説明

スペクトル測定装置およびスペクトル測定方法

【課題】撮像カメラや撮像素子などの撮像手段に十分な光量を渡してS/N比の劣化を抑止することができるスペクトル測定装置を提供する。
【解決手段】スペクトル測定装置1は、フーリエ変換素子としての液晶デバイス2、液晶デバイス2への印加電圧を制御する電圧制御器5および、液晶デバイス2を通過した測定対象物7の透過率波形を撮像する撮像装置3を備える。計算機4は、液晶デバイス2を通過した透過率波形に含まれる波数が非整数倍の関係となるように液晶デバイス2への印加電圧を制御しつつ撮像された画像データを記憶し、当該波数の異なる複数の画像データに基づく連立方程式を解くことにより各画素について測定区間における整数倍周波数のフーリエ成分を算出し、算出され各画素における整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の分光スペクトルを測定するスペクトル測定装置およびスペクトル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光スペクトルを得る公知の手法の一つに、入射光をプリズムで分光し、分光した光を1次元のセンサ列で強度測定する手法がある。しかしながら、この手法で得られる画像は、あくまでも1次元の画像であり、測定対象物を2次元画像として撮像することができないという致命的な欠点がある。
【0003】
一方、測定対象物を2次元画像として撮像可能な分光法を開示した文献として、下記に示す非特許文献1および特許文献1などがある。非特許文献1に示される手法は、円板の周縁部に沿って配置された複数の狭帯域分光フィルタを順次交換(回転)して撮像する手法である。また、特許文献1に示される手法は、液晶セルを複数枚重ねて狭帯域フィルタとした液晶波長可変フィルタを有し、この液晶波長可変フィルタへの印加電圧を可変して順次撮像する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197518号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.cfme.chiba-u.jp/~haneishi/publication/announcement/announcementPDF/announcement20070608.pdf(平成23年2月14日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1の手法は、メカニカルに固定波長の分光フィルタを交換(回転)させて行かねばならないため、故障が多くなるという問題点がある。また、非特許文献1の手法では、任意の光の波長のデータが得られる訳ではなく、得られるのは各分光フィルタの帯域での平均値(代表値)に過ぎない。このため、解像度を高めるには分光フィルタの個数を増やさなければならず、装置が大型化するという問題点がある。
【0007】
一方、特許文献1に示される液晶波長可変フィルタは、メカニカルな部分がないので操作性がよく、任意の波長分光強度を得ることができるという利点があるものの、固定波長の分光フィルタに比べて半分以下の明るさしか得られないという欠点がある。
【0008】
さらに、非特許文献1および特許文献1の何れの手法にも共通することではあるが、分光スペクトルをより詳しく得ようとすると、波長帯域が狭くなり、暗くなってしまう。CCDやCMOSなどの2次元センサは、S/N比のノイズ(N)側に下限値があるので、撮像画像が暗くなるとS/N比が劣化するという別の問題点もある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像カメラや撮像素子などの撮像手段に十分な光量を渡してS/N比の劣化を抑止することができるスペクトル測定装置およびスペクトル測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るスペクトル測定装置は、測定対象物の分光スペクトルを計算する処理部を有するスペクトル測定装置であって、フーリエ変換素子としての液晶デバイスと、前記液晶デバイスへの印加電圧を制御する電圧制御器と、前記液晶デバイスを通過した前記測定対象物の透過率波形を撮像する撮像装置と、を備え、前記処理部は、前記透過率波形に含まれる波数が非整数倍の関係となるように前記液晶デバイスへの印加電圧を制御しつつ撮像された画像データを記憶すると共に、当該波数の異なる複数の画像データに基づく連立方程式を解くことにより、各画素について、測定区間における整数倍周波数のフーリエ成分を算出する整数倍フーリエ成分算出部と、前記整数倍フーリエ成分算出部が算出した各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを算出するフーリエ逆変換部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスペクトル測定装置およびスペクトル測定方法によれば、撮像カメラや撮像素子などの撮像手段に十分な光量を渡すことができるので、分光スペクトル測定の際のS/N比の劣化を抑止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施の形態に係るスペクトル測定装置の一構成例を示す図である。
