説明

スライドドア等のリニア駆動部

本発明は、殊にスライドドア用の、各走行路に沿って動く部分に対する、リニアモータに基づくリニア駆動部(1)に関する。本発明の、走行路に沿って動く少なくとも1つの部分、殊にスライドドア扉(4)のためのリニア駆動部(1)は、この少なくとも1つの部分のために少なくとも1つのリニアモータを有している。リニアモータには固定子部分(3)およびキャリッジ(2)が設けられている。リニア駆動部(1)はさらに駆動制御回路を有している。この駆動制御回路は、リニアモータに対するエネルギー供給が行われていない場合には、スイッチオフおよび、リニアモータをジェネレータとして作動させることによってリニアモータを停止させる。さらにこのような可動部分は、自身の走行能力に関して駆動制御回路からイネーブルにされる。さらに、本発明のリニア駆動部(1)は、前記少なくとも1つのリニアモータのエネルギー供給をスイッチオフするためのスイッチング手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殊にスライドドア用の、各走行路に沿って動く部分のための、リニアモータに基づくリニア駆動部に関する。
【0002】
リニアモータによって駆動されるスライドドアは既知である。通常は、各スライドドア扉の上方の固定部分に固定子が配置されており、この固定子は実質的に、相互に接続されている多数の電気コイルから成る。各スライドドア扉の、固定子の方を向いている面には回転子が設けられており、この回転子は、多数の永久磁石を有しているおよび/または磁化可能な材料から形成されている。
【0003】
本発明の課題は、リニアモータをベースにする、各走行路に沿って動く部分に対するリニア駆動部を、その機能性に関して拡張することである。
【0004】
上述の課題は、請求項1の構成要件によって解決されている。本発明の有利な発展形態は従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の、走行路に沿って動く少なくとも1つの部分、殊にスライドドア扉用のリニア駆動部は、この少なくとも1つの部分のために少なくとも1つのリニアモータを有している。リニアモータには固定子部分およびキャリッジが設けられている。リニア駆動部はさらに駆動制御回路を有している。この駆動制御回路は、リニアモータに対するエネルギー供給が行われていない場合に、スイッチオフおよび、リニアモータをジェネレータとして作動させることによってリニアモータを停止させる。さらにこのような可動部分は、自身の走行能力に関して、この駆動制御回路によってイネーブルにされる。このために、本発明のリニア駆動部は、少なくとも1つのリニアモータのエネルギー供給をスイッチオフするためのスイッチング手段を有している。
【0006】
本発明では、駆動制御回路は有利にはさらに次のように構成されている。すなわち、新たにエネルギー供給が加えられた後、少なくとも1つの部分の少なくとも1つの終端ストップを求めるために少なくとも1つの部分のポジショニング走行を行うように構成されている。これは、リニア駆動部の動作安全性に寄与し、このようなリニア駆動部が設けられている設備を利用する人の安全性を高める。
【0007】
さらに、駆動制御回路は有利には次のように構成されている。すなわち、初めから、または起動の後に、少なくとも1つの部分の学習走行を、少なくとも1つの部分を駆動するための所定のパラメータを求めるために行うように構成されている。学習走行は、それぞれ最低走行速度での、第1の走行方向におけるこの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの走行と、第1の走行方向に対して反対の第2の走行方向における、少なくとも1つの部分の少なくとも1つの走行を有している。最低走行速度が設定されている。なぜなら、学習走行の間は、可動部分の閉鎖縁の監視はほぼ不可能だからである。
【0008】
リニア駆動部は有利にはさらに、少なくとも1つの部分の走行速度を調節するための手段を有している。この手段は例えば、ポテンショメータであり、これによって、リニアモータに供給される最大駆動エネルギーが調節される。有利には、この手段は、少なくとも1つの部分の走行速度が、2つの走行方向において別個に調節されるように構成されている。これによって、開放過程を、閉鎖過程より迅速に経過させることができる。これによって、可動部分の作動時の安全性が高まる。
【0009】
駆動制御回路は本発明では有利にはさらに次のように構成されている。すなわち、リニアモータの駆動方向に対して反対の方向、および/またはリニアモータの駆動速度とは異なる走行速度での、少なくとも1つの部分の走行時に、リニアモータをスイッチオフする、またはジェネレータ式に作動させるように構成されている。これは例えば、可動部分が手動で、リニアモータの目下の駆動方向に対向して動かされる場合である。スイッチオフによって、リニアモータは、例えば、高い駆動電流、ひいてはリニアモータの過度の加熱による損傷から保護される。ジェネレータ式動作が設定され、これによって、各操作者に、可動部分が反対の運動で駆動されるべきであることがシグナリングされる。
【0010】
リニア駆動部はさらに、有利にはリニアモータをアクティブにするための手段を有している。この手段は少なくとも1つの部分を、所定の走行方向で動作させる。有利にはリニアモータは、距離センサを有している。このような場合に駆動制御回路は次のように構成される。すなわち、距離センサからの信号によって、走行路に沿った、少なくとも1つの部分の運動および目下の位置が求められるように構成される。静止状態からの少なくとも1つの部分の運動を求める場合、および少なくとも1つの部分の運動の開始が最初に識別された静止ポジションからの、少なくとも1つの部分の目下の位置の偏差を求める場合には、所定の最低限度を超えて、駆動制御回路が本発明のリニアモータをアクティブにし、リニアモータは少なくとも1つの部分をその時の運動方向で動かす。有利には運動および位置偏差を求めることは、少なくとも1つの部分の最終位置に制限されている。上述の手法によって、例えばスライドドア扉として構成されている可動部分を走行方向に、人がスライドさせることができる。駆動制御回路はこれを、所定の最低走行距離の場合には、スライドドア扉をこの方向に動かしいたいという、人物の意志として解釈し、スライドドア扉の続行される駆動を担う。これによって、直観的に操作される駆動が実現される。これによって、殊に追加装備の際に、該当する人物に、目下設けられている自動駆動に関する情報を与えなくてよい。
【0011】
駆動制御回路は本発明ではさらに、有利には次のように構成されている。すなわち、所定のパラメータの監視によって、少なくとも1つの部分の走行路内に障害物が存在することを識別するように構成されている。これらのパラメータは、少なくとも1つの部分の走行速度、少なくとも1つの部分のポジションおよび/またはこの部分を駆動させるリニアモータの駆動電流を含み得る。これによって、例えば動作障害が識別され、必要な対抗措置がとられ、これによって動作安全性が高まる。
