説明

セチリジン及びプソイドエフェドリンを含む錠剤

【課題】セチリジン及びプソイドエフェドリンの薬物動態学プロフィールが、セチリジンとプソイドエフェドリンを各々同じ量で単独活性成分として含有する薬剤投与型における薬物動態学プロフィールと実質的に同じである薬剤を提供する。
【解決手段】1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤であって、プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分とが直接接し、その界面表面積が180mm2未満である上記錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つの異なる区分(segment)を含む錠剤に関する。さらに特定的には、2種の医薬物質の組み合わせに関し、そしてアレルギー疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セチリジン(cetirizine)としても知られている2−〔2−〔4−〔(4−クロロフェニル)フェニルメチル〕−1−ピペラジニル〕酢酸及びその二塩酸塩は、米国特許第4,525,358号により知られており、これはまたそれらの抗ヒスタミンの性質を開示している。これらの化合物は有用な薬理学的性質を有している。特にこれらは抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、気管支拡張薬、及び抗痙攣薬として有用である。
【0003】
或る文献はまた、対応するラセミ混合物に伴う有害な副作用を避けながら、ヒトにおける病気を治療するための医薬物質の特定の立体異性体の使用を開示している。特に、WO 94/06429及びWO 94/06430として公開された国際特許出願は、ヒトにおける好酸球増加又は高められた好酸球作用により起こされ又はそれらに起因する症状の治療方法を開示している。その方法は(−)立体異性体の実質的に存在しない(+)セチリジンの或る量((+)立体異性体の実質的に存在しない(−)セチリジンの或る量)を、好酸性治療を必要としているヒトに投与することからなっており、前記量は前記好酸球増加又は高められた好酸球作用を緩和するために十分であるがしかし前記有害な作用を起こすには不十分である量である。
【0004】
他方、化合物プソイドエフェドリンは、鼻の充血の緩和に有効な安全な治療薬として認められている交感神経様作用薬として周知である。
医薬物質の組み合わせによってヒトにおける予期しない有害な副作用が誘発される場合があるので、それらは常に注意して取り扱わなければならないことは当業者に周知である。或る場合において、それらはまた、各々の医薬物質を単独で摂取した治療の効率よりも低い治療効率を生じさせる。
【0005】
例えば花粉に伴うアレルギー性鼻炎−結膜炎のようなアレルギー疾患の治療において抗ヒスタミン薬と充血除去薬と組み合わせた場合、治療の全体的効率を増大、即ちくしゃみ、鼻漏、鼻閉、流涙、鼻の及び眼の痒みの症状が存在しないか、あっても穏やかであるように全体的治療期間中のパーセンテージを増大させるだけではなく、不眠及び頭痛のような起こりうる有害な副作用を避けるために注意を払わなければならない。
【0006】
幾つかの特許出願は、ヒトにおける種々の病気を考慮して、特定の量で医薬物質の二重及び/又は三重に組み合わせることを既に開示している。特に、英国特許第2,311,940号及びヨーロッパ特許出願0,811,374号は、セチリジン及びプソイドエフェドリンを含む医薬組成物を開示しており;米国特許第6,171,618号は即時放出成分としてセチリジン及び制御された放出成分としてプソイドエフェドリンを含有し、プソイドエフェドリンの一部分を即時放出成分として導入することができる薬剤投与型を開示している。
【0007】
国際特許出願WO 98/41194号は経口的に投与でき、第1活性物質を即時放出し、同物質又は第2活性物質の延長された放出を可能にする医薬組成物をより詳しく開示している。その組成物は:
A.投与後に活性物質の即時放出を可能にする前記活性物質及び賦形剤を含む少なくとも1つの層;
B.同物質又は第2活性物質の制御された放出を可能にする少なくとも1つの第2層であって、この層は不活性マトリックス、親水性マトリックス、脂質マトリックス、不活性マトリックスと脂質マトリックスとの混合物、親水性マトリックスと不活性マトリックスとの混合物から選ばれた少なくとも1種の賦形剤を、組成物の合計重量に対して5〜60重量%含み;そして生理学的pH条件下に、水相に可溶性である少なくとも1種のアルカリ化剤を、組成物の合計重量に対して5〜50重量%含む医薬組成物である、前記第2層、
からなる。
【0008】
アルカリ化剤の存在により、この組成物は良好な安定性プロフイールを示した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
今や、そのような医薬組成物が、アルカリ化剤を5%未満加えることにより、又はアルカリ化剤の不存在下に、造られることが驚くべきことに見い出された。
アルカリ化剤を5%より多く含有する医薬組成物は1日に一回の放出投与を示すが、本発明の方法では1日に2回投与のゆっくりとした特定の放出(12時間)を有する錠剤が得られた。
【0010】
より低い量のアルカリ化剤が加えられた事実にもかかわらず、本発明の錠剤はまた良好な安定性プロフイールを示した。
したがって、本発明の目的は、ヒトにおける種々の病気を治療するための医薬物質の有用な組み合わせであって、治療中の副作用を避けつつ各々の物質の単独の効率を増大させることができる組み合わせを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、当該の治療が鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状及びインフルエンザ様症状のために必要とされるような治療である場合に医薬物質のそのような有用な組み合わせを提供することである。
【0012】
本発明は、ヒトにおける鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状及びインフルエンザ様症状から選ばれた病気を治療する方法を包含し、その方法はそのような治療を必要とするヒトに、プソイドエフェドリン、個々の光学異性体又はそれらの医薬的に許容出来る塩の有効量と、セチリジン、個々の光学異性体又はそれらの医薬的に許容できる塩の有効量とを含む錠剤を投与することからなる。
【0013】
本明細書において用いられるものとして“ヒトにおける鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状及びインフルエンザ様症状から選ばれた病気を治療するための方法”と言う用語は、くしゃみ、鼻漏、鼻閉塞、鼻の及び眼の痒み、流涙、等の症状からの緩和を提供することを意味する。
【0014】
セチリジンに関して本明細書において用いられるものとして“医薬的に許容できる塩”と言う用語は、酢酸、くえん酸、こはく酸、アスコルビン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸、等の非毒性の有機及び無機酸とのそれらの付加塩ばかりでなく、それらの金属塩(例えばナトリウム又はカリウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩及びアミノ酸塩もまた意味する。
