説明

セラミックス前駆体の製造方法

【課題】添加成分を主成分中へより分散させたセラミックス前駆体の製造方法を提供する。
【解決手段】主成分であるa成分を含む第1原料および添加成分であるb成分を含む第2原料の全てもしくは一部を架橋性配位子によって取り囲まれた錯体配位子12および14とし、水、メタノール及びエタノールのうちいずれか1以上の溶媒へ第1原料及び第2原料を該溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して懸濁流動体とし、過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出して溶媒中で高濃度状態となることにより、この溶媒からセラミックス前駆体20を析出させるセラミックス前駆体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス前駆体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックスとしては、Ga23を主成分とし、この主成分のうち0.5%〜15%がV,Cr,Mn,Fe,Co,Niのうちずれか1種又は複数種の原子(添加成分)に置換されており、酸化雰囲気中又は還元雰囲気中で熱処理をする/しないことにより、「O」の欠損数を調整することができ、それにより希薄強磁性半導体及び希薄常磁性絶縁体の双方を得ることができるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ZrO2を主成分とし、Y23を添加成分として加える際に、Y原子を分散して配置すると酸素イオン伝導度を高めることができるというシミュレーション結果が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−4653号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Solid State Ionics 126(1999)181-189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1に記載されたセラミックスでは、添加する成分の結晶中における原子レベルの分散性については検討されていなかった。例えば、添加する原子が主成分の中に比較的固まった状態で存在しているか、できるだけ分散した状態で存在しているかによって、そのセラミックスが有している機能に差が出ることが考えられる。ここで、非特許文献1のように、主成分に添加する成分は、より分散した状態である方が、より少ない量で有効に添加成分の効果を発揮することがある。しかしながら、非特許文献1では、具体的に添加成分をより分散する方法については検討されておらず、添加する成分を主成分中により分散させることが望まれていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、添加成分を主成分中へより分散させることができるセラミックス前駆体の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、主成分であるZr成分を含む第1原料をZrイオンが4つのシュウ酸およびアンモニウムにより取り囲まれた錯体配位子とし、所定の前駆体溶媒へZr成分(主成分)を含む第1原料及びY成分(添加成分)を含む第2原料を前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して懸濁流動体とし、過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出して反応する際に、この懸濁流動体に対して衝撃エネルギーを加えたり強攪拌状態として所定の高濃度状態とすることにより、前駆体溶媒への溶解度が低い前駆体を析出させるものとすると、添加成分を主成分中へより分散させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のセラミックス前駆体の製造方法は、
主成分であるa成分及び添加成分であるb成分を含むセラミックスの前駆体を製造するセラミックス前駆体の製造方法であって、
前記a成分を含む第1原料および前記b成分を含む第2原料の全てもしくは一部を所定の架橋性配位子によって取り囲まれた錯体配位子とし、所定の前駆体溶媒へ前記第1原料及び前記第2原料を前記前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して前記第1原料及び前記第2原料の溶解量が制限された状態とする添加工程と、
前記過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前記前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより該前駆体溶媒から析出する前記a成分と前記b成分とを含むセラミックス前駆体を生成する前駆体生成工程と、
