説明

セラミック体をベースとした構造部品

本発明は、比較的高い温度であって、特に800℃以上の温度において、極めて大部分が安定しているセラミック体をベースとした構造部品に関する(すなわち、構造部品が、この温度での用途に応じたそのタスクを実施することが可能である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的高い温度であって、特に800℃以上の温度において、極めて大部分が安定しているセラミック体をベースとした構造部品に関する(すなわち、構造部品が、この温度での用途に応じたそのタスクを実施することが可能である)。この構造部品が、火で処理されていなものであってよい。温度耐性を得ることを目的とした化学/セラミック反応(耐火性(refractoriness)にまで拡張される)が、その結果、例えば、構造部品の操作の過程においてのみ起こる。この点で、また、本発明が、900℃以上、>1000℃、また>1100℃、>1200℃、>1300℃、の温度耐性を有する構造部品を含み、究極的には、1400℃以上の高温用途の製品を含む。この構造部品が、強化された又は焼かれたものであってもよい。最後に言及された群が、上記範囲内の温度耐性(耐火性)を示す構造部品を含む。
【背景技術】
【0002】
構造部品が、モノリシックな本体から構成されてよく、特に、しかしながら、これは、加工された構造部品である。この周知の加工された耐火性構造部品の例は、以下である。
―任意の形状及びサイズのレンガであって、例えば、工業窯炉の耐火性ライニング用であり、この工業窯炉は、例えば、取鍋(ladle)、タンディッシュ、ガラストラフ(trough)、コンバーター、セメント回転炉、溶鉱炉、ごみ焼却プラント、等であるレンガ。
―冶金溶融容器内における金属融液の流出を調整/制御するために使用されるような、スライド式シャッター用のスライド式プレートを含むプレート。
―主に不活性ガスであるガスを金属融液に供給する目的で使用されるような、ガス―抜きコーン(ガスー抜きレンガ)を含むコーン及びトランケート(truncated)コーン。また、この群が、異なる形状のガス―抜きレンガを含む。
―例えば、金属融液がこれに沿って導かれるチャンネル、冶金溶融容器からの融液の流量を調整するストッパー、スリーブ(sleeve)、ウェルノズル、ウェルブロック、及び多くの他の物のような他の形状の物。
【0003】
この言及された構造部品が、例えば、MgOをベースとしたベーシックバッチ、又はAl,TiO,ZrO及び/若しくはSiOをベースとした非―ベーシックバッチのような、様々な材料から製造されてよい。本発明は、全ての材料システムに適用可能である。この構造部品が、キャストされ、スタンプされ、プレスされ、何か他の方法で処理されてよい。これらの結合システムが、いずれの制限を受けるものではない。従って、本発明が、例えば、C−バウンド、セラミックの(ceramically)又は油圧の(hydraulically)バウンド構造部品を含む。
【0004】
全ての構造部品が、摩耗の影響を受ける。処理上の理由及び経済的な理由の両方により、構造部品の耐久性(耐用年数)の最適化という要望がある。しかしながら、しばしば、この構造部品の状態(摩耗度)についての情報を入手することが出来ないため、これは不可能である。これが、特に操作の間に該当するものであり、高い適応温度により、適切な検査が困難又は不可能となる。
【0005】
特許文献1において、スライド式シャッターを操作する方法であって、耐火性スライド式プレートの環境下において、1つまたはそれ以上の次のパラメータが、測定され、評価される方法が提案されている:スライド式シャッターシステムの寸法、スライド式シャッターの領域の温度、スライド式プレートに作用するシリンダー及びスプリングの圧力。これらはいずれも、構造部品の摩耗度に関しての信頼性のある説明をすることが出来ない二次的な量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/080274号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、構造部品の識別を可能とし、操作前、操作間及び操作後における構造部品の操作時間又は状態に関しての説明を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の認識が本発明の基礎となる:最先端技術におけるような、実際の構造部品の周囲の様々な特性量の記録が、この目的につながるものではない。スライド式―シャッタープレートが、通常、金属から形成された機構内に取り付けられる。ガス―抜きレンガが、しばしば、ウェルノズル内に配置され、又はノズルが、耐火れんが又は耐火本体(モノリシック)によって囲まれる。この構造部品が、しばしば、ホットメルトの又焼かれる材料と接触する。正確に言えば、この構造部品自体が、検査されなければならない。直接的な光学的認識プロセスが、除外される。これが、装置の測定及び装置の監視の直接的な(物理的な)結合にも適用される。
