説明

セメント質硬化体の製造方法

【課題】金属繊維を含まない圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体においても、埋め込み金具などの拘束によるひび割れが生じることがないセメント質硬化体の製造方法を提供する。
【解決手段】セメント、BET比表面積5〜25m2/gの微粉末、細骨材、減水剤及び水に加えて、収縮低減剤及び/又は尿素を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、さらに二次養生するセメント質硬化体の製造方法であって、収縮低減剤及び/又は尿素の配合量が、セメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部である。
上記配合物は、さらに、有機質繊維や、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体が提案されている。該セメント質硬化体は、一般的に、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、水及び減水剤等を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、該成形体を60〜90℃で3〜48時間程度蒸気養生(二次養生)して、製造されている(特許文献1)。
しかしながら、このようにして製造されたセメント質硬化体では、金属繊維を含まない場合、埋め込み金具などの拘束により、ひび割れが生じることがある。
【特許文献1】特開2001−207516
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体においても、埋め込み金具などの拘束により、ひび割れが生じることがないセメント質硬化体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、金属繊維を含まない圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体の製造においては、一次養生中の収縮量を低減することにより、埋め込み金具などの拘束によるひび割れの発生を防止できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、セメント、BET比表面積5〜25m2/gの微粉末、細骨材、減水剤及び水に加えて、収縮低減剤及び/又は尿素を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、さらに二次養生するセメント質硬化体の製造方法であって、収縮低減剤及び/又は尿素の配合量が、セメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部であることを特徴とするセメント質硬化体の製造方法である(請求項1)。
そして、上記配合物は、有機質繊維や、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末を含むことができる(請求項2、3)。
【発明の効果】
【0005】
本発明のセメント質硬化体の製造方法では、金属繊維を含まない圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体であっても、埋め込み金具などの拘束によるひび割れを発生させることなくセメント質硬化体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセメント質硬化体の製造方法は、セメント、BET比表面積5〜25m2/gの微粉末、細骨材、減水剤及び水に加えて、収縮低減剤及び/又は尿素を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、さらに二次養生するセメント質硬化体の製造方法である。
本発明においては、前記配合物は、硬化後(二次養生後)の圧縮強度が100N/mm2以上となる配合物であることが好ましい。その理由は、圧縮強度が100N/mm2未満であるセメント質硬化体では、一般に一次養生と二次養生を組み合わせて行う必要性に乏しく、本発明の製造方法を適用する余地も乏しいためである。
【0007】
セメント質硬化体用の材料及び好ましい配合割合について説明する。
セメントの種類としては、特に限定されることがなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを使用することができる。
本発明において、硬化体の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0008】
BET比表面積5〜25m2/gの微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ、石灰石粉末等が挙げられる。一般に、シリカフュームやシリカダストは、そのBET比表面積が5〜25m2/gであり、粉砕等をする必要がないので、本発明の微粉末として好適である。また、被粉砕性や流動性等の観点から、石灰石粉末も本発明の微粉末として好適である。
BET比表面積5〜25m2/gの微粉末を配合することによって、そのマイクロフィラー効果及びセメント分散効果が発揮されて、硬化体が緻密化し、圧縮強度が向上する。一方、該微粉末の添加量が多過ぎると、単位水量が増大し、硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等が低下するので、微粉末の添加量は、セメント100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
また、微粉末のBET比表面積は、5〜25m2/g、好ましくは7〜15m2/gである。該値が5m2/g未満では、硬化後の強度等が低下する。一方、該値が25m2/gを越えると、単位水量が増大し、硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等が低下する。また、入手も困難となる。
【0009】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂またはこれらの混合物を使用することができる。本発明においては、配合物の流動性や施工性、硬化後のクラック抵抗性等から、85%質量累積粒径が2mm以下の細骨材を用いることが好ましく、配合物の分離抵抗性や硬化後の強度発現性等から、最大粒径が2mm以下の細骨材を用いることがより好ましく、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることが特に好ましい。
細骨材の配合量は、配合物の流動性や施工性、硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等の観点から、セメント100質量部に対して50〜250質量部が好ましく、80〜180質量部がより好ましい。
【0010】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することが好ましい。減水剤を配合することによって、配合物の流動性や施工性、硬化後の緻密性や強度等が向上する。
減水剤の配合量は、配合物の流動性や施工性、硬化後の緻密性や強度、コスト等の面から、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
【0011】
水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、水/セメント比は、配合物の流動性や施工性、硬化体の強度、耐久性、緻密性や耐衝撃性等の面から、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0012】
収縮低減剤としては、低級アルコールアルキレンオキサイド付加物、グリコールエーテル系の界面活性剤、ポリエーテル系の界面活性剤などを主成分とするものを使用することができる。中でも、グリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするものやポリエーテル系の界面活性剤を主成分とするものが好ましく、特にグリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするものが好ましい。
なお、低級アルコールアルキレンオキサイド付加物としては、化学式(1);R1O(A1O)n1Hで示される化合物が挙げられる。ここで、化学式(1)中のR1は、水素又は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基である。このような基としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましいのは、メチル基及び直鎖もしくは分岐の各種ブチル基である。また、化学式(1)中のA1は、炭素数2〜3の1種又は2種のアルキレン基であり、A1Oはオキシアルキレン基であり、通常、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの付加により形成される。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを供用付加する場合は、任意の割合(例えば、モル比が、1〜99/99〜1)でよく、ブロック付加形式でもランダム付加形式でも差し支えない。供用付加の形式として好ましいものは、ブロック付加である。さらに、化学式(1)中のn1は、1〜10の整数である。