【図2】図2は、特許文献1(従来技術)に示されている液晶波長可変フィルタの模式的構成図である。
【図3】図3は、各液晶セル(偏光板こみ)の透過率とそれらの積である全透過率を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態に係る液晶セルの細部構成を示す図である。
【図5】図5は、測定対象物の分光スペクトルの一例を示す図である。
【図6】図6は、計算機における計算処理およびデータの流れを示す図である。
【図7】図7は、画像データを取得する処理イメージを示す図である。
【図8】図8は、整数倍フーリエ成分算出処理が不要な場合の計算処理およびデータの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかるスペクトル測定装置およびスペクトル測定方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るスペクトル測定装置の一構成例を示す図である。本発明の実施の形態に係るスペクトル測定装置1は、例えば図1に示すように、液晶デバイス2、撮像装置3、計算機4および電圧制御器5を備えて構成される。
【0015】
液晶デバイス2は、液晶素子が封入された液晶セルを含むデバイスであり、本発明ではフーリエ変換素子(デバイス)として動作する。電圧制御器5は、液晶デバイス2への印加電圧を制御する制御器である。液晶セル2への印加電圧がある値のとき、液晶デバイス2は、図示の吹き出しに示すような透過率特性を有する状態に制御される。撮像装置3は、液晶デバイス2を介して通過する測定対象物7の画像を撮像する装置である。計算機4は、計算機能、制御機能および記憶機能を有する処理部であり、液晶デバイス2への印加電圧を制御し、撮像装置3が撮像した画像データ(各画素毎の画素値)を記憶すると共に、後述する計算式に示される処理を行って、測定対象物7のスペクトル成分を計算して表示する。
【0016】
(特許文献1の説明)
つぎに、上記特許文献1に開示された発明(発明名称:液晶波長可変フィルタ)の原理について説明する。なお、特許文献1の発明に対する理解は、本発明との差異を明確化するために非常に有効であると考える。
【0017】
図2は、特許文献1に示されている液晶波長可変フィルタの模式的構成図(同文献の第1図)であり、液晶セルを3枚積層した場合の液晶波長可変フィルタの基本構成を示すものである。図2において、P1,P2,P3,P4は偏光子(偏光板)、LC1,LC2,LC3は液晶セルであり、入射側から符号順に配置されている。液晶セルLC1,LC2,LC3の液晶配向方向15は互いに平行であり、偏光子P1,P2,P3,P4の吸収軸20は互いに平行(パラレルニコル)であり、液晶配向方向15と偏光子の吸収軸20とは45度の角度をなしている。
【0018】
図3は、各液晶セル(偏光板こみ)の透過率とそれらの積である全透過率を示す図である。図3において、「液晶セル1」とある最上部に示した波形は液晶セルLC1の透過率特性である。以下同様に、「液晶セル2」とある中上段部に示した波形は液晶セルLC2の透過率特性であり、「液晶セル3」とある中下段部に示した波形は液晶セルLC3の透過率特性である。また、これらの透過率特性の全てを掛け合わせたものが最下部にある全透過率特性(透過率の積)である。すなわち、特許文献1の液晶波長可変フィルタは、各液晶セルが異なる波数の透過率波形になるよう別々の電圧をかけ、それらの透過率波形の山が一致した部分のみを以て狭帯域バンドパスフィルタとするものである。
【0019】
特許文献1の液晶波長可変フィルタは、メカニカルな部分がないので操作性がよく、任意の波長分光強度を得ることができる。しかしながら、この液晶波長可変フィルタでは、固定波長の分光フィルタに比べて半分以下の明るさしか得られないという欠点がある。その理由は、液晶セルを2つの偏光子で挟み込む構造であることから原理的に半分の偏光しか利用することができないという特性を有する一方で、狭帯域なフィルタ帯域を作り出すためには偏光板こみのセルを多数(5〜7枚)重ねる必要があるため、偏光板による吸収損失(特に、短波長側(青)の吸収が問題)が多くなってしまうことにある。加えて、固定波長の分光フィルタが、多層膜蒸着を用いると分光透過率として90%以上を達成できるのに対して、液晶波長可変フィルタでは青(λ=400nm)近辺で分光透過率が30%を切ってしまうことも欠点の一つである。
【0020】
このように、従来技術に係る液晶波長可変フィルタは、操作性よく2次元画像を撮像できるが、暗いという欠点があった。なお、固定波長の分光フィルタを用いる場合でも、フィルタの帯域を狭くすると暗くなって、撮像素子でのS/N比が劣化するという問題があった。
【0021】
つぎに、本発明の原理を説明する。なお、理論詳細は後述するが、本発明は、フーリエ変換素子としての液晶セルを利用し、液晶セルを通過する透過率波形を複数の非整数倍周波数(非整数倍の関係にある周波数)に変更しながら撮像する第1のステップと、撮像した複数の画像データから連立方程式を解くことにより、各画素について、測定区間の整数倍周波数のフーリエ成分を算出する第2のステップと、得られた各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを得る第3のステップと含んでいる。これらの一連のステップは、これまでに提案されたことのない新たな概念であると考える。このため、本願においては、これらの一連のステップを含む測定手法を「フーリエ分光法」と命名する。
