スペクトル純度フィルタ、リソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法
【課題】水素ラジカル雰囲気におけるシリコン成分の使用に関連する欠点を伴わずに、効率的および製造が容易であるEUVスペクトル純度フィルタを提供する。
【解決手段】極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含む。アパターチャは、シリコンなどの半導体材料に、異方性エッチングプロセスにより製造され得る。半導体材料は、窒化ケイ素Si3N4、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiC等の水素耐性層が設けられている。アパーチャの側壁の粗さ特性が増大されてもよい。フィルタ部分の厚さは約20μmであり、アパーチャの幅は約2μmから約4μmであってよい。
【解決手段】極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含む。アパターチャは、シリコンなどの半導体材料に、異方性エッチングプロセスにより製造され得る。半導体材料は、窒化ケイ素Si3N4、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiC等の水素耐性層が設けられている。アパーチャの側壁の粗さ特性が増大されてもよい。フィルタ部分の厚さは約20μmであり、アパーチャの幅は約2μmから約4μmであってよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年6月30日に出願された米国特許仮出願第61/222,001号、及び2009年8月27日に出願された米国特許仮出願第61/237,589号の利益を主張し、参照によりそれら両出願の全体が本明細書に引用される。
【0002】
(分野)
本発明は、スペクトル純度フィルタ、そのようなスペクトル純度フィルタを含むリソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置にはステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
パターン印刷を制限する重要な要因は、使用される放射の波長λである。さらに小さな構造を基板上に投影できるようにするために、10〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である極端紫外(EUV)放射を使用することが提案されている。さらに、10nmより小さい波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといったように5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射が使用されてもよいことが提案されている。このようなEUV放射を軟X線と呼ぶことがある。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。
【0005】
錫(Sn)プラズマに基づくEUV源は、所望の帯域内EUV放射だけでなく、帯域外放射、特に深UV(DUV)範囲(100〜400nm)内の放射も放出する。さらに、レーザ生成プラズマ(LPP)EUV源の場合、通常10.6μmのレーザからの赤外放射は、かなりの量の望ましくない放射を表す。EUVリソグラフィシステムの光学系は通常これらの波長においてかなりの反射率を有するため、何らかの手段がとられない場合、望ましくない放射はかなりのパワーを有してリソグラフィツールへと伝搬する。
【0006】
リソグラフィ装置においては、帯域外放射はいくつかの理由により最小化されるべきである。第1に、レジストは帯域外波長に対して敏感であり、よって画像品質が低下し得る。第2に、望ましくない放射、特にLPP源における10.6μmの放射は、マスク、ウェハおよび光学系の望ましくない加熱を引き起こす。望ましくない放射を特定の範囲内とするために、スペクトル純度フィルタ(SPF)が開発されている。
【0007】
スペクトル純度フィルタは、EUV放射に対して反射型または透過型のいずれかであってよい。反射型SPFの実施は、典型的には、既存のミラーの変形または追加の反射要素の挿入を必要とする。透過型SPFは、典型的には、コレクタとイルミネータとの間に配置され、原理上、少なくとも放射経路に影響を与えない。これは、他のSPFとの柔軟性および互換性という結果をもたらすので、利点になり得る。
【0008】
グリッドSPFは、望ましくない放射がEUV放射よりかなり大きい波長を有する場合、例えばLPP源における10.6μmの放射であった場合に使用され得る透過型SPFの種類を形成する。グリッドSPFは、抑制される波長程度のサイズを有するアパーチャを含む。抑制のメカニズムは、従来技術および本明細書中の詳細な実施形態においてさらに説明されるように、種々のタイプのグリッドSPFの間で異なり得る。EUV放射の波長(13.5nm)はアパーチャのサイズ(典型的には、>3μm)よりかなり小さいため、EUV放射は実質的な回折なしにアパーチャを通過する。
【0009】
いくつかの従来のスペクトル純度フィルタ(SPF)は、望ましくない放射を抑制するためにミクロンサイズのアパーチャを有するグリッドに基づく。米国特許出願公開第2006/0146413号は、20μmまでの直径を有するアパーチャのアレイを含むスペクトル純度フィルタ(SPF)を開示している。放射波長と比較したアパーチャのサイズによって、SPFは、異なるメカニズムによって望ましくない放射を抑制し得る。アパーチャサイズが(望ましくない)波長の約半分より小さい場合、SPFはこの波長の実質的に全ての放射を反射する。アパーチャサイズはより大きいが依然として波長程度であった場合、放射は少なくとも部分的に回折されてアパーチャ内の導波路で吸収され得る。
【0010】
これらのSPFに対するおおよその材料パラメータおよび仕様は周知である。しかしながら、これらの仕様における製造は簡単ではない。最も難しい仕様は、典型的には直径4μmのアパーチャ、典型的には5〜10μmのグリッドの厚さ、および最大EUV透過を確実にするためのアパーチャ間の非常に薄くて(典型的には<1μm)平行な(テーパ状ではない)壁である。
【0011】
半導体製造によってよく理解されているフォトリソグラフィ・パターニングおよび異方性エッチングプロセスを用いてこのようなグリッドを製造のための有望な材料として、シリコン(Si)が浮上している。十分に制御された断面を有する深いアパーチャに対しては、もちろん課題は残るが、ディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)が有望なものとして見出されている。2008年12月22日に出願された米国仮特許出願第61/193,769号は、本発明において適用可能である様々な製造方法を開示している。その出願の内容は本明細書中に参考により援用される。
【0012】
シリコン(Si)がSPFの製造に対して有望な材料である一方、実際のEUVリソグラフィ装置における汚染管理に関連する様々なメカニズムは、水素、特に水素ラジカル(原子H)を大気中に放出する。本発明者は、これらのラジカルがSiフィルタ材料を分解し、そして一層悪いことに、汚染物質を照明系内の重要な光学表面へと運ぶ可能性があることを発見した。EUV投影のための最も良い反射素子ですら、より知られている光学系と比較して低い割合の放射しか反射しない。このような劣化は、リソグラフィ装置の生産性を著しく制限するであろう。フィルタは、様々な放射波長からの加熱効果に耐えなければならない。
【0013】
米国特許第7,031,566B2号は、「マクロ多孔性シリコン」からなるUV放射用のフィルタを開示しており、ここでは孔は、ウェハ材料の厚さtよりかなり小さい直径dを有する。スペクトルフィルタまたは他の用途の両方として、このような構造を製造するための多数の従来技術が検討された。米国特許第7,031,566B2号は、所望の波長を導波する孔の側壁上に、SiO2の透明コーティングを適用することを提案している。分析機器での使用のために200〜400nmの通過帯域波長が言及されており、孔は約1μmの直径および約50μmの深さを有する。米国特許第7,031,566B2号の明細書は所々に「極端UV」について言及しているが、これは定義されておらず、挙げられた例は本出願において考慮されているサブ20nmの範囲にはない。導波路材料SiO2は、次世代フォトリソグラフィについて言及されているEUV波長では透明ではない。
【0014】
シリコンによって形成されたSPFに関するさらに潜在的な問題は、EUV照明系内の雰囲気である。これは名目上は真空であるが、実際には、光学表面の崩壊堆積物(debris)及び汚染物質を軽減するとともに、高真空領域と装置の外部ポートとの間のバッファを生成するために故意に導入されたガスを含んでいる。この目的に用いられる特定のガスは、水素(H2)である。EUV源の領域の条件は、多数の水素ラジカル(H原子)を生成させるが、これらは、SPFに好適なシリコン材料と極めて反応性に富む。これは2つの問題をもたらす。SPF自体の劣化と、SPFから運ばれたSiによる光学系の汚染である。特にグリッド状構造は、比較的大きな露出面を有しており、これが水素アタックの問題を悪化させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一態様は、水素ラジカル雰囲気におけるシリコン成分の使用に関連する欠点を伴わずに、効率的および製造が容易であるEUVスペクトル純度フィルタを提供することである。フィルタ部分の厚さは約20μmよりも小さくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmよりも大きくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmから約10μmの範囲内であってもよい。半導体材料は、好ましくはシリコンである。アパーチャは、約3μmから約6μmの範囲の周期を有していてもよい。好ましくは、フィルタ部分は実質的に平面であってよく、複数のアパーチャは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在していてもよい。各アパーチャは、少なくとも約80nmの粗さを有するテクスチャ加工された側壁により画定されてもよい。反射性材料は、アパーチャの側壁に沿って少なくとも約1μm延在していてもよい。このフィルタは、一体不可分のフィルタホルダを含んでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によると、極端紫外放射(λ<20nm)のためのスペクトル純度フィルタが提供される。このフィルタは、キャリア材料(例えばシリコンなどの半導体材料)に製造されたグリッド状構造を備え、その表面領域の全てまたは大部分にわたって水素耐性材料の表面層が設けられている。グリッド状構造は、例えば、複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を含んでおり、各アパーチャはフィルタ部分の前面から後面へ完全にまたは実質的に延在する側壁によって画定される。
【0017】
水素耐性材料(キャリア材料よりも水素ラジカルに対して著しく耐性が高い任意の材料として定義される)は、コーティングとして適用されてもよいし、または基礎をなす半導体を変形することにより形成されてもよい。例示的な材料は、窒化ケイ素Si3N4、及び/またはSiN、二酸化ケイ素SiO2、及び炭化ケイ素SiCである。製造の容易性および反射コーティングなどの他の材料との相性に応じて、フィルタの異なる部分を形成するために異なる材料が用いられてもよい。所望の及び不要な放射の透過率や反射率などの光学特性のために、保護材料が選択される。言い換えると、例えば反射体または導波路として水素耐性を有する機能性材料が既に設けられているので、特殊な水素保護材料が追加される必要はない。
【0018】
スペクトル純度フィルタは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ、極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を備える透過型であってもよい。フィルタ部分の平面における各アパーチャの寸法は、約2μmより大きくてよく、例えば約1.5μmから約10μmの範囲内、約1.5μmから約4μmの範囲内、または約2μmから約3μmの範囲内であってよい。このサイズは対象となるEUV波長よりかなり大きいが、例えば抑制されるべき遠赤外線の波長とは同程度である。水素耐性材料は、前面及び/または後面だけでなく、アパーチャの内壁を覆ってもよい。
【0019】
スペクトル純度フィルタは、シリコン(Si)から成り約10μmの厚さを有するフィルタ部分と、該フィルタ部分のおける複数のアパーチャとを含んでもよい。各アパーチャは実質的に垂直な側壁により画定される。
【0020】
側壁は、テクスチャ加工されてもよい。DRIE及び他の異方性エッチングプロセスは、通常、側壁にあるテクスチャを形成する。本発明のいくつかの実施形態では、このテクスチャは、壁の光学特性を変更するために意図的に拡大されている。一実施形態では、サイズが約80nmよりも大きい、例えば100nmから約200nmの粗さ特性のSiC層が設けられる。このSi層は、水素浸食から保護するが、また、もし設けられていなければかすめ入射で送られるであろう放射を反射及び散乱する。
【0021】
一態様によれば、極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタが提供される。このスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含み、該フィルタ部分は、シリコンなどの半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを含む。フィルタ部分の厚さは、約20μmより小さくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmよりも大きく、または約2μmから約10μmの範囲内であってもよい。アパーチャは、約3μmから約6μmの範囲の周期を有する。フィルタ部分は実質的に平面であってよく、複数のアパーチャは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在していてもよい。各アパーチャは、少なくとも約80nmの粗さを有するテクスチャ加工された側壁により画定されてもよい。反射性材料は、アパーチャの側壁に沿って少なくとも約1μm延在していてもよい。水素耐性材料の層は、SiN、SiC及び/またはSiO2を少なくとも部分的に含んでいてもよい。フィルタは、一体不可分のフィルタホルダを含んでもよい。
【0022】
本発明の別の態様は、極端紫外放射用のスペクトル純度フィルタを提供することである。このスペクトル純度フィルタは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ、極端紫外放射を透過させるよう大きさ及び配置にされた複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を備える。各アパーチャはフィルタ部分の前面と後面との間に延在する側壁により画定されており、側壁は、かすめ入射とならない面(non-grazing incidence surface)を与えるようテクスチャ加工されている。
【0023】
反射面、潜在的には側壁面の全体は、第1及び/または第2のタイプの放射に対して反射性を有する材料の層を有してもよい。反射面が例えばSiCである一方、フィルタ部分は、Siなどの半導体であってよい。
【0024】
本発明の一実施形態によると、極端紫外放射を含む放射を生成するように構成された放射源と、放射を放射ビームへと調整するように構成された照明系と、パターニングデバイスを支持するように構成された支持部とを含むリソグラフィ装置が提供される。パターニングデバイスは、放射ビームをパターン付けするように構成されている。当該装置はまた、ターゲット材料上にパターン付けされた放射ビームを投影するように構成された投影系と、極端紫外放射を他の放射からフィルタするように構成されたスペクトル純度フィルタとを含む。このスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるよう構成され、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含むスペクトル純度フィルタであってよい。フィルタ部分は、半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを含む。このようなスペクトル純度フィルタは、上述したスペクトル純度フィルタであってよい。スペクトル純度フィルタは、シリコンなどの半導体材料に製造されたグリッド状構造を含んでおり、その表面領域の全てまたは大部分にわたって水素耐性材料の表面層が設けられている。
本発明の一実施形態によると、透過型スペクトル純度フィルタを製造する方法が提供される。この方法は、グリッド状フィルタ部分を形成するために異方性エッチングプロセスを用いて半導体基板に複数のアパーチャをエッチングするステップを備える。アパーチャは、抑制されるべき第2放射の波長より小さいまたは同等である一方、極端紫外放射の波長よりも大きい直径を有してよい。例えば、直径は、約1.5μmから約6μmの範囲内、または約2μmから約4μmの範囲内であってよい。本方法によれば、水素耐性材料の保護層が表面領域の全てまたは大部分にわたって設けられてもよい。
【0025】
エッチングは、アパーチャを画定する、テクスチャ加工された側壁を形成してもよい。そのような側壁のテクスチャは、かすめ入射とならない反射面を側壁に入射する放射に与えるために、約80nmを超える寸法であってよい。反射面は、水素に対する耐性と、第2の波長の放射の一部または全てに対する反射性との両方を有する材料の層が設けられてもよい。SiCは、反射性と水素耐性の両方を有する材料である。選択的に、反射層はモリブデンまたはルテニウムを含んでもよい。