を含むものである。
【0009】
あるいは、本発明のセラミックス前駆体の製造方法は、
主成分であるZr成分及び添加成分であるY成分を含むセラミックスの前駆体を製造するセラミックス前駆体の製造方法であって、
前記Zr成分を含む第1原料をZrイオンが4つのシュウ酸およびアンモニウムにより取り囲まれた錯体配位子とし、
水、メタノール及びエタノールのうちいずれか1以上の前駆体溶媒へ前記第1原料及び前記Y成分を含む第2原料を前記前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して懸濁流動体とする添加工程と、
前記過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前記前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより該前駆体溶媒から析出する前記Zr成分と前記Y成分とを含むセラミックス前駆体を生成する前駆体生成工程と、
を含むものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
このセラミックス前駆体の製造方法では、添加成分を主成分中へより分散させることができる。この理由は定かではないが、以下のように推察される。例えば、a成分とb成分とを含む目的とするセラミックス前駆体は、準安定構造であることがある。一般に、共沈法のようなa成分およびb成分を完全に溶解させるようなソフト溶液プロセスの場合には、アルカリもしくはシュウ酸のような錯形成剤(配位子)を添加すると、a成分もしくはb成分いずれかより安定な物質である副生成物(例えばb成分のみから成る水酸化物、もしくは錯体ポリマー)が先に生成し、各成分が別々に沈殿するため、沈殿の粒子径がいかに小さくても原子レベルでは添加成分の分散が十分とはなりにくい。ここでは、a成分を含む第1原料及びb成分を含む第2原料を所定の前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して第1原料及び第2原料の溶解量が制限された状態(例えば懸濁流動体)且つ常に所定の高濃度状態(例えば飽和状態)とすることにより溶媒中に各原料が十分含まれるようにして速度論的に安定な準安定構造である前駆体の生成を選択的に進め、且つ熱力学的に安定な副生成物の生成は抑制するのである。また、a成分を含む第1原料およびb成分を含む第2原料の全てもしくは一部を予め所定の架橋性配位子によって取り囲まれた錯体配位子とすることで、a成分同士、及び/又はb成分同士が結合してポリマーとなることを抑制できる。このため、添加成分を主成分中へより分散させることができるものと推察される。なお、a成分がZr成分であり、b成分がY成分であり、所定の架橋性配位子がシュウ酸であるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Zr成分を含む第1原料であるZrシュウ酸錯体12と目的のセラミックス前駆体20の説明図。
【図2】原子配置セラミックス30の説明図。
【図3】セラミックス前駆体20の製造方法の模式図。
【図4】前駆体溶媒の種類による前駆体のX線回折測定結果の図。
【図5】仮焼後の前駆体のX線回折測定結果の図。
【図6】セラミックス前駆体中にYイオンが取り込まれなかった場合に想定される生成物のX線回折測定結果の図。
【図7】反応系内の水分量が異なる前駆体のX線回折測定結果の図。
【図8】副生成物NH4Y(ox)2・H2Oの結晶構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は、Zr成分を含む第1原料であるZrシュウ酸錯体12と目的のセラミックス前駆体20の説明図であり、図2は、原子配置セラミックス30の説明図であり、図3は、本発明のセラミックス前駆体20の製造方法の模式図である。なお、図1では、Zrシュウ酸錯体の一例として、テトラキス(オキサラト)ジルコニウム(IV)アンモニウム((NH44[Zr(ox)4])を示す。本発明のセラミックス前駆体の製造方法は、(1)所定の前駆体溶媒へ主成分であるa成分を含む第1原料及び添加成分であるb成分を含む第2原料を前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して第1原料及び第2原料の溶解量が制限された状態とする添加工程と、(2)過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより前駆体溶媒から析出するa成分とb成分とを含む前駆体を生成する前駆体生成工程と、を含むものである。ここでは、主成分としてa成分、添加成分としてb成分を用いる場合について、以下、各工程順に説明する。ここで、「主成分」とは、セラミックス全体の組成のうち1番目や2番目などに多い、上位成分などをいい、全体に占める「主成分」の合計の割合が50%以上であることが好ましい。「添加成分」とは、全体に占める割合が50%未満であることが好ましい。また、以下には、a成分としてZr(ジルコニウム)成分、b成分としてY(イットリウム)成分とした場合を主として具体的に説明する。