低級アルコールアルキレンオキサイド付加物を主成分とする収縮低減剤には、前記(1)式で示される化合物100質量部に対して、化学式(2);R2O(C3H6O)n2Hで示される化合物を0.01〜1質量部含むことができる。ここで、化学式(2)中のR2は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基である。このような基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、直鎖もしくは分岐の各種ブチル基である。また、化学式(2)中のn2は、10を超える100までの整数である。
【0013】
尿素としては、試薬や工業製品(農業用肥料等)を使用することができる。
収縮低減剤及び/又は尿素を配合することによって、一次養生中の収縮量が小さくなり、その結果、埋め込み金具などの拘束によるひび割れの発生を防止することができる。
収縮低減剤及び/又は尿素の配合量は、セメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましく、硬化体のひび割れ発生防止効果や、配合物の流動性や施工性、硬化後の強度発現性、コストや養生時間等から、1.0〜3.0質量部がより好ましく、1.5〜2.6質量部がより好ましい。収縮低減剤及び/又は尿素の配合量が、セメント100質量部に対して0.5質量部未満では、一次養生中の収縮量の低減効果が小さく、一次養生終了時に埋め込み金具などの拘束によるひび割れが発生することがあるので好ましくない。収縮低減剤及び/又は尿素の配合量が3.0質量部を超えると、硬化後の強度発現性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明においては、硬化後の破壊エネルギーを向上するために、配合物に有機質繊維を含ませることができる。有機質繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維等を使用することができる。中でも、強度、コスト、入手のし易さ等の面から、ビニロン繊維が好ましい。
本発明で使用する繊維は、直径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。直径が0.01mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、硬化体の破壊エネルギー等を向上する効果が低下する。長さが2mm未満では、マトリックスとの付着力が低下して、破壊エネルギー等を向上する効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。
【0015】
有機質繊維の配合量は、配合物の体積の10%以下が好ましく、1.0〜7.0%がより好ましい。繊維の配合量は、流動性と硬化体の破壊エネルギーの観点から定められる。すなわち、一般に、繊維の含有量が多くなると、破壊エネルギーが向上する反面、流動性を確保するために単位水量が増大する。そのため、繊維の配合量は、前記の数値範囲内とするのが好ましい。
【0016】
本発明においては、配合物の流動性や硬化後の強度、緻密性等を向上するために、配合物にブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末を含ませることができる。特に、収縮低減剤として、グリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするものやポリエーテル系の界面活性剤を主成分とするものを使用する場合には、無機粉末を含むことにより、一次養生後の収縮量が大幅に低減することから、無機粉末を含むことが好ましい。
無機粉末としては、セメント以外の無機粉末であり、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、フライアッシュ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化後の品質安定性の点で好ましく用いられる。
無機粉末のブレーン比表面積は4000〜10000cm2/gが好ましく、4500〜9000cm2/gがより好ましく、5000〜9000cm2/gが特に好ましい。無機粉末のブレーン比表面積が4000cm2/g未満では、流動性や硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等を向上する効果が低下する。一方、該値が10000cm2/gを越えても、流動性や硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等を向上する効果が低下する。また、コスト高になる。
無機粉末の配合量は、配合物の流動性、硬化体の緻密性や強度等の面から、セメント100質量部に対して50質量部以下が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0017】
本発明においては、硬化後の靭性を向上するために、配合物に繊維状粒子もしくは薄片状粒子を含ませることができる。繊維状粒子としては、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられ、薄片状粒子としては、例えば、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の平均粒度は1mm以下であることが好ましい。前記粒度の繊維状粒子もしくは薄片状粒子を配合することによって、硬化体の靭性が向上する。
平均粒度が1mmを超えると、配合物の流動性や硬化体の強度等が低下するので好ましくない。なお、本発明における粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の配合量は、配合物の流動性、硬化後の強度や靭性等の面から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、1〜25質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、配合物の混練方法は、特に限定されるものではない。
また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
上記混練した配合物を所定の型枠を用いて成形し、一次養生を行う。成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。
一次養生としては、型枠に配合物を収納した状態で、5〜40℃で所定時間(3〜48時間程度)静置する方法が挙げられる。
【0019】
一次養生終了後、脱型する。ここで、脱型時のセメント質硬化体の圧縮強度は、10N/mm2以上であることが好ましい。圧縮強度が10N/mm2未満では、脱型が困難である。
【0020】
脱型後、二次養生し、セメント質硬化体を製造する。
二次養生としては、60〜95℃で3〜48時間蒸気養生する方法が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例によって本発明を説明する。
[実施例1]
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
(a)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
(b)ポゾラン質微粉末:シリカフューム(BET比表面積11m2/g)
(c)細骨材:珪砂5号
(d)減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤
(e)水:水道水
(f)収縮低減剤:n−ブチルアルコールのプロピレンオキサイド(平均付加モル数2)/エチレンオキサイド(平均付加モル数2)ブロック付加物100質量部と、 iso−ブチルアルコールプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数50) 0.5 質量部の配合物
(g)尿素:試薬(関東化学(株)製鹿1級)
(h)有機質繊維:ビニロン繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(i)石英粉末(ブレーン比表面積7000cm2/g)
(j)繊維状粒子:ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
【0022】
2.配合物の調製
上記各材料を使用して、表1に示す配合物を調製した。混練にはパン型ミキサを用いた。配合物の調製は、各材料を一括してミキサに投入し、10分間混練することにより行った。
【0023】
【表1】

