スライド機構及びワーク搬送装置
【課題】回転軸に取り付けられたアームの長さを変更することができるとともに、ワークを直線的に移動可能にする。
【解決手段】回転軸18と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段20と、接続手段の端部Eがスライド移動可能に係合され、回転軸に対して垂直に延在する案内手段24とを備える。接続手段の旋回により端部が案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、この端部と回転軸との間の距離の変化に応じて、接続手段が伸縮する。
【解決手段】回転軸18と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段20と、接続手段の端部Eがスライド移動可能に係合され、回転軸に対して垂直に延在する案内手段24とを備える。接続手段の旋回により端部が案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、この端部と回転軸との間の距離の変化に応じて、接続手段が伸縮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライド機構及びこれを用いたワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸に取り付けられたアームの旋回動作を利用してワークを搬送するワーク搬送装置として、さまざまな種類のものが提案されている。以下、従来のワーク搬送装置について2つの例を挙げて説明する。
【0003】
(第1の従来技術)
第1の従来のワーク搬送装置は、アームの旋回運動をスライドレールに沿った直線運動に変換するスライド機構を備えている。
【0004】
ワーク搬送装置には、駆動源としてのモータに接続された回転軸が設けられている。この回転軸に、所定角度A'(0°<A'<180°)で往復旋回する旋回アームが設けられている。また、この回転軸に垂直に、スライドレールが設けられている。このスライドレールには、搬送テーブルが載置されている。搬送テーブルは、スライドレールに沿ってスライド移動可能である。搬送テーブルと旋回アームとは、旋回−直動変換機構で接続されていて、旋回アームの旋回運動が、搬送テーブルのスライドレールに沿った直線運動に変換される。つまり、旋回アームの旋回によって、搬送テーブルがスライドレールに沿って直線的にスライド移動する。
【0005】
尚、「旋回−直動変換機構」とは、アームの旋回に伴って、アームに設けられたカムフォロアが、直線状の開口又は溝であるカムフォロアガイドに沿って摺動することにより、カムフォロアガイドが設けられた部品を直線的に移動させる機構のことを言う。
【0006】
(第2の従来技術)
第2の従来のワーク搬送装置は、生機(クロスローラに巻き取られた織物)やストリップコイル(コイル状に巻かれた帯板)を移載するための搬送車である。
【0007】
この搬送車は、対向する一対の箱形フレーム間に横架させたボールスプライン軸を有し、このボールスプライン軸には前後一対の移載アームが軸線回りに回動可能に取り付けられている。この移載アームの先端にはワークの把持具が備えられている。移載アームは、旋回アームと伸縮アームとを備えている。旋回アームは、ボールスプライン軸の周りに旋回可能であり、一方、伸縮アームは、油圧式のアーム伸縮用シリンダにより、旋回アームに沿って伸縮可能とされている。
【0008】
そして、ワークを移送する際には、まず、旋回アームをボールスプライン軸の周りに所定回動する。続いて、把持具がワークの軸穴に対向するまで、伸縮アームを伸長する。そして、一対の移載アーム間の間隔を狭めることで、ワークを把持具で把持する。その後、伸縮アームを短縮し、かつ、旋回アームを回動して元の位置に戻すことによりワークを搬送車に搬入する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−182088号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、第1の従来技術では、旋回アームの長さが固定長とされており、その長さを変化させることができないという問題点があった。この問題点に起因して、第1の従来技術においては、(i)ワーク搬送距離を大きくすることが難しい、(ii)ワーク搬送距離を可変とすることができない、(iii)サイズの異なるワークを搬送することができない、等の困難が生じていた。
【0010】
また、第2の従来技術では、移載アームは伸縮可能である。しかし、第2の従来技術は、伸縮アームを短縮してワークを直線的に移動させた後に、移載アームを回動することでワークを円弧に沿って移動させるので、ワークを直線的に移動させる場合に比べて移動軌跡に無駄が多いという問題点がある。
【0011】
この発明は、これらの問題点に鑑みなされたものであり、従って、この発明の第1の目的は、回転軸に取り付けられたアームの長さを変更することができるとともに、ワークを直線的に移動させることが可能なスライド機構を提供することにある。
【0012】
この発明の第2の目的は、このスライド機構を用いたワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するために、この発明の第1のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、接続手段の端部がスライド移動可能に係合されていて、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段とを備えている。
【0014】
この接続手段は、接続手段の旋回により端部が案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、端部と回転軸との距離の変化に応じて、伸縮する。
【0015】
第1のスライド機構によれば、回転軸を中心とする接続手段の旋回に伴い、接続手段が、回転軸−端部間距離に応じて伸縮を行う。
【0016】
この発明の第2のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の回転運動を直線運動に変換し、それにより直線的に移動する第1移動手段と、接続手段に係合されていて、第1移動手段の移動と同時かつ同方向に第1移動手段に沿って直線的にスライド移動する第2移動手段と、接続手段の旋回運動を直線運動に変換し、それにより第1及び第2移動手段の移動と同時かつ同方向に第2移動手段に沿って直線的にスライド移動する第3移動手段とを備えている。
【0017】
この接続手段は、接続手段の旋回により第2移動手段が第1移動手段に沿ってスライド移動するとき、第2移動手段と回転軸との間の距離の変化に応じて、伸縮する。
【0018】
第2のスライド機構によれば、第1移動手段が直線移動を行うと、接続手段に接続された第2移動手段が、直線移動を行う第1移動手段に沿って移動する。さらに、第3移動手段が、第1移動手段に沿って移動する第2移動手段に沿って移動する。
【0019】
この発明の第3のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備えている。
【0020】
この連結部品は、接続手段の旋回により案内手段に沿ってスライド移動を行う。さらに、接続手段の一端部と他端部との間の距離は変更可能である。
【0021】
第3のスライド機構によれば、接続手段の一端部と他端部との間の距離を所望の長さに固定することができる。
【0022】
この発明の第4のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備えている。
【0023】
この連結部品は、接続手段の旋回により案内手段に沿ってスライド移動を行う。さらに、接続手段は、一端部と他端部との間に介在させて設けられていて、他端部を回転軸とは反対方向に常に付勢する弾性部品を備えている。
【0024】
第4のスライド機構によれば、接続手段に弾性部品が設けられているので、接続手段は長さが伸張した伸張状態を保とうとする。したがって、外力が作用することによって接続手段が短縮した場合、外力が取り除かれると自動的に伸張状態に復帰する。
【発明の効果】
【0025】
接続手段の長さ(回転軸−端部間距離)が固定されている従来のスライド機構では、他端部の案内手段に沿ったスライド移動距離は、接続手段の長さの2倍を越えることがない。しかし、この発明の第1のスライド機構によれば、接続手段が、回転軸−端部間距離に応じて伸縮するので、端部の案内手段に沿った直線的なスライド移動の移動距離を、接続手段が固定長とされている場合よりも大きくすることができる。
【0026】
この発明の第2のスライド機構は、第1〜第3移動手段の個々の長さに比較して、直線的なスライド移動の移動距離を大きくすることができる。
【0027】
この発明の第3のスライド機構は、連結部品の案内手段に沿った直線的なスライド移動の移動距離を可変とすることができる。
【0028】
この発明の第4のスライド機構をワーク搬送装置に利用した場合、サイズの異なるワークを直線的に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1〜12を参照して、この発明の実施の形態について説明する。尚、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例に過ぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。
【0030】
(実施の形態1)
図1〜図4を参照して実施の形態1のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図1(A)は、実施の形態1のワーク搬送装置の平面図であり、図1(B)は、同上の正面図である。図2は、同上の左側面図である。図3は、従来のワーク搬送装置の正面図である。図4は、実施の形態1のワーク搬送装置の作用を説明するための模式図である。
【0031】
まず、このワーク搬送装置10の構造について、図1,図2を参照して説明する。ワーク搬送装置10は、平面状の作業面12を有するベース14と、モータ16に接続された回転軸18と、一端部が回転軸18に接続されて作業面12上に延在する接続手段としての伸縮アーム20と、伸縮アーム20の他端部に接続された連結部品としての搬送テーブル22と、搬送テーブル22のスライド移動時のガイドである案内手段としてのスライドレール24とを備えている。
【0032】
ベース14は、四角形の板状に形成されており、その一方の主面が、作業面12となっている。
【0033】
モータ16は、ベース14の下面(作業面12の反対面)に取り付けられている。モータ16の軸は、ベース14に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸18に接続されている。回転軸18は、作業面12に対して垂直すなわち直交する方向に設けられている。モータ16は、モータ軸、従って回転軸18を180°未満の角度範囲で正逆回転することができる。ここで、回転軸18の回転中心をOとする。
【0034】
伸縮アーム20は、作業面12に対して平行に直線状に延在するアームである。伸縮アーム20は、旋回アーム26と可動アーム28とを備えている。伸縮アーム20は、旋回アーム26に係合された可動アーム28が、旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動することで、その長さが伸縮する。また、伸縮アーム20は、回転軸18の回転に伴って、回転軸18の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する。
【0035】
旋回アーム26は、基部26aと案内レール26bとを備えている。基部26aは、旋回アーム26の回転軸18方向の端部を構成し、回転軸18に接続されている。案内レール26bは、基部26aに接続され、基部26aから回転軸18とは反対方向に延在している。そして、案内レール26bの回転軸18とは反対方向の端部には、可動アーム28の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0036】
可動アーム28は、案内ガイド28aとアーム28bとを備えている。案内ガイド28aは、可動アーム28の回転軸18方向の端部を構成し、旋回アーム26の案内レール26bと直動軸受け27を介して係合している。これにより、前述のように可動アーム28は、旋回アーム26をガイドとして、旋回アーム26の延在方向に沿って自在に前進後退することができる。アーム28bは、案内ガイド28aから、回転軸18とは反対方向に延在している。アーム28bの回転軸18とは反対方向の端部Eには、軸形状の係合部としての係合凸部28cが設けられている。
【0037】
搬送テーブル22は、テーブル22a、係合凹部22b及び一対のスライドブロック22c,22cを備えている。テーブル22aは、略四角形の板状であり、その上にワークWが載置される。テーブル22aの略中央部には、円形開口である被係合部としての係合凹部22bが設けられている。この係合凹部22bと可動アーム28の係合凸部28cとは軸受けを介して係合されている。これにより、係合凸部28cと係合凹部22bとは、作業面12に平行な面内で自在に相対回転を行うことができる。また、テーブル22aの作業面12との対向面(下面)には、スライドレール24に沿って一対のスライドブロック22c,22cが設けられている。これらのスライドブロック22c,22cは、直方体状のブロックであり、作業面12との対向面(下面)には、スライドレール24に嵌る溝が設けられている。
【0038】
スライドレール24は、作業面12上に、回転軸18の軸方向に対して直交する方向に設けられた、両端部24L,24Rを有する直線状部品である。さらに、スライドレール24は、伸縮アーム20の端部Eが旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。そして、スライドレール24は、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oまでの距離が互いに等しくなるように配置されている(「距離:24L−O」=「距離:24R−O」)。ここで、スライドレール24の長手方向の中央部、つまり、両端部24L,24R間の中央部を24Cとする。スライドレール24は、スライドブロック22c,22cの前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより、搬送テーブル22は、スライドレール24に沿ってスライド移動を行うことができる。
【0039】
続いて、主に図1(A)を参照して、ワーク搬送装置10の動作につき説明する。ここでは、搬送テーブル22に載置されたワークWを、スライドレール24の左端部24L付近の搬送限界位置(位置L)から中央部24C(位置C)を経て右端部24R付近の搬送限界位置(位置R)へと直線的に移動させる場合を例示する。
【0040】
この移動は、回転軸18を反時計回りに回転させて、伸縮アーム20を角度A(0°<A<180°)だけ旋回させることで達成される。ここで、伸縮アーム20は、スライドレール24から回転中心Oに引かれた垂直線に対して対称に旋回するものとする。この移動の過程において、伸縮アーム20は、長さが最長の状態(位置L)から、長さが最小の状態(位置C)を経て、長さが最長の状態(位置R)へと至る。
【0041】
まず、位置Lから位置Cへの搬送テーブル22の移動について説明する。モータ16が駆動して回転軸18が回転すると、伸縮アーム20が、反時計回りに旋回を開始する。これにより、伸縮アーム20に接続された搬送テーブル22が右方向に付勢され、スライドレール24に沿って右方向に移動を開始する。この移動に伴って、搬送テーブル22と回転軸18との間の距離、すなわち、端部Eと回転中心Oとの間の距離が短くなっていく。ところで、伸縮アーム20は、旋回アーム26と旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動する可動アーム28とを備えている。よって、徐々に短くなっていく「端部E−回転中心O間距離」に応じて、可動アーム28が旋回アーム26に沿って回転軸18方向に後退して、伸縮アーム20の長さが短くなっていく。これにより、伸縮アーム20の旋回運動は、搬送テーブル22のスライドレール24に沿った直線運動に変換され、よって、ワークWが右方向に直線的に搬送される。
【0042】
このようにして、搬送テーブル22が位置Cに至るまでは、伸縮アーム20は、「端部E−回転中心O間距離」に応じて、その長さが短くなっていく。そして、搬送テーブル22が位置Cに至った時、つまり、伸縮アーム20がスライドレール24と直角になった時に、端部Eと回転中心Oとの距離は最小となり、伸縮アーム20の長さも最小となる。この時の端部E−回転中心O間距離をrminとする。
【0043】
さらに、搬送テーブル22が、位置Cから位置Rに移動する過程では、搬送テーブル22と回転軸18との間の距離、すなわち、端部Eと回転中心Oとの間の距離が長くなっていく。このように、徐々に長くなっていく「端部E−回転中心O間距離」に応じて、可動アーム28が旋回アーム26に沿って回転軸18の反対方向に前進して、伸縮アーム20の長さが長くなっていく。そして、伸縮アーム20が位置Lから角度Aだけ旋回した時に、伸縮アーム20の長さは最長となる。
【0044】
この時の端部E−回転中心O間距離をrmaxとすると、rmaxは、rmin+αと表すことができる。ここで、αは、rminと比較したときの、伸縮アーム20の長さの増加分であり、α>0である。よって、このワーク搬送装置10の搬送テーブル22の移動距離、すなわち、ワーク搬送距離Dは、2rmax×sin(A/2)となる。
【0045】
