説明

セメント分散剤及びセメント組成物

【課題】超高強度の硬化体を得るために水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合においても、かかるセメント組成物に高い流動性を与えると共に該流動性の経時的な低下を抑え、同時に優れた強度を有し且つ自己収縮の小さい硬化体を得ることができるセメント分散剤及びセメント組成物を提供する。
【解決手段】セメント分散剤として、下記の構成単位A及び構成単位Bで構成された特定のマレイン酸共重合体を含有するものを用いた。
構成単位A:下記の化1で示される単量体から形成された構成単位
構成単位B:マレイン酸から形成された構成単位及び/又はマレイン酸塩から形成された構成単位
【化1】


化1において、
:炭素数3〜5のアルケニル基
:水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基
A:1〜100個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基又は合計2〜100個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成されたポリオキシアルキレン基

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント分散剤及びセメント組成物に関する。セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物にセメント分散剤が使用されている。本発明は、かかるセメント分散剤であって、水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合においても該セメント組成物に高い流動性を与えると共に該流動性の経時的な低下を抑え、同時に優れた強度を有し且つ自己収縮の小さい硬化体を得ることができるセメント分散剤及びセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント分散剤として、なかでも高強度の硬化体を得るために水/結合材比を抑えたセメント組成物を調製する場合のセメント分散剤として、各種の水溶性ビニル共重合体が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
しかし、セメント分散剤として従来提案されている水溶性ビニル共重合体には、これを用いて超高強度の硬化体を得るために水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合、かかるセメント組成物に高い流動性を与えると共に該流動性の経時的な低下を抑え、同時に優れた強度を有し且つ自己収縮の小さい硬化体を得るということができないという問題がある。
【特許文献1】特開昭57−118058号公報
【特許文献2】特開平5−170501号公報
【特許文献3】特開平6−206750号公報
【特許文献4】特開平8−290948号公報
【特許文献5】特開2001−48620号公報
【特許文献6】特開2006−36623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、超高強度の硬化体を得るために水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合においても、かかるセメント組成物に高い流動性を与えると共に該流動性の経時的な低下を抑え、同時に優れた強度を有し且つ自己収縮の小さい硬化体を得ることができるセメント分散剤及びセメント組成物を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、セメント分散剤として特定のマレイン酸共重合体を含有するものを用いるのが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記のマレイン酸共重合体を含有して成ることを特徴とするセメント分散剤に係る。また本発明は、かかるセメント分散剤を用いて調製したセメント組成物に係る。
【0007】
マレイン酸共重合体:下記の構成単位A及び構成単位Bで構成されており、構成単位Aを30〜70モル%及び構成単位Bを30〜70モル%(合計100モル%)の割合で有していて、且つゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が下記の化1で示される単量体の分子量の10倍以内にあるもの
構成単位A:下記の化1で示される単量体から形成された構成単位
構成単位B:マレイン酸から形成された構成単位及び/又はマレイン酸塩から形成された構成単位
【0008】
【化1】