【0009】
本発明が、大きく異なる方針を取る。これが、1つ又はそれ以上のセンサー(例えば、1,2,3,4又はそれ以上)を構造部品内に組み込み、順に、このような方法で、構造部品の操作の間(も)、少なくとも1つの以下の事項の情報を記録し、前記情報をデータ―処理システムに送信することを可能にすることを提案する:
―構造部品を識別するための情報。このような情報が、例えば、以下のデータを含む:製品タイプ、材料の程度、製造業者の詳細、製造日、受渡日、及び操作日。
―構造部品の物理的特性に関するデータ。このようなデータが、例えば、構造部品の温度、構造部品内の機械的(熱機械的)応力、等を含む。
―構造部品の配置及び移動に関するデータ。この情報は、重要であり、特に、例えば、スライド式プレート、ストッパー、さらには、高さ調節可能なガス―抜きレンガ、ランス等のような操作の間に移動する構造部品に対する情報が重要である。プラント内において構造部品が配置された場所が定められてもよい。
―構造部品の操作時間に関するデータ。これに関連して、例えば、温度測定を用いて、スライド式プレートが‘操作中’である時間がどれくらいか、すなわち、金属融液がスライド式プレート内における隙間を介して流れる時間がどれくらいかを記録する。
【0010】
“組み込み”は、センサーが、構造部品内又は構造部品上に配置されることを意味する。
【0011】
例えば、摩耗度といった構造部品の状態の測定のために、前記事項の情報(データ)が、個々に、さらには任意の組み合わせにおいて、重要でありうる。これに関連して、この事項の情報が、定期的に記録され、個々にではないが、時間に依存した方法で評価される。数個のセンサーの場合では、データが、構造部品上の異なる位置で記録されることが可能である。従って、例えば、構造部品内の温度勾配を測定することが可能である。同様に、数個のセンサーが、数個の構造部品内に提供されることが可能である。従って、異なる位置から情報を得て、評価することが可能である。これが、スライド式プレートによって構成された実施例に基づいて説明される。
【0012】
これまでは、使用されるスライド式プレートが、再度使用されることが可能であるか否かをオペレーティングスタッフが経験的に決定していた。
【0013】
前の操作の過程におけるスライド式プレートの温度負荷及び持続時間に関してのデータが、十分ではない。オペレーティングスタッフは、これまでに機械的応力が製品に生じたか否かについての信頼性のある情報を有しない。スライド式プレートが再度使用される場合、要求されるさらなる耐用年数の間、損傷をうけずに持ちこたえることがもはや出来ないという恐れがある。極端な場合、金属融液のブレークアウトが生じ、破壊的な結果となる。
【0014】
本発明による構造部品では、これらの欠点が回避される。センサーによって伝えられたデータが記録され、データ処理システムにおいて評価される。実際のデータ、又はこれらから得られた特性量が、設定値と比較される。その結果、例えば、スライド式プレートが、その計算された最大操作時間の90%に既に達していること、又は所定の制限値を超える機械的応力が、前の使用の過程において生じていることが明らかな場合、前記スライド式プレートが交換される。大きな損傷を回避するために、これらのセンサーが、温度測定及び/又は応力測定によって、ちょうどいいときに金属の使用を中止すること(discharge)を示すことが可能である。
【0015】
更なる適用例は、セラミックライニング体の乾燥を監視するために、キャスティングされた取鍋又は異なる冶金溶融容器の壁内又は底に、センサー又はセンサーを備えた構造部品を組み込むことである。例えば、完全な乾燥を達成するために、最小温度までこのモノリシックが加熱されなければならない。
【0016】
ガス―抜き素子の場合、センサーを介した温度測定の場合において構造部品の摩耗度が推測されることが可能である。同様に、ガスの流量に関する情報が、温度測定によって得られることが可能である。さらに冷えたガスが流れるにつれ、測定される温度が低くなる。
