説明

スマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置

【課題】スマートキーシステムとTPMSとを備えた車両の車載装置において、キーレスユニットからの送信と、IG ON後に自動的にTPMSで開始されるTPMSセンサからの送信とが電波干渉しないように制御することを目的とする。
【解決手段】IG ON直後のTPMSのTPMS_ECU15による各TPMSセンサ21の初期チェック作業中に、スマートキーECU16がキーレスユニット18との通信が必要な条件になった場合は、TPMS_ECU15は処理中のTPMSセンサ21の制御が終了した後、一旦残りのTPMSセンサ21の初期チェック作業を中断する。そしてスマートキーECU16は、キーレスユニット18が車室内にあることを確認する通信を行い、その後、TPMS_ECU15は残りのTPMSセンサ21の初期チェック処理を再開する。そのためTPMS_ECU15とスマートキーECU16は、CAN通信線17でタイミング調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車関連技術の分野においては、車両に搭載された車載装置が、他の機器と無線通信で情報伝送を行って、様々な制御を実行するシステムが種々実用化されている。代表的な例を挙げれば、例えば、車両に搭載された車載装置と車両の利用者が所持するキーレスユニット(本願発明の「携帯通信機」に対応する)とで構成されるスマートキーシステムを挙げることができる。この種のスマートキーシステムは、車載装置とキーレスユニットとの間で無線通信による認証が成立すれば、機械式キーでの操作を搭乗者が行わなくても、ドアのロック/アンロックやエンジン始動等の制御を実行できる。
【0003】
また、他の例としては、例えば、車両に搭載された車載装置と、車両の各車輪のタイヤの空気圧や温度等を検出するタイヤ空気圧センサユニット{本発明の「タイヤ空気圧検出装置」に対応し、以下、「TPMS(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)センサ」と称する}とで構成されるタイヤ空気圧監視システム(以下、「TPMS」と称する)を挙げることもできる。このTPMSは、例えば、車両の各車輪のタイヤに設けられたTPMSセンサがタイヤの空気圧や温度等を検出し、そのデータを電波で送信し、車載装置がTPMSセンサからの電波を受信することにより、タイヤの空気圧を監視し、タイヤの空気圧等に異常があれば運転者にその異常を警報する。
【0004】
特許文献1には、キーレスユニットは、車載装置にドアロック信号を送信する前に第1トリガ信号を送信して、TPMSセンサに、第1トリガ信号を受信させて送信可能モード(アクティブモード)からスリープモード(休止モード)に移行させる技術が記載されている。また、キーレスユニットは、車載装置にドアアンロック信号を送信する前に第2トリガ信号を送信して、TPMSセンサに、第2トリガ信号を受信させ、車載装置がドアアンロック信号を受信した後のタイミングでスリープモードから送信可能モードに移行させる技術が記載されている。
【0005】
特許文献2には、TPMSにおけるTPMSセンサからの送信データのために用いられるRF帯の無線周波数と、スマートキーシステムのキーレスユニットからの、例えば、キーレスユニットを識別するためのキーレスユニットID情報(本願発明の「車両の固有情報」に対応)をキーレスユニットから送信させるために用いられるRF帯の無線周波数とを異ならせた車載装置の技術が記載されている。
特許文献2に記載の技術では、車載装置は、車両の利用者が所持するキーレスユニットとの間で無線通信を行うことによって車両における各種制御の実行を許可する際に必要となるキーレスユニットID情報を照合して認証する第1制御手段(特許文献2におけるマイコン21)と、TPMSセンサからの送信データを取得する第2制御手段(特許文献2におけるTPMSマイコン33)と、第1制御手段を有効状態とする第1の動作モードと第2制御手段を有効とする第2の動作モードのいずれかに切り換える受信手段(特許文献2におけるRF受信部31)と、を備え、受信手段は、イグニッションスイッチがオン又はオフのいずれの状態にあっても、第1制御手段からの出力(特許文献2における電圧信号端子RCOからの出力)がオンの場合は、第1の動作モードとし、車両のイグニッションスイッチがオン状態で、かつ、第1制御手段からの出力がオフの場合に、第2の動作モードとする技術が記載されている。
【0006】
なお、TPMSセンサの詳細な構成の例が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4285211号公報(図1〜図4参照)
【特許文献2】特許第4552995号公報(図1〜図4参照)
【特許文献3】特開2010−241384号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スマートキーシステムにおいてキーレスユニットからキーレスユニットID情報等を無線送信するのに用いられるRF帯の無線周波数と、TPMSにおいてTPMSセンサからセンサを識別するためのセンサID情報、空気圧や温度等のデータを無線送信するのに用いられるRF帯の無線周波数は、欧州における無線及び電気通信端末機器を対象としたEC指令の一つであるR&TTE(Radio equipment and Telecommunications Terminal Equipment)に準拠した電波法を採用している国では、キーレスユニットからの送信用とTPMSセンサからの送信用に対して同一の無線周波数しか使用することができない。例えば、433.92MHzが用いられる。
【0009】
従って、キーレスユニットとTPMSセンサとが同時に無線送信を行うと、そのRF帯の電波はおよそ100m程度到達可能なので、それぞれが送信した無線データが混信により物理的に破壊され、車載されたスマートキーシステムの制御装置及びTPMSの制御装置のいずれも、無線データを受信できず、スマートキーシステム及びTPMSにおける制御に支障が生じる。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術では、自車両のキーレスユニットから送信されるキーレスユニットID情報を伴った指令(第1トリガ信号、第2トリガ信号)にのみ対応するようにするために、各車輪のTPMSセンサに自車両のキーレスユニットID情報を登録する作業が必要となり、TPMS搭載の車両の製造工程が煩雑となる。
また、一般的に車両の利用者は、キーレスユニットを予備用又は家族用等の目的で複数所有することが普通であり、複数のキーレスユニットはそれぞれ個別のキーレスユニットID情報を有しているので、各車輪のTPMSセンサに複数のキーレスユニットのキーレスユニットID情報をそれぞれ登録するとなることとなり、更に煩雑な作業となる。
【0011】
ちなみに、スマートキーシステムにおいては、利用者が所持する複数のキーレスユニットのそれぞれの個別のキーレスユニットID情報を、スマートキーシステムの制御装置に予め登録しておくことで、容易に利用者が所持する複数のキーレスユニットに対して認証が可能である。
【0012】
特許文献2に記載の技術は、キーレスユニットからの送信用の無線周波数とTPMSセンサからの送信用の無線周波数が異なることを前提としているので、TPMSセンサからの送信信号とキーレスユニットからの送信信号とが電波干渉するという問題は生じない。
しかし、車両のイグニッションスイッチのオン操作直後に、TPMSにおいて行われる各車輪のTPMSセンサのセンサID情報の学習又は登録とタイヤ空気圧のチェックの制御(TPMSにおける認識処理制御)中に、スマートキーシステムの制御装置が運転席側のドアの開状態から閉状態への切り換わりを検出したときには、前記したTPMSにおける認識処理制御が突然停止される。そして、スマートキーシステムの制御装置は、キーレスユニットの所在の確認をするために優先的にキーレスユニットにキーレスユニットID情報の送信を指示するLF帯の無線信号を出力し、キーレスユニットがそれに応じてRF帯の無線周波数で所定の回数だけキーレスユニットID情報を送信することになる。
その結果、車両のイグニッションスイッチのオン操作直後のTPMSにおける各車輪のタイヤ空気圧チェックが突然停止され、車両の走行開始前に速やかにタイヤ空気圧に異常があるか否かの判定をする制御処理が遅れることになる。
【0013】
また、既に車両のエンジンが起動しており、各車輪のTPMSセンサが全て動作状態で、各車輪のTPMSセンサ間では時間差を設けて、各車輪のTPMSセンサがTPMSセンサのセンサID情報とともにタイヤの空気圧や温度のデータを所定の時間周期、例えば、1分の周期で送信している場合に、運転者が車両の停車状態で下車後、再び乗車して、スマートキーシステムの制御装置が運転席側のドアの開状態から閉状態への切り換わりを検出したときには、キーレスユニットの所在の確認をするために優先的にキーレスユニットにキーレスユニットID情報の送信を指示するLF帯の無線信号を出力し、前記したTPMSにおける各タイヤの空気圧や温度のデータを所定の時間周期で受信する制御が突然停止される。そして、スマートキーシステムの制御装置は、キーレスユニットの所在の確認をするために優先的にキーレスユニットにキーレスユニットID情報の送信を指示するLF帯の無線信号を出力し、キーレスユニットがそれに応じてRF帯の無線周波数で所定の回数だけキーレスユニットID情報を送信することになる。
その結果、各車輪のタイヤ空気圧チェックが突然停止され、車両の走行開始前に速やかにタイヤ空気圧に異常があるか否かの判定をするのに、1分又はそれ以上の相当な遅延時間が発生することになり、タイヤ空気圧に異常があれば速やかに運転者に警報する機能が走行開始前に実行できない可能性が生じるおそれがある。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑み、同一周波数の無線信号により送信される携帯通信機からの送信とTPMSセンサからの送信とが電波干渉しないように制御でき、車両の走行開始前の各車輪のタイヤ空気圧の異常の有無を迅速に判定できるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される車両の固有情報を照合して、車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置であり、
車両は、少なくともスマートキーシステムの制御装置とタイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、スマートキーシステムの制御装置は、車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、携帯通信機に車両の固有情報を送信させる送信指示信号を携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号をタイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、携帯通信機から無線送信される車両の固有情報と、タイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、スマートキーシステムの制御装置は、送信指示信号を送信する前に、送信指示信号の送信が開始されてから送信指示信号を受信して携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまでの時間を、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に車載通信ラインを通じて送信し、送信制御部は、送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、例えば、車両のイグニッションスイッチがオン状態になった直後のタイヤ空気圧監視システムの制御装置におけるタイヤ空気圧検出装置の認識処理制御中に、車両のドアが開状態から閉状態に切り換わると、スマートキーシステムの制御装置は、携帯通信機が車室内にあることを確認するために車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したと判定し、送信指示信号を送信する前に、送信指示信号の送信が開始されてから送信指示信号を受信して携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまでの時間を、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に車載通信ラインを通じて送信する。
タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、車載通信ラインを通じて送信された送信指示信号の送信が開始されてから送信指示信号を受信して携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまでの時間に基づいて送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御することができる。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号によりタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが、例えば、1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0017】
請求項2に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、請求項1に記載の発明の構成において、送信制御部は、送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御するとは、送信制御部が、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御することであることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、スマートキーシステムの制御装置により送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御する際に、スマートキーシステムの制御装置から携帯通信機への送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるようにタイヤ空気圧検出装置を制御する。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、スマートキーシステムの制御装置による携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧監視システムの制御装置によるタイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号によりタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0019】
請求項3に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、請求項1に記載の発明の構成において、送信制御部は、送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御するとは、送信制御部が、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を、一部のタイヤ空気圧検出装置からの送信である前半送信部分と、残りのタイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、前半送信部分の送信を送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、後半送信部分の送信を携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了した後に行わせることであることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、スマートキーシステムの制御装置により送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御する際に、複数の空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を、一部のタイヤ空気圧検出装置からの送信である前半送信部分と、残りのタイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分と、に2分割し、前半送信部分の送信を送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、後半送信部分の送信を携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせる。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、スマートキーシステムの制御装置による携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧監視システムの制御装置によるタイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号により残りのタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を含む後半送信部分の送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0021】
請求項4に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される車両の固有情報を照合して、車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置であり、
