説明

セレコキシブプロドラッグ

N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及び医薬的に受容できるその塩は選択的 COX-2 阻害性薬物セレコキシブの有用なプロドラッグであり、任意の適当な経路で患者に投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)阻害性薬物セレコキシブ(celecoxib)のプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0002】
シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の阻害はプロスタグランジン合成の阻害により非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がそれらの特徴ある抗炎症、解熱及び鎮痛効果を発揮する少なくとも第一の機作であると信じられている。ケトロラク(ketorolac)、ジクロフェナク(diclofenac)、ナプロキセン(naproxen)及びそれらの塩のような従来の NSAIDs は治療的用量でシクロオキシゲナーゼの構成的に発現する COX-1 及び炎症と関連する又は誘発性の COX-2 アイソフォームの両方を阻害する。正常な細胞機能に必要であるプロスタグランジンを生産する COX-1 の阻害は従来の NSAIDsの使用と関連するある種の不都合な副作用の原因であると思われる。対照的に、COX-1 の実質的な阻害の無い COX-2 の選択的な阻害はそのような不都合な副作用を最小にするか又は除く一方で抗炎症、解熱、鎮痛及びその他の有用な治療効果をもたらす。1999 年に最初に市販されたセレコキシブ及びロフェコキシブ(rofecoxib)のような選択的 COX-2 阻害薬は従ってこの技術分野における大きな進歩を表すものである。これらの薬物は種々の経口的に送達可能な投薬形体に処方される。
【0003】
Talley et al に対する米国特許第 5,932,598 号に開示されたパレコキシブ(Parecoxib)はスルホンアミド部分を有する選択的 COX-2 阻害薬のN−置換水溶性プロドラッグのクラスの1つであり、前記文献は参照により本明細書に組み入れる。パレコキシブは患者への投与に続いて実質的に水不溶性の選択的 COX-2 阻害薬であるバルデコキシブ(valdecoxib)に変換する。パレコキシブは又、例えば水に溶解すると、水への露出によりバルデコキシブに転化する。
【0004】
下記の構造式(I)を有するパレコキシブは、それ自身は COX-1 及び COX-2 の両方に対して弱い生体内阻害活性を示すが、一方バルデコキシブ(II)は COX-2 に対しては強い阻害活性を有するが、COX-1の弱い阻害剤である。
【化1】

【0005】
上に挙げた米国特許第 5,932,598 号は又、スルホンアミド部分を有する他の選択的 COX-2 阻害剤のN−置換プロドラッグも対比し得るように開示している。例えば、化合物N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]アセトアミド(III)及びそのナトリウム塩はその中で選択的 COX-2 阻害薬セレコキシブ(IV)のプロドラッグとして有用であると考えられている。
【化2】

【0006】
セレコキシブ及びバルデコキシブのような最も選択的な COX-2 阻害薬との対比により、パレコキシブ、特にナトリウム塩のようなパレコキシブの塩の高い水溶解度の理由から、プロドラッグのパレコキシブは非経口使用のために提案されている。Talley et al.(2000), J. Med. Chem. 43, 1661-1663 を参照せよ。
【0007】
上に挙げた米国特許第 5,932,598 号は炎症治療の好ましい方法はそこに開示した水溶性化合物の注射による投与であることを示している。しかしながら、上に挙げた特許は更にそこに開示した化合物、又はそのような化合物を含む組成物は経口的に投与し得ること、そして経口投与用として組成物は、例えば、錠剤、硬若しくは軟カプセル、ロゼンジ、調剤用粉末、懸濁液又は液体の形体とし得ることを開示している。
【0008】
パレコキシブの水への露出により速やかに不溶性バルデコキシブに変換する傾向はこれまでパレコキシブの経口投与又はパレコキシブの実用的な投薬形体の開発におけるいかなる関心にも制限を与えて来た。
【0009】