【0022】
図4は、本発明の実施の形態に係る液晶デバイス2の細部構成を示す図である。液晶デバイス2は、液晶が封入された液晶セル22と、液晶セル22の入射側に配置される偏光板21と、液晶セル22の出射側に配置される偏光板23と、を有して構成される。図4において、実線矢印は、偏光板21,23における透過偏光方向を示し、破線矢印は、液晶セル22における遅相軸方向を示している。
【0023】
つぎに、液晶デバイス2の動作について説明する。なお、以下の説明では、発明の要旨を簡潔に説明する観点に鑑み、液晶セルの波長分散特性は考慮しない。また、このような仮定の下であっても、本発明の一般性は失われない。
【0024】
偏光板21に入射した光は、偏光板21の作用によって図4の実線矢印に示す透過偏光方向、すなわち直線偏光の光となり、液晶セル22に入射する。液晶セル22に封入されている液晶分子は屈折異方性を持っており、屈折率を大きいと感じる光の電場振動方向が遅相軸となり、この遅相軸に直交する軸が進相軸となる(図4の破線矢印)。
【0025】
液晶セル22は、図4に示すように、入射してくる直線偏光に対して遅相軸が45度傾けた位置になるよう配向されているので、直線偏光は遅相軸方向振動と進相軸方向振動で異なる光学的距離(実際の距離×屈折率)を経験し、液晶セル22の出射時には楕円偏光となる。このような進相軸方向と遅相軸方向との間の光学的距離差は、一般的に「リターデーション(retardation)」と称されており、液晶セル22への印加電圧Vを変更することにより、その値を変化させることができる。
【0026】
出射側にある偏光板23では、入射する楕円偏光の光のうち、透過軸方向の成分が取り出される。なお、図4は、偏光板21の透過偏光方向と偏光板23の透過偏光方向とが平行となる配置(パラレルニコル)であるが、「リターデーションの大きさ(以下「Ret」と表記)」、すなわち進相軸方向と遅相軸方向との間の光学的距離差を変更することにより、偏光板21の透過偏光方向と偏光板23の透過偏光方向とが直交する配置(クロスニコル)を採用することも可能である。
【0027】
なお、Retが0の場合、偏光板23への入射光は元の直線偏光のままであるので、透過率は1である(ここでは便宜上、最初の偏光板を通った後の光に対して、最後の偏光板を通過できる割合を、透過率としておく)。また、Retが光の波長λに対して1/4である場合、偏光板23への入射光は円偏光になっているので、透過率は1/2となる。また、Retが光の波長λに対して1/2である場合、偏光板23への入射光は直交する直線偏光になっているので、透過率は0となる。
【0028】
上記のことから、透過率Tは、「Ret」および「λ」の関数として、次式のように表すことができる。
T={cos(π・Ret/λ)}={1+cos(2π・Ret/λ)}/2
【0029】
透過率Tを光の波長λを横軸にとったグラフで表した場合、波長が大きいほど間延びした波形になる(図3における「液晶セル1」と「液晶セル2」または「液晶セル3」の透過率波形を参照)。一方、光の波長λの逆数である光の波数kを横軸にとったグラフにすると、正弦波形になる。フーリエ変換はサンプリングに正弦波形を用いるので、光の波長λの代わりに光の波数kを用いる方が計算が容易になる。
【0030】
ここで、本発明に係るフーリエ分光法によれば、液晶セルを利用する点は特許文献1と同じであるが、図4に示すように1組の液晶セルのみを使用する点で大きく異なる。すなわち、本発明に係るフーリエ分光法は、1組の液晶セルのみを利用し、測定対象物の画像を1組の液晶セルを介して通過する波形のまま撮像する。このため、撮像素子に十分な光量を渡すことができ、スペクトル測定に係るS/N比の劣化を抑止することが可能となる。
【0031】
また、本発明に係るフーリエ分光法は、1組の液晶セルのみを使用するため、偏光板は入口と出口の2枚のみでよく、多数重ねることによる吸収量をあまり気にする必要はない。さらに、本発明に係るフーリエ分光法は、透過率波形が波型のまま出力されるので、測定区間(光の波数空間)におけるほぼ半量の光を通すことができ、半分の偏光しか利用できないにしても、それを補って余りあるほど撮像画像の光量を大きく(すなわち明るく)することが可能となる。
【0032】
ここで、撮像画像の光量について、
(1)「固定波長の分光フィルタ」を用いる場合、
(2)「液晶波長可変フィルタ」を用いる場合、
(3)本発明に係る「フーリエ分光法」を用いる場合、
の3つの場合において、簡単な計算を行って撮像画像の光量を比較する。
【0033】
なお、「フーリエ分光法」は、原理的にフーリエ変換を利用する手法である。このため、測定対象物の分光スペクトルが、例えば図5に示すような特性を有している場合において、測定区間の左端(例えば400nm以下)では紫外カットフィルタにより分光強度を0にして撮像し、測定区間の右端(例えば700nm以上)では赤外カットフィルタにより分光強度を0にして撮像することが好ましい。よって上記3つの手法の比較において、測定区間を[400nm,700nm]の300nm区間とし、測定区間内の帯域を30nmとする。