尚、位置Rから位置Lへと搬送テーブル22を移動する場合には、モータ16を逆回転させることで、回転軸18の回転方向を上述とは逆(時計回り方向)にすればよい。この時の伸縮アーム20の動作は、おおむね上述と同様である。
【0046】
ここで、実施の形態1のワーク搬送装置10の作用効果をより明確に示すために、(第1の従来技術)の欄で述べた従来のワーク搬送装置について説明する。
【0047】
図3は、従来のワーク搬送装置の概略構成を示す平面図である。ワーク搬送装置200には、回転軸202を中心として所定角度A'(0°<A'<180°)の範囲内で往復旋回する旋回アーム204が備えられている。旋回アーム204の先端にはカムフォロア206が設けられている。ここで、回転軸202とカムフォロア206との中心間距離は、r'である。
【0048】
また、ワーク搬送装置200には、回転軸202に垂直であり、直線状に延びるスライドレール208が備えられている。このスライドレール208には、直動軸受けを介して一対のスライドブロック210,210が配置されている。そして、スライドブロック210,210上に搬送テーブル212が固定されている。これにより、搬送テーブル212は、スライドブロック210,210を介してスライドレール208上をスライド移動することが可能となる。
【0049】
搬送テーブル212には、スライドレール208に対して垂直に延在する開口であるカムフォロアガイド214が形成されている。そして、旋回アーム204のカムフォロア206は、カムフォロアガイド214に係合されており、カムフォロア206はカムフォロアガイド214に沿って摺動自在とされている。
【0050】
このワーク搬送装置200は、旋回アーム204の旋回運動を、カムフォロア206及びカムフォロアガイド214により、搬送テーブル212のスライドレール208に沿った直線運動に変換する。このワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'は、2r'×sin(A'/2)となる。
【0051】
ここで、この発明のワーク搬送装置10のワーク搬送距離D(=2rmax×sin(A/2))と従来のワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'(=2r'×sin(A'/2))との比較を行う。両者を同条件で比較するために、伸縮アーム20は、スライドレール24から回転中心Oに引かれた垂直線に対して、一方、旋回アーム204は、スライドレール208から回転軸202の回転中心に引かれた垂直線に対して、どちらも左右に対称に移動されるものとする。また、伸縮アーム20の旋回角度Aと旋回アーム204の旋回角度A'とは等しいものとする(A=A')。さらに、伸縮アーム20の端部E−回転中心O間距離rminは、旋回アーム204の回転軸202とカムフォロア206との中心間距離r'と等しいものとする(rmin=r')。
【0052】
この場合、常にD>D'との関係が成り立つ。旋回アーム204の長さが固定されている従来のワーク搬送装置200では、ワーク搬送距離D'は、旋回アーム204の長さr'の2倍を越えることがない。しかし、実施の形態1のワーク搬送装置10では、伸縮アーム20が、端部E−回転中心O間距離に応じて伸縮するので、ワークを従来よりも長い搬送距離Dにわたって直線的に搬送することができる。換言すれば、ワーク搬送装置10のワーク搬送距離Dと従来のワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'とが等しい場合、ワーク搬送装置10を従来のワーク搬送装置200よりも小型にすることができる。
【0053】
また、スライドレール24を、その両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの距離が等しくなるように配置することで、伸縮アーム20のrminとrmaxとをともに最小とすることができる。これにより、搬送テーブル22を、スライドレール24の両端部24L,24Rの間で直線的に往復移動させる際に必要な伸縮アーム20の長さを最小とすることができる。
【0054】
この点について図4を参照してより詳細に説明する。図4は、スライドレール24に平行に回転中心Oの位置を変化させた場合のrmin,rmaxの長さの変化を説明するための模式図である。尚、図4においては、理解の容易さを考えて、スライドレール24,伸縮アーム20を単なる線分に単純化して表している。図4に実線で示したものが、実施の形態1に相当し、回転中心Oを、スライドレール24の両端部24L,24Rと回転中心Oとの距離が等しくなるように配置した場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値はrminであり、及び、最大値はrmaxである。図4の破線で示したものは、回転中心O'を、スライドレール24の端部24Rに対向する位置に設けた場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値r'minはrminと等しいが、長さの最大値r'maxは、rmaxよりも大きくなる。図4の1点鎖線で示したものは、回転中心O''を、スライドレール24の端部24Rよりもさらに右側の位置に設けた場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値r''minは、r'minよりも大きく、長さの最大値r''maxは、r'maxよりも大きくなる。図4から判るように、実施の形態1のように、スライドレール24を、その両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくなるように配置することで伸縮アーム20のrminとrmaxをともに最小とすることができる。
【0055】
また、伸縮アーム20とスライドレール24とが搬送テーブル22を介して接続されているので、伸縮アーム20をスライドレール24に直接接続する必要がなく、ワーク搬送装置10の設計自由度が向上する。
【0056】
また、伸縮可能な伸縮アーム20を、旋回アーム26と可動アーム28という2部品の簡単な組み合わせで構成できる。これにより、ワーク搬送装置10の複雑化を防ぐことができる。
【0057】
さらに、可動アーム28が直動軸受け27を介して旋回アーム26に係合されているので、可動アーム28が旋回アーム26をガイドとしてスムーズに前進後退することが可能である。
【0058】
尚、伸縮アーム20は、端部Eと回転中心Oとの距離の変化に応じて伸縮するものであれば、直線状に形成されている必要はない。また、端部Eが旋回する際の軌跡を含む平面が作業面12に平行であれば、伸縮アーム20は、作業面12に平行に延びている必要はない。例えば、回転軸18が、作業面12から高く突出している場合には、伸縮アーム20が、この回転軸18に斜め下向きに接続されていてもよい。
【0059】
また、旋回アーム26は、その回転軸18方向の端部(基部26a)において回転軸18に接続されている必要はなく、伸縮アーム20の旋回及び伸縮を妨げない範囲において、旋回アーム26の中途部分が回転軸18に接続されていてもよい。
【0060】
また、伸縮アーム20において、可動アーム28が、旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動することができれば、旋回アーム26と可動アーム28とは直動軸受け27を介して係合している必要はなく、公知の種々のスライド機構を用いてもよい。
【0061】
また、搬送テーブル22がスライドレール24に沿ってスライド移動を行うことができれば、可動アーム28とテーブル22aとが直接係合されている必要はない。例えば、可動アーム28の端部Eがスライドレール24にスライド移動可能に係合され、この端部Eにテーブル22aを設けてもよい。
【0062】
また、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくなるようにスライドレール24を配置することが最も好ましい。しかし、実用上許容できる範囲内で、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくならないようにスライドレール24を配置してもよい。
【0063】
また、テーブル22aの形状及び面積に特に制限はない。搬送すべきワークWの形状に合わせて、所望のものを用いることができる。
【0064】
さらに、モータ16の配置位置は、回転軸18を駆動することができれば、ベース14の下側(作業面の反対面)に限られない。
【0065】
(実施の形態2)
図5〜7を参照して実施の形態2のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図5は、実施の形態2のワーク搬送装置の正面図である。図6は、同上の左側面図である。図7は、同上の動作を説明するための模式図である。
【0066】
まず、このワーク搬送装置30の構造について、図5及び,図6を参照して説明する。ワーク搬送装置30は、一対の支持パネル34,34と、一対の第1サイドパネル36,36と、モータ38及び減速機40と、回転軸41とを備えている。一対の支持パネル34,34は、ベース32の主面32a上に所定の間隔をおいて立設している。一対の第1サイドパネル36,36は、支持パネル34,34の間の主面32a上に対向して立設されていて、頂面に第1スライドレール35,35を備えている。モータ38及び減速機40は、第1サイドパネル36,36の間の主面32a上に固定されている。回転軸41は、減速機40に接続されていて、支持パネル34,34及び第1サイドパネル36,36を貫通して設けられている。
【0067】
また、このワーク搬送装置30は、第1移動手段としての一対の第2サイドパネル44,44と、第2移動手段としての一対のスライドブロック48,48と、第3移動手段としての一対の第3スライドレール50,50とを備えている。
【0068】
第2サイドパネル44,44は、第1スライドレール35,35上をスライド移動するとともに、それぞれの頂面に第2スライドレール42,42を備えている。スライドブロック48,48は、第2スライドレール42,42上をスライド移動するとともに、それぞれの頂面にスライドガイド46,46を備えている。第3スライドレール50,50は、スライドガイド46,46上をスライド移動する。そして、第3スライドレール50,50間にワークWが保持される。
【0069】
さらに、このワーク搬送装置30は、支持パネル34と第1サイドパネル36との間の回転軸41に、一対の第1旋回アーム54,54を備えている。第1旋回アーム54,54は、回転軸41の回転運動を直線運動に変換する旋回−直動変換機構55を介して第2サイドパネル44に係合されている。ここで、第1旋回アーム54,54は、後述する伸縮アーム56,56と同じ方向を向いて、すなわち同位相に配置されている。
【0070】
また、ワーク搬送装置30は、支持パネル34よりも外側の回転軸41に、一対の接続手段としての伸縮アーム56,56を備えている。伸縮アーム56の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)は、スライドブロック48の側面に係合されている。そして、伸縮アーム56は、回転軸41とスライドブロック48との間の距離に応じて伸縮自在とされている。伸縮アーム56の中途部には、伸縮アーム56を構成要素として含む平行リンク機構57が設けられている。平行リンク機構57は、接続手段である伸縮アーム56,56の旋回運動を直線運動に変換する。この平行リンク機構57を構成する縦リンクアーム66は、ベース32から離間する方向に延びており、その先端部(ベース32の反対方向の端部)が、第3スライドレール50の一端部50bに係合されている。
【0071】
続いて、ワーク搬送装置30の各部品について詳細に説明する。
【0072】
減速機40は、正逆回転するモータ38の回転を減速した上で回転軸41に伝達するものであり、内部にギア列からなる公知の減速機構を有している。
【0073】
回転軸41は、ベース32の主面32aに対して平行であるとともに、第1サイドパネル36,36の側面を垂直に貫通して配置されている。
【0074】
第1サイドパネル36は、側面視でT字状であり、主面32aに対して垂直に設けられており、ベース32に固定された脚部36aと、脚部36aの頂面に固定され、回転軸41の延在方向に対して垂直かつ主面32aに対して平行、に延在する第1スライドレール35とを備えている。
【0075】
第2サイドパネル44は、側面視でT字状であり、第1スライドレール35と係合する脚部44aと、脚部44aの頂面に固定され、主面32aに対して平行に延在する第2スライドレール42とを備えており、第1スライドレール35上に載置されている。脚部44aの下端部には、第1スライドレール35と直動軸受けを介して係合するスライドガイド44bが設けられている。また、脚部44aの側面には、主面32aに対して垂直に設けられた長尺な開口であるカムフォロアガイド58が設けられている。一方、第1旋回アーム54の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)には、カムフォロア52が設けられている。カムフォロア52は、カムフォロアガイド58に係合され、カムフォロアガイド58に沿って摺動自在とされている。ここで、カムフォロアガイド58とカムフォロア52とで旋回−直動変換機構55を構成している。
【0076】
スライドブロック48は、略直方体状であり、下面に、第2スライドレール42と直動軸受けを介して係合するスライドガイド48aが設けられている。また、スライドブロック48は、第2スライドレール42上に載置されている。また、スライドブロック48の頂面に、第3スライドレール50と直動軸受けを介して係合するスライドガイド46が設けられている。そして、スライドブロック48の側面には、係合凹部48bが設けられている。一方、伸縮アーム56の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)には、係合凸部62aが設けられている。係合凹部48bと係合凸部62aとは、軸受けを介して係合されている。
【0077】
第3スライドレール50は、直線状部品であり、下面において直動軸受けを介してスライドブロック48のスライドガイド46と係合して、スライドガイド46上に載置されている。第3スライドレール50には、その両端部付近に固定具50a,50aが設けられている。これらの固定具50a,50a,50a,50aにより、ワークWを第3スライドレール50,50間に固定して保持する。第3スライドレール50の一端部50bには、平行リンク機構57を構成する縦リンクアーム66の先端部が、第1サイドパネル36に平行な面内で、相対回転自在に係合されている。
【0078】
伸縮アーム56は、第2旋回アーム60と可動アーム62とを備えている。伸縮アーム56は、第1サイドパネル36に平行な面内で、回転軸41の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する。この旋回は、180°未満の角度で、回転軸41の中心を通る垂直線に対して対称に行われる。第2旋回アーム60は、その基端部(回転軸41方向の端部)が回転軸41に接続されている。可動アーム62は、実施の形態1における可動アーム28の旋回アーム26に対する係合方法と同様の方法で、第2旋回アーム60に係合されている。これにより可動アーム62は、第2旋回アーム60に案内されて第2旋回アーム60の延在する方向で、前後に、自在に、移動することができる。つまり、伸縮アーム56は、その延在する方向に沿って、伸縮自在とされている。
【0079】
第1旋回アーム54は、その基端部(回転軸41方向の端部)が回転軸41に接続されている。第1旋回アーム54は、伸縮アーム56と同じ方向を向いて、すなわち同位相に配置されている。そして、第1旋回アーム54は、第1サイドパネル36に平行な面内で、伸縮アーム56と同期して、伸縮アーム56と同じ角度範囲を旋回する。第1旋回アーム54の先端部には、旋回−直動変換機構55を構成するカムフォロア52が設けられている。
【0080】
平行リンク機構57は、伸縮アーム56、より詳細には可動アーム62と、2本の平行リンクアーム64,64と、縦リンクアーム66とを備えている。2本の平行リンクアーム64,64は、それぞれの一端部が、可動アーム62の中途部に接続されている。これら2本の平行リンクアーム64,64は、互いに長さが等しくかつ平行に配置されている。これら2本の平行リンクアーム64,64の他端部間を結んで連結する縦リンクアーム66が接続されている。縦リンクアーム66は、ベース32とは反対方向(ベース32から離間する方向)に延在しており、その先端部は、第3スライドレール50の一端部50bに係合されている。
【0081】
続いて、主に図6及び図7を参照して、ワーク搬送装置30の動作につき説明する。ここでは、図6に示す中央付近の位置(位置C)から図7の左側に示す搬送限界位置(位置L)まで、ワークWを搬送する場合を例示する。
【0082】
この移動は、回転軸41を反時計回りに回転させて、第1旋回アーム54及び伸縮アーム56を所定の角度だけ旋回させることで達成される。
【0083】
位置Cにおいて、回転軸41を反時計回りに回転させると、以下に示す3部品の移動が同時に同方向に生じる。
【0084】
(1)第2サイドパネル44
第1旋回アーム54のカムフォロア52が、第2サイドパネル44に設けられたカムフォロアガイド58に沿って下方に移動する。これにより、第1旋回アーム54の旋回運動が、第2サイドパネル44の直線運動へと変換され、第2サイドパネル44は、ベース32に固定された第1スライドレール35に沿って左方向に直線的にスライド移動する。
【0085】
(2)スライドブロック48
