スペクトルドメイン偏光感受型光コヒーレンストモグラフィを提供することの可能な構成、システム、及び方法
電磁放射を分離し、電磁放射を使用してサンプルの情報を入手するシステム、構成、及び方法が提供されている。具体的には、電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に従って電磁放射を少なくとも1つの第1部分及び少なくとも1つの第2部分に分離可能である。第1及び第2の分離された部分を同時に検出可能である。更には、第1放射をサンプルから入手可能であり、且つ、第2放射を基準から入手可能であり、第1及び第2放射を合成して更なる放射を形成可能であり、この場合に、第1及び第2放射は、電磁放射と関連付けられている。情報は、以前に分離された更なる放射の第1及び第2部分の関数として提供され、これを分析することにより、サンプルを特徴付けている複屈折情報を抽出可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像生成に関するものであり、更に詳しくは、スペクトルドメイン偏光検出型光干渉断層法を提供する能力を有する構成、システム、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2005年4月22日付けで出願された米国特許出願第60/674,008号に基づくものであって、これに対する優先権の利益を主張するものであり、この開示内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
(連邦政府による資金提供をうけた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所によって付与された契約第RO1EY014975号及び第RO1RR019768号、並びに、国防省によって付与された契約第F49620−021−1−0014号の下に米国政府の支援によって行われたものである。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を保有している。
偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(Polarization−Sensitive Optial Coherence Tomography:PS−OCT)システムの取得速度は、時間ドメイン技術を置換することによって大幅に向上させることが可能であり、この例は、J. F. de Boer他による「Two−dimensional birefringence imaging in biological tissue by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1997年、第22(12)巻、934〜936頁)及びB. H. Park他による「Real−time multi−functional optical coherence tomography」(Optics Express、2003年、第11(7)巻、782〜793頁)に記述されている。
【0003】
1つの模範的なスペクトルドメイン(SD)のファイバに基づいたシステムが、N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)及びN. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rate spectral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)に記述されている。これらの文献は、例えば、高速のデータ取得や改善された信号対雑音比などの時間ドメイン分析に対するスペクトルドメイン分析の利点について記述している。例えば、Michelson干渉計の出力における干渉の光学スペクトルをフーリエ変換することにより、構造情報(即ち、深さプロファイル)を取得可能である。
【0004】
又、J. F. de Boer他による「Two−dimensional birefringence imaging in biological tissue by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1997年、第22(12)巻、934〜936頁)には、模範的な偏光感受型時間ドメインシステム、並びに、ファイバに基づいたシステムについて記述されている。
【0005】
例えば、既知の時間ドメインOCTシステムによって取得された健康なボランティアからの画像品質及び偏光検出型の結果をB. Cense他による「Thickness and birefringence of retinal nerve fiber layer of healthy and glaucomatous subject measured with polarization sensitive optical coherence tomography」(Ophthalmic Technologies XIV、2004年、Proceedings of SPIE、第5314巻、179〜187頁)に記述されている緑内障患者のものと比較可能である。
【0006】
緑内障患者から得られた画像内における相対的に低い信号対雑音比が、恐らくは、信頼性の低い結果の原因であろうと確認された。更には、健康な被検者から得られた分析結果である網膜神経線維層(Retinal Nerve Fiber Layer:RNFL)の厚さ及びDPPR/UD(Double−Pass Phase Retardation per Unit Depth)データから、この文献に記述されているように、信頼性の高い複屈折計測のためには、75μmを上回るRNFLの厚さを使用する必要があることが確認された。この文献に示されているように、計測された大部分の緑内障の神経線維層の厚さは、この限度未満であるため、完全な緑内障データセットを取得することができなかった。更には、この文献に記述されている時間ドメインシステムにおける1スキャン当たりには6秒、そして、完全なデータセットにおいては72秒という長い取得時間は、無意識の眼の動き及び頻繁な瞬きによって引き起こされるデータ損失に起因した信頼性の低いデータを結果的にもたらしている。
【0007】
Y. Yasuno他による「Birefringence imaging of human skin by polarization−sensitive spectral interferometric optical coherence tomography」(Optics Letters、2002年、第27(20)巻、1803〜1805頁)及びY. Yasuno他による「Polarization−sensitive complex Fourier domain optical coherence tomography for Jones matrix imaging of biological samples」(Applied Physics Letters、2004年、第85(15)巻、3023〜3025頁)には、分光計に基づいたフーリエドメインシステムを使用した生体外におけるヒトの皮膚並びに生体外におけるブタの食道の複屈折計測について記述されている。これらの文献においては、Aラインの計測レートについては記述されていない。計測については、J. Zhang他による「Full range polarization−sensitive Fourier domain optical coherence tomography」(Optics Express、2004年、第12(24)巻、6033〜6039頁)において提供されている偏光感受型OFDI(Optical Frequency−domain Imaging)システムを使用し、生体外におけるウサギの腱について記述されている。このようなシステムのAラインレートは、250Hzであり、これは、従来の時間ドメインPS−OCTシステムと比較した場合に、改善ではなかったと思われる。時間ドメインOCTに対するスペクトルドメインOCTの特定の利点(これらは、相対的に高い感度及び相対的に高い取得レートである)は、前述の文献によって実証されてはいない。これらの改善は、生体内における計測にとって好ましいものである。以下に記述されているのは、生体内における緑内障患者の網膜神経線維層の厚さ及びDPPR/UDを計測することによって得ることができる特定の利点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、従来技術によるシステムの(前述のものを含む)欠陥及び欠点を克服すると共に、スペクトルドメイン偏光感受型光コヒーレンストモグラフィを提供することの可能な構成、システム、及び方法の具体例を提供することにある。これは、(例えば、PS−SD−OCT構成、システム、及び方法などの)PS−OCTにおけるスペクトルドメイン(Spectral−Domain:SD)分析、構成、システム、及び方法を実現することにより可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば、偏光の2つの連続生成入力状態における2つの直交偏光チャネルにおいてOCTシステムからの干渉分光信号を同時に分析することにより、調査対象の組織(サンプル又はターゲットなど)の偏光検出特性を取得可能である。本発明の一具体例によれば、例示的なPS−SD−OCT構成、システム、及び方法において高速分光計の様々な構成を使用可能である。
【0010】
本発明によるPS−SD−OCTシステム、構成、及び方法の具体例においては、超高速取得及び高感度を偏光感受性と組み合わせることができる。この例示的な組み合わせは、緑内障患者から得られた計測値の信頼性を改善可能である。
【0011】
従って、電磁放射を分離すると共に、電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するシステム、構成、及び方法の具体例が提供される。具体的には、電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて、電磁放射を少なくとも1つの第1部分と少なくとも1つの第2部分に分離可能である。分離された第1及び第2部分を同時に検出可能である。更には、第1放射をサンプルから取得可能であり、第2放射を基準から取得可能であり、且つ、第1及び第2放射を組み合わせて更なる放射を形成可能であり、この場合に、これらの第1及び第2放射は、電磁放射と関連付けられている。予め分離された更なる放射の第1及び第2部分の関数として情報を得ることができる。
【0012】
本発明の別の具体例によれば、検出要素の単一の列を包含可能である検出構成を使用することにより、検出を実行可能である。更には、又は、この代わりに、2つの検出構成を使用可能であり、これらの検出構成のそれぞれは、検出要素の単一の列を含んでいる。更には、偏光に基づいて電磁放射を第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、波長に基づいて電磁放射を第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素を使用することにより、分離を実行可能である。第1要素は、電磁放射の光学経路内において第2要素に後続可能である。
【0013】
例えば、第1及び第2要素に近接した状態において(例えば、第1及び第2要素の間、並びに/又は、光学経路内において第1及び第2要素に後続した状態など)、光学経路内に第3光導波要素を設けることが可能である。更には、又は、この代わりに、第1及び第2要素に後続した状態において光学経路内に更なる光導波要素を設けることも可能である。これらの更なる要素のそれぞれは、個別の分離された部分の中の少なくとも1つを第2要素に向かって導波可能である。第2要素は、電磁放射の光学経路内において第1要素に後続可能である。生成された電磁放射の偏光を制御するべく、更なる構成を設けることが可能である。
【0014】
本発明のこれら及びその他の目的、特徴、及び利点については、添付の請求項との関連において、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点については、本発明の例示用の実施例を示している添付図面との関連において、以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【0016】
添付図面において、同一の参照番号及び符号は、特記されていない限り、類似した例示用の実施例の特徴、要素、コンポーネント、又は部分を表すべく使用されている。更には、以下においては、図面を参照し、本発明について詳述することとするが、この説明は、例示用の実施例との関連において行われている。
【0017】
(具体例の第1の例示的構成)
N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)及びN. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rata spactral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)は、スペクトルドメインのファイバに基づいたシステムについて記述している。本発明によるシステム及び構成の具体例が図1に示されている。図示のように、本システムは、2つのラインスキャンカメラを有する偏光検出型分光計を包含可能である。例示的なシステム/構成は、ラインスキャンカメラ1及び2(それぞれ、LSC1:1050、LSC2:1060)、偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)、合焦器(F:1030)、透過格子(TG:1020)、及びコリメータ(C:1010)を包含可能である。クリーンアップ偏光器をラインスキャンカメラ1(LSC1:1050)の前に設けることが可能であるが、図には示されていない。本発明による例示的なシステム構成においては、検出器アーム内でラインスキャンカメラ1(LSC1:1050)、偏光ビームスプリッタ(1040)、及びクリーンアップ偏光器を使用し、ソースアーム内で偏光変調器を使用することにより、偏光感受型となるように、前述の以前のシステムを変更している。
【0018】
例えば、検出アーム内のファイバの端部において光又は電磁放射の偏光状態の2つの直交成分を偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)によって分離可能であり、この後に、それぞれの偏光成分をその独自の光学コンポーネント及び/又はカメラ上に画像生成可能である。偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)の性能は、理想的なものではないため、軸上にないカメラ(これは、偏光ビームスプリッタPBS:1040内に包含可能である)に向かって転送される偏光/電磁放射のいくつかは、その他の偏光状態を有する光/電磁放射によって汚染されることになる。従って、更なる偏光器を使用することにより、これを改善(即ち、浄化)する必要がある。
【0019】
(具体例の第2の例示的構成)
本発明によるシステム/構成の別の具体例が図2に示されており、これは、Wollastonプリズムを有する例示的な偏光感受型分光計を示している。この具体例においては、2つの偏光成分をWollastonプリズム(WP:2040)によって分離し、ラインスキャンカメラ(LSC:2050)上において画像生成している。この例示的なシステム/構成は、透過格子(TG:2020)、コリメータ(C:2010)、及び合焦構成(F:2030)を含んでいる。使用の際には、カメラは、例えば、図2に示されている2つのスペクトルを記録可能である。実際には、単一カメラ(2050)又は複数のカメラと共にWollastonプリズム(2040)又はRochon、Glan−Thomson偏光要素を使用することにより、従来技術によるシステム/構成を偏光感受型にすることができる。これらの偏光要素は、2つの直交偏光成分を空間的に分離可能である。
【0020】
例えば、Wollastonプリズム(WP:2020)の分割角度を選択することにより、2つのスペクトルの両方を同一のラインスキャンカメラ(2050)上において同時に画像生成できるように、2つのスペクトルを空間的に分離可能である。この例示的な構成は、単一カメラ(2050)を使用しており、この結果、システム/構成の設計を単純化すると共に、恐らくはコストを低減可能である。この具体例の別の可能な利点は、Wollastonプリズム(2040)が、従来の偏光ビームスプリッタによって実行されるものよりも大幅に大きな消光比によって直交偏光成分を分離可能であるという点にある。従って、クリーンアップ偏光器を設ける必要がなく、この結果、恐らくは、コストが更に低減されると共に、光学損失の低減によって分光計の効率が改善されることになる。
【0021】
本発明のその他の具体例が図3A及び図3Bに示されており、これらは、Wollastonプリズムを有する更なる例示的な偏光感受型分光計を示している。図3Aにおいては、コリメータ(3010)の後において2つの直交状態を直接的に分離している。図3Bにおいては、これらの2つの状態を透過格子(TG:3030)の後において分離している。Wallastonプリズム(3020)は、例えば、コリメータ(3010)の直後、又は回折格子(3030)と合焦構成(3040)の間に配置可能である。Wollastonプリズム(3020)の分離角度は、場所の選択に応じて相応に選択可能である。
【0022】
(具体例の第3の例示的構成)
本発明によるシステム/構成の更なる具体例が図4に示されており、これは、図2、図3A、及び図3Bにおいて前述した合焦レンズの代わりに、放物面鏡(4050、4070)を使用することにより、2つの直交偏光成分のスペクトルを画像生成可能であることを示しており、これは、図4に示されている単一のカメラ(4080)又は複数のカメラを利用可能である。この具体例の利点の1つは、放物面鏡は、一般に色分散を誘発しないため、色収差を低減可能であるという点にある。球面収差などのその他のタイプの収差も同様に極小化される。
【0023】
前述の第1及び第2の例示的構成と同様に、コリメータC(4010)は、ファイバ(4000)から出る光/電磁放射をコリメート可能である。次いで、この光/電磁放射を透過格子(4020)を使用することにより、分散可能であり、且つ、偏光ビームスプリッタ(PBS:4030)を使用することにより、2つの直交偏光成分を分離可能である。2つの直線偏光成分は、2つの色消し1/4波長板(QWP:4040、4060)によって円偏光に変換可能である。これらの2つの直線偏光成分は、放物面鏡(4050、4070)によって反射された後に、同一の色消し1/4波長板(QWP:4040、4060)を使用することによって変換され、直線偏光に戻されている。これらの直線偏光は、一般に、初期の成分に対して直交状態となり、従って、PBS(4030)によって異なる方式において処理可能である。PBS(4030)によって最初に反射された直線偏光は、次いで、LSC(4080)に向かって透過可能であり、PBS(4030)によって最初に透過された直線成分も、同一のLSC(4080)に向かって反射可能である。2つのミラーをわずかに傾けることにより、LSC(4080)を使用して2つの偏光成分のスペクトルを分離可能である。
【0024】
この例示的な構成の別の利点は、光/電磁放射が、一般的に、PBS(4030)を2回通過しており、従って、追加のクリーンアップ偏光器を使用することなしに、偏光純度を大幅に改善可能であるという点であろう。
【0025】
第2及び第3構成においては、2つの直交偏光成分のスペクトルを同一のLSC上において画像生成可能である。別の例示的な構成を使用する場合には、矩形CCDの平行ラインに沿って2つのスペクトルを画像生成可能である。このような例示的な構成は、恐らくは軸ずれによる幾何学的収差を低減可能であるという点において有利であろう。
【0026】
