説明

スレーブ装置、並びに、データ伝送システム及び方法

【課題】複数の装置がカスケード接続またはリング状に接続されたデータ伝送システムにおいて、複数の装置の装置番号を自動設定することなくデータ伝送を実現する。
【解決手段】マスタ装置10に縦続接続されたスレーブ装置20a〜cが、他のスレーブ装置20a〜cと同一の識別番号を保持する識別番号保持部21と、装置番号が付加されたデータを受信する受信部22と、その装置番号が識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、装置番号が識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置20a〜cに送信されたものであると判断する判断部23と、当該データが他の前記スレーブ装置に送信されたものであると判断されると、その装置番号に所定値を減算又は加算して変更した装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置20a〜cに送信する送信部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の装置がカスケード接続またはリング状に接続されたデータ伝送システムにおいて、複数の装置間でデータを送受信するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の装置をカスケード接続(縦続接続)して構成されたデータ伝送システムや、複数の装置がリング状に接続されて構成されたデータ伝送システムにおいて、複数の装置間にてデータ伝送を行うためには、各装置番号を設定する必要がある。
例えば、図11に示す従来のデータ伝送システム100は、マスタ装置として機能する最上位の装置(図中“Master”と表記)101の下位側に複数のスレーブ装置(図中それぞれ“Slave0〜2”と表記)102〜104が縦続接続されて構成されている。
【0003】
このようなデータ伝送システム100では、各スレーブ装置102〜104のそれぞれが、データ伝送システム100における自身の装置番号(アドレス番号)を設定する必要がある。
そして、各スレーブ装置102〜104が装置番号を設定することにより、各スレーブ装置102〜104は、マスタ装置101から送信されたデータが自装置宛のデータであるかを確認でき、さらに、他装置宛のデータを後続のスレーブ装置103,104に転送できる。
【0004】
なお、従来から、データ伝送システムにおいて、複数の装置のそれぞれの装置番号を自動設定する技術がある(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
例えば、図12に示すように、各スレーブ装置102〜104の装置番号を自動設定するための専用回路(図中それぞれ“装置番号自動設定回路”と表記)105〜107が必要となる技術もある。
【特許文献1】特開昭62−271596号公報
【特許文献2】特開平2−58944号公報
【特許文献3】特開平5−344137号公報
【特許文献4】特開平5−145562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1〜4に開示されたような従来技術では、装置番号を自動設定するための専用回路105〜107が必要であるか否かを問わず、データ伝送を行なう前の初期設定時に、各スレーブ装置102〜104は、自身の装置番号を必ず設定しなければならない。
しかしながら、複数のスレーブ装置102〜104のそれぞれによる装置番号の自動設定は時間を要し、データ伝送システムを構成する装置が多ければ多いほどその時間は多く掛かる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、複数の装置がカスケード接続またはリング状に接続されたデータ伝送システムにおいて、複数の装置のそれぞれが装置番号を自動設定することなく、装置間のデータ伝送を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムにおけるスレーブ装置は、他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が付加されたデータを受信する受信部と、前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、この判断部によって当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信する送信部とを備えることを要件とする。
【0008】
また、上記目的を達成するために、データ伝送システムは、上述したマスタ装置と上述した複数のスレーブ装置とを備えることを要件とする。
さらに、上記目的を達成するために、データ伝送方法は、上述したデータ伝送システムにおいて、前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対してデータを送信すべく前記データに前記一のスレーブ装置を特定する装置番号を付加したデータを前記下位側のスレーブ装置に送信し、前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から前記データを受信すると、前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信することを要件とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムにおけるスレーブ装置が、他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、隣接する前記マスタ装置または他のスレーブ装置から送信されたデータを受信する受信部と、そのデータに、前記マスタ装置からの送信データであることを示すコマンド情報が付加されており、且つ、前記マスタ装置によって当該送信データに付加された前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が前記識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、この判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信する送信部とを備えることを要件とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するために、データ伝送システムは、上述したマスタ装置と上述した複数のスレーブ装置とを備えることを要件とする。
また、上記目的を達成するために、データ伝送方法は、上述したデータ伝送システムにおいて、前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置からのデータであることを示すコマンド情報と、前記一のスレーブ装置を特定する装置番号とを付加した前記送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置のいずれか一方に送信し、前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または他のスレーブ装置から前記データを受信すると、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものではあると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
このように、上述したスレーブ装置、並びに、データ伝送システム及び方法によれば、上述した従来技術のごとく、複数のスレーブ装置のそれぞれが自身の装置番号を自動設定しなくても、マスタ装置の各スレーブ装置に対するデータ送信を実現できる。その結果、かかる自動設定に要していた時間を省くことができ、データ伝送処理の高速化に寄与することができる。
【0012】
また、かかる自動設定が不要であるので、従来技術では必要であった、自動設定のための装置間の信号接続および回路が不要となり資源やコストの低減にも寄与する。
さらに、各スレーブ装置の識別番号保持部に予め保持される識別番号はすべてのスレーブ装置において同一であるため、デフォルト値をそのまま採用することもでき、非常に容易に識別番号を設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕本発明の第1実施形態について
図1に本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システム(以下、本データ伝送システムという)1aの機能構成を示すブロック図を示す。図1に示すように、本データ伝送システム1aは、3以上(ここでは4つ)の装置10,20a〜cがカスケード接続(縦続接続)されて構成されている。
【0014】
本データ伝送システム1aにおいて、装置10は、最上位装置であるマスタ装置として機能するものである。また、このマスタ装置10に対して、装置20a〜cは、下位装置としてのスレーブ装置(図中それぞれ“スレーブ装置0”,“スレーブ装置1”,“スレーブ装置2”と表記)として機能する。
なお、マスタ装置10としては、例えば、データの送受信処理が主処理である装置や、所定の機能を有する端末の制御装置や、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置が該当する。また、スレーブ装置20a〜cとしては、例えば、マスタ装置10がデータの送受信処理が主処理である装置の場合は同様の装置であり、マスタ装置10が制御装置である場合は所定の機能を有する端末であり、マスタ装置10がパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である場合は同様の装置である。
【0015】
ここで、本データ伝送システム1aの概略を説明すると、マスタ装置10は、スレーブ装置20aとデータを送受信可能に接続されており、スレーブ装置20aはスレーブ装置20bともデータを送受信可能に接続されており、スレーブ装置20bはスレーブ装置20cとデータを送受信可能に接続されている。
したがって、例えば、マスタ装置10がスレーブ装置20cにデータを伝送(送信)する場合には、そのデータは、スレーブ装置20a及びスレーブ装置20bを介して、スレーブ装置20cに送信される。
【0016】
これと同様に、マスタ装置10がスレーブ装置20bにデータを伝送する場合には、そのデータは、スレーブ装置20aを介して、スレーブ装置20bに送信される。
また、スレーブ装置20cからマスタ装置10へのデータ(例えば応答データ)の送信は、スレーブ装置20b,aを介して行なわれ、スレーブ装置20bからマスタ装置10へのデータの送信は、スレーブ装置20aを介して行なわれる。
【0017】
マスタ装置10は、スレーブ装置番号保持部11,送信部12,受信部13,及び送受信制御部14,個数認識部15,及びスレーブ装置番号決定部16を備えている。
スレーブ装置番号保持部11は、本データ伝送システム1aにおける複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれのアドレス番号としての装置番号を保持するものである。
スレーブ装置番号保持部11が保持する装置番号は、スレーブ装置番号決定部16によって決定される。ここでは、スレーブ装置番号保持部11が保持する各スレーブ装置20a〜cの装置番号は、スレーブ装置20aが“0”、スレーブ装置20bが“1”、スレーブ装置20cが“2”である。
【0018】
送信部12は、下位のスレーブ装置20a〜cに対してデータを送信するものである。具体的には、送信部12は、送受信制御部14によって制御され、複数のスレーブ装置20a〜cのうちの一のスレーブ装置20a〜c(以下、これらスレーブ装置20a〜cを特に区別しない場合にはスレーブ装置20という)に対してデータを送信すべく、スレーブ装置番号保持部11に保持されたスレーブ装置情報に基づいて、そのデータに送信先の一のスレーブ装置20を特定する装置番号を付加したデータを、マスタ装置10に接続されたスレーブ装置20aに送信する。