車両は、少なくともスマートキーシステムの制御装置とタイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、スマートキーシステムの制御装置は、車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、携帯通信機に車両の固有情報を送信させる送信指示信号を携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号をタイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、携帯通信機から無線送信される車両の固有情報と、タイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、スマートキーシステムの制御装置は、送信指示信号を送信する前に、携帯通信機の所在の確認を行うために車両の固有情報の照合を実行する予報信号を、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に車載通信ラインを通じて送信し、送信制御部は、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置の一つであって、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、送信された予報信号に基づいて送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、他のタイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御することを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、例えば、車両のイグニッションスイッチがオン状態になった直後のタイヤ空気圧監視システムの制御装置におけるタイヤ空気圧検出装置の認識処理制御中に、車両のドアが開状態から閉状態に切り換わると、スマートキーシステムの制御装置は、携帯通信機が車室内にあることを確認するために車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したと判定し、車両の固有情報の照合を実行する予報信号を、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に車載通信ラインを通じて送信する。
タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号により、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、車載通信ラインを通じて送信された予報信号に基づいて送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、他のタイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないようにタイヤ空気圧検出装置を制御することができる。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号によりタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが、例えば、1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0023】
請求項5に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、請求項4に記載の発明の構成において、送信制御部は、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置の一つであって、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、送信された予報信号に基づいて送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、他の前記タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御するとは、送信制御部が、他のタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御することであることを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号により、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、車載通信ラインを通じて送信された予報信号に基づいてスマートキーシステムの制御装置から携帯通信機への送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、他のタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるようにタイヤ空気圧検出装置を制御する。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、スマートキーシステムの制御装置による携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧監視システムの制御装置によるタイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、送信制御信号によりタイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0025】
請求項6に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、請求項4に記載の発明の構成において、送信制御部は、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置の一つであって、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、送信された予報信号に基づいて送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、他のタイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように送信制御信号によりタイヤ空気圧検出装置を制御するとは、送信制御部が、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を、前記一つのタイヤ空気圧検出装置からの送信までを含む前半送信部分と他のタイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、前半送信部分の送信を送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、他のタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を含む後半送信部分の送信を、携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了した後に行わせることであることを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号により、既にタイヤの空気圧に関する情報データを送信中のタイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、複数の空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を、そこまでの前半送信部分とし、車載通信ラインを通じて送信された予報信号に基づいてスマートキーシステムの制御装置から携帯通信機への送信指示信号の送信が開始されてから携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまで、タイヤ空気圧検出装置がタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないようにタイヤ空気圧検出装置を制御する。そして、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号により、他のタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信である後半送信部分の送信を、携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせる。
その結果、携帯通信機からの車両の固有情報の無線送信と、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの無線送信とが電波干渉するのを防止できる。また、スマートキーシステムの制御装置による携帯通信機の所在の確認が完了した後直ちに、タイヤ空気圧監視システムの制御装置によるタイヤ空気圧検出装置の認識処理が終わっていないタイヤ空気圧検出装置に対して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置の送信制御部は、送信制御信号によりタイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わせ、認識処理を再開でき、イグニッションスイッチのオン直後の各車輪の空気圧のチェックが1分よりも極めて短い時間内に行える。
【0027】
請求項7に係る発明のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置は、車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される車両の固有情報を照合して、車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置であり、
車両は、少なくともスマートキーシステムの制御装置とタイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、スマートキーシステムの制御装置は、車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、携帯通信機に車両の固有情報を送信させる送信指示信号を携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、タイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号をタイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、携帯通信機から無線送信される車両の固有情報と、タイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、スマートキーシステムの制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になった直後のタイヤ空気圧監視システムの制御装置における複数のタイヤ空気圧検出装置の認識処理制御が完了して、タイヤ空気圧監視システムの制御装置が複数のタイヤ空気圧検出装置からタイヤの空気圧に関する情報データを所定の時間間隔で送信させる制御処理を行っている場合に、又は所定の時間間隔で送信させる制御処理が完了した後の場合に、車両のドアが開状態から閉状態に切り換わり、携帯通信機の所在の確認を行うための車両の固有情報の照合を実行する条件が成立すると、
送信指示信号を送信する前に、送信指示信号の送信が開始されてから送信指示信号を受けて携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまでの時間を、タイヤ空気圧監視システムの制御装置に車載通信ラインを通じて送信し、タイヤ空気圧監視システムの制御装置において、送信指示信号の送信が開始されてから送信指示信号を受信して、携帯通信機が行う車両の固有情報の送信が完了するまでの時間が、いずれのタイヤ空気圧検出装置からもタイヤの空気圧に関する情報データが送信されていない時間帯に存在すると判定され、その判定結果としての許可信号をタイヤ空気圧監視システムの制御装置から受信したとき、携帯通信機の所在の確認を行うために車両の固有情報の照合を実行することを特徴とする。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、車両のイグニッションスイッチがオン状態になった直後のタイヤ空気圧監視システムの制御装置における複数のタイヤ空気圧検出装置の認識処理制御が完了して、複数のタイヤ空気圧検出装置からのタイヤの空気圧に関する情報データの送信を所定の時間間隔で送信させる制御処理の場合、又は所定の時間間隔で送信させる制御処理が完了した後の場合に、車両のドアが開状態から閉状態に切り換わって、スマートキーシステムの制御装置が、車室内に携帯通信機があるか否かを確認するために携帯通信機に車両の固有情報の送信させるのを、タイヤ空気圧検出装置からタイヤの空気圧に関する情報データが無線送信されるタイミングと重ならないように制御できる。
その結果、スマートキーシステムの制御装置が、携帯通信機が車室内に所在するにも拘らず、電波干渉で携帯通信機から車両の固有情報を受信できず携帯通信機が車室内に無いという誤警報をスマートキーシステムの制御装置が発生させるのを防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、同一周波数の無線信号により送信される携帯通信機からの送信とTPMSセンサからの送信とが電波干渉しないように制御でき、車両の走行開始前の各車輪のタイヤ空気圧の異常の有無を迅速に判定できるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係るスマートキーシステムとTPMSとを備えた車両の車載装置の概略構成図である。
【図2】インジケータ表示画面に表示されるタイヤ空気圧表示、TPMS警報表示、スマート警報表示の説明図である。
【図3】本実施形態において解決の対象とする従来ではスマートキーユニットからの無線送信とTPMSセンサからの無線送信との電波干渉が生じるケースの説明図である。
【図4】本実施形態におけるスマートキーECUとTPMS_ECUそれぞれにおける制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートの続きである。
【図6】図5のフローチャートの続きである。
【図7】図6のフローチャートの続きである。
【図8】図7のフローチャートの続きである。
【図9】図8のフローチャートの続きである。
【図10】図9のフローチャートの続きである。
【図11】図10のフローチャートの続きである。
【図12】イグニッションスイッチのオン直後に、TPMS_ECUがTPMSセンサの初期チェック(学習処理)の最中に、スマートキーECUにおいてドアが開状態から閉状態になったことが検出された場合の電波干渉を防止するTPMSセンサの初期チェックのタイムチャートである。
【図13】TPMS_ECUがTPMSセンサの初期チェック(学習処理)を終わった後に、停車中にスマートキーECUにおいてドアが開状態から閉状態になったことを検出して、キーレスユニットとTPMSセンサとの電波干渉を生じることを防止する制御を行う説明のタイムチャートである。
【図14】イグニッションスイッチのオン直後に、TPMS_ECUがTPMSセンサの初期チェック(学習処理)の最中に、スマートキーECUにおいてドアが開状態から閉状態になったことを検出して、キーレスユニットとすぐに通信を始めると電波干渉を生じることを説明する比較例のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態に係るスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システム{以下、「TPMS(Tire Pressure Monitoring System)」と称する}とを備えた車両の車載装置について図を参照しながら詳細に説明する。
図1を参照して本実施形態におけるスマートキーシステムとTPMSとを備えた車両の車載装置について説明する。図1は、本実施形態に係るスマートキーシステムとTPMSとを備えた車両の車載装置の概略構成図である。
【0032】
この車両1は、右前輪、左前輪、右後輪、左後輪を備えた四輪車である。それぞれの車輪には、タイヤ7FR,7FL,7RR,7RLが装着されている。
なお、本実施形態では、車両1の進行方向を基準として、右前の構成要素には「FR」、左前の構成要素には「FL」、右後の構成要素には「RR」、左後の構成要素には「RL」の文字列を後置して、その構成要素の配置位置を示す。これらの構成要素を総称するとき、及び、これらの構成要素を配置位置によって区別しないときは、FR,FL,RR,RLの文字をつけないで、符号の本体部分(数字部分)で示すこととする。この場合、例えば、タイヤ7等と表記する。
同様に本実施形態では、車両1の進行方向を基準として、右側の構成要素には「R」、左側の構成要素には「L」の文字を後置して、例えば、図1に示すように右ドアミラー5R、左ドアミラー5Lと、その構成要素の配置位置を示す。これらの構成要素を総称するとき、及び、これらの構成要素を配置位置によって区別しないときは、R,Lの文字をつけないで、符号の本体部分(数字部分)で示すこととする。この場合、例えば、ドアミラー5等と表記する。
【0033】
スマートキーシステムとTPMSを備えた車両の車載装置は、図1に示すように、例えば、車両1に搭載されたエンジン・AT_ECU(Electric Control Unit)10、インジケータECU13、TPMS_ECU(タイヤ空気監視システムの制御装置)15、スマートキーECU(スマートキーシステムの制御装置)16等を備え、それらのECU10,13,15,16は、車載通信ライン、例えば、CAN(Controller Area Network)通信線17によって互いに通信可能に接続されている。
【0034】
(エンジン・AT_ECU)
エンジン・AT_ECU10は、エンジン8の起動、停止、出力を制御したり、自動変速装置9(以下「AT(Automatic Transmission)9」と称する)を制御したりする制御装置であり、ステアリングコラム又はインストルメントパネルに設けられたイグニッションスイッチ11と接続している。
なお、AT9には、その出力軸であるドライブシャフトのファイナルギアの回転速度を検出する車速センサ12が設けられ、車速センサ12の車速を示す信号がエンジン・AT_ECU10に入力される。ちなみに、エンジン・AT_ECU10には、図示しないエンジン回転速度センサ、エンジン冷却水温度センサ、エンジンオイル温度センサ、燃料タンク液位センサ等からの信号が入力され、CAN通信線17を介して、車速、エンジン回転速度、エンジン冷却水温度、エンジンオイル温度、燃料量等の情報がインジケータECU13に送られる。
なお、車速センサ12の車速を示す信号は、厳密な意味での車体の速度をさすものではなく、車輪速等でも良い。
【0035】
《TPMS》
