説明

スラグ温度計測方法及び該計測装置

【課題】正確な温度を安定して計測可能で、かつ計測対象の視野確認を簡単に行なうことができるスラグ温度計測方法及び該計測装置を提供する。
【解決手段】炉内のスラグ液面から放射される赤外光によりスラグ液面温度を計測するスラグ温度計測装置10において、前記赤外光とともに可視光を含む光が導入される筐体11を有し、該筐体内には穴部13aを有する可視光分離ミラー13が光路上流側に配置され、前記穴部を通る光軸上に位置し前記光のうち赤外光を複数の光路に分配するビームスプリッタ15と、該分配された赤外光が異なる波長毎に入射する複数のサーモパイル18、19と、が光路下流側に配置され、前記複数のサーモパイル18、19の出力電圧からエネルギ比を算出してスラグ液面温度を計測する信号処理装置20が設けられるとともに、前記可視光分離手段により屈折された可視光により計測視野を視認可能な視認窓21が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融炉における溶融スラグ温度を計測する方法及び装置に関し、特に赤外光を用いた非接触温度計測法により誤差が小さく安定した計測を可能としたスラグ温度計測方法及び該計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥や都市ごみ、産業廃棄物、及びこれらを焼却した際に発生する焼却灰は、資源化、減容化及び無害化を目的として灰溶融炉で溶融され、スラグ化して処理されている。生成されたスラグは、灰中に含まれる有害物質を封入するとともに有用な資源として回収され、地盤改良剤、路盤材、アスファルト用骨材等として再利用することができる。有害物質が溶出しない安全性の高いスラグを生成するためには、溶融炉でのスラグ溶融状態の管理が重要となり、このためスラグ液面の温度計測が行なわれている。
【0003】
スラグ液面の温度を計測するには、液面から放射される赤外光を検出し温度を計測する放射温度計が広く用いられている。特に、溶融炉のように煤塵濃度の高い測定対象に対しては2色放射温度計が適している。これは、異なる波長を有する2種類以上の赤外光の強度比からスラグ液面温度を推定するものであり、2色放射温度計を利用した方法が特開2001−249049号公報(特許文献1)等に開示されている。
図5に従来のスラグ温度計測装置を示す。かかるスラグ温度計測装置は、炉内に収容された溶融スラグ液面からの赤外光を、集光窓51を介して集光レンズ52に集光し、チョッパ53で光路を開閉しながら任意に選択した異なる複数の波長毎に別個の焦電素子54に導き、各焦電素子の出力電圧から得られた出力電圧値とプランクのエネルギ放射則からスラグ液面温度を計測するものである。
【0004】
しかしながら、上記した温度計測装置には、検出電圧が不安定、早い温度変化に追随できない、光量の調整が困難である、スラグ上方のガスの影響を受ける、焦電素子に間欠的に入光せしめるチョッパの影響を受ける、異なる場所で計測すると温度が異なる、等の問題があり、安定して計測を行なうことは困難であった。
そこで、特開2003−294532号公報(特許文献2)では、2つの扇形切欠きを離間させて形成したチョッパを直列に配置して同期開閉し、複数の焦電素子に同時に入光させるようにした温度計測装置を提供している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−249049号公報
【特許文献2】特開2003−294532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来の温度計測装置では、複数の焦電素子に入射する赤外光はスラグ面の夫々異なる箇所から放射したものであり、炉内に付着物等の光路を阻害する物質が存在する場合や、スラグ面に温度分布がある場合には複数の焦電素子間において同様の条件で計測を行なえないため計測誤差が生じてしまう。また、チョッパを用いた機構であるため、早い温度変化に追随できない。また、測定対象物の温度分布がある場合に焦電素子やチョッパの温度分布があると誤差となってしまう。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、正確な温度を安定して計測可能なスラグ温度計測方法及び該計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
スラグ液面から放射される赤外光によりスラグ液面温度を計測するスラグ温度計測方法において、