静脈内投与はそのような障害に苦しむ又はその危険のある多くのクラスの人々にとって不便且つ不快なことであり、特に自己投与が望まれる場合そうである。経口投与は一般により一層便利でありそしてより高い程度の患者の服薬遵守を導く。特に急性疼痛の治療の場合、治療効果の速い発現がそのような投与によって達成可能であるならば更なる利点となるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
構造式(V)の新規化合物
【化3】

すなわち、N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド、あるいは4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−N−プロピオニルベンゼンスルホンアミドと命名される化合物が今回提供される。更に、本明細書では「化合物Z」としても知られるナトリウム塩(VI)
【化4】

を含む(V)の医薬的に受容できる塩が提供される。
【0011】
化合物(V)及びその塩はセレコキシブの有用なプロドラッグであり、この化合物は COX-2 が介在する病気の治療又は予防のため、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内)、局所、経皮、眼内、直腸又は経口を含む任意の適当な経路で患者に投与することができる。しかしながら、予期しないことであったが、以下に一層詳しく説明するように、そのようなプロドラッグを経口投与するとセレコキシブの驚くほど高い血漿濃度が投与に続く短い時間間隔の中で得られ、この技術分野で強く望まれているような治療効果の速い発現と整合性を有することを発見した。
【0012】
化合物(V)の水溶性塩が好ましいが、しかしながら水の存在は、化合物(V)及びその塩が速くセレコキシブに分解する傾向があるという問題を与える。それ故に、なお更に、その単位用量の中においてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む医薬組成物が提供され、この組成物は経口的に送達可能でありそして実質的に水を含まずそして経口投与の前に前記少なくとも1つの化合物のセレコキシブへの分解を阻止する手段を有する。
【0013】
なお更に、実質的に水を含まずそしてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む経口的に送達可能な医薬組成物の1回分単位用量をその中に含む実質的に水不浸透性の包装から成る製造の物品が提供される。
【0014】
本明細書に記載の「経口的に送達可能な」は、(a)上に示したように、すなわち水を含まないか、又は(b)医薬的に受容できる水性媒体に組成物を分散及び/又は溶解に続いて患者への経口投与に適当であるいずれかの組成物を意味する。
【0015】
なお更に、患者における COX-2 が介在する障害を治療し又は予防する方法が提供され、この方法は(a)医薬的に受容できる水性媒体に、実質的に水を含まずそしてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む医薬組成物の少なくとも1つの単位用量を溶解して溶液を形成させ、そして(b)この溶液を溶液中に不溶性物質の実質的沈殿が生ずる前に経口的に投与することから成る。
【0016】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドはセレコキシブを出発物質として使用して、下記の実施例1に記述した方法により例証的に製造することができる。N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドの塩はN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドを、下記の実施例2にナトリウム塩の合成により例証したように、適当な塩基と反応させることにより製造することができる。
【0017】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドの医薬的に受容できる塩は金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩を含むが、これに限定されない。適当な金属塩はリチウム、カリウム及びナトリウム塩を含むアルカリ金属塩、マグネシウム及びカルシウム塩を含むアルカリ土類金属塩、及びアルミニウム及び亜鉛塩を含むある種の他の生理的に受け入れられる金属塩である。現段階で好ましいのはアルカリ金属塩、特にカリウム及びナトリウム塩、最も特別にはナトリウム塩(VI)である。適当な有機アンモニウム塩は例証的にはジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トロメタミン、プロカイン、クロロプロカイン、コリン及びメグルミン塩を含む。水溶性塩、特に室温で少なくとも約10mg/mlの水中溶解度を有するものが好ましい。
