説明

セパレーテッドスカーフ面の形成方法

【課題】セパレーテッドスカーフ面が精度良く形成できる形成方法を提供する。
【解決手段】適宜形状の切刃を有するカッターの1個又は複数個を、複数個の場合には、相互にカッターn個分(nは、1以上の整数)の間隔を隔てて、回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材(選択図には、図示せず)を、板材10の端部の表裏面に対して斜交状に移動させて、板材10の端部へ適数条の溝10aを限定的(部分的)に形成する動作と、板材10又は溝部分加工部材の少なくともいずれか片方を、適宜距離づつ板材の幅方向へ移動させる動作とを、所望回数だけ交互に繰り返すことにより、所望の断面形状を有する溝10aの所要条数を、板材10の幅方向に対して並列状に形成するに際し、各カッターの左右の空間等を活用して、板材10の端部が拘束できる部材を配設し、溝を形成する時期には、新たに溝が形成される部位の近傍を暫時拘束しながら、限定的に溝を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレーテッドスカーフ面の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無垢板(製材板)、合板、単板積層材、ベニヤ単板、ウエファーボード、パーティクルボード、繊維板等の板材を処理対称とし、接着剤を用いて縦方向(繊維方向と同方向、或はそれに準ずる長手方向)に接合処理(縦矧)する接合手段として、斯界で汎用されている手段は、接合すべき双方の板材の端面を、単純な斜面状のスカーフ面に形成(斜面の傾き、つまり、底辺長さと高さの比は、1/4以下が好ましく、1/8〜1/12がより好ましいとされる)すると共に、少なくともいずれか一方の板材のスカーフ面に、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影面積を覆うに足る矩形の加圧面と、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能とを具備する一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する、所謂、プレーンスカーフ式の接合手段であるが、外にも、数種の接合手段が公知である。
【0003】
而して、別の公知手段の一例として、例えば非特許文献1等に開示される如く、前記プレーンスカーフ式の単純な斜面状の接着面に代えて、V字状(非特許文献1第206頁第17.36図参照)、台形状等の所望の断面形状を有する溝の多数条を、斜めのスカーフ面に並列状に形成し、双方のスカーフ面が互いに噛み合うように重ね合わせて接合する、所謂、セパレーテッドスカーフ式の接合手段が挙げられる。
【0004】
前記セパレーテッドスカーフ式の接合手段は、汎用のプレーンスカーフ式の接合手段に比べて、スカーフ面の形成が極めて煩雑になる難点を有するので、今日に至るまで、斯界に於て実用化された例の伝聞は皆無であるが、例えばプレーンスカーフ式の接合強度と同等の接合強度を充足させるのであれば、プレーンスカーフ式の接着面の勾配に比べて、スカーフ面の勾配を、急に(きつく)できるので、スカーフ面の形成に伴う歩留りの低下率が減少する利点があり、或は例えばスカーフ面の勾配を、プレーンスカーフ式の勾配と同等に設定すれば、接着面積の拡大に比例して、接着力が向上するのみならず、接合面の立体化に伴って、接合部位への曲げ荷重に対する応力の集中化が避けられるので、総じて、接合板材の強度が顕著に向上する利点があり、丈夫な接合板材の形成には、有効な技術の一つであることから、本出願人が、実用化を模索したところ、セパレーテッドスカーフ面を形成する際に、後述する如き不都合が発生し易く、実用化を阻害する要因の一つとなっていることが、本発明の開発過程に於て新たに判明した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】半井勇三著「木材の接着と接着剤」(森北出版株式会社、第5版)第206頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
述上の如き形態のセパレーテッドスカーフ面を形成する手段に関して、具体的に開示された文献類は見当たらないが、最も常識的で簡易な形成手段としては、適宜形状、例えば図22に例示する如く、V字状の切刃13aを有するカッター13を、接合すべき板材の全幅を上回る幅を満たす個数だけ、回転軸12に並列的に嵌装して、多列丸鋸状の溝同時加工部材11を構成し、図21(イ)に例示する如く、図示矢印方向に回転させると共に、図21(ロ)に例示する如く、板材10の端部の表裏面に対して、前記溝同時加工部材11を図示矢印で示した斜交方向に往動させることにより、所望(V字状)の断面形状を有する溝10aの多数条を、板材10の端部の表裏面に対して斜めに、且つ、板材10の幅方向へ並列状に同時形成する手段が挙げられ、甚だ能率的な形成が成し得るが、反面、斯様な形成手段によると、板材10の端部に、反りや捩れや波打ちなどの歪が実在している場合には、該歪が実在している部分に形成される溝10aの形状の精度が、他の板材の端部に正確に形成されている溝と、ぴったり適合しないほど劣化する不都合が発生するので、後で接着剤を介して接合する際に、熱圧処理・冷圧処理等に必要な加圧力が、接着面へ適正に作用し得なくなって、結果的に、接合が不完全となる問題が惹起される。
【0007】
尚、図21に於て、15は、好ましくは硬質合成樹脂・強化木等の如く、剛性に富み、且つ、カッターの切刃の保護性にも優れる材料から成り、前記溝10aの断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝15aの多数条が、予め前記溝同時加工部材11のカッター13aが通過する部位に形成されて成る支持部材(図4参照)であって、少なくとも前記溝同時加工部材11が往動する際には、板材10の一方の面(図示例は下面)に当接する位置に位置することにより、スカーフ面の加工基準位置を定めると共に、前記溝同時加工部材11の切削に伴う、板材10の端部の撓み(下方への撓み)を阻止する。また、20は、複数本の下送りロールであって、適数本の上送りロール(20a、図15参照)との協働により、適時、板材10を加工位置まで縦送りすると共に、少なくとも溝同時加工部材11の往動時には、板材10の縦方向への位置ズレを拘束する。
【0008】
前述の如き不都合の発生を抑制する手段としては、例えば図24に例示する如く、前記溝10aの断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝14aの多数条が、予め前記溝同時加工部材11のカッター13が通過する部位に形成されて成る板押え部材14を、図23(イ)に例示する如く、前記支持部材15の反対側(板材の上面側)に、図示矢印を以って示す如く往復移動可能に備え、図23(ロ)に例示する如く、前記溝同時加工部材11を往動させて、板材10に溝10aを形成する際に、前記板押え部材14を予め稼働(下降)させることにより、支持部材15と板押え部材14とにより板材10の端部付近を上下から拘束して、端部の歪みを押え込む手段が考えられ、本発明の発明者らも実験的に試みてはみたが、前記板押え部材14の最先端による押え位置F2が、スカーフ面の突端F1から常に距離Sだけ離れた状態であるので、歪みの押え込みが不十分(特に上向きの歪み)であり、前記不都合の発生を必要十分に抑制するには至らなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、セパレーテッドスカーフ面を形成するに際し、述上の如き不都合の発生を抑制し得る、有効な形成手段を提供することにより、板材の接合が不完全となる問題が惹起されないように図らんとするものであって、具体的には、板材に所望断面形状の溝を形成し得る切刃を有するカッターの1個又は複数個を、複数個の場合には、相互にカッターn個分(nは、1以上の整数)の間隔を隔てて、回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を回転させつつ、板材の端部近辺に於ける表裏面と斜交方向に移動させることにより、板材の端部へ適数条の溝を限定的(部分的)に形成する動作と、前記溝部分加工部材又は板材の少なくともいずれか片方を、適宜距離づつ(カッターの厚さの整数倍づつ)板材の幅方向へ移動させる動作とを、所望回数だけ交互に繰り返すことによって、板材の端部に、所望の断面形状を有する溝の所要条数を、板材の表裏面に対して斜交状に、且つ、板材の幅方向に対して並列状に形成することを特徴とするセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項1)を、本発明の基礎的な発明として提案する。