前記赤外光とともに炉外に導かれた可視光を含む光の光路上流側にて、可視光分離手段により可視光を分離し、一方可視光を分離した光路下流側にてビームスプリッタにより前記可視光を分離し可視光分離手段を通過した光のうちの赤外光を複数の光路に分配し、
該分配した赤外光を異なる波長毎に複数の光検出素子に夫々導き、該複数の光検出素子の出力電圧からエネルギ比を算出してスラグ液面温度を計測することを特徴とする。
このとき、前記光検出素子が、サーモパイルであることが好適である。
【0008】
従来のように焦電素子とチョッパを用いる温度計測においては、チョッピングモータの変動により計測が不安定となっていたが、本発明ではサーモパイル等の光検出素子を用いたチョッピングを不要とする計測を行なっているため計測の安定性が向上する。また、焦電素子ではチョッピングを行なうためにチョッパ速度でサンプリング時間が決定していたが、サーモパイルを用いることで素子そのものの応答時間で計測が可能となり早い温度変化に追随することができる。さらに、温度制御機能付きサーモパイルを用いることが好ましく、これにより素子温度の誤差及びチョッパ温度の誤差がない。さらにまた、前記可視光分離手段、前記ビームスプリッタ、前記光検出素子を含むスラグ温度計測装置の内部の温度を、温調機能により一定に調整することが好ましい。
【0009】
また、本発明では1つの光軸を分離して赤外光を検出しているため、測定対象の温度分布の誤差や、付着物による誤差が生じない。
【0010】
また、前記光検出素子が、入射面側に波長選択手段を配したサーモパイルであることが好ましく、特に、前記波長選択手段により選択される赤外光の波長域が、約7〜14μmの範囲内に設定されていると良い。
これによれば、炉内ガスのうち赤外光を吸収する水蒸気(H2O)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)等の吸収帯を回避することができるため、正確な温度計測が可能となる。
【0011】
また、かかる発明を好適に実施する装置として、炉内のスラグ液面から放射される赤外光によりスラグ液面温度を計測するスラグ温度計測装置において、
前記赤外光とともに可視光を含む光が導入される筐体を有し、
該筐体内には可視光分離手段が光路上流側に配置され、前記穴部を通る光軸上に位置し前記光のうち赤外光を複数の光路に分配するビームスプリッタと、該分配された赤外光が異なる波長毎に夫々入射する複数の光検出素子と、が光路下流側に配置され、
前記複数の光検出素子の出力電圧に基づきスラグ液面温度が計測されることを特徴とする。
さらに、前記波長選択手段により選択される赤外光の波長域が、約7〜14μmの範囲内に設定されているするとともに、前記複数の光検出素子に入射する赤外光の波長域のうち一の波長域を約7〜11μm未満の範囲内とし、他の波長域を約11〜14μm未満の範囲内に設定されている波長選択手段であるのが良く、さらに好適には、前記複数の光検出素子に入射する赤外光の波長域のうち一の波長域を約8.0〜8.3μmの範囲内とし、他の波長域を約11.0〜12.5μmの範囲内に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上記載のごとく本発明によれば、焦電素子を用いていないためチョッパが不要となり、チョッピングモータの変動により不安定となることがなく、計測の安定性を向上することができるとともに、検出素子自体の応答時間で計測が可能となるため早い温度変化に追随できる。また、素子温度の上昇を原因とする計測誤差を補正可能である。また、温度計測装置の内部温度を一定に保った場合には補正の必要がない。さらに、1つの光軸を分離してこれを基に温度計測を行なっているため、温度分布による誤差、付着物等の光路阻害物質の誤差が生じず、正確で安定した温度計測を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例に係るスラグ温度計測装置を配設した溶融炉を示す断面図、図2は図1のスラグ温度計測装置の構成図、図3は各温度帯における放射エネルギの強度と波長の関係を示すグラフ、図4は各種ガスの放射エネルギ吸収帯を示すグラフである。
【実施例1】
【0014】
まず、図2を参照してプラズマ溶融炉の概略を説明する。プラズマ溶融炉30は、耐火材からなる炉壁を鉄皮で被覆した炉本体31と、該炉本体31の炉蓋に貫設した主電極32と、該主電極32に対向して炉底に配設された炉底電極33と、を有している。かかるプラズマ溶融炉30は、不図示の投入口より投入された焼却灰等の被溶融物を、前記主電極32と炉底電極33との間に直流電圧を印加して発生させたプラズマアーク34により溶融し、溶融スラグ35とする。溶融スラグ35の下部には比重差によりメタル層36が形成されている。