【0013】
本発明のセラミックス前駆体20は、例えば、図1に示すように、添加成分であるY原子が隣接しない状態でZr原子の中に配置されているものである。このセラミックス前駆体20の原子配置を維持した状態で焼成すると、図2に示すように、Y原子が隣接しない状態でZr原子の中に配置された原子配置セラミックス30を得ることができる。このように、例えば、8%のY23(Zr原子とY原子のトータルに対するY原子の物質量比に換算すると15mol%)が添加されたZrO2、いわゆる8YSZなどを作製する際に、Y原子を隣接しないように配置することができれば、その特性(例えばイオン伝導度など)をより向上することができると考えられている。本発明のセラミックス前駆体の製造方法は、添加成分を主成分中へより分散させるセラミックス前駆体20を作製する方法である。
【0014】
(1)添加工程
この工程では、前駆体溶媒へa成分を含む第1原料及びb成分を含む第2原料を前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加する。そして、第1原料及び第2原料の溶解量が制限された状態とする。溶解量が制限された状態とは、例えば、液体に原料が懸濁した状態である懸濁流動体としてもよいし、常に所定の高濃度状態である飽和状態としてもよい。a成分は例えばZrイオンであり、b成分は例えばY、Sc、Mn、Sr、Ca、Mg、Ybから選ばれる1以上のイオンであるものとしてもよい。このうち、b成分は、Yイオンであることがより好ましい。特に、ジルコニアセラミックスなどのイオン導電性を有するセラミックスなどでは、添加成分がより分散する方が機能が高まることが多いため、本発明を適用する意義が高い。例えば、非特許文献1では、Y原子が隣接しないように配置されたジルコニアセラミックスでは、Y原子をランダムに配置した場合に比して、より高い酸素イオン伝導度(例えば、作動温度800℃において2倍の酸素イオン伝導度など)を得ることがシミュレーションによっては確認されている。また、第1原料は、a成分がZrイオンで、かつ予め4つのシュウ酸およびアンモニウムによって取り囲まれた錯体配位子であるZrシュウ酸錯体((NH44[Zr(ox)4])であることが好ましい。ここで、Zrシュウ酸錯体は、溶解してきたYイオンと配位結合を形成することができる。ここでは1つのYイオンに対し、4つのZrシュウ酸錯体が結合できるが、この際Yイオン同士は結合できないため、Yイオン同士は近接することがない。なお、このように、それ自身が錯体であっても、新たに配位結合を形成するような配位子として働くZrシュウ酸錯体のような錯体を一般に「錯体配位子」と呼ぶ。また、このZrシュウ酸錯体では、各シュウ酸の結合部位にアンモニウムイオン(NH4+)が存在するため、このイオンとYイオン(Y3+)が置換されることで結合が形成される。このように比較的温和な条件で反応を進めることができるため、YイオンがZrシュウ酸錯体からシュウ酸を奪い取ってYイオン同士で重合化するような反応が起こりにくく、かつZrイオン(Zr4+)とYイオン(Y3+)の電荷の偏りを残留するアンモニウムイオンで補償できるため、より安定に所望のセラミックス前駆体を得ることができる。第2原料は、b成分がYイオンである酢酸塩及び硝酸塩の少なくとも一方であることが好ましい。こうすれば、Zrシュウ酸錯体やYの酢酸塩及び硝酸塩では、前駆体溶媒への溶解性が好適であり、セラミックス前駆体を生成しやすい。このうち、第2原料については、溶解安定性がより高いと考えられることから、Yの酢酸塩がより好適である。また、上記とは逆に添加成分であるb成分をYイオンが予めシュウ酸によって取り囲まれた錯体配位子とし、主成分であるa成分をZrイオンを含む塩(硝酸塩など)としてもよい。なお、以下便宜的に、シュウ酸部分を(ox)で示し、酢酸部分を(AcO)で示し、硝酸部分を(NO3)で示すことがある。
【0015】
前駆体溶媒は、少なくとも第1原料及び第2原料を溶解するものであるが、溶媒量は完全に溶解してしまわない量とする。こうすれば、第1原料及び第2原料の溶解量が制限された状態となり、反応が進んで濃度が低下しても溶けきれていない第1原料及び第2原料が溶解して供給されて常に高濃度状態(速度論的に優位な状態)を保てるため、より選択的に所望のセラミックス前駆体を生成しやすい。この前駆体溶媒は、水、メタノール及びエタノールのうちいずれか1以上としてもよい。このうち、原料の溶解度が好適であるといった観点から、エタノールがより好ましい。ここで好適である理由は不明であるが、一般的な塩の溶解度順が 水>メタノール>エタノール>プロパノール>ブタノール であることを考慮すれば、溶け過ぎず、溶けなさ過ぎない中間であることが原因と思われる。