説明

スルホポリエステルの回収

【課題】水性分散液及びスルホポリエステル濃縮物から製造されたスルホポリエステルの回収方法の提供。
【解決手段】スルホポリエステルを回収及び再利用できるスルホポリエステル濃縮物は、蒸発及び/又はナノ濾過のような方法によって生成し、このスルホポリエステルの最終的な回収は、水の更なる蒸発及び/又は塩析によって実施でき、更に、回収スルホポリエステル及び回収スルホポリエステルから製造された物品も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、水性分散液及び濃縮水性スルホポリエステル分散液からのスルホポリエステルポリマーの回収方法に関する。より具体的には、本発明に係る方法は、スルホポリエステルの稀薄水性分散液の濃縮及びそれからのスルホポリエステルの回収を含む。本発明は、更に、回収スルホポリエステル、スルホポリエステル水性分散液、スルホポリエステル濃縮物(concentrate)並びに回収スルホポリエステル及びスルホポリエステル濃縮物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
水分散性ポリマー、特にスルホポリエステルポリマーは、繊維並びに繊維物品、例えば不織布、二成分繊維、フィルム、衣料品(clothing articles)、パーソナルケア製品、例えばティッシュ、生理用品、おむつ、成人失禁用ブリーフ、病院/外科用及び他の医用使い捨て器具(ディスポーザブル)、保護布及び層、ジオテキスタイル、工業用拭き取り紙又は布及び濾材の形成に使用されている。これらの品目の多くは、それらの製造又は使用の過程において洗浄されることが多い。その結果、かなりの量(significant quantities)のスルホポリエステルポリマーが物品から遊離し、洗浄水中に分散する。
【0003】
例えば水分散性スルホポリエステル及び水非分散性ポリマー、例えばポリエステル、ナイロン又はポリオレフィンを含む多成分繊維は、マイクロデニール繊維及びマイクロデニール繊維ウェブの製造に使用することができる。これらの繊維は、例えば特許文献1〜6に記載されている。多成分繊維は不織布にすることができ、それは繊維のスルホポリエステル成分を除去することによってマイクロデニール繊維ウェブに変えることができる。これは最も一般的には、ウェブを洗浄することによってウェブの材料である多成分繊維からスルホポリエステルを解離させる(disassociate)ことによって行われる。解離したスルホポリエステルは洗浄水中に分散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,916,678号
【特許文献2】米国特許第5,405,698号
【特許文献3】米国特許第4,966,808号
【特許文献4】米国特許第5,525,282号
【特許文献5】米国特許第5,366,804号
【特許文献6】米国特許第5,486,418号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スルホポリエステル分散液は一般に非常に稀薄であり、スルホポリエステルの非常に低濃度しか示さない。これまで、洗浄水中に存在するスルホポリエステルは、経済的な価値がほとんどないものと考えられており、洗浄水と共に廃棄されるのが典型的である。従って、その後の再利用のために、洗浄水からスルホポリエステルを回収する、経済的に実行可能な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水性分散液からの水分散性スルホポリエステルの回収方法を提供することによって、前記問題を克服する。スルホポリエステルを含む水性分散液から作られたスルホポリエステル濃縮物も提供される。
【0007】
従って、本発明の目的の1つは、水性分散液からの水分散性スルホポリエステルの回収方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、製造プロセスにおいて再利用するために、水性分散液に含まれるスルホポリエステルを回収することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、水分散液からスルホポリエステル濃縮物分散液を形成せしめることにある。
【0010】
本発明の更に別の目的は、回収スルホポリエステル、スルホポリエステル濃縮物並びに回収スルホポリエステル及びスルホポリエステル濃縮物から製造された物品を提供することにある。
【0011】
前記目的は単に例示にすぎず、前述の目的全てが必ずしも、本明細書及び特許請求の範囲に記載した本発明によって達成される必要はないことを理解すべきである。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、水性分散液からの水分散性スルホポリエステルの回収方法が提供される。この方法は、(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を用意し;そして(b)前記水性分散液からスルホポリエステルの少なくとも一部を回収して回収スルホポリエステルを製造する工程を含む水分散性スルホポリエステルの回収方法を含む。
【0013】
本発明の別の実施態様によれば、水性分散液からの水分散性スルホポリエステルの回収方法が提供される。この方法は、(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を用意し;(b)前記水性分散液から水を除去することによって、水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ;そして(c)前記スルホポリエステル濃縮物からスルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造することを含む。
【0014】
本発明に係る別の実施態様において、(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;(b)前記分散液をナノ濾過エレメントに通すことによって、前記分散液よりも高いスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ;そして(c)前記スルホポリエステル濃縮物からスルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する工程を含む、水分散性スルホポリエステルの回収方法が提供される。
【0015】
本発明の更に別の実施態様は、(a)スルホポリエステルを含む物品を洗浄することによって、前記物品からスルホポリエステルの少なくとも一部を解離させ且つ解離スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;(b)前記水性分散液から水を除去して、前記水性分散液よりも高いスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ;(c)前記スルホポリエステル濃縮物からスルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する工程を含む、水分散性スルホポリエステルの回収方法に向けられる。
【0016】
本発明に係る更に別の実施態様は、(a)スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;(b)前記水性分散液から水を除去することによって前記水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめて、スルホポリエステル濃縮物を製造する工程を含む、スルホポリエステル濃縮物の形成方法に向けられる。
【0017】
本発明に係る別の実施態様においては、少なくとも約10重量%のスルホポリエステルを含む水性分散液が提供される。本発明の別の実施態様においては、回収スルホポリエステルが提供される。本発明に係る更に別の実施態様は、製品、例えば繊維、不織布、フィルム、繊維製品、接着剤などに役立つような充分に良好な品質を有するスルホポリエステルを回収することである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、水性分散液からの水分散性スルホポリエステルポリマーの回収方法を提供する。本発明の一実施態様においては、スルホポリエステルを回収する水性分散液からの、スルホポリエステル濃縮物の形成方法が提供される。更に別の実施態様においては、スルホポリエステルを濃縮し且つ/又は回収しようとする水性分散液を、水分散性スルポリエステルポリマーが水の作用で分散している工業的方法から形成する。好ましい実施態様において、スルホポリエステルは、水分散性スルホポリエステルを含む物品内に最初に含まれる。より好ましくは、この物品は、多成分繊維の一成分としてスルホポリエステルを含む。
【0019】
スルホポリエステルポリマーに関して本明細書中で使用する用語「水分散性(water-dispersible)」は、用語「水散逸性(water-dissipatable)」、「水解性(water-disintegratable)」、「水溶解性(water-dissolvable)」、「水消散性(water-dispellable)」、「水溶性(water soluble)」、「水分除去性(water-removable)」、「ハイドロ溶解性(hydro-soluble)」及び「ハイドロ分散性(hydrodispersible)」と同義とする。また、それは、スルホポリエステル成分が物品又は多成分繊維から除去され且つ水の作用によって分散又は溶解されることを意味するものとする。多成分繊維の場合は、スルホポリエステルは、それに含まれる水非分散性繊維の放出及び分離を可能にするように除去される。用語「分散された」、「分散性」、「散逸する」又は「散逸性」は、繊維又は繊維製品のばらばらの懸濁液又はスラリーを形成するのに充分な量の脱イオン水(例えば、水対繊維の重量比が100:1)を用いて約60℃の温度において5日以下の期間内で、溶解されたスルホポリエステル成分が多成分繊維から分解し、解離し又は分離して、水非分散性セグメントから多数のマイクロデニール繊維を残すことを意味する。