【0017】
さらに、温度レベルが、相転移のような物理的/化学的反応が予期されるところまで達している場合、センサーが、構造部品内における局部的な過熱の例を検出する又は示すように機能しうる。
【0018】
その最も一般的な実施形態において、本発明が、セラミック体をベースとした構造部品に関連し、このセラミック体は、800℃以上の操作温度において極めてその大部分が安定しており、構造部品内に少なくとも1つのセンサーが組み込まれ、少なくとも1つの次の事項の情報が、構造部品に操作中に、記録されることが可能であり、データ処理システムに送信されることが可能である:構造部品の識別、構造部品の物理的特性、構造部品の移動、構造部品の操作時間、構造部品の位置。
【0019】
過度の温度負荷、汚染、及び破損からそれを保護するために、センサーが、通常、ケーシング内に取り付けられる。このケージングが、例えばガラスセラミックで構成されてよい。
【0020】
原則として、本発明の目的のためには、前記タイプのデータを記録し、送信することが可能ないずれのセンサーが適している。例えば、半導体トランスポンダーが、使用されることが可能であり、誘導結合を使用した評価ユニットによって電流が供給される。
【0021】
ある実施形態によれば、センサーが、受動的センサーである。この受動的センサーが、無線リンクを介して送信/受信ユニットに接続される。問合せ信号が、無線によって、受動的センサーに送られる。センサーとの相互作用の結果として、すぐにレシーバーとして機能する問合せユニットに返信される応答信号が、生成される。
【0022】
受信ユニットにおいて、センサーに与えられた信号と該センサーによって返信された信号とを区別するために、区別機構が必要とされる。これが、例えば、センサーに供給された信号のそれとは異なる周波数を示すセンサーが出す信号によって達成される。周波数の変化に加えて、又はその代わりとして、区別を目的とした信号間のタイムラグが、考慮される。
【0023】
構造部品が、静止状態にある場合、特定の再現可能(reproducible)な信号が、返信される。構造部品上又は構造部品内で作用する圧力、温度、応力などのために、この信号が、再現可能な方法で、再度変化する。
【0024】
ある実施形態では、センサーが、電磁波を機械的な波に又はその逆に変換する装置を含む。この目的を達成するために、センサーが、無線信号のワイヤレス送信及びワイヤレス受信用のアンテナを備えるように設計されてよい。1つの改良型として、センサーが、ケーブルを介して、適切な信号を直接的に受信ユニットに伝える又は反対に後者からそれらを受信するアンテナに接続される。例えば、電波伝搬路(radio path)における金属部の遮蔽効果によって生じうるデータ送信の過程における負の効果を回避するために、金属部が、送信/受信ユニットへの電波伝搬路内に位置しないように、センサーに割り当てられたアンテナが、優先的に、配置される。
【0025】
本発明のある実施形態では、センサーが、SAW素子(SAW=弾性表面波(surface acoustic wave))という形をとることを提供する。センサー上における、機械的表面波(mechanical surface waves)が促され、その挙動が、圧力、温度、応力のような物理量の作用により変化する。これが、実施例に基づいて説明される。
【0026】
SAWセンサーが、圧電基板結晶から構成され、金属構造(リフレクター)がそれ上に形成される。SAWセンサーが、アンテナを介して送信器/読取器と無線通信される。送信器/読取器が、センサーアンテナによって受信される電磁信号を発する。この信号が、SAWセンサー上に配置された特別な変換器によって機械的振動に変換される。それらから生じる波が、圧電結晶の表面上に伝播される。前記リフレクターにおいて、表面波が、部分的に反射される。その後、これらの表面波が、再び元の電磁波に変換される。結晶が、例えば、温度、圧力、応力のような物理量に応じて拡大又は縮小するため、これが、信号の送信―時間の変化を生じる。
【0027】
