セラミック基板内の埋込み式トロイダル変圧器
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】セラミック基板内に変圧器(118)を形成する方法。方法は、非焼成セラミック基板(100)内に定められる非焼成セラミックトロイダルコア領域(120a,120b)についての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイル(119a,119b)を形成するステップを含み得る。方法は、セラミック基板内に少なくとも部分的に埋設される伝導性コイルを備える一体的なセラミック基板構造を形成するために、非焼成セラミックトロイダルコア領域(120a,120b)、非焼成セラミック基板(100)、及び、伝導性コイル(119a,119b)を同時焼成するステップも含む。
【解決手段】セラミック基板内に変圧器(118)を形成する方法。方法は、非焼成セラミック基板(100)内に定められる非焼成セラミックトロイダルコア領域(120a,120b)についての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイル(119a,119b)を形成するステップを含み得る。方法は、セラミック基板内に少なくとも部分的に埋設される伝導性コイルを備える一体的なセラミック基板構造を形成するために、非焼成セラミックトロイダルコア領域(120a,120b)、非焼成セラミック基板(100)、及び、伝導性コイル(119a,119b)を同時焼成するステップも含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
変圧器は、1つの回路中の交流又は間欠電気エネルギーを他の回路中の他の種類に変換する受動電気装置であり、一般的に電圧及び電流の変化値を伴う。具体的な変圧器における入力電圧対出力電圧比は、二次コイルと比較した主コイルにおける巻線数によって概ね決定される。この変圧に関連する小さな損失があり、それは2つの成分からなる。第一の損失源は、「コア」損失と呼ばれる(無負荷損失とも呼ばれる)。この種類の損失は、変圧器の通常動作中におけるコアの励磁及び消磁に起因する。第二の損失成分は、コイル又は負荷損失と呼ばれる。何故ならば、変圧器の主コイル及び二次コイルに効率損失が起こるからである。コイル損失は、巻線材料中に存在する抵抗の結果である。
【背景技術】
【0002】
特定の巻線比を有する特定の変圧器に関して、空気コアがより低い効率を招くことが周知である。何故ならば、空気コアは1.0の透過率を有するからである(ここで用いられる透磁率及び誘電率という用語は、それぞれ比透磁率及び比誘電率を意味すると理解されるべきである)。他の種類の誘電性コア材料も1.0に近い比透磁率を有するならば、それらは同様に挙動する。逆に、特定のコイル構成のために達成されるインダクタンスを増大するために、より高い透磁率値を有する強磁性材料が、コア材料としてしばしば用いられる。
【0003】
変圧器は、単純な円筒形状ロッドからドーナッツ形状トロイドに及ぶ様々な形状を有するコアの周りに巻回され得る。この関係ではトロイドが有利である。何故ならば、RF漏れを制限し且つ他の近傍の構成素子との結合及び干渉を回避するために、それらはコア領域内に変圧器によって生成される磁場を実質的に含むからである。
【0004】
小型RF回路において、変圧器は、表面実装装置、又は、RF基板の表面上に直接的に形成される結合平面螺線として実施される傾向を有する。しかしながら、平面螺線変圧器は、それらが形成する磁場を実質的に含まないという点で、重大な欠点を被っている。対称的に、トロイダル変圧器は、変圧器の磁場を効果的に含み得る。しかしながら、小型RF回路におけるトロイドの実装は、それらが表面実装構成素子として実装されることを典型的に必要とする実際的な困難を提示している。
【0005】
表面実装構成素子の正確な設計にも拘わらず、そのような構成素子のために必要とされる回路板スペースは、RFシステムの全体的サイズに寄与する顕著な要因となっている。実際には、受動表面実装装置は、典型的には、基板表面領域の80%を含み得る。これは基板の表面領域を大きくするのに対し、厚さは比較的小さいままである。これは回路板スペースの効果的な使用ではない。
【0006】
Krone, et alに発効した特許文献1は、電子誘導装置、及び、剛的な銅張りエポキシ積層板内に電子誘導装置を製造する方法を開示している。プロセスは、エポキシ積層板内に一連の間隔を空けて配置された孔を穿孔し、銅張り全体を回路板からエッチング処理して剥がし、エポキシ積層板を第二積層板の上に配置し、トロイド強磁性コアを間隔を空けて配置された各孔内に位置決めし、且つ、各孔の残部を繊維入りエポキシで充填する。この技法は、通常は従来的なエポキシPWBの形成に含まれる従来的なステップの一部ではない多数の追加的な処理ステップを含む。これらの追加的なステップは、本来、さらなる費用を含む。さらに、そのような技法は、以下に記載されるセラミック型のような、他の種類の基板との使用の適正が不十分である。
【0007】
850〜1,000度でか焼されるガラスセラミック基板は、低温同時焼成セラミック(LTCC)と一般的に呼ばれる。この等級の材料は、それらをRFシステムのための基板として特に有用にする多くの利点を有する。例えば、DuPont(R)からの低温951同時焼成Green Tape(TM)は、金(Au)及び銀(Ag)と融和性を有し、多くの用途に適した熱膨張係数(TCE)及び相対強度を有する。他のLTCCセラミックテープ製品は、416 East Church Street, King of Prussia, PA 19406−2625, USAのElectro−Science Laboratories, Inc.から入手可能である。LTCC製品の製造業者は、典型的には、金属トレース及びビアを定めるために、それらのLTCC製品と融和性を有する金属ペーストも提供する。
【0008】
従来的なLTCC処理のためのプロセス流れは、(1)ロールからグリーン(非焼成)セラミックテープを切断するステップ、(2)グリーンテープからバッキングを除去するステップ、(3)電気ビアのための孔を穿孔するステップ、(4)ビアホールを胴体ペーストで充填し、且つ、印刷パターン化された導体を遮蔽するステップ、(5)個々のテープ層を積み重ね、整列し、且つ、積層化するステップ、(6)粉末を焼結し且つ緻密化するために、スタックを焼成するステップ、及び、(7)焼成されたセラミックを鋸引きして個々の基板にするステップを含む。
【0009】
LTCC処理は、同時焼成される材料が、化学的に並びに熱膨張係数(CTE)に関して溶融性を有することを要求する。典型的には、商業的に入手可能なLTCC材料の範囲は、かなり限定的であった。例えば、LTCC材料は、限定的な範囲の誘電率値のみにおいて商業的に入手可能であり、それよりも大きな通電率値を備える材料を一般的に含まなかった。しかしながら、近年、メタマテリアルの開発が、LTCCと共に用い得る材料の可能性の範囲を拡張し始めている。さらに、標準的なLTCCプロセスと融和性を有する新規な高透磁率セラミックテープが、今では商業的に入手可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,781,091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、セラミック基板中に変圧器を形成するための方法に関する。方法は、非焼成セラミック基板内に定められる非焼成セラミックトロイダルコア領域についての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイルを形成するステップを含み得る。方法は、セラミック基板内に少なくとも部分的に埋設される伝導性コイルを備える一体的なセラミック基板構造を形成するために、非焼成セラミックトロイダルコア領域、非焼成セラミック基板、及び、伝導性コイルを同時焼成するステップも含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの特徴によれば、方法は、1よりも大きな透磁率を有するセラミック材料のセラミックトロイダルコア領域の少なくとも一部を形成するステップを含み得る。方法は、伝導性コイルとセラミック基板の外面との間に伝導性接地平面を配置するステップも含む。例えば、伝導性コイルとセラミック基板の表面上に配置される少なくとも1つの表面実装構成素子との間に接地平面層を配置し得る。
【0013】