【0020】
本明細書中で使用する用語「水性分散液」は、スルホポリエステルが水中に分散され且つスルホポリエステルの濃度を増加させるのにそれ以上のプロセス工程を必要としないことを意味する。
【0021】
本明細書中で使用する用語「スルホポリエステル濃縮物」は、スルホポリエステルの濃度を増加させるための水除去処理を水性分散液に対してそれ以上行わなかったことを意味する。
【0022】
本発明に従って使用する水分散性スルホポリエステルは、ジカルボン酸モノマー残基、スルホモノマー残基、ジオールモノマー残基及び反復単位を含むスルホポルエステルから製造する。スルホモノマーはジカルボン酸、ジオール又はヒドロキシカルボン酸であることができる。従って、ここで使用する用語「モノマー残基」は、ジカルボン酸、ジオール又はヒドロキシカルボン酸の残基を意味する。ここで使用する「反復単位」は、カルボニルオキシ基を介して結合された2個のモノマー残基を有する有機構造を意味する。本発明に使用するスルホポリエステルは、実質的に等しい割合で反応する実質的に等モル比の酸残基(100モル%)とジオール残基(100モル%)を含むので、反復単位の総モルは100モル%に等しい。Eastman Chemical Co.(Kingsport,TN)から入手可能なAQ−55スルホポリエステルは、代表的なスルホポリエステルである。AQ−55スルホポリエステルは、5−ソジオスルホイソフタル酸を含む線状水分散性スルホポリエステルである。AQ−55スルホポリエステルは、ペレットの形態でも分散液としても入手できる。
【0023】
従って、本明細書の開示において示したモル百分率は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えばジカルボン酸、ジオール又はヒドロキシカルボン酸であることができるスルホモノマーを、総反復単位に基づき、30モル%含むスルホポリエステルは、スルホポリエステルが合計100モル%のうちスルホモノマーを30モル%含むことを意味する。従って、反復単位100モル毎にスルホモノマー残基が30モル存在する。同様に、総酸残基に基づき、30モル%のジカルボン酸スルホモノマーを含むスルホポリエステルは、スルホポリエステルが合計100モル%の酸残基のうちスルホモノマーを30モル%含むことを意味する。従って、後者の場合には、酸残基100モル毎にスルホモノマー残基が30モル存在する。
【0024】
本明細書中に記載したスルホポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン溶媒の60/40重量部溶液中で25℃において溶媒100mL中スルホポリエステル約0.5gの濃度において測定したインヘレント粘度(以下、”Ih.V.”と略する)が、少なくとも約0.1dL/g、好ましくは少なくとも約0.2dL/g、より好ましくは少なくとも約0.3dL/g、最も好ましくは約0.3dL/g超である。本明細書で使用する用語「ポリエステル」は、「ホモポリエステル」及び「コポリエステル」の両方を包含し、二官能価カルボン酸と二官能価ヒドロキシル化合物との重縮合によって製造された合成ポリマーを意味する。本明細書中で使用する用語「スルホポリエステル」は、スルホモノマーを含む任意のポリエステルを意味する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能価ヒドロキシル化合物は、例えばグリコール及びジオールのような二価アルコールである。別法として、二官能価カルボン酸は、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は、例えばヒドロキノンのような、2個のヒドロキシ置換基を有する芳香核であることができる。本明細書中で使用する用語「残基(residue)」は、対応するモノマーを含む重縮合反応を経てポリマー中に組み入れられる任意の有機構造を意味する。従って、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はその関連した酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物に由来することができる。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、高分子量ポリエステルの形成のためにジオールとの重縮合プロセスにおいて有用なジカルボン酸及びその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物又はそれらの混合物を含む任意のジカルボン酸誘導体を含むものとする。
【0025】
本発明のスルホポリエステルは、1種又はそれ以上のジカルボン酸残基を含む。スルホモノマーの型及び濃度に応じて、ジカルボン酸残基は約60〜約100モル%の酸残基を含むことができる。ジカルボン酸残基の濃度範囲の他の例は、約60〜約95モル%及び約70〜約95モル%である。使用できるジカルボン酸の例としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又は2種若しくはそれ以上のこれらの酸の混合物が挙げられる。従って、適当なジカルボン酸としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;アゼライン酸;セバシン酸;フマル酸;マレイン酸;イタコン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;ジグリコール酸;2,5−ノルボルナンジカルボン酸;フタル酸;テレフタル酸;1,4−ナフタレンジカルボン酸;2,5−ナフタレンジカルボン酸;ジフェン酸;4,4’−オキシジ安息香酸;4,4’−スルホニルジ安息香酸;及びイソフタル酸。好ましいジカルボン酸残基は、イソフタル酸、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、又はジエステルを用いる場合には、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルであり、イソフタル酸及びテレフタル酸の残基が特に好ましい。ジカルボン酸のメチルエステルが最も好ましい実施態様であるが、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどのようなより高級のアルキルのエステルを含めることも許容され得る。更に、芳香族エステル、特にフェニルエステルも使用できる。
【0026】
スルホポリエステルは、総反復単位に基づき、約4〜約40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基を含み、前記官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである。スルホモノマー残基の濃度範囲の別の例は、総反復単位に基づき、約4〜約35モル%、約8〜約30モル%及び約8〜約25モル%である。スルホモノマーは、スルホネート基を含むジカルボン酸若しくはそのエステル、スルホネート基を含むジオール又はスルホネート基を含むヒドロキシ酸であることができる。用語「スルホネート」は、構造−SO3M(Mはスルホン酸塩の陽イオンである)を有するスルホン酸の塩を意味する。スルホン酸塩の陽イオンは、Li+、Na+,K+、Mg++、Ca++、Ni++、Fe++などのような金属イオンであることができる。別法として、スルホン酸塩の陽イオンは、例えば米国特許第4,304,901号に記載された窒素含有塩基のような非金属であることもできる。窒素系陽イオンは、脂肪族、脂環式又は芳香族化合物であることができる窒素含有塩基に由来する。このような窒素含有塩基の例としては、アンモニア、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、モルホリン及びピペリジンが挙げられる。窒素系スルホン酸塩を含むモノマーは典型的には、ポリマーをメルトの状態にするのに必要な条件においては熱安定性ではないので、窒素系スルホン酸塩基を含むスルホポリエステルを製造するための本発明の方法は、アルカリ金属塩の形態のスルホネート基を必要量含むポリマーを水中に分散、散逸又は溶解させてから、アルカリ金属陽イオンを窒素系陽イオンと交換するものである。
【0027】
多価アルカリ金属イオンをスルホン酸塩の陽イオンとして用いる場合には、得られるスルホポリエステルは水中に完全に分散性であり、分散速度は、ポリマー中のスルホモノマー含量、水温、スルホポリエステルの表面積/厚さなどによって異なる。二価金属イオンを用いる場合には、得られるスルホポリエステルは冷水によっては容易に分散されないが、熱水によればより容易に分散される。単一ポリマー組成物内に1つより多くの対イオンを用いることは可能であり、得られる製造品の水応答性を特化又は微調整する手段を提供できる。スルホモノマー残基の例としては、芳香族酸核、例えばベンゼン;ナフタレン;ジフェニル;オキシジフェニル;スルホニルジフェニル;並びにメチレンジフェニル又は脂環族環、例えばシクロヘキシル;シクロペンチル;シクロブチル;シクロヘプチル;及びシクロオクチルにスルホン酸塩基が結合したモノマー残基が挙げられる。本発明に使用できるスルホモノマー残基の他の例は、スルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸又はそれらの組合せのスルホン酸金属塩である。使用できるスルホモノマーの他の例は、5−ソジオスルホイソフタル酸及びそのエステルである。スルホモノマー残基が5−ソジオスルホイソフタル酸に由来する場合には、典型的なスルホモノマー濃度範囲は、酸残基の総モルに基づき、約4〜約35モル%、約8〜約30モル%及び約8〜25モル%である。
【0028】