【0015】
前記炉蓋の一部には炉外と通じる計測用開口37が形成されており、透過窓38により密閉されている。該透過窓38は、少なくとも可視光及び赤外光を含む光を透過可能な材質で形成され、例えばセレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)等を用いることができる。該透過窓38は、スラグ上方のガスで汚れが付着するので容易に取り替え、または清掃ができる構造とすることが好ましい。
該透過窓38を介して炉外にはスラグ温度計測装置10が配設されている。かかる温度計測装置10の構成を図1に示す。図1において、スラグ温度計測装置10は全体が筐体11に収納されている。筐体11の炉側端部には集光レンズ12が配設されている。該集光レンズ12は、前記透過窓38と同様にZnSe、若しくはZnSで形成されていることが好ましく、凸または平凸レンズとし、スラグ液面35aからの光を集光する。
【0016】
前記集光レンズ12と対面するごとく、所定角度を有して可視光分離ミラー13が配置され、該可視光分離ミラー12は前記集光レンズ12の光軸と直交する方向に可視光を反射する。また、スラグ液面35aから放射される光束の一部が通過可能なように、前記可視光分離ミラー13の一部には穴部13aが形成されている。さらに、該可視光分離ミラー13と対面する位置には可視光屈折ミラー14が配設され、該可視光屈折ミラー14に入射した可視光は入射光と略直交する方向に屈折される。該可視光屈折ミラー14と対面する前記筐体11の上面には視認窓21が設けられている。前記可視光分離ミラー13及び可視光屈折ミラー14は、可視光域の波長において反射率が高くかつ一定である材質を用いる。
【0017】
一方、前記筐体11の光路下流側には、前記穴部13aを通過した光が入射するようにビームスプリッタ15が設けられている。該ビームスプリッタ15は、例えばハーフミラーからなり、前記入光した光のうち赤外光を2以上の光束に分配する。本実施例では一の赤外光を透過させ、他の一の赤外光を入射光と直交する方向に反射するようにしている。前記ビームスプリッタ15は前記例示したハーフミラーに限らず、例えば入射光を分配可能なプリズムユニット等を用いることもでき、使用する部品の形状及び数は特に限定されるものではない。
このようにして分配した赤外光の光路上には光検出素子である第1のサーモパイル18、第2のサーモパイル19が夫々配設されており、その光の進行方向前面には特定の波長域の赤外光のみを透過する第1のバンドパスフィルタ16、第2のバンドパスフィルタ17が夫々設置されている。
また、スラグ温度計測装置10は断熱材で覆われており、内部にヒータ及びファン等の温調機能が設置され、常に45℃程度となるように温度調整されていることが好ましい。
【0018】
前記第1、第2のバンドパスフィルタ16、17は、異なる2つの波長域の赤外光のみを透過する。前記プラズマ溶融炉30の炉内には様々なガスが存在し、これらのガスはスラグ液面35aから透過窓38に達する赤外光のうち、所定の波長域を有する光を吸収して透過しない。従って、これらのガスが吸収しない波長域の赤外光を使用することが好ましい。赤外光を吸収するガスの種類は、水蒸気(H2O)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)等が挙げられ、図4に示した赤外光吸収帯の赤外光を吸収する。
従って、前記第1、第2のバンドパスフィルタ16、17で選択する波長域はこれらの吸収帯を回避するような異なる2の波長域とし、好適には8〜14μmとするとともに、前記複数の光検出素子に入射する赤外光の波長域のうち一の波長域を約7〜11μm未満の範囲内とし、他の波長域を約11〜14μm未満の範囲内に設定されているのが良い。
さらに好ましくは、図3に示すように、前記第1のバンドパスフィルタ16で通過させる第1波長域を約8.0〜8.3μmとし、前記第2のバンドパスフィルタ17で通過させる第2波長域を約11.0〜12.5μmに設定すると良い。
【0019】
本実施例で使用する第1、第2のサーモパイル18、19は、複数の熱電対を直列に繋いだ構造となっており、受光面が温接点で、該温接点と熱絶縁を介して冷接点があり、温接点と冷接点の温度差に基づいた起電力を取り出す。即ち、前記バンドパスフィルタで選択された波長の赤外放射エネルギーを電圧として計測することができる。尚、本実施例では光検出素子はサーモパイルに限らず、赤外光を利用して熱放射エネルギを検出して2色放射温度計測を行なうことが可能で、かつチョッパを必要としない非接触型温度検出センサであれば何れでも良い。