【0012】
駆動制御回路はさらに、有利には次のように構成されている。すなわち、少なくとも1つの部分の、リニアモータに依存しない、すなわち手動の走行を、少なくとも1つの部分の所定の最高速度まで、許可するように構成されている。最高走行速度を越えたことが判ると、駆動制御回路はリニアモータを、少なくとも1つの部分の目下の走行方向に対して反対の方向で、所定の、最高走行速度超過程度に依存する駆動力で作動させることができる。すなわち、可動部分はここで、所定の最高速度まででしか走行することができない。これによって、殊に回転子−回転ロールを過度の機械的酷使から保護することができ、ひいては早期の摩滅、むしろ損傷から保護される。有利には、リニアモータのこのような作動は、スイッチオフ、ジェネレータ式作動および/または、少なくとも1つの部分の目下の走行方向に対して反対の方向におけるリニアモータの駆動によって行われる。これによって、場合によって生じる過度に高いモーター電流が阻止され、スライドドアが損傷から保護される。さらにこれは次のことによって実現される。すなわち、可動部分を、最終ストップ領域において、速度から、損傷の危険性が少なくとも低減される程度に制動することによって実現される。
【0013】
駆動制御回路はさらに有利には次のように構成される。すなわち、少なくとも1つの部分の駆動時に、所定の制動領域に達すると、少なくとも1つの部分に関して、リニアモータを所定の制動特性に従って駆動するように構成される。有利には2つの制動領域がある。すなわち、少なくとも1つの部分の各最終ストップの前である。このような制動領域は、可動部分の確実な制動に用いられる。
【0014】
駆動制御回路は、さらに有利には次のように構成されている。すなわち、少なくとも1つの部分の少なくとも1つの最終位置において、この少なくとも1つの部分が、所定の力で、各終端位置からの少なくとも1つの部分の運動に対して阻止されるように、リニアモータを駆動するように構成されている。有利には、これは、少なくとも1つの部分の少なくとも1つの最終部分において、この部分が自身の位置を維持するようにリニアモータを駆動制御することによって行われる。これによって、例えば風の影響によるこの部分の不所望な運動が阻止される。
【0015】
リニア駆動部は有利には、さらにセンサ装置を有している。このセンサ装置は、リニア駆動部の摩擦の無い作動にとって重要なパラメータを監視する。このような動作パラメータは例えば、リニアモータおよび/または駆動制御回路および/またはリニア駆動部の給電網部分の作動温度を含む。駆動制御回路は有利には次のように構成されている。すなわち、作動パラメータの少なくとも1つが、所定の許容される領域の外にあることが識別されると、リニア駆動部の駆動制御を変えるように構成されている。このような変更は例えば、リニアモータの駆動速度の低減、少なくとも1つの部分に関する開放保持時間または閉鎖保持時間の延長および/またはリニア駆動部のスイッチオフである。これは次のような目的、すなわちリニア駆動部の冷却を(時間的に)可能にするために用いられる。これは、そうでない通常のさらなる作動時には、場合によっては可能ではない。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点を、有利な実施形態の以降の説明に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に相応するスライドドア懸架部
【図2】例として示されている、リニアモータをベースにしたリニア駆動部の作動方法であって、本発明の実施形態に相応するスライドドア懸架部
【図3】図2に示された方法の範囲内のリニア駆動部の通常作動
【図4】図3の通常作動を監視するための方法
【図5】本発明の実施形態に相応するリニア駆動部をアクティブにするための方法
【実施例】
【0018】
図1に示されている設備は、リニア駆動部1を含んでいる。ここでこのリニア駆動部は、図示の例では支持用溝(Tragprofil)1aを有している。図1において、下方を指している、支持用溝1aの内面には、断面において、有利には両面に、ガイドレール1bが構成されているないし配置されている。
【0019】
この装置はさらに、図示の例において、スライドドア扉4として構成されている、走行路に従って可動する部分を有している。この走行路は、ガイドレール1bの延在によって定められている。
【0020】
上述した、支持用溝1aの内面には、固定子部分3が有利には、ガイドレール1bの間に配置されている。択一的にガイドレール1bは、内面が充分な頑強性を有している限りでは、この内面自体によって構成されている。
【0021】
固定子部分3は有利には、走行路の少なくとも一部に沿って延在している、多数の電気コイルを有している。これらの多数の電気コイルは相互に、所定の駆動制御スキームに相応して、有利には三相駆動制御スキームに相応して接続されている。有利には、これらの電気コイルには、磁化可能な材料から成る保磁子体が設けられる。
【0022】
電気コイルの下面には、図1においてキャリッジ2が配置されている。このキャリッジには、スライドドア扉4が懸架されている。各キャリッジ2は、固定子部分3の方を向いている側に、それぞれ1つの回転子を有している。ここでこの回転子は、有利には、同じにように走行路の部分に沿って延在している、永久磁石の列2bを有している。スライドドア扉4を移動させるないしは動かすための固定子部分3の駆動力が充分である場合には、択一的に、各回転子は磁化可能な材料によって構成される。
【0023】
各キャリッジ2には有利にはロール2aが自由に回転可能に配置されており、ガイドレール1bの回転面上に、回転して広がって配置されている。支持用溝1aにさらに、付加的なガイドレールを設けることができる。このガイドレールには、断面において、自由終端部が相互に向かい合うように構成されている。このような場合には付加的なロールは、それぞれ、このような付加的なガイドレールの、図1において下方を示している各回転面上に回転して広がって配置されている。
【0024】
リニア駆動部はさらに駆動制御回路を含んでいる。この駆動制御回路は有利には、論理的な駆動制御回路およびモーター駆動制御回路に分けられている。
【0025】
論理駆動制御回路は、リニア駆動部の駆動制御回路のスイッチングおよび通信中央部を構成する。論理駆動制御回路は殊に次のように構成されている。すなわち、モーター駆動制御回路に、走行および検査命令を送信し、状態および安全通知を受信するように構成されている。このような状態および安全通知は、例えばリニア駆動部の温度並びにスライドドア扉4の速度および位置を含んでいる。有利には、論理駆動制御回路には、外部センサ、例えば入力装置、レーダーおよびプログラミングスイッチが接続される。
【0026】
