説明

セパレートプレート

【課題】シール部の状態を安定化させることでシール性能の向上を図ったセパレートプレートを提供する。
【解決手段】金属プレート2の表面上に設けられるエラストマー製の第1のシール部4の近傍に、第1のシール部4よりも硬度が高く、かつ高さの低い、エラストマー製の第2のシール部5を設けることによって、第1のシール部4の過度な圧縮を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にオートマチックトランスミッションに備えられる油圧制御装置で利用可能な封止用のセパレートプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧制御装置には、電磁式アクチュエータや油圧式バルブが備えられる。油圧制御装置は、自動車のオートマチックトランスミッションに設けられており、通常、バルブハウジングと、コントロールパネルと、少なくとも1つのシール材と、チャネルプレートとが備えられている。
【0003】
この種の油圧制御装置は、無段階のオートマチックトランスミッション(CVT)にも多段オートマチックトランスミッションにも適用される。
【0004】
電気油圧式の多段オートマチックトランスミッションは、通常、たとえばハイドロダイナミックコンバータの形態のスタータユニットと、クラッチおよびブレーキと、油圧制御装置と、電子式のトランスミッション制御装置とを有している。電子式のトランスミッション制御装置は、オートマチックトランスミッションの制御のために必要なパラメータの入力量を生成する。このときの入力量は、センサから提供される信号、その他の電子制御装置、たとえばエンジン制御装置から提供される信号である。電子式のトランスミッション制御装置は、出力信号を通じて、油圧制御装置に備えられている電磁式アクチュエータを制御する。相応のクラッチ及びブレーキの組み合わせが選択されることにより、電磁式アクチュエータを通じてシフトが開始される。これに加えて、電磁式アクチュエータを通じて圧力の推移が油圧バルブを介してシフト中に制御され、また、シフト時以外の圧力レベルが制御される。
【0005】
トランスミッションハウジングに対して油圧制御装置を密閉するために、シール材が必要である。そうしないと、固定されていたものが移動してしまったり、連結ねじの初期締結力が変化してしまったりして、当該個所で密閉性がなくなってしまう可能性があるからである。バルブハウジングとチャネルプレートの間にあるコントロールパネルも、シール材を備えていなくてはならない。この種の油圧制御装置に用いられるシール材としては、通常、支持体としての鋼材プレートの上に配置されるエラストマー素材が用いられる。
【0006】
特許文献1には、油圧制御装置が下面に配置されたオートマチックトランスミッションが開示されている。この油圧制御装置は、吸気シュノーケルと、バルブハウジングと、シール材を備えるコントロールパネルと、チャネルプレートとで構成されている。この場合、チャネルプレートとトランスミッションハウジングは2つの面を介して相互に当接しており、これらの面はシール面として機能するように構成されている。
【0007】
特許文献2には、油圧制御装置に用いられる封止用のセパレートプレートが開示されている。このセパレートプレートとして、合成発泡ゴムでできた層を備える金属プレートが採用されている。
【0008】
特許文献3には、油圧制御装置に用いられる、更に別のセパレートプレートが開示されている。この開示された技術では、表面に溝付された、エラストマーからなるコーティングがアルミニウムプレート上にコーティングされる。
【0009】
このようなセパレートプレートや支持プレートは、オートマチックトランスミッション
への取付時に、封止されるべき領域に押圧される。一般的に、これは、ねじ結合による固定によって行われる。このとき、それぞれの封止線は直線的に伸びており、封止線の伸びる方向に対して、垂直な方向(横方向)に力が作用する。そのために封止線が可塑変形して、エラストマー材料が永久変形(クリープ)するというおそれがある。これにより、材料が剥離して、たとえば油圧オイルのような封止されるべき媒体と混合するという結果につながる可能性がある。このような汚染によって、媒体がその作用に関して損なわれる場合があり、その結果、システム全体が限定的にしか機能しなくなるか、あるいは全く機能しなくなってしまう。
【0010】
シール材料の選択と加工にあたって留意すべきは、エラストマー材料が、良好な封止機能に加えて、ねじ止めに対する十分な剛性も有していなければならないことである。しかし、封止機能とシステム剛性はある意味相反しており、単一の材料において、容易に、これらを両立させるのは技術的な困難性を伴う。
【0011】
図1及び図2を参照して、従来例に係るセパレートプレートについて簡単に説明する。図1は従来例に係るセパレートプレートの平面図であり、図2は従来例に係るセパレートプレートの使用状態を示す断面図である。なお、図1においては、全体の平面図と、その一部の拡大図を示している。また、図2においては、後述の一対のプレートのネジ締結前の状態(上の図)と、ネジ締結後の状態(下の図)を示している。
【0012】