前記第1、第2のサーモパイル18、19は信号処理装置20に接続されている。該信号処理装置20は、信号増幅部、演算部等を具備している。前記各サーモパイルにて検出された電圧信号は信号処理装置20に送信され、必要に応じて所定増幅率で増幅し、得られた2の電圧信号の出力比からスラグ温度を演算し、筐体11の外部に設けられた25に信号を送信する。
【0020】
前記制御装置25では、受信したスラグ温度信号を表示したり、該スラグ温度信号に基づき前記プラズマ溶融炉30の電源供給量、被溶融物投入量、スラグ出滓量等を制御するようにしてもよい。
ここで、本実施例の信号処理装置20における演算処理につき簡単に説明する。かかる演算は、プランクのエネルギ放射則において2つの波長域のエネルギ強度が温度ごとに一定であることを利用し、選択した2つの波長のエネルギ比から温度を推定するものである。
プランクのエネルギ放射則から放射エネルギの強度比を求めると、スラグ液面35aの単位面積から放射される単位波長当りの放射エネルギは次式のようになる。
【数1】

ここで、ε・τは放射率×透過率、hはプランクの定数、kはボルツマン定数、Cは光速度、νは光の周波数である。ε・τ=1とした場合の(Eλ/C)は図3のグラフのようになる。
【0021】
前記図3の分布に基づき、前記第1波長域と第2波長域から夫々選択された2点(Eλ1/Eλ2)を第1のバンドパスフィルタ16及び第2のバンドパスフィルタ17にて設定する。
前記第1、第2のサーモパイル18、19は同じ受光面積を有するように設定するため、これらのサーモパイル18、19の出力電圧の比(EV1/EV2)は前記第1波長域のエネルギと第2波長域のエネルギに比例し、この出力電圧の比とプランクのエネルギ放射則からスラグ温度を算出する。このとき、スラグ面35aからの放射エネルギの煤塵による減衰、サーモパイルに入射する放射エネルギ、サーモパイルの出力電圧等を考慮に入れて演算を行なうことが好ましい。
このように、複数の波長のエネルギ比を用いることで、炉内の煤塵の影響で強度が低下したり、視野欠けが生じても計測が可能となる。理論的には上記のように算出できるが、様々の誤差要因が考えられるため電気炉を用いた実験を行い、各素子の電圧比と温度の関係を求めることが実用的である。
【0022】
かかる実施例における作用を説明すると、まずプラズマ溶融炉30内に収容されるスラグ35のスラグ面35aから放射される赤外光、可視光を含む光(放射エネルギ)は、透過窓38を介して集光レンズ12に入射し、該集光レンズ12にて集光された後に可視光分離ミラー13に導かれ、該可視光分離ミラー13により可視光を含む光が前記集光レンズの光軸と直交する方向に屈折され、一方、前記可視光分離ミラー13に形成された穴部13aを通過した赤外光を含む光はビームスプリッタ15に導かれる。該ビームスプリッタ15では、到達した光のうち赤外光の一部を透過し、他の一部を直交方向に反射して分配する。このように2の光路に分配された赤外光は、第1、第2のバンドパスフィルタ16、17を経て波長を選択され、夫々サーモパイル18、19に入射する。
【0023】
前記サーモパイル18、19に入射した赤外光は、その熱放射エネルギを電圧に変換されてこの出力電圧信号が信号処理装置20に送信される。該信号処理装置20では、前記出力電圧の比から上記した演算によりスラグ面温度が算出される。
一方、前記可視光分離ミラー13にて分離された可視光は、ここで屈折されて前記可視光屈折ミラー14に到達し、再び所定角度で屈折して筐体11の側面に設けられた視認窓21に導かれる。前記視認窓21からはスラグ液面35aを容易に視認できるとともに、前記穴部13a、即ち温度計測箇所を黒点として正確に確認できる。
このように、本実施例ではスラグ液面35aの温度を測定しつつ、計測視野を正確に確認することができる。
【0024】
本実施例によれば、ビームスプリッタ15を用いることにより1つの光軸を分離しているため、対象物の温度分布や付着物による測定誤差が殆ど生じない。さらに、焦電素子を用いない構成であるため、チョッピングモータの変動により不安定となることがなく、測定の安定性が向上し、またサーモパイルそのものの応答時間で計測が可能となり、早い温度変化に追随できる。さらにまた、穴部13aを有する可視光分離ミラー13を用いているため、容易に計測視野を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本実施形態では、スラグ温度計測装置を溶融炉に適用した場合につき説明したが、該溶融炉に限られるものではなく、バーナ式溶融炉、電気抵抗式溶融炉等の各種溶融炉に適用可能であり、勿論、本計測装置を用いてスラグ以外の高温物体の表面温度を計測することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係るスラグ温度計測装置を配設した溶融炉を示す断面図である。