リニアモータを駆動制御するために、モーター駆動制御回路内に、有利にはハードウェアコンポーネントが、パワー送出段および制御ユニットの形状で、有利には、マイクロコントローラの形状で、例えば、物理的なプロセスを計算するために設けられる。モーター駆動制御部は次のように構成されている。すなわち、有利には三相走行電圧がパルス幅変調によって形成されることによってリニアモータを整流するように構成されている。さらにモーター駆動制御部は次のように構成されている。すなわち、スライドドア扉4の位置および速度を求め、スライドドア扉4の走行状態を開ループ制御するないしは閉ループ制御する、および/またはスライドドア扉4の速度閉ループ制御を行うように構成されている。
【0027】
論理−モーター駆動制御回路は、有利には同一のマイクロコントローラを使用し、これによってコストが省かれる。
【0028】
図2は、例示的なリニアモータの作動のための方法ないしはルーチンを示している。初めは、リニアモータ、すなわちリニア駆動部1はスイッチオフされている。これは殊に、リニア駆動部1の取り付け直後の場合である。リニア駆動部1のスイッチオン(ステップ1)の後、例えば、エネルギー供給網と接続することによって、駆動制御回路が初めに、有利にはリニア駆動部1の静止作動をアクティブにする(ステップ2)。このような静止作動は、スライドドア扉4の位置保持(In-Position-Halten)を設定する。
【0029】
次に、(充分な)エネルギー供給がされているか否かが検査される(ステップ3)。これは例えば次のことによって行われる。すなわち、駆動制御回路によって、自身に印加されている電圧および自身に印加されている電流が測定され、保たれるべき、駆動制御回路の不揮発性メモリ内に収容されている基準値によって調整されることによって行われる。このような状況は例えば、取り付け時に電流供給線路内に短絡が生じる場合に生じる。
【0030】
エネルギーが無い、または不十分なエネルギーしか存在しない、すなわちリニアモータが作動されない場合には、後続のステップS9において、リニア駆動部1がまだスイッチオフされているのか否か、または再びスイッチオフされたのか否かが検査される。すなわち、図2におけるこの機能分岐は次のような場合に対して設けられている。すなわち例えば、作動中に、エネルギーが欠如し、これがリニア駆動部1のスイッチオフにつながる場合に対して設けられている。リニア駆動部1がスイッチオフされている場合、このルーチンは終了し、新たなスイッチオンに基づいて新たにスタートされる。この検査は例えば、フラグによって行われる。このフラグはリニア駆動部1のスイッチオン状態を示し、不揮発性メモリ内に収容されている。すなわち、これによってスイッチオンフラグは、リニア駆動部1のスイッチオフ状態に有利にはリセットされ、すなわち論理的値「0」ないしは「誤」を有し、スイッチオン時には論理的「1」ないしは「正」にセットされる。すなわちハイアクティブである。しかし、このフラグに関してローアクティブも可能である。従って、このスイッチオンフラグはリニア駆動部1のスイッチオフ状態においてセットされ、すなわち論理的値「1」ないしは「正」を有し、スイッチオン時には論理的な「0」ないしは「誤」にセットされる。
【0031】
以降ではハイアクティブフラグでの動作を説明する。
【0032】
しかしリニア駆動部1が依然としてスイッチオン状態にある場合には、ステップS10において有利には、不揮発性メモリ内に有利にはフラグがセットされる。これは、リニア駆動部1の作動中のエネルギー供給が中断された、または不十分であることを示している。
【0033】
上述の検査を実行することができるように、有利には電気的エネルギーのためのメモリが、例えば蓄電池またはコンデンサ回路の形状で設けられる。このような場合にはこのようなメモリを、駆動制御回路が参照する。
【0034】
ステップS3において、充分なエネルギー供給がされていることが判明すると、ステップS4において、リニア駆動部1の摩擦の無い駆動に必要な物理システムパラメータおよび/またはリニア駆動パラメータが既に求められているか否かが求められる。
【0035】
このパラメータは有利にはこの場合に揮発正メモリ内に格納され、初めは例えば、許容されない値を有しているで、または全く存在しない。これらのパラメータが依然として求められていない場合、これは例えばリニア駆動部1の初期スイッチオン時の場合であり、後続のステップS5において、いわゆる学習走行が行われる。ここでは、リニア駆動部1の駆動制御回路は、1つまたは複数のリニアモータを少なくともそれぞれ一度、第1の走行方向、例えば開放方向で作動させ、さらに一度、この第1の走行方向と反対の第2の走行方向、例えば閉鎖方向で作動させる。すなわち、有利には、スライドドア扉4のそれぞれ少なくとも1回の開放走行および閉鎖走行を行う。駆動制御回路は、1つないしは複数のリニアモータ、該当するスライドドア扉4を有利には最低走行速度、有利には最低駆動力で移動させる。このようなフェーズの間、有利には、内部の障害物識別は不活性化されている。第1の走行方向はここでは有利には駆動制御回路から離れていく方向であり、本発明では一度、リニア駆動部1の取り付け後に行われる。
【0036】
さらに、学習走行を付加的に、駆動制御回路と結合されている特別なスイッチを操作すること、例えばリセットスイッチを操作することによって手動で行うことができる。これは例えば、スライドドア扉4が、異なる重量を有している別のスライドドア扉に代わって使用される場合には有利である。この場合には、少なくとも、各リニアモータによって供給されるべき駆動力が変わる。学習走行が終了すると、駆動制御回路はいわゆる通常作動に切り替わる。すなわちリニア駆動部1の自動駆動に切り替わる(跳躍点(N))。
【0037】
上述の物理的なシステムパラメータおよび/またはリニア駆動部パラメータが既に求められている場合には(ステップS4後の「はい」分岐)、後続のステップS6において次のことが検査される。すなわち、上述した中断フラグがセットされているか否か、すなわち、充分なエネルギー供給の存在の出現直前に、エネルギー供給の中断または欠落が示されたか否かが検査される。ハイアクティブ時にこれがセットされない、すなわち、論理的な値が「0」ないしは「誤」を有する場合には、リニア駆動部1は通常のように作動され、駆動制御回路は同じように、通常作動に切り替わる(跳躍点(N))。
【0038】
しかし、ステップS6において中断フラグがセットされている場合には、後続のステップS7においていわゆるポジショニング走行が行われる。この場合に駆動制御回路はリニアモータを次のように駆動制御する。すなわち、リニアモータがまずはスライドドア扉4を有利には最低速度で、開放方向で、所定の終端ストップ、すなわちオープン位置まで走行させるように駆動制御する。これに続いて、リニアモータは次のように駆動制御される。すなわちリニアモータが、該当するスライドドア扉4を、所定の、有利には調節可能な通常閉鎖速度で、閉鎖方向で走行させるように駆動制御される。択一的に、固定子部分3内に設けられているホールセンサを介して、目下の位置が求められ、スライドドア扉4が既に閉鎖されていない限りは、スライドドア扉4は、不揮発性メモリ内に格納されている終端ストップ情報に基づいて動かされる。
【0039】