伸縮アーム56は、回転軸41とスライドブロック48との距離に応じて長さを伸長させながらスライドブロック48を左方向に付勢する。これにより、伸縮アーム56の旋回運動が、スライドブロック48の直線運動へと変換され、よってスライドブロック48は、第2サイドパネル44の第2スライドレール42に沿って左方向に直線的にスライド移動する。つまり、スライドブロック48は、第2サイドパネル44の移動と同時かつ同方向に移動する。このように、スライドブロック48が、左方向に移動すると、回転軸41とスライドブロック48との間の距離が長くなる。この距離の変化に応じて、伸縮アーム56において可動アーム62が、第2旋回アーム60に案内されて、回転軸41とは反対方向に前進することにより、伸縮アーム56の長さが伸長する。
【0086】
(3)第3スライドレール50
伸縮アーム56の旋回に伴い、平行リンク機構57の縦リンクアーム66は、伸縮アーム56と平行を保ちながら、その先端部と係合する第3スライドレール50を左方向に付勢する。これにより、第3スライドレール50は、スライドブロック48のスライドガイド46に沿って左方向に直線的にスライド移動する。つまり、第3スライドレール50は、スライドブロック48の移動と同時かつ同方向に移動する。このように、伸縮アーム56が、旋回すると、可動アーム62の中途部に接続されている平行リンクアーム64,64が左方向に付勢される。この付勢力は、平行リンクアーム64,64の他端部間を結ぶ縦リンクアーム66に伝達される。平行リンク機構57の性質より、縦リンクアーム66は、常に伸縮アーム56と平行を保つので、縦リンクアーム66の先端部は、左方向に延びるような姿勢となり、第3スライドレール50を左方向に移動させる。
【0087】
これらの3部品の移動が、同時かつ同方向に生じることにより、スライドブロック48は、それ自身が左方向にスライド移動する第2スライドレール42に沿って、左方向に移動することとなる。同様に、第3スライドレール50は、それ自身が左方向にスライド移動するスライドガイド46に沿って左方向に移動することとなる。
【0088】
続いて、位置Lから図7の右側の搬送限界位置(位置R)まで、ワークWを搬送する場合を例示する。
【0089】
この移動は、回転軸41を時計回りに回転させて、第1旋回アーム54及び伸縮アーム56を角度F(0<F<180°)だけ旋回させることで達成される。
【0090】
この場合は、第2サイドパネル44、スライドブロック48及び第3スライドレール50が、上述の場合とはおおむね反対の動作を行うことで、同時に同方向(右方向)に直線的に移動する。これにより、ワークWは、位置Lから位置Rまで搬送される。
【0091】
ここで、スライドブロック48に注目する。スライドブロック48は第2スライドレール42に沿って右方向に移動する。これと同時に、スライドブロック48のガイドとなる第2スライドレール42自身も右方向に移動している。よって、スライドブロック48が、右側の移動限界付近まで移動したとしても、第2スライドレール42自身も右側に移動しているので、スライドブロック48が第2スライドレール42から外れ落ちることはない。これにより、スライドブロック48の最大移動距離を第2スライドレール42の全長及び最大移動距離よりも大きくすることができる。
【0092】
また、第3スライドレール50の場合も同様であり、第3スライドレール50はスライドブロック48に沿って右方向に移動する。これと同時に、第3スライドレール50のガイドとなるスライドブロック48自身も右方向に移動している。よって、第3スライドレール50が、右側の移動限界付近まで移動したとしても、スライドブロック48自身も右側に移動しているので、第3スライドレール50がスライドブロック48から外れ落ちることはない。これにより、第3スライドレール50の最大移動距離を第3スライドレール50の全長及びスライドブロック48の最大移動距離よりも大きくすることができる。
【0093】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置30によれば、第1移動手段としての第2サイドパネル44,44が、第1スライドレール35,35上を直線的に移動する。これと同時かつ同方向に、伸縮アーム56と接続された第2移動手段としてのスライドブロック48,48が、第1スライドレール35,35上を移動する第2サイドパネル44,44の第2スライドレール42,42上を移動する。さらに、平行リンク機構57と接続された第3移動手段としての第3スライドレール50,50が、第2スライドレール42,42上を移動するスライドブロック48,48上を、ワークWを保持して移動する。これにより、第1〜第3スライドレール35,42,50のそれぞれの長さよりも長い距離にわたってワークWを搬送することができる。つまり、ワーク搬送距離に比較して第1〜第3スライドレール35,42,50のそれぞれの全長を短くできるので、ワーク搬送装置30を大型化することなく、従来技術と同等以上のワーク搬送距離を確保することができる。換言すれば、従来技術と同等の専有面積であれば、ワーク搬送装置30はより長距離にわたってワークを直線的に搬送することができる。
【0094】
また、この実施の形態のワーク搬送装置30は、旋回−直動変換機構55及び平行リンク機構57を備えているので、スライド機構を単独で用いた実施の形態1に比較して、さらに長い距離にわたってワークWを直線的に搬送することができる。つまり、ワーク搬送装置30は、実施の形態1のワーク搬送装置10の占有面積よりも小さい専有面積であっても、ワーク搬送装置10と同等のワーク搬送距離を実現できる。
【0095】
さらに、ワーク搬送装置30は、旋回−直動変換機構55、本発明のスライド機構及び平行リンク機構57という単純な機構の組み合わせからなるので、装置の複雑化を防ぐことができる。
【0096】
尚、この実施の形態においては、第1スライドレール35とスライドガイド44b、第2スライドレール42とスライドガイド48a及び第3スライドレール50とスライドガイド46の係合部に直動軸受けを用いているが、これらの部品間のスライド移動を妨げない範囲で公知の種々のスライド機構を用いてもよい。
【0097】
また、モータ38の配置位置は、回転軸41を駆動することができれば、第1サイドパネル36,36の間のベース32上に限られない。
【0098】
(実施の形態3)
図8〜10を参照して実施の形態3のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図8は、実施の形態3のワーク搬送装置の平面図である。図9は、同上の正面図である。図10は、同上の左側面図である。
【0099】
まず、このワーク搬送装置70の構造について、図8〜図10を参照して説明する。ワーク搬送装置70は、平面状の作業面72を有するベース74と、モータ76に接続された回転軸78と、一端部が回転軸78に接続されて作業面72上に延在する接続手段としての伸縮アーム80とを備えている。またワーク搬送装置70は、作業面72上に回転軸78を挟んで配置され、回転軸78の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段としての2本のスライドレール82,82と、これらの2本のスライドレール82,82をまたいで配置され、これら2本のスライドレール82,82をガイドとしてスライド移動する連結部品としての搬送テーブル84とを備えている。ここで、搬送テーブル84にはスライドレール82,82の延在方向と直交する方向に延在する開口であるカムフォロアガイド86が形成されている。このカムフォロアガイド86には、伸縮アーム80の他端部(回転軸78とは反対方向の端部)に設けられたカムフォロア90dが、カムフォロアガイド86に沿って摺動自在に係合している。
【0100】
続いて、ワーク搬送装置70の各部品について詳細に説明する。
【0101】
モータ76は、ベース74の下面(作業面72の反対面)に取り付けられている。モータ76の軸は、ベース74に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸78に接続されている。回転軸78は、作業面72に対して垂直にすなわち直交する方向に設けられている。
【0102】
伸縮アーム80は、旋回アーム88と可動アーム90とを備えている。伸縮アーム80は、回転軸78の回転に伴って、回転軸78の周りに90°の角度で弧状に旋回する。
【0103】
旋回アーム88は、回転軸78に接続された基部(回転軸78方向の端部)88aと、案内レール88bとを備えている。基部88aは、旋回アーム88の回転軸78方向の端部を構成し、回転軸78に接続されている。案内レール88bは、基部88aに接続され、基部88aから回転軸78とは反対方向に延在している。そして、案内レール88bの回転軸78とは反対方向の端部には、可動アーム90の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0104】
可動アーム90は、案内ガイド90aとアーム90bと固定ねじ90cとを備えている。
【0105】
案内ガイド90aは、可動アーム90の回転軸78方向の端部を構成し、旋回アーム88の案内レール88bと直動軸受けを介して係合している。アーム90bは、案内ガイド90aから、回転軸78とは反対方向に延在している。また、案内ガイド90aの頂面には、案内ガイド90aを貫通して旋回アーム88の案内レール88bに至る固定ねじ90cが設けられている。さらに、可動アーム90の回転軸78とは反対方向の端部には、カムフォロア90dが設けられている。
【0106】
可動アーム90は、固定ねじ90cを緩めた状態で旋回アーム88をガイドとして、旋回アーム88の延在する方向に沿って、自在に前進後退することができる。そして、固定ねじ90cを締めることにより、可動アーム90を案内レール88bに沿った所望の位置で固定することができる。つまり、伸縮アーム80の一端部と他端部との間の距離を変更することができる。換言すれば、伸縮アーム80において、回転軸78の回転中心からカムフォロア90dの中心までの距離をSとすると、Sの大きさを変更することができる。尚、以降の説明においては、Sのことを「伸縮アーム80の長さ」と称することもある。
【0107】
搬送テーブル84は、テーブル84a、カムフォロアガイド86及び一対のスライドブロック84b,84bを備えている。
【0108】
テーブル84aは、2本のスライドレール82,82にまたがる広さを有する略四角形の板状部品である。テーブル84aの裏面(作業面72との対向面)には、スライドレール82,82に対応する位置にスライドブロック84b,84bが設けられている。このスライドブロック84b,84bは、直方体状のブロックであり、作業面72との対向面(下面)には、スライドレール82,82に嵌る溝が設けられている。また、テーブル84aには、スライドレール82,82の延在する方向に直交する開口であるカムフォロアガイド86が設けられている。このカムフォロアガイド86と可動アーム90のカムフォロア90dとが係合しており、カムフォロア90dは、カムフォロアガイド86に沿って摺動自在とされている。カムフォロアガイド86とカムフォロア90dとで旋回−直動変換機構が構成されている。
【0109】
スライドレール82,82は、作業面72上に固定された互いに平行な2本の直線状部品である。スライドレール82,82は、伸縮アーム80の先端部(回転軸78とは反対方向の端部)が旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。スライドレール82,82は、スライドブロック84b,84bの前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより搬送テーブル84は、スライドレール82,82に沿ってスライド移動を行うことができる。
【0110】
続いて、主に図8を参照して、ワーク搬送装置70の動作について説明する。ここでは搬送テーブル84に載置されたワークを図8の矢印Hに沿って直線的に移動させる場合を例示する。
【0111】
この移動は、回転軸78を時計回りに回転させて、伸縮アーム80を角度G(=90°)だけ旋回させることで達成される。つまり、伸縮アーム80が旋回すると、カムフォロア90dが、カムフォロアガイド86に沿って摺動する。これにより伸縮アーム80の旋回運動は、搬送テーブル84のスライドレール82,82に沿った直線運動に変換され、ワークが、図中矢印H方向に直線的に搬送される。この時のワークの搬送距離は、S(=S×sin90°)で与えられる。
【0112】
ところで、この実施の形態のワーク搬送装置70は、伸縮アーム80の長さSを所望の値とすることができるので、ワーク搬送距離を変更することができる。つまり、可動アーム90を案内レール88bに沿って回転軸78の反対方向に前進させた状態で固定ねじ90cを締めることにより、伸縮アーム80の長さSを大きくすることができる。つまり、この場合は、ワーク搬送距離は長くなる。逆に、可動アーム90を案内レール88bに沿って回転軸78の方向に後退させた状態で固定ねじ90cを締めることにより、伸縮アーム80の長さSを小さくすることができる。つまり、この場合は、ワーク搬送距離は、短くなる。
【0113】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置70によれば、固定ねじ90cを締めたり緩めたりすることにより、伸縮アーム80の長さSを所望の長さに変更できる。これによりワークの直線的な移動距離であるワーク搬送距離を容易に変更することができる。よって、このワーク搬送装置70のみで、さまざまな長さのワーク搬送距離に対応することができる。
【0114】
尚、この実施の形態においては、2本のスライドレール82,82を用いたワーク搬送装置70を例示したが、スライドレールの本数は2本に限られない。例えば、実施の形態1のワーク搬送装置10のようにスライドレールが1本のみの場合であっても、伸縮アームを所望の長さで固定できるような機構を設けることで、この実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0115】
また、この実施の形態では、可動アーム90を旋回アーム88の所望の位置で固定するために、固定ねじ90cを用いているが、可動アーム90と旋回アーム88とを固定する手段は固定ねじ90cに限られず、公知の種々の固定手段を用いることができる。
【0116】
(実施の形態4)
図11及び図12を参照して実施の形態4のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図11は、実施の形態4のワーク搬送装置の正面図である。図12は同上の右側面図である。
【0117】
実施の形態1〜3のワーク搬送装置はワークを水平方向に搬送するのに対し、実施の形態4のワーク搬送装置はワークを垂直方向に搬送する。
【0118】
まず、このワーク搬送装置92の構造について、図11及び図12を参照して説明する。ワーク搬送装置92は、水平な床面93に垂直に固定された板状のベース94を備えている。ベース94の裏面側には、ベース94を床面93に対して垂直すなわち直交する方向に支持する支持プレート96と、モータ98とが設けられている。また、ベース94の表面側には、モータ98に接続された回転軸100と、回転軸100に接続された一端部及びカムフォロア102を備えた他端部を有し、ベース94の表面に沿って延在する接続手段としての伸縮アーム104とが設けられている。また、ベース94の表面側には、回転軸100を挟んで配置され、回転軸100の軸方向に対して垂直すなわち直交する方向に延在する案内手段としての2本のスライドレール106,106と、これらの2本のスライドレール106,106をまたいで配置され、これら2本のスライドレール106,106をガイドとして上下にスライド移動する連結部品としての搬送板108とが設けられている。ここで、搬送板108には、スライドレール106,106の延在方向と垂直すなわち直交する方向に延在して形成された開口であるカムフォロアガイド110が設けられている。このカムフォロアガイド110には、伸縮アーム104のカムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動自在に係合している。また、搬送板108には、その表面から垂直に延出するワーク把持手段112が設けられている。
続いて、ワーク搬送装置92の各部品について詳細に説明する。
【0119】
モータ98の軸は、ベース94に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸100に接続されている。回転軸100は、ベース94の表面に対して垂直すなわち直交する方向に設けられている。
【0120】
伸縮アーム104は、旋回アーム114と、可動アーム116と、弾性部品としてのスプリング118とを備えている。伸縮アーム104は、回転軸100の回転に伴って、回転軸100の周りに90°の角度で弧状に旋回する。
【0121】
旋回アーム114は、回転軸100に接続された基部(回転軸100方向の端部)114aと、案内レール114bとを備えている。基部114aは、旋回アーム114の回転軸100方向の端部を構成し、回転軸100に接続されている。案内レール114bは、基部114aに接続され、基部114aから回転軸100とは反対方向に延在している。また、案内レール114bには、スプリング118を配置するための凹溝114cが形成されている。この凹溝114cの回転軸100方向の端部に、スプリング118の一端面(回転軸100方向の端面)が支持されている。さらに、案内レール114bの回転軸100とは反対方向の端部には、可動アーム116の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0122】