従来例に係るセパレートプレート1は、金属プレート2と、金属プレート2の両面にそれぞれ設けられる、線上のシール部4とを備えている。シール部4は、エラストマー材料により構成されている。このセパレートプレート1が上部プレート11と下部プレート12によって挟み込まれた状態で、上部プレート11と下部プレート12とがボルト6によってネジ締結される。
【0013】
シール部4は、上部プレート11及び下部プレート12にそれぞれ設けられた貫通孔等や外形の輪郭に沿うようにして、所定の密封空間が形成されるようなパターンとなるように、金属プレート2の両面に設けられている。シール部4は金属プレート2の表面からの高さが、どの位置においても等しくなるように構成されている。
【0014】
図2に示すように、ネジ締結によって、上部プレート11と下部プレート12とを固定し、これらによって、セパレートプレート1を挟み込んだ状態にすると、金属プレート2の表面に設けられたシール部4は、金属プレート2の表面に対して垂直方向に圧縮され、金属プレート2の平面方向に拡がるように変形する。そのため、上部プレート11や下部プレート12に凹部11a,12aが設けられていると、シール部4の一部が、これらの凹部11a,12aにはみ出た状態となってしまう。従って、場合によっては、シール部4の一部が欠けて、欠けた部分4Xが、油圧オイルのような封止されるべき媒体に混入してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE4041253号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第733833号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第1218653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記の欠点を克服する封止用のセパレートプレートを提供することにある。
【0017】
このセパレートプレートは、特に油圧制御装置のコントロールパネルにおいて、また、油圧制御装置とトランスミッションハウジングとの間のシール面において、効果的な密閉を可能にするのが望ましい。
【0018】
特に、十分な封止作用と十分な剛性を兼ね備えた、封止用のセパレートプレートが提供されるのが望ましい。
【0019】
セパレートプレートは、押圧やねじ止めによって引き起こされる高い圧力が生じたときに、恒常的に安定しているのが望ましい。このときシール材は主として不可逆的に変形するのではなく、また、亀裂などの好ましくない変化を材料に及ぼさないのが望ましい。
【0020】
さらに、本発明によるセパレートプレートは、簡単に製造や加工が可能であるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、特許請求の範囲に記載されたセパレートプレート、油圧制御装置、オートマチックトランスミッション、およびその使用によって、上に述べた課題を解決する。
【0022】
本発明のセパレートプレートは、金属プレートと、該金属プレートのうちの少なくとも一方の表面に設けられたエラストマー製のシール部と、を備え、一対のプレートにより挟み込まれることによって、前記シール部が圧縮変形されるセパレートプレートにおいて、前記シール部の近傍に、該シール部よりも硬度が高く、かつ高さの低い、エラストマー製の支持突起を複数設けたことを特徴とする。
また、本発明は、第1の表面を備える金属支持プレートを含み、第1の表面は第1のエラストマー材料からなる第1のシール部を有しており、特に油圧制御装置のための封止用のセパレートプレートであって、第1の表面の異なる位置には第2のエラストマー材料からなる第2のシール部が設けられており、第1のシール部の高さは第2のシール部の高さよりも高く、第1のエラストマー材料は第2のエラストマー材料よりもショアA硬度が低いことを特徴としている。
【0023】
オートマチックトランスミッションに用いられるセパレートプレートは、通常、予め決められたパターン形状のシール部を両面に有している。このパターンは、油圧制御装置やトランスミッションハウジングのように、セパレートプレートに接するコンポーネントに合わせて適合化されている。さらにセパレートプレートは、他のコンポーネントとの固定的な結合を可能にする手段、もしくは容易にする手段を有しており、たとえば、ねじ止めのための穴を有している。本発明におけるセパレートプレートは、本発明による第1および第2のシール部を金属支持プレートの両面に有しているのが好ましい。
【0024】
本発明によると、軟質の材料からなる第1のシール部の高さは、硬質の材料からなる第2のシール部の高さよりも高い。ここで、「高さ」とは、金属支持プレートの表面からシール部の最高点までの垂直方向の距離を意味している。本発明の1つの実施形態では、第1のシール部および第2のシール部はそれぞれ統一的な高さで構成される。しかしながら、本発明においては、最善の状態で他のコンポーネントと結合するために、それぞれ統一的な高さを有していない第1のシール部や第2のシール部を設けることも可能である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、第1のシール部の高さは第2のシール部の高さより少なくとも5%だけ、好ましくは少なくとも10%だけ大きくなるように設定される。