【0009】
化1において、
:炭素数3〜5のアルケニル基
:水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基
A:1〜100個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基又は合計2〜100個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成されたポリオキシアルキレン基
【0010】
先ず、本発明のセメント分散剤について説明する。本発明のセメント分散剤として用いるマレイン酸共重合体は、構成単位A及び構成単位Bで構成されている。これらのうちで構成単位Aは、化1で示される単量体から形成された構成単位である。化1において、Rとしては、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基等の炭素数3〜5のアルケニル基が挙げられる。なかでもRとしては、アリル基が好ましい。
【0011】
また化1において、Rとしては、1)水素原子、2)炭素数1〜22のアルキル基、3)炭素数1〜22の脂肪族アシル基が挙げられる。炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、2−メチル−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘプチル基、2−ブチル−オクチル基、2−ペンチル−ノニル基、2−ヘキシル−デシル基、2−ヘプチル−ウンデシル基、2−オクチル−ドデシル基、2−ノニル−トリデシル基、2−デシル−テトラデシル基、2−ウンデシル−ペンタデシル基、2−ドデシル−ヘキサデシル基等が挙げられる。また炭素数1〜22の脂肪族アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、ヘキサデセノイル基、エイコセノイル基、オクタデセノイル基等が挙げられる。なかでもRとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の脂肪族アシル基が好ましく、水素原子、メチル基、アセチル基がより好ましい。
【0012】
更に化1において、Aとしては、1)オキシエチレン基、2)2〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基、3)合計2〜100個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成されたポリオキシアルキレン基が挙げられる。なかでもAとしては、10〜70個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基が好ましい。
【0013】
以上説明した化1で示される単量体の具体例としては、α−アリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−メトキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−アセチル−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン、α−アリル−ω−ヒドロキシ−(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン等が挙げられる。構成単位Aは、これらの単量体の一つ又は二つ以上から形成された構成単位である。
【0014】
マレイン酸共重合体を構成する他方の構成単位Bとしては、1)マレイン酸から形成された構成単位、2)マレイン酸塩から形成された構成単位、3)前記1)と2)の双方が挙げられる。ここでマレイン酸塩の塩としては、その種類が特に制限されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン塩等が挙げられる。なかでもマレイン酸塩の塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩が好ましい。
【0015】
本発明のセメント分散剤として用いるマレイン酸共重合体は、以上説明した構成単位A及び構成単位Bで構成されており、構成単位Aを30〜70モル%及び構成単位Bを30〜70モル%(合計100モル%)の割合で有していて、且つゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が構成単位Aの形成に用いた化1で示される単量体の分子量又は平均分子量の10倍以内にあるものとするが、構成単位Aを30〜50モル%及び構成単位Bを50〜70モル%(合計100モル%)の割合で有していて、且つゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が構成単位Aの形成に用いた化1で示される単量体の分子量又は平均分子量の1.5〜7倍の範囲内にあるものとするのが好ましい。より具体的に、本発明のセメント分散剤として用いるマレイン酸共重合体は、ゲルパーミエーションクロマイドグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が、1000〜15000の範囲内にあるものとするのが好ましく、1500〜10000の範囲内にあるものとするのがより好ましい。
【0016】
本発明のセメント分散剤として用いるマレイン酸共重合体は、公知の方法で合成することができる。これには例えば、特開昭58−32051公報、特開平4−149056公報に記載の方法が挙げられる。より具体的には、先ず反応容器に所定量の化1で示される単量体と水とを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気中で80〜95℃に加熱する。次いで所定量の無水マレイン酸とラジカル重合開始剤とを水に溶解した水溶液を2時間程度かけて添加する。更にラジカル重合開始剤の水溶液を添加し、80〜95℃で2時間程度重合反応を行ない、マレイン酸共重合体の水溶液を得る。ここで用いるラジカル重合開始剤としては、重合反応温度下において分解し、ラジカルを発生するものであればその種類は特に制限されないが、水溶性のラジカル開始剤を用いるのが好ましい。かかる水溶性のラジカル開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。これらは、亜硫酸塩やL−アスコルビン酸の如き還元性物質更にはアミン等と組み合わせ、レドックス開始剤として用いることもできる。また得られるマレイン酸共重合体の質量平均分子量を所望の範囲のものとするため、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオグリセリン等の連鎖移動剤を使用することもできる。マレイン酸共重合体は、一般的に以上のような方法で合成することができるが、先ず反応容器に化1で示される単量体とマレイン酸と水とを前二者の合計濃度が10〜60質量%の水溶液となるように仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気中で50〜70℃に加熱した後、次にラジカル重合開始剤の水溶液を反応容器に添加し、重合反応を行なう方法が好ましい。
【0017】
本発明のセメント分散剤は、以上説明したようなマレイン酸共重合体を含有するものであり、好ましくはマレイン酸共重合体を30質量%以上、より好ましくはマレイン酸共重合体を50質量%以上含有するものであるが、なかでもマレイン酸共重合体及び化1で示される単量体から成り、且つマレイン酸共重合体を30〜90質量%及び化1で示される単量体を10〜70質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものが好ましく、マレイン酸共重合体を50〜90質量%及び化1で示される単量体を10〜50質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものがより好ましい。
【0018】
本発明のセメント分散剤がマレイン酸共重合体及び化1で示される単量体から成るものの場合、その調製方法としては、1)マレイン酸共重合体を合成するときにその合成系に化1で示される単量体を残存させる方法、2)マレイン酸共重合体と化1で示される単量体とを別個に用意して双方を配合する方法、3)前記1)で調製したものに化1で示される単量体を更に配合する方法等が挙げられるが、前記1)の調製方法が好ましい。かかる前記1)の調製方法としては、原料として無水マレイン酸、マレイン酸及びマレイン酸塩から選ばれる一つ又は二つ以上と、化1で示される単量体の一つ又は二つ以上を用い、これらの各所定量を水に溶解して水溶液とした後、これに窒素雰囲気下でラジカル重合開始剤を加え、50〜70℃に加温した水系にてラジカル共重合反応を決められた時間行ない、所定割合のマレイン酸共重合体と化1で示される単量体とから成る反応混合物を得る。ラジカル共重合反応の時間を決定する方法としては、1)反応系から反応混合物の一部を一定時間ごとに採取し、ゲルパーミエーションクロマトグラフGPCや高速液体クロマトグラフ等の迅速分析法で生成したマレイン酸共重合体と残存する化1て示される単量体との割合、マレイン酸共重合体の質量平均分子量等を求め、求めた数値からラジカル共重合反応を停止する時間を決定する方法、2)予めラジカル共重合反応の時間に対する生成したマレイン酸共重合体と残存する化1で示される単量体との割合、マレイン酸共重合体の質量平均分子量等の関係を求めておき、所望する時間でラジカル共重合反応を停止する方法等が挙げられるが、装置の自由度や簡便さ等から前記2)の方法が好ましい。
【0019】