【0026】
フィルタ部分の異なる部分上に保護層を形成するために、異なる水素耐性材料が設けられてもよい。フィルタ部分の前面におけるアパーチャ間に、例えば前記第2の波長の反射を高めるための金属層(例えばMo)を有してもよい。
【0027】
水素耐性材料の表面層を設けるステップは、フィルタ部分の半導体材料上に直接的に前記材料を堆積させるステップ、前駆体材料を堆積させ、該前駆体材料を水素耐性材料に変化させるようにフィルタ部分を処理するステップ、及び/または半導体材料を水素耐性材料に変化させるようにフィルタ部分を処理するステップを含んでもよい。エッチングプロセスは、基板をSF6プラズマ及びフルオロカーボンプラズマに交互にさらすステップを含んでもよい。
【0028】
本方法は、エッチストップ層を有する半導体基板を設けるステップと、異方性エッチングプロセスを用いて、アパーチャがエッチストップ層に届くように半導体基板をエッチするステップとを含んでもよい。本方法はさらに、基板にアパーチャを製造した後にエッチストップ層を除去するステップを含んでもよい。エッチストップ層は、半導体基板内に、2つの基板外面から間隙を介して設けられてもよい。選択的に、アパーチャは約100nmから約10μmの範囲の直径を有する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、アパーチャの異方性エッチングがディープ・リアクティブ・イオンエッチングを用いてシリコン基板に施される。シリコン基板は、約10μmの厚さを有しており、アパーチャは約1.5μmから約10μmの範囲、例えば約1.5μmから約6μmの範囲、またはさらに約2μmから約4μmの範囲の直径を有している。
【0030】
一部の実施形態におけるエッチングは、フィルタ部分の平面に対して垂直に走りアパーチャを画定するテクスチャ加工された側壁を生成する。テクスチャは、側壁に入射する放射にかすめ入射とはならない反射面を与えるために、約50nmを超える寸法、例えば約100nmから200nmの間の寸法とすることができる。反射面は、水素に対する耐性と、第2の波長の放射の一部または全てに対する反射性との両方を有する材料の層が設けられてもよい。SiCはそのような材料の一つである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態が付属の図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。各図面において対応する参照符号は対応する部分を指し示す。
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す図である。
【0033】
【図2】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置のレイアウトを示す図である。
【0034】
【図3】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの正面図である。
【0035】
【図4A−4E】水素耐性層の形成前の、スペクトル純度フィルタの製造プロセスの一実施形態の概略図を示す図である。
【0036】
【図5】本発明の一実施形態に係る、製造の中間ステージにおけるスペクトル純度フィルタの傾斜断面図のマイクロ写真画像である。
【0037】
【図6】図5のスペクトル純度フィルタにおける2つのアパーチャ間の壁のより詳細な画像である。
【0038】
【図7】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの一部の上面図である。
【0039】
【図8】本発明の一実施形態に係る、水素耐性層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【0040】
【図9A−9B】本発明の一実施形態に係る保護層の製造プロセスの一種類を示す図である。
【0041】
【図10A−10C】本発明の一実施形態に係る保護層の製造プロセスの別の種類を示す図である。
【0042】
【図11】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの概略断面図と、拡大された側壁の詳細図である。
【0043】
【図12】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、リソグラフィ装置の主な特徴を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射源SOと、該放射源からの放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている及び照明系(イルミネータ)ILとを含む。指示部MT(例えばマスクテーブル)は、パターニングデバイスMA(例えばマスクまたはレチクル)を支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成された第1位置決め装置PMに接続されている。基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTは、基板W(例えばレジストでコーティングされた半導体ウェハ)を保持するよう構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成された第2位置決め装置PWに接続されている。投影系PSは、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成されている。
【0045】
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射の向きや形状を整え、あるいは放射を制御するためのものである。
【0046】
支持部MTは、パターニングデバイスを支持する。支持部は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で、パターニングデバイスを保持する。支持部は、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持部は、例えばフレームまたはテーブルであってよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持部は、パターニングデバイスが例えば投影系に対して所望の位置にあることを保証してもよい。
【0047】
本明細書で用いられる「パターニングデバイス」なる用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビーム断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを表すと広義に解釈すべきである。通常、放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応している。放射ビームに付与されたパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ、すなわち所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに厳密に対応していなくてもよいことを留意されたい。
【0048】
パターニングデバイスは、透過型であってもよいし、反射型であってもよい。実用上の理由から、EUVリソグラフィに対する現行の提案は、図1に示されるような反射型のパターニングデバイスを採用している。パターニングデバイスにはマスクやプログラム可能ミラーアレイ、プログラム可能LCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクが含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、小型ミラーのマトリックス配列で構成される。各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。ミラーマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0049】
本明細書で用いられる「投影系」なる用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組合せを含む何らかの投影系であると広義に解釈されるべきである。EUV放射または電子ビーム放射には真空を使用することが望ましい。放射または電子をガスが過度に吸収しうるからである。よって、真空壁及び真空ポンプの利用によってビーム経路の全体に真空環境を提供するようにしてもよい。EUVに特有な実施例が下記に図2を参照して記載されている。
【0050】
本明細書において「投影レンズ」なる用語の使用は、より一般的な「投影系」なる用語と同じ意味であると見なしてよい。EUV波長に対し、透過性材料は容易には利用できない。従って、EUVシステムにおける照明及び投影用の「レンズ」は通常、反射型、すなわちカーブミラーである。
【0051】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。こうした多重ステージ型の装置においては、複数のテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルが露光のために使用されている間に、1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0052】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影系と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影系との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影系の開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中に投影系と基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0053】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射を受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされず、放射は放射源SOから照明器ILへとビーム搬送系BD(図示せず)を介して受け渡される。ビーム搬送系BDは、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。他の場合においては、放射源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。放射源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系が必要とされる場合にはこも合わせて、放射系と総称される。
【0054】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するための調整装置(アジャスタ)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータ及びコンデンサなどの種々の他の要素を備えてもよい。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0055】
放射ビームBは、支持部MTに保持されているパターニングデバイスMAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイスMAで反射された放射ビームBは、投影系PSを通過する。投影系PSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により、基板テーブルWTは正確に移動される。こうして例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cを位置決めするように移動される。同様に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために、第1位置決め装置PMと別の位置センサIF1(干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサであってよい)が使用されてもよい。この位置決めは、例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。
【0056】
一般に、マスク支持部MTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、支持部MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0057】
図示の装置は以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
【0058】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
【0059】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0060】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、プログラム可能パターニングデバイスMAは実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは1回の走査中において基板テーブルWTが移動するたびに、または1回の走査中において連続するパルスとパルスの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラム可能ミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを使用する「マスクレスリソグラフィ」と呼ぶことができる。
【0061】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0062】
図2は、実際のEUVリソグラフィ装置の概略側面図を示す。物理的な配置は図1に示す装置と異なるが、動作原理は同様であることを留意されたい。この装置は、ソースコレクタモジュールまたは放射ユニット3と、照明系ILと、投影系PSとを備える。放射ユニット3は、例えばキセノン(Xe)ガスやリチウム(Li)、ガドリニウム(Gd)または錫(Sn)の蒸気などのガスまたは蒸気を用いた放射源SOを備える。この放射源では、電磁放射スペクトルのEUV範囲の放射を放出するよう非常に高温の放電プラズマが生成される。放電プラズマは、電気放電の一部イオン化したプラズマを光軸O上に崩壊させることにより生成される。Xe,Li,Gd,Sn蒸気またはその他の適切なガスまたは蒸気の例えば10Pa0.1mbarの分圧が、放射の効率的な発生に望ましい。一実施形態においては、EUV源としてSn源が適用される。
【0063】
図2の主要部は、放電形成プラズマ(DPP)形式の放射源7を示している。図面の左下の代替的な詳細図は、レーザ形成プラズマ(LPP)を用いた放射源の代替形態を示している。LPP型の放射源では、着火領域7aは、燃料供給系7bからの例えば溶解したSnの液滴などのプラズマ燃料で満たされている。レーザビーム生成部7c及び関連する光学系は、放射ビームを着火領域に供給する。生成部7cは、例えば10.6マイクロメートルまたは9.4マイクロメートルの赤外線波長を有するCO2レーザであってよい。あるいは、例えば1〜11マイクロメートルの範囲の個別の波長を有する他の適切なレーザが用いられてもよい。レーザビームとの相互作用により、燃料の液滴は、例えば6.7nmの放射または5〜20nmの範囲から選択された他のEUV放射を放出することのできるプラズマ状態に転移する。ここではEUVが関連する実施例であるが、異なるタイプの放射が他のアプリケーションで生成されてもよい。プラズマで生成された放射は、楕円形または他の適切なコレクタ7dにより集められ、中間焦点12を有する放射ビーム源を生成する。
【0064】
図2の主要部に戻り、放射源SOにより放出された放射は、DPP源チャンバ7からガス・バリアまたは「フォイル・トラップ」形式の汚染物質トラップ(contaminant trap)9を経由してコレクタ・チャンバ8内に通過する。これは、以下でさらに説明される。コレクタ・チャンバ8は、放射コレクタ10を含んでもよい。放射コレクタ10は、例えば、所謂かすめ入射リフレクタの入れ子式アレイを備えるかすめ入射コレクタである。この目的に適した放射コレクタは、従来より知られている。コレクタ10から放出されるEUV放射ビームは、光軸Oのどちらかの側に恐らく10度程度の一定の角拡散を有する左下に示すLPP源においては、放射源からの放射を集めるために垂直入射コレクタ7dが設けられている。
【0065】
コレクタ10を通過した放射は、本発明の実施形態に係るスペクトル純度フィルタ11を通り抜けて伝搬する。反射型格子スペクトル純度フィルタとは対照的に、透過型スペクトル純度フィルタ11は、放射ビームの方向を変えないことに留意されたい。フィルタ11の実施形態を以下に説明する。放射は、コレクションチャンバ8内のアパーチャから仮想源点12(すなわち、中間焦点)に合焦される。放射ビーム16は、チャンバ8から照明系IL内で垂直入射リフレクタ13、14を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクへと反射される。パターン付けされたビーム17が形成され、投影系PSによって反射エレメント18、19を介してウェハステージまたは基板テーブルWTに搭載されたウェハW上へと結像される。図示されたものより多いエレメントが照明系IL及び投影系PSの中に通常存在してもよい。反射エレメント19のうちの1つは、その前にNAディスク20を有しており、NAディスク20はそこを通るアパーチャ21を有する。アパーチャ21のサイズは、ビームが基板テーブルWTに当たるときにパターン付けされた放射ビーム17によって定められる角度αiを決定する。
【0066】