電磁高周波パルスが、無線制御センターからセンサーに送られる。このパルスが、センサーのアンテナによって受信され、変換器(例えば、インターデジタル変換器)によって伝播機械的表面波に変化される。センサーの表面上の前記反射(部分的反射)構造−個々の、特徴的配列でそこに形成される−が、これらの機械的波の光線経路内に位置される。このようにして、個々の送信パルスから、複数の固有のパルスが生じ、変換器に再び反射される。そこで、これらが、再び電磁波に変換され、センサーのアンテナによる応答信号として無線制御センターに送り戻される。この応答信号が、リフレクターの数及び位置、それらの反射率、また、並びに弾性波(acoustic wave)の伝播速度に関する所望の情報を含む。この情報は、構造部品の識別、構造部品の物理的特性、構造部品の位置及び移動、及び/又は構造部品の操作時間に関する間接的な情報である。適切な較正法を用いて、指定されたデータ処理システムにおいて所望のデータが、計算されることが可能である。
【0028】
弾性波の伝播速度が、通常、わずか1000m/s、例えば3500m/sに達する。従って、電磁気的なアンビエントエコー(electromagnetic ambient echos)が消えるような時間まで、スモールチップ(センサー)上に高周波パルスを保持する可能性がある。センサーが、圧電結晶から構成され、又は圧電性層状システムから構成されてよい。上記の構造が、蒸着又は何か他の方法で形成される。
【0029】
上記のタイプの構造部品が、部分的に、金属性ジャケット内に取り付けられ、又は金属性カバー示す。例えば、スライド式プレートが、金属カセット内に配置され、金属性スライド機構内に位置される。金属性素子が、電磁波に関する遮蔽をもたらす。この場合、センサーからアンテナへのデータの無線送信の場合には、本発明が、対応する金属部(金属性カバー)を形成すること提供し、これは、センサーのアンテナと隣接し、無線信号を通過させることを目的とした凹部を備える。さらなる特徴は、最適な無線伝送を可能にするために、センサーを構造部品の辺縁部内に配置することである。‘辺縁部’という用語は、例えば、‘構造部品の低温側’を意味する。これは、操作過程において、最も加熱されない構造部品の一部を意味すると理解される。例えば、スライド式プレートの場合、これは、プレートの周辺部であり、一方、最も高温である部分が、ノズル開口部の領域の周囲に広がる。
【0030】
取鍋用のライニング用レンガの場合、これが、外の金属性シースと隣接するレンガの側面となる。ガス―抜きレンガの場合、センサーが、優先的に、ガス―入口側上の端部に配置される。
【0031】
前述したセンサーとアンテナの間にケーブル接続を備えた改良型の場合、アンテナが、送信/受信ステーションへの安定した送信を可能にする場所に配置されるならば、受信/送信ステーションとの直接的なデータ接続が、センサーアンテナによって可能となるため、部品の数が減少する。このケーブルが、例えば、誘電体としてのセラミック又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を備えた銅(Cu)から形成された柔軟性のある高周波ケーブルであってよく、この結果として、温度耐性が改善される。
【0032】
センサーが、少なくとも一部は、例えばグレード1.4845のスチールのような、耐コロージョン性スチールから構成されてよい。上記の用途のためのガスケットが、例えばフルオロエラストマーのような耐熱性材料から構成される。
【0033】
耐火性構造部品の製造業者が、入手可能な較正データを所持しており、このデータから、構造部品上の他の位置におけるその温度に対応する構造部品上の特定の位置におけるその温度を計算することが可能である。例えば、スライド式プレートの外側部(周辺部)内におけるX℃の測定温度において、特定の材料に対するY℃の貫流領域内の温度を推測することが可能である。
【0034】
上記のように、反射された機械的な波、又はこれらから生じる応答信号により、構造部品内の応力、また同様に、温度負荷下での操作時間等のような物理的なデータを含む所望の情報の評価が可能になる。
【0035】
センサーの流動的な(‘ルーズな’)組込みのために、純粋な温度測定が可能である。構造部品内において硬く連結されているセンサーの組込みのために(すなわち、構造部品及びセンサーが、取り外せないように連結されている)、さらに、機械的応力のような特性量が、記録されることが可能である。測定量が、独立して確認されることが可能である。
【0036】
この最も一般的な実施形態において、関連する監視プロセスが以下の段階を示す。
―無線制御センターからセンサーに無線信号を送信する段階、
―センサーが、無線信号を受信する段階、
―センサーを経由して(by the sensor)又はセンサー内(in the sensor)で、信号の変換及び/又はコーディング処理する段階、
―センサーから無線制御センターに応答無線信号を送信する段階、
