説明

スペクトル拡散通信システムおよび方法

【課題】伝送特性および多重容量が優れたスペクトル拡散通信システムを提供する。
【解決手段】拡散符号生成装置10は、生成した直交符号に対してM系列乗算およびゼロ値付加を行ってチャネル識別符号を求めた後、チャネル識別符号を逆フーリエ変換することにより、拡散符号121および逆拡散符号131を生成する。送信装置20および受信装置30は、それぞれ、拡散符号生成装置10で生成された拡散符号121および逆拡散符号131を記憶し、記憶した符号から選択した1個の符号を用いてスペクトル拡散通信を行う。この拡散符号を用いて拡散した場合、入力信号は、周波数軸上で等しい電力で広範囲に拡散される。このため、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号を広帯域に拡散して通信を行うスペクトル拡散通信システムおよびスペクトル拡散通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の直交拡散(Direct Sequence :DS)方式のスペクトル拡散通信では、ウォルシュ符号やアダマール符号やゴールド符号などの直交符号、あるいは、PN(Pseudorandom Noise)符号などが、拡散符号として使用されている。例えば、特許文献1では2種類のPN符号が、特許文献2では2種類以上のPN符号を合成した符号が、拡散符号として使用されている。このように、従来のスペクトル拡散通信では、時間軸上で直交する拡散符号が使用されている。
【0003】
【特許文献1】特許第2929244号公報(段落番号0008、図1)
【特許文献2】特公平6−91509号公報(第2頁第4欄第43行−第3頁第5欄第8行、図3−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスペクトル拡散通信で使用されている拡散符号は時間軸上でのみ直交するので、拡散された信号の電力特性は、周波数軸上では均一ではない。このため、従来のスペクトル拡散通信では、伝送特性および多重容量に一定の限界がある。
【0005】
それ故に、本発明は、伝送特性および多重容量の点で、従来よりも優れたスペクトル拡散通信システムおよびスペクトル拡散通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、受信装置との間で通信を行う送信装置であって、
送信信号を送信する送信部を備え、
受信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を用いて行われるCDMA通信であり、
送信信号は、PN符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しいことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、送信装置との間で通信を行う受信装置であって、
送信装置から送信された信号を受信する受信部を備え、
送信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いて行われるCDMA通信であり、
送信装置から送信された信号は、直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しいことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、スペクトル拡散通信を行う通信システムであって、
拡散符号を記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された拡散符号に対応した逆拡散符号を記憶する第2の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶された拡散符号を用いて、入力信号を拡散する拡散手段と、
第2の記憶手段に記憶された逆拡散符号を用いて、拡散手段から出力された信号を逆拡散する逆拡散手段とを備え、
第1の記憶手段に記憶された拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
このような第3の発明によれば、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換した結果が、拡散符号として使用される。この拡散符号をフーリエ変換すると、フーリエ変換した結果の各要素の絶対値は一定となる。したがって、この拡散符号を用いて拡散した場合、入力信号は、周波数軸上で等しい電力で広範囲に拡散される。このように周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散を行えるので、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において、第1の記憶手段に記憶された拡散符号、および、第2の記憶手段に記憶された逆拡散符号の各要素は複素数であり、
拡散手段は、入力信号と第1の記憶手段に記憶された拡散符号の各要素とを複素乗算し、
逆拡散手段は、拡散手段から出力された信号と第2の記憶手段に記憶された逆拡散符号の各要素とを複素乗算することを特徴とする。
このような第4の発明によれば、入力信号は、各要素が複素数である拡散符号を用いて拡散され、拡散された信号は、各要素が複素数である逆拡散信号を用いて逆拡散される。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、拡散手段から出力された信号を用いて搬送波を直交変調する変調手段と、