図2は、仮想源点12の上流近傍に位置決めされたスペクトル純度フィルタ11を示す。図示されていないが別の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、仮想源点12に位置決めされてもよく、またはコレクタ10と仮想源点12との間のあらゆる箇所に位置決めされてもよい。このフィルタは、例えば仮想原点12の下流など放射経路における他の位置に配置されてもよい。複数のフィルタが配置されてもよい。
【0067】
ガス・バリアは、本明細書に参照により援用される例えば米国特許第6,614,505号及び米国特許第6,359,969号に詳細に説明されるチャネル構造を含む。この汚染物質トラップの目的は、光学システムのエレメント上に衝突する燃料材料または副生成物の入射、及び時間にわたるその性能の低下を防ぐか、または少なくとも減少させることである。これらのエレメントは、コレクタ10を含む。図2の左下に詳細に説明されるLPP源の場合、汚染物質トラップは楕円コレクタ7dを保護する第1トラップ構成9aを含み、さらに任意選択として符号9bで示される更なるトラップ構成を含む。ガス・バリアは、汚染物質との化学的相互作用によって、及び/または荷電粒子の静電または電磁偏向によって(流体逆流によって)物理的バリアとして機能することができる。実際、できる限り大きな範囲でプラズマ材料を遮断する一方、照明系への放射の移動を可能とするためにこれらの方法の組み合わせが採用されてもよい。上記の米国特許で説明されるように、Snまたは他のプラズマ材料を化学修飾するために特に水素ラジカルが注入されてもよい。
【0068】
水素ラジカルは、Sn及び光学面上に既に堆積し得る他のものを洗浄するために適用されてもよい。さらに、水素ガスは、システム内のより大きな真空空間へと入るウェハからの汚染物質に対するバッファとして、ウェハ支持部WTの付近に展開されてもよい。真空環境では、典型的なフォトレジスト材料は、(支持部及び位置決めシステムのコンポーネントについては言及しないが)、時間にわたって光コンポーネントを汚染し得る有機及び他のガス状材料を放出する傾向がある。
【0069】
これらの全ての目的のために、水素源HSは、水素ガスを各汚染物質トラップ構成9a及び9bに供給するために配置され、照明系IL及び投影系PSのチャンバへの出口に配置されて示されている。他のものがHラジカルを生成する一方、一部の放射源は、単一のバッファとして水素分子ガス(H2)を供給し得る。真空環境に浸透する水素分子は、環境における放射、放電等によってラジカル化され得る。
【0070】
図3は、例えばリソグラフィ装置の上記のフィルタ11として適用することができるスペクトル純度フィルタ100の一実施形態の概略正面図である。本フィルタ100は、極端紫外(EUV)放射を透過させるように構成されている。更なる実施形態では、フィルタ100は、放射源によって生成される第2のタイプの放射(例えば、赤外(IR)放射、例えば約1μmより大きい、特に10μmより大きい波長の赤外放射)を実質的に遮断する。特に、透過されるEUV放射及び(遮断される)第2のタイプの放射は、同じ放射源、例えばリソグラフィ装置のLPP源SOから発せられていてもよい。
【0071】
後述の実施形態におけるスペクトル純度フィルタ100は、略平面フィルタ部分102F(例えば、フィルタ膜またはフィルタ層)を備える。このようなフィルタ部分102Fは、「フィルタ基板」と呼ぶことができる。フィルタ部分102Fは、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するために複数(好ましくは平行の)アパーチャ104を有する。放射源SOから放射が衝突する面を前面と呼ぶ一方、放射が照明系ILへと出る面を後面と呼ぶことができる。上述したように、例えば、EUV放射は、放射の方向を変化することなくスペクトル純度フィルタによって透過される。一実施形態では、各アパーチャ104は、異方性エッチングプロセスによって製造されており、かつアパーチャ104を画定して前面から後面へと完全に延在する平行側壁を有する。
【0072】
図4A〜図4Eは、フィルタ部分102Fを製造するための実例プロセスにおけるステップを示す。このプロセスを以下に簡潔に説明する一方、更なる詳細は上記の米国仮特許出願第61/193,769号から入手できる。例えば、フィルタ100は、独立型(freestanding)の薄膜のシリコン(Si)102F及び略垂直(すなわち、膜表面に対して垂直な)側壁106を有するアパーチャ104のアレイを含んでもよい。アパーチャ104の直径は、EUV放射が実質的な回折を伴わずにスペクトル純度フィルタ100を通り抜けることを可能とするために、望ましくは約100nmより大きい、さらに望ましくは約1μmより大きい。アパーチャ104は、円形断面を有するように概略的に示されているが(図3)、他の形状も可能であり、好適である。例えば、機械的安定性の観点から、六角形のアパーチャ(図4E、図5、図6及び図8を参照)が有利であり得る。フィルタ100によって抑制される波長は、透過されるEUV波長の少なくとも10xであってもよい。特に、フィルタ100は、(約100〜400nmの範囲内の波長を有する)DUV放射及び/または1μmより大きい(例えば、1〜11ミクロンの範囲内)の波長を有する赤外放射の透過を抑制するように構成されている。
【0073】
本発明の実施形態によれば、スペクトル純度フィルタ100は異方性エッチング方法を用いて製造されてもよい。違法性エッチングの適切な例としては、以下に簡潔に説明するディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)の技術が挙げられる。DRIEは、いわゆるボッシュ(Bosch)法を用いてSiに垂直エッチプロファイルを製造できるようにする高異方性エッチ率を有するエッチング法である。これは、例えば、S.Tachi,K.Tsujimoto,S.OkudairaによるAppl.Phys.Lett.52(1988),616の「Low−temperature reactive ion etching and microwave plasma etching of silicon」に記載されている。ボッシュ法は、Si表面をSF6プラズマ及びフルオロカーボン(例えばC4F8)プラズマへ交互にさらすことからなる。第1のステージでは、シリコンはほぼ等方にエッチングされる一方、第2ステージでは、エッチングされたプロファイルはパッシベーション層によって覆われる。次のエッチングでは、このパッシベーション層は主にイオン衝撃によって好ましくは底部が開放され、エッチングが再び開始する。エッチング/パッシベーションサイクルの繰り返しにより、エッチングは、横の広がりを伴わずに層ごとにシリコン表面へと下方に進行する。
【0074】
フィルタ製造方法の一実施形態は、(i)アパーチャパターンのハードマスクを独立型Si薄膜の上に適用するステップと、(ii)Si膜全体を垂直に通ってアパーチャパターンをディープ・リアクティブ・イオンエッチングするステップとを含む。製造方法の別の実施形態は、(i)アパーチャパターンのハードマスクをSi表面を有する基板上に適用するステップと、(ii)アパーチャパターンをSi表面へと所望の深さまで垂直にディープ・リアクティブ・イオンエッチングするステップと、(iii)エッチングされたアパーチャの下の基板の一部を除去するステップとを含む。
【0075】
ここで図4Aを参照すると、例示的な製造方法は、シリコンからなる平面基板102から始まる。基板102の厚さTWは、初めは、フィルタ部分102Fに対して望まれる厚さTHよりかなり大きい。
【0076】
基板102は、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウェハ、例えば酸化物層102Sを有する(結晶構造の)Siウェハを含んでもよい。酸化物層102Sは、例えば酸素イオン注入によって特定の深さに埋められる。従って、SOIウェハ102は、トップSi層(膜)102F、SiO2中間層102S及びボトムSi層102Bからなる。例えば、ウェハの厚さTWは、1mmより小さく、例えば670ミクロンであってよい。
【0077】
図4Bは、DRIEを用いた結果を示しており、ここでは(六角形アパーチャの)アパーチャパターンが(前面側から)トップSi層にエッチングされ、これにより厚さTHのフィルタ部分102Fが設けられる。SiO2層102Sは、エッチストップとして機能する。
【0078】
次に、アパーチャパターン104の下で延在するボトムSi層102Bの少なくとも一部がKOHエッチを用いてエッチングされる。好ましくは、ボトム層102Bの一部は、フィルタホルダ102Cのそれぞれの(下方)部分を設けるために残されたままである。この結果が図4Cに示されている。この場合も、SiO2層102Sはエッチストップとして機能し得る。
【0079】
最後に、SiO2は、緩衝酸化物エッチを用いて除去することができ、その結果は図4Dに示される。さらにこの場合、好ましくは、エッチストップ層102Sの少なくとも一部のみが除去されてアパーチャ104が開口される。ここで、ボトム層102Sの残部は、フィルタホルダ102Cのそれぞれの部分を設けるために残されたままである。
【0080】
図4C〜図4Dによると、望ましくは、フィルタ100には、アパーチャ104を有するフィルタ部分102Fの外側にフィルタホルダ102Cが設けられる。例えば、フィルタホルダ102Cは、フィルタ部分102Fを囲うように構成されてもよい。好ましくは、フィルタホルダ102Cは、(本実施形態では中心の)フィルタ部分102Fより実質的に厚い。例えば、(アパーチャ104と平行方向で測定された)ホルダ102Cの厚さは、20ミクロンを超えてもよく、例えば少なくとも0.1mmである。
【0081】
本フィルタホルダ102Cは、フィルタ100と一体不可分であり、実質的にはフィルタ部分(半導体)材料からなる。例えば、フィルタホルダ102Cは、フィルタ部分102Fを囲うフレーム102Cであってもよい。本実施例では、フィルタホルダ100Cは、(それぞれの基板材料に「埋められる」)エッチストップ層の一部及びフィルタ部分102Fより実質的に厚いサポート部分102Dを依然として含む。本実施例では、フィルタ部分102F及びサポート層102Dは、同じ材料からなる。
【0082】
図4Eは、再度前面から見た、基板層102Fにおける六角形のアパーチャ104の一部を概略的に示す。矢印Q1は、フィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1を示す。矢印Q2は、アパーチャの周期を示す。厚さQ1は、本製造方法の適用により比較的小さくなり得る。さらに、フィルタ部分102Fの壁の(最密)六角構造は、非常に耐久性のある開放構造(open configuration)である。
【0083】
有利には、大きな角拡散を有するEUV透過を可能とするのに十分なほどアパーチャのアスペクト比を低く保つために、EUV放射は、好ましくは比較的薄いフィルタ100を利用して、アパーチャ104を直接通過する。フィルタ部分102Fの厚さTH(すなわち、各アパーチャ104の長さ)は、例えば約20μmより小さく、例えば約2μm〜約10μmの範囲内、例えば約5μm〜約10μmの範囲内である。さらに、一実施形態によると、各アパーチャ104は、約100nm〜約10μmの範囲内の直径を有し得る。望ましくは、各アパーチャ104は、約1.5μm〜約6μmの範囲内、例えば約2μm〜約4μmの範囲内の直径を有する。
【0084】
図4Eに示す正面の詳細図を参照すると、フィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1は、約1μmより小さくてもよく、例えば約0.4μm〜約0.6μmの範囲内、特に約0.5μmであってよい。EUV透過型フィルタ100のアパーチャは、約3μm〜約6μmの範囲内、特に約3μm〜約4μmの範囲内、例えば約4μmの周期Q2(図4Eに示す)を有してもよい。その結果、アパーチャは、フィルタ前面全体の約70〜80%の開放エリア(open area)を提供し得る。
【0085】
有利には、フィルタ100は、多くて5%の赤外光(IR)透過を提供するように構成されている。さらに、有利には、フィルタ100は、入射EUV放射の少なくとも約60%を法線入射で透過させるように構成されている。それに加えて、特に、フィルタ100は、(法線方向に対して)約10°の入射角を有するEUV放射の透過の少なくとも約40%を提供できる。
【0086】
上記のプロセスによって生成される半導体フィルタ部分102Fは、変形を伴わずにスペクトル純度フィルタとして機能することができる。しかしながら、実際の実施形態では、以下に説明するような変形がフィルタ性能及び寿命を改善するために実施されてもよい。一実施形態では、本発明によると、大気内の水素または他のラジカルによる攻撃から半導体材料を保護するために追加の(1つ以上の)層が提供される。実施形態は、半導体部分、結晶半導体部分、ドープ半導体部分、コーティングされた半導体部分、及び少なくとも部分的に変形された半導体部分のうちの1つ以上から選択されたフィルタ部分102Fを含む。フィルタ部分102Fは、シリコン、ゲルマニウム、ダイヤモンド、ガリウム砒素、セレン化亜鉛及び硫化亜鉛から選択された少なくとも1つの半導体材料を含んでもよい。
【0087】
図5及び図6は、上記したプロセスによって製造されたスペクトル純度フィルタの例を示す。図5は、約3μm周期のアパーチャを有するスペクトル純度フィルタの傾斜断面図の画像である。アパーチャの深さ(視角のために補正されている)は、約10.8μmである。
【0088】
図6は、2つのアパーチャ間の壁の傾斜断面の拡大詳細図である。図6に示されるトップ層は、ボッシュ法のために使用されるSiO2ハードマスクであり、視角のための補正された場合、約400nmの厚さを有する。図6に最もよく示されるように、壁はテクスチャ加工(textured)されており、特にリブ模様またはスカラップ(scalloped)模様であり、壁の表面に沿って周期的な厚みの変化を有する。このスカラップ効果は、上記のディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)プロセスにおけるエッチング及びパッシベーションのサイクルから生じる。従来、テクスチャは、プロセスの実用性とスループットとが両立し得る範囲内において最小化される。しかしながら、本発明者は、以下に説明するように、これらのサイクルのエッチング速度及び/または持続時間が増幅したテクスチャをもたらすよう意図的に変更されてもよいことに気づいた。この増幅されたテクスチャは、側壁の光学特性を変更するために適用され得る。
【0089】
図7は、本発明の実施形態に係る独立型スペクトル純度フィルタ100の上面図である。いくつかのグリッドSPFのタイプは、不要な10.6μmの放射の抑制のための異なるメカニズムに基づいて区別され得る。本発明の実施形態に係るSiグリッドは、これらのグリッドタイプの仕様によって変更されてもよい。
【0090】
図8は、変形されたスペクトル純度フィルタ部分102Fを示す。このスペクトル純度フィルタ部分102Fでは、保護層102Hがグリッド材料の全露出面にわたって形成されている。保護層102Hは、水素ラジカルによる攻撃に対してSiや他のグリッド材料よりも耐性がある材料から形成される。
【0091】
保護層102H用の材料の例としては、Si3N4及び/またはSiN(窒化ケイ素)、SiO2(二酸化ケイ素)、及びSiC(炭化ケイ素)が挙げられる。
【0092】
他の半導体基板及び他のタイプの基板材料のために、他の材料が考慮されてもよい。これらの材料の各々は、以下に説明するように、光学特性、製造の容易さ、基板材料及び他の層(例えば反射層)との適合性の観点から潜在的なメリット及びデメリットを有する。保護層を設けるために、3つの幅広い種類のプロセルが考えられる。第1のタイプのプロセスでは、保護層102Hの材料は、単にフィルタ部分102Fのグリッド材料上に堆積される。図9A及び図9Bは、第2のタイプのプロセスを示す。このプロセスでは、フィルタ部分102Fにおけるシリコンなどの基板材料の表面層を変形することによって保護材料が形成される。図10A、図10B、図10Cは、第3および第4のタイプのプロセスを示す。これらのプロセスでは、保護層102Hが2ステップのプロセスにより適用される。第1のステップでは、前駆体材料102Pがフィルタ部分102Fに適用される。第2のステップでは、前駆体材料は、環境との相互作用によって変形されるか、または基板材料を変形して保護材料102Hを形成する。
【0093】
これらのプロセスは、単独でまたはお互いを組み合わせて使用することができる。異なる材料及びプロセスは、原理上、構造の異なる部分において使用することができる。例示的な保護材料を生成するためのプロセス例が以下に記述されるが、これらは、所定の材料を生成するために適用可能である唯一のプロセスとして受け取るべきではない。プロセスの選択は、例えば基板の全ての部分にわたって一様なコーティングが達成されるかどうか、または特定の面が優先的にコーティングされ、他の面が仮にあったとしても非常に弱いコーティングしかされないか、といった決定もする。
【0094】
シリコン基板上のSi3N4及び/またはSiN層102Hの例としては、第2のタイプの方法によって窒化物材料を生成することができる。既にグリッド形態に成されたフィルタ部分102Fは、窒素ラジカルまたはイオンの流れにさらされる。これは、例えば冷たい窒素プラズマである。シリコンとのこれらのラジカルの相互作用は、図9Bに示すように、表面上にSi3N4の薄膜を形成する。非常に薄い層でさえも、水素アタックを防ぐ。層102Hの厚さは、例えば約50nより小さく、特に約5nmから約30nmの範囲内、または約20nmであってもよい。
【0095】
シリコン基板上のSiC層102Hの例として、シリコン基板の表面層を変形させることによって炭化物材料を生成することができる。一つの方法は、基板をほぼ真空においてメタン(CH4)にさらし、加熱することである。また、1〜50nmのSiCの薄層も水素アタックを防ぐことができる。
【0096】
SiO2を生成するためには、シリコン基板を酸素プラズマまたは単にO2大気内で加熱することが周知である。また、1〜50nm、例えば2〜50nmのSiO2の薄膜も、水素アタックを防ぐことができる。