【図2】図1のスラグ温度計測装置の構成図である。
【図3】各温度帯における放射エネルギの強度と波長の関係を示すグラフである。
【図4】各種ガスの放射エネルギ吸収帯を示すグラフである。
【図5】従来のスラグ温度計測装置を配設した溶融炉を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 スラグ温度計測装置
12 集光レンズ
13 可視光分離ミラー
14 可視光屈折ミラー
15 ビームスプリッタ
16 第1のバンドパスフィルタ
17 第2のバンドパスフィルタ
18 第1のサーモパイル
19 第2のサーモパイル
20 信号処理装置
21 視認窓
25 制御装置
35 溶融スラグ
35a スラグ液面
36 メタル層
37 計測用開口
38 透過窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグ液面から放射される赤外光によりスラグ液面温度を計測するスラグ温度計測方法において、
前記赤外光とともに炉外に導かれた可視光を含む光の光路上流側にて、可視光分離手段により可視光を分離し、一方可視光を分離した光路下流側にてビームスプリッタにより前記可視光を分離し前記可視光分離手段を通過した光のうちの赤外光を複数の光路に分配し、
該分配した赤外光を異なる波長毎に複数の光検出素子に夫々導き、該複数の光検出素子の出力電圧からエネルギ比を算出してスラグ液面温度を計測することを特徴とするスラグ温度計測方法。
【請求項2】
前記光検出素子が、入射面側に波長選択手段を配したサーモパイルであることを特徴とする請求項1記載のスラグ温度計測方法。
【請求項3】
前記可視光分離手段、前記ビームスプリッタ、前記光検出素子を含むスラグ温度計測装置の内部の温度を、温調機能により一定に調整することを特徴とする請求項1若しくは2記載のスラグ温度計測方法。
【請求項4】
前記波長選択手段により選択される赤外光の波長域が、約7〜14μmの範囲内に設定するとともに、前記複数の光検出素子に入射する赤外光の波長域のうち一の波長域を約7〜11μm未満の範囲内とし、他の波長域を約11〜14μm未満の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2記載のスラグ温度計測方法。
【請求項5】
炉内のスラグ液面から放射される赤外光によりスラグ液面温度を計測するスラグ温度計測装置において、
前記赤外光とともに可視光を含む光が導入される筐体を有し、
該筐体内には可視光分離手段が光路上流側に配置され、前記穴部を通る光軸上に位置し前記光のうち赤外光を複数の光路に分配するビームスプリッタと、該分配された赤外光が異なる波長毎に夫々入射する複数の光検出素子と、が光路下流側に配置され、
前記複数の光検出素子の出力電圧に基づきスラグ液面温度が計測されることを特徴とするスラグ温度計測装置。
【請求項6】
前記光検出素子が、入射面側に波長選択手段を配したサーモパイルであることを特徴とする請求項5記載のスラグ温度計測装置。
【請求項7】
前記スラグ温度計測装置の内部の温度を一定に調整する温調機能を備えたことを特徴とする請求項5若しくは6記載のスラグ温度計測装置。
【請求項8】
前記波長選択手段により選択される赤外光の波長域が、約7〜14μmの範囲内に設定するとともに、前記複数の光検出素子に入射する赤外光の波長域のうち一の波長域を約7〜11μm未満の範囲内とし、他の波長域を約11〜14μm未満の範囲内に設定されている波長選択手段であることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載のスラグ温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−133234(P2006−133234A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355440(P2005−355440)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【分割の表示】特願2004−1845(P2004−1845)の分割
【原出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】