説明

セルライトの処置に有用な化合物

セルライトなどの皮膚の障害の処置におけるプロピオニルL−カルニチンの使用を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の障害を処置するのに有用な、皮内投与可能な、組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、セルライトの防止または処置に有用な、医薬または化粧品に用いるための、活性成分としてプロピオニルL−カルニチンまたはその塩を含む、組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
脂肪組織(adipose tissue)の分布は体全体を通して一様ではない。脂肪組織は、皮下組織などの体の特定の部分に、大量に存在する。脂肪と脂肪組織は区別する必要がある;後者ははっきりと区別できる組織であり、前者は油物質である。脂肪組織は、以下、「脂肪細胞(fat cell)」と称される小疱からなり、疎性結合組織(areolar connective tissue)のマトリックス内に留められる。約0.05mmの径を有する脂肪細胞は大きさが大きく変化する。脂肪細胞は壊れやすい原形質膜で形成されており、それは生存している間は液体であるが、死後に固化する油物質で満たされている。これらの脂肪細胞は細かな結合組織の小室(areolae)にある個々のクラスター中に含まれる。
【0004】
疎性結合組織は結合組織の一の形態であって、その包括している結合組織マトリックスは小室またはスペースに分けられ、そこは互いに開通しており、流体により容易に浸透される。疎性結合組織は体の異なる部分を結合する。疎性結合組織の弾力性およびその小室の浸透性により体の様々な部分が相互に関連して動くことが可能となる。最も詳しくは、疎性結合組織は、体中にある連続層にて皮膚の下方にて認められ、皮膚(真皮)と下部組織とを結びつけている。小室の多くの部分は脂肪細胞で占められており;脂肪組織を構成するマトリックスおよび脂肪細胞を、本願明細書にて別に、「貯蔵脂肪」と称する。
【0005】
セルライトは、典型的には、皮膚の真皮および皮下レベルでの、血管の完全性の破壊および毛細血管網の喪失による皮膚の劣化により特徴付けられる。血管の劣化は皮膚代謝機能を低下させる傾向にある。この代謝機能の低下は蛋白合成および修復工程を妨げ、皮膚の菲薄化をもたらす。該状況はさらには、脂肪細胞が脂質で満たされ、膨張し、一緒になってクランプを形成するようになること、ならびに皮膚の真皮および皮下領域にて過剰量の流体が停滞することで特徴付けられる。かくして、セルライトに悩んでいる個体は皮膚の皮下脂肪層が薄い傾向にある。セルライトが進んだ段階では、中隔と称される網様蛋白沈降物がその周辺に脂肪沈降物を形成し、脂肪細胞を閉鎖するようになる。さらに進行した状況として、皮膚領域にて脂肪細胞の硬い塊および中隔により囲まれた脂肪のクランプが形成される。これにより、皮膚表面はかなり異質なものとなり、「コテージ・チーズ」の外観を有するとして特徴付けられる。この出現は太りすぎの個体にて最も顕著である。セルライトの個体はまた、病変領域の表皮および真皮が薄く、皮膚の硬度が低下し、細胞再生の速度が減速している傾向にある。
【0006】
セルライトを減少させる迅速かつ確実な解決手段はなく、セルライトを処置するための明確かつ最も安価な方法は、飲食しているものを観察し、日頃から運動することでそのカロリーを燃焼することである。
【0007】
何千種ものセルライトを根絶するためのOTC薬、クリーム、およびピルが市場に溢れているが、セルライトは依然として取り除くのが困難であり、簡単に解決されることを拒絶しているのが事実である。
【0008】
セルライトの出現は、現在では、カフェイン、テオフィリンおよびアミノフィリンを含む、キサンチンの投与により処置される傾向にある。キサンチンは、脂肪細胞より水を除去し、かくして脂肪細胞の大きさを減少させる、利尿剤として作用する。しかしながら、キサンチンの作用は一時的なものであり、脂肪細胞は個体が失った水を補給するや否や再び水和されるようになる。
【0009】