また、第1原料と第2原料とを過剰量となるように前駆体溶媒へ添加する。ここで、「過剰量」とは、第1原料及び第2原料が前駆体溶媒へ溶解しきれずに溶け残るような量をいう。ここで、溶媒量がより多く、第1原料や第2原料をすべて溶媒中へ溶解してしまうと、熱力学的に優位な状態となり、副生成物が生成し易くなる。例えば、予め第1原料をZrイオンに4つのシュウ酸が結合したZrシュウ酸錯体としても、第2原料のYイオンの酢酸塩と共に完全に溶解させた状態とすると、YイオンはZrイオンに結合したシュウ酸を奪ってYイオン同士で重合化して副生成物の重合体(例えば[Y2(ox)3n)を生成して沈殿する。ソフト溶液プロセスでは、このように大きな構造の変化が必要な反応であっても、十分な反応時間を得られるため、解離および結合を繰り返して、最終的に熱力学的に安定な重合体(ポリマー)が選択的に生成される。一方、本発明の製造方法では、常に高濃度であるため、共に溶解したZrシュウ酸錯体とYイオンはすぐに反応して比較的安定な(準安定な)所望のセラミックス前駆体20を形成する。該セラミックス前駆体20は前記[Y2(ox)3nに比して熱力学的に安定ではないが、ポリマーであるため、原料のZrシュウ酸錯体やYの酢酸塩と比して前駆体溶媒への溶解度が低いことがあり、溶媒から析出することがある。この際、第1原料に含まれるZrシュウ酸錯体と第2原料に含まれるYイオンの濃度が低下するため、セラミックス前駆体20がZrシュウ酸錯体とYイオンに解離して再度溶出してしまうおそれがある。このため、後述する前駆体生成工程で、セラミックス前駆体20の生成に伴って生じる第1原料や第2原料の濃度変化を、過剰量存在する第1原料や第2原料から補うようにしておくのである。
【0016】
また、この添加工程の前に、第1原料、第2原料及び前駆体溶媒のうちいずれか1以上から水分を除去する水分除去工程を含むものとしてもよい。即ち、添加工程では、上記した第1原料、第2原料及び前駆体溶媒は乾燥されたものを用いることが好ましい。原料や溶媒に水分が多く含まれると、Yイオンのみから形成される副生成物(NH4Y(ox)2・H2O)が生成してYイオンが偏析するために好ましくない。例えば第1原料のZrシュウ酸錯体は結晶水を含む場合((NH44[Zr(ox)4]・nH2O,nは結晶水の数で条件により0〜3をとる)や吸着水を有する場合があるため、乾燥機等で乾燥することが好ましい。第2原料の酢酸塩や硝酸塩は結晶水を含む場合(Y(AcO)3・n’H2O,n’=0〜4、Y(NO33・n”H2O n”=0〜6)や吸着水を有する場合があるため、同様に乾燥することが好ましい。この水分除去工程では、第1原料や第2原料から水分を除去するのが好ましく、第1原料、第2原料及び前駆体溶媒のすべてから水分を除去するのが最も好ましい。ここで、乾燥機等の温度は50〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。50℃以下であると十分に乾燥されないことがあり、150℃以上では原料が分解することがあるためである。なお、乾燥時間が短くてすむといった観点から、真空下で乾燥することがさらに好ましい。前駆体溶媒は、例えばモレキュラーシーブや無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥したものや、マグネシウムなどを用いて乾燥した無水溶媒を用いることが好ましい。
【0017】
(2)前駆体生成工程
この工程では、過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより前駆体溶媒から析出するa成分とb成分とを含むセラミックス前駆体を生成する。ここで、「所定の高濃度状態とする」とは、例えば、前駆体の析出により減少する、溶媒中の第1原料及び溶媒中の第2原料とを、過剰量添加した第1原料及び第2原料から溶媒中へ供給することにより、前駆体溶媒をいわゆる飽和状態とするものとしてもよい。この前駆体溶媒を高濃度状態にするに際して、第1原料及び第2原料へ衝撃エネルギーを加えるものとしてもよい。また、これに加えて又はこれに代えて、前駆体溶媒を所定の高濃度状態とするに際して、第1原料及び第2原料を強攪拌状態とするものとしてもよい。前駆体溶媒を高濃度状態にする方法としては、例えば、原料に衝撃を与えると共に強攪拌するポットミル、遊星ミル、アトライターなどの湿式混合粉砕や、超音波の照射、溶媒熱合成などが挙げられる。衝撃エネルギーを加えたり強攪拌することにより、いわゆるメカノケミカル現象などにより、原子レベルでの配列が起きることも考えられる。ポットミルにより高濃度状態を維持する場合、例えば、ポット容量を20ml〜80mlとすると、第1原料に含まれるZr原子のモル数を0.36mmol〜14.4mmol、第2原料に含まれるY原子のモル数を1.94mmol〜77.5mmol、溶媒量を2ml〜10ml、反応時間を24時間から72時間、ボール直径を3mm〜10mm、ボール重量を50g〜150g、ポット回転数を20rpm〜200rpmの範囲とすることが好ましい。