前述の例示的な構成においては、取得した2つのスペクトルをハードディスク(又は、別のストレージ装置)に保存し、且つ、リアルタイム並びに後処理において分析可能である。
【0027】
これらのスペクトルの分析の際には、「ゴースト複屈折」アーチファクトを回避することが好ましい。ゴースト複屈折とは、システムによって計測されるが、恐らく実際には存在していない複屈折のことである。これは、偏光感受型分光計の誤った較正によって生じる可能性がある。本発明のシステム、構成、及び方法の具体例は、後程詳述するように、分光計の正しい較正を提供するための手順を提供している。
【0028】
(具体例の更なる1つ又は複数の構成及び技法)
本発明の具体例による第1、第2、及び第3の例示的構成を参照して前述したように、従来のスペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィシステムを偏光感受型にすることができる。例えば、これは、ソースアーム内に、偏光変調器を、そして、検出アーム内に、更なるラインスキャンカメラ(例えば、Basler社の最大ライン周波数が29,300Hzであり、10x10μmの2048要素のもの)と組み合わせられた偏光ビームスプリッタ(CVI)を追加することにより、実行可能である。広帯域アイソレータ(OFR)を使用することにより、ハイパワーのスーパールミネッセントダイオード(例えば、Superlum社のSLD−371−HP(λ0=840nm、ΔλFWHM=50nm))を隔離可能である。アイソレータの出力において、光/電磁放射を恐らくは直線偏光可能である。
【0029】
本発明の更に別の具体例による処理構成を使用することにより、ライン取得のトリガ及び偏光変調器用の駆動波形を生成可能であり、これは、アイソレータに直接又は間接的に後続する状態において配置可能である。本発明による方法の1つの具体例が図5Aにおいて示されている。具体的には、この波形を高電圧増幅器によって増幅可能であり、且つ、変調器へ伝送可能である(段階5010)。この波形は、ポアンカレ球表現内において垂直である2つの異なる偏光状態が生成されるように、例えば、29,300Hzの最大周波数を有するブロック波を包含可能である。これらの波形の変調周波数を任意に減速させることにより(段階5020)、必要に応じて、計測感度を向上させることが可能である。相対的に低い速度において、相応して、ラインスキャンカメラの蓄積時間を増大させることができる(段階5030)。連続深さスキャン(Aライン)を交互に変化する入力偏光状態によって取得できるように、2つのラインスキャンカメラへ伝送されたライン取得トリガ波形を偏光変調器波形に同期させる(5040)。偏光状態が一定である場合にのみ、データを取得し、偏光変調器のスイッチングに起因した偏光不安定性は、2つのカメラの取得時間を22マイクロ秒に短縮することにより、記録しなかった(段階5050)。それぞれのBスキャン(又は、フレーム)をスリットランプ装置の高速スキャン軸と同期化した(段階5060)。この例示的な手順は、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)に記述されている技法及びシステムと共に使用可能である。
【0030】
図5Bは、本発明によるラインスキャンカメラ用の例示的な同期トリガ波形(例えば、ライントリガ、フレームトリガ)と、偏光変調器及び高速ガルバノメーター用の駆動波形を示すグラフである。図5Bに示されているグラフの時間スケールは左から右へいくにつれて短縮されている。図5Bに示されているトリガ及び駆動波形は、1つの画像について20個のAラインを取得する例示的な構成用に提供されている。このフレーム内において、20個のパルスを生成することにより、20個のスペクトルを取得するべく両方のラインスキャンカメラをトリガ可能である。又、これは、すべてのアップフランクにおいて発生可能である。カメラ内の内部遅延は、2マイクロ秒となり、偏光変調器内においては、1マイクロ秒であるため、ソフトウェアにおいて、偏光変調器信号を約1マイクロ秒だけ遅延可能である。高速ガルバノメーターの1サイクル当たりに1000個以上のスペクトルを記録可能であることを理解されたい。異なる波形の開始点の間の時間遅延(右のプロット)を生成することにより、ラインスキャンカメラ及び偏光変調器内における遅延を補償可能である。
【0031】
本発明による偏光感受型スペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィを実行することのできるシステムの別の具体例が図6に示されている。具体的には、広帯域光源(HP−SLD:6000)から供給される光(又は、電磁放射)がアイソレータ(I:6030)を通じて結合され、バルク偏光変調器(M:6040)で29,300Hzにおいて変調される。アイソレータ(I:6030)及び偏光変調器(M:6040)は、ファイバベンチ(6020)上に配置可能である。80/20ファイバカプラ(6050)により、変調光をサンプル及び基準アーム上に分配可能である。スリットランプ(SL:6160)に基づいた網膜スキャナにより、網膜をスキャニング可能であり、基準アームは、高速スキャニング遅延ライン(RSOD:6080〜6140)を包含可能であり、これらを偏光ビームスプリッタ(PBS:6090)と共に使用することにより、両方の偏光状態の等しい伝送を保証可能である。又、減衰のために可変中性濃度フィルタ(ND:6130)を設けることも可能である。戻り経路上において、高速偏光検出型分光計(要素6230〜6280)を使用することにより、干渉縞を検出可能である。光を(例えば、要素C:6230を使用することによって(−f=60mm))コリメートし、且つ、透過格子(TG:6240、1200ライン/mm)によって回折可能であり、この後に、レンズ(ASL:6250、f=100mm)により、スペクトルを2つのラインスキャンカメラ(LSC1:6270及び2:6280)上に合焦可能である。検出経路内の偏光ビームスプリッタ(6260)は、直交偏光成分を2つのカメラ(6270、6280)に導波しており、これらは、互いに、且つ、ソースアーム内の偏光変調器(6040)と同期化可能である。LSC1(6270)の前にクリーンアップ偏光器を配置することにより、汚染変調状態を除去可能である。偏光コントローラ(PC:6010、6060、6150、6210)を使用することにより、光の偏光状態を微調整可能である。
【0032】
例えば、80/20ファイバカプラ(6050)は、パワーの80%を基準アームに対して提供可能である。高速スキャニング遅延ライン(RSOD:6080〜6140)を偏光ビームスプリッタ(6090)と共に使用することにより、両方の入力偏光状態における遅延ラインを通じた(例えば、等しいパワー量の)伝送を円滑に実行可能である。RSODは、分散補償のために使用可能であり、ガルバノメーターミラー(6120)は、これらの計測において静止状態に維持可能である。RSODから返ってきた光は、サンプルアームから返ってきた光と干渉可能である。干渉スペクトルを検出アーム内の偏光検出型分光計によって記録可能であり、この場合には、2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)を偏光ビームスプリッタ(6260)の周囲に配置可能である。ファイバから出た光を、まず、コリメートし6230、透過格子(6240)によって回折可能であり、この後に、この光をレンズ(6250)を使用することによって合焦可能である。偏光ビームスプリッタ(6260)は、直交状態を2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)に導波可能であり、これらのカメラは、5軸の並進ステージ上に取り付け可能である。
【0033】
偏光ビームスプリッタを通じて真っ直ぐに透過される偏光状態は、一般的に、純粋なものとなる(例えば、パワーの約99%が水平偏光された状態であってよい)。偏光ビームスプリッタによって90°の角度において反射された偏光状態は、相対的に純粋性が乏しくなり、水平偏光光が垂直偏光光と混合している。このような汚染は、適切な偏光分析を歪める可能性があるため、クリーンアップ偏光器を使用することにより、反射された偏光状態から水平偏光光をフィルタリング可能である。Polarcorのワイヤグリッド偏光器は、フル帯域幅にわたって1:10,000の消光比と、約90%を上回る透過性能を具備可能である。この偏光器を軸上にないラインスキャンカメラ(6270)の前面に配置可能である。このような偏光器の透過波面歪みは、(632.8nmにおいて)1/4波長未満と規定可能である。スペクトルを2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)によって同時に記録し、且つ、ハードディスク又は任意のその他のストレージ装置に保存可能である。1秒当たりに約3フレームというオンスクリーンフレームレートをリアルタイムで維持可能である。偏光コントローラ(6010、6060、6150、6210)を使用することにより、干渉計のすべてのアーム内の偏光状態を最適化可能である。
【0034】
更には、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)に記述されている従来技術によるシステムを利用することにより、OCTデータ及び/又はビデオ画像を同時に取得可能である。図6に示されているように、本発明の具体例によるPS−SD−OCDシステムは、例えば、視神経乳頭周辺におけるスキャンを位置決めするべく使用可能であるCCDカメラ(6170)を包含可能である。このようなカメラの画像は、ハードディスク又は任意のその他のストレージ装置上に保存する必要はないが、必要に応じて保存することも可能である。前述のデータ取得の前に(又は、その最中に)、CCDカメラ(6170)及びリアルタイムOCT構造強度ディスプレイからの情報を使用することにより、例えば、瞳孔の中心にスキャニングビームの狙いをつけ、視神経乳頭の周辺におけるスキャンを位置決め可能である。更には、両方の画像生成モードを使用して、例えば、ビームを網膜上に合焦することにより、可能な最高の信号対雑音比を有するデータを保証可能である。
【0035】
(偏光感受型分光計の較正の例)
一般に、SD−OCTシステムにおいては、波長空間からk空間(k=2π/λ)へのリマッピングの結果得られるスペクトルのフーリエ変換として、反射率深さプロファイル(Aライン)を取得可能である。このリマッピングは、ラインスキャンカメラの異なる画素上に入射する波長に関する知識に依存可能である。仮定された入射波長λの誤差Δλを使用することにより、Δk=2πΔλ/λ2によって提供される波数の偏差を生成可能である。2つのラインスキャンカメラがわずかに異なる誤差を有している場合にも、この相対的な波数の偏差が複屈折性の人工的な外観をもたらすことになる。λ=850nmの入射波長と、カメラ間におけるΔλ=1nmの相対的なアライメントエラーの場合に、1mmの深さにおいて位相差Δφ=8.70ラジアンを得ることができる。ラインスキャンカメラに跨るこれらの位相差の累積的な影響が、サンプル複屈折に起因して位相遅延と弁別不可能である全体的な位相差に結び付く可能性がある。この人工的な(即ち、「ゴースト」の)複屈折の除去は、サンプル偏光特性の更に正確な判定を得るために恐らくは有益であろう。
【0036】
LSC上の画素位置と、対応する波長λの間の関係は、簡単な幾何学を使用することによって標準格子式から得ることが可能であり、次の式によって提供可能である。
【0037】
【数1】
【0038】
図7Aは、本発明の具体例による1つの偏光チャネル用の例示的な分光計の構成を示している。格子定数f=1/Δxを有する回折格子DG(7000)を提供可能である。又、この例示的な構成内に、焦点距離Fを有する合焦レンズL(7010)を更に包含することも可能である。図7Aに示されているように、θiは、入射角であり、θdは、回折角である。更には、λcは、角度θcにおいて回折され、合焦レンズLを通じて真っ直ぐに伝播し、CCD(7020)アレイの中心(x=0)から距離xoにおける画素上のCCD(7020)上に入射する中央波長を表している。Dは、格子(7000)と合焦レンズ(7010)の間の距離を表しており、dFは、レンズ(7010)の焦点面からのCCD(7020)の小さな変位を表している。この長手方向の変位dFは、合焦レンズ(7010)の焦点距離のわずかなチューニングに類似したものであってよい(又は、これに実質的に等価なものであってよい)。従って、Fは、較正パラメータと見なすことが可能である。その他の較正パラメータは、入射角θi、中央波長λc、及びCCD(7020)の横方向のシフトx0である。
【0039】
前述の図7Aに図示されている例示的な2つの偏光チャネルの構成においては、合焦レンズの後にビームスプリッタを提供可能であるため、入射角θi及び中央波長λcは、偏光チャネルについて実質的に同一であってよく、且つ、光学経路は、PBSまで共通であってよい。2つのLSCの変位に関係し得るパラメータ(F及びxo)は、好ましくは、互いに異なる必要がある。従って、例えば、θi、λc、F1、F2、xo1、及びxo2などの特定数の独立した較正パラメータが存在可能である。
【0040】
本発明の別の具体例による非偏光検出型システムにおける較正パラメータを判定するための本発明の例示的な実施例による例示的な手順が図7Bのフローチャートに示されており、以下、これについて説明する。
【0041】
まず、段階7050において、基準アーム内の基準ミラーのいくつかの位置について2つのLSC上の強度プロファイルを記録する。段階7055において、サンプルアームは、水が充填された眼のモデル内がミラーを含むことにより、患者の計測をシミュレートしている。スペクトルを波長空間内、次いで、k空間内においてマッピング可能であり(段階7060)、且つ、k空間内のスペクトルのフーリエ変換としてコヒーレンス関数を取得可能である(段階7065)。段階7075において、基準アーム内のミラーの位置とは無関係に複素フーリエ変換の位相が一定になる時点まで較正パラメータをチューニング可能である。この位相項は、前述の患者の計測における分散補償のために使用可能である。
【0042】
更には、段階7070において概略的なアライメントを実行可能であり、これは、データ取得段階7075の前に実行可能である。基準アーム信号を両方のカメラ上において極大化させている。2つのカメラを互いにアライメントさせるために、非複屈折スキャッタリングサンプル(顕微鏡カバースリップのスタックや均一散乱媒質など)を画像生成可能であり、且つ、リアルタイム偏光処理を実行することにより、例えば、大量の人工的な複屈折を視覚的に除去可能である。これは、本発明によるシステムの具体例によって計測される観察された複屈折が、小さくなるか、或いは、場合によっては、無視可能になる時点まで、ビームに対して垂直に1つのカメラの場所を移動させることにより、実行可能である。これにより、1つのカメラの他方のものに対する特定のアライメント(即ち、2つのラインスキャンカメラの対応する画素上における入射波長)を近似的又は粗く同一化することが可能であることを保証可能である。
【0043】
第2に、マッピングパラメータの更に慎重な再較正を段階7080において実行可能である。これは、例えば、先程の基準アーム内のミラーの位置とは無関係な複素フーリエ変換の一定位相の条件以外の(又は、これに加えて)様々なメリット関数を最適化することにより、実現可能である。1つのこのような例示的な関数(例えば、Stokesベクトル)は、分光計に入射する光の偏光状態に依存可能である。ストークスベクトルは、J. F. de Boer他による「Determination of the depth−resolved Stokes parameters of light backscattered from turbid media by use of polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1999年、第24(5)巻、300〜302頁)に記述されているように判定可能である。これらの較正パラメータは、計測された偏光状態が基準アーム内のミラーの位置とは無関係に一定になるように最適化可能である。2つのカメラ用の較正パラメータ及び位相係数の組は、患者の計測におけるスペクトルの正しいマッピング及び分散補償のために使用可能である。
【0044】
本発明の別の具体例によれば、段階7070を参照して先程説明した概略的なアライメントを実行する必要はない。2つのカメラ用のマッピングパラメータを適切に較正することにより、人工的な複屈折の出現を除去可能である。但し、段階7070を参照して先程説明した概略的なアライメントを伴わない場合には、x0などのパラメータの変化範囲が大きなものになる可能性がある。従って、概略的なアライメントは、最適化プロセスを更に容易且つ有益なものにすることができる。
【0045】
(被検者に対する例示的且つ実験的な計測手順)
ヘルシンキ宣言の教義に基づいたプロトコルに従って特定の実験を実行した。この実験のために、一人の健康なボランティアと7人の緑内障患者を動員した。様々な開放隅角度緑内障の段階を有する患者(原発性、色素性、及び擬似剥離形態)が得られ、且つ、患者が研究に対する適格性を有しているかどうかを判定した。インフォームドコンセントを付与し、且つ、患者が研究に参加するための適格性を有していることを判定した後に、緑内障患者の適格性を有する眼をフェニレフリン塩酸塩5.0%及びトロピカミド0.8%によって散瞳させた。本発明によるシステム、構成、及び方法の具体例を使用することにより、動員されたすべての被検者について計測を実行した。
【0046】
(健康な被検者)
B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layers by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他により「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されている従来技術による偏光感受型時間ドメインシステム、並びに、N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)、N. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rate spectral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)、及びB. Cense他による「Ultrahigh−resolution high−speed retinal imaging using spectral−domain optical coherence tomography」(Optics Express、2004年)に記述されているスペクトルドメインシステムの両方により、比較のために、健康なボランティアの画像を予め生成した。
【0047】
この実験においては、ボランティアの散瞳されていない右眼上に入射する光のパワーは、470μWに等しかった。視神経乳頭の周辺において2つの異なるタイプのスキャンを実行した。同心円形スキャン(1.5〜2.6mmの半径間において等距離に離隔した1000個のAラインの12回の円形スキャン)によって1つのデータセットを生成し、6.3x6.4mmのエリアをカバーする500個のAラインの250回のラインスキャンにより、もう1つのデータセットを生成した。データは、1つのAライン当たりに33マイクロ秒又は132マイクロ秒のいずれかの蓄積時間において取得した。最後のセットにおいては、例示的なシステムの動作速度を4分の1に低減することにより、感度を4倍に改善した。この設定は、依然として、時間ドメインの計測と比べて、45倍高速であり、この結果、12回の円形スキャンにおいて、合計計測時間が72秒から1.6秒に低減された。調査対象の眼は、固定スポットによって安定化させた。
【0048】
(緑内障患者)