プソイドエフェドリンに関して、本明細書において用いられるものとして“医薬的に許容できる塩”と言う用語は、即ちその塩酸塩、硫酸塩及び均等な非毒性の塩を意味する。
【0015】
本明細書において用いられるものとして“個々の光学異性体”を言う用語は、分子が不斉の中心を有する場合、その左旋性鏡像異性体及び右旋性鏡像異性体を意味する。当業界において周知であるように、そのような鏡像異性体の精製は選択された化合物の製造方法、及び出発物質の光学的純度に依存して、かなり難しい方法である。それ故に、本明細書において用いられるものとして“個々の光学異性体”と言う用語は、前記化合物が、前記個々(右旋性又は左旋性)の光学異性体を少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及び他の個々(それぞれ左旋性又は右旋性)の光学異性体を多くとも10重量%、好ましくは多くとも5重量%からなることを意味する。各々個々の光学異性体は、英国特許出願第2,225,321号において開示されているような慣用の手段を用いることによりそのラセミ混合物から得ることができる。さらに各々個々の光学異性体は米国特許第4,800,162号及び同第5,057,427号において開示されているような酵素的生触媒作用分割によりラセミ混合物から製造することができる。
【0016】
セチリジンのための好ましい化合物は、2−〔2−〔4−〔(4−クロロフェニル)フェニルメチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕−酢酸のラセミ化合物、及びセチリジン二塩酸塩として周知であるその二塩酸塩、そしてその左旋性及び右旋性鏡像異性体(レボセチリジン及びデキストロセチリジン)である。
本出願において、本明細書おいて用いられるものとして“プソイドエフェドリン”と言う用語は、プソイドエフェドリンそれ自体、個々の光学異性体又はそれらの医薬的に許容できる塩を意味する。
【0017】
本出願において、“セチリジン”と言う用語はセチリジンそれ自体(2−〔2−〔4−〔(4−クロロフェニル)フェニルメチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕−酢酸のラセミ化合物)、個々の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、又はそれらの医薬的に許容できる塩を意味する。
【0018】
特定の態様において本発明は、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤であって、その1つの区分が主としてセチリジンを活性成分として含み、その第2の区分が主としてプソイドエフェドリンを活性成分として含み、前記区分は得られた錠剤がプソイドエフェドリンとのセチリジンの反応により形成される不純物を実質的に有しないような方法で構成され且つ形成されており、但し錠剤がその錠剤の合計重量に対して5重量%未満でアルカリ化剤を含むことを条件としている、前記錠剤に関する。
【0019】
第2の態様において、本発明は少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤であって、その1つの区分は主としてセチリジンを活性成分として含み、その第2の区分は主としてプソイドエフェドリンを活性成分として含み、前記区分はセチリジン及びプソイドエフェドリンの薬物動態学プロフィールが、各々同じ量で単独活性成分として含有する薬剤投与型におけるのと実質的に同じであるような方法で構成され且つ形成されている、前記錠剤に関する。
【0020】
“区分(segment)”と言う用語は、活性医薬及び1種又はそれ以上の医薬的に許容できる賦形剤を含有する別個(discrete)の容量の医薬組成物を意味する。錠剤の1区分は例えば複数層錠剤の1層(即ち二層錠剤の1層)、又は錠剤のコア、又は錠剤のコアを全体的に又は部分的に被っているコーテイングであることができる。
“実質的に有しない”は、5重量%未満、好ましくは3重量%未満を意味する。さらに好ましくは、本発明者は、0.5重量未満、さらに0.2重量%未満を意味する。
【0021】
好ましくは、本発明に従う錠剤において、プソイドエフェドリン区分はセチリジンを実質的に有せず、それによりプソイドエフェドリン区分は、セチリジン区分含有量が5%未満、好ましくは3%未満、さらに好ましくは0.5%未満であることを意味する。好ましくは本発明に従う錠剤において、セチリジン区分はプソイドエフェドリンを実質的に有せず、それによりセチリジン区分は、プソイドエフェドリン区分含有量が5%未満、好ましくは3%未満、さらに好ましくは0.5%未満であることを意味する。
【0022】
本発明に従えばプソイドエフェドリン区分とセチリジン区分との界面の表面積は180mm2未満、好ましくは約20〜約150mm2である。界面面積は、錠剤のタイプ(円形、楕円形、正方形、長円形.....)及び接触のタイプがどんなものであれ、2つの区分間の計算された接触表面を意味する。
【0023】
本発明の他の態様において、錠剤は障壁(バリヤー)区分をさらに含んでおり、前記障壁区分はセチリジン区分とプソイドエフェドリン区分とを分離する。障壁区分は当業者に既知の材料を含んでいる。
本発明の他の態様において、プソイドエフェドリン区分は、プソイドエフェドリン区分の合計重量に対して5重量%未満でアルカリ化剤を含む。
【0024】
本発明に従って用いられるアルカリ化剤は、好ましくは生理学的pH条件下に水性相中に可溶性であるべきである。アルカリ化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、及び燐酸塩、ほう酸ナトリウム、ならびに有機酸の塩基性塩(例えばくえん酸ナトリウム)から選ばれる。他方、二塩基性燐酸カルシウムのような生理学的pH条件下に水中に可溶性でない塩は本発明にしたがって適当ではない。
本発明の他の態様において錠剤は複数のプソイドエフェドリン区分を含む。
【0025】
好ましくは、錠剤のセチリジン区分は、圧縮コーテイングの形にあるか又は別法としてスプレーコーテイングの形にある。“圧縮コーテイング”と言う用語は、第2の錠剤の圧縮の部分として利用される小さな錠剤を意味し、そしてその場合にその小さな錠剤は中心に殆ど配置され、粉末の残りは圧縮されて外側に配置されている。“スプレーコーテイング”と言う用語は、活性物質を含有するコーテイング調剤を用いての錠剤の上塗りコーテイングを意味する。
【0026】
好ましくは、錠剤のプソイドエフェドリン区分は、重量によりプソイドエフェドリンそれ自体の0.75〜4.5倍の量、さらに好ましくは1〜3倍の量で不活性医薬賦形剤を含有する。
好ましくは錠剤のセチリジン区分は重量によりセチリジンそれ自体の5〜30倍の量、さらに好ましくは10〜20倍の量で不活性製薬賦形剤を含有する。
【0027】
存在する不活性医薬賦形剤の合計量の、すべての活性成分の合計の総計量に対する比は、重量により2〜6である。最良の結果は約3の比で得られた。
本発明に従う錠剤において、プソイドエフェドリンの、セチリジンに対する重量比は、12〜30である。最良の結果は約24で得られた。
【0028】