次に、本発明のセメント組成物について説明する。本発明のセメント組成物は、以上説明したような本発明のセメントセメント分散剤を用いて調製したセメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物である。本発明のセメント組成物は結合材として少なくともセメントを用いたものであるが、これには結合材の一部として微粉末混和材料を用いたものも含まれる。かかるセメントとしては、1)普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、2)高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメント、3)アルミナセメント等が挙げられる。また微粉末混和材料としては、高炉スラグ微粉末、シリカフューム微粉末、フライアッシュ微粉末等が挙げられるが、なかでもシリカフューム微粉末が好ましい。結合材としては、低熱ポルトランドセメントにシリカフューム微粉末を5〜20質量%程度の割合で混合したシリカフュームセメントを用いるのが特に好ましい。使用する場合の細骨材、粗骨材及び本発明のセメント分散剤以外の他の各種のセメント混和剤等は公知のものを適用できる。
【0020】
本発明のセメント組成物において、水/結合材比は、特に制限されないが、7〜30%とするのが好ましく、7〜22%とするのがより好ましく、7〜16%とするのが特に好ましい。このように水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合において、本発明のセメント分散剤による効果の発現が高い。
【0021】
本発明のセメント組成物における本発明のセメント分散剤の使用量は、セメント又はセメントと微粉末混和材料とからなる結合材100質量部当たり、通常0.01〜4.0質量部の割合となるようにするが、0.05〜2.0質量部の割合となるようにするのが好ましい。本発明のセメント分散剤は通常、本発明のセメント組成物を調製する際に練り混ぜ水と一緒に加える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、超高強度の硬化体を得るために水/結合材比を著しく抑えたセメント組成物を調製する場合においても、かかるセメント組成物に高い流動性を与えると共に該流動性の経時的な低下を抑え、同時に優れた強度を有し且つ自己収縮の小さい硬化体を得ることができる。
【0023】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0024】
試験区分1(セメント分散剤の調製)
・実施例1{セメント分散剤(A−1)の調製}
蒸留水1687g、マレイン酸174g(1.5モル)及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシエチレン単位の数が33、以下n=33とする)オキシエチレン1513g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム25gを蒸留水100gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム25gを蒸留水100gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCという)等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−1)を69%及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=33)オキシエチレンを31%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−1)とした。
【0025】
・実施例2{セメント分散剤(A−2)の調製}
蒸留水2654g、マレイン酸197g(1.7モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=20)オキシエチレン940g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム17gを蒸留水68gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム17gを蒸留水68gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH4に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−2)を65%及びα−アリル−ω−メチル−ポリ(n=20)オキシエチレンを35%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−2)とした。
【0026】
・実施例3{セメント分散剤(A−3)の調製}
蒸留水3654g、マレイン酸174g(1.5モル)及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン2262g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、5%過酸化水素水溶液146gを投入し、更に5%L−アスコルビン酸水溶液67gを4時間かけて加え、ラジカル共重合反応を行なった後、更にまた70℃に保持して2時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化カルシウムにてpH5に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−3)を51%及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレンを49%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−3)とした。
【0027】
・実施例4{セメント分散剤(A−4)の調製}
蒸留水3654g、マレイン酸174g(1.4モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレンポリ(オキシプロピレン単位の数が5、以下m=5とする)オキシプロピレン2262g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、5%過酸化水素水溶液146gを投入し、更に5%L−アスコルビン酸水溶液67gを4時間かけて加え、ラジカル共重合反応を行なった後、更に70℃に保持して2時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−4)を69%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレンポリ(m=5)オキシプロピレンを31%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−4)とした。
【0028】
・実施例5{セメント分散剤(A−5)の調製}
蒸留水3704g、マレイン酸107g(0.92モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=80)オキシエチレン3597g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム56gを蒸留水222gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム56gを蒸留水222gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH5に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−5)を69%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=80)オキシエチレンを31%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−5)とした。
【0029】
・実施例6{セメント分散剤(A−6)の調製}
蒸留水1119g、マレイン酸107g(1.3モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=33)オキシエチレン1527g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム25gを蒸留水101gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム25gを蒸留水101gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−6)を73%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=33)オキシエチレンを27%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−6)とした。
【0030】
・実施例7{セメント分散剤(A−7)の調製}
蒸留水938g、マレイン酸139g(1.2モル)及びα−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=80)オキシエチレン3611g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム56gを蒸留水225gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム56gを蒸留水225gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH6に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−7)を54%及びα−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=80)オキシエチレンを46%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−7)とした。
【0031】
・実施例8{セメント分散剤(A−8)の調製}