【0010】
また、前記基礎的な発明の実施に際し、前記溝の断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝の多数条が、予め前記溝部分加工部材のカッターが通過する部位に形成されて成る支持部材を、板材の端部の表裏いずれか片側の面に当接する位置に位置させると共に、該支持部材を位置させた側の反対側であって、而も、前記溝部分加工部材のカッターが通過する空間の少なくとも左右いずれか一方の傍らに、次回に溝が形成される部位に当接する板面当接面を有して、未だ溝が無い板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する板面押圧部材、又は既存の溝の内面に当接する溝面当接面を有して、溝が在る板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する溝面押圧部材の内の、少なくともいずれか一方の押圧部材を、板材に対して離接可能に配設し、前記溝部分加工部材を稼働させて溝を形成する際には、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材を一緒に稼働させて、溝部分加工部材のカッターが切削する部位の近傍を、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材と前記支持部材とによって拘束することを特徴とするセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項2)と、相互にカッター1個分の間隔を隔てて、溝の所要条数の半数乃至は半数を若干上回る個数のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を1回だけ往復動させて、所要条数の溝の形成を完了して成る請求項2記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項3)と、板面当接面と溝面当接面とを有し、板面押圧部材と溝面押圧部材とを兼用する複合押圧部材を用い、前記両当接面の当接角度が、板材の板面と溝面とに対して変動し得るよう、揺動自在に保持して、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣に位置するよう定置的に配設し、常に溝が形成される板材の部位の両隣りを拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項4)と、板面当接面を有する板面押圧部材と溝面当接面を有する溝面押圧部材とを、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の左右夫々の傍らに、交互に位置するよう定置的に配設し、溝が形成される板材の部位の左右いずれか片側のみを交互に拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項5)と、板面当接面と溝面当接面とを有し、板面押圧部材と溝面押圧部材とを兼用する複合押圧部材を、前記両当接面の当接角度が、板材の板面と溝面とに対して変動し得るよう、揺動自在に保持すると共に、前記両当接面の所在部位を、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣に位置させ、且つ、溝部分加工部材が形成する板材の溝の延在方向に準ずる方向へ往復移動自在に備え、溝部分加工部材の往動及び復動に準じて、所定距離だけ交互に往動及び復動させることにより、常に溝が形成される板材の部位の両隣りを拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項6)と、溝部分加工部材を往復移動させる経路を中心として、板材の前端側に溝を形成する前端側溝形成箇所とは対称的な位置に、板材の後端側に溝を形成する後端側溝形成箇所を設定すると共に、該後端側溝形成箇所へ、前端側溝形成箇所に配設した先記各部材類に類似する所要の部材を配設し、前端側に溝を形成し終えた板材の後端部を、板材の溝の延在方向に対しては、直進性を保って、且つ、板材の溝と直交方向に対しては、溝の幅の半分だけ位置をずらして、前記後端側溝形成箇所に移送し、溝部分加工部材の稼動時に、先行する板材の後端側へも併せて溝を形成するようにして成る請求項1〜請求項6のいずれか一つの項に記載するセパレーテッドスカーフ面の形成方法(請求項7)とを、本発明の応用的な発明として提案する。
【発明の効果】
【0011】
前記請求項1に係る発明の構成によると、適数条の溝を限定的に形成する動作を繰り返して、所要条数の溝を形成するものであるから、所要条数の溝を一度に形成する先記常識的な形成手段に比べて、加工の能率性は劣るものの、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣が、少なくともカッター1個分だけは、開放された状態であるから、該開放された部分に、所望の押圧機能を奏する部材類を備え、板材の端部の表裏いずれか片側の面に当接する位置に位置させた支持部材と協働して、板材の端部を必要十分に拘束することができ、常に安定的に正確な形状の溝を形成することが可能となるので、接着剤を介して接合する際に、熱圧処理・冷圧処理等に必要な加圧力を、接着面へ適正に作用させることができ、接合が不完全となる問題が解消される。
【0012】
而して、常に安定的に正確な形状の溝を形成するには、請求項2に係る発明の如く、前記溝の断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝の多数条が、予め前記溝部分加工部材のカッターが通過する部位に形成されて成る支持部材を、板材の端部の表裏いずれか片側の面に当接する位置に位置させると共に、該支持部材を位置させた側の反対側であって、而も、前記溝部分加工部材のカッターが通過する空間の少なくとも左右いずれか一方の傍らに、次回に溝が形成される部位に当接する板面当接面を有して、未だ溝が無い板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する板面押圧部材、又は既存の溝の内面に当接する溝面当接面を有して、溝が在る板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する溝面押圧部材の内の、少なくともいずれか一方の押圧部材を、板材に対して離接可能に配設し、前記溝部分加工部材を稼働させて溝を形成する際には、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材を一緒に稼働させて、溝部分加工部材のカッターが切削する部位の近傍を、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材と前記支持部材とによって拘束するのが有効である。
【0013】