方法は、セラミックトロイダルコアについて配置される複数の巻線を含む第二の伝導性コイルを形成するステップも含み得る。本発明の1つの特徴によれば、第一伝導性コイルのコイル半径と異なるように第二伝導性コイルのコイル半径を選択し得る。本発明の他の特徴によれば、方法は、第一の伝導性コイルが配置されるセラミックトロイダルコアの半径部分を除きセラミックトロイダルコアの半径部分について配置される複数の巻線の第二伝導性コイルを形成するステップを含み得る。さらに、自動変圧器を形成するために、伝導性コイルは、その半径に沿う少なくとも1つの出力タップを備え得る。
【0014】
他の特徴によれば、LTCC基板内に埋設される変圧器を含み得る。その場合には、発明は、セラミック基板と、セラミック基板内に埋設されたセラミックトロイダルコアと、セラミックトロイダルコアについての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイルとを含み得る。その結果として、同時焼成プロセスにおいて、セラミックトロイダルコアをセラミック基板と一体的に形成し得る。セラミックトロイダルコアの少なくとも一部は、1よりも大きな透磁率を有し得る。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、全ての地点で、複数の巻線をセラミック基板内に含め得る。本発明の他の特徴によれば、セラミックトロイダルコアは、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二のセラミック材料よりも大きな透磁率を有するセラミック材料から成り得る。さらに、少なくとも1つの伝導性金属接地平面層をセラミック基板内に配置し得る。例えば、伝導性コイルとセラミック基板の表面上に配置される少なくとも1つの表面実装構成素子との間に接地平面層を介装し得る。
【0016】
変圧器は、セラミックトロイダルコアについて配置される複数の巻線からなり且つ第一の伝導性コイルと異なるコイル半径を有する第二の伝導性コイルも含み得る。本発明の1つの特徴によれば、第一の伝導性コイルが配置されるセラミックトロイダルコアの第二の半径部分を除き、複数の巻線から成る第二の伝導性コイルをセラミックトロイダルコアの半径部分について配置し得る。代替的に、ここに開示される変圧器を自動変圧器として形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】トロイダル変圧器を形成する方法を理解するのに有用な、その内部に形成されたビアを備えるセラミック基板を示す上面図である。
【図2】線2−2に沿って取られた、図1の基板を示す断面図である。
【図3】トロイダル変圧器を形成するために伝導性トレース及び第二層が加えられた後の図1中の基板を示す上面図である。
【図4A】線4−4に沿って取られた、図3中の基板を示す断面図である。
【図4B】図4A中のトロイダル変圧器の第一の代替的な実施態様を示す断面図である。
【図4C】図4A中のトロイダル変圧器の第二の代替的な実施態様を示す断面図である
【図4D】図4A中のトロイダル変圧器の第三の代替的な実施態様を示す断面図である
【図4E】追加的な層が加えられた、図4A中のトロイダル変圧器の第四の代替的な実施態様を示す断面図である
【図5】本発明を製造する方法を理解するのに有用なフロー図である。
【図6】代替的な発明的な構成を示すトロイダル変圧器の上面図である。
【図7】線7−7に沿って取られた、図6中のトロイダル変圧器の断面図である。
【図8】編み合わされた巻線を備えるトロイダル変圧器を示す上面図である。
【図9】自動変圧器として構成されたトロイダル変圧器を示す上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、セラミック基板内に一体化されたトロイダル変圧器、及び、それを製造する方法に関する。図1乃至4、及び、図5中のフロー図を参照して、本方法を記載する。方法は、適切なサイズの一片の未焼成セラミックテープ100を形成することによって、ステップ502で開始し得る。セラミックテープ100は、約800℃〜1,000℃でか焼されるよう設計された、任意の商業的に入手可能な様々なガラスセラミック基板であり得る。この等級の材料は、低温同時焼成セラミック(LTCC)と一般的に呼ばれる。そのようなLTCC材料は、それらをRFシステムのための基板として特に有用にする数多くの利点を有する。例えば、DuPont(R)からの低温951同時焼成Green Tape(TM)は、金(Au)及び銀(Ag)融和性を有し、多くの用途に適する熱膨張係数(TCE)及び相対強度を有する。他の類似の種類のセラミックテープも用い得る。具体的な用途に依存する多様な要因によって、セラミックテープのサイズを決定し得る。例えば、もしトロイダル変圧器がより大きなRF回路の一部を形成するならば、セラミックテープは、トロイダル変圧器が構成素子になるRF回路を収容するサイズであり得る。
【0019】
図1及び2を参照すると、セラミックテープ100内に第一の複数の伝導性ビア102a,102bを形成し得る。図1において、複数の伝導性ビア102a,102bは、線105の両側上で、ほぼ180度の弧の周りにそれぞれ配列されている。よって、伝導性ビアの各組は、おおよそ半円を定める。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わりに、各組の伝導性ビア102a,102bによって形成される弧の組み合わせが、図示されるように、累積的におおよそ360度の弧を定めることを条件として、180度よりも大きい或いは小さい弧の周りに伝導性ビア102a又は102bを配列し得る。
【0020】
ステップ504において、未焼成セラミックテープに孔を穿孔するステップ、及び、ステップ508において、ビアホールに伝導性ペーストを充填するステップを含む、従来的な技法を用いて伝導性ビアを形成し得る。図1及び2に示されるように、トロイダル変圧器の内周を定めるために、中心軸101から第一距離d1だけ放射状に間隔を空けて第一の複数の伝導性ビア102a,102bを配置し得る。ステップ506及び508において、外周を定めるために、中心軸について第二距離d2だけ放射状に間隔を空けて第二の複数の導電性ビア104a,104bを同様に形成し得る。図1において、複数の伝導性ビア104a,104bは、伝導性ビア102a,102bによって定められる弧と対応して、ほぼ180度の弧の周りにそれぞれ配列される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わりに、弧が伝導性ビア102a,102bによって形成される弧とそれぞれ一致することを条件として、伝導性ビア104a,104bを180度よりも大きい或いは小さな弧の周りにそれぞれ配列し得る。図2に示されるように、ビアは、実質的にセラミックテープ100の反対面106,108の間に延在し得る。
【0021】
図3及び4Aを今や参照すると、複数の伝導性トレース110a,110bをセラミックテープ100上に配置することによって、プロセスはステップ510において継続し得る。表面106上の伝導性トレース110aは、実質的に放射方向で隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビア102a,104aの夫々のものの間の電気接続を形成している。同様に、表面106上の伝導性トレース110bは、実質的に放射方向で隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビア102b,104bの夫々のものの間の電気接続を形成している。
【0022】
ステップ512において、第二の複数の伝導性トレース110a,110bは、第二セラミックテープ100の表面108上に設けられている。第二セラミックテープ100もLTCC材料で形成し得る。第二の複数の伝導性トレース110a,110bは、2つのセラミックテープ層が、図示されるように、整列され且つ積み重ねられるときに、表面108上のトレース110aが、第一及び第二の複数の伝導性ビア102a,104aの円周方向に位置ずれしたものの間の電気接続をもたらす。同様に、図示されるように、トレース110bは、伝導性ビア102b,104bの円周方向に位置ずれしたものの間の電気接続をもたらす。
【0023】
選択的なLTCC材料のための同時焼成プロセスと融和性を有する如何なる適切な伝導性ペースト又はインクから伝導性トレース110a,110bを形成し得る。そのような材料は、多様なソースから商業的に入手可能である。さらに、標準的なLTCC処理との整合性のために、トレース110a,110bが各テープの1つの側面上にのみ配置された状態で、セラミックテープ100の2つの層が図4A中に示されていることが留意されるべきである。しかしながら、本発明はそのように限定されない。当業者であれば、トレース110a,110bが、代わりに、セラミックテープ100の単一層の両面上に配置されることが可能であり、且つ、そのような代替的な構成が本発明の範囲内で意図されることを理解するであろう。ステップ514では、従来的な処理技法を用いて、多様なLTCC層100を積層し、互いに整列し得る。