【0018】
この前駆体生成工程について、例えば、図3に示すように、第1原料としてZrシュウ酸錯体12((NH44[Zr(ox)4])、第2原料としてY塩14(Y(AcO)3)を過剰に用いて、セラミックス前駆体20としての[(NH4c[YcZrd(ox)2(c+d)n(c,dは添加成分Y原子と主成分Zr原子のモル比を示す任意の数、nは重合数)を生成する場合について説明する。この前駆体溶媒では、過剰量の第1原料及び第2原料があり、飽和状態となっている。そこで、強攪拌すると、常に第1原料からZrシュウ酸錯体12が溶出すると共に、第2原料(Y塩14)からYイオンが溶出し、この飽和状態が保たれる。また、原料に衝撃エネルギーが加えられこれが粉砕されると、原料が残り少なくなっても溶解し易くなり未反応物が出にくくなることが考えられる。更に、YイオンはZrシュウ酸錯体に含まれるシュウ酸を奪ってより安定である副生成物([Y2(ox)3]n)を生成しやすいが、第2原料からYイオンの溶出を抑制することにより、この副生成物の生成を抑制することができると考えられる。更にまた、衝撃エネルギーを加えることにより、準安定構造であるセラミックス前駆体20の生成が促進されることが考えられる。このような様々な作用により、Y原子が隣接しないセラミックス前駆体20の生成が促進されるものと推察される。
【0019】
以上説明した実施例のセラミックス前駆体の製造方法によれば、Zrシュウ酸錯体を含む第1原料とYイオンを含む第2原料とが前駆体溶媒へ過剰量含まれており、衝撃エネルギーを与えると共に強攪拌することにより高濃度状態を維持することで、副生成物の生成を抑制しつつセラミックス前駆体が生成し、前駆体溶媒から析出するため、このセラミックス前駆体を用いて作成されたセラミックスにおいて、添加成分を主成分中へより分散させることができる。
【0020】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0021】
以下には、セラミックス前駆体を具体的に製造した例を実施例として説明する。
【0022】
[Zrシュウ酸錯体の作製]
Zr成分を含む第1原料であるZrシュウ酸錯体((NH44[Zr(ox)4])を作製した。まず、シュウ酸アンモニウム一水和物((NH42(ox)・H2O:関東化学製)の9.2g(65mmol)と、シュウ酸二水和物(H2(ox)・2H2O:関東化学製)の4.0g(32mmol)とを200mlの水へ溶解させた。次に、硝酸酸化ジルコニウム二水和物(ZrO(NO32・2H2O:関東化学製)の4.3g(16mmol)を200mlの水に溶解させた溶液を上記シュウ酸を含む溶液へ約6ml/分の滴下速度で滴下した。次に、この混合溶液を80℃で1時間加熱攪拌したのちロータリーエバポレーターを用いてこの混合溶液を濃縮し、メタノールもしくはエタノールを加えた後、析出した結晶を濾過して取り出した。この濾別して得た結晶は目的とするZrシュウ酸錯体の三水和物((NH44[Zr(ox)4]・3H2O)と推察された。この得られた結晶を120℃の乾燥機で2時間乾燥させたところ、3分子のH2Oに相当する約10%の重量減少とともに結晶粉末が得られた。この結晶粉末が(NH44[Zr(ox)4]であり、その収率はおおよそ90%であった。
【0023】
[実施例1]
上記作製したZrシュウ酸錯体を用いてセラミックス前駆体20を作製した。まず、第1原料としての上記Zrシュウ酸錯体の2.1g(4.1mmol)と、第2原料としての酢酸イットリウム四水和物(Y(AcO)3・4H2O:関東化学製)の0.24g(0.72mmol)とを内容積50mlのポリエチレン製ポットに入れた。また、前駆体溶媒としてエタノールを4ml、直径5mm、重量85gのジルコニアボールをこのポットに入れて密閉した(添加工程)。このポットを回転数60rpmで、48時間回転させ、この溶媒、第1原料及び第2原料に衝撃エネルギーを加えると共に強攪拌し所定の高濃度状態とした(前駆体生成工程)。反応後の粉体をジルコニアボールと分別して回収し、得られた粉体を実施例1のセラミックス前駆体とした。
【0024】
[実施例2]
第2原料として硝酸イットリウム六水和物(Y(NO33・6H2O:関東化学製)0.72mmol)を用いたこと、およびジルコニアボールの直径を10mmとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例2のセラミックス前駆体とした。
【0025】
[実施例3〜8]