また、板材の幅が比較的狭い場合には、カッターを1個のみ回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用いて、溝の所要条数と同数だけ、溝部分加工部材を斜交方向に移動させることにより、所要条数の溝を形成するようにしても差支えないが、板材の幅が比較的広い場合には、複数個のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用いて、少数回だけ溝部分加工部材を斜交方向に移動させることにより、所要条数の溝を形成するのが好ましく、特に、請求項3に係る発明の如く、相互にカッター1個分の間隔を隔てて、溝の所要条数の半数乃至は半数を若干上回る個数(板材の幅のバラツキや通過位置の誤差を許容できれば足りるので、1〜2個余分であれば足りる)のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を1回だけ往復動させて、所要条数の溝の形成を完了するのが、最も能率的であって好ましい。
【0014】
また、拘束の安定性からすると、請求項4に係る発明の如く、板面押圧部材と溝面押圧部材とを兼用する複合押圧部材を定置的に備えて、常に溝が形成される板材の部位の両隣りを拘束しながら、溝を形成する態様が好ましいが、必ずしも複合押圧部材の配設に限定するものではなく、請求項5に係る発明の如く、板面押圧部材と溝面押圧部材とを、各カッターの左右へ別個に定置的に備えて、溝が形成される板材の部位の左右いずれか片側のみを交互に拘束しながら、溝を形成するようにしても、実用的に全く問題はない。
【0015】
また、複合押圧部材若しくは板面押圧部材と溝面押圧部材は、必ずしも述上の如く、定置的(板材の押圧位置が変わらない配置)に備える態様に限定するものではなく、板材の溝の延在方向に準ずる方向へ往復移動自在な可動式とすることも可能であり、可動式とする場合には、請求項6に係る発明の如く、複合押圧部材を単体で移動させる方が、構造が比較的簡易である。但し、本発明に於ては、可動式の押圧部材を、必ずしも複合押圧部材に限定するものではなく、板面押圧部材と溝面押圧部材とを別個に備えて、夫々を各別に移動させる態様としても差支えない。
【0016】
また、本発明の実施に際し、必要に応じて、適時、板材を縦方向に反転させると共に、板材の側端面を基準面として、都度、所望の加工基準位置に前記基準面を揃えることにより、板材の前端部と後端部へ別個に溝を形成することも可能ではあるが、請求項7に係る発明の如く、溝部分加工部材を往復移動させる経路を中心として、板材の前端側に溝を形成する前端側溝形成箇所とは対称的な位置に、板材の後端側に溝を形成する後端側溝形成箇所を設定し、前端側に溝を形成し終えた板材の後端部を、前記後端側溝形成箇所へ適切に移送することにより、溝部分加工部材の稼動時に、先行する板材の後端側へも併せて溝を形成するようにすれば、溝の直進性や相対位置の精度が一段と良好に保たれるので、接合板材の定形化や板材の歩留り向上等に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施に適する加工装置の側面説明図である。
【図2】図1の線A―Aに於ける一部破断拡大部分説明図である。
【図3】図1に例示した溝部分加工部材の一部破断拡大正面説明図である。
【図4】図1(及び図21)に例示した支持部材の拡大斜視説明図である。
【図5】図1〜図4に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図6】図5の線B―Bに於ける拡大部分説明図である。
【図7】図1〜図4に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図8】図7の線C―Cに於ける一部破断拡大部分説明図である。
【図9】本発明による板材の加工工程を表した加工工程説明図である。
【図10】本発明の実施に適する別の加工装置の側面説明図である。
【図11】図10に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図12】図10に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図13】本発明の実施に適する更に別の加工装置の側面説明図である。
【図14】図13の線D―Dに於ける拡大部分説明図である。
【図15】本発明の実施に適する更に別の加工装置の側面説明図である。
【図16】図15の線E―Eに於ける拡大部分説明図である。
【図17】図15に例示した可動押圧部材の拡大斜視説明図である。
【図18】図15〜図17に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図19】図15〜図17に例示した加工装置の側面作動説明図である。
【図20】前端側及び後端側の双方に溝を形成した板材の平面説明図である。
【図21】常識的な溝の形成手段の加工工程を表した加工工程説明図である。
【図22】図21に例示した溝同時加工部材の一部破断拡大正面説明図である。
【図23】改良を試みた溝の形成手段の加工工程を表した加工工程説明図である。
【図24】図23に例示した板押え部材の拡大斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、本発明が加工対象とする主たる板材の種類は、木質系ではあっても、先述の如く多種・多様であるので、板材の板面等に現れる木目模様等については、便宜上、図示を省略した。また、本発明の要点を簡便に説明する為に、本発明の実施に適する加工装置を構成する部材についても、必要最少限度の部材の表記に留め、各部材を所望の方向等に稼動させるのに用いる作動機構・作動部材・駆動部材等については、特に制約はなく、公知の作動機構・作動部材等を用いて差支えないことをここに明記して、便宜上、図示を可及的に省略した。更に、実施例等を順々に説明するに際し、既に一度説明した部材については、同じ符号を付して、重複する詳細な説明を省略する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施に適する加工装置の側面説明図であり、図2は、図1の線A―Aに於ける一部破断拡大部分説明図であり、図3は、図1に例示した溝部分加工部材の一部破断拡大正面説明図であり、図4は、図1に例示した支持部材の拡大斜視説明図である。図中、1は、適宜形状、例えば図3に例示する如く、厚さTとV字状の切刃3aとを有するカッター3と、該カッター3の1個分の厚さTを有する間座4とを、接合すべき板材10の全幅を上回る幅を満たす個数だけ、回転軸2に交互に嵌装して成る溝部分加工部材であって、図示しない電動機等から成る駆動部材の駆動を得て、図示矢印方向へ回転駆動せしめられると共に、図示しない直動軸受、リンク機構、鎖伝動機構等を有する作動機構の作動を得て、適時、図1に於て実線と点線とで示す如く、板材10の端部近辺に於ける表裏面と斜交方向へ交互に往復移動すべく備えられており、前記カッター3が通過する板材10の端部に、限定的に複数条の溝10aを形成する。
【0020】
5は、好ましくは硬質合成樹脂・強化木等の如く、剛性に富み、且つ、カッターの切刃の保護性にも優れる材料から成り、前記溝10aの断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝5aの多数条が、予め前記溝同時加工部材1のカッター3aが通過する部位に形成されて成る支持部材であって、少なくとも前記溝同時加工部材1が往動する際には、板材10の一方の面(図示例は下面)に当接する位置に位置すべく定置的に備えられており、スカーフ面の加工基準位置を定めると共に、前記溝同時加工部材1の切削に伴う、板材10の端部の撓み(下方への撓み)を阻止する。
【0021】
