説明

スルファマトベンゾチオフェン(sulfamatobenzothiophene)誘導体

本発明は、式中、Rが請求項1において示される意味を有する、一般式(I)の新規化合物と、その製剤と、薬剤としてのその使用とに関する。化合物(I)は、ステロイドスルファターゼの阻害剤であり、癌の治療に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の新規化合物
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、
Rは、3個から12個のC原子を有するシクロアルキル環、またはtert−ブチルであり、
1は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、1または2を示す)
ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物に関する。
【0004】
本発明は、価値ある特性を有する新規化合物、特に薬剤の調製に用いられるものを見出すという目的に基づいていた。
【0005】
式(I)の化合物、ならびにその塩および/または溶媒和物は、非常に価値ある薬理学的特性を有すると同時に、耐容性が良いことが見出された。
【背景技術】
【0006】
類似の構造を有する化合物が、WO2004/101545A1に開示されており、その中のすべての化合物は、ステロイドスルファターゼの阻害剤である。WO2004/101545A1には、一般式Iと同様に、3位においてシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルにより置換されているベンゾチオフェン化合物が、式として開示されている。しかし、WO2004/101545A1に開示される調製方法により、これらの置換基を3位にではなく、代わりに2位に有するベンゾチオフェン化合物を生じることが、X線回折による調査により明白に示された。WO2004/101545A1には、どのようにしてこの種の3−置換化合物を調製し得るかについての開示が全く含まれてもいない。3位においてシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルにより置換されたベンゾチオフェン化合物が、誤った式により見かけ上開示されているにもかかわらず、このようにWO2004/101545A1には、実際には専ら、対応する2−置換のベンゾチオフェン化合物の調製および試験が開示されている。この式で示される置換基を3位に有する上述の一般式Iの化合物は、WO2004/101545A1により予期されてはいない。
【0007】
酵素ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2.、STS)は、エストロンスルフェートのエストロンへの加水分解、およびDHEAスルフェートのDHEAへの加水分解を触媒する(Dibbelt L、Biol. Chem、Hoppe-Seyler、1991、372、173〜185、およびStein C、J. Biol. Chem.、1989、264、13865 13872)。
【0008】
エストロンスルフェート(E1S)の豊富な循環プールからエストロゲンを局所的に組織内形成することに関して、ステロイドスルファターゼ経路は、乳癌との関連で最近注目を集めている(Pasqualini JR、J. Steroid Biochem. Mol. Biol.、1999、69、287〜292、およびPurohit A、Mol. Cell. Endocrinol.、2001、171、129〜135)。
【0009】
この酵素を阻害すると、酵素的還元によりエストラジオール(E2)に変換できる、遊離エストロン(E1)のE1Sからの形成が阻害されよう。エストロンスルファターゼ経路の他に、別の強力なエストロゲン、つまりDHEAスルフェート加水分解後のDHEAから得られるアンドロステンジオール(アジオール)は、ホルモン依存性の乳房腫瘍の増殖および発生を助ける別の重要なルートになり得ると、現在考えられている。
【0010】
アロマターゼ阻害剤は、現在、エストロゲンの合成を防ぐために、ホルモン依存性の癌をもつ患者に用いられている。しかし、臨床試験により、エストロゲン受容体陽性腫瘍をもつ患者における有効性が相対的に欠如していることが示された(Castiglione-Gertsch M、Eur. J. Cancer、1996、32A、393〜395 、およびJonat W. Eur. J. Cancer、1996、32A、404〜412)。1つの説明として、ステロイドスルファターゼ経路が、乳房腫瘍におけるエストロゲン形成のための別の重要な経路と思われる。
【0011】
EMATE(Ahmed S. Curr. Med. Chem.、2002、9、2、263〜273)、つまりエストロン3−スルファメートは、伝統的な標準的ステロイドスルファターゼ阻害剤であるが、スルファメート部分が酵素不活性化過程の間に開裂され、E1SからでなくEMATE自身からE1を放出するその阻害機構のために、エストロゲン性を示すという大きな欠点をもつ(Ahmed S.J. Steroid Biochem. Mol. Biol.、2002、80、429〜440)。
【0012】
エストロゲン特性がない誘導体を放出する他の非ステロイドスルファメート化合物が、許容できる薬剤候補、特に標準的な非エストロゲンスルファターゼ阻害剤である、6,6,7−COUMATEとして文献から提示されている(Purohit A、Cancer Res.、2000、60、3394〜3396)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2004/101545A1号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Dibbelt L、Biol. Chem、Hoppe-Seyler、1991、372、173〜185
【非特許文献2】Stein C、J. Biol. Chem.、1989、264、13865 13872
【非特許文献3】Pasqualini JR、J. Steroid Biochem. Mol. Biol.、1999、69、287〜292
【非特許文献4】Purohit A、Mol. Cell. Endocrinol.、2001、171、129〜135
【非特許文献5】Castiglione-Gertsch M、Eur. J. Cancer、1996、32A、393〜395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、特にエストロゲン依存性疾病の治療に関してステロイドスルファターゼ阻害剤が必要とされている。
【0016】
本発明はこれらの化合物の水和物および溶媒和物にも関する。該化合物の溶媒和物は、相互の引力のために形成される該化合物への不活性溶媒分子の内転(adductions)を意味するものと理解される。溶媒和物は、例えば一水和物もしくは二水和物、またはアルコラートである。
【0017】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明に係る化合物の塩、およびいわゆるプロドラッグ化合物をも意味するものと理解される。プロドラッグ誘導体は、例えば、アルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾されており、生体内で迅速に開裂して本発明に係る有効な化合物を形成する式(I)の化合物を意味するものと理解される。例えば、Int. J. Pharm. 115、61〜67(1995)に記載されているように、これらには本発明に係る化合物の生分解性ポリマー誘導体も挙げられる。
【0018】
「有効量」の表現は、例えば研究者または医師により求められまたは望まれる生物学的または医学的な反応を、組織、系、動物またはヒトの中に引き起こす薬剤のまたは医薬活性化合物の量を示す。さらに、「治療上の有効量」の表現は、この量を受け入れなかった対応する被検体と比較して以下の結果を示す量を指示する。すなわち、疾病、症候群、状態、病訴(complaint)、不調もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防もしくは除去、または疾病、病訴もしくは不調の進行の軽減もである。「治療上の有効量」の表現には、通常の生理的機能を増大させるのに有効である量も含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、式(I)の化合物およびその塩に関し、また、
a)式中、RおよびR1が、請求項1に係る一般式(I)において与えられる意味を有する一般式(II)
【0020】
【化2】

