説明

スライドヒンジ、及び携帯電子機器

【課題】携帯電子機器に適用した場合に、第1筐体に対する第2筐体の位置を検出できると共に、電力消費量が少なく、部品点数が少ないスライドヒンジを提供すること。
【解決手段】第1部材31と、第1部材31に対して第1位置と第2位置との間をスライド可能に連結された第2部材32とを有するスライドヒンジ30において、第1部材31側に支持される第1端子部53と、第2部材32側に支持される第2端子部62とを有する。第2部材32が第1部材31に対して第1位置にスライドすると、第1端子部53と第2端子部62とが導通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドヒンジ、及び携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、入力キーの誤操作の防止や表示部の保護等を目的として、入力キー等を備えた第1筐体に対して、表示部等を備えた第2筐体を開閉可能に連結したものがある。連結機構としては、第1筐体と第2筐体とを回動可能に連結するもの、第1筐体と第2筐体とをスライド可能に連結するものがある。
【0003】
スライド式の連結機構(スライドヒンジ)は、例えば、第1筐体側に設けられる第1部材、第2筐体側に設けられる第2部材、及び、第1部材と第2部材とをスライド可能に連結するガイド部材等により構成される。第2部材が第1部材に対して開位置にスライドすると、例えば、第1筐体の入力キー等が露出する。
【0004】
近年、スライド型の携帯電子機器において、第1筐体に対する第2筐体の位置を検出する位置検出スイッチの検出結果に応じて各種機能を制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この位置検出スイッチとしては、ホール素子や押下スイッチが用いられている。ホール素子を用いる場合、例えば第1筐体側に磁石を組み込み第2筐体側にホール素子を配置する。押下スイッチを用いる場合、例えば第1筐体側に凸部を設け第2筐体側に押下スイッチを設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−077001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ホール素子を用いる場合、ホール素子に電力を常時供給する必要がある。また、押下スイッチを用いる場合、第1筐体側に凸部を設け第2筐体側に互いに対向する一対の端子部を設けるので、部品点数が多くなる。このように、従来の位置検出スイッチは、電力消費量や部品点数に問題があった。
【0007】
ところで、一般に、第1筐体の中には第1回路基板が配置され、第2筐体の中には第2回路基板が配置される。第1回路基板(第2回路基板)における基準電位の安定化やノイズ抑制の観点から、第1回路基板(第2回路基板)のグランドパターンと第1筐体(第2筐体)側のグランドフレームとを接続することが重要となる。第1筐体(第2筐体)側のグランドフレームとしては、導電性の第1部材(第2部材)を用いることができる。
【0008】
しかしながら、従来のスライドヒンジでは、第1部材と第2部材との間に、スライド時の衝撃の緩和や騒音の低減を目的として、ポリアセタール(POM)等の樹脂製の絶縁性ガイド部材が介装されていた。このため、両グランドフレームの間に電位差が生じる場合があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、携帯電子機器に適用した場合に、第1筐体に対する第2筐体の位置を検出できると共に、電力消費量が少なく、部品点数が少ないスライドヒンジを提供することを第1目的とする。また、携帯電子機器に適用した場合に、第1筐体側のグランドフレームと、第2筐体側のグランドフレームとの間の電位差を除去できるスライドヒンジを提供することを第2目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記第1目的を達成するため、第1発明は、第1部材と、前記第1部材に対して第1位置と第2位置との間をスライド可能に連結された第2部材とを有するスライドヒンジにおいて、
前記第1部材側に支持される第1端子部と、
前記第2部材側に支持される第2端子部とを有し、
前記第2部材が前記第1部材に対して前記第1位置にスライドすると、前記第1端子部と前記第2端子部とが導通する。
【0011】
前記第2目的を達成するため、第2発明は、第1発明に係るスライドヒンジであって、
前記第1部材と前記第2部材とをスライド可能に連結する絶縁性ガイド部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを導通する導通手段とを更に有し、
前記第1部材及び前記第2部材は、導電性を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、携帯電子機器に適用した場合に、第1筐体に対する第2筐体の位置を検出できると共に、電力消費量が少なく、部品点数が少ないスライドヒンジを提供することができる。
【0013】