患者がビタミンまたはミネラルを欠如した場合に生じるある種の皮膚障害および他の障害を処置するのに、種々のビタミンおよびミネラルが個々に投与される。例えば、ビタミンAは、アクネの処置を補助し、損傷の治癒を容易にし;ビタミンC(アスコルビン酸)は皮膚の損傷の防止を補助し、損傷の治癒を促進し;ビタミンEは酸化防止剤であり;および銅は弾性組織異常の処置を補助する[Neldner, K. H., Amer. Acad. Derm. Annl. Mtg., Wash. D.C., Dec. 6, 1993]。ビタミンCの局所的使用はまた、日焼けによる損傷を防ぎ、結合組織の破壊を軽減し、およびコラーゲン合成を促進する可能性があると考えられる[Dial, W., Medical World News, p.12, March 1991]。ビタミンEは、皮膚の保湿作用を強化するために、細胞をUV線から保護するために、および早熟な皮膚のエージングを遅延させるために、抗炎症剤として皮内にて使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医薬および化粧品の分野において、皮膚障害を処置するのに有用な多数の製品の代わりに、皮膚障害を予防または処置するための化粧用組成物を調製するのに有用な、新しい活性成分の必要性が未だに認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この度、プロピオニルL−カルニチンが皮膚障害を防止または処置するための有用な剤であることが見出された。
【0012】
したがって、プロピオニルL−カルニチンまたはその医薬上許容される塩を活性成分として含む、局所投与または皮内投与可能な、医薬または化粧品に使用される組成物が本発明の目的である。
【0013】
プロピオニルL−カルニチンの医薬上許容される塩とは、毒性作用または副作用を何ら生じさせない、プロピオニルL−カルニチンと酸とのいずれかの塩を意味する。
【0014】
これらの酸は薬理学者および製薬における専門家には周知である。これらの塩は、例えば、何ら限定されるものではなく、クロリド、ブロミド、オロタート、アスパルタート、酸アスパルタート、酸シタラート、マグネシウムシタラート、ホスファート、酸ホスファート、フマラートおよび酸フマラート、マグネシウムフマラート、ラクタート、マレアートおよび酸マレアート、オキサラート、酸オキサラート、パモアート、酸パモアート、スルファート、酸スルファート、グルコースホスファート、タートラートおよび酸タートラート、グリセロホスファート、ムカート、マグネシウムタートラート、2−アミノ−エタンスルホナート、マグネシウム2−アミノ−エタンスルホナート、メタンスルホナート、コリンタートラート、トリクロロアセタートおよびトリフルオロアセタートを包含する。
【0015】
プロピオニルL−カルニチンの医薬上許容される塩とはまた、FDAで承認され、かつInt. J. of Pharm. 33 (1986), 201-217(出典明示により本願明細書の一部とする)に列挙された、塩を意味する。
【0016】
抗セルライト剤として用いるためのプロピオニルL−カルニチンもまた本発明の目的である。
【0017】
皮膚の下にある組織の線維性マトリックス層を支持するのに;皮下組織が真皮に侵入することまたははみ出ることを防止するのに;セルライトの患者を処置するのに;または表皮の表面の下にある弛緩したまたは皺のできた組織を収縮させるのに有用な、局所投与または皮内投与可能な、医薬または化粧品の組成物を調製するための、プロピオニルL−カルニチンまたはその塩の使用もまた、本発明の目的である。
【0018】
セルライトを防止または処置するための、局所投与または皮内投与可能な、医薬または化粧品の組成物を調製するための、プロピオニルL−カルニチンまたはその塩の使用は、本発明のさらなる目的である。
【0019】
プロピオニルL−カルニチンを、少なくとも5週間、週に一回、皮内投与するところの、セルライトの防止または処置に有用な医薬または化粧品の組成物を調製するための、プロピオニルL−カルニチンまたはその塩の使用も、本発明のさらなる目的である。
【0020】
脚部倦怠感を防止または処置するための、局所投与または皮内投与可能な、医薬または化粧品の組成物を調製するための、プロピオニルL−カルニチンまたはその塩の使用は、本発明のさらなる目的である。
【0021】
本発明の医薬または化粧品の組成物はさらに、1種または複数の賦形剤または希釈剤および/または1種または複数の次に示す美容上許容される賦形剤を含んでもよい:
a)ドデシル硫酸ナトリウム;例えば、L−アルギニン、DL−ピロリドンカルボン酸、ヤシ脂肪酸より製造されるアミノ酸をベースとするカチオン性界面活性剤;またはアミノ酸をベースとする非イオン性界面活性剤より選択される適当な界面活性剤;および
b)少なくとも1種の以下の