【0024】
伝導性ビア102a,104a及び伝導性トレース110a,115は、三次元変圧器118の第一巻線119aを共に定める。同様に、伝導性ビア102b,104b及び伝導性トレース110b,117は、三次元変圧器118の第二巻線119bを定める。これに関して、本発明は、ここで、図1乃至4Aに例証される正確な配列又はパターンのビア102a,102b,104a,104b及びトレース110a,110b,115,117に限定されないことが理解されるべきである。その代わりに、それが実質的にトロイダル変圧器構成をもたらすことを条件として、セラミックテープ層内に形成される如何なるパターンのビア及びトレースも用いることができ、多くの小さな変更が可能であることが理解されよう。
【0025】
例えば、表面106上の伝導性トレース110a,110bは、実質的に半径方向に隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビアの各1つの間の電気接続を形成することが上記に述べられている。ビア103−1及び103−2は、半径方向に隣接する伝導性ビアの例である。しかしながら、半径方向に隣接する伝導性ビアは、その用語がここで用いられるとき、必ずしも半径方向に精密に整列される必要はないことが留意されるべきである。そのような半径方向に隣接するビアは、互いにある程度円周方向に位置ずれしたビアを含み得る。ビア103−1及び103−3は、円周方向に位置ずれしたビアを示している。図1に見られるように、円周方向に位置ずれしたビアは半径方向に整列されていない。伝導性トレース110a,110b,115,117及びビア102a,102b,104bの組み合わせが、連続的なトロイダル変圧器の少なくとも半径方向の一部を定めることを条件として、本発明はこれらの素子の如何なる特定の幾何にも限定されない。
【0026】
図1及び3を参照すると、第一巻線119a及び第二巻線119bを定めるトロイダル変圧器のための第一の及び組の電気接点を定めるために、1つ又はそれよりも多くの追加的なビア112a,112b及び追加的なトレース114a,114b,116a,116bを設け得る。顕著に、第二巻線119bと比べられるとき、第一巻線119aが異なる巻線数を有することが望ましくあることができ、本発明は、いずれのコイルに関して如何なる特定の巻線数にも限定されない。全てのビア102a,102b,104a,104b,112a,112b及びトレース110a,110b,115,117,114a,114b,116a、116bが揃えられるや否や、特定の種類のセラミックテープにふさわしい温度及び時間に従って、ステップ516において、セラミックテープ100,ビア、及び、トレースを一緒に焼成し得る。
【0027】
プロセスは、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分と異なる少なくとも1つの電気特性を有するセラミックテープ100内に、少なくともトロイダル形状コア領域120a,120bを形成するステップも含み得る。例えば、電気特性は、透磁率又は誘電率であり得る。有利に、1よりも大きな透磁率を有する低温同時焼成セラミック(LTCC)材料のコア領域120a,120bの少なくとも一部を形成するために、少なくともトロイダル形状コア領域の透磁率を増大し得る。好適実施態様によれば、少なくともコア領域は、実質的に1よりも大きな透磁率を有し得る。例えば、コア領域における透磁率は、現在の技術を用いて、約150〜400で変動し得る。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わり、高透磁率は約1.0よりも大きな値を有し得る。
【0028】
如何なる適切な手段によっても高透磁率コア領域を形成し得る。例えば、図4Bに示されるようなものの透磁率を有する従来的な非鉄セラミックテープと共に、非焼成高透磁率セラミックテープの1つ又はそれよりも多くの層を積み重ねることによって、高透磁率コア領域を形成し得る。高透磁率層は、コア領域と交差するように有利に配置される。代替的な実施態様では、高透磁率領域が排他的にコア領域を含むように基板を形成することもできる。コア領域と一致しない他のLTCC型層も高透磁率材料で形成し得る。例えば、全ての層を高透磁率LTCCテープ層で形成し得る。
【0029】
図4Bに例証されるように、非焼成セラミックテープ122,124を複数の非焼成セラミックテープ層100と共に積み重ね得る。1つの実施態様によれば、セラミックテープ122,124は、セラミックテープ層100と比べ、より高い比透磁率を有し得る。それらの少なくとも一部の部分がコア領域120内に含まれるのを保証するために、非焼成テープ層122,124を配置し得る。非焼成テープ層122,124は、積層内の残余のテープ層100と親和性のある如何なるセラミックテープであり得る。例えば、高透磁率LTCCテープは、416 East Church Road, King of Prussia, PA 19406−2625, U.S.A.のElectro−Science Laboratories, Inc.から商業的に入手可能である。具体的には、150〜400の透磁率を有する製品番号ESL40010が言及される。代替的な実施態様によれば、全てのテープ層は高透磁率材料からなり得る。
【0030】
図4Cは、非焼成セラミックテープ層126が複数の非焼成テープ層100と組み合わされた構成を例証している。さらに、テープ層126は、コア領域120と交差する部分を含み得る。部分128は、テープ126及びテープ100の残部と比べ、より高い透磁率を有し得る。図4Dは、図示のように複数の非焼成テープ層126が非焼成テープ層100と積み重ねられた類似の構成を例証している。
【0031】
多くの場合、回路トレース又は他の表面実装構成素子の配置のために、トロイダル変圧器の上及び/又は下の表面領域を使用することが有利であり得る。トレース110a,110bを覆う1つ又はそれよりも多い追加的なLTCC層の追加は、そのような配置を促進し得る。図4Eは、変圧器を積層内に完全に埋設するために、追加的なLTCC層130がその上に配置された、図4E中のトロイダル変圧器を示している。ビア132,134は、トロイダル変圧器のトレース114a,114bへの電気接点を供給し得る。トレース116a,116bのために、図示されていない類似のビアを設け得る。図示のように、回路トレース122,124及び回路構成素子126,128を積層の外面上に配置し得る。顕著に、図4E内の構成素子は、トロイダル変圧器の1つの側面上にのみ示されているが、本発明はそのように限定されない。
【0032】
RF回路板の場合、伝導性トレースと接地平面との間の所定間隔を維持することがしばしば重要である。伝導性トレースがマイクロストリップ伝送線のようなRF伝送線を定める場合には、これは特に重要である。伝導性トレース110a,110b、ビア102a,102b,104a,104b、及び、如何なる高透磁率セラミック基板も、線の特性インピーダンスにおける望ましくない変化を生み出し得る。従って、必ずしも必要ではないが、セラミックテープ層130の外側のものの下方に離間して配置される少なくとも1つの伝導性層136を設けることが望ましくあり得る。
【0033】
伝導性層136は、様々なサブ表面構造を表面実装構成素子及び伝送線から隔離し得る接地平面を定め得る。もし伝導性層136が設けられるならば、伝導性ビア132,134との如何なる電気的接触も回避するよう、適切な開口を形成し得る。顕著に、トロイダル変圧器は、殆どの磁場を構造内部に維持する。従って、表面構成素子(又は他の電気トレース)をトロイドから遮蔽することは一般的に不要である。例外は、RF伝送線を定める電気トレースである。その場合には、基板における不連続性の存在によって、線の特性インピーダンスを変更し得る。さらに、トロイドのための基板を形成するために用いられる高透磁率層は、RF伝送線のための基板には不適であり得る。その場合には、接地平面層が、高透磁率層をRF伝送線及び関連する基板から隔離するよう働き得る。結合平面螺線変圧器構成と比べたときのトロイド変圧器構造の他の利点は、トレースがその下方の接地平面を必要とする場合(即ち、マイクロストリップ)、インダクタンスに影響を及ぼすことなしに、トロイド付近のどこかに接地平面を配置し得る。対称的に、平面螺線変圧器付近の接地平面は、その動作パラメータを著しく変更し得る。