第2発明によれば、携帯電子機器に適用した場合に、第1筐体側のグランドフレームと、第2筐体側のグランドフレームとの間の電位差を除去できるスライドヒンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態である携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】携帯電話機の外観を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にある状態を示す図である。
【図3】携帯電話機の外観を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にある状態を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態であるスライドヒンジ30を示す斜視図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にある状態を示す図である。
【図5】スライドヒンジ30を示す斜視図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にある状態を示す図である。
【図6】図4の領域T1を拡大して示す図であり、絶縁性ハウジング41を透過して示す図である。
【図7】図4の領域T2を拡大して示す図であり、絶縁性ガイド部材33を透過して示す図である。
【図8】位置検出スイッチ40aの要部の断面を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にある状態を示す図である。
【図9】位置検出スイッチ40aの要部の断面を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にある状態を示す図である。
【図10】第1部材31と第1回路基板13との関係を説明するための図である。
【図11】第2部材32と第2回路基板14との関係を説明するための図である。
【図12】本発明の第2実施形態であるスライドヒンジ30Aの要部を拡大して示す断面図である。
【図13】スライドヒンジ30Aの要部を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態について説明する。尚、本実施形態では、本発明を携帯電話機に適用した場合について説明するが、本発明を携帯電話以外のPDA(携帯情報端末)、音声再生装置(MP3プレーヤ等)、カメラ、ゲーム機等の携帯電子機器に適用してもよい。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態である携帯電話機の構成を示すブロック図である。図2は、携帯電話機の外観を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にある状態を示す図である。図3は、携帯電話機の外観を示す図であり、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にある状態を示す図である。
【0017】
携帯電話機は、通信機能(通話、メール送受信、インターネット接続)、カメラ機能、テレビ機能等を備える。携帯電話機は、第1筐体11と、第2筐体12とがスライド可能に連結されたスライド型の携帯電話機である。
【0018】
携帯電話機は、第1筐体11、第2筐体12、第1回路基板13、第2回路基板14、操作部15、カメラ部16、マイク部17、表示部21、無線通信部22、放送受信部23、スピーカ部24、制御部25、スライドヒンジ30、及び位置検出スイッチ40を備える。
【0019】
第1回路基板13は、第1筐体11内に設けられ、第1筐体11側に配設される各部を接続するものである。
【0020】
第2回路基板14は、第2筐体12内に設けられ、第2筐体12側に配設される各部を接続するものである。第2回路基板14は、FFC等のケーブルにより第1回路基板13に接続されている。
【0021】
操作部15は、第1筐体11の前面に配置された複数の入力キー15a、第1筐体11の側面に配置された複数の入力キー15b等から構成される。操作部15は、ユーザの入力操作に応じた信号を出力する。
【0022】
カメラ部16は、第1筐体11の背面に配置され、CCDやCMOS等の撮像素子等で構成される。
【0023】
マイク部17は、ユーザによる音声入力を受け付ける受話部として機能するものである。
【0024】
表示部21は、第2筐体12の前面(第1筐体11と反対側の面)に配置され、画像、図形、文字等を表示する機能を備え、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。尚、表示部21は、圧力や静電容量などによりユーザの入力操作を検知するスイッチ機能を兼ね備えてもよく、この場合、例えばタッチパネル等で構成される。
【0025】
無線通信部22は、アンテナ22aを介して、無線基地局との間で情報を送受信するものであり、第2筐体12内に配置されている。
【0026】
放送受信部23は、アンテナ23aを介して、TV放送やラジオ放送を受信するものであって、第2筐体12内に配置されている。