ポジショニング走行が成功すると、中断フラグがリセットされ、駆動制御回路は再び通常作動に切り換わる(跳躍点(N))。
【0040】
図3は、リニア駆動部1の通常動作、すなわち、リニアモータの自動駆動の例を示している。跳躍点(N)に続いて、ステップS11において、リニア駆動部1が静止作動状態に有るか否かが検査される。静止作動状態とは、駆動制御回路が該当するスライドドア扉4を、位置に保持することを意味している。最も簡単な場合には、1つ/または複数のリニアモータが駆動されず、実際に静止状態にある。択一的に、駆動制御回路は、1つないし複数のリニアモータを次のように駆動制御する。すなわち、このリニアモータが特定の力の保持力を、例えば、3Nと10Nの間の力を供給するように駆動制御する。殊に、これは、スライドドア扉4の閉鎖状態に関する。これによってスライドドア扉は閉められる、ないしはスライドドア扉4の開放方向での運動時に、閉鎖方向での相応する駆動力で駆動される。択一的に、閉ループ制御が行われる。従って、リニアモータはスライドドア扉4を位置に保持し、スライドドア扉は、例えば手動運動時に自動的に、静止位置に戻される。
【0041】
リニア駆動部がステップS11において静止作動状態にない場合(ステップS11後の「いいえ」分岐)、有利には少なくとも3つの監視回路がアクティブにされる。
【0042】
第1に、閉鎖縁監視がアクティブにされる(ステップS12)。これによって、障害物、例えば人の指が、各閉鎖縁の領域内に存在するとき、ひいては生じ得る挟み込みの危険性、ひいてはけがまたは損傷の危険性が生じているときに識別がされる。閉鎖縁の監視は次のように行われる。すなわち、それぞれ、スライドドア扉4の目下の走行方向に向いている閉鎖縁のみが監視される。択一的に、2つの閉鎖縁、すなわち主閉鎖縁および副閉鎖縁が、それぞれ同時に監視される。
【0043】
付加的に、障害物識別がアクティブにされる(ステップS13)。これによって、スライドドア扉4の走行中に、この前に、障害物が存在しているときが識別される。
【0044】
付加的に、有利には、運動監視がアクティブにされる(ステップS14)。これによって、後で説明するように、異常な走行状況が求められる。
【0045】
監視をアクティブにした後、ステップS15において、スライドドア扉4が既に、終端位置に有るか否かが検査される。この終端位置に向かってスライドドア扉が動かされる。この場合(ステップS15の後の「はい」分岐)には、跳躍点(R)を介して、リニア駆動部の静止動作のアクティブ化のために、ステップS2に戻る。しかし、障害物が識別されると、それが閉鎖縁領域であろうが、または一般的に、スライドドア扉4の前の走行領域であろうが、ステップS17において、いわゆる運動−安全応答が行われる。最も簡単な場合には、この応答は、リニアモータの停止を含む。付加的に、リニアモータのジェネレータ作動が行われ、これによって、スライドドア扉4はさらに迅速に、停止される。これに続いて、跳躍点(E)を介して、図1のステップS3に戻る。これによって、障害物除去されるまでリニア駆動部1が停止していることが保証され、これに続いて、スライドドア扉4がさらに、所望の運動方向で動かされる。
【0046】
択一的に、リニアモータの反転が行われる。この場合には、リニアモータはまずは、上の段落で記載されているように、保持され、次に、反対方向に動かされるが。有利には、この走行方向に相応する終点位置まで動かされる。すなわち、跳躍点(E)の代わりに、駆動制御回路はステップS11に跳躍する。
【0047】
運動監視は主に、図4に示されているルーチンを含んでいる。このルーチンには、図3の跳躍点(E)を介して跳躍する。この監視ルーチンは有利には少なくとも2つの監視分岐を含んでいる。第1の、図4の左側に示されている分岐では、温度監視が行われる。ここでは温度θが、所定の通常領域内にあるかに関して監視される。通常はこの領域は、リニア駆動部1に対する、越えてはならない非常に高い温度によって定められる。ステップS18では、これに関して監視が行われる。
【0048】
1つの温度θのみが示される場合にも、リニア駆動部1(例えば給電網部分、駆動制御回路および駆動制御回路)の各温度クリチカル領域に対して、それぞれ固有の温度センサが設けられる。すなわちθは、リニア駆動部1内の監視されるべき全ての温度値に対するものである。さらに、各温度センサは、固有の評価回路と結合されている。これは各温度値を検査する。このような評価回路の出力側は例えば、OR素子の入力側と結合される。これは、駆動制御回路の有利な構成部分である。評価回路は有利にはハイアクティブである。すなわち、評価回路は、検査されるべき各温度を越えたときに論理的「1」を出力し、その他の場合には論理的「0」を出力する。少なくとも1つの論理的「1」がOR素子の入力側に印加されると、この信号は、駆動制御回路に達する。この信号は例えば、中断入力信号として受信され、これによって、即時に応答することが可能になる。評価回路のローアクティブ時、すなわち、評価回路が、検査されるべき各温度を上回った場合に、論理的「0」を出力し、その他の場合には論理的「1」を出力する場合には、OR素子の代わりに、NAND素子が入力結合される。NAND素子は、自身の入力側に論理的「0」が印加されるとすぐに、論理的「0」を出力する。
【0049】
温度超過が検出されると(ステップS18の後の「いいえ」分岐)、後続のステップS19において、リニア駆動部1が静止作動状態にあるか否かが検査される。リニア駆動部1が静止作動状態にある場合には、温度上昇が外部の、例えば火災によって生起されている、ないしはリニア駆動部1が、スイッチオフされなければならないエラー機能を有していることが推測される(ステップS20)。択一的に、駆動制御回路がリニアモータを次のように駆動させてもよい。すなわち、避難扉の場合にはスライドドア扉4を開ける、または火災の延焼を阻止するために閉め、次にリニア駆動部1をスイッチオフするように、リニアモータを駆動させてもよい。次に、跳躍点(A)を介して、図1のステップS1前に跳躍する。これによってリニア駆動部1の再スタートが可能になる。
【0050】
リニア駆動部1が、静止作動状態にない場合、すなわち、スライドドア扉4がまさに動かされている場合には、駆動制御回路によって、リニアモータはスライドドア扉4を、低い速度で動かす。これによって、リニア駆動部1の加熱された部分の冷却を促すことができる。しかしこの代わりに、リニア駆動部1のスイッチオフをここで行うこともできる。
【0051】
温度監視と並行して、第2のルーチン分岐が行われる。ステップS22において同じように、リニア駆動部1が静止作動状態にあるか否かが検査される。リニア駆動部1が静止作動状態にある場合(ステップS22の後の「はい」分岐)には、跳躍点(E)を介して、図2のステップS3に戻る。
【0052】
リニア駆動部1が静止作動状態に無い場合(ステップ22の後の「いいえ」分岐)、まずはステップS23において、スライドドア扉4が、リニア駆動部1によって設定されている方向で動いているか否か、すなわち、リニア駆動部1ないしはそのリニアモータの速度