【0034】
白色光を測った場合、全入射光に対して撮像素子に渡る光量は、以下の通りである。
(1)「固定波長の分光フィルタ」では、分光透過率が100%としても30nm/300nm×100%=10%である。
(2)「液晶波長可変フィルタ」では、偏光で50%、青付近だと偏光板などで吸収されてそのうちの60%しか分光透過率がないので、全体としては、30nm/300nm×50%×60%=3%である。
(3)「フーリエ分光法」では、偏光で50%、液晶デバイス(液晶セル)を通過する波形が波型であることから区間全体でほぼ50%透過するので、全体としては、50%×50%=25%である。
【0035】
すなわち、「フーリエ分光法」は、「液晶波長可変フィルタ」と比較すると8倍強の明るさを有し、「固定波長の分光フィルタ」と比較しても2.5倍の明るさを有している。無論この明るさは、測定対象スペクトルの形状に依存するが、LEDやレーザーなど極狭帯域の光源を測定するのでない限り問題にはならない。
【0036】
なお、「フーリエ分光法」という我々の命名の通り、理想的には、(光の波数での)測定区間内で整数箇の波を持つ、正弦波および余弦波の形をした透過率特性を有する液晶デバイスが実現できれば、必要な帯域に達するまでその波の個数(フーリエ周波数)を増やしながら撮像すれば、直接その段階で各画素のフーリエ成分が得られており、実際の光スペクトルを得るには現段階で得られている各画素のフーリエ成分を逆フーリエ変換さえすればよい。
【0037】
しかしながら、液晶デバイス(液晶セル)の問題は、測定区間内で整数箇の波を持つ正弦波と余弦波を発生させることができない点にある。この点が、本発明の理論以前に、「フーリエ分光法」を実現できない主因であったといっても過言ではない。
【0038】
つぎに、「フーリエ分光法」における「波数(k)」の意味について説明する。
【0039】
上述したように、液晶セルの透過率特性は、光の波数空間で正弦波になる。したがって、測定対象物のスペクトルや液晶セルの透過率特性のすべてを光の波数空間で記述すれば、取り扱いや計算処理が容易になる。
【0040】
光の波数(k)を用いるとき、測定区間は[k0,k1]のように表すことができる。この測定区間[k0,k1]において、「フーリエ分光法」では、正弦波となっている液晶セルにおける透過率曲線の測定区間内に含まれる波の数を数えることになるが、この「波の数」は、「フーリエ分光法」におけるフーリエ周波数そのものである。すなわち、「フーリエ分光法」において、「波数」は「フーリエ周波数」を意味する。なお、「波数」が整数箇の場合には「m」(mは0以上の整数)で表し、「波数」が非整数箇の場合には「m+δ」(mは整数部、δは小数部)のように表すことにする。
【0041】
液晶セルの透過率は、k=0(1/λ=0)において、偏光板の配置方法に応じて、0か1(半分の偏光をすべて通す)のどちらかしかとることができない。測定区間[k0,k1]は、原点k=0から離れているので、測定区間[k0,k1]だけで見ると、正弦波でも余弦波でもない中途半端な位相の正弦波しか、透過率特性としてとることができない。一方、フーリエ変換では、正弦波をサンプリング波形としたフーリエ成分と、余弦波をサンプリング波形としたフーリエ成分の2つが必須である。したがって、教科書にあるようなフーリエ変換を液晶セルの場合に用いることは不可能か、若しくは困難である。
【0042】
また、本願で提案する「フーリエ分光法」では、「非整数倍周波数でのフーリエ変換」という新しい数学技法が含まれている。この技法の骨子は、「整数箇の波数を持つサンプリング波形で観測した場合には、測定対象スペクトルの同じ整数周波数成分しか積分に残らず、1対1対応でフーリエ成分が求まるのに対して、非整数箇の波数を持つサンプリング波形で観測した場合、測定対象スペクトルの全周波数成分が位相と共に積分に残るので、波数を小数部で変動させてやれば、位相がサインとコサインのように90度になっていなくても、連立方程式(行列)を解くことにより、測定対象スペクトルの整数周波数成分(フーリエ成分)を求めることができる」、というものである。このような点に着目し、且つ、理論指摘をした者は本願以前には居ないと思われる。
【0043】
なお、後述する「サンプリング用波数が整数倍の場合」の項にも記載しているが、非整数倍周波数のサンプリングデータから整数倍周波数フーリエ成分を求めることをせず、対象スペトクルの各帯域で代表値を仮定して、ダイレクトに非整数倍周波数のサンプリングデータからその代表値を求めるのは数学的に正しくないのでできない。
【0044】
つぎに、上述してきた「フーリエ分光法」に関する数学的な説明および「フーリエ分光法」の理論が正しいことの証明を行う。説明は、「記法」、「サンプリング用波数が整数倍の場合」、「サンプリング用波数が非整数倍の場合」、「サンプリング用波数が非整数倍の場合の連立方程式の解法」の順に行う。
【0045】
(記法)
まず、光の波数空間における測定区間が[k0,k1]で表されるとき、次式に示す変数k'および区間幅Tを定義する。
【0046】
【数1】