緑内障患者の場合には、眼に入射するパワーは500μW未満であった。患者が1つの眼によってしか見ることができない場合には、視力を欠いた眼の画像を生成した。画像生成対象の眼は、スプリットランプシステムの内部固定ライトによって安定化させた。この光を見ることができない患者の反対の眼には、外部固定ライトを使用した。33及び132マイクロ秒の蓄積時間を有する1000個のAラインの円形スキャンを実行した。更には、330マイクロ秒の蓄積時間により、これらの患者のいくつかの眼の画像を生成した。更には、1つのAライン当たりに132マイクロ秒において、線形スキャン(1000個のAラインの200回のスキャン(6.4x6.4mm))を実行した。
【0049】
(例示的なデータ分析)
偏光分析は、いくつかの手順から構成されていた。第1の例示的な手順においては、分光計を前述のように較正した。計測されたスペクトルを、波長空間に、次いで、k空間に対してマッピングするべく、構成パラメータを使用した。更には、R. Chan他による「Anisotropic edge−preserving smoothing in carotid B−mode ultrasound for improved segmentation and intima−media thickness measurement」(Computer in Cardiology、Cambridge, MA、IEEE、2000年)に記述されているように、それぞれのカメラ用に判定された位相曲線を使用することにより、眼及び干渉計内の色分散を補償した。データをz空間にフーリエ変換した後に、M. C. Pierce他による「Simultaneous intensity, birefringence, and flow measurements with high−speed fiber−based optical coherence tomography」(Optics Letters、2002年、第27(17)巻、1534〜1536頁)に記述されているように、深さ分解ストークスパラメータを判定した。第1の深さ分解ストークスパラメータは、構造強度(例えば、深さ分解反射率)に対応している。R. Chan他による「Anisotropic edge−preserving smoothing in carotid B−mode ultrasound for improved segmentation and intima−media thickness measurement」(Computer in Cardiology、Cambridge, MA、IEEE、2000年)に記述されているように、このデータから網膜神経線維層の上部及び下部境界を判定した。偏光分析においては、C. E. Saxer他による「High−speed fiber−based polarization−sensitive optical coherence tomography of in vivo human skin」(Optics Letters、2000年、第25(18)巻、1355〜1357頁)、B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layer by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他により「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されているように、正規化された表面ストークスベクトルを特定の深さにおける正規化されたストークスベクトルと比較することにより、深さ分解位相遅延を判定した。
【0050】
健康なボランティアから取得されたデータについては、表面ストークスベクトルを自動的に検出された表面下方の10μmとなるように選択し、緑内障の患者の場合には、正確なデータ抽出のために可能な限り多くのポイントを保持するべく、3μmの値を選択した。移動平均フィルタを使用することにより、スペックル雑音の影響を低減した。水平方向においては、20を上回る数のAラインを平均し、垂直方向においては、3を上回る数のポイントを平均した(これは、10μmに対応している)。網膜神経線維層組織の厚さ及び複屈折をセクタ及び半径の関数として計測した。それぞれの円形スキャンを7.2°の50個のセクタに分割した。この50個のセクタは、時間ドメインデータに使用された48個のセクタに略マッチングしていた。
【0051】
線形スキャンによって取得されたデータセットを、眼底カメラ、スキャニングレーザー検眼鏡、又はスキャニングレーザー偏光計のいずれかによって生成されたものに実質的に等価である表面画像として処理した。これは、1つのAライン当たりの強度値をそれぞれの深さプロファイルに沿った1つの統合された反射率に対応する1つの値に合計することにより、実行された。例えば、3次元容積データセットを眼底画像として見える2次元画像に投影可能である。
【0052】
(例示的な実験結果)
(健康な被検者から得られた結果)
本発明の具体例を使用することにより、眼底に似た画像として処理された線形スキャンの組(7.5kHzにおいて取得された6.4x6.4mmの500x250データポイント)が図8に示されている。具体的には、図8は、取得された三次元容積セットから再構築された視神経乳頭の例示的な擬似眼底画像を示している。白の円は、最小及び最大直径円形スキャンの概略的な位置を示している。上部側又は下部側エリア内において視神経から外に分岐している大きな血管を観察可能である。
【0053】
例えば、30kHz及び7.5kHzにおいて実行された円形スキャンを分析し、互いに比較した。7.5kHzのデータセットは、相対的に高い信号対雑音比(〜41dB対〜36dB)を示しており、顕著なモーションアーチファクトを含んではいなかった。図9は、40歳の健康なボランティアの散瞳されていない右眼の円形スキャンにより、7.5kHzのAラインレートにおいて取得された健康なボランティアの視神経乳頭周辺の円形スキャンの構造強度画像を示している。図9に示されているように、眼内の位置には、側頭部側(T)、上部側(S)、鼻側(N)、下部側(I)というラベルが付与されている。画像のサイズは、深さ0.96mmx幅12.6mmであり、これは、明瞭性のために、垂直方向において4倍に拡大されている。画像は、リアライメントされておらず、従って、視神経乳頭周辺の組織の真の形状を示している。ノイズフロアより上の画像のダイナミックレンジは、38.5dBであった。画像の最上部の下の水平ラインは、軸上にないラインスキャンカメラ内の電気雑音によって引き起こされたものである。
【0054】
画像のダイナミックレンジは、38.5dBである(同一データセット内において、最大で44dBのダイナミックレンジを有する画像が見出された)。強力な反射が図9内の黒い画素によって表されている。この画像は、明瞭性のために、垂直方向に拡大されている。B. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されているように、上部側(F)及び下部側(I)エリアは、相対的に厚いRNFL組織を含んでいる。
【0055】
両方のデータセットを分析することにより、セクタ及び半径の関数として厚さ及びDPPR/UD(Double−Pass Phase retardation per unit)を比較した。30kHzにおいて取得されたデータセットを、7.5kHzにおいて取得されたもの、並びに、256Hzにおいて時間ドメインシステム内において以前に取得されたものと比較した。図11A〜図11Fは、これらの例示的な計測値(例えば、異なる蓄積時間におけるRNFLの厚さ及びDPPR/UD計測値)のグラフを示している。例えば、図11A及び図11Bは、7.5kHzにおいて取得されたデータのグラフを示しており、図11C及び図11Dは、30kHzにおいて取得されたものを示している。時間ドメインのOCTシステムによって256Hzにおいて取得された図11E及び図11Fは、比較を目的として示されている。図11A、図11C、及び図11Eに示されている厚さのグラフは、類似した形態となっており、二重こぶのパターンを有しており、且つ、上部側(S)及び下部側(I)において相対的に高い値を有している。上部側のエリア内においては、相対的に小さな二重こぶのパターンを図11Cにおいて観察可能である。DPPR/UDのグラフも類似した形態となっており、上部側及び下部側において大きな値を有している。平均値の周辺における計測ポイント(例えば、ラインによって接続されているもの)の広がりは、恐らくは、図11Fに示されている時間ドメインデータにおけるよりも、図11B及び図11Dに示されているスペクトルドメインデータにおいて、相対的に大きいであろう
【0056】
以下、側頭部側のセクションの計測から開始して、図10A及び図10B内に示されているデータから取得された1つのセクタにわたって平均化されたスペクトルドメインのOCT計測について説明する、具体的には、図10Aは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側であるセクタの厚さ及DPPR(Douple−Pass Phase Retardation)を示す第1の模範的なグラフを示している。図10Bは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して上部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第1の例示的なグラフを示している。7.5kHzのAラインレートにより、ONHに対して側頭部側であるセクタ(A)及び上部側であるセクタ(B)の厚さ(例えば、破線として示されているもの)及びDPPR(例えば、実線として示されているもの)のグラフを取得した。このデータを20個のAライン又は7.5°のセクタにわたって平均した。RNFLに属するDPPRデータは、最小二乗線形フィットによってフィッティング可能である。式中の傾きは、DPPR/UDを表している。垂直ラインは、強度及びDPPRデータから判定されるRNFLの推定境界を示している。150μmを上回る深さにおけるDPPRにおける増大は、RNFLとRPEの間の低信号によって引き起こされている。
【0057】
例えば、側頭部側のエリア内においては、RNFLは薄く、相対的に小さなDPPR/UD値を取得可能である。上部側のセクタは、相対的に大きな複屈折を有する相対的に厚いRNFL組織を含んでいる。鼻側のプロットは、薄いRNFL及び小さな複屈折を示しており、下部側のプロットは、大きなDPPR/UD値を有する厚いRNFLを示している。厚さの値を半径及びセクタの関数としてプロットし、1つの半径において取得されたデータポイントをラインによって接続した。ラインの太さは、スキャンの半径をしており、スキャンのラインが太いほど、視神経乳頭に対して相対的に近接している。又、DPPR/UDの値も半径及びセクタの関数としてプロットしており、特定の半径におけるデータポイントは、同一のシンボルを保持している。1セクタ当たりの平均EPPR/UD値を判定し、1セクタ当たりの平均値をラインによって接続した。平均の標準誤差(Standard error:SE)を判定し、これを誤差バーによってグラフ内に表している。
【0058】
図11A〜図11Fの厚さのグラフを比較することにより、上部側及び下部側において大きな値を有する類似した傾向を観察可能である。これらのエリア内の相対的に大きな厚さの値は、鋭い神経線維束の存在によって説明可能であり、これらは、中心窩に向かって分岐している。厚さの計測値の差は、操作者によるデータの主観的な解釈に帰することができる。本発明の模範的な一実施例による自動的な画像分析手順により、客観性及び分析を改善可能である。DPPR/UDのグラフも、上部側及び下部側において大きな値を有する同様の傾向を示している。7.5kHzにおいて得られたSD−OCTのデータ結果のほうが、TD−OCTのデータ結果と、より良好にマッチング可能である。側頭部側の値は、両方のSD−OCTデータセット内において増大可能であり、これらの結果は、TD−OCTセットアップの場合には、小さい。図11A〜図11Fのすべてのグラフにおいて、下部側及び上部側の値が相対的に大きいという一般的な傾向を観察可能である。この被検者についてPS−SD−OCTによって計測された最大平均DPPR/UD値は、約0.45°/μmであり、最小平均値は、約0.2°/μmに等しい。これらの値は、840nmにおいて計測されたそれぞれ5.4x10-4及び2.4x10-4の複屈折に略等しいであろう。
【0059】
(健康な被検者から得られた例示的な結果の検討)
図11Fに示されている時間ドメインのDPPR/UDプロットを図11B及び図11Dに示されているスペクトルドメインプロットと比較すれば、スペクトルドメインのデータポイントは、相対的に大きな範囲にわたって散乱した状態で示されている。これは、部分的に、スペクトルドメインデータに使用した際の本発明のシステム、構成、及び方法の具体例の操作者による(自動スロープフィッティング手順の使用及び相対的に小さな数のAラインにわたる平均化に伴う)不完全な使用法に帰することができる。雑音の多い時間ドメイン計測の場合には、RNFLより下の平均DPPR値を使用することにより、DPPR/UDを算出した。平均DPPR値をRNFLの厚さによって除算することにより、DPPR/UDを算出可能である。スペクトルドメインの値の場合には、この手順により、データ上に存在している雑音とは無関係に、RNFLのDPPRデータポイントを通じてラインをフィッティング可能である。フィッティングするべき多数のデータポイントを有するRNFLの厚い部分の場合には、この例示的な手順は、恐らくは、信頼性の高い結果をもたらすであろう。
【0060】
(緑内障被検者の結果)
例示的なPS−SD−OCTシステム、構成、及び方法により、緑内障患者の画像を生成した。特定のデータセットは、分析するのに有益な信号対雑音比を具備していた。このデータセットは、81歳の白人女性の左眼から得られたものである。彼女は、6年前に白内障手術を経験している(これは、恐らくは、相対的に高い画像品質に結び付く)。彼女の最良に補正された視力は、20/20であり、内部固定スポットを使用することにより、眼を安定化させた。視野試験の結果は、上部側の視野欠陥を示しており、これは、下部側エリア内における相対的に薄い神経線維層を結果的にもたらすはずである(即ち、眼の視力に反比例可能である)。報告された視野欠陥は相対的に小さいものであった。図12は、この緑内障患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンから取得された例示的な構造強度画像を示している。この画像は、緑内障によって引き起こされた相対的に薄い下部側の神経線維層(I)を示している。その他のエリアは、いずれも、変化のない状態において示されている。眼内の位置には、側頭部側(T)、上部側(S)、鼻側(N)、下部側(I)というラベルが付与されている。この画像のサイズは、0.96mm深さx12.6mm幅であり、且つ、これは、明瞭性のために、垂直方向において4倍に拡大されている。ノイズフロアよりも上の画像のダイナミックレンジは、37.4dBであり、Aラインは、7.5kHzにおいて取得している。この画像は、2mmの半径及び7.5kHzのAライン取得レートにおいて取得されたものである。
【0061】
健康な被検者内において実行されたスキャン(例えば、図9に示されている画像)と比較した場合に、RNFLと神経節細胞層の間のコントラスト(これは、RNFLの境界をなしている)は、それほど強力ではない。この患者の下部側(I)のRNFL組織は、健康な被検者の同じ下部側の組織と比べて薄くなっている。
【0062】
図13Aは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフを示しており、図13Bは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して上部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフを示している。図13A及び図13Bに提供されているデータは、緑内障患者から得られたものである。RNFLに属するそれぞれのグラフ内のDPPRデータを最小二乗線形フィットによってフィッティングしている。式中のスロープは、DPPR/UDを表している。垂直ラインは、強度及びDPPRデータから判定されたRNFLの推定境界を示している。
【0063】
図12に示されている構造強度画像においては、(「I」というラベルが付与されている)下部側のエリア内において視野欠陥が観察された。図14は、緑内障患者の下部側のエリア内におけるこの視野欠陥内のセクタからのDPPRの結果(実線)及び厚さ(破線)のグラフを示している。RNFLは、相対的に薄い状態において示されているが、DPPR/UDは、大きな値に留まっている。
【0064】
すべての半径においてすべてのセクタを分析した後に、2つのグラフ内において厚さ及びDPPR/UDのプロットを組み合わせた。例えば、図15Aに示されている厚さのグラフは、上部側のエリア内において計測される厚さが半径の関数として減少することを示している。B. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)及びB. Cense他による「Thickness and birefringence of retinal nerve fiber layer of healthy and glaucomatous subjects measured with polarization sensitive optical coherence tomography」(Ophthalmic Technologies XIV、Proceedings of SPIE、第5314巻、2004年、179〜187頁)に記述されているように、この減少は、健康な被検者においても観察されている。下部側のエリア内においては、この半径の関数としての減少は、異なる半径の曲線がオーバーラップしているため、それほど明瞭ではないであろう。健康な被検者の厚さのグラフと比較した場合に、緑内障被検者の下部側のエリアは、相対的に薄くなっている。具体的には、上部側及び下部側のエリアの間の比率は、健康な被検者の場合と比べて、この緑内障患者の場合には、格段に大きくなっている。相対的に薄い下部側のエリアは、視野試験によって計測された視野欠陥と合致している。
【0065】
図15Bに示されているDPPR/UDのグラフは、大きな上部側(S)における値を示している。また、鼻側(N)及び下部側(I)エリアの間においても、大きな値を取得可能であり、小さな値は、鼻側及び側頭部側のエリアにおいて発生している。側頭部側及び下部側エリアの間において落ち込みが明白である。スペクトルドメイン及び時間ドメインのOCTシステム及び手順の両方と共に使用する場合には、一般的な傾向は、健康な被検者において観察される傾向と類似している。
【0066】
健康な被検者からの結果の分析に基づいて、わずかに雑音が多いDPPRグラフの可能な影響を低減するべく、本発明の更なる具体例に従って別の平均化手順を開発した。例えば、この手順によれば、データを再度分析し、平均化フィルタを実装することにより、40個のAラインのStokesパラメータを平均化している。次いで、データをスキャン内の相対的に少ない数のデータポイントに対してマッピングすることにより、セクタの数を2分の1に減少させた。
【0067】