スルホポリエステルの製造に使用するスルホモノマーは既知の化合物であり、当業界でよく知られた方法を用いて製造できる。例えば、芳香族環にスルホネート基が結合したスルホモノマーは、芳香族化合物を発煙硫酸(オレウム)でスルホン化して対応するスルホン酸を得てから、金属酸化物又は塩基、例えば酢酸ナトリウムと反応させてスルホン酸塩を製造することによって製造できる。種々のスルホモノマーの製造方法は、例えば米国特許第3,779,993号;第3,018,272号;及び第3,528,947号に記載されている。
【0029】
また、ポリマーが分散された形態である場合には、例えばスルホン酸ナトリウム塩及びナトリウムを亜鉛のような異なるイオンと置き換えるイオン交換法を用いてポリエステルを製造することも可能である。この型のイオン交換法は一般に、ナトリウム塩がポリマー反応体溶融相中に通常はより溶解性である限りにおいては、二価の塩を用いたポリマーの製造よりも一般に優れている。
【0030】
スルホポリエステルは、脂肪族、脂環式及びアルアルキルグリコールなどであることができる1種又はそれ以上のジオール残基を含む。脂環式ジオール、例えば1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールは、純粋なシス若しくはトランス異性体として又はシス異性体とトランス異性体との混合物として存在できる。本明細書中で使用する用語「ジオール」は用語「グリコール」と同義であり、任意の二価アルコールを意味する。ジオールの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;ポリエチレングリコール;1,3−プロパンジオール;2,4−ジメチル−2−エチレンヘキサン−1,3−ジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール;1,3−ブタンンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール;チオジエタノール;1,2−シクロヘキサンジメタノール;1,3−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール;p−キシレンジオール;又は1種若しくはそれ以上のこれらのグリコールの組合せ。
【0031】
ジオール残基は、構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜約500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)の残基を、総ジオール残基に基づき、約25〜約100モル%含むことができる。比較的低分子量のポリエチレングリコール、例えばnが2〜6であるものの非限定的例は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールである。これらの比較的低分子量のグリコールのうち、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが最も好ましい。比較的高分子量のポリエチレングリコール(本明細書中では、”PEG”と略する)[nは7〜約500である]としては、Dow Chemical Company(以前は、Union Carbide)の製品である、CARBOWAX(登録商標)の名称で市販されている製品が挙げられる。典型的には、PEGは、例えばジエチレングリコール又はエチレングリコールのような他のジオールと組合せて使用する。6より大きく500までの範囲のnの値に基づき、分子量は300より大きく約22,000g/モルの範囲であることができる。分子量とモル%とは、互いに反比例し;具体的には、所定の親水度を達成するためには、分子量が増加すると、モル%は減少するであろう。例えば、分子量1000のPEGは総ジオールの10モル%を構成することができるが、分子量10,000のPEGは典型的には総ジオールの1モル%未満のレベルで組み入れられると考えることは、この概念の説明に役立つ。
【0032】
いくつかの二量体、三量体及び四量体ジオールが、プロセス条件を変更することによって副反応を制御できるため、現場で(in situ)形成され得る。例えば、酸性条件下で重縮合を実施する場合には容易に起こる酸触媒水和反応によって、種々の量のジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールが、エチレングリコールから形成され得る。これらの副反応を遅らせるために、当業者によく知られた緩衝液の存在を反応混合物に加えることができる。しかし、緩衝剤を省き且つ二量化、三量化及び四量化反応を進行させる場合には、更なる組成許容範囲が可能である。
【0033】
本発明のスルホポリエステルは、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基を、総反復単位に基づき、0〜約25モル%含むことができる。分岐モノマーの非限定的例は、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ジメチロールプロピオン酸又はそれらの組合せである。分岐モノマー濃度範囲のその他の例は、0〜約20モル%及び0〜約10モル%である。分岐モノマーの存在は本発明のスルホポリエステルに多数の予想されるメリットを生じることができ、その例にはレオロジー特性、溶解度及び引張特性を特化できることがあるが、これらに限定するものではない。例えば、一定分子量において、分岐スルホポリエステルはまた、線状類似体に比較して、後重合架橋反応を促進し得る末端基の濃度が大きいであろう。しかし、分岐剤が高濃度であると、スルホポリエステルはゲル化し易い可能性がある。
【0034】
本発明のスルホポリエステルは、当業者によく知られた示差走査熱量測定法(DSC)のような標準的方法を用いて乾燥ポリマーについて測定した場合に、少なくとも25℃のガラス転移温度(本明細書中では、”Tg”と略する)を有する。本発明のスルホポリエステルのTg測定値は、「乾燥ポリマー」、即ちポリマーを約200℃の温度に加熱し且つサンプルを室温に戻すことによって、外来性の又は吸収された水が飛ばされたポリマーサンプルを用いて実施する。典型的には、スルホポリエステルはDSC装置中で、サンプルを水の気化温度より高い温度に加熱する第1熱走査を実施し、ポリマー中に吸収された水の気化が完了する(大きく幅広い吸熱によって示される)まで同温度にサンプルを保持し保持し、次いで第2熱走査を実施してTg測定値を得ることによって乾燥させる。スルホポリエステルが示すガラス転移温度の他の例は、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃である。他のTgも可能であるが、本発明の乾燥スルホポリエステルの典型的なガラス転移温度は、約30℃、約48℃、約55℃、約65℃、約70℃、約75℃、約85℃及び約90℃である。
【0035】
本発明の別の実施態様において、スルホポリエステルは、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、約2〜約20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜約500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜約25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む。
【0036】
別の好ましい実施態様において、スルホポリエステルは少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有し、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、約4〜約40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜約500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜約25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む。
【0037】
その他のスルホポリエステルポリマー及びそれを用いて製造される多成分繊維については、米国特許出願番号第11/204,868号(2005年8月16日出願)、米国特許出願番号第10/850,548号(2004年5月20日出願)及び米国特許出願番号第10/465,698号(2003年6月19日出願)に記載されており、これら全てを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0038】
水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液は、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは約2重量%未満のスルホポリエステルを含む。この水性分散液は、スルホポリエステルを含む物品を水(最も好ましくは脱イオン水)中で洗浄し、それによって前記物品からスルホポリエステルの少なくとも一部を解離させることによって形成できる。典型的には、洗浄プロセスは、約25〜約100℃の温度において、より好ましくは約40〜80℃において、約10〜約600秒間、前記物品を水と接触させ、それによってスルホポリエステルを散逸又は溶解させることを含む。
【0039】
本発明の一実施態様においては、スルホポリエステル回収プロセスの有効性を増大させるために、水性分散液から水を除去し、それによってスルホポリエステル濃縮物を形成せしめる。ここで使用する用語「スルホポリエステル濃縮物」は、スルホポリエステルを含む水性分散液から形成された第2の水性分散液を意味し、前記水性分散液よりも高いスルホポリエステル濃度を有する。スルホポリエステル濃縮物は、好ましくは前記水性分散液の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、更に好ましくは少なくとも10倍、最も好ましくは少なくとも20倍のスルホポリエステル濃度を有する。
【0040】