第2のシール部の高さは第1のシール部の高さの20%から95%の間、特に50%から90%の間であるのが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、第1のシール部の高さは30μmから300μmの間、特に50μmから200μmの間であり、第2のシール部の高さは10μmから150μmの間である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、第1のシール部及び第2のシール部は、第1の表面において、それぞれ1%から40%、特にそれぞれ2%から20%を占めるように、互いに独立して配置されている。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、第2の硬質のシール部は第1の軟質のシール部の近傍に配置されている。このとき、すべての第1のシール部の隣に第2のシール部が設けられる必要はない。第2のシール部が、たとえば高い圧力荷重を受ける領域に優先的に配置されていても、第1のシール部の十分な安定化を実現することができる。第1のシール部の十分な安定化は、たとえば第1のシール部全体の10%から90%の部分の隣に第2のシール部が設けられていても実現することができる。第1のシール部全体の少なくとも10%の部分の隣に第2のシール部が配置されているのが好ましい。
【0029】
本発明によると、第1のシール部に対して、全体的または少なくともほぼ全体的に、第1のシール部の隣に第2のシール部を配置するのが好ましい。これにより、第1のシール部に対する第2のシール部の安定化作用を格別に効果的かつ均等に発揮させることができる。このとき、両方のシール部の間にはシール材料を有していない間隙ないし領域が存在していると好ましい。このとき、間隙の幅は、ねじ止めのときに第1のエラストマー材料が第2のエラストマー材料を横方向に押さないようにするために、十分な自由空間が存在するように選択されるのが好ましい。たとえば、第2のシール部は、ねじ止めや変形時において、両方の材料が接触するかまたは著しい圧力を相互に及ぼすことなく、可及的に近くに配置されるように、第1のシール部の隣に設けられる。
【0030】
ショアA硬度はエラストマーおよびプラスチックについての材料特性を示す値であり、特にDIN53505に基づいて判定される。本発明の好ましい実施形態では、第1のエラストマー材料のショアA硬度は第2のエラストマー材料のショアA硬度より少なくとも15%、特に少なくとも20%だけ低い。第1のエラストマー材料のショアA硬度は、第2のエラストマー材料よりも20%から80%だけ低いのが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、第1のエラストマー材料の硬度は25から60ショアAの間であり、第2のエラストマー材料の硬度は70から100ショアAの間である。本発明の特別に好ましい実施形態では、第1のエラストマー材料の硬度は30から40ショアAの間であり、第2のエラストマー材料の硬度は80から90ショアAの間である。
【0032】
エラストマーとしては、所要の硬度ないし軟度を備え、たとえば油圧オイルが存在する所望の環境で十分な安定性を有するような、一般に知られている材料を選択することができる。本発明では、天然または合成のエラストマー材料を用いることができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、第1および第2のエラストマー材料は、クロロプレンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、フッ素化ゴム、特にPTFE、スチロールブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコン、ポリオレフィン、またはこれらのコポリマーから選択された少なくとも1つのエラストマーを互いに独立して含んでいる。特にシール部は上記の材料でできている。これらの材料相互の混合物、またはこれ以外のゴム材料との混合物も使用することができる。ゴムは、酸化防止剤、充填材、加硫促進剤、または加硫遅延剤のような一般的に知られ
た添加剤を含むことができる。特に、エラストマー材料は、安定化させるための充填剤を粒子や繊維の形態で含むことができる。
【0034】
本発明の特別な実施形態では、第1および第2のシール部に加えて第3のシール部が含まれている。このシール部は、第2のシール部よりも高さが低くかつ硬度が高くなるように設定されている。異なる高さの別の安定化用のシール部が含まれていてもよい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、金属支持プレートはアルミニウムまたは鋼材でできている。金属支持プレートは、たとえば0.5mmから2.5mmの厚さを有している。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、金属支持プレートには、少なくとも一方の表面側であって、金属支持プレートとシール部との間の位置にコーティングが施されている。
【0037】
本発明によるセパレートプレートを製造する方法も本発明の対象であり、場合によりコーティングされた金属支持プレートに第1のシール部および第2のシール部が印刷される。この印刷は公知の方法で行うことができる。
【0038】
