、ポート501aを介して液圧ライン600と連通しないように位置決めされる。図7Aおよび7Bに示すように、収納モードでは、液圧ライン600のそれぞれが容器502と、液圧ライン600のそれぞれと流体連通する。よって、スプール503は、装置10(図10)の従属部16および制御部12における制御シリンダそれぞれが容器502と連通するような位置にくる。この位置は、装置の制御部における各シリンダを、装置の従属部のそれぞれの制御シリンダから個々に分離させる効果を有する。しかしながら、ブレーキモードとは異なり、この分離は、装置のすべての制御シリンダを互いに、そして容器502と流体連通させ、均衡状態を作りあげることによって達成できる。
【0049】
収納モードの目的のうちの一つとして、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を防止することが挙げられる。上記のブレーキモードの使用に関して論議した状態のうちの一部は、収納モードにも適用できる。制御シリンダと液圧ラインのそれぞれと容器502が流体連通する利点は、蒸発や漏れによって失われた場合などにシステムへの液圧流体の補充である。この補充は、液圧システムが、液圧流体に対して、例えば蒸発を可能とするような半浸透性等の機能を有する場合に特に有益である。収納モードにあるときには、装置は、長時間休止状態になり、液圧流体の蒸発がその他のモードより、より差し迫った課題となる。使用モードとブレーキモードは一般的に比較的短い期間であるため、蒸発および/または漏れによる流体の損失量は、これらのモードではわずかである。
【0050】
図7Aに示すような収納モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通は、すべてのポート501aを互いに、そして容器502と流体連通させるようにスプール503をポート501aに対して配置することによって均等にすることができる。さらに詳しくは、例示のスプール弁500が収納モードにあるときには、装置10の従属部16のそれぞれの制御シリンダと制御部12は、装置の他の制御シリンダのそれぞれと流体連通させることができる。この流体連通により、液圧の上昇は、装置の従属部において対応する制御シリンダに直接伝達されず、この動きが液圧をシステム全体および容器502に広げるため、装置の制御部の制御シリンダにおける不注意な動きを防止することができる。態様によっては、例えば、容器502が環境気圧に解放されている場合(あるいは環境気圧への開口または接続を含む場合)、液圧の上昇は容器502で消散させることができる。収納モードでは、一般的に、スプール503のOリング503cも、シール管503aも、装置の容器502と、従属部および制御部との間の流体連通を阻止することはない。よって、装置の制御シリンダのそれぞれを互いにおよび容器502と流体連通させることにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が装置の従属部の制御シリンダを起動しないように防ぐことができる。
【0051】
例示のスプール弁500は、スプール503を、スプール内のシールがポート501aと容器502の間(例えば図7Aに示す位置まで)の流体連通を妨害しないように、構成により、弁本体501内軸方向のD方向に沿って、あるいは別の適した方向に移動することによって収納モードにすることができる。しかしながら、スプール弁500は、その範囲内で、スプール503が別の位置にあるときに収納モードになるように構成することができることは理解できよう。例えば、スプール503は、ポート501aそれぞれを容器502に接続する働きをする追加の接続通路を有する領域を設けてもよい。さらに、スプール503は、スプール503の他の代替え動作によって収納モードとなるような好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールは、スプール503をその軸を中心として回転させることによって収納モードにするように構成することができる。ここで、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、収納モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0052】
図8は、本発明の各態様による、2つの制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用する例示のスプール弁700の別の形態を示すブロック図である。スプール弁700は、例えば、例示のスプール弁を示す図5Aの接続と同様に、装置の制御部の制御シリンダを装置の従属部の制御シリンダで接続することができる。図8ではスプール弁700に対する装置の制御部および従属部の特定の方向づけを示すが、この構成は単に例示のみを意図しているので、例えば変更または逆転してもよい。図8は、2つのポートを接続する例示のスプール弁700を示す。任意の好適な数の制御シリンダが例示のスプール弁700と接続可能であるということもさらに理解できよう。さらに、装置の従属部の任意の好適な数の制御シリンダを、装置の主部/制御部の任意の好適な数の制御シリンダと、例示したスプール弁700を介して、あるいはここで説明する他の例示したスプール弁のいずれかを介して接続することができる。
【0053】
図8に例示したスプール弁700は、制御シリンダを液圧ライン600を介して接続する4つのポート701aを有する本体部701を備える。ポート701aは4つのみを表示しているが、追加の制御シリンダを含む、他の装置と流体連通させるための例示したスプール弁700に設けるポート701aの数は適したいかなる数でもよいことは理解できよう。図8に例示したスプール弁700は、図8に示すように各ポート701aが本体部701の反対側でその対応するポート701aに対してずれ量Sだけ互い違いになっているという点で、図5Aに例示のスプール弁500とは異なる。他の利点のなかでも、図8に示すようにポート701aを互い違いに配置することによって、Oリング703b(図8には図示せず)を使ってポート701aに接続された液圧ライン600のそれぞれにキャップしたり、あるいは密閉したりすることができるようになる。図6Aに示すように、Oリングの使用は同様の目的のため、例示したスプール弁500に使用するシール管503aの代わりになる。図8では、シール管503a(図5A)の代わりにOリング703bを使用することにより、液圧ライン600で、また装置全体でより高い液圧を使用することができるようになる。例えば、あるタイプのOリング703bは、ポート701aを3000psiまでの圧力でポート701aを密閉することができ、一方、図5Aのシール管503aは、典型的にほぼ低圧で使用される。
【0054】
ポート701aは、本体部701と液圧ライン600の間の流体連通を可能とする任意のタイプの流体接続でよい。例えば、ポート701aは、流体密着シールが液圧ライン600と例示のスプール弁700の本体部701の間に形成されるように、液圧ライン600の端部を固定する圧着機構を含んでいてもよい。あるいは、液圧ライン600はソケットとコネクタの結合システムを介して本体部701に連結してもよい。この場合、ソケットは、液圧ライン上でも、本体部701上に設けてもよい。その使用が本発明の態様と合致していれば、これ以外にも適した接続機構が多数存在することは、当業者にとっては明らかであろう。
【0055】
例示のスプール弁700は、また、液圧流体を保存するための容器502を含んでいてもよい。この容器は、図5Aに示す容器502と、略類似したものでよく、あるいは、より高いまたはより低い液圧での操作に対応する変更が加えられたものでもよい。
【0056】
図9は、図8の本発明の各態様による例示のスプール弁700の使用モードの拡大図である。例示のスプール弁700は、とりわけ例示のスプール弁700のいずれかの側のポート間の流体連通を制御することができるスプール703も備えている。スプール703は、スプール703内でのまたは、スプール703と流体連通にある構成要素の間での流体の、相互連通または他の連通を防止するための流体密閉シールを得るため、様々な機能を有していてもよい。例えば、図8は、図8に関連してすでに説明した一連のOリング703bを有するスプール弁を示している。Oリング703bは流体密閉シールを提供するために適した材料を含んでいてもよい。例えば、Oリング703bは、限定されないが、ゴム、エラストマー、ポリマー、あるいはプラスチックのような材料を含む。Oリング703bは流体に対して完全に不浸透性のものでも、半浸透性のものでも、あるいは選択的に浸透性のものとすることもできる。さらに、スプール703は、通路、フィルタのような、スプール703の異なる箇所の間で流体を連通させることができる他の機能を有していてもよい。図9には示していないが、スプール703はシール管を含む、液圧接続を密閉するための他の機能を有していてもよい。
【0057】
図9に示すように、スプール703は、スプール703のいずれかの側のポート701aの間の流体連通を確立できる通路703cを有していてもよい。スプール703の通路703cは図5Aに示す通路503cに対して角度をつけてあり、ポート701aのずれSを収容できるように構成されている。図9に示すように、ポート701aはそれぞれ、通路703cの一方の端部と流体連通していてもよい。
【0058】
図9には、そのような2本の通路703cが示されているが、特定の用途により、他の適したいかなる数の通路でも可能である。スプール弁703は、通路703cを介した流体連通を封鎖するまたは防止するための装置および機能を有していてもよい。これらの装置および機能は、他のいくつかの機能の中でも特に、Oリング703b、弁、またはストッパを含んでいてもよい。装置および機能は、ゴム、ポリマー、プラスチック、または適したあらゆる材料の組み合わせから構成されてもよい。一般的に、装置および機能は液圧流体に対する浸透性を有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。半浸透性および/または多孔性であってもよい。
【0059】
図9にも示すように、例示したスプール弁700はさらに、スプール703を特定の位置にロックするためのロッキング機構710を有していてもよい。ロッキング機構710は、例えば、タブ710bを受容するため、スプール703上に例えば受容部710aを有していてもよい。受容部710aとタブ710bの相対位置は他の好適な位置でもよく、あるいはスプール703がタブ710bを有するように略逆にしてもよい。ロッキング機構710を係合するために、例えば、使用者はスプール703をD方向に沿って移動し、タブ710bを受容機構710aと位置合わせし、続いて、タブ710bを受容部710aに挿入する。タブ710bが受容機構710aと位置合わせされる位置は、ロッキング機構710の相対位置により、装置の各種モード(ブレーキ、使用、または収納)のうちのいずれかに相当する。実際、ここで説明した形態のいずれもが、各種モード(例えばブレーキ、使用、または収納)のいずれにおいてロックする複数のロッキング機構710を有している。さらに、ロッキング機構710は、スプール703がここで説明した各種モードに直接相当しない位置に固定することができるように、他の位置に位置させてもよい。任意で、ロッキング機構710はロックまたはロック解除位置にずらすことができる(例えば、ロック位置にずらすと、スプール703がロック位置に移動してその位置で自動的にロックされる)。
【0060】
図9に示すような使用モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール703の構造によって制限されていてもよい。さらに詳しくは、流体連通はスプール703によって通路703cに制限されてもよい。使用モードでは、スプール703は容器502と、装置の従属部および制御部との間での流体連通を防止するようにしてもよい。装置の液圧機能部(例えば、従属部および制御部)から容器502を液圧的に隔離することにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が、装置の従属部の制御シリンダを起動することができる。
【0061】
例示のスプール弁700は、図9に示す位置に到達するまでD方向に沿って軸方向にスプール703を移動させることによって使用モードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときに使用モードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール703と通路703cは、スプール703の他の動作によって使用モードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路703cは、スプール703をその軸を中心として回転させることによって使用モードにするように構成することができる。あるいは、スプールと、スプール703の通路703cを、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、使用モードにできるように構成することもこの発明範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、通路703cを、使用モードにできるように構成することも本発明の範囲に含まれる。