次に、TPMSについて説明する。TPMSは、車両1において構築され、タイヤ7に空気圧低下が発生したとき、速やかに運転者に報知するものであって、車両1の車体側の構成要素と、車輪側の構成要素を備えている。車輪側の構成要素は、タイヤ空気圧センサユニット(タイヤ空気圧検出装置)21(21FR,21FL,21RR,21RL)を含んでいる。以下では、タイヤ空気圧センサユニット21を「TPMSセンサ21」と称する。
車体側の構成要素は、TPMS_ECU15、TPMSイニシエータ22(22FR,22FL,22RR,22RL)、インジケータ14等を含んで構成されている。
【0036】
4本のタイヤ7FR,7FL,7RR,7RLの空気圧を直接測定するため、各車輪には、各々、TPMSセンサ21FR,21FL,21RR,21RLが備えられている。TPMSセンサ21FR,21FL,21RR,21RLは、タイヤ7FR,7FL,7RR,7RLに備えるようにしても良い。
【0037】
TPMSセンサ21は、例えば、特許文献3(図1の右上の吹き出し図、図2参照)に記載されているようなものである。このTPMSセンサ21は、バルブ一体型であるが、分離式のものを用いることもできる。そのTPMSセンサ21の本体部分には、センサ孔が穿設され、本体部分に内蔵する圧力センサや温度センサがタイヤ7内の環境(圧力、温度など)を計測できるようになっている。そして、TPMSセンサ21は、図示しないバッテリ、マイクロコンピュータ、LF無線受信回路、RF無線送信回路を有している。
【0038】
TPMS_ECU15は、マイクロコンピュータ(送信制御部)15b、インタフェース回路(図示せず)、CAN通信部(図示せず)、LFアンテナである各TPMSイニシエータ22(22FR,22FL,22RR,22RL)に対応して個別に設けられたLF無線送信回路(図示せず)、及びRFアンテナ15aを含むRF無線受信回路(図示せず)等を含んで構成されている。
マイクロコンピュータ15bは、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、バス等から構成されている。マイクロコンピュータ15bのROMは、TPMSの機能をCPUに実行させるためのプログラムを格納している。書き込み可能な不揮発性メモリには、各TPMSセンサのセンサID情報を登録可能になっている。マイクロコンピュータ15bは、各TPMSイニシエータ22(22FR,22FL,22RR,22RL)に対応して個別に設けられたLF無線送信回路を制御し、LF帯の無線信号で後記する「起動指令(ウェイクアップ指令)」、「休止指令(スリープ指令)」を送信可能になっている。
【0039】
TPMS_ECU15は、CAN通信線17により、エンジン・AT_ECU10やインジケータECU13やスマートキーECU16等と相互に通信可能に接続している。
TPMS_ECU15は、エンジン・AT_ECU10からイグニッションオン(以下「IG ON」と称する)の信号やイグニッションオフ(以下「IG OFF」と称する)の信号を受信する。TPMS_ECU15は、各TPMSセンサ21で検出したタイヤ空気圧、タイヤ空気温度や異常警報をインジケータECU13に送信する。
【0040】
TPMSイニシエータ22FR,22FL,22RR,22RLは、それぞれ、タイヤ7FR,7FL,7RR,7RLを収めたタイヤハウスに設置され、TPMS_ECU15のマイクロコンピュータ15bの制御に従って、当該のLF無線送信回路とTPMSイニシエータ22から、対応するTPMSセンサ21へ、例えば周波数がLF帯の125kHzの振幅変調磁界によってTPMSセンサ制御信号(送信制御信号)を送信する機能を有する。
本実施形態では、TPMSイニシエータ22を通じて、TPMS_ECU15からTPMSセンサ21へ送信されるTPMSセンサ制御信号には、「起動指令(ウェイクアップ指令)」、「休止指令(スリープ指令)」の2つがある。この2つの指令信号は、汎用のTPMSセンサが対応できるものである。
【0041】
「起動指令」は、休止しているTPMSセンサ21を動作状態(「アクティブ状態」とも言う)に起動させるための指令信号である。「休止指令」は、動作状態のTPMSセンサ21を休止させるための指令信号である。ちなみに、TPMSセンサ21は、休止状態にあっても、1秒間に1回の頻度で、所定のミリ秒の時間幅でTPMSイニシエータ22からの前記した周波数の電波を受信可能とする状態になり、その所定のミリ秒の時間幅内に「起動指令」の指令信号を受信した場合に起動する。その所定のミリ秒の時間幅内に「起動指令」の指令制御信号を受信しなかった場合には、その次の1秒まで電波を受信しない状態となる。
【0042】
車両1のイグニッションスイッチ11をオンにしたときに、TPMS_ECU15は、エンジン・AT_ECU10からCAN通信線17を介して、IG ONの信号を受信し、「起動指令」は、TPMSイニシエータ22を通じて、各車輪のTPMSセンサ21に時間をずらして送信される。「休止指令」は、車両1のイグニッションスイッチ11をオフにしたときに、同様にTPMSイニシエータ22を通じて各車輪のTPMSセンサ21に一斉に送信される。
【0043】
TPMSセンサ21は、LF無線受信回路で「起動指令」を受信すると、起動し、動作状態になる。動作状態の間、TPMSセンサ21は、内蔵する送信タイマが所定時間、例えば1分、を計時するごとに、TPMSセンサ21を識別するセンサID情報とともにセンサタイヤ空気圧、タイヤ空気温度の監視データをRF帯の周波数、例えば、433.92MHzの周波数でRF無線送信回路から送信する。
ちなみに、TPMSセンサ21は、動作状態では、RF無線送信回路から1分に1回の頻度でタイヤ空気圧や温度を送信しているが、その内蔵されたマイクロコンピュータでは、例えば、1秒に1回の高頻度でタイヤ空気圧や温度を検出しており、タイヤ空気圧が所定の短時間内に所定の閾値以上に変化したときは、異常と判定し、センサID情報とともに異常警報信号をRF無線送信回路からTPMS_ECU15に送信する。
【0044】
《スマートキーシステム》
次に、スマートキーシステムについて説明する。スマートキーシステムは、基本的に車両1に搭載されるスマートキーECU16と、このスマートキーECU16に対して、無線によりドアロックやトランクリッドの施解錠を行うための指令信号を送信するスマートキーシステム用の携帯可能なキーレスユニット(携帯通信機)18と、スマートキーECU16とCAN通信線17を介して接続して設けられたドアロックユニット(図示せず)、イグニッションスイッチ11、センサ、イニシエータ等から構成されている。無線によるドアやトランクリッドの施解錠には、キーレスユニット18に設けられたロックボタン18a、アンロックボタン18bの操作によるキーレスロック及びキーレスアンロックがある。それ以外に、左右の前ドア及び左右の後ドアのそれぞれのアウタドアハンドル(図示せず)に設けられたドアセンサ31(31FR,31FL,31RR,31RL)によるドアのアンロックやトランクリッドのハンドル部(図示せず)に設けられたトランクリッドセンサ33によるトランクリッドのアンロック、左右の前ドア及び左右の後ドアのそれぞれのアウタドアハンドルの近傍に設けられたドアロックスイッチ32(32FR,32FL,32RR,32RL)によるドアのロックやトランクハンドル部の近傍に設けられたトランクロックスイッチ34によるトランクリッドのロックやオートロック等を含む。
【0045】
この場合、キーレスユニット18は、スマートキーECU16に対し、ロックボタン18a、アンロックボタン18bの操作によらない場合は、スマートキーECU16からのLF信号によるキーレスユニットID情報(車両の固有情報)の送信指示信号を受信して、キーレスユニット18からRF信号によるキーレスユニットID情報の送信を行い、スマートキーECU16側でキーレスユニットID情報の認証を行う。
キーレスユニット18のロックボタン18a、アンロックボタン18bの操作による場合は、キーレスユニット18からスマートキーECU16へアンロックやロックの指令内容の識別信号(Identification Signal)と、キーレスユニットID情報の送信を行い、キーレスユニット18のスマートキーECU16による認証をして、正しいキーレスユニットIDに対して、アンロックやロックの指令を受け付ける。
【0046】
キーレスユニット18は、図示しないマイクロコンピュータ、LFアンテナを含むLF無線受信回路、RFアンテナを含むRF無線送信回路を含むコントロールユニットと、交換可能なボタン電池等のバッテリとを含んで構成されている。ロックボタン18a、アンロックボタン18bは、前記したマイクロコンピュータに接続している。前記したバッテリからコントロールユニットに電源が供給される。
なお、キーレスユニット18の大きさは、IC(集積回路)チップを内蔵したクレジットカード程度の大きさである。
【0047】
キーレスユニット18に対してスマートキーECU16から送信要求信号(送信指示信号)のLF帯の無線信号が送信されるが、このLF帯の無線信号により、通常、休止状態にあるキーレスユニット18のコントロールユニットが起動するように構成されており、省電力化が図られている。このスマートキーECU16からの送信要求信号のLF帯の無線信号は、TPMSイニシエータ22が送信に用いる無線周波数と同じ、例えば、125kHzである。
【0048】
その一方、キーレスユニット18からスマートキーECU16への単方向通信において、アンロックやロックの指令内容の識別信号(Identification Signal)や、キーレスユニットID情報の送信に用いられるRF信号は、TPMSのTPMSセンサ21が送信に用いる無線周波数と同じ、例えば、M433.92Hzである。
【0049】
低周波数のLF信号の送信有効範囲は、1m程度以内、高周波のRF信号の送信有効範囲は、その数倍程度から最大100m程度である。
【0050】
一方、車両1側には、スマートキーシステム用として、各ドアのアウタドアハンドル(図示せず)の内側にドアを解錠するときに操作されるドアセンサ31が設けられているとともに、ドアを施錠するときに操作されるドアロックスイッチ32が各ドアのアウタドアハンドルの近傍に設けられている。また、同様にスマートキーシステム用として、トランクリッドのハンドル部(図示せず)の内側にロックを解錠するときに操作されるトランクリッドセンサ33が設けられるとともに、トランクを施錠するときに操作されるトランクロックスイッチ34がハンドル部の近傍に設けられている。
ドアセンサ31、ドアロックスイッチ32、トランクリッドセンサ33、トランクロックスイッチ34は、スマートキーECU16に接続している。
【0051】
ドアセンサ31及びトランクリッドセンサ33としては、例えば、静電容量変化型のタッチセンサを使用している。ドアセンサ31及びトランクリッドセンサ33は、通常、オフとなっており、人(人の手指)が操作(アウタドアハンドルの内側又はトランクリッドのハンドル部の内側に接触)しているときにオンになる。ドアロックスイッチ32及びトランクロックスイッチ34は、アウタドアハンドルの近傍又はトランクリッドのハンドル部の近傍に押しボタンの形状をしたマイクロスイッチ等の機械式スイッチを内蔵した形式で構成されている。このドアロックスイッチ32及びトランクロックスイッチ34は、通常、オフとなっており、人(人の手指)が操作(ボタンを押下)したときにオンになる。
【0052】
ドアの施錠又は解錠は、前記したドアロックユニット(図示せず)によりドア毎に設けられた電気的に駆動されるドアロックアクチュエータ、例えば、ロックモータ(図示せず)の回転が、カム・ギヤ・リンク機構等で接続されるロッキングレバ(図示せず)を一定角度回転させることで行われる。
トランクリッドの施錠又は解錠は、例えば、前記ドアロックユニットにより電気的に駆動されるトランクロックアクチュエータ、例えば、ロックモータ(図示せず)の回転が、カム・ギヤ・リンク機構等で接続されるロッキングレバ(図示せず)を一定角度回転させることで行われる。
【0053】
ちなみに、各ドアには、ドアが開状態と閉状態のいずれの状態かを検出するドア開閉状態検出センサ35(35FR,35FL,35RR,35RL)が設けられ、各ドアの開閉状態を示す信号がスマートキーECU16に送られている。同様に、トランクリッドが開状態と閉状態のいずれの状態かを検出するトランク開閉状態検出センサ37が設けられ、トランクの開閉状態を示す信号がスマートキーECU16に送られている。
【0054】
また、図示しないが各ドアロックアクチュエータ及びトランクロックアクチュエータには、施錠状態か解錠状態かを検出するロック状態検出センサが前記ドアロックユニットに信号を出力し、スマートキーECU16、CAN通信線17を介してインジケータECU13に各ドア及びトランクが施錠状態か、解錠状態かを示す情報を送信する。
これにより、利用者が車両1の走行を開始するときにインジケータ14に施錠状態が完了しているか否かを表示させ、確認させることができる。
【0055】
イグニッションスイッチ11は、キーレスユニット18とスマートキーECU16との認証通信の成功後に、イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置からスタート位置に回転されたときにエンジンが始動する、つまりIG ONする。
なお、イグニッションスイッチ11は、周知のイグニッションシリンダ同様、オフ位置、ACC(アクセサリ)位置、イグニッションオン位置、スタート位置の順で回転することができる。
【0056】
車両1には、更に、スマートキーシステム用としてLFアンテナであるスマートキー・イニシエータ23,24,25,26R,26L,27が設けられている。スマートキー・イニシエータ23は前席部2の空間内にLF帯の無線信号が届くようにインストルメントパネル表面下に設けられ、スマートキー・イニシエータ24は後席部3の空間内にLF帯の無線信号が届くように後部座席下に設けられ、スマートキー・イニシエータ25はトランクルーム4内にLF帯の無線信号が届くようにトランクルーム4の奥上部に設けられている。
更に、スマートキー・イニシエータ26Rは、車両外側の右側面近傍、例えば、右側の前後ドアのドア外側の車両幅方向に腕の長さ程度範囲にLF帯の無線信号が届くように右ドアミラー5R内に設けられている。スマートキー・イニシエータ26Lは、車両外側の左側面近傍、例えば、左側の前後ドアの車両幅方向にドア外側の腕の長さ程度範囲にLF帯の無線信号が届くように左ドアミラー5L内に設けられている。スマートキー・イニシエータ27は合成樹脂製のリアバンパ6内又は下部に、トランクリッドのハンドル部近傍、例えば、腕の長さ程度範囲にLF帯の無線信号が届くように設けられている。
なお、車両1がワゴン車等で後席部3と後席部3の後ろの荷物室との間がLF帯の電波を遮蔽する鋼板等で区画されていない場合は、スマートキー・イニシエータ24がスマートキー・イニシエータ25の機能を兼ねることができ、スマートキー・イニシエータ25を省略することができる。その場合は、トランクルーム14内へのキーレスユニット18の閉じ込めを検出する場合には、スマートキー・イニシエータ24により行う。
【0057】
スマートキーECU16は、スマートキーシステム全体を制御するマイクロコンピュータ(送信指示部)16b、図示しないインタフェース回路、CAN通信部等を含んで構成されている。マイクロコンピュータ16bは、例えば、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、バスを含んで構成されている。
ROMには、スマートキーシステムとしての機能をCPUに実行させるプログラムやデータが格納されている。不揮発性メモリには、その車両1に対して正規のキーレスユニット18であることを認証するためのキーレスユニットID情報が予め記憶されている。
【0058】
スマートキーECU16は、マイクロコンピュータ16bに制御される、スマートキー・イニシエータ23,24,25,26R,26L,27それぞれに対応して個別に設けられたLF無線送信回路(図示せず)、ブザー(図示せず)、ライト(図示せず)、RFアンテナ16aを含むRF受信回路(図示せず)等を含んで構成されている。ブザーは、例えば、ドアやトランクが正常に施錠、解錠されたときの報知用として、「ピッ」と1回鳴らされ、警報出力用としては、「ピッピッピッピッピッピッ」と6回鳴らされるようになっている。また、前記したライトは、例えば、インストルメントパネルの上側に外部から見える位置に配置されている。そして、自動ドアロック施錠が行われたとき等に、アンサーバックとして、ブザーが鳴らされるとともに、ライトが点滅される。
【0059】
なお、ドアロックユニット(図示せず)は、それぞれ、CPU,ROM,RAM,バス等を含んで構成されている。前記CPUは、ROMに記憶されているプログラムあるいはデータに従って、アクチュエータを駆動しドアやトランクの施錠、解錠を行う。
【0060】
(スマートキーシステムにおけるドア及びトランクの解錠、施錠)
次に、スマートキーシステムにおけるドア及びトランクの解錠、施錠について簡単に説明する。
利用者がキーレスユニット18を携帯して、エンジンが停止していて施錠されている状態の車両1に近づき、アウタドアのドアセンサ31(31FR,31FL,31RR,31RL)に触れると、スマートキーECU16が、触れられたドアセンサ31からのオン信号を受信して、スマートキー・イニシエータ23,24,25,26R,26Lの内の当該のドアセンサ31近傍のスマートキー・イニシエータからLF帯の無線信号でキーレスユニット18にキーレスユニットID情報の送信指示信号を出力する。
キーレスユニット18はそれに応じて、RF帯の無線信号でキーレスユニットID情報を送信する。
スマートキーECU16は、送信されたそのキーレスユニットID情報をRFアンテナ16a及びRF無線受信部(図示せず)で受信し、予め書き込み可能な不揮発性メモリに記憶されているキーレスユニットID情報と照合する認証処理をし、正しいキーレスユニットID情報のとき、ドアロックユニット(図示せず)に当該のドアの解錠の指令を出し、ドアロックユニットがドアロックアクチュエータを作動させ解錠する。そのとき、スマートキーECU16は、解錠したことを利用者に示すためにブザーで「ピッ」と一度報知音を出力する。
【0061】
そして、利用者が、再びドアを閉めて所定時間以内に当該ドアのドアロックスイッチ32を押すと、スマートキーECU16は、ドア開閉状態検出センサ35からのドアの開状態から閉状態への変化を検出し、スマートキー・イニシエータ23,24から同時にLF帯の無線信号でキーレスユニット18にキーレスユニットID情報の送信指示信号を出力する。
なお、スマートキー・イニシエータ23,24からLF帯の無線信号でキーレスユニット18にキーレスユニットID情報の送信指示信号を出力するのは、同時ではなくスマートキー・イニシエータ23からのLF帯の無線信号の送信と、スマートキー・イニシエータ24からのLF帯の無線信号の送信とを送信時間帯が重なら無いようにしても良い。