変調手段から出力された信号を直交復調し、逆拡散手段に出力する復調手段とをさらに備える。
このような第5の発明によれば、搬送波は、拡散された信号の実数部および虚数部を用いて直交変調され、変調された搬送波は直交復調される。これにより、拡散された信号を受信装置で復元することができる。
【0011】
第6の発明は、第5の発明において、第2の記憶手段に記憶された逆拡散符号の各要素は、第1の記憶手段に記憶された拡散符号の対応する要素の共役複素数であることを特徴とする。
このような第6の発明によれば、拡散符号と共役な逆拡散符号を用いて、拡散された信号を逆拡散することにより、拡散時に所定量だけ回転させた座標軸を逆拡散時に元に戻すことができる。
【0012】
第7の発明は、第3の発明において、逆拡散手段から出力された信号の低域成分を出力するフィルタ手段をさらに備える。
このような第7の発明によれば、入力信号に対応した出力信号を受信装置で復元することができる。
【0013】
第8の発明は、第3の発明において、逆拡散手段から出力された信号のピーク位置を検出することにより、第2の記憶手段に記憶された逆拡散符号の同期位置を求める同期トラッキング手段をさらに備える。
このような第8の発明によれば、拡散された信号の同期位置を受信装置で求めることができる。
【0014】
第9の発明は、第3の発明において、入力信号は、実数部および虚数部からなる複素数の形式で拡散手段に入力され、
このような第9の発明によれば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying )方式や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation )方式などでベースバンド変調された入力信号を伝送することができる。
【0015】
第10の発明は、第3の発明において、チャネル識別符号が、直交符号の数値列であることを特徴とする。
【0016】
第11の発明は、第3の発明において、チャネル識別符号が、ウォルシュ符号の数値列であることを特徴とする。
【0017】
第12の発明は、第3の発明のおいて、チャネル識別符号が、アダマール符号の数値列であることを特徴とする。
【0018】
第13の発明は、第3の発明において、チャネル識別符号が、ゴールド符号の数値列であることを特徴とする。
このような第10ないし第13の発明によれば、直交符号、ウォルシュ符号、アダマール符号、あるいは、ゴールド符号を逆フーリエ変換することにより、周波数軸上で直交する拡散符号を求めることができる。
【0019】
第14の発明は、第3の発明において、チャネル識別符号が、直交符号の数値列にM系列を乗算して得られた数値列であることを特徴とする。
このような第14の発明によれば、直交符号にM系列を乗算して得られた数値列を逆フーリエ変換することにより、周波数軸上で直交する拡散符号を求めるとともに、チャネル識別符号のビットパターンにランダム性を持たせることができる。
【0020】
第15の発明は、第3の発明において、チャネル識別符号が、互いに異なる数値列の同じ位置に所定数のゼロ値を付加あるいは挿入して得られた数値列であることを特徴とする。
このような第15の発明によれば、互いに異なる数値列の同じ位置に所定数のゼロ値を付加あるいは挿入して得られた数値列を逆フーリエ変換することにより、拡散された信号を周波数軸上に変換した場合に、使用されない周波数帯域を設けることができる。例えば、数値列の前後にゼロ値を付加することにより、2つの拡散された信号の間に周波数軸上でガード帯域を設け、受信装置において必要な帯域を抽出するフィルタの構成を容易にすることができる。また、数値列の途中にゼロ値を挿入することにより、周波数軸上でキャリアホールを設け、他のシステムが当該周波数帯域の搬送波に干渉することを避けることができる。
【0021】
第16の発明は、スペクトル拡散通信を行う送信装置であって、
拡散符号を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された拡散符号を用いて、入力信号を拡散する拡散手段とを備え、
拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
このような第16の発明によれば、周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散を行う送信装置を構成することができる。この送信装置とこれに対応した受信装置を用いてスペクトル拡散通信を行うことにより、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【0022】
第17の発明は、スペクトル拡散通信を行う受信装置であって、
拡散符号に対応した逆拡散符号を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された逆拡散符号を用いて、拡散符号を用いて拡散された信号を逆拡散する逆拡散手段とを備え、
拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
このような第17の発明によれば、周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散された信号を受信する受信装置を構成することができる。この受信装置とこれに対応した送信装置とを用いてスペクトル拡散通信を行うことにより、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【0023】
第18の発明は、スペクトル拡散通信を行う通信方法であって、