好ましい錠剤において、プソイドエフェドリン区分はプソイドエフェドリンの約108〜132mg、好ましくは120mgを含み、そしてセチリジン区分はセチリジンの約4.5〜5.5mg、好ましくは5mgを含む。
本発明の好ましい態様において、プソイドエフェドリン区分は遅延放出配合物である。“遅延放出”は、USP装置1(37℃、100RPM)における500mlの水(HCl 0.1N)中に、1時間に20〜60%の放出、そして6時間において70%より大の放出であるか、あるいは2時間において40〜80%の放出、そして6時間において70%より大の放出を意味する。
【0029】
本発明の好ましい態様においてセチリジンは即時放出形である。“即時放出”は、USP装置1(37℃、100RPM)における500mlの水(HCl、0.1N)中に、30分において70%より多くの放出を意味する。
錠剤の重量は200〜800mg、好ましくは300〜600mgである。
【0030】
好ましくは本発明に従う錠剤はヒト患者に投与されたときに、二塩酸塩セチリジン即時放出錠剤を同じセチリジン投与量で同じヒト患者に投与したときに観察されるセチリジン血漿濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%であるセチリジン血漿濃度対時間曲線の下のセチリジン面積を与えるセチリジンの量を含む。
【0031】
好ましくは本発明に従う錠剤はヒト患者に投与されたときに、プソイドエフェドリン持続放出錠剤を同じヒト患者に投与したときに観察されるプソイドエフェドリン血漿濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%であるプソイドエフェドリン血漿濃度対時間曲線の下のプソイドエフェドリン面積を与えるプソイドエフェドリンの量を含む。
【0032】
この発明のプソイドエフェドリン/セチリジン薬剤投与型は、別々のプソイドエフェドリン及びセチリジン対照配合物の投与から生ずる水準に等価であるプソイドエフェドリン及びセチリジン血液又は血漿水準を提供する。
適当な120mgのプソイドエフェドリン対照配合物は商標名SUDAFED12時間錠剤(2001フィジシャン デスク リファレンスにおいて記載されているワーナー−ランバート コンシュマー製品)下に販売されている製品である。適当なセチリジン対照配合物はユセベS.A.(UCB,S.A.)及びファイザーにより販売の5mg即時放出セチリジン(ZYRTECR)である。
【0033】
インビボ等価性を試験するために、以下の試験が行われる。少なくとも12人の健康なヒト被検者を2つのグループに分ける。1つのグループはこの発明のプソイドエフェドリン/セチリジン薬剤投与型が経口的に投与され、そして他のグループはSUDAFED 12時間120mg長円形錠剤(又は当量)及び商標名ZYRTEC錠剤下に販売されている5mg製品が投与される。血液は投与後規則正しい時間で被検者から集められ、そして血漿が調製される。
HPLC又はLC/MS又はLC/MS/MS分析試験が各々のサンプルにおけるプソイドエフェドリン及びセチリジンの濃度を測定するために用いられる。
【0034】
約1週間後、プソイドエフェドリン/セチリジン薬剤投与型を始めに受け入れた被検査者は、今度は、プソイドエフェドリン対照及びセチリジン対照が投与される。プソイドエフェドリン対照及びセチリジン対照を始めに受け入れた被検者は今度はプソイドエフェドリン/セチリジン組み合わせ薬剤投与型が投与される。プソイドエフェドリン及びセチリジンの血漿濃度が測定される。各々の被検者について、血漿プソイドエフェドリン対時間のプロットが作成され、そして血漿セチリジン対時間のプロットが作成される。
【0035】
セチリジンCMAXは最大セチリジン血漿濃度である。各々の被検者について、組み合わせ薬剤投与型についてのセチリジンCMAXは即時放出セチリジン対照についてのCMAXにより割り算され、そして平均のCMAX比が決定される。本発明のプソイドエフェドリン/セチリジン薬剤投与型は、0.8〜1.25の平均CMAX比を提供する。
【0036】
血漿セチリジン濃度対時間曲線の下の面積(AUC)は、組み合わせ薬剤投与型及びセチリジン対照錠剤について決定される。各々の被検者について、組み合わせ薬剤投与型についてのAUCは即時放出セチリジン対照についてのAUCにより割り算され、そして平均AUC比が決定される。
【0037】
この発明のプソイドエフェドリン/セチリジン平均薬剤投与型は0.8〜1.25の平均AUC比を提供し、そしてまた90%信頼区間は0.8〜1.25である。
プソイドエフェドリンについての平均AUC比は同様に得られる。この発明のプソイドエフェドリン/セチリジン薬剤投与型は0.8〜1.25の平均プソイドエフェドリンAUC比を提供しそしてまた90%信頼区間は0.8〜1.25である。
【0038】
セチリジン及びプソイドエフェドリンの血漿分析は、以下のとおりである。セチリジン及びプソイドエフェドリン薬物動態学の分析のために、最少5mlの血漿(2.5mlの2つの部分)を提供するために十分な血液を、以下の時間でヘパリン添加管中に集める:0(投与直前)、投与後0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、24時間、36時間及び48時間。調査員の判断で、被検者は9日及び25日に12時間後サンプルを放出することができる。サンプルは約4℃で遠心分離され、そして血漿は収集の1時間以内に−20℃で、適当に標識がつけられたスクリュウカップされたポリプロピレン管中に貯蔵される。各々個々の被検者からのサンプルはその被検者のための包装容器として貯蔵される。
【0039】
AUCは、曲線の下の面積を表す。Cmaxは検出された最大濃度を表し、そしてTmaxはCmaxを得るために必要な時間を表す。
本発明に従う錠剤において、存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが25未満の流動指数を有するように選ばれる。“流動指数”により、本発明者はサンプルが3つ(ハンソンリサーチコーポレーション チャッツワースからの装置)からの3つの試験を通過する最も小さな孔の直径に相当する流動性指数と理解している。
【0040】
粒子寸法測定は、以下の条件下に移動する空気噴射(エアジェット)により行われる:ASTM E11に従う個々のふるい、10gの物質、用いられる装置はAlpine空気噴射ふるい、低い圧力、好ましくは100〜300mH2Oの間の250mmH2Oが用いられ、ふるいかけ期間は5分間そして助剤は10gの物質当たり0.30gの帯電防止剤、好ましくはAerosil R972(デグッサ製)である。
【0041】
本発明に従う錠剤において、存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが30ml未満の沈降する能力を有するように選ばれる。沈降する能力(V10〜V500)は、ヨーロッパ薬局法(Eur.Pharm.)2.9.15に従って測定される。
好ましくは本発明に従う錠剤において、その中に存在するプソイドエフェドリンの10%以下が100μm未満の粒子寸法を有する。さらに好ましくはプソイドエフェドリンの粒子寸法は粒子の少なくとも95%が500μm未満であり、そして15%以下が106μm未満であるようなものである。
【0042】
最良の結果は、プソイドエフェドリンが結晶である錠剤を用いて得られた。