【0021】
の化合物を、塩化スルファモイル(H2N−SO2−Cl)と反応させること、もしくは
b)式中、RおよびR1が、請求項1に係る一般式(I)において与えられる意味を有する一般式(III)
【0022】
【化3】

【0023】
の化合物を酸化させること、および/または
c)一般式(I)の化合物をその塩の1つに変換すること
を特徴とする、式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩および溶媒和物の調製方法に関する。
【0024】
以上および以下に、別に明示的に示さない限り、基RおよびR1は、式(I)について示される意味を有する。
【0025】
Rはシクロアルキルを示す。ここで、シクロアルキルは、3個から15個のC原子を有し、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、特に好ましくはシクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、非常に特に好ましくはシクロヘプチルを示す。シクロアルキルは、同様に、それぞれの既知の立体異性体を含む単環式もしくは二環式のテルペン、好ましくはp−メンタン、メントール、ピナン、ボルナンもしくはカンファーを示し、またはアダマンチルを示す。カンファーについて、これは、L−カンファーおよびD−カンファーの両方を意味する。
【0026】
1は、Hまたはアルキルを示す。ここで、アルキルは、1個、2個、3個、4個、5個または6個のC原子、好ましくは1個、2個、3個または4個のC原子を有し、例えば、メチルまたはエチル、さらにプロピル、イソプロピル、さらにブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルも特に好ましい。R1は、特に好ましくはHである。
【0027】
本発明を通じて、複数回出現するすべてのラジカルは、同一または異なってもよく、すなわち互いに独立している。
【0028】
mは、0、1、2、3または4であり、好ましくは0、1または2であり、特に好ましくは0または1であり、非常に特に好ましくは1である。
【0029】
nは、1または2であり、好ましくは2である。
【0030】
したがって、本発明は、言及したラジカルの少なくとも1種が上記の好ましい意味の1つを有する、式(I)の化合物に特に関する。化合物のいくつかの好ましい基を、以下の下位式(sub−formula)IaからIkにより表すことができ、それらは式(I)に従い、式中、より詳細に示されていないラジカルは、式(I)について示された意味を有するが、式中、
Iaにおいて、Rは、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり、
mは、0、1または2であり、
Ibにおいて、Rは、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
1はHであり、
mは、0、1または2であり、
Icにおいて、Rは、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
1はHであり、
mは、0、1または2であり、
nは2であり、
ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれら混合物である。
【0031】
本発明は、特に、
3−シクロヘプチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステル、
3−シクロヘプチルメチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステル
の化合物から選択される式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物に関する。
【0032】
式(I)の化合物、およびそれらの調製のための出発物質も、さらに、文献(例えば、Houben-Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag、Stuttgart等の標準的な著作)に記載されているように、それ自体が既知の方法により、正確には、既知であり上記の反応に適した反応条件下で調製される。ここでより詳細に言及されていないがそれ自体が既知の変法を、ここで用いることもできる。
【0033】
式(I)の化合物は、好ましくは、式(II)の化合物を塩化スルファモイルと反応させること、または式(III)の化合物を酸化することにより得ることができる。
【0034】
式(II)の化合物の塩化スルファモイルとの反応は、不活性溶媒中で行われる。
【0035】
用いる条件次第で、反応時間は、数分から14日の間であり、反応温度は、約−15°から150°の間、通常は5°から30°の間、特に好ましくは10°から15℃の間である。
【0036】
適切な不活性溶媒は、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素類;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル類;アセトンもしくはブタノンなどのケトン類;アセトアミド、ジメチルアセトアミド(DMA)もしくはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;二硫化炭素;ギ酸もしくは酢酸などのカルボン酸類;ニトロメタンもしくはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル類、または前記溶媒の混合物である。ジメチルアセトアミド(DMA)が特に好ましい。
【0037】
酸化、特に式(I)の化合物を得るための式(III)の化合物の酸化は、当業者に公知の方法により行われる。標準的方法は、例えばGrivasおよびRonne(Acta Chemica Scandinavia、49、225〜229(1995))により記載されるような条件下で、トリフルオロ酢酸(TFA)中で過酸化水素を用いる酸化である。
【0038】
エーテルの開裂は、当業者に公知であるような方法を用いて行われる。エーテル開裂の標準的方法は、メチルエーテルを例にすると、例えばMcOmie(Tetrahedron、24、2289〜2292(1968))により記載されるような条件下での、三臭化ホウ素(BBr3)の使用である。
【0039】
薬剤の塩およびその他の形態
本発明による前記化合物は、それらの最終的な塩ではない形態で使用することができる。本発明には、当技術分野において既知の手順により、様々な有機および無機の酸および塩基から得ることができる薬学的に許容できる塩の形態でのこれらの化合物の使用も含まれる。式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩の形は、大部分は従来の方法により調製される。
【0040】
式(I)の特定の化合物の場合においては、これらの化合物を、薬学的に許容できる有機および無機の酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素等のハロゲン化水素と、他の鉱酸および硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩等のその対応する塩と、エタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびベンゼンスルホネート等のアルキルおよびモノアリールのスルホネートと、他の有機酸および酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩およびアスコルビン酸塩等のその対応する塩とにより処理することによって、酸付加塩を形成することができる。したがって、式(I)の化合物の薬学的に許容できる酸付加塩には、以下のものが挙げられる。すなわち、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、硫酸ドデシル、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモエ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が挙げられるが、これは限定を意味しない。