と、自身の方向におけるスライドドア扉4の速度

とが一致するか否か、すなわち同じ方向を指しているかが検査される。
これらが異なる方向を指している場合、スライドドア扉4は、リニア駆動部1の駆動方向と反対の方向に動いている。これはエラーを有する動作を意味している。これは、スライドドア扉4が手動で、駆動方向に対抗して動かされているときに生じる。これによってステップS25において、駆動制御回路によって、いわゆる運動安全応答が開始される。リニア駆動部1での損傷を回避するために、リニアモータの駆動部がスイッチオフされ、スライドドア扉4は手動で動かされるないしは移動される。スライドドア扉4が、スライドドア扉1の終端位置前の特定の制動領域に達すると、走行速度が過度に高い場合には、スライドドア扉4の制動が、例えば、ジェネレータ式作動によって、および/または属するリニアモータの、目下の走行方向と反対の駆動に関して行われる。制動後に、跳躍点(E)を介して、図2のステップS3に戻る。
【0053】
スライドドア扉4がステップS23において、リニア駆動部1によって設定されている方向で動いている場合には、ステップS24において、走行速度

が、すなわち絶対値的に、リニア駆動部1の駆動速度

よりも大きいか否かが検査される。
走行速度が大きい場合、スライドドア扉4は外部から、例えば人によって加速されている。リニア駆動部での損傷を回避するために、同じように、運動安全応答(ステップ25)が、上述のように行われる。
【0054】
走行速度

が絶対値的に、リニア駆動部1の駆動速度

よりも小さい、またはこれと同じ場合には、ステップS26において、スライドドア扉4の走行速度

が絶対値的に、リニア駆動部1の駆動速度

よりも小さいか否かが検査される。この場合には、駆動速度

で、例えば摩擦によって生じる損失等のエネルギー損失が加えられる。
このために、駆動制御回路によって、学習走行の間に求められたパラメータが用いられる。この比較が正のエネルギーを供給する場合、すなわちスライドドア扉4の走行速度