【0027】
スピーカ部24は、音声を出力するものである。
【0028】
スライドヒンジ(連結機構)30は、第1筐体11に対して第2筐体12を閉位置(第1位置)と開位置(第2位置)との間でスライド可能に連結するものである。尚、スライドヒンジ30の詳細については後述する。
【0029】
図2及び図3に示す例では、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にスライドすると、操作部15が露出し、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にスライドすると、操作部15の入力キー15aが隠れる。これにより、入力キー15aの誤操作を防止することができる。また、携帯電話機の長手方向(矢印Y1、Y2方向)寸法を縮小することができる。
【0030】
尚、図2及び図3に示す例では、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にスライドすると、入力キー15aが露出するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1筐体11の前面に入力キー15aの代わりに表示部を配置してもよく、この場合、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にスライドすると、表示部が露出し、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にスライドすると、表示部が隠れる。これにより、表示部を保護することができる。
【0031】
位置検出スイッチ40は、第1筐体11に対する第2筐体12の位置を検出するスイッチである。位置検出スイッチ40は、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にスライドするときにオン信号(閉信号)を出力してもよいし、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にスライドするときにオン信号(開信号)を出力してもよい。尚、位置検出スイッチ40の詳細については後述する。
【0032】
制御部25は、携帯電子機器の各部を制御して、携帯電子機器の各種機能を実現するものである。制御部25は、マイクロコンピュータ等で構成される。制御部25は、操作部15や位置検出スイッチ40等からの各種信号等に基づいて各種機能を実現する。例えば、制御部25は、位置検出スイッチ40から開信号を受信すると、表示部21にメニュー画像を表示する。また、制御部25は、位置検出スイッチ40から閉信号を受信すると、表示部21に待ち受け画像を表示する(又は、表示部21をスリープモードとする)。
【0033】
次に、スライドヒンジ30の詳細について図4及び図5を参照して説明する。
【0034】
図4は、本発明の第1実施形態であるスライドヒンジ30を示す斜視図であり、第1筐体11(第1部材31)に対して第2筐体12(第2部材32)が開位置にある状態を示す図である。図5は、スライドヒンジ30を示す斜視図であり、第1筐体11(第1部材31)に対して第2筐体12(第2部材32)が閉位置にある状態を示す図である。
【0035】
スライドヒンジ30は、第1部材31、第2部材32、絶縁性ガイド部材33等により構成される。
【0036】
第1部材31は、導電性を有し、例えばSUS板等の金属板を加工して形成される。第1部材31は、第1筐体11側に設けられる。例えば、第1部材31は、第1筐体11の前面部(第2筐体12側の面部)の一部であってよい。
【0037】
第2部材32は、導電性を有し、例えばSUS板等の金属板を加工して形成される。第2部材32は、第2筐体12側に設けられる。例えば、第2部材32は、第2筐体12の背面部(第1筐体11側の面部)の一部であってよい。
【0038】
第2部材32の幅方向両端部は、それぞれ、U字状に折り返されている。この第2部材32の幅方向両端部の内側には、それぞれ、絶縁性ガイド部材33が1つずつ固定されている。
【0039】
絶縁性ガイド部材33は、第1部材31に対して第2部材32を開位置(第1位置)と閉位置(第2位置)との間でスライド可能に連結する部材である。絶縁性ガイド部材33は、スライド時の衝撃の緩和や騒音の低減を目的として、ポリアセタール(POM)等の樹脂で形成されている。
【0040】
図4及び図5に示す例では、一対の絶縁性ガイド部材33の内側面には、それぞれ、ガイド溝34が形成されている。各ガイド溝34には、第1部材31の幅方向端部がスライド可能に挿入されている。これにより、第1部材31に対して第2部材32が矢印Y1、Y2方向にスライド可能とされている。
【0041】
次に、位置検出スイッチ40の詳細について図4及び図5を参照して説明する。
【0042】
位置検出スイッチ40は、第1筐体11(第1部材31)に対する第2筐体12(第2部材32)の位置を検出するスイッチである。
【0043】