拡散符号を用いて、入力信号を拡散する拡散ステップと、
拡散ステップで拡散された信号を送信する送信ステップと、
送信ステップで送信された信号を受信する受信ステップと、
拡散符号に対応した逆拡散符号を用いて、受信ステップで受信された信号を逆拡散する逆拡散ステップとを備え、
拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
【0024】
第19の発明は、スペクトル拡散通信における送信方法であって、
拡散符号を用いて、入力信号を拡散する拡散ステップと、
拡散ステップで拡散された信号を送信する送信ステップとを備え、
拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
【0025】
第20の発明は、スペクトル拡散通信における受信方法であって、
拡散符号を用いて拡散された信号を受信する受信ステップと、
拡散符号に対応した逆拡散符号を用いて、受信ステップで受信された信号を逆拡散する逆拡散ステップとを備え、
拡散符号は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られたベクトル群に含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本実施形態に係る通信システムによれば、周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散を行えるので、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る通信システムは、送信装置20、および、受信装置30を備えている。送信装置20と受信装置30との間では、スペクトル拡散通信が行われる。拡散符号生成装置10は、通信が行われる前に、送信装置20で使用される拡散符号121、および、受信装置30で使用される逆拡散符号131を生成する。拡散符号生成装置10は、直交符号生成部11、M系列生成部12、乗算器13、ゼロ値付加部14、および、逆フーリエ変換部15を含んでいる。送信装置20は、拡散符号記憶部21、拡散部22、フィルタ部23、RF(Radio Frequency )変調部24、および、アンテナ25を含んでいる。受信装置30は、アンテナ31、RF復調部32、逆拡散符号記憶部33、逆拡散部34、フィルタ部35、および、同期トラッキング部36を含んでいる。
【0028】
始めに、拡散符号生成装置10の動作を説明する。拡散符号生成装置10は、送信装置20および受信装置30がスペクトル拡散通信を行う前に、以下のように動作する。直交符号生成部11は、各要素が1または−1である所定長のベクトルを所定数だけ含んだ直交符号を生成する。直交符号としては、例えば、アダマール符号、ウォルシュ符号、ゴールド符号などが使用される。
【0029】
M系列生成部12は、直交符号生成部11で生成されたベクトルと同じ長さで、各要素が1または−1であるM系列(最大長系列)を生成する。任意長のM系列を生成するには、例えば、m段のシフトレジスタを用いて(2m −1)の長さのM系列を求め、必要に応じて、求めたM系列を繰り返せばよい。
【0030】
乗算器13は、直交符号生成部11で生成された直交符号の各ベクトルと、M系列生成部12で生成されたM系列とを、要素ごとに乗算する。すなわち、直交符号生成部11で生成された直交符号のあるベクトルを(A1 、A2 、…、An )とし、M系列生成部12で生成されたM系列を(B1 、B2 、…、Bn )としたときに、乗算器13は、両者の要素ごとの積として(A11 、A22 、…、Ann )を出力する。このようにM系列を乗算するのは、後述するチャネル識別符号のビットパターンにランダム性を持たせるためである。
【0031】
ゼロ値付加部14は、乗算器13から出力された各ベクトルの前後に所定数のゼロ値を付加する。ゼロ値付加部14は、ベクトルの前または後の一方にゼロ値を付加してもよく、ベクトルの前後両方にゼロ値を付加してもよい。後者の場合、ゼロ値付加部14は、ベクトルの前後両方に同じ数のゼロ値を付加してもよく、ベクトルの前後に異なる数のゼロ値を付加してもよい。このようにゼロ値を付加するのは、拡散された信号を周波数軸上に変換した場合に、2つの拡散された信号の間に周波数軸上でガード領域を設け、受信装置30において必要な帯域を抽出するフィルタの構成を容易にするためである。ゼロ値付加後のベクトルは、互いに異なるので、スペクトル拡散通信におけるチャネル識別符号として使用される。
【0032】
逆フーリエ変換部15は、ゼロ値付加部14で求めたチャネル識別符号のそれぞれを逆フーリエ変換し、元のベクトルと同じ数の要素を有するベクトルを求める。逆フーリエ変換後の各ベクトルの各要素は、複素数となる。逆フーリエ変換部15で求めたベクトル群に含まれるベクトルの全部または一部が、送信装置20で使用される拡散符号121となる。また、求めたベクトルの各要素をその共役複素数と置換したベクトルが、受信装置30で使用される逆拡散符号131となる。
【0033】
図2を参照して、拡散符号生成装置10の動作の一例を説明する。直交符号生成部11は、例えば、長さ16のベクトルを16個含んだアダマール符号(図2に示すベクトル群VGa )を生成する。M系列生成部12は、例えば、長さ16のM系列(1,-1,1,1,-1,1,1,-1,1,-1,-1,1,-1,1,-1,-1 )を生成する。乗算器13は、直交符号生成部11で生成された16個のベクトルのそれぞれと、M系列生成部12で生成されたM系列とを要素ごとに乗算し、図2に示すベクトル群VGb を出力する。ゼロ値付加部14は、乗算器13から出力された16個のベクトルの前後にそれぞれ2個ずつゼロ値を付加し、長さ20のベクトルを16個含んだベクトル群(図2に示すベクトル群VGc )を出力する。ベクトル群VGc に含まれるベクトルが、チャネル識別符号となる。