【0097】
保護材料の各々は、それ自体の光学特性を有する。炭化ケイ素SiCは、特に、不要なIR波長において比較的高い反射率を有する。光学特性が活用される場合には、層の厚さは、単に水素を遮蔽するのに望まれるものより厚くなるように所望の光学特性によって規定され得る。薄いコーティングは、特に材料が基板とは全く異なる熱膨張を有する場合には、動作における熱応力の管理において有益である。厚すぎるコーティングは、熱膨張係数の差によって剥離する可能性がある。
【0098】
図11は、変形されたフィルタ部分102Fを示す。このフィルタ部分102Fにおいては、保護層102Hが不要な放射を反射するとともに、アパーチャ104の側壁の粗さが増大されている。例えば数nmまたは数十nmの偏差を有する滑らかな側壁の場合、アパーチャに入射する長波長の放射Riは、かすめ入射(grazing incidence)で側壁に衝突し、大きくは散乱されない。約50nmより大きい、例えば約100nmまたは更には約200nmの基準長さ(typical dimension)dの増大された粗さをより大きな散乱表面に適用することにより、より大きな散乱表面がかすめ入射ではなく(non-grazing incidence)放射Riに与えられ、より大きな散乱Rsが促進される。これは、フィルタにおける上記のような波長の減衰を増大させることができる。DRIEにより形成されるスカラップ模様の壁(scalloped wall)の場合、長さdは図のようにスカラップの深さであってよい。粗さがよりランダムな形状においては、粒径は±50%変動するかもしれないが、dは例えば表面を形成する粒子の平均直径を表す。
【0099】
図12〜図14は、更なる変形例を模式的に示す。この変形例では、Siグリッドが薄い反射層、好ましくは金属、例えばモリブデンでコーティングされている。堆積方法及び条件によって、2タイプの堆積の幾何学的形状(deposition geometry)が生じる可能性がある。図12は、金属がシリコングリッドの上端部のみを覆っている断面を示しているが、図13および図14は、金属が側壁の側面上部を覆っている断面を示している。
【0100】
保護層102Hのないシリコンフィルタグリッドに対するGSolverシミュレーションパッケージを用いて得られるシミュレーション結果は、上記した米国仮特許出願第61/193,769号に記載されている。これらの結果は、Moがシリコングリッドの上面のみに堆積される場合、所望のIR波長の抑制を達成するために約2μmの厚い金属コーティングが望ましい可能性があることを示唆している。所望の金属の厚さは、より小さな周期のグリッドを用いることにより減少させることができるが、その場合、所要のEUV放射の透過もまた減少する傾向がある。しかしながら、図12または図13に示すように、金属コーティングがシリコングリッドの上面及び側壁の両方を覆う場合、状況は劇的に変化する。その場合、IR透過は、数ナノメータだけの厚みのコーティングに対してすぐにほぼゼロに落ちる。そのような薄い厚みでは、ほとんどのパワーがグリッド内に吸収される。グリッドを実質的に反射型(例えば、反射率95%)にするためには、約30nmだけ、または約50nmより小さいコーティングが必要である。薄いコーティングは、動作中の熱応力の管理に対しても有利である。
【0101】
EUV透過率の損失を最小限にしつつ反射コーティングをフィルタ(例えばシリコン)グリッド上に適用するための一つの方法は、原子層堆積法(ALD)である。この方法では、均一なコーティング厚の三次元コーティング構造102Rを達成することができる。コーティング厚が均一であるため、過度なコーティング厚に起因するEUV透過率の損失を最小限にしつつ、所望の赤外反射率を達成することができる。特に、ALD法の適用により、グリッド102Fの側壁106の下方への十分なコーティング厚を保持しつつ、グリッド上端における過剰なコーティング厚を回避することができる。ALD法は、原子層を一層ごとに堆積させるために自己限定的表面反応の交互のステップを使用する。堆積される材料は、前駆体により提供される。ALD法は、例えば、Mo,Ti,Ru,Pd,Ir,Pt,Rh,Co,Cu,Fe及びNiなどのいくつかの金属に対して公知である。好適な実施形態は、Moの代わりにルテニウム(Ru)からなる反射コーティング102Fを使用してもよい。多くの場合、Ruは、フィルタを利用するシステムに既に存在する。例えば、リソグラフィ装置は、Ruを含むEUVソース−コレクタモジュールを有してもよい。あるいは、反射コーティング102Rは金属ではなく、不要な放射を反射する別の材料、例えばTiNまたはRuOx、あるいは導体材料であってもよい。
【0102】
ALD法に代えて、ガルバニック成長(電気めっき)を使用して反射コーティング102Rを堆積してもよい。また、例えば蒸着またはスパッタ堆積によってSiグリッド上に金属が堆積されてもよい。
【0103】
10μmの厚さのグリッドの側壁を完全に覆う反射コーティングを適用することが実用的ではなく、または望ましくない場合がある。例えば、放射率を高めて、それによってグリッドの放射冷却を高めるために、グリッド102Fの後面を覆わないままにすることが有利な場合がある。従って、一実施形態では、コーティングは側壁の部分的下方のみに適用される。例えば、反射コーティングがグリッドの上端及びグリッドの側壁に沿った最初の約2μm下方に適用された場合、光学的挙動は側壁全体がコーティングされた場合と本質的に同じである。従って、追加的な保護手段がとられない限り、シリコンや他の半導体等の基礎をなすグリッド材料は、真空システム内の環境の水素ラジカルや他の成分にさらされる。これらは、グリッド材料を攻撃し、それと同時にその粒子を運んで光学面およびシステムの他の部分を汚染する可能性がある。
【0104】
図13は、水素耐性の保護層102Hが生成された後に反射金属層102Rが適用された一実施形態を示す。あるいは、金属層は保護層の真下にあってもよい。保護層により光学特性が影響を受ける場合がある。または、それらが非常に薄い場合には影響を受けない場合もある。保護層が金属層の真下にある場合には、保護層は金属とシリコンまたは他の基板102Fとの間の反応に対するバリアとしても機能する。特にフィルタ部分が動作中に高温になると予期される場合、溶解および化学結合が徐々に生じ、金属層のIR反射性能を低下させ、結果的にさらなる加熱を引き起こすであろう。
【0105】
図14は、反射層102Rおよび保護層102Hが構造の異なる部分を覆っている一実施形態を示す。この場合、異なる層は別々のプロセスにより適用されてもよい。さらに、異なる部分は、共通前駆体材料の異なる処理により取得されてもよい。
【0106】
金属に加えて、上述したようにSiCはIRに対して反射性を有する。従って、フィルタの前面及び側壁への反射コーティングとして、SiCを用いることができ、または前面への金属と側壁へのSiCとの組合せを、製造を容易にするために用いてもよい。
反射コーティングが側壁の下方の適切な距離まで延在している場合、前面の反射率を非常に高めることができる。
【0107】
ここで留意すべきは、かすめ入射においては、SiCおよび他の材料は、「所望の」EUV波長を含む追加的な波長に対して反射性を有することである。フィルタがEUV放射ビームの拡散に寄与しないことが望まれている場合、側壁でのかすめ入射反射は望ましくない可能性がある。テクスチャを設けることは、側壁の表面がEUVに対して反射性の材料でコーティングされていようとなかろうと、かすめ入射反射を避けるのに有利である。
【0108】
一部のSPFでは、10.6μmの放射または他の不要な放射はグリッド材料に吸収され得る。そのようなグリッドは、ドープSiを用いて本発明の実施形態で実現することができる。本発明のこの態様に係る典型的な実施形態は、1018atoms/cm3を超えたドーピング濃度を有するSiグリッドを含む。上述した同時係属中の米国仮特許出願第61/193,769号に説明されるように、Siの屈折率は、SiをPまたはAsなどのn型不純物でドープすることによって実質的に変化され得る。ドーピングの高い値は、グリッド材料を透明よりむしろ実質的に吸収性がある状態にする。
【0109】
例えば、純シリコンから成るグリッドは、層での干渉により、その厚さの関数として透過率に振動を示す。グリッド材料の厚さを制御することにより干渉効果を利用するよう透過率を変更することも可能であるが、リスクは全般的に見れば透過率が高水準にとどまることである。n型ドープSiから成る同じ寸法のグリッドは、グリッドの厚さの関数としてIR透過率の連続的な減少を示す。例えば、9μmのグリッド厚(深さ)において、入射赤外放射の約4%が透過し、約12%が反射し、残り(約84%)が吸収される。従って、グリッドは実質的に吸収性である。同じような挙動がp型ドープSiにも予期される。
【0110】
ドープSiグリッドの製造方法は、上述した純Siグリッドと同じであってよく、出発物質は純SiよりむしろドープSiを含む。ドーピングがDRIEプロセスに著しく影響することは予測されない。代替の製造方法では、ドーピングはグリッドの製造後に導入されてもよく、例えばイオン注入または熱拡散によって導入される。
【0111】
一実施形態は、(例えばフィルタの一部として)マイクロレンズアレイの製造を含むことができる。例えば、マイクロレンズアレイSPFは、Siグリッドにおけるドーピング濃度を横方向に変化させることにより形成されてもよい。これは、上述したように屈折率がドーピング濃度に依存することに起因して、所謂グレーデッド・インデックス(GRIN)レンズを形成する。ドーピング濃度の望ましい変化は、例えば集束イオンビームを用いることにより、または適切なマスクと組み合わせて均一なイオン注入を用いることにより、達成され得る。マイクロレンズアレイSPFを形成する別の方法は、Siグリッド102Fの厚さTHを横方向に変化させることである。これは、Siグリッドの製造前または製造後に、例えばマイクロマシニングまたはリソグラフィにより為されてもよい。あるいは、エッチングの間に所望の厚みの変動が得られるよう、グリッドの製造におけるエッチプロセスの一つを修正してもよい。
【0112】
水素耐性を有するスペクトル純度フィルタを組み込んだ図1及び図2の装置は、リソグラフィ製造プロセスに使用されてもよいことが理解されるであろう。このようなリソグラフィ装置は、IC、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用されてもよい。当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール、及び/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツール及びその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよい。従って、本明細書で使用される基板という用語は、すでに複数の処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0113】
上記の説明は、限定することを意図するものではなく、例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更が加えられてもよいことを理解されたい。
【0114】
本発明の実施形態は、放電生成プラズマ源(DPP源)またはレーザ生成プラズマ源(LPP源)を含むがそれらに限定されない、あらゆるタイプのEUV源に対して使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、本発明の一実施形態は、典型的にはレーザ生成プラズマ源の一部を形成するレーザ源からの放射を抑制するのに特に適していてもよい。これは、そのようなプラズマ源が、多くの場合、レーザから発生する二次放射を出力するからである。
【0115】
スペクトル純度フィルタは、実際には放射経路の任意の位置に配置されてもよい。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUV放射源からのEUVを含む放射を受け、EUV放射を適切な下流のEUV放射光学系へと運ぶ領域内に配置されている。ここで、EUV放射源からの放射は、光学系に入る前にスペクトル純度フィルタを通るように構成されている。一実施形態では、スペクトル純度フィルタはEUV放射源内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUVリソグラフィ装置内、例えば照明系または投影系内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマの後ではあるがコレクタの前の放射経路に配置される。
【0116】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は説明したものとは別の方法で行われてもよいことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年6月30日に出願された米国特許仮出願第61/222,001号、及び2009年8月27日に出願された米国特許仮出願第61/237,589号の利益を主張し、参照によりそれら両出願の全体が本明細書に引用される。
【0002】
(分野)
本発明は、スペクトル純度フィルタ、そのようなスペクトル純度フィルタを含むリソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置にはステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
パターン印刷を制限する重要な要因は、使用される放射の波長λである。さらに小さな構造を基板上に投影できるようにするために、10〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である極端紫外(EUV)放射を使用することが提案されている。さらに、10nmより小さい波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといったように5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射が使用されてもよいことが提案されている。このようなEUV放射を軟X線と呼ぶことがある。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。
【0005】
錫(Sn)プラズマに基づくEUV源は、所望の帯域内EUV放射だけでなく、帯域外放射、特に深UV(DUV)範囲(100〜400nm)内の放射も放出する。さらに、レーザ生成プラズマ(LPP)EUV源の場合、通常10.6μmのレーザからの赤外放射は、かなりの量の望ましくない放射を表す。EUVリソグラフィシステムの光学系は通常これらの波長においてかなりの反射率を有するため、何らかの手段がとられない場合、望ましくない放射はかなりのパワーを有してリソグラフィツールへと伝搬する。
【0006】
リソグラフィ装置においては、帯域外放射はいくつかの理由により最小化されるべきである。第1に、レジストは帯域外波長に対して敏感であり、よって画像品質が低下し得る。第2に、望ましくない放射、特にLPP源における10.6μmの放射は、マスク、ウェハおよび光学系の望ましくない加熱を引き起こす。望ましくない放射を特定の範囲内とするために、スペクトル純度フィルタ(SPF)が開発されている。
【0007】
スペクトル純度フィルタは、EUV放射に対して反射型または透過型のいずれかであってよい。反射型SPFの実施は、典型的には、既存のミラーの変形または追加の反射要素の挿入を必要とする。透過型SPFは、典型的には、コレクタとイルミネータとの間に配置され、原理上、少なくとも放射経路に影響を与えない。これは、他のSPFとの柔軟性および互換性という結果をもたらすので、利点になり得る。
【0008】
グリッドSPFは、望ましくない放射がEUV放射よりかなり大きい波長を有する場合、例えばLPP源における10.6μmの放射であった場合に使用され得る透過型SPFの種類を形成する。グリッドSPFは、抑制される波長程度のサイズを有するアパーチャを含む。抑制のメカニズムは、従来技術および本明細書中の詳細な実施形態においてさらに説明されるように、種々のタイプのグリッドSPFの間で異なり得る。EUV放射の波長(13.5nm)はアパーチャのサイズ(典型的には、>3μm)よりかなり小さいため、EUV放射は実質的な回折なしにアパーチャを通過する。
【0009】
いくつかの従来のスペクトル純度フィルタ(SPF)は、望ましくない放射を抑制するためにミクロンサイズのアパーチャを有するグリッドに基づく。米国特許出願公開第2006/0146413号は、20μmまでの直径を有するアパーチャのアレイを含むスペクトル純度フィルタ(SPF)を開示している。放射波長と比較したアパーチャのサイズによって、SPFは、異なるメカニズムによって望ましくない放射を抑制し得る。アパーチャサイズが(望ましくない)波長の約半分より小さい場合、SPFはこの波長の実質的に全ての放射を反射する。アパーチャサイズはより大きいが依然として波長程度であった場合、放射は少なくとも部分的に回折されてアパーチャ内の導波路で吸収され得る。
【0010】
これらのSPFに対するおおよその材料パラメータおよび仕様は周知である。しかしながら、これらの仕様における製造は簡単ではない。最も難しい仕様は、典型的には直径4μmのアパーチャ、典型的には5〜10μmのグリッドの厚さ、および最大EUV透過を確実にするためのアパーチャ間の非常に薄くて(典型的には<1μm)平行な(テーパ状ではない)壁である。
【0011】
半導体製造によってよく理解されているフォトリソグラフィ・パターニングおよび異方性エッチングプロセスを用いてこのようなグリッドを製造のための有望な材料として、シリコン(Si)が浮上している。十分に制御された断面を有する深いアパーチャに対しては、もちろん課題は残るが、ディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)が有望なものとして見出されている。2008年12月22日に出願された米国仮特許出願第61/193,769号は、本発明において適用可能である様々な製造方法を開示している。その出願の内容は本明細書中に参考により援用される。