ポットミルによる反応時間を24時間とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例3のセラミックス前駆体とした。また、ポットミルによる反応時間を72時間とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例4のセラミックス前駆体とした。また、ジルコニアボールの直径を10mmとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例5のセラミックス前駆体とした。また、ジルコニアボールの直径を3mmとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例6のセラミックス前駆体とした。また、ジルコニアボールの量を130gとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例7のセラミックス前駆体とした。また、ジルコニアボールの量を50gとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を実施例8のセラミックス前駆体とした。
【0026】
[実施例9,10]
前駆体溶媒をメタノールとしたこと、およびジルコニアボールの直径を10mmとした以外は実施例2と同様の工程を経て得られた粉体を実施例9のセラミックス前駆体とした。また、前駆体溶媒を水としたこと、およびジルコニアボールの直径を10mmとした以外は実施例2と同様の工程を経て得られた粉体を実施例10のセラミックス前駆体とした。
【0027】
[実施例11]
第2原料として酢酸イットリウム四水和物(Y(AcO)3・4H2O:関東化学製)の0.24g(0.72mmol)を70℃の乾燥機で2時間乾燥させたものを用いたこと、および前駆体溶媒としてモレキュラーシーブで乾燥させたエタノールを用いたこと以外は実施例6と同様の工程を経て得られた粉体を実施例11のセラミックス前駆体とした。
【0028】
[実施例12]
第1原料としてZrシュウ酸錯体の三水和物((NH44[Zr(ox)4]・3H2O)を用いたこと以外は実施例6と同様の工程を経て得られた粉体を実施例12のセラミックス前駆体とした。
【0029】
[比較例1]
第1原料をZrO2(4.1mmol、東ソー製TZ−0、平均粒径0.026μm)とし、第2原料をY23(0.72mmol、信越化学製UUHP、平均粒径0.150μm)とし、前駆体溶媒を水とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を比較例1とした。
【0030】
[比較例2]
第1原料としての上記Zrシュウ酸錯体の2.1g(4.1mmol)を溶媒としての水90mlへ溶解させた。また、第2原料としての硝酸イットリウム六水和物(Y(NO33・6H2O)2.8g(0.72mmol)を溶媒としての水10mlへ溶解させた
。次に、スターラーで攪拌したZrシュウ酸錯体溶液へ、このY(NO33溶液を約2ml/分の滴下速度で滴下した。生成した沈殿物を濾別し、得られた粉体を比較例2とした。
【0031】
[比較例3〜5]
前駆体溶媒を用いずに乾式のポットミルにより第1原料と第2原料とを混合粉砕した以外は、実施例1と同様の工程を経て得られた粉体を比較例3とした。また、前駆体溶媒をブタノールとした以外は実施例2と同様の工程を経て得られた粉体を比較例4とした。また、前駆体溶媒をプロパノールとした以外は実施例2と同様の工程を経て得られた粉体を比較例5とした。
【0032】
[比較例6〜7]
第2原料を入れないこと以外は実施例6と同様の工程を経て得られた粉体を比較例6のセラミックス前駆体とした。また、第2原料の代わりに、硝酸酸化ジルコニウム二水和物(ZrO(NO32・2H2O:関東化学製)0.192g(0.72mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様の工程を経て得られた粉体を比較例7のセラミックス前駆体とした。
【0033】
(セラミックス前駆体の判定)
実施例1〜12及び比較例1〜7のX線回折測定を行い、得られた生成物について検討した。現状では、原子配列までの構造を直接評価する方法がないことから、本実験においては、原料や明らかな副生成物の回折ピークがなく、且つ未知の回折ピークがあるものを何らかの新たな生成物が生成し、所望のセラミックス前駆体を得た可能性があると判定した。以下に説明する実験結果を表1にまとめて示す。表1には、各実験例の出発原料、作製条件、セラミックス前駆体(生成物)の判定、仮焼による評価結果を示した。X線回折測定は、試料約0.5gをサンプルホルダーに固着させ、X線回折装置(Rigaku製MiniFlexII)により、CuKα線を用いて、2θが10°〜60°の範囲でスキャンした。原料であるZrシュウ酸錯体、Y(NO33、実施例2,9,10、比較例4,5及び副生成物である[Y2(ox)3]の測定結果を図4に示す。図4に示すように、前駆体溶媒をブタノール、プロパノールとした比較例4,5では、原料であるZrシュウ酸錯体の回折ピークがそのまま得られたことから、これらの溶媒では、原料が十分溶解せず、未反応であるものと考えられた。これに対して、前駆体溶媒をエタノール、メタノール及び水とした実施例2,9,10では、原料や副生成物の回折ピークがなく且つ未知の回折ピークが得られたことから、それぞれの詳細な構造は不明であるが、何らかの生成物が得られたものと推察された。したがって、実施例2,9,10の作製条件(前駆体溶媒)が有望であると推察された。また、表1に示すように、実施例1,3〜8,11,12についても実施例2と同様のXRDパターンが得られた。また、酸化物の原料を混合した比較例1では、原料の回折ピークのみが得られ、特別な反応は起きていなかった。溶媒量が多く原料を完全に溶解させる比較例2(ソフト溶液プロセス)では副生成物([Y2(ox)3n)の生成が確認され、乾式混合した比較例3では、原料の回折ピークのみが得られ未反応であった。
