説明

スロットマシン及びプログラム

【課題】 プレイヤーによる入賞判断が容易になるというメリットを保持しつつ、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感を変化させることである。
【解決手段】 本スロットマシンは、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部を備える。このスロットマシンは、少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数が変更可能である。そして、前記少なくとも1つの図柄表示域に停止表示される図柄の数が所定の条件に従って決定されると、その図柄表示域に表示される図柄の数が、決定された図柄数に変更される。また、当選決定部が当選を決定するときの停止表示制御は、互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示されるように行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部を備えたスロットマシン及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスロットマシンの中には、表示部内に複数の図柄表示域が横方向に並べて配置され、全図柄表示域をまたがるように直線状の入賞ラインが設定されているものがある。このようなスロットマシンにおいては、乱数抽選により当選する賞に対応する図柄の組合せが、各図柄表示域の入賞ライン上に停止表示される。3個の図柄を表示する図柄表示域が3個設けられているスロットマシンの例では、一般に、表示部内に縦3個横3個の合計9個の図柄が停止表示され、横方向に3本、対角線方向に2本の最大5本の入賞ラインが設定可能である。入賞ラインの本数は、通常、プレイヤーの選択や投入金額又は投入メダル数などに応じて変更することができる。プレイヤーから見れば、入賞ラインの数によって視覚的に入賞の期待感が変わる。
【0003】
一方、特許文献1には、特定の図柄が全ての図柄表示域に停止表示されていれさえすれば、各図柄表示域中での停止位置に関係なく入賞となるというスロットマシンが記載されている。このスロットマシンによれば、プレイヤーは、入賞ラインを意識せずに入賞したか否かを判断することができる。したがって、特定の図柄の停止位置が入賞ライン上であるか否かを判断しないと入賞したか否かを判断できない前記従来のスロットマシンに比べて、プレイヤーによる入賞の判断が容易になるというメリットがある。
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第305608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1のスロットマシンは、プレイヤーによる入賞判断の容易性というメリットを生じさせるため、入賞にあたって、特定の図柄が全ての図柄表示域に停止表示されていさえすれば各図柄表示域中での停止位置を問わないことにしている。そのため、このメリットを保持しようとするかぎり、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感を変化させる手法としては、前記従来のスロットマシンの手法は採用し得ない。前記従来のスロットマシンの手法は、入賞ラインの本数を変更するものであり、この入賞ラインは、各図柄表示域中での停止位置を問うものだからである。
【0006】
なお、前記特許文献1のスロットマシンは、賞に対応する特定の図柄が、表示部内の図柄表示域の全てに停止表示したときに入賞とするものであるが、同様のメリットを保持できる次のようなスロットマシンも考えられる。すなわち、表示部内に図柄表示域を3以上備えたスロットマシンであって、全てではない複数の図柄表示域に前記特定の図柄が停止表示したときに入賞とするものである。このスロットマシンでも、前記特定の図柄の前記複数の図柄表示域中での停止位置を問わずに入賞とすれば、プレイヤーによる入賞の判断が容易になるというメリットを保持できる。そして、このスロットマシンにおいても、前記メリットを保持するために、入賞にあたって図柄表示域中での停止位置を問わない。このため、このメリットを保持しようとするかぎり、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感を変化させる手法として前記従来のスロットマシンの手法は採用し得ない。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、プレイヤーによる入賞の判断が容易になるというメリットを保持しつつ、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感を変化させることができるスロットマシン及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部を備えたスロットマシンであって、スタート信号を生成するスタート信号生成部と、少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数を変更可能であって、前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に表示される前記複数の図柄を順次切り換える変動表示制御を行い、各図柄表示域の変動表示を停止させる停止表示制御を行う表示制御部と、前記少なくとも1つの図柄表示域に停止表示される図柄の数を所定の条件に従って決定し、決定した図柄の数を示す図柄数データを出力する図柄数決定出力部と、前記スタート信号を受けて、既定の1又は2以上の賞に当選か否かを決定する当選決定部とを有し、前記表示制御部は、前記図柄数データを受けて、該図柄数データに係る図柄表示域に表示される図柄の数を該図柄数データが示す図柄の数に変更し、前記既定の賞の少なくとも1つについて前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させるものであることを特徴とするものである。
このスロットマシンにおいては、当選決定部が少なくとも1つの賞の当選を決定するときには、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示する。すなわち、本スロットマシンでは、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に当該賞に対応する共通図柄が各図柄表示域中での停止位置を問うことなく停止表示されていれば、入賞となる。したがって、プレイヤーは、入賞ラインを意識せずに入賞の判断を行うことができる。