【0062】
図10は、本発明の各態様による例示のスプール弁700のブレーキモードの拡大図である。図10に示すように、ブレーキモードでは、スプール703は、使用モードのスプール703のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路703cが、液圧ライン600と流体連通しないように位置決めされる。さらに図10に示すように、ブレーキモードの通路703cの端部は、Oリング703bを介してポート701aから液圧的に分離させてもよい。Oリング703bは、ブレーキモードでポート701aから通路703cを場合によっては、3000psiを超える圧力まで隔離する役割を果たす。液圧ライン600を封鎖する、図10に示していない他の装置および機能を含んでいてもよい。
【0063】
これらの他の装置は、シール管および/または他の構成要素を有し、一般的にゴム、エラストマー、ポリマーまたは他の弾性材のような材料を含んでいてもよい。同様に、Oリングは、ゴム、エラストマー、ポリマーあるいはその他の弾性材のような材料を含んでいてもよい。しかしながら、Oリング703bおよび他の装置と機能は、すでに述べた材料の組み合わせをはじめ他の好適な材料を含む、流体密閉シールを形成するのに好適な他の材料を含んでもよい。いくつかの態様では、Oリング703bおよび他の装置および機能は液圧流体120に対する浸透性を有していないが、他の媒体に対して浸透性を有していてもよい。態様によっては、シール管またはOリング703bは、半浸透性および/または多孔性でもよい。場合によっては、液圧流体に対して浸透性を有していてもよい。さらに、Oリング703bおよび他の装置と機能は、液圧ライン600との接続を固定するためのクリップ、クランプまたは他の機械的装置を含んでいてもよい。Oリング703bと他の装置および機能は、一般的に液圧ライン600から流体の流れに対する障壁の役割を果たす。
【0064】
スプール弁700のブレーキモードの利点のうちの一つとして、とりわけ、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を防止することが挙げられる。例えば、外科手術中、患者を安定した状態にするため、必要なツールおよび/または資源(例えば薬剤)を調達する、あるいは単純に外科医が休憩するなどのために一時停止することが必要な場合もある。さらに、1つの処置の異なる態様を行うために複数の外科医が存在する場合もある。新しい外科医が手術を引き継ぐ際、装置をブレーキモードにロックして、交代の際に装置の制御部との不本意な接触で装置に損傷を与えたり、患者や他の手術室の態様に損傷をあたえたりしないようにする必要がある。このような状況では、他の状況も同様だが、装置が使用するツールを一時的に停止して、装置が使用されていない間に、患者や、手術の他の態様に被害を与えないようにする必要がある。ブレーキモードは、装置の制御部と従属部との間の液圧接続を切断して、制御部への入力の転送が従属部で出力に変換されることを防ぐことによって、装置の制御部に対する不注意な動作によって損傷が起ることを防止する。
【0065】
図10に示すようなブレーキモードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール703の構造によって防止されていてもよい。さらに詳しくは、例示のスプール弁700がブレーキモードにあるとき、装置の従属部および制御部が、流体連通にならないように防ぐ。ブレーキモードでは、スプール703のOリング703bまたはシール管も、容器502と、装置の従属部および制御部との間の流体連通を防止する。使用モードの異形であるブレーキモードでは、容器502は隔離されたままである。容器502は、流体圧の損失またはその他の弊害を引き起こす可能性があるシリンダと容器の間の流体の不本意な交換が起きないように隔離されたままとする。
【0066】
例示のスプール700は、図10に示す位置までスプール703を移動させることによってブレーキモードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときにブレーキモードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール703、通路703c、ポート701aおよびOリング703bは、スプール703の他の動作によってブレーキモードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路703c、ポート701a,およびOリング703bは、スプール703をその軸を中心として回転させることによってブレーキモードにするように構成することができる。あるいは、スプールと、通路703cと、ポート701aと、スプール703のOリング703bを、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、通路703cを、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0067】
図11は、本発明の各態様による例示のスプール弁700の収納モードの拡大図である。図11に示すように、収納モードでは、液圧ライン600のそれぞれが容器502と、他の液圧ライン600のそれぞれと流体連通する。よって、スプール703は、装置の従属部および制御部における制御シリンダそれぞれが同じ液圧回路の容器502と接続されるような位置にくる。この位置は、装置の制御部における各制御シリンダを、装置の従属部のそれぞれの制御シリンダからブレーキモードと同じだけ分離させる効果を有する(図10)。しかしながら、ブレーキモードとは異なり、この分離は、装置のすべての制御シリンダを互いにそして容器502と流体連通させ、均衡を作りあげることによって達成できる。
【0068】
とりわけ、収納モードの目的の一つは、液圧回路を水和した状態に保つことである。ブレーキモードを参照しながら論議したこれらの状態のリストは、収納モードにも同様に適用できる。また、収納モードは、装置の制御部と従属部との間の液圧接続を切断して装置の制御部に対する不注意な動作によって損傷が起きないように防ぐ。しかし、ブレーキモードとは異なり、システムのそれぞれの液圧システムは、収納モードの容器502に接続することができる。例えば、ある態様では、それぞれの制御シリンダ100と液圧ライン600を容器502に接続する目的の一つは、例えば、容器502が蒸気や漏れによって失われるシステムの液圧流体を補充することができるようにすることである。流体を補充することは、液圧ライン600が液圧流体に対して半浸透性を有し、蒸発を許容する場合に特に有益である。収納モードでは、装置は、長時間休止状態になり、液圧流体の蒸発がその他のモードより、より差し迫った課題となる。使用モードとブレーキモードは一般的に比較的短い期間であるため、蒸発および/または漏れによる流体の損失量はわずかである。
【0069】
図11に示すような収納モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通は、すべてのポート701aを互いに、そして容器502と接続するようにスプール703をポート701aに対して配置することによって均等にすることができる。さらに詳しくは、例示のスプール弁700が収納モードにあるときには、装置の従属部および制御部のそれぞれの制御シリンダは、装置の他の制御シリンダのそれぞれと流体連通させることができる。この流体連通は、装置の制御部の制御シリンダの中の不本意な動きにより、この動きが液圧をシステム全体および容器502に広げるため、装置の従属部の対応する制御シリンダに直接転送されない液圧の増加を引き起こすことを意味する。収納モードでは、一般的に、スプール703のOリング703bが容器502と、装置の従属部および制御部との間の流体連通を阻止するために使用されることはない。むしろ、スプール703の位置がこれらの構成要素が液圧流体と接触することを防止する。よって、装置の制御シリンダのそれぞれを互いにおよび容器502と流体連通させることにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が装置の従属部の制御シリンダを起動しないように防ぐことができる。
【0070】
例示のスプール弁700は、図11に示す位置までD方向に沿って軸方向にスプール703を移動させることによって収納モードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときに収納モードになるように構成することができることは理解できよう。例えば、スプール703は、ポート701aそれぞれを容器502に接続する働きをする追加の通路を有する領域を設けてもよい。さらに、スプール703は、スプール703の他の動作によって収納モードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールは、スプール703をその軸を中心として回転させることによって収納モードにするように構成することができる。あるいは、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール703を収納モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作をさせる(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)ことによって、スプール703を、ブレーキモードにできるように構成することも本発明の範囲に含まれる。
【0071】
本発明の各態様を、外科用器具に対する各形態と例について説明したが、これらの形態及び例を任意の好適な機械装置に組み込んだり使用したりすることはその範囲と精神に含まれる。さらに、外科医に関していくつかの機能を説明してきたが、本発明の態様は使用の環境により、他の使用者に使用することもできる。よって、その精神にもとることなく、数多くの、そして様々な変更を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月22日提出の米国仮出願番号No.61/297,630の優先権を主張するものであり、その全体はこの参照により開示に含まれるものである。また、本出願は、2010年8月25日提出の「連結式手術ツール」と題した同出願人による同時係属中の国際出願番号No.PCT/US10/46619号に関するものであり、その全体はこの参照により開示に含まれるものである。
【0002】
本発明の態様は、液圧システムに関し、特に、スプール弁を備えた液圧システムに関する。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡手術ツールに適用される従来技術による液圧システムは、他の外科手術のツールとともに周知である。しかし、現行の腹腔鏡手術器具には、典型的に、その臓器やその他の障害物によって妨害される体の部分への接近可能性に関する制限を含め、かなりの制限があり、従来技術の装置は、典型的に滅菌が難しい。さらに、これらの装置は、まっすぐな本体および/または他の取り扱いが厄介で使用が難しいツールを使用することが多い。
【0004】
さらに、従来技術の腹腔鏡手術器具は、典型的にケーブルと液圧ラインを使って器具の手術用先端部分を操作する。液圧は手術環境または他の特殊な環境に対して必ずしも適しているとは言えない特別な液圧流体を使用する必要があることが多い。例えば、手術環境で従来の液圧オイルを使用することは、賢明でなく、特に装置に漏れが起きたり、液圧導管が破裂しやすいと、様々な危険が生まれる可能性がある。より医学に好適な液圧流体を使用できるが(例えば、水、ミネラルオイル)、そうした流体は、かなりの速さで蒸発する傾向にある。そのような流体を手動で監視して補充するのはコストがかかり、労力もかかる。さらに、流体レベルに関して注意を払わないと、特に手術環境では深刻な事態になる。
【0005】
さらに、ケーブルや液圧ラインを使って器具の手術用先端部分を遠隔操作する従来技術の腹腔鏡手術器具は、直接的に触知できるフィードバックが不足しているために、往々にして予想外の誤使用や使用者の過補償に対して脆弱である。この危険性は、装置を意図的な使用状態でない場合(例えば、他の設備を使用している手術の重要な箇所で休止状態である場合)、修理中または収納中、あるいは、熟練の医師による操作中でない場合に特に顕著である。例えば、装置が手術室間を移動する場合、あるいは、日常保守を行っているときなどに操作に不注意な、そして潜在的なダメージを与える可能性がある。特に、使用者が、装置自体に、補助的な装置に、そして/または患者にダメージを与えうるような方法で腹腔鏡手術装置の制御を移したときに問題が起きうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、技術的に改良された液圧システム、さらに詳しくは、改良された液圧手術装置が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示した目的のため、外科手術を使用して以下につづく本発明の態様について考察するが、その環境は外科手術のみに限らず、当然のことながら、様々な他の環境で使用できる。特に、ここに説明する発明のバリエーションは、任意の好適な液圧システムまたは用途で使用することができる。例えば、本発明の態様は、製造、建築、組み立てライン、危険材料の取り扱いおよび廃棄、水中マニピュレーション、高温材料の取り扱い、使用者が操作対象物から離れている、あるいは、機械的装置を操作した場合に疲労してしまうような、その他の適した環境で使用することができる。