そして、その後に、スマートキー・イニシエータ26R,26Lから同時にLF帯の無線信号でキーレスユニット18にキーレスユニットID情報の送信指示信号を出力する。
【0062】
キーレスユニット18が車室内に置き忘れられていなければ、キーレスユニット18は、スマートキー・イニシエータ23,24からのキーレスユニットID情報の送信指示信号のLF帯の無線信号を受信できず、その後の時間をずらしたスマートキー・イニシエータ26R,26LからのキーレスユニットID情報の送信指示信号のLF帯の無線信号を受信して、キーレスユニットID情報を送信する。
スマートキーECU16は、スマートキー・イニシエータ26R,26LからのキーレスユニットID情報の送信指示信号に対応したタイミングでのキーレスユニットID情報を受信して車室内へのキーレスユニット18の置き忘れは無いとして、ドアロックユニット(図示せず)に当該のドアの施錠の指令を出し、ドアロックユニットがドアロックアクチュエータを作動させ施錠する。そのとき、スマートキーECU16は、正常に施錠したことを利用者に示すためにブザーで「ピッ」と一度報知音を出力する。
もし、利用者がドアロックスイッチ32を押し忘れても、キーレスユニット18が車室内に置き忘れられていなければ、スマートキーECU16は、ドア開閉状態検出センサ35が開状態から閉状態への変化を検出してから所定の時間経過したら、ドアロックユニットに当該のドアの施錠の指令を出し、ドアロックユニットがドアロックアクチュエータを作動させ自動施錠するようにしても良い。
【0063】
キーレスユニット18が車室内に置き忘れられているときは、キーレスユニット18はスマートキー・イニシエータ23,24からのキーレスユニットID情報の送信指示信号を受信して、そのタイミングでキーレスユニットID情報を発信するので、スマートキーECU16は、それを受信してブザーから「ピッピッピッピッピッピッ」と警報音を出力し、キーレスユニット18の閉じ込めを防止のため施錠指令をドアロックユニットに出力しない。
【0064】
エンジンの停止中、エンジンの運転中に拘らず、車両1が停車中の施錠されたトランクの解錠、施錠も同様に、スマートキーECU16、キーレスユニット18、スマートキー・イニシエータ27、トランクリッドセンサ33、トランクロックスイッチ34、トランク開閉状態検出センサ37を用いて、キーレスユニット18の閉じ込め防止や、トランクロックスイッチ34を操作された後の施錠をする。キーレスユニット18のトランクルーム4への閉じ込めが無ければ、トランクロックスイッチ34を操作しなくてもトランクリッドを閉めた後に所定時間経過後の自動施錠が行われるようにしても良い。
【0065】
(スマートキーシステムにおけるエンジン始動)
次に、スマートキーシステムにおけるエンジン始動時のキーレスユニット18の認証処理について説明する。エンジン停止中の車両1をエンジン始動する場合は、利用者がキーレスユニット18を携帯して運転席に入り、イグニッションスイッチ11をイグニッションオン位置にまで回すと、エンジン・AT_ECU10は、起動するとともに、イグニッションスイッチ11のイグニッションオン位置への操作を検出して、CAN通信線17を通じてスマートキーECU16へIG ON操作の信号を送信する。スマートキーECU16は、IG ON操作の信号を受信して、スマートキー・イニシエータ23からキーレスユニットID情報の送信指示信号を送信させる。そして、スマートキーECU16は、キーレスユニット18から送信されたキーレスユニットID情報が、予め前記した不揮発性メモリに記憶されたキーレスユニットID情報と照合して一致したとき、正規のキーレスユニット18であると認証して、CAN通信線17を通じてエンジン・AT_ECU10にIG ON許可信号を送信する。エンジン・AT_ECU10は、IG ON許可信号を受信して、イグニッションスイッチ11がスタート位置にまで回されるとエンジン8を起動する。そして、その後イグニッションスイッチ11は、イグニッションオン位置にラッチ可能状態となる。エンジン・AT_ECU10は、IG ON許可信号を受信すると、CAN通信線17を介してスマートキーECU16にIG ON信号をオフからオンにして出力する。
なお、イグニッションスイッチ11が、前記したイグニッションオン位置になると、エンジン・AT_ECU10もオン状態となり、エンジン・AT_ECU10が、IG ON許可信号を受信するとエンジン・AT_ECU10が制御するスイッチがオンとなりそのスイッチからバッテリ電源を供給される下流側の各種ECU、例えば、TPMS_ECU15もオン状態となる。
ただし、イグニッションスイッチ11が、オフ位置、ACC位置でもスマートキーECU15、ドアロックユニット、CAN通信線17は、動作している。
【0066】
これに対し、イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置まで回されても、スマートキーECU16が、キーレスユニット18を検出できない又は正規のキーレスユニットID情報と認証できない場合は、エンジン・AT_ECU10にIG ON許可信号を出力せず、イグニッションオン位置にラッチ可能状態とはならず又スタート位置まで回すこともロックされる。そして、前記した、エンジン・AT_ECU10が制御するスイッチもオン状態にはしない。
【0067】
ちなみに、イグニッションスイッチ11にタッチセンサが設けられていてそのタッチセンサがスマートキーECU16にも接続されている場合は、イグニッションスイッチ11のタッチセンサがオンとなったとき、スマートキーECU16は、キーレスユニット18が正規のものと認証されるまでは、イグニッションスイッチ11をオフ位置にロックするようにイグニッションスイッチ11のロック用アクチュエータを制御するようにしても良い。
【0068】
(IG ON後のTPMSによるTPMSセンサの初期チェック(学習処理)と、キーレスユニットの確認)
また、イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置に回されてIG ONが許可されると、TPMSでは、エンジン・AT_ECU10がオン状態にして供給された電源によりTPMS_ECU15が自動起動し、TPMS_ECU15によるTPMSセンサ21の初期チェック、つまり、車両1の各車輪に装着されているタイヤ7の空気圧を検出するTPMSセンサ21を識別するためのセンサID情報の学習とタイヤ空気圧の取得を、極めて短時間に図14に示すように、車輪毎に時間差をつけて行う。
タイミングt1で、イグニッションスイッチ(図14中「IG SW」で表示)11がOFFからONとなると、TPMS_ECU15は、時間T1の後、TPMSセンサ制御信号(送信制御信号)を時間T3の間TPMSイニシエータ22FRから出力する(図14中、上段のFR−LFで示したタイムチャート参照)。ここで、時間T1は、TPMS_ECU15が、イグニッションスイッチ11がOFF状態からON状態になってから、TPMS_ECU15が自動起動し、TPMSイニシエータ22FRでTPMSセンサ制御信号を出力するまでの時間であり、TPMS_ECU15の起動時間も含んでおり、後記する時間T2より少し長い時間である。
【0069】
その後これに対し、TPMSセンサ21FRが一度起動し、所定時間T4の間に所定回数だけセンサID情報、タイヤ空気圧及びタイヤ空気温度データ(図14中でFR-TPSで示したタイムチャートの「タイヤ空気圧情報」と総称して表示)を繰り返しRF帯の周波数で送信する(図14の上段のFR-TPSで示したタイムチャート参照)。TPMS_ECU15はRFアンテナ15aでそれを受信し、TPMSイニシエータ22FRからの時間T3にわたるTPMSセンサ制御信号の最後にスリープ指令を出力して、TPMSセンサ21FRを一度休止させる。ここで、「タイヤ空気圧情報」は、特許請求の範囲に記載の「タイヤの空気圧に関する情報データ」に対応する。
【0070】
その後、TPMS_ECU15は、TPMSイニシエータ22FL,22RR,22RLからこの順にTPMSセンサ21FL,21RR,21RLに対して制御切り換え時間としての時間T2経過後、時間T3の間にTPMSセンサ制御信号を出力し(図14の上段のFL-LF,RR-LF,RL-LFで示したタイムチャート参照)、それぞれの時間T3の間にTPMSセンサ21FL,21RR,21RLの順に「タイヤ空気圧情報」(図14の上段のFL-TPS,RR-TPS,RL-TPSで示したタイムチャート参照)をRFアンテナ15aで受信して、それぞれの時間T3にわたるTPMSセンサ制御信号の最後にスリープ指令を出力して、それぞれのTPMSセンサ21を休止させる。
このようなTPMSセンサ21の初期チェックの制御によりTPMSセンサ21から送信されるRF帯の無線信号による「タイヤ空気圧情報」は、互いに電波干渉することが無くTPMS_ECU15で確実に取得される。
【0071】
ちなみに、TPMSイニシエータ22からの時間T3にわたるTPMSセンサ制御信号の出力に対して、TPMSセンサ21からの「タイヤ空気圧情報」の送信開始のタイミングにばらつきがあるのは、TPMSセンサ21は1秒に1回だけ所定のミリ秒の時間幅だけTPMSイニシエータ22からLF帯の無線信号を受信できるようになっているため、TPMSイニシエータ22からのLF帯の無線信号を受信するタイミングがそれぞればらつくためである。従って、時間T3は、時間T4に1秒を加えた値に、更に若干のミリ秒の制御余裕時間を加算した時間とすることが好ましい。
【0072】
ところが、従来のスマートキーシステムとTPMSにおいては、スマートキーECU16が、イグニッションスイッチ11がOFFからON状態になった後に、ドア開閉状態検出センサ35FRにより運転席ドアが開状態から閉状態に切り換わったことを検出したときは、運転者がキーレスユニット18を携帯して車両1を発進させることを保証するため、つまり、キーレスユニット18が車室内にあるという所在の確認のため、制御開始のための時間T5の後に、所定の時間T6にわたってスマートキー・イニシエータ23,24からキーレスユニット18のキーレスユニットID情報を送信させるキーレスユニット制御信号(送信指示信号)を所定回数だけ送信する。
【0073】
キーレスユニット18が運転者に携帯されている、又は運転者が車室内の前席部2、後席部3等の車室内に置いた衣服やカバン等に入っていれば、キーレスユニット18は時間T7にわたってキーレスユニットID情報を所定回数分だけRF帯の無線信号で送信する。
従って、例えば、TPMS_ECU15におけるTPMSセンサ21の初期チェックの処理中に、スマートキーECU16による運転席ドアの閉じ操作の検出があると、TPMSセンサ21からのRF帯の無線信号とキーレスユニット18からのRF帯のキーレスユニットID情報の無線信号とが互いに電波干渉し、スマートキーECU16がキーレスユニットID情報の認証ができない、つまり、キーレスユニット18が車室内にあるという所在の確認ができない。このようにスマートキーECU16が、キーレスユニット18が車室内にあることを確認できない場合は、キーレスユニット18が車室内に存在するにも拘わらず、CAN通信線17、インジケータECU13を介してインジケータ14にキーレスユニット18が車室内に検出できないという警報を表示したり、スマートキーECU16がブザー鳴動を出力したりすることになる。
また、TPMS_ECU15は、4つのTPMSセンサ21中の1つについて、「タイヤ空気圧情報」の取得に失敗することになり、そのTPMSセンサ21からの「タイヤ空気圧情報」は、1分以上経過した後にしか分からないので、車両1の発進前に運転者に全輪のタイヤ空気圧が正常なことの確認をしてインジケータ14に表示することが遅れることになる。
【0074】
《インジケータ表示》
図2は、インジケータ表示画面に表示されるタイヤ空気圧表示、TPMS警報表示、スマート警報表示の説明図である。イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置に操作されると、インジケータ14のインジケータ表示画面14aは、インジケータECU13(図1参照)により表示が制御されてパワーオンの状態になり、図示しない速度メータ、燃料メータ、エンジン回転速度メータ、エンジン温度メータが表示されるとともに、TPMS_ECU15が4輪の「タイヤ空気圧情報」を取得すると、CAN通信線17、インジケータECU13を介して、現在空気圧表示141に示すように各車輪のタイヤ空気圧を具体的数値で表示する。そして、タイヤ空気圧が所定の閾値以下の場合は、インジケータ表示画面14aにTPMS警報表示142を、例えば、点滅表示するとともに、当該のタイヤ空気圧値を点滅表示させる。
また、イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置に操作された後に、運転席ドアが開状態から閉状態に切り換わると、スマートキーECU16は、この車両1に予め登録されたキーレスユニットID情報を有するキーレスユニット18が車室内にあるか否かの確認処理をし、キーレスユニット18から送信されるキーレスユニットID情報のRF帯の無線信号でキーレスユニットID情報を取得できないときは、インジケータ表示画面14aにスマートキー警報表示143を、例えば、点滅表示させるとともに、所定の回数のブザー音で知らせる。
【0075】
《本実施形態におけるIG ON後の停車中のドアの閉じ操作時のTPMSセンサとキーレスユニットのRF帯の無線信号の電波干渉防止制御》
図3は、本実施形態において解決の対象とする従来ではスマートキーユニットからの無線送信とTPMSセンサからの無線送信との電波干渉が生じるケースの説明図である。
図3の表の横方向の欄に左側から通信目的を示す「通信目的」と表示の欄、タイミングを示す「通信タイミング」と表示の欄が記載され、「通信タイミング」欄は更に、「IG OFF」と表示のエンジン停止状態を示す欄、「IG ON」と表示のエンジン運転状態を示す欄に分けられている。「IG ON」と表示の欄は、更に「停車中」と表示の車両1の停車状態の欄と、「走行中」と表示の車両1の走行状態の欄とに小区分されている。
【0076】
図3の表の縦方向の欄には、TPMSとスマートキーシステムの動作を示すため大きく分けて「TPMS」と表示の欄と「スマートキーシステム」と表示の欄に2分されている。「TPMS」と表示の欄は、通信目的に応じて更に「TPMSセンサ学習」と表示の欄と「タイヤ空気圧情報受信」と表示の欄の2つに区分されている。
「スマートキーシステム」と表示の欄は、通信目的に応じて更に「ドアのロック/アンロック」と表示の欄と「エンジン始動」と表示の欄と、「キーレスユニット持ち出し警報」と表示の欄と、「キーレスユニット閉じ込め防止」と表示の欄の4つに区分され、「キーレスユニット閉じ込め防止」の欄は、更に「車室内」と表示の欄と「トランク」と表示の欄に小区分されている。
図3の表では、それぞれの通信タイミングにおいてTPMS及びスマートキーシステムにおいてどの通信目的の機能が動作するかを○印で示し、動作しない機能又は本実施形態では対象としない機能については横線「−」を記載してある。
【0077】
図3に示すようにイグニッションスイッチ11(図1参照)がオフの状態(図3の通信タイミングで、「IG OFF」と表示)では、TPMSは動作しておらず、TPMS_ECU15(図1参照)は、IG ON直後のTPMSセンサ21(図1参照)の初期チェック(図3では、「TPMSセンサ学習」と表示)、TPMSセンサ21の初期チェック終了後のTPMSセンサ21間で時間をずらした「タイヤ空気圧情報」の受信(図3では、「タイヤ空気圧情報受信」と表示)ともにその機能は動作していない。
【0078】
イグニッションスイッチ11がオフの状態でも、スマートキーシステム、つまりスマートキーECU16は作動しており、スマートキーECU16(図1参照)は、キーレスユニット18(図1参照)からのロックボタン18a、アンロックボタン18bの操作によるRF帯の無線送信を受けた場合に、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を携帯していることを確認する認証作業を行い、ドアのロック及びアンロックの制御、トランクのロック及びアンロックの制御を行う。
【0079】
また、車両1(図1参照)のアウタドアハンドルのドアセンサ31(図1中で符号31FR,31FL、31RR,31RL)がドアの開操作を検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、ドアのアンロック制御を行う。
同様に、車両1のアウタドアハンドルの近傍に設けられたドアロックスイッチ32(32FR,32FL,32RR,32RL)(図1参照)によるドアの閉操作を検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を車外にいる利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、車室内にキーレスユニット18の閉じ込めをしていないことを確認して、ドアのロック制御を行う。キーレスユニット18の閉じ込めをしていないことの確認制御についての具体的な制御については後記する。
なお、ドアロックスイッチ32の操作なしでも、ドアの開状態から閉状態への切り換わりをドア開閉状態検出センサ35(35FR,35FL,35RR,35RL)(図1参照)が検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を車外にいる利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、車室内にキーレスユニット18の閉じ込めをしていないことを確認して、ドアのオートロック制御を行っても良い。
【0080】
更に、車両1(図1参照)のトランクリッドのハンドル部のトランクリッドセンサ33(図1参照)がトランクリッドの開操作を検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、トランクのアンロック制御を行う。
同様に、車両1のトランクリッドのハンドル部の近傍に設けられたトランクロックスイッチ34(図1参照)によるトランクリッドの閉操作を検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を車外にいる利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、トランクルーム4(図1参照)内にキーレスユニット18の閉じ込めをしていないことを確認して、トランクリッドのロック制御を行う。キーレスユニット18の閉じ込めをしていないことの確認制御についての具体的な制御については後記する。