図4及び図5に示す例では、位置検出スイッチ40は、携帯電子機器の幅方向両側にそれぞれ2つずつ配設されている。4つの位置検出スイッチ40のうちの2つの位置検出スイッチ40a、40bは、それぞれ、第1筐体11に対して第2筐体12が閉位置にスライドすると閉信号を出力するスイッチである。残りの2つの第2位置検出スイッチ40c、40dは、それぞれ、第1筐体11に対して第2筐体12が開位置にスライドすると開信号を出力するスイッチである。これにより、2種類の開信号、閉信号を出力することができる。本明細書では、4つの位置検出スイッチ40a〜40dを区別しないときには、単に位置検出スイッチ40という。
【0044】
尚、図4及び図5に示す例では、4つの位置検出スイッチ40a〜40dが配設されるとしたが、いずれか1つの位置検出スイッチ40が配設されてもよく、その設置数及びその組合せに制限はない。
【0045】
次に、位置検出スイッチ40aについて説明する。尚、他の位置検出スイッチ40b〜40dは、位置検出スイッチ40aと略同一構成、略同一動作であるので説明を省略する。
【0046】
位置検出スイッチ40aは、第1部材31側(第1筐体11側)に支持される第1コンタクト50(図6参照)、及び、第2部材32側(第2筐体12側)に支持される第2コンタクト60(図7参照)等により構成される。
【0047】
先ず、第1コンタクト50について図6を参照して説明する。
【0048】
図6は、図4の領域T1を拡大して示す図であり、絶縁性ハウジング41を透過して示す図である。
【0049】
第1コンタクト50は、導電性を有し、例えばリン青銅板等の金属板を加工して形成される。第1コンタクト50は、絶縁性ハウジング41に圧入固定されている。絶縁性ハウジング41は、第1部材31に固定されており、第1部材31と第1コンタクト50とを絶縁している。
【0050】
第1コンタクト50は、第1接続部51、腕部52、及び第1端子部53を一体的に形成した構成とされている。各部51、52、53は、絶縁性ハウジング41から露出又は突出すると共に、第1部材31に接触しないように構成されている。
【0051】
第1接続部51は、V字状に屈曲している。第1接続部51は、後述の図10に示すように、第1部材31に対して第1回路基板13がネジ71等により固定されると、第1回路基板13の所定部分に押圧され、矢印Z2方向に弾性変形する。この弾性変形を元に戻そうとする弾性復元力により、第1接続部51が第1回路基板13の所定部分に圧接される。
【0052】
腕部52は、スライド方向(矢印Y1、Y2方向)に対して斜めに傾斜している。この腕部52は、第1端子部53側が第1接続部51側よりも幅方向外側(矢印X1方向)に突き出るように構成されている。
【0053】
また、腕部52は、第1端子部53が幅方向外側(矢印X1方向)に押圧されると、第1接続部51側を支点として弾性的に撓む。
【0054】
第1端子部53は、U字状に屈曲している。第1端子部53の内側には、導電性ボール42が遊嵌されている。導電性ボール42は、第1端子部53、腕部52及び絶縁性ハウジング41によって脱落が防止されており、且つ、絶縁性ハウジング41によって第1部材31と絶縁されている。
【0055】
次に、第2コンタクト60について図7を参照して説明する。
【0056】
図7は、図4の領域T2を拡大して示す図であり、絶縁性ガイド部材33を透過して示す図である。
【0057】
第2コンタクト60は、導電性を有し、例えばリン青銅板等の金属板を加工して形成される。第2コンタクト60は、絶縁性ガイド部材33にインサート成形されている。絶縁性ガイド部材33は、上述の如く、第2部材32に取り付けられており、第2部材32と第2コンタクト60とを絶縁している。
【0058】
第2コンタクト60は、第2接続部61、長手方向一端部62、及び長手方向他端部63(図5参照)等により構成される。各部61、62、63は、絶縁性ガイド部材33から突出すると共に、第2部材32に接触しないように構成されている。
【0059】
第2接続部61は、長手方向一端部62と長手方向他端部63との間に設けられている。第2接続部61は、V字状に屈曲している。第2接続部61は、後述の図11に示すように、第2部材32に対して第2回路基板14がネジ73等により固定されると、第2回路基板14の所定部分に押圧され、矢印Z1方向に弾性変形する。この弾性変形を元に戻そうとする弾性復元力により、第2接続部61が第2回路基板14の所定部分に圧接される。
【0060】
長手方向一端部(第2端子部)62は、L字状の断面形状を有する。これにより、平板状の場合と比較して、剛性が高くなっている。第2端子部62は、第1部材31に対して第2部材32が開位置から閉位置にスライドすると、絶縁性ハウジング41の挿入口から内部に入り込み、導電性ボール42を幅方向外側(矢印X1方向)に押圧する。
【0061】
長手方向他端部63は、長手方向一端部62と略同一構成、略同一動作であり、位置検出スイッチ40cにおける第2部材32側(第2筐体12側)に支持された端子部となる。
【0062】
次に、位置検出スイッチ40aの動作について説明する。
【0063】