無水マレイン酸88g(0.9モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン2276g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、アゾビスイソブチロニトリル20.0gを投入して、ラジカル共重合反応を開始した。2時間ラジカル共重合反応を行なった後、反応系に水300gを加えてラジカル共重合反応を停止した。反応系を水酸化カルシウムにてpH5に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−8)を70%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=50)オキシエチレンを30%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−8)とした。
【0032】
・実施例9{セメント分散剤(A−9)の調製}
無水マレイン酸118g(1.2モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=60)オキシエチレンポリ(m=10)オキシプロピレン3297g(1.0モル)を反応容器に仕込み、以下、実施例8と同様にラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH6に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−9)を72%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=60)オキシエチレンポリ(m=10)オキシプロピレンを28%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−9)とした。
【0033】
・実施例10{セメント分散剤(A−10)の調製}
蒸留水1841g、マレイン酸83g(0.80モル)及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=7)オキシエチレン367g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム7gを蒸留水28gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム7gを蒸留水28gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH5に調整し、更に蒸発処理にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−10)を35%及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=7)オキシエチレンを65%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−10)とした。
【0034】
・実施例11{セメント分散剤(A−11)の調製}
無水マレイン酸78g(0.80モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン2276g(1.0モル)を反応容器に仕込み、以下、実施例8と同様にラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH6に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(M−11)を78%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=50)オキシエチレンを22%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(A−11)とした。
【0035】
・実施例12{セメント分散剤(A−12)の調製}
実施例2のセメント分散剤(A−2)の場合と同様にして、表1に記載のセメント分散剤(A−12)を調製した。
【0036】
・比較例1{セメント分散剤(R−1)の調製}
無水マレイン酸147g(1.5モル)及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=33)オキシエチレン1527g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、アゾビスイソブチロニトリル10.0gを投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更にアゾビスイソブチロニトリル5.0gを加え、その1時間後、更にまたアゾビスイソブチロニトリル5.0gを加えて、5時間ラジカル共重合反応を行なった後、反応系に水300gを加えてラジカル共重合反応を停止した。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH5に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(r−1)を85%及びα−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=33)オキシエチレンを15%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(R−1)とした。
【0037】
・比較例2及び3{セメント分散剤(R−2)及び(R−3)の調製}
比較例1のセメント分散剤(R−1)の場合と同様にして、表1に記載の比較例2及び3のセメント分散剤(R−2)及び(R−3)を調製した。
【0038】
・比較例4{セメント分散剤(R−4)の調製}
蒸留水66g、マレイン酸116g(1.0モル)及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=2)オキシエチレン147g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム4gを蒸留水16gに溶解した水溶液を投入して、ラジカル共重合反応を開始した。1時間後、更に過硫酸ナトリウム4gを蒸留水16gに溶解した水溶液を投入し、70℃に保持して3時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH5に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(r−4)を76%及びα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=2)オキシエチレンを24%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(R−4)とした。
【0039】
・比較例5{セメント分散剤(R−5)の調製}
蒸留水601g、マレイン酸116g(1.0モル)及びα−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン2290g(1.0モル)を反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、5%過酸化水素水溶液146gを投入し、更に5%L−アスコルビン酸水溶液67gを4時間かけて加え、ラジカル共重合反応を行なった後、更に70℃に保持して2時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を水酸化ナトリウム水溶液にてpH6に調整し、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、表1に記載のマレイン酸共重合体(r−5)を75%及びα−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレンを25%の割合で含有する反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(R−5)とした。
【0040】
・比較例6{セメント分散剤(R−6)の調製}
蒸留水164gを反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し、窒素雰囲気下にて反応系の温度を60℃とした。別に蒸留水292g、メタクリル酸39g、α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=9)オキシエチレン339g及び3−メルカプトプロピオン酸3.8gを均一混合し、単量体混合物水溶液とした。この単量体混合物水溶液と10%過硫酸ナトリウム水溶液60gとを4時間かけて前記の反応容器に同時に滴下してラジカル共重合反応を行ない、更に10%過硫酸ナトリウム水溶液15gを1時間かけて滴下してラジカル共重合反応を行なった後、更にまた60℃に保持して1時間、ラジカル共重合反応を行なった。反応系を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液にてpH6に調整して、更に蒸留水にて固形分濃度25%に調整した後、ここに含まれる反応混合物を精製し、GPC等で分析したところ、メタクリル酸から形成された構成単位を80%及びα−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=9)オキシエチレンから形成された構成単位を20%の割合で含有する表2に記載の反応混合物であった。この反応混合物をセメント分散剤(R−6)とした。
【0041】
・比較例7〜10{セメント分散剤(R−7)〜(R−10)の調製}
比較例6のセメント分散剤(R−6)の場合と同様にして、表2に記載の比較例7〜10のセメント分散剤(R−7)〜(R−10)を調製した。
以上で調製した各例のセメント分散剤(A−1)〜(A−11)及び(R−1)〜(R−5)並びに(R−6)〜(R−10)の内容を表1及び表2にまとめて示した。
【0042】
【表1】