【0041】
さらに、本発明による化合物の塩基塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(III)塩、鉄(II)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩が挙げられるが、これは限定を意味するように意図されていない。上記の塩のうち優先されるのは、アンモニウム塩、アルカリ金属塩のナトリウム塩およびカリウム塩、ならびにアルカリ土類金属塩のカルシウム塩およびマグネシウム塩である。医薬品として許容される毒性のない有機塩基から誘導される式(I)の化合物の塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然の置換アミンも含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂も含む、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジクロロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が挙げられるが、これは限定を意味するように意図されていない。
【0042】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物は、(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えばメチル、エチル、イソプロピルおよびt−ブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジ(C1〜C4)アルキル硫酸、例えばジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ならびにアリール(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチル等の作用物質を用いて第四級化することができる。水溶性および油溶性の両方の本発明による化合物を上記の塩を用いて調製することができる。
【0043】
上記のうちの好ましい薬剤の塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが挙げられるが、これは限定を意味するように意図されていない。
【0044】
式(I)の塩基性化合物の酸付加塩は、その遊離の塩基の形態を十分な量の所望の酸と接触させて、従来どおりに塩を形成させることにより調製する。遊離の塩基は、その塩の形態を塩基と接触させて従来どおりに遊離の塩基を単離することにより再生させることができる。その遊離の塩基の形態は、極性溶媒中の溶解性等の本発明のためのある一定の物理的性質に関して、対応するその塩の形態とは異なるが、一方で、その塩は、その他の点において、そのそれぞれの遊離の塩基の形態に対応する。
【0045】
言及したように、薬学的に許容される式(I)の化合物の塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン等の金属類またはアミン類により形成される。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0046】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩は、その遊離の酸の形態を十分な量の所望の塩基と接触させて、従来どおりに塩を形成させることにより調製する。その遊離の酸は、その塩の形態を酸と接触させて従来どおりに遊離の酸を単離することにより再生させることができる。その遊離の酸の形態は、極性溶媒中の溶解性等の本発明のためのある一定の物理的性質に関して、対応するその塩の形態とは異なるが、一方で、その塩は、その他の点において、そのそれぞれの遊離の酸の形態に対応する。
【0047】
本発明による化合物が、このタイプの薬学的に許容される塩を形成することができる複数の基を含有する場合、本発明はまた多塩も包含する。典型的な多塩の形態としては、例えば酸性酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を意味するように意図されていない。
【0048】
上で述べたことに関しては、現在の関連における「薬学的に許容される塩」という表現は、特にこの塩の形態が、活性成分の遊離の形態または以前に使用された活性成分のいずれか別の塩の形態と比較してその活性成分に改良された薬物動態学的特性を与える場合に、式Iの化合物をその塩の1つの形態で含む活性成分を意味すると捉えるものと理解することができる。活性成分の医薬品として許容される塩の形態はまた、この活性成分にそれが以前は有していなかった望ましい薬物動態学的特性を初めて提供し、体内におけるその治療効果に対するこの活性成分の薬力学についての好ましい影響を有することさえできる。
【0049】
本発明は、さらに、少なくとも1つの式Iの化合物および/またはすべての比率のそれらの混合物を含めた医薬品として使用可能なそれらの誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに場合により賦形剤および/または補助剤を含む薬剤に関する。
【0050】
医薬品製剤は、予め定められた1投薬単位当たりの有効成分の量を含む投薬単位の形で投与することができる。上記単位は、処置する状態、投与の方法ならびに患者の年齢、体重および状態により、例えば、本発明による化合物の0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mgを含むことができ、または医薬品製剤は、予め定められた1投薬単位当たりの有効成分の量を含む投薬単位の形で投与することができる。好ましい投薬単位の製剤は、有効成分の上で示した1日量または分割投与量、あるいは対応するそれらの画分を含むものである。さらに、この型の医薬品製剤は、医薬品技術において一般に知られている方法を使用して調製することができる。
【0051】
医薬品製剤は、任意の望ましい適切な方法、例えば、経口(頬側または舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)の方法による投与に適合させることができる。上記製剤は、例えば、有効成分を賦形剤(1つまたは複数)または補助剤(1つまたは複数)と組み合わせることにより、医薬品技術において知られているすべての方法を使用して調製することができる。
【0052】
経口投与に適合する医薬品製剤は、例えばカプセルまたは錠剤;粉末または顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液;食用気泡または気泡食品;あるいは水中油滴型乳濁液または油中水滴型乳濁液等の独立単位として投与することができる。
【0053】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形の経口投与の場合、有効成分要素は、例えばエタノール、グリセロール、水および同種のものなど、経口で、毒性がなく、医薬品に許容される不活性の賦形剤と組み合わせることができる。粉末は、化合物を適当な細かい粒度に粉砕し、それを同じように粉砕した医薬品用賦形剤、例えば食用になる炭水化物等、例えばデンプンまたはマンニトール等と混合することにより調製する。香料、防腐剤、分散剤および染料をさらに存在させることができる。