【0012】
シリコン(Si)がSPFの製造に対して有望な材料である一方、実際のEUVリソグラフィ装置における汚染管理に関連する様々なメカニズムは、水素、特に水素ラジカル(原子H)を大気中に放出する。本発明者は、これらのラジカルがSiフィルタ材料を分解し、そして一層悪いことに、汚染物質を照明系内の重要な光学表面へと運ぶ可能性があることを発見した。EUV投影のための最も良い反射素子ですら、より知られている光学系と比較して低い割合の放射しか反射しない。このような劣化は、リソグラフィ装置の生産性を著しく制限するであろう。フィルタは、様々な放射波長からの加熱効果に耐えなければならない。
【0013】
米国特許第7,031,566B2号は、「マクロ多孔性シリコン」からなるUV放射用のフィルタを開示しており、ここでは孔は、ウェハ材料の厚さtよりかなり小さい直径dを有する。スペクトルフィルタまたは他の用途の両方として、このような構造を製造するための多数の従来技術が検討された。米国特許第7,031,566B2号は、所望の波長を導波する孔の側壁上に、SiO2の透明コーティングを適用することを提案している。分析機器での使用のために200〜400nmの通過帯域波長が言及されており、孔は約1μmの直径および約50μmの深さを有する。米国特許第7,031,566B2号の明細書は所々に「極端UV」について言及しているが、これは定義されておらず、挙げられた例は本出願において考慮されているサブ20nmの範囲にはない。導波路材料SiO2は、次世代フォトリソグラフィについて言及されているEUV波長では透明ではない。
【0014】
シリコンによって形成されたSPFに関するさらに潜在的な問題は、EUV照明系内の雰囲気である。これは名目上は真空であるが、実際には、光学表面の崩壊堆積物(debris)及び汚染物質を軽減するとともに、高真空領域と装置の外部ポートとの間のバッファを生成するために故意に導入されたガスを含んでいる。この目的に用いられる特定のガスは、水素(H2)である。EUV源の領域の条件は、多数の水素ラジカル(H原子)を生成させるが、これらは、SPFに好適なシリコン材料と極めて反応性に富む。これは2つの問題をもたらす。SPF自体の劣化と、SPFから運ばれたSiによる光学系の汚染である。特にグリッド状構造は、比較的大きな露出面を有しており、これが水素アタックの問題を悪化させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一態様は、水素ラジカル雰囲気におけるシリコン成分の使用に関連する欠点を伴わずに、効率的および製造が容易であるEUVスペクトル純度フィルタを提供することである。フィルタ部分の厚さは約20μmよりも小さくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmよりも大きくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmから約10μmの範囲内であってもよい。半導体材料は、好ましくはシリコンである。アパーチャは、約3μmから約6μmの範囲の周期を有していてもよい。好ましくは、フィルタ部分は実質的に平面であってよく、複数のアパーチャは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在していてもよい。各アパーチャは、少なくとも約80nmの粗さを有するテクスチャ加工された側壁により画定されてもよい。反射性材料は、アパーチャの側壁に沿って少なくとも約1μm延在していてもよい。このフィルタは、一体不可分のフィルタホルダを含んでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によると、極端紫外放射(λ<20nm)のためのスペクトル純度フィルタが提供される。このフィルタは、キャリア材料(例えばシリコンなどの半導体材料)に製造されたグリッド状構造を備え、その表面領域の全てまたは大部分にわたって水素耐性材料の表面層が設けられている。グリッド状構造は、例えば、複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を含んでおり、各アパーチャはフィルタ部分の前面から後面へ完全にまたは実質的に延在する側壁によって画定される。
【0017】
水素耐性材料(キャリア材料よりも水素ラジカルに対して著しく耐性が高い任意の材料として定義される)は、コーティングとして適用されてもよいし、または基礎をなす半導体を変形することにより形成されてもよい。例示的な材料は、窒化ケイ素Si3N4、及び/またはSiN、二酸化ケイ素SiO2、及び炭化ケイ素SiCである。製造の容易性および反射コーティングなどの他の材料との相性に応じて、フィルタの異なる部分を形成するために異なる材料が用いられてもよい。所望の及び不要な放射の透過率や反射率などの光学特性のために、保護材料が選択される。言い換えると、例えば反射体または導波路として水素耐性を有する機能性材料が既に設けられているので、特殊な水素保護材料が追加される必要はない。
【0018】
スペクトル純度フィルタは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ、極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を備える透過型であってもよい。フィルタ部分の平面における各アパーチャの寸法は、約2μmより大きくてよく、例えば約1.5μmから約10μmの範囲内、約1.5μmから約4μmの範囲内、または約2μmから約3μmの範囲内であってよい。このサイズは対象となるEUV波長よりかなり大きいが、例えば抑制されるべき遠赤外線の波長とは同程度である。水素耐性材料は、前面及び/または後面だけでなく、アパーチャの内壁を覆ってもよい。
【0019】
スペクトル純度フィルタは、シリコン(Si)から成り約10μmの厚さを有するフィルタ部分と、該フィルタ部分のおける複数のアパーチャとを含んでもよい。各アパーチャは実質的に垂直な側壁により画定される。
【0020】
側壁は、テクスチャ加工されてもよい。DRIE及び他の異方性エッチングプロセスは、通常、側壁にあるテクスチャを形成する。本発明のいくつかの実施形態では、このテクスチャは、壁の光学特性を変更するために意図的に拡大されている。一実施形態では、サイズが約80nmよりも大きい、例えば100nmから約200nmの粗さ特性のSiC層が設けられる。このSi層は、水素浸食から保護するが、また、もし設けられていなければかすめ入射で送られるであろう放射を反射及び散乱する。
【0021】
一態様によれば、極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタが提供される。このスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含み、該フィルタ部分は、シリコンなどの半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを含む。フィルタ部分の厚さは、約20μmより小さくてもよい。各アパーチャの直径は、約2μmよりも大きく、または約2μmから約10μmの範囲内であってもよい。アパーチャは、約3μmから約6μmの範囲の周期を有する。フィルタ部分は実質的に平面であってよく、複数のアパーチャは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ極端紫外放射を透過させるようフィルタ部分の前面から後面まで延在していてもよい。各アパーチャは、少なくとも約80nmの粗さを有するテクスチャ加工された側壁により画定されてもよい。反射性材料は、アパーチャの側壁に沿って少なくとも約1μm延在していてもよい。水素耐性材料の層は、SiN、SiC及び/またはSiO2を少なくとも部分的に含んでいてもよい。フィルタは、一体不可分のフィルタホルダを含んでもよい。
【0022】
本発明の別の態様は、極端紫外放射用のスペクトル純度フィルタを提供することである。このスペクトル純度フィルタは、第2のタイプの放射の透過を抑制しつつ、極端紫外放射を透過させるよう大きさ及び配置にされた複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を備える。各アパーチャはフィルタ部分の前面と後面との間に延在する側壁により画定されており、側壁は、かすめ入射とならない面(non-grazing incidence surface)を与えるようテクスチャ加工されている。
【0023】
反射面、潜在的には側壁面の全体は、第1及び/または第2のタイプの放射に対して反射性を有する材料の層を有してもよい。反射面が例えばSiCである一方、フィルタ部分は、Siなどの半導体であってよい。
【0024】
本発明の一実施形態によると、極端紫外放射を含む放射を生成するように構成された放射源と、放射を放射ビームへと調整するように構成された照明系と、パターニングデバイスを支持するように構成された支持部とを含むリソグラフィ装置が提供される。パターニングデバイスは、放射ビームをパターン付けするように構成されている。当該装置はまた、ターゲット材料上にパターン付けされた放射ビームを投影するように構成された投影系と、極端紫外放射を他の放射からフィルタするように構成されたスペクトル純度フィルタとを含む。このスペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させるよう構成され、極端紫外放射を透過させるとともに、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を含むスペクトル純度フィルタであってよい。フィルタ部分は、半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを含む。このようなスペクトル純度フィルタは、上述したスペクトル純度フィルタであってよい。スペクトル純度フィルタは、シリコンなどの半導体材料に製造されたグリッド状構造を含んでおり、その表面領域の全てまたは大部分にわたって水素耐性材料の表面層が設けられている。
本発明の一実施形態によると、透過型スペクトル純度フィルタを製造する方法が提供される。この方法は、グリッド状フィルタ部分を形成するために異方性エッチングプロセスを用いて半導体基板に複数のアパーチャをエッチングするステップを備える。アパーチャは、抑制されるべき第2放射の波長より小さいまたは同等である一方、極端紫外放射の波長よりも大きい直径を有してよい。例えば、直径は、約1.5μmから約6μmの範囲内、または約2μmから約4μmの範囲内であってよい。本方法によれば、水素耐性材料の保護層が表面領域の全てまたは大部分にわたって設けられてもよい。
【0025】
エッチングは、アパーチャを画定する、テクスチャ加工された側壁を形成してもよい。そのような側壁のテクスチャは、かすめ入射とならない反射面を側壁に入射する放射に与えるために、約80nmを超える寸法であってよい。反射面は、水素に対する耐性と、第2の波長の放射の一部または全てに対する反射性との両方を有する材料の層が設けられてもよい。SiCは、反射性と水素耐性の両方を有する材料である。選択的に、反射層はモリブデンまたはルテニウムを含んでもよい。
【0026】
フィルタ部分の異なる部分上に保護層を形成するために、異なる水素耐性材料が設けられてもよい。フィルタ部分の前面におけるアパーチャ間に、例えば前記第2の波長の反射を高めるための金属層(例えばMo)を有してもよい。
【0027】
水素耐性材料の表面層を設けるステップは、フィルタ部分の半導体材料上に直接的に前記材料を堆積させるステップ、前駆体材料を堆積させ、該前駆体材料を水素耐性材料に変化させるようにフィルタ部分を処理するステップ、及び/または半導体材料を水素耐性材料に変化させるようにフィルタ部分を処理するステップを含んでもよい。エッチングプロセスは、基板をSF6プラズマ及びフルオロカーボンプラズマに交互にさらすステップを含んでもよい。
【0028】
本方法は、エッチストップ層を有する半導体基板を設けるステップと、異方性エッチングプロセスを用いて、アパーチャがエッチストップ層に届くように半導体基板をエッチするステップとを含んでもよい。本方法はさらに、基板にアパーチャを製造した後にエッチストップ層を除去するステップを含んでもよい。エッチストップ層は、半導体基板内に、2つの基板外面から間隙を介して設けられてもよい。選択的に、アパーチャは約100nmから約10μmの範囲の直径を有する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、アパーチャの異方性エッチングがディープ・リアクティブ・イオンエッチングを用いてシリコン基板に施される。シリコン基板は、約10μmの厚さを有しており、アパーチャは約1.5μmから約10μmの範囲、例えば約1.5μmから約6μmの範囲、またはさらに約2μmから約4μmの範囲の直径を有している。
【0030】
一部の実施形態におけるエッチングは、フィルタ部分の平面に対して垂直に走りアパーチャを画定するテクスチャ加工された側壁を生成する。テクスチャは、側壁に入射する放射にかすめ入射とはならない反射面を与えるために、約50nmを超える寸法、例えば約100nmから200nmの間の寸法とすることができる。反射面は、水素に対する耐性と、第2の波長の放射の一部または全てに対する反射性との両方を有する材料の層が設けられてもよい。SiCはそのような材料の一つである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態が付属の図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。各図面において対応する参照符号は対応する部分を指し示す。
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す図である。
【0033】
【図2】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置のレイアウトを示す図である。
【0034】
【図3】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの正面図である。
【0035】
【図4A−4E】水素耐性層の形成前の、スペクトル純度フィルタの製造プロセスの一実施形態の概略図を示す図である。
【0036】
【図5】本発明の一実施形態に係る、製造の中間ステージにおけるスペクトル純度フィルタの傾斜断面図のマイクロ写真画像である。
【0037】
【図6】図5のスペクトル純度フィルタにおける2つのアパーチャ間の壁のより詳細な画像である。
【0038】
【図7】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの一部の上面図である。
【0039】
【図8】本発明の一実施形態に係る、水素耐性層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【0040】
【図9A−9B】本発明の一実施形態に係る保護層の製造プロセスの一種類を示す図である。
【0041】
【図10A−10C】本発明の一実施形態に係る保護層の製造プロセスの別の種類を示す図である。
【0042】
【図11】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの概略断面図と、拡大された側壁の詳細図である。
【0043】
【図12】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る、保護層及び反射層を組み込んだスペクトル純度フィルタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、リソグラフィ装置の主な特徴を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射源SOと、該放射源からの放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている及び照明系(イルミネータ)ILとを含む。指示部MT(例えばマスクテーブル)は、パターニングデバイスMA(例えばマスクまたはレチクル)を支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成された第1位置決め装置PMに接続されている。基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTは、基板W(例えばレジストでコーティングされた半導体ウェハ)を保持するよう構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成された第2位置決め装置PWに接続されている。投影系PSは、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成されている。
【0045】
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射の向きや形状を整え、あるいは放射を制御するためのものである。
【0046】
支持部MTは、パターニングデバイスを支持する。支持部は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で、パターニングデバイスを保持する。支持部は、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持部は、例えばフレームまたはテーブルであってよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持部は、パターニングデバイスが例えば投影系に対して所望の位置にあることを保証してもよい。
【0047】