【0034】
前述から明らかであるように、本発明は、1つの実施態様において、LTCCセラミック基板とセラミック基板内に埋設されたセラミックトロイダルコア領域とで構成されるプリント回路基板から成り得る。変圧器を形成する伝導性金属コイルは、図3に示されるようなセラミックトロイダルコアについての複数の巻線から成り得る。伝導性金属コイルは、伝導性ビア110a,110b及びトレース102a,102b,104a,104bによって定められるトロイダルインダクタであり得る。セラミックコア領域を、セラミック層、例えば、セラミックテープ層100,130の同時焼成プロセスの結果として、セラミック基板と一体的に形成し得る。上記のように、セラミックトロイダルコア領域は、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二セラミック材料よりも大きな透磁率を有するセラミック材料から成り得る。
【0035】
代替的な種類のトロイダル変圧器を構成するために、上述の技法を利用し得る。図6及び7を今や参照すると、本発明の代替的な実施態様に従ったトロイダル変圧器618が示されている。第一トロイダル巻線600は、図1乃至4に関して記載されたプロセスを用いて形成し得るビア602,604及びトレース610から成る。単一のトロイダル巻線600は、図示のように約360度の弧の周りに連続的に延在し得るが、より少ない角度の弧にも限定され得る。これは、それぞれ360度の弧の一部のみから成る図1乃至4中の第一巻線119a及び第二巻線119bから区別されるべきである。トロイダル巻線600との電気接点をもたらすために、端子614,616を形成し得る。ビア(図示せず)は、端子614,616とトロイダル巻線600との間の電気接続を形成し得る。
【0036】
ビア702,704及びトレース710から成る第二トロイダル巻線700が、図1乃至4に関して記載されたものと類似する技法を用いて形成されている。明瞭性のために、基板の底面上のトレース710は、図6中に示されていない。単一のトロイダル巻線700は、図示のように約360度の弧の周りに連続的に延在し得るが、より少ない角度の弧にも限定され得る。端子714,716が、トロイダル巻線700との電気接点をもたらしている。第二トロイダル巻線700は、より大きなコイル直径を有し、且つ、第一トロイダル巻線600と同軸であるので、2つの巻線は共通のトロイダルコア720を共有している。図示のように形成された巻線600は、トロイダル変圧器618を形成する。各巻線600,700におけるコイルの数の比は、変圧器618の電圧変圧特性を決定し、特定の変圧器用途のために選択され得る。ここに記載される技法を用いて、追加的な巻線も設け得る。
【0037】
図6及び7において、表面722上に配置されているトレース710は露出され、従って、表面実装構成素子の配置と干渉し、或いは、回路の一部を形成する他の信号トレースの表面上での位置決めを妨げ得る。従って、1つ又はそれよりも多くの追加的なLTCC層及び/又は接地平面層を表面722上で図7中の積層に加えることが望ましくあり得る。明瞭性のために、これらの層は図7から省略されている。しかしながら、そのような層は、図4Eに関して記載されたような追加的な層130,136と類似し得る。同様に、トロイダル変圧器618を形成するLTCC層の積層内の1つ又はそれよりも多くの層100は、前述されたような高透磁率のLTCC層を含み得る。
【0038】
本発明の他の実施態様が図8に例証されている。図1乃至7に関してここに記載されたのと同一の技法を用いて、図8中のトロイダル変圧器を形成し得る。しかしながら、この実施態様において、第一巻線810及び第二巻線910は、図示のように編み合わされている。端子814,816は、電気接点にトロイダル巻線800を提供するのに対し、端子914,916は、電気接点にトロイダル巻線900を提供する。図1乃至4に関して上記されたように、表面922上で図7に示されるような積層に1つ又はそれよりも多くのLTCC層及び/又は接地平面層を加えるのが望ましい。明瞭性のために、これらの層は図7及び8から省略されている。しかしながら、そのような層は、図4Eに関して記載されたような追加的な層130,136と類似し得る。同様に、トロイダル変圧器800を形成するLTCC層の積層中の1つ又はそれよりも多くの層100は、高透磁率コア領域を定めるために、前記されたような高透磁率のLTCC層を含み得る。
【0039】
本発明のさらに他の実施態様が図9に例証されている。図9は、DC通過型自動変圧器である。図9中の自動変圧器は、LTCC基板中に埋設される単一のトロイダル巻線から成り得る。ここで図1乃至8に関して記載されたものと類似する製造技術を用いて、単一のトロイダル巻線950を形成し得る。しかしながら、1つの電圧から他の電圧に変圧するために複数の巻線を用いる代わりに、1つ又はそれよりも多くのタップが、その半径に沿った選択的な場所に配置される。自動変圧器は当業者に既知である。しかしながら、ここに記載される発明的な方法を使用することによって、トロイダル型変圧器958をLTCCサブ基板内に埋設し得る。図9において、接点954a,954bは、ビア960,962を用いて、トロイダル巻線950に電気的に接続されている。少なくとも1つのタップ956aが、ビア958を用いて、その半径に沿った選択的な場所で、トロイダル巻線950に接続されている。電圧変圧比は、入力954bと自動変圧器956aとの間の巻数に対するトロイダル巻線における総巻数の比によって決定される。例えば、図9中の自動変圧器の巻線比は、約1:4である。
【技術分野】
【0001】
変圧器は、1つの回路中の交流又は間欠電気エネルギーを他の回路中の他の種類に変換する受動電気装置であり、一般的に電圧及び電流の変化値を伴う。具体的な変圧器における入力電圧対出力電圧比は、二次コイルと比較した主コイルにおける巻線数によって概ね決定される。この変圧に関連する小さな損失があり、それは2つの成分からなる。第一の損失源は、「コア」損失と呼ばれる(無負荷損失とも呼ばれる)。この種類の損失は、変圧器の通常動作中におけるコアの励磁及び消磁に起因する。第二の損失成分は、コイル又は負荷損失と呼ばれる。何故ならば、変圧器の主コイル及び二次コイルに効率損失が起こるからである。コイル損失は、巻線材料中に存在する抵抗の結果である。
【背景技術】
【0002】
特定の巻線比を有する特定の変圧器に関して、空気コアがより低い効率を招くことが周知である。何故ならば、空気コアは1.0の透過率を有するからである(ここで用いられる透磁率及び誘電率という用語は、それぞれ比透磁率及び比誘電率を意味すると理解されるべきである)。他の種類の誘電性コア材料も1.0に近い比透磁率を有するならば、それらは同様に挙動する。逆に、特定のコイル構成のために達成されるインダクタンスを増大するために、より高い透磁率値を有する強磁性材料が、コア材料としてしばしば用いられる。
【0003】
変圧器は、単純な円筒形状ロッドからドーナッツ形状トロイドに及ぶ様々な形状を有するコアの周りに巻回され得る。この関係ではトロイドが有利である。何故ならば、RF漏れを制限し且つ他の近傍の構成素子との結合及び干渉を回避するために、それらはコア領域内に変圧器によって生成される磁場を実質的に含むからである。
【0004】
小型RF回路において、変圧器は、表面実装装置、又は、RF基板の表面上に直接的に形成される結合平面螺線として実施される傾向を有する。しかしながら、平面螺線変圧器は、それらが形成する磁場を実質的に含まないという点で、重大な欠点を被っている。対称的に、トロイダル変圧器は、変圧器の磁場を効果的に含み得る。しかしながら、小型RF回路におけるトロイドの実装は、それらが表面実装構成素子として実装されることを典型的に必要とする実際的な困難を提示している。
【0005】
表面実装構成素子の正確な設計にも拘わらず、そのような構成素子のために必要とされる回路板スペースは、RFシステムの全体的サイズに寄与する顕著な要因となっている。実際には、受動表面実装装置は、典型的には、基板表面領域の80%を含み得る。これは基板の表面領域を大きくするのに対し、厚さは比較的小さいままである。これは回路板スペースの効果的な使用ではない。
【0006】
Krone, et alに発効した特許文献1は、電子誘導装置、及び、剛的な銅張りエポキシ積層板内に電子誘導装置を製造する方法を開示している。プロセスは、エポキシ積層板内に一連の間隔を空けて配置された孔を穿孔し、銅張り全体を回路板からエッチング処理して剥がし、エポキシ積層板を第二積層板の上に配置し、トロイド強磁性コアを間隔を空けて配置された各孔内に位置決めし、且つ、各孔の残部を繊維入りエポキシで充填する。この技法は、通常は従来的なエポキシPWBの形成に含まれる従来的なステップの一部ではない多数の追加的な処理ステップを含む。これらの追加的なステップは、本来、さらなる費用を含む。さらに、そのような技法は、以下に記載されるセラミック型のような、他の種類の基板との使用の適正が不十分である。