【0018】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩の湿気への露出はセレコキシブへの著しい変換を引き起こす傾向がある。そのような環境において組成物は、N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドがそのプロドラッグである治療上有効な活性薬物であるセレコキシブであり続けるが、しかしながら本発明によるある種の利点、特に治療的な血漿濃度に速く到達し、そして結果として治療効果の迅速な発現という利点はそのような露出によって減少する傾向があるであろう。
【0019】
それゆえに、本発明は、一つの実施態様において、実質的に水を含まない医薬組成物、すなわち、乾燥組成物を提供する。本文条件下における用語「実質的に水を含まない」は
組成物中に存在しそしてプロドラッグとの反応に利用され得る水の量が十分に低く、それにより密閉した水不浸透性の容器中に室温(約20−25℃)で保存する場合、組成物は少なくとも約30日間、好ましくは約6カ月間、最も好ましくは少なくとも約2年間、プロドラッグの受容できる化学的安定性を示すことを意味する。本明細書に記載の「受容できる化学的安定性」とは組成物が定められた期間(例えば、約30日、約6カ月又は約2年)の経過後、プロドラッグの化学的純度の標準検査、例えば監督機関による承認に必要とされ得る検査を通過することを意味する。そのような検査の例は「合計5%、1%単一不純物規則」があり、それにより候補薬物又はプロドラッグの製剤は合計5%以下の不純物、そして1%以下の任意の単一不純物しか含んではならない。
【0020】
代表的には、N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドの受容できる化学的安定性をもたらすために十分に低い水分含量は質量で約5%より少なく、好ましくは約2%より少なく、より好ましくは約1%より少ない。
【0021】
この実施態様において、組成物はそれらの各々の単位用量中でN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む。本明細書に記載の「単位用量」とは治療効果をもたらすために1回分経口投与のために適当な薬剤の量を含む医薬組成物の部分を意味する。代表的には単位用量の1単位用量、又は少量複数回(約4回まで)は所望の効果をもたらすために十分な量の薬剤を与える。これに関連して、用語「治療的効果」、「治療上有効な」及び「治療剤」が本明細書においてプロドラッグ、例えばN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその水溶性塩に適用される場合、これらの用語は広い意味において治療上活性の化合物に変換されるプロドラッグに適用可能に使用されると理解すべきである。更に本文中で「治療的」は予防的を含むと理解すべきである。
【0022】
本発明の組成物の単位用量は治療上有効であることが文献で知られているセレコキシブの量と同等であるか、又は100%変換で理論的に生成するプロドラッグの量を含む。例えば、化合物Zの治療上有効な量はセレコキシブの約10ないし約1000mg、より典型的には約50ないし約400mg、好ましくは約100ないし約200mg、例えば100mg又は200mgと同等の量である。
【0023】
現在の実施態様においては、乾燥組成物はN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩の水性媒体中で溶解の前にセレコキシブへの変換を阻止する手段を有する。そのような手段はすぐ下に示した手段を含む1つ又はより多くの種々のしかたで変換を阻止するように働くことができる。本明細書に提示した組成物と組み合わせて示されるすべてのそのような手段は本発明に包含される。
【0024】
本発明の乾燥組成物中のN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩のセレコキシブへの変換を阻止する手段の例は貯蔵及び輸送の間、組成物の、大気湿気を含む水への露出を実質的に防止するための手段である。水への露出は、例えば、組成物を密閉したそして実質的に水不浸透性の包装又は容器に封じ込めることにより実質的に防止することができる。別法として又は付加的手段として、組成物を実質的に水不浸透性の被覆材料、例えばエチルセルロースを基材とする被覆材料により被覆することができる。組成物の個々の固体粒子若しくは顆粒、又は組成物のより大きい粒子若しくは錠剤