【0008】
本発明の一態様では、単一スプール弁が、装置の制御部および従属部内で作動する液圧シリンダ間の流体連通を制御する。特に、単一スプール弁を使用して液圧システムの制御部および従属部を互いに切断することにより、装置の制御部および従属部間の流体連通がほとんど、もしくは完全になくなる。このモードは、「ブレーキモード」と呼ばれ、外科手術中またはその他の使用中の、不注意な動きを防止する。さらに、そのモードは、一定の部分を停止させなければならない操作中にその装置の一定の部分を停止させる役割も果たすことができる。単一のスプール弁を使って装置の制御部および従属部の間を係合する、もしくは流体連通を可能にすることができる。このモードは、「使用モード」と呼ばれ、使用者は、装置のその機械的能力の最大限まで作動させることができる。また、単一スプール弁を使って装置の従属部および制御部と流体容器の間の流体連通を可能にすることによって、液圧システムが例えば蒸発又は漏れで失った流体を補充することができるようになる。このモードは、「収納モード」と呼ばれ、長期または短期にわたって液圧流体を実質的に失うことなく、装置を収納、移動、または修理できる。
【0009】
本発明の他の態様によると、同じ装置の複数の構成要素に対して複数のスプール弁を使うことができる。スプール弁は、例えば、異なる機械制御に、または同じ機械操作の異なる態様を制御するために使用することができる。複数のスプール弁は同じまたは非常に類似していてもよく、あるいは、特定の用途によって実質的に変化させてもよい。さらに、本発明の態様によるスプール弁は、ここに論じる態様それぞれを省略しても、あるいは含まなくてもよい(例えば、本発明の態様によるスプール弁はブレーキモードを有していなくてもよい)。
【0010】
本発明の別の態様では、スプール弁と液圧ラインの間の1か所以上の接続を密閉するOリングを組み込んで、スプール弁を使用してもよい。本発明の別の態様によると、シール管を組み込んだスプール弁を使って、スプール弁と1本以上の液圧ラインの間の接続を密閉してもよい。また、本発明のさらに別の態様によると、Oリングとシール管の両方を組み込んだスプール弁を使用して、スプール弁と液圧ラインの間の1か所以上の接続を密閉することができる。
【0011】
本発明の各態様によると、意図しない動きやその結果として起こる液圧で起動したシステムへの損傷に対する防止能力を含む利得と利点が提供される。本発明の態様によると、液圧流体の補充を含む利得と利点が提供される。よって、液圧システムをさらにロバストにすることができるとともに、精密な液圧機器を、比較的繊細な器具が損なわれてしまうような環境でも使用することができるようになる。
【0012】
本発明の各態様に関する更なる利点および新たな機能の一部は下記の説明において述べるが、一部分については、当業者が下記の説明を検討すれば、あるいは、その態様を施行して学習すれば、さらに明らかとなろう。
【0013】
本発明の各態様は、下記の詳細な説明および添付の図面からさらに完全に理解できよう。これらは説明および実施例を示すためのみのものであり、本発明の各態様に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の各態様において、特許に対し外科手術を実施する際に使用できる例示のシステムの斜視図である。
【図2A】本発明の各態様において使用することができる例示の制御部の一形態の側面図である。
【図2B】本発明の各態様において使用することができる別の例示の制御部の形態を示す側面図である。
【図2C】本発明において使用することができる例示の従属部の側面図である。
【図2D】本発明の各態様において使用することができる例示のツールの端部の拡大側面図である。
【図3A】本発明の各態様による、例示の制御シリンダが収縮位置にあるところを示す側面図である。
【図3B】本発明の各態様による、例示の制御シリンダが延長位置にあるところを示す側面図である。
【図3C】本発明の各態様による図3Aに示す制御シリンダの側断面図である。
【図4A】本発明の各態様による2個の制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用するスプール弁の例を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図5A】使用モードに位置する図4Aに例示のスプール弁の態様の一部断面拡大側面図である。
【図5B】使用モードにある図5Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図6A】ブレーキモードに位置する図4Aに例示のスプール弁500の一部断面拡大側面図である。
【図6B】ブレーキモードにある図6Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図7A】収納モードに位置する図4Aに例示のスプール弁500の一部断面拡大側面図である。
【図7B】収納モードにある図7Aに例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。
【図8】本発明の態様による、2個の制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用する、例示のスプール弁の側面図である。
【図9】使用モードにある、図8に例示のスプール弁700の一部断面拡大側面図である。
【図10】ブレーキモードにある、図8に例示のスプール弁700の部分断面拡大側面図である。
【図11】収納モードにある図8に例示のスプール弁700の一部断面拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の各態様について、本発明の各種形態および機能の例を示す添付の図面を参照しながら詳しく説明する。しかし、本発明の各態様は、多くの異なる形態で実現可能であるとともにここに述べる各種形態に限定されるものではない。むしろ、本開示が例示の実施形態おいて綿密且つ完璧に示されるよう、また、当業者に対しその範囲を十分伝えられるように、各種形態を示すものである。
【0016】
特に定義しない限り、ここで使用する技術的および科学的用語は、本発明の態様が属する技術分野における通常の当業者が理解するものと同じ意味を持つものとする。ここに示す方法や例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0017】
図1は、手術システムのような、例示の装置10の略ブロック図であり、使用者からの入力を1つ以上の制御部12で受信し、それらの入力を液圧システム14を介して作業を行うための1つ以上の従属部16へ転送するように構成されている。液圧システム14は、スプール弁システム18を備え、装置の制御および操作性を高めることと、装置内の各種作動シリンダの間の流体連通を異なる状態にすることができることと、液圧システム14または装置10における液圧流体を保持および補充することのうち1つ、もしくはそれ以上の組み合わせから構成されている。限定するものではないが、ある1つの形態では、本発明の各態様を特許Pに対して外科手術を行う際に使用できる。例えば装置10は、米国特許第6,607,475にさらに詳細に説明する外科手術システムを有するものであり、この参照により開示に含まれるものである。例えば、装置10は外科手術、メンテナンス、または他の操作の実施を補助するために適した被駆動機械装置をいくつ含んでいてもよい。図1に外科用装置10を示すが、本発明の各態様は、機械的に起動する機能を有する他の任意の好適な装置に関しても使用できるものである。図1に示すもののような被駆動機械装置の一部は、受信した使用者の入力を装置10の従属部16の作業端末まで転送するために1つ以上の対応する従属アクチュエータ22に液圧で接続された1つ以上の制御アクチュエータ20を備えていてもよい。制御アクチュエータ20および従属アクチュエータ22はそれぞれ、シリンダ、ピストン、軸、および液圧シリンダに共通の他の機能を含む液圧シリンダを備えていてもよい。ある形態では、例えば、制御アクチュエータ20は外科医から制御部12の一部の動作といった入力を受け取り、その入力を直接もしくはある所定の割合で従属アクチュエータ22に転送し、装置10の従属部16に接続されたエンドエフェクタまたはツールにおいて機械的操作を起動させる。一般的に、入力機構および1つ以上の制御アクチュエータ20は装置10の制御部12の一部でよく、1つ以上の従属アクチュエータ22および/または1つ以上のエンドエフェクタまたはツールは装置10の従属部16の一部でもよい。制御部12と従属部16の間の接続は、実際は二つの部分の間の機械的力の伝達を可能にする第1の液圧でもよい。しかし、様々なタイプの情報を、装置の二つの部分間で伝達するための他の接続(例えば、電気、空気圧、電磁気、光学および/または他の機械的要素)もある。
【0018】
図2Aは、本発明の各態様による制御部12(図1)において使用できる、例示の制御部50の一形態の詳細図である。図2Aは、使用者と相互作用するハンドル52および親指ループ54含む制御部50の機能の例をいくつか示している。一般的に、使用者は、ハンドル52を把持し、親指を親指ループ54の内側に置き、握りしめる。この動作およびそれに類似した動作は一般的に制御シリンダ100を機械的に応答させ、その機械的応答を、従属部16など、装置の他の部分に伝達する。また、制御シリンダ100はスプール弁システム18に接続してもよい。下記に詳しく説明するように、本発明の各形態におけるスプール弁システム18の1つの目的は、とりわけ、装置10の制御シリンダ100と従属部16の間の流体連通を制御することにある。ここで留意すべきは、図2Aの制御部50は、制御部12(図1)において使用可能な数またはタイプの制御部のうちの一例に過ぎないことである。
【0019】
図2Bは制御部12(図1)において使用できる、例示の制御部200の別の形態の詳細図である。図2Bは、使用者と相互作用するハンドル211とトリガループ212を含む制御部200のいくつかの機能の例を示す図である。制御部200は、図2Aの制御部50の例とは異なり、制御部200は、装置10の制御部12から従属部16に伝達できる動作の自由度が大きい。態様によっては、それぞれの自由度が対応する制御シリンダ100に対応しており、よって制御部200は複数の制御シリンダを有していてもよい。一般的に制御部200を操作するためには、使用者は、ハンドル211を把持し、1本またはそれ以上の指をトリガループ212の内側に置き、トリガループ212を握りしめ、同時にハンドル211を様々な方向に移動させる。この動作およびそれに類似する動作は、一般的に一つもしくはそれ以上のそれぞれの制御シリンダ100を機械的に応答させ、その機械的応答を、装置10の従属部16の、対応する一つ以上の従属アクチュエータ22に伝達する。
【0020】
さらに、制御部200は、一つまたはそれ以上の制御シリンダ100のそれぞれに接続した一つ以上のスプール弁150を備えていてもよい。スプール弁150は一般的に一端、あるいはそれぞれのピストンの一側が、制御シリンダ100のそれぞれ接続されており、装置10の制御シリンダ100と従属部16の間の流体連通を制御する部分を含む。例えば、下記にさらに詳しく説明するように、各スプール弁150は制御シリンダ100とポートを介して流体連通し、従属アクチュエータ16と出口を介して流体連通する。例えば、接続は制御アクチュエータ20のそれぞれとそれに対応する従属アクチュエータ22との間を連通させるそれぞれの液圧ラインを含んでいてもよい。この構成によれば、制御部200によって制御される自由度は、それぞれ、制御部12の1つの制御シリンダ(制御アクチュエータ20)とそれに付随する従属部16の1つの制御シリンダ(従属アクチュエータ22)に、同様に流体通路または接続の一部を形成するスプール弁150を備えたものであってもよい。ここで留意すべきは、図2Bの制御部200は、本発明の各態様による制御部12に使用できる制御部のタイプのうちの一例に過ぎないことである。
【0021】
図2Cは、本発明の各態様において使用できる、例示の従属部250の側面図である。図12Cは、特に、装置の従属部の形態の一例において例示の3つのマクロな自由度の概要を示す。注目すべきは、ここで議論する自由度の例は、一定の用途には有効ではあるが、それらがすべてであるということを意味するものではない。他の自由度もその範囲に含まれるものである。実際には、上記のような現存の装置を変更し、必要に応じて自由度の追加または削減を包含することが可能である。