【0047】
また、測定対象スペクトルをx(k')で表すとき、このx(k')は、全区間に対する整数倍の波数m'に対して、フーリエ成分Cm',位相φm'を用いて次式のように表せる。
【0048】
【数2】

【0049】
上記(2)式において、フーリエ級数の値が発散するのを防ぐため、m'の上限値は有限(<∞)とあることを条件とする。
【0050】
一方、液晶セルのフィルタ特性をf(m,n,k')で表すとき、mを整数、δを小数部分として、全区間に対する非整数倍の波数m+δm,n、位相αm,nを用いて次式のように表せる。
【0051】
【数3】

【0052】
上記(3)式において、mはm≧0を満たす整数であり、δm,nは、0<δm,n<1を満たす小数である。なお、m=0かつδm,n=0の場合は、αm,n=0としてDC成分を測定すればよい。また、波数m+δm,n、位相αm,nは、リターデーションで一意に定まる。さらに、実際の測定では、同じmに対して小数部分の異なるリターデーションで回数をこなすため、δm,n、αm,nのように、添字nを付けて区別できるようにした。
【0053】
また、(3)式において、mは測定可能な分解能(区間分割数の波数)にほぼ相当し、δm,n、αm,nは位相を変えてサンプリングしていることにほぼ相当する。なお、最高測定波数がmであるとき、分割数(分解能)は2mである。ただし、後述する非整数倍サンプリングの場合、最高測定波数mを超える2m'まで測定することが可能となる。この点については後述する。
【0054】
(サンプリング用波数が整数倍の場合)
サンプリング用波数が整数倍の場合とは、上記(3)式の特別な場合である。この場合、δm,n=0であるので、αm,nはmに関して1通りしかなくなるので、これをαmと表記する。このとき、液晶セルを通過する測定対象物のスペクトル(測定値)Smは、(2),(3)を参照する形の次式で表される。
【0055】
【数4】

【0056】
(4)式において、DC(直流)成分については、m'が整数であるため「Σ内cos」の各積分値は零であり、かつ、Σの加算数が有限個であるため、次式のように簡潔に表される。
【0057】
【数5】

【0058】
また、m≧1については、次式のように変形される。
【0059】
【数6】

【0060】
上記(6)式において、第2項、第3項は「cos」の項の積分値が零となるため、次式のように簡略化される。
【0061】
【数7】

【0062】
また、上記(7)式における第2項の積分値は零であり、第3項の積分値はm=m'のときのみ積分値が残るので、さらに次式のように簡略化される。
【0063】
【数8】

【0064】
すなわち、S0の測定にてDC成分が確定し、各Smの測定値からDC成分を差し引けば、各Smには未知数Cmとφmの2つが残る。さらにcos(αm−φm)は、その値が±1以外の場合はπ異なる2つの解を有するという不定性を持っているため、同じmに対して位相αmの異なる測定が必要十分であるということを示している(普通のフーリエ変換においてcos変換とsin変換の2つの処理が必要であることと同義である)。
【0065】
なお、全区間を幅Δに区間分割して、各区間の測定対象スペクトルの代表値を例えば、
【数9】