【0034】
逆フーリエ変換部15は、ゼロ値付加部14で求めた16個のチャネル識別符号をそれぞれ逆フーリエ変換する。図3は、拡散符号生成装置10におけるチャネル識別符号および拡散符号の一例を示す図である。図3には、図2に示すベクトルVc1が、逆フーリエ変換によって、図2に示すベクトルVd1に変換される様子が示されている。逆フーリエ変換部15は、16個のチャネル識別符号をそれぞれ逆フーリエ変換することにより、各要素が複素数である長さ20のベクトルを16個含んだベクトル群(図2に示すベクトル群VGd )を求める。ベクトル群VGd に含まれる16個のベクトルの全部または一部が、送信装置20で使用される拡散符号121となり、求めたベクトルの各要素をその共役複素数と置換したベクトルが、受信装置30で使用される逆拡散符号131となる。
【0035】
次に、送信装置20および受信装置30の動作を説明する。送信装置20および受信装置30は、通信を行う前に、拡散符号生成装置10からそれぞれ、拡散符号121および逆拡散符号131の提供を受ける。送信装置20では、拡散符号生成装置10から提供された拡散符号121は、拡散符号記憶部21に記憶される。受信装置30では、拡散符号生成装置10から提供された逆拡散符号131は、逆拡散符号記憶部33に記憶される。なお、拡散符号121および逆拡散符号131を各装置に提供する方法には、各装置の製造時に各記憶部に書き込んでおく方法や、各装置の製造後に入力手段や通信手段を用いて提供する方法などがある。また、拡散符号記憶部21および逆拡散符号記憶部33が記憶する符号の数は、1個でも複数でもよい。
【0036】
送信装置20と受信装置30との間で通信を行うときには、拡散符号記憶部21は、記憶した拡散符号121の中から選択した1個の拡散符号122を拡散部22に出力する。同様に、逆拡散符号記憶部33は、記憶した逆拡散符号131の中から選択した1個の逆拡散符号132を逆拡散部34に出力する。より詳細には、拡散符号記憶部21は、使用するチャネルに対応した拡散符号122として、当該チャネルのチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られた拡散符号を出力する。逆拡散符号記憶部33は、使用するチャネルに対応した逆拡散符号132として、当該チャネルのチャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られた拡散符号に対応した逆拡散符号を出力する。
【0037】
拡散部22には、送信すべき信号として、入力信号201が入力される。入力信号201は、送信すべきデータに誤り訂正符号化処理と所定のベースバンド変調とを施して得られた信号である。拡散部22は、拡散符号記憶部21に記憶された拡散符号122を用いて入力信号201を拡散し、拡散信号202を出力する。より詳細には、拡散部22には、入力信号201が切り替わる時間T1よりも短い時間T2ごとに拡散符号122の各要素が入力され、拡散部22は、入力信号201と拡散符号122の各要素とを時間T2ごとに乗算する。このように上記時間T2ごとに拡散符号の各要素を乗算することを、一般に、拡散符号をチップレートで乗算するという。
【0038】
本実施形態では、拡散符号122の各要素は複素数である。このため、拡散部22は、入力信号201と拡散符号122とをチップレートで複素乗算する。すなわち、拡散部22は、入力信号201と拡散符号122の各要素とを上記時間T2ごとに複素乗算する。例えば、虚数単位をjとしたときに、拡散符号122のある要素が複素数(C+Dj)であったとする。入力信号201が実数Aである場合、拡散部22は、拡散信号202として、A×(C+Dj)=(AC+ADj)なる信号を出力する。また、入力信号201が複素数(A+Bj)である場合、拡散部22は、拡散信号202として、(A+Bj)×(C+Dj)={(AC−BD)+(AD+BC)j}なる信号を出力する。このような拡散部22の作用により、入力信号201は、周波数軸上で広い範囲に拡散される。
【0039】
フィルタ部23は、バンドパスフィルタを用いて構成される。フィルタ部23は、拡散部22から出力された拡散信号202から、不要な帯域に含まれる雑音成分を除去する。RF変調部24は、フィルタ部23から出力された信号を用いて搬送波を直交変調し、無線帯域の信号を出力する。より詳細には、RF変調部24は、フィルタ部23から出力された信号の実数部を用いて搬送波を第1の方向に変調し、フィルタ部23から出力された信号の虚数部を用いて搬送波を第2の方向(第1の方向とは位相が90度異なる方向)に変調する。アンテナ25は、RF変調部24から出力された信号に基づき、電波を放射する。
【0040】
受信装置30ではアンテナ31が、送信装置20から放射された電波を受信し、無線帯域の信号を出力する。RF復調部32は、アンテナ31から出力された信号を、ベースバンド帯域の復調信号301に直交復調する。より詳細には、RF復調部32は、アンテナ31から出力された信号を上記第1の方向に復調することにより実数部を、当該信号を上記第2の方向に復調することにより虚数部を求め、複素数の形式で復調信号301を出力する。
【0041】