本発明のさらに別の対象物は、オートマチックトランスミッションの油圧制御装置を封止するための、本発明によるセパレートプレートの使用である。
【0039】
本発明のさらに別の対象物は、本発明によるセパレートプレートを含んでいる油圧制御装置またはオートマチックトランスミッションである。
【0040】
本発明による封止用のセパレートプレートは、本発明の課題を解決するものである。
【0041】
たとえば油圧制御装置やオートマチックトランスミッションに用いられ、効果的で安定的な密封性が実現される。このセパレートプレートは、主として第1のシール部により提供される十分な封止機能と、特に第2のシール部によって実現される卓越した剛性とを兼ね備えている。封止用のセパレートプレートは、比較的簡単な方法で、一般的な印刷方法によって製造可能である。つまり、一般的なエラストマー材料を使用することができ、複雑な複合材料の製作は必要ない。
【0042】
シール部に対する過度の圧縮応力が、本発明によって回避される。同様に「クリープ」や、封止をするエラストマーの一部がたとえば油圧オイルのような液体媒体へ拡散することも防止される。シール材は厳しい環境条件の下で高い安定性を有しており、長期間に亘って使用可能である。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、シール部の状態を安定化させることでシール性能の向上を図ったセパレートプレートを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は従来例に係るセパレートプレートの平面図である。
【図2】図2は従来例に係るセパレートプレートの使用状態を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係るセパレートプレートの平面図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係るセパレートプレートの平面図及び断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係るセパレートプレートの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0046】
図3〜図5を参照して、本発明の実施形態に係るセパレートプレートについて詳細に説明する。
【0047】
図3は本発明の実施形態に係る封止用のセパレートプレート10を示している。金属プレート2の表面上には、第1の軟質のエラストマー材料からなる第1のシール部4が設けられている。第1のシール部4の隣には、第1のシール部4よりも硬度が高く、かつ、金属プレート2の表面からの高さの低いエラストマー材料からなる第2のシール部5(支持突起)が部分的に設けられている。
【0048】
図4は本発明の実施形態に係る封止用のセパレートプレート10を平面図と断面図にて示している。なお、断面図は平面図におけるAA断面及びその一部(X部)を拡大したものを示している。断面図から分かるように、第1のシール部4と第2のシール部5は、金属プレート2の表面からの高さが異なっている。
【0049】
なお、図中X部の拡大断面図は3種類示しており、左側の図がX部を拡大したそのままの図で、右側の2つは変形例を示している。すなわち、中央の図は、第1シール部4の両側にそれぞれ第2のシール部5a,5bを設けた例である。これら第2のシール部5a,5bは高さが等しくなるように構成されている。右側の図は、第1シール部4の両側にそれぞれ第2のシール部5a,5bを設け、かつこれらの両側に更に第3のシール部8a,8bを設けた例である。第3のシール部8a,8bは、第2のシール部5a,5bよりも硬度が高く、かつ、金属プレート2の表面からの高さが低くなるように構成されている。
【0050】
また、図3と図4には、第1のシール部4と第2のシール部5の金属プレート2の表面上の配置構成の一例を示している。この場合、第1のシール部4の圧縮時の状態を安定化させるために設けられる硬質の第2のシール部5は、第1のシール部4の近傍に設けるのが望ましい。これにより、圧縮によって第1のシール部4の高さが低くなった際に、第2のシール部5による上記安定化の機能を十分に発揮させることができる。
【0051】
図4中の3つの拡大断面図のうち、真ん中のように第1のシール部4の両側に第2シール部5a,5bを設けることで、第1のシール部4の圧縮時の状態をより安定化できる。また、右図のように、第3のシール部8a,8bを設けることで、より一層安定化させることができる。
【0052】
図5は本実施形態に係るセパレートプレート10の使用状態を示している。図5においては、一対のプレートのネジ締結前の状態(上の図)と、ネジ締結後の状態(下の図)を示している。図5に示すように、ネジ締結によって、上部プレート11と下部プレート12とを固定し、これらによって、セパレートプレート10を挟み込んだ状態にすると、金属プレート2の表面に設けられたシール部は、金属プレート2の表面に対して垂直方向に圧縮され、金属プレート2の平面方向に拡がるように変形する。
【0053】
ここで、シール部の圧縮過程においては、まず、高さの高い第1のシール部4の圧縮が始まる。そして、第1のシール部4の圧縮量がある程度まで進むと、第2のシール部5の圧縮も始まる。第2のシール部5は、上記の通り、硬度が高く、第2のシール部5による反力F1は、第1のシール部4による反力F2よりも大きい(図5下図参照)。