【0034】
【表1】

【0035】
第1原料であるZrシュウ酸錯体、実施例6および比較例6、7の測定結果を図6に示す。比較例6は、第2原料を入れず第1原料のみがエタノール中で粉砕された場合に生成すると想定される結晶相を有する。また、比較例7は、第2原料にYイオンの代わりにフリーなZrイオンを添加し仮にZrシュウ酸錯体からZrイオンが遊離してフリーイオンになった場合に残留するZrシュウ酸錯体と重合反応を起こした場合に生成すると想定される結晶相を有する。図6に示すように、比較例6及び比較例7の主要ピークは、Yイオンを添加した実施例6のパターンには含まれておらず、これらYを含まない結晶相(比較例6、7)は実施例6の中に存在しないことが分かった。即ち、Yを添加しない限り、実施例6のXRDパターンを有する結晶構造は構築されないことになり、少なくとも結晶中に所望の濃度でYイオンが取り込まれた前駆体が得られていると推察された。実施例6、11、12の測定結果を図7に示す。図7に示すように、実施例6と比して水分を減じた実施例11では、2θ=14.8°付近のディフラクションが消失し、逆に、水分を増した実施例12では、ディフラクション強度が増大した。同定解析の結果、このディフラクションピークはNH4Y(ox)2・H2Oに帰属される副生成物であることがわかった。この副生成物の結晶構造を図8に示す。図8に示すように、NH4Y(ox)2・H2Oは繰り返し単位が[Y(ox)2]である二次元シートの積層体であるが、YイオンにはH2O分子のOイオンが配位して安定化している。即ち、水分があることによってこの副生成物が生成しやすくなると推察され、反応系から水分を減ずることによってこの副生成物の生成(Yイオンの偏析)を抑制することができると推察された。
【0036】
(原子配列セラミックスの検討)
次に、セラミックス前駆体の判定において、未知のXRDパターンが得られた実施例1〜12および比較例1を仮焼し、得られた焼成粉体のX線回折測定を行い、原子配列セラミックスの検討を間接的に行った。実施例1,2,9,10、及び比較例1を所定条件で仮焼したあとの粉体のX線回折測定結果を図5に示す。また、図5には、ZrO2、Y23及び目的の生成物である8%Y23/ZrO2(8YSZ)の同定用ピーク位置も付記した。この仮焼は、2gの試料を800℃で2時間保持する条件で行った。図5に示すように、得られた前駆体の構造により、仮焼後の構造が異なることがわかった。一般に純粋なZrO2の結晶構造はMonoclinicで、この構造にY原子が固溶(分散)するほど構造が安定化してMonoclinic→Tetra→Cubicに変化する。本実施の形態では8%のY23に相当するY原料を添加したため、前駆体の段階で十分にYイオンが分散していれば、仮焼後に8YSZ(Tetraおよび/またはCubic)のXRDパターンが得られるはずである。即ち、このX線回折では、8YSZ(Cubic)が多く、かつY原子の固溶量の少ないZrO2(Monoclinic)及び固溶できなかったY23がより少ないものがより好適なセラミックス前駆体であると評価するものとした。また、分散度を定量的に評価するために、ここでは、8YSZ(Tetraおよび/またはCubic)に帰属される2θ=30°の回折ピークとZrO2(Monoclinic)に帰属される2θ=28°の回折ピークとの強度比を求めた(表1参照)。エタノールを前駆体溶媒とした実施例2ではメタノールや水を前駆体溶媒とした実施例9,10と比してこの強度比が大きいため、前駆体におけるYの分散度が良好であることが推察された。また、酢酸塩を第2原料とした実施例1では、さらに強度比が大きくなっており、硝酸塩より酢酸塩の方が好適であることが推察された。水分量の多少を比較した実施例6、11、12において、実施例6と比して水分を減じた実施例11では強度比が高くなり、逆に、水分を増した実施例12では強度比が低くなり、水分が少ないほどYの分散度が良好であることが推察された。これは、水分が少ないほど前駆体中におけるYの偏析(副生成物NH4Y(ox)2・H2Oの生成)が抑えられているためと考えられる。なお、反応時間、ジルコニアボール径、ジルコニアボール量などによっても、強度比が変わるため、より適切な前駆体生成条件や仮焼条件を検討する必要があると推察された。