ここで、本スロットマシンでは、全図柄表示域の少なくとも1つに表示される図柄の数を、表示制御部により、図柄数決定出力部の決定した図柄の数に変更することができる。本スロットマシンでは、上述したように、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に当該賞に対応する共通図柄が各図柄表示域中での停止位置を問うことなく停止表示されていれば入賞となる。したがって、全図柄表示域の少なくとも1つに表示される図柄の数が変われば、その図柄数が変わる図柄表示域が前記互いに隣接する複数の図柄表示域である場合であってもそうでない場合であっても、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感が変わる。そして、このようにプレイヤーの入賞への期待感が変えるべく前記図柄の数を変更しても、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に当該賞に対応する共通図柄が各図柄表示域中での停止位置を問うことなく停止表示されていれば、依然として入賞となる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1のスロットマシンにおいて、プレイヤーの操作に応じた操作信号を生成する操作部を有し、前記所定の条件は、前記操作信号に基づいて決定されることを特徴とするものである。
このスロットマシンにおいては、プレイヤーの意志に基づいて、図柄数の変更を行うことができる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のスロットマシンにおいて、前記互いに隣接する複数の図柄表示域には、前記少なくとも1つの図柄表示域が含まれており、前記図柄数データを受けて、前記表示制御部が変動表示制御を行うときの前記互いに隣接する複数の図柄表示域のうちの1又は2以上の図柄表示域につき、その図柄切り換え順序を前記図柄数データが示す図柄の数に応じて変更する切り換え順序変更部を有し、前記表示制御部は、前記切り換え順序変更部が変更した切り換え順序に従い、前記1又は2以上の図柄表示域について前記変動表示制御を行うことを特徴とするものである。
前記互いに隣接する複数の図柄表示域の少なくとも1つに表示される図柄の数が変わると、入賞に対応する停止図柄パターン(以下、「入賞パターン」という。)の数が変わり、通常は入賞確率も変わる。本スロットマシンでは、上述したように、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に当該賞に対応する共通図柄が各図柄表示域中での停止位置を問うことなく停止表示されれば、入賞となる。そのため、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の1つに表示される図柄の数が1つ増えると、その入賞パターンの数は、前記互いに隣接する複数の図柄表示域のうちの他の図柄表示域に表示される図柄の数分だけ増加する。したがって、入賞パターンの数が大幅に増え、入賞確率が急に高くなってしまうおそれがある。このように図柄の数が1つ増えるだけで入賞確率が急に高くなるようなスロットマシンは、運用面において利便性が悪い。
本請求項3のスロットマシンでは、図柄数決定出力部が決定した図柄の数に応じて、前記互いに隣接する複数の図柄表示域のうちの1又は2以上の図柄表示域における図柄の切り換え順序が、切り換え順序変更部により変更される。これにより、その図柄表示域において当選に係る賞に対応した図柄の出現頻度を変更することが可能となる。図柄表示域に表示される図柄の出現頻度が入賞確率に影響するような構成の場合、その出現頻度を変化させることで入賞確率を調整することが可能になる。したがって、本スロットマシンが、例えば後述の請求項4のスロットマシンのように、図柄表示域に表示される図柄の出現頻度が入賞確率に影響するような構成であれば、図柄数決定出力部による図柄数の変更によって変化する入賞確率を、切り換え順序変更部による図柄の切り換え順序の変更によって調整することが可能となる。
また、本スロットマシンが、例えば図柄表示域に表示される図柄の出現頻度が入賞確率に影響しない構成である場合、切り換え順序変更部による切り換え順序の変更によって、変動表示の際に賞に対応する図柄の出現頻度が変更する結果、当該賞への入賞に対するプレイヤーの期待の大きさを変化させることができる。
なお、切り換え順序変更部により図柄の切り換え順序が変更される図柄表示域は、図柄数決定出力部により図柄の数が変更される図柄表示域であってもなくてもよい。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3のスロットマシンにおいて、前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に対応する乱数をそれぞれ生成する乱数生成部と、乱数の組合せと前記既定の賞への当選とを対応付けた当選決定テーブルを記憶した記憶部とを有し、前記表示制御部が変動表示制御を行うときの各図柄表示域に表示される図柄の切り換え順序は予め固定されており、前記当選決定部は、前記乱数生成部が生成した乱数の組合せを前記当選決定テーブルに対照して当選か否かを決定するものであり、前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、前記乱数生成部が生成した各乱数に対応する図柄がそれぞれ各図柄表示域に停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させることで、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に前記共通する図柄を停止表示させるものであることを特徴とするものである。
このスロットマシンにおいては、図柄表示域に停止表示する図柄が乱数生成部により生成する乱数によって直接決定される。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1、2又は3のスロットマシンにおいて、前記スタート信号を受けて乱数を生成する乱数生成部と、乱数と前記既定の賞への当選とを対応付けた当選決定テーブルを記憶した記憶部とを有し、前記当選決定部は、前記乱数生成部が生成した乱数を前記当選決定テーブルに対照して当選か否かを決定するものであり、前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、該当選決定部による当選結果に対応する図柄が各図柄表示域に停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させることで、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に前記共通する図柄を停止表示させることを特徴とするものである。
このスロットマシンにおいては、当選決定部による当選結果に応じて、その入賞に係る停止図柄が図柄表示域に停止表示するように停止表示制御がなされる。
【0013】