【0019】
受信部13は、スレーブ装置20aから送信されてきたデータを受信するものである。
送受信制御部14は、送信部12及び受信部13による下位装置としてのスレーブ装置20とのデータの送受信を制御するものである。
なお、送受信制御部14,個数認識部15,及びスレーブ装置番号決定部16の詳細については、後述する図3及び図4を参照しながら説明する。
【0020】
次に、スレーブ装置20a〜cについて説明すると、これらスレーブ装置20a〜cは基本的には同一の構成をしている。
つまり、スレーブ装置20a〜cは、識別番号保持部21,受信部22,送受信制御部23,送信部24,応答送信部25,及び応答受信部26を備えている。
ただし、図1において、スレーブ装置20cの送信部24及び応答受信部26を図示していないが、スレーブ装置20cはスレーブ装置20a,bと同様に、これら送信部24及び応答受信部26を有していてもよい。
【0021】
つまり、スレーブ装置20cは、本データ伝送システム1aにおける最下位装置であるため、下位側とのデータ伝送に用いる送信部24及び応答受信部26は必要ない。そのため、図1ではそれらの図示を省略している。もちろん、スレーブ装置20cは送信部24及び応答受信部26を備える必要は無い。
識別番号保持部21は、他のスレーブ装置20と同一の識別番号、ここでは“0”を保持している。
【0022】
即ち、スレーブ装置20a〜cは、すべて同一の識別番号を識別番号保持部21に保持している。この識別番号はデフォルト値であるとともに、識別番号保持部21は保持する識別番号を変更する機能を備えなくてもよい。
受信部22は、上位側の装置から送信されたデータを受信するものである。
つまり、スレーブ装置20aの受信部22は、マスタ装置10の送信部12から送信されたデータを受信する。
【0023】
また、スレーブ装置20bの受信部22は、スレーブ装置20aの送信部24から送信されたデータを受信する。
さらに、スレーブ装置20cの受信部22は、スレーブ装置20bの送信部24から送信されたデータを受信する。
送受信制御部23は、受信部22,送信部24,応答送信部25,及び応答受信部26によるデータの送受信を制御するものである。
【0024】
また、送受信制御部23は、受信部22が受信したデータに付加された装置番号が、識別番号保持部21に保持された識別番号“0”であるか否かに応じて、当該データがマスタ装置10から自身に送信されたデータであるか否かを判断する判断部として機能する。
つまり、判断部としての送受信制御部23は、受信部22が受信したデータの装置番号が識別番号である、即ち、それらの番号が一致する場合には、当該データが自身に送信されたものであると判断する。
【0025】
一方、送受信制御部23は、受信部22が受信したデータに付加された装置番号が識別番号でない、即ち、それらの番号が一致しない場合には、当該データが自身に送信されたものではなく他のスレーブ装置20に送信されたものであると判断する。
そして、送受信制御部23は、当該データが自身に送信されたものではなく他のスレーブ装置20に送信したものであると判断した場合には、送信部24が、下位のスレーブ装置20に対してその装置番号に所定値を減算又は加算し(ここでは、“1”を減算し)変更した装置番号を当該データに付加して送信するように制御する。
【0026】
つまり、送信部24は、判断部としての送受信制御部23によって受信部22が受信したデータが自身に送信されたものではないと判断されると、そのデータに付加された装置番号に所定値を減算又は加算(ここでは、“1”を減算)して変更し、変更後の装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置20に送信する。
具体的には、例えば図2に示すように、マスタ装置10の送信部12が、データに装置番号“2”を付加して送信した場合には、スレーブ装置20aの送受信制御部23は、装置番号が識別番号と同一の“0”ではないので、受信部22が受信したデータは自装置宛てではないと判断する。
【0027】
なお、装置番号“2”はスレーブ装置20cを表わしており、図2に示す例は、マスタ装置10がスレーブ装置20cにデータを送信した場合である。また、図2並びに後述する図3及び図4は図の簡略化のため、マスタ装置10及びスレーブ装置20a〜cの各構成要素の図示は省略している。
続いて、スレーブ装置20aの送信部24は、装置番号“2”から“1”を減算した装置番号“1”を、データに付加してスレーブ装置20bに送信する。
【0028】
そして、スレーブ装置20bの送受信制御部23も、受信部22が受信したデータに付加された装置番号が“1”であり、装置番号が識別番号と同一の“0”ではないので、かかる受信部22が受信したデータは自装置宛てではないと判断する。
したがって、スレーブ装置20bの送信部24も、装置番号“1”から“1”を減算した装置番号“0”を、データに付加してスレーブ装置20cに送信する。
【0029】
次いで、スレーブ装置20cの送受信制御部23は、受信部22が受信したデータに付加された装置番号が“0”であり、認識番号“0”と同一であるため、そのデータが自装置宛てに送信されたものであると判断する。なお、このとき、スレーブ装置20cの送受信制御部23は、受信したデータに応じて、マスタ装置10に応答(レスポンス)を返すべきであれば、応答送信部25に応答データを送信させる。
【0030】
このように、本データ伝送システム1aでは、各スレーブ装置20a〜cは、装置番号を設定することなく、共通の識別番号を保持するだけでマスタ装置10とのデータの送受信が可能となり、その結果、従来は各スレーブ装置20における装置番号の設定に掛かっていた時間を省くことができる。
なお、上述のように、マスタ装置10は、スレーブ装置番号保持部11に保持したスレーブ装置情報としての装置番号に基づいて、スレーブ装置20bにデータを送信する場合は装置番号“1”をそのデータに付加し、スレーブ装置20aにデータを送信する場合は装置番号“0”をそのデータに付加する。これにより、各スレーブ装置20a,bの送受信制御部23は、受信部22が受信したデータが自装置宛てのものであると判断する。
【0031】
つまり、マスタ装置10のスレーブ装置番号保持部11が保持する各スレーブ装置20a〜cの装置番号は、各スレーブ装置20a〜cの個数と、各スレーブ装置20a〜cの識別番号保持部21が保持する識別番号“0”と、各スレーブ装置20a,bの送信部が自身宛てのデータで無い場合に加算または減算する所定値とに基づいて決定されている。
応答送信部25は、送受信制御部23に制御され、マスタ装置10に対する応答データに識別番号“0”を装置番号として付加して、上位側に接続されたマスタ装置10またはスレーブ装置20に送信するものである。
【0032】
つまり、スレーブ装置20cの応答送信部25は上位側のスレーブ装置20bに応答データを送信する。また、スレーブ装置20bの応答送信部25は上位側のスレーブ装置20aに応答データを送信する。さらにスレーブ装置20aの応答送信部25はマスタ装置10に応答データを送信する。
応答受信部26は、下位側の他のスレーブ装置20の応答送信部25から送信された応答データを受信するものである。
【0033】
つまり、スレーブ装置20bの応答受信部26は下位側のスレーブ装置20cの応答送信部25から送信された応答データを受信する。また、スレーブ装置20aの応答受信部26は下位側のスレーブ装置20bの応答送信部25から送信された応答データを受信する。
ここで、スレーブ装置20a,bの応答送信部26は、送受信制御部23に制御され、自装置20a,b内の応答受信部26が他のスレーブ装置20から応答データを受信した場合には、その応答データに付加された装置番号に対して、自装置20a,bの送信部24に対応して(即ち、送信データに付加された装置番号に施した処理とは逆に)かかる所定値を加算又は減算し(ここでは、“1”加算し)、変更した装置番号を、その応答データに付加して上位側に接続されたマスタ装置10または他のスレーブ装置20にそれぞれ送信する。
【0034】
つまり、図2に示すように、本データ伝送システム1aにおいて、上流側から下流側にデータが伝送される際には、そのデータに付加された装置番号がスレーブ装置20を介する毎に1ずつ減算される。逆に、本データ伝送システム1aにおいて、下位側から上位側(図2の例ではスレーブ装置20cからマスタ装置10)に応答データが伝送される際には、その応答データに付加された装置番号がスレーブ装置20を介する毎に1ずつ加算される。
【0035】
ここで、本データ伝送システム1aの初期設定時に、マスタ装置10が自身に縦続接続されたスレーブ装置20a〜cの個数を認識して各スレーブ装置20a〜cの装置番号を決定するための処理、即ち、マスタ装置10の送受信制御部14,個数認識部15,及びスレーブ装置番号決定部16の詳細について説明する。
マスタ装置10は、図3に示す第1の方法、または、図4に示す第2の方法によってスレーブ装置20a〜cの個数を認識して、各スレーブ装置20a〜cの装置番号を決定する。
【0036】
まず、図3に示す第1の方法について説明すると、マスタ装置10の送信部12は、送受信制御部23に制御され、自身に縦続接続された複数のスレーブ装置20a〜cのすべてを宛先とする個数認識用データを送信する。
つまり、送受信制御部23は、すべてのスレーブ装置20a〜cを宛先とする個数認識用データを送信部12に送信させる送信制御部として機能する。
【0037】
そして、マスタ装置10の送信部12から送信された個数認識用データは、スレーブ装置20aの受信部22及び送信部24,スレーブ装置20bの受信部22及び送信部24を順に介して最終的にスレーブ装置20cの受信部22に受信される。
このとき、送信部24は、個数認識用データが全装置20a〜c宛てなので、装置番号から1を引く処理は行なわない。
【0038】
マスタ装置10の送信部12が送信する個数認識用データは、受信したスレーブ装置20a〜cが応答データを返信するものである。つまり、この個数認識用データを受信部22が受信すると、送受信制御部23は応答送信部25に応答データを送信させる。
ただし、スレーブ装置20a,bの送受信制御部23のそれぞれは、この個数認識用データの宛先がすべてのスレーブ装置20a〜cであるため、そのことを認識すると下位側の他のスレーブ装置20b,cから応答データを受信するまでは、マスタ装置10に対して応答データを送信させない。
【0039】
一方、スレーブ装置20cは、例えば下位側の接続部(例えば接続端子やインタフェース)に何ら装置が接続されていないことを認識することによって、自身の下位側にはスレーブ装置が接続されていないこと、即ち、自身が最下位装置であることを認識するように構成されている。そして、スレーブ装置20cの送受信制御部23は、自身が最下位装置であると認識している場合には、受信部22が個数認識用データを受信すると、送信部24が応答データをマスタ装置10に送信するように制御する。
【0040】
そして、最下位のスレーブ装置20cの応答送信部25が、応答データ(図中“データA”と表記;以下、応答データAという)に自身の識別番号“0”を装置番号として付加してマスタ装置10に対して送信する。その応答データAは、スレーブ装置20bの応答受信部26及び応答送信部25、スレーブ装置20aの応答受信部26及び応答送信部25を順に介して、マスタ装置10の受信部13に受信される。
【0041】
このとき、スレーブ装置20bの応答送信部25は、送受信制御部23に制御され、受信した応答データAに付加された装置番号に“1”を加算して上位側のスレーブ装置20aに送信する。
それに加えて、スレーブ装置20bの応答送信部25は、自身の応答データ(図中“データB”と表記;以下、応答データBという)に識別番号“0”を装置番号として付加して上位側のスレーブ装置20aに送信する。
【0042】
また、スレーブ装置20aの応答送信部25は、送受信制御部23に制御され、受信した応答データAに付加された装置番号に“1”を加算して応答データAとともに上位側のマスタ装置10に送信するとともに、応答データBに付加された装置番号にも“1”を加算して応答データBとともにマスタ装置10に送信する。