−限定されるものではないが、イチョウ、ラスカス(ruscus)、メリロート、レッド・バイン、ビブルナムの抽出物を含む、微小循環を支持する剤;
−限定されるものではないが、カキドウシ(Glechoma)抽出物、アンゼリカの根、パウリニア(Paulinia)抽出物、サブデュード(Subdued)、あるいはカフェイン、テオブロミンまたはテオフィリンなどのキサンチンベースの抽出物を含む、脂肪分解を活性化するための剤;
−限定されるものではないが、ロスマリン酸、グリシルリジナート誘導体(glycyrrizinate derivatives)、アルファビサボロール、アズレンおよびその誘導体、アジアチコシド、セリコシド、ルスコゲニン、エスシン、エスコリン、クエルセチン、ルチン、ベツリン酸およびその誘導体、カテキンおよびその誘導体を含む、抗炎症性化合物;
−限定されるものではないが、フェルラ酸、ヒドロキノン、アルブチンおよびコウジ酸を含む、皮膚美白化合物;
−限定されるものではないが、レチノールおよびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、サリチラートおよびその塩を含む、酸化防止剤および皺抑制性化合物;
−限定されるものではないが、乳酸、グリコール酸、マンデル酸およびその混合物を含むモノカルボン酸を含む、通常の抗セルライト剤の皮膚浸透性および効能を改善する剤;
−表皮の脂質生合成段階に入り、表皮のバリア形成のための脂質を提供することで、酸化的ストレスに対する皮膚防御にて重要な役割を発揮する必須脂肪酸(EFA);ここで好ましい必須脂肪酸は、リノール酸、ガンマ−リノレン酸、ホモ−ガンマ−リノレン酸、コロンバイン酸(columbinic acid)、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、
アラキドン酸、ガンマ−リノレン酸、チムノドン酸(timnodonic acid)、ヘキサエン酸およびその混合物からなる群より選択される;または
−日よけ防止剤、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)の誘導体、シンナマートおよびベンゾフェノン誘導体、例えばオクチルメトキシ−シンナマートおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン;
より選択される皮膚の障害を防止または処置するのに有用な活性成分;
c)所望により、
−当該分野にて周知の適当な割合の増粘剤;代表的な増粘剤はキサンタン、カラガーナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガムなどのガムであり;水をベースとする化粧品の組成物は保護され得る;
−微生物の成長に拮抗する保存剤;適当な保存剤として、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、デヒドロキシ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、および種々の第4アンモニウム化合物が挙げられる。保存剤は、当業者に周知の適当な割合にて添加されてもよい;
−当業者に周知の適当な割合のシリコーンポリマー;
−活性成分の分散を促進するためのキャリアとして、および皮膚軟化剤の両方として作用するエモリエント;エモリエントは当業者に周知の適当な割合にて本発明の化粧品の組成物にて配合されてもよい;適当なエモリエントは、エステル、脂肪酸およびアルコール、ポリオールおよび炭化水素のような標準的な化合物のカテゴリーの下で分類されてもよい;脂肪酸ジエステルの一例として:ジブチルアジパート、ジエチルセバカート、ジイソプロピルジメラート、プロピレングリコールミリスチルエーテルアセタート、ジイソプロピルアジパート、およびジオクチルスクシナートが挙げられる;分岐鎖脂肪酸エステルの一例として:2−エチルヘキシルミリスタート、イソプロピルステアラートおよびイソステアリルパルミタートが挙げられる;トリ塩基性酸エステルの一例として、トリイソプロピルトリリノレアート、トリラウリルシトラート、トリブチルリン、および飽和または不飽和植物油が挙げられる;直鎖脂肪酸エステルの一例として、ラウリルパルミタート、ミリスチルラクタート、オレイルエウルカート、ステアリルオレアート、ココ−カプリラート/カプラート、セチルオクタノアートが挙げられる;脂肪酸アルコールおよび脂肪酸の一例として、セチル、ミリスチル、パルミチルおよびステアリルアルコールおよび酸などのC10−C20化合物が挙げられる;ポリオールの一例として、直鎖または分岐鎖アルキルポリヒドロキシル化合物、例えばプロピレンおよびブチレングリコール、ソルビトールグリセリン、ならびにポリマー性ポリオール、例えばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールが挙げられる;炭化水素の一例が、鉱油、石油エ−テル、スクアレンおよびイソパラフィンなどの直鎖C12−C30炭化水素である;