7は、後述する複数個の複合押圧部材8の夫々を、図示した側の端部に於て揺動自在に枢支する複数個の支持アームであって、前記溝部分加工部材1の左右両側部に位置するカッター3のすぐ外側と、間座4が嵌装された間隙部分との夫々に、各1個づつ位置する状態にて、支持軸6によって揺動自在に支持されており、図示しない側の端部に連結された流体シリンダ等から成る作動部材(図示省略)の作動を得て、適時、図示矢印で示す如く時計回り方向及び反時計回り方向に揺動せしめられ、板材10の所望の面に、各複合押圧部材8の所要の面(8a、8b)を押圧させる。
【0022】
8は、板面押圧部材の機能と溝面押圧部材と機能とを兼備する複数個の複合押圧部材であって、各々が板材10の板面に於ける次回に溝10aが形成される部位に当接する板面当接面8aと、既存の溝10aの内面に当接する溝面当接面8bとを有し、前記複数個の支持アーム7の夫々に揺動自在に枢支されており、適時、前記支持アーム7が時計回り方向に揺動する都度、板面当接面8aと溝面当接面8bとを介して、未だ溝10aが無い板材10の局部と溝10aが在る板材10の局部とを交互に前記支持部材5に向けて押圧する。
【0023】
9は、前記各支持アーム7と各複合押圧部材8とに連結された複数個の弱い引張りバネであって、常態に於ける前記各複合押圧部材8の姿勢を、実線で示す状態に保つように軽く引っ張ることにより、前記各複合押圧部材8の存在が、板材10の進入を阻害しないように保障する。
【0024】
本発明は、例えば前記の如き構成で成る加工装置を用いて実施することが可能であり、該加工装置の稼動態様を、図5〜図8に例示した加工装置の作動説明図と、図9に例示した板材の加工工程説明図とを併用しながら説明すると、以下の通りである。前記加工装置の起動時には、前記各部材類を、図1に於て実線で示す位置に待機させておき、下送りロール20(及び上送りロール20a、図15参照)を介して、板材10を加工位置(前端部が、溝部分加工部材1のカッター3の往復動軌跡区域内に到達する位置)まで縦送りした後に、送りを停止する。
【0025】
次いで、図5及び図6に例示する如く、図示しない作動部材を介して、前記各支持アーム7を時計回り方向に揺動させることにより、複合押圧部材8の板面当接面8aを、板材10の板面に圧接して、該複合押圧部材8と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束し、更に、図示しない駆動源を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向に回転させると共に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに往動させることによって、図9(イ)に例示する如く、板材10の前端部に、幅TとV字状の断面とを有する溝10aを、距離2T毎に限定的に複数条形成することができる。
【0026】
そして次に、図示は省略したが、適宜形態の横送り機構を介して、板材10を上下から挟持した後に、図示しない作動部材を介して、一旦、各支持アーム7を反時計回り方向に揺動させて、板材10の前端部の拘束を開放(図1、図2に実線で示す状態)し、更に、前記横送り機構を稼動させて、溝部分加工部材1のカッター3の厚さTに相当する距離だけ、板材10を幅方向へ移動させ(図8参照)、然る後に、図7及び図8に例示する如く、図示しない作動部材を介して、再び前記各支持アーム7を時計回り方向に揺動させることにより、複合押圧部材8の溝面当接面8bを、先に板材10に形成した各溝10aの内面に圧接して、該複合押圧部材8と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束し、更に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに復動させることによって、図9(ロ)に例示する如く、先に板材10に形成した各溝10aの隣に、同様の溝10aを限定的に複数条形成することができ、前端側のスカーフ面(セパレーテッドスカーフ面)の形成が完了する。
【0027】
尚、横送り機構の具体例としては、例えば上下対の送りロールを、一体的に板材の幅方向に移動させる構成を採って、横送り機構の機能を兼備させるのが簡便であるが、外に、例えば上下一対の挟持部材、該一対の挟持部材の少なくとも片方を、板材の厚さ方向に変位させる作動部材、該上下一対の挟持部材を、一体的に板材の幅方向に移動させる作動部材等を用いて横送り機構を構成しても差支えなく、横送り機構の態様に格別の限定はない。但し、上下対の送りロールとは別途に、述上の如き横送り機構を備える場合には、板材を幅方向へ移動させる際に、上下対の送りロールによる板材の拘束も併せて開放する必要が生じるので、適当な作動部材を介して、上送りロール側を強制的に若干昇降させる構成を採るのが好都合である。
【0028】
述上の如き溝部分加工部材を用いる形成方法によれば、適数条の溝を限定的に形成する動作を繰り返して(前記実施例は1回の往復動)、所要条数の溝を形成するものであるから、所要条数の溝を一度に形成する先記常識的な形成手段に比べて、加工の能率性は劣るものの、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣が、適宜空隙だけ(前記実施例はカッター1個分)開放された状態であるから、該開放された部分に、例示する如き形態の複合押圧部材8を配設して、支持部材5との協働により、板材10の前端部を拘束することが可能となる。而して、前記複合押圧部材8の板面当接面8a及び溝面当接面8bは、いずれもスカーフ面の突端F1の近傍(隣接位置)を押圧しているので、たとえ板材10の前端部に歪があったとしても、歪を平坦に均すことが可能であり、次工程の接合に支障が生じないような良好な精度を以って、全ての溝10aを形成することができる。
【0029】
尚、前記実施例の如く、適宜形状(前記実施例はV字状)の切刃を有するカッターを、相互にカッター1個分の間隔を隔てて複数個配設して成る溝部分加工部材を用いる態様によれば、1回の往復動を以って、全ての溝を形成することができるので、本発明の内では最も能率的であり好ましいが、本発明の実施態様としては、前記実施例の如き態様のみに限定するものではなく、図示は省略したが、相互にカッター2以上の整数個分の間隔を隔てて、カッターを複数個配設して成る溝部分加工部材を用い、所要回数だけ往動並びに復動させる態様であっても差支えなく、或は例えば板材の幅が比較的狭い場合であれば、カッター1個のみを備えて成る溝部分加工部材を用いて、所望の溝の条数と同数だけ往動並びに復動させる態様であっても、実用的に著しい支障はない。
【0030】
また、前記実施例の如く、板面押圧部材の機能と溝面押圧部材と機能とを兼備する複合押圧部材を用いると共に、各カッターの左右両隣に複合押圧部材を位置させて、常に新たに溝を形成する部位の左右両隣を拘束する態様によれば、最も安定的に板材の歪を平坦に均すことが可能であるから、溝の精度の良化には極めて有益ではあるが、本発明の実施態様としては、前記実施例の如き態様のみに限定するものではなく、図示は省略したが、例えばいずれのカッターについても、前記複合押圧部材を左右いずれか片側のみに位置するよう配設して、新たに溝を形成する部位の左右いずれか片側の近傍のみを拘束する態様であっても、次工程の接合に実用的な支障が生じない程度の精度を以って、溝を形成することは可能であり、また、後述する実施例の如く、板面押圧部材と溝面押圧部材とを、各カッターの左右に別個に備えて、新たに溝を形成する部位の左右いずれか片側の近傍を、交互に拘束する態様であっても差支えない。
【0031】
詳述すると、図10は本発明の実施に適する別の加工装置の側面説明図である。図中、16は、後述する複数個の板面押圧部材17の夫々を、図示した側の端部に於て揺動自在に枢支する複数個の支持アームであって、前記溝部分加工部材1の少なくとも手前側の端部に位置するカッター3のすぐ外側と、間座4が嵌装された間隙部分の内で、手前側から数えて偶数個目の間隙との夫々に、各1個づつ位置する状態にて、支持軸6によって揺動自在に支持されており、図示しない側の端部に連結された流体シリンダ等から成る作動部材(図示省略)の作動を得て、適時、図示矢印で示す如く時計回り方向及び反時計回り方向に揺動せしめられ、板材10の板面に、各板面押圧部材17の板面当接面17aを押圧させる。尚、間座が嵌装された間隙部分の数が奇数個である場合には、溝部分加工部材の奥側の端部に位置するカッターのすぐ外側にも、支持アームを配設する。