が絶対値的に、リニア駆動部1の駆動速度

よりも小さい場合、後続のステップS27において次のことが検査される。すなわち、速度差が、予め定められている閾値ΔVを上回っているか否かが検査される。超過分が、所定の速度差ΔVよりも大きい場合には、スライドドア扉が例えば人によって手動で制動されていることが推測される。損傷を回避するために、後続のステップS28において、リニア駆動部1の駆動エネルギーが低減され、究極の場合には完全にスイッチオフされる。その後、再びステップS23に戻り、駆動エネルギーの低減がさらに必要か否かが検査される。
【0055】
図4に示された2つの分岐は有利には並行して処理される。これは例えば、別個に形成された、駆動制御回路内に組み込まれている2つの回路によって実現される。択一的に2つのルーチン分岐が、唯一のマイクロコントローラによって、またはプロセッサによって、既知のパイプライン方法に相応して、ほぼ並行して行われる。
【0056】
図3のステップS11における検査が、リニア駆動部1が静止作動状態に無いという結果を出すと、跳躍点(S)を介して、図5に示されたルーチンに跳躍する。
【0057】
図5に示されているルーチンは、本発明の実施形態に従った、リニア駆動部1をアクティブにする方法を示している。従って、スライドドア扉1は、リニア駆動部ないしはそのリニアモータによって移動される。ステップS30では、スライドドア扉4の移動速度

が0よりも大きいか否かが検査される。
【0058】
走行速度

が0よりも大きい場合、後続のステップS31において次のことが検査される。すなわち、スライドドア扉の進んだ距離Sが所定の、有利には駆動制御回路の不揮発性メモリ内に格納されている値Sminよりも大きいか否かが検査される。従って値Sminは最短走行距離をあらわしている。進んだ距離が同じまたはより短い場合にはステップS30に戻る。そうでない場合には後続のステップS32において、リニア駆動部1が、速度ベクトル

によって設定された方向において、すなわち、スライドドア扉4の目下の走行方向においてスライドドア扉4を動かすために、アクティブにされる。このアクティブ化に続いて、図3におけるステップS15へ、跳躍点(V)を介して跳躍する。有利には、最短走行距離Sminは、10mm〜30mmの間の値に設定されている。
【0059】
従って、スライドドア扉4を相応する走行方向へ、手動で、所定の最低走行距離に沿って動かすことによって、スライドドア扉4の開放および閉鎖を起こすことが可能である。
【0060】
スライドドア扉4の走行速度

がステップS30において、一度、値0で求められると、すなわち、スライドドア扉4が停止していると、後続のステップS33において、スライドドア扉4が終端位置にあるか否かが検査される。スライドドア扉が終端位置、すなわち、開放位置または閉鎖位置にあると、跳躍点(R)を介して、図2のステップS2に跳躍する。
【0061】
しかし、リニア駆動部1はステップS34においてアクティブにされ、詳細には次の終端位置の方向へアクティブにされる。さらに、跳躍点(V)を介して、図3のステップS15へ跳躍する。これによって、スライドドア扉4が例えば、最短距離Sminよりも短い距離、手動で動かされた場合、スライドドア扉4は各終端位置へ戻る。これによって、繰り返される手動の走行に関する後続の検査がエラー無く行われる。これに加えて、所望されずに、スライドドア扉4が次第に開放される、または閉鎖されることが、阻止される。
【0062】
アクティブ化は、スライドドア扉4の手動の初期の走行の他に、当然ながら、アクティブ化スイッチによっても行われる。このスイッチは例えば、壁部内に組み込まれている。
【0063】
択一的または付加的に、各スライドドア扉4内にスイッチが組み込まれ、有利には接触スイッチによって構成される。全ガラススライドドア扉の場合には、このようなスイッチが、ガラス内に組み込まれたピエゾ圧電素子によって実現されてもよい。これは例えば、RFIDによって、駆動制御回路と結合可能である。各ピエゾ圧電素子を押圧すると、電圧が出力される。これはスイッチング部材を、アクティブ命令を除去するように駆動させる。このアクティブ命令は属する駆動制御回路によって受信される。
【0064】
リニアモータ駆動によって全体的に、調和のとれた、衝撃の無い、スライドドア扉4の走行が可能になる。これに加えて、容易な、安定した閉ループ調整が、種々の条件のもとで可能である。これは例えば、スライドドア扉の重さである。スライドドア扉4の走行速度

は非常に正確に、比較的幅の狭い許容誤差範囲内で閉ループ制御される。
【0065】
閉ループ制御および障害物識別を改善するために、駆動制御回路が構成される。作動中は、継続的に、作動パラメータの検査、例えば、駆動制御電圧の検査および場合によっては作動パラメータの順応化が行われる。
【0066】
有利には、駆動制御回路は次のように構成されている。すなわち、各リニアモータが、いわゆるフルエネルギーモードで作動されるように構成されている。このモードは有利には、封じられているスイッチを操作するだけで実現される。有利には、このモード内で、スライドドア扉4の走行速度