図8は、位置検出スイッチ40aの要部の断面を示す図であり、第1筐体11(第1部材31)に対して第2筐体12(第2部材32)が開位置にある状態を示す図である。図9は、位置検出スイッチ40aの要部の断面を示す図であり、第1筐体11(第1部材31)に対して第2筐体12(第2部材32)が閉位置にある状態を示す図である。
【0064】
第1筐体11に対して第2筐体12が開位置から閉位置にスライドを開始すると、第2筐体12側に支持された第2端子部62が第1筐体11側に固定された絶縁性ハウジング41の挿入口から内部に入り込み、導電性ボール42に接触する。そうすると、導電性ボール42が幅方向外側(矢印X1方向)に押圧され、第1端子部53が幅方向外側(矢印X1方向)に押圧される。これにより、腕部52が弾性変形し、第1端子部53が幅方向外側(矢印X1方向)に移動する。
【0065】
第1端子部53が幅方向外側(矢印X1方向)に移動することにより、第1端子部53の側面部53aと第2端子部62の側面部62aとの間に、導電性ボール42が回転しつつ割り込む。これにより、第1端子部53と第2端子部62とが導通し、閉信号が出力される。
【0066】
このように、第1筐体11側(第1部材31側)に支持された第1端子部53と第2筐体12側(第2部材32側)に支持された第2端子部62とが導通するので、従来例に比較して、供給電力量が少なく、部品点数が少ない携帯電子機器を提供することができる。
【0067】
また、導通時に腕部52が弾性変形するので、導通時の衝撃を緩和することができ、耐久性を高めることができる。また、腕部52が弾性変形するので、この弾性変形を元に戻そうとする弾性復元力により、第1端子部53の側面部53aが導電性ボール42に圧接され、導電性ボール42が第2端子部62の側面部62aに圧接される。これにより、第1端子部53と第2端子部62とを確実に導通することができる。
【0068】
また、導通時に導電性ボール42が回転するので、導通時の衝撃を緩和することができ、耐久性を高めることができる。
【0069】
一方、第1筐体11(第1部材31)に対して第2筐体12(第2部材32)が閉位置から開位置にスライドを開始すると、第2筐体12側に支持された第2端子部62が第1筐体11側に固定された絶縁性ハウジング41の挿入口から抜け出て導電性ボール42から離間する。これにより、第2端子部62と第1端子部53との接続が解除される。この状態では、腕部52が弾性復元し、第1端子部53が元の位置に戻る。
【0070】
上記のように、第1実施形態によれば、第1筐体11側(第1部材31側)に支持された第1端子部53と第2筐体12側(第2部材32側)に支持された第2端子部62とが導通するので、従来例に比較して、供給電力量が少なく、部品点数が少ない携帯電子機器を提供することができる。
【0071】
また、第1実施形態によれば、導通時に腕部52が弾性変形するので、導通時の衝撃を緩和することができ、耐久性を高めることができる。また、腕部52の弾性復元力により第1端子部53と第2端子部62とを確実に導通することができる。
【0072】
また、第1実施形態によれば、導通時に導電性ボール42が回転するので、導通時の衝撃を緩和することができ、耐久性を高めることができる。
【0073】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。尚、第2実施形態では、上記位置検出スイッチ40を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0074】
先ず、第1部材31と第1回路基板13との関係について図10を参照して説明する。
【0075】
第1部材31は、第1筐体11側のグランドフレームとして機能する部材であり、第1回路基板13のグランドパターン13aにネジ71等により接続されている。第1部材31と第1回路基板13との間には、絶縁性のスペーサ72が介装されている。
【0076】
次に、第2部材32と第2回路基板14との関係について図11を参照して説明する。
【0077】
第2部材32は、第2筐体12側のグランドフレームとして機能する部材であり、第2回路基板14のグランドパターン14aにネジ73等により接続されている。第2部材32と第2回路基板14との間には、絶縁性のスペーサ74が介装されている。
【0078】
図12は、本発明の第2実施形態であるスライドヒンジ30Aの要部を拡大して示す断面図である。図13は、スライドヒンジ30Aの要部を分解して示す斜視図である。尚、図12及び図13において、図1乃至図9と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第2実施形態では、第1部材31と第2部材32とを導通する導通手段80を更に設けたことを特徴とする。これにより、両グランドフレーム31、32の間の電位差を除去することができ、無線通信部22等のアンテナ22aの受信感度不良等が生じるのを防止することができる。
【0080】
図12及び図13に示す例では、導通手段80は、第1部材31に摺接するローラ部81、及び第2部材32に回転可能に軸支される軸部82、83を一体的に形成した構成とされている。第1部材31に対して第2部材32がスライドすると、ローラ部81が自らの軸周りに回転しながら第1部材31に接触し、軸部82、83が自らの軸周りに回転しながら第2部材32に接触する。これにより、第1部材31に対する第2部材32の位置に関係なく、第1部材31と第2部材32とを常に導通することができる。