【0022】
図2Cに示すマクロな自由度の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の前進/後退の旋回運動である。前進/後退の旋回運動により、器具254は、図2Cに示す旋回ポイントのような中央の旋回ポイントを中心に旋回することができるようになる。この特有の旋回自由度は、とりわけ、手術環境Oの特定の関心領域に器具254を位置決めする場合に有益である。例えば、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスのような器具を、切開を行うのに適した位置に位置決めすることができる。あるいは、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば、臓器や組織)を把持するために適した位置に位置決めするような操作を行うことができる。
【0023】
図2Cに示す、さらに別のマクロな自由度の別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の側方スイベルである。側方スイベルにより、器具254が軸Aを中心に旋回することができるようになる。この特有の自由度は、とりわけ、手術環境Oの特定の関心領域に器具254を位置決めする場合に有益である。側方スイベルによる自由度は、例えば、器具254の端部の外科用メスを切開するのに適した位置に位置決めする場合に使用する。あるいは、前進/後退の旋回運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば、臓器や組織)を把持するために適した位置に位置決めするような操作を行うことができる。
【0024】
図2Cに示すマクロな自由度のさらに別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の延長/収縮運動である。延長/収縮運動により、器具254は手術環境Oに接近、またはそこから離れることができるようになる。この特有の自由度により、例えば、器具254を手術環境にある対象物から安全な距離まで後退させることができるようになる一方、前進/後退旋回運動と側方スイベル動作を利用して元の位置まで戻す。器具254の位置が一度戻されると、延長/収縮による自由度を利用して手術環境Oと接触もしくは近接した位置まで戻ることができる。
【0025】
図2Dは、本発明の各態様において使用できる、例示のツール254の端部の拡大側面図である。図2Dは、また、本発明の各態様による器具および/またはツールの4つの例示的なミクロな自由度の概要である。注目すべきは、例示の自由度は一定の用途で有益である一方、それがすべてであるということを意味するものではない。他の自由度もその範囲内にある。実際には、上記のような現存の装置を変更し、必要に応じて自由度の追加または削減を包含することも可能である。このような変更は、その範囲内に含まれると考えるべきである。
【0026】
図2Dに示すミクロな自由度の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の前腕回転運動である。前腕回転運動により、器具254は器具254の主軸Bを中心に回転することができるようになる。この特定の自由度は、とりわけ、器具254を手術環境O(図2C参照)の関心領域の周りに位置させるのに有益である。例えば、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスのようなツールを、切開を行うのに適するように係合するおよび/または位置決めさせることができる。さらに、例えば、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスで弧を描くような切断動作を行うことができる。また別の例では、前腕回転運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットのようなツールを特定の対象物(例えば臓器や組織)を把持するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0027】
また、図2Dに示すミクロな自由度の別の一例は、器具254とそれに関連する構成要素の手首曲げ運動である。手首曲げ運動により、例えば、器具254を、器具254の主軸Bに対して曲げることができるようになる(例えば、角度Cについて)。この特定の自由度は、とりわけ、器具254の一部および/またはツールを、手術環境Oにおける特定の関心領域のまわりに位置決めする場合に有益である(図2C参照)。例えば、手首曲げ運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスを、切開を行うのに適した位置に位置決めする。例えば、手首曲げ運動による自由度を利用して器具254の端部に位置する外科用メスで弧を描くような切開動作を行うことができる。別の例では、手首曲げ運動による自由度を利用して器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば臓器または組織)を把持するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0028】
さらに、図2Dに示す2つのミクロな自由度の別の例は、器具254とそれに関連する構成要素の先端回転運動と先端把持運動である。先端回転運動により、器具254および/またはツールを主軸Bを中心として回転させることができるようになる、あるいは、主軸Bに対して器具254の一部を曲げた後に副軸Dを中心として回転させることができるようになる。先端把持運動により、例えば、器具254および/またはツールを、器具254の主軸に対して曲げることができるようになる、あるいは、器具254の一部を主軸に対して曲げた後に形成された副軸を中心として曲げることができるようになる。さらに、例えば、先端把持運動により、2つの対応する器具またはツール部、例えば、抓みアームの相対的な曲げ運動または旋回運動により、ものを把持したり解放したりすることができるようになる。これらの特定の自由度は、とりわけ、器具254および/またはツールを手術環境Oの特定の関心領域の周囲に位置決めする場合に有益である(図2C参照)。例えば、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスを、切開を行うのに適した位置に係合または位置決めすることができる。さらに、例えば、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部の外科用メスで弧を描くような切断動作を行うことができる。別の例では、先端回転運動および先端把持運動による自由度を利用して、器具254の端部のピンセットを特定の対象物(例えば臓器または組織)を把持または解放するのに適した位置に位置決めすることができる。
【0029】
図3A〜3Cは、図1の制御アクチュエータ20または従属アクチュエータ22の機能の例を示しており、本発明の各態様によると、それぞれがおおむね制御シリンダ100を特徴づけている。図3Cは、例えば、制御シリンダ100の様々な機能を示す断面図である。図3A,3Bおよび3Cに示すように、制御シリンダのこれらの機能には、例えば制御シリンダ軸102を有する外側シリンダ101が含まれる。装置10(図1)の制御部12からの入力を受け取ると、例えば、制御部50(図2A)の親指ループ54または制御部200のトリガループ212(図2B)を握りしめると、制御シリンダ100は図3Aに示す収縮位置から図3Bに示す延長位置まで一連のレバーとギヤを介して起動される。
【0030】
図3A〜3Cに例示する制御シリンダ100は、外側シリンダ101と制御シリンダ軸102を備える。制御シリンダ軸102は外側シリンダ101に対して一定の自由度の範囲内で自由に動くことができ、軸102は制御部10(図1)と機械的連通状態となることができる。図3A〜3Cに示すように、上記の制御部12(図1)の動作により、制御シリンダ軸102を、固定された外側シリンダ101に対して長手方向に移動させる。流体ポート101aおよび101bにより、装置の他の態様との流体連通をシリンダ101と軸102の相対的動作に影響させることができる。
【0031】
1つの例示形態では、液圧流体120(図3C)が内側シリンダ102に位置している。制御部12(図1)が上記のように移動すると、制御シリンダ軸102が動く。液圧流体120は、例えば、ポート(例えば101b)を介して外側シリンダ101から出て、装置の先端のポイントで液圧の変化を引き起こす。例えば、従属シリンダから変位した液圧流体120は、ポート101bを介して外側シリンダ101に入り、それにより、システム内の液圧流体120を略一定量に維持する。一般的に、制御シリンダ軸102は図3Aおよび3Bに示すように外側シリンダ101内で前後にスライドする。例えば、ある態様では、制御シリンダ100を備えた制御部12(図1)の一部が一方向の限界位置まで移動すると、制御シリンダ軸102は、その後退位置(図3Aに示す位置)となる。このように、とりわけ、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部は、制御シリンダ100を使って、使用者からの機械的力を制御部12から受け取ると、アプリケーションまたは装置10(図1参照)の従属部16に伝える。一般的に従属部16は、受け取った液圧入力を緩和し装置10(図1)のエンドエフェクタを駆動するための出力を生成する従属アクチュエータ22を有する。
【0032】
例えば、エンドエフェクタは、限定はしないが、機械的グリッパ、レバーアーム、切断ツール、把持ツールおよびその他の適当な装置を含んでもよい。従属部16(図1)で生成された機械的力は、装置の従属部によって様々な適した方法で使用することができる。例えば、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部を使って外科処置を行ったり、対象物を移動したり、様々な適した用途に機械的に力を提供する。図1に示すように、単一の制御シリンダを有する制御部または複数の制御シリンダを有する制御部は、外科手術を行うための様々な外科用装置(例えば、鉗子、刃、針)に連結してもよい。
【0033】
図3Aおよび3Bに示すような制御シリンダ100は、他の制御シリンダと協力する複雑な機械システムを駆動する場合に使用できる。例えば、1つの制御シリンダは、図2Aの制御システムによって起動し、最終的には装置の従属部の1つ、もしくはそれ以上の制御シリンダで流体を連通させることができる。装置の主部および従属部の制御シリンダの間での液圧の連結は、直接液圧ラインを接続することによって、さらに適したコネクタやクリンパー、弁、その他の機能を多数使用することによってなど、様々な方法や機能によって達成できる。
【0034】
図4Aはスプール弁システム18もしくは液圧システム14(図1参照)で使用して2つの制御シリンダ間、そして、任意で他の付加的構成要素間の流体連通を制御するスプール弁500の態様を示すブロック図である。図4Bは図4Aのスプール弁500の例に関する液圧システムの略ブロック図である。図4Aおよび4Bに示すように、例示したスプール弁500は、装置10の制御部12の制御シリンダを装置10(図1参照)の従属部16の制御シリンダで接続することができる。図4Aおよび4Bではスプール弁に対する装置の制御部および従属部の特定の方向づけを示すが、この構成は単に例示のみを意図してもので必要に応じて変更または逆転してもよい。また、図4Aおよび4Bは、2つの制御シリンダ100のみを接続する、例示のスプール弁500を示している。例示のスプール弁500に接続する制御シリンダの数は、任意の好適な数でよい。さらに、一つ以上の例示したスプール弁500を介して、またはここで説明する他の例示したスプール弁のいずれかもしくはいずれかの組み合わせを介して接続する装置の従属部の制御シリンダと装置の制御部の制御シリンダの数は任意の好適な数でよい。
【0035】
図4Aに例示したスプール弁500は、制御シリンダ100を液圧ライン600を介して接続する4つのポート501aとスプール503を受容するためのスプール受容開口501bとを有する本体部501を有していてもよい。ポート501aは4つのみを表示しているが、追加の制御シリンダを含む、他の装置と流体連通させるための例示したスプール弁500に設けるポート501aの数は任意の好適な数でよいことは理解できよう。ポート501aは、本体部501と液圧ライン600の間の流体連通を可能とする適当なタイプの流体接続を含む。例えば、ポート501aは、液圧ライン600と例示したスプール弁500の本体部501との間に流体密封のシールが形成されるように液圧ライン600の端部を固定する保持機構を備えていてもよい。あるいは、液圧ライン600は、例えばソケットとコネクタの結合システムを介して本体部501に連結してもよい。この場合、ソケットは、液圧ライン上でも、本体部501上に設けてもよい。その使用方法が本発明の態様と合致していれば、これ以外にも適した接続機構が多数存在することは、当業者にとっては明らかであろう。
【0036】