が2つの走行方向において有利には無段階に、例えば、それぞれポテンシオメータによって調整される。スライドドア扉4の閉鎖速度は有利には、スライドドア扉4の開放速度よりも低く、有利には開放速度の0.6倍である。これによって安全性が高まる。相対的に閉鎖速度が低いので、スライドドア扉はより迅速に停止され、場合によっては反転される。
【0067】
択一的または付加的に、駆動制御回路は次のように構成される。すなわち、スライドドア扉4の走行が、閉鎖位置の到達より前に有利には、閉鎖位置前の100mm〜200mmの間の領域において、減速されるように構成される。この領域における走行速度は有利には50mm/sと100mm/sとの間であり、ここで殊に、感度の高い障害物識別が行われる。これは、いわゆる主閉鎖縁監視である。
【0068】
付加的または択一的に、非常停止機能が設けられる。これはリニア駆動部1に、または構造側、例えば壁部内に、非常停止スイッチないしは、リニア駆動部1をエネルギー供給部から分断するためのスイッチを設けることによって実現される。
【0069】
同じように択一的に、スライドドアにおいて通常の終端位置である終端位置に、接着磁石が設けられる。この接着磁石は静止電流原理に従って作動し、駆動制御回路と結合される。接着磁石は有利には、スライドドア扉4が閉鎖位置に位置すると、接着磁石の方を向いているスライドドア扉4のキャリッジ2の接着磁石の方を向いている面と作用的に接続される。このような装置が、スライドドア扉4の開放位置に対して設けられてもよい。第2の接着磁石は、ここで、スライドドア扉4の自身の方に向いているキャリッジ2の、自身の方に向いている面と、作用的に結合する。給電網が欠落してしいる場合には、接着磁石にはもはやエネルギーは供給されず、スライドドア扉4がイネーブル化される。
【0070】
択一的または付加的に、駆動制御回路は次のように構成されている。すなわち、給電網欠落の場合に、各駆動制御されるリニアモータ、ひいてはこれによって駆動されるスライドドア扉4ができるだけ迅速に停止されるように構成されている。このために、スイッチオフの他に、リニアモータをジェネレータとして作動させることができる。これは、リニアモータが、いわゆる制動抵抗と結合されることによって実現される。これは、静止電流原理に従ってスイッチングされるスイッチング部材によって、例えば、リレーまたは切り換え回路によって実現される。
【0071】
付加的にまたは択一的に、電気的エネルギーのためのメモリ、例えば蓄電池または高出力コンデンサが設けられる。この内部には、リニア駆動部の通常作動の間にエネルギーが蓄積される。給電網故障時には、このエネルギー貯蔵部は、リニアモータないしは駆動制御回路と次のように結合される。すなわち、その蓄積されたエネルギーによって、リニアモータが、スライドドア扉4の目下の走行方向と反対の方向に駆動されるように結合される。これによって、スライドドア扉4をさらに迅速に制動することが可能である。このために、駆動制御回路は、蓄積されたエネルギーを用いて、リニアモータによって、該当するスライドドア扉4を完全に、所定の終端位置まで走行させることができる。
【0072】
各終端位置までの上述の制動過程ないしは走行過程が終了した後、駆動制御回路はスイッチオフされ、各リニアモータがもはや駆動制御されなくなる。これによって、スライドドア扉4はさらに手動で操作される。駆動制御回路に再び、充分なエネルギーが達すると、すなわち、給電網欠落がもはや存在しなくなると、駆動制御回路は有利には、上述したポジショニング走行を行う。
【0073】
択一的または付加的に継続オープン機能(Dauer-Auf-Funktion)がアクティブにされる。ここではスライドドア扉4はリニア駆動部1によって、開放位置へと動かされ、その後、静止作動に切り換えられる。しかも、スライドドア扉4は例えば、調整可能な開放時間が経過した後に、自動的に、閉鎖位置へと走行することがない。
【0074】
択一的または付加的に、次のような機能が設定される。この機能ではスライドドア扉4が、リニア駆動部1によって、各終端位置へと走行し、そこで、新たなスタートパルスが例えばスイッチによってリニア駆動部1を、スライドドア扉4がそれぞれ別の終端位置まで走行するように駆動するまで走行する。これに加えて、スイッチングパルスは、リニア駆動部1によるスライドドア扉4の走行中に、リニア駆動部を、スライドドア扉4が反対の方向で走行するようにさせる。
【0075】
個々の走行機能の間のスイッチングは、プログラミングスイッチによって行われる。プログラミングスイッチは有利には、リニア駆動部1のブラインドに、すなわち、外部から隠されて、または択一的にブラインドによって隠されて配置される。択一的又は付加的に、パワー接続端子、例えばUSBまたはファイアワイアが設けられる。これによって外部機器、例えばPalm、携帯電話および/またはコンピュータを接続することができ、機能を(切り替え)スイッチングすることができる。択一的または付加的に、リニア駆動部は有利には駆動制御回路で、無線コミュニケーションのためのインタフェース、例えばBluetoothまたは赤外線を有している。
【0076】
本発明を、一枚扉式スライドドア設備に関連して説明したが、本発明を容易に、複数扉式スライドドア扉、例えば入れ子方式のスライドドア設備、並びに湾曲スライドドア、円形スライドドア、折り畳み式ドア扉、移動式分断壁部等に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 リニア駆動部、 1a 支持用溝、 1b ガイドレール、 2 キャリッジ、 2a 回転子ロール、 2b 磁石列、 3 固定子部分、 4 スライドドア扉、 θ 温度、