【0081】
この導通手段80は、第2部材32の4隅に1つずつ配設されてよい。これにより、第1部材31に対する第2部材32のスライドを滑らかに行うことができる。
【0082】
図12及び図13に示す例では、ローラ部81は、円柱状に形成され、絶縁性ガイド部材33に設けた凹部35内に回転可能に収容されている。ローラ部81は、外周面が第1部材31の幅方向端面に摺接しつつ回転可能な構成とされている。これにより、第1部材31の幅方向端面に付着した塵埃等をワイピングすることができ、塵埃等による導通不良を防止することができる。
【0083】
尚、図12及び図13に示す例では、ローラ部81は、円柱状に形成されるとしたが、その形状に制限はない。例えば、ローラ部81は、歯車状に形成されてもよく、この場合、第1部材31の幅方向端面には、ローラ部81と噛合するラック歯が設けられてよい。また、ローラ部81は、円錐台状に形成されてもよく、この場合、第1部材31の幅方向端面は、ローラ部81の外周面と面接触するテーパ面とされてよい。
【0084】
軸部82、83は、ローラ部81と同軸的に設けられ、第2部材32の幅方向端部に回転可能に軸支されている。
【0085】
第2部材32の幅方向端部の開口部91には、第1軸部82を回転可能に支持する一対の第1支持部92が形成されている。一対の第1支持部91は、それぞれ、略W字状に形成され、スライド方向と直交する方向(矢印X1、X2方向)に弾性変形可能な構成とされると共に、矢印X1、X2方向に第1軸部82を挟持可能な構成とされている。
【0086】
第2部材32の幅方向端部の切り欠き部93には、第2軸部83を回転可能に支持する一対の第2支持部94が形成されている。一対の第2支持部94は、それぞれ、スライド方向(矢印Y1、Y2方向)に弾性変形可能な構成とされると共に、矢印Y1、Y2方向に第2軸部83を挟持可能な構成とされている。
【0087】
第1軸部82を一対の第1支持部92の間に圧入し、第2軸部83を一対の第2支持部94の間に圧入することにより、第2部材32に導通手段80を取り付けることができる。
【0088】
この状態では、上述の如く、第1軸部82がスライド方向と直交する方向(矢印X1、X2方向)に挟持されており、且つ、第2軸部83がスライド方向(矢印Y1、Y2方向)に挟持されているので、導通手段80の第2部材32からの脱落を抑制することができる。
【0089】
上記のように、第2実施形態によれば、第1部材31と第2部材32とを導通する導通手段80を設けることにより、両グランドフレーム31、32の間の電位差を除去することができ、無線通信部22等のアンテナ22aの受信感度不良等が生じるのを防止することができる。
【0090】
また、第2実施形態によれば、第1部材31に対する第2部材32のスライドに伴い、ローラ部81が第1部材31の端面に摺接しつつ回転するので、第1部材31の幅方向端面に付着した塵埃等をワイピングすることができ、塵埃等による導通不良を防止することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0092】
例えば、第1実施形態において、位置検出スイッチ40は、スライドヒンジ30を構成する第1部材31、第2部材32に配設されるとしたが、本発明の携帯電子機器はこれに限定されない。例えば、位置検出スイッチ40は、第1筐体11の側面部、第2筐体12の側面部に配設されてもよい。
【0093】
また、第1実施形態において、腕部52を第1端子部53と一体的に形成したが、腕部52に相当する部材を第2端子部62と一体的に形成してもよい。
【0094】
また、第1実施形態において、導電性ボール42を第1筐体11側(第1部材31側)に配設したが、第2筐体12側(第2部材32側)に配設してもよい。
【0095】
また、第2実施形態において、導通手段80は、ローラ部81と軸部82、83とにより構成されるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、導通手段80は、導電性ボールにより構成されてもよく、この場合、導電性ボールが第1部材31と第2部材32との間に介装される。これにより、導電性ボールを介して第1部材31と第2部材32とを常に導通することができる。
【0096】
また、第2実施形態において、導通手段80は、ローラ部81が第1部材31と摺接し軸部82、83が第2部材32に回転可能に軸支される構成としたが、ローラ部81が第2部材32と摺接し軸部82、83が第1部材31に回転可能に軸支される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0097】
11 第1筐体
12 第2筐体
13 第1回路基板
14 第2回路基板
30 スライドヒンジ
31 第1部材
32 第2部材
33 絶縁性ガイド部材
40 位置検出スイッチ
50 第1コンタクト
52 腕部