―無線信号及びこれによって通信された情報を評価し、並びに、この情報及び/又はこれらから確認された特性量をデータ処理システム内に設定されたデータ(参照データ)と調整する段階。
【0037】
本プロセスのさらなる特徴が、センサーの動作のモード及びタスクに基づいて上述され、従属請求項及び以下の実施例の特徴から明らかになるだろう。本発明の出願に対して、本願明細書に記載された特徴が、個々に又は様々な組み合わせにおいて、本質的なものでありうる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】圧電センサー結晶の斜視図である。
【図2】レンガ状の耐火性構造部品の斜視図である。
【図3】金属性シース内に取り付けられたスライド式プレートの上面図である。
【図4】監視―及び―検査システム内において挿入されたスライド式プレートを備えたスライド式機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明が、様々な例示的な実施形態に基づき、良く図式化された図面と関連して、以下において説明される。
【0040】
図面において、同じ部品又は同じように作動する部品が、同じ参照符号で示される。
【0041】
図1が、平行6面体の圧電結晶を示す(そのガラス―セラミックケージングを備えずに示される)。部分的に反射構造12が、その表面の1つ上に、特に特徴的配置で(センサーに特有である)、形成される。さらに気付くべきことは、インターデジタル変換器である。この方法において、インターデジタル変換器の母線(busbars)をアンテナ16に接続するように、この電気的接続が、結晶の外に導かれる。この構造12及び変換器14を備えた結晶が、センサー10を構成する。
【0042】
制御ユニット(図4における60)から放出された電磁高周波パルス(矢印18によって図式的に示される)が、センサー10に達し、アンテナ16によって受信され、変換器14によって伝播される機械的表面波に変換される。問合せ信号から、複数の表面波が生じ、測定時における構造12の配置に従ってもとの変換器14へ反射され、変換器14によって電磁信号(矢印20)に変換される。この信号が、アンテナ50の上流に接続される制御ユニット60によって受信され、データ処理ユニット70(図4)に転送され、評価される。
【0043】
図1によるセンサー10が、例えば、平行6面体耐火性マグネシアレンガ26(図2)内の凹部25内に挿入され、その中にモルタル塗りされてよい。
【0044】
図3が、可動金属性シース32(モルタル目地31)内にモルタル塗りされたスライド式プレート30内におけるセンサー10の配置を示す。スライド式プレート30内のキャスティングホールが、参照符号34で示されている。スライド式プレート30の端部36において、センサー10が、スライド式プレート30のセラミック材料の中に組み入れられる(モルタルによって囲まれる)。ここで、構造部品(特定のスライド式プレート)及びそれらの温度が、センサー10によって識別される。保護を目的として、センサー10が、ガラスセラミックから形成されたケージング内に配置される。アンテナ16が、結晶上に突き出す。電磁波18,20が、外側からアンテナ16に伝えられ、及びそれらが、前記アンテナから離れるように伝えられることが出来るように、金属性シース32の部分に対応する隣接が(図3における角度αによって示される)、アンテナ16と反対である、穴のある凹部を示す(識別できない)。
【0045】
図4が、カセット32及びスライド式プレート30を受け入れるためのスライド式機構40の関連部品を示す。スライド式システムが、取鍋から下流のタンディッシュ内へのスチールの流れを調整する。
【0046】
アンテナ16を備えたセンサー10が、図式的に示される。カセット32内の穴のある隙間が、38によって示される。さらなるアンテナ42が、センサー(チップ)10のアンテナ16と正反対に位置し、温度耐性同軸ケーブル44を介して、第3アンテナ46に接続され、この第3アンテナ46が、無線リンク48を介して前記アンテナ50と接続される。アンテナ50を介した制御ユニット60からアンテナ46への(ワイヤレス方式)、及び、そこから(ワイヤーボンド方式)アンテナ42への、及び、今度は、ワイヤレス方式で、センサー10のアンテナ16への信号送信(高周波信号)が達成される。センサー10から反射された信号が、逆の経路を通って、制御ユニット60に達する。センサー10が、現在の温度及びまた予め割り当てられた識別コーディングに関する情報を含む信号を送信することが可能である。これに関連して、センサー10が、電磁パルス(GHz周波数レンジにある)を受信し、前記パルスを処理し、一連の特有の電磁パルスを送り戻す。これらのパルスの時間的分離から、識別及び温度が、デコードされる。センサーが、SAW技術をベースとし、無線送信用のアンテナ16を備える。