【0037】
以上の結果より、溶媒を水、メタノール及びエタノールのうちいずれかとし、溶媒量を少なくし、衝撃エネルギーを与えたり強攪拌状態で原料過剰状態、即ち常に飽和溶液状態に維持しつつセラミックス前駆体を作製すると、今までみられなかったXRDパターンを示すようになり、その原子配置が制御された前駆体が生成しているものと推察された。Yの原子配置を行う前駆体溶媒としては、エタノールがより好ましいことが推察された。また、反応系から水分を除くことがより好ましい条件であることが推察された。
【符号の説明】
【0038】
12 Zr(ジルコニア)錯体、14 Y(イットリウム)塩、20 セラミックス前駆体、30 原子配列セラミックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分であるa成分及び添加成分であるb成分を含むセラミックスの前駆体を製造するセラミックス前駆体の製造方法であって、
前記a成分を含む第1原料および前記b成分を含む第2原料の全てもしくは一部を所定の架橋性配位子によって取り囲まれた錯体配位子とし、所定の前駆体溶媒へ前記第1原料及び前記第2原料を前記前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して前記第1原料及び前記第2原料の溶解量が制限された状態とする添加工程と、
前記過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前記前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより該前駆体溶媒から析出する前記a成分と前記b成分とを含むセラミックス前駆体を生成する前駆体生成工程と、
を含むセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項2】
前記添加工程では、前記a成分がZrイオンであり、前記b成分がY、Sc、Mn、Sr、Ca、Mg、Ybから選ばれる1以上のイオンである、請求項1に記載のセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項3】
前記添加工程では、前記a成分がZrイオンであり、該Zrイオンを4つのシュウ酸及びアンモニウムにより取り囲まれた錯体配位子を前記第1原料とし、前記b成分がYイオンである酢酸塩及び硝酸塩の少なくとも一方を前記第2原料として前記前駆体溶媒へ過剰量で添加する、請求項2に記載のセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項4】
前記添加工程では、水、メタノール及びエタノールのうちいずれか1以上を前記前駆体溶媒とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項5】
前記前駆体生成工程では、前記第1原料及び前記第2原料へ衝撃エネルギーを加えることにより前記前駆体溶媒を前記所定の高濃度状態とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記前駆体生成工程では、前記第1原料及び前記第2原料を強攪拌状態とすることにより前記前駆体溶媒を前記所定の高濃度状態とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックス前駆体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミックス前駆体の製造方法であって、
前記添加工程の前に、前記第1原料、前記第2原料及び前記前駆体溶媒のうちいずれか1以上から水分を除去する水分除去工程、を含む、セラミックス前駆体の製造方法。
【請求項8】
主成分であるZr成分及び添加成分であるY成分を含むセラミックスの前駆体を製造するセラミックス前駆体の製造方法であって、
前記Zr成分を含む第1原料をZrイオンが4つのシュウ酸およびアンモニウムにより取り囲まれた錯体配位子とし、水、メタノール及びエタノールのうちいずれか1以上の前駆体溶媒へ前記第1原料及び前記Y成分を含む第2原料を前記前駆体溶媒の溶解度に比して過剰量となるように添加して懸濁流動体とする添加工程と、
前記過剰量で添加された第1原料及び第2原料が溶出し前記前駆体溶媒を所定の高濃度状態とすることにより該前駆体溶媒から析出する前記Zr成分と前記Y成分とを含むセラミックス前駆体を生成する前駆体生成工程と、
を含むセラミックス前駆体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−202641(P2010−202641A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11270(P2010−11270)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】