53 第1端子部
60 第2コンタクト
62 第2端子部
80 導通手段
81 ローラ部
82 軸部
83 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材に対して第1位置と第2位置との間をスライド可能に連結された第2部材とを有するスライドヒンジにおいて、
前記第1部材側に支持される第1端子部と、
前記第2部材側に支持される第2端子部とを有し、
前記第2部材が前記第1部材に対して前記第1位置にスライドすると、前記第1端子部と前記第2端子部とが導通するスライドヒンジ。
【請求項2】
前記第1端子部又は前記第2端子部と一体的に形成された弾性変形可能な腕部を更に有し、
前記第2部材が前記第1部材に対して前記第1位置にスライドすると、前記腕部が弾性変形する請求項1記載のスライドヒンジ。
【請求項3】
前記第1部材側又は前記第2部材側に回転可能に支持される導電性ボールを更に有し、
前記第2部材が前記第1部材に対して前記第1位置にスライドすると、前記導電性ボールを介して、前記第1端子部と前記第2端子部とが導通する請求項1又は2記載のスライドヒンジ。
【請求項4】
前記第1部材と前記第2部材とをスライド可能に連結する絶縁性ガイド部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを導通する導通手段とを更に有し、
前記第1部材及び前記第2部材は、導電性を有する請求項1〜3いずれか一項記載のスライドヒンジ。
【請求項5】
前記導通手段は、前記第1部材又は前記第2部材と摺接するローラ部と、該ローラ部と一体的に形成され前記第2部材又は前記第1部材に回転可能に軸支される軸部とを有する請求項4記載のスライドヒンジ。
【請求項6】
前記ローラ部は、前記第1部材に対する前記第2部材のスライドに伴い、前記第1部材又は前記第2部材の端面に摺接しつつ回転する請求項5記載のスライドヒンジ。
【請求項7】
第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体に対して前記第2筐体を第1位置と第2位置との間でスライド可能に連結するスライドヒンジと、前記第1筐体に対する前記第2筐体の位置を検出する位置検出スイッチとを有する携帯電子機器において、
前記位置検出スイッチは、
前記第1筐体側に支持される第1端子部と、
前記第2筐体側に支持される第2端子部とを有し、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して前記第1位置にスライドすると、前記第1端子部と前記第2端子部とが導通する携帯電子機器。
【請求項8】
前記第1端子部又は前記第2端子部と一体的に形成された弾性変形可能な腕部を更に有し、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して前記第1位置にスライドすると、前記腕部が弾性変形する請求項7記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記第1筐体側又は前記第2筐体側に回転可能に支持される導電性ボールを更に有し、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して前記第1位置にスライドすると、前記導電性ボールを介して、前記第1端子部と前記第2端子部とが導通する請求項7又は8記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記第1筐体内に設けられる第1回路基板と、
前記第2筐体内に設けられる第2回路基板とを更に有し、
前記スライドヒンジは、
前記第1筐体側に設けられ、前記第1回路基板のグランドパターンと接続される導電性の第1部材と、
前記第2筐体側に設けられ、前記第2回路基板のグランドパターンと接続される導電性の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とをスライド可能に連結する絶縁性ガイド部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを導通する導通手段とを有する請求項7〜9いずれか一項記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記導通手段は、前記第1部材又は前記第2部材と摺接するローラ部と、該ローラ部と一体的に形成され前記第2部材又は前記第1部材に回転可能に軸支される軸部とを有する請求項10記載の携帯電子機器。
【請求項12】
前記ローラ部は、前記第1部材に対する前記第2部材のスライドに伴い、前記第1部材又は前記第2部材の端面に摺接しつつ回転する請求項11記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−4332(P2011−4332A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147694(P2009−147694)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】