−水;
−着色剤;
−乳白剤;
−香料。
【0022】
本発明によれば、化粧品または医薬の組成物の形態のプロピオニルL−カルニチンは、0.5ないし45重量%、好ましくは5ないし35重量%、より好ましくは10ないし25重量%の活性成分を含み、所望により適当な慣習的補助剤と混合した、液体、クリームまたはローションの形態にて皮内的または局所的に投与される。クリームの形態にて局所的に投与される好ましい用量は20%である。
【0023】
例えば、「ラベルニドル」を用いて皮内投与される好ましい用量は、滅菌脱ミネラル処理水(2.5mL)中のプロピオニルL−カルニチン(50mg)である。
【0024】
本発明の局所用皮膚処置組成物は美容に用いられる局所用のすべての形態:ローション、流体クリーム、クリームまたはゲルにて処方され得る。組成物はその粘度および使用者の意図する用途に従って適当な容器にパッケージされ得る。例えば、ローションまたは流体クリームは、ボトルに、ロール−ボールアプリケータに、カプセル、パッチに、噴射剤によるエアロジル装置またはフィンガーで操作するのに適するポンプを備えた容器にパッケージすることができる。
【0025】
組成物がクリームである場合、チューブまたは蓋付きジャーなどの非変形性ボトルまたは絞り容器中に単に収容することができる。
【0026】
特定の形態の場合、その各々は、適当には、賦形剤による。
【0027】
これらの賦形剤は普通必要とされるすべての特性を有していなければならない。一例として、一般に使用される、プロピレングリコール、グリセリン、セチルアルコール、ポリオール、リポソームに入ったまたは入っていないリン脂質、植生油、動物、ミネラル、保存剤、吸収剤、増粘剤、安定化剤および乳化剤を挙げることができる。
【0028】
本発明の「化粧品として許容される賦形剤」なる語は、化粧品に使用されるのに適するもの、例えば、European Cosmetic Toiletry and Perfumery Association (COLIPA) に示されるINCIのリストに含まれるものである(96/335/EC “Annex to Comission Decision of 8 May 1996”)。
【0029】
実施例1
プロピオニルL−カルニチンの局所的なセルライト拮抗活性
本発明の生成物の皮内投与の効果を大腿部におけるセルライトの出現を減少させるその能力について試験した。年齢が23ないし58歳の範囲にある総勢54人の女性の対象を選択し、本発明の組成物を評価した。
【0030】
大腿部にて左右対称のセルライト強度を有することに基づいて対象を選択した。グレード1および2のセルライトの対象を選び、5ポイントの評価尺度を用いて、各対象のセルライトの重篤度を査定した。尺度は0から4の範囲にあり、0=セルライト無;1=小さな隆起または窪み;2=線条痕および隆起;3=皮膚の顕著なランピネスおよび線条痕;4=上記したすべての事項+皮膚表面下の小さな瘤を示す。
【0031】
対象はすべて、試験物質に由来する皮膚反応と混同する可能性のある、肉眼で分かる皮膚疾患がなく、一般に、既知のアレルギー、特に化粧品またはトイレタリー製品に対してアレルギーのない健康体であり;急性または慢性疾患の徴候はなく;妊娠または泌乳しておらず;ダイエットまたは減量中ではなく;(実験の直前またはその最中に)規則的な運動プログラムを受けていない。
【0032】
ベースライン時に、各対象は技術責任者により実施される外観検査を受け、セルライトの程度について評点を付される。同日に、対象の右および左の大腿部に複数回の注射(「レベルニードル」4mmx0.4mm;27Gを用いて大腿部当たりに5ないし10回の注射)を行って処置した。該処置を、連続して5週間(第0週;第1週;第2週;第3週;第4週および第5週)、1週間に付き1回繰り返した。
【0033】
セルライトの程度を以下の尺度に従って評価した:0=肉眼でのセルライト無;1=非常に小さな肉眼で見えるセルライト、デコボコ無し;2=肉眼で見えるセルライト、浅いデコボコの徴候;3=肉眼で容易に確認できるセルライト、中程度ないし顕著なデコボコ;4=肉眼で極めて容易に確認できるセルライト、重度で深いデコボコ。