本発明の好ましい態様に従う錠剤は親水性重合体としてメチルセルロースエーテル誘導体、好ましくは置換されたヒドロキシル化メチルセルロースを含む。
メチルセルロースエーテル誘導体の粘度はセルロース誘導体モノグラフにおいて記載された方法、ヨーロッパ薬局法(Eur.Pharm.)に従って、又はUSP法nO<911>に従って測定される。
【0043】
最良の結果はヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシル:19〜24%、ヒドロキシプロピル:7〜12%)、(塩化物は最大0.5%;11000〜21000mPa(=cP)の見掛け粘度を有し;そして粒子寸法は最少90%<100メッシュ)である商標名Methocel K15MCRで販売されている製品を用いて得られた。
好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の、プソイドエフェドリンに対する比は重量で0.5〜2である。
【0044】
本発明の好ましい態様に従う錠剤において、セチリジン含有区分はまた、好ましくはセチリジン区分の5重量%未満の範囲、最も好ましくは1〜5重量%の範囲で崩壊剤を含有する。適当な崩壊剤の例はグリコール酸澱粉ナトリウム、ナトリウムクロスカルメロース(crosscarmelose)(架橋されたカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン誘導体、クロスポビドン(crospovidone)(ポリプラスドン(polyplasdone)XL、PLP XL)である。最良の結果は架橋されたカルボキシメチルセルロース崩壊剤を用いて得られた。
【0045】
錠剤の好ましい態様において、セチリジン区分は400未満の分子量を有するポリヒドロキシル化合物を包含する賦形剤を含有する。好ましくはポリヒドロキシル化合物は糖類である。最も好ましくは糖類はラクトースである。
本発明のさらに好ましい態様は、1つの層であるセチリジン区分及び1つの層であるプソイドエフェドリン区分である、二層錠剤である錠剤である。好ましくはプソイドエフェドリン層の、セチリジン層に対する重量比は0.25〜10、最も好ましくは2〜6である。
【0046】
好ましい態様において、該2つの層の各々の外側面は異なる形を有している。好ましくはその錠剤は複数の半径、最も好ましくは3つの半径の湾曲を有する、プソイドエフェドリン層である第1の面を有する。好ましくはその錠剤は、1つの半径の湾曲を有する、セチリジン層である第2の面を有する。湾曲の半径はアメリカン ファーマシュウチカル アソシェーションにおいて規定されており(錠剤化仕様マニュアル第4版第45頁〜第46頁、ワシントンDC 20037−2985,NWコンスチチューション アベニュー2215);カップ半径は錠剤の直径、小さい軸又は大きい軸を横切って錠剤の中心線(中間点)から形成された1つの円弧である;カップ半径はカップのプロフィールを形成する;カップはパンチチップの末端でのくぼみ又はへこみである;大きい軸は形作られた錠剤の長さであり、小さい軸は形作られた錠剤の幅である。
【0047】
錠剤は追加のコーテイング層を含むことができる。別法において、そのコーテイング層は味隠蔽剤として働くことができる。適当な味隠蔽剤の例はセルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース)、ビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル)、アクリル性及びメタクリル性誘導体(EudragitsR)、マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール類、天然樹脂(ゼイン、ガム類)である。
【0048】
錠剤はまた、賦形剤として若干の医薬的に許容できる充填剤を含有することができる。適当な充填剤の例は澱粉及び誘導体類、ラクトース、マンニトール、スクロース、グルコース、ソルビトール、燐酸カルシウム、マルトデキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール類、微結晶セルロース、有機酸類である。
本発明の好ましい態様において、錠剤は湿気及び酸素保護包装用材料中に包装される。
【0049】
本発明の好ましい態様に従う錠剤において、プソイドエフェドリン区分は、不活性マトリックス、親水性マトリックス、脂質マトリックス、不活性マトリックスと脂質マトリックスとの混合物、親水性マトリックスと脂質マトリックスとの混合物、親水性マトリックスと不活性マトリックスとの混合物から選ばれた少なくとも1種の賦形剤を含む。
本発明の好ましい態様に従う錠剤は不活性、親水性及び親油性マトリックスから選ばれたマトリックス賦形剤を含む。
【0050】
本発明に従って用いられることができる不活性マトリックスの例は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート類、ポリアミド類、シリコーン類、エチルセルロース、ポリスチレン、等である。
【0051】
本発明に従って用いられることができる親水性マトリックスの例は、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、等)、非セルロース性多糖類(ガラクトマンナン、グァガム、イナゴマメガム、アラビアガム、カラヤガム、寒天、アルギン酸塩、等)、及びアクリル酸重合体(カルボポール(carbopol)934P及び974P、等)である。本発明に従って好ましく用いられる親水性マトリックスは、商標名METHOCEL K又はE下に販売されている化合物のようなヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0052】
本発明に従って用いられることができる脂質マトリックスの例は、グリセリド類(モノ−、ジ−又はトリグリセリド;ステアリン、パルミチン、ラウリン、ミリスチン、水素添加ひまし油又は綿実油、プレシロール(precirol)、等)、脂肪酸類及びエルコール類(ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリル(cetostearyl)アルコール、等)、脂肪酸エステル類(プロピレングリコールのモノステアリン酸エステル、スクロースのモノステアリン酸エステル、ジステアリン酸スクロース、等)及びワックス類(白蝋、マッコウ鯨蝋、等)である。
【0053】
上記成分に加えて、本発明に従う錠剤はまた、希釈剤(例えばエムコンプレス(Emcompress)、ラクトース、等)のような他の賦形剤、結合剤(アビセル(Avicel)、澱粉、ポリビニルピロリドン、等)、崩壊剤(澱粉、変性澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体、ペクチン類、等)、潤滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイドシリカ、等)、味隠蔽剤(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及びそれらのアルキル化誘導体)、香味料又は着色剤、ならびにコーテイング剤(例えばセルロース誘導体、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ナイロン、等)を含有することができる。