【0054】
カプセルは、粉末混合物を上記のように調製し、成型したゼラチンの殻にそれを充填することにより製造する。例えば、高分散ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコール等の流動促進剤および滑剤を充填作業の前に粉末混合物に添加することができる。例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム等の錠剤分解物質または可溶化剤を、カプセルが摂取された後の薬剤の有効性を改良するためにさらに加えることができる。
【0055】
さらに、所望によりまたは必要に応じて、適当な結合剤、滑剤および錠剤分解物質ならびに染料をその混合物中にさらに組み込むことができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖例えばグルコースまたはβ−ラクトース等、トウモロコシからつくった甘味料、天然および合成ゴム例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム等、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類などが挙げられる。これらの剤形に使用される滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。錠剤分解物質としては、それらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を粒状にするか乾式プレスにかけ、滑剤および錠剤分解物質を加え、全体の混合物を加圧成型して錠剤を生じさせることにより製剤化する。粉末混合物は、適当な方法で粉砕した化合物を、上記のような希釈剤または基材および場合により結合剤例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン等、溶解遅延剤例えばパラフィン等、吸収促進剤例えば第四級塩等、および/または吸収剤例えばベントナイト、カオリンまたは第二リン酸カルシウム等と混合することにより調製する。粉末混合物は、それを結合剤例えばシロップ、デンプン糊、アカディア(acadia)粘液またはセルロースまたはポリマー材料の溶液等、で湿潤させ、それを加圧して篩を通すことにより顆粒状にすることができる。顆粒化の別法として、粉末混合物を打錠器に通し、不均一の形状の塊りを生じさせてそれを破砕して顆粒を形成させることもできる。その顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油を添加して錠剤の鋳型へのくっつきを防止するように滑らかにすることができる。その滑らかにした混合物を、次に加圧して錠剤を生じさせる。本発明による化合物はまた、自由に流れる不活性賦形剤と混合し、次いで、顆粒化または乾式プレスのステップを行わずに直接加圧して錠剤を生じさせることもできる。セラックシール層、糖またはポリマー材料の層からなる透明または不透明な保護層およびワックスの光沢層が存在してもよい。異なる用量単位の間を区別することができるように、染料をこれらのコーティングに添加することができる。
【0056】
経口液例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤等は、所定量が化合物の事前に特定した量を含むように用量単位の形で調製することができる。シロップは適当な香料の水溶液中に化合物を溶解することによって調製することができ、一方、エリキシル剤は毒性のないアルコール媒体を使用して調製する。懸濁剤は毒性のない媒体中に化合物を分散させることによって製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤例えばエトキシレート化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類等、防腐剤、香料添加剤例えばペパーミント油等、あるいは天然甘味料もしくはサッカリン、またはその他の人工甘味料などをさらに添加することができる。
【0057】
経口投与のための用量単位の製剤は、所望に応じて、マイクロカプセルに封入することができる。その製剤はまた、例えばポリマー、ワックスおよび同種のもの中の粒子材料のコーティングまたは埋め込みによって、放出が延長または遅延するように調製することができる。
【0058】
本発明に係る化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理的に機能する誘導体はまた、例えば小さい単層小胞、大きい単層小胞および多層小胞等のリポソーム送達系の形で投与することができる。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン等さまざまなリン脂質から形成することができる。
【0059】
本発明に係る化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理的に機能する誘導体はまた、化合物分子が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。該化合物はまた、目標の薬剤の担体としての可溶性ポリマーに結合させることもできる。上記ポリマーは、パルミトイル基により置換されている、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンを包含し得る。該化合物は、さらに、薬剤の制御放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの類、例えばポリ乳酸、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリラートおよびヒドロゲルの橋かけまたは両親媒性ブロック共重合体に結合させることができる。
【0060】
経皮的投与に適合する医薬品製剤は、レシピエントの表皮に伸ばして密接に接触させる独立した硬膏剤として投与することができる。かくして、例えば、有効成分は、Pharmaceutical Research,3(6),318(1986)中、一般用語で記載されているイオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
【0061】
局所投与に適合する医薬品化合物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤または油剤として製剤化することができる。
【0062】
眼またはその他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のためには、製剤は、好ましくは局所の軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を与える製剤の場合、有効成分はパラフィンまたは水混和性のクリーム基剤のいずれかと共に使用することができる。別法では、有効成分は水中油滴型クリーム基剤または油中水滴型基剤により製剤化して、クリーム剤を生じさせることができる。
【0063】
眼の局所適用に対応する医薬品製剤としては点眼液が挙げられ、その有効成分は適当な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁させる。
【0064】
口中の局所適用に対応する医薬品製剤としては、トローチ剤、パステル剤およびうがい薬が含まれる。
【0065】
直腸投与に適合する医薬品製剤は、座剤または浣腸剤の形で投与することができる。
【0066】
担体物質が固体である経鼻投与に適合する医薬品製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗い粉末を含み、それは、鼻呼吸をするやり方で、すなわち鼻の近くに保持した粉末を含有する容器から鼻腔を通して急速に吸入することにより投与される。担体物質が液体の鼻腔用スプレーまたは鼻点滴剤としての投与に適した製剤は、水または油中の有効成分の溶液を含む。