なお、ロックスイッチ32の操作なしでも、トランクリッドの開状態から閉状態への切り換わりをトランク開閉状態検出センサ37(図1参照)が検出した場合、スマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18を車外にいる利用者が携帯していることを確認する認証作業を行い、トランクルーム4内にキーレスユニット18の閉じ込めをしていないことを確認して、ドアのオートロック制御を行っても良い。
以上の場合をまとめて、図3の通信目的の欄では、「ドアのロック/アンロック」及び「キーレスユニット閉じ込め防止」と簡単に表示してある。
【0081】
また、イグニッションスイッチ11がオフの状態からイグニッションオン位置に操作されたときには、スマートキーECU16は、運転者が車両1(図1参照)に対応してスマートキーECU16に予め登録されたキーレスユニットID情報を有したキーレスユニット18(図1参照)を携帯していることを確認する認証作業を行う。そして、正しいキーレスユニットID情報と認証したとき、スマートキーECU16は、エンジンECU10(図1参照)に対してIG ON許可信号を出力する。スマートキーECU16からのIG ON許可信号を受けて、エンジンECU10は、イグニッションスイッチ11がスタート位置に回されたとき、エンジン8を始動させる。この意味で、図3の通信タイミングが「IG OFF」において、スマートキーシステムでは、通信目的の欄の「エンジン始動」が動作するように記載されている。
【0082】
なお、スマートキーシステムのスマートキーECU16では、通信目的の欄の「キーレスユニット閉じ込め防止」と記載の欄のように通信タイミングが「IG OFF」では、キーレスユニット18の車室(前席部2及び後席部3)内への置忘れを防止するため、ドアの開状態から閉状態への切り換わりを検出したときスマートキー・イニシエータ23,24からキーレスユニットID情報の送信指示信号を無線送信し、キーレスユニット18からのキーレスユニットID情報の送信が無いことをもってキーレスユニット18が車室内に無いことを確認する。そして、ドアロックスイッチ32(図1中で符号32FR,32FL、32RR,33RL)が押されていても、キーレスユニット18が車室内にある場合は、ドアのロックをしないで前記したように警報表示やブザー出力をする。また、ドア閉鎖後に所定時間経過したら自動ロックする機能を有している場合でも、キーレスユニット18が車室内にある場合は、ドアのロックをしないで、前記したように警報表示やブザー出力をする。
これは、IG OFFの状態で、トランクルーム4を開状態から閉じた状態に切り換わったことをスマートキーECU16が検出した場合も同様である。
【0083】
通信タイミングが「IG ON」の状態で車両1が停車中の場合は、図3に示すようにイグニッションスイッチ11(図1参照)がIG ONをスマートキーECU16で許可された直後の状態(図3の通信タイミングで、「(IG ON直後)」と表示)では、TPMSは起動し、TPMS_ECU15(図1参照)は、IG ON直後のTPMSセンサ21(図1参照)の初期チェック(図3では、「TPMSセンサ学習」と表示)を行う。そして、TPMSセンサ21の「TPMSセンサ学習」終了後には、TPMSセンサ21間で時間をずらした「タイヤ空気圧情報」の受信(図3では、「タイヤ空気圧情報受信」と表示)を開始し、それは車両1の走行中も継続される。TPMS_ECU15における「タイヤ空気圧情報」の受信は、「IG ON」の状態から「IG OFF」の状態に切り換わったときにTPMSセンサ21が休止状態に入るようにTPMS_ECU15からTPMSセンサ制御信号(送信制御信号)が出力され、その後、TPMS_ECU15も電源オフ状態になることで動作を終了する。
【0084】
通信タイミングが「IG ON」の状態で車両1が停車中の場合は、スマートキーシステムのスマートキーECU16は、少なくとも運転席側のドアの開状態からドアの閉状態への切り換わりを検出した場合、スマートキー・イニシエータ23,24からLF帯の無線信号でキーレスユニットID情報の送信指示信号を無線送信し、キーレスユニット18からRF帯の無線信号で予め登録されたキーレスユニットID情報を受信できたときに、運転者が正規のキーレスユニット18を車内に携帯していることを確認し、キーレスユニット持ち出し警報を、インジケータ14に表示させたり、ブザーから警報音出力させたりしない。しかし、正規のキーレスユニット18を車内に携帯していることを確認できない場合は、キーレスユニット持ち出し警報を、インジケータ14に表示させたり、ブザーから警報音出力させたりして運転者に警報する。
これは、エンジン8を始動させて車両を停車している状態で、運転者が車両1を乗り降りしている際に、キーレスユニット18を車外に落としたり、車外に置き忘れたりしたまま車両1の走行開始を防止するためである。
【0085】
ところで、図3に太四角枠線で示したように、このキーレスユニット持ち出し警報のためのスマートキーECU16とキーレスユニット18との通信は、前記したTPMSにおける停車中のIG ON直後の「TPMSセンサ学習」又はその後の「タイヤ空気圧情報受信」のタイミングと重なり、スマートキーECU16がキーレスユニット18からキーレスユニットID情報を取得できない場合がありうる。
【0086】
(IG ON直後にTPMS_ECU15がTPMSセンサ21の初期チェックの際に、ドアの閉じ操作が生じた場合のTPMSセンサ21とキーレスユニット18のRF帯の無線信号の電波干渉防止制御)
次に、図4から図7、図12を参照しながらIG ON後の停車中のドアの閉じ操作時のTPMSセンサ21とキーレスユニット18のRF帯の無線信号の電波干渉防止制御の詳細について説明する。図4から図11は、本実施形態におけるスマートキーECUとTPMS_ECUそれぞれにおける制御の流れを示すフローチャートであり、特に図4から図7は、IG ON直後にTPMS_ECU15がTPMSセンサ21の初期チェックの際に、ドアの閉じ操作が生じた場合のTPMSセンサ21とキーレスユニット18のRF帯の無線信号の電波干渉防止制御の流れを示すフローチャートである。図12は、イグニッションスイッチのオン直後に、TPMS_ECUがTPMSセンサの初期チェック(学習処理)の最中に、スマートキーECUにおいてドアが開状態から閉状態になったことが検出された場合の電波干渉を防止するTPMSセンサの初期チェックのタイムチャートである。
【0087】
初期状態は、エンジン8(図1参照)が停止している状態である。
ステップS01では、スマートキーECU16(図1参照)は、IG OFF状態においてスマートキーシステム側で応答条件発生か否かをチェックする。このスマートキーシステム側でIG OFF状態において応答条件発生とは、IG OFF状態においてキーレスユニット18(図1参照)からロックボタン18a(図1参照)又はアンロックボタン18b(図1参照)が操作されたときのRF帯の無線信号を受信した場合、車両1(図1参照)のアウタドアハンドルのドアセンサ31(図1中で符号31FR,31FL、31RR,31RL)がドアの開操作を検出した場合、ドアの開状態から閉状態への切り換わりを検出してドアのロック操作を伴う操作を検出した場合、車両1(図1参照)のトランクリッドのハンドル部のトランクリッドセンサ33(図1参照)がトランクリッドの開操作を検出した場合、トランクの開状態から閉状態への切り換わりを検出してトランクのロック操作を伴う操作を検出した場合、乗員がイグニッションスイッチ11(図1参照)をイグニッションオン位置に回したことを検出した場合である。
【0088】
このようなスマートキーシステム側でIG OFF状態における応答条件発生の場合(Yes)は、ステップS02へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS01を繰り返す。
ステップS02では、スマートキーECU16は、ドアのアンロック/ロック操作、又はトランクのアンロック/ロック操作か(これは図3の前記説明における通信目的の「ドアのロック/アンロック」及び「キーレスユニット閉じ込め防止」の両方を含んでいる)を判定し、その場合(Yes)は、ステップS03へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS04へ進む。
ステップS03では、スマートキーECU16は、キーレスユニットと通信して、キーレスユニットID情報が正しいことを確認して、対応する制御を行う。具体的には、図3の説明において前記したような通信タイミング「IG OFF」におけるスマートキーシステムにおける通信目的が「ドアのロック/アンロック」の欄、「キーレスユニット閉じ込め防止」の欄に記載した制御である。ステップS03の後、ステップS01に戻る。
【0089】
ステップS04では、スマートキーECU16は、イグニッションスイッチ11(図1参照)がイグニッションオン位置に回されたIG ONの要求であるか否かをチェックする。IG ONの要求の場合(Yes)は、ステップS05へ進み、そうでない場合はステップS01へ戻る。
ステップS05では、スマートキーECU16は、キーレスユニット18と通信して、キーレスユニットID情報が正しいことを確認して、IG ONを指令する。具体的には、スマートキーECU16は、エンジン・AT_ECU10とCAN通信線17を介して、イグニッションスイッチ11がイグニッションオン位置に回されたことを検出した信号を受信したとき、キーレスユニット18に対して、スマートキー・イニシエータ23からLF帯の無線信号でキーレスユニットID情報の送信指示信号を送信する。
【0090】
そして、キーレスユニット18が車室内にあれば、キーレスユニットID情報をRF帯の無線信号で所定回数繰り返して無線送信してくる。スマートキーECU16は、キーレスユニット18からのキーレスユニットID情報を受信して、予め車両1のキーレスユニットID情報として登録されたものであることを確認したら、CAN通信線17を介してエンジン・AT_ECU10にIG ON許可信号を出力する(「キーレスユニットと通信して、キーレスユニットID情報が正しいことを確認して、IG ON許可信号を出力)。
もし、キーレスユニット18が車室内にないとか車両1に対応したキーレスユニット18でない場合は、図4では省略してあるが予め車両1のキーレスユニットID情報として登録されたものであることを確認できないので、エンジン・AT_ECU10にIG ON許可信号を出力せずにステップS01へ戻る。
【0091】
そして、エンジン・AT_ECU10は、スマートキーECU16からIG ON許可信号を受信した後に、CAN通信線17を介してスマートキーECU16へIG ON信号をオフからオンへ切り換えて送信する。そのとき、エンジン・AT_ECU10は、下流側のTPMS_ECU15等にバッテリ電源を供給するスイッチをオフからオンに制御する。また、エンジン・AT_ECU10は、イグニッションスイッチ11がスタート位置に回されたことを検出したとき、エンジン8を始動する。
スマートキーECU15は、ステップS05の後、結合子(A)に従って、図5のステップS06へ進む。
【0092】
ステップS06では、スマートキーECU16は、エンジン・AT_ECU10からIG ON信号のオフからオンへの変化を受信し、ステップS07では、フラグIFLAGAを0とする(「IFLAGA=0」)。このフラグIFLAGAは、運転席側ドアが開状態から閉状態に切り換わったことを検出したことを判定するフラグであり、IFLAGA=1がドアの開状態から閉状態への変化を検出したことを示し、IFLAGA=1の信号をスマートキーECU16からTPMS_ECU15にCAN通信線17を介して割り込みフラグIFLAGA=1として送信し、TPMS_ECU15におけるTPMSセンサ21の初期チェックの一時的中断の制御をさせるのに用いられる。IFLAGA=0は運転席側ドアが開状態から閉状態に切り換わったことを検出していないことを意味する。この判定は、ドア開閉状態検出センサ35FRからの信号がスマートキーECU16に入力されることにより容易に判定できる。
スマートキーECU16側の制御は、ステップS07の後ステップS10へ進む。
【0093】
ステップS08では、TPMS_ECU15がバッテリからの電源を供給されて起動する(「IG ONでTPMS_ECU起動」)。これは、ステップS06とほぼ同時に生じるので、スマートキーECU16からTPMS_ECU15に信号が送信されるわけではないが、便宜的に破線矢印を記載してある。
【0094】
ステップS09では、TPMS_ECU15は、TPMSセンサ21(図1では、21FR,21FL,21RR,21RLと記載)の初期チェック(タイヤ空気圧検出装置の認識処理制御)を開始し、その旨をスマートキーECU16にCAN通信線17を介して送信する。また、N=0、IFLAGB1=IFLAGB2=IFLAGB3=IFLAGC=IFLAGD=IFLAGE=0と初期化する。ステップS09の後、TPMS_ECU15は、ステップS11へ進む。
ここで、Nは車輪位置を示す引数であり、N=1は右前輪を、N=2は左前輪を、N=3は右後輪を、N=4は左後輪を示す。
【0095】
フラグIFLAGB1は、各TPMSセンサ21のIG ON直後に初期チェック{TPMSセンサ21のセンサID情報の取得と、それが装着されているタイヤ7(図1では、7FR,7FL,7RR,7RLと記載)の空気圧及び空気温度のデータ情報(「タイヤ空気圧情報」と総称する場合もある)の短時間による取得}処理制御の中断を示すフラグである。
IFLAGB1=0は初期チェック処理制御の中断の制御が発生していないことを示し、IFLAGB1=1は初期チェック処理制御の中断の制御が発生したことを示す。
【0096】
フラグIFLAGB2は、TPMSセンサ21が、1分に1回の頻度で「タイヤ空気圧情報」を送信するようにTPMS_ECU15によって車輪毎に所定の時間差を付けて起動されている制御処理の最中に、又はその制御処理が完了してから、TPMS_ECU15がスマートキーECU16からIFLAGA=1の信号を受けて、次のTPMSセンサ21から「タイヤ空気圧情報」を受信するまでにスマートキーECU16とキーレスユニット18の間の通信時間が確保できるか否かの判定結果を示すフラグである。
IFLAGB2=0は通信時間が確保できないことを示し、IFLAGB2=1は通信時間が確保できることを示す。
【0097】
フラグIFLAGB3は、4輪の全てのTPMSセンサ21が、1分に1回の頻度で「タイヤ空気圧情報」を送信するようになってから、TPMS_ECU15がスマートキーECU16からIFLAGA=1の信号を受けて、次のTPMSセンサ21から「タイヤ空気圧情報」を受信するまでにスマートキーECU16とキーレスユニット18の間の通信時間が確保できず、次のTPMSセンサ21から「タイヤ空気圧情報」を受信後に、スマートキーECU16とキーレスユニット18の間の通信をさせる制御を示すフラグである。
IFLAGB3=0はそのような遅延させたスマートキーECU16とキーレスユニット18の間の通信をさせないことを示し、IFLAGB3=1はそのような遅延させたスマートキーECU16とキーレスユニット18の間の通信をさせることを示す。
【0098】
フラグIFLAGCは、全てのTPMSセンサ21の初期チェックが終了したか否かの状態を示すフラグであり、フラグIFLAGC=0は、初期チェックが終了していないことを示し、フラグIFLAGC=1は、初期チェックが終了していることを示す。
フラグIFLAGDは、TPMSセンサ21が所定の周期、例えば、1分に1回の周期で「タイヤ空気圧情報」を自動的に送信する状態に、TPMSセンサ21間で送信するタイミングを均等にずらせるように順に起動する制御を開始したか否かを示すフラグであり、フラグIFLAGD=0は、まだその制御を開始していないことを示し、フラグIFLAGD=1は、その制御を開始したことを示す。
フラグIFLAGEは、全てのTPMSセンサ21に対して所定の周期、例えば、1分に1回の周期で「タイヤ空気圧情報」を自動的に送信する状態に、TPMSセンサ21間で送信するタイミングを均等にずらせるように順に起動する制御が完了したか否かを示すフラグであり、フラグIFLAGE=0は、まだその制御が完了していないことを示し、フラグIFLAGE=1は、その制御が完了したことを示す。
【0099】
ステップS10では、スマートキーECU16は、TPMS_ECU15からのCAN通信線17を介したステップS09におけるTPMSセンサ初期チェック開始の信号を受信し、TPMSセンサ初期チェック開始を確認する。スマートキーECU16は、その後ステップS15へ進む。
【0100】
ステップS11では、TPMS_ECU15は、時間T=T1とする。ここで、時間T=T1は、図12の上段のTPMS動作状況欄において「FR−LF」で示したタイムチャートのIG SWがOFFからONになったタイミングt1からLF帯の無線信号によるTPMSセンサ制御信号の開始タイミングt2Asまでの時間T1に対応する。
時間Tは、各TPMSセンサ21のIG ON直後の初期チェックを開始するまでの制御準備の時間であり、ステップS8でTPMS_ECU15が起動し、初期化作業が終了するまで時間が掛かるので、TPMS_ECU15におけるイグニッションスイッチ11(図12で「IG SW」と表示)のIG ONのタイミングからFR−LFで示したTPMSセンサ21FRへのTPMSイニシエータ22FR(図1参照)によるLF帯の無線信号(「TPMSセンサ制御信号」)の送信開始までの経過の時間T1は、先行したTPMSセンサ21FRへの「TPMSセンサ制御信号」の終了から次のTPMSセンサ21FLへの「TPMSセンサ制御信号」の送信開始までの経過の時間T2より長くなっている。
【0101】
ステップS12では、TPMS_ECU15は、タイマtをスタートさせる。ステップS13では、N=N+1とする。つまり、繰り返しの最初ではN=1であり、TPMSセンサ21FRとの通信を設定する。ステップS14では、TPMS_ECU15は、タイマtが時間T経過後に、Nに対応する車輪のTPMSセンサとの通信を開始する。TPMS_ECU15は、その後、ステップS17へ進む。
【0102】
ステップS15では、スマートキーECU16が、運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出したか否かをチェックする。運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出した場合(Yes)は、ステップS16へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(B)に従って、図7のステップS37へ進む。ステップS16では、スマートキーECU16は、割り込みフラグIFLAGA=1とし、CAN通信線17(図1参照)を介してTPMS_ECU15に割り込みフラグIFLAGA=1の信号を送信する。その後、スマートキーECU16は、結合子(C)に従って、図6のステップS26へ進む。