【0007】
850〜1,000度でか焼されるガラスセラミック基板は、低温同時焼成セラミック(LTCC)と一般的に呼ばれる。この等級の材料は、それらをRFシステムのための基板として特に有用にする多くの利点を有する。例えば、DuPont(R)からの低温951同時焼成Green Tape(TM)は、金(Au)及び銀(Ag)と融和性を有し、多くの用途に適した熱膨張係数(TCE)及び相対強度を有する。他のLTCCセラミックテープ製品は、416 East Church Street, King of Prussia, PA 19406−2625, USAのElectro−Science Laboratories, Inc.から入手可能である。LTCC製品の製造業者は、典型的には、金属トレース及びビアを定めるために、それらのLTCC製品と融和性を有する金属ペーストも提供する。
【0008】
従来的なLTCC処理のためのプロセス流れは、(1)ロールからグリーン(非焼成)セラミックテープを切断するステップ、(2)グリーンテープからバッキングを除去するステップ、(3)電気ビアのための孔を穿孔するステップ、(4)ビアホールを胴体ペーストで充填し、且つ、印刷パターン化された導体を遮蔽するステップ、(5)個々のテープ層を積み重ね、整列し、且つ、積層化するステップ、(6)粉末を焼結し且つ緻密化するために、スタックを焼成するステップ、及び、(7)焼成されたセラミックを鋸引きして個々の基板にするステップを含む。
【0009】
LTCC処理は、同時焼成される材料が、化学的に並びに熱膨張係数(CTE)に関して溶融性を有することを要求する。典型的には、商業的に入手可能なLTCC材料の範囲は、かなり限定的であった。例えば、LTCC材料は、限定的な範囲の誘電率値のみにおいて商業的に入手可能であり、それよりも大きな通電率値を備える材料を一般的に含まなかった。しかしながら、近年、メタマテリアルの開発が、LTCCと共に用い得る材料の可能性の範囲を拡張し始めている。さらに、標準的なLTCCプロセスと融和性を有する新規な高透磁率セラミックテープが、今では商業的に入手可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,781,091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、セラミック基板中に変圧器を形成するための方法に関する。方法は、非焼成セラミック基板内に定められる非焼成セラミックトロイダルコア領域についての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイルを形成するステップを含み得る。方法は、セラミック基板内に少なくとも部分的に埋設される伝導性コイルを備える一体的なセラミック基板構造を形成するために、非焼成セラミックトロイダルコア領域、非焼成セラミック基板、及び、伝導性コイルを同時焼成するステップも含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの特徴によれば、方法は、1よりも大きな透磁率を有するセラミック材料のセラミックトロイダルコア領域の少なくとも一部を形成するステップを含み得る。方法は、伝導性コイルとセラミック基板の外面との間に伝導性接地平面を配置するステップも含む。例えば、伝導性コイルとセラミック基板の表面上に配置される少なくとも1つの表面実装構成素子との間に接地平面層を配置し得る。
【0013】
方法は、セラミックトロイダルコアについて配置される複数の巻線を含む第二の伝導性コイルを形成するステップも含み得る。本発明の1つの特徴によれば、第一伝導性コイルのコイル半径と異なるように第二伝導性コイルのコイル半径を選択し得る。本発明の他の特徴によれば、方法は、第一の伝導性コイルが配置されるセラミックトロイダルコアの半径部分を除きセラミックトロイダルコアの半径部分について配置される複数の巻線の第二伝導性コイルを形成するステップを含み得る。さらに、自動変圧器を形成するために、伝導性コイルは、その半径に沿う少なくとも1つの出力タップを備え得る。
【0014】
他の特徴によれば、LTCC基板内に埋設される変圧器を含み得る。その場合には、発明は、セラミック基板と、セラミック基板内に埋設されたセラミックトロイダルコアと、セラミックトロイダルコアについての複数の巻線を含む少なくとも1つの伝導性コイルとを含み得る。その結果として、同時焼成プロセスにおいて、セラミックトロイダルコアをセラミック基板と一体的に形成し得る。セラミックトロイダルコアの少なくとも一部は、1よりも大きな透磁率を有し得る。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、全ての地点で、複数の巻線をセラミック基板内に含め得る。本発明の他の特徴によれば、セラミックトロイダルコアは、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二のセラミック材料よりも大きな透磁率を有するセラミック材料から成り得る。さらに、少なくとも1つの伝導性金属接地平面層をセラミック基板内に配置し得る。例えば、伝導性コイルとセラミック基板の表面上に配置される少なくとも1つの表面実装構成素子との間に接地平面層を介装し得る。
【0016】
変圧器は、セラミックトロイダルコアについて配置される複数の巻線からなり且つ第一の伝導性コイルと異なるコイル半径を有する第二の伝導性コイルも含み得る。本発明の1つの特徴によれば、第一の伝導性コイルが配置されるセラミックトロイダルコアの第二の半径部分を除き、複数の巻線から成る第二の伝導性コイルをセラミックトロイダルコアの半径部分について配置し得る。代替的に、ここに開示される変圧器を自動変圧器として形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】トロイダル変圧器を形成する方法を理解するのに有用な、その内部に形成されたビアを備えるセラミック基板を示す上面図である。
【図2】線2−2に沿って取られた、図1の基板を示す断面図である。
【図3】トロイダル変圧器を形成するために伝導性トレース及び第二層が加えられた後の図1中の基板を示す上面図である。
【図4A】線4−4に沿って取られた、図3中の基板を示す断面図である。
【図4B】図4A中のトロイダル変圧器の第一の代替的な実施態様を示す断面図である。
【図4C】図4A中のトロイダル変圧器の第二の代替的な実施態様を示す断面図である
【図4D】図4A中のトロイダル変圧器の第三の代替的な実施態様を示す断面図である
【図4E】追加的な層が加えられた、図4A中のトロイダル変圧器の第四の代替的な実施態様を示す断面図である
【図5】本発明を製造する方法を理解するのに有用なフロー図である。
【図6】代替的な発明的な構成を示すトロイダル変圧器の上面図である。
【図7】線7−7に沿って取られた、図6中のトロイダル変圧器の断面図である。
【図8】編み合わされた巻線を備えるトロイダル変圧器を示す上面図である。
【図9】自動変圧器として構成されたトロイダル変圧器を示す上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、セラミック基板内に一体化されたトロイダル変圧器、及び、それを製造する方法に関する。図1乃至4、及び、図5中のフロー図を参照して、本方法を記載する。方法は、適切なサイズの一片の未焼成セラミックテープ100を形成することによって、ステップ502で開始し得る。セラミックテープ100は、約800℃〜1,000℃でか焼されるよう設計された、任意の商業的に入手可能な様々なガラスセラミック基板であり得る。この等級の材料は、低温同時焼成セラミック(LTCC)と一般的に呼ばれる。そのようなLTCC材料は、それらをRFシステムのための基板として特に有用にする数多くの利点を有する。例えば、DuPont(R)からの低温951同時焼成Green Tape(TM)は、金(Au)及び銀(Ag)融和性を有し、多くの用途に適する熱膨張係数(TCE)及び相対強度を有する。他の類似の種類のセラミックテープも用い得る。具体的な用途に依存する多様な要因によって、セラミックテープのサイズを決定し得る。例えば、もしトロイダル変圧器がより大きなRF回路の一部を形成するならば、セラミックテープは、トロイダル変圧器が構成素子になるRF回路を収容するサイズであり得る。
【0019】