【0034】
患者を3群に分け、以下に示される組成物を皮下内に複数回注射することで処置した:
群A
・プロピオニルL−カルニチン:50.0mg;
・マンニトール:100.0mg;
・二塩基性リン酸ナトリウム・二水和物:24.0mg;
・トロメタミン:8.0mg;
・HO:2.5mL(最終容量);
群B
・アセチルL−カルニチン:50.0mg;
・マンニトール:100.0mg;
・二塩基性リン酸ナトリウム・二水和物:24.0mg;
・トロメタミン:8.0mg;
・HO:2.5mL(最終容量);
群C
・L−カルニチン:50.0mg;
・マンニトール:100.0mg;
・二塩基性リン酸ナトリウム・二水和物:24.0mg;
・トロメタミン:8.0mg;
・HO:2.5mL(最終容量)。
【0035】
実験の間にセルライトを処置するための新しい製品の導入を回避するために、標準的なセルライト拮抗製品に使用を中断し、およびダイエットまたは減量プログラム中ではないか、または該実験の直前またはその最中に規則的な運動プログラムにないように、対象を指導した。各対象を、食事について、書面での内容に従うことも指導した。
【0036】
最終処置から7日後(第6週)に、肉眼による最終評価を受けるために対象は病院を訪れた。
【0037】
セルライトの評価を、Cosmetics & Toiletries, 61-70, June 1995に記載の方法に従い、処置前後の値を比較することで行った。
【0038】
処置期間の間に、痒みおよび/または発赤などの副作用の報告されている対象はいなかった。
【0039】
得られた結果を表1にて報告する。
【0040】
表1
投与から6週間後のセルライトの状態の変化
【表1】

【0041】
表1にて報告されている結果は、(a)プロピオニルL−カルニチンがセルライトの状態を効果的に改良し;(b)L−カルニチンまたはアセチルL−カルニチンの活性がプロピオニルL−カルニチンの活性と比べて劣っており;(c)プロピオニルL−カルニチンが皮膚の真皮に有益的に作用することで皮膚の基礎構造を改善する、ことを示す。
【0042】
本発明の化合物の活性はまた、L−カルニチンまたはアセチルL−カルニチンの活性に対しても顕著に高く、これらの結果は予想できなかった。
【0043】
実施例2
脚部倦怠感
脚部倦怠感の徴候のある15人の患者(実施例1の群Aに属する患者)を、処置を開始する前、処置から5週間後の両方において、視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて評点に付した。
【0044】
視覚的アナログ尺度(VAS)は両端で支えられた10cmのラインからなる。患者には、そのライン上で、0値が「脚部での倦怠感が無い」を示し、および100値が「脚部での倦怠感が最大」を示す、その不快感のレベルを示すようにマークを付けることが要求された。T=0の投与の前と、処置から5週後に測定を行った。
【0045】
本発明の組成物で処置した脚部に倦怠感のあった患者は、基底値に関連して、その徴候の程度が著しく減少したことを報告した。
【0046】
プロピオニルL−カルニチンは既知の化合物であり、その製法は米国特許第4254053号に記載されている。
【0047】
本発明の医薬または化粧用組成物を、既に使用されており、その毒物学的特性が既知の、医薬または化粧品の分野におけるオペレーターによく知られている活性成分と比較する。
【0048】
したがって、これらの活性成分は現在のところ長期にわたって市場にて販売されており、ヒトに投与するのに適するグレードであるため、その入手は極めて容易である。
【0049】
本発明の皮内注射用の組成物の一例を以下に報告する。
組成物1
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、プロピオニルL−カルニチンまたはその塩を含み、1種または複数の賦形剤および/または希釈剤を含んでいてもよい、局所または皮内投与可能な組成物。
【請求項2】