本明細書で用いられる「パターニングデバイス」なる用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビーム断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを表すと広義に解釈すべきである。通常、放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応している。放射ビームに付与されたパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ、すなわち所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに厳密に対応していなくてもよいことを留意されたい。
【0048】
パターニングデバイスは、透過型であってもよいし、反射型であってもよい。実用上の理由から、EUVリソグラフィに対する現行の提案は、図1に示されるような反射型のパターニングデバイスを採用している。パターニングデバイスにはマスクやプログラム可能ミラーアレイ、プログラム可能LCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクが含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、小型ミラーのマトリックス配列で構成される。各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。ミラーマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0049】
本明細書で用いられる「投影系」なる用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組合せを含む何らかの投影系であると広義に解釈されるべきである。EUV放射または電子ビーム放射には真空を使用することが望ましい。放射または電子をガスが過度に吸収しうるからである。よって、真空壁及び真空ポンプの利用によってビーム経路の全体に真空環境を提供するようにしてもよい。EUVに特有な実施例が下記に図2を参照して記載されている。
【0050】
本明細書において「投影レンズ」なる用語の使用は、より一般的な「投影系」なる用語と同じ意味であると見なしてよい。EUV波長に対し、透過性材料は容易には利用できない。従って、EUVシステムにおける照明及び投影用の「レンズ」は通常、反射型、すなわちカーブミラーである。
【0051】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。こうした多重ステージ型の装置においては、複数のテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルが露光のために使用されている間に、1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0052】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影系と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影系との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影系の開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中に投影系と基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0053】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射を受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされず、放射は放射源SOから照明器ILへとビーム搬送系BD(図示せず)を介して受け渡される。ビーム搬送系BDは、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。他の場合においては、放射源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。放射源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系が必要とされる場合にはこも合わせて、放射系と総称される。
【0054】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するための調整装置(アジャスタ)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータ及びコンデンサなどの種々の他の要素を備えてもよい。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0055】
放射ビームBは、支持部MTに保持されているパターニングデバイスMAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイスMAで反射された放射ビームBは、投影系PSを通過する。投影系PSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により、基板テーブルWTは正確に移動される。こうして例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cを位置決めするように移動される。同様に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために、第1位置決め装置PMと別の位置センサIF1(干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサであってよい)が使用されてもよい。この位置決めは、例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。
【0056】
一般に、マスク支持部MTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、支持部MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0057】
図示の装置は以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
【0058】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
【0059】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0060】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、プログラム可能パターニングデバイスMAは実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは1回の走査中において基板テーブルWTが移動するたびに、または1回の走査中において連続するパルスとパルスの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラム可能ミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを使用する「マスクレスリソグラフィ」と呼ぶことができる。
【0061】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0062】
図2は、実際のEUVリソグラフィ装置の概略側面図を示す。物理的な配置は図1に示す装置と異なるが、動作原理は同様であることを留意されたい。この装置は、ソースコレクタモジュールまたは放射ユニット3と、照明系ILと、投影系PSとを備える。放射ユニット3は、例えばキセノン(Xe)ガスやリチウム(Li)、ガドリニウム(Gd)または錫(Sn)の蒸気などのガスまたは蒸気を用いた放射源SOを備える。この放射源では、電磁放射スペクトルのEUV範囲の放射を放出するよう非常に高温の放電プラズマが生成される。放電プラズマは、電気放電の一部イオン化したプラズマを光軸O上に崩壊させることにより生成される。Xe,Li,Gd,Sn蒸気またはその他の適切なガスまたは蒸気の例えば10Pa0.1mbarの分圧が、放射の効率的な発生に望ましい。一実施形態においては、EUV源としてSn源が適用される。
【0063】
図2の主要部は、放電形成プラズマ(DPP)形式の放射源7を示している。図面の左下の代替的な詳細図は、レーザ形成プラズマ(LPP)を用いた放射源の代替形態を示している。LPP型の放射源では、着火領域7aは、燃料供給系7bからの例えば溶解したSnの液滴などのプラズマ燃料で満たされている。レーザビーム生成部7c及び関連する光学系は、放射ビームを着火領域に供給する。生成部7cは、例えば10.6マイクロメートルまたは9.4マイクロメートルの赤外線波長を有するCO2レーザであってよい。あるいは、例えば1〜11マイクロメートルの範囲の個別の波長を有する他の適切なレーザが用いられてもよい。レーザビームとの相互作用により、燃料の液滴は、例えば6.7nmの放射または5〜20nmの範囲から選択された他のEUV放射を放出することのできるプラズマ状態に転移する。ここではEUVが関連する実施例であるが、異なるタイプの放射が他のアプリケーションで生成されてもよい。プラズマで生成された放射は、楕円形または他の適切なコレクタ7dにより集められ、中間焦点12を有する放射ビーム源を生成する。
【0064】
図2の主要部に戻り、放射源SOにより放出された放射は、DPP源チャンバ7からガス・バリアまたは「フォイル・トラップ」形式の汚染物質トラップ(contaminant trap)9を経由してコレクタ・チャンバ8内に通過する。これは、以下でさらに説明される。コレクタ・チャンバ8は、放射コレクタ10を含んでもよい。放射コレクタ10は、例えば、所謂かすめ入射リフレクタの入れ子式アレイを備えるかすめ入射コレクタである。この目的に適した放射コレクタは、従来より知られている。コレクタ10から放出されるEUV放射ビームは、光軸Oのどちらかの側に恐らく10度程度の一定の角拡散を有する左下に示すLPP源においては、放射源からの放射を集めるために垂直入射コレクタ7dが設けられている。
【0065】
コレクタ10を通過した放射は、本発明の実施形態に係るスペクトル純度フィルタ11を通り抜けて伝搬する。反射型格子スペクトル純度フィルタとは対照的に、透過型スペクトル純度フィルタ11は、放射ビームの方向を変えないことに留意されたい。フィルタ11の実施形態を以下に説明する。放射は、コレクションチャンバ8内のアパーチャから仮想源点12(すなわち、中間焦点)に合焦される。放射ビーム16は、チャンバ8から照明系IL内で垂直入射リフレクタ13、14を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクへと反射される。パターン付けされたビーム17が形成され、投影系PSによって反射エレメント18、19を介してウェハステージまたは基板テーブルWTに搭載されたウェハW上へと結像される。図示されたものより多いエレメントが照明系IL及び投影系PSの中に通常存在してもよい。反射エレメント19のうちの1つは、その前にNAディスク20を有しており、NAディスク20はそこを通るアパーチャ21を有する。アパーチャ21のサイズは、ビームが基板テーブルWTに当たるときにパターン付けされた放射ビーム17によって定められる角度αiを決定する。
【0066】
図2は、仮想源点12の上流近傍に位置決めされたスペクトル純度フィルタ11を示す。図示されていないが別の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、仮想源点12に位置決めされてもよく、またはコレクタ10と仮想源点12との間のあらゆる箇所に位置決めされてもよい。このフィルタは、例えば仮想原点12の下流など放射経路における他の位置に配置されてもよい。複数のフィルタが配置されてもよい。
【0067】
ガス・バリアは、本明細書に参照により援用される例えば米国特許第6,614,505号及び米国特許第6,359,969号に詳細に説明されるチャネル構造を含む。この汚染物質トラップの目的は、光学システムのエレメント上に衝突する燃料材料または副生成物の入射、及び時間にわたるその性能の低下を防ぐか、または少なくとも減少させることである。これらのエレメントは、コレクタ10を含む。図2の左下に詳細に説明されるLPP源の場合、汚染物質トラップは楕円コレクタ7dを保護する第1トラップ構成9aを含み、さらに任意選択として符号9bで示される更なるトラップ構成を含む。ガス・バリアは、汚染物質との化学的相互作用によって、及び/または荷電粒子の静電または電磁偏向によって(流体逆流によって)物理的バリアとして機能することができる。実際、できる限り大きな範囲でプラズマ材料を遮断する一方、照明系への放射の移動を可能とするためにこれらの方法の組み合わせが採用されてもよい。上記の米国特許で説明されるように、Snまたは他のプラズマ材料を化学修飾するために特に水素ラジカルが注入されてもよい。
【0068】
水素ラジカルは、Sn及び光学面上に既に堆積し得る他のものを洗浄するために適用されてもよい。さらに、水素ガスは、システム内のより大きな真空空間へと入るウェハからの汚染物質に対するバッファとして、ウェハ支持部WTの付近に展開されてもよい。真空環境では、典型的なフォトレジスト材料は、(支持部及び位置決めシステムのコンポーネントについては言及しないが)、時間にわたって光コンポーネントを汚染し得る有機及び他のガス状材料を放出する傾向がある。
【0069】
これらの全ての目的のために、水素源HSは、水素ガスを各汚染物質トラップ構成9a及び9bに供給するために配置され、照明系IL及び投影系PSのチャンバへの出口に配置されて示されている。他のものがHラジカルを生成する一方、一部の放射源は、単一のバッファとして水素分子ガス(H2)を供給し得る。真空環境に浸透する水素分子は、環境における放射、放電等によってラジカル化され得る。
【0070】
図3は、例えばリソグラフィ装置の上記のフィルタ11として適用することができるスペクトル純度フィルタ100の一実施形態の概略正面図である。本フィルタ100は、極端紫外(EUV)放射を透過させるように構成されている。更なる実施形態では、フィルタ100は、放射源によって生成される第2のタイプの放射(例えば、赤外(IR)放射、例えば約1μmより大きい、特に10μmより大きい波長の赤外放射)を実質的に遮断する。特に、透過されるEUV放射及び(遮断される)第2のタイプの放射は、同じ放射源、例えばリソグラフィ装置のLPP源SOから発せられていてもよい。
【0071】
後述の実施形態におけるスペクトル純度フィルタ100は、略平面フィルタ部分102F(例えば、フィルタ膜またはフィルタ層)を備える。このようなフィルタ部分102Fは、「フィルタ基板」と呼ぶことができる。フィルタ部分102Fは、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するために複数(好ましくは平行の)アパーチャ104を有する。放射源SOから放射が衝突する面を前面と呼ぶ一方、放射が照明系ILへと出る面を後面と呼ぶことができる。上述したように、例えば、EUV放射は、放射の方向を変化することなくスペクトル純度フィルタによって透過される。一実施形態では、各アパーチャ104は、異方性エッチングプロセスによって製造されており、かつアパーチャ104を画定して前面から後面へと完全に延在する平行側壁を有する。
【0072】
図4A〜図4Eは、フィルタ部分102Fを製造するための実例プロセスにおけるステップを示す。このプロセスを以下に簡潔に説明する一方、更なる詳細は上記の米国仮特許出願第61/193,769号から入手できる。例えば、フィルタ100は、独立型(freestanding)の薄膜のシリコン(Si)102F及び略垂直(すなわち、膜表面に対して垂直な)側壁106を有するアパーチャ104のアレイを含んでもよい。アパーチャ104の直径は、EUV放射が実質的な回折を伴わずにスペクトル純度フィルタ100を通り抜けることを可能とするために、望ましくは約100nmより大きい、さらに望ましくは約1μmより大きい。アパーチャ104は、円形断面を有するように概略的に示されているが(図3)、他の形状も可能であり、好適である。例えば、機械的安定性の観点から、六角形のアパーチャ(図4E、図5、図6及び図8を参照)が有利であり得る。フィルタ100によって抑制される波長は、透過されるEUV波長の少なくとも10xであってもよい。特に、フィルタ100は、(約100〜400nmの範囲内の波長を有する)DUV放射及び/または1μmより大きい(例えば、1〜11ミクロンの範囲内)の波長を有する赤外放射の透過を抑制するように構成されている。
【0073】
本発明の実施形態によれば、スペクトル純度フィルタ100は異方性エッチング方法を用いて製造されてもよい。違法性エッチングの適切な例としては、以下に簡潔に説明するディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)の技術が挙げられる。DRIEは、いわゆるボッシュ(Bosch)法を用いてSiに垂直エッチプロファイルを製造できるようにする高異方性エッチ率を有するエッチング法である。これは、例えば、S.Tachi,K.Tsujimoto,S.OkudairaによるAppl.Phys.Lett.52(1988),616の「Low−temperature reactive ion etching and microwave plasma etching of silicon」に記載されている。ボッシュ法は、Si表面をSF6プラズマ及びフルオロカーボン(例えばC4F8)プラズマへ交互にさらすことからなる。第1のステージでは、シリコンはほぼ等方にエッチングされる一方、第2ステージでは、エッチングされたプロファイルはパッシベーション層によって覆われる。次のエッチングでは、このパッシベーション層は主にイオン衝撃によって好ましくは底部が開放され、エッチングが再び開始する。エッチング/パッシベーションサイクルの繰り返しにより、エッチングは、横の広がりを伴わずに層ごとにシリコン表面へと下方に進行する。