スプール弁500内に使用するそして本発明の他の例示した態様の液圧流体120は、任意の好適な液圧流体でよい。この適した液圧流体120としては、例えば、ミネラルオイルのようなあらゆる適したオイルを使用してもよい。液圧流体120は、生理食塩水または水のような、医学的に無害な流体でもよい。
【0037】
液圧ライン600は、プラスチック、ゴムを含む様々な材料から成っていてもよく、さらに/または、例えば、略一定の体積断面を維持するため、追加の構造的支持を確保するために様々な繊維や金属織物を含んでいてもよい。液圧ライン600、それに対応する制御シリンダ、およびスプール弁の寸法は任意の好適な寸法でよく、また、特定の用途に対して適した内径および外径を有するものでよい。ここに示す本発明の様々な態様に関する構成要素の図面は、必ずしも縮尺通りではない。実際、ここに明確に表現した構成要素および原理は、代替えとして、あるいは同時に異なる別の寸法縮尺でも機能する。
【0038】
例示のスプール弁500は、液圧流体120を保存するための容器502を含んでいてもよい。一般的に、容器502の流体120は液体が使用によりまたは他の理由から失われるので、液圧ライン600または装置の他の液圧部の流体120を補充するために使用することができる。例えば、液圧流体120は、様々な理由から、使用中、および装置が休止状態の場合(例えば、将来の使用のために保存されるなど)のいずれにおいても失われることがある。これらの理由は、液圧ライン600の壁を通じて蒸発したり、装置の別の箇所で蒸発または漏れが起きたり(例えば、連結部または接続部)、あるいは、装置のいずれかの構成要素の不具合および/または破裂などが含まれる。上記に加え、あるいは上記に代わって、液圧流体120をシステムから排水して容器502から液圧流体を交換するのが有利である。
【0039】
容器502は可撓性を有するものでよく、あるいはゴム、エラストマー、各種ポリマーおよびプラスチック、さらにはラテックスのような可撓性を有する材料で形成されていてもよい。あるいは、容器502は、剛体でもよく、金属、セラミクス、あるいは他の硬い材料を含んでいてもよい。容器502には、容器内の液圧流体の液位が容易に確認できるようにある種の透明な材料またはウィンドウのような透明な部分を含んでいると有利である。しかしながら、容器502は必ずしも透明でなくてもよく、また、透明な部分を有していなくてもよい。さらに、センサまたは他の様々な適したタイプのメータや検出器などを使用して、容器502内の液圧流体の液位を追跡または取得してもよい。このようなセンサは光学、機械または、他の適した機構を使用するものでよい。
【0040】
容器502は、限定はしないが、図4Aに示すようなスプール弁500の頂点に位置するポートのような充填ポート502aを有していてもよい。充填ポート502aにより、液圧流体120を再投入、補充、交換することができる。充填ポート502aは、代替えとして、容器502にアクセスできるように他の適した位置に位置してもよい。充填ポート502aは、図4Aに示すようなキャップまたはプラグを有する開口でもよく、あるいは、より複雑な機構を備えるものでもよい。例えば、充填ポート502aは複数の接続部、プラグ、キャップ、またはポートを有していてもよい。充填ポート502aは、図4Aに示すように独立して密閉可能なものでもよく、あるいは、ポンプ、流体供給ライン、または他の機能または装置に接続されていてもよい。
【0041】
図4Aに例示のスプール弁500は、とりわけ例示のスプール弁500のいずれかの側の制御シリンダ間の流体連通を制御することができるスプール503も備えている。スプール503は、スプール503内でのあるいは、スプール503と流体連通にある他の構成要素の間での流体の相互連通、あるいは他の連通を防止するための流体密閉シールを得るための様々な機能を有していてもよい。例えば、ある態様では、スプール弁500は一連のシール管503aおよびOリング503bを含んでいてもよい。シール管503aおよびOリング503bは流体密閉シールを提供するために適した材料を含んでいてもよい。例えば、シール管503aとOリング503bはゴム、ポリマーまたはプラスチックなどから構成されるものでもよい。シール管503aおよびOリング503bは流体に対して完全に不浸透性のものでも、半浸透性のものでも、あるいは選択的に浸透性のものでもよい。さらに、スプール503は、通路、フィルタのような、スプール503の異なる箇所の間で流体を連通させることができる他の機能を有していてもよい。
【0042】
図5Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500の使用モードの拡大図である。図5Bは使用モードにある図5Aの例示のスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図5Aに示すように、スプール503は、スプール503のいずれかの側で対応する流体ライン600の間の流体連通を可能とする2本の通路503cを備える(図5Aに、バルブ軸全体を貫通して切った通路を示すが、これは、通路がバルブ軸を分断していないものであると理解するよう留意のこと)。図5Aは通路503cがチャネルであることを示すが、弁のような、流体の通過を実施できるような他の適した機能もその範囲に含まれる。図5Bは、流体が、使用モードにおいて、これらの通路をいずれかの方向に流れることができることを示すものである。また、図5Bに示すように、使用モードでは、スプール503はシリンダまたは液圧ライン600と容器502の間に流体の連通が起きないように位置している。図5Aには、2本の通路503cが示されているが、特定の用途により、他の任意の好適な数の通路が可能である。スプール弁503は、通路503c間の、あるいは1本以上の通路503cおよび容器502の間の流体連通を封鎖するまたは防止するための装置および機能を有していてもよい。これらの装置および機能は、他のいくつかの機能の中でも特に、Oリング503b、弁、またはストッパを含んでいてもよい。装置および機能は、ゴム、エラストマー、ポリマー、プラスチック、または適したあらゆる材料の組み合わせを含んでもよい。態様によっては、装置および機能は液圧流体に対する浸透性は有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。また、別の態様によると、一定の形態では、装置および機能は液圧流体に対しても半浸透性および/または多孔性でもよい。
【0043】
図5Aに示すような使用モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール503の構造によって制限されていてもよい。使用モードでは、図5Bにもっともわかりやすく示すように、スプール503は装置の容器502、従属部16、および制御部12の間での流体連通を防止するように構成してもよい。装置の液圧機能部(例えば、従属部および制御部)から容器502を隔離することにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が、容器502に対して起きる圧力を開放することなく、装置の従属部の制御シリンダを起動することができる。
【0044】
例示のスプール弁500(図4A)は、図5Aに示すように、軸方向のD方向に、あるいは、適した方向にスプール503を移動してスプール内の流路503cをバルブ本体501のポート501aと位置合わせすることによって使用モードになる。スプール503と通路503cは、スプール503のある動作によって使用モードとなるような、好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路503cは、軸長方向(軸D)へ直接動作させる、またはスプール503を、軸Dを中心として回転させることによって、例えば、回転させて通路503cとポート501aの位置を合わせる、もしくはD方向に、好適な軸方向の動きを生じさせて位置を合わせるなどして、使用モードにすることができるように構成してもよい。あるいは、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール弁と通路を、使用モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール弁と通路503cを、スプール503にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、使用モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0045】
図6Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500のブレーキモードの拡大図である。図6Bはブレーキモードにある図6Aに例示したスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図6Aに示すように、ブレーキモードでは、スプール503は、使用モードのスプール503のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路503cが、ポート501aを介して液圧ライン600と流体連通しないように位置決めされる。また、図6Aに示すように、スプール弁503は、液圧ライン600への接続をそれぞれ閉鎖するための装置および機能を有していてもよい。図6Aでは、液圧ライン600を閉鎖するための装置と機能が、液圧ライン600を例示のスプール弁500に接続するポート501aのそれぞれの開口と重なるような寸法を有するOリングのようなシール管503aを含んでいてもよい。シール管503aは、ゴム、エラストマー、ポリマーあるいはその他の弾性材などのような材料を含んでいてもよい。しかしながら、シール管503aは、すでに述べた材料の組み合わせをはじめ他の好適な材料を含む、流体密閉シールを形成するのに好適な他の材料でもよい。態様によっては、シール管503aは液圧流体120に対する浸透性は有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。態様によっては、シール管503aは、半浸透性および/または多孔性でもよい。シール管503aは一般的に、液圧ライン600からの流体の流れに対する障壁として働くが、それらは他の目的を果たしてもよく、また、液圧ライン600からの流体の流れを制限するものでもよい。
【0046】
スプール弁500のブレーキモードの使用法のうちの一つとして、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を変更、防止、阻止、あるいは干渉することが挙げられる。例えば、外科手術中、患者を安定した状態にするため、必要なツールおよび/または資源(例えば薬剤)を調達する、あるいは単純に外科医が休憩するなどのために一時停止することが必要な場合もある。さらに、1つの処置の異なる態様を行うために複数の外科医が存在する場合もある。新しい外科医が手術を引き継ぐ際、装置をブレーキモードにロックして、交代の際に装置の制御部との不注意な接触で装置に損傷を与えたり、患者を傷つけたり、あるいは手術室において他の有害な状態にならないようにする必要がある。さらに、手術の途中、動作の停止が必要な他の機能を実行するツールを使用する必要がある場合もある。このような状況では、他の状況も同様だが、装置が使用するツールを一時的に停止して、装置が使用されていない間に、患者や、手術の他の態様に被害を与えないようにする必要がある。ブレーキモードは、装置の制御部と従属部間の液圧接続を遮断し、制御部への入力の転送が従属部において出力に転換されないように防ぎ、装置の制御部への不注意な動作によって患者の負傷や他の損傷が引き起こされないようにすることができる。
【0047】
図6aに示すように、例示のスプール弁500は、例えば、スプール上のシール管503aを、バルブ本体501のポート501aに位置合わせするように、スプール503を軸方向のD方向に移動させることによってブレーキモードにすることができる(例えば、図6Aに示す位置へ、図5Aに示す位置から)。しかしながら、スプール弁500は、その背景の範囲内で、スプール503が別の位置にあるときにブレーキモードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール503と、ポート501aと、通路503cと、シール管503aは、スプール503の他の代替え動作によってブレーキモードとなるような好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路503cとシール管503aは、スプール503をその軸を中心に回転させることによって(例えば、通路503cがポート501aとずれることによって、流体の流れが阻止されるように、あるいは、スプール503をD方向に変位させるようなねじ式の動作によって)ブレーキモードとなるように構成することができる。あるいは、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール503と通路503cとシール管503aをブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール弁と通路503cを、スプール503にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0048】