プロピオニルL−カルニチンの塩が、クロリド、ブロミド、オロタート、アスパルタート、酸アスパルタート、酸シタラート、マグネシウムシタラート、ホスファート、酸ホスファート、フマラートおよび酸フマラート、マグネシウムフマラート、ラクタート、マレアートおよび酸マレアート、オキサラート、酸オキサラート、パモアート、酸パモアート、スルファート、酸スルファート、グルコースホスファート、タートラートおよび酸タートラート、グリセロホスファート、ムカート、マグネシウムタートラート、2−アミノ−エタンスルホナート、マグネシウム2−アミノ−エタンスルホナート、メタンスルホナート、コリンタートラート、トリクロロアセタートおよびトリフルオロアセタートからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗セルライト剤として用いるためのプロピオニルL−カルニチン。
【請求項4】
プロピオニルL−カルニチンの、セルライトを防止または処置するのに有用な医薬または化粧品の組成物の調製における、使用。
【請求項5】
プロピオニルL−カルニチンの、脚部倦怠感を防止または処置するのに有用な医薬または化粧品の組成物の調製における、使用。
【請求項6】
プロピオニルL−カルニチンが局所的または皮内的に投与可能である、請求項4または5記載の使用。
【請求項7】
プロピオニルL−カルニチンが少なくとも5週間一週間毎に1回皮内投与される、請求項4−6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
−微小循環を支持する剤;
−脂肪分解を活性化するための剤;
−抗炎症性化合物;
−皮膚美白化合物;
−酸化防止剤および皺抑制性化合物;
−通常の抗セルライト剤の皮膚浸透性および効能を改善する剤;
−必須脂肪酸(EFA);または
−日よけ防止剤
からなる群より選択される、少なくとも1種の活性成分をさらに含む、請求項4または5記載の使用。
【請求項9】
微小循環を支持する剤が:イチョウ、ラスカス、メリロート、レッド・バインまたはビブルナムの抽出物からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項10】
脂肪分解を活性化するための剤が、カキドウシ、アンゼリカの根、パウリニアの抽出物;またはカフェイン、テオブロミンまたはテオフィリンなどのキサンチンベースの抽出物からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項11】
抗炎症性化合物が:ロスマリン酸、グリシルリジナート酸誘導体、アルファビサボロール、アズレンおよびその誘導体、アジアチコシド、セリコシド、ルスコゲニン、エスシン、エスコリン、クエルセチン、ルチン、ベツリン酸およびその誘導体、カテキンおよびその誘導体からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項12】
皮膚美白化合物が、フェルラ酸、ヒドロキノン、アルブチンおよびコウジ酸からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項13】
酸化防止剤および皺抑制性化合物が、レチノールおよびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、サリチラートおよびその塩誘導体からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項14】
通常の抗セルライト剤の皮膚浸透性および効能を改善する剤が、乳酸、グリコール酸、マンデル酸およびその混合物を含むモノカルボン酸からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項15】
必須脂肪酸(EFA)が、リノール酸、ガンマ−リノレン酸、ホモ−ガンマ−リノレン酸、コロンバイン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸およびその混合物からなる群より選択される、請求項8記載の使用。
【請求項16】
日よけ防止剤が、PABAおよびその誘導体、オクチルメトキシ−シンナマートおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノンなどのシンナマートおよびベンゾフェノン誘導体からなる群より選択される、請求項8記載の使用。

【公表番号】特表2012−508267(P2012−508267A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535972(P2011−535972)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064681
【国際公開番号】WO2010/054978
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】