図16Aは、緑内障患者のONHに対して鼻側であるエリアの厚さ(破線)及びDPPR(実線)のプロットを提供する例示的なグラフを示している。図16Bは、緑内障患者のONHに対して上部側であるエリアの厚さ及びDPPRのプロットを提供する例示的なグラフを示しており、且つ、図16Cは、緑内障患者のONHに対して下部側であるエリアの厚さ及びDPPRのプロットを提供する例示的なグラフを示している。これらのグラフは、図15A及び図15Bのグラフ内に表示されているものに類似したDPPR/UDを示している。これらのグラフの場合には、40個のAラインのStokesパラメータを平均化することにより、スペックル雑音の影響を低減している。これらのグラフを相対的に少ない数のAラインにわたって平均化された(図13A及び図13Bに示されている)同一患者のセクタグラフと比較すれば、これらの曲線のほうが、雑音が少なくなっている。すべてのセクタ及び半径の結果が図17A及び図17Bに示されている。具体的には、図17Aは、緑内障患者の神経線維層組織のRNFLの厚さを提供する例示的なグラフを示しており、図17Bは、緑内障患者の神経線維層組織のDPPR/UDの値を提供する例示的なグラフを示している。これらのグラフにおいては、40個のAラインからのStokesパラメータを平均化している。20個のAラインにわたって平均化された緑内障データにおいて観察可能であった傾向は、同一に留まっており、DPPR/UD値は、上部側及び下部側において大きくなっており、最も厚い組織は、上部側のエリア内に配置されている。この平均化手順は、データポイント内における広がりを低減しているが、全体的な傾向は、非常に類似した状態に留まっている。
【0068】
この患者についてPS−SD−OCTシステム及び手順によって計測された最大平均DPPR/UD値は、約0.4°/μmであり、最小平均値は、約0.15°/μmであろう。これらの値は、840nmにおいて計測されたそれぞれ4.8x10-4及び1.8x10-4の複屈折に略等しくなっている。
【0069】
(緑内障被検者の結果の検討)
本発明の具体例によれば、緑内障の場合には、明確にアライメントされた複屈折性を有する神経線維が複屈折性の小さな無定形のグリア細胞によって置換されことになるため、RNFLの複屈折の減少が発生すると考えられる。緑内障患者の下部側のエリアは、緑内障の結果として相対的に薄くなるが、このエリア内のDPPR/UD値の大部分は、正常な状態で観察される。下部側及び側頭部側エリアの間の領域内に、わずかな落ち込みが存在しており、これは、何人かの健康な被検者においても観察可能であるが、鼻側及び下部側エリアの間には、正常な下部側の値が生じている。約0.4°/μmというピーク値は、上部側のエリア内におけるDPPR/UD値、並びに、健康な被検者の下部側及び上部側のエリアのものに非常に類似している。
【0070】
下部側エリア内のRNFLの大部分は、75μmよりもわずかに厚いのみである。同一の信号対雑音比における時間ドメイン計測の場合には、DPPR/UD計測は、一般に、信頼性が高い。しかしながら、これらの計測は、健康な被検者から取得された計測よりも低い信号対雑音比において取得されている(図11B及び図11Dに示されている)。実際に、緑内障データの信号対雑音比は、健康な被検者からのデータと比べて、平均で約3dBだけ低くなっている。このような例示的な結果は、緑内障の1つのタイプを有する一人の緑内障患者から取得されたものであるが、これは、すべての緑内障患者について有用であろう。
【0071】
更には、本発明の具体例によるいくつかの方法によって更に高い信号対雑音比(SNR)を実現可能である。まず、最初に、ソースアームパワーを増大させることにより、SNRを改善可能である。ANSI規格は、スキャニングビームについて、600μWを上回る大きなパワーの使用を提供している。7.5kHzの取得速度、9.4mmのスキャン長(最短半径によるスキャン)、及び1スキャン当たりに132msのスキャン時間において、パワーを15倍の約9mWまで増大可能である。更には、パワーを低減することなしに、スキャンレートを低減することも可能である。例えば、スキャンレートを約3kHzに低速化させることにより、信頼性の高いDPPR/UD結果を入手可能である。モーションアーチファクトが発生する可能性が高いため、緑内障患者の場合には、相対的に長い取得時間は、問題となろう。網膜トラッカは、このようなアーチファクトを回避可能であり、且つ、R. D. Ferguson他による「Tracking optical coherence tomography」(Optics letters、2004年、第29(18)巻、2139〜2141頁)に記述されているように、瞬きに起因して失われたエリアを自動的に再スキャンすることも可能である。健康な被検者におけるスペクトルドメイン計測は、時間ドメイン計測において取得されたものと良好にマッチングしているため、更なる選択肢は、緑内障を有する若い被検者に対して本発明による例示的な手順を実行することであろう。
【0072】
(例示的な実験の結論)
本発明の具体例によるスペクトルドメイン偏光検出型OCTシステム、構成、及び方法によって一人の健康な被検者について計測された健康なRNFL組織の複屈折は、スキャン半径の関数として一定であってよく、且つ、ONH周辺の位置の関数として変化可能であり、ONHに対して上部側及び下部側において高い値が生じている。一人の健康な被検者のONHの周囲における計測平均DPPR/UDは、0.20〜0.45°/μmの間において変化した。これらの値は、840nmにおいて計測された2.4x10-4及び5.4x10-4の複屈折に等しいものであってよい。
【0073】
小さな視野欠陥を有する緑内障被検者における計測値は、緑内障に起因して、下部側のセクタ内において薄くなった神経線維層を示している。本発明の具体例による偏光感受型の計測値は、恐らくは、これらのセクタ内の神経線維層組織の一部が健康な組織と同程度に複屈折性を有していることを通知している。
【0074】
(例示的な使用法及びアプリケーション)
本発明によるシステム、構成、及び方法の具体例と共に使用可能である(又は、これらを内蔵可能である)特定の例示的なシステム、構成、製品、プロセス、サービス、手順、又は研究ツールは、(i)B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layer by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されている緑内障の早期検出用のPS−SD−OCTシステム、(ii)角膜の複屈折計測値を入手するためのPS−SD−OCTシステム、(iii)B. H. Park他による「In vivo burn depth determination by high−speed fiber−based polarization sensitive optical coherence tomography」(journal of Biomedical Optics、2001年、第6(4)、474〜9頁)に記述された火傷深さ分析を提供するため、並びに、M. C. Pierce他による「Birefringence measurements in human skin using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical optics、2004年、第9(2)巻、287〜291頁)及びM. C. Pierce他による「Advances in Optical Coherence Tomography Imaging for Dermatology」(J Invest Dermatology、2004年、第123(3)巻、458〜463頁)に記述された皮膚のコラーゲン含有量を計測することによる皮膚癌検出を実行するためのPS−SD−OCTシステム、(iv)冠状動脈のコラーゲン含有量を計測することによる心血管系疾病の光学的診断を実行するPS−SD−OCTシステム、(v)腫瘍及び癌組織の早期診断を実行するPS−SD−OCTシステム、及び/又は(vi)プラスチック、ガラス、及び組織などの散乱材料の品質管理用の計測を実行するPS−SD−OCTシステムを包含可能である(但し、これらに限定されない)。
【0075】
以上は、本発明の原理を例示したものに過ぎない。本明細書の開示内容に鑑み、当業者には、記述されている実施例に対する様々な変更及び変形が明らかであろう。実際に、本発明の具体例による構成、システム、及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム又はその他の画像生成システム、並びに、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号に記述されているものと共に使用可能であり、これらの開示内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される。従って、当業者であれば、本発明の原理を実施すると共に本発明の精神及び範囲内に属する(但し、本明細書には明示的に図示及び記述されてはいない)多数のシステム、構成、及び方法を考案可能であることを理解されたい。更には、引用によって本明細書に明示的に包含されていない場合にも、従来技術における知識は、そのすべてが本明細書に明示的に包含されている。本明細書において参照されたすべての文献は、引用により、そのすべてが本明細書に包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による2つのラインスキャンカメラを有する偏光感受型分光計構成の具体例の図である。
【図2】本発明によるWollastonプリズムを有する偏光感受型分光計の第1構成の具体例の図である。
【図3A】2つの直交状態をコリメータの後において分離しているWollastonを含む本発明による偏光感受型検出器の第2構成の具体例の図である。
【図3B】2つの直交状態を透過格子の後において分離しているWollasonを含む本発明による偏光感受型検出器の第2構成の具体例の図である。
【図4】本発明による放物面鏡を有する偏光感受型分光計の別の具体例の図である。
【図5A】本発明による方法の例示的な一実施例のフローチャートである。
【図5B】本発明によるラインスキャンカメラ用の例示的な同期トリガ波形(例えば、ライントリガ、フレームトリガ)及び偏光変調器及び高速ガルバノメーター用の駆動波形を示すグラフである。
【図6】本発明による偏光感受型スペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィを実行することのできるシステムの具体例のブロック図である。
【図7A】本発明による1つの偏光チャネル用の例示的な分光計構成の図である。
【図7B】本発明による方法の別の具体例のフローチャートである。
【図8】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された3次元容積セットから再構築された例示的な視神経乳頭の例示的な擬似眼底画像である。
【図9】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された健康な患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンの例示的な構造強度画像である。
【図10】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側(A)および上部側(B)のセクタの厚さ及びDPPR(Double−pass phase retardation)を示す第1の例示的なグラフである。
【図11】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された異なる蓄積時間において入手されたRNFLの厚さ及びDPPR/UDの計測値の例示的なグラフである。
【図12】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された特定の緑内障患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンからの例示的な構造強度画像である。
【図13】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側(A)および上部側(B)のセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフである。
【図14】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された緑内障患者の下部側エリア内の視野欠陥の一部であるセクタ内の厚さ及びDPPRを示す更なる例示的なグラフである。
【図15】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された緑内障患者の神経線維層組織の網膜神経線維層(RNFL)の厚さ(A)およびDPPR/UD値(B)を示す例示的なグラフである。
【図16】緑内障患者のONHに対して鼻側(A)、上部側(B)および下部側(C)のエリアの厚さ(点線)及びDPPR(実線)のプロットを示す例示的なグラフである。
【図17】緑内障患者の神経線維層組織のRNFLの厚さ(A)およびDPPR/UD値(B)を示す例示的なグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像生成に関するものであり、更に詳しくは、スペクトルドメイン偏光検出型光干渉断層法を提供する能力を有する構成、システム、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2005年4月22日付けで出願された米国特許出願第60/674,008号に基づくものであって、これに対する優先権の利益を主張するものであり、この開示内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
(連邦政府による資金提供をうけた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所によって付与された契約第RO1EY014975号及び第RO1RR019768号、並びに、国防省によって付与された契約第F49620−021−1−0014号の下に米国政府の支援によって行われたものである。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を保有している。
偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(Polarization−Sensitive Optial Coherence Tomography:PS−OCT)システムの取得速度は、時間ドメイン技術を置換することによって大幅に向上させることが可能であり、この例は、J. F. de Boer他による「Two−dimensional birefringence imaging in biological tissue by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1997年、第22(12)巻、934〜936頁)及びB. H. Park他による「Real−time multi−functional optical coherence tomography」(Optics Express、2003年、第11(7)巻、782〜793頁)に記述されている。
【0003】
1つの模範的なスペクトルドメイン(SD)のファイバに基づいたシステムが、N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)及びN. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rate spectral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)に記述されている。これらの文献は、例えば、高速のデータ取得や改善された信号対雑音比などの時間ドメイン分析に対するスペクトルドメイン分析の利点について記述している。例えば、Michelson干渉計の出力における干渉の光学スペクトルをフーリエ変換することにより、構造情報(即ち、深さプロファイル)を取得可能である。
【0004】
又、J. F. de Boer他による「Two−dimensional birefringence imaging in biological tissue by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1997年、第22(12)巻、934〜936頁)には、模範的な偏光感受型時間ドメインシステム、並びに、ファイバに基づいたシステムについて記述されている。
【0005】
例えば、既知の時間ドメインOCTシステムによって取得された健康なボランティアからの画像品質及び偏光検出型の結果をB. Cense他による「Thickness and birefringence of retinal nerve fiber layer of healthy and glaucomatous subject measured with polarization sensitive optical coherence tomography」(Ophthalmic Technologies XIV、2004年、Proceedings of SPIE、第5314巻、179〜187頁)に記述されている緑内障患者のものと比較可能である。
【0006】
緑内障患者から得られた画像内における相対的に低い信号対雑音比が、恐らくは、信頼性の低い結果の原因であろうと確認された。更には、健康な被検者から得られた分析結果である網膜神経線維層(Retinal Nerve Fiber Layer:RNFL)の厚さ及びDPPR/UD(Double−Pass Phase Retardation per Unit Depth)データから、この文献に記述されているように、信頼性の高い複屈折計測のためには、75μmを上回るRNFLの厚さを使用する必要があることが確認された。この文献に示されているように、計測された大部分の緑内障の神経線維層の厚さは、この限度未満であるため、完全な緑内障データセットを取得することができなかった。更には、この文献に記述されている時間ドメインシステムにおける1スキャン当たりには6秒、そして、完全なデータセットにおいては72秒という長い取得時間は、無意識の眼の動き及び頻繁な瞬きによって引き起こされるデータ損失に起因した信頼性の低いデータを結果的にもたらしている。
【0007】
Y. Yasuno他による「Birefringence imaging of human skin by polarization−sensitive spectral interferometric optical coherence tomography」(Optics Letters、2002年、第27(20)巻、1803〜1805頁)及びY. Yasuno他による「Polarization−sensitive complex Fourier domain optical coherence tomography for Jones matrix imaging of biological samples」(Applied Physics Letters、2004年、第85(15)巻、3023〜3025頁)には、分光計に基づいたフーリエドメインシステムを使用した生体外におけるヒトの皮膚並びに生体外におけるブタの食道の複屈折計測について記述されている。これらの文献においては、Aラインの計測レートについては記述されていない。計測については、J. Zhang他による「Full range polarization−sensitive Fourier domain optical coherence tomography」(Optics Express、2004年、第12(24)巻、6033〜6039頁)において提供されている偏光感受型OFDI(Optical Frequency−domain Imaging)システムを使用し、生体外におけるウサギの腱について記述されている。このようなシステムのAラインレートは、250Hzであり、これは、従来の時間ドメインPS−OCTシステムと比較した場合に、改善ではなかったと思われる。時間ドメインOCTに対するスペクトルドメインOCTの特定の利点(これらは、相対的に高い感度及び相対的に高い取得レートである)は、前述の文献によって実証されてはいない。これらの改善は、生体内における計測にとって好ましいものである。以下に記述されているのは、生体内における緑内障患者の網膜神経線維層の厚さ及びDPPR/UDを計測することによって得ることができる特定の利点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、従来技術によるシステムの(前述のものを含む)欠陥及び欠点を克服すると共に、スペクトルドメイン偏光感受型光コヒーレンストモグラフィを提供することの可能な構成、システム、及び方法の具体例を提供することにある。これは、(例えば、PS−SD−OCT構成、システム、及び方法などの)PS−OCTにおけるスペクトルドメイン(Spectral−Domain:SD)分析、構成、システム、及び方法を実現することにより可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば、偏光の2つの連続生成入力状態における2つの直交偏光チャネルにおいてOCTシステムからの干渉分光信号を同時に分析することにより、調査対象の組織(サンプル又はターゲットなど)の偏光検出特性を取得可能である。本発明の一具体例によれば、例示的なPS−SD−OCT構成、システム、及び方法において高速分光計の様々な構成を使用可能である。