逆拡散部34は、逆拡散符号記憶部33に記憶された逆拡散符号132を用いて復調信号301を逆拡散し、逆拡散信号302を出力する。より詳細には、逆拡散部34は、復調信号301と逆拡散符号132とをチップレートで複素乗算する。すなわち、逆拡散部34は、復調信号301と逆拡散符号132の各要素とを上記時間T2ごとに複素乗算する。例えば、逆拡散符号132のある要素が複素数(C−Dj)であり、復調信号301が複素数(E+Fj)である場合、逆拡散部34は、逆拡散信号302として、(E+Fj)×(C−Dj)={(EC+FD)+(−ED+FC)j}なる信号を出力する。このような逆拡散部34の作用により、周波数軸上で広い範囲に拡散された入力信号201は、特定の周波数に集められる。
【0042】
フィルタ部35は、ローパスフィルタを用いて構成される。フィルタ部35は、逆拡散部34から出力された逆拡散信号302から、不要な帯域に含まれる雑音成分を除去し、出力信号303を出力する。これにより、入力信号201に対応した出力信号303を受信装置30で復元することができる。出力信号303に対しては、送信すべきデータから入力信号201を求めるまでに施された処理(誤り訂正符号化処理とベースバンド変調処理)の逆の処理(ベースバンド復調処理と誤り訂正復号化処理)が施される。
【0043】
同期トラッキング部36は、逆拡散符号記憶部33に対して同期信号311を出力する。逆拡散符号記憶部33は、同期トラッキング部36から出力された同期信号311のタイミングに合わせて、逆拡散部34に逆拡散符号132を出力する。同期トラッキング部36は、同期信号311の出力タイミングを適宜切り替えることにより、逆拡散部34から出力された信号のレベルが最大となる出力タイミング(ピーク位置)を検出する。このような同期トラッキング部36の作用により、逆拡散処理を行うための最適なタイミングを受信装置30で求めることができる。なお、受信装置30は、送信装置20との間で周波数同期を確立するために、AFC(Automatic Frequency Control )回路をさらに備えていてもよい。
【0044】
図4を参照して、送信装置20および受信装置30の主要な構成要素の詳細を説明する。図4には、拡散部22、RF変調部24、RF復調部32、逆拡散部34、フィルタ部35、および、同期トラッキング部36の詳細な構成が示されている。以下では、例として、入力信号201がQPSK(Quadrature Phase Shift Keying )方式でベースバンド変調されている場合について説明する。この例では、拡散符号122、逆拡散符号132、入力信号201、および、復調信号301は、いずれも複素数となる。そこで、拡散符号122を(C+Dj)、逆拡散符号132を(C−Dj)、入力信号201を(A+Bj)、復調信号301を(E+Fj)と表す。この場合、AおよびBは1または−1となり、C、D、EおよびFは任意の実数となる。
【0045】
拡散部22は、4個の乗算器と、減算器と、加算器とを含んでいる。第1の乗算器は、入力信号201の実数部Aと拡散符号122の実数部Cとの積ACを求める。他の3つの乗算器は、それぞれ、積BD、積AD、積BCを求める。減算器は、積ACから積BDを減算することにより、拡散信号202の実数部(AC−BD)を求める。加算器は、積ADと積BCとを加算することにより、拡散信号202の虚数部(AD+BC)を求める。拡散部22は、拡散信号202を実数部と虚数部とに分けて出力する。
【0046】
RF変調部24は、2個の乗算器と、加算器とを含んでいる。一方の乗算器は、拡散信号202の実数部と同相搬送波(cos波)とを乗算し、他方の乗算器は、拡散信号202の虚数部と直交搬送波(sin波)とを乗算する。加算器は、2個の乗算器から出力された信号を加算する。RF変調部24は、搬送波を直交変調した結果として、1本の信号を出力する。なお、一般にQPSK変調では、(1、1)、(1、−1)、(−1、1)および(−1、−1)の4値で搬送波を直交変調するが、本実施形態では、これら4値以外の値でも搬送波を直交変調することになる。
【0047】
RF復調部32は、2個の乗算器と、2個のローパスフィルタ(図4ではLPFと記載)とを含んでいる。RF変調部24から出力された信号は、RF復調部32の内部で2分岐する。一方の乗算器は、2分岐した信号の一方と同相搬送波(cos波)とを乗算し、他方の乗算器は、2分岐した信号の他方と直交搬送波(sin波)とを乗算する。2個のローパスフィルタは、それぞれ、2個の乗算器から出力された信号から、不要な帯域に含まれている雑音成分を除去する。このようなRF復調部32の作用により、拡散信号202に対応した復調信号301が復元される。RF復調部32は、復調信号301を実数部と虚数部と分けて出力する。
【0048】
逆拡散部34は、4個の乗算器と、減算器と、加算器とを含んでいる。第1の乗算器は、復調信号301の実数部Eと逆拡散符号132の実数部Cとの積ECを求める。他の3つの乗算器は、それぞれ、積(−FD)、積(−ED)、積FCを求める。減算器は、積ECから積(−FD)を減算することにより、逆拡散信号302の実数部(EC+FD)を求める。加算器は、積(−ED)と積FCとを加算することにより、逆拡散信号302の虚数部(−ED+FC)を求める。逆拡散部34は、逆拡散信号302を実数部と虚数部とに分けて出力する。
【0049】
フィルタ部35は、2つの累積加算器を含んでいる。一方の累積加算器は、逆拡散部34から出力された逆拡散信号302の実数部を、入力信号201の1つのデータシンボルに相当する分だけ累積加算して、出力信号303の実数部A'を出力する。同様に、他方の累積加算器は、逆拡散信号302の虚数部を、入力信号201の1つのデータシンボルに相当する分だけ累積加算して、出力信号303の虚数部B'を出力する。フィルタ部35は、出力信号303を実数部と虚数部とに分けて出力する。