【0054】
このようにして、第2のシール部5によって、第1のシール部4の圧縮変形時の状態を安定化させることができ、第1のシール部4の過度の変形を抑制することができる。
【0055】
以上のように、従来例に係るセパレートプレートの場合、上下のプレートがねじ止めされることにより、エラストマー製のシール部が過度に変形されて、破損する恐れがあったのに対して、本実施形態に係るセパレートプレート10によれば、第1のシール部4の過度の変形が抑制されるため、第1のシール部4の破損を抑制することができる。従って、シール性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0056】
2 金属プレート
4 第1のシール部
5,5a,5b 第2のシール部(支持突起)
6 ボルト
8a,8b 第3のシール部
10 セパレートプレート
11 上部プレート
12 下部プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(3a)を備える金属支持プレート(2)を含み、第1の表面(3a)には第1のエラストマー材料からなる第1のシール部(4)を有している、油圧制御装置における封止用のセパレートプレート(10)において、第1の表面(3a)の異なる位置に第2のエラストマー材料からなる第2のシール部(5)が配置されており、第1のシール部(4)は第2のシール部(5)よりも高さが高く、第1のエラストマー材料は第2のエラストマー材料よりも低いショアA硬度であることを特徴とするセパレートプレート。
【請求項2】
第1のシール部(4)の高さは第2のシール部(5)の高さよりも少なくとも5%だけ大きい、請求項1に記載のセパレートプレート。
【請求項3】
第1のシール部(4)の高さは50μmから200μmの間であり、第2のシール部(5)の高さは10μmから150μmの間である、請求項1または2に記載のセパレートプレート。
【請求項4】
第1のシール部と第2のシール部は、互いに独立して、それぞれ第1の表面の1%から40%の範囲を占めるように配置されている、請求項1,2または3に記載のセパレートプレート。
【請求項5】
第1のエラストマー材料のショアA硬度は第2のエラストマー材料より少なくとも20%だけ低い、請求項1に記載のセパレートプレート。
【請求項6】
第1のエラストマー材料のショアA硬度は30から40であり、第2のエラストマー材料のショアA硬度は80から90である、請求項1〜4のいずれか一つに記載のセパレートプレート。
【請求項7】
第1のエラストマー材料及び第2のエラストマー材料は、クロロプレンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、フッ素化ゴム、特にPTFE、スチロールブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコン、ポリオレフィン、またはこれらのコポリマーから選択された少なくとも1つのエラストマーを互いに独立して含んでいる、請求項1〜5のいずれか一つに記載のセパレートプレート。
【請求項8】
前記金属支持プレート(2)はアルミニウムまたは鋼材でできており、かつ0.5mmから2.5mmの厚みを有している、請求項1〜7のいずれか一つに記載のセパレートプレート。
【請求項9】
前記金属支持プレート(2)には、該金属支持プレート(2)と第1シール部(4)及び第2のシール部(5)との間の位置にコーティングが施されている、請求項1〜8のいずれか一つに記載のセパレートプレート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載されたセパレートプレートを製造する方法において、コーティングされた前記金属支持プレート(2)に第1のシール部および第2のシール部(5)を印刷する方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つに記載のセパレートプレートの使用において、オートマチックトランスミッションの油圧制御装置を封止するために用いられる使用。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一つに記載のセパレートプレートを備えている油圧制御装置ま
たはオートマチックトランスミッション。
【請求項13】
金属プレートと、
該金属プレートのうちの少なくとも一方の表面に設けられたエラストマー製のシール部と、
を備え、一対のプレートにより挟み込まれることによって、前記シール部が圧縮変形されるセパレートプレートにおいて、
前記シール部の近傍に、該シール部よりも硬度が高く、かつ高さの低い、エラストマー製の支持突起を複数設けたことを特徴とするセパレートプレート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13225(P2012−13225A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86432(P2011−86432)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】