水性分散液から水を除去する工程はいくつかの手段によって実施できる。水は、水性分散液への熱及び/又は真空の適用によって、水性分散液から蒸発させることができる。しかし、水を蒸発させるエネルギーコストは高いので、前述のスルホポリエステル濃縮物を得るために多量の水を加熱することは一般に経済的に有効でない。従って、水性分散液をナノ濾過エレメント、特に多孔質ナノ濾過膜を含むエレメントに通すのが好ましい。ここで使用する用語「ナノ濾過」は二価の塩及び有機物質を除去する、低圧〜中程度に高い圧力(典型的には50〜450psig)のプロセスを指す。典型的には、ナノ濾過膜は、約50nm未満の細孔径を含み、約100〜約20,000の分子量を示す材料が分散された用途に使用される。好ましいナノ濾過エレメント及び膜は、Applied Membranes Inc.(Vista,CA)及びKoch Membrane Systems(Wilmington,MA)から入手可能である。
【0041】
濾過エレメントは、クロスフロー濾過又はデッドエンド濾過として、働くことができる。連続操作の他に、クロスフロー濾過は、膜を詰まらせるであろう濾過ケークがない点において、デッドエンド濾過よりも有利である。分散されたスルホポリエステルポリマーは一般に、1〜2%の溶液の場合には約50〜約500nmの粒径を示す。従って、ナノ濾過膜は、約25nm未満、より好ましくは約10nm未満の細孔径を示すのが望ましい。
【0042】
操作中、水分散液はナノ濾過エレメントに連続的に通すことができる。各パスにおいて、水はナノ濾過膜を通して押し出され、従って水分散液から除去される。大きすぎて膜を通過できないスルホポリエステルは分散したままである。しかし、所望のスルホポリエステルレベルが得られるまで、その後のパス毎にスルホポリエステルの濃度は増加する。スルホポリエステル濃縮物は、スルホポリエステル濃縮物全体の重量に基づき、好ましくは約10重量%超、より好ましくは約20重量%超、最も好ましくは約30重量%超のスルホポリエステル濃度を示す。ナノ濾過は、特に約30〜約40重量%ものスルホポリエステルレベルを有するスルホポリエステル濃縮物を形成するのに有効である。このレベルは、使用する濾過膜の型及び処理条件によっては、更に増大させることができるであろう。
【0043】
次に、水性分散液又はスルホポリエステル濃縮物中のスルホポリエステルの少なくとも一部を回収する。本発明に係る一実施態様において、回収工程は、スルホポリエステル濃縮物からの水の蒸発を含む。蒸発プロセスは、水を飛ばすために分散液に熱及び/又は真空を適用することを含む。かなりの量の水がナノ濾過によって除去されてしまうので、この回収工程を実施するためのエネルギーコストは大幅に削減される。スルホポリエステル濃縮物中のスルホポリエステルを更に濃縮するのに充分な水を更に除去するか、或いは水を完全に除去することによって乾燥ポリマーのみを本質的に残す。水の除去レベルは、回収スルホポリエステルを用いて製造される個々の物品によって異なるであろう。例えば、スルホポリエステルは水分散性接着剤中に使用できる。その際には、少なくとも約50重量%のスルホポリエステルレベルを得るのに充分な水を除去すべきである。固体回収スルホポリエステル製品が望ましい場合には、回収材料は99重量%を超えるスルホポリエステルを含まなければならない。固体回収スルホポリエステル製品は、個々の物品又は製品の製造に適するように、必要に応じて更に処理することができる。
【0044】
本発明に係る別の実施態様において、スルホポリエステルは、スルホポリエステル濃縮物中のスルホポリエステルの少なくとも一部を沈澱させることによって回収できる。スルホポリエステルを沈殿させることができるいくつかの方法がある。また、これらの方法のほとんどは稀薄なスルホポリエステル水性分散液を用いて使用でき、一般には、約10重量%を超えるスルホポリエステルを含むスルホポリエステル濃縮物を用いて使用する場合にそれらは最も有効である。
【0045】
回収メカニズムの1つは一般に、塩溶液によるスルホポリエステルの沈澱に関する。二価陽イオンはポリエステルを架橋させる傾向があるので、一価陽イオンの使用が好ましい。好ましい一価の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。特に好ましい一価塩としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。塩は、固体又は水溶液として、スルホポリエステル濃縮物に添加することができる。好ましくは、スルホポリエステル濃縮物中の塩レベルは、スルホポリエステルの重量に基づき、少なくとも約30重量%である。より好ましくは、塩レベルはスルホポリエステルの重量に基づき、約30〜約60重量%、最も好ましくは約40〜約50重量%である。単一の塩を使用することもできるが、重量比約5:1〜約1:5、より好ましくは約2.5:1〜約1:2.5、最も好ましくは約1:1のカリウム塩とナトリウム塩のブレンドを用いるのが望ましい。
【0046】
スルホポリエステル濃縮物への前記塩の添加後、スルホポリエステルはゲル化し得る。次に、スルホポリエステル濃縮物を撹拌しながら、約50〜約80℃に加熱して、ゲルを破壊することができる。次いで、スルホポリエステル濃縮物を、好ましくは室温まで冷却し、濾過して、回収スルホポリエステルを生成する。この時点では、回収スルホポリエステルは、かなりの量の塩を含む可能性がある。回収スルホポリエステルを再利用しようとする製造プロセスによっては、この塩は除去するのが望ましい場合がある。塩の除去は一般に、回収スルホポリエステルを水、好ましくは脱イオン水中で洗浄することよって行う。これは、水道水中に存在する無機化合物、特に二価陽イオンCa及びFeは回収スルホポリエステルを架橋させ且つ脆くする可能性があるためである。塩を確実に除去するために回収スルホポリエステルは多数回洗浄することが必要な場合がある。好ましくは、回収スルホポリエステル中に残る塩のレベルは、約2重量%未満、より好ましくは約1重量%未満、更に好ましくは約0.5重量%未満であり、最も好ましくは回収スルホポリエステルは本質的に塩を含まない。洗浄後、回収スルホポリエステルは乾燥させることができる。
【0047】
沈澱によってスルホポリエステルを回収するための別のメカニズムは、非溶媒の使用による。好ましくは非溶媒は水と混和性であり、例えばアルコール、より好ましくはイソプロパノールである。非溶媒はスルホポリエステルを沈澱させる。その後にスルホポリエステルを濾過によって回収し、脱イオン水中で洗浄することによってアルコールを除去して、回収スルホポリエステルを生成する。アルコール残基はスルホポリエステルの再利用に影響を及ぼすおそれがあるので、捕捉されたアルコールは全て回収スルホポリエステルから入念に除去しなければならない。また、このメカニズムは、約0.30より高いインヘレント粘度を有するスルホポリエステルサンプルを用いる場合にうまくいくことが判明した。しかし、インヘレント粘度が低い材料の場合には、スルホポリエステルは非溶媒中に溶解するために、回収できなくなるおそれがある。
【0048】
本発明は、水性分散液中に存在するスルホポリエステルの少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%、最も好ましくは少なくとも約90重量%のスルホポリエステル回収歩留まりをもたらす。
【0049】
最終的に、回収スルホポリエステルは製造プロセスにおいて再利用される。回収スルホポリエステルの用途の例としては、不織布、多成分繊維、フィルム、接着剤及び衣料品のような物品又は製品の形成が挙げられる。
【0050】
ここに記載した方法は有利なことにスルホポリエステルポリマーを分解しない傾向があるので、回収スルホポリエステルは水性分散液中に存在するスルホポリエステルの分子量の少なくとも約50%の平均分子量を示す。更に好ましくは、回収スルホポリエステルは元の分子量の少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%を保持する。
【0051】
本発明の別の実施態様において、少なくとも約10重量%のスルホポリエステルを含むスルホポリエステル濃縮物が提供される。好ましくは少なくとも20重量%のスルホポリエステルを含むスルホポリエステル濃縮物が提供される。このスルホポリエステル濃縮物は、前記方法のいずれかに従って形成でき、本明細書中で前述した任意のスルホポリエステルを含むことができる。好ましくは、スルホポリエステル濃縮物は、約25〜約65重量%、より好ましくは約30〜約50重量%のスルホポリエステルを含む。
【0052】
本発明の回収スルホポリエステルは物品の製造に利用できる。このような物品の非限定的例としては、以下のものが挙げられる:多成分繊維、糸、コード、テープ、布、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、熱融着ウェブ、水流交絡ウェブ、不織ウェブ及び不織布並びにそれらの組合せ;1層又はそれ以上の繊維層を有する品物、例えば、多層不織布、積層品及びこのような繊維からの複合材料、ガーゼ、包帯、おむつ、トレーニングパンツ、タンポン、手術着及び手術用マスク、生理用ナプキンなど。更に、種々の個人衛生用品及び洗浄用品の交換インサートも挙げることができる。本発明の物品は、水分散性であってもなくてもよい他の材料に接着し、貼り合わせ、取り付けることもできるし、或いはそれらと併用することもできる。物品、例えば不織布層は、ポリエチレンのような水非分散性材料の軟質プラスチックフィルム又は裏地に接着することができる。このようなアセンブリは、例えば使い捨ておむつの一成分として使用できるであろう。更に、物品は、別の基材上に繊維を上吹き(overblow)して、工学的メルトブローン、スパンボンド、フィルム又は膜構造の種々の組合せを形成することによって得ることもできる。
【実施例】
【0053】
本発明を、更に、その好ましい実施態様に関する以下の実施例によって説明することができるが、これらの実施例は説明のみを目的として記載するのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0054】