【0050】
同期トラッキング部36は、相関値計算部37と、ピーク検出部38とを含んでいる。相関値計算部37は、入力信号201の1つのデータシンボルに相当する分だけ、逆拡散信号302を実数部と虚数部とに分けて累積加算する。すなわち、相関値計算部37は、{Σ(EC+FD)+Σ(−ED+FC)j}(ただし、Σは入力信号201の1つのデータシンボルに相当する分についての和)なる複素数を求める。次に、相関値計算部37は、求めた複素数の絶対値を計算して、相関値としてピーク検出部38に出力する。ピーク検出部38は、タイミングを適宜変更しながら、逆拡散符号記憶部33に同期信号311を出力する。復調信号301と逆拡散符号132との間で同期が取れたときに、相関値計算部37から出力された相関値が最大となる。ピーク検出部38は、相関値計算部37から出力された相関値が最大となるタイミングをピーク位置として検出し、検出したピーク位置で同期信号311を出力する。
【0051】
以上の説明では、入力信号201はQPSK方式でベースバンド変調されていることとしたが、入力信号201が他の直交変調方式でベースバンド変調されている場合も、図4と同様の構成を有する通信システムを構築できる。例えば、入力信号201が16QAM(Quadrature Amplitude Modulation )方式でベースバンド変調されている場合には、入力信号201の実数部Aおよび虚数部Bが、それぞれ独立に4つの値を取り得る。この場合の各構成要素の詳細な構成は、図4と同じでよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る通信システムの効果を説明する。上述したように、拡散符号生成装置10は、生成した直交符号に対してM系列乗算およびゼロ値付加を行ってチャネル識別符号を求めた後、チャネル識別符号を逆フーリエ変換することにより、拡散符号121および逆拡散符号131を生成する。送信装置20および受信装置30は、それぞれ、拡散符号生成装置10で生成された拡散符号121および逆拡散符号131を記憶し、記憶した符号から選択した1個の符号を用いてスペクトル拡散通信を行う。
【0053】
拡散符号生成装置10で生成される直交符号の各ベクトルは、互いに直交している。直交性はM系列乗算およびゼロ値付加を行っても保たれるので、これら2つの処理を行って得られたチャネル識別符号は互いに直交する。また、逆フーリエ変換は直交変換であるので、各チャネル識別符号を逆フーリエ変換して得られた拡散符号も、互いに直交する。本実施形態に係る通信システムは、このように互いに直交する拡散符号を使用することにより、PN符号などを使用する一般的なスペクトル拡散通信システムと同様に、スペクトル拡散通信を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態に係る通信システムでは、各要素が1または−1であり、互いに直交するチャネル識別符号を逆フーリエ変換したベクトルを拡散符号として使用するので、拡散符号をフーリエ変換すると、フーリエ変換した結果の各要素は1または−1となり、その絶対値は一定となる。したがって、この拡散符号を用いて拡散した場合、入力信号は、周波数軸上で等しい電力で広範囲に拡散される。よって、周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散を行えるので、周波数上で等電力ではない従来のスペクトル拡散通信と比較して、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【0055】
図5は、本実施形態に係る通信システムの伝送特性の一例を示す図である。図5において、横軸はS/N比(信号/ノイズ比)であり、縦軸はビット誤り率である。従来技術の特性(破線)は、長さ16のアダマール符号を拡散符号として使用した場合の伝送特性である。本実施形態の特性(実線)は、同じアダマール符号を逆フーリエ変換して得られた結果を拡散符号として使用した場合の特性である。ただし、チャネルの分割方式は、いずれの場合もCDMA(Code Division Multiple Access )である。図5に示すように、どちらの特性においても、S/N比が悪くなるに伴ってビット誤り率が大きくなるが、本実施形態の特性は、従来技術の特性よりもビット誤り率が小さい点で優れている。したがって、本実施形態に係る通信システムによれば、スペクトル拡散通信における多重容量を増大させることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、拡散符号生成装置10は、直交符号としてアダマール符号を生成し、生成したアダマール符号に基づき拡散符号を生成することとしたが、直交符号としてウォルシュ符号やゴールド符号などを使用してもよく、直交符号に代えてPN符号などを使用してもよい。また、拡散符号生成装置10は、互いに異なる複数のチャネル識別符号を生成し、生成したチャネル識別符号に基づき拡散符号を生成してもよい。この場合、チャネル識別符号の各要素の絶対値が均一、あるいは、ほぼ均一であることが望ましい。また、チャネル識別符号は、完全な意味での直交性を有している必要はなく、2つのベクトルの内積が十分にゼロに近くなる性質を有していればよい。
【0057】