図7Aは、本発明の各態様による例示のスプール弁500の収納モードの拡大図である。図7Bは、図7Aに例示した収納モードのスプール弁に関する液圧システムの略ブロック図である。図7Aおよび7Bに示すように、収納モードでは、ブレーキモードと同様に、スプール503は、使用モードのスプール503のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路503cが、ポート501aを介して液圧ライン600と連通しないように位置決めされる。図7Aおよび7Bに示すように、収納モードでは、液圧ライン600のそれぞれが容器502と、液圧ライン600のそれぞれと流体連通する。よって、スプール503は、装置10(図10)の従属部16および制御部12における制御シリンダそれぞれが容器502と連通するような位置にくる。この位置は、装置の制御部における各シリンダを、装置の従属部のそれぞれの制御シリンダから個々に分離させる効果を有する。しかしながら、ブレーキモードとは異なり、この分離は、装置のすべての制御シリンダを互いに、そして容器502と流体連通させ、均衡状態を作りあげることによって達成できる。
【0049】
収納モードの目的のうちの一つとして、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を防止することが挙げられる。上記のブレーキモードの使用に関して論議した状態のうちの一部は、収納モードにも適用できる。制御シリンダと液圧ラインのそれぞれと容器502が流体連通する利点は、蒸発や漏れによって失われた場合などにシステムへの液圧流体の補充である。この補充は、液圧システムが、液圧流体に対して、例えば蒸発を可能とするような半浸透性等の機能を有する場合に特に有益である。収納モードにあるときには、装置は、長時間休止状態になり、液圧流体の蒸発がその他のモードより、より差し迫った課題となる。使用モードとブレーキモードは一般的に比較的短い期間であるため、蒸発および/または漏れによる流体の損失量は、これらのモードではわずかである。
【0050】
図7Aに示すような収納モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通は、すべてのポート501aを互いに、そして容器502と流体連通させるようにスプール503をポート501aに対して配置することによって均等にすることができる。さらに詳しくは、例示のスプール弁500が収納モードにあるときには、装置10の従属部16のそれぞれの制御シリンダと制御部12は、装置の他の制御シリンダのそれぞれと流体連通させることができる。この流体連通により、液圧の上昇は、装置の従属部において対応する制御シリンダに直接伝達されず、この動きが液圧をシステム全体および容器502に広げるため、装置の制御部の制御シリンダにおける不注意な動きを防止することができる。態様によっては、例えば、容器502が環境気圧に解放されている場合(あるいは環境気圧への開口または接続を含む場合)、液圧の上昇は容器502で消散させることができる。収納モードでは、一般的に、スプール503のOリング503cも、シール管503aも、装置の容器502と、従属部および制御部との間の流体連通を阻止することはない。よって、装置の制御シリンダのそれぞれを互いにおよび容器502と流体連通させることにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が装置の従属部の制御シリンダを起動しないように防ぐことができる。
【0051】
例示のスプール弁500は、スプール503を、スプール内のシールがポート501aと容器502の間(例えば図7Aに示す位置まで)の流体連通を妨害しないように、構成により、弁本体501内軸方向のD方向に沿って、あるいは別の適した方向に移動することによって収納モードにすることができる。しかしながら、スプール弁500は、その範囲内で、スプール503が別の位置にあるときに収納モードになるように構成することができることは理解できよう。例えば、スプール503は、ポート501aそれぞれを容器502に接続する働きをする追加の接続通路を有する領域を設けてもよい。さらに、スプール503は、スプール503の他の代替え動作によって収納モードとなるような好適な構造を有していてもよい。例えば、スプールは、スプール503をその軸を中心として回転させることによって収納モードにするように構成することができる。ここで、スプール503を側方に、あるいは通路503cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、収納モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0052】
図8は、本発明の各態様による、2つの制御シリンダと他の構成要素との流体連通を制御するために使用する例示のスプール弁700の別の形態を示すブロック図である。スプール弁700は、例えば、例示のスプール弁を示す図5Aの接続と同様に、装置の制御部の制御シリンダを装置の従属部の制御シリンダで接続することができる。図8ではスプール弁700に対する装置の制御部および従属部の特定の方向づけを示すが、この構成は単に例示のみを意図しているので、例えば変更または逆転してもよい。図8は、2つのポートを接続する例示のスプール弁700を示す。任意の好適な数の制御シリンダが例示のスプール弁700と接続可能であるということもさらに理解できよう。さらに、装置の従属部の任意の好適な数の制御シリンダを、装置の主部/制御部の任意の好適な数の制御シリンダと、例示したスプール弁700を介して、あるいはここで説明する他の例示したスプール弁のいずれかを介して接続することができる。
【0053】
図8に例示したスプール弁700は、制御シリンダを液圧ライン600を介して接続する4つのポート701aを有する本体部701を備える。ポート701aは4つのみを表示しているが、追加の制御シリンダを含む、他の装置と流体連通させるための例示したスプール弁700に設けるポート701aの数は適したいかなる数でもよいことは理解できよう。図8に例示したスプール弁700は、図8に示すように各ポート701aが本体部701の反対側でその対応するポート701aに対してずれ量Sだけ互い違いになっているという点で、図5Aに例示のスプール弁500とは異なる。他の利点のなかでも、図8に示すようにポート701aを互い違いに配置することによって、Oリング703b(図8には図示せず)を使ってポート701aに接続された液圧ライン600のそれぞれにキャップしたり、あるいは密閉したりすることができるようになる。図6Aに示すように、Oリングの使用は同様の目的のため、例示したスプール弁500に使用するシール管503aの代わりになる。図8では、シール管503a(図5A)の代わりにOリング703bを使用することにより、液圧ライン600で、また装置全体でより高い液圧を使用することができるようになる。例えば、あるタイプのOリング703bは、ポート701aを3000psiまでの圧力でポート701aを密閉することができ、一方、図5Aのシール管503aは、典型的にほぼ低圧で使用される。
【0054】
ポート701aは、本体部701と液圧ライン600の間の流体連通を可能とする任意のタイプの流体接続でよい。例えば、ポート701aは、流体密着シールが液圧ライン600と例示のスプール弁700の本体部701の間に形成されるように、液圧ライン600の端部を固定する圧着機構を含んでいてもよい。あるいは、液圧ライン600はソケットとコネクタの結合システムを介して本体部701に連結してもよい。この場合、ソケットは、液圧ライン上でも、本体部701上に設けてもよい。その使用が本発明の態様と合致していれば、これ以外にも適した接続機構が多数存在することは、当業者にとっては明らかであろう。
【0055】
例示のスプール弁700は、また、液圧流体を保存するための容器502を含んでいてもよい。この容器は、図5Aに示す容器502と、略類似したものでよく、あるいは、より高いまたはより低い液圧での操作に対応する変更が加えられたものでもよい。
【0056】
図9は、図8の本発明の各態様による例示のスプール弁700の使用モードの拡大図である。例示のスプール弁700は、とりわけ例示のスプール弁700のいずれかの側のポート間の流体連通を制御することができるスプール703も備えている。スプール703は、スプール703内でのまたは、スプール703と流体連通にある構成要素の間での流体の、相互連通または他の連通を防止するための流体密閉シールを得るため、様々な機能を有していてもよい。例えば、図8は、図8に関連してすでに説明した一連のOリング703bを有するスプール弁を示している。Oリング703bは流体密閉シールを提供するために適した材料を含んでいてもよい。例えば、Oリング703bは、限定されないが、ゴム、エラストマー、ポリマー、あるいはプラスチックのような材料を含む。Oリング703bは流体に対して完全に不浸透性のものでも、半浸透性のものでも、あるいは選択的に浸透性のものとすることもできる。さらに、スプール703は、通路、フィルタのような、スプール703の異なる箇所の間で流体を連通させることができる他の機能を有していてもよい。図9には示していないが、スプール703はシール管を含む、液圧接続を密閉するための他の機能を有していてもよい。
【0057】
図9に示すように、スプール703は、スプール703のいずれかの側のポート701aの間の流体連通を確立できる通路703cを有していてもよい。スプール703の通路703cは図5Aに示す通路503cに対して角度をつけてあり、ポート701aのずれSを収容できるように構成されている。図9に示すように、ポート701aはそれぞれ、通路703cの一方の端部と流体連通していてもよい。
【0058】
図9には、そのような2本の通路703cが示されているが、特定の用途により、他の適したいかなる数の通路でも可能である。スプール弁703は、通路703cを介した流体連通を封鎖するまたは防止するための装置および機能を有していてもよい。これらの装置および機能は、他のいくつかの機能の中でも特に、Oリング703b、弁、またはストッパを含んでいてもよい。装置および機能は、ゴム、ポリマー、プラスチック、または適したあらゆる材料の組み合わせから構成されてもよい。一般的に、装置および機能は液圧流体に対する浸透性を有していないが、他の媒体に対しては浸透性を有していてもよい。半浸透性および/または多孔性であってもよい。
【0059】
図9にも示すように、例示したスプール弁700はさらに、スプール703を特定の位置にロックするためのロッキング機構710を有していてもよい。ロッキング機構710は、例えば、タブ710bを受容するため、スプール703上に例えば受容部710aを有していてもよい。受容部710aとタブ710bの相対位置は他の好適な位置でもよく、あるいはスプール703がタブ710bを有するように略逆にしてもよい。ロッキング機構710を係合するために、例えば、使用者はスプール703をD方向に沿って移動し、タブ710bを受容機構710aと位置合わせし、続いて、タブ710bを受容部710aに挿入する。タブ710bが受容機構710aと位置合わせされる位置は、ロッキング機構710の相対位置により、装置の各種モード(ブレーキ、使用、または収納)のうちのいずれかに相当する。実際、ここで説明した形態のいずれもが、各種モード(例えばブレーキ、使用、または収納)のいずれにおいてロックする複数のロッキング機構710を有している。さらに、ロッキング機構710は、スプール703がここで説明した各種モードに直接相当しない位置に固定することができるように、他の位置に位置させてもよい。任意で、ロッキング機構710はロックまたはロック解除位置にずらすことができる(例えば、ロック位置にずらすと、スプール703がロック位置に移動してその位置で自動的にロックされる)。
【0060】
図9に示すような使用モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール703の構造によって制限されていてもよい。さらに詳しくは、流体連通はスプール703によって通路703cに制限されてもよい。使用モードでは、スプール703は容器502と、装置の従属部および制御部との間での流体連通を防止するようにしてもよい。装置の液圧機能部(例えば、従属部および制御部)から容器502を液圧的に隔離することにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が、装置の従属部の制御シリンダを起動することができる。
【0061】