それに加えて、スレーブ装置20aの応答送信部25は、自身の応答データ(図中“データC”と表記;以下、応答データCという)に識別番号“0”を装置番号として付加して上位側のマスタ装置10に送信する。
【0043】
そして、マスタ装置10の受信部13が応答データA,B,C及びそれぞれの装置番号を受信すると、個数認識部15が、最下位のスレーブ装置20cからの応答データAに付加された装置番号“2”、即ち、装置番号の最大値に基づいて、すべてのスレーブ装置20a〜cの個数を“3”と認識する。
つまり、個数認識部15は、受信部13が受信した前記最下位のスレーブ装置20cの応答データAに付加された装置番号に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cの個数を認識する。
【0044】
より具体的には、個数認識部15は、各スレーブ装置20a〜cにおける識別番号が“0”であり、且つ、装置番号が中継したスレーブ装置20a,bの数だけ加算される(つまり、スレーブ装置20a,bが装置番号に“1”加える)ので、装置番号“2”に基づいて、その装置番号“2”に“1”を加えた“3”を、スレーブ装置20a〜cの個数と認識する。
【0045】
次に、スレーブ装置番号決定部16は、個数認識部15によって認識された複数のスレーブ装置20a〜cの個数“3”に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を決定する。
具体的には、スレーブ装置番号決定部16は、複数のスレーブ装置20a〜cの個数と、識別番号保持部21が保持する識別番号“0”と、スレーブ装置20a〜cの送信部24が装置番号に減算又は加算する所定値“1”とに応じて、各スレーブ装置20a〜cの装置番号を決定する。
【0046】
スレーブ装置番号決定部16は、マスタ装置10に直接接続されたスレーブ装置20aの装置番号を識別番号と同一にし、以降のスレーブ装置20b,20cは、順に識別番号に所定値“1”を加えた番号を装置番号に決定する。
そして、スレーブ装置番号保持部11は、スレーブ装置番号決定部16によって決定された複数のスレーブ装置20a〜cの装置番号を保持する。
【0047】
次に、図4に示す第2の方法について説明すると、マスタ装置10の送信部12は、送受信制御部23に制御され、自身に接続されたスレーブ装置20a〜cのうちの最下位のスレーブ装置(ここではスレーブ装置20c)に応答データを送信させる個数認識用コマンドを送信する。
つまり、送受信制御部23は、最下位のスレーブ装置20cに応答データを送信させる個数認識用コマンドを送信部12に送信させる送信制御部として機能する。
【0048】
この個人認識用コマンドを受信したスレーブ装置20a〜cは、自身が最下位装置であると認識している場合にだけ応答データをマスタ装置10に送信する。言い換えると、個数認識用コマンドは、自身が最下位装置であると認識している送受信制御部23だけが応答データを応答送信部25に送信させるコマンドである。
ここで、上述したように、スレーブ装置20cの送受信制御部23は、自身の下位側に何ら装置が接続されていないことを認識することによって、自身が最下位装置であると認識している。
【0049】
したがって、マスタ装置10の送信部12から送信された個数認識用コマンドは、スレーブ装置20aの受信部22及び送信部24、スレーブ装置20bの受信部22及び送信部24を順に介してスレーブ装置20cの受信部22に受信される。
そして、スレーブ装置20cの送受信制御部23は、受信部22が個数認識用コマンドを受信すると、応答送信部25に、その応答データを自身の識別番号“0”を装置番号として付加して上位側に送信させる。
【0050】
このスレーブ装置20cの応答送信部25から送信された応答データ及び装置番号は、図4に示すように、スレーブ装置20b及びスレーブ装置20aのそれぞれの応答送信部25において1ずつ加算され、最終的にマスタ装置10の受信部13に受信される。
そして、マスタ装置10の受信部13が応答データと装置番号とを受信すると、個数認識部15が、最下位のスレーブ装置20cからの応答データに付加された装置番号“2”に基づいて、上述した第1の方法と同様に、すべてのスレーブ装置20a〜cの個数を“3”と認識する。
【0051】
次に、スレーブ装置番号決定部16は、上述した第1の方法と同様に、個数認識部15によって認識された複数のスレーブ装置20a〜cの個数“3”に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を決定する。
そして、スレーブ装置番号保持部11は、スレーブ装置番号決定部16によって決定された複数のスレーブ装置20a〜cの装置番号を保持する。
【0052】
このように、本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システム1a(本発明の第1実施形態としてのデータ伝送方法)によれば、マスタ装置10が、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部11と、データに送信先の一のスレーブ装置20a〜cの装置番号を付加して下位側のスレーブ装置20aに送信する送信部12とを備え、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれが、同一の識別番号を保持する識別番号保持部21と、上位側の装置からデータを受信する受信部22と、受信部22が受信したデータに付加された装置番号が識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、かかる装置番号が識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置20a〜cに送信されたものであると判断する判断部(送受信制御部23)と、この判断部によって当該データが他のスレーブ装置20a〜cに送信されたものであると判断されると、装置番号に所定値1を減算して変更した装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置20a〜cに送信する送信部24とを備えている。したがって、前述した従来技術のごとく、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれが自身の装置番号を自動設定しなくても、マスタ装置10の各スレーブ装置20a〜cに対するデータ送信を実現できる。その結果、かかる自動設定に要していた時間を省くことができ、データ伝送処理の高速化に寄与することができる。つまり、各スレーブ装置20a〜cは、識別番号保持部21に予め設定されたデフォルト値を保持しているだけで、本データ伝送システム1aにおける上位側や下位側のスレーブ装置20a〜cの数等に応じて自身の装置番号や他装置の装置番号を設定する必要がない。
【0053】
また、かかる自動設定が不要であるので、前述した従来技術では必要であった、自動設定のための装置10,20a〜c間の信号接続および回路が不要となり資源やコストの低減にも寄与することができるとともに、スレーブ装置20a〜cの汎用性も向上する。
しかも、各スレーブ装置20a〜cの識別番号保持部11に予め保持される識別番号はすべてのスレーブ装置20a〜cにおいて同一であるため、デフォルト値をそのまま採用することもでき、非常に容易に識別番号を設定できる。
【0054】
また、各スレーブ装置20a〜cは、マスタ装置10に対する応答データに識別番号を装置番号として付加して上位側に接続されたマスタ装置10または他のスレーブ装置20a,bに送信する応答送信部25と、下位側の他のスレーブ装置20b,cの応答送信部25から送信された応答データを受信する応答受信部26とを備え、応答送信部25は、応答受信部26が他のスレーブ装置20b,cから応答データを受信した場合には、当該応答データに付加された装置番号に対して、当該スレーブ装置の送信部24に対応して所定値1を加算し、変更した装置番号を当該応答データに付加して上位側に接続されたマスタ装置10または他のスレーブ装置20aに送信するように構成されている。したがって、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれが自身の装置番号を自動設定しなくても、各スレーブ装置20a〜cのマスタ装置10に対するデータ送信(応答)を実現できる。その結果、かかる自動設定に要していた時間を省くことができ、データ伝送処理の高速化に寄与することができる。
【0055】
さらに、マスタ装置10が、複数のスレーブ装置20a〜cの個数を認識すべく、複数のスレーブ装置20a〜cのすべてを宛先とする個数認識用データを送信部12に送信させる送信制御部14と、最下位のスレーブ装置20cの応答送信部25からの応答データを他のスレーブ装置20a,bを介して受信する受信部13と、この受信部13が受信した応答データに付加された装置番号に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cの個数を認識する個数認識部15と、この個数認識部15によって認識された複数のスレーブ装置20a〜cの個数に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部16とを備え、スレーブ装置番号保持部11が、スレーブ装置番号決定部16によって決定された装置番号を保持する。したがって、複数のスレーブ装置20a〜cに対する装置番号の自動設定を行なうことなく、マスタ装置10は、複数のスレーブ装置20a〜cの装置番号を確実に決定することができる。
【0056】
なお、マスタ装置10が、複数のスレーブ装置20a〜cの個数を認識すべく、複数のスレーブ装置20a〜cのうち最下位のスレーブ装置20cの応答送信部25に応答データを送信させる個数認識用コマンドを送信部12に送信させる送信制御部14と、最下位のスレーブ装置20cの応答送信部25からの応答データを他のスレーブ装置20a,bを介して受信する受信部13と、この受信部13が受信した応答データに付加された装置番号に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cの個数を認識する個数認識部15と、この個数認識部15によって認識された複数のスレーブ装置20a〜cの個数に基づいて、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部16とを備え、スレーブ装置番号保持部11が、スレーブ装置番号決定部16によって決定された装置番号を保持する。したがって、複数のスレーブ装置20a〜cに対する装置番号の自動設定を行なうことなく、マスタ装置10は、複数のスレーブ装置20a〜cの装置番号を確実に決定することができる。これにより、マスタ装置10と各スレーブ装置20a〜cとの間のデータ送受信を確実に実行することができる。
【0057】
また、マスタ装置10のスレーブ装置番号決定部16が、複数のスレーブ装置20a〜cの個数と、識別番号保持部21に保持された識別番号と、スレーブ装置20a〜cの送信部24が下位側の装置にデータを送信する際に、当該データの装置番号に減算する所定値1とに応じて、複数のスレーブ装置20a〜cのそれぞれの装置番号を決定するので、スレーブ装置番号決定部16は、スレーブ装置20a〜cの動作に応じた装置番号を正確に決定することができる。
【0058】
〔2〕本発明の第2実施形態について
次に、本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システム(以下、本データ伝送システムという)1bについて説明する。
図5に本データ伝送システム1bの機能構成を示すブロック図を示す。図5に示すように、本データ伝送システム1bは、マスタ装置30と複数のスレーブ装置40a〜f(図中それぞれ“スレーブ装置0”,“スレーブ装置1”,“スレーブ装置2”,“スレーブ装置3”,“スレーブ装置4”,“スレーブ装置5”と表記)とがリング状に接続されて構成されている。