【0032】
17は、各々が板面当接面17aを有する複数個の板面押圧部材であって、前記複数個の支持アーム16の夫々に揺動自在に枢支されており、適時、前記支持アーム16が時計回り方向に揺動する都度、板面当接面17aを介して、未だ溝10aが無い板材10の局部を支持部材5に向けて押圧する。
【0033】
18は、各々が溝面当接面18bを有する複数個の溝面押圧部材であって、前記溝部分加工部材1の間座4が嵌装された間隙部分の内で、手前側から数えて奇数個目の間隙と、間座4が嵌装された間隙部分の数が偶数個である場合に限っては、溝部分加工部材1の奥側の端部に位置するカッター3のすぐ外側とに、各1個づつ位置する状態にて、支持軸6によって揺動自在に支持されており、図示しない側の端部に連結された流体シリンダ等から成る作動部材(図示省略)の作動を得て、適時、図示矢印で示す如く時計回り方向及び反時計回り方向に揺動せしめられ、溝10aが在る板材10の局部を支持部材5に向けて押圧する。
【0034】
本発明は、斯様な構成で成る加工装置を用いて実施することも可能であり、該加工装置の稼動態様を、図11・図12に例示した加工装置の作動説明図を併用しながら説明すると、以下の通りである。前記加工装置の起動時には、前記各部材類を、図10に於て実線で示す位置に待機させておき、下送りロール20(及び上送りロール20a、図15参照)を介して、板材10を加工位置(前端部が、溝部分加工部材1のカッター3の往復動軌跡区域内に到達する位置)まで縦送りした後に、送りを停止する。
【0035】
次いで、図11に例示する如く、図示しない作動部材を介して、前記各支持アーム16を時計回り方向に揺動させることにより、板面押圧部材17の板面当接面17aを、板材10の板面に圧接して、該板面押圧部材17と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束し、更に、図示しない駆動源を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向に回転させると共に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに往動させることによって、図9(イ)に例示する如く、板材10の前端部に、幅TとV字状の断面とを有する溝10aを、距離2T毎に限定的に複数条形成することができる。
【0036】
そして次に、図示は省略したが、図示しない作動部材を介して、各支持アーム16を反時計回り方向に揺動させて、板材10の前端部の拘束を開放(図10に実線で示す状態)すると共に(必要に応じては、上送りロールも若干上昇させて)、図示しない横送り機構を介して、溝部分加工部材1のカッター3の厚さTに相当する距離だけ、板材10を幅方向へ移動させ、然る後に、図12に例示する如く、図示しない作動部材を介して、溝面押圧部材18を時計回り方向に揺動させることにより、溝面押圧部材18の溝面当接面18bを、先に板材10に形成した各溝10aの内面に圧接して、該溝面押圧部材18と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束し、更に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに復動させることによって、図9(ロ)に例示する如く、先に板材10に形成した各溝10aの隣に、同様の溝10aを限定的に複数条形成することができ、前端側のスカーフ面の形成が完了する。
【0037】
本実施例の如く、板面押圧部材と溝面押圧部材とを、溝部分加工部材の各カッターの左右に別個に備えて、新たに溝を形成する部位の左右いずれか片側のみを、交互に拘束する態様であっても、拘束がスカーフ面の突端F1の近傍であるから、次工程の接合に実用的な支障が生じない程度の精度を以って、全ての溝を形成することが可能である。
【0038】
また更に、図示は省略したが、本明細書に開示する如き形態、或はそれに類似する形態で成る板面押圧部材又は溝面押圧部材の内の、いずれか片方だけを単独で備え、支持部材との協働により、適時、新たに溝を形成する部位の近傍を拘束する形態であっても、板材の拘束時に於ける溝の精度は、無拘束である場合に比べて格段に向上するので相応に有効であり、本発明の範疇に入る態様である。但し、この場合には、先に形成する溝の精度が確実に保障される拘束の適確性からして、板面押圧部材の方を優先的に備える方が望ましい。因に、カッター1個のみを備えて成る溝部分加工部材を用いて、所望の溝の条数と同数だけ往動並びに復動させる際に、隣に板面押圧部材のみを備えて、新たに溝を形成する部位の近傍を順々に拘束する形態を採れば、板面押圧部材が拘束すべき板材の局部が無くなってしまう最後の一条の溝を除いた、残り全部の溝の精度は、前記各実施例の場合の精度と同等になる。
【0039】
尚、本発明に於ては、板材の端部に形成する溝の勾配が一定であり、板材の厚さが変動しても、溝の勾配が変わることは無いから、前記実施例の如く、単能(専用)の溝面押圧部材については、板材の溝に対する溝面押圧部材の溝面当接面の作用位置が常に一定になるように構成して差支えなく、溝面押圧部材の構造・配設が比較的簡単で済むが、板面押圧部材については、たとえ単能であっても、板材の板面に対する作用位置を一定とする構成よりは、例えば前記実施例の如く、揺動可能に枢支して、板材の板面に対する作用位置が変化し得る構成とするか、或は例えば後述する可動押圧部材の例と同様に、上下方向に昇降可能に備えると共に、作動部材を介して押圧するなど、板材の厚さの変動に対応できる構成を採る方が有効である。
【0040】
ところで、例えば長さが6尺の合板の2枚を縦矧して、長さが12尺の天井板用の台板合板を作成する場合の如く、常に板材の2枚づつを互いに接合する場合には、各板材の一端のみに溝(スカーフ面)を形成すれば良いので、述上の如き加工・操作を各板材毎に施すだけで足りる(但し、相互に噛合わせる場合の噛合い位置を訂正に保つ為には、互いの溝の形成位置を、カッターの厚さTの半分に相当する、距離T/2だけ幅方向にずらす必要がある)のに対して、不特定多数の板材を次々と縦矧する場合には、各板材の後端側にも溝を形成する必要が生じる。
【0041】
而して、各板材の後端側にも溝を形成する手段としては、図示は省略したが、必要に応じて、例えば幅方向の適宜位置に可動式の定規を備えるか、或は例えば幅方向の左右各別に固定式の定規を備え、述上の如き加工・操作を施して、前端側に溝を形成した板材を縦方向に反転すると共に、相互に噛合わせる場合の噛合い位置が訂正に保たれるように、図20に例示する如く、前後の溝10aの形成位置を、距離T/2だけ幅方向にずらして、同様の加工・操作を施す手段が挙げられ、板材の側端面が比較的正確に成形されている場合に於ては、該側端面を基準面として、定規合わせをすることにより、実用的に著しい支障が生じない程度の精度を以って、各板材の後端側に溝を形成することができるが、反面、板材の側端面が然程正確に成形されていない場合には、接合板材の直進性が損なわれて、製品歩留りが劣化する虞が生じる。
【0042】
従って、板材の側端面が然程正確に成形されていない場合には、例えば以下に詳述する如き構成で成る加工装置を用いて、前端側の溝の形成に引続いて後端側へも併せて溝を形成する態様を採るのが好ましい。
【0043】
詳述すると、図13は、本発明の実施に適する更に別の加工装置の側面説明図であり、図14は、図13の線D―Dに於ける拡大部分説明図である。図中、19は、後述する各支持アーム22と各複合押圧部材8とに連結された複数個の弱い圧縮バネであって、常態に於ける各複合押圧部材8の姿勢を、実線で示す状態に保つように軽く押すことにより、前記各複合押圧部材8の存在が、板材10の進行を阻害しないように保障する。