【0010】
本発明によるPS−SD−OCTシステム、構成、及び方法の具体例においては、超高速取得及び高感度を偏光感受性と組み合わせることができる。この例示的な組み合わせは、緑内障患者から得られた計測値の信頼性を改善可能である。
【0011】
従って、電磁放射を分離すると共に、電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するシステム、構成、及び方法の具体例が提供される。具体的には、電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて、電磁放射を少なくとも1つの第1部分と少なくとも1つの第2部分に分離可能である。分離された第1及び第2部分を同時に検出可能である。更には、第1放射をサンプルから取得可能であり、第2放射を基準から取得可能であり、且つ、第1及び第2放射を組み合わせて更なる放射を形成可能であり、この場合に、これらの第1及び第2放射は、電磁放射と関連付けられている。予め分離された更なる放射の第1及び第2部分の関数として情報を得ることができる。
【0012】
本発明の別の具体例によれば、検出要素の単一の列を包含可能である検出構成を使用することにより、検出を実行可能である。更には、又は、この代わりに、2つの検出構成を使用可能であり、これらの検出構成のそれぞれは、検出要素の単一の列を含んでいる。更には、偏光に基づいて電磁放射を第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、波長に基づいて電磁放射を第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素を使用することにより、分離を実行可能である。第1要素は、電磁放射の光学経路内において第2要素に後続可能である。
【0013】
例えば、第1及び第2要素に近接した状態において(例えば、第1及び第2要素の間、並びに/又は、光学経路内において第1及び第2要素に後続した状態など)、光学経路内に第3光導波要素を設けることが可能である。更には、又は、この代わりに、第1及び第2要素に後続した状態において光学経路内に更なる光導波要素を設けることも可能である。これらの更なる要素のそれぞれは、個別の分離された部分の中の少なくとも1つを第2要素に向かって導波可能である。第2要素は、電磁放射の光学経路内において第1要素に後続可能である。生成された電磁放射の偏光を制御するべく、更なる構成を設けることが可能である。
【0014】
本発明のこれら及びその他の目的、特徴、及び利点については、添付の請求項との関連において、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点については、本発明の例示用の実施例を示している添付図面との関連において、以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【0016】
添付図面において、同一の参照番号及び符号は、特記されていない限り、類似した例示用の実施例の特徴、要素、コンポーネント、又は部分を表すべく使用されている。更には、以下においては、図面を参照し、本発明について詳述することとするが、この説明は、例示用の実施例との関連において行われている。
【0017】
(具体例の第1の例示的構成)
N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)及びN. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rata spactral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)は、スペクトルドメインのファイバに基づいたシステムについて記述している。本発明によるシステム及び構成の具体例が図1に示されている。図示のように、本システムは、2つのラインスキャンカメラを有する偏光検出型分光計を包含可能である。例示的なシステム/構成は、ラインスキャンカメラ1及び2(それぞれ、LSC1:1050、LSC2:1060)、偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)、合焦器(F:1030)、透過格子(TG:1020)、及びコリメータ(C:1010)を包含可能である。クリーンアップ偏光器をラインスキャンカメラ1(LSC1:1050)の前に設けることが可能であるが、図には示されていない。本発明による例示的なシステム構成においては、検出器アーム内でラインスキャンカメラ1(LSC1:1050)、偏光ビームスプリッタ(1040)、及びクリーンアップ偏光器を使用し、ソースアーム内で偏光変調器を使用することにより、偏光感受型となるように、前述の以前のシステムを変更している。
【0018】
例えば、検出アーム内のファイバの端部において光又は電磁放射の偏光状態の2つの直交成分を偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)によって分離可能であり、この後に、それぞれの偏光成分をその独自の光学コンポーネント及び/又はカメラ上に画像生成可能である。偏光ビームスプリッタ(PBS:1040)の性能は、理想的なものではないため、軸上にないカメラ(これは、偏光ビームスプリッタPBS:1040内に包含可能である)に向かって転送される偏光/電磁放射のいくつかは、その他の偏光状態を有する光/電磁放射によって汚染されることになる。従って、更なる偏光器を使用することにより、これを改善(即ち、浄化)する必要がある。
【0019】
(具体例の第2の例示的構成)
本発明によるシステム/構成の別の具体例が図2に示されており、これは、Wollastonプリズムを有する例示的な偏光感受型分光計を示している。この具体例においては、2つの偏光成分をWollastonプリズム(WP:2040)によって分離し、ラインスキャンカメラ(LSC:2050)上において画像生成している。この例示的なシステム/構成は、透過格子(TG:2020)、コリメータ(C:2010)、及び合焦構成(F:2030)を含んでいる。使用の際には、カメラは、例えば、図2に示されている2つのスペクトルを記録可能である。実際には、単一カメラ(2050)又は複数のカメラと共にWollastonプリズム(2040)又はRochon、Glan−Thomson偏光要素を使用することにより、従来技術によるシステム/構成を偏光感受型にすることができる。これらの偏光要素は、2つの直交偏光成分を空間的に分離可能である。
【0020】
例えば、Wollastonプリズム(WP:2020)の分割角度を選択することにより、2つのスペクトルの両方を同一のラインスキャンカメラ(2050)上において同時に画像生成できるように、2つのスペクトルを空間的に分離可能である。この例示的な構成は、単一カメラ(2050)を使用しており、この結果、システム/構成の設計を単純化すると共に、恐らくはコストを低減可能である。この具体例の別の可能な利点は、Wollastonプリズム(2040)が、従来の偏光ビームスプリッタによって実行されるものよりも大幅に大きな消光比によって直交偏光成分を分離可能であるという点にある。従って、クリーンアップ偏光器を設ける必要がなく、この結果、恐らくは、コストが更に低減されると共に、光学損失の低減によって分光計の効率が改善されることになる。
【0021】
本発明のその他の具体例が図3A及び図3Bに示されており、これらは、Wollastonプリズムを有する更なる例示的な偏光感受型分光計を示している。図3Aにおいては、コリメータ(3010)の後において2つの直交状態を直接的に分離している。図3Bにおいては、これらの2つの状態を透過格子(TG:3030)の後において分離している。Wallastonプリズム(3020)は、例えば、コリメータ(3010)の直後、又は回折格子(3030)と合焦構成(3040)の間に配置可能である。Wollastonプリズム(3020)の分離角度は、場所の選択に応じて相応に選択可能である。
【0022】
(具体例の第3の例示的構成)
本発明によるシステム/構成の更なる具体例が図4に示されており、これは、図2、図3A、及び図3Bにおいて前述した合焦レンズの代わりに、放物面鏡(4050、4070)を使用することにより、2つの直交偏光成分のスペクトルを画像生成可能であることを示しており、これは、図4に示されている単一のカメラ(4080)又は複数のカメラを利用可能である。この具体例の利点の1つは、放物面鏡は、一般に色分散を誘発しないため、色収差を低減可能であるという点にある。球面収差などのその他のタイプの収差も同様に極小化される。
【0023】
前述の第1及び第2の例示的構成と同様に、コリメータC(4010)は、ファイバ(4000)から出る光/電磁放射をコリメート可能である。次いで、この光/電磁放射を透過格子(4020)を使用することにより、分散可能であり、且つ、偏光ビームスプリッタ(PBS:4030)を使用することにより、2つの直交偏光成分を分離可能である。2つの直線偏光成分は、2つの色消し1/4波長板(QWP:4040、4060)によって円偏光に変換可能である。これらの2つの直線偏光成分は、放物面鏡(4050、4070)によって反射された後に、同一の色消し1/4波長板(QWP:4040、4060)を使用することによって変換され、直線偏光に戻されている。これらの直線偏光は、一般に、初期の成分に対して直交状態となり、従って、PBS(4030)によって異なる方式において処理可能である。PBS(4030)によって最初に反射された直線偏光は、次いで、LSC(4080)に向かって透過可能であり、PBS(4030)によって最初に透過された直線成分も、同一のLSC(4080)に向かって反射可能である。2つのミラーをわずかに傾けることにより、LSC(4080)を使用して2つの偏光成分のスペクトルを分離可能である。
【0024】
この例示的な構成の別の利点は、光/電磁放射が、一般的に、PBS(4030)を2回通過しており、従って、追加のクリーンアップ偏光器を使用することなしに、偏光純度を大幅に改善可能であるという点であろう。
【0025】
第2及び第3構成においては、2つの直交偏光成分のスペクトルを同一のLSC上において画像生成可能である。別の例示的な構成を使用する場合には、矩形CCDの平行ラインに沿って2つのスペクトルを画像生成可能である。このような例示的な構成は、恐らくは軸ずれによる幾何学的収差を低減可能であるという点において有利であろう。
【0026】
前述の例示的な構成においては、取得した2つのスペクトルをハードディスク(又は、別のストレージ装置)に保存し、且つ、リアルタイム並びに後処理において分析可能である。
【0027】
これらのスペクトルの分析の際には、「ゴースト複屈折」アーチファクトを回避することが好ましい。ゴースト複屈折とは、システムによって計測されるが、恐らく実際には存在していない複屈折のことである。これは、偏光感受型分光計の誤った較正によって生じる可能性がある。本発明のシステム、構成、及び方法の具体例は、後程詳述するように、分光計の正しい較正を提供するための手順を提供している。
【0028】
(具体例の更なる1つ又は複数の構成及び技法)
本発明の具体例による第1、第2、及び第3の例示的構成を参照して前述したように、従来のスペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィシステムを偏光感受型にすることができる。例えば、これは、ソースアーム内に、偏光変調器を、そして、検出アーム内に、更なるラインスキャンカメラ(例えば、Basler社の最大ライン周波数が29,300Hzであり、10x10μmの2048要素のもの)と組み合わせられた偏光ビームスプリッタ(CVI)を追加することにより、実行可能である。広帯域アイソレータ(OFR)を使用することにより、ハイパワーのスーパールミネッセントダイオード(例えば、Superlum社のSLD−371−HP(λ0=840nm、ΔλFWHM=50nm))を隔離可能である。アイソレータの出力において、光/電磁放射を恐らくは直線偏光可能である。
【0029】
本発明の更に別の具体例による処理構成を使用することにより、ライン取得のトリガ及び偏光変調器用の駆動波形を生成可能であり、これは、アイソレータに直接又は間接的に後続する状態において配置可能である。本発明による方法の1つの具体例が図5Aにおいて示されている。具体的には、この波形を高電圧増幅器によって増幅可能であり、且つ、変調器へ伝送可能である(段階5010)。この波形は、ポアンカレ球表現内において垂直である2つの異なる偏光状態が生成されるように、例えば、29,300Hzの最大周波数を有するブロック波を包含可能である。これらの波形の変調周波数を任意に減速させることにより(段階5020)、必要に応じて、計測感度を向上させることが可能である。相対的に低い速度において、相応して、ラインスキャンカメラの蓄積時間を増大させることができる(段階5030)。連続深さスキャン(Aライン)を交互に変化する入力偏光状態によって取得できるように、2つのラインスキャンカメラへ伝送されたライン取得トリガ波形を偏光変調器波形に同期させる(5040)。偏光状態が一定である場合にのみ、データを取得し、偏光変調器のスイッチングに起因した偏光不安定性は、2つのカメラの取得時間を22マイクロ秒に短縮することにより、記録しなかった(段階5050)。それぞれのBスキャン(又は、フレーム)をスリットランプ装置の高速スキャン軸と同期化した(段階5060)。この例示的な手順は、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)に記述されている技法及びシステムと共に使用可能である。
【0030】
図5Bは、本発明によるラインスキャンカメラ用の例示的な同期トリガ波形(例えば、ライントリガ、フレームトリガ)と、偏光変調器及び高速ガルバノメーター用の駆動波形を示すグラフである。図5Bに示されているグラフの時間スケールは左から右へいくにつれて短縮されている。図5Bに示されているトリガ及び駆動波形は、1つの画像について20個のAラインを取得する例示的な構成用に提供されている。このフレーム内において、20個のパルスを生成することにより、20個のスペクトルを取得するべく両方のラインスキャンカメラをトリガ可能である。又、これは、すべてのアップフランクにおいて発生可能である。カメラ内の内部遅延は、2マイクロ秒となり、偏光変調器内においては、1マイクロ秒であるため、ソフトウェアにおいて、偏光変調器信号を約1マイクロ秒だけ遅延可能である。高速ガルバノメーターの1サイクル当たりに1000個以上のスペクトルを記録可能であることを理解されたい。異なる波形の開始点の間の時間遅延(右のプロット)を生成することにより、ラインスキャンカメラ及び偏光変調器内における遅延を補償可能である。
【0031】
本発明による偏光感受型スペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィを実行することのできるシステムの別の具体例が図6に示されている。具体的には、広帯域光源(HP−SLD:6000)から供給される光(又は、電磁放射)がアイソレータ(I:6030)を通じて結合され、バルク偏光変調器(M:6040)で29,300Hzにおいて変調される。アイソレータ(I:6030)及び偏光変調器(M:6040)は、ファイバベンチ(6020)上に配置可能である。80/20ファイバカプラ(6050)により、変調光をサンプル及び基準アーム上に分配可能である。スリットランプ(SL:6160)に基づいた網膜スキャナにより、網膜をスキャニング可能であり、基準アームは、高速スキャニング遅延ライン(RSOD:6080〜6140)を包含可能であり、これらを偏光ビームスプリッタ(PBS:6090)と共に使用することにより、両方の偏光状態の等しい伝送を保証可能である。又、減衰のために可変中性濃度フィルタ(ND:6130)を設けることも可能である。戻り経路上において、高速偏光検出型分光計(要素6230〜6280)を使用することにより、干渉縞を検出可能である。光を(例えば、要素C:6230を使用することによって(−f=60mm))コリメートし、且つ、透過格子(TG:6240、1200ライン/mm)によって回折可能であり、この後に、レンズ(ASL:6250、f=100mm)により、スペクトルを2つのラインスキャンカメラ(LSC1:6270及び2:6280)上に合焦可能である。検出経路内の偏光ビームスプリッタ(6260)は、直交偏光成分を2つのカメラ(6270、6280)に導波しており、これらは、互いに、且つ、ソースアーム内の偏光変調器(6040)と同期化可能である。LSC1(6270)の前にクリーンアップ偏光器を配置することにより、汚染変調状態を除去可能である。偏光コントローラ(PC:6010、6060、6150、6210)を使用することにより、光の偏光状態を微調整可能である。
【0032】
例えば、80/20ファイバカプラ(6050)は、パワーの80%を基準アームに対して提供可能である。高速スキャニング遅延ライン(RSOD:6080〜6140)を偏光ビームスプリッタ(6090)と共に使用することにより、両方の入力偏光状態における遅延ラインを通じた(例えば、等しいパワー量の)伝送を円滑に実行可能である。RSODは、分散補償のために使用可能であり、ガルバノメーターミラー(6120)は、これらの計測において静止状態に維持可能である。RSODから返ってきた光は、サンプルアームから返ってきた光と干渉可能である。干渉スペクトルを検出アーム内の偏光検出型分光計によって記録可能であり、この場合には、2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)を偏光ビームスプリッタ(6260)の周囲に配置可能である。ファイバから出た光を、まず、コリメートし6230、透過格子(6240)によって回折可能であり、この後に、この光をレンズ(6250)を使用することによって合焦可能である。偏光ビームスプリッタ(6260)は、直交状態を2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)に導波可能であり、これらのカメラは、5軸の並進ステージ上に取り付け可能である。
【0033】