可動アーム116は、案内ガイド116aとアーム116bとを備えている。案内ガイド116aは、可動アーム116の回転軸100方向の端部を構成し、旋回アーム114の案内レール114bと直動軸受けを介して係合している。これにより、可動アーム116は、旋回アーム114をガイドとして、旋回アーム114の延在する方向に沿って自在に前進後退することができる。また、可動アーム116の回転軸100とは反対方向の端部には、カムフォロア102が設けられている。また、案内ガイド116aの回転軸100方向の端面には、スプリング118の他端面(回転軸100とは反対方向の端面)が当接している。
【0123】
スプリング118は、伸縮アーム104において、一端部(回転軸100方向の端部)と他端部(回転軸100とは反対方向の端部)に介在しており、他端部を常に回転軸100とは反対方向に付勢している。すなわち、スプリング118は、案内レール114bの凹溝114cに配置され、その一端面が旋回アーム114に固定されており、他端面が可動アーム116の案内ガイド116aを押圧している。これによりスプリングは、案内ガイド116aつまり可動アーム116を常に回転軸100とは反対方向に付勢している。よって、伸縮アーム104は、スプリング118の弾発力により、通常の場合は伸張した状態となっているが、スプリング118の弾発力を超える力が回転軸100方向に加えられた場合には、短縮することとなる。
【0124】
搬送板108は、ワーク把持手段112、カムフォロアガイド110及び一対のスライドブロック120,120を備えている。
【0125】
搬送板108は2本のスライドレール106,106にまたがる広さを有する板状部品である。
【0126】
ワーク把持手段112は、床面93に置かれたワークWを把持するための把持装置(図示を省略)を備えている。
【0127】
カムフォロアガイド110は、スライドレール106,106の延在方向に直交して、搬送板108に設けられた開口である。このカムフォロアガイド110と可動アーム116のカムフォロア102とが係合しており、カムフォロア102は、カムフォロアガイド110に沿って摺動自在とされている。カムフォロアガイド110とカムフォロア102とで旋回−直動変換機構を構成している。
【0128】
スライドブロック120,120は、搬送板108の裏面(ベース94の表面との対向面)のスライドレール106,106に対応する位置に設けられている。スライドブロック120,120には、スライドレール106,106に嵌る溝が設けられている。
【0129】
スライドレール106,106はベース94の表面上に固定された互いに平行な2本の直線状部品である。スライドレール106,106は、伸縮アーム104の先端部(回転軸100とは反対方向の端部)が旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。スライドレール106,106は、スライドブロック120,120の前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより搬送板108は、スライドレール106,106に沿って上下にスライド移動を行うことができる。
【0130】
続いて、主に図11を参照して、ワーク搬送装置92の動作について説明する。ここでは、伸縮アーム104の他端部(回転軸100とは反対方向の端部)を上方位置(位置High)から、下方位置(位置Low)へと移動させてワークWを把持する場合について例示する。
【0131】
この移動は、回転軸100を反時計回りに回転させて、伸縮アーム104を角度J(=90°)だけ旋回させることで達成される。つまり、位置Highにおいて、伸縮アーム104は、スプリング118の弾発力により伸張した状態にある。この状態から伸縮アーム104を旋回させていくと、カムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動する。これにより、伸縮アーム104の旋回運動は、搬送板108のスライドレール106,106に沿った直線運動に変換され、よって搬送板108は直線的に下方にスライド移動する。
【0132】
伸縮アーム104は、ワーク把持手段112がワークWと接触するまで伸張した状態で旋回を続ける。この旋回に伴って、カムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動するので、搬送板108は、下方に移動していく。
【0133】
伸縮アーム104の旋回を続けると、やがてワーク把持手段112がワークWと接触する。この状態で更に伸縮アーム104の旋回を続けると、床面93とワーク把持手段112との間にワークWが介在しているので、搬送板108の下降が止まる。これとともに、伸縮アーム104に対しては、スプリング118の弾発力に抗して伸縮アーム104を短縮させる力が働く。この力により、可動アーム116は、旋回アーム114に沿って回転軸100方向に後退して、よって伸縮アーム104の長さが短くなっていく。つまり、伸縮アーム104は、搬送板108の下降が止まった位置からは、ワークWの頂面(ワーク把持手段112との接触面)と回転軸100の中心との間の距離に応じて、その長さを短縮させながら旋回を行う。従って、この状態において、カムフォロア102は、一定の高さを保ちながら、カムフォロアガイド110に沿って水平に右方向に移動することとなる。
【0134】
やがて、伸縮アーム104の他端部が、位置Lowに至ると、伸縮アーム104の長さが、最小となる。尚、この長さの最小値は、ワークWの床面93からの高さにより変化する。このとき、可動アーム116は、旋回アーム114に沿って回転軸100方向に最も後退した位置(後端位置)に移動することとなる。この状態で把持装置を作動させることで、ワークWを把持する。
【0135】
位置Lowから位置Highへとワークを搬送する場合には、ワーク把持手段112にワークWを把持した状態で、モータ98を逆方向(時計回り方向)に回転させることで、前述とおおむね逆の動作を行えばよい。
【0136】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置92は、スプリング118を備えた伸縮アーム104を備えているので、伸縮アーム104の旋回によりワークWとワーク把持手段112とが接触すると、ワークWの高さに応じて伸縮アーム104が自動的に短縮して、ワークW毎の高さの差を吸収する。これにより、高さの異なるワークWを直線的に搬送することができる。
【0137】
尚、ワーク搬送装置92により高さが同一のワークの連続搬送を行う場合には、位置Lowにおける伸縮アーム104の長さは、ワークの高さにより決まる一定長となる。よって、伸縮アーム104に、位置Lowにおける長さが前記一定長であるか否かを検知するセンサを設けることで、高さが異なるワークが混入した場合に、それを検知することができる。
【0138】
また、弾性部品は、伸縮アーム104において、一端部(回転軸100方向の端部)と他端部(回転軸100とは反対方向の端部)に介在しており、他端部を常に回転軸100とは反対方向に付勢するものであれば、スプリング118に限られず、公知の種々の部品を用いることができる。
【0139】
また、この実施の形態においては、2本のスライドレール106,106を用いたワーク搬送装置92を例示したが、スライドレールの本数は2本に限られない。例えば、実施の形態1のワーク搬送装置10のようにスライドレールが1本のみの場合であっても、伸縮アーム中に弾性部品を設けることで、この実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】(A)は、実施の形態1のワーク搬送装置の平面図であり、(B)は正面図である。
【図2】実施の形態1のワーク搬送装置の左側面図である。
【図3】従来のワーク搬送装置の正面図である。
【図4】従来のワーク搬送装置の作用を説明するための模式図である。
【図5】実施の形態2のワーク搬送装置の正面図である。
【図6】実施の形態2のワーク搬送装置の左側面図である。
【図7】実施の形態2のワーク搬送装置の動作を説明するための模式図である。
【図8】実施の形態3のワーク搬送装置の平面図である。
【図9】実施の形態3のワーク搬送装置の正面図である。
【図10】実施の形態3のワーク搬送装置の左側面図である。
【図11】実施の形態4のワーク搬送装置の正面図である。
【図12】実施の形態4のワーク搬送装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0141】
10,30,70,92:ワーク搬送装置
12,72:作業面
14,32,74,94:ベース
16,38,76,98:モータ
18,41,78,100:回転軸
20,56,80,104:伸縮アーム
22,84:搬送テーブル
22a,84a:テーブル
22b,48b:係合凹部
22c,48,84b,120:スライドブロック
24,82,106:スライドレール
24L:左端部
24R:右端部
24C:中央部
26,88,114:旋回アーム
26a,88a,114a:基部
26b,88b,114b:案内レール
27:直動軸受け
28,62,90,116:可動アーム
28a,90a,116a:案内ガイド
28b,90b,116b:アーム
28c,62a:係合凸部
32a:主面
34:支持パネル
35:第1スライドレール
36:第1サイドパネル
40:減速機
42:第2スライドレール
44:第2サイドパネル
44b,46,48a:スライドガイド
50:第3スライドレール
50a:固定具
50b:一端部
52,90d,102:カムフォロア
54:第1旋回アーム
55:旋回−直動変換機構
57:平行リンク機構
58,86,110:カムフォロアガイド
60:第2旋回アーム
64:平行リンクアーム
66:縦リンクアーム
90c:固定ねじ
93:床面
96:支持プレート
108:搬送板
112:ワーク把持手段
114c:凹溝
118:スプリング
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライド機構及びこれを用いたワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸に取り付けられたアームの旋回動作を利用してワークを搬送するワーク搬送装置として、さまざまな種類のものが提案されている。以下、従来のワーク搬送装置について2つの例を挙げて説明する。
【0003】
(第1の従来技術)
第1の従来のワーク搬送装置は、アームの旋回運動をスライドレールに沿った直線運動に変換するスライド機構を備えている。
【0004】
ワーク搬送装置には、駆動源としてのモータに接続された回転軸が設けられている。この回転軸に、所定角度A'(0°<A'<180°)で往復旋回する旋回アームが設けられている。また、この回転軸に垂直に、スライドレールが設けられている。このスライドレールには、搬送テーブルが載置されている。搬送テーブルは、スライドレールに沿ってスライド移動可能である。搬送テーブルと旋回アームとは、旋回−直動変換機構で接続されていて、旋回アームの旋回運動が、搬送テーブルのスライドレールに沿った直線運動に変換される。つまり、旋回アームの旋回によって、搬送テーブルがスライドレールに沿って直線的にスライド移動する。
【0005】
尚、「旋回−直動変換機構」とは、アームの旋回に伴って、アームに設けられたカムフォロアが、直線状の開口又は溝であるカムフォロアガイドに沿って摺動することにより、カムフォロアガイドが設けられた部品を直線的に移動させる機構のことを言う。
【0006】
(第2の従来技術)
第2の従来のワーク搬送装置は、生機(クロスローラに巻き取られた織物)やストリップコイル(コイル状に巻かれた帯板)を移載するための搬送車である。
【0007】
この搬送車は、対向する一対の箱形フレーム間に横架させたボールスプライン軸を有し、このボールスプライン軸には前後一対の移載アームが軸線回りに回動可能に取り付けられている。この移載アームの先端にはワークの把持具が備えられている。移載アームは、旋回アームと伸縮アームとを備えている。旋回アームは、ボールスプライン軸の周りに旋回可能であり、一方、伸縮アームは、油圧式のアーム伸縮用シリンダにより、旋回アームに沿って伸縮可能とされている。
【0008】
そして、ワークを移送する際には、まず、旋回アームをボールスプライン軸の周りに所定回動する。続いて、把持具がワークの軸穴に対向するまで、伸縮アームを伸長する。そして、一対の移載アーム間の間隔を狭めることで、ワークを把持具で把持する。その後、伸縮アームを短縮し、かつ、旋回アームを回動して元の位置に戻すことによりワークを搬送車に搬入する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−182088号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、第1の従来技術では、旋回アームの長さが固定長とされており、その長さを変化させることができないという問題点があった。この問題点に起因して、第1の従来技術においては、(i)ワーク搬送距離を大きくすることが難しい、(ii)ワーク搬送距離を可変とすることができない、(iii)サイズの異なるワークを搬送することができない、等の困難が生じていた。
【0010】
また、第2の従来技術では、移載アームは伸縮可能である。しかし、第2の従来技術は、伸縮アームを短縮してワークを直線的に移動させた後に、移載アームを回動することでワークを円弧に沿って移動させるので、ワークを直線的に移動させる場合に比べて移動軌跡に無駄が多いという問題点がある。
【0011】
この発明は、これらの問題点に鑑みなされたものであり、従って、この発明の第1の目的は、回転軸に取り付けられたアームの長さを変更することができるとともに、ワークを直線的に移動させることが可能なスライド機構を提供することにある。
【0012】
この発明の第2の目的は、このスライド機構を用いたワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するために、この発明の第1のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、接続手段の端部がスライド移動可能に係合されていて、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段とを備えている。
【0014】
この接続手段は、接続手段の旋回により端部が案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、端部と回転軸との距離の変化に応じて、伸縮する。
【0015】
第1のスライド機構によれば、回転軸を中心とする接続手段の旋回に伴い、接続手段が、回転軸−端部間距離に応じて伸縮を行う。
【0016】
この発明の第2のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続され、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の回転運動を直線運動に変換し、それにより直線的に移動する第1移動手段と、接続手段に係合されていて、第1移動手段の移動と同時かつ同方向に第1移動手段に沿って直線的にスライド移動する第2移動手段と、接続手段の旋回運動を直線運動に変換し、それにより第1及び第2移動手段の移動と同時かつ同方向に第2移動手段に沿って直線的にスライド移動する第3移動手段とを備えている。
【0017】
この接続手段は、接続手段の旋回により第2移動手段が第1移動手段に沿ってスライド移動するとき、第2移動手段と回転軸との間の距離の変化に応じて、伸縮する。
【0018】
第2のスライド機構によれば、第1移動手段が直線移動を行うと、接続手段に接続された第2移動手段が、直線移動を行う第1移動手段に沿って移動する。さらに、第3移動手段が、第1移動手段に沿って移動する第2移動手段に沿って移動する。
【0019】
この発明の第3のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備えている。
【0020】
この連結部品は、接続手段の旋回により案内手段に沿ってスライド移動を行う。さらに、接続手段の一端部と他端部との間の距離は変更可能である。
【0021】
第3のスライド機構によれば、接続手段の一端部と他端部との間の距離を所望の長さに固定することができる。
【0022】
この発明の第4のスライド機構は、回転軸と、回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備えている。
【0023】
この連結部品は、接続手段の旋回により案内手段に沿ってスライド移動を行う。さらに、接続手段は、一端部と他端部との間に介在させて設けられていて、他端部を回転軸とは反対方向に常に付勢する弾性部品を備えている。
【0024】
第4のスライド機構によれば、接続手段に弾性部品が設けられているので、接続手段は長さが伸張した伸張状態を保とうとする。したがって、外力が作用することによって接続手段が短縮した場合、外力が取り除かれると自動的に伸張状態に復帰する。
【発明の効果】
【0025】
接続手段の長さ(回転軸−端部間距離)が固定されている従来のスライド機構では、他端部の案内手段に沿ったスライド移動距離は、接続手段の長さの2倍を越えることがない。しかし、この発明の第1のスライド機構によれば、接続手段が、回転軸−端部間距離に応じて伸縮するので、端部の案内手段に沿った直線的なスライド移動の移動距離を、接続手段が固定長とされている場合よりも大きくすることができる。
【0026】
この発明の第2のスライド機構は、第1〜第3移動手段の個々の長さに比較して、直線的なスライド移動の移動距離を大きくすることができる。
【0027】
この発明の第3のスライド機構は、連結部品の案内手段に沿った直線的なスライド移動の移動距離を可変とすることができる。
【0028】