【0054】
本発明の治療方法を実施するために上に記載された錠剤はセチリジン及びプソイドエフェドリンの有効量を含有すべきである。有効量は、慣用の技術の使用により、そして類似の状況下に得られた結果を観察することにより容易に決定することができる。有効な量を決定するにあたって、患者の人種、患者の大きさ、年齢、及び一般的な健康;関係している特定の病気、病気の程度あるいは病気の複雑さ又は重症度;個々の患者の応答性;投与される特定の化合物;投与の様式;投与される製剤の生体内利用性能特性;選択された投与量規則;同時に行っている薬物治療の使用;を包含するがしかしそれらに限定されない多くの要因が考えられる。
【0055】
さらに、錠剤中のセチリジン及びプソイドエフェドリンのそれぞれの割合は、前記錠剤が好ましくはセチリジンの約0.25〜約2.5重量%及びプソイドエフェドリンの約10〜約45重量%を含むような割合であるべきである。
【0056】
本発明に従う錠剤は、即ち経口経路で、錠剤を有効な量で生体内利用を可能にする任意の形又は様式で患者に投与されることができる。配合物を造る当業者は治療されるべき病気の状態の特定の特性、病気の段階、及び他の関連する状況に依存して投与の適当な形及び様式を容易に選ぶことができる。
【0057】
本発明の錠剤は少なくとも1種の医薬的に許容できる賦形剤を含み、その賦形剤の割合及び種類は、選ばれた錠剤の溶解度及び化学的性質、投与の選ばれた経路及び標準の医薬的慣習により決定される。
【0058】
さらに特定的には、本発明は1種又はそれ以上の医薬的に許容できる賦形剤と一緒に、上記活性な化合物の治療的に有効な量から本質的になる医薬組成物を意図している。
【0059】
賦形剤材料は、活性な成分のための使薬又は媒体として役に立つことができる固体又は半固体材料であることができる。適当な賦形剤材料は当業界に周知である。本発明の医薬錠剤は、経口使用のために適合化されることができ、そして錠剤又はカプセルの形で患者に投与されることができる。
【0060】
賦形剤材料は、投与の意図した形及び従来からの医薬慣習との一致性に関して適当に選ばれるべきであろう。例えば錠剤又はカプセルの形での経口投与のために、治療的に活性な医薬成分は、ラクトース又は澱粉のような任意の経口非毒性の医薬的に許容できる不活性賦形剤と組み合わされることができる。随意的に、本発明の医薬的錠剤はまた、微結晶セルロース、トラガカントガム又はゼラチンのような結合剤、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、コロイド状二酸化珪素のようなグリダント(glidant)、スクロース又はサッカリンのような甘味料、着色剤あるいはペパーミント又はサリチル酸メチルのような芳香剤を含有する。
【0061】
それらの容易な投与の故に、錠剤は最も有利な経口投与単位形を示す。所望に応じて、錠剤は糖類、セラックニス(shellac)又は他の腸溶性コーテイング剤を用いての標準の水性又は非水性技術によりコーティングされることができる。望ましくは、各々の錠剤又はカプセルは活性成分の約15mg〜約300mgを含有する。
【0062】
本発明に従う錠剤は当業者に知られている種々の方法にしたがって造られることができる。
本発明はまた、鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状、インフルエンザ様症状、及びアレルギー性鼻炎に伴う病気又は症状を防止し又は治療するための、そして鼻充血、季節鼻炎、くしゃみ、鼻漏、鼻の及び眼の痒み、眼の発赤、流涙、くしゃみ、の緩和のための、医薬の製造のために上記錠剤の使用に関する。
【0063】
本発明はまた、鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状、インフルエンザ様症状及びアレルギー性鼻炎を伴うヒト及び哺乳動物の病気を防止し又は治療するための方法、そして鼻の充血、季節鼻炎、くしゃみ、鼻漏、鼻の及び眼の痒み、眼の発赤、流涙、くしゃみの緩和のための方法に関する。
【実施例】
【0064】
本発明は、本発明の錠剤、ならびにそれらの使用を詳細に記載する以下の例に言及することによりさらに規定される。
【0065】

例 1
二層錠剤のプソイドエフェドリン遅延放出区分の組成
段階1の開放された、ランダム化されたパイロット研究は、実験的120mg持続放出区分プソイドエフェドリン配合物(表1)の経口生体内利用性能を比較した。

表 1
錠剤A及びBの組成
成分
プソイドエフェドリン.HCl 120 120
HPMC(a) − 120
HPMC(b) 200 −
微結晶セルロース 74 55.5
コロイド状二酸化珪素 2 1.5
ステアリン酸マグネシウム 4 3

【0066】
HPMC(a)は、USPモノグラフ ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおいて規定されたとおりの11250〜21000mPA(=cP(センチポアズ))の見掛け粘度を有する化合物ヒドロキシプロピルメチルセルロースを表す。
HPMC(b)は、80000〜120000mPA(=cP)の見掛け粘度を有する化合物ヒドロキシプロピルメチルセルロースを表す。
【0067】
目的は、8人の健康な男性被検者において1日2回与えられた実験持続放出配合物と即時放出基準錠剤(60mg)との経口生体内利用性能を比較することであった。
【0068】
主な薬物動態学的パラメータを表2に挙げる。

表 2
8人の健康なボランティアにプソイドエフェドリンの120mgの
経口投与後の主な薬物動態学テキパラメータ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処置 参照 A B
Cmax(ng/mL) 391 259 295
Tmax(時間) 1.5 5 5
AUC(ng.時間/mL) 3877 3943 4249

【0069】
明らかな遅延放出プロフィルを示した2つの実験配合物(A及びB)は参照用の配合物に対して生物学的等価性であった。
B配合物は、配合物Aと比較された曲線においてそのより長い水平域時間が与えられたプソイドエフェドリン層としてさらに進展させるために選ばれた
【0070】
例 2
錠剤B区分についての溶解プロフィールのpH依存性
プソイドエフェドリンの溶解プロフィールを種々のpH(水、HCl=0.1N、pH=4.5、6.8及び7.5、USP24装置1、100rpm、37℃)で評価した。結果を表3に示す。
【0071】

表 3
種々のpHでの錠剤B区分のインビトロ溶解データ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
時(時間) 水 HCl 0.1N pH4.5 pH6.8 pH7.5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
0 − − − − −
1 44.1 39.4 39.6 40.4 41.4
2 62.1 57.0 58.0 58.2 59.4
3 74.9 68.5 70.1 70.8 70.5
4 84.0 77.9 79.0 79.6 79.2
6 92.7 89.3 92.3 90.8 90.6
8 97.8 97.3 96.7 96.7 96.2