また、請求項6の発明は、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部と、スタート信号を生成するスタート信号生成部とを備えたスロットマシンに設けられるコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数を変更可能であって、前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に表示される前記複数の図柄を順次切り換える変動表示制御を行い、各図柄表示域の変動表示を停止させる停止表示制御を行う表示制御部、前記少なくとも1つの図柄表示域に停止表示される図柄の数を所定の条件に従って決定し、決定した図柄の数を示す図柄数データを出力する図柄数決定出力部、及び、前記スタート信号を受けて、既定の1又は2以上の賞に当選か否かを決定する当選決定部として、前記コンピュータを機能させるものであって、前記表示制御部は、前記図柄数データを受けて、該図柄数データに係る図柄表示域に表示される図柄の数を該図柄数データが示す図柄の数に変更し、前記既定の賞の少なくとも1つについて前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させるものであることを特徴とするものである。
このプログラムは、スロットマシンに設けられるコンピュータに実行されることにより、そのスロットマシンを、請求項1のスロットマシンとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至6の発明によれば、プレイヤーによる入賞の判断が容易になるというメリットを保持しつつ、視覚的にプレイヤーの入賞への期待感を変化させることができるという優れた効果が奏される。
特に、請求項2の発明によれば、前記少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数をプレイヤーの選択により変更できるという優れた効果が奏される。
また、請求項3の発明によれば、図柄数の変更によって入賞確率が急激に変化する場合でも、その入賞確率を調整することが可能となるという優れた効果が奏される。また、請求項3の発明によれば、入賞に対するプレイヤーの期待の大きさを変化させることができるという優れた効果が奏される。
また、請求項4の発明によれば、当選決定部による当選結果に応じて停止図柄を決定することが禁止されていても、本発明を実施することができるという優れた効果が奏される。
また、請求項5の発明によれば、当選決定部による当選結果に応じて入賞に係る停止図柄が停止表示するように停止表示制御がなされる、パチスロ機等のスロットマシンにも適用できるという優れた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、カジノに設置されるビデオスロットマシンに適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
まず、本実施形態1に係るスロットマシンの基本的な構成について説明する。
図2は、本実施形態1に係るスロットマシンの外観斜視図である。このスロットマシン1は、箱型の筺体2、この筺体2の前面側に開閉自在に取り付けられた前面パネル3などを有する。前面パネル3には、モニター11を外部から視認するための表示窓4、貨幣受取部を構成するコイン投入口5a及び紙幣投入口5b、スピンボタン6a、クレジット精算ボタン6b、プレイヤーがゲームのためにスロットマシンにコインを支払うための各種BETボタン7a,7b、他の操作ボタン8、コイン払出ロ9aを有するコイン受皿9、各種ランプ類10a,10bなどが設けられている。スピンボタン6a、クレジット精算ボタン6b、各種BETボタン7a,7b、他の操作ボタン8は、それぞれ発光部を具備したランプボタンである。
【0016】
スロットマシン1の内部には、モニター11が設けられている。このモニター11は、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、5つの図柄表示域11aそれぞれに表示する。モニター11は、CRTディスプレイで構成されているが、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどで構成してもよい。また、モニター11には、プレイヤーがコイン投入口5a又は紙幣投入口5bから投入した金銭の額に相当するクレジット額を表示するクレジット表示部11b、各種BETボタン7a,7bを操作してプレイヤーがBETとしたBET額を表示するBET表示部11c、ゲームの結果によりプレイヤーが獲得する獲得額を表示する獲得額表示部11dが、前記5つの図柄表示域11aの上部に表示される。また、スロットマシン1の内部には、受け付けたコインや紙幣が偽物でないかを確認する検査装置、コインを多数枚収容可能なホッパを持つ図示しないコイン払戻装置や、音出力部としてのスピーカー、CPUやROMその他種々の電子部品によって電子回路が形成されたメイン制御基板及びサブ制御基板なども組み込まれている。
【0017】
また、スロットマシン1の側面には、リセットスイッチ12が設けられている。このリセットスイッチ12は、本スロットマシン1が設置されるカジノのアテンダントが所持する専用キーに対応する鍵穴を有し、その鍵穴に専用キーを差し込むことで操作される。よって、プレイヤーは、このリセットスイッチ12を操作することはできない。
【0018】
また、スロットマシン1の上部には、カジノで利用する可搬型記録媒体としてのハウスカードを挿入するカード挿入口13及び表示装置14が設けられている。ハウスカードは、プレイヤーがカジノの受付等で登録した個人情報を管理するためのものであり、このハウスカードには、プレイヤーごとに個別の識別情報であるIDが記録されている。また、カジノの管理装置には、このIDに関連付けて各プレイヤーの個人情報が管理されている。このハウスカードは、例えば、プレイヤーがゲームのために費やした額等に応じたポイントを管理装置で管理するために利用される。これにより、そのポイントに応じて、プレイヤーに無料宿泊券等のサービスを提供する等の特典を付与することができる。また、表示装置14には、プレイヤーがもつポイント等が表示される。
【0019】
図3は、メイン制御基板のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4は、サブ制御基板のハードウェア構成を示すブロック図である。
メイン制御基板20の入出力ポート21aは、サブ制御基板30との間でデータ通信を行うために利用される。ROM22には、CPU21が利用する各種プログラムや各種テーブル等のデータが格納されており、これらをCPU21に出力する。RAM23は、CPU21によって演算された変数データなどを一時的に格納する。乱数発生回路24は、所定の周期毎に乱数を発生させてそのデータをCPU21に出力する。ビデオドライバ25は、CPU21の制御の下、図柄表示域11a等に所定の画像を表示するためのモニター11の制御に用いられる。照明制御部26は、CPU21の制御の下、各種ランプ10a,10bの点灯制御を行う。音響制御部27は、CPU21の制御の下、スピーカー15から出力する音声によるアナウンスや演出音等を制御する。払戻制御部28は、CPU21の制御の下、コイン払出ロ9aからコイン受皿9にコインを払い戻すために、コイン払戻装置16を制御する。