【0074】
フィルタ製造方法の一実施形態は、(i)アパーチャパターンのハードマスクを独立型Si薄膜の上に適用するステップと、(ii)Si膜全体を垂直に通ってアパーチャパターンをディープ・リアクティブ・イオンエッチングするステップとを含む。製造方法の別の実施形態は、(i)アパーチャパターンのハードマスクをSi表面を有する基板上に適用するステップと、(ii)アパーチャパターンをSi表面へと所望の深さまで垂直にディープ・リアクティブ・イオンエッチングするステップと、(iii)エッチングされたアパーチャの下の基板の一部を除去するステップとを含む。
【0075】
ここで図4Aを参照すると、例示的な製造方法は、シリコンからなる平面基板102から始まる。基板102の厚さTWは、初めは、フィルタ部分102Fに対して望まれる厚さTHよりかなり大きい。
【0076】
基板102は、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウェハ、例えば酸化物層102Sを有する(結晶構造の)Siウェハを含んでもよい。酸化物層102Sは、例えば酸素イオン注入によって特定の深さに埋められる。従って、SOIウェハ102は、トップSi層(膜)102F、SiO2中間層102S及びボトムSi層102Bからなる。例えば、ウェハの厚さTWは、1mmより小さく、例えば670ミクロンであってよい。
【0077】
図4Bは、DRIEを用いた結果を示しており、ここでは(六角形アパーチャの)アパーチャパターンが(前面側から)トップSi層にエッチングされ、これにより厚さTHのフィルタ部分102Fが設けられる。SiO2層102Sは、エッチストップとして機能する。
【0078】
次に、アパーチャパターン104の下で延在するボトムSi層102Bの少なくとも一部がKOHエッチを用いてエッチングされる。好ましくは、ボトム層102Bの一部は、フィルタホルダ102Cのそれぞれの(下方)部分を設けるために残されたままである。この結果が図4Cに示されている。この場合も、SiO2層102Sはエッチストップとして機能し得る。
【0079】
最後に、SiO2は、緩衝酸化物エッチを用いて除去することができ、その結果は図4Dに示される。さらにこの場合、好ましくは、エッチストップ層102Sの少なくとも一部のみが除去されてアパーチャ104が開口される。ここで、ボトム層102Sの残部は、フィルタホルダ102Cのそれぞれの部分を設けるために残されたままである。
【0080】
図4C〜図4Dによると、望ましくは、フィルタ100には、アパーチャ104を有するフィルタ部分102Fの外側にフィルタホルダ102Cが設けられる。例えば、フィルタホルダ102Cは、フィルタ部分102Fを囲うように構成されてもよい。好ましくは、フィルタホルダ102Cは、(本実施形態では中心の)フィルタ部分102Fより実質的に厚い。例えば、(アパーチャ104と平行方向で測定された)ホルダ102Cの厚さは、20ミクロンを超えてもよく、例えば少なくとも0.1mmである。
【0081】
本フィルタホルダ102Cは、フィルタ100と一体不可分であり、実質的にはフィルタ部分(半導体)材料からなる。例えば、フィルタホルダ102Cは、フィルタ部分102Fを囲うフレーム102Cであってもよい。本実施例では、フィルタホルダ100Cは、(それぞれの基板材料に「埋められる」)エッチストップ層の一部及びフィルタ部分102Fより実質的に厚いサポート部分102Dを依然として含む。本実施例では、フィルタ部分102F及びサポート層102Dは、同じ材料からなる。
【0082】
図4Eは、再度前面から見た、基板層102Fにおける六角形のアパーチャ104の一部を概略的に示す。矢印Q1は、フィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1を示す。矢印Q2は、アパーチャの周期を示す。厚さQ1は、本製造方法の適用により比較的小さくなり得る。さらに、フィルタ部分102Fの壁の(最密)六角構造は、非常に耐久性のある開放構造(open configuration)である。
【0083】
有利には、大きな角拡散を有するEUV透過を可能とするのに十分なほどアパーチャのアスペクト比を低く保つために、EUV放射は、好ましくは比較的薄いフィルタ100を利用して、アパーチャ104を直接通過する。フィルタ部分102Fの厚さTH(すなわち、各アパーチャ104の長さ)は、例えば約20μmより小さく、例えば約2μm〜約10μmの範囲内、例えば約5μm〜約10μmの範囲内である。さらに、一実施形態によると、各アパーチャ104は、約100nm〜約10μmの範囲内の直径を有し得る。望ましくは、各アパーチャ104は、約1.5μm〜約6μmの範囲内、例えば約2μm〜約4μmの範囲内の直径を有する。
【0084】
図4Eに示す正面の詳細図を参照すると、フィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1は、約1μmより小さくてもよく、例えば約0.4μm〜約0.6μmの範囲内、特に約0.5μmであってよい。EUV透過型フィルタ100のアパーチャは、約3μm〜約6μmの範囲内、特に約3μm〜約4μmの範囲内、例えば約4μmの周期Q2(図4Eに示す)を有してもよい。その結果、アパーチャは、フィルタ前面全体の約70〜80%の開放エリア(open area)を提供し得る。
【0085】
有利には、フィルタ100は、多くて5%の赤外光(IR)透過を提供するように構成されている。さらに、有利には、フィルタ100は、入射EUV放射の少なくとも約60%を法線入射で透過させるように構成されている。それに加えて、特に、フィルタ100は、(法線方向に対して)約10°の入射角を有するEUV放射の透過の少なくとも約40%を提供できる。
【0086】
上記のプロセスによって生成される半導体フィルタ部分102Fは、変形を伴わずにスペクトル純度フィルタとして機能することができる。しかしながら、実際の実施形態では、以下に説明するような変形がフィルタ性能及び寿命を改善するために実施されてもよい。一実施形態では、本発明によると、大気内の水素または他のラジカルによる攻撃から半導体材料を保護するために追加の(1つ以上の)層が提供される。実施形態は、半導体部分、結晶半導体部分、ドープ半導体部分、コーティングされた半導体部分、及び少なくとも部分的に変形された半導体部分のうちの1つ以上から選択されたフィルタ部分102Fを含む。フィルタ部分102Fは、シリコン、ゲルマニウム、ダイヤモンド、ガリウム砒素、セレン化亜鉛及び硫化亜鉛から選択された少なくとも1つの半導体材料を含んでもよい。
【0087】
図5及び図6は、上記したプロセスによって製造されたスペクトル純度フィルタの例を示す。図5は、約3μm周期のアパーチャを有するスペクトル純度フィルタの傾斜断面図の画像である。アパーチャの深さ(視角のために補正されている)は、約10.8μmである。
【0088】
図6は、2つのアパーチャ間の壁の傾斜断面の拡大詳細図である。図6に示されるトップ層は、ボッシュ法のために使用されるSiO2ハードマスクであり、視角のための補正された場合、約400nmの厚さを有する。図6に最もよく示されるように、壁はテクスチャ加工(textured)されており、特にリブ模様またはスカラップ(scalloped)模様であり、壁の表面に沿って周期的な厚みの変化を有する。このスカラップ効果は、上記のディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)プロセスにおけるエッチング及びパッシベーションのサイクルから生じる。従来、テクスチャは、プロセスの実用性とスループットとが両立し得る範囲内において最小化される。しかしながら、本発明者は、以下に説明するように、これらのサイクルのエッチング速度及び/または持続時間が増幅したテクスチャをもたらすよう意図的に変更されてもよいことに気づいた。この増幅されたテクスチャは、側壁の光学特性を変更するために適用され得る。
【0089】
図7は、本発明の実施形態に係る独立型スペクトル純度フィルタ100の上面図である。いくつかのグリッドSPFのタイプは、不要な10.6μmの放射の抑制のための異なるメカニズムに基づいて区別され得る。本発明の実施形態に係るSiグリッドは、これらのグリッドタイプの仕様によって変更されてもよい。
【0090】
図8は、変形されたスペクトル純度フィルタ部分102Fを示す。このスペクトル純度フィルタ部分102Fでは、保護層102Hがグリッド材料の全露出面にわたって形成されている。保護層102Hは、水素ラジカルによる攻撃に対してSiや他のグリッド材料よりも耐性がある材料から形成される。
【0091】
保護層102H用の材料の例としては、Si3N4及び/またはSiN(窒化ケイ素)、SiO2(二酸化ケイ素)、及びSiC(炭化ケイ素)が挙げられる。
【0092】
他の半導体基板及び他のタイプの基板材料のために、他の材料が考慮されてもよい。これらの材料の各々は、以下に説明するように、光学特性、製造の容易さ、基板材料及び他の層(例えば反射層)との適合性の観点から潜在的なメリット及びデメリットを有する。保護層を設けるために、3つの幅広い種類のプロセルが考えられる。第1のタイプのプロセスでは、保護層102Hの材料は、単にフィルタ部分102Fのグリッド材料上に堆積される。図9A及び図9Bは、第2のタイプのプロセスを示す。このプロセスでは、フィルタ部分102Fにおけるシリコンなどの基板材料の表面層を変形することによって保護材料が形成される。図10A、図10B、図10Cは、第3および第4のタイプのプロセスを示す。これらのプロセスでは、保護層102Hが2ステップのプロセスにより適用される。第1のステップでは、前駆体材料102Pがフィルタ部分102Fに適用される。第2のステップでは、前駆体材料は、環境との相互作用によって変形されるか、または基板材料を変形して保護材料102Hを形成する。
【0093】
これらのプロセスは、単独でまたはお互いを組み合わせて使用することができる。異なる材料及びプロセスは、原理上、構造の異なる部分において使用することができる。例示的な保護材料を生成するためのプロセス例が以下に記述されるが、これらは、所定の材料を生成するために適用可能である唯一のプロセスとして受け取るべきではない。プロセスの選択は、例えば基板の全ての部分にわたって一様なコーティングが達成されるかどうか、または特定の面が優先的にコーティングされ、他の面が仮にあったとしても非常に弱いコーティングしかされないか、といった決定もする。
【0094】
シリコン基板上のSi3N4及び/またはSiN層102Hの例としては、第2のタイプの方法によって窒化物材料を生成することができる。既にグリッド形態に成されたフィルタ部分102Fは、窒素ラジカルまたはイオンの流れにさらされる。これは、例えば冷たい窒素プラズマである。シリコンとのこれらのラジカルの相互作用は、図9Bに示すように、表面上にSi3N4の薄膜を形成する。非常に薄い層でさえも、水素アタックを防ぐ。層102Hの厚さは、例えば約50nより小さく、特に約5nmから約30nmの範囲内、または約20nmであってもよい。
【0095】
シリコン基板上のSiC層102Hの例として、シリコン基板の表面層を変形させることによって炭化物材料を生成することができる。一つの方法は、基板をほぼ真空においてメタン(CH4)にさらし、加熱することである。また、1〜50nmのSiCの薄層も水素アタックを防ぐことができる。
【0096】
SiO2を生成するためには、シリコン基板を酸素プラズマまたは単にO2大気内で加熱することが周知である。また、1〜50nm、例えば2〜50nmのSiO2の薄膜も、水素アタックを防ぐことができる。
【0097】
保護材料の各々は、それ自体の光学特性を有する。炭化ケイ素SiCは、特に、不要なIR波長において比較的高い反射率を有する。光学特性が活用される場合には、層の厚さは、単に水素を遮蔽するのに望まれるものより厚くなるように所望の光学特性によって規定され得る。薄いコーティングは、特に材料が基板とは全く異なる熱膨張を有する場合には、動作における熱応力の管理において有益である。厚すぎるコーティングは、熱膨張係数の差によって剥離する可能性がある。
【0098】
図11は、変形されたフィルタ部分102Fを示す。このフィルタ部分102Fにおいては、保護層102Hが不要な放射を反射するとともに、アパーチャ104の側壁の粗さが増大されている。例えば数nmまたは数十nmの偏差を有する滑らかな側壁の場合、アパーチャに入射する長波長の放射Riは、かすめ入射(grazing incidence)で側壁に衝突し、大きくは散乱されない。約50nmより大きい、例えば約100nmまたは更には約200nmの基準長さ(typical dimension)dの増大された粗さをより大きな散乱表面に適用することにより、より大きな散乱表面がかすめ入射ではなく(non-grazing incidence)放射Riに与えられ、より大きな散乱Rsが促進される。これは、フィルタにおける上記のような波長の減衰を増大させることができる。DRIEにより形成されるスカラップ模様の壁(scalloped wall)の場合、長さdは図のようにスカラップの深さであってよい。粗さがよりランダムな形状においては、粒径は±50%変動するかもしれないが、dは例えば表面を形成する粒子の平均直径を表す。
【0099】
図12〜図14は、更なる変形例を模式的に示す。この変形例では、Siグリッドが薄い反射層、好ましくは金属、例えばモリブデンでコーティングされている。堆積方法及び条件によって、2タイプの堆積の幾何学的形状(deposition geometry)が生じる可能性がある。図12は、金属がシリコングリッドの上端部のみを覆っている断面を示しているが、図13および図14は、金属が側壁の側面上部を覆っている断面を示している。
【0100】
保護層102Hのないシリコンフィルタグリッドに対するGSolverシミュレーションパッケージを用いて得られるシミュレーション結果は、上記した米国仮特許出願第61/193,769号に記載されている。これらの結果は、Moがシリコングリッドの上面のみに堆積される場合、所望のIR波長の抑制を達成するために約2μmの厚い金属コーティングが望ましい可能性があることを示唆している。所望の金属の厚さは、より小さな周期のグリッドを用いることにより減少させることができるが、その場合、所要のEUV放射の透過もまた減少する傾向がある。しかしながら、図12または図13に示すように、金属コーティングがシリコングリッドの上面及び側壁の両方を覆う場合、状況は劇的に変化する。その場合、IR透過は、数ナノメータだけの厚みのコーティングに対してすぐにほぼゼロに落ちる。そのような薄い厚みでは、ほとんどのパワーがグリッド内に吸収される。グリッドを実質的に反射型(例えば、反射率95%)にするためには、約30nmだけ、または約50nmより小さいコーティングが必要である。薄いコーティングは、動作中の熱応力の管理に対しても有利である。
【0101】
EUV透過率の損失を最小限にしつつ反射コーティングをフィルタ(例えばシリコン)グリッド上に適用するための一つの方法は、原子層堆積法(ALD)である。この方法では、均一なコーティング厚の三次元コーティング構造102Rを達成することができる。コーティング厚が均一であるため、過度なコーティング厚に起因するEUV透過率の損失を最小限にしつつ、所望の赤外反射率を達成することができる。特に、ALD法の適用により、グリッド102Fの側壁106の下方への十分なコーティング厚を保持しつつ、グリッド上端における過剰なコーティング厚を回避することができる。ALD法は、原子層を一層ごとに堆積させるために自己限定的表面反応の交互のステップを使用する。堆積される材料は、前駆体により提供される。ALD法は、例えば、Mo,Ti,Ru,Pd,Ir,Pt,Rh,Co,Cu,Fe及びNiなどのいくつかの金属に対して公知である。好適な実施形態は、Moの代わりにルテニウム(Ru)からなる反射コーティング102Fを使用してもよい。多くの場合、Ruは、フィルタを利用するシステムに既に存在する。例えば、リソグラフィ装置は、Ruを含むEUVソース−コレクタモジュールを有してもよい。あるいは、反射コーティング102Rは金属ではなく、不要な放射を反射する別の材料、例えばTiNまたはRuOx、あるいは導体材料であってもよい。
【0102】
ALD法に代えて、ガルバニック成長(電気めっき)を使用して反射コーティング102Rを堆積してもよい。また、例えば蒸着またはスパッタ堆積によってSiグリッド上に金属が堆積されてもよい。
【0103】
10μmの厚さのグリッドの側壁を完全に覆う反射コーティングを適用することが実用的ではなく、または望ましくない場合がある。例えば、放射率を高めて、それによってグリッドの放射冷却を高めるために、グリッド102Fの後面を覆わないままにすることが有利な場合がある。従って、一実施形態では、コーティングは側壁の部分的下方のみに適用される。例えば、反射コーティングがグリッドの上端及びグリッドの側壁に沿った最初の約2μm下方に適用された場合、光学的挙動は側壁全体がコーティングされた場合と本質的に同じである。従って、追加的な保護手段がとられない限り、シリコンや他の半導体等の基礎をなすグリッド材料は、真空システム内の環境の水素ラジカルや他の成分にさらされる。これらは、グリッド材料を攻撃し、それと同時にその粒子を運んで光学面およびシステムの他の部分を汚染する可能性がある。
【0104】
図13は、水素耐性の保護層102Hが生成された後に反射金属層102Rが適用された一実施形態を示す。あるいは、金属層は保護層の真下にあってもよい。保護層により光学特性が影響を受ける場合がある。または、それらが非常に薄い場合には影響を受けない場合もある。保護層が金属層の真下にある場合には、保護層は金属とシリコンまたは他の基板102Fとの間の反応に対するバリアとしても機能する。特にフィルタ部分が動作中に高温になると予期される場合、溶解および化学結合が徐々に生じ、金属層のIR反射性能を低下させ、結果的にさらなる加熱を引き起こすであろう。
【0105】
図14は、反射層102Rおよび保護層102Hが構造の異なる部分を覆っている一実施形態を示す。この場合、異なる層は別々のプロセスにより適用されてもよい。さらに、異なる部分は、共通前駆体材料の異なる処理により取得されてもよい。