として、このXtを用いて行列形式[Sm]=[Fm,t][Xt]で表すことが可能かという提言がなされることが予想される。しかしながら、S0を除き、上式の変形過程で示したように、積分処理の部分を、フィルタだけの積分と測定対象のスペクトルだけの積分(代表値)との積に分解することができない。このため、このような提言、つまり代表値を用いた行列形式で求めた値は数学的には正しくない。
【0066】
(サンプリング用波数が非整数倍の場合)
サンプリング用波数が非整数倍の場合、液晶セルを通過する測定対象物のスペクトル(測定値)Sm,nは、(2),(3)を参照する形の次式で表される。
【0067】
【数10】

【0068】
ここで、DC成分の測定(S0,0測定)については、整数倍のときと同様である(m=0,δm,n=0,αm,n=0)。
【0069】
一方、1>δm,n>0かつm≧0(註:m=0を許容)の場合には、次式のように変形される。
【0070】
【数11】

【0071】
上記(11)式において、第3項は「cos」の項の積分値が零となるため(註:第2項は「cos」の項に非整数値であるδm,nが含まれるため零にならない)、次式のように変形される。
【0072】
【数12】

【0073】
つぎに、上記(12)式について考察する。まず、リターデーションを決めるとm,δm,n,αm,nは一意に決まるので、各測定値Sm,nには未知数Cm'とφm'とがm'=1〜∞まで含まれている。ここで、(12)式の第3項は、m'に対して1/(m+m'+δm,n)で減衰するので、m'が小さい程Sm,nに寄与する。また、第4項は、m'に対して1/(m−m'+δm,n)で減衰するので、m'=mのときに最大値をとり、m'がmから離れる程減衰する。ただし、どちらの減衰もm'の−1乗オーダーなので、急速な減衰は期待できない。よって、測定対象スペクトルについて、ある周波数m'MAX以上の成分は、Cm'=0と仮定してしまえればm=1〜m'MAXにおける1つのmについて、リターデーションを変えて2回程(n=1,2)測定すれば、連立方程式を解くことができる。
【0074】
あるいは、同じ仮定の下で、1つのmについて小数部のリターデーションを変えてn回測定すれば、測定対象スペクトルについてm'=(n・m)/2までの波数成分が連立方程式として求められる。これは、測定対象スペクトルが、例えばm'MAXまでの成分を持っていたとしても、mはm'MAXよりも小さくてよいことを意味している。このことを物理的な意味に置き換えると、測定対象スペクトルがm'MAXまでの成分を持っていたとしても、用意するリターデーションはもっと小さいもの(すなわちセルギャップの薄いもの)でよいことを示している。
【0075】
(サンプリング用波数が非整数倍の場合の連立方程式の解法)
上記(12)式において、第1項および第2項は、S0の測定によってDC成分が求まり、またリターデーションによってδm,n,αm,nは一意に決まるので、連立方程式を解くための連立式から除外することができる。よって、(12)式から、第1項および第2項を取り除き、さらに第3項および第4項に共通する係数「(1/4)・(T/2π)」を省略すると、次式が得られる。
【0076】
【数13】

【0077】
上記(13)式において、未知数はCm'・cos(φm')とCm'・sin(φm')である。そこで、Cm'・cos(φm')とCm'・sin(φm')とを並べた2・m'MAX元のベクトルで、2・m'MAX×2・m'MAXのフィルタ行列として、リターデーションで決まる上記(13)式の係数を配置すれば、正則な行列として解くことができる。なお、選んだリターデーションの都合でδm,n=0となる場合には、整数の場合の式を当てはめればよい。その場合の式は、次式の通りである。
【0078】
【数14】

【0079】
このようにして、Cm'・cos(φm')およびCm'・sin(φm')の値が求められると、測定対象スペクトルの周波数成分Cm'および位相成分φm'は、次式および次々式を用いて求めることができる。
【0080】
【数15】