また、メイン制御基板20のCPU21は、スピンボタン6a、クレジット精算ボタン6b、各種BETボタン7a,7b、他の操作ボタン8などに接続されている。また、CPU21は、コイン投入口5a及び紙幣投入口5bに投入された金額をカウントする図示しない投入金額カウント装置などにも接続されている。
【0020】
サブ制御基板30は、CPU31、ROM32、RAM33、識別情報入力部としてのカードリーダ34、表示ドライバ35、メイン制御基板側入出力ポート36、管理装置側入出力ポート37などから構成されている。ROM32は、CPU31が利用する各種プログラムや各種データベース等のデータを格納しており、これらをCPU31に出力する。RAM33は、CPU31によって演算された変数データなどを一時的に格納する。カードリーダ34は、カード挿入口13から挿入されたハウスカードに記録されているIDを読み取り、そのIDをCPU31に出力する。表示ドライバ35は、CPU31の制御の下、表示装置14の表示を制御する。メイン制御基板側入出力ポート36は、メイン制御基板20との間でデータ通信を行うために利用される。管理装置側入出力ポート37は、カジノに設置されている複数のゲーム機を統括して管理する管理装置40との間でデータ通信を行うために利用される。
【0021】
図1は、本実施形態1におけるスロットマシン1の主要構成を示す機能ブロック図である。
本スロットマシン1は、表示制御部101、スタート信号生成部102、表示部104、乱数生成部105、当選決定部106、記憶部107、操作部108、図柄数決定出力部109などから構成されている。
表示制御部101は、メイン制御基板20のCPU21、ROM22、RAM23、ビデオドライバ25等により構成され、ROM内に記憶された表示制御プログラムを実行することにより、後述する表示部104の表示制御を行う。具体的には、表示制御部101は、スタート信号生成部102からのスタート信号を受けて、各図柄表示域11aに表示される図柄を順次切り換える変動表示制御を行う。また、表示制御部101は、スタート信号を受けてから所定時間が経過した後、各図柄表示域11aの変動表示を停止させる停止表示制御も行う。また、表示制御部101は、5つの図柄表示域11aのうちの少なくとも1つに表示される図柄の数を、後述する図柄数決定出力部109からの図柄数データが示す図柄数に変更する図柄数変更処理も行う。
【0022】
スタート信号生成部102は、スピンボタン6a等により構成され、そのスピンボタン6aがプレイヤーにより操作されると、スタート信号を生成する。このスタート信号は、前記表示制御部101及び後述の乱数生成部105に送られる。
表示部104は、モニター11等により構成され、表示制御部101の制御の下、所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を5つの図柄表示域11aそれぞれに表示することができる。
【0023】
乱数生成部105は、乱数発生回路24等により構成され、スタート信号生成部102からのスタート信号を受けて、各図柄表示域11aに対応する5つの乱数をそれぞれ生成する。生成した5つの乱数は、前記表示制御部101と後述の当選決定部106とに送られる。
当選決定部106は、メイン制御基板20のCPU21、ROM22、RAM23等により構成され、ROM内に記憶されたゲーム進行プログラムを実行することにより、前記乱数生成部105が生成した5つの乱数からなる組合せを記憶部107内の当選決定テーブルに対照して、既定の賞のいずれかに当選するか否かを決定する抽選処理を行う。本実施形態1において、既定の賞は、複数用意されている。具体的には、「J図柄」に対応するジャック賞、「Q図柄」に対応するクイーン賞、「K図柄」に対応するキング賞、「A図柄」に対応するエース賞、「1st図柄」に対応するファースト賞、「2nd図柄」に対応するセカンド賞が用意されている。なお、本実施形態1では、いわゆるワイルドカードである「W図柄」も存在し、この「W図柄」は全種類の図柄として扱われる。
記憶部107は、ROM22、RAM23等により構成され、前記当選決定部106が用いる当選決定テーブルなどを記憶している。当選決定テーブルは、乱数の組合せと既定の賞への当選とを対応付けたものである。したがって、当選決定テーブルの内容により、当選決定部106が各賞への当選を決定する当選確率がそれぞれ決まる。
【0024】
操作部108は、BETボタン7a,7b等により構成され、BETボタン7a,7bがプレイヤーにより操作されたときに、その操作に応じた操作信号を生成する。この操作信号は、後述の図柄数決定出力部109に送られる。
図柄数決定出力部109は、メイン制御基板20のCPU21、ROM22、RAM23等により構成され、操作部108からの操作信号を受けることで、ROM内に記憶されたゲーム進行プログラムの内容に従い、5つの図柄表示域11aの少なくとも1つに表示される図柄の数を決定する。そして、決定した図柄の数を示す図柄数データを生成し、これを前記表示制御部101と後述の当選決定部106に送る。
【0025】
次に、スロットマシン1によるゲームの流れに従って、各部の動作について説明する。
図5は、本実施形態1における1回のゲームの流れを示すフローチャートである。
プレイヤーによって図示しないコインがコイン投入口5aに投入されたり、紙幣が紙幣投入口5bに投入されたりすると、そのコイン等は図示しない投入金額カウント装置によりカウントされる。そして、投入金額カウント装置は、メイン制御基板20のCPU21に投入金額データを出力する。この投入金額データを受け取ったCPU21は、RAM23に投入金額データに相当するクレジットデータを記録する。
【0026】
プレイヤーは、希望するBET額を決めたら、BETボタン7a,7bを操作する(S1)。この操作内容は、操作信号としてメイン制御基板20のCPU21に送られ、CPU21は、RAM23のクレジットデータから、その操作信号に応じたクレジット分を減額する処理を行う(S2)。そして、CPU21は、スピンボタン6aからの操作信号を受付可能な状態となり、プレイヤーによるスピンボタン6aの操作が有効なものとなる。
【0027】
また、前記操作信号を受けたCPU21は、図柄数決定出力部109として、5つの図柄表示域11aの少なくとも1つに表示される図柄の数を決定する。具体的には、全図柄表示域11aに表示される図柄の数の合計が互いに異なる図6(a)〜図6(f)に示す各図柄数パターンの中から、前記操作信号に対応する図柄数パターンを決定する(S3)。なお、図6(a)〜図6(f)において、1個の黒点が1つの図柄を表しており、白抜きで示す部分が図柄表示域に相当する。本実施形態1においては、図6(a)に示す図柄数パターンから順に、図6(f)に示す図柄数パターンに向かって、多くのBET額が必要となる。言い換えれば、BET額が多いほど、全図柄表示域11aに表示される図柄の数の合計が多くなる。したがって、BET額が最も少ない場合には図6(a)に示す図柄数パターンが決定され、BET額が最も多い場合には図6(f)に示す図柄数パターンが決定される。