ステップS15でYesとなるタイミングは、例えば、図12の下段のスマートキーシステム動作状況欄において、ドアが開状態から閉状態に変化したタイミングtdcに対応する。
【0103】
ステップS17では、TPMS_ECU15は、スマートキーECU16からCAN通信線17を介して割り込みフラグIFLAGA=1を受信したか否かをチェックする。割り込みフラグIFLAGA=1を受信した場合(Yes)は、ステップS18へ進み、フラグIFLAGB1=1、IFLAGA=0とし、結合子(D)に従って、図6のステップS19へ進む。ステップS17で割り込みフラグIFLAGA=1を受信していない場合(No)は、結合子(D)に従って、図6のステップS19へ進む。
ステップS19では、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21からの送信情報(RF帯の無線信号により送信される「タイヤ空気圧情報」)を受信し、インジケータECU13(図1参照)に、CAN通信線17を介して、TPMSセンサ21からのタイヤの空気圧及び空気温度の情報を、どの車輪位置のものかを示す識別符号を付して送信する。
このN=1に対応する車輪のTPMSセンサ21からの送信情報の受信は、図12の上段のTPMS動作状況欄における「FR−TPS」で示したタイムチャートの時間T4にわたる所定回数のセンサID情報、タイヤ空気圧データ及びタイヤ空気温度データの送信(図12で「タイヤ空気圧情報」と簡単に表示)をTPMS_ECU15のRFアンテナ15aで受信するのに対応している。ここで、センサID情報、タイヤ空気圧データ及びタイヤ空気温度データが、特許請求の範囲に記載の「タイヤの空気圧に関する情報データ」に対応する。
【0104】
ステップS20では、TPMS_ECU15は、TPMSイニシエータ22(例えば、N=1の場合は、TPMSイニシエータ22FR)からLF帯の無線信号で、時間T3にわたるTPMSセンサ21へのTPMSセンサ制御信号の最後に、「休止指令(スリープ指令)」を送信し、対応するTPMSセンサ21(例えば、N=1の場合は、TPMSセンサ21FR)を休止させる。ステップS21では、TPMS_ECU15は、タイマtをリセットし、ステップS22で、T=T2とする。このステップS20における「休止指令(スリープ指令)」の送信のタイミングは、N=1の場合図12におけるタイミングt2Aeに対応している。
【0105】
ステップS23では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB1=1か否かをチェックする。フラグIFLAGB1=1の場合(Yes)は、ステップS25へ進み、フラグIFLAGB1=1でない場合(No)は、ステップS24へ進む。
ステップS24では、TPMS_ECU15は、Nが4以上か否かをチェックする。Nが4以上の場合(Yes)は、結合子(H)に従って、図7のステップS36へ進み、Nが4未満の場合(No)は、結合子(E)に従って、図5のステップS12に戻り、ステップS12〜S14、S17〜S23を繰り返す。
ステップS23においてYesでステップS25へ進むと、TPMS_ECU15は、TPMSセンサ21の初期チェック中断のフラグ(IFLAGB1=1)を、スマートキーECU16へCAN通信線17を介して送信する。ステップS25の後、TPMS_ECU15は、ステップS32へ進む。
【0106】
ステップS26では、スマートキーECU16は、ステップS25においてTPMSTPMS_ECU15がCAN通信線17を介してスマートキーECU16へTPMSセンサ21の初期チェック中断のフラグ(IFLAGB1=1)を送信したのを受けて、IFLAGB1=1を受信したか否かをチェックする。IFLAGB1=1を受信した場合(Yes)は、ステップS27へ進み、受信しなかった場合(No)は結合子(B)に従って、図7のステップS37へ進む。
ステップS27では、スマートキーECU16は、キーレスユニット18との通信開始までの時間T5及びキーレスユニット18との通信に要する時間T6をTPMS_ECU15にCAN通信線17を介して送信する。この時間T5,T6は、図12における下段のスマートキーシステム動作状況欄の「LF」で示したタイムチャートのタイミングt2Aeから「キーレスユニット制御信号」の送信の開始タイミングt3までの時間T5と、「キーレスユニット制御信号」の送信の時間T6とに対応している。
つまり、時間T5は、「送信指示信号を送信する前に、送信指示信号の送信を開始するまでの時間」に対応し、時間T6は、特許請求の範囲に記載の「前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受信して前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間」に対応する。
【0107】
ステップS28では、スマートキーECU16は、キーレスユニット18と通信して、キーレスユニット18が車室内にあることを確認(所在の確認)する処理をする。具体的には、スマートキーECU16は、スマートキー・イニシエータ23,24からLF帯の無線信号でキーレスユニット18に対してキーレスユニットID情報の送信指示信号を所定の時間T6繰り返し、その間にキーレスユニット18からRF帯の無線信号でキーレスユニットID情報(車両の固有情報)を所定回数にわたって無線送信されるのをRFアンテナ16aで受信するようにし、受信した場合は更に受信したキーレスユニットID情報が登録されたキーレスユニットID情報と一致するかどうかを確認する。この制御が終了するタイミングが、図12の下段のスマートキーシステム動作状況欄の「RF」で示したタイムチャートにおけるタイミングt4に対応している。
【0108】
ステップS29では、スマートキーECU16は、ステップS28においてキーレスユニットが車室内に無いという判定結果かどうかをチェックする(「キーレスユニットが車室内に無い?」)。具体的には、ステップS28において予め登録されたキーレスユニットID情報を受信できたかどうかをチェックする。予め登録されたキーレスユニットID情報を受信できなかった場合(Yes)は、ステップS30へ進み、予め登録されたキーレスユニットID情報を受信できた場合(No)は、ステップS31へ進む。
ステップS30では、スマートキーECU16は、キーレスユニット18が車室内に無い旨の警報をCAN通信線17でインジケータECU13に送信し、インジケータ14(図1参照)のインジケータ表示画面14a(図2参照)にスマートキー警報表示143(図2参照)を表示させるとともに、図示しないブザーから警報音を所定回数発生させる(「キーレスユニットが車室内に無い旨の警報」)。ステップS31では、スマートキーECU16は、IFLAGA=0にリセットする。その後、スマートキーECU16は、ステップS37へ進む。
【0109】
図6に戻ってステップS32では、TPMS_ECU15は、ステップS27におけるスマートキーECU16からCAN通信線17を介して時間T5,T6のデータを送信されたのを受けて、時間T5,T6を受信する。その後、TPMS_ECU15は、結合子(G)に従って、図7のステップS33へ進み、タイマtをスタートする。そして、ステップS34では、TPMS_ECU15は、タイマtがT5+T6以上経過したか否かをチェックする(「t≧T5+T6?」)。t≧T5+T6の場合(Yes)は、ステップS35へ進み、t<T5+T6の場合(No)は、ステップS34を繰り返す。
ステップS35では、TPMS_ECU15は、タイマtをリセットし、TPMSセンサ21の初期チェック中断のフラグIFLAGB1をリセット(=0)する。その後、TPMS_ECU15は、結合子(Z)に従って、図6のステップS23に戻る。そして、IFLAGB1=0なので、ステップS23からステップS24へ進み、図12の例ではN=1なので、結合子(E)に従って、ステップS12,S13と進み、N=2となって、TPMSセンサ21FLの初期チェックを行うことになる。すなわち、スマートキーECU16とキーレスユニット18との通信によるキーレスユニット18の車室内にキーレスユニット18が所在するとの確認のための制御の遅延の後、残りのTPMSセンサ21の初期チェックの続きを行う。
なお、図12では、スマートキーECU16からのインジケータECU13、インジケータ14、ブザーを用いた前記した「キーレスユニットが車室内に無い旨の警報」の制御時間を考慮して、TPMSセンサ21FLの初期チェックの再開のためのTPMSセンサ21との通信開始までの時間T2の前に、更に所定の遅延時間Δt2を設定してある。
【0110】
TPMS_ECU15は、ステップS24においてYesで結合子(H)に従って、図7のステップS36に進むと、TPMSセンサ21の初期チェック終了を示すフラグIFLAGCを1にセット(IFLAGC=1)して、そのTPMSセンサ21の初期チェック終了のフラグ(IFLAGC=1)を、CAN通信線17を介してスマートキーECU16に送信する。そして、TPMS_ECU15は、その後ステップS38へ進む。
【0111】
ステップS37では、スマートキーECU16は、ステップS36において、TPMS_ECU15がCAN通信線17を介してTPMSセンサ21の初期チェック終了のフラグIFLAGC=1をスマートキーECU16に送信するのを受けて、IFLAGC=1を受信したか否かをチェックする。IFLAGC=1を受信した場合(Yes)は、結合子(J)に従って、図8のステップS47へ進み、IFLAGC=1を受信しない場合(No)は、結合子(I)に従って、図5のステップS15へ戻る。
【0112】
このように、TPMS_ECU15は、図12に示すようにイグニッションスイッチ11のオン直後に、TPMS_ECU15がTPMSセンサ21の初期チェック(学習処理)の最中に、スマートキーECU16においてドアが開状態から閉状態になったことを検出しても、スマートキーECU16がキーレスユニット18と速やかに通信を開始でき、キーレスユニット18が車室内にあるか否の確認を速やかに行うことができる。このとき、TPMS_ECU15とTPMSセンサ21との間の既に行われている当該のTPMSセンサ21に対する初期チェックの通信が終了してからTPMS_ECU15と他のTPMSセンサ21との通信制御は中断されているので、TPMSセンサ21からのRF帯の無線信号とキーレスユニット18からRF帯の無線信号が同一周波数のRF電波が用いられていても、互いに送信のタイミングがずれるようにTPMS_ECU15とスマートキーECU16との間でCAN通信線17を介して協調制御していることになる。従って、キーレスユニット18が車室内にあるにも拘わらず、TPMSセンサ21からのRF帯の無線信号とキーレスユニット18からのRF帯の無線信号とが互いに電波干渉して、スマートキーECU16においてキーレスユニットID情報が認証できず、キーレスユニット持ち出し警報を運転者に誤報知することが防止できる。
【0113】
なお、このステップS06〜S37までのTPMS_ECU15における各TPMSセンサ21の初期チェックの制御は、スマートキーECU16において運転席側のドアの開状態から閉状態への切り換わりを検出したときに、初期チェック中の当該TPMSセンサ21を含めて4個のTPMSセンサ21に対する初期チェックの制御の前半部分とし、残りを後半部分とに分けて、前半部分の制御が終わった後で、スマートキーECU16によるキーレスユニット18の所在の確認制御を行い、それが終了してから残りのTPMSセンサ21に対する初期チェックの制御を後半部分として行うことを意味する。
【0114】
この意味でステップS06〜S37までのTPMS_ECU15における各TPMSセンサ21の初期チェックの制御は、特許請求の範囲に記載の「前記送信制御部は、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御する」、「前記送信制御部が、前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御する」、「前記送信制御部が、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を、一部の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である前半送信部分と、残りの前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、前記前半送信部分の送信を前記送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、前記後半送信部分の送信を、前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせる」、「前記送信制御部は、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置の一つであって、既に前記タイヤの空気圧に関する情報データを送信中の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、前記送信された予報信号に基づいて前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、他の前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御する」、「前記送信制御部が、前記他の前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御する」、及び「前記送信制御部が、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を、前記一つのタイヤ空気圧検出装置からの送信までを含む前半送信部分と前記他の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、前記前半送信部分の送信を前記送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、前記他の前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を含む前記後半送信部分の送信を、前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせる」に対応する。
【0115】
(TPMS_ECU15のTPMSセンサ21の初期チェックの後の停車中においてドアの閉じ操作が生じた場合のTPMSセンサ21とキーレスユニット18のRF帯の無線信号の電波干渉防止制御)
次に、図7のステップS37以降において、TPMS_ECU15がTPMSセンサ21の初期チェック(学習処理)を終わった後に、車両1の停車中にスマートキーECU16において運転者席側のドアが開状態から閉状態になったことを検出して、TPMSセンサ21からの「タイヤ空気圧情報」の送信タイミングと重なることなく、キーレスユニット18と通信する制御について説明する。
図13は、TPMS_ECUがTPMSセンサの初期チェック(学習処理)を終わった後に、停車中にスマートキーECUにおいてドアが開状態から閉状態になったことを検出して、キーレスユニットとTPMSセンサとの電波干渉を生じることを防止する制御を行う説明のタイムチャートである。
【0116】
ステップS38では、TPMS_ECU15は、TPMSセンサ21の所定周期、例えば、1分に1回の周期の「タイヤ空気圧情報」の通信開始の制御のスタートのフラグ(IFLAGD=1、IFLAGE=0)を、CAN通信線17を介してスマートキーECU16に送信する。
ステップS39では、TPMS_ECU15は、N=0とし、ステップS40では、タイマtをスタートさせ、ステップS41では、N=N+1とする。
ステップS42では、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21を起動する。具体的には、Nに対応する車輪とは、N=1のときは右前輪、N=2のときは左前輪、N=3のときは右後輪、N=4のときは左後輪を示す。
【0117】
そして、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21それぞれに対応して設けられたTPMSイニシエータ22から「起動指令(ウェイクアップ指令)」をLF帯の所定の周波数の無線信号で送信する。TPMS_ECU15は、ステップS42の後、結合子(K)に従って、図8のステップS43へ進む。
【0118】
ステップS43では、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21の起動したタイミングtを取得する。具体的には、最初はN=1なので、TPMSセンサ21FRの起動したタイミングtを取得することになる。また、例えば、TPMSセンサ21FRの起動したタイミングtとは、TPMS_ECU15がTPMSイニシエータ22FRから所定時間、例えば、前記した時間T3にTPMSセンサ制御信号を所定回数分繰り返し送信し、TPMS_ECU15のRFアンテナ15aで事前に登録されたセンサID情報に一致した「タイヤ空気圧情報」を受信したタイミングである。
TPMSセンサ21FRは、TPMS_ECU15による初期チェックが終了直後、一旦休止状態に戻っているので、1秒に1回だけ所定時間窓(所定のミリ秒時間)だけLF帯の無線信号を受信するようになっているので、図14の説明の中で記載したようにTPMSセンサ制御信号をTPMSイニシエータ22から送信しても、1秒に1回だけ所定ミリ秒の時間窓に入ったタイミングで起動指令を受信して、その後「タイヤ空気圧情報」をRF帯の無線信号で所定回数分繰り返して送信する。その結果、TPMS_ECU15において、事前に登録されたセンサID情報に一致した「タイヤ空気圧情報」を受信できるタイミングは、TPMSセンサ制御信号をTPMSイニシエータ22から送信してから、最大1秒超の遅れがありうる。
【0119】
ステップS44では、TPMS_ECU15は、Nが4以上か否かをチェックする。Nが4未満の場合(No)は、ステップS45へ進み、Nが4以上の場合(Yes)は、ステップS46へ進む。