【0047】
スライド式機構40が、金属から形成される。従って、ケーブルを介してスライド式機構40の外に電磁信号を伝える必要がある。この目的のため、アンテナ42が、アンテナ16に関して、固定方式で組み込まれる。ケーブル44を介して接続されたアンテナ46が、スライド式機構40の外部に取り付けられる。
【0048】
運転中、制御ユニット60が、アンテナ50からアンテナ46に電磁信号(パルス)を送信する。アンテナ46から、各信号が、同軸ケーブル44を介して、アンテナ42に送信され、このアンテナ42が、アンテナ16を介して無線によってセンサー10に信号を送信する。センサー10が、この信号を、構造12上での反射の後、表面波に変換し、この表面波が、構造部品30の識別又はセンサー温度に関する情報を含む。このパルストレイン(パルスシーケンス)が、アンテナを介して、センサー10から制御ユニット60に送信される。制御ユニット60が、パルスの数及びその時間的分離からその温度及び識別を確認する。確認されたデータが、データ処理ユニット70に送信される。
【0049】
センサーから生じるデータから、データ処理ユニット70が、以下の情報を引き出し、又は計算することが可能である。
―識別機能:
−操作前におけるスライド式プレート30の識別
−操作中におけるスライド式プレート30の識別
−操作後におけるスライド式プレート30の識別。
【0050】
識別に基づいて、スライド式プレート30の状態が、鋼鉄製品に関するデータと関連づけられることが可能である。
―温度測定:
−特定時間での温度評価による耐用年数及びキャスティング時間の測定
−ある時間での温度分析による熱衝撃回数
−例えば、1050℃から950℃でのスライド式プレート30内の酸化ジルコニウムの相転移温度のような臨界温度範囲を超えること、達しないこと又は達すること
−例えばブレークアウトのような不規則なことの迅速な認識。
【0051】
全ての送信/受信信号が登録され、接続されたデータ処理システム70によって評価される。
【0052】
図4による実施例が、以下のように修正されることが可能である。アンテナとの無線通信を備えたセンサー10の代わりに、ケーブルを介しアンテナと接続されるロッド―型のセンサーが使用される。この場合、センサーが、スライド式プレート内に位置しており、すなわち、‘ホットサイド(hot side)’上であり、アンテナが、そこから離れた低温である領域内に位置している。スライド式プレートの金属カセットのブリッジが、ケーブルを用いて達成される。アンテナが、制御ユニット60のアンテナ50との円滑な無線通信が行われるこのような方法で配置される。この実施形態において、図4の42及び46によって示されたアンテナが、不要である。
【符号の説明】
【0053】
10 センサー
12 反射構造
14 変換器
16 アンテナ
18 電磁高周波パルス
20 電磁信号
25 凹部
26 耐火性マグネシアレンガ
30 スライド式プレート
31 モルタル目地
32 金属性シース
34 キャスティングホール
36 端部
38 隙間
40 スライド式機構
42 アンテナ
44 同軸ケーブル
46 アンテナ
48 無線リンク
50 アンテナ
60 制御ユニット
70 データ処理ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
800℃以上の温度において極めて大部分が安定しているセラミック体をベースとした構造部品であって、
少なくとも1つのセンサー(10)が、前記構造部品(26,30)内に組み込まれ、
前記構造部品(26,30)の操作の間に、前記構造部品(26,30)の識別,前記構造部品(26,30)の物理的特性,前記構造部品(30)の移動,前記構造部品(26,30)の操作時間及び前記構造部品(26,30)の位置の情報の少なくとも1つが記録され、データ処理システム(70)に送信されることが可能である構造部品。
【請求項2】
前記センサー(10)が、ケージング内に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項3】