【0044】
22は、複数個の複合押圧部材8の夫々を、図示した側の端部に於て揺動自在に枢支する複数個の支持アームであって、夫々が、溝部分加工部材1を往復移動させる経路を中心として、先述した図1〜図4の実施例と同じ形態の支持アーム7と対称的な位置に位置すべく、支持軸21によって揺動自在に支持されており、図示しない側の端部に連結された流体シリンダ等から成る作動部材(図示省略)の作動を得て、適時、図示矢印で示す如く時計回り方向及び反時計回り方向に揺動せしめられ、板材10の後端側の所望の面に、各複合押圧部材8の所要の面(8a、8b)を押圧させる。
【0045】
24は、板材10を支持・搬送する複数本の支持ロールであって、図示する如き形状の保持部材23により保持されており、先述した図1〜図4の実施例と同じ形態の前端側溝形成箇所に於て前端側に全ての溝が形成された板材10を、溝部分加工部材1を往復移動させる経路を中心として、前端側溝形成箇所と対称的な位置に設定された後端側溝形成箇所に適合する所定位置まで引き続き縦送りする。
【0046】
27は、揺動自在な揺動アーム26を介して、前記保持部材23に保持された押えロールであって、自重により、若しくは図示しない引張りバネを介して、下向きに付勢されており、前記支持ロール24と協働して、板材10を挟持する。但し、図示しない下限ストッパーを備えて、前記押えロール27が過剰に下降しないように規制する。また、図示は省略したが、必要に応じては、複数本を備えても差支えない。
【0047】
而して、前記支持軸21により支持された支持アーム22と、保持部材23により保持された支持ロール24、及び押えロール27は、図示しない直動軸受・リンク機構・鎖伝動機構等を有する昇降機構の作動を得て、適時、図13に矢印で示す如く、前端側に全ての溝が形成された板材10を、そのまま引き続き受け取り得る受け取り位置(点線で示す位置)から、溝部分加工部材1を往復移動させる経路を中心として、先述した図1〜図4の実施例に於ける支持部材5と対称的な位置に配設された、同じ形態の支持部材25に、受け取った板材10の後端部を押付け得る位置(実線で示す位置)まで、幾分斜め方向へ一体的に昇降すべく備えられており、板材10の後端側を、後端側溝形成箇所へ移送する。
【0048】
板材の後端部への溝の形成は、斯様な構成で成る加工装置を用いて実施するのが至便であり、該加工装置の稼動態様は以下の通りである。板材10の前端側に溝を形成する手順は、先に図1〜図4の実施例に於て説明した通りである。而して、先行する板材が未だ無い場合に限っては、前記支持軸21によって支持された支持アーム22と、保持部材23により保持された支持ロール24、及び押えロール27は、どの位置で待機させていても差支えないが、前端側に全ての溝が形成された板材10を、図示矢印方向へ前進させる際には、図13に於て点線で示す位置に待機させて、板材10を受け取らせ、後端側溝形成箇所に適合する所定位置(上昇させた場合に、後端部が、溝部分加工部材1のカッター3の往復動軌跡区域内に留まる位置)まで引き続き縦送りし、搬送を停止させる。
【0049】
次いで、直ちに、或は図示しない昇降機構の作動を得て、支持アーム22、支持ロール24、及び押えロール27を、実線で示す位置まで上昇させる途上に於て、例えば保持部材23を介して、支持ロール24、及び押えロール27を、板材の幅方向に移動させることにより(横送り機構を兼用させる例)、距離T/2だけ、板材10を幅方向に移動させ、然る後に、図示しない作動部材を介して、前記各支持アーム22を時計回り方向に揺動させることにより、複合押圧部材8の板面当接面8aを、板材10の板面に圧接して、該複合押圧部材8と支持部材25とにより、板材10の後端部を拘束する。また、併せて、後続する板材10の前端部も、先述した通りの手順にて拘束し、更に、図示しない駆動源を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向に回転させると共に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに往動させれば、先行する板材10の後端部と、後続する板材10の前端部とに、幅TとV字状の断面とを有する溝(10a)を、距離2T毎に限定的に複数条形成することができる。
【0050】
そして次に、図示は省略したが、図示しない作動部材を介して、各支持アーム7、16を反時計回り方向に揺動させることにより、一旦、先行する板材10の後端部及び後続する板材10の前端部の拘束を開放すると共に、横送り機構(図示省略)を介して、溝部分加工部材1のカッター3の厚さTに相当する距離だけ、各板材10を幅方向へ移動させ、然る後に、図示しない作動部材を介して、各支持アーム7、16を時計回り方向に揺動させることにより、複合押圧部材8の溝面当接面8bを、先に各板材10に形成した各溝10aの内面に圧接して、複合押圧部材8と支持部材25とにより、先行する板材10の後端部を、また、複合押圧部材8と支持部材5とにより、後続する板材10の前端部を夫々拘束し、更に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに復動させることによって、先に各板材10に形成した各溝(10a)の隣に、同様の溝(10a)を限定的に複数条形成することができ、各板材10への溝加工が同時に終了する。
【0051】
以下、同様の動作の繰り返すことによって、順次、先行する板材の後端側と後続する板材の前端側とに、所望のセパレーテッドスカーフ面を形成できるが、述上の如き形態によれば、各板材の加工位置が適正に保障できるので、例えば図20に例示する如く、板材の側端面が正確に成形されている場合は勿論のこと、たとえ板材の側端面が正確に成形されていない場合であっても、各板材の前端側と後端側と於ける溝の直進性が良好に維持されることになって、接合板材の直進性が損なわれることはなく、歩留りが劣化する虞が解消されるので有益である。
【0052】
尚、斯様に先行する板材の後端側と後続する板材の前端側とに、略同時にセパレーテッドスカーフ面を形成する構成を採る場合であって、而も、複数個のカッターを具備した溝部分加工部材を用いる場合には、溝部分加工部材が当初の起動位置に復動した時点で、全ての溝の形成が完了するように、溝部分加工部材に嵌装する複数個のカッター同士の間隔を、カッターの厚さの奇数個分に設定して、常に、整数回の往復動を以って、溝の形成動作を終えるように構成することが肝要であり、また、1個のみのカッターを具備した溝部分加工部材を用いる場合に於ても、該溝部分加工部材を当初の起動位置に復動させた状態として、溝の形成動作を終えることにより、後続する板材の移送を可能化することが肝要であって、そうしないと、溝部分加工部材の移動行程を、異常に長くしなければ、後続する板材の移送ができなくなるので甚だ不合理である。
【0053】
また、部材の互換性からして、前記実施例に例示する如く、前端側の複合押圧部材の形態と後端側の複合押圧部材の形態とを統一するのが実用的ではあるが、後端側の複合押圧部材の形態を、先述した前端側の単能押圧部材の形態と同様に、適宜設計変更することは可能であり、或は必要に応じては、前端側の押圧部材の形態と後端側の押圧部材の形態とを異ならせても差支えない。
【0054】
而して、前記各実施例の加工装置にあっては、いずれも、各種押圧部材の巨視的な位置が、板材の進行方向に対して変動しないよう定置的に配設する構成を採ったが、本発明の実施に用い得る加工装置の各種押圧部材の構成としては、斯様な定置式に限定するものではなく、以下に詳述する如き可動式の構成を採ることも可能である。
【0055】