実施例1〜4においては、30重量%の濃度のスルホポリエステルポリマーを含む水性分散液から塩析によってスルホポリエステルを回収できることを試験した。比較的稀薄な塩溶液を用いると沈澱がほとんど直ちに起こるので、比較的高濃度のスルホポリエステルを含む溶液が望ましいことがわかった。スルホポリエステルは、稀薄溶液を用いると5%の濃度までは回収できるが、より高レベルの塩を用いなければ、この方法には数時間を要する可能性がある。
【0055】
実施例1
この実施例においては、Eastman Chemical Company製のEastman AQ−55Sスルホポリエステルポリマーの30重量%水性分散液を脱イオン水中で製造した。水性分散液中のスルホポリエステルポリマーは、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液を用いて沈殿させた。酢酸カリウム溶液は、スルホポリエステルが沈殿して回収スルホポリエステルを生成するまで添加した。回収スルホポリエステルを濾過し、脱イオン水で洗浄し、遠心分離し、デカントした。回収スルホポリエステルを同様にして更に3回洗浄した。回収スルホポリエステルを45℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させて、87.6%の歩留まりを得た。次いで、回収スルホポリエステルを、Instron Capillary Rheometerを1900fpmの速度及び0.06g/分の処理量を用いて240℃の溶融温度において成功裡に繊維に溶融紡糸した。このレオメーターに、孔径が0.027インチの単孔ダイを装着した。ポリマーメルトを、一定の溶融温度及び押出量において押出し、押出物を室温で穏やかに冷却しながら、一定速度で引取ロールによって引き取った。
【0056】
実施例2
Eastman AQ−55Sスルホポリエステルポリマーの30重量%水性分散液を、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液を用いて沈殿させて、回収スルホポリエステルを生成した。次いで、回収スルホポリエステルポリマーを180メッシュの篩に通して濾過し、脱イオン水で3回洗浄した。回収スルホポリエステルポリマーを45℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させて、74.8重量%の歩留まりを得た。次に、回収スルホポリエステルポリマーを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを2000fpmの速度及び0.06g/分の処理量を用いて240℃において成功裡に繊維に溶融紡糸した。比較として、30重量%の水性分散液を作った元のEastman AQ−55Sスルホポリエステルポリマーを、実施例1に記載した方法を用いて240℃において1320fpmの速度及び0.06g/分の処理量で繊維に溶融紡糸した。
【0057】
実施例3
Eastman AQ55Sと同一の化学組成で、約0.25のインヘレント粘度を有するスルホポリエステルポリマーの30%水性分散液を製造した。この水性分散液140gを、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液30gの添加によって沈殿させて、回収スルホポリエステルを生成した。この回収スルホポリエステルを濾過し、脱イオン水で3回洗浄し、70℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させた。回収スルホポリエステルポリマーを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを用いて、3000fpmの速度及び0.06g/分の処理量において成功裡に繊維に溶融紡糸し、また、240℃、4200rpmの速度及び0.2g/分の処理量において成功裡に繊維に溶融紡糸した。
【0058】
実施例4
実施例3のスルホポリエステルポリマーの30重量%水性分散液を製造した。この水性分散液150gを、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液36gの添加によって沈殿させて、回収スルホポリエステルを生成した。この回収スルホポリエステルを濾過し、脱イオン水で3回洗浄し、70℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させた。回収スルホポリエステルポリマーを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを用いて、3500fpmの速度及び0.06g/分の処理量において、また、5000rpmの速度及び0.2g/分の処理量において成功裡に繊維に溶融紡糸した。
【0059】
実施例5においては、沈澱前においてスルホポリエステルポリマーの水性分散液を濃縮するための膜濾過の使用を検討した。膜濾過はクロスフロー濾過又はデッドエンド濾過であることができるが、クロスフロー濾過は膜を詰まらせる濾過ケークを形成せずに連続的に働くことができるため、クロスフロー濾過の方が好ましいことがわかった。以下の実施例においては、90%除去ナノ濾過膜Model M−N1812A9、ポリプロピレン膜ハウジング及びフロー・リストリクターを含むクロスフロー濾過ユニット(これらは全て、Applied Membrane Incorporatedから入手可能)を用いた。このユニットの最大運転圧は100psiであった。このユニットは単一のパスについてセットアップしたが、ポンプを用いて連続ユニットに容易に変更できた。
【0060】
実施例5
この実施例においては、膜濾過ユニットを用いて、固形分レベルが4.9重量%、2.5重量%及び2重量%のEastman AQ−55Sスルホポリエステルポリマー水性分散液を、それぞれ、固形分レベルが20.7重量%、10.6重量%及び7.8重量%のスルホポリエステル濃縮物に濃縮した。各水性分散液は、最終濃度を得るのにこのユニット中における5〜7回のパスが必要であった。2つのフロー・リストリクターを直列で用い、その結果としてシステム内の圧力を増加させてより多くの水分除去を押し進めることによって、分離を増加させることが可能であることがわかった。濃縮後、スルホポリエステルポリマーを次に、実施例1〜4に記載したのと同様にして、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液を添加することによって沈殿させて、回収ポリエステルを生成した。
【0061】
実施例6
この実施例においては、実施例3のスルホポリエステルポリマー約30重量%及びPETポリエステル(Eastman Chemical Companyから入手可能なF61HC)約70重量%を含む布のサンプル(129.7g)を切断して試験片にし、約50〜60℃の高温の脱イオン水602g中で洗浄した。布及び脱イオン水を5分間撹拌して、水性分散液を生成した。水性分散液を室温まで冷却した。固形分パーセントはスルホポリエステル約7.5重量%であることが測定された。この水性分散液を次に、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液の添加によって沈殿させた後に、325メッシュの篩に通して濾過して、回収スルホポリエステルを生成した。回収スルホポリエステルを脱イオン水で洗浄した。洗浄した回収スルホポリエステルを50℃及び23mmHgの真空において真空乾燥させて、スルホポリエステル20.25g(歩留まり52.0重量%)を回収した。回収スルホポリエステルを分析し、カリウム塩を約2重量%含むことがわかった。回収スルホポリエステルをもう一度再洗浄して、この塩を除去し、次いで再乾燥させた。回収した材料を、実施例1に記載したInstron Capillary Rheometerを用いて、240℃において3000fpmの速度及び0.2g/分の処理量で、また、5000fpmの速度及び2.0g/分の処理量で成功裡に繊維に溶融紡糸した。
【0062】
実施例7
この実施例においては、約12モル%(酸の総モルに基づく)のソジオスルホイソフタル酸を含むスルホポリエステルポリマー約30重量%及びポリエステル70重量%を含む布201.9gを切断して小さい試験片にし、約50〜60℃の高温の脱イオン水浴中で撹拌しながら洗浄して、布からスルホポリエステルポリマーを除去した。約5分後、布サンプルを取り出し、過剰の水を搾り取って高温水浴中に戻した。布のサンプルを第2の高温脱イオン水浴中で再度洗浄して、布中に残されたスルホポリエステルを全て除去した。
【0063】
第1の洗浄水浴(366.6g)は約10%のスルホポリエステルポリマーを含むことがわかり、第2の洗浄水浴(246.5g)が約3.0%のスルホポリエステルポリマーを含むことがわかった。両洗浄水浴中の総スルホポリエステルポリマーは46.6g(歩留まり76.9%)であった。両浴からの洗浄水を合し、スルホポリエステルポリマーを、1モル/リットルの酢酸カリウム溶液75gの添加によって沈殿させて、回収スルホポリエステルを生成した。回収スルホポリエステルを、200メッシュの篩を用いて濾過し、脱イオン水で4回洗浄した。回収スルホポリエステルを真空オーブン中に入れて、50℃及び23mmHgの真空において乾燥させた。回収スルホポリエステルポリマーは重さが38.5gであり、最終回収率は63.5%であった。材料を、実施例1に記載したInstron Capillary Rheometerを用いて240℃及び0.2g/分の処理量において約5000fpmの速度で成功裡に繊維に溶融紡糸し、その結果、良質の繊維を得た。
【0064】
実施例8