【0028】
ここで、「図柄表示域」とは、モニター11の表示領域のうち、前記当選決定部106による抽選処理で当選する賞に係る図柄として扱われる図柄のみを表示する領域、すなわち、ゲームで有効な図柄のみを表示する表示領域を意味する。よって、前記抽選処理で当選する賞に係る図柄として扱われない図柄を表示する領域、すなわち、ゲームで無効な図柄を表示する表示領域は、含まれない。したがって、図6(a)〜図6(e)において、斜線で示す表示領域は、図柄を表示してはいるが、図柄表示域ではない。
なお、本実施形態1において、ゲームで無効な図柄をも表示しているのは、より多くの額のクレジットの消費を促すためである。すなわち、このような無効な図柄も有効な図柄と併せて表示部104に表示すれば、仮にその斜線で示す表示域に停止表示された無効な図柄が有効な図柄であったとすれば入賞していた又はより高額の配当を手にできていたという後悔の念を、プレイヤーに与えることが可能になる。これにより、プレイヤーは、そのような後悔をしないために、より多くの額をBETし、全図柄表示域11aに表示される図柄の数の合計がより多い図柄数パターンを選択してプレイすることになるからである。
【0029】
また、プレイヤーがBETボタン7aを操作すると、そのたびに、BET額が多くなるとともに、操作部108からの操作信号が図柄数決定出力部109に送られる。そして、図柄数決定出力部109は、その操作信号を受けるたびに、対応する図柄数パターンを決定し、決定した図柄数パターンに対応する図柄数データを、表示制御部101及び当選決定部106に送る。表示制御部101は、この図柄数データを受けて、図6(a)〜図6(f)に示す図柄数パターンの中から、その図柄数データに対応する1つの図柄数パターンが表示部104に表示されるように、表示部104を制御する図柄数変更処理を行う(S4)。なお、プレイヤーがBETボタン7bを操作した場合、全図柄表示域11aに表示される図柄数が最も多い図6(f)に示す図柄数パターンが表示部104に表示されることになる。
【0030】
前記図柄数変更処理について具体的に説明すると、ROM22には、各図柄数パターンを表示部104に表示するためのデータ(図柄数パターンデータ)が記憶されている。CPU21は、表示制御部101として、図柄数データにより特定される図柄数パターンデータをROM22内から読み出し、その図柄数パターンデータに基づいて、図6(a)〜図6(f)に示す図柄数パターンのいずれかの図柄数パターンを表示部104に表示させる処理を行う。
【0031】
このように、プレイヤーは、BETボタン7a,7bを操作することで、クレジットのBETとともに、図柄数パターンの選択を行うことができる。そして、使用する図柄数パターンが決まったら、次に、プレイヤーは、スピンボタン6aを操作する(S5)。すると、スタート信号生成部102でスタート信号が生成され、そのスタート信号が表示制御部101に送られる。表示制御部101は、このスタート信号を受けて、表示部104の各図柄表示域11aに表示される図柄を順次切り換える変動表示制御を行う(S6)。なお、本実施形態1では、各図柄表示域11aに表示される図柄の切り換え順序は、予め固定されている。
【0032】
一方、スタート信号生成部102が生成したスタート信号は、乱数生成部105にも送られる。このスタート信号を受けた乱数生成部105は、5つの乱数を生成し(S7)、これらの乱数を表示制御部101及び当選決定部106に順次送る。各乱数は、モニター11に表示される各図柄表示域11aにそれぞれ対応している。
表示制御部101は、乱数生成部105から送られてくる5つの乱数を受け取ると、各乱数をROM22に格納されている停止位置テーブルに照らし合わせる。この停止位置テーブルは、各図柄表示域11aに対して個々に用意されている。そして、各乱数と各停止位置テーブルにより、各図柄表示域11aにおける変動表示の停止位置が決まる。したがって、乱数生成部105から送られてくる5つの乱数によって、各図柄表示域11aに停止表示する図柄が決まる。
【0033】
当選決定部106は、乱数生成部105から送られてくる5つの乱数を受け取ると、これらの乱数からなる組合せを、ROM22に格納されている当選決定テーブルに照らし合わせて、既定の賞に当選したか否かを決定する抽選処理を行う(S8)。ROM22内には、図柄数決定出力部109が決定し得る図6(a)〜図6(f)に示す各図柄数パターンにそれぞれ対応する6個の当選決定テーブルが記憶されている。当選決定部106は、ROM22内から、前記図柄数決定出力部109からの図柄数データに対応する当選決定テーブルを読み出し、これを用いて抽選処理を行う。
賞は、大別すると、プレイヤーに対して所定額のクレジットを払い出す賞、特別ゲーム状態であるイベント又はボーナスゲームやフィーチャーゲームに移行する賞などがある。そして、当選決定部106は、乱数の組合せと当選決定テーブルとにより、今回のゲームで入賞する賞を決定し、又は何の賞にも入賞しなかった場合のハズレを決定する。以下の説明では、前者の賞に限定して説明する。
【0034】
本実施形態1において、各当選決定テーブルは、前記停止位置テーブルとの関係で、任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに同一の賞に対応する図柄が停止表示されれば入賞となるように、作成されている。すなわち、乱数生成部105が生成した5つの乱数と前記停止位置テーブルとによって決まる全図柄表示域11aに停止表示される停止図柄パターンが、全図柄表示域11aのうちの任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに停止表示される図柄の中に同一の賞に対応する図柄を含むものである場合、その5つの乱数からなる組合せに対しては当該同一の賞への当選が対応付けられている。
【0035】
図7は、当選決定部106が当選を決定するときの停止図柄パターンの一例を示す説明図である。この例は、図6(f)に示した図柄数パターンを選択してゲームを行った場合であり、5つの賞が入賞している。なお、以下、説明のため、5つの図柄表示域11aを、図中左から順に、第1図柄表示域、第2図柄表示域、第3図柄表示域、第4図柄表示域、第5図柄表示域とする。
上述したように、本実施形態1では、任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに同一の賞に対応する図柄が停止表示されれば、入賞となる。前記ファースト賞について図7を見ると、図柄表示域の全てに「1st図柄」が停止表示している。したがって、5個の「1st図柄」に対応するファースト賞が入賞している。また、第2図柄表示域には、「W図柄」が停止表示しているので、この「W図柄」は「1st図柄」として取り扱うことができ、前記と同様に、5個の「1st図柄」に対応するファースト賞が更に入賞している。また、キング賞について図7を見ると、図柄表示域の全てに「K図柄」が停止表示している。したがって、5個の「K図柄」に対応するキング賞が入賞している。また、第2図柄表示域には、「W図柄」が停止表示しているので、この「W図柄」は「K図柄」としても取り扱うことができ、前記と同様に、5個の「K図柄」に対応するキング賞が更に入賞している。