この発明の第4のスライド機構をワーク搬送装置に利用した場合、サイズの異なるワークを直線的に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1〜12を参照して、この発明の実施の形態について説明する。尚、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例に過ぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。
【0030】
(実施の形態1)
図1〜図4を参照して実施の形態1のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図1(A)は、実施の形態1のワーク搬送装置の平面図であり、図1(B)は、同上の正面図である。図2は、同上の左側面図である。図3は、従来のワーク搬送装置の正面図である。図4は、実施の形態1のワーク搬送装置の作用を説明するための模式図である。
【0031】
まず、このワーク搬送装置10の構造について、図1,図2を参照して説明する。ワーク搬送装置10は、平面状の作業面12を有するベース14と、モータ16に接続された回転軸18と、一端部が回転軸18に接続されて作業面12上に延在する接続手段としての伸縮アーム20と、伸縮アーム20の他端部に接続された連結部品としての搬送テーブル22と、搬送テーブル22のスライド移動時のガイドである案内手段としてのスライドレール24とを備えている。
【0032】
ベース14は、四角形の板状に形成されており、その一方の主面が、作業面12となっている。
【0033】
モータ16は、ベース14の下面(作業面12の反対面)に取り付けられている。モータ16の軸は、ベース14に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸18に接続されている。回転軸18は、作業面12に対して垂直すなわち直交する方向に設けられている。モータ16は、モータ軸、従って回転軸18を180°未満の角度範囲で正逆回転することができる。ここで、回転軸18の回転中心をOとする。
【0034】
伸縮アーム20は、作業面12に対して平行に直線状に延在するアームである。伸縮アーム20は、旋回アーム26と可動アーム28とを備えている。伸縮アーム20は、旋回アーム26に係合された可動アーム28が、旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動することで、その長さが伸縮する。また、伸縮アーム20は、回転軸18の回転に伴って、回転軸18の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する。
【0035】
旋回アーム26は、基部26aと案内レール26bとを備えている。基部26aは、旋回アーム26の回転軸18方向の端部を構成し、回転軸18に接続されている。案内レール26bは、基部26aに接続され、基部26aから回転軸18とは反対方向に延在している。そして、案内レール26bの回転軸18とは反対方向の端部には、可動アーム28の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0036】
可動アーム28は、案内ガイド28aとアーム28bとを備えている。案内ガイド28aは、可動アーム28の回転軸18方向の端部を構成し、旋回アーム26の案内レール26bと直動軸受け27を介して係合している。これにより、前述のように可動アーム28は、旋回アーム26をガイドとして、旋回アーム26の延在方向に沿って自在に前進後退することができる。アーム28bは、案内ガイド28aから、回転軸18とは反対方向に延在している。アーム28bの回転軸18とは反対方向の端部Eには、軸形状の係合部としての係合凸部28cが設けられている。
【0037】
搬送テーブル22は、テーブル22a、係合凹部22b及び一対のスライドブロック22c,22cを備えている。テーブル22aは、略四角形の板状であり、その上にワークWが載置される。テーブル22aの略中央部には、円形開口である被係合部としての係合凹部22bが設けられている。この係合凹部22bと可動アーム28の係合凸部28cとは軸受けを介して係合されている。これにより、係合凸部28cと係合凹部22bとは、作業面12に平行な面内で自在に相対回転を行うことができる。また、テーブル22aの作業面12との対向面(下面)には、スライドレール24に沿って一対のスライドブロック22c,22cが設けられている。これらのスライドブロック22c,22cは、直方体状のブロックであり、作業面12との対向面(下面)には、スライドレール24に嵌る溝が設けられている。
【0038】
スライドレール24は、作業面12上に、回転軸18の軸方向に対して直交する方向に設けられた、両端部24L,24Rを有する直線状部品である。さらに、スライドレール24は、伸縮アーム20の端部Eが旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。そして、スライドレール24は、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oまでの距離が互いに等しくなるように配置されている(「距離:24L−O」=「距離:24R−O」)。ここで、スライドレール24の長手方向の中央部、つまり、両端部24L,24R間の中央部を24Cとする。スライドレール24は、スライドブロック22c,22cの前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより、搬送テーブル22は、スライドレール24に沿ってスライド移動を行うことができる。
【0039】
続いて、主に図1(A)を参照して、ワーク搬送装置10の動作につき説明する。ここでは、搬送テーブル22に載置されたワークWを、スライドレール24の左端部24L付近の搬送限界位置(位置L)から中央部24C(位置C)を経て右端部24R付近の搬送限界位置(位置R)へと直線的に移動させる場合を例示する。
【0040】
この移動は、回転軸18を反時計回りに回転させて、伸縮アーム20を角度A(0°<A<180°)だけ旋回させることで達成される。ここで、伸縮アーム20は、スライドレール24から回転中心Oに引かれた垂直線に対して対称に旋回するものとする。この移動の過程において、伸縮アーム20は、長さが最長の状態(位置L)から、長さが最小の状態(位置C)を経て、長さが最長の状態(位置R)へと至る。
【0041】
まず、位置Lから位置Cへの搬送テーブル22の移動について説明する。モータ16が駆動して回転軸18が回転すると、伸縮アーム20が、反時計回りに旋回を開始する。これにより、伸縮アーム20に接続された搬送テーブル22が右方向に付勢され、スライドレール24に沿って右方向に移動を開始する。この移動に伴って、搬送テーブル22と回転軸18との間の距離、すなわち、端部Eと回転中心Oとの間の距離が短くなっていく。ところで、伸縮アーム20は、旋回アーム26と旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動する可動アーム28とを備えている。よって、徐々に短くなっていく「端部E−回転中心O間距離」に応じて、可動アーム28が旋回アーム26に沿って回転軸18方向に後退して、伸縮アーム20の長さが短くなっていく。これにより、伸縮アーム20の旋回運動は、搬送テーブル22のスライドレール24に沿った直線運動に変換され、よって、ワークWが右方向に直線的に搬送される。
【0042】
このようにして、搬送テーブル22が位置Cに至るまでは、伸縮アーム20は、「端部E−回転中心O間距離」に応じて、その長さが短くなっていく。そして、搬送テーブル22が位置Cに至った時、つまり、伸縮アーム20がスライドレール24と直角になった時に、端部Eと回転中心Oとの距離は最小となり、伸縮アーム20の長さも最小となる。この時の端部E−回転中心O間距離をrminとする。
【0043】
さらに、搬送テーブル22が、位置Cから位置Rに移動する過程では、搬送テーブル22と回転軸18との間の距離、すなわち、端部Eと回転中心Oとの間の距離が長くなっていく。このように、徐々に長くなっていく「端部E−回転中心O間距離」に応じて、可動アーム28が旋回アーム26に沿って回転軸18の反対方向に前進して、伸縮アーム20の長さが長くなっていく。そして、伸縮アーム20が位置Lから角度Aだけ旋回した時に、伸縮アーム20の長さは最長となる。
【0044】
この時の端部E−回転中心O間距離をrmaxとすると、rmaxは、rmin+αと表すことができる。ここで、αは、rminと比較したときの、伸縮アーム20の長さの増加分であり、α>0である。よって、このワーク搬送装置10の搬送テーブル22の移動距離、すなわち、ワーク搬送距離Dは、2rmax×sin(A/2)となる。
【0045】
尚、位置Rから位置Lへと搬送テーブル22を移動する場合には、モータ16を逆回転させることで、回転軸18の回転方向を上述とは逆(時計回り方向)にすればよい。この時の伸縮アーム20の動作は、おおむね上述と同様である。
【0046】
ここで、実施の形態1のワーク搬送装置10の作用効果をより明確に示すために、(第1の従来技術)の欄で述べた従来のワーク搬送装置について説明する。
【0047】
図3は、従来のワーク搬送装置の概略構成を示す平面図である。ワーク搬送装置200には、回転軸202を中心として所定角度A'(0°<A'<180°)の範囲内で往復旋回する旋回アーム204が備えられている。旋回アーム204の先端にはカムフォロア206が設けられている。ここで、回転軸202とカムフォロア206との中心間距離は、r'である。
【0048】
また、ワーク搬送装置200には、回転軸202に垂直であり、直線状に延びるスライドレール208が備えられている。このスライドレール208には、直動軸受けを介して一対のスライドブロック210,210が配置されている。そして、スライドブロック210,210上に搬送テーブル212が固定されている。これにより、搬送テーブル212は、スライドブロック210,210を介してスライドレール208上をスライド移動することが可能となる。
【0049】
搬送テーブル212には、スライドレール208に対して垂直に延在する開口であるカムフォロアガイド214が形成されている。そして、旋回アーム204のカムフォロア206は、カムフォロアガイド214に係合されており、カムフォロア206はカムフォロアガイド214に沿って摺動自在とされている。
【0050】
このワーク搬送装置200は、旋回アーム204の旋回運動を、カムフォロア206及びカムフォロアガイド214により、搬送テーブル212のスライドレール208に沿った直線運動に変換する。このワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'は、2r'×sin(A'/2)となる。
【0051】
ここで、この発明のワーク搬送装置10のワーク搬送距離D(=2rmax×sin(A/2))と従来のワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'(=2r'×sin(A'/2))との比較を行う。両者を同条件で比較するために、伸縮アーム20は、スライドレール24から回転中心Oに引かれた垂直線に対して、一方、旋回アーム204は、スライドレール208から回転軸202の回転中心に引かれた垂直線に対して、どちらも左右に対称に移動されるものとする。また、伸縮アーム20の旋回角度Aと旋回アーム204の旋回角度A'とは等しいものとする(A=A')。さらに、伸縮アーム20の端部E−回転中心O間距離rminは、旋回アーム204の回転軸202とカムフォロア206との中心間距離r'と等しいものとする(rmin=r')。
【0052】
この場合、常にD>D'との関係が成り立つ。旋回アーム204の長さが固定されている従来のワーク搬送装置200では、ワーク搬送距離D'は、旋回アーム204の長さr'の2倍を越えることがない。しかし、実施の形態1のワーク搬送装置10では、伸縮アーム20が、端部E−回転中心O間距離に応じて伸縮するので、ワークを従来よりも長い搬送距離Dにわたって直線的に搬送することができる。換言すれば、ワーク搬送装置10のワーク搬送距離Dと従来のワーク搬送装置200のワーク搬送距離D'とが等しい場合、ワーク搬送装置10を従来のワーク搬送装置200よりも小型にすることができる。
【0053】
また、スライドレール24を、その両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの距離が等しくなるように配置することで、伸縮アーム20のrminとrmaxとをともに最小とすることができる。これにより、搬送テーブル22を、スライドレール24の両端部24L,24Rの間で直線的に往復移動させる際に必要な伸縮アーム20の長さを最小とすることができる。
【0054】
この点について図4を参照してより詳細に説明する。図4は、スライドレール24に平行に回転中心Oの位置を変化させた場合のrmin,rmaxの長さの変化を説明するための模式図である。尚、図4においては、理解の容易さを考えて、スライドレール24,伸縮アーム20を単なる線分に単純化して表している。図4に実線で示したものが、実施の形態1に相当し、回転中心Oを、スライドレール24の両端部24L,24Rと回転中心Oとの距離が等しくなるように配置した場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値はrminであり、及び、最大値はrmaxである。図4の破線で示したものは、回転中心O'を、スライドレール24の端部24Rに対向する位置に設けた場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値r'minはrminと等しいが、長さの最大値r'maxは、rmaxよりも大きくなる。図4の1点鎖線で示したものは、回転中心O''を、スライドレール24の端部24Rよりもさらに右側の位置に設けた場合である。この場合、伸縮アーム20の長さの最小値r''minは、r'minよりも大きく、長さの最大値r''maxは、r'maxよりも大きくなる。図4から判るように、実施の形態1のように、スライドレール24を、その両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくなるように配置することで伸縮アーム20のrminとrmaxをともに最小とすることができる。
【0055】
また、伸縮アーム20とスライドレール24とが搬送テーブル22を介して接続されているので、伸縮アーム20をスライドレール24に直接接続する必要がなく、ワーク搬送装置10の設計自由度が向上する。
【0056】
また、伸縮可能な伸縮アーム20を、旋回アーム26と可動アーム28という2部品の簡単な組み合わせで構成できる。これにより、ワーク搬送装置10の複雑化を防ぐことができる。
【0057】
さらに、可動アーム28が直動軸受け27を介して旋回アーム26に係合されているので、可動アーム28が旋回アーム26をガイドとしてスムーズに前進後退することが可能である。
【0058】
尚、伸縮アーム20は、端部Eと回転中心Oとの距離の変化に応じて伸縮するものであれば、直線状に形成されている必要はない。また、端部Eが旋回する際の軌跡を含む平面が作業面12に平行であれば、伸縮アーム20は、作業面12に平行に延びている必要はない。例えば、回転軸18が、作業面12から高く突出している場合には、伸縮アーム20が、この回転軸18に斜め下向きに接続されていてもよい。
【0059】
また、旋回アーム26は、その回転軸18方向の端部(基部26a)において回転軸18に接続されている必要はなく、伸縮アーム20の旋回及び伸縮を妨げない範囲において、旋回アーム26の中途部分が回転軸18に接続されていてもよい。
【0060】
また、伸縮アーム20において、可動アーム28が、旋回アーム26に案内されて前後に自在に移動することができれば、旋回アーム26と可動アーム28とは直動軸受け27を介して係合している必要はなく、公知の種々のスライド機構を用いてもよい。
【0061】
また、搬送テーブル22がスライドレール24に沿ってスライド移動を行うことができれば、可動アーム28とテーブル22aとが直接係合されている必要はない。例えば、可動アーム28の端部Eがスライドレール24にスライド移動可能に係合され、この端部Eにテーブル22aを設けてもよい。
【0062】
また、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくなるようにスライドレール24を配置することが最も好ましい。しかし、実用上許容できる範囲内で、両端部24L,24Rと回転軸18の回転中心Oとの間の距離が等しくならないようにスライドレール24を配置してもよい。
【0063】
また、テーブル22aの形状及び面積に特に制限はない。搬送すべきワークWの形状に合わせて、所望のものを用いることができる。
【0064】
さらに、モータ16の配置位置は、回転軸18を駆動することができれば、ベース14の下側(作業面の反対面)に限られない。
【0065】
(実施の形態2)
図5〜7を参照して実施の形態2のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図5は、実施の形態2のワーク搬送装置の正面図である。図6は、同上の左側面図である。図7は、同上の動作を説明するための模式図である。
【0066】
まず、このワーク搬送装置30の構造について、図5及び,図6を参照して説明する。ワーク搬送装置30は、一対の支持パネル34,34と、一対の第1サイドパネル36,36と、モータ38及び減速機40と、回転軸41とを備えている。一対の支持パネル34,34は、ベース32の主面32a上に所定の間隔をおいて立設している。一対の第1サイドパネル36,36は、支持パネル34,34の間の主面32a上に対向して立設されていて、頂面に第1スライドレール35,35を備えている。モータ38及び減速機40は、第1サイドパネル36,36の間の主面32a上に固定されている。回転軸41は、減速機40に接続されていて、支持パネル34,34及び第1サイドパネル36,36を貫通して設けられている。