【0024】
3.セメント質硬化体の製造
上記各配合物を、埋め込み金具(φ20×30mm)を4個配した800×800×30mmの型枠に流し込み、20℃で24時間静置(一次養生)後、脱型した。脱型後、90℃で48時間蒸気養生(二次養生)し、図1に示すセメント質硬化体(800×800×30mm)を10枚づつ製造した(なお、図1において、a及びbの長さは、それぞれ160mmである)。該セメント質硬化体表面を目視観察し、ひび割れ発生の有無を確認した。
また、別途各配合物をφ50×100mmの型枠に流し込み、20℃で24時間静置(一次養生)後、脱型し、さらに90℃で48時間蒸気養生(二次養生)後、「JIS A 1108」に準じて圧縮強度を測定した。
また、別途各配合物を10×10×40cmの型枠に流し込み、20℃で24時間静置(一次養生)後の収縮量を、JCI-SAS2「セメントペースト、モルタルおよびコンクリートの自己収縮および自己膨張試験方法(案)」に準じて測定した。
その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
表2から、本発明のセメント質硬化体の製造方法では、金属繊維を含まない圧縮強度が100N/mm2以上であるセメント質硬化体であっても、埋め込み金具などの拘束によるひび割れを発生させることなくセメント質硬化体を製造できることが分かる。
一方、収縮低減剤若しくは尿素を配合していない又は配合量が少ない場合は、一部の硬化体にひび割れの発生が認められた。また、収縮低減剤の配合量が多い場合は、強度発現性が低かった。
【0027】
[実施例2]
1.使用材料
収縮低減剤として、A:グリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするもの、B:ポリエーテル系の界面活性剤を主成分とするものを使用したこと以外は、実施例1と同じ材料を使用した。
【0028】
2.配合物の調製
上記各材料を使用して、表3に示す配合物を調製した。混練にはパン型ミキサを用いた。配合物の調製は、各材料を一括してミキサに投入し、10分間混練することにより行った。
【0029】
【表3】

【0030】
3.セメント質硬化体の製造
上記各配合物に対して、実施例1と同じ方法で、(1)セメント質硬化体表面のひび割れ発生の有無、(2)圧縮強度、(3)一次養生後の収縮量、を測定した。
その結果を表4に示す。
【0031】
【表4】

【0032】
表4から、収縮低減剤として、グリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするもの、又は、ポリエーテル系の界面活性剤を主成分とするものを使用した場合には、一次養生後の収縮量を大幅に低減でき、埋め込み金具などの拘束によるひび割れを発生させることなくセメント質硬化体を製造できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)は、実施例で製造したセメント質硬化体を示す正面図であり、(b)は、A−A線断面図であり、(c)は、B−B線断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 セメント質硬化体
2 埋め込み金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、BET比表面積5〜25m2/gの微粉末、細骨材、減水剤及び水に加えて、収縮低減剤及び/又は尿素を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、さらに二次養生するセメント質硬化体の製造方法であって、収縮低減剤及び/又は尿素の配合量が、セメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部であることを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
【請求項2】
配合物が有機質繊維を含む請求項1に記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項3】
配合物がブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末を含む請求項1又は2に記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項4】
収縮低減剤がグリコールエーテル系の界面活性剤を主成分とするもの又はポリエーテル系の界面活性剤を主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項5】
二次養生後の圧縮強度が100N/mm2以上である請求項1〜4のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−230955(P2008−230955A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17892(P2008−17892)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】