この実施例においては、約9モル%(酸の総モルに基づく)のソジオスルホイソフタル酸を含むスルホポリエステルの約10重量%水性分散液サンプル1000gを、撹拌しながら硫酸ナトリウム(25g)と酢酸カリウム(25g)の固体混合物を用いて沈殿させた。水性分散液は塩添加後2分以内に沈殿し、次いでこれを57℃に加熱した。次に、水性分散液を室温まで冷却し、粗目の濾紙を用いて大きいブフナー漏斗に通して濾過して、回収スルホポリエステルを生成した。回収スルホポリエステルを脱イオン水で3回洗浄し、真空オーブン中で50℃及び23.5mmHgの真空において乾燥させた。この方法を用いた回収率は94.7重量%であることがわかった。回収スルホポリエステルポリマーを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを用いて、240℃において2000fpmの速度及び0.06g/分の処理量で、また、5000fpm及び2.0g/分の処理量で成功裡に繊維に溶融紡糸した。これらの繊維は脱イオン水中で70及び80℃において完全に水分散性であった。
【0065】
実施例9
スルホポリエステルポリマーの10重量%水性分散液の745gのサンプルを、実施例8と同様にして製造した。このサンプルを、撹拌しながら硫酸ナトリウム(15g)と酢酸カリウム(15g)の混合物を添加することによって沈澱させた。実施例9の方法を用いて、スルホポリエステルを回収した。回収スルホポリエステルの歩留まりは約95.3重量%であった。実施例9と同様にして製造した10重量%の水性分散液の別の745gのサンプルを、撹拌しながら硫酸ナトリウム(11.5g)と酢酸カリウム(11.5g)の混合物を添加することによって沈澱させた。実施例8の方法を用いて、スルホポリエステルを回収した。回収スルホポリエステルの歩留まりは約88.3重量%であった。
【0066】
実施例10
この実施例においては、約7.5モル%(酸の総モルに基づく)のソジオスルホイソフタル酸を含むスルホポリエステルの10重量%の水性分散液のサンプル1000gを、撹拌しながら硫酸ナトリウム(25g)と酢酸カリウム(25g)の固体混合物を用いて沈殿させた。水性分散液は塩添加後2分以内に沈殿して、回収スルホポリエステルを生成した。次いで、これを約58℃に加熱した。室温に冷却後、スルホポリエステルポリマーを、大きいブフナー漏斗及び粗目の濾紙を用いて濾過し、脱イオン水で3回洗浄し、50℃及び23.5mmHgの真空において2日間真空乾燥させ、砕き、45℃において更に6時間乾燥させた。回収スルホポリエステルの歩留まりは約86.7%であった。この回収スルホポリエステルは、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを用いて、240℃において2200fpmの速度及び0.06g/分の処理量を用いて、また、4600fpmの速度及び0.2g/分の処理量を用いて、また、5000fpmの速度及び2.0g/分の処理量を用いて、成功裡に繊維に溶融紡糸した。
【0067】
実施例11
この実施例においては、沈澱スルホポリエステル材料の濾過に対する温度の影響を検討した。実施例8のスルホポリエステルポリマーの2つの10重量%水性分散液を、40重量%の酢酸カリウム溶液を用いて沈殿させた。沈澱後、各水性分散液を56℃まで加熱した。一方のサンプルは濾過の前に室温まで冷却させ、他方のサンプルは熱時濾過した。
【0068】
熱時濾過したサンプルは、濾過及び洗浄に数時間を要した。サンプルまた、濾紙に粘着し、歩留まりは測定できなかった。室温で濾過したサンプルは、容易に濾過され、これを脱イオン水で4回洗浄した。プロセス全体にかかった時間は約20分であり、濾過の問題を何ら生じなかった。サンプルを45℃及び23.5mmHgにおいて真空乾燥させた。回収スルホポリエステルの歩留まりは約96.2%であった。
【0069】
実施例12
この実施例においては、回収スルホポリエステルポリマーの特性に対するカリウム塩とナトリウム塩とのブレンドの使用の効果を検討した。実施例8のスルホポリエステルポリマーの1つの10重量%水性分散液サンプルは酢酸カリウムと酢酸ナトリウムとの1:1ブレンドによって沈殿させ、もう1つの10重量%水性分散液サンプルは酢酸ナトリウム塩のみによって沈殿させた。各サンプルは、塩の添加後2分以内に沈殿した。両サンプルを55℃に加熱し、濾過前に室温まで冷却した。
【0070】
各サンプルを濾過し、脱イオン水で4回洗浄し、次いで45℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させた。塩ブレンドによって沈殿させたサンプルは非常に良く濾過され、スルホポリエステルは97.2%の歩留まりで回収された。酢酸ナトリウムのみを用いて沈殿させたサンプルは濾過が非常に遅かった。この濾液は濁っており、処理の間に濾紙を変える必要があった。しかし、このサンプルもまた、約93.3重量%の非常に良い回収スルホポリエステルポリマー歩留まりをもたらした。
【0071】
実施例13
この実施例においては、スルホポリエステルポリマーの沈澱中の温度の影響を試験した。10重量%水性分散液サンプルを55℃に加熱し、酢酸ナトリウム/酢酸カリウムの1:1塩ブレンドによって沈殿させた。塩は撹拌しながら固体として添加した。沈澱は2分以内に起こった。サンプルを室温まで冷却した。サンプルを濾過し、脱イオン水で3回洗浄し、45℃及び24mmHgの真空において真空乾燥させた。濾過は何の問題も生じずに行われた。同じスルホポリエステルポリマーのもう1つの10重量%水性分散液サンプルを、酢酸ナトリウム/酢酸カリウムの1:1ブレンドの40%塩溶液を用いて(固体として添加するのではなく)沈殿させた。このサンプルを同様にして処理した。これもまた、約2分で沈殿した。しかし、濾過ははるかに遅く、濾液は濁っていた。
【0072】
実施例14
実施例8のスルホポリエステルの10重量%水性分散液の300gサンプルを500mLビーカー中に入れ、酢酸ナトリウムと酢酸カリウムとの1:1混合物の40重量%塩溶液50gを撹拌しながら添加した。沈殿させて回収スルホポリエステルを生成後、材料を撹拌しながら54℃に加熱し、次いで室温まで冷却させた。回収スルホポリエステルを、ブフナー漏斗及び粗目の濾紙を用いて濾過した。サンプルを35℃及び24mmHgの真空において2時間真空乾燥させた後、45℃及び24mmHgの真空において1時間真空乾燥させた。
【0073】
サンプルをFe、Ca、Mg、Na及びK濃度に関して分析した。サンプル1及び2は、乾燥工程前の湿潤ケークの形態でも分析した。濾過後の湿潤ケークサンプルの固形分パーセントは57〜62%の範囲であった。予想通り、乾燥サンプルと湿潤サンプルには大きな違いがあった。結果を以下の表Iに示す。ほとんどの金属イオンレベルを実質的に一定な値まで低下させるのには2回の洗浄が必要であったが、カルシウム濃度を安定させるには3回の洗浄が必要であった。
【0074】
【表1】

【0075】
Fe、Mg及びCaイオン20重量ppm未満を含むこれらのサンプルは、繊維の溶融紡糸に使用するのに申し分ないと考えられる。より高レベルの二価又はそれ以上の多価金属イオンは、回収スルホポリエステルの有害な架橋を引き起こすおそれがある。
【0076】
実施例15
実施例8のスルホポリエステルポリマーを約30重量%含む布の231.3gのサンプルを、温度約75℃の脱イオン水3100g中で10分間洗浄することによって布からスルホポリエステルを除去して、水性分散液を生成した。スルホポリエステルポリマーを含む水性分散液を集め、スルホポリエステルポリマーを約1.9重量%含むことがわかった。水性分散液1000gを沸騰させることによって水約953gを蒸発させて、約40重量%のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物約47gが残された。このスルホポリエステル濃縮物を100℃及び25mmHgの真空において24時間真空乾燥させて、回収スルホポリエステルポリマーを生成した。この回収スルホポリエステルを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを使用して、240℃において800fpmの速度及び0.06g/分の処理量を用いて、また、3000fpmの速度及び0.2g/分の処理量を用いて成功裏に繊維に溶融紡糸した。
【0077】
実施例16
実施例15の別の水性分散液1400gを、実施例5のナノ濾過膜に通すことによって濃縮して、約14.2%の濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を生成した。このスルホポリエステル濃縮物を100℃及び25mmHgの真空において24時間真空乾燥させて、完全に乾燥した回収スルホポリエステルを生成した。この乾燥回収スルホポリエステルを、実施例1と同様なInstron Capillary Rheometerを使用して、240℃において1500fpmの速度及び0.06g/分の処理量を用いて、また、4000fpmの速度及び0.2g/分の処理量を用い成功裡に繊維に溶融紡糸した。
【0078】
実施例17
実施例9のスルホポリエステルの30重量%水性分散液の2000gサンプルを、酢酸カリウムの1モル/リットル溶液600gの添加によって沈殿させて、回収スルホポリエステルを生成した。回収スルホポリエステルを、目が75ミクロンの篩を用いて濾過した。回収スルホポリエステルを、脱イオン水を用いて4回洗浄し、50℃及び23mmHgの真空において3日間真空乾燥させ、73℃において20時間更に乾燥させた。この回収スルホポリエステル107.3gを、Eastman Chemical Companyから入手可能なStaybelite Resin−E粘着付与剤15.4g、Velsicol Chemical Corporationから入手可能なBenzoflex 9−88可塑剤30.8g及びCiba-Geigy Chemical Corporationから入手可能なIrganox 1010 0.46gとブレンドして、接着剤配合物を生成した。この接着剤配合物は、約24℃の望ましい低ガラス転移温度を示した。
【0079】
本発明の回収スルホポリエステルは、多くの物品中に使用できる。これらの物品のいくつかは、前記実施例によって示したが、これらの実施例に限定するものではない。
【0080】
以下に本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を用意し;そして