偏光ビームスプリッタを通じて真っ直ぐに透過される偏光状態は、一般的に、純粋なものとなる(例えば、パワーの約99%が水平偏光された状態であってよい)。偏光ビームスプリッタによって90°の角度において反射された偏光状態は、相対的に純粋性が乏しくなり、水平偏光光が垂直偏光光と混合している。このような汚染は、適切な偏光分析を歪める可能性があるため、クリーンアップ偏光器を使用することにより、反射された偏光状態から水平偏光光をフィルタリング可能である。Polarcorのワイヤグリッド偏光器は、フル帯域幅にわたって1:10,000の消光比と、約90%を上回る透過性能を具備可能である。この偏光器を軸上にないラインスキャンカメラ(6270)の前面に配置可能である。このような偏光器の透過波面歪みは、(632.8nmにおいて)1/4波長未満と規定可能である。スペクトルを2つのラインスキャンカメラ(6270、6280)によって同時に記録し、且つ、ハードディスク又は任意のその他のストレージ装置に保存可能である。1秒当たりに約3フレームというオンスクリーンフレームレートをリアルタイムで維持可能である。偏光コントローラ(6010、6060、6150、6210)を使用することにより、干渉計のすべてのアーム内の偏光状態を最適化可能である。
【0034】
更には、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)に記述されている従来技術によるシステムを利用することにより、OCTデータ及び/又はビデオ画像を同時に取得可能である。図6に示されているように、本発明の具体例によるPS−SD−OCDシステムは、例えば、視神経乳頭周辺におけるスキャンを位置決めするべく使用可能であるCCDカメラ(6170)を包含可能である。このようなカメラの画像は、ハードディスク又は任意のその他のストレージ装置上に保存する必要はないが、必要に応じて保存することも可能である。前述のデータ取得の前に(又は、その最中に)、CCDカメラ(6170)及びリアルタイムOCT構造強度ディスプレイからの情報を使用することにより、例えば、瞳孔の中心にスキャニングビームの狙いをつけ、視神経乳頭の周辺におけるスキャンを位置決め可能である。更には、両方の画像生成モードを使用して、例えば、ビームを網膜上に合焦することにより、可能な最高の信号対雑音比を有するデータを保証可能である。
【0035】
(偏光感受型分光計の較正の例)
一般に、SD−OCTシステムにおいては、波長空間からk空間(k=2π/λ)へのリマッピングの結果得られるスペクトルのフーリエ変換として、反射率深さプロファイル(Aライン)を取得可能である。このリマッピングは、ラインスキャンカメラの異なる画素上に入射する波長に関する知識に依存可能である。仮定された入射波長λの誤差Δλを使用することにより、Δk=2πΔλ/λ2によって提供される波数の偏差を生成可能である。2つのラインスキャンカメラがわずかに異なる誤差を有している場合にも、この相対的な波数の偏差が複屈折性の人工的な外観をもたらすことになる。λ=850nmの入射波長と、カメラ間におけるΔλ=1nmの相対的なアライメントエラーの場合に、1mmの深さにおいて位相差Δφ=8.70ラジアンを得ることができる。ラインスキャンカメラに跨るこれらの位相差の累積的な影響が、サンプル複屈折に起因して位相遅延と弁別不可能である全体的な位相差に結び付く可能性がある。この人工的な(即ち、「ゴースト」の)複屈折の除去は、サンプル偏光特性の更に正確な判定を得るために恐らくは有益であろう。
【0036】
LSC上の画素位置と、対応する波長λの間の関係は、簡単な幾何学を使用することによって標準格子式から得ることが可能であり、次の式によって提供可能である。
【0037】
【数1】
【0038】
図7Aは、本発明の具体例による1つの偏光チャネル用の例示的な分光計の構成を示している。格子定数f=1/Δxを有する回折格子DG(7000)を提供可能である。又、この例示的な構成内に、焦点距離Fを有する合焦レンズL(7010)を更に包含することも可能である。図7Aに示されているように、θiは、入射角であり、θdは、回折角である。更には、λcは、角度θcにおいて回折され、合焦レンズLを通じて真っ直ぐに伝播し、CCD(7020)アレイの中心(x=0)から距離xoにおける画素上のCCD(7020)上に入射する中央波長を表している。Dは、格子(7000)と合焦レンズ(7010)の間の距離を表しており、dFは、レンズ(7010)の焦点面からのCCD(7020)の小さな変位を表している。この長手方向の変位dFは、合焦レンズ(7010)の焦点距離のわずかなチューニングに類似したものであってよい(又は、これに実質的に等価なものであってよい)。従って、Fは、較正パラメータと見なすことが可能である。その他の較正パラメータは、入射角θi、中央波長λc、及びCCD(7020)の横方向のシフトx0である。
【0039】
前述の図7Aに図示されている例示的な2つの偏光チャネルの構成においては、合焦レンズの後にビームスプリッタを提供可能であるため、入射角θi及び中央波長λcは、偏光チャネルについて実質的に同一であってよく、且つ、光学経路は、PBSまで共通であってよい。2つのLSCの変位に関係し得るパラメータ(F及びxo)は、好ましくは、互いに異なる必要がある。従って、例えば、θi、λc、F1、F2、xo1、及びxo2などの特定数の独立した較正パラメータが存在可能である。
【0040】
本発明の別の具体例による非偏光検出型システムにおける較正パラメータを判定するための本発明の例示的な実施例による例示的な手順が図7Bのフローチャートに示されており、以下、これについて説明する。
【0041】
まず、段階7050において、基準アーム内の基準ミラーのいくつかの位置について2つのLSC上の強度プロファイルを記録する。段階7055において、サンプルアームは、水が充填された眼のモデル内がミラーを含むことにより、患者の計測をシミュレートしている。スペクトルを波長空間内、次いで、k空間内においてマッピング可能であり(段階7060)、且つ、k空間内のスペクトルのフーリエ変換としてコヒーレンス関数を取得可能である(段階7065)。段階7075において、基準アーム内のミラーの位置とは無関係に複素フーリエ変換の位相が一定になる時点まで較正パラメータをチューニング可能である。この位相項は、前述の患者の計測における分散補償のために使用可能である。
【0042】
更には、段階7070において概略的なアライメントを実行可能であり、これは、データ取得段階7075の前に実行可能である。基準アーム信号を両方のカメラ上において極大化させている。2つのカメラを互いにアライメントさせるために、非複屈折スキャッタリングサンプル(顕微鏡カバースリップのスタックや均一散乱媒質など)を画像生成可能であり、且つ、リアルタイム偏光処理を実行することにより、例えば、大量の人工的な複屈折を視覚的に除去可能である。これは、本発明によるシステムの具体例によって計測される観察された複屈折が、小さくなるか、或いは、場合によっては、無視可能になる時点まで、ビームに対して垂直に1つのカメラの場所を移動させることにより、実行可能である。これにより、1つのカメラの他方のものに対する特定のアライメント(即ち、2つのラインスキャンカメラの対応する画素上における入射波長)を近似的又は粗く同一化することが可能であることを保証可能である。
【0043】
第2に、マッピングパラメータの更に慎重な再較正を段階7080において実行可能である。これは、例えば、先程の基準アーム内のミラーの位置とは無関係な複素フーリエ変換の一定位相の条件以外の(又は、これに加えて)様々なメリット関数を最適化することにより、実現可能である。1つのこのような例示的な関数(例えば、Stokesベクトル)は、分光計に入射する光の偏光状態に依存可能である。ストークスベクトルは、J. F. de Boer他による「Determination of the depth−resolved Stokes parameters of light backscattered from turbid media by use of polarization−sensitive optical coherence tomography」(Optics Letters、1999年、第24(5)巻、300〜302頁)に記述されているように判定可能である。これらの較正パラメータは、計測された偏光状態が基準アーム内のミラーの位置とは無関係に一定になるように最適化可能である。2つのカメラ用の較正パラメータ及び位相係数の組は、患者の計測におけるスペクトルの正しいマッピング及び分散補償のために使用可能である。
【0044】
本発明の別の具体例によれば、段階7070を参照して先程説明した概略的なアライメントを実行する必要はない。2つのカメラ用のマッピングパラメータを適切に較正することにより、人工的な複屈折の出現を除去可能である。但し、段階7070を参照して先程説明した概略的なアライメントを伴わない場合には、x0などのパラメータの変化範囲が大きなものになる可能性がある。従って、概略的なアライメントは、最適化プロセスを更に容易且つ有益なものにすることができる。
【0045】
(被検者に対する例示的且つ実験的な計測手順)
ヘルシンキ宣言の教義に基づいたプロトコルに従って特定の実験を実行した。この実験のために、一人の健康なボランティアと7人の緑内障患者を動員した。様々な開放隅角度緑内障の段階を有する患者(原発性、色素性、及び擬似剥離形態)が得られ、且つ、患者が研究に対する適格性を有しているかどうかを判定した。インフォームドコンセントを付与し、且つ、患者が研究に参加するための適格性を有していることを判定した後に、緑内障患者の適格性を有する眼をフェニレフリン塩酸塩5.0%及びトロピカミド0.8%によって散瞳させた。本発明によるシステム、構成、及び方法の具体例を使用することにより、動員されたすべての被検者について計測を実行した。
【0046】
(健康な被検者)
B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layers by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他により「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されている従来技術による偏光感受型時間ドメインシステム、並びに、N. Nassif他による「In vivo human retinal imaging by ultrahigh−speed spectral domain optical coherence tomography」(Optics Letters、2004年、第29(5)巻、480〜482頁)、N. A. Nassif他による「In vivo high−resolution video−rate spectral−domain optical coherence tomography of the human retina and optic nerve」(Optics Express、2004年、第12(3)巻、367〜376頁)、及びB. Cense他による「Ultrahigh−resolution high−speed retinal imaging using spectral−domain optical coherence tomography」(Optics Express、2004年)に記述されているスペクトルドメインシステムの両方により、比較のために、健康なボランティアの画像を予め生成した。
【0047】
この実験においては、ボランティアの散瞳されていない右眼上に入射する光のパワーは、470μWに等しかった。視神経乳頭の周辺において2つの異なるタイプのスキャンを実行した。同心円形スキャン(1.5〜2.6mmの半径間において等距離に離隔した1000個のAラインの12回の円形スキャン)によって1つのデータセットを生成し、6.3x6.4mmのエリアをカバーする500個のAラインの250回のラインスキャンにより、もう1つのデータセットを生成した。データは、1つのAライン当たりに33マイクロ秒又は132マイクロ秒のいずれかの蓄積時間において取得した。最後のセットにおいては、例示的なシステムの動作速度を4分の1に低減することにより、感度を4倍に改善した。この設定は、依然として、時間ドメインの計測と比べて、45倍高速であり、この結果、12回の円形スキャンにおいて、合計計測時間が72秒から1.6秒に低減された。調査対象の眼は、固定スポットによって安定化させた。
【0048】
(緑内障患者)
緑内障患者の場合には、眼に入射するパワーは500μW未満であった。患者が1つの眼によってしか見ることができない場合には、視力を欠いた眼の画像を生成した。画像生成対象の眼は、スプリットランプシステムの内部固定ライトによって安定化させた。この光を見ることができない患者の反対の眼には、外部固定ライトを使用した。33及び132マイクロ秒の蓄積時間を有する1000個のAラインの円形スキャンを実行した。更には、330マイクロ秒の蓄積時間により、これらの患者のいくつかの眼の画像を生成した。更には、1つのAライン当たりに132マイクロ秒において、線形スキャン(1000個のAラインの200回のスキャン(6.4x6.4mm))を実行した。
【0049】
(例示的なデータ分析)
偏光分析は、いくつかの手順から構成されていた。第1の例示的な手順においては、分光計を前述のように較正した。計測されたスペクトルを、波長空間に、次いで、k空間に対してマッピングするべく、構成パラメータを使用した。更には、R. Chan他による「Anisotropic edge−preserving smoothing in carotid B−mode ultrasound for improved segmentation and intima−media thickness measurement」(Computer in Cardiology、Cambridge, MA、IEEE、2000年)に記述されているように、それぞれのカメラ用に判定された位相曲線を使用することにより、眼及び干渉計内の色分散を補償した。データをz空間にフーリエ変換した後に、M. C. Pierce他による「Simultaneous intensity, birefringence, and flow measurements with high−speed fiber−based optical coherence tomography」(Optics Letters、2002年、第27(17)巻、1534〜1536頁)に記述されているように、深さ分解ストークスパラメータを判定した。第1の深さ分解ストークスパラメータは、構造強度(例えば、深さ分解反射率)に対応している。R. Chan他による「Anisotropic edge−preserving smoothing in carotid B−mode ultrasound for improved segmentation and intima−media thickness measurement」(Computer in Cardiology、Cambridge, MA、IEEE、2000年)に記述されているように、このデータから網膜神経線維層の上部及び下部境界を判定した。偏光分析においては、C. E. Saxer他による「High−speed fiber−based polarization−sensitive optical coherence tomography of in vivo human skin」(Optics Letters、2000年、第25(18)巻、1355〜1357頁)、B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layer by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他により「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されているように、正規化された表面ストークスベクトルを特定の深さにおける正規化されたストークスベクトルと比較することにより、深さ分解位相遅延を判定した。
【0050】
健康なボランティアから取得されたデータについては、表面ストークスベクトルを自動的に検出された表面下方の10μmとなるように選択し、緑内障の患者の場合には、正確なデータ抽出のために可能な限り多くのポイントを保持するべく、3μmの値を選択した。移動平均フィルタを使用することにより、スペックル雑音の影響を低減した。水平方向においては、20を上回る数のAラインを平均し、垂直方向においては、3を上回る数のポイントを平均した(これは、10μmに対応している)。網膜神経線維層組織の厚さ及び複屈折をセクタ及び半径の関数として計測した。それぞれの円形スキャンを7.2°の50個のセクタに分割した。この50個のセクタは、時間ドメインデータに使用された48個のセクタに略マッチングしていた。
【0051】
線形スキャンによって取得されたデータセットを、眼底カメラ、スキャニングレーザー検眼鏡、又はスキャニングレーザー偏光計のいずれかによって生成されたものに実質的に等価である表面画像として処理した。これは、1つのAライン当たりの強度値をそれぞれの深さプロファイルに沿った1つの統合された反射率に対応する1つの値に合計することにより、実行された。例えば、3次元容積データセットを眼底画像として見える2次元画像に投影可能である。
【0052】
(例示的な実験結果)
(健康な被検者から得られた結果)
本発明の具体例を使用することにより、眼底に似た画像として処理された線形スキャンの組(7.5kHzにおいて取得された6.4x6.4mmの500x250データポイント)が図8に示されている。具体的には、図8は、取得された三次元容積セットから再構築された視神経乳頭の例示的な擬似眼底画像を示している。白の円は、最小及び最大直径円形スキャンの概略的な位置を示している。上部側又は下部側エリア内において視神経から外に分岐している大きな血管を観察可能である。
【0053】
例えば、30kHz及び7.5kHzにおいて実行された円形スキャンを分析し、互いに比較した。7.5kHzのデータセットは、相対的に高い信号対雑音比(〜41dB対〜36dB)を示しており、顕著なモーションアーチファクトを含んではいなかった。図9は、40歳の健康なボランティアの散瞳されていない右眼の円形スキャンにより、7.5kHzのAラインレートにおいて取得された健康なボランティアの視神経乳頭周辺の円形スキャンの構造強度画像を示している。図9に示されているように、眼内の位置には、側頭部側(T)、上部側(S)、鼻側(N)、下部側(I)というラベルが付与されている。画像のサイズは、深さ0.96mmx幅12.6mmであり、これは、明瞭性のために、垂直方向において4倍に拡大されている。画像は、リアライメントされておらず、従って、視神経乳頭周辺の組織の真の形状を示している。ノイズフロアより上の画像のダイナミックレンジは、38.5dBであった。画像の最上部の下の水平ラインは、軸上にないラインスキャンカメラ内の電気雑音によって引き起こされたものである。
【0054】
画像のダイナミックレンジは、38.5dBである(同一データセット内において、最大で44dBのダイナミックレンジを有する画像が見出された)。強力な反射が図9内の黒い画素によって表されている。この画像は、明瞭性のために、垂直方向に拡大されている。B. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されているように、上部側(F)及び下部側(I)エリアは、相対的に厚いRNFL組織を含んでいる。
【0055】
両方のデータセットを分析することにより、セクタ及び半径の関数として厚さ及びDPPR/UD(Double−Pass Phase retardation per unit)を比較した。30kHzにおいて取得されたデータセットを、7.5kHzにおいて取得されたもの、並びに、256Hzにおいて時間ドメインシステム内において以前に取得されたものと比較した。図11A〜図11Fは、これらの例示的な計測値(例えば、異なる蓄積時間におけるRNFLの厚さ及びDPPR/UD計測値)のグラフを示している。例えば、図11A及び図11Bは、7.5kHzにおいて取得されたデータのグラフを示しており、図11C及び図11Dは、30kHzにおいて取得されたものを示している。時間ドメインのOCTシステムによって256Hzにおいて取得された図11E及び図11Fは、比較を目的として示されている。図11A、図11C、及び図11Eに示されている厚さのグラフは、類似した形態となっており、二重こぶのパターンを有しており、且つ、上部側(S)及び下部側(I)において相対的に高い値を有している。上部側のエリア内においては、相対的に小さな二重こぶのパターンを図11Cにおいて観察可能である。DPPR/UDのグラフも類似した形態となっており、上部側及び下部側において大きな値を有している。平均値の周辺における計測ポイント(例えば、ラインによって接続されているもの)の広がりは、恐らくは、図11Fに示されている時間ドメインデータにおけるよりも、図11B及び図11Dに示されているスペクトルドメインデータにおいて、相対的に大きいであろう