例示のスプール弁700は、図9に示す位置に到達するまでD方向に沿って軸方向にスプール703を移動させることによって使用モードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときに使用モードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール703と通路703cは、スプール703の他の動作によって使用モードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路703cは、スプール703をその軸を中心として回転させることによって使用モードにするように構成することができる。あるいは、スプールと、スプール703の通路703cを、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、使用モードにできるように構成することもこの発明範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、通路703cを、使用モードにできるように構成することも本発明の範囲に含まれる。
【0062】
図10は、本発明の各態様による例示のスプール弁700のブレーキモードの拡大図である。図10に示すように、ブレーキモードでは、スプール703は、使用モードのスプール703のいずれかの側の流体ライン600の間を流体連通させる通路703cが、液圧ライン600と流体連通しないように位置決めされる。さらに図10に示すように、ブレーキモードの通路703cの端部は、Oリング703bを介してポート701aから液圧的に分離させてもよい。Oリング703bは、ブレーキモードでポート701aから通路703cを場合によっては、3000psiを超える圧力まで隔離する役割を果たす。液圧ライン600を封鎖する、図10に示していない他の装置および機能を含んでいてもよい。
【0063】
これらの他の装置は、シール管および/または他の構成要素を有し、一般的にゴム、エラストマー、ポリマーまたは他の弾性材のような材料を含んでいてもよい。同様に、Oリングは、ゴム、エラストマー、ポリマーあるいはその他の弾性材のような材料を含んでいてもよい。しかしながら、Oリング703bおよび他の装置と機能は、すでに述べた材料の組み合わせをはじめ他の好適な材料を含む、流体密閉シールを形成するのに好適な他の材料を含んでもよい。いくつかの態様では、Oリング703bおよび他の装置および機能は液圧流体120に対する浸透性を有していないが、他の媒体に対して浸透性を有していてもよい。態様によっては、シール管またはOリング703bは、半浸透性および/または多孔性でもよい。場合によっては、液圧流体に対して浸透性を有していてもよい。さらに、Oリング703bおよび他の装置と機能は、液圧ライン600との接続を固定するためのクリップ、クランプまたは他の機械的装置を含んでいてもよい。Oリング703bと他の装置および機能は、一般的に液圧ライン600から流体の流れに対する障壁の役割を果たす。
【0064】
スプール弁700のブレーキモードの利点のうちの一つとして、とりわけ、従属部の制御シリンダの起動が必要なく、さらに/または好ましくない場合、装置の従属部の制御シリンダのユーザによる起動を防止することが挙げられる。例えば、外科手術中、患者を安定した状態にするため、必要なツールおよび/または資源(例えば薬剤)を調達する、あるいは単純に外科医が休憩するなどのために一時停止することが必要な場合もある。さらに、1つの処置の異なる態様を行うために複数の外科医が存在する場合もある。新しい外科医が手術を引き継ぐ際、装置をブレーキモードにロックして、交代の際に装置の制御部との不本意な接触で装置に損傷を与えたり、患者や他の手術室の態様に損傷をあたえたりしないようにする必要がある。このような状況では、他の状況も同様だが、装置が使用するツールを一時的に停止して、装置が使用されていない間に、患者や、手術の他の態様に被害を与えないようにする必要がある。ブレーキモードは、装置の制御部と従属部との間の液圧接続を切断して、制御部への入力の転送が従属部で出力に変換されることを防ぐことによって、装置の制御部に対する不注意な動作によって損傷が起ることを防止する。
【0065】
図10に示すようなブレーキモードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通はスプール703の構造によって防止されていてもよい。さらに詳しくは、例示のスプール弁700がブレーキモードにあるとき、装置の従属部および制御部が、流体連通にならないように防ぐ。ブレーキモードでは、スプール703のOリング703bまたはシール管も、容器502と、装置の従属部および制御部との間の流体連通を防止する。使用モードの異形であるブレーキモードでは、容器502は隔離されたままである。容器502は、流体圧の損失またはその他の弊害を引き起こす可能性があるシリンダと容器の間の流体の不本意な交換が起きないように隔離されたままとする。
【0066】
例示のスプール700は、図10に示す位置までスプール703を移動させることによってブレーキモードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときにブレーキモードになるように構成することができることは理解できよう。さらに、スプール703、通路703c、ポート701aおよびOリング703bは、スプール703の他の動作によってブレーキモードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールの通路703c、ポート701a,およびOリング703bは、スプール703をその軸を中心として回転させることによってブレーキモードにするように構成することができる。あるいは、スプールと、通路703cと、ポート701aと、スプール703のOリング703bを、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)をさせることによって、通路703cを、ブレーキモードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。
【0067】
図11は、本発明の各態様による例示のスプール弁700の収納モードの拡大図である。図11に示すように、収納モードでは、液圧ライン600のそれぞれが容器502と、他の液圧ライン600のそれぞれと流体連通する。よって、スプール703は、装置の従属部および制御部における制御シリンダそれぞれが同じ液圧回路の容器502と接続されるような位置にくる。この位置は、装置の制御部における各制御シリンダを、装置の従属部のそれぞれの制御シリンダからブレーキモードと同じだけ分離させる効果を有する(図10)。しかしながら、ブレーキモードとは異なり、この分離は、装置のすべての制御シリンダを互いにそして容器502と流体連通させ、均衡を作りあげることによって達成できる。
【0068】
とりわけ、収納モードの目的の一つは、液圧回路を水和した状態に保つことである。ブレーキモードを参照しながら論議したこれらの状態のリストは、収納モードにも同様に適用できる。また、収納モードは、装置の制御部と従属部との間の液圧接続を切断して装置の制御部に対する不注意な動作によって損傷が起きないように防ぐ。しかし、ブレーキモードとは異なり、システムのそれぞれの液圧システムは、収納モードの容器502に接続することができる。例えば、ある態様では、それぞれの制御シリンダ100と液圧ライン600を容器502に接続する目的の一つは、例えば、容器502が蒸気や漏れによって失われるシステムの液圧流体を補充することができるようにすることである。流体を補充することは、液圧ライン600が液圧流体に対して半浸透性を有し、蒸発を許容する場合に特に有益である。収納モードでは、装置は、長時間休止状態になり、液圧流体の蒸発がその他のモードより、より差し迫った課題となる。使用モードとブレーキモードは一般的に比較的短い期間であるため、蒸発および/または漏れによる流体の損失量はわずかである。
【0069】
図11に示すような収納モードでは、装置の各部分の間の液圧流体連通は、すべてのポート701aを互いに、そして容器502と接続するようにスプール703をポート701aに対して配置することによって均等にすることができる。さらに詳しくは、例示のスプール弁700が収納モードにあるときには、装置の従属部および制御部のそれぞれの制御シリンダは、装置の他の制御シリンダのそれぞれと流体連通させることができる。この流体連通は、装置の制御部の制御シリンダの中の不本意な動きにより、この動きが液圧をシステム全体および容器502に広げるため、装置の従属部の対応する制御シリンダに直接転送されない液圧の増加を引き起こすことを意味する。収納モードでは、一般的に、スプール703のOリング703bが容器502と、装置の従属部および制御部との間の流体連通を阻止するために使用されることはない。むしろ、スプール703の位置がこれらの構成要素が液圧流体と接触することを防止する。よって、装置の制御シリンダのそれぞれを互いにおよび容器502と流体連通させることにより、装置の制御部の制御シリンダからの液圧が装置の従属部の制御シリンダを起動しないように防ぐことができる。
【0070】
例示のスプール弁700は、図11に示す位置までD方向に沿って軸方向にスプール703を移動させることによって収納モードとすることができる。しかしながら、スプール弁700は、その背景の範囲内で、スプール703が別の位置にあるときに収納モードになるように構成することができることは理解できよう。例えば、スプール703は、ポート701aそれぞれを容器502に接続する働きをする追加の通路を有する領域を設けてもよい。さらに、スプール703は、スプール703の他の動作によって収納モードとなるような好適な代替え構造を有していてもよい。例えば、スプールは、スプール703をその軸を中心として回転させることによって収納モードにするように構成することができる。あるいは、スプール703を側方に、あるいは通路703cを通る液圧流体の流れに平行な方向に移動することによって、スプール703を収納モードにできるように構成することもこの範囲に含まれる。スプール703にさらに複雑な動作をさせる(例えば、縦、横および/または回転動作の組み合わせを含むような動作)ことによって、スプール703を、ブレーキモードにできるように構成することも本発明の範囲に含まれる。
【0071】
本発明の各態様を、外科用器具に対する各形態と例について説明したが、これらの形態及び例を任意の好適な機械装置に組み込んだり使用したりすることはその範囲と精神に含まれる。さらに、外科医に関していくつかの機能を説明してきたが、本発明の態様は使用の環境により、他の使用者に使用することもできる。よって、その精神にもとることなく、数多くの、そして様々な変更を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのポートとスプール受容開口を有する本体部と、
本体部の開口内に摺動可能に保持され、少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1つの通路を有するスプールとを備え、
前記スプールは、少なくとも2つのポートが連通しない第2のスプール位置に位置決め可能であることを特徴とするスプール弁。
【請求項2】
前記第1のスプール位置では、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項3】
前記第2のスプール位置では、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項4】
前記スプールは第3のスプール位置に位置決め可能であり、前記少なくとも2つのポートは前記容器と連通することを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項5】
前記第3のスプール位置では、前記少なくとも1つの通路は前記少なくとも2つのポートと連通しないことを特徴とする請求項4に記載のスプール弁。
【請求項6】
前記スプール弁はシーリング部材をさらに備え、
前記第2のスプール位置では、少なくとも1つの前記シーリング部材が前記少なくとも2つのポートのうち少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項7】
前記少なくとも1つの通路は、前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項8】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のスプール弁。
【請求項9】
前記ロッキング機構の前記受容部との係合は、前記第1、第2、および第3のスプール位置のうちの1つに対応することを特徴とする請求項8に記載のスプール弁。
【請求項10】
前記ロッキング機構がタブ部材を備えたことを特徴とする請求項9に記載のスプール弁。
【請求項11】
少なくとも1つの制御シリンダと起動部とを有する制御部と、
前記制御部に液圧式に接続され、前記少なくとも1つの制御シリンダによって流体によって起動可能な少なくとも1つの従属シリンダを有する従属部と、
前記制御部と前記従属部との間に操作可能に位置するスプール弁とを備え、
前記スプール弁は、
少なくとも2つのポートとスプール受容開口とを有する本体部と、
前記本体部の前記開口内に摺動可能に保持され、前記少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1本の通路を有するスプールとを備え、