(b)前記水性分散液から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する
工程を含んでなる水分散性スルホポリエステルの回収方法。
態様2.前記水性分散液が10重量%未満の水分散性スルホポリエステルを含む態様1に記載の方法。
態様3.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、2〜20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様1に記載の方法。
態様4.前記スルホポリエステルが少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有する態様1に記載の方法。
態様5.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、4〜40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様4に記載の方法。
態様6.前記工程(b)が前記水性分散液から水を蒸発させることを含む態様1に記載の方法。
態様7.前記工程(b)が、前記回収スルホポリエステルを製造するために、前記水性分散液中の前記スルホポリエステルの少なくとも一部を沈殿させることを含む態様1に記載の方法。
態様8.前記工程(b)が、塩を除去するために、前記回収スルホポリエステルを洗浄することを更に含む態様1に記載の方法。
態様9.前記工程(b)が前記回収スルホポリエステルを乾燥させることを更に含む態様8に記載の方法。
態様10.前記スルホポリエステルを、前記水性分散液に或る量の一価金属塩を添加することによって、沈殿させる態様7に記載の方法。
態様11.前記一価金属塩がカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様10に記載の方法。
態様12.前記塩が酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様11に記載の方法。
態様13.前記スルホポリエステルを非溶媒沈澱によって沈殿させる態様7に記載の方法。
態様14.前記非溶媒がイソプロパノールを含む態様13に記載の方法。
態様15.(c)前記回収スルホポリエステルを物品の製造において再利用する
ことを更に含む態様1に記載の方法。
態様16.(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を用意し;
(b)前記水性分散液から水を除去することによって、前記水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ;そして
(c)前記スルホポリエステル濃縮物から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する
工程を含んでなる水分散性スルホポリエステルの回収方法。
態様17.前記水性分散液が10重量%未満の前記水分散性スルホポリエステルを含む態様16に記載の方法。
態様18.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、2〜20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様16に記載の方法。
態様19.前記スルホポリエステルが少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有する態様16に記載の方法。
態様20.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、4〜40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様19に記載の方法。
態様21.前記工程(b)が前記水性分散液をナノ濾過エレメントに通すことを含む態様16に記載の方法。
態様22.前記ナノ濾過エレメントが多孔質ナノ濾過膜を含む態様21に記載の方法。
態様23.前記ナノ濾過膜が25nm未満の細孔径を有する態様22に記載の方法。
態様24.前記工程(b)が前記水性分散液の少なくとも5倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめることを含む態様16に記載の方法。
態様25.前記スルホポリエステル濃縮物が10重量%より高いスルホポリエステル濃度を有する態様16に記載の方法。
態様26.前記スルホポリエステル濃縮物が20重量%より高いスルホポリエステル濃度を有する態様25に記載の方法。
態様27.前記工程(c)が前記スルホポリエステル濃縮物から水を蒸発させることを更に含む態様16に記載の方法。
態様28.前記工程(c)が、前記回収スルホポリエステルを生成するために、前記スルホポリエステル濃縮物中の前記スルホポリエステルの少なくとも一部を沈殿させることを含む態様16に記載の方法。
態様29.前記工程(c)が、塩を除去するために、前記回収スルホポリエステルを洗浄することを更に含む態様16に記載の方法。
態様30.前記工程(c)が前記回収スルホポリエステルを乾燥させることを更に含む態様29に記載の方法。
態様31.前記スルホポリエステルを、前記スルホポリエステル濃縮物に或る量の一価金属塩を添加することによって、沈殿させる態様28に記載の方法。
態様32.前記一価金属塩がカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様31に記載の方法。
態様33.前記塩が酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様32に記載の方法。
態様34.前記スルホポリエステルを、非溶媒沈澱によって、沈殿させる態様28に記載の方法。
態様35.前記非溶媒がイソプロパノールを含む態様34に記載の方法。
態様36.(d)前記回収スルホポリエステルを物品の製造において再利用する
ことを更に含む態様16に記載の方法。
態様37.前記物品が繊維、多成分繊維、不織布、フィルム、接着剤及び衣料品からなる群から選ばれた少なくとも一員を含む態様36に記載の方法。
態様38.前記水性分散液を、前記スルホポリエステルを含む製品を洗浄することによって、前記製品から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を解離させることよって形成せしめる態様16に記載の方法。
態様39.(a)スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;
(b)前記水性分散液を、ナノ濾過エレメントに通すことによって、前記水性分散液よりも高いスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ:そして
(c)前記スルホポリエステル濃縮物から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する
工程を含んでなる水分散性スルホポリエステルの回収方法。
態様40.前記工程(a)が、前記スルホポリエステルを含む物品を洗浄することによって、前記物品から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を解離させて、前記水性分散液を形成せしめることを含む態様39に記載に方法。
態様41.前記水性分散液が10重量%未満の前記スルホポリエステルを含む態様39に記載の方法。
態様42.前記工程(b)が前記水性分散液をナノ濾過エレメントに通すことを含む態様39に記載の方法。
態様43.前記ナノ濾過エレメントが多孔質ナノ濾過膜を含む態様42に記載の方法。
態様44.前記ナノ濾過エレメントが25nm未満の平均細孔径を有する多孔質ナノ濾過膜を含む態様43に記載の方法。
態様45.前記工程(b)が前記水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成することを含む態様39に記載の方法。
態様46.前記スルホポリエステル濃縮物が10重量%より高いスルホポリエステル濃度を有する態様39に記載の方法。
態様47.前記工程(c)が前記スルホポリエステル濃縮物から水を蒸発させることを含む態様39に記載の方法。
態様48.前記工程(c)が前記スルホポリエステル濃縮物中の前記スルホポリエステルの少なくとも一部を沈殿させることを含む態様39に記載の方法。
態様49.前記スルホポリエステルを、前記スルホポリエステル濃縮物に或る量の一価金属塩を添加することによって、沈殿させる態様48に記載の方法。
態様50.前記スルホポリエステルを、非溶媒沈澱によって、沈殿させる態様48に記載の方法。
態様51.(d)前記回収スルホポリエステルを物品の製造において再利用する
ことを更に含む態様39に記載の方法。
態様52.前記物品が不織布、多成分繊維、フィルム、接着剤及び衣料品からなる群から選ばれた少なくとも一員を含む態様51に記載の方法。
態様53.(a)スルホポリエステルを含む物品を洗浄することによって、前記物品から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を解離させ且つ前記解離スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;
(b)前記水性分散液から水を除去して、前記水性分散液よりも高いスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめ;そして
(c)前記スルホポリエステル濃縮物から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する
工程を含んでなる水分散性スルホポリエステルの回収方法。
態様54.前記水性分散液が10重量%未満の前記スルホポリエステルを含む態様53に記載の方法。
態様55.前記工程(b)が前記水性分散液をナノ濾過エレメントに通すことを含む態様53
に記載の方法。
態様56.前記ナノ濾過エレメントが25nm未満の平均細孔径を有する多孔質ナノ濾過膜を含む態様55に記載の方法。