図1及び2を参照すると、セラミックテープ100内に第一の複数の伝導性ビア102a,102bを形成し得る。図1において、複数の伝導性ビア102a,102bは、線105の両側上で、ほぼ180度の弧の周りにそれぞれ配列されている。よって、伝導性ビアの各組は、おおよそ半円を定める。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わりに、各組の伝導性ビア102a,102bによって形成される弧の組み合わせが、図示されるように、累積的におおよそ360度の弧を定めることを条件として、180度よりも大きい或いは小さい弧の周りに伝導性ビア102a又は102bを配列し得る。
【0020】
ステップ504において、未焼成セラミックテープに孔を穿孔するステップ、及び、ステップ508において、ビアホールに伝導性ペーストを充填するステップを含む、従来的な技法を用いて伝導性ビアを形成し得る。図1及び2に示されるように、トロイダル変圧器の内周を定めるために、中心軸101から第一距離d1だけ放射状に間隔を空けて第一の複数の伝導性ビア102a,102bを配置し得る。ステップ506及び508において、外周を定めるために、中心軸について第二距離d2だけ放射状に間隔を空けて第二の複数の導電性ビア104a,104bを同様に形成し得る。図1において、複数の伝導性ビア104a,104bは、伝導性ビア102a,102bによって定められる弧と対応して、ほぼ180度の弧の周りにそれぞれ配列される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わりに、弧が伝導性ビア102a,102bによって形成される弧とそれぞれ一致することを条件として、伝導性ビア104a,104bを180度よりも大きい或いは小さな弧の周りにそれぞれ配列し得る。図2に示されるように、ビアは、実質的にセラミックテープ100の反対面106,108の間に延在し得る。
【0021】
図3及び4Aを今や参照すると、複数の伝導性トレース110a,110bをセラミックテープ100上に配置することによって、プロセスはステップ510において継続し得る。表面106上の伝導性トレース110aは、実質的に放射方向で隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビア102a,104aの夫々のものの間の電気接続を形成している。同様に、表面106上の伝導性トレース110bは、実質的に放射方向で隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビア102b,104bの夫々のものの間の電気接続を形成している。
【0022】
ステップ512において、第二の複数の伝導性トレース110a,110bは、第二セラミックテープ100の表面108上に設けられている。第二セラミックテープ100もLTCC材料で形成し得る。第二の複数の伝導性トレース110a,110bは、2つのセラミックテープ層が、図示されるように、整列され且つ積み重ねられるときに、表面108上のトレース110aが、第一及び第二の複数の伝導性ビア102a,104aの円周方向に位置ずれしたものの間の電気接続をもたらす。同様に、図示されるように、トレース110bは、伝導性ビア102b,104bの円周方向に位置ずれしたものの間の電気接続をもたらす。
【0023】
選択的なLTCC材料のための同時焼成プロセスと融和性を有する如何なる適切な伝導性ペースト又はインクから伝導性トレース110a,110bを形成し得る。そのような材料は、多様なソースから商業的に入手可能である。さらに、標準的なLTCC処理との整合性のために、トレース110a,110bが各テープの1つの側面上にのみ配置された状態で、セラミックテープ100の2つの層が図4A中に示されていることが留意されるべきである。しかしながら、本発明はそのように限定されない。当業者であれば、トレース110a,110bが、代わりに、セラミックテープ100の単一層の両面上に配置されることが可能であり、且つ、そのような代替的な構成が本発明の範囲内で意図されることを理解するであろう。ステップ514では、従来的な処理技法を用いて、多様なLTCC層100を積層し、互いに整列し得る。
【0024】
伝導性ビア102a,104a及び伝導性トレース110a,115は、三次元変圧器118の第一巻線119aを共に定める。同様に、伝導性ビア102b,104b及び伝導性トレース110b,117は、三次元変圧器118の第二巻線119bを定める。これに関して、本発明は、ここで、図1乃至4Aに例証される正確な配列又はパターンのビア102a,102b,104a,104b及びトレース110a,110b,115,117に限定されないことが理解されるべきである。その代わりに、それが実質的にトロイダル変圧器構成をもたらすことを条件として、セラミックテープ層内に形成される如何なるパターンのビア及びトレースも用いることができ、多くの小さな変更が可能であることが理解されよう。
【0025】
例えば、表面106上の伝導性トレース110a,110bは、実質的に半径方向に隣接する第一及び第二の複数の伝導性ビアの各1つの間の電気接続を形成することが上記に述べられている。ビア103−1及び103−2は、半径方向に隣接する伝導性ビアの例である。しかしながら、半径方向に隣接する伝導性ビアは、その用語がここで用いられるとき、必ずしも半径方向に精密に整列される必要はないことが留意されるべきである。そのような半径方向に隣接するビアは、互いにある程度円周方向に位置ずれしたビアを含み得る。ビア103−1及び103−3は、円周方向に位置ずれしたビアを示している。図1に見られるように、円周方向に位置ずれしたビアは半径方向に整列されていない。伝導性トレース110a,110b,115,117及びビア102a,102b,104bの組み合わせが、連続的なトロイダル変圧器の少なくとも半径方向の一部を定めることを条件として、本発明はこれらの素子の如何なる特定の幾何にも限定されない。
【0026】
図1及び3を参照すると、第一巻線119a及び第二巻線119bを定めるトロイダル変圧器のための第一の及び組の電気接点を定めるために、1つ又はそれよりも多くの追加的なビア112a,112b及び追加的なトレース114a,114b,116a,116bを設け得る。顕著に、第二巻線119bと比べられるとき、第一巻線119aが異なる巻線数を有することが望ましくあることができ、本発明は、いずれのコイルに関して如何なる特定の巻線数にも限定されない。全てのビア102a,102b,104a,104b,112a,112b及びトレース110a,110b,115,117,114a,114b,116a、116bが揃えられるや否や、特定の種類のセラミックテープにふさわしい温度及び時間に従って、ステップ516において、セラミックテープ100,ビア、及び、トレースを一緒に焼成し得る。
【0027】
プロセスは、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分と異なる少なくとも1つの電気特性を有するセラミックテープ100内に、少なくともトロイダル形状コア領域120a,120bを形成するステップも含み得る。例えば、電気特性は、透磁率又は誘電率であり得る。有利に、1よりも大きな透磁率を有する低温同時焼成セラミック(LTCC)材料のコア領域120a,120bの少なくとも一部を形成するために、少なくともトロイダル形状コア領域の透磁率を増大し得る。好適実施態様によれば、少なくともコア領域は、実質的に1よりも大きな透磁率を有し得る。例えば、コア領域における透磁率は、現在の技術を用いて、約150〜400で変動し得る。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されない。その代わり、高透磁率は約1.0よりも大きな値を有し得る。
【0028】
如何なる適切な手段によっても高透磁率コア領域を形成し得る。例えば、図4Bに示されるようなものの透磁率を有する従来的な非鉄セラミックテープと共に、非焼成高透磁率セラミックテープの1つ又はそれよりも多くの層を積み重ねることによって、高透磁率コア領域を形成し得る。高透磁率層は、コア領域と交差するように有利に配置される。代替的な実施態様では、高透磁率領域が排他的にコア領域を含むように基板を形成することもできる。コア領域と一致しない他のLTCC型層も高透磁率材料で形成し得る。例えば、全ての層を高透磁率LTCCテープ層で形成し得る。
【0029】