前記スプールは、前記少なくとも2つのポートが連通しないような第2のスプール位置に位置決め可能であることを特徴とする液圧駆動外科装置。
【請求項12】
前記第1のスプール位置において、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項13】
前記第2のスプール位置において、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つのポートが前記容器と連通する第3のスプール位置に、前記スプールが位置決め可能であることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項15】
前記第3のスプール位置において、前記少なくとも1つの通路は前記少なくとも2つのポートと連通しないことを特徴とする請求項14に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項16】
前記スプール弁が少なくとも1つのシーリング部材をさらに備え、
前記第2のスプール位置では、前記少なくとも1つのシーリング部材が前記少なくとも2つのポートの少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの通路が前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項18】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項19】
前記ロッキング機構の受容部との係合は、前記第1、第2、第3のスプール位置のうち1つに対応する請求項18に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項20】
前記ロッキング機構はタブ部材を備えたことを特徴とする請求項19に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項21】
液圧駆動外科装置が、
液圧駆動外科装置の制御部を起動することと、
前記制御部と前記液圧駆動外科装置の従属部と動作可能に接続されたスプール弁を設けることとを含み、
前記スプール弁は、
少なくとも2つのポートとスプール受容開口を有する本体部と、
本体部の開口内に摺動可能に保持され、少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1つの通路を有するスプールとを備えたことを特徴とする液圧駆動外科装置の操作方法。
【請求項22】
前記スプールを、前記少なくとも2つのポートが連通を防止される第2のスプール位置にさらに位置決めすることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の位置では、前記少なくとも2つのポートが液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の位置では、前記少なくとも2つのポートが液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記スプールを、前記少なくとも2つのポートが前記容器と連通する第3の位置にさらに位置決めさせることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第3の位置では、前記少なくとも1つの通路が前記少なくとも2つのポートと連通しない請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記スプール弁が少なくとも1つのシーリング部材をさらに備え、
前記第2の位置では、前記少なくとも1つのシーリング部材が前記少なくとも2つのポートのうち少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの通路は、前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ロッキング機構を前記受容部と係合することによって前記スプールを前記第1、第2および第3のスプール位置のうち1つに保持することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記ロッキング機構がタブ部材を有することを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも2つのポートとスプール受容開口を有する本体部と、
本体部の開口内に摺動可能に保持され、少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1つの通路を有するスプールとを備え、
前記スプールは、少なくとも2つのポートが連通しない第2のスプール位置に位置決め可能であることを特徴とするスプール弁。
【請求項2】
前記第1のスプール位置では、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項3】
前記第2のスプール位置では、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項4】
前記スプールは第3のスプール位置に位置決め可能であり、前記少なくとも2つのポートは前記容器と連通することを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項5】
前記第3のスプール位置では、前記少なくとも1つの通路は前記少なくとも2つのポートと連通しないことを特徴とする請求項4に記載のスプール弁。
【請求項6】
前記スプール弁はシーリング部材をさらに備え、
前記第2のスプール位置では、少なくとも1つの前記シーリング部材が前記少なくとも2つのポートのうち少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項7】
前記少なくとも1つの通路は、前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
【請求項8】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のスプール弁。
【請求項9】
前記ロッキング機構の前記受容部との係合は、前記第1、第2、および第3のスプール位置のうちの1つに対応することを特徴とする請求項8に記載のスプール弁。
【請求項10】
前記ロッキング機構がタブ部材を備えたことを特徴とする請求項9に記載のスプール弁。
【請求項11】
少なくとも1つの制御シリンダと起動部とを有する制御部と、
前記制御部に液圧式に接続され、前記少なくとも1つの制御シリンダによって流体によって起動可能な少なくとも1つの従属シリンダを有する従属部と、
前記制御部と前記従属部との間に操作可能に位置するスプール弁とを備え、
前記スプール弁は、
少なくとも2つのポートとスプール受容開口とを有する本体部と、
前記本体部の前記開口内に摺動可能に保持され、前記少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1本の通路を有するスプールとを備え、
前記スプールは、前記少なくとも2つのポートが連通しないような第2のスプール位置に位置決め可能であることを特徴とする液圧駆動外科装置。
【請求項12】
前記第1のスプール位置において、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項13】
前記第2のスプール位置において、前記少なくとも2つのポートは、液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つのポートが前記容器と連通する第3のスプール位置に、前記スプールが位置決め可能であることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項15】
前記第3のスプール位置において、前記少なくとも1つの通路は前記少なくとも2つのポートと連通しないことを特徴とする請求項14に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項16】
前記スプール弁が少なくとも1つのシーリング部材をさらに備え、
前記第2のスプール位置では、前記少なくとも1つのシーリング部材が前記少なくとも2つのポートの少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの通路が前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項11に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項18】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項19】
前記ロッキング機構の受容部との係合は、前記第1、第2、第3のスプール位置のうち1つに対応する請求項18に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項20】
前記ロッキング機構はタブ部材を備えたことを特徴とする請求項19に記載の液圧駆動外科装置。
【請求項21】
液圧駆動外科装置が、
液圧駆動外科装置の制御部を起動することと、
前記制御部と前記液圧駆動外科装置の従属部と動作可能に接続されたスプール弁を設けることとを含み、
前記スプール弁は、
少なくとも2つのポートとスプール受容開口を有する本体部と、
本体部の開口内に摺動可能に保持され、少なくとも2つのポートと連通するように第1の位置まで移動可能な少なくとも1つの通路を有するスプールとを備えたことを特徴とする液圧駆動外科装置の操作方法。
【請求項22】
前記スプールを、前記少なくとも2つのポートが連通を防止される第2のスプール位置にさらに位置決めすることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の位置では、前記少なくとも2つのポートが液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の位置では、前記少なくとも2つのポートが液圧流体を保存する容器と連通しないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記スプールを、前記少なくとも2つのポートが前記容器と連通する第3の位置にさらに位置決めさせることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第3の位置では、前記少なくとも1つの通路が前記少なくとも2つのポートと連通しない請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記スプール弁が少なくとも1つのシーリング部材をさらに備え、
前記第2の位置では、前記少なくとも1つのシーリング部材が前記少なくとも2つのポートのうち少なくとも1つと位置合わせされることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの通路は、前記スプールの長手方向の軸に対して角度をなしていることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記本体部は、前記スプールの受容部と係合可能なロッキング機構をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ロッキング機構を前記受容部と係合することによって前記スプールを前記第1、第2および第3のスプール位置のうち1つに保持することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記ロッキング機構がタブ部材を有することを特徴とする請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−518222(P2013−518222A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550160(P2012−550160)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022086
【国際公開番号】WO2011/091273
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(510003324)ケアフュージョン2200、インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022086
【国際公開番号】WO2011/091273
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(510003324)ケアフュージョン2200、インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】
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