【0081】
【数16】

【0082】
なお、2・m'MAX×2・m'MAXのフィルタ行列を作るには、次の2通りの考え方がある。
【0083】
(第1の手法)
測定用のリターデーションの波数mを測定対象スペクトルの最大波数m'MAXまで動かし、各mに対する小数部の差異を示すδm,nの値はn=1,2の2回のみとする。この手法は、分解能を上げるためにはセルギャップの大きなセルを用意しておかなければならないが、測定精度は下記に示す第2の手法よりも高くなる。
【0084】
(第2の手法)
測定用のリターデーションの波数mは程々の所に留め(最大波数m'MAXまでは動かさない)、小数部の差異を示すδm,nの個数を増やして(n>2)、測定回数を増やす(各波数のうちの少なくとも1つの波数に対する小数部の差異を示す値は3通り以上の値を用いる)。n・m回の測定をすれば測定対象スペクトルについて、分解能2m'=n・mを得ることができる。ただし、あまりnを増やすと測定精度が落ちてくる(連立方程式における行列式「determinant」が小さくなって来ると解の精度が落ちて来ることからも理解できる)が、大きなセルギャップのセルを用意しておく必要はなく、測定回数さえ増やせば分解能を上げられるという利点がある。
【0085】
なお、通常のフーリエ変換(整数倍サンプリング)では、最大波数m'MAXに対して2m'MAXの分割数(求める帯域で測定区間を割った数)までのフーリエ成分しか求められないが、非整数倍周波数でのフーリエ変換の場合は、その整数部分より高い周波数のフーリエ成分までサンプリング積分に残ってくるため、最大波数m'MAXより小さい波数mを用いて、2m'MAX以上の分割数のフーリエ成分の測定が可能となる。すなわち、非整数倍周波数のフーリエ変換では、測定区間を求める帯域で割った数の1/2よりも少ない波数を最大波数(最大サンプリング波数)とする測定が可能となる。
【0086】
つぎに、上述した計算処理を行う機能を有するスペクトル測定装置を構成した場合の具体的な処理の流れについて説明する。
【0087】
図6は、計算機4(図1参照)における計算処理およびデータの流れを示す図である。図6において、整数倍フーリエ成分算出部31およびフーリエ逆変換部32は、計算機4内に設けられる処理部である。整数倍フーリエ成分算出部31に入力される「データ1,データ2,データ3,…,データ2m」は、図7(a)〜(c)に示すように、液晶セルに与える電圧(V1,V2,V3,…)を順次変えると共に、サンプリング波形の波数(非整数)を適宜変更しながら撮像した画像データであり、これらの画像データは計算機4に記憶される。整数倍フーリエ成分算出部31は、撮像データを用いて生成される連立方程式を解き、未知数である正弦関数(余弦関数)の振幅値と位相とを算出する。なお、この処理は、撮像データにおける各画素毎に実行されることは言うまでもない。
【0088】
このようにして、整数倍フーリエ成分算出部31にて、整数倍のフーリエ成分データである「フーリエ成分データ1,フーリエ成分データ2,フーリエ成分データ3,…,フーリエ成分データ2m」が生成される。整数倍のフーリエ成分データが生成されてしまえば、後は、これらのデータを逆フーリエ変換すればよい。この処理は、フーリエ逆変換部32が行い、図示のようなスペクトル強度が得られる。
【0089】
なお、これまで、液晶セルは便宜上1枚であるとして説明してきたが、1枚に限定されるものではない。液晶セルは薄い方が応答が速いので、液晶セルを複数枚で作った方が、動作は速くなる。なお、この場合でも偏光板の枚数は2枚でよく、入射部側に最も近い液晶セルの入射側と、出射部側に最も近い液晶セルの出射側に配置すればよい。液晶セルを薄くした場合、液晶セルの応答が速くなるので、液晶セルが厚い場合に比して、撮像の時間間隔および全体の撮像時間を短くすることができる。
【0090】
また、上記とは逆に、液晶セルを厚くすればリターデーションを大きくとれるという利点がある。上述したように、リターデーションは、遅相軸と進相軸との間の光学的距離(液晶の厚さ×屈折率に相当)であり、大きなリターデーションは測定精度を高めることに繋がる。また、大きなリターデーションを有する液晶セルであれば1枚の液晶セルで構成することができるので、液晶デバイスの構成を簡素化できるという効果も得られる。
【0091】
以上、本発明では、フーリエ変換素子としての液晶セルの印加電圧を制御することにより、液晶セルを順次通過する透過率波形に含まれる波数が非整数倍の関係となるように制御された画像データを取得すると共に、当該波数の異なる複数の画像データを用いて生成した連立方程式を解くことにより、各画素について、測定区間における整数倍周波数のフーリエ成分を算出し、得られた各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することで各画素ごとの分光スペクトルを得る手法について説明してきた。
【0092】
本願発明者は、フーリエ変換素子としての液晶セルを通過した透過率波形が測定区間内で整数箇の波を持つ正弦波と余弦波に分離することができない点に着目することで本発明に想到した。一方、このことは、裏を返せば、フーリエ変換素子を通過した透過率波形が測定区間内で整数箇の波を持つ正弦波と余弦波に分離できる性質のもの、すなわちフーリエ変換素子が整数倍フーリエ変換素子であれば、図6における整数倍フーリエ成分算出部31の構成を省略することが可能となる。図8は、このような観点に基づいて構成されるスペクトル測定装置もしくはスペクトル測定方法を示すものである。