丸ごとを被覆することができる。使用する場合、薬物又はプロドラッグの速い吸収の利点が摂取した組成物からの薬物又はプロドラッグの放出の遅れにより打ち消されてしまわないように、被覆は胃腸管で容易に分解されるように選択すべきである。
【0025】
本発明の乾燥組成物においてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩のセレコキシブへの変換を阻止する更に別の手段は、それがなければ変換が促進されたであろう水以外の任意の賦形剤とプロドラッグの接触を避けるか又は最小にするようなしかたで組成物を製剤化することである。例えば、一つの実施態様においてはそのような賦形剤を組成物中に存在させない。別の実施態様においてはプロドラッグ及び任意のそのような賦形剤の存在の間に障壁層を置く。
【0026】
例証として、ある種の糖類、例えば本発明の組成物において有用な賦形剤であることができるマンニトールは、乾燥組成物におけるパレコキシブのバルデコキシブへの変換を促進する傾向があり、ここではそのような賦形剤はパレコキシブと緊密な接触状態にある。そのような糖類はN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩のセレコキシブへの変換を同様に促進すると考えられる。賦形剤の少なくとも1つ及びプロドラッグをそれらの間の接触を最小にする材料で予備被覆又はカプセル封入することにより、そのような転化を阻止することができる。
【0027】
本発明の乾燥組成物においてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩のセレコキシブへの変換を阻止する他の手段はこの技術分野の熟練者には明らかなことであろう。
【0028】
本発明の乾燥組成物は好ましくは医薬的に受容できる水性媒体に実質的に可溶性であり経口的に送達可能な溶液を形成する。用語「実質的に可溶性の」は組成物の単位用量が約100ml以下の、好ましくは50ml以下の量の水性媒体に、場合により組成物の賦形剤成分又は水性媒体からのみ生ずる僅かな曇りを除いて、視覚的に観察可能な不溶性残渣を残すことなく溶解することを意味する。
【0029】
任意の医薬的に受容できる水性液体は組成物の溶解のための媒体又は媒質として適当である。水、例えば水道水又は瓶詰水は特に適当である。若しくは砂糖溶液、果物ジュース、ソーダ水、煎じ液(例えば茶類)、抽出液(例えば牛肉抽出液、麦芽抽出液、酵母抽出液)のような甘味料、香味添加料及び/又は炭酸飲料などを使用することができる。
【0030】
本発明の組成物は本質的にN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその水溶性塩から成るが、しかしながら場合により更に追加の成分、例えば医薬的に受容できる賦形剤を含ませることができる。そのような追加の成分は好ましくはプロドラッグと化学的に和合性であり、特に実質的に水の不存在下でプロドラッグのセレコキシブへの変換を促進することがないように選ばれ、そしてそのような量で存在している。若し所望の賦形剤がそのような変換を促進することが分かった場合、その賦形剤を含む組成物は上に記述したように賦形剤及びプロドラッグの間の接触を避けるか又は最小にする障壁層と共に製剤化すべきである。
【0031】
本発明の組成物に含ませることができる賦形剤の例は、例えば以下に記述する方法により、組成物の製造を容易にする賦形剤である。そのような賦形剤は医薬的に受容できる増量剤、緩衝剤、固化防止剤などを含むがこれに限定されない。
【0032】
本発明の組成物に含ませることができる賦形剤の更に別の例は組成物の溶解の際に官能性を高める薬剤である。パレコキシブ、特にパレコキシブ ナトリウムは不快な苦味を有することが分かっており、そしてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその塩も味覚に対して不快な苦味を呈すると考えられる。従って、好ましい実施態様においては甘味剤、香味剤及び味覚調整剤から選ばれる少なくとも1つの官能性改善剤を含ませる。適当な甘味剤はデキストロース、フルクトース、スクロース及びマンニトールのような可溶性糖類、並びにサッカリン、シクラミン酸、アセスルフェーム、アスパルテーム、ネオテーム及びそれらの塩のような合成甘味料を含むがこれに限定されない。適当な天然又は合成香味剤は標準の参考図書、例えば Fenaroli's Handbook of Flavor Ingredients, 第3版(1995) から選択することができる。適当な天然の香味料、その中のあるものは合成薬剤又はそれらの組合わせにより容易にまねることができるが、その例はアーモンド、アニス、リンゴ、アンズ、ベルガモット、ブラックベリー、クロフサスグリ、ブルーベリー、カカオ、カラメル、サクランボ、シナモン、クローブ、チョウジ、コーヒー、コリアンダー、クランベリー、ヒメウイキョウ、イノンド、ユーカリノキ、ウイキョウ、イチジク、ショウガ、ブドウ、グレープフルーツ、グアヴァ、ホップ、レモン、カンゾウ、ライム、麦芽、マンダリンミカン、糖蜜、ナツメグ、オレンジ、モモ、西洋ナシ、ハッカ、キイチゴ、バラ、オランダハッカ、イチゴ、タンジェリン、茶、バニラ、ヒメコウジなどを含むが、これに限定されない。味覚調整剤は患者の味の知覚に影響を与える薬剤でありそして麻酔剤を含む。