【0059】
マスタ装置30は、2つのスレーブ装置40a,fに接続されており、これらスレーブ装置40a,f対して、データを送受信可能に接続されている。
つまり、マスタ装置30は、スレーブ装置40aに対してデータを送信する第1送信部31とスレーブ装置40aからのデータを受信する第1受信部32とを備えている。
さらに、マスタ装置30は、スレーブ装置40fに対してデータを送信する第2送信部33とスレーブ装置40fからのデータを受信する第2受信部34とを備えている。
【0060】
送受信制御部35は、第1送信部31,第1受信部32,第2送信部33,及び第2受信部34によるデータの送受信を制御するものである。
具体的には、送受信制御部35は、複数のスレーブ装置40a〜fのうちの一のスレーブ装置40a〜fに対して送信データを送信する際には、第1送信部31または第2制御部33に、送信データにマスタ装置30からのデータであることを示すコマンド情報(識別ビット)と、送信先の一のスレーブ装置40a〜fの装置番号とを付加して送信させる。
【0061】
つまり、送信部としての第1送信部31または第2送信部33は、複数のスレーブ装置40a〜fのうちの一のスレーブ装置40a〜fに対して送信データを送信すべく、マスタ装置30からデータであることを示すコマンド情報と、一のスレーブ装置40a〜fを特定する装置番号とを付加した送信データを、スレーブ装置40aまたはスレーブ装置40fに送信する。
【0062】
ここで、本発明において送信部としての第1送信部31及び第2送信部33のいずれが送信データを送信するかは限定されるものではない。ただし、第1送信部31及び第2送信部33のうち、送信先のスレーブ装置40a〜fに近い方を用いることが好ましい。
したがって、本データ伝送システム1bにおいては、マスタ装置30がスレーブ装置40a〜cに送信データを送信する際には、第1送信部31が送信データを送信することが好ましい。また、マスタ装置30がスレーブ装置40d〜fに送信データを送信する際には、第2送信部33が送信データを送信することが好ましい。
【0063】
スレーブ装置番号保持部36は、本データ伝送システム1bにおける複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれのアドレス番号としての装置番号を保持するものである。
スレーブ装置番号保持部36が保持する装置番号は、スレーブ装置番号決定部38によって決定される。ここでは、スレーブ装置番号保持部36が保持する各スレーブ装置40a〜fの装置番号は、スレーブ装置40aが“0”、スレーブ装置40bが“1”、スレーブ装置40cが“2”,スレーブ装置40dが“3”、スレーブ装置40eが“4”、スレーブ装置40fが“5”である。
【0064】
なお、上記送受信制御部35並びに個数認識部37及びスレーブ装置番号決定部38の詳細については、後述する図7を参照しながら説明する。
次に、スレーブ装置40a〜fについて説明すると、これらスレーブ装置40a〜fは同一の構成をしている。したがって、以下の説明において、スレーブ装置40a〜fを特に区別しない場合にはスレーブ装置40という。
【0065】
スレーブ装置40は、識別番号保持部41,第1受信部42,第1送信部43,第2受信部44,第2送信部45,及び送受信制御部46を備えている。
識別番号保持部41は、他のスレーブ装置40a〜fと同一の識別番号、ここでは“0”を保持している。即ち、スレーブ装置40は、すべて同一の識別番号を識別番号保持部41に保持している。この識別番号はデフォルト値であるとともに、識別番号保持部41は保持する識別番号を変更する機能を備えなくてもよい。
【0066】
受信部としての第1受信部42及び第2受信部44は、隣接する装置(マスタ装置30または他のスレーブ装置40)から送信されたデータを受信するものである。
つまり、第1受信部42は、当該スレーブ装置40の一方に接続された装置から送信されたデータを受信するものである。これに対して、第2受信部44は、当該スレーブ装置40の他方に接続された装置から送信されたデータを受信するものである。
【0067】
送信部としての第1送信部43及び第2送信部45は、隣接する装置から送信されたデータを受信するものである。
ここでは、第1送信部43は、第1受信部42に対応するものであり、当該スレーブ装置40の他方に接続された装置にデータを送信する。これに対して、第2送信部45は、第2受信部44に対応するものであり、当該スレーブ装置40の一方に接続された装置にデータを送信する。
【0068】
なお、スレーブ装置40aの第1受信部42はマスタ装置30の第1送信部31から送信されたデータを受信する。また、スレーブ装置40aの第2送信部45はマスタ装置30の第1受信部32にデータを送信する。
さらに、スレーブ装置40fの第2受信部44はマスタ装置30の第2送信部33から送信されたデータを受信する。また、スレーブ装置40fの第1送信部43はマスタ装置30の第2受信部34にデータを送信する。
【0069】
このように、本データ伝送システム1bは、マスタ装置30の第1送信部31,複数のスレーブ装置40a〜fの第1受信部42及び第1送信部43,及びマスタ装置30の第2受信部34によって構成されるリング状の第1の伝送ラインと、マスタ装置30の第2送信部33,複数のスレーブ装置40f〜aの第2受信部44及び第2送信部45,及びマスタ装置30の第1受信部32によって構成されるリング状の第2の伝送ラインとを備えている。
【0070】
送受信制御部46は、第1受信部42,第1送信部43,第2受信部44及び第2送信部45によるデータの送受信を制御するものである。
また、送受信制御部46は、第1受信部42または第2受信部44が受信したデータにコマンド情報が付加されている場合には、そのデータがマスタ装置30からの送信データあると認識する。
【0071】
そして、この場合、送受信制御部46は、そのデータに付加された装置番号が、識別番号保持部41に保持された識別番号“0”であるか否かに応じて、当該送信データがマスタ装置30から自身に送信されたデータであるか否かを判断する判断部として機能する。
つまり、判断部としての送受信制御部46は、第1受信部42または第2受信部44が受信した送信データの装置番号が識別番号である、即ち、それらの番号が一致する場合には、当該データが自身に送信されたものであると判断する。
【0072】
一方、送受信制御部46は、第1受信部42または第2受信部44が受信した送信データに付加された装置番号が識別番号でない、即ち、それらの番号が一致しない場合には、当該データが自身に送信されたものではなく他のスレーブ装置40に送信されたものであると判断する。
そして、送受信制御部46は、当該送信データが自身に送信されたものではなく他のスレーブ装置40に送信したものであると判断した場合には、当該送信データを受信した第1受信部42または第2受信部44に対応する第1送信部43または第2送信部45が、当該送信データを受信した側と反対側のスレーブ装置40に対して、その装置番号に所定値を減算又は加算し(ここでは、“1”を減算し)変更した装置番号を当該データに付加して送信するように制御する。
【0073】
つまり、送信部としての第1送信部43または第2送信部45は、判断部としての送受信制御部46によって対応する第1受信部42または第2受信部44が受信したデータが自身に送信されたものではないと判断されると、その送信データに付加された装置番号に所定値を減算又は加算(ここでは、“1”を減算)して変更し、変更後の装置番号を当該送信データに付加して、他のスレーブ装置40に送信する。
【0074】
具体的には、例えば図6に示すように、マスタ装置30の第1送信部31が、データにコマンド情報(図中“コマンド”と表記)とともに装置番号“2”を付加して送信した場合には、スレーブ装置40aの送受信制御部46は、装置番号が識別番号と同一の“0”ではないので、第1受信部42が受信した送信データは自装置宛てではないと判断する。
なお、装置番号“2”はスレーブ装置40cを表わしており、図6に示す例は、マスタ装置30の第1送信部31がスレーブ装置40cにデータを送信した場合と、マスタ装置30の第2送信部33がスレーブ装置40eにデータを送信した場合である。また、図6及び後述する図7は図の簡略化のため、マスタ装置30及びスレーブ装置40a〜fの各構成要素の図示は省略している。
【0075】
続いて、スレーブ装置40aの第1送信部43は、装置番号“2”から“1”を減算した装置番号“1”を、データに付加してスレーブ装置40bに送信する。
そして、スレーブ装置40bの送受信制御部46も、第1受信部42が受信した送信データに付加された装置番号が“1”であり、装置番号が識別番号と同一の“0”ではないので、かかる第1受信部42が受信したデータは自装置宛てではないと判断する。
【0076】
したがって、スレーブ装置40bの第1送信部43も、装置番号“1”から“1”を減算した装置番号“0”を、送信データに付加してスレーブ装置40cに送信する。
次いで、スレーブ装置40cの送受信制御部46は、第1受信部42が受信したデータに付加された装置番号が“0”であり、認識番号“0”と一致するため、その送信データが自装置宛てに送信されたものであると判断する。なお、このとき、スレーブ装置40cの送受信制御部46は、受信したデータに応じて、マスタ装置30に応答(レスポンス)を返すべきであれば、第2送信部45に応答データを送信させる。
【0077】
このように、本データ伝送システム1bにおいて、各スレーブ装置40a〜fは、装置番号を設定することなく、共通の識別番号を保持するだけでマスタ装置30とのデータの送受信が可能となり、その結果、従来は装置番号の設定に掛かっていた時間を省くことができる。
次に、マスタ装置30の第2送信部33がスレーブ装置40eに送信データを送信する場合について説明する。
【0078】
この場合、マスタ装置30の第2送信部33は、スレーブ装置40fに対して、送信データに、コマンド情報(図中“コマンド”と表記)とともに、スレーブ装置40dを特定するための装置番号を付加する。
ここで、第2送信部33が付加する装置番号は、第1送信部31とは異なり、スレーブ装置番号保持部36に保持された装置番号そのものではなく、第2送信部33は、装置番号の最大値(ここでは“5”)から、送信先のスレーブ装置40の装置番号(ここでは“4”)を引いた値(ここでは“1”)を、装置番号としてデータに付加する。
【0079】
即ち、送受信制御部35は、第1送信部31に送信データを送信させる場合には、スレーブ装置番号保持部36に保持された装置番号をそのまま装置番号として送信データに付加する。しかし、送受信制御部35は、第2送信部33に送信データを送信させる場合には、スレーブ装置番号保持部36に保持された装置番号をそのまま送信データに付加するのではなく、スレーブ装置番号保持部36に保持された装置番号のなかの最大値から、スレーブ装置番号保持部36に保持された送信先のスレーブ装置40の装置番号を引いた値を、当該スレーブ装置40の装置番号として送信データに付加する。
【0080】
ここでは、第2送信部33は、送受信制御部35に制御され、スレーブ装置40eに送信データを送信すべく、最大値“5”からスレーブ装置番号保持部36に保持されたスレーブ装置40eの装置番号“4”を引いた値“1”を装置番号として送信データに付加する。
この送信データをスレーブ装置40fの第2受信部44が受信すると、スレーブ装置40fの送受信制御部46は、装置番号“1”が識別番号“0”と不一致であるので、第2受信部44が受信した送信データは自装置宛てではなく他のスレーブ装置40宛てであると判断する。
【0081】
続いて、スレーブ装置40fの第2送信部45は、装置番号“1”から“1”を減算した装置番号“0”を、データに付加してスレーブ装置40eに送信する。
次いで、スレーブ装置40eの送受信制御部46は、第2受信部44が受信したデータに付加された装置番号が“0”であり、認識番号“0”と一致するため、その送信データが自装置宛てに送信されたものであると判断する。