【0067】
また、このワーク搬送装置30は、第1移動手段としての一対の第2サイドパネル44,44と、第2移動手段としての一対のスライドブロック48,48と、第3移動手段としての一対の第3スライドレール50,50とを備えている。
【0068】
第2サイドパネル44,44は、第1スライドレール35,35上をスライド移動するとともに、それぞれの頂面に第2スライドレール42,42を備えている。スライドブロック48,48は、第2スライドレール42,42上をスライド移動するとともに、それぞれの頂面にスライドガイド46,46を備えている。第3スライドレール50,50は、スライドガイド46,46上をスライド移動する。そして、第3スライドレール50,50間にワークWが保持される。
【0069】
さらに、このワーク搬送装置30は、支持パネル34と第1サイドパネル36との間の回転軸41に、一対の第1旋回アーム54,54を備えている。第1旋回アーム54,54は、回転軸41の回転運動を直線運動に変換する旋回−直動変換機構55を介して第2サイドパネル44に係合されている。ここで、第1旋回アーム54,54は、後述する伸縮アーム56,56と同じ方向を向いて、すなわち同位相に配置されている。
【0070】
また、ワーク搬送装置30は、支持パネル34よりも外側の回転軸41に、一対の接続手段としての伸縮アーム56,56を備えている。伸縮アーム56の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)は、スライドブロック48の側面に係合されている。そして、伸縮アーム56は、回転軸41とスライドブロック48との間の距離に応じて伸縮自在とされている。伸縮アーム56の中途部には、伸縮アーム56を構成要素として含む平行リンク機構57が設けられている。平行リンク機構57は、接続手段である伸縮アーム56,56の旋回運動を直線運動に変換する。この平行リンク機構57を構成する縦リンクアーム66は、ベース32から離間する方向に延びており、その先端部(ベース32の反対方向の端部)が、第3スライドレール50の一端部50bに係合されている。
【0071】
続いて、ワーク搬送装置30の各部品について詳細に説明する。
【0072】
減速機40は、正逆回転するモータ38の回転を減速した上で回転軸41に伝達するものであり、内部にギア列からなる公知の減速機構を有している。
【0073】
回転軸41は、ベース32の主面32aに対して平行であるとともに、第1サイドパネル36,36の側面を垂直に貫通して配置されている。
【0074】
第1サイドパネル36は、側面視でT字状であり、主面32aに対して垂直に設けられており、ベース32に固定された脚部36aと、脚部36aの頂面に固定され、回転軸41の延在方向に対して垂直かつ主面32aに対して平行、に延在する第1スライドレール35とを備えている。
【0075】
第2サイドパネル44は、側面視でT字状であり、第1スライドレール35と係合する脚部44aと、脚部44aの頂面に固定され、主面32aに対して平行に延在する第2スライドレール42とを備えており、第1スライドレール35上に載置されている。脚部44aの下端部には、第1スライドレール35と直動軸受けを介して係合するスライドガイド44bが設けられている。また、脚部44aの側面には、主面32aに対して垂直に設けられた長尺な開口であるカムフォロアガイド58が設けられている。一方、第1旋回アーム54の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)には、カムフォロア52が設けられている。カムフォロア52は、カムフォロアガイド58に係合され、カムフォロアガイド58に沿って摺動自在とされている。ここで、カムフォロアガイド58とカムフォロア52とで旋回−直動変換機構55を構成している。
【0076】
スライドブロック48は、略直方体状であり、下面に、第2スライドレール42と直動軸受けを介して係合するスライドガイド48aが設けられている。また、スライドブロック48は、第2スライドレール42上に載置されている。また、スライドブロック48の頂面に、第3スライドレール50と直動軸受けを介して係合するスライドガイド46が設けられている。そして、スライドブロック48の側面には、係合凹部48bが設けられている。一方、伸縮アーム56の先端部(回転軸41とは反対方向の端部)には、係合凸部62aが設けられている。係合凹部48bと係合凸部62aとは、軸受けを介して係合されている。
【0077】
第3スライドレール50は、直線状部品であり、下面において直動軸受けを介してスライドブロック48のスライドガイド46と係合して、スライドガイド46上に載置されている。第3スライドレール50には、その両端部付近に固定具50a,50aが設けられている。これらの固定具50a,50a,50a,50aにより、ワークWを第3スライドレール50,50間に固定して保持する。第3スライドレール50の一端部50bには、平行リンク機構57を構成する縦リンクアーム66の先端部が、第1サイドパネル36に平行な面内で、相対回転自在に係合されている。
【0078】
伸縮アーム56は、第2旋回アーム60と可動アーム62とを備えている。伸縮アーム56は、第1サイドパネル36に平行な面内で、回転軸41の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する。この旋回は、180°未満の角度で、回転軸41の中心を通る垂直線に対して対称に行われる。第2旋回アーム60は、その基端部(回転軸41方向の端部)が回転軸41に接続されている。可動アーム62は、実施の形態1における可動アーム28の旋回アーム26に対する係合方法と同様の方法で、第2旋回アーム60に係合されている。これにより可動アーム62は、第2旋回アーム60に案内されて第2旋回アーム60の延在する方向で、前後に、自在に、移動することができる。つまり、伸縮アーム56は、その延在する方向に沿って、伸縮自在とされている。
【0079】
第1旋回アーム54は、その基端部(回転軸41方向の端部)が回転軸41に接続されている。第1旋回アーム54は、伸縮アーム56と同じ方向を向いて、すなわち同位相に配置されている。そして、第1旋回アーム54は、第1サイドパネル36に平行な面内で、伸縮アーム56と同期して、伸縮アーム56と同じ角度範囲を旋回する。第1旋回アーム54の先端部には、旋回−直動変換機構55を構成するカムフォロア52が設けられている。
【0080】
平行リンク機構57は、伸縮アーム56、より詳細には可動アーム62と、2本の平行リンクアーム64,64と、縦リンクアーム66とを備えている。2本の平行リンクアーム64,64は、それぞれの一端部が、可動アーム62の中途部に接続されている。これら2本の平行リンクアーム64,64は、互いに長さが等しくかつ平行に配置されている。これら2本の平行リンクアーム64,64の他端部間を結んで連結する縦リンクアーム66が接続されている。縦リンクアーム66は、ベース32とは反対方向(ベース32から離間する方向)に延在しており、その先端部は、第3スライドレール50の一端部50bに係合されている。
【0081】
続いて、主に図6及び図7を参照して、ワーク搬送装置30の動作につき説明する。ここでは、図6に示す中央付近の位置(位置C)から図7の左側に示す搬送限界位置(位置L)まで、ワークWを搬送する場合を例示する。
【0082】
この移動は、回転軸41を反時計回りに回転させて、第1旋回アーム54及び伸縮アーム56を所定の角度だけ旋回させることで達成される。
【0083】
位置Cにおいて、回転軸41を反時計回りに回転させると、以下に示す3部品の移動が同時に同方向に生じる。
【0084】
(1)第2サイドパネル44
第1旋回アーム54のカムフォロア52が、第2サイドパネル44に設けられたカムフォロアガイド58に沿って下方に移動する。これにより、第1旋回アーム54の旋回運動が、第2サイドパネル44の直線運動へと変換され、第2サイドパネル44は、ベース32に固定された第1スライドレール35に沿って左方向に直線的にスライド移動する。
【0085】
(2)スライドブロック48
伸縮アーム56は、回転軸41とスライドブロック48との距離に応じて長さを伸長させながらスライドブロック48を左方向に付勢する。これにより、伸縮アーム56の旋回運動が、スライドブロック48の直線運動へと変換され、よってスライドブロック48は、第2サイドパネル44の第2スライドレール42に沿って左方向に直線的にスライド移動する。つまり、スライドブロック48は、第2サイドパネル44の移動と同時かつ同方向に移動する。このように、スライドブロック48が、左方向に移動すると、回転軸41とスライドブロック48との間の距離が長くなる。この距離の変化に応じて、伸縮アーム56において可動アーム62が、第2旋回アーム60に案内されて、回転軸41とは反対方向に前進することにより、伸縮アーム56の長さが伸長する。
【0086】
(3)第3スライドレール50
伸縮アーム56の旋回に伴い、平行リンク機構57の縦リンクアーム66は、伸縮アーム56と平行を保ちながら、その先端部と係合する第3スライドレール50を左方向に付勢する。これにより、第3スライドレール50は、スライドブロック48のスライドガイド46に沿って左方向に直線的にスライド移動する。つまり、第3スライドレール50は、スライドブロック48の移動と同時かつ同方向に移動する。このように、伸縮アーム56が、旋回すると、可動アーム62の中途部に接続されている平行リンクアーム64,64が左方向に付勢される。この付勢力は、平行リンクアーム64,64の他端部間を結ぶ縦リンクアーム66に伝達される。平行リンク機構57の性質より、縦リンクアーム66は、常に伸縮アーム56と平行を保つので、縦リンクアーム66の先端部は、左方向に延びるような姿勢となり、第3スライドレール50を左方向に移動させる。
【0087】
これらの3部品の移動が、同時かつ同方向に生じることにより、スライドブロック48は、それ自身が左方向にスライド移動する第2スライドレール42に沿って、左方向に移動することとなる。同様に、第3スライドレール50は、それ自身が左方向にスライド移動するスライドガイド46に沿って左方向に移動することとなる。
【0088】
続いて、位置Lから図7の右側の搬送限界位置(位置R)まで、ワークWを搬送する場合を例示する。
【0089】
この移動は、回転軸41を時計回りに回転させて、第1旋回アーム54及び伸縮アーム56を角度F(0<F<180°)だけ旋回させることで達成される。
【0090】
この場合は、第2サイドパネル44、スライドブロック48及び第3スライドレール50が、上述の場合とはおおむね反対の動作を行うことで、同時に同方向(右方向)に直線的に移動する。これにより、ワークWは、位置Lから位置Rまで搬送される。
【0091】
ここで、スライドブロック48に注目する。スライドブロック48は第2スライドレール42に沿って右方向に移動する。これと同時に、スライドブロック48のガイドとなる第2スライドレール42自身も右方向に移動している。よって、スライドブロック48が、右側の移動限界付近まで移動したとしても、第2スライドレール42自身も右側に移動しているので、スライドブロック48が第2スライドレール42から外れ落ちることはない。これにより、スライドブロック48の最大移動距離を第2スライドレール42の全長及び最大移動距離よりも大きくすることができる。
【0092】
また、第3スライドレール50の場合も同様であり、第3スライドレール50はスライドブロック48に沿って右方向に移動する。これと同時に、第3スライドレール50のガイドとなるスライドブロック48自身も右方向に移動している。よって、第3スライドレール50が、右側の移動限界付近まで移動したとしても、スライドブロック48自身も右側に移動しているので、第3スライドレール50がスライドブロック48から外れ落ちることはない。これにより、第3スライドレール50の最大移動距離を第3スライドレール50の全長及びスライドブロック48の最大移動距離よりも大きくすることができる。
【0093】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置30によれば、第1移動手段としての第2サイドパネル44,44が、第1スライドレール35,35上を直線的に移動する。これと同時かつ同方向に、伸縮アーム56と接続された第2移動手段としてのスライドブロック48,48が、第1スライドレール35,35上を移動する第2サイドパネル44,44の第2スライドレール42,42上を移動する。さらに、平行リンク機構57と接続された第3移動手段としての第3スライドレール50,50が、第2スライドレール42,42上を移動するスライドブロック48,48上を、ワークWを保持して移動する。これにより、第1〜第3スライドレール35,42,50のそれぞれの長さよりも長い距離にわたってワークWを搬送することができる。つまり、ワーク搬送距離に比較して第1〜第3スライドレール35,42,50のそれぞれの全長を短くできるので、ワーク搬送装置30を大型化することなく、従来技術と同等以上のワーク搬送距離を確保することができる。換言すれば、従来技術と同等の専有面積であれば、ワーク搬送装置30はより長距離にわたってワークを直線的に搬送することができる。
【0094】
また、この実施の形態のワーク搬送装置30は、旋回−直動変換機構55及び平行リンク機構57を備えているので、スライド機構を単独で用いた実施の形態1に比較して、さらに長い距離にわたってワークWを直線的に搬送することができる。つまり、ワーク搬送装置30は、実施の形態1のワーク搬送装置10の占有面積よりも小さい専有面積であっても、ワーク搬送装置10と同等のワーク搬送距離を実現できる。
【0095】
さらに、ワーク搬送装置30は、旋回−直動変換機構55、本発明のスライド機構及び平行リンク機構57という単純な機構の組み合わせからなるので、装置の複雑化を防ぐことができる。
【0096】
尚、この実施の形態においては、第1スライドレール35とスライドガイド44b、第2スライドレール42とスライドガイド48a及び第3スライドレール50とスライドガイド46の係合部に直動軸受けを用いているが、これらの部品間のスライド移動を妨げない範囲で公知の種々のスライド機構を用いてもよい。
【0097】
また、モータ38の配置位置は、回転軸41を駆動することができれば、第1サイドパネル36,36の間のベース32上に限られない。
【0098】
(実施の形態3)
図8〜10を参照して実施の形態3のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図8は、実施の形態3のワーク搬送装置の平面図である。図9は、同上の正面図である。図10は、同上の左側面図である。
【0099】
まず、このワーク搬送装置70の構造について、図8〜図10を参照して説明する。ワーク搬送装置70は、平面状の作業面72を有するベース74と、モータ76に接続された回転軸78と、一端部が回転軸78に接続されて作業面72上に延在する接続手段としての伸縮アーム80とを備えている。またワーク搬送装置70は、作業面72上に回転軸78を挟んで配置され、回転軸78の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段としての2本のスライドレール82,82と、これらの2本のスライドレール82,82をまたいで配置され、これら2本のスライドレール82,82をガイドとしてスライド移動する連結部品としての搬送テーブル84とを備えている。ここで、搬送テーブル84にはスライドレール82,82の延在方向と直交する方向に延在する開口であるカムフォロアガイド86が形成されている。このカムフォロアガイド86には、伸縮アーム80の他端部(回転軸78とは反対方向の端部)に設けられたカムフォロア90dが、カムフォロアガイド86に沿って摺動自在に係合している。
【0100】
続いて、ワーク搬送装置70の各部品について詳細に説明する。
【0101】
モータ76は、ベース74の下面(作業面72の反対面)に取り付けられている。モータ76の軸は、ベース74に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸78に接続されている。回転軸78は、作業面72に対して垂直にすなわち直交する方向に設けられている。
【0102】
伸縮アーム80は、旋回アーム88と可動アーム90とを備えている。伸縮アーム80は、回転軸78の回転に伴って、回転軸78の周りに90°の角度で弧状に旋回する。
【0103】
旋回アーム88は、回転軸78に接続された基部(回転軸78方向の端部)88aと、案内レール88bとを備えている。基部88aは、旋回アーム88の回転軸78方向の端部を構成し、回転軸78に接続されている。案内レール88bは、基部88aに接続され、基部88aから回転軸78とは反対方向に延在している。そして、案内レール88bの回転軸78とは反対方向の端部には、可動アーム90の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0104】
可動アーム90は、案内ガイド90aとアーム90bと固定ねじ90cとを備えている。
【0105】
案内ガイド90aは、可動アーム90の回転軸78方向の端部を構成し、旋回アーム88の案内レール88bと直動軸受けを介して係合している。アーム90bは、案内ガイド90aから、回転軸78とは反対方向に延在している。また、案内ガイド90aの頂面には、案内ガイド90aを貫通して旋回アーム88の案内レール88bに至る固定ねじ90cが設けられている。さらに、可動アーム90の回転軸78とは反対方向の端部には、カムフォロア90dが設けられている。
【0106】