【0067】
吸入による投与に適合する医薬品製剤は、微細な粒子状粉末または霧を含み、それはさまざまな型のエアロゾルの加圧容器、噴霧器または吸入器により発生させることができる。
【0068】
膣投与に適合する医薬品製剤は、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー製剤として投与することができる。
【0069】
非経口的投与に適合する医薬品製剤としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含んでおり、それを用いて製剤を治療されるレシピエントの血液と等張にする水性および非水性の無菌の注射液、ならびに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性および非水性の無菌の懸濁剤が挙げられる。その製剤は、単回投与または複数回投与の容器、例えば密閉したアンプルおよびガラス瓶で投与することができ、使用直前に無菌の担体液(例えば注射のための水)の添加のみが必要であるように凍結乾燥した状態で保存することができる。
【0070】
処方せんにしたがって調製される注射液または懸濁剤は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0071】
上で特に言及した構成要素に加えて、該製剤が、独特のタイプの製剤に対して技術的に通常のその他の作用物質も含むことができることは言うまでも無く、したがって、例えば、経口投与に適する製剤は香料を含むことができる。
【0072】
本発明に係る化合物の治療上の有効量は、例えばヒトまたは動物の齢および体重、治療が必要な正確な症状およびその重症度、製剤の性質ならびに投与方法をはじめとする数多くの要因によって決まり、治療する医師または獣医によって最終的に決定される。しかし、本発明による化合物の有効量は、一般に1日あたり服用者(哺乳動物)の体重1kgあたり0.1から100mgの範囲、特に典型的には1日あたり体重1kgあたり1から10mgの範囲である。したがって、体重70kgの成体哺乳動物に対する1日あたりの実際量は通常70から700mgであり、この場合、この量は1日あたりの単回投与量として、または1日の投与量合計が同じになるように通常1日に一連の部分投与量(例えば2、3、4、5または6回投与)で投与することができる。本化合物の塩もしくは溶媒和物またはその生理学的に機能的な誘導体の有効量は、本発明の化合物自体の有効量の一部分として定めることができる。同様の用量が上述の別の症状の治療に適していることを推測することができる。
【0073】
本発明は、さらに、本発明に係る少なくとも1種の化合物、ならびに/または薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物と、少なくとも1種のさらなる薬剤活性化合物とを含む薬剤に関する。
【0074】
本発明は、
(a)式(I)の化合物の有効量、ならびに/または薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物と、
(b)有効量のさらなる薬剤活性化合物と
の別々のパックを含むセット(キット)にも関する。
【0075】
このセットには、箱、個々の瓶、バッグまたはアンプル等の適切な容器が含まれる。このセットは、例えば、本発明に係る化合物、ならびに/または薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の有効量と、有効量のさらなる薬剤活性化合物とを溶解または凍結乾燥した形でそれぞれに含有する、別々のアンプルを含み得る。
【0076】
使用
本化合物は、ステロイドスルファターゼが役割を演じる疾病の治療において、哺乳動物のため、特にヒトのための医薬活性化合物として適している。
【0077】
したがって、本発明は、本発明に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、ステロイドスルファターゼの阻害、制御および/または調節が役割を演じる疾病を治療するための薬剤を調製するための使用に関する。
【0078】
ステロイドスルファターゼを阻害する、したがってアロマターゼ阻害剤と対照的に、他の内在性エストロゲン源を乾燥させる、それらの能力を考慮して、本発明に係る化合物は、単独で、または抗エストロゲン剤、SERM(選択的エストロゲン受容体調節物質)、抗アロマターゼ剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、プロゲスチンまたはLH−RHのアゴニストもしくはアンタゴニスト等の1種または複数の他の性ホルモン治療薬と組み合わせて、エストロゲン依存性の疾患または疾病の治療または予防のために使用され得る。本発明に係る化合物は、ヒトと同様に野生動物種または家畜種におけるオスまたはメスの受精能、妊娠、流産または出産等の、エストロゲンが調節する生殖機能の制御または管理のためにも、単独で、または、LH−RHのアゴニストもしくはアンタゴニスト、エストロゲン・プロゲストーゲン避妊薬(oestroprogestative contraceptive)、プロゲスチン、抗プロゲスチン剤またはプロスタグランジン等の、1種または複数の他の治療薬と組み合わせて用いることができる。
【0079】
乳房は、エストロゲンが刺激する増殖および/または分化の、感受性ある標的であるので、本発明に係る化合物は、男性および女性の両方における、またはオスもしくはメスの家畜における、転移を伴うまたは伴わない、女性における良性の乳房疾病、男性における女性化乳房、および良性または悪性の乳房腫瘍の治療または予防に用いられ得る。本発明に係る化合物は、さらに、子宮または卵巣の良性または悪性の疾病の治療または予防に用いられ得る。それぞれの場合において、本発明に係る化合物は、単独で、または上述のもの等の1種もしくは複数の他の性ホルモン治療薬と組み合わせて用いられ得る。したがって、本発明は、式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、乳房、子宮または卵巣の良性または悪性の疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための、場合によって抗エストロゲン剤、SERM、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、ゲスターゲンならびにLH−RHのアゴニストおよびアンタゴニストの群から選択される1種または複数の活性化合物とも組み合わせての使用にも関する。
【0080】
酵素ステロイドスルファターゼは、DHEAスルフェートを、DHEA、つまり活性アンドロゲン(テストステロンおよびジヒドロテストステロン)の前駆体に変化させるので、本発明に係る化合物は、アンドロゲン性の脱毛症(男性型の脱毛)(Hoffman R他、J. Invest. Dermatol.、2001、117、1342〜1348)または挫瘡(Billich A他、1999、WO9952890)、良性もしくは悪性の前立腺もしくは精巣の疾病(Reed MJ、Rev. Endocr. Relat. Cancer、1993、45、51〜62)等のアンドロゲン依存疾病の治療または予防に、単独で、または、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤、SERM、抗アロマターゼ剤、プロゲスチン、リアーゼ阻害剤またはLH−RHのアゴニストもしくはアンタゴニスト等の、1種または複数の他の性ホルモン治療薬と組み合わせて用いられ得る。したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、前立腺または精巣の良性または悪性の疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための、場合によって抗エストロゲン剤、SERM、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、ゲスターゲンならびにLH−RHのアゴニストおよびアンタゴニストの群から選択される1種または複数の活性化合物とも組み合わせての使用に関する。