リニア駆動部1の速度、

スライドドア扉4の速度、 ΔV 速度差閾値、 Si,n∈N ステップ、 (A) 跳躍点、 (B) 跳躍点、 (E) 跳躍点、 (N) 跳躍点、 (R) 跳躍点、 (S) 跳躍点、 (V) 跳躍点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路に沿って可動する少なくとも1つの部分(4)に対するリニア駆動部(1)であって、
前記少なくとも1つの部分(4)に対する少なくとも1つのリニアモータを有しており、固定子部分(3)と、キャリッジ(2)と、回転子部分とを有しており、さらに駆動制御回路を有しており、
当該駆動制御回路は、前記リニアモータに対するエネルギー供給が行われない場合に、スイッチオフすることによって、および当該リニアモータをジェネレータとして作動させることによって、前記少なくとも1つのリニアモータが停止され、当該停止後に、前記少なくとも1つの部分(4)が自身の移動能力に関してイネーブルにされるように構成されており、
さらに、前記少なくとも1つのリニアモータのエネルギー供給をスイッチオフするためのスイッチング手段を有しており、
前記駆動制御回路はさらに、エネルギー供給が新たに加えられた後に、前記少なくとも1つの部分(4)の少なくとも1つの終端ストップを求めるために前記少なくとも1つの部分(4)のポジショニング走行が行われる、および/または、初めに、または起動後に、前記少なくとも1つの部分(4)を駆動させるための所定のパラメータを求めるために、前記少なくとも1つの部分(4)の学習走行が行われるように構成されており、
当該学習走行は、それぞれ最低走行速度での、第1の走行方向における前記少なくとも1つの部分(4)の少なくとも1回の走行と、当該第1の走行方向と反対の第2の走行方向における前記少なくとも1つの部分(4)の少なくとも1回の走行とを有している、
ことを特徴とするリニア駆動部(1)。
【請求項2】
さらに、前記少なくとも1つの部分(4)の走行速度を調節するための手段を有している、請求項1記載のリニア駆動部(1)。
【請求項3】
さらに、前記少なくとも1つの部分(4)の走行速度を、各走行方向において別個に調節するための手段を有している、請求項1または2記載のリニア駆動部(1)。
【請求項4】
前記駆動制御回路はさらに、前記リニアモータの駆動方向に対して反対の方向、および/または前記リニアモータの駆動速度とは異なる走行速度で前記少なくとも1つの部分(4)が走行している場合に、前記リニアモータをスイッチオフする、またはジェネレータ式に作動させるように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの部分(4)が所定の走行方向で動くように、前記リニアモータをアクティブにする手段を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項6】
前記リニアモータはさらに距離センサを有しており、
前記駆動制御回路は、当該距離センサからの信号によって、自身の走行路に沿った前記少なくとも1つの部分(4)の運動および目下の位置が求められるように構成されており、
前記駆動制御回路は、静止状態からの前記少なくとも1つの部分(4)の運動と、前記少なくとも1つの部分(4)の目下の位置と、前記少なくとも1つの部分(4)の運動開始が初めに識別された静止位置との偏差とが求められると、前記少なくとも1つの部分(4)がその時の運動方向で動くように、所定の最低限度以上に前記リニアモータがアクティブにされるように構成されている、請求項5記載のリニア駆動部(1)。
【請求項7】
前記運動および前記位置偏差の特定は、前記少なくとも1つの部分(4)の終端位置に制限されている、請求項6記載のリニア駆動部(1)。
【請求項8】
前記駆動制御回路は、所定のパラメータの監視によって、前記少なくとも1つの部分(4)の走行路内に障害物が存在するかが識別されるように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項9】
前記パラメータは、前記少なくとも1つの部分(4)の走行速度、前記少なくとも1つの部分(4)の位置および/または前記リニアモータの駆動電流である、請求項8記載のリニア駆動部(1)。
【請求項10】
前記駆動制御回路はさらに、リニアモータに依存しない、前記少なくとも1つの部分(4)の走行を、前記少なくとも1つの部分(4)の所定の最高走行速度まで可能にし、前記最高走行速度を超過していることが求められると、前記リニアモータを、前記少なくとも1つの部分(4)の目下の走行方向に対して反対の方向で、所定の、前記最高走行速度の超過程度に依存した駆動力で作動させる、ように構成されている、請求項9記載のリニア駆動部(1)。
【請求項11】
前記駆動制御回路が、前記少なくとも1つの部分(4)の所定の最高速度の超過を特定したときに、前記リニアモータの作動は、停止、ジェネレータとしての作動および、前記少なくとも1つの部分(4)の目下の走行方向に対して反対の方向における前記リニアモータの駆動を含んでいる、請求項10記載のリニア駆動部(1)。
【請求項12】
前記駆動制御回路はさらに、前記少なくとも1つの部分(4)の駆動時に、前記少なくとも1つの部分(4)に関する所定の制動領域に達している場合に、前記リニアモータが所定の制動動作に相応して駆動されるように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のリニア駆動(1)。
【請求項13】
2つの制動領域はそれぞれ、前記少なくとも1つの部分(4)の終端ストップの前に設けられている、請求項12記載のリニア駆動(1)。
【請求項14】
前記駆動制御回路はさらに、少なくとも1つの部分(4)の少なくとも1つの最終位置において、前記少なくとも1つの部分(4)が所定の力で、各最終ポジションから出る前記少なくとも1つの部分(4)の運動に対して、阻止されるようにリニアモータを駆動するように、構成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項15】
前記駆動制御回路はさらに、前記少なくとも1つの部分(4)の少なくとも1つの終端ポジションにおいて前記少なくとも1つの部分(4)が自身の位置を保持するように、前記リニアモータを駆動制御するように構成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項16】
さらに、前記リニア駆動部(1)の摩擦の無い作動に関するパラメータを監視するセンサ装置を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項17】
前記動作パラメータは、リニアモータおよび/または駆動制御回路および/またはリニア駆動部(1)の給電網部分の作動温度を含む、請求項16記載のリニア駆動部(1)。
【請求項18】
前記駆動制御回路は、前記動作パラメータの少なくとも1つが、所定の許容領域外にあることが識別されると、前記リニア駆動部(1)の駆動制御が変わるように構成されている、請求項17記載のリニア駆動部(1)。
【請求項19】
前記変更された駆動制御は、前記リニアモータの駆動速度を低減させること、前記少なくとも1つの部分(4)に関する開放保持時間または閉鎖保持時間の延長および/または前記リニア駆動部(1)のスイッチオフを含んでいる、請求項18記載のリニア駆動部(1)。
【請求項20】
走行路に沿った前記少なくとも1つの可動部分(4)は、湾曲スライドドア扉、円形スライドドア扉、折り畳み式ドア扉または可動の分断壁部モジュールである、請求項1から19までのいずれか1項記載のリニア駆動部(1)。
【請求項21】
各走行路に沿って可動する複数の部分(4)を有している設備であって、
当該部分はそれぞれ、請求項1から20までのいずれか1項記載の、少なくとも1つのリニア駆動(1)によって作用的に結合されている
ことを特徴とする設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−537608(P2010−537608A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520438(P2010−520438)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005906
【国際公開番号】WO2009/021596
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(598055932)ドルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (56)
【氏名又は名称原語表記】DORMA GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】DORMA Platz 1, D−58256 Ennepetal, Germany
【Fターム(参考)】