【0106】
金属に加えて、上述したようにSiCはIRに対して反射性を有する。従って、フィルタの前面及び側壁への反射コーティングとして、SiCを用いることができ、または前面への金属と側壁へのSiCとの組合せを、製造を容易にするために用いてもよい。
反射コーティングが側壁の下方の適切な距離まで延在している場合、前面の反射率を非常に高めることができる。
【0107】
ここで留意すべきは、かすめ入射においては、SiCおよび他の材料は、「所望の」EUV波長を含む追加的な波長に対して反射性を有することである。フィルタがEUV放射ビームの拡散に寄与しないことが望まれている場合、側壁でのかすめ入射反射は望ましくない可能性がある。テクスチャを設けることは、側壁の表面がEUVに対して反射性の材料でコーティングされていようとなかろうと、かすめ入射反射を避けるのに有利である。
【0108】
一部のSPFでは、10.6μmの放射または他の不要な放射はグリッド材料に吸収され得る。そのようなグリッドは、ドープSiを用いて本発明の実施形態で実現することができる。本発明のこの態様に係る典型的な実施形態は、1018atoms/cm3を超えたドーピング濃度を有するSiグリッドを含む。上述した同時係属中の米国仮特許出願第61/193,769号に説明されるように、Siの屈折率は、SiをPまたはAsなどのn型不純物でドープすることによって実質的に変化され得る。ドーピングの高い値は、グリッド材料を透明よりむしろ実質的に吸収性がある状態にする。
【0109】
例えば、純シリコンから成るグリッドは、層での干渉により、その厚さの関数として透過率に振動を示す。グリッド材料の厚さを制御することにより干渉効果を利用するよう透過率を変更することも可能であるが、リスクは全般的に見れば透過率が高水準にとどまることである。n型ドープSiから成る同じ寸法のグリッドは、グリッドの厚さの関数としてIR透過率の連続的な減少を示す。例えば、9μmのグリッド厚(深さ)において、入射赤外放射の約4%が透過し、約12%が反射し、残り(約84%)が吸収される。従って、グリッドは実質的に吸収性である。同じような挙動がp型ドープSiにも予期される。
【0110】
ドープSiグリッドの製造方法は、上述した純Siグリッドと同じであってよく、出発物質は純SiよりむしろドープSiを含む。ドーピングがDRIEプロセスに著しく影響することは予測されない。代替の製造方法では、ドーピングはグリッドの製造後に導入されてもよく、例えばイオン注入または熱拡散によって導入される。
【0111】
一実施形態は、(例えばフィルタの一部として)マイクロレンズアレイの製造を含むことができる。例えば、マイクロレンズアレイSPFは、Siグリッドにおけるドーピング濃度を横方向に変化させることにより形成されてもよい。これは、上述したように屈折率がドーピング濃度に依存することに起因して、所謂グレーデッド・インデックス(GRIN)レンズを形成する。ドーピング濃度の望ましい変化は、例えば集束イオンビームを用いることにより、または適切なマスクと組み合わせて均一なイオン注入を用いることにより、達成され得る。マイクロレンズアレイSPFを形成する別の方法は、Siグリッド102Fの厚さTHを横方向に変化させることである。これは、Siグリッドの製造前または製造後に、例えばマイクロマシニングまたはリソグラフィにより為されてもよい。あるいは、エッチングの間に所望の厚みの変動が得られるよう、グリッドの製造におけるエッチプロセスの一つを修正してもよい。
【0112】
水素耐性を有するスペクトル純度フィルタを組み込んだ図1及び図2の装置は、リソグラフィ製造プロセスに使用されてもよいことが理解されるであろう。このようなリソグラフィ装置は、IC、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用されてもよい。当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール、及び/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツール及びその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよい。従って、本明細書で使用される基板という用語は、すでに複数の処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0113】
上記の説明は、限定することを意図するものではなく、例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更が加えられてもよいことを理解されたい。
【0114】
本発明の実施形態は、放電生成プラズマ源(DPP源)またはレーザ生成プラズマ源(LPP源)を含むがそれらに限定されない、あらゆるタイプのEUV源に対して使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、本発明の一実施形態は、典型的にはレーザ生成プラズマ源の一部を形成するレーザ源からの放射を抑制するのに特に適していてもよい。これは、そのようなプラズマ源が、多くの場合、レーザから発生する二次放射を出力するからである。
【0115】
スペクトル純度フィルタは、実際には放射経路の任意の位置に配置されてもよい。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUV放射源からのEUVを含む放射を受け、EUV放射を適切な下流のEUV放射光学系へと運ぶ領域内に配置されている。ここで、EUV放射源からの放射は、光学系に入る前にスペクトル純度フィルタを通るように構成されている。一実施形態では、スペクトル純度フィルタはEUV放射源内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUVリソグラフィ装置内、例えば照明系または投影系内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマの後ではあるがコレクタの前の放射経路に配置される。
【0116】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は説明したものとは別の方法で行われてもよいことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させ、且つ第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を備え、
前記フィルタ部分は、半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを備えることを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【請求項2】
前面上に、前記第2のタイプの放射に対して反射性に構成された反射性材料の層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記反射性材料は、前記水素耐性材料の層の一部を形成しており、一方、別の材料が前記水素耐性材料の層の別の一部を形成していることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記水素耐性材料の層は、窒化ケイ素Si3N4、窒化ケイ素SiN、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiCで構成されるグループの一つを少なくとも部分的に含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記フィルタ部分の異なる部分上に保護層を形成するために、異なる水素耐性材料が設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項6】
前記フィルタ部分の前面における前記アパーチャ間に、前記第2のタイプの放射の反射を高めるための金属層が設けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項7】
極端紫外放射を含む放射を生成する様構成された放射源と、
前記放射を放射ビームへと調整するよう構成された照明系と、
前記放射ビームをパターン付けするパターニングデバイスを支持するよう構成された支持部と、
ターゲット材料上にパターン付けされた放射ビームを投影するよう構成された投影系と、
請求項1から6のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタと、
を備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記放射源は、燃料供給系と、レーザ放射源とを備え、
前記レーザ放射源は、前記極端紫外放射の生成のために前記燃料供給系によって供給されるプラズマ燃料材料を含むターゲット上に赤外波長の放射を供給し、それによって前記放射源は、前記スペクトル純度フィルタに向かって極端紫外放射および赤外放射の混合物を放出することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プラズマ燃料材料に由来する汚染を制御するために、前記放射源の近傍に水素ラジカルを放出する水素ラジカル源が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
極端紫外放射を透過させるよう構成された透過型スペクトル純度フィルタを製造する方法であって、前記方法は、
グリッド状フィルタ部分を形成するために異方性エッチングプロセスを用いて半導体基板に複数のアパーチャをエッチングするステップであって、前記アパーチャは、抑制される第2放射の波長より小さいまたは同等である一方、前記極端紫外放射の波長よりも大きい直径を有する、ステップと、
その次に、半導体材料の実質的に全ての露出面にわたって水素耐性材料の保護層を設けるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記基板の上端部に金属または反射層を堆積させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各側壁の少なくとも一部に金属または反射層を堆積させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水素耐性材料は、前記フィルタ部分の半導体材料を変形することにより形成されることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記水素耐性材料の層は、少なくとも部分的に、窒化ケイ素SiN、窒化ケイ素Si3N4、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiCで構成されるグループの一つを少なくとも部分的に含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載のフィルタ。
【請求項15】
極端紫外放射用のスペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させつつ、第2のタイプの放射の透過を抑制するような大きさにされ且つ配置された複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を備え、
各アパーチャは、前記フィルタ部分の前面と後面との間に延在する側壁により規定され、 前記側壁は、かすめ入射とならない面を与えるようテクスチャ加工されている、ことを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【請求項1】
極端紫外放射を透過させるよう構成されたスペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させ、且つ第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有するフィルタ部分を備え、
前記フィルタ部分は、半導体材料と、水素耐性材料の表面層とを備えることを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【請求項2】
前面上に、前記第2のタイプの放射に対して反射性に構成された反射性材料の層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記反射性材料は、前記水素耐性材料の層の一部を形成しており、一方、別の材料が前記水素耐性材料の層の別の一部を形成していることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記水素耐性材料の層は、窒化ケイ素Si3N4、窒化ケイ素SiN、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiCで構成されるグループの一つを少なくとも部分的に含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記フィルタ部分の異なる部分上に保護層を形成するために、異なる水素耐性材料が設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項6】
前記フィルタ部分の前面における前記アパーチャ間に、前記第2のタイプの放射の反射を高めるための金属層が設けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項7】
極端紫外放射を含む放射を生成する様構成された放射源と、
前記放射を放射ビームへと調整するよう構成された照明系と、
前記放射ビームをパターン付けするパターニングデバイスを支持するよう構成された支持部と、
ターゲット材料上にパターン付けされた放射ビームを投影するよう構成された投影系と、
請求項1から6のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタと、
を備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記放射源は、燃料供給系と、レーザ放射源とを備え、
前記レーザ放射源は、前記極端紫外放射の生成のために前記燃料供給系によって供給されるプラズマ燃料材料を含むターゲット上に赤外波長の放射を供給し、それによって前記放射源は、前記スペクトル純度フィルタに向かって極端紫外放射および赤外放射の混合物を放出することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プラズマ燃料材料に由来する汚染を制御するために、前記放射源の近傍に水素ラジカルを放出する水素ラジカル源が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
極端紫外放射を透過させるよう構成された透過型スペクトル純度フィルタを製造する方法であって、前記方法は、
グリッド状フィルタ部分を形成するために異方性エッチングプロセスを用いて半導体基板に複数のアパーチャをエッチングするステップであって、前記アパーチャは、抑制される第2放射の波長より小さいまたは同等である一方、前記極端紫外放射の波長よりも大きい直径を有する、ステップと、
その次に、半導体材料の実質的に全ての露出面にわたって水素耐性材料の保護層を設けるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記基板の上端部に金属または反射層を堆積させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各側壁の少なくとも一部に金属または反射層を堆積させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水素耐性材料は、前記フィルタ部分の半導体材料を変形することにより形成されることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記水素耐性材料の層は、少なくとも部分的に、窒化ケイ素SiN、窒化ケイ素Si3N4、二酸化ケイ素SiO2、または炭化ケイ素SiCで構成されるグループの一つを少なくとも部分的に含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載のフィルタ。
【請求項15】
極端紫外放射用のスペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタは、極端紫外放射を透過させつつ、第2のタイプの放射の透過を抑制するような大きさにされ且つ配置された複数のアパーチャを有する略平面フィルタ部分を備え、
各アパーチャは、前記フィルタ部分の前面と後面との間に延在する側壁により規定され、 前記側壁は、かすめ入射とならない面を与えるようテクスチャ加工されている、ことを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A−9B】
【図10A−10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A−9B】
【図10A−10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−531730(P2012−531730A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516602(P2012−516602)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056436
【国際公開番号】WO2011/000622
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056436
【国際公開番号】WO2011/000622
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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