【0081】
ステロイドスルファターゼの阻害剤は、ラットにおける学習および空間記憶を促進することができるので(Johnson DA、Brain Res、2000、865、286〜290)、それらは、認知機能障害の治療にも潜在的に関与し得る。ニューロステロイドとしてのDHEAスルフェートは、アセチルコリン、グルタメートおよびGABAを伴うものを含むいくつかの神経伝達物質系に影響し、神経細胞の興奮性の増大につながる(Wolf OT、Brain Res. Rev、1999、30、264〜288)。したがって、本発明は、式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、認知機能障害の治療または予防のための薬剤を調製するための使用にも関する。
【0082】
さらに、エストロゲンは、Th1およびTh2の優勢な免疫機能の間のバランスの調節に関係し、したがって、紅斑性狼瘡、多発性硬化症およびリウマチ性関節炎等の性依存自己免疫性疾病(Daynes RA、J. Exp. Med. 1990、171、979〜996)の治療または予防に適することがある。ステロイドスルファターゼ阻害剤は、げっ歯類における接触アレルギーおよびコラーゲン誘発関節炎のモデルにおいて保護性であることが示されている(Suitters AJ、Immunology、1997、91、314〜321)。したがって、本発明は、式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、免疫疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための使用にも関する。
【0083】
2−MeOEMATEを用いる研究により、ステロイドスルファターゼ阻害剤が、強力なエストラジオール非依存の増殖阻害効果を有することが示されている(MacCARTHY MOOROGH L、Cancer Research、2000、60、5441〜5450)。驚くべきことに、本発明に係る化合物により、低い腫瘍ステロイドスルファターゼ阻害で、腫瘍量の減少が観測された。これを考慮すると、本発明に係る化合物は、こうした新しい化学成分と癌細胞内の微小管ネットワークとの間の強い相互作用のために、乳房、子宮内膜、子宮、前立腺、精巣、またはそこから生じた転移を含むいかなる組織でも、細胞分裂の減少をもたらし得る。したがって、本発明に係る化合物は、非エストロゲン依存性の癌の治療にも適することがある。
【0084】
したがって、本発明のさらなる目的は、上述の疾病または疾患、特にエストロゲン依存性の疾病および疾患、すなわちエストロゲン誘発またはエストロゲン刺激の疾病または疾患の治療方法を提供することである(GOLOB T. Bioorg. Med. Chem.、2002、10、3941〜3953)。この方法には、治療上の有効量の式(I)の化合物を、それを必要とする被検体(ヒトまたは動物)に投与することが含まれる。
【0085】
ステロイドスルファターゼ阻害剤を測定するための試験方法
JEG3細胞中におけるスルファターゼ活性の阻害の測定(Duncan 1993による)
原理:ヒトの絨毛膜癌細胞株JEG3は、多量のステロイドスルファターゼを恒常的に発現させ、したがって、細胞のスルファターゼ活性の阻害の測定に用いられ得る。このために、スルファターゼの基質、つまりエストロゲンスルフェートを、明確な生理的濃度で細胞に加え、形成された生成物量、つまりエストロンおよびエストラジオールの濃度を測定する。
【0086】
方法:JEG3細胞を、FCS10%を含むMEM中の、密度約1×105細胞/穴の96穴プレート中に播種する。約80%のコンフルエンスで、細胞をPBSで洗浄し、試験物質を、一連の濃度で、DMEM中の5nMの放射性3H−E1Sに加える。37℃で4時間のインキュベーション時間の後、インキュベーション培地100μlを取り除き、別の96穴プレートに移す。形成された放射性生成物E1およびE2を抽出するために、トルエン300μlを加える。30秒間の振盪、および遠心分離の後に、トルエン相を取り除き、液体窒素により一晩かけて蒸発させる。翌日、エタノール100μlを加え、混合物を振盪させ、シンチレーション液150μlを加え、放射能を測定する。
【0087】
参照:DUNCAN L.、PUROHIT A.、HOWARTH M.、POTTER R. V. L.およびREED M. J. Inhibition of estrone sulfatase activity by estrone-3-methylthiophosphonate: a potential therapeutic agent in breast cancer. Cancer Research、1993、53:298〜303。
【0088】
イシカワ細胞中におけるアルカリ性ホスファターゼの阻害の測定(Littlefield 1990)
原理:イシカワヒト子宮内膜腫瘍細胞株中において、アルカリ性ホスファターゼの誘導を、試験物質のエストロゲン活性についてのマーカーとして用いる。これについての原理は、エストロゲン受容体、およびしたがってエストロゲンにより、アルカリ性ホスファターゼ遺伝子を制御することである。エストロゲン活性を有する物質の添加により、アルカリ性ホスファターゼの誘導、およびしたがって活性の増大が引き起こされ、それは、基質を光学的に測定可能な生成物に変換することにより測定される。
【0089】
方法:イシカワ細胞を、FCS10%を含むDMEM中の、密度約1×104細胞/穴の96穴プレート中に散りばめる。翌日、培地を、5%エストロゲン不含FCSを含むDMEMにより取り替える。さらに24時間後、試験物質を、一連の濃度で、5%エストロゲン不含FCSを含むDMEMに加える。37℃で4日間のインキュベーションの後に、アルカリ性ホスファターゼの活性を測定する。このために、細胞をPBSで2度洗浄し、残留PBSを取り除き、−80℃で15分間凍結させることによりこの細胞を溶解させる。室温で10分間の解凍段階の後に、基質緩衝液(5mM p−ニトロフェニルリン酸)を、アルカリ性ホスファターゼの測定のために加える。次いでこのプレートを、さらに15から60分間、穏やかに振盪させ、光学密度を405nmで測定する。
【0090】
参照:1.LITTLEFIELD B. A.、GURPIDE E.、MARKIEWICZ L.、MAC KINLEY B.、HOCHBERG B. A simple and sensitive microtiter plate estrogen bioassay based on stimulation of alkaline phosphatase in Ishikawa cells: estrogenic action of Δ5 adrenal steroids. Endocrinology、1990、127:2757〜2762
本発明は、さらに、化合物、および/またはその生理的に許容できる塩の、特に非化学的方法による薬剤(医薬組成物)を調製するための使用に関する。これらを、ここで少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形剤または補助剤とともに、場合によって1種または複数のさらなる活性化合物と組み合わせて、適切な剤形にすることができる。
【0091】
本発明に係る一般式Iの化合物を、以下の反応スキーム
【0092】
【化4】