また、本実施形態では、拡散符号生成装置10は、生成した直交符号にM系列乗算およびゼロ値付加を行うこととしたが、これら2つの処理の両方または一方を行わないこととしてもよい。これにより、図6に示すように、生成した直交符号を逆フーリエ変換することにより拡散符号を生成する拡散符号生成装置17(図6(a))、生成した直交符号にM系列を乗算した後、逆フーリエ変換することにより拡散符号を生成する拡散符号生成装置18(図6(b))、生成した直交符号にゼロ値を付加した後、逆フーリエ変換することにより拡散符号を生成する拡散符号生成装置19(図6(c))を構成することができる。これら3種類の拡散符号生成装置も、拡散符号生成装置10と同様の効果を奏する。
【0058】
また、本実施形態では、拡散符号生成装置10は、乗算器13から出力された各ベクトルの前後に所定数のゼロ値を付加することとしたが、これに代えて、あるいは、これとともに、乗算器13から出力された各ベクトルの同じ位置に所定数のゼロ値を挿入することとしてもよい。このように各ベクトルの同じ位置にゼロ値を挿入することにより、周波数軸上でキャリアホール(使用しない周波数帯域)を設け、他のシステムが当該周波数帯域の搬送波に干渉することを避けることができる。このように、拡散符号生成装置10は、互いに異なる数値列の同じ位置に所定数のゼロ値を付加あるいは挿入してよい。
【0059】
また、本実施形態では、送信装置20がRF変調部24およびアンテナ25を、受信装置30がアンテナ31およびRF復調部32を備え、送信装置20と受信装置30との間では無線通信が行われることとした。これに代えて、送信装置20と受信装置30との間では、有線通信が行われることとしてもよい。この場合、送信装置20はRF変調処理を、受信装置30はRF復調処理を行わないこととしてもよい。
【0060】
以上に示すように、本実施形態に係る通信システムによれば、周波数軸上で等電力となるスペクトル拡散を行えるので、伝送特性が向上し、多重容量が増大する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の通信システムは、無線LAN等の通信システムに適用することが有効である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信システムにおいて拡散符号が生成される過程を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信システムにおけるチャネル識別符号および拡散符号の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る通信システムの詳細な構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る通信システムの伝送特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る通信システムにおける拡散符号生成装置の他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
10、17、18、19…拡散符号生成装置
11…直交符号生成部
12…M系列生成部
13…乗算器
14…ゼロ値付加部
15…逆フーリエ変換部
20…送信装置
21…拡散符号記憶部
22…拡散部
23、35…フィルタ部
24…RF変調部
25、31…アンテナ
30…受信装置
32…RF復調部
33…逆拡散符号記憶部
34…逆拡散部
36…同期トラッキング部
37…相関値計算部
38…ピーク検出部
121、122…拡散符号
131、132…逆拡散符号
201…入力信号
202…拡散信号
301…復調信号
302…逆拡散信号
303…出力信号
311…同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置との間で通信を行う送信装置であって、
送信信号を送信する送信部を備え、
前記受信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信信号は、前記PN符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、送信装置。
【請求項2】
前記第1のベクトルは、前記PN符号に含まれる要素のうち少なくとも1組の要素間に値が0の要素が挿入された第2のベクトルを逆フーリエ変換して得られるものであり、
前記第2のベクトルは、前記複数のPN符号のうちのいずれのPN符号を用いる場合でも所定の位置の要素の値が0である、請求項1記載の送信装置。
【請求項3】
送信装置との間で通信を行う受信装置であって、
前記送信装置から送信された信号を受信する受信部を備え、
前記送信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信装置から送信された信号は、前記PN符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、受信装置。
【請求項4】
受信装置との間で通信を行う送信装置における送信方法であって、
前記受信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記PN符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて送信信号を生成し、
前記送信信号を送信し、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、送信方法。
【請求項5】
送信装置との間で通信を行う受信装置における受信方法であって、
前記送信装置から送信された信号を受信するステップを備え、
前記送信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信装置から送信された信号は、前記PN符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、受信方法。