【0056】
以下、側頭部側のセクションの計測から開始して、図10A及び図10B内に示されているデータから取得された1つのセクタにわたって平均化されたスペクトルドメインのOCT計測について説明する、具体的には、図10Aは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側であるセクタの厚さ及DPPR(Douple−Pass Phase Retardation)を示す第1の模範的なグラフを示している。図10Bは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して上部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第1の例示的なグラフを示している。7.5kHzのAラインレートにより、ONHに対して側頭部側であるセクタ(A)及び上部側であるセクタ(B)の厚さ(例えば、破線として示されているもの)及びDPPR(例えば、実線として示されているもの)のグラフを取得した。このデータを20個のAライン又は7.5°のセクタにわたって平均した。RNFLに属するDPPRデータは、最小二乗線形フィットによってフィッティング可能である。式中の傾きは、DPPR/UDを表している。垂直ラインは、強度及びDPPRデータから判定されるRNFLの推定境界を示している。150μmを上回る深さにおけるDPPRにおける増大は、RNFLとRPEの間の低信号によって引き起こされている。
【0057】
例えば、側頭部側のエリア内においては、RNFLは薄く、相対的に小さなDPPR/UD値を取得可能である。上部側のセクタは、相対的に大きな複屈折を有する相対的に厚いRNFL組織を含んでいる。鼻側のプロットは、薄いRNFL及び小さな複屈折を示しており、下部側のプロットは、大きなDPPR/UD値を有する厚いRNFLを示している。厚さの値を半径及びセクタの関数としてプロットし、1つの半径において取得されたデータポイントをラインによって接続した。ラインの太さは、スキャンの半径をしており、スキャンのラインが太いほど、視神経乳頭に対して相対的に近接している。又、DPPR/UDの値も半径及びセクタの関数としてプロットしており、特定の半径におけるデータポイントは、同一のシンボルを保持している。1セクタ当たりの平均EPPR/UD値を判定し、1セクタ当たりの平均値をラインによって接続した。平均の標準誤差(Standard error:SE)を判定し、これを誤差バーによってグラフ内に表している。
【0058】
図11A〜図11Fの厚さのグラフを比較することにより、上部側及び下部側において大きな値を有する類似した傾向を観察可能である。これらのエリア内の相対的に大きな厚さの値は、鋭い神経線維束の存在によって説明可能であり、これらは、中心窩に向かって分岐している。厚さの計測値の差は、操作者によるデータの主観的な解釈に帰することができる。本発明の模範的な一実施例による自動的な画像分析手順により、客観性及び分析を改善可能である。DPPR/UDのグラフも、上部側及び下部側において大きな値を有する同様の傾向を示している。7.5kHzにおいて得られたSD−OCTのデータ結果のほうが、TD−OCTのデータ結果と、より良好にマッチング可能である。側頭部側の値は、両方のSD−OCTデータセット内において増大可能であり、これらの結果は、TD−OCTセットアップの場合には、小さい。図11A〜図11Fのすべてのグラフにおいて、下部側及び上部側の値が相対的に大きいという一般的な傾向を観察可能である。この被検者についてPS−SD−OCTによって計測された最大平均DPPR/UD値は、約0.45°/μmであり、最小平均値は、約0.2°/μmに等しい。これらの値は、840nmにおいて計測されたそれぞれ5.4x10-4及び2.4x10-4の複屈折に略等しいであろう。
【0059】
(健康な被検者から得られた例示的な結果の検討)
図11Fに示されている時間ドメインのDPPR/UDプロットを図11B及び図11Dに示されているスペクトルドメインプロットと比較すれば、スペクトルドメインのデータポイントは、相対的に大きな範囲にわたって散乱した状態で示されている。これは、部分的に、スペクトルドメインデータに使用した際の本発明のシステム、構成、及び方法の具体例の操作者による(自動スロープフィッティング手順の使用及び相対的に小さな数のAラインにわたる平均化に伴う)不完全な使用法に帰することができる。雑音の多い時間ドメイン計測の場合には、RNFLより下の平均DPPR値を使用することにより、DPPR/UDを算出した。平均DPPR値をRNFLの厚さによって除算することにより、DPPR/UDを算出可能である。スペクトルドメインの値の場合には、この手順により、データ上に存在している雑音とは無関係に、RNFLのDPPRデータポイントを通じてラインをフィッティング可能である。フィッティングするべき多数のデータポイントを有するRNFLの厚い部分の場合には、この例示的な手順は、恐らくは、信頼性の高い結果をもたらすであろう。
【0060】
(緑内障被検者の結果)
例示的なPS−SD−OCTシステム、構成、及び方法により、緑内障患者の画像を生成した。特定のデータセットは、分析するのに有益な信号対雑音比を具備していた。このデータセットは、81歳の白人女性の左眼から得られたものである。彼女は、6年前に白内障手術を経験している(これは、恐らくは、相対的に高い画像品質に結び付く)。彼女の最良に補正された視力は、20/20であり、内部固定スポットを使用することにより、眼を安定化させた。視野試験の結果は、上部側の視野欠陥を示しており、これは、下部側エリア内における相対的に薄い神経線維層を結果的にもたらすはずである(即ち、眼の視力に反比例可能である)。報告された視野欠陥は相対的に小さいものであった。図12は、この緑内障患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンから取得された例示的な構造強度画像を示している。この画像は、緑内障によって引き起こされた相対的に薄い下部側の神経線維層(I)を示している。その他のエリアは、いずれも、変化のない状態において示されている。眼内の位置には、側頭部側(T)、上部側(S)、鼻側(N)、下部側(I)というラベルが付与されている。この画像のサイズは、0.96mm深さx12.6mm幅であり、且つ、これは、明瞭性のために、垂直方向において4倍に拡大されている。ノイズフロアよりも上の画像のダイナミックレンジは、37.4dBであり、Aラインは、7.5kHzにおいて取得している。この画像は、2mmの半径及び7.5kHzのAライン取得レートにおいて取得されたものである。
【0061】
健康な被検者内において実行されたスキャン(例えば、図9に示されている画像)と比較した場合に、RNFLと神経節細胞層の間のコントラスト(これは、RNFLの境界をなしている)は、それほど強力ではない。この患者の下部側(I)のRNFL組織は、健康な被検者の同じ下部側の組織と比べて薄くなっている。
【0062】
図13Aは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフを示しており、図13Bは、本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して上部側であるセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフを示している。図13A及び図13Bに提供されているデータは、緑内障患者から得られたものである。RNFLに属するそれぞれのグラフ内のDPPRデータを最小二乗線形フィットによってフィッティングしている。式中のスロープは、DPPR/UDを表している。垂直ラインは、強度及びDPPRデータから判定されたRNFLの推定境界を示している。
【0063】
図12に示されている構造強度画像においては、(「I」というラベルが付与されている)下部側のエリア内において視野欠陥が観察された。図14は、緑内障患者の下部側のエリア内におけるこの視野欠陥内のセクタからのDPPRの結果(実線)及び厚さ(破線)のグラフを示している。RNFLは、相対的に薄い状態において示されているが、DPPR/UDは、大きな値に留まっている。
【0064】
すべての半径においてすべてのセクタを分析した後に、2つのグラフ内において厚さ及びDPPR/UDのプロットを組み合わせた。例えば、図15Aに示されている厚さのグラフは、上部側のエリア内において計測される厚さが半径の関数として減少することを示している。B. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual Science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)及びB. Cense他による「Thickness and birefringence of retinal nerve fiber layer of healthy and glaucomatous subjects measured with polarization sensitive optical coherence tomography」(Ophthalmic Technologies XIV、Proceedings of SPIE、第5314巻、2004年、179〜187頁)に記述されているように、この減少は、健康な被検者においても観察されている。下部側のエリア内においては、この半径の関数としての減少は、異なる半径の曲線がオーバーラップしているため、それほど明瞭ではないであろう。健康な被検者の厚さのグラフと比較した場合に、緑内障被検者の下部側のエリアは、相対的に薄くなっている。具体的には、上部側及び下部側のエリアの間の比率は、健康な被検者の場合と比べて、この緑内障患者の場合には、格段に大きくなっている。相対的に薄い下部側のエリアは、視野試験によって計測された視野欠陥と合致している。
【0065】
図15Bに示されているDPPR/UDのグラフは、大きな上部側(S)における値を示している。また、鼻側(N)及び下部側(I)エリアの間においても、大きな値を取得可能であり、小さな値は、鼻側及び側頭部側のエリアにおいて発生している。側頭部側及び下部側エリアの間において落ち込みが明白である。スペクトルドメイン及び時間ドメインのOCTシステム及び手順の両方と共に使用する場合には、一般的な傾向は、健康な被検者において観察される傾向と類似している。
【0066】
健康な被検者からの結果の分析に基づいて、わずかに雑音が多いDPPRグラフの可能な影響を低減するべく、本発明の更なる具体例に従って別の平均化手順を開発した。例えば、この手順によれば、データを再度分析し、平均化フィルタを実装することにより、40個のAラインのStokesパラメータを平均化している。次いで、データをスキャン内の相対的に少ない数のデータポイントに対してマッピングすることにより、セクタの数を2分の1に減少させた。
【0067】
図16Aは、緑内障患者のONHに対して鼻側であるエリアの厚さ(破線)及びDPPR(実線)のプロットを提供する例示的なグラフを示している。図16Bは、緑内障患者のONHに対して上部側であるエリアの厚さ及びDPPRのプロットを提供する例示的なグラフを示しており、且つ、図16Cは、緑内障患者のONHに対して下部側であるエリアの厚さ及びDPPRのプロットを提供する例示的なグラフを示している。これらのグラフは、図15A及び図15Bのグラフ内に表示されているものに類似したDPPR/UDを示している。これらのグラフの場合には、40個のAラインのStokesパラメータを平均化することにより、スペックル雑音の影響を低減している。これらのグラフを相対的に少ない数のAラインにわたって平均化された(図13A及び図13Bに示されている)同一患者のセクタグラフと比較すれば、これらの曲線のほうが、雑音が少なくなっている。すべてのセクタ及び半径の結果が図17A及び図17Bに示されている。具体的には、図17Aは、緑内障患者の神経線維層組織のRNFLの厚さを提供する例示的なグラフを示しており、図17Bは、緑内障患者の神経線維層組織のDPPR/UDの値を提供する例示的なグラフを示している。これらのグラフにおいては、40個のAラインからのStokesパラメータを平均化している。20個のAラインにわたって平均化された緑内障データにおいて観察可能であった傾向は、同一に留まっており、DPPR/UD値は、上部側及び下部側において大きくなっており、最も厚い組織は、上部側のエリア内に配置されている。この平均化手順は、データポイント内における広がりを低減しているが、全体的な傾向は、非常に類似した状態に留まっている。
【0068】
この患者についてPS−SD−OCTシステム及び手順によって計測された最大平均DPPR/UD値は、約0.4°/μmであり、最小平均値は、約0.15°/μmであろう。これらの値は、840nmにおいて計測されたそれぞれ4.8x10-4及び1.8x10-4の複屈折に略等しくなっている。
【0069】
(緑内障被検者の結果の検討)
本発明の具体例によれば、緑内障の場合には、明確にアライメントされた複屈折性を有する神経線維が複屈折性の小さな無定形のグリア細胞によって置換されことになるため、RNFLの複屈折の減少が発生すると考えられる。緑内障患者の下部側のエリアは、緑内障の結果として相対的に薄くなるが、このエリア内のDPPR/UD値の大部分は、正常な状態で観察される。下部側及び側頭部側エリアの間の領域内に、わずかな落ち込みが存在しており、これは、何人かの健康な被検者においても観察可能であるが、鼻側及び下部側エリアの間には、正常な下部側の値が生じている。約0.4°/μmというピーク値は、上部側のエリア内におけるDPPR/UD値、並びに、健康な被検者の下部側及び上部側のエリアのものに非常に類似している。
【0070】
下部側エリア内のRNFLの大部分は、75μmよりもわずかに厚いのみである。同一の信号対雑音比における時間ドメイン計測の場合には、DPPR/UD計測は、一般に、信頼性が高い。しかしながら、これらの計測は、健康な被検者から取得された計測よりも低い信号対雑音比において取得されている(図11B及び図11Dに示されている)。実際に、緑内障データの信号対雑音比は、健康な被検者からのデータと比べて、平均で約3dBだけ低くなっている。このような例示的な結果は、緑内障の1つのタイプを有する一人の緑内障患者から取得されたものであるが、これは、すべての緑内障患者について有用であろう。
【0071】
更には、本発明の具体例によるいくつかの方法によって更に高い信号対雑音比(SNR)を実現可能である。まず、最初に、ソースアームパワーを増大させることにより、SNRを改善可能である。ANSI規格は、スキャニングビームについて、600μWを上回る大きなパワーの使用を提供している。7.5kHzの取得速度、9.4mmのスキャン長(最短半径によるスキャン)、及び1スキャン当たりに132msのスキャン時間において、パワーを15倍の約9mWまで増大可能である。更には、パワーを低減することなしに、スキャンレートを低減することも可能である。例えば、スキャンレートを約3kHzに低速化させることにより、信頼性の高いDPPR/UD結果を入手可能である。モーションアーチファクトが発生する可能性が高いため、緑内障患者の場合には、相対的に長い取得時間は、問題となろう。網膜トラッカは、このようなアーチファクトを回避可能であり、且つ、R. D. Ferguson他による「Tracking optical coherence tomography」(Optics letters、2004年、第29(18)巻、2139〜2141頁)に記述されているように、瞬きに起因して失われたエリアを自動的に再スキャンすることも可能である。健康な被検者におけるスペクトルドメイン計測は、時間ドメイン計測において取得されたものと良好にマッチングしているため、更なる選択肢は、緑内障を有する若い被検者に対して本発明による例示的な手順を実行することであろう。
【0072】
(例示的な実験の結論)
本発明の具体例によるスペクトルドメイン偏光検出型OCTシステム、構成、及び方法によって一人の健康な被検者について計測された健康なRNFL組織の複屈折は、スキャン半径の関数として一定であってよく、且つ、ONH周辺の位置の関数として変化可能であり、ONHに対して上部側及び下部側において高い値が生じている。一人の健康な被検者のONHの周囲における計測平均DPPR/UDは、0.20〜0.45°/μmの間において変化した。これらの値は、840nmにおいて計測された2.4x10-4及び5.4x10-4の複屈折に等しいものであってよい。
【0073】
小さな視野欠陥を有する緑内障被検者における計測値は、緑内障に起因して、下部側のセクタ内において薄くなった神経線維層を示している。本発明の具体例による偏光感受型の計測値は、恐らくは、これらのセクタ内の神経線維層組織の一部が健康な組織と同程度に複屈折性を有していることを通知している。
【0074】
(例示的な使用法及びアプリケーション)
本発明によるシステム、構成、及び方法の具体例と共に使用可能である(又は、これらを内蔵可能である)特定の例示的なシステム、構成、製品、プロセス、サービス、手順、又は研究ツールは、(i)B. Cense他による「In vivo depth−resolved birefringence measurements of the human retinal nerve fiber layer by polarization−sensitive optical coherence tomography」(Opt. Lett.、2002年、第27(18)巻、1610〜1612頁)、B. Cense他による「In vivo birefringence and thickness measurements of the human retinal nerve fiber layer using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical Optics、2004年、第9(1)巻、121〜125頁)、及びB. Cense他による「Thickness and birefringence of healthy retinal nerve fiber layer tissue measured with polarization−sensitive optical coherence tomography」(Investigative Ophthalmology & Visual science、2004年、第45(8)巻、2606〜2612頁)に記述されている緑内障の早期検出用のPS−SD−OCTシステム、(ii)角膜の複屈折計測値を入手するためのPS−SD−OCTシステム、(iii)B. H. Park他による「In vivo burn depth determination by high−speed fiber−based polarization sensitive optical coherence tomography」(journal of Biomedical Optics、2001年、第6(4)、474〜9頁)に記述された火傷深さ分析を提供するため、並びに、M. C. Pierce他による「Birefringence measurements in human skin using polarization−sensitive optical coherence tomography」(Journal of Biomedical optics、2004年、第9(2)巻、287〜291頁)及びM. C. Pierce他による「Advances in Optical Coherence Tomography Imaging for Dermatology」(J Invest Dermatology、2004年、第123(3)巻、458〜463頁)に記述された皮膚のコラーゲン含有量を計測することによる皮膚癌検出を実行するためのPS−SD−OCTシステム、(iv)冠状動脈のコラーゲン含有量を計測することによる心血管系疾病の光学的診断を実行するPS−SD−OCTシステム、(v)腫瘍及び癌組織の早期診断を実行するPS−SD−OCTシステム、及び/又は(vi)プラスチック、ガラス、及び組織などの散乱材料の品質管理用の計測を実行するPS−SD−OCTシステムを包含可能である(但し、これらに限定されない)。