【0093】
に従って調製することができ、式中、R、R1、mおよびnは、それぞれ一般式Iに示される意味を有する。
【0094】
本発明を、実施例によりそれに限定されることなく説明する。
【実施例】
【0095】
実施例1
3−シクロヘプチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステルの調製
第1のステップ
【0096】
【化5】

【0097】
はじめに、AlCl33.20g(24mmol)を、ジクロロエタン20ml中に導入する。シクロヘプタンカルボニルクロライド1.93g(12mmol)を、温度が20℃を超えて上昇しない方法で加える。混合物を20分間攪拌し、次いで、ジクロロエタン20mlに溶解した3−フルオロアニソール1.26g(10mmol)を、15から20℃の間で加える。混合物を室温で1時間攪拌する。次いで反応混合物を氷水に注ぎ、有機相を分離する。これをNaHCO3溶液で洗浄し、次いでNa2SO4を用いて乾燥させ蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液は、低沸点の石油エーテル(PE):ジクロロメタン(DCM)8:2)により、所望の生成物0.80g(32%)を得る。
【0098】
第2のステップ
【0099】
【化6】

【0100】
1.0gの1(4.0mmol)、メチルチオグリコレート0.43g(4.0mmol)および炭酸セシウム1.30g(4.0mmol)をDMFに溶解し、45℃で一晩攪拌し、次いで蒸発させる。残留物を酢酸エチル(EA)および水の中に取り上げ、振盪することにより洗浄する。次いで有機相を分離し、Na2SO4を用いて乾燥させ蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液は、PE:EA 9:1)により、所望の生成物0.40g(31%)を得る。
【0101】
第3のステップ
【0102】
【化7】