【0033】
好ましい賦形剤は水性媒体に完全に溶解するそれである。補助的な賦形剤を場合により含ませて他の成分の溶解を高めることができ、そのような補助的賦形剤は医薬的に受容できる湿潤剤、シクロデキストリンなどを含む。
【0034】
乾燥組成物は任意の適当な形体とすることができるが、しかしながら好ましくは速く溶解する形体、例えば粉末(例えば以下で記述するように凍結乾燥により製造した粉末)又は速く崩壊する錠剤である。場合により起沸剤、例えば重炭酸ナトリウムのような重炭酸塩を、溶解を促進しそして起沸性の官能的利点をもたらすために含ませることができる。
【0035】
本発明の粉末組成物は水性媒体に添加した時に治療剤の速やかな溶解を可能にするため十分な多孔性を有するのが好ましい。高度の多孔性は以下に記述するように粉末を製造するために凍結乾燥法を使用することにより得ることが可能である。
【0036】
例証的な方法においては、化合物Z及び緩衝剤、例えば二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を水に溶解して水性溶液を形成させる。化合物Z及び緩衝剤は互いの関係において最終組成物におけるこれらの成分の望ましい相対的濃度と一致する濃度で溶液中に存在させる。これらの成分の絶対的濃度は重要ではない;しかしながら、方法の効率という観点から一般には化合物Zの濃度は濃度の限界を超える危険を冒すことなくできるだけ高濃度で都合よく調製することができるのが好ましい。他の処方成分は希望によりこの段階で添加することができる。添加の順序は重要ではないがしかしながら化合物Zは迅速且つ完全な溶解を確実にし、そしてプロドラッグの水への露出の時間を最小にするため化合物Zを最後に添加するのが極めて好ましい。
【0037】
溶液は1つ又はより多くの凍結乾燥容器、例えばバイアル瓶に秤量して入れる。各々の容器には化合物Zの所望の投薬量を含む秤量した量の溶液を入れる。容器に昇華が起こるのを可能にするための開口部を有する栓をする。次に栓をした容器を凍結乾燥室の中に置きそして容器の内容物を真空下で凍結乾燥する。凍結乾燥段階が完了したら真空を解
放しそして温度を室温に戻させる。次いで容器を大気からの湿気の再吸収を防ぐため密封
する。
【0038】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩の経口投与に適当な錠剤及びカプセルのような個々の投薬形体はこの技術分野で既知の方法により製造することができる。プロドラッグと接触する水の量及び/又は時間を最小にする方法が好ましい。
【0039】
別の実施態様においては、本発明は実質的に水を含まずそしてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む経口的に送達可能な医薬組成物1回分の単位用量をその中に含む実質的に水不浸透性の包装から成る製造の物品を提供する。好ましくは本組成物は実質的に医薬的に受容できる水性媒体に可溶性であり経口的に送達可能な溶液を形成する。
【0040】
本明細書に記載の「実質的に水不浸透性の」は、包装が、通常の大気条件下で貯蔵する場合、組成物が本明細書に定義したように実質的に水を含まない状態に留まるように、少なくとも約30日、好ましくは約6カ月そしてより一層好ましくは少なくとも約2年の貯蔵期間の間、湿気の侵入に対して十分に耐えることを意味する。
【0041】
適当な包装用材料はガラス、ポリプロピレン、アルミニウムなどを含むがこれに限定されない。包装はどのような開口部又は継ぎ目を通しての湿気の侵入に対しても密封されていなければならない。包装は組成物の1回分の単位用量のみを含むため、使用後再度密封すべきではない。
【0042】
上の記述に含まれるのはそれぞれが本発明の組成物の1回分単位用量を其の中に含む多数の連結した実質的に水不浸透性包装から成る製造の物品である。例えば速やかに水分散可能な(起沸性の)単位用量錠剤を通常の箔パック又はブリスターパックの多数の水不浸透性の区画に個別に包装することができる。
【0043】