更に、セカンド賞について図7を見ると、第3図柄表示域と第4図柄表示域には「2nd図柄」がそれぞれ停止表示しており、第2図柄表示域には「W図柄」が停止表示している。この「W図柄」は「2nd図柄」としても取り扱うことができるので、3個の「2nd図柄」に対応するセカンド賞が入賞している。
【0036】
なお、本実施形態1では、同一の賞に対応する図柄を含む図柄表示域の隣接数が3以上である場合に限定して入賞としている。したがって、エース賞について図7を見ると、第1図柄表示域と第2図柄表示域には「A図柄」がそれぞれ停止表示しているが、第2図柄表示域には「A図柄」も「W図柄」もないので、エース賞の入賞とはならない。もちろん、当該隣接数を3以上とせずに、2以上あるいは4以上等としてもよい。
また、本実施形態1では、同種の図柄に対応する賞であっても、その図柄数によって互いに異なる賞として取り扱う。すなわち、例えば同じ「1st図柄」に対応する賞であっても、3個の「1st図柄」に対応するファースト賞と、4個の「1st図柄」に対応するファースト賞と、5個の「1st図柄」に対応するファースト賞とでは、異なる賞となる。したがって、入賞したときの配当額も異なり、図柄の個数が多いほど配当額が高い。
【0037】
このようにして当選決定部106による抽選処理が終わったら、表示制御部101は、スタート信号を受けてから所定時間が経過した後に、乱数生成部105が生成した5つの乱数と各停止位置テーブルとによって決まる停止位置で、各図柄表示域11aの変動表示を停止させる(S9)。一方、当選決定部106による抽選処理において、プレイヤーに対して所定額のクレジットを払い出す賞の当選が決定している場合(S10)、全図柄表示域11aの変動表示が停止した後、図示しない配当払出部が配当の払い出し処理を行う(S11)。具体的には、メイン制御基板20のCPU21が、配当払出部として、RAM23に記録されているクレジットデータに、入賞した賞に応じたクレジット分を加算する払出処理を行う。また、メイン制御基板20のCPU21は、照明制御部26及び音響制御部27に対し、それぞれ所定の演出信号を出力する。これにより、照明制御部26は、点灯状態になっている各種ランプ10a,10b及びスピンボタン6a、クレジット精算ボタン6b、BETボタン7a,7b、他の操作ボタン8などの、発光部を具備したランプボタンを、その演出信号に応じた点滅パターンで点滅するように点灯制御を行う。また、音響制御部27は、演出音としてスピーカー15から出力していた音楽を一旦停止し、その演出信号に応じた効果音をスピーカー15から出力させる制御を行う。
【0038】
以上、本実施形態1によれば、任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに同一の賞に対応する図柄が停止表示されれば、各図柄表示域中での図柄の停止位置を問うことなく入賞となる。したがって、プレイヤーは、入賞ラインを意識せずに入賞の判断を行うことができる。なお、本実施形態1では、更に、隣接する図柄表示域の数が3つ以上であるという条件を追加し、この条件を満たさない限り入賞にはならないが、このような条件を追加しても入賞ラインを意識せずに入賞の判断を行うことができるという利点は依然存在する。
また、本実施形態1によれば、図柄表示域11aに表示される図柄の数すなわち図柄数パターンは、図柄数決定出力部109が操作部108の操作信号に基づいて決定した図柄数パターンに変更される。入賞に対応した停止図柄パターンである入賞パターンの数は、上述したように図柄数パターンによって異なるので、プレイヤーは、操作部108を操作することにより、希望の図柄数パターンを選択して、入賞パターンの数を変更することができる。しかも、本実施形態1によれば、このように入賞パターンの数を変更したとしても、前記利点がなくなることはない。
【0039】
〔変形例〕
次に、前記実施形態1の変形例について説明する。
前記実施形態1のスロットマシンにおいては、上述したように、図柄数パターンを変更すると入賞パターンの数が変わる。しかも、前記実施形態1では、入賞パターンの数が変わっても、各図柄表示域に表示される図柄の切り換え順序は変更されない。そのため、入賞確率が急激に変化することになる。例えば、図6(d)に示す図柄数パターンでは、入賞パターンの数が2×3×2×3×2=72個であるが、図6(e)に示す図柄数パターンでは、3×3×2×3×3=162個となる。後者は、前者に比べて、第1図柄表示域と第5図柄表示域に表示される図柄の数をそれぞれ1個ずつ増えただけだが、入賞パターンの数は前者の2倍以上にまで増加する。したがって、入賞確率が急激に変化することになる。前記実施形態1では、このように入賞確率が急激に変化してもペイアウト率が一定に維持されるように、図柄数パターンごとに必要なBET額を調整している。しかし、このようにBET額で調整するにしても、図6(a)に示す図柄数パターンと図6(f)に示す図柄数パターンとでは入賞確率の差が大きすぎて、図6(f)に示す図柄数パターンでゲームを行うのに必要なBET額が極めて高額になってしまう場合もある。
そこで、本変形例では、入賞パターンの数が変わっても、入賞確率が急激に変化しないように、使用する図柄数パターンに応じて図柄表示域11aに表示される図柄の切り換え順序を変更する。
【0040】
図8は、本変形例におけるスロットマシン1の主要構成を示す機能ブロック図である。
本変形例におけるスロットマシン1は、切り換え順序変更部110を備えている点を除いて、前記実施形態1のスロットマシンとほぼ同様の構成及び動作である。以下、前記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
切り換え順序変更部110は、図3に示したメイン制御基板20のCPU21、ROM22、RAM23等により構成され、図柄決定部109からの図柄数データを受けて、前記表示制御部101が変動表示制御を行うときの1又は2以上の図柄表示域11aの図柄切り換え順序を、前記図柄数データに従って変更する。その変更後の図柄切り換え順序を示す切り換え順序データは、前記表示制御部101に送られる。そして、表示制御部101は、変動表示制御を行う際、この切り換え順序データに従い、そのデータが示す図柄切り換え順序で図柄の切り換えを行う。
【0041】
図9は、本変形例における1回のゲームの流れを示すフローチャートである。
本変形例では、プレイヤーがBETボタン7aを操作して、図柄数決定出力部109が図柄数パターンを決定すると、これに対応する図柄数データが切り換え順序変更部110にも送られる。切り換え順序変更部110は、この図柄数データを受けて、対応する切り換え順序データを前記表示制御部101に送る(S21)。そして、表示制御部101は、スピンボタン6aの操作があったら(S5)、その切り換え順序データに従い、各図柄表示域11aの変動表示制御を行う(S6)。