12 − 105.3 101.2 100.9 99.9
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
結果はpH依存性インビトロ溶解を示す。

【0072】
例 3
セチリジン.HCl/プソイドエフェドリン.HCl 5mg/120mg二層錠剤のインビトロ溶解
コーテイングされたセチリジンHCl/プソイドエフェドリンHCl二層錠剤を造った。
プソイドエフェドリンの粒子寸法は、粒子の少なくとも95%が500μm未満であり、そして15%以下が106μm未満であるような粒子寸法である。
【0073】
これらの錠剤の配合を表4に示す。

表 4
5mg/120mgフイルムコーテイングされたセチリジンHCl/プソ
イドエフェドリンHCl錠剤の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
mg/錠剤
コアの第1層:
プソイドエフェドリンHCl 120
HPMC(a) 120
微結晶セルロース 57
コロイド状二酸化珪素 1.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
コアの第2層:
セチリジンHCl 5
ラクトース一水和物 43.23
微結晶セルロース 19.15
クロスカルメロースナトリウム 1.40
コロイド状二酸化珪素 0.52
ステアリン酸マグネシウム 0.70
コーテイング材料: オパドリホワイト 11.10
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【0074】
製品のオパドリホワイト(Opadry white)は水性フイルムコーテイングのための重合体の組み合わせ物(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレングリコール400)である。
各々のコア層の成分は別々に混合され、次に二層回転錠剤プレスにおいて圧縮される。次に錠剤はオパドリでコーテイングされる。
【0075】
錠剤は、複数の半径の湾曲(radii of curvature)を有するプソイドエフェドリン層である第1面を有する。その錠剤は、1つの半径の湾曲を有するセチリジン層である第2面を有する。
プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分との界面表面積は、約78.5mm2である。錠剤の直径は約10mmである。
【0076】
錠剤は湿気及び酸素保護包装用材料中に包装される。
プソイドエフェドリン及びセチリジンの溶解プロフイールは、例2において記載された方法(媒体 HCl=0.1N)を用いて、評価される。結果を表5に示す。
【0077】

表 5
5mg/120mgフイルムコーテイングされたセチリジンHCl/プソイド エフェドリンHCl二層錠剤のインビトロの溶解データ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
溶解された医薬のパーセンテージ
時間(時間) プソイドエフェドリンHCl セチリジンHCl
0.25 16 88
0.50 26 94
0.75 33 95
1 40 97
4 81 99
8 97 99
12 100 99
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【0078】
結果は、(例2の結果と同様の)プソイドエフェドリンHClの遅延放出及びセチリジンHClの即時放出を示す。
溶解試験は、USP装置1、容量500ml、速度100rpm、37℃で行われる。
安定性試験は、セチリジン区分がプソイドエフェドリンを実質的に有せず、そしてプソイドエフェドリン区分がセチリジンを実質的に有しない(0.2重量%未満)ことを示している。
【0079】
本願の好ましい態様は下記のようなものである。
1. 1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤において、前記区分は得られた錠剤がプソイドエフェドリンとのセチリジンの反応により形成された不純物を実質的に有しないような方法で構成され且つ形成され、但しその錠剤がアルカリ化剤を、錠剤の合計重量に対して5重量%未満で含むことを条件とする、上記錠剤。
2. 1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤において、前記区分はセチリジン及びプソイドエフェドリンの薬物動態学プロフイールが各々同じ量で単独活性成分として含有する薬剤投与型におけるのと実質的に同じであるような方法で構成され且つ形成されている、上記錠剤。
3. プソイドエフェドリン区分がセチリジンを実質的に有しない、1又は2に記載の錠剤。
4. セチリジン区分がプソイドエフェドリンを実質的に有しない、1又は2に記載の錠剤。
5. プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分との界面表面関が180mm2未満である、1〜4のいずれか1項に記載の錠剤。
6. 錠剤が、障壁区分をさらに含み、この障壁区分がセチリジン区分とプソイドエフェドリン区分とを分離する、1〜5のいずれか1項に記載の錠剤。
7. プソイドエフェドリン区分が、アルカリ化剤を、プソイドエフェドリン区分の合計重量に対して5重量%未満で含む、1〜6のいずれか1項に記載の錠剤。
8. 錠剤が複数のプソイドエフェドリン区分を含む、1〜7のいずれか1項に記載の錠剤。
9. セチリジン区分が圧縮コーティングの形にある、1〜8のいずれか1項に記載の錠剤。
10. セチリジン区分がスプレーコーティングの形にある、1〜9のいずれか1項に記載の錠剤。
11. プソイドエフェドリン区分が重量によりプソイドエフェドリン自体の量の0.75〜4.5倍の量で不活性医薬賦形剤を含有する、1〜10のいずれか1項に記載の錠剤。
12. セチリジン区分が重量によりセチリジン自体の量の5〜30倍の量で不活性医薬賦形剤を含有する、1〜11のいずれか1項に記載の錠剤。
13. 存在する不活性医薬賦形剤の合計の量の、すべての活性成分の合計総量に対する比が重量で2〜6である、1〜12のいずれか1項に記載の錠剤。
14. プソイドエフェドリンの、セチリジンに対する重量比が12〜30である、1〜13のいずれか1項に記載の錠剤。
15. プソイドエフェドリンの、セチリジンに対する重量比が約24である、14に記載の錠剤。
16. プソイドエフェドリン区分がプソイドエフェドリンの約108〜132mgを含み、そしてセチリジン区分がセチリジンの約4.5〜5.5mgを含む、1〜15のいずれか1項に記載の錠剤。
17. プソイドエフェドリン区分が遅延放出形である、1〜16のいずれか1項に記載の錠剤。
18. セチリジン区分が即時放出形である、1〜17のいずれか1項に記載の錠剤。
19. 錠剤の重量が200〜800mgである、1〜18のいずれか1項に記載の錠剤。
20. 錠剤は、ヒト患者に投与したときに、二塩酸塩セチリジン即時放出錠剤を同じヒト患者に同じセチリジン投与量で投与したときに観察される血漿セチリジン濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%である、血漿セチリジン濃度対時間曲線の下のセチリジン面積を提供するセチリジンの量を含む、1〜19のいずれか1項に記載の錠剤。