【0082】
このように、本データ伝送システム1bでは、マスタ装置30は、第1送信部31からだけでなく、第2送信部33からもデータの送受信が可能となる。
ここで、スレーブ装置40の第1送信部43または第2送信部45は、送受信制御部46に制御され、マスタ装置30に対して応答データを送信する。
このとき、第1送信部43または第2送信部45は、応答データに、その応答データがマスタ装置30に対する応答であることを示すアンサー情報(識別ビット)と、装置番号として識別番号とを付加して、隣接する接続された装置に送信する。
【0083】
そして、スレーブ装置40の送受信制御部46は、第1受信部42または第2受信部44が受信したデータにアンサー情報が付加されていれば、そのデータがマスタ装置30に対する応答データであると認識し、対応する第1送信部43または第2送信部45に、その応答データに付加された装置番号に“1”加算して変更し、変更後の装置番号を付加して送信させる。
【0084】
つまり、送信部としての第1送信部43または第2送信部45は、第1受信部42または第2受信部44が受信したデータが応答データであると認識すると、その応答データに付加された装置番号に、送信データに付加された装置番号に施した処理とは逆に、所定値“1”を加算し変更した装置番号をその応答データに付加して隣接する接続された装置に送信する。
【0085】
例えば、図6に示すように、スレーブ装置40cの第2送信部44がマスタ装置30に応答データを送信した場合には、応答データ(図中“データ”と表記)にアンサー情報(図中“アンサー”と表記)と、装置番号“0”が付加される。
そして、スレーブ装置40b及びスレーブ装置40aの順に、それぞれの第2送信部44によって装置番号に“1”が加算され、最終的に、装置番号“2”を付加された応答データが、マスタ装置30の第1受信部32に受信される。
【0086】
これにより、マスタ装置30の送受信制御部35は、かかる応答データがスレーブ装置40cから送信されてきたものであると判断することができる。
また、図6に示すように、スレーブ装置40eの第1送信部43がマスタ装置30に応答データを送信した場合には、応答データ(図中“データ”と表記)にアンサー情報(図中“アンサー”と表記)と、装置番号“0”が付加される。
【0087】
そして、スレーブ装置40fの第1送信部43によって装置番号に“1”が加算され、装置番号“1”を付加された応答データが、マスタ装置30の第2受信部34に受信される。
ここで、マスタ装置30の送受信制御部35は、第2受信部34が受信したデータに付加された装置番号については、スレーブ装置番号保持部36に保持された装置番号をそのまま適用して送信元のスレーブ装置40を判断するのではなく、上述した最大値“5”から受信したデータに付加された装置番号を差し引いた値を、当該データの送信元の装置番号と認識する。
【0088】
したがって、図6の例では、マスタ装置30の送受信制御部35は、最大値“5”から第2受信部34が受信したデータに付加された装置番号“1”を引いた値“4”が、当該データの送信元の装置番号であると認識して、当該データがスレーブ装置40eからの応答であると判断する。
ここで、本データ伝送システム1bの初期設定時に、マスタ装置30が自身に接続されたスレーブ装置40a〜fの個数を認識して各スレーブ装置40a〜fの装置番号を決定するための処理、即ち、マスタ装置30の送受信制御部35,個数認識部37,及びスレーブ装置番号決定部38の詳細について、図7を参照しながら説明する。
【0089】
まず、マスタ装置30の送信部(ここでは第1送信部31)が、送受信制御部35に制御され、複数のスレーブ装置40a〜fの個数を認識すべく、すべてのスレーブ装置40a〜fを通過する、個数カウント用数値データ(図中“個数カウント”と表記;最初は“0”)を含む個数認識用コマンドを、2つのスレーブ装置40a,fのうちの一方のスレーブ装置40a,f(ここではスレーブ装置40a)に送信する。
【0090】
つまり、送受信制御部35は、第1送信部31または第2送信部33に個数カウント用数値データ“0”を含む個数認識用コマンドを送信させる送信制御部として機能する。
そして、マスタ装置30の第1送信部31から送信された個数認識用コマンドはスレーブ装置40a〜fの第1受信部42及び第1送信部43を順に通過して最終的にマスタ装置30の第2受信部34に受信される。
【0091】
このとき、各スレーブ装置40a〜fの第1受信部42が一方の装置から個数認識用コマンドを受信すると、第1送信部43は、送受信制御部46に制御され、その個数認識用コマンドに含まれる個数カウント用数値データに1加えて隣接する他方の装置に当該個数認識用コマンドを送信する。
これにより、図7に示す例では、マスタ装置30の第2受信部34は、スレーブ装置40fの第1送信部43から個数認識用コマンドとともに、個数カウント用数値データ“6”を受信する。
【0092】
そして、マスタ装置30の個数認識部37は、第2受信部34が受信した個数認識用コマンドに含まれる個数カウント用数値データ“6”が複数のスレーブ装置40a〜fの個数であると認識する。
このように、個数認識部37は、2つのスレーブ装置40a,fのうちの他方のスレーブ装置40fから受信した個数認識用コマンドに含まれる個数カウント用数値データに基づいて、複数のスレーブ装置40a〜fの個数を認識する。
【0093】
続いて、スレーブ装置番号決定部38は、個数認識部37によって認識された複数のスレーブ装置40a〜fの個数に基づいて、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれの装置番号を決定する。
具体的には、スレーブ装置番号決定部38は、複数のスレーブ装置40a〜fの個数と、識別番号“0”と、スレーブ装置40a〜fの第1送信部43または第2送信部45が減算する値“1”とに応じて、各スレーブ装置40a〜fの装置番号を決定する。
【0094】
ここでは、スレーブ装置番号決定部38は、第1送信部31が接続されたスレーブ装置40aの装置番号を識別番号と同一の“0”に決定し、以降のスレーブ装置40b〜fは、順に識別番号に所定値“1”を加えた番号を装置番号に決定する。
そして、スレーブ装置番号保持部36は、スレーブ装置番号決定部38によって決定された複数のスレーブ装置40a〜fの装置番号を保持する。
【0095】
次に、図8を参照しながら、複数のスレーブ装置40a〜f間の伝送回線が切断してしまった場合の処理について説明する。
何らかの原因によって、スレーブ装置40間の伝送回線(接続ライン)が切断してしまった場合、スレーブ装置40の送受信制御部46は、切断した伝送回路とは逆側の装置を介してマスタ装置30にその旨をエラー通知する。
【0096】
例えば、図8に×印で示すように、スレーブ装置40cとスレーブ装置40dとの間の回線が切断した場合、スレーブ装置40cの送受信制御部46は回線が切断した側と反対側の回線を用いて、マスタ装置30に対して回線が切断した旨のエラー通知を行なう。
具体的には、送受信制御部46は、第2送信部45に、かかる旨のエラー情報と識別番号とを送信させる。
【0097】
これにより、図8に示すように、装置番号が“2”となったエラー通知が届く。このエラー通知は、アンサー情報を付加するデータによって実現されてもよいし、専用のコマンドで実現されてもよい。
これと同様に、スレーブ装置40dの送受信制御部46も、回線が切断した側と反対側の回線を用いて、即ち、第1送信部42により、スレーブ装置40cと同様に、回線が切断した旨のエラー通知を行なう。このとき、マスタ装置30には装置番号が“2”となったエラー通知が届く。
【0098】
そして、マスタ装置30の送受信制御部35は、第1受信部32が受信したエラー通知に係る装置番号“2”によりスレーブ装置40cと特定し、さらに、第2受信部34が受信したエラー通知に係る装置番号“2”により、上述した方法でスレーブ装置40dを特定する。
これにより、送受信制御部35は、スレーブ装置40cとスレーブ装置40dとの間の伝送回線が切断したことを認識し、それ以降は、スレーブ装置40a〜cに対しては、第1送信部31及び第1受信部32によってデータ伝送を行ない、スレーブ装置40e〜dに対しては、第2送信部33及び第2受信部34を用いてデータ伝送を行なう。
【0099】
したがって、本データ伝送システム1bによれば、スレーブ装置40間の伝送回線が切断した場合であっても、その影響を受けることなく、データ伝送を続行することができる。
このように、本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システム1b(本発明の第2実施形態としてのデータ伝送方法)によれば、マスタ装置30と複数のスレーブ装置40a〜fとがリング状に接続されたデータ伝送システム1bにおいて、マスタ装置30が、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれを特定するための装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部36と、複数のスレーブ装置40a〜fのうちの一のスレーブ装置40に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置30からのデータであることを示すコマンド情報と、一のスレーブ装置40を特定する装置番号とを付加した送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置40a,fのいずれか一方に送信する送信部(第1送信部31または第2送信部33)とを備え、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれが、他のスレーブ装置40と同一の識別番号を保持する識別番号保持部41と、隣接するマスタ装置30または他のスレーブ装置40から送信されたデータを受信する受信部(第1受信部42または第2受信部44)と、その受信部が受信したデータにコマンド情報が付加されており、且つ、当該送信データに付加された装置番号が識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、コマンド情報が付加されており、且つ、装置番号が識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置40に送信されたものであると判断する判断部(送受信制御部35)と、その判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置40に送信されたものであると判断されると、装置番号に所定値1を減算し変更した装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置40に送信する送信部(第1送信部43または第2送信部45)とを備えている。したがって、前述した従来技術のごとく、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれが自身の装置番号を自動設定しなくても、マスタ装置30の各スレーブ装置40a〜fに対するデータ送信を実現できる。その結果、かかる自動設定に要していた時間を省くことができ、データ伝送処理の高速化に寄与することができる。
【0100】
つまり、各スレーブ装置20a〜cは、識別番号保持部21に予め設定されたデフォルト値を保持しているだけで、本データ伝送システム1aにおける上位側や下位側のスレーブ装置20a〜cの数等に応じて自身の装置番号や他装置の装置番号を設定する必要がない。
また、かかる自動設定が不要であるので、前述した従来技術では必要であった、自動設定のための装置30,40a〜f間の信号接続および回路が不要となり資源やコストの低減にも寄与することができるとともに、スレーブ装置40の汎用性も向上する。
【0101】
しかも、各スレーブ装置40a〜fの識別番号保持部41に予め保持される識別番号はすべてのスレーブ装置40a〜fにおいて同一であるため、デフォルト値をそのまま採用することもでき、非常に容易に識別番号を設定できる。