【0042】
本変形例では、前記切り換え順序変更部110により、図柄数パターンが変更されても入賞確率が急激に変化しないように、1又は2以上の図柄表示域11aに表示される図柄の切り換え順序を変更する。具体的には、決定される図柄数パターンに対応する図柄の数が多いほど、配当額の低い賞に対応する図柄を増やし、高額配当の賞に対応する図柄の数を相対的に減らすように、図柄の切り換え順序を変更する。この場合、高額配当の賞における入賞確率の急激な変化を抑制でき、ペイアウト率の調整が容易になる。また、決定される図柄数パターンに対応する図柄の数が多いほど、ワイルドカードである「W図柄」の数を減らすように、図柄の切り換え順序を変更してもよい。この場合、全ての賞における入賞確率の急激な変化を抑制でき、ペイアウト率の調整が容易になる。また、例えば1つの図柄表示域(例えば第3図柄表示域)についてだけ、賞に対応する図柄の数を少なくするようにしてもよい。この場合、その賞について隣接数が3個以上の入賞が発生しにくくなるので、入賞確率の急激な変化を抑制でき、ペイアウト率の調整が容易になる。なお、これらの切り換え順序の変更方法は例示であり、他の方法により、図柄表示域11aに表示される図柄の切り換え順序を変更し、図柄数パターンが変更されても入賞確率が急激に変化しないようにしてもよい。
なお、本変形例1は、次の実施形態2におけるスロットマシンについても、同様に適用することが可能である。
【0043】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、前記実施形態1と同様に、カジノに設置されるビデオスロットマシンに適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
本実施形態2におけるスロットマシン1は、当選決定部の抽選処理及び表示制御部の停止表示制御が異なる点を除いて、前記実施形態1のスロットマシンとほぼ同様の構成及び動作である。以下、前記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
図10は、本実施形態2におけるスロットマシン1の主要構成を示す機能ブロック図である。
図11は、本実施形態2における1回のゲームの流れを示すフローチャートである。
本実施形態2において、乱数生成部205は、スタート信号生成部102で生成されたスタート信号を受けると、1つの乱数を生成し(S31)、その乱数を当選決定部206にのみ送る。当選決定部206は、その乱数を受け取ると、その乱数をROM22に格納されている当選決定テーブルに照らし合わせて、既定の賞に当選したか否かを決定する抽選処理を行う(S32)。この当選決定テーブルは、1つの乱数と既定の各賞への当選とを対応付けたものである。当選決定テーブルは、図6(a)〜図6(f)に示す各図柄数パターンに対し、個別に用意されている点については、前記実施形態1と同様である。
【0045】
当選決定部206は、抽選処理の結果を表示制御部201に送る。表示制御部201は、その抽選処理の結果を受けると、その抽選処理の結果に応じて、各図柄表示域11aに停止表示させる図柄、すなわち、停止図柄パターンを決定する(S33)。この決定においては、抽選処理の結果が既定の賞に当選した旨の内容である場合、任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに当該既定の賞に対応する図柄が停止表示される全停止図柄パターンのうち、所定の停止表示制御プログラムの内容によって一の停止図柄パターンが決定される。すなわち、全図柄表示域11aのうちの任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに停止表示される図柄の中にそれぞれ当選に係る賞に対応する図柄を含むような停止図柄パターンが決定される。そして、表示制御部201は、決定した停止図柄パターンが前記一の図柄表示域及び前記他の図柄表示域に停止表示する位置で、これらの図柄表示域の変動表示を停止させる(S9)。
【0046】
本実施形態2においても、前記実施形態1と同様に、任意の一の図柄表示域とこれに隣接する他の図柄表示域とに当選に係る賞に対応した図柄が停止表示されれば、当該図柄の停止位置を問うことなく入賞となる。したがって、プレイヤーは、入賞ラインを意識せずに入賞の判断を行うことができる。
また、本実施形態2においても、前記実施形態1と同様に、図柄表示域11aに表示される図柄の数すなわち図柄数パターンは、図柄数決定出力部109が操作部108の操作信号に基づいて決定した図柄数パターンに変更される。入賞パターンの数は、上述したように図柄数パターンによって異なるので、プレイヤーは、操作部108を操作することにより、希望の図柄数パターンを選択して、入賞パターンの数を変更することができる。しかも、本実施形態2によれば、このように入賞パターンの数を変更したとしても、プレイヤーは、入賞ラインを意識せずに入賞の判断を行うことができる。
更に、本実施形態2によれば、当選決定部206における抽選処理の結果に応じて停止図柄パターンを決定するので、各図柄表示域11aに表示される図柄の切り換え順序を予め固定しておく必要はない。
【0047】
なお、前記各実施形態及び前記変形例では、カジノに設置されるスロットマシンを例に挙げて説明したが、本発明は、これに限らず、パチンコ店に設置されるパチスロ機、ゲームセンタ等に設置されるスロットマシンなどにも適用することが可能である。なお、パチスロ機のようにプレイヤーによるストップボタン操作に応じて停止表示制御を行う場合、そのストップボタン等から構成されるストップ信号生成部を設けて、そのストップ信号生成部からのストップ信号を受けて、上述したような停止表示制御を行うことになる。
また、前記各実施形態及び前記変形例では、スロットマシンのリールとして、モニター11の図柄表示域11aに映し出される画像を用いるビデオスロットマシンを例に挙げて説明したが、いわゆる機械式のリールを用いるスロットマシンについても同様に適用可能である。この場合、例えば、リール上に配列された複数の図柄の一部をプレイヤーが視認するための窓の外形を変更するための駆動機構を設け、図柄数決定出力部109からの図柄数データを受けた表示制御部が、その図柄数データに係る図柄表示域に表示される図柄の数を該図柄数データが示す図柄の数となるように、当該駆動機構を制御するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態1に係るスロットマシンの主要構成を示す機能ブロック図。
【図2】同スロットマシンの外観斜視図。
【図3】同スロットマシンのメイン制御基板のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】同スロットマシンのサブ制御基板のハードウェア構成を示すブロック図。
【図5】同スロットマシンにおける1回のゲームの流れを示すフローチャート。
【図6】〜(f)は同スロットマシンにおける図柄数パターンをそれぞれ示す説明図。