図4Bに例証されるように、非焼成セラミックテープ122,124を複数の非焼成セラミックテープ層100と共に積み重ね得る。1つの実施態様によれば、セラミックテープ122,124は、セラミックテープ層100と比べ、より高い比透磁率を有し得る。それらの少なくとも一部の部分がコア領域120内に含まれるのを保証するために、非焼成テープ層122,124を配置し得る。非焼成テープ層122,124は、積層内の残余のテープ層100と親和性のある如何なるセラミックテープであり得る。例えば、高透磁率LTCCテープは、416 East Church Road, King of Prussia, PA 19406−2625, U.S.A.のElectro−Science Laboratories, Inc.から商業的に入手可能である。具体的には、150〜400の透磁率を有する製品番号ESL40010が言及される。代替的な実施態様によれば、全てのテープ層は高透磁率材料からなり得る。
【0030】
図4Cは、非焼成セラミックテープ層126が複数の非焼成テープ層100と組み合わされた構成を例証している。さらに、テープ層126は、コア領域120と交差する部分を含み得る。部分128は、テープ126及びテープ100の残部と比べ、より高い透磁率を有し得る。図4Dは、図示のように複数の非焼成テープ層126が非焼成テープ層100と積み重ねられた類似の構成を例証している。
【0031】
多くの場合、回路トレース又は他の表面実装構成素子の配置のために、トロイダル変圧器の上及び/又は下の表面領域を使用することが有利であり得る。トレース110a,110bを覆う1つ又はそれよりも多い追加的なLTCC層の追加は、そのような配置を促進し得る。図4Eは、変圧器を積層内に完全に埋設するために、追加的なLTCC層130がその上に配置された、図4E中のトロイダル変圧器を示している。ビア132,134は、トロイダル変圧器のトレース114a,114bへの電気接点を供給し得る。トレース116a,116bのために、図示されていない類似のビアを設け得る。図示のように、回路トレース122,124及び回路構成素子126,128を積層の外面上に配置し得る。顕著に、図4E内の構成素子は、トロイダル変圧器の1つの側面上にのみ示されているが、本発明はそのように限定されない。
【0032】
RF回路板の場合、伝導性トレースと接地平面との間の所定間隔を維持することがしばしば重要である。伝導性トレースがマイクロストリップ伝送線のようなRF伝送線を定める場合には、これは特に重要である。伝導性トレース110a,110b、ビア102a,102b,104a,104b、及び、如何なる高透磁率セラミック基板も、線の特性インピーダンスにおける望ましくない変化を生み出し得る。従って、必ずしも必要ではないが、セラミックテープ層130の外側のものの下方に離間して配置される少なくとも1つの伝導性層136を設けることが望ましくあり得る。
【0033】
伝導性層136は、様々なサブ表面構造を表面実装構成素子及び伝送線から隔離し得る接地平面を定め得る。もし伝導性層136が設けられるならば、伝導性ビア132,134との如何なる電気的接触も回避するよう、適切な開口を形成し得る。顕著に、トロイダル変圧器は、殆どの磁場を構造内部に維持する。従って、表面構成素子(又は他の電気トレース)をトロイドから遮蔽することは一般的に不要である。例外は、RF伝送線を定める電気トレースである。その場合には、基板における不連続性の存在によって、線の特性インピーダンスを変更し得る。さらに、トロイドのための基板を形成するために用いられる高透磁率層は、RF伝送線のための基板には不適であり得る。その場合には、接地平面層が、高透磁率層をRF伝送線及び関連する基板から隔離するよう働き得る。結合平面螺線変圧器構成と比べたときのトロイド変圧器構造の他の利点は、トレースがその下方の接地平面を必要とする場合(即ち、マイクロストリップ)、インダクタンスに影響を及ぼすことなしに、トロイド付近のどこかに接地平面を配置し得る。対称的に、平面螺線変圧器付近の接地平面は、その動作パラメータを著しく変更し得る。
【0034】
前述から明らかであるように、本発明は、1つの実施態様において、LTCCセラミック基板とセラミック基板内に埋設されたセラミックトロイダルコア領域とで構成されるプリント回路基板から成り得る。変圧器を形成する伝導性金属コイルは、図3に示されるようなセラミックトロイダルコアについての複数の巻線から成り得る。伝導性金属コイルは、伝導性ビア110a,110b及びトレース102a,102b,104a,104bによって定められるトロイダルインダクタであり得る。セラミックコア領域を、セラミック層、例えば、セラミックテープ層100,130の同時焼成プロセスの結果として、セラミック基板と一体的に形成し得る。上記のように、セラミックトロイダルコア領域は、セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二セラミック材料よりも大きな透磁率を有するセラミック材料から成り得る。
【0035】
代替的な種類のトロイダル変圧器を構成するために、上述の技法を利用し得る。図6及び7を今や参照すると、本発明の代替的な実施態様に従ったトロイダル変圧器618が示されている。第一トロイダル巻線600は、図1乃至4に関して記載されたプロセスを用いて形成し得るビア602,604及びトレース610から成る。単一のトロイダル巻線600は、図示のように約360度の弧の周りに連続的に延在し得るが、より少ない角度の弧にも限定され得る。これは、それぞれ360度の弧の一部のみから成る図1乃至4中の第一巻線119a及び第二巻線119bから区別されるべきである。トロイダル巻線600との電気接点をもたらすために、端子614,616を形成し得る。ビア(図示せず)は、端子614,616とトロイダル巻線600との間の電気接続を形成し得る。
【0036】
ビア702,704及びトレース710から成る第二トロイダル巻線700が、図1乃至4に関して記載されたものと類似する技法を用いて形成されている。明瞭性のために、基板の底面上のトレース710は、図6中に示されていない。単一のトロイダル巻線700は、図示のように約360度の弧の周りに連続的に延在し得るが、より少ない角度の弧にも限定され得る。端子714,716が、トロイダル巻線700との電気接点をもたらしている。第二トロイダル巻線700は、より大きなコイル直径を有し、且つ、第一トロイダル巻線600と同軸であるので、2つの巻線は共通のトロイダルコア720を共有している。図示のように形成された巻線600は、トロイダル変圧器618を形成する。各巻線600,700におけるコイルの数の比は、変圧器618の電圧変圧特性を決定し、特定の変圧器用途のために選択され得る。ここに記載される技法を用いて、追加的な巻線も設け得る。
【0037】
図6及び7において、表面722上に配置されているトレース710は露出され、従って、表面実装構成素子の配置と干渉し、或いは、回路の一部を形成する他の信号トレースの表面上での位置決めを妨げ得る。従って、1つ又はそれよりも多くの追加的なLTCC層及び/又は接地平面層を表面722上で図7中の積層に加えることが望ましくあり得る。明瞭性のために、これらの層は図7から省略されている。しかしながら、そのような層は、図4Eに関して記載されたような追加的な層130,136と類似し得る。同様に、トロイダル変圧器618を形成するLTCC層の積層内の1つ又はそれよりも多くの層100は、前述されたような高透磁率のLTCC層を含み得る。
【0038】
本発明の他の実施態様が図8に例証されている。図1乃至7に関してここに記載されたのと同一の技法を用いて、図8中のトロイダル変圧器を形成し得る。しかしながら、この実施態様において、第一巻線810及び第二巻線910は、図示のように編み合わされている。端子814,816は、電気接点にトロイダル巻線800を提供するのに対し、端子914,916は、電気接点にトロイダル巻線900を提供する。図1乃至4に関して上記されたように、表面922上で図7に示されるような積層に1つ又はそれよりも多くのLTCC層及び/又は接地平面層を加えるのが望ましい。明瞭性のために、これらの層は図7及び8から省略されている。しかしながら、そのような層は、図4Eに関して記載されたような追加的な層130,136と類似し得る。同様に、トロイダル変圧器800を形成するLTCC層の積層中の1つ又はそれよりも多くの層100は、高透磁率コア領域を定めるために、前記されたような高透磁率のLTCC層を含み得る。
【0039】