また、複数のスレーブ装置40a〜fの送信部は、マスタ装置30に応答データを送信する際に、当該応答データがマスタ装置30に対する応答であることを示すアンサー情報と、装置番号として識別番号“0”とを付加して隣接するマスタ装置30またはスレーブ装置40に送信するように構成されるとともに、受信部が受信したデータにアンサー情報が付加されていれば、当該データがマスタ装置30への応答データであると認識し、当該応答データに付加された装置番号に所定値1を加算し変更した装置番号を当該応答データに付加して隣接するマスタ装置30またはスレーブ装置40に送信する。したがって、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれが自身の装置番号を自動設定しなくても、各スレーブ装置40a〜fのマスタ装置30に対するデータ送信(応答)を実現できる。その結果、かかる自動設定に要していた時間を省くことができ、データ伝送処理の高速化に寄与することができる。
【0102】
さらに、マスタ装置30の送信部が、複数のスレーブ装置40a〜fの個数を認識すべく、すべての前記複数のスレーブ装置を通過する、個数カウント用数値データを含む個数認識用コマンドを、2つのスレーブ装置40a,fのうちの一方のスレーブ装置40a,fに送信するように構成され、スレーブ装置40の受信部が一方の装置から個数認識用コマンドを受信すると、対応する送信部は、当該個数認識用コマンドに含まれる個数カウント用数値データに1加えて隣接する他方の装置に個数認識用コマンドを送信するように構成されるとともに、マスタ装置30が、2つのスレーブ装置40a,fのうちの他方のスレーブ装置40a,fから受信した個数認識用コマンドに含まれる個数カウント用数値データに基づいて、複数のスレーブ装置40a〜fの個数を認識する個数認識部37と、この個数認識部37によって認識された個数に基づいて、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれの装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部38とを備えている。したがって、複数のスレーブ装置40a〜fに対する装置番号の自動設定を行なうことなく、マスタ装置30は、複数のスレーブ装置20a〜cの装置番号を確実に決定することができる。これにより、マスタ装置30と各スレーブ装置40a〜fとの間のデータ送受信を確実に実行することができる。
【0103】
なお、スレーブ装置番号決定部38が、スレーブ装置40a〜fの個数と、識別番号保持部41に保持された識別番号とに応じて、複数のスレーブ装置40a〜fのそれぞれの装置番号を決定する。したがって、スレーブ装置番号決定部38は、スレーブ装置40a〜fの動作に応じた装置番号を正確に決定することができる。
【0104】
〔3〕本発明の変形例について
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0105】
〔3−1〕第1変形例
例えば、上述した第1実施形態では、最上位装置であるマスタ装置10からスレーブ装置20a,bを介して最下位装置であるスレーブ装置20cまでの下り伝送ライン(伝送回線)は一つであり、その逆のスレーブ装置20cからマスタ装置10までの上り伝送ラインも一つである場合を例にあげて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図9に示すように、本発明の第1変形例としてのデータ伝送システム1cが、下り伝送ライン及び上り伝送ラインを、それぞれ複数(ここでは2つ)有するように構成されてもよい。
【0106】
このとき、マスタ装置10には送信部12及び受信部13がもう一対追加され、スレーブ装置20a,bには、受信部22,送信部24,応答送信部25,及び応答受信部26がそれぞれ一つ追加され、スレーブ装置20cには受信部22及び応答送信部25がもう一対追加される。
そして、データ伝送システム1cでは、一方の下り伝送ライン2a及び上り伝送ライン3aを現用ラインとして使用し、他方の下り伝送ライン2b及び上り伝送ライン3bを、現用ラインの故障時に使用する予備用ラインとして使用する。
【0107】
これにより、一方の伝送ライン2a,3aのいずれかの箇所が切断した場合であっても、すぐに予備用の伝送ライン2b,3bを使用することができ、伝送ライン2a,3aの切断による弊害を防止できる。
【0108】
〔3−2〕第2変形例
また、上述した第1実施形態では、カスケード接続された3以上の装置のうちの一の装置がマスタ装置10であり、他の装置がスレーブ装置20a〜cである場合を例にあげて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、3以上の装置が縦続接続されたデータ伝送システム1dにおいて、マスタ装置とスレーブ装置という区別なく、すべての装置間でデータの送受が行なわれるように構成してもよい。
【0109】
この場合、各装置50a〜dは、上述した第1実施形態としてのマスタ装置10の機能構成と、スレーブ装置20a〜cの機構構成とを備えている。
さらに、各装置50a〜d(以下、これら装置50a〜dを区別しない場合には、装置50という)は、データを送信するマスタ装置として機能する場合には、上述した第2実施形態のごとく、データにコマンド情報を付加し、されらに、送信装置番号(識別番号)と、送信先の受信装置番号とを付加する。
【0110】
そして、上述したスレーブ装置20a〜cと同様に、データが自装置宛てか否かが判断され、他の装置50宛てであると判断すると、送信制御部23が、データに付加された送信装置番号を1加算する一方、受信装置番号を1減算して後段の装置50に送信する。
また、スレーブ装置としての装置50がマスタ装置としての装置50bに応答データを送信する場合には、上述した第2実施形態のごとく、データにアンサー情報を付加し、されらに、送信装置番号(送信先の装置50bの番号)と、受信装置番号(識別番号)とを付加する。
【0111】
なお、装置50a〜dは、データや応答データの送信先を特定するために、スレーブ装置番号保持部11に各装置50a〜dの装置番号を保持している必要がある。
その装置番号は、上述した図3や図4を参照しながら説明した方法によって送受信制御部14,個数認識部15,及びスレーブ装置番号決定部16が各装置50a〜dの装置番号を決定する。
【0112】
このように本発明の変形例としてのデータ伝送システム1dによれば、すべての装置50に装置番号を設定しなくても、特定の装置50間でデータ送受信を行なうことができる。
【0113】
〔3−3〕その他の変形例
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、スレーブ装置20a〜cの識別番号保持部21及びスレーブ装置40a〜fの識別番号保持部41が識別番号として“0”を保持している場合を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、識別番号保持部21,41が保持する識別番号はすべてのスレーブ装置20a〜c,40a〜fにおいて同一であればよい。
【0114】
また、上述した第1実施形態では、スレーブ装置20a〜cの送信部24が、下位側の装置にデータを送信する際に装置番号を“1”減算するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、減算する値は“1”でなくてもよい。また、送信部24は装置番号に減算処理を施すのではなく、加算処理を施しても良い。
ただし、これらの場合には、応答送信部25も上位側の装置に応答データを送信する際に、送信部24の処理に対応して、即ち、送信部24の減算処理または加算処理とは逆の処理を実行するように構成することが必要となる。
【0115】
また、上述した第1実施形態では、マスタ装置10に3つのスレーブ装置20a〜cが接続された場合を例にあげて説明した。しかし、本発明においてスレーブ装置20の数、即ち、カスケードの段数は限定されるものではなく、3以外の数のスレーブ装置20がマスタ装置10に接続されてもよい。
さらに、上述した第2実施形態では、マスタ装置30に6つのスレーブ装置40a〜fが接続されてリング状のデータ伝送システム1bが形成された場合を例にあげて説明した。しかし、本発明においてスレーブ装置40の数は限定されるものでなく、6以外の数のスレーブ装置40によってリング状のデータ伝送システム1bが形成されてもよい。
【0116】
また、上述した第1実施形態では、マスタ装置10がスレーブ装置20a〜cと異なる構成であるように説明したが、本発明において、マスタ装置10とスレーブ装置20a〜cとは、同一構成であってもよい。
つまり、マスタ装置10も受信部22と、応答送信部25とを備えており、さらに、送受信制御部14は送受信制御部23として機能し得るとともに、スレーブ装置情報保持部11が識別番号保持部21として機能し得るようにマスタ装置10は構成されてもよい。
【0117】
そして、マスタ装置10としての装置は、上位側の接続部(接続端子やインタフェース)に装置が接続されていないことにより、自身がマスタ装置であると認識し、上述した第1実施形態のごとく機能する。
換言すると、スレーブ装置20a〜cも、マスタ装置10として機能し得るものであってもよい。つまり、各スレーブ装置20a〜cも、上位側に装置が接続されていなければ、送受信制御部23が送受信制御部14として機能し、識別番号保持部21がスレーブ装置番号保持部11として機能し、加えて、スレーブ装置20a〜c内の制御部(制御チップ)が、個人認識部15及びスレーブ装置番号決定部16として機能してもよい。
【0118】
これにより、本データ伝送システム1aを実現するために、マスタ装置10とスレーブ装置20a〜cとを個別に製造する必要がなく、すべて同一装置でよくなるので、製造コストを低減できる。
【0119】
〔4〕その他
なお、上述した送信部12,受信部13,送受信制御部14,個数認識部15,37,スレーブ装置番号決定部16,38,受信部22,送受信制御部23,35,46,送信部24,応答送信部25,応答受信部26,第1送信部31,43,第1受信部32,42,第2送信部33,45,及び第2受信部34,44としての機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(データ伝送プログラム)を実行することによって実現されてもよい。
【0120】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からデータ伝送プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0121】
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。
【0122】
上記データ伝送プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、送信部12,受信部13,送受信制御部14,個数認識部15,37,スレーブ装置番号決定部16,38,受信部22,送受信制御部23,35,46,送信部24,応答送信部25,応答受信部26,第1送信部31,43,第1受信部32,42,第2送信部33,45,及び第2受信部34,44としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0123】
なお、本実施形態としての記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0124】
〔5〕付記
(付記1)
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムにおける、前記スレーブ装置であって、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が付加されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、スレーブ装置。
【0125】