【0075】
以上は、本発明の原理を例示したものに過ぎない。本明細書の開示内容に鑑み、当業者には、記述されている実施例に対する様々な変更及び変形が明らかであろう。実際に、本発明の具体例による構成、システム、及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム又はその他の画像生成システム、並びに、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号に記述されているものと共に使用可能であり、これらの開示内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される。従って、当業者であれば、本発明の原理を実施すると共に本発明の精神及び範囲内に属する(但し、本明細書には明示的に図示及び記述されてはいない)多数のシステム、構成、及び方法を考案可能であることを理解されたい。更には、引用によって本明細書に明示的に包含されていない場合にも、従来技術における知識は、そのすべてが本明細書に明示的に包含されている。本明細書において参照されたすべての文献は、引用により、そのすべてが本明細書に包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による2つのラインスキャンカメラを有する偏光感受型分光計構成の具体例の図である。
【図2】本発明によるWollastonプリズムを有する偏光感受型分光計の第1構成の具体例の図である。
【図3A】2つの直交状態をコリメータの後において分離しているWollastonを含む本発明による偏光感受型検出器の第2構成の具体例の図である。
【図3B】2つの直交状態を透過格子の後において分離しているWollasonを含む本発明による偏光感受型検出器の第2構成の具体例の図である。
【図4】本発明による放物面鏡を有する偏光感受型分光計の別の具体例の図である。
【図5A】本発明による方法の例示的な一実施例のフローチャートである。
【図5B】本発明によるラインスキャンカメラ用の例示的な同期トリガ波形(例えば、ライントリガ、フレームトリガ)及び偏光変調器及び高速ガルバノメーター用の駆動波形を示すグラフである。
【図6】本発明による偏光感受型スペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィを実行することのできるシステムの具体例のブロック図である。
【図7A】本発明による1つの偏光チャネル用の例示的な分光計構成の図である。
【図7B】本発明による方法の別の具体例のフローチャートである。
【図8】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された3次元容積セットから再構築された例示的な視神経乳頭の例示的な擬似眼底画像である。
【図9】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された健康な患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンの例示的な構造強度画像である。
【図10】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側(A)および上部側(B)のセクタの厚さ及びDPPR(Double−pass phase retardation)を示す第1の例示的なグラフである。
【図11】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された異なる蓄積時間において入手されたRNFLの厚さ及びDPPR/UDの計測値の例示的なグラフである。
【図12】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された特定の緑内障患者の視神経乳頭周辺の円形スキャンからの例示的な構造強度画像である。
【図13】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成されたONHに対して側頭部側(A)および上部側(B)のセクタの厚さ及びDPPRの第2の例示的なグラフである。
【図14】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された緑内障患者の下部側エリア内の視野欠陥の一部であるセクタ内の厚さ及びDPPRを示す更なる例示的なグラフである。
【図15】本発明の具体例による構成、システム、及び/又は方法を使用して生成された緑内障患者の神経線維層組織の網膜神経線維層(RNFL)の厚さ(A)およびDPPR/UD値(B)を示す例示的なグラフである。
【図16】緑内障患者のONHに対して鼻側(A)、上部側(B)および下部側(C)のエリアの厚さ(点線)及びDPPR(実線)のプロットを示す例示的なグラフである。
【図17】緑内障患者の神経線維層組織のRNFLの厚さ(A)およびDPPR/UD値(B)を示す例示的なグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射を分離するための装置であって、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記電磁放射を少なくとも1つの第1部分及び少なくとも1つの第2部分に分離するべく構成された第1構成と、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出するべく構成された第2構成と、
を有する装置。
【請求項2】
前記第2構成は、検出要素の単一の列を含む検出構成を有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2構成は、第1検出構成及び第2検出構成を有しており、この場合に、前記第1及び第2検出構成のそれぞれは、検出要素の単一の列を含んでいる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1構成は、前記少なくとも1つの偏光に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、前記少なくとも1つの波長に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素と、を含む請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第2要素に後続している請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記第1構成は、前記第1及び第2要素に近接した状態において前記光学経路内に提供された第3光導波要素を更に含む請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第3要素は、前記第1及び第2要素の間に設けられる請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記第3要素は、前記光学経路内において前記第1及び第2要素に後続している請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記第1構成は、前記第1及び第2要素に後続した状態において前記光学経路内に設けられた第3及び第4光導波要素を更に含む請求項5記載の装置。
【請求項10】
前記第3及び第4要素のそれぞれは、前記個別の分離された部分の中の少なくとも1つを前記第2要素に向かって導波する請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記第2要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第1要素に後続している請求項4記載の装置。
【請求項12】
電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するための装置であって、
前記電磁放射を生成するべく構成された第1構成と、
前記サンプルからの第1放射と基準からの第2放射を受光し、更なる放射へと合成するべく構成された第2干渉計構成であって、前記第1及び第2放射は、前記電磁放射と関連付けられている、第2干渉計構成と、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記更なる放射を少なくとも1つの第1部分と少なくとも1つの第2部分に分離するべく構成された第3構成と、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出し、前記分離された第1及び第2部分の関数として前記情報を取得するべく構成された第4構成と、
を有する装置。
【請求項13】
前記第1構成は、生成された電磁放射の偏光を制御するべく構成された更なる構成を含む請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記第4構成は、検出要素の単一の列を含む検出構成を有する請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記第3構成は、前記少なくとも1つの偏光に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、前記少なくとも1つの波長に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素と、を含む請求項12記載の装置。
【請求項16】
前記第1要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第2要素に後続している請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記第3構成は、少なくとも、(i)前記第1及び第2要素に近接した状態において、又は(ii)前記第1及び第2要素に後続する状態において、前記光学経路内に設けられた第3光導波要素を更に含む請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第3要素は、少なくとも、(i)前記第1及び第2要素の間に設けられるか、又は(ii)前記光学経路内において前記第1及び第2要素に後続している請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記第3及び第4要素のそれぞれは、前記個別の分離された部分の中の少なくとも1つを前記第2要素に向かって導波する請求項17記載の装置。
【請求項20】
前記第2要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第1要素に後続している請求項15記載の装置。
【請求項21】
電磁放射を分離するための方法であって、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記電磁放射を少なくとも1つの第1部分及び少なくとも1つの第2部分に分離し、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出すること、
を有する方法。
【請求項22】
電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するための方法であって、
前記サンプルからの第1放射及び基準からの第2放射を受光し、更なる放射へと合成することであって、前記第1及び第2放射は、前記電磁放射と関連付けられていることと、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記更なる放射から分離された前記更なる放射の第1及び第2部分を同時に検出することと、
前記分離された第1及び第2部分の関数として前記情報を取得することと、
を有する方法。
【請求項1】
電磁放射を分離するための装置であって、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記電磁放射を少なくとも1つの第1部分及び少なくとも1つの第2部分に分離するべく構成された第1構成と、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出するべく構成された第2構成と、
を有する装置。
【請求項2】
前記第2構成は、検出要素の単一の列を含む検出構成を有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2構成は、第1検出構成及び第2検出構成を有しており、この場合に、前記第1及び第2検出構成のそれぞれは、検出要素の単一の列を含んでいる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1構成は、前記少なくとも1つの偏光に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、前記少なくとも1つの波長に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素と、を含む請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第2要素に後続している請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記第1構成は、前記第1及び第2要素に近接した状態において前記光学経路内に提供された第3光導波要素を更に含む請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第3要素は、前記第1及び第2要素の間に設けられる請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記第3要素は、前記光学経路内において前記第1及び第2要素に後続している請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記第1構成は、前記第1及び第2要素に後続した状態において前記光学経路内に設けられた第3及び第4光導波要素を更に含む請求項5記載の装置。
【請求項10】
前記第3及び第4要素のそれぞれは、前記個別の分離された部分の中の少なくとも1つを前記第2要素に向かって導波する請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記第2要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第1要素に後続している請求項4記載の装置。
【請求項12】
電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するための装置であって、
前記電磁放射を生成するべく構成された第1構成と、
前記サンプルからの第1放射と基準からの第2放射を受光し、更なる放射へと合成するべく構成された第2干渉計構成であって、前記第1及び第2放射は、前記電磁放射と関連付けられている、第2干渉計構成と、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記更なる放射を少なくとも1つの第1部分と少なくとも1つの第2部分に分離するべく構成された第3構成と、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出し、前記分離された第1及び第2部分の関数として前記情報を取得するべく構成された第4構成と、
を有する装置。
【請求項13】
前記第1構成は、生成された電磁放射の偏光を制御するべく構成された更なる構成を含む請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記第4構成は、検出要素の単一の列を含む検出構成を有する請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記第3構成は、前記少なくとも1つの偏光に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第1要素と、前記少なくとも1つの波長に基づいて前記電磁放射を前記第1及び第2部分に分離するべく構成された第2要素と、を含む請求項12記載の装置。
【請求項16】
前記第1要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第2要素に後続している請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記第3構成は、少なくとも、(i)前記第1及び第2要素に近接した状態において、又は(ii)前記第1及び第2要素に後続する状態において、前記光学経路内に設けられた第3光導波要素を更に含む請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第3要素は、少なくとも、(i)前記第1及び第2要素の間に設けられるか、又は(ii)前記光学経路内において前記第1及び第2要素に後続している請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記第3及び第4要素のそれぞれは、前記個別の分離された部分の中の少なくとも1つを前記第2要素に向かって導波する請求項17記載の装置。
【請求項20】
前記第2要素は、前記電磁放射の光学経路内において前記第1要素に後続している請求項15記載の装置。
【請求項21】
電磁放射を分離するための方法であって、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記電磁放射を少なくとも1つの第1部分及び少なくとも1つの第2部分に分離し、
前記分離された第1及び第2部分を同時に検出すること、
を有する方法。
【請求項22】
電磁放射を使用してサンプルの情報を取得するための方法であって、
前記サンプルからの第1放射及び基準からの第2放射を受光し、更なる放射へと合成することであって、前記第1及び第2放射は、前記電磁放射と関連付けられていることと、
前記電磁放射の少なくとも1つの偏光及び少なくとも1つの波長に応じて前記更なる放射から分離された前記更なる放射の第1及び第2部分を同時に検出することと、
前記分離された第1及び第2部分の関数として前記情報を取得することと、
を有する方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−538612(P2008−538612A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507983(P2008−507983)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/015484
【国際公開番号】WO2006/116317
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/015484
【国際公開番号】WO2006/116317
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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