21. 錠剤は、ヒト患者に投与したときに、プソイドエフェドリン持続放出錠剤を同じヒト患者に投与したときに観察される血漿プソイドエフェドリン濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%である、プソイドエフェドリン血漿濃度対時間曲線の下のプソイドエフェドリン面積を提供するプソイドエフェドリンの量を含む、1〜20のいずれか1項に記載の錠剤。
22. 存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが25未満の流動指数を有するように選ばれる、1〜21のいずれか1項に記載の錠剤。
23. 存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが30ml未満の沈降する能力を有するように選ばれる、1〜22のいずれか1項に記載の錠剤。
24. 中に存在するプソイドエフェドリンの10%以下が100μm未満の粒子寸法を有する、1〜23のいずれか1項に記載の錠剤。
25. プソイドエフェドリンの粒子寸法は、粒子の少なくとも95%が500μm未満であり、そして15%以下が106μm未満であるようなものである、23又は24に記載の錠剤。
26. プソイドエフェドリンが結晶である、23〜25のいずれか1項に記載の錠剤。
27・ プソイドエフェドリン含有区分がまた、約11,000〜21,000mPaの粘度を有するメチルセルロースエーテル誘導体を含有する、1〜26のいずれか1項に記載の錠剤。
28. メチルセルロースエーテル誘導体が置換されたヒドロキシル化メチルセルロースである、27に記載の錠剤。
29. メチルセルロースエーテル誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、27に記載の錠剤。
30. 該誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシ:19〜24%、ヒドロキシプロピル:7〜12%)(塩化物が最大0.5%;11250〜21000mPaの見掛け粘度を有し、そして粒子寸法が最少90%<100メッシュを有する)である、29に記載の錠剤。
31. ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の、プソイドエフェドリンに対する比が重量により0.5〜2である、27〜30のいずれか1項に記載の錠剤。
32. セチリジン含有区分がまた崩壊剤を含有する、1〜31のいずれか1項に記載の錠剤。
33. セチリジン含有区分がまたセチリジン区分の5重量%未満の範囲で崩壊剤を含有する、32に記載の錠剤。
34. 崩壊剤が架橋されたカルボキシメチルセルロースである、32に記載の錠剤。
35. セチリジン区分が400未満の分子量を有するポリヒドロキシル化合物を包含する賦形剤を含有する、1〜34のいずれか1項に記載の錠剤。
36. ポリヒドロキシル化合物が糖類である、35に記載の錠剤。
37. 糖類がラクトースである、36に記載の錠剤。
38. 錠剤は、セチリジン区分が一層であり、そしてプソイドエフェドリン区分が一層である、二層錠剤である、1〜37のいずれか1項に記載の錠剤。
39. プソイドエフェドリン層の、セチリジン層に対する重量比が0.25〜10である、38に記載の錠剤。
40. 該二層の各々の外側面が、異なる形を有する、38又は39に記載の錠剤。
41. 錠剤が、複数の半径の湾曲を有するプソイドエフェドリン層である第1面を有する、40に記載の錠剤。
42. 錠剤が、1つの半径の湾曲を有するセチリジン層である第2面を有する、40に記載の錠剤。
43. 追加のコーテイング層を含む1〜42のいずれか1項に記載の錠剤。
44. コーテイング層が味隠蔽剤として働く、43に記載の錠剤。
45. 錠剤が湿気保護包装用材料中に包装されている、1〜44のいずれか1項に記載の錠剤。
46. 錠剤が酸素保護包装用材料中に包装されている、1〜45のいずれか1項に記載の錠剤。
47. セチリジン区分がセチリジン二塩酸塩を含む、1〜46のいずれか1項に記載の錠剤。
48. セチリジン区分がレボセチリジンを含む、1〜47のいずれか1項に記載の錠剤。
49. 鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状、インフルエンザ様症状及びアレルギー性鼻炎を伴う病気又は症状を防止するか又は治療するための、そして鼻充血、季節鼻炎、くしゃみ、鼻漏、鼻の及び眼の痒み、眼の発赤、流涙、くしゃみ、の緩和のための医薬の製造のために、1〜48のいずれか1項に記載の錠剤の使用。
【0080】
また、本願の好ましい態様は下記のようなものである。
1. 1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤において、プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分とが直接接し、その界面表面積が180mm2未満である、上記錠剤。
2. 前記区分は得られた錠剤がプソイドエフェドリンとのセチリジンの反応により形成された不純物を実質的に有しないような方法で構成され且つ形成され、但しその錠剤が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及び燐酸塩、ほう酸ナトリウム、ならびに有機酸の塩基性塩から選ばれるアルカリ化剤を、錠剤の合計重量に対して5重量%未満で含むことを条件とする、1に記載の錠剤。
3. プソイドエフェドリン区分がセチリジンを実質的に有しない、1又は2に記載の錠剤。
4. セチリジン区分がプソイドエフェドリンを実質的に有しない、1又は2に記載の錠剤。
5. プソイドエフェドリン区分が、前記アルカリ化剤を、プソイドエフェドリン区分の合計重量に対して5重量%未満で含む、1〜4のいずれか1項に記載の錠剤。
6. 錠剤が複数のプソイドエフェドリン区分を含む、1〜5のいずれか1項に記載の錠剤。
7. セチリジン区分が圧縮コーティングの形にある、1〜6のいずれか1項に記載の錠剤。
8. セチリジン区分がスプレーコーティングの形にある、1〜7のいずれか1項に記載の錠剤。
9. プソイドエフェドリン区分が重量によりプソイドエフェドリン自体の量の0.75〜4.5倍の量で不活性医薬賦形剤を含有する、1〜8のいずれか1項に記載の錠剤。
10. セチリジン区分が重量によりセチリジン自体の量の5〜30倍の量で不活性医薬賦形剤を含有する、1〜9のいずれか1項に記載の錠剤。
11. 存在する不活性医薬賦形剤の合計の量の、すべての活性成分の合計総量に対する比が重量で2〜6である、1〜10のいずれか1項に記載の錠剤。
12. プソイドエフェドリンの、セチリジンに対する重量比が12〜30である、1〜11のいずれか1項に記載の錠剤。
13. プソイドエフェドリンの、セチリジンに対する重量比が24である、12に記載の錠剤。
14. プソイドエフェドリン区分がプソイドエフェドリンの108〜132mgを含み、そしてセチリジン区分がセチリジンの4.5〜5.5mgを含む、1〜13のいずれか1項に記載の錠剤。
15. プソイドエフェドリン区分が遅延放出形である、1〜14のいずれか1項に記載の錠剤。
16. セチリジン区分が即時放出形である、1〜15のいずれか1項に記載の錠剤。
17. 錠剤の重量が200〜800mgである、1〜16のいずれか1項に記載の錠剤。