【0043】
表1において、
*1:構成単位Aを形成することと成る単量体の種類
*2:(マレイン酸共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量)/(構成単位Aの形成に用いた単量体の分子量)で求められる値
質量平均分子量:マレイン酸共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量
d−1:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=33)オキシエチレン
d−2:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=20)オキシエチレン
d−3:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン
d−4:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレンポリ(m=5)プロピレン
d−5:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=80)オキシエチレン
d−6:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=33)オキシエチレン
d−7:α−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=80)オキシエチレン
d−8:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン
d−9:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=60)オキシエチレンポリ(m=10)オキシプロピレン
d−10:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=7)オキシエチレン
dr−1:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=20)オキシエチレンポリ(m=10)プロピレン
dr−2:α−アリル−ω−メトキシ−ポリ(n=2)オキシエチレン
dr−3:α−イソプレニル−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=50)オキシエチレン
これらは以下同じ
【0044】
【表2】

【0045】
表2において、
dr−4:α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=9)オキシエチレン
dr−5:α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=23)オキシエチレン
dr−6:α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=45)オキシエチレン
dr−7:α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=68)オキシエチレン
dr−8:α−メトキシ−ω−メタクリロイル−ポリ(n=125)オキシエチレン
【0046】
試験区分2(超高強度コンクリート組成物の調製及び評価)
・実施例13〜48及び比較例11〜43(超高強度コンクリート組成物の調製)
表3に記載の配合条件で、表4〜表6に記載した各例の超高強度コンクリート組成物を次のように調製した。55Lのパン型強制練りミキサーにシリカフュームセメント(宇部三菱社製、比重=3.08、ブレーン値5600)、細骨材(大井川水系砂、比重=2.58)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.68)を順次投入して15秒間空練りした後、目標スランプフローが65±5cm及び空気量が3%以下の範囲となるよう前記の試験区分1で製造した表1又は表2記載のセメント分散剤等を、また結合材100重量部当たり0.01質量部の割合となるよう脂肪族ポリエーテル系消泡剤(竹本油脂社製の商品名AFK−2)を、練り混ぜ水と共に投入し、配合条件1では8分間、配合条件2では12分間練り混ぜた。また配合条件3においては、結合材として前記のシリカフュームセメントにシリカフューム微粉末(エルケム社製の商品名マイクロシリカ940U、比重=2.20、ブレーン値140000)を混合したものを用いた以外は同様にして14分間練り混ぜた。