ステップS45では、TPMS_ECU15は、(N+1)に対応する車輪のTPMSセンサ21を起動するタイミングt(N+1)Rqを算出する(t(N+1)Rq=t+T−α)。ここで、Tの値としては、TPMSセンサ21の動作状態での通信周期が1分であることから、4車輪のTPMSセンサ21が、通信タイミングをほぼ均等にずらしてTPMS_ECU15にRF帯の無線信号で「タイヤ空気圧情報」を送信するように、60秒÷4=15秒とする。そして、TPMSイニシエータ22からの無線信号を受信してTPMSセンサ21が応答し、更にTPMS_ECU15においてセンサID情報が事前に登録された正しいものであると確認するまでの制御遅れの平均的な時間として、例えば、約1秒をαの値として予め設定しておく。ステップS45の後、TPMS_ECU15は、ステップS51へ進む。
【0120】
ステップS46では、(N+1)に対応する車輪のTPMSセンサ21FRと通信するタイミングt(N+1)Rqを算出する(t(N+1)Rq=t+4×T)。ここでは、(N+1)とは、具体的にはN=5を意味し、既に4つのTPMSセンサ21FR,21FL,21RR,21RLが全て約Tの時間差をつけて「タイヤ空気圧情報」を送信するようになった状態で、次の起動完了後の1分経過後の周期でTPMSセンサ21FRが自動的に「タイヤ空気圧情報」を送信してくるタイミングを算出したものである。ステップS46の後、TPMS_ECU15は、ステップS51へ進む。
【0121】
ステップS47では、スマートキーECU16は、車両1が停車中か否かをチェックする。これは、エンジン・AT_ECU10が車速センサ12から車速を取得し、それをCAN通信線17を介してスマートキーECU16に送信することで、スマートキーECU16において容易に判定できる。車両1が停車中の場合(Yes)は、ステップS48へ進み、車両1が停車中で無い場合(No)、つまり走行中は、結合子(L)に従って、図10のステップS69へ進む。
ステップS48では、スマートキーECU16は、フラグIFLAGDが1でかつフラグIFLAGEが0か否かをチェックする(「IFLAGD=1かつIFLAGE=0?」)。IFLAGD=1かつIFLAGE=0の場合(Yes)は、ステップS49へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(L)に従って、図10のステップS69へ進む。
【0122】
ステップS49では、スマートキーECU16が、運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出したか否かをチェックする。運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出した場合(Yes)は、ステップS50へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(L)に従って、図10のステップS69へ進む。ステップS50では、スマートキーECU16は、割り込みフラグIFLAGA=1として、時間T5,T6とともにCAN通信線17(図1参照)を介してTPMS_ECU15に送信する。その後、スマートキーECU16は、結合子(M)に従って、図9のステップS56へ進む。
ステップS49でYesとなるタイミングは、例えば、図13の(a),(b)の下段のスマートキーシステム動作状況欄において、ドアが開状態から閉状態に変化したタイミングtdcに対応する。
【0123】
ステップS51では、TPMS_ECU15は、スマートキーECU16からCAN通信線17を介して割り込みフラグIFLAGA=1を受信したか、又は既にIFLAGA=1の状態か否かをチェックする。割り込みフラグIFLAGA=1を受信したか又は既にIFLAGA=1の状態の場合(Yes)は、ステップS52へ進み、割り込みフラグIFLAGA=1を受信しておらず、かつ、IFLAGA=0の状態の場合(No)は、結合子(N)に従って、図9のステップS62へ進む。
ステップS52では、TPMS_ECU15は、IFLAGA=1を受信したタイミングtinをタイマtの計時で取得する。ここで既に、IFLAGA=1を受信したタイミングtinを有している場合は、そのまま保持する。そして、結合子(P)に従って、図9のステップS53へ進む。ステップS53では、TPMS_ECU15は、ステップS45又はステップS46で算出したt(N+1)RqとステップS52で取得したtinとを用いて差分(t(N+1)Rq−tin)を計算し、差分(t(N+1)Rq−tin)が(T5+T6)+βよりも大きいか否かをチェックする。ここでβの値はCAN通信線17を用いてTPM_ECU15とスマートキーECU16との間の通信制御に用いられる時間に、更にTPM_ECU15、スマートキーECU16それぞれの制御余裕の時間を加算した経験的な時間であり、1秒以下の値である。差分(t(N+1)Rq−tin)が(T5+T6)+βよりも大きい場合(Yes)は、ステップS54へ進み、差分(t(N+1)Rq−tin)が(T5+T6)+β以下の場合(No)は、ステップS62へ進む。
【0124】
ステップS54では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB2=1、IFLAGA=0とし、tinのデータを消去する。これは、次のTPMSセンサ21を起動する指令の無線通信を開始する又は既に起動されたTPMSセンサ21からの1分経過後のRF帯の周波数による通信までにスマートキーECU16がキーレスユニット18と通信して、キーレスユニット18が車室内にあることを確認する時間があることを意味する。
ステップS55では、TPMS_ECU15は、スマートキーECU16に通信OKのフラグIFLAGB2=1をCAN通信線17を介して送信する。ステップS55の後、TPMS_ECU15は、ステップS61へ進む。
【0125】
ステップS56では、スマートキーECU16は、IFLAGB2=1を受信したか否かをチェックする。そしてスマートキーECU16は、ステップS57〜S60の処理をして、結合子(L)に従って、図10のステップS69へ進む。ここで、ステップS55、S56が、特許請求の範囲に記載の「前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置において、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受信して、前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間が、いずれの前記タイヤ空気圧検出装置からも前記タイヤの空気圧に関する情報データが送信されていない時間帯に存在すると判定され、その判定結果としての許可信号を前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置から受信したとき、」に対応する。
ステップS57〜S60の処理は、前記したステップS28〜S31の処理と同じであり重複する説明を省略する。
【0126】
ステップS61では、TPMS_ECU15は、IFLAGB2=0とリセットする。そして、ステップS62では、TPMS_ECU15は、タイマtがt(N+1)Rq以上か否かをチェックする。タイマtがt(N+1)Rq以上の場合(Yes)は、ステップS63へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS62を繰り返す。ステップS63では、TPMS_ECU15は、ステップS41で演算されたNの値が4以上か否かをチェックする。Nの値が4以上の場合(Yes)は、ステップS64へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(Q)に従って、図7のステップS41へ戻る。
【0127】
ステップS64では、TPMS_ECU15は、ステップS43で取得したTPMSセンサ21を起動したタイミングtに基づいて、1つのTPMSセンサ21と通信を開始してから次に通信するTPMSセンサ21との通信が開始されるまでの時間差を算出する。
TPMSセンサ21FRと通信を開始してからTPMSセンサ21FLとの通信が開始されるまでの時間差Δt1−2=t−tであり、TPMSセンサ21FLと通信を開始してからTPMSセンサ21RRとの通信が開始されるまでの時間差Δt2−3=t−tであり、TPMSセンサ21RRと通信を開始してからTPMSセンサ21RLとの通信が開始されるまでの時間差Δt3−4=t−tであり、TPMSセンサ21RLと通信を開始してからTPMSセンサ21FRとの通信が開始されるまでの時間差Δt4−1=(t+4×T)−tである。これら、算出された時間差Δt1−2,Δt2−3,Δt3−4,Δt4−1は、RAMに記憶保持される。
ステップS64の後、TPMS_ECU15は、結合子(R)に従って、図10のステップS65へ進む。
【0128】
ステップS65では、TPMS_ECU15は、全車輪のTPMSセンサ21の起動が終了したことを示すフラグIFLAGE=1とし、スマートキーECU16にCAN通信線17を介して送信する。ステップS66では、TPMS_ECU15は、タイマtをリセットする。
ステップS67では、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21からの通信を受信したか否かをチェックする。TPMSセンサ21からの通信を受信した場合(Yes)は、ステップS68へ進み、TPMSセンサ21からの通信を受信していない場合(No)は、ステップS67を繰り返し、受信するのを待つ。
ここでNの値の特定は、TPMSセンサ21の初期チェックの段階でどの車輪にどのセンサID情報のTPMSセンサ21が装着されているか確認しているので、容易にNの値がN=1〜4のいずれであるかが特定できる。従って、以後のTPMS_ECU15における制御のフローチャートのステップにおいて、NやN+1の値が4を超える値のとき、適宜自動的に読み直し演算処理をするものとする。例えば、N=5のときはN=1に自動的に読み直すものとする。特に、後記するステップS75,S76,S88,S89においてはそのように読み直すものとする。
【0129】
ステップS68では、TPMS_ECU15は、タイマtをスタートする。その後、TPMS_ECU15は、ステップS73へ進む。
【0130】
ステップS69では、スマートキーECU16は、TPMS_ECU15からCAN通信線17を介してフラグIFLAGE=1を受信したか否かをチェックする。フラグIFLAGE=1を受信した場合(Yes)は、ステップS70へ進み、フラグIFLAGE=1を受信していない場合(No)は、結合子(S)に従って、図8のステップS47へ戻る。
ステップS70では、スマートキーECU16は、車両1が停車中か否かをチェックする。これは、エンジン・AT_ECU10が車速センサ12から車速を取得し、それをCAN通信線17を介してスマートキーECU16に送信することで、スマートキーECU16において容易に判定できる。車両1が停車中の場合(Yes)は、ステップS71へ進み、車両1が停車中で無い場合(No)、つまり走行中は、結合子(V)に従って、図11のステップS85へ進む。
【0131】
ステップS71では、スマートキーECU16は、運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出したか否かをチェックする。運転席側のドアの開状態から閉状態への変化を検出した場合(Yes)は、ステップS72へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(V)に従って、図11のステップS85へ進む。ステップS72では、スマートキーECU16は、割り込みフラグIFLAGA=1として、時間T5,T6とともにCAN通信線17(図1参照)を介してTPMS_ECU15に送信する。その後、スマートキーECU16は、ステップS80へ進む。
ステップS71でYesとなるタイミングは、例えば、図13の(a),(b)の下段のスマートキーシステム動作状況欄において、ドアが開状態から閉状態に変化したタイミングtdcに対応する。
【0132】
ステップS73では、TPMS_ECU15は、スマートキーECU16からCAN通信線17を介して割り込みフラグIFLAGA=1を受信したか否かをチェックする。割り込みフラグIFLAGA=1を受信した場合(Yes)は、ステップS74へ進み、割り込みフラグIFLAGA=1を受信していない場合(No)は、結合子(U)に従って、図11のステップS87へ進む。
ステップS74では、TPMS_ECU15は、IFLAGA=1を受信したタイミングtinをタイマtの計時で取得する。そして、ステップS75では、TPMS_ECU15は、Nの次のN+1に対応する車輪のTPMSセンサ21との通信が開始されるまでの時間差ΔtN−(N+1)を取得する。時間差ΔtN−(N+1)は、ステップS64において算出され記憶保持されているΔt1−2,Δt2−3,Δt3−4,Δt4−1の中から、ステップS67で特定されたNの値を適用して容易に取得できる。
【0133】
ステップS76では、TPMS_ECU15は、ステップS75で取得された時間差ΔtN−(N+1)とステップS74で取得したtinとを用いて差分(tN−(N+1)−tin)を計算し、差分(tN−(N+1)−tin)が(T5+T6)+γよりも大きいか否かをチェックする。ここでγの値はCAN通信線17を用いてTPM_ECU15とスマートキーECU16との間の通信制御に用いられる時間に、更にTPM_ECU15、スマートキーECU16それぞれの制御余裕の時間を加算した経験的な時間であり、1秒以下の値である。γの値を前記したβの値と同じとしても良い。
差分(tN−(N+1)−tin)が(T5+T6)+γよりも大きい場合(Yes)は、ステップS77へ進み、差分(tN−(N+1)−tin)が(T5+T6)+γ以下の場合(No)は、ステップS78へ進む。
【0134】
ステップS77では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB2=1、IFLAGB2=0とし、tinのデータを消去する。これは既に起動されたTPMSセンサ21からのRF帯の周波数による通信までにスマートキーECU16がキーレスユニット18と通信して、キーレスユニット18が車室内にあることを確認する時間があることを意味する。ステップS77の後、TPMS_ECU15は、ステップS79へ進む。
ステップS78では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB3=1とし、結合子(U)に従って、図11のステップS87へ進む。ここで、フラグIFLAGB3=1は、N+1に対応する車輪のTPMSセンサ21からの通信開始の時間が迫っており、スマートキーECU16がキーレスユニット18と通信する時間が確保できないので、N+1に対応する車輪のTPMSセンサ21からの通信を受信した後に、スマートキーECU16がキーレスユニット18と通信するように遅延させる判定をしたという意味である。
ステップS79では、TPMS_ECU15は、CAN通信線17を介してスマートキーECU16に通信OKのフラグIFLAGB2=1を送信して、その後フラグIFLAGB2=0とリセットする。ステップS79の後、TPMS_ECU15は、結合子(U)に従って、図11のステップS87へ進む。
【0135】
ステップS80では、スマートキーECU16は、IFLAGB2=1を受信したか否かをチェックする。そしてスマートキーECU16は、ステップS81〜S84の処理をして、結合子(V)に従って、図11のステップS85へ進む。ここで、ステップS79、S80が、特許請求の範囲に記載の「前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置において、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受信して、前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間が、いずれの前記タイヤ空気圧検出装置からも前記タイヤの空気圧に関する情報データが送信されていない時間帯に存在すると判定され、その判定結果としての許可信号を前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置から受信したとき、」に対応する。
ステップS81〜S84の処理は、前記したステップS28〜S31の処理と同じであり重複する説明を省略する。
ステップS85では、スマートキーECU16は、エンジン・AT_ECU10及びCAN通信線17を介してIG OFFを検出したか否かをチェックする。IG OFFを検出した場合(Yes)は、ステップS86へ進み、検出しない場合(No)は、結合子(W)に従って、図10のステップS70へ戻る。ステップS86では、スマートキーECU16は、CAN通信線17を介してTPMS_ECU15にIG OFFを送信する。
【0136】
ステップS87では、TPMS_ECU15は、CAN通信線17を介してIG OFFを受信したか否かをチェックする。IG OFFを受信した場合(Yes)は、ステップS94へ進み、IG OFFを受信していない場合(No)は、ステップS88へ進む。ちなみに、ステップS86、S87でスマートキーECU16が、CAN通信線17を介してTPMS_ECU15にIG OFFを送信してTPMS_ECU15が受信する代わりに、TPMS_ECU15は、ステップS87において直接エンジン・AT_ECU10及びCAN通信線17を介してIG OFFを受信しても良い。
【0137】
ステップS88では、TPMS_ECU15は、N=N+1とする。ステップS89では、TPMS_ECU15は、Nに対応する車輪のTPMSセンサ21からの通信を受信したか否かをチェックする。TPMSセンサ21からの通信を受信した場合(Yes)は、ステップS90へ進み、TPMSセンサ21からの通信を受信していない場合(No)は、ステップS89を繰り返し、受信するのを待つ。
ステップS88の制御は、前記したステップS67の制御と同じ内容である。
ステップS90では、TPMS_ECU15は、タイマtをリセットして、スタートする。ステップS91では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB2≠1かつフラグIFLAGB3=1か否かをチェックする。フラグIFLAGB2≠1かつフラグIFLAGB3=1の場合(Yes)は、ステップS92へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(X)に従って、図10のステップS73へ戻る。
【0138】