前記ケージングが、ガラスセラミックから形成されたことを特徴とする請求項2に記載の構造部品。
【請求項4】
前記ケージングが、電磁波を遮蔽しないことを特徴とする請求項2に記載の構造部品。
【請求項5】
前記センサー(10)が、受動的センサーであることを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項6】
前記センサー(10)が、無線信号のワイヤレス送信及びワイヤレス受信用のアンテナ(16)を備えるように設計されたことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項7】
前記センサー(10)が、ケーブルを介して無線信号を送信するためのアンテナ(16)を備えるように設計されたことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項8】
前記センサー(10)が、電磁波を機械的な波に及びその反対に変換するための装置(14)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項9】
前記センサー(10)が、機械的表面波を反射する表面構造(12)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項10】
前記センサー(10)が、高周波信号を送信及び受信するための装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項11】
前記センサー(10)が、圧電結晶を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
【請求項12】
前記センサー(10)に隣接する、金属性カバー(32)を含み、前記カバー(32)が、前記センサー(1)の前記アンテナ(16)と隣接する、無線信号が通過するための凹部(28)を示すことを特徴とする請求項6に記載の構造部品。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の構造部品を監視するための方法であって、
13.1 無線制御センターから前記センサーへの無線信号を送信する段階、
13.2 前記センサーによって前記無線信号を受信する段階、
13.3 前記センサーを経由して又はセンサー内で、前記信号の変換及び/又はコーディング処理を行う段階、
13.4 前記センサーから前記無線制御センターに応答無線信号を送信する段階、
13.5 前記無線信号及びこれによって通信された情報を評価し、並びに、前記情報及び/又はこれらから確認された特性量をデータ処理システム内に設定されたデータと調整する段階、
を含む方法。
【請求項14】
前記無線制御センターによって受信及び送信された前記無線信号が、電磁波であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記センサーが、変換器を用いて前記受信電磁波を機械的表面波に変換し、前記センサーの表面を介して前記波をリレーし、
前記センサーが、反射表面構造を備えるように設計され、
前記反射表面構造が、少なくとも部分的に再び前記変換器に前記機械的表面波を反射し、
前記変換器が、これらの機械的表面波を電磁波に再度変換し、前記無線制御センターに前記波を送り戻すことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記無線制御センターによって送信及び受信された信号が、前記データ処理システムによって評価され、設定値と比較され、及び表示されることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526306(P2010−526306A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506815(P2010−506815)
【出願日】平成20年4月12日(2008.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002905
【国際公開番号】WO2008/135135
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(503069193)リフラクトリー・インテレクチュアル・プロパティー・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コ・カーゲー (13)
【Fターム(参考)】