詳述すると、図15は、本発明の実施に適する更に別の加工装置の側面説明図であり、図16は、図15の線E―Eに於ける拡大部分説明図であり、図17は、図15に例示した可動押圧部材の拡大斜視説明図である。図中、20aは、上送りロールであって、流体シリンダ等から成る付勢部材を介して、下向きに付勢されており、下送りロール20と協働して、板材10を挟持しながら加工位置(前端部が、溝部分加工部材1のカッター3の往復動軌跡区域内に到達する位置)まで縦送りする。尚、必要に応じては、該上送りロール20aを、対向する対の下送りロール20と一緒に、板材の幅方向へ移動させるように備えて、横送り機構の機能を兼備させることが可能である。
【0056】
28は、後述する昇降ガイド33に嵌装された複数個の昇降台であって、後述する可動押圧部材30を、揺動可能に枢支すると共に、流体シリンダー等から成る作動部材29の作動を得て、適時、図示矢印方向に昇降せしめられる。
【0057】
30は、複数列状の板面当接面30a、及び溝面当接面30bを有する複数個の可動押圧部材であって、夫々が、前記各昇降台28によって揺動可能に枢支されると共に、流体シリンダー等から成る作動部材31の作動を得て、適時、実線で示す位置と点線で示す位置とに揺動させられる。
【0058】
32は、図示矢印方向に往復移動し得るよう、左右一対のガイドレール34に嵌装された移動台であって、板材の幅方向の適宜間隔毎に、前記昇降台28の昇降をガイドする昇降ガイド33が、適数個付設されており、適時、リンク機構・鎖伝動機構等から成る作動機構(図示省略)の作動を得て、図示矢印方向に往復移動せしめられ、前記各昇降ガイド33、及び昇降台28を介して、複数個の可動押圧部材30を一斉に、溝部分加工部材1が形成する板材の溝(10a)の延在方向に準ずる方向へ往復移動させる。
【0059】
本発明は、斯様な構成で成る加工装置を用いて実施することも可能であり、該加工装置の稼動態様を、図18・図19に例示した加工装置の作動説明図を併用しながら説明すると、以下の通りである。前記加工装置の起動時には、前記各部材類を、図15に於て実線で示す位置に待機させておき、下送りロール20、及び上送りロール20aを介して、板材10を加工位置(前端部が、溝部分加工部材1のカッター3の往復動軌跡区域内に到達する位置)まで縦送りした後に、送りを停止する。
【0060】
次いで、図18に点線で示する如く、前記作動部材29を介して、前記昇降台28を下方へ下降させることにより、該昇降台28に付設された可動押圧部材30の板面当接面30aを、板材10の板面に圧接して、該可動押圧部材30と支持部材5とにより、板材10を拘束し、更に、図示しない駆動源を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向に回転させると共に、図示しない作動機構を介して、溝部分加工部材1を図示矢印方向へ斜めに往動させる際に、図示しない作動部材を介して、前記移動台32を、溝部分加工部材1が形成する板材の溝(10a)の延在方向に準ずる方向へ、同期的乃至は概ね同期的に往動させ、前記各昇降ガイド33、及び昇降台28を介して、複数個の可動押圧部材30を一斉に、実線で示す位置まで往動させることにより、該可動押圧部材30と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束しつつ、図9(イ)に例示する如く、板材10の前端部に、幅TとV字状の断面とを有する溝10aを、距離2T毎に限定的に複数条形成することができる。
【0061】
そして次に、図示は省略したが、適宜形態の横送り機構を介して、板材10を上下から挟持した後に(但し、上下対の送りロール20、20aに横送り機構の機能を兼備させる場合には、既に挟持しているので、そのままで良い)、前記作動部材29を介して、前記昇降台28を上方へ上昇させることにより、一旦、可動押圧部材30による板材10の前端部の拘束を開放すると共に、横送り機構を稼動させて、溝部分加工部材1のカッター3の厚さTに相当する距離だけ、板材10を幅方向へ移動させ、次いで、図19に点線で示す如く、前記作動部材31を介して、各可動押圧部材30を一斉に時計回り方向へ揺動させ、更に、前記作動部材29を介して、前記昇降台28を下方へ下降させることにより、図19に実線で示す如く、各可動押圧部材30の溝面当接面30bを、板材10の溝面10aに圧接して、該可動押圧部材30と支持部材5とにより、板材10の前端部を拘束し、然る後に、溝部分加工部材1を、図19に実線で示す矢印方向へ斜めに復動させることによって、図9(ロ)に例示する如く、先に板材10に形成した各溝10aの隣に、同様の溝10aを限定的に複数条形成することができ、前端側のスカーフ面の形成が完了する。
【0062】
尚、適当な時期に(復動する溝部分加工部材が、各可動押圧部材に衝突する以前に)、図示しない作動部材を介して、前記移動台32を、図19に実線で示す矢印方向へ移動させることにより、各可動押圧部材30を当初の起動位置の方へ復動させて、可動押圧部材30と溝部分加工部材1との衝突を回避する。而して、この場合に、溝部分加工部材1のカッター3による板材10への溝10aの形成が既に完了している状態(位置関係)である場合には、前記作動部材31を介して、各可動押圧部材30を一斉に反時計回り方向へ揺動させ、当初の起動位置の方へ復動させて差支えないが、設計的寸法の都合等で、溝部分加工部材1のカッター3による板材10への溝10aの形成が未だ完了していない状態である場合には、作動部材31による各可動押圧部材30の反時計回り方向への揺動を暫時休止(延長)したまま、当初の起動位置の方へ復動させる必要があり、その為には、各可動押圧部材30が、復動に伴って、溝10aの勾配に沿って幾分上昇し得るように、作動部材29の下方への押圧力を適度に調整する必要がある。尤も、斯様な態様の違いは、単なる設計変更的な事項であるから、いずれの態様であっても差支えない。
【0063】
また、前記可動押圧部材の形態についても、前記実施例に例示する如き形態に限るものではなく、先記定置式の各種押圧部材と同様に、適宜設計変更して差支えなく、要は、支持部材と協働して、溝部分加工部材のカッターが切削する部位の少なくとも左右いずれか片側の近傍を拘束できる形態であれば足りる。
【0064】
勿論、斯様な可動押圧部材を用いる場合であっても、必要に応じて、先記図13・図14の実施例と同様に、溝部分加工部材を往復移動させる経路を中心として、板材の前端側に溝を形成する前端側溝形成箇所とは対称的な位置に、板材の後端側に溝を形成する後端側溝形成箇所を設定すると共に、該後端側溝形成箇所へ、前端側溝形成箇所に配設した先記各部材類に類似する所要の部材を配設する構成を採って、先行する板材の後端側と後続する板材の前端側とに、同時に所望のセパレーテッドスカーフ面を形成することも可能である。
【0065】
また、前記図示した各実施例に於ては、専ら、相互にカッター1個分の厚さの間隔を隔てて、複数個のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用いたことから、第一番目に形成した溝のすぐ隣に、第二番目の溝を形成する態様としたが、相互にカッター複数個分の厚さの間隔を隔てて、適数個のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用いる場合等に於ては、必ずしも常に斯様な態様を採る必要は無く、例えばカッター3個分の厚さの間隔を隔てて、適数個のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用いる場合であれば、最初の第一番目から最後の第四番目まで、片端から順々に溝を形成する普通の態様の外に、第一番目に形成した溝の溝一条分離れた部位に、第二番目の溝を形成し、次に前記第一番目と第二番目に形成した溝の間に第三番目の溝を形成し、更に、第二番目の溝の隣に、第四番目の溝を形成する態様など、溝を形成する部位の順序を、適宜に変更しても差支えない。
【0066】