【0103】
メチルエステル0.82g(2.58mmol)をメタノール15mlに溶解し、1NNaOH2mlを加え、混合物を室温で2時間攪拌する。次いで混合物を蒸発させ、1NHClを用いて酸性にする。この混合物を酢酸エチルで抽出し、Na2SO4を用いて乾燥させ、この相を蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液は、PE:酢酸エチル(EA)9:1)により、所望のカルボン酸0.50g(64%)を得る。
【0104】
第4のステップ
【0105】
【化8】

【0106】
カルボン酸0.3g(0.99mmol)を、キノリン2mlおよびCuO50mgとともに、マイクロ波中において200℃で1時間加熱する。次いで反応混合物を冷却し、水および酢酸エチルを加える。有機相を分離し、乾燥させ、蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液は、PE:EA 95:5)により、所望の生成物80mg(31%)を得る。
【0107】
第5のステップ
【0108】
【化9】

【0109】
55mg(0.21mmol)の2を、塩化ピリジニウム150mg(1.30mmol)により、マイクロ波中において150℃で1時間処理する。冷却後、反応混合物を酢酸エチル中に取り上げる。それを水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ蒸発させて、所望のヒドロキシル化合物37mg(71%)を得る。
【0110】
第6のステップ
【0111】
【化10】

【0112】
33mgの3を、DCM2mlに溶解し、トリフルオロ酢酸(TFA)0.019mlを加え、混合物を15分間攪拌する。次いで、30%過酸化水素溶液0.023mlを加え、室温で一晩攪拌を続ける。反応混合物を氷水に注ぎ、1NNaOHを用いて中和する。有機相を分離し、乾燥させ、蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液は、PE:EA 1:1)により、所望の生成物27.5mg(74%)を得る。
【0113】
第7のステップ
【0114】
【化11】

【0115】
300mgの4を、N,N−ジメチルアセトアミド10mlに溶解し、塩化スルファミン酸202mgを加える。混合物を、室温で一晩攪拌する。次いで混合物を、水および酢酸エチルで希釈し、NaHCO3溶液を用いて中和する。有機相を、分離し蒸発させる。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(溶離液:PE:EA:DCM 3:1:1)により、3−シクロヘプチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステル60mg(15.6%)を得る。
400MHz−1H−NMR:δ(ppm):8.25 s(2H,NH2)、7.78 d(1H,H−4)、7.70 d(1H,H−7)、7.56 dd(1H,H−5)、7.16 s(1H,H−2)、2.93 m(1H,H−1’)、1.45〜1.95 4m(12H,シクロヘプチル)。
【0116】
実施例2
3−シクロヘプチルメチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステルの調製
ステップ1において、シクロヘプタンカルボニルクロライドの代わりにシクロヘプタンアセチルクロライドを用いることが異なるが、この化合物を、実施例1と同様に調製する。
400MHz−1H−NMR:δ(ppm):8.25 s(2H,NH2)、7.78 d(1H,H−4)、7.67 d(1H,H−7)、7.55 dd(1H,H−5)、7.19 s(1H,H−2)、2.57 d(2H,C2−シクロヘプチル)、1.38〜1.94 m(13H,シクロヘプチル)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(式中、
Rは、3から12個のC原子を有するシクロアルキル環、またはtert−ブチルであり、
1は、H、または1個から6個のC原子を有するアルキルを示し、
mは、0、1、2、3または4を示し、
nは、1または2を示す)
ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物。
【請求項2】
3−シクロヘプチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステル、
3−シクロヘプチルメチル−1,1−ジオキソ−1H−λ6−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルスルファモイルエステル
の化合物から選択される、請求項1に係る式(I)の化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物。
【請求項3】
a)式中、RおよびR1が、請求項1に係る一般式(I)において与えられる意味を有する一般式(II)
【化2】

の化合物を、塩化スルファモイルと反応させること、もしくは
b)式中、RおよびR1が、請求項1に係る一般式(I)において与えられる意味を有する一般式(III)
【化3】

の化合物を酸化させること、および/または
c)一般式(I)の化合物をその塩の1つに変換すること
を特徴とする、一般式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項4】
請求項1および/もしくは請求項2に係る少なくとも1種の式(I)の化合物、ならびに/または薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物と、場合によって賦形剤および/または補助剤とを含む薬剤。
【請求項5】
請求項1および/または請求項2に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、エストロゲン依存性疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための、場合によって抗エストロゲン剤、SERM、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、ゲスターゲンならびにLH−RHのアゴニストおよびアンタゴニストの群から選択される1種または複数の活性化合物とも組み合わせての使用。
【請求項6】
請求項1および/または請求項2に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、良性または悪性の、乳房、子宮または卵巣の疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための、場合によって抗エストロゲン剤、SERM、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、ゲスターゲンならびにLH−RHのアゴニストおよびアンタゴニストの群から選択される1種または複数の活性化合物とも組み合わせての使用。
【請求項7】
請求項1および/または請求項2に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、良性または悪性の、前立腺または精巣の疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための、場合によって前記化合物が、抗エストロゲン剤、SERM、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、リアーゼ阻害剤、ゲスターゲンならびにLH−RHのアゴニストおよびアンタゴニストの群から選択される1種または複数の活性化合物とも組み合わせての使用。
【請求項8】
請求項1および/または請求項2に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、認知機能障害の治療または予防のための薬剤を調製するための使用。
【請求項9】
請求項1および/または請求項2に係る化合物、ならびに薬学的に使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物の、免疫疾病の治療または予防のための薬剤を調製するための使用。
【請求項10】
(a)請求項1および/もしくは請求項2に係る化合物の有効量、ならびに/または薬学的に使用可能なその誘導体、溶媒和物および互変異性体、ならびにすべての比率のそれらの混合物と、
(b)有効量のさらなる薬剤活性化合物と
の別々のパックを含むセット(キット)。


【公表番号】特表2010−511640(P2010−511640A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539627(P2009−539627)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009789
【国際公開番号】WO2008/067892
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】