態様57.前記工程(b)が前記水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめることを含む態様53に記載の方法。
態様58.前記スルホポリエステル濃縮物が10重量%より高いスルホポリエステル濃度を有する態様53に記載の方法。
態様59.前記工程(c)が前記スルホポリエステル濃縮物から水を蒸発させることを含む態様53に記載の方法。
態様60.前記工程(c)が前記スルホポリエステル濃縮物中の前記スルホポリエステルの少なくとも一部を沈殿させることを含む態様53に記載の方法。
態様61.前記スルホポリエステルを、前記スルホポリエステル濃縮物に分量の一価金属塩を添加することによって、沈殿させる態様60に記載の方法。
態様62.前記回収スルホポリエステルを物品の製造において再利用することを更に含む態様53に記載の方法。
態様63.(a)スルホポリエステルを含む水性分散液を形成せしめ;そして
(b)前記水性分散液から水を除去して、前記水性分散液の少なくとも2倍のスルホポリエステル濃度を有するスルホポリエステル濃縮物を形成せしめる
ことを含んでなるスルホポリエステル濃縮物の形成方法。
態様64.前記工程(a)が、前記スルホポリエステルを含む製品を洗浄することによって、前記製品から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を解離させることを含む態様63に記載の方法。
態様65.前記水性分散液が10重量%未満の前記スルホポリエステルを含む態様64に記載の方法。
態様66.前記工程(b)が多孔質ナノ濾過膜を含むナノ濾過エレメントに前記水性分散液を通すことを含む態様63に記載の方法。
態様67.前記スルホポリエステル濃縮物が10重量%より多い前記スルホポリエステルを含む態様63に記載の方法。
態様68.前記スルホポリエステル濃縮物を物品の製造に再利用することを更に含む態様63に記載の方法。
態様69.物品から回収されたスルホポリエステルを少なくとも10重量%含んでなる水性分散液。
態様70.前記スルホポリエステルが50〜500nmの平均粒径を示す態様69に記載の水性分散液。
態様71.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、2〜20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様69に記載の水性分散液。
態様72.前記スルホポリエステルが少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有する態様69に記載の水性分散液。
態様73.前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、4〜40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む態様69に記載の水性分散液。
態様74.物品から回収されたスルホポリエステル。
態様75.態様74に記載のスルホポリエステルを含んでなる物品。
態様76.50ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む態様74に記載のスルホポリエステル。
態様77.30ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む態様74に記載のスルホポリエステル。
態様78.15ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む態様74に記載のスルホポリエステル。
態様79.態様74に記載のスルホポリエステルを含む繊維。
態様80.前記繊維が多成分繊維である態様79に記載の繊維。
態様81.態様80に記載の繊維を含む繊維構造。
態様82.態様69の水性分散液を含んでなる接着剤配合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水分散性スルホポリエステルを含む水性分散液を用意し;そして
(b)前記水性分散液から前記スルホポリエステルの少なくとも一部を回収して、回収スルホポリエステルを製造する
工程を含んでなる水分散性スルホポリエステルの回収方法。
【請求項2】
前記水性分散液が10重量%未満の水分散性スルホポリエステルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、2〜20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スルホポリエステルが少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、4〜40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(b)が前記水性分散液から水を蒸発させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(b)が、前記回収スルホポリエステルを製造するために、前記水性分散液中の前記スルホポリエステルの少なくとも一部を沈殿させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(b)が、塩を除去するために、前記回収スルホポリエステルを洗浄することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(b)が前記回収スルホポリエステルを乾燥させることを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スルホポリエステルを、前記水性分散液に或る量の一価金属塩を添加することによって、沈殿させる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記一価金属塩がカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記塩が酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スルホポリエステルを非溶媒沈澱によって沈殿させる請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記非溶媒がイソプロパノールを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(c)前記回収スルホポリエステルを物品の製造において再利用する
ことを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
物品から回収されたスルホポリエステルを少なくとも10重量%含んでなる水性分散液。
【請求項17】
前記スルホポリエステルが50〜500nmの平均粒径を示す請求項16に記載の水性分散液。
【請求項18】
前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)二酸又はジオール残基の総モルに基づき、2〜20モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上のスルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも25モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む請求項16に記載の水性分散液。
【請求項19】
前記スルホポリエステルが少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有する請求項16に記載の水性分散液。
【請求項20】
前記スルホポリエステルが、
(i)1種又はそれ以上のジカルボン酸の残基;
(ii)総反復単位に基づき、4〜40モル%の、芳香族環又は脂環族環に結合した2個の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)及び1個又はそれ以上の金属スルホネート基を有する少なくとも1種のスルホモノマーの残基;
(iii)総ジオール残基に基づき、少なくとも20モル%が構造:
H−(OCH2−CH2n−OH
(式中,nは2〜500の範囲の整数である)
を有するポリ(エチレングリコール)である1種又はそれ以上のジオール残基;並びに
(iv)総反復単位に基づき、0〜25モル%の、3個又はそれ以上の官能基(この官能基はヒドロキシル、カルボキシル又はそれらの組合せである)を有する分岐モノマーの残基
を含む請求項16に記載の水性分散液。
【請求項21】
物品から回収されたスルホポリエステル。
【請求項22】
請求項21に記載のスルホポリエステルを含んでなる物品。
【請求項23】
50ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む請求項21に記載のスルホポリエステル。
【請求項24】
30ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む請求項21に記載のスルホポリエステル。
【請求項25】
15ppm未満の二価又はそれ以上の多価金属イオンを含む請求項21に記載のスルホポリエステル。
【請求項26】
請求項21に記載のスルホポリエステルを含む繊維。
【請求項27】
前記繊維が多成分繊維である請求項26に記載の繊維。
【請求項28】
請求項27に記載の繊維を含む繊維構造。
【請求項29】
請求項16の水性分散液を含んでなる接着剤配合物。

【公開番号】特開2011−179000(P2011−179000A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70520(P2011−70520)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2008−509256(P2008−509256)の分割
【原出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】