本発明のさらに他の実施態様が図9に例証されている。図9は、DC通過型自動変圧器である。図9中の自動変圧器は、LTCC基板中に埋設される単一のトロイダル巻線から成り得る。ここで図1乃至8に関して記載されたものと類似する製造技術を用いて、単一のトロイダル巻線950を形成し得る。しかしながら、1つの電圧から他の電圧に変圧するために複数の巻線を用いる代わりに、1つ又はそれよりも多くのタップが、その半径に沿った選択的な場所に配置される。自動変圧器は当業者に既知である。しかしながら、ここに記載される発明的な方法を使用することによって、トロイダル型変圧器958をLTCCサブ基板内に埋設し得る。図9において、接点954a,954bは、ビア960,962を用いて、トロイダル巻線950に電気的に接続されている。少なくとも1つのタップ956aが、ビア958を用いて、その半径に沿った選択的な場所で、トロイダル巻線950に接続されている。電圧変圧比は、入力954bと自動変圧器956aとの間の巻数に対するトロイダル巻線における総巻数の比によって決定される。例えば、図9中の自動変圧器の巻線比は、約1:4である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温同時焼成セラミック基板内に埋設される変圧器であって、
セラミック材料の複数の積層から成るセラミック基板を含み、前記セラミック材料の前記複数の積層の第一層の少なくとも一部は、前記セラミック材料の前記複数の積層の第二層の少なくとも一部よりも大きい透磁率を有し、
前記セラミック基板内に埋設され且つ磁界を閉じ込めるよう構成されるセラミックトロイダルコアを含み、該セラミックトロイダルコアは、前記セラミック基板の少なくとも一部で専ら構成され、前記セラミック基板の前記一部は、前記セラミック基板の前記第二層の前記一部よりも大きい前記透磁率を有する前記セラミック基板の前記第一層の前記一部を含み、
前記セラミックトロイダルコアについての複数の巻線を含む少なくとも1つの第一伝導性コイルを含み、
前記セラミックトロイダルコアは、同時焼成プロセスにおいて、前記セラミック基板と一体的に形成される、
変圧器。
【請求項2】
前記セラミック基板内に配置される少なくとも1つの伝導性金属接地平面をさらに含む、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記セミックトロイダルコア及び前記第一伝導性コイルについて配置される複数の巻線を含む第二伝導性コイルをさらに含み、該第二伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれは、前記第一伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれのコイル直径よりも大きいコイル直径を有する、請求項1に記載の変圧器。
【請求項4】
セラミック基板内に変圧器を形成する方法であって、
非焼成セラミックトロイダルコア領域を非焼成セラミック基板の一部で専ら形成するステップを含み、前記非焼成セラミック基板の少なくとも一部は、前記非焼成セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二セラミック材料よりも大きい透磁率を有する第一セラミック材料を含み、
前記非焼成セラミック基板内に定められる前記非焼成セラミックトロイダルコア領域についての複数の巻線を含む第一伝導性コイルを形成するステップを含み、
前記第一伝導性コイルがセラミック基板構造内に少なくとも部分的に埋設された状態の一体的なセラミック基板構造を形成するために、前記非焼成セラミックトロイダルコア領域、前記非焼成セラミック基板、及び、前記第一伝導性コイルを同時焼成するステップを含み、
前記非焼成セラミック基板は、セラミック材料の複数の積層を含み、前記セラミック材料の前記複数の積層の第一層の少なくとも一部は、前記セラミック材料の前記複数の積層の第二層の少なくとも一部よりも大きい透磁率を有する、
方法。
【請求項5】
1よりも大きい透磁率を有するセラミック材料の前記セラミックトロイダルコア領域の少なくとも一部を形成するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非焼成セラミックトロイダルコア領域について配置される複数の巻線を含む第二伝導性コイルを形成するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第一伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれのコイル直径よりも大きいコイル直径を有するよう、前記第二伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれを選択するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
低温同時焼成セラミック基板内に埋設される変圧器であって、
セラミック材料の複数の積層から成るセラミック基板を含み、前記セラミック材料の前記複数の積層の第一層の少なくとも一部は、前記セラミック材料の前記複数の積層の第二層の少なくとも一部よりも大きい透磁率を有し、
前記セラミック基板内に埋設され且つ磁界を閉じ込めるよう構成されるセラミックトロイダルコアを含み、該セラミックトロイダルコアは、前記セラミック基板の少なくとも一部で専ら構成され、前記セラミック基板の前記一部は、前記セラミック基板の前記第二層の前記一部よりも大きい前記透磁率を有する前記セラミック基板の前記第一層の前記一部を含み、
前記セラミックトロイダルコアについての複数の巻線を含む少なくとも1つの第一伝導性コイルを含み、
前記セラミックトロイダルコアは、同時焼成プロセスにおいて、前記セラミック基板と一体的に形成される、
変圧器。
【請求項2】
前記セラミック基板内に配置される少なくとも1つの伝導性金属接地平面をさらに含む、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記セミックトロイダルコア及び前記第一伝導性コイルについて配置される複数の巻線を含む第二伝導性コイルをさらに含み、該第二伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれは、前記第一伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれのコイル直径よりも大きいコイル直径を有する、請求項1に記載の変圧器。
【請求項4】
セラミック基板内に変圧器を形成する方法であって、
非焼成セラミックトロイダルコア領域を非焼成セラミック基板の一部で専ら形成するステップを含み、前記非焼成セラミック基板の少なくとも一部は、前記非焼成セラミック基板の少なくとも1つの他の部分を含む第二セラミック材料よりも大きい透磁率を有する第一セラミック材料を含み、
前記非焼成セラミック基板内に定められる前記非焼成セラミックトロイダルコア領域についての複数の巻線を含む第一伝導性コイルを形成するステップを含み、
前記第一伝導性コイルがセラミック基板構造内に少なくとも部分的に埋設された状態の一体的なセラミック基板構造を形成するために、前記非焼成セラミックトロイダルコア領域、前記非焼成セラミック基板、及び、前記第一伝導性コイルを同時焼成するステップを含み、
前記非焼成セラミック基板は、セラミック材料の複数の積層を含み、前記セラミック材料の前記複数の積層の第一層の少なくとも一部は、前記セラミック材料の前記複数の積層の第二層の少なくとも一部よりも大きい透磁率を有する、
方法。
【請求項5】
1よりも大きい透磁率を有するセラミック材料の前記セラミックトロイダルコア領域の少なくとも一部を形成するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非焼成セラミックトロイダルコア領域について配置される複数の巻線を含む第二伝導性コイルを形成するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第一伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれのコイル直径よりも大きいコイル直径を有するよう、前記第二伝導性コイルの前記複数の巻線のそれぞれを選択するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−35414(P2011−35414A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231169(P2010−231169)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【分割の表示】特願2007−504186(P2007−504186)の分割
【原出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【分割の表示】特願2007−504186(P2007−504186)の分割
【原出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]