(付記2)
前記マスタ装置に対する応答データに前記識別番号を装置番号として付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信する応答送信部と、
下位側の他のスレーブ装置の前記応答送信部から送信された応答データを受信する応答受信部とを備え、
前記応答送信部は、前記応答受信部が前記下位側の他のスレーブ装置から前記応答データを受信した場合には、当該応答データに付加された前記装置番号に対して、当該スレーブ装置の前記送信部に対応して前記所定値を加算又は減算して変更した前記装置番号を当該応答データに付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信することを特徴とする、付記1記載のスレーブ装置。
【0126】
(付記3)
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムにおけるスレーブ装置であって、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
隣接する前記マスタ装置または他のスレーブ装置から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに、前記マスタ装置からの送信データであることを示すコマンド情報が付加されており、且つ、前記マスタ装置によって当該送信データに付加された前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が前記識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、スレーブ装置。
【0127】
(付記4)
前記送信部は、
前記マスタ装置に応答データを送信する際に、当該応答データが前記マスタ装置に対する応答であることを示すアンサー情報と、前記装置番号として前記識別番号とを付加して隣接する装置に送信するとともに、
前記受信部が他のスレーブ装置から受信したデータに前記アンサー情報が付加されていれば、当該データが前記マスタ装置への前記応答データであると認識し、当該応答データに付加された前記装置番号に前記所定値を加算又は減算して変更した前記装置番号を当該応答データに付加して前記他のスレーブ装置とは逆側に接続された装置に送信することを特徴とする、付記3記載のスレーブ装置。
【0128】
(付記5)
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムであって、
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置をそれぞれ特定するための装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部と、
前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対してデータを送信すべく、前記一のスレーブ装置を特定する前記装置番号を付加したデータを当該マスタ装置に接続されたスレーブ装置に送信する送信部とを備え、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれが、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から前記データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、データ伝送システム。
【0129】
(付記6)
前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、
前記マスタ装置に対する応答データに前記識別番号を装置番号として付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信する応答送信部と、
下位側の他のスレーブ装置の前記応答送信部から送信された応答データを受信する応答受信部とを備え、
前記応答送信部は、前記応答受信部が前記下位側の他のスレーブ装置から前記応答データを受信した場合には、当該応答データに付加された前記装置番号に対して、前記スレーブ装置の前記送信部に対応して前記所定値を加算又は減算し、変更した前記装置番号を当該応答データに付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信することを特徴とする、付記5記載のデータ伝送システム。
【0130】
(付記7)
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置の個数を認識すべく、前記複数のスレーブ装置のすべてを宛先とする個数認識用データを前記送信部に送信させる送信制御部と、
前記最下位のスレーブ装置の前記応答送信部からの応答データを他のスレーブ装置を介して受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記個数認識用データに対する前記最下位のスレーブ装置の前記応答データに付加された前記装置番号に基づいて、前記複数のスレーブ装置の個数を認識する個数認識部と、
前記個数認識部によって認識された前記複数のスレーブ装置の個数に基づいて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれの装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部とを備え、
前記マスタ装置の前記スレーブ装置番号保持部が、前記スレーブ装置番号決定部によって決定された前記装置番号を保持していることを特徴とする、付記6記載のデータ伝送システム。
【0131】
(付記8)
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置の個数を認識すべく、前記複数のスレーブ装置のうち最下位のスレーブ装置の前記応答送信部に前記応答データを送信させる個数認識用コマンドを前記送信部に送信させる送信制御部と、
前記最下位のスレーブ装置の前記応答送信部からの前記応答データを他のスレーブ装置を介して受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記最下位のスレーブ装置からの前記応答データに付加された前記装置番号に基づいて、前記複数のスレーブ装置の個数を認識する個数認識部と、
前記個数認識部によって認識された前記複数のスレーブ装置の個数に基づいて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれの装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部とを備え、
前記マスタ装置の前記スレーブ装置番号保持部が、前記スレーブ装置番号決定部によって決定された前記装置番号を保持していることを特徴とする、付記6記載のデータ伝送システム。
【0132】
(付記9)
前記マスタ装置の前記スレーブ装置番号決定部が、前記個数と、前記識別番号と、前記スレーブ装置の前記送信部が前記装置番号に減算又は加算する前記所定値とに応じて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれの装置番号を決定することを特徴とする、付記7または付記8記載のデータ伝送システム。
【0133】
(付記10)
前記マスタ装置は、上位側に装置が接続されていないことにより自身がマスタ装置であると認識することを特徴とする、付記5〜9のいずれか1項に記載のデータ伝送システム。
【0134】
(付記11)
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムであって、
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれを特定するための装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部と、
前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置からのデータであることを示すコマンド情報と、前記一のスレーブ装置を特定する前記装置番号とを付加した前記送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置のいずれか一方に送信する送信部とを備え、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれが、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
隣接する前記マスタ装置または他のスレーブ装置から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに、前記マスタ装置からの送信データであることを示すコマンド情報が付加されており、且つ、当該送信データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算し変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、データ伝送システム。
【0135】
(付記12)
前記複数のスレーブ装置の前記送信部は、
前記マスタ装置に応答データを送信する際に、当該応答データが前記マスタ装置に対する応答であることを示すアンサー情報と、前記装置番号として前記識別番号とを付加して隣接する装置に送信するとともに、
前記受信部が受信したデータに前記アンサー情報が付加されていれば、当該データが前記マスタ装置への前記応答データであると認識し、当該応答データに付加された前記装置番号に前記所定値を加算又は減算し変更した前記装置番号を当該応答データに付加して隣接する装置に送信することを特徴とする、付記11記載のデータ伝送システム。
【0136】
(付記13)
前記マスタ装置の前記送信部が、前記複数のスレーブ装置の前記個数を認識すべく、すべての前記複数のスレーブ装置を通過する、個数カウント用数値データを含む個数認識用コマンドを、前記2つのスレーブ装置のうちの一方のスレーブ装置に送信し、
前記スレーブ装置の前記受信部が一方の装置から前記個数認識用コマンドを受信すると、前記送信部は、当該個数認識用コマンドに含まれる前記個数カウント用数値データに1加えて隣接する他方の装置に当該個数認識用コマンドを送信するとともに、
前記マスタ装置が、
前記2つのスレーブ装置のうちの他方のスレーブ装置から受信した前記個数認識用コマンドに含まれる前記個数カウント用数値データに基づいて、前記複数のスレーブ装置の個数を認識する個数認識部と、
前記個数認識部によって認識された前記複数のスレーブ装置の前記個数に基づいて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれの前記装置番号を決定するスレーブ装置番号決定部とを備えていることを特徴とする、付記11または付記12記載のデータ伝送システム。
【0137】
(付記14)
前記マスタ装置の前記スレーブ装置番号決定部が、前記個数と、前記識別番号とに応じて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれの装置番号を決定することを特徴とする、付記12または付記13記載のデータ伝送システム。
【0138】
(付記15)
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムにおけるデータ伝送方法であって、
前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対してデータを送信すべく前記データに前記一のスレーブ装置を特定する装置番号を付加したデータを下位側のスレーブ装置に送信し、
前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から前記データを受信すると、受信した前記データに付加された前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信することを特徴とする、データ伝送方法。