【請求項6】
受信装置との間でCDMA通信を行う送信装置が送信信号の生成に用いるベクトルを生成するベクトル生成装置であって、
互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を出力するPN符号出力部と、
前記PN符号を逆フーリエ変換して第1のベクトルを生成する逆フーリエ変換部とを備え、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、ベクトル生成装置。
【請求項7】
受信装置との間でCDMA通信を行う送信装置が送信信号の生成に用いるベクトルを生成するベクトル生成方法であって、
互いに異なる複数のPN符号のうちのいずれか1つのPN符号を出力し、
前記PN符号を逆フーリエ変換して第1のベクトルを生成し、
前記複数のPN符号は、各PN符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、ベクトル生成方法。
【請求項8】
受信装置との間で通信を行う送信装置であって、
送信信号を送信する送信部を備え、
前記受信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信信号は、前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、送信装置。
【請求項9】
前記直交符号または直交符号に準ずる符号は、アダマール符号またはウォルシュ符号、ゴールド符号のいずれかである、請求項7記載の送信装置。
【請求項10】
前記第1のベクトルは、前記直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる要素のうち少なくとも1組の要素間に値が0の要素が挿入された第2のベクトルを逆フーリエ変換して得られるものであり、
前記第2のベクトルは、前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いる場合でも所定の位置の要素の値が0である、請求項1記載の送信装置。
【請求項11】
送信装置との間で通信を行う受信装置であって、
前記送信装置から送信された信号を受信する受信部を備え、
前記送信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信装置から送信された信号は、前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、受信装置。
【請求項12】
受信装置との間で通信を行う送信装置における送信方法であって、
前記受信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて送信信号を生成し、
前記送信信号を送信し、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、送信方法。
【請求項13】
送信装置との間で通信を行う受信装置における受信方法であって、
前記送信装置から送信された信号を受信するステップを備え、
前記送信装置との間で行われる通信は、互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を用いて行われるCDMA通信であり、
前記送信装置から送信された信号は、前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して得られる第1のベクトルに基づいて生成されており、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、受信方法。
【請求項14】
受信装置との間でCDMA通信を行う送信装置が送信信号の生成に用いるベクトルを生成するベクトル生成装置であって、
互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を出力する直交符号または直交符号に準ずる符号出力部と、
前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して第1のベクトルを生成する逆フーリエ変換部とを備え、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、ベクトル生成装置。
【請求項15】
受信装置との間でCDMA通信を行う送信装置が送信信号の生成に用いるベクトルを生成するベクトル生成方法であって、
互いに異なる複数の直交符号または直交符号に準ずる符号のうちのいずれか1つの直交符号または直交符号に準ずる符号を出力し、
前記直交符号または直交符号に準ずる符号を逆フーリエ変換して第1のベクトルを生成し、
前記複数の直交符号または直交符号に準ずる符号は、各直交符号または直交符号に準ずる符号に含まれる各要素の絶対値が等しい、ベクトル生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−178118(P2008−178118A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29143(P2008−29143)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【分割の表示】特願2002−299360(P2002−299360)の分割
【原出願日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】