ステップS92では、TPMS_ECU15は、タイマtの計時によるIFLAGA=1を受信したタイミングtinを強制的にtin=0とする。これは、スマートキーECU16とキーレスユニット18との通信をN+1に対応する車輪のTPMSセンサ21からの通信を受信した後にするように遅延させたことに対応するtinの値をゼロにする置き換えである。ステップS93では、TPMS_ECU15は、フラグIFLAGB3をリセット(=0)し、結合子(Y)に従って、図10のステップS75へ戻る。
【0139】
TPMS_ECU15は、ステップS87からYesでステップS94へ進むと、N=1〜4に対応する車輪のTPMSセンサ21にスリープを指令する。具体的には、TPMS_ECU15は、TPMSイニシエータ22FR,22FL,22RR,22RLから同時にスリープ指令(休止指令)をLF帯の無線信号で各TPMSセンサ21FR,21FL,21RR,22RLで送信し、休止状態とする。その後、TPMS_ECU15は、停止する。
以上で、一連のTPMS_ECU15とスマートキーECU16におけるキーレスユニット18とTPMSセンサ21とのRF帯の無線信号が電波干渉することを防止する制御を終了する。
【0140】
本実施形態によれば、各TPMSセンサ21を約15秒の間隔で起動していく際、及び各TPMSセンサ21が4個とも全て起動してから後において、車両1(図1参照)が停止中に運転席側のドアが開状態から閉状態に切り換わったのをスマートキーECU16が検出した際に、TPMSセンサ21からRF帯の無線信号が出力されている状態で、スマートキーECU16がキーレスユニット18の車室内にあることを確認する通信が開始されることが防止できる。また、たまたま、TPMSセンサ21からRF帯の無線信号が出力されている状態又はTPMSセンサ21からRF帯の無線信号が出力されタイミングが接近しているときに、車両1(図1参照)が停止中に運転席側のドアが開状態から閉状態に切り換わったのをスマートキーECU16が検出したとしても、前記した時間(T5+T6)の値は約1秒以下であり、TPMSセンサ21からRF帯の無線信号が出力されている時間T4(図12、図13参照)も1秒以下であり、最大でも2秒以下の遅れでスマートキーECU16がキーレスユニット18の車室内にあることを確認する通信が開始できる。従って、キーレスユニット18を携帯し忘れのまま車両1を発進させることは実際的に防止できる。
【0141】
《変形例》
本実施形態においては、図5、図6のフローチャートにおいて、ステップS16では、スマートキーECU16は、割り込みフラグIFLAGA=1とし、CAN通信線17(図1参照)を介してTPMS_ECU15に割り込みフラグIFLAGA=1の信号を送信し、ステップS17では、TPMS_ECU15ではそれを受けて、ステップS20で初期チェック処理中のTPMSセンサ21の制御が終了してスリープ状態に戻してから、TPMS_ECU15はスマートキーECU16に、IFLAGB1=1の信号を送信し、その後スマートキーECU16から送信された時間T5,T6に基づいて次のTPMSセンサ21の初期チェックの開始を行う制御としたが、それに限定されるものではない。
【0142】
ステップS16では、スマートキーECU16は、割り込みフラグIFLAGA=1(予報信号)とし、CAN通信線17(図1参照)を介してTPMS_ECU15に割り込みフラグIFLAGA=1の信号を送信し、ステップS17では、TPMS_ECU15は、それを受けて、ステップS20で初期チェック処理中のTPMSセンサ21の制御が終了してスリープ状態に戻してから、スマートキーECU16に、IFLAGB1=1の信号を送信する。その後スマートキーECU16は、ステップS31におけるタイミングでTPMS_ECU15へのIFLAGB1=0のリセット信号を送信して、それをTPMS_ECU15が受けて、次のTPMSセンサ21の初期チェックの開始を行う制御としても良い。
これに対応し、スマートキー_ECU16のフローチャートにおけるステップS27は削除し、TPMS_ECU15におけるステップS18を「IFLAGB1=1」と読み直し、ステップS32,S33、S34を削除し、ステップS35を、前記したステップS31におけるタイミングでTPMS_ECU15へのIFLAGB1=0のリセット信号送信を受けて、「IFLAGB1=0のリセット信号の受信及びIFLAGB1=0」と読み直し、結合子(Z)に従って、図6のステップS23に戻るようにしても良い。
【0143】
このような変形例でもTPMS_ECU15がスマートキーECU16から時間T5,T6の情報を受信せずとも、TPMSセンサ21の初期チェックのキーレスユニット18の所在確認のための中断後に再開することが容易にできる。
【符号の説明】
【0144】
1 車両
2 前部席
3 後部席
4 トランクルーム
5L 左ドアミラー
5R 右ドアミラー
6 リアバンパ
7FL,7FR,7RL,7RR タイヤ
8 エンジン
9 トランスミッション
10 エンジンECU
11 イグニッションスイッチ
12 車速センサ
13 インジケータECU
14 インジケータ
14a インジケータ表示画面
15 TPMS_ECU(タイヤ空気監視システムの制御装置)
15a 受信アンテナ
15b マイクロコンピュータ(送信制御部)
16 スマートキーECU(スマートキーシステムの制御装置)
16a 受信アンテナ
16b マイクロコンピュータ(送信指示部)
17 CAN通信線(車載通信ライン)
18 キーレスユニット(携帯通信機)
18a アンロックボタン
18b ロックボタン
21FR,21FL,21RR,21RL TPMSセンサ(タイヤ空気圧検出装置)
22FR,22FL,22RR,22RL TPMSイニシエータ
23,24,25,26R,26L,27 スマートキー・イニシエータ
31FR,31FL,31RR,31RL ドアセンサ
32FR,32FL,32RR,32RL ドアロックスイッチ
33 トランクリッドセンサ
34 トランクロックスイッチ
35FR,35FL,35RR,35RL ドア開閉状態検出センサ
37 トランク開閉状態検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報を照合して、前記車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び前記携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、
前記車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置において、
前記車両は、少なくとも前記スマートキーシステムの制御装置と前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、前記携帯通信機に前記車両の固有情報を送信させる送信指示信号を前記携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、
前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号を前記タイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、
前記携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報と、前記タイヤ空気圧検出装置から無線送信される前記タイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記送信指示信号を送信する前に、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受信して前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間を、前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置に前記車載通信ラインを通じて送信し、
前記送信制御部は、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御することを特徴とするスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御するとは、
前記送信制御部が、前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御することであることを特徴とする請求項1に記載のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御するとは、
前記送信制御部が、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を、一部の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である前半送信部分と、残りの前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、
前記前半送信部分の送信を前記送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、
前記後半送信部分の送信を前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせることであることを特徴とする請求項1に記載のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項4】
車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報を照合して、前記車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び前記携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、
前記車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置において、
前記車両は、少なくとも前記スマートキーシステムの制御装置と前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、前記携帯通信機に前記車両の固有情報を送信させる送信指示信号を前記携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、
前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号を前記タイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、
前記携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報と、前記タイヤ空気圧検出装置から無線送信される前記タイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記送信指示信号を送信する前に、前記携帯通信機の所在の確認を行うために前記車両の固有情報の照合を実行する予報信号を、前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置に前記車載通信ラインを通じて送信し、
前記送信制御部は、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置の一つであって、既に前記タイヤの空気圧に関する情報データを送信中の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、前記送信された予報信号に基づいて前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、他の前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御することを特徴とするスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項5】
前記送信制御部は、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置の一つであって、既に前記タイヤの空気圧に関する情報データを送信中の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、前記送信された予報信号に基づいて前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、他の前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御するとは、
前記送信制御部が、前記他の前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を遅延させるように制御することであることを特徴とする請求項4に記載のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項6】
前記送信制御部は、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置の一つであって、既に前記タイヤの空気圧に関する情報データを送信中の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信が終了した後に、前記送信された予報信号に基づいて前記送信指示信号の送信が開始されてから前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまで、他の前記タイヤ空気圧検出装置が前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を行わないように前記送信制御信号により前記タイヤ空気圧検出装置を制御するとは、
前記送信制御部が、前記車両の複数の車輪の各々に備えられた前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を、前記一つの前記タイヤ空気圧検出装置からの送信までを含む前半送信部分と前記他の前記タイヤ空気圧検出装置からの送信である後半送信部分とに2分割し、
前記前半送信部分の送信を前記送信指示信号の送信が開始される前に行わせ、
前記後半送信部分の送信を前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了した後に行わせることであることを特徴とする請求項4に記載のスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。
【請求項7】
車両の利用者が所持する携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報を照合して、前記車両における各種制御の実行を許可する上での認証、及び前記携帯通信機の所在の確認を行うスマートキーシステムの制御装置と、
前記車両の複数の車輪の各々に備えられたタイヤ空気圧検出装置から無線送信されるタイヤの空気圧に関する情報データを取得するタイヤ空気圧監視システムの制御装置と、を備えるスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置において、
前記車両は、少なくとも前記スマートキーシステムの制御装置と前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置との間を相互通信可能に接続する車載通信ラインを更に備え、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記車両の固有情報の照合を実行する条件が成立したときに、前記携帯通信機に前記車両の固有情報を送信させる送信指示信号を前記携帯通信機へ無線送信する送信指示部を有し、
前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置は、前記タイヤ空気圧検出装置からの前記タイヤの空気圧に関する情報データの送信を制御する送信制御信号を前記タイヤ空気圧検出装置へ無線送信する送信制御部を有し、
前記携帯通信機から無線送信される前記車両の固有情報と、前記タイヤ空気圧検出装置から無線送信される前記タイヤの空気圧に関する情報データとは、同一周波数の無線信号により送信され、
前記スマートキーシステムの制御装置は、前記車両のイグニッションスイッチがオン状態になった直後の前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置における前記複数のタイヤ空気圧検出装置の認識処理制御が完了して、前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置が前記複数のタイヤ空気圧検出装置から前記タイヤの空気圧に関する情報データを所定の時間間隔で送信させる制御処理を行っている場合に、又は前記所定の時間間隔で送信させる制御処理が完了した後の場合に、前記車両のドアが開状態から閉状態に切り換わり、前記携帯通信機の所在の確認を行うための前記車両の固有情報の照合を実行する条件が成立すると、
前記送信指示信号を送信する前に、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受けて前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間を、前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置に前記車載通信ラインを通じて送信し、
前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置において、前記送信指示信号の送信が開始されてから前記送信指示信号を受信して、前記携帯通信機が行う前記車両の固有情報の送信が完了するまでの時間が、いずれの前記タイヤ空気圧検出装置からも前記タイヤの空気圧に関する情報データが送信されていない時間帯に存在すると判定され、その判定結果としての許可信号を前記タイヤ空気圧監視システムの制御装置から受信したとき、
前記携帯通信機の所在の確認を行うために前記車両の固有情報の照合を実行することを特徴とするスマートキーシステムとタイヤ空気圧監視システムとを備えた車両の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−43535(P2013−43535A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182161(P2011−182161)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】