【図7】同スロットマシンにおいて当選決定部が当選を決定するときの停止図柄パターンの一例を示す説明図。
【図8】変形例におけるスロットマシンの主要構成を示す機能ブロック図。
【図9】同スロットマシンにおける1回のゲームの流れを示すフローチャート。
【図10】実施形態2に係るスロットマシンの主要構成を示す機能ブロック図。
【図11】同スロットマシンにおける1回のゲームの流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0049】
1 スロットマシン
6a スピンボタン
7a,7b BETボタン
11 モニター
11a 図柄表示域
101,201 表示制御部
102 スタート信号生成部
104 表示部
105,205 乱数生成部
106,206 当選決定部
107 記憶部
108 操作部
109 図柄数決定出力部
110 順序変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部を備えたスロットマシンであって、
スタート信号を生成するスタート信号生成部と、
少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数を変更可能であって、前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に表示される前記複数の図柄を順次切り換える変動表示制御を行い、各図柄表示域の変動表示を停止させる停止表示制御を行う表示制御部と、
前記少なくとも1つの図柄表示域に停止表示される図柄の数を所定の条件に従って決定し、決定した図柄の数を示す図柄数データを出力する図柄数決定出力部と、
前記スタート信号を受けて、既定の1又は2以上の賞に当選か否かを決定する当選決定部とを有し、
前記表示制御部は、前記図柄数データを受けて、該図柄数データに係る図柄表示域に表示される図柄の数を該図柄数データが示す図柄の数に変更し、
前記既定の賞の少なくとも1つについて前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させるものであることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
請求項1のスロットマシンにおいて、
プレイヤーの操作に応じた操作信号を生成する操作部を有し、
前記所定の条件は、前記操作信号に基づいて決定されることを特徴とするスロットマシン。
【請求項3】
請求項1又は2のスロットマシンにおいて、
前記互いに隣接する複数の図柄表示域には、前記少なくとも1つの図柄表示域が含まれており、
前記図柄数データを受けて、前記表示制御部が変動表示制御を行うときの前記互いに隣接する複数の図柄表示域のうちの1又は2以上の図柄表示域につき、その図柄切り換え順序を前記図柄数データが示す図柄の数に応じて変更する切り換え順序変更部を有し、
前記表示制御部は、前記切り換え順序変更部が変更した切り換え順序に従い、前記1又は2以上の図柄表示域について前記変動表示制御を行うことを特徴とするスロットマシン。
【請求項4】
請求項1、2又は3のスロットマシンにおいて、
前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に対応する乱数をそれぞれ生成する乱数生成部と、
乱数の組合せと前記既定の賞への当選とを対応付けた当選決定テーブルを記憶した記憶部とを有し、
前記表示制御部が変動表示制御を行うときの各図柄表示域に表示される図柄の切り換え順序は予め固定されており、
前記当選決定部は、前記乱数生成部が生成した乱数の組合せを前記当選決定テーブルに対照して当選か否かを決定するものであり、
前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、前記乱数生成部が生成した各乱数に対応する図柄がそれぞれ各図柄表示域に停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させることで、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に前記共通する図柄を停止表示させるものであることを特徴とするスロットマシン。
【請求項5】
請求項1、2又は3のスロットマシンにおいて、
前記スタート信号を受けて乱数を生成する乱数生成部と、
乱数と前記既定の賞への当選とを対応付けた当選決定テーブルを記憶した記憶部とを有し、
前記当選決定部は、前記乱数生成部が生成した乱数を前記当選決定テーブルに対照して当選か否かを決定するものであり、
前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、該当選決定部による当選結果に対応する図柄が各図柄表示域に停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させることで、前記互いに隣接する複数の図柄表示域の各々に前記共通する図柄を停止表示させることを特徴とするスロットマシン。
【請求項6】
所定順序で配列する同一または異なる複数の図柄を、複数の図柄表示域それぞれに表示する表示部と、スタート信号を生成するスタート信号生成部とを備えたスロットマシンに設けられるコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、
少なくとも1つの図柄表示域に表示される図柄の数を変更可能であって、前記スタート信号を受けて、各図柄表示域に表示される前記複数の図柄を順次切り換える変動表示制御を行い、各図柄表示域の変動表示を停止させる停止表示制御を行う表示制御部、
前記少なくとも1つの図柄表示域に停止表示される図柄の数を所定の条件に従って決定し、決定した図柄の数を示す図柄数データを出力する図柄数決定出力部、及び、
前記スタート信号を受けて、既定の1又は2以上の賞に当選か否かを決定する当選決定部として、前記コンピュータを機能させるものであって、
前記表示制御部は、前記図柄数データを受けて、該図柄数データに係る図柄表示域に表示される図柄の数を該図柄数データが示す図柄の数に変更し、
前記既定の賞の少なくとも1つについて前記当選決定部が当選を決定するときの前記表示制御部による停止表示制御は、互いに隣接する複数の図柄表示域の各々にこれらの図柄表示域間で共通する図柄が停止表示されるように、これらの図柄表示域の変動表示を停止させるものであることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−149700(P2006−149700A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345179(P2004−345179)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000105637)コナミ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】