なおその上別の実施態様においては患者における COX-2 が介在する障害を治療又は予防する方法が提供される。この方法は(a)実質的に水を含まずそしてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びその医薬的に受容できる塩から選ばれる少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む医薬組成物の少なくとも1単位用量を、実質的に医薬的に受容できる水性媒体に溶解して溶液を形成させ、(b)溶液中に不溶性物質の実質的な沈殿が生ずる前に溶液を患者に経口的に投与することから成る。
【0044】
水性媒体は任意の医薬的に受け入れられる水性液体であることができ、上に示した媒体も含む。場合により、水性媒体は乾燥組成物がそのような成分を含んでも又は含まなくても、プロドラッグの不快な味を打ち消すため甘味料又は香味剤のような成分の1つ又はより多くを含ませることができる。
【0045】
任意の都合のよい量の水性液体を組成物の単位用量の経口投与のための媒体として使用することができる。代表的には約100ml以下の量が好ましく、そしてより好ましくはその量は約50ml以下である。
【0046】
乾燥組成物が粉末、例えば凍結乾燥粉末である場合、一般に粉末が包装されている容器に水性液体を添加するのが最も好都合である。この目的のため、容器は投与に先立って容
器を開口して組成物を溶解することができるように、液体の適当な量に対応する十分な大きさであるのが好ましい。
【0047】
乾燥組成物が別々の投薬形体、例として錠剤の形体の場合、投与に先立って組成物を溶解する飲用容器中の適当量の水性液体に1個又はより多くの錠剤を添加することができる。
【0048】
溶解が起こる容器又は器の振動又は撹拌は溶解の過程を促進するため望ましいことがあり得る。本発明の好ましい組成物は穏やかな振動若しくは撹拌のみ又は何もしないことを必要とする。
【0049】
生成する溶液は好ましくは溶解が完了したら直ちに投与するのが好ましい。投与の遅れは溶液中に不溶性セレコキシブの沈殿が生じ、それにより本発明の方法により得ることが可能な利点が減少する可能性がある。代表的には経口投与は溶液の調製後約15分より短い、好ましくは約5分より短い間に為されるべきである。
【0050】
本発明の組成物は COX-2 が介在する極めて広範囲の障害の治療及び予防に有用であり、前記障害は炎症、痛み及び発熱により特徴付けられるがこれに限定されない。そのような組成物は関節炎の治療におけるような抗炎症剤として特に有用であり、そして COX-1 を超える COX-2 に対する選択性を欠く従来の NSAIDs の組成物より有害な副作用が著しく少ないという追加的な利点を有する。特に本発明の組成物は従来の NSAIDs の組成物と比較して上部胃腸潰瘍形成及び出血を含む胃腸毒性及び胃腸刺激の減少した性質を示す。従って本発明の組成物はそのような NSAIDs が禁忌されている場合、例えば消化性潰瘍、胃炎、局所性回腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎又は胃腸病変の再発経歴を有する患者;胃腸出血、低プロトロンビン血症のような貧血、血友病又は他の出血問題を含む凝固障害;腎臓病;又は外科手術の前の患者又は抗凝固剤を服用する患者における従来の NSAIDs に変わる別の薬物として特に有用である。
【0051】
考えられた組成物はリウマチ様関節炎、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性狼瘡紅斑及び幼年性関節炎を含むがこれに限定されない種々の関節炎障害の治療に有用である。
【0052】
そのような組成物は喘息、気管支炎、月経痙攣、切迫早産、粘液嚢炎、アレルギー性神経炎、サイトメガロウィルス感染、HIV 誘発プログラム細胞死を含むプログラム細胞死、腰痛、肝炎を含む肝臓病、乾癬、湿疹、座瘡、火傷、皮膚炎及び日焼けを含む紫外線損害のような皮膚に関連する病気、及び白内障手術又は屈折矯正手術のような眼科手術に続くものを含む術後炎症の治療に有用である。
【0053】
そのような組成物は炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、刺激性腸症候群及び潰瘍性大腸炎のような胃腸病の治療に有用である。
【0054】
そのような組成物は片頭痛、結節性静脈周囲炎、甲状腺炎、無形成性貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、型糖尿病、重症性筋無力症を含む神経筋連接点疾患、多発性硬化症を含む白質症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多筋炎、歯肉炎、腎炎、感覚過敏症、脳浮腫、心筋虚血などを含む傷害の後に起こる腫張のような病気における炎症を治療するのに有用である。