また、前記各実施例に例示した如く、先の溝の形成に続いて、次の溝を形成する前に、比較的軽量である板材側を、溝部分加工部材に対してずらす態様を採れば、総じて、加工装置の構造が比較的簡単になるから、加工設備費用の低減化に有効ではあるが、本発明の構成としては、斯様な態様に限定するものではなく、図示は省略したが、溝部分加工部材側(各種押圧部材諸共)を、板材に対してずらす態様、或は双方の部材共に相対的にずらし合う態様であっても差支えなく、横送り機構の形態は、夫々の態様に適合するように、適宜設計変更すれば足り、構成に特段の制約はない。
【0067】
また、溝の断面形状については、前記各実施例に例示する如きV字状とするのが、カッターの刃先の成形や、接着剤の塗布などが容易であるから適当であるが、必ずしもV字状に限るものではなく、図示は省略したが、外にも例えば台形状が比較的好ましい形状として挙げられ、適宜設計変更して差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の処理対象は、本来的には木質系の板材であるが、他の材質の板材であっても、格別支障なく処理することは可能であるから、産業上の利用可能性は大いにある。
【符号の説明】
【0069】
1 :溝部分加工部材
2、12 :回転軸
3、13 :カッター
3a、13a :カッターの刃先
5、15、25 :支持部材
6、21 :支持軸
7、16、22 :支持アーム
8 :複合押圧部材
8a、17a、30a :板面当接面
8b、18b、30b :溝面当接面
10 :板材
10a :溝
11 :溝同時加工部材
17 :板面押圧部材
18 :溝面押圧部材
20 :下送りロール
20a :上送りロール
23 :保持部材
24 :支持ロール
27 :押えロール
28 :昇降台
30 :可動押圧部材
32 :移動台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材に所望断面形状の溝を形成し得る切刃を有するカッターの1個又は複数個を、複数個の場合には、相互にカッターn個分(nは、1以上の整数)の間隔を隔てて、回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を回転させつつ、板材の端部近辺に於ける表裏面と斜交方向に移動させることにより、板材の端部へ適数条の溝を限定的に形成する動作と、前記溝部分加工部材又は板材の少なくともいずれか片方を、適宜距離づつ板材の幅方向へ移動させる動作とを、所望回数だけ交互に繰り返すことによって、板材の端部に、所望の断面形状を有する溝の所要条数を、板材の表裏面に対して斜交状に、且つ、板材の幅方向に対して並列状に形成することを特徴とするセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項2】
板材に所望断面形状の溝を形成し得る切刃を有するカッターの1個又は複数個を、複数個の場合には、相互にカッターn個分(nは、1以上の整数)の間隔を隔てて、回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を回転させつつ、板材の端部近辺に於ける表裏面と斜交方向に移動させることにより、板材の端部へ適数条の溝を限定的に形成する動作と、前記溝部分加工部材又は板材の少なくともいずれか片方を、適宜距離づつ板材の幅方向へ移動させる動作とを、所望回数だけ交互に繰り返すことによって、板材の端部に、所望の断面形状を有する溝の所要条数を、板材の表裏面に対して斜交状に、且つ、板材の幅方向に対して並列状に形成するセパレーテッドスカーフ面の形成方法であって、前記溝の断面形状に準ずる断面形状の逃げ溝の多数条が、予め前記溝部分加工部材のカッターが通過する部位に形成されて成る支持部材を、板材の端部の表裏いずれか片側の面に当接する位置に位置させると共に、該支持部材を位置させた側の反対側であって、而も、前記溝部分加工部材のカッターが通過する空間の少なくとも左右いずれか一方の傍らに、次回に溝が形成される部位に当接する板面当接面を有して、未だ溝が無い板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する板面押圧部材、又は既存の溝の内面に当接する溝面当接面を有して、溝が在る板材の局部を前記支持部材に向けて押圧する溝面押圧部材の内の、少なくともいずれか一方の押圧部材を、板材に対して離接可能に配設し、前記溝部分加工部材を稼働させて溝を形成する際には、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材を一緒に稼働させて、溝部分加工部材のカッターが切削する部位の近傍を、前記溝面押圧部材又は/及び板面押圧部材と前記支持部材とによって拘束することを特徴とするセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項3】
相互にカッター1個分の間隔を隔てて、溝の所要条数の半数乃至は半数を若干上回る個数のカッターを回転軸に嵌装して成る溝部分加工部材を用い、該溝部分加工部材を1回だけ往復動させて、所要条数の溝の形成を完了して成る請求項2記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項4】
板面当接面と溝面当接面とを有し、板面押圧部材と溝面押圧部材とを兼用する複合押圧部材を用い、前記両当接面の当接角度が、板材の板面と溝面とに対して変動し得るよう、揺動自在に保持して、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣に位置するよう定置的に配設し、常に溝が形成される板材の部位の両隣りを拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項5】
板面当接面を有する板面押圧部材と溝面当接面を有する溝面押圧部材とを、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の左右夫々の傍らに、交互に位置するよう定置的に配設し、溝が形成される板材の部位の左右いずれか片側のみを交互に拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項6】
板面当接面と溝面当接面とを有し、板面押圧部材と溝面押圧部材とを兼用する複合押圧部材を、前記両当接面の当接角度が、板材の板面と溝面とに対して変動し得るよう、揺動自在に保持すると共に、前記両当接面の所在部位を、溝部分加工部材の各カッターが通過する空間の両隣に位置させ、且つ、溝部分加工部材が形成する板材の溝の延在方向に準ずる方向へ往復移動自在に備え、溝部分加工部材の往動及び復動に準じて、所定距離だけ交互に往動及び復動させることにより、常に溝が形成される板材の部位の両隣りを拘束しながら、溝を形成して成る請求項2又は請求項3記載のセパレーテッドスカーフ面の形成方法。
【請求項7】
溝部分加工部材を往復移動させる経路を中心として、板材の前端側に溝を形成する前端側溝形成箇所とは対称的な位置に、板材の後端側に溝を形成する後端側溝形成箇所を設定すると共に、該後端側溝形成箇所へ、前端側溝形成箇所に配設した先記各部材類に類似する所要の部材を配設し、前端側に溝を形成し終えた板材の後端部を、板材の溝の延在方向に対しては、直進性を保って、且つ、板材の溝と直交方向に対しては、溝の幅の半分だけ位置をずらして、前記後端側溝形成箇所に移送し、溝部分加工部材の稼動時に、先行する板材の後端側へも併せて溝を形成するようにして成る請求項1〜請求項6のいずれか一つの項に記載するセパレーテッドスカーフ面の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−93128(P2011−93128A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247215(P2009−247215)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】