【0047】
【表3】

【0048】
・超高強度コンクリート組成物の評価
調製した各例の超高強度コンクリート組成物について、練り混ぜ直後のスランプフロー、空気量及びLフロー初速度、また練り混ぜ直後から90分間静置後のスランプフロー及び空気量、更に硬化体の自己収縮ひずみ及び圧縮強度を下記のようにもとめた。結果を表4〜表9にまとめて示した。
【0049】
・スランプフロー:練り混ぜ直後及びそれから90分間静置した超高強度コンクリート組成物について、JIS−A1150に準拠して測定した。
・空気量:練り混ぜ直後及びそれから90分間静置した超高強度コンクリート組成物について、JIS−A1128に準拠して測定した。
・Lフロー初速度:練り混ぜ直後の超高強度コンクリート組成物について、Lフロー試験器(日本建築学会の「高流動コンクリートの材料・調合・製造・施工指針(案)・同解説」に記載のもの)を用いて測定した。尚、Lフロー初速度は、Lフロー試験器の流れ始動面より3cmから8cmの間の流動速度とした。スランプフローが同一である場合、Lフロー初速度の大きいものが低粘性であることを示す。
・自己収縮ひずみ:各例の超高強度コンクリート組成物を硬化させた材齢1日と28日の硬化体について、日本コンクリート工学協会の自己収縮研究委員会報告書の「コンクリートの自己収縮応力試験方法(案)」に準拠して測定した。材齢は凝結時間の始発を出発時間とした。尚、自己収縮ひずみの数値が小さいほど、自己収縮が小さいことを示す。一般に、水/結合材比の小さい超高強度コンクリート組成物ほど自己収縮ひずみが大きくなる傾向があるため、自己収縮ひずみは水/結合材比が同じ超高強度コンクリート組成物間で比較する必要がある。
・圧縮強度:各例の超高強度コンクリート組成物を硬化させた材齢7日と28日の硬化体について、JIS−A1108に準拠して測定した。














【0050】
【表4】





















【0051】
【表5】





















【0052】
【表6】

【0053】
表4〜表6において、
セメント分散剤の添加量:結合材100質量部当たりのセメント分散剤の添加質量部
R−11:ナフタレンスルホン酸系セメント分散剤(竹本油脂社製の商品名ポールファイン510−AN)
*3:セメント分散剤の添加量を増やしても、流動性が不足して目標のフロー値が得られなかった。













【0054】
【表7】






















【0055】
【表8】






















【0056】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のマレイン酸共重合体を含有して成ることを特徴とするセメント分散剤。
マレイン酸共重合体:下記の構成単位A及び構成単位Bで構成されており、構成単位Aを30〜70モル%及び構成単位Bを30〜70モル%(合計100モル%)の割合で有していて、且つゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が構成単位Aの形成に用いた下記の化1で示される単量体の分子量又は平均分子量の10倍以内にあるもの
構成単位A:下記の化1で示される単量体から形成された構成単位
構成単位B:マレイン酸から形成された構成単位及び/又はマレイン酸塩から形成された構成単位
【化1】

(化1において、
:炭素数3〜5のアルケニル基
:水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜22の脂肪族アシル基
A:1〜100個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基又は合計2〜100個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成されたポリオキシアルキレン基
【請求項2】
マレイン酸共重合体及び化1で示される単量体から成り、且つマレイン酸共重合体を30〜90質量%及び化1で示される単量体を10〜70質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る請求項1記載のセメント分散剤。
【請求項3】
マレイン酸共重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が構成単位Aの形成に用いた化1で示される単量体の分子量又は平均分子量の1.5〜7倍の範囲内にある場合のものである請求項1又は2記載のセメント分散剤。
【請求項4】
マレイン酸共重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が1000〜15000の範囲内にある場合のものである請求項1又は2記載のセメント分散剤。
【請求項5】
マレイン酸共重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリエチレングリコール換算の質量平均分子量が1500〜10000の範囲内にある場合のものである請求項1又は2記載のセメント分散剤。
【請求項6】
構成単位Aが、化1中のRがアリル基であり、Rが水素原子、メチル基又はアセチル基であって、Aが10〜70個のオキシエチレン単位から構成されたポリオキシエチレン基である場合のものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載のセメント分散剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの項記載のセメント分散剤を用いて調製したセメント組成物。
【請求項8】
水/結合材比が7〜30%のものである請求項7記載のセメント組成物。
【請求項9】
水/結合材比が7〜22%のものである請求項7記載のセメント組成物。
【請求項10】
結合材としてシリカフュームを含有するものを用いたものである請求項7〜9のいずれか一つの項記載のセメント組成物。

【公開番号】特開2009−263181(P2009−263181A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116712(P2008−116712)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】