【0055】
そのような組成物は眼の障害の治療に有用であり、前記障害は内眼球炎、上鞏膜炎、網膜炎、虹彩炎、毛様体炎、脈絡膜炎、角膜炎、結膜炎及び眼瞼炎のような炎症性障害、眼の1つより多くの部分の炎症性障害、例えば、網脈絡膜炎、虹彩毛様体炎、虹彩毛様体脈
絡膜炎(葡萄膜炎としても知られる)、角結膜炎、結膜眼瞼炎など;糖尿病性網膜症を含む他の COX-2 が介在する網膜症;眼羞明;手術後損傷、例えば、白内障又は角膜移植手術に続くものを含む眼の任意の組織の急性損傷;手術後眼炎症;手術中萎縮;角膜移植後拒絶反応;損傷又は感染に続くそれを含む眼、例えば網膜、新血管新生;黄斑変性;嚢腫様斑点浮腫;後水晶体線維増殖症;新血管緑内障;及び眼痛を含むがこれに限定されない。
【0056】
そのような組成物はウィルス感染及び嚢胞性線維症と関連するような肺炎症、及び骨粗鬆症と関連するような骨再吸収の治療に有用である。
【0057】
そのような組成物はアルツハイマー病を含む皮質性痴呆症、神経変性、及び発作、虚血及び外傷によって生ずる中枢神経系損傷のようなある種の中枢神経系障害の治療に有用である。現在の条件における「治療」はアルツハイマー病、脈管性痴呆症、多発性梗塞痴呆症、前老期痴呆症、アルコール性痴呆症及び老年性痴呆症を含む痴呆症の部分的又は完全な阻止を含む。
【0058】
そのような組成物はアレルギー性鼻炎、呼吸困難症候群、内毒素ショック症候群及び肝臓病の治療に有用である。
【0059】
そのような組成物は痛みの治療に有用であり、前記痛みとは手術後疼痛、歯痛、筋肉痛、及び癌によって生ずる痛みを含むがこれに限定されない。例えば、そのような組成物はリウマチ熱、インフルエンザ及び通常の風邪、腰痛及び首痛を含むその他のウィルス感染、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、リウマチ様関節炎を含む関節炎、変形性関節症(骨関節炎)、通風及び強直性脊椎炎、粘液嚢炎、火傷、並びに外科及び歯科処置後外傷を含む種々の状態における痛み、発熱及び炎症の軽減に有用である。
【0060】
そのような組成物は炎症が関連する心臓血管障害の治療及び予防に有用であり、前記障害は血管病、冠状動脈病、動脈瘤、血管拒絶、動脈硬化症、心臓移植アテローム性動脈硬化症を含むアテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、塞栓症、発作、静脈血栓症を含む血栓症、不安定狭心症を含む狭心症、冠状動脈内プラーク炎症、クラミジア誘発炎症を含む細菌が誘発する炎症、ウィルスが誘発する炎症、及び冠状動脈バイパス手術を含む血管移植、血管形成術を含む血管再生処置、ステント配置、動脈内容除去術、又は動脈、静脈及び毛細血管に関連する他の侵襲処置のような外科的処置と関連する炎症を含む。
【0061】
そのような組成物は患者における脈管形成に関連する障害、例えば腫瘍脈管形成を阻止するための治療に有用である。そのような組成物は転移を含む新生物;角膜移植後拒絶反応、眼新血管新生、損傷又は感染後の新血管新生を含む網膜新血管新生、糖尿病性網膜症、黄斑変性, 後水晶体線維増殖症及び新血管緑内障のような眼科疾病;胃潰瘍のような潰瘍性疾患;乳児血管腫を含む血管腫、鼻咽喉の線維性血管腫及び骨の駆血性壊死のような病理的だが非悪性の状態;及び子宮内膜症のような女性生殖系の障害の治療に有用である。
【0062】
そのような組成物は結腸直腸癌、脳癌、骨癌、基底細胞癌のような上皮細胞に由来する新生組織形成(上皮癌)、腺癌、唇癌、口癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌のような胃腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、頸癌、肺癌、乳癌、偏平上皮細胞及び基底細胞癌のような皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌、及び体全体の上皮細胞に影響を与える他の既知の癌のような癌を含む良性及び悪性の腫瘍及び新生物の予防及び治療に有用である。本発明の組成物が特に有用であると考えられる新生物は胃腸癌、バレット食道癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、頸癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌である。そのような組成
物は又、放射線療法に伴って起こる線維症の治療に使用することもできる。そのような組成物は家族性腺腫症茸腫(FAP)の