可動アーム90は、固定ねじ90cを緩めた状態で旋回アーム88をガイドとして、旋回アーム88の延在する方向に沿って、自在に前進後退することができる。そして、固定ねじ90cを締めることにより、可動アーム90を案内レール88bに沿った所望の位置で固定することができる。つまり、伸縮アーム80の一端部と他端部との間の距離を変更することができる。換言すれば、伸縮アーム80において、回転軸78の回転中心からカムフォロア90dの中心までの距離をSとすると、Sの大きさを変更することができる。尚、以降の説明においては、Sのことを「伸縮アーム80の長さ」と称することもある。
【0107】
搬送テーブル84は、テーブル84a、カムフォロアガイド86及び一対のスライドブロック84b,84bを備えている。
【0108】
テーブル84aは、2本のスライドレール82,82にまたがる広さを有する略四角形の板状部品である。テーブル84aの裏面(作業面72との対向面)には、スライドレール82,82に対応する位置にスライドブロック84b,84bが設けられている。このスライドブロック84b,84bは、直方体状のブロックであり、作業面72との対向面(下面)には、スライドレール82,82に嵌る溝が設けられている。また、テーブル84aには、スライドレール82,82の延在する方向に直交する開口であるカムフォロアガイド86が設けられている。このカムフォロアガイド86と可動アーム90のカムフォロア90dとが係合しており、カムフォロア90dは、カムフォロアガイド86に沿って摺動自在とされている。カムフォロアガイド86とカムフォロア90dとで旋回−直動変換機構が構成されている。
【0109】
スライドレール82,82は、作業面72上に固定された互いに平行な2本の直線状部品である。スライドレール82,82は、伸縮アーム80の先端部(回転軸78とは反対方向の端部)が旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。スライドレール82,82は、スライドブロック84b,84bの前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより搬送テーブル84は、スライドレール82,82に沿ってスライド移動を行うことができる。
【0110】
続いて、主に図8を参照して、ワーク搬送装置70の動作について説明する。ここでは搬送テーブル84に載置されたワークを図8の矢印Hに沿って直線的に移動させる場合を例示する。
【0111】
この移動は、回転軸78を時計回りに回転させて、伸縮アーム80を角度G(=90°)だけ旋回させることで達成される。つまり、伸縮アーム80が旋回すると、カムフォロア90dが、カムフォロアガイド86に沿って摺動する。これにより伸縮アーム80の旋回運動は、搬送テーブル84のスライドレール82,82に沿った直線運動に変換され、ワークが、図中矢印H方向に直線的に搬送される。この時のワークの搬送距離は、S(=S×sin90°)で与えられる。
【0112】
ところで、この実施の形態のワーク搬送装置70は、伸縮アーム80の長さSを所望の値とすることができるので、ワーク搬送距離を変更することができる。つまり、可動アーム90を案内レール88bに沿って回転軸78の反対方向に前進させた状態で固定ねじ90cを締めることにより、伸縮アーム80の長さSを大きくすることができる。つまり、この場合は、ワーク搬送距離は長くなる。逆に、可動アーム90を案内レール88bに沿って回転軸78の方向に後退させた状態で固定ねじ90cを締めることにより、伸縮アーム80の長さSを小さくすることができる。つまり、この場合は、ワーク搬送距離は、短くなる。
【0113】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置70によれば、固定ねじ90cを締めたり緩めたりすることにより、伸縮アーム80の長さSを所望の長さに変更できる。これによりワークの直線的な移動距離であるワーク搬送距離を容易に変更することができる。よって、このワーク搬送装置70のみで、さまざまな長さのワーク搬送距離に対応することができる。
【0114】
尚、この実施の形態においては、2本のスライドレール82,82を用いたワーク搬送装置70を例示したが、スライドレールの本数は2本に限られない。例えば、実施の形態1のワーク搬送装置10のようにスライドレールが1本のみの場合であっても、伸縮アームを所望の長さで固定できるような機構を設けることで、この実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0115】
また、この実施の形態では、可動アーム90を旋回アーム88の所望の位置で固定するために、固定ねじ90cを用いているが、可動アーム90と旋回アーム88とを固定する手段は固定ねじ90cに限られず、公知の種々の固定手段を用いることができる。
【0116】
(実施の形態4)
図11及び図12を参照して実施の形態4のワーク搬送装置の一好適例について説明する。図11は、実施の形態4のワーク搬送装置の正面図である。図12は同上の右側面図である。
【0117】
実施の形態1〜3のワーク搬送装置はワークを水平方向に搬送するのに対し、実施の形態4のワーク搬送装置はワークを垂直方向に搬送する。
【0118】
まず、このワーク搬送装置92の構造について、図11及び図12を参照して説明する。ワーク搬送装置92は、水平な床面93に垂直に固定された板状のベース94を備えている。ベース94の裏面側には、ベース94を床面93に対して垂直すなわち直交する方向に支持する支持プレート96と、モータ98とが設けられている。また、ベース94の表面側には、モータ98に接続された回転軸100と、回転軸100に接続された一端部及びカムフォロア102を備えた他端部を有し、ベース94の表面に沿って延在する接続手段としての伸縮アーム104とが設けられている。また、ベース94の表面側には、回転軸100を挟んで配置され、回転軸100の軸方向に対して垂直すなわち直交する方向に延在する案内手段としての2本のスライドレール106,106と、これらの2本のスライドレール106,106をまたいで配置され、これら2本のスライドレール106,106をガイドとして上下にスライド移動する連結部品としての搬送板108とが設けられている。ここで、搬送板108には、スライドレール106,106の延在方向と垂直すなわち直交する方向に延在して形成された開口であるカムフォロアガイド110が設けられている。このカムフォロアガイド110には、伸縮アーム104のカムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動自在に係合している。また、搬送板108には、その表面から垂直に延出するワーク把持手段112が設けられている。
続いて、ワーク搬送装置92の各部品について詳細に説明する。
【0119】
モータ98の軸は、ベース94に設けられた開口(図示を省略)を介して、回転軸100に接続されている。回転軸100は、ベース94の表面に対して垂直すなわち直交する方向に設けられている。
【0120】
伸縮アーム104は、旋回アーム114と、可動アーム116と、弾性部品としてのスプリング118とを備えている。伸縮アーム104は、回転軸100の回転に伴って、回転軸100の周りに90°の角度で弧状に旋回する。
【0121】
旋回アーム114は、回転軸100に接続された基部(回転軸100方向の端部)114aと、案内レール114bとを備えている。基部114aは、旋回アーム114の回転軸100方向の端部を構成し、回転軸100に接続されている。案内レール114bは、基部114aに接続され、基部114aから回転軸100とは反対方向に延在している。また、案内レール114bには、スプリング118を配置するための凹溝114cが形成されている。この凹溝114cの回転軸100方向の端部に、スプリング118の一端面(回転軸100方向の端面)が支持されている。さらに、案内レール114bの回転軸100とは反対方向の端部には、可動アーム116の抜けを防止するためのストッパ(図示を省略)が設けられている。
【0122】
可動アーム116は、案内ガイド116aとアーム116bとを備えている。案内ガイド116aは、可動アーム116の回転軸100方向の端部を構成し、旋回アーム114の案内レール114bと直動軸受けを介して係合している。これにより、可動アーム116は、旋回アーム114をガイドとして、旋回アーム114の延在する方向に沿って自在に前進後退することができる。また、可動アーム116の回転軸100とは反対方向の端部には、カムフォロア102が設けられている。また、案内ガイド116aの回転軸100方向の端面には、スプリング118の他端面(回転軸100とは反対方向の端面)が当接している。
【0123】
スプリング118は、伸縮アーム104において、一端部(回転軸100方向の端部)と他端部(回転軸100とは反対方向の端部)に介在しており、他端部を常に回転軸100とは反対方向に付勢している。すなわち、スプリング118は、案内レール114bの凹溝114cに配置され、その一端面が旋回アーム114に固定されており、他端面が可動アーム116の案内ガイド116aを押圧している。これによりスプリングは、案内ガイド116aつまり可動アーム116を常に回転軸100とは反対方向に付勢している。よって、伸縮アーム104は、スプリング118の弾発力により、通常の場合は伸張した状態となっているが、スプリング118の弾発力を超える力が回転軸100方向に加えられた場合には、短縮することとなる。
【0124】
搬送板108は、ワーク把持手段112、カムフォロアガイド110及び一対のスライドブロック120,120を備えている。
【0125】
搬送板108は2本のスライドレール106,106にまたがる広さを有する板状部品である。
【0126】
ワーク把持手段112は、床面93に置かれたワークWを把持するための把持装置(図示を省略)を備えている。
【0127】
カムフォロアガイド110は、スライドレール106,106の延在方向に直交して、搬送板108に設けられた開口である。このカムフォロアガイド110と可動アーム116のカムフォロア102とが係合しており、カムフォロア102は、カムフォロアガイド110に沿って摺動自在とされている。カムフォロアガイド110とカムフォロア102とで旋回−直動変換機構を構成している。
【0128】
スライドブロック120,120は、搬送板108の裏面(ベース94の表面との対向面)のスライドレール106,106に対応する位置に設けられている。スライドブロック120,120には、スライドレール106,106に嵌る溝が設けられている。
【0129】
スライドレール106,106はベース94の表面上に固定された互いに平行な2本の直線状部品である。スライドレール106,106は、伸縮アーム104の先端部(回転軸100とは反対方向の端部)が旋回する軌跡を含む平面に平行な平面内に配置されている。スライドレール106,106は、スライドブロック120,120の前述した溝に直動軸受けを介して嵌っている。これにより搬送板108は、スライドレール106,106に沿って上下にスライド移動を行うことができる。
【0130】
続いて、主に図11を参照して、ワーク搬送装置92の動作について説明する。ここでは、伸縮アーム104の他端部(回転軸100とは反対方向の端部)を上方位置(位置High)から、下方位置(位置Low)へと移動させてワークWを把持する場合について例示する。
【0131】
この移動は、回転軸100を反時計回りに回転させて、伸縮アーム104を角度J(=90°)だけ旋回させることで達成される。つまり、位置Highにおいて、伸縮アーム104は、スプリング118の弾発力により伸張した状態にある。この状態から伸縮アーム104を旋回させていくと、カムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動する。これにより、伸縮アーム104の旋回運動は、搬送板108のスライドレール106,106に沿った直線運動に変換され、よって搬送板108は直線的に下方にスライド移動する。
【0132】
伸縮アーム104は、ワーク把持手段112がワークWと接触するまで伸張した状態で旋回を続ける。この旋回に伴って、カムフォロア102が、カムフォロアガイド110に沿って摺動するので、搬送板108は、下方に移動していく。
【0133】
伸縮アーム104の旋回を続けると、やがてワーク把持手段112がワークWと接触する。この状態で更に伸縮アーム104の旋回を続けると、床面93とワーク把持手段112との間にワークWが介在しているので、搬送板108の下降が止まる。これとともに、伸縮アーム104に対しては、スプリング118の弾発力に抗して伸縮アーム104を短縮させる力が働く。この力により、可動アーム116は、旋回アーム114に沿って回転軸100方向に後退して、よって伸縮アーム104の長さが短くなっていく。つまり、伸縮アーム104は、搬送板108の下降が止まった位置からは、ワークWの頂面(ワーク把持手段112との接触面)と回転軸100の中心との間の距離に応じて、その長さを短縮させながら旋回を行う。従って、この状態において、カムフォロア102は、一定の高さを保ちながら、カムフォロアガイド110に沿って水平に右方向に移動することとなる。
【0134】
やがて、伸縮アーム104の他端部が、位置Lowに至ると、伸縮アーム104の長さが、最小となる。尚、この長さの最小値は、ワークWの床面93からの高さにより変化する。このとき、可動アーム116は、旋回アーム114に沿って回転軸100方向に最も後退した位置(後端位置)に移動することとなる。この状態で把持装置を作動させることで、ワークWを把持する。
【0135】
位置Lowから位置Highへとワークを搬送する場合には、ワーク把持手段112にワークWを把持した状態で、モータ98を逆方向(時計回り方向)に回転させることで、前述とおおむね逆の動作を行えばよい。
【0136】
このように、この実施の形態のワーク搬送装置92は、スプリング118を備えた伸縮アーム104を備えているので、伸縮アーム104の旋回によりワークWとワーク把持手段112とが接触すると、ワークWの高さに応じて伸縮アーム104が自動的に短縮して、ワークW毎の高さの差を吸収する。これにより、高さの異なるワークWを直線的に搬送することができる。
【0137】
尚、ワーク搬送装置92により高さが同一のワークの連続搬送を行う場合には、位置Lowにおける伸縮アーム104の長さは、ワークの高さにより決まる一定長となる。よって、伸縮アーム104に、位置Lowにおける長さが前記一定長であるか否かを検知するセンサを設けることで、高さが異なるワークが混入した場合に、それを検知することができる。
【0138】
また、弾性部品は、伸縮アーム104において、一端部(回転軸100方向の端部)と他端部(回転軸100とは反対方向の端部)に介在しており、他端部を常に回転軸100とは反対方向に付勢するものであれば、スプリング118に限られず、公知の種々の部品を用いることができる。
【0139】
また、この実施の形態においては、2本のスライドレール106,106を用いたワーク搬送装置92を例示したが、スライドレールの本数は2本に限られない。例えば、実施の形態1のワーク搬送装置10のようにスライドレールが1本のみの場合であっても、伸縮アーム中に弾性部品を設けることで、この実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】(A)は、実施の形態1のワーク搬送装置の平面図であり、(B)は正面図である。
【図2】実施の形態1のワーク搬送装置の左側面図である。
【図3】従来のワーク搬送装置の正面図である。
【図4】従来のワーク搬送装置の作用を説明するための模式図である。
【図5】実施の形態2のワーク搬送装置の正面図である。
【図6】実施の形態2のワーク搬送装置の左側面図である。
【図7】実施の形態2のワーク搬送装置の動作を説明するための模式図である。
【図8】実施の形態3のワーク搬送装置の平面図である。
【図9】実施の形態3のワーク搬送装置の正面図である。
【図10】実施の形態3のワーク搬送装置の左側面図である。
【図11】実施の形態4のワーク搬送装置の正面図である。
【図12】実施の形態4のワーク搬送装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0141】
10,30,70,92:ワーク搬送装置
12,72:作業面
14,32,74,94:ベース
16,38,76,98:モータ
18,41,78,100:回転軸
20,56,80,104:伸縮アーム
22,84:搬送テーブル
22a,84a:テーブル
22b,48b:係合凹部
22c,48,84b,120:スライドブロック
24,82,106:スライドレール
24L:左端部
24R:右端部
24C:中央部
26,88,114:旋回アーム
26a,88a,114a:基部
26b,88b,114b:案内レール
27:直動軸受け
28,62,90,116:可動アーム
28a,90a,116a:案内ガイド
28b,90b,116b:アーム
28c,62a:係合凸部
32a:主面
34:支持パネル
35:第1スライドレール
36:第1サイドパネル
40:減速機
42:第2スライドレール
44:第2サイドパネル
44b,46,48a:スライドガイド
50:第3スライドレール
50a:固定具
50b:一端部
52,90d,102:カムフォロア
54:第1旋回アーム
55:旋回−直動変換機構
57:平行リンク機構
58,86,110:カムフォロアガイド
60:第2旋回アーム
64:平行リンクアーム
66:縦リンクアーム
90c:固定ねじ
93:床面
96:支持プレート
108:搬送板
112:ワーク把持手段
114c:凹溝
118:スプリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
該回転軸に接続され、前記回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