【0093】
図8に示すように、フーリエ逆変換部32に入力される「データ1,データ2,データ3,…,データ2m」が、測定区間において整数箇の波数を持ち90度の固定位相(正弦波と余弦波)を持つものから構成されている場合、観測値は1対1にフーリエ成分に対応しているので、これらのデータを逆フーリエ変換するだけで測定対象物のスペクトル強度を得ることができる。なお、本願発明者は、本発明を出願する時点において、測定対象物のサンプリング波形(光の波数空間における透過率波形)が、整数箇の波数を持ち90度の固定位相を有するようなデバイスの情報を有してはいない。しかしながら、近い将来に、このような特性を有するデバイスが考案されることを期待し、図8に示す技術内容も本願発明の一部として、ここに開示する。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明は、撮像カメラや撮像素子などの撮像手段に十分な光量を渡してS/N比の劣化を抑止することができるスペクトル測定装置およびスペクトル測定方法として有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 スペクトル測定装置
2 液晶デバイス
3 撮像装置
4 計算機
5 電圧制御器
7 測定対象物
8 透過率特性
21,23 偏光板
22 液晶セル
31 整数倍フーリエ成分算出部
32 フーリエ逆変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の分光スペクトルを計算する処理部を有するスペクトル測定装置であって、
フーリエ変換素子としての液晶デバイスと、
前記液晶デバイスへの印加電圧を制御する電圧制御器と、
前記液晶デバイスを通過した前記測定対象物の透過率波形を撮像する撮像装置と、
を備え、
前記処理部は、
前記透過率波形に含まれる波数が非整数倍の関係となるように前記液晶デバイスへの印加電圧を制御しつつ撮像された画像データを記憶すると共に、当該波数の異なる複数の画像データに基づく連立方程式を解くことにより、各画素について、測定区間における整数倍周波数のフーリエ成分を算出する整数倍フーリエ成分算出部と、
前記整数倍フーリエ成分算出部が算出した各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを算出するフーリエ逆変換部と、
を備えたことを特徴とするスペクトル測定装置。
【請求項2】
前記液晶デバイスは、一対の偏光子と、当該一対の偏光子に挟まれる液晶セルで構成されることを特徴とする請求項1に記載のスペクトル測定装置。
【請求項3】
前記液晶セルは、間に偏光板を挟まない複数枚の液晶セルにより構成されることを特徴とする請求項2に記載のスペクトル測定装置。
【請求項4】
測定対象物の分光スペクトルを測定するスペクトル測定方法であって、
フーリエ変換素子としての液晶セルを利用し、液晶セルを通過する透過率波形を複数の非整数倍周波数に変更しながら撮像する第1のステップと、
前記第1のステップにて得られた複数の画像データに基づく連立方程式を解くことにより、各画素について、測定区間の整数倍周波数のフーリエ成分を算出する第2のステップと、
前記第2のステップにて得られた各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを得る第3のステップと、
を含むことを特徴とするスペクトル測定方法。
【請求項5】
前記第1のステップには、測定用のリターデーションの波数を変更するサブステップが含まれ、このサブステップでは、前記波数を測定対象スペクトルの最大波数まで動かし、各波数に対する小数部の差異を示す値は2通りの値を用いることを特徴とする請求項4に記載のスペクトル測定方法。
【請求項6】
前記第1のステップには、測定用のリターデーションの波数を変更するサブステップが含まれ、このサブステップでは、前記波数の変更を測定対象スペクトルの最大波数未満の値に留める一方で、各波数のうちの少なくとも1つの波数に対する小数部の差異を示す値として3通り以上の値を用いることを特徴とする請求項4に記載のスペクトル測定方法。
【請求項7】
測定対象物の分光スペクトルを計算する処理部を有するスペクトル測定装置であって、
整数倍周波数のフーリエ成分を生成可能な整数倍フーリエ変換素子と、
前記整数倍フーリエ変換素子を通過した前記測定対象物の透過率波形を撮像する撮像装置と、
を備え、
前記処理部は、
前記撮像装置が順次撮像した画像データを記憶すると共に、当該画像データの各画素の整数倍周波数フーリエ成分を逆フーリエ変換することにより各画素ごとの分光スペクトルを算出するフーリエ逆変換部と、
を備えたことを特徴とするスペクトル測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−181086(P2012−181086A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43757(P2011−43757)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(503354044)財団法人21あおもり産業総合支援センター (27)
【Fターム(参考)】