18. 錠剤は、ヒト患者に投与したときに、二塩酸塩セチリジン即時放出錠剤を同じヒト患者に同じセチリジン投与量で投与したときに観察される血漿セチリジン濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%である、血漿セチリジン濃度対時間曲線の下のセチリジン面積を提供するセチリジンの量を含む、1〜17のいずれか1項に記載の錠剤。
19. 錠剤は、ヒト患者に投与したときに、プソイドエフェドリン持続放出錠剤を同じヒト患者に投与したときに観察される血漿プソイドエフェドリン濃度対時間曲線の下の面積の80%〜125%である、プソイドエフェドリン血漿濃度対時間曲線の下のプソイドエフェドリン面積を提供するプソイドエフェドリンの量を含む、1〜18のいずれか1項に記載の錠剤。
20. 存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが25未満の流動指数を有するように選ばれる、1〜19のいずれか1項に記載の錠剤。
21. 存在するプソイドエフェドリンの粒子寸法は、それが30ml未満の沈降する能力を有するように選ばれる、1〜20のいずれか1項に記載の錠剤。
22. 中に存在するプソイドエフェドリンの10%以下が100μm未満の粒子寸法を有する、1〜21のいずれか1項に記載の錠剤。
23. プソイドエフェドリンの粒子寸法は、粒子の少なくとも95%が500μm未満であり、そして15%以下が106μm未満であるようなものである、21又は22に記載の錠剤。
24. プソイドエフェドリンが結晶である、21〜23のいずれか1項に記載の錠剤。
25. プソイドエフェドリン含有区分がまた、11,000〜21,000mPaの粘度を有するメチルセルロースエーテル誘導体を含有する、1〜24のいずれか1項に記載の錠剤。
26. メチルセルロースエーテル誘導体が置換されたヒドロキシル化メチルセルロースである、25に記載の錠剤。
27. メチルセルロースエーテル誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、25に記載の錠剤。
28. 該誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシ:19〜24%、ヒドロキシプロピル:7〜12%)(塩化物が最大0.5%;11250〜21000mPaの見掛け粘度を有し、そして粒子寸法が最少90%<100メッシュを有する)である、27に記載の錠剤。
29. ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の、プソイドエフェドリンに対する比が重量により0.5〜2である、25〜28のいずれか1項に記載の錠剤。
30. セチリジン含有区分がまた崩壊剤を含有する、1〜29のいずれか1項に記載の錠剤。
31. セチリジン含有区分がまたセチリジン区分の5重量%未満の範囲で崩壊剤を含有する、30に記載の錠剤。
32. 崩壊剤が架橋されたカルボキシメチルセルロースである、30に記載の錠剤。
33. セチリジン区分が400未満の分子量を有するポリヒドロキシル化合物を包含する賦形剤を含有する、1〜32のいずれか1項に記載の錠剤。
34. ポリヒドロキシル化合物が糖類である、33に記載の錠剤。
35. 糖類がラクトースである、34に記載の錠剤。
36. 錠剤は、セチリジン区分が一層であり、そしてプソイドエフェドリン区分が一層である、二層錠剤である、1〜35のいずれか1項に記載の錠剤。
37. プソイドエフェドリン層の、セチリジン層に対する重量比が0.25〜10である、36に記載の錠剤。
38. 該二層の各々の外側面が、異なる形を有する、36又は37に記載の錠剤。
39. 錠剤が、複数の半径の湾曲を有するプソイドエフェドリン層である第1面を有する、38に記載の錠剤。
40. 錠剤が、1つの半径の湾曲を有するセチリジン層である第2面を有する、38に記載の錠剤。
41. 追加のコーテイング層を含む1〜40のいずれか1項に記載の錠剤。
42. コーテイング層が味隠蔽剤として働く、41に記載の錠剤。
43. 錠剤が湿気保護包装用材料中に包装されている、1〜42のいずれか1項に記載の錠剤。
44. 錠剤が酸素保護包装用材料中に包装されている、1〜43のいずれか1項に記載の錠剤。
45. セチリジン区分がセチリジン二塩酸塩を含む、1〜44のいずれか1項に記載の錠剤。
46. セチリジン区分がレボセチリジンを含む、1〜45のいずれか1項に記載の錠剤。
47. 鼻炎、感冒、インフルエンザ、感冒様症状、インフルエンザ様症状及びアレルギー性鼻炎を伴う病気又は症状を防止するか又は治療するための、そして鼻充血、季節鼻炎、くしゃみ、鼻漏、鼻の及び眼の痒み、眼の発赤、流涙、くしゃみ、の緩和のための医薬の製造のために、1〜46のいずれか1項に記載の錠剤の使用。
48. セチリジン及びプソイドエフェドリンの薬物動態学プロフィールが、セチリジンとプソイドエフェドリンを各々同じ量で単独活性成分として含有する薬剤投与型における薬物動態学プロフィールと実質的に同じである、1〜46のいずれか1項に記載の錠剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤であって、プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分とが直接接し、その界面表面積が180mm2未満である上記錠剤。
【請求項2】
1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤であって、プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分とが直接接し、その界面表面積が180mm2未満であり、セチリジンとプソイドエフェドリンとの反応により形成される不純物が5重量%未満である上記錠剤。
【請求項3】
1つの区分が活性成分として主としてセチリジンを含み、そして第2の区分が活性成分として主としてプソイドエフェドリンを含む、少なくとも2つの異なる区分を含む錠剤において、プソイドエフェドリン区分とセチリジン区分とが直接接し、その界面表面積が180mm2未満であり、得られた錠剤はプソイドエフェドリンとセチリジンとの反応により形成された不純物を5重量%未満でしか有せず、プソイドエフェドリン区分がプソイドエフェドリンの108〜132mgを含み、そしてセチリジン区分がセチリジンの4.5〜5.5mgを含み、錠剤の重量が200〜800mgであり、錠剤は、セチリジン区分が一層であり、そしてプソイドエフェドリン区分が一層である、二層錠剤であり;プソイドエフェドリン層の、セチリジン層に対する重量比が0.25〜10である、上記錠剤。

【公開番号】特開2007−176958(P2007−176958A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92969(P2007−92969)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【分割の表示】特願2003−508337(P2003−508337)の分割
【原出願日】平成14年6月10日(2002.6.10)
【出願人】(504000041)ユセベ ファルシム ソシエテ アノニム (9)
【Fターム(参考)】