【0139】
(付記16)
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムにおけるデータ伝送方法であって、
前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置からのデータであることを示すコマンド情報と、前記一のスレーブ装置を特定する装置番号とを付加した前記送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置のいずれか一方に送信し、
前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または他のスレーブ装置から前記データを受信すると、受信した前記データに、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものではあると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信することを特徴とする、データ伝送方法。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システムの動作例を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システムのマスタ装置の送受信制御部,個数認識部,及びスレーブ装置番号決定部を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態としてのデータ伝送システムのマスタ装置の送受信制御部,個数認識部,及びスレーブ装置番号決定部を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システムの機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システムの動作例を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システムのマスタ装置の送受信制御部,個数認識部,及びスレーブ装置番号決定部を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態としてのデータ伝送システムのスレーブ装置間の伝送回線が切断した場合の動作例を説明するための図である。
【図9】本発明の第1変形例としてのデータ伝送システムの機能構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2変形例としてのデータ伝送システムを説明するための図である。
【図11】従来のデータ伝送システムを示すブロック図である。
【図12】従来のデータ伝送システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0141】
1a〜d データ伝送システム
2a,2b,3a,3b 伝送ライン
10,30 マスタ装置
11,36 スレーブ装置番号保持部
12,24 送信部
13,22 受信部
14,35 送受信制御部
15,37 個数認識部
16,38 スレーブ装置番号決定部
20,20a〜c,40,40a〜f スレーブ装置
21,41 識別番号保持部
23,46 送受信制御部(判断部)
25 応答送信部
26 応答受信部
31,43 第1送信部
32,42 第1受信部
33,45 第2送信部
34,44 第2受信部
50,50a〜d 装置
100 データ伝送システム
101 マスタ装置
102〜104 スレーブ装置
105〜107 装置番号自動設定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムにおける、前記スレーブ装置であって、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が付加されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、スレーブ装置。
【請求項2】
前記マスタ装置に対する応答データに前記識別番号を装置番号として付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信する応答送信部と、
下位側の他のスレーブ装置の前記応答送信部から送信された応答データを受信する応答受信部とを備え、
前記応答送信部は、前記応答受信部が前記下位側の他のスレーブ装置から前記応答データを受信した場合には、当該応答データに付加された前記装置番号に対して、当該スレーブ装置の前記送信部に対応して前記所定値を加算又は減算して変更した前記装置番号を当該応答データに付加して上位側に接続された前記マスタ装置または他のスレーブ装置に送信することを特徴とする、請求項1記載のスレーブ装置。
【請求項3】
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムにおける、前記スレーブ装置であって、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
隣接する前記マスタ装置または他のスレーブ装置から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに、前記マスタ装置からの送信データであることを示すコマンド情報が付加されており、且つ、前記マスタ装置によって当該送信データに付加された前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置を特定する装置番号が前記識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、スレーブ装置。
【請求項4】
前記送信部は、
前記マスタ装置に応答データを送信する際に、当該応答データが前記マスタ装置に対する応答であることを示すアンサー情報と、前記装置番号として前記識別番号とを付加して隣接する装置に送信するとともに、
前記受信部が他のスレーブ装置から受信したデータに前記アンサー情報が付加されていれば、当該データが前記マスタ装置への前記応答データであると認識し、当該応答データに付加された前記装置番号に前記所定値を加算又は減算して変更した前記装置番号を当該応答データに付加して前記他のスレーブ装置とは逆側に接続された装置に送信することを特徴とする、請求項3記載のスレーブ装置。
【請求項5】
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムであって、
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置をそれぞれ特定するための装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部と、
前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対してデータを送信すべく、前記一のスレーブ装置を特定する前記装置番号を付加したデータを当該マスタ装置に接続されたスレーブ装置に送信する送信部とを備え、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれが、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から前記データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、データ伝送システム。
【請求項6】
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムであって、
前記マスタ装置が、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれを特定するための装置番号を保持するスレーブ装置番号保持部と、
前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置からのデータであることを示すコマンド情報と、前記一のスレーブ装置を特定する前記装置番号とを付加した前記送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置のいずれか一方に送信する送信部とを備え、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれが、
他のスレーブ装置と同一の識別番号を保持する識別番号保持部と、
隣接する前記マスタ装置または他のスレーブ装置から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記データに、前記マスタ装置からの送信データであることを示すコマンド情報が付加されており、且つ、当該送信データに付加された前記装置番号が前記識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断する判断部と、
前記判断部によって当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断されると、前記装置番号に所定値を減算又は加算し変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信する送信部とを備えていることを特徴とする、データ伝送システム。
【請求項7】
最上位装置であるマスタ装置に下位装置としての複数のスレーブ装置が縦続接続されたデータ伝送システムにおけるデータ伝送方法であって、
前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対してデータを送信すべく前記データに前記一のスレーブ装置を特定する装置番号を付加したデータを下位側のスレーブ装置に送信し、
前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または上位側の他のスレーブ装置から前記データを受信すると、受信した前記データに付加された前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該データが他のスレーブ装置に送信されたものであると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該データに付加して、下位側の他のスレーブ装置に送信することを特徴とする、データ伝送方法。
【請求項8】
マスタ装置と複数のスレーブ装置とがリング状に接続されたデータ伝送システムにおけるデータ伝送方法であって、
前記マスタ装置が、前記複数のスレーブ装置のうちの一のスレーブ装置に対して送信データを送信すべく、当該マスタ装置からのデータであることを示すコマンド情報と、前記一のスレーブ装置を特定する装置番号とを付加した前記送信データを、当該マスタ装置に接続された2つのスレーブ装置のいずれか一方に送信し、
前記スレーブ装置が、前記マスタ装置または他のスレーブ装置から前記データを受信すると、受信した前記データに、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が、予め保持している、他のスレーブ装置と同一の識別番号と一致する場合には、当該送信データが自身に送信されたものであると判断する一方、前記コマンド情報が付加されており、且つ、前記装置番号が前記識別番号と不一致である場合には当該送信データが他のスレーブ装置に送信されたものではあると判断して前記装置番号に所定値を減算又は加算して変更した前記装置番号を当該送信データに付加して、後続のスレーブ装置に送信することを特徴とする、データ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−194731(P2009−194731A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34894(P2008−34894)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】