該接続手段の端部がスライド移動可能に係合されていて、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記端部が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、前記接続手段は、前記端部と前記回転軸との距離の変化に応じて、伸縮することを特徴とするスライド機構。
【請求項2】
前記案内手段は、前記端部の旋回による軌跡を含む平面内又は該平面に平行な平面内に、一方及び他方の両端部を有する直線状部品を備え、
該直線状部品は、前記一方及び他方の両端部と前記回転軸との間の距離が互いに等しくなるように、配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスライド機構。
【請求項3】
連結部品を更に備え、
該連結部品を介して前記接続手段の前記端部と前記案内手段とが係合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド機構。
【請求項4】
前記接続手段は、旋回アームと可動アームとを有する伸縮アームを備え、
前記旋回アームが前記回転軸に接続されており、
前記旋回アームに係合された前記可動アームが、前記旋回アームに案内されて前後に自在に移動することで、前記伸縮アームが伸縮自在とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスライド機構。
【請求項5】
前記可動アームは、前記旋回アームに対して直動軸受けを介して係合されていることを特徴とする請求項4に記載のスライド機構。
【請求項6】
平坦な作業面を有するベースを更に備え、
前記回転軸は、前記作業面に対して直交する方向に設けられており、
前記伸縮アームは、前記作業面に対して平行に直線状に延在しており、
前記直線状部品は、前記作業面に固定されたスライドレールであり、
前記連結部品は、前記可動アームと前記スライドレールとの間に介在するテーブルを備えており、
該テーブルは、前記可動アームに設けられた係合部に対して、前記作業面に平行な面内で相対回転自在に係合する被係合部を備えており、
前記テーブルの前記スライドレールに沿ったスライド移動に伴う、前記テーブルと前記回転軸との間の距離の変化に応じて、前記可動アームが、前記旋回アームに沿って、前進後退を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のスライド機構。
【請求項7】
回転軸と、
該回転軸に接続され、前記回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の回転運動を直線運動に変換し、それにより直線的に移動する第1移動手段と、
前記接続手段に係合されていて、前記第1移動手段の移動と同時かつ同方向に前記第1移動手段に沿って直線的にスライド移動する第2移動手段と、
前記接続手段の旋回運動を直線運動に変換し、それにより前記第1及び第2移動手段の移動と同時かつ同方向に前記第2移動手段に沿って直線的にスライド移動する第3移動手段と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記第2移動手段が前記第1移動手段に沿ってスライド移動するとき、前記接続手段が、前記第2移動手段と前記回転軸との間の距離の変化に応じて、伸縮することを特徴とするスライド機構。
【請求項8】
平坦な主面を有するベースと、
前記ベースに固定されていて、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向及び前記主面に対して平行な方向、に延在する第1スライドレールと、
前記回転軸に接続された第1旋回アームと、
前記回転軸の回転運動を直線運動に変換する旋回−直動変換機構と、
前記接続手段を構成要素として含んでいて、前記接続手段の旋回運動を直線運動に変換する平行リンク機構と
を更に備え、
前記回転軸は、前記主面に対して平行に配置されており、
前記接続手段は、第2旋回アームと可動アームとを有する伸縮アームを備え、
前記第2旋回アームが前記回転軸に接続されており、
前記第2旋回アームに係合された前記可動アームが、前記第2旋回アームに案内されて前後に自在に移動することで、前記伸縮アームが伸縮自在とされおり、
前記第1移動手段は、第2スライドレールを備えており、かつ、前記旋回−直動変換機構を介して前記第1旋回アームに係合されて前記第1旋回アームの旋回に伴い、前記第1スライドレールに沿ってスライド移動し、
前記第2移動手段は、スライドガイドを備えており、かつ、前記第2スライドレールに沿ってスライド移動し、
前記第3移動手段は、前記平行リンク機構を介して前記接続手段の前記伸縮アームに係合されて前記伸縮アームの旋回に伴い、前記スライドガイドに沿ってスライド移動することを特徴とする請求項7に記載のスライド機構。
【請求項9】
前記主面に対して垂直に、かつ、前記主面に互いに対向して固定されていて、その頂面に前記第1スライドレールを有する一対の第1サイドパネルを更に備え、
前記第1移動手段は、前記第1スライドレール上に載置される一対の第2サイドパネルを備え、
該第2サイドパネルの頂面には前記第2スライドレールが設けられており、
前記第2サイドパネルの側面には前記主面に対して垂直方向に延在する開口であるカムフォロアガイドが形成されており、
前記第2移動手段は、前記第2スライドレール上に載置される一対のスライドブロックを備え、該スライドブロックの頂面にはスライドガイドが設けられており、
前記第3移動手段は、前記スライドガイド上に載置される一対の第3スライドレールを備え、
前記回転軸は、前記一対の第1サイドパネルを、その側面に対し垂直に、貫通して配置されており、
前記伸縮アームは、一対設けられていて、前記第1サイドパネルに平行な面内で旋回し、その先端部は、前記スライドブロックの側面に、前記第1サイドパネルに平行な面内で相対回転自在に、係合されており、
前記第1旋回アームは、前記伸縮アームと同位相に配置され、前記伸縮アームに同期して前記第1サイドパネルに平行な面内で旋回するとともに、その先端部にカムフォロアを備えており、
前記旋回−直動変換機構は、前記カムフォロアガイドと、該カムフォロアガイドに沿って摺動自在に係合する前記カムフォロアとを備えており、
前記平行リンク機構は、前記可動アームと、互いに平行かつ等長であって、一端部が該可動アームの中途部に接続された2本の平行リンクアームと、これらの平行リンクアームの他端部間を接続して前記主面から離間する方向に延在する縦リンクアームとを備えており、該縦リンクアームの先端部は、前記第3スライドレールの一端部に、第1サイドパネルに平行な面内で相対回転自在に係合されていることを特徴とする請求項8に記載のスライド機構。
【請求項10】
回転軸と、
該回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、該回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、
前記カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、該案内手段に沿ってスライド移動する連結部品と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記連結部品が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うスライド機構において、
前記接続手段は、その一端部と他端部との間の距離が変更可能な構成としてあることを特徴とするスライド機構。
【請求項11】
回転軸と、
該回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、該回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、
前記カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、該案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備え、
前記接続手段の旋回により前記連結部品が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うスライド機構において、
前記接続手段は、前記一端部と他端部との間に介在させて設けられていて、該他端部を前記回転軸とは反対方向に常に付勢する弾性部品を備えることを特徴とするスライド機構。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載されたスライド機構を備えたワーク搬送装置。
【請求項1】
回転軸と、
該回転軸に接続され、前記回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
該接続手段の端部がスライド移動可能に係合されていて、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記端部が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うとき、前記接続手段は、前記端部と前記回転軸との距離の変化に応じて、伸縮することを特徴とするスライド機構。
【請求項2】
前記案内手段は、前記端部の旋回による軌跡を含む平面内又は該平面に平行な平面内に、一方及び他方の両端部を有する直線状部品を備え、
該直線状部品は、前記一方及び他方の両端部と前記回転軸との間の距離が互いに等しくなるように、配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスライド機構。
【請求項3】
連結部品を更に備え、
該連結部品を介して前記接続手段の前記端部と前記案内手段とが係合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド機構。
【請求項4】
前記接続手段は、旋回アームと可動アームとを有する伸縮アームを備え、
前記旋回アームが前記回転軸に接続されており、
前記旋回アームに係合された前記可動アームが、前記旋回アームに案内されて前後に自在に移動することで、前記伸縮アームが伸縮自在とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスライド機構。
【請求項5】
前記可動アームは、前記旋回アームに対して直動軸受けを介して係合されていることを特徴とする請求項4に記載のスライド機構。
【請求項6】
平坦な作業面を有するベースを更に備え、
前記回転軸は、前記作業面に対して直交する方向に設けられており、
前記伸縮アームは、前記作業面に対して平行に直線状に延在しており、
前記直線状部品は、前記作業面に固定されたスライドレールであり、
前記連結部品は、前記可動アームと前記スライドレールとの間に介在するテーブルを備えており、
該テーブルは、前記可動アームに設けられた係合部に対して、前記作業面に平行な面内で相対回転自在に係合する被係合部を備えており、
前記テーブルの前記スライドレールに沿ったスライド移動に伴う、前記テーブルと前記回転軸との間の距離の変化に応じて、前記可動アームが、前記旋回アームに沿って、前進後退を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のスライド機構。
【請求項7】
回転軸と、
該回転軸に接続され、前記回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の回転運動を直線運動に変換し、それにより直線的に移動する第1移動手段と、
前記接続手段に係合されていて、前記第1移動手段の移動と同時かつ同方向に前記第1移動手段に沿って直線的にスライド移動する第2移動手段と、
前記接続手段の旋回運動を直線運動に変換し、それにより前記第1及び第2移動手段の移動と同時かつ同方向に前記第2移動手段に沿って直線的にスライド移動する第3移動手段と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記第2移動手段が前記第1移動手段に沿ってスライド移動するとき、前記接続手段が、前記第2移動手段と前記回転軸との間の距離の変化に応じて、伸縮することを特徴とするスライド機構。
【請求項8】
平坦な主面を有するベースと、
前記ベースに固定されていて、前記回転軸の軸方向に対して直交する方向及び前記主面に対して平行な方向、に延在する第1スライドレールと、
前記回転軸に接続された第1旋回アームと、
前記回転軸の回転運動を直線運動に変換する旋回−直動変換機構と、
前記接続手段を構成要素として含んでいて、前記接続手段の旋回運動を直線運動に変換する平行リンク機構と
を更に備え、
前記回転軸は、前記主面に対して平行に配置されており、
前記接続手段は、第2旋回アームと可動アームとを有する伸縮アームを備え、
前記第2旋回アームが前記回転軸に接続されており、
前記第2旋回アームに係合された前記可動アームが、前記第2旋回アームに案内されて前後に自在に移動することで、前記伸縮アームが伸縮自在とされおり、
前記第1移動手段は、第2スライドレールを備えており、かつ、前記旋回−直動変換機構を介して前記第1旋回アームに係合されて前記第1旋回アームの旋回に伴い、前記第1スライドレールに沿ってスライド移動し、
前記第2移動手段は、スライドガイドを備えており、かつ、前記第2スライドレールに沿ってスライド移動し、
前記第3移動手段は、前記平行リンク機構を介して前記接続手段の前記伸縮アームに係合されて前記伸縮アームの旋回に伴い、前記スライドガイドに沿ってスライド移動することを特徴とする請求項7に記載のスライド機構。
【請求項9】
前記主面に対して垂直に、かつ、前記主面に互いに対向して固定されていて、その頂面に前記第1スライドレールを有する一対の第1サイドパネルを更に備え、
前記第1移動手段は、前記第1スライドレール上に載置される一対の第2サイドパネルを備え、
該第2サイドパネルの頂面には前記第2スライドレールが設けられており、
前記第2サイドパネルの側面には前記主面に対して垂直方向に延在する開口であるカムフォロアガイドが形成されており、
前記第2移動手段は、前記第2スライドレール上に載置される一対のスライドブロックを備え、該スライドブロックの頂面にはスライドガイドが設けられており、
前記第3移動手段は、前記スライドガイド上に載置される一対の第3スライドレールを備え、
前記回転軸は、前記一対の第1サイドパネルを、その側面に対し垂直に、貫通して配置されており、
前記伸縮アームは、一対設けられていて、前記第1サイドパネルに平行な面内で旋回し、その先端部は、前記スライドブロックの側面に、前記第1サイドパネルに平行な面内で相対回転自在に、係合されており、
前記第1旋回アームは、前記伸縮アームと同位相に配置され、前記伸縮アームに同期して前記第1サイドパネルに平行な面内で旋回するとともに、その先端部にカムフォロアを備えており、
前記旋回−直動変換機構は、前記カムフォロアガイドと、該カムフォロアガイドに沿って摺動自在に係合する前記カムフォロアとを備えており、
前記平行リンク機構は、前記可動アームと、互いに平行かつ等長であって、一端部が該可動アームの中途部に接続された2本の平行リンクアームと、これらの平行リンクアームの他端部間を接続して前記主面から離間する方向に延在する縦リンクアームとを備えており、該縦リンクアームの先端部は、前記第3スライドレールの一端部に、第1サイドパネルに平行な面内で相対回転自在に係合されていることを特徴とする請求項8に記載のスライド機構。
【請求項10】
回転軸と、
該回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、該回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、
前記カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、該案内手段に沿ってスライド移動する連結部品と
を備え、
前記接続手段の旋回により前記連結部品が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うスライド機構において、
前記接続手段は、その一端部と他端部との間の距離が変更可能な構成としてあることを特徴とするスライド機構。
【請求項11】
回転軸と、
該回転軸に接続された一端部及びカムフォロアが備えられた他端部を有していて、該回転軸の周りに180°未満の角度で弧状に旋回する接続手段と、
前記回転軸の軸方向に対して直交する方向に延在する案内手段と、
前記カムフォロアが摺動自在に係合するカムフォロアガイドを有するとともに、該案内手段に沿ってスライド移動する連結部品とを備え、
前記接続手段の旋回により前記連結部品が前記案内手段に沿ってスライド移動を行うスライド機構において、
前記接続手段は、前記一端部と他端部との間に介在させて設けられていて、該他端部を前記回転軸とは反対方向に常に付勢する弾性部品を備えることを特徴とするスライド機構。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載されたスライド機構を備えたワーク搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−189114(P2006−189114A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2168(P2005−2168)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(390008855)宮崎沖電気株式会社 (151)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(390008855)宮崎沖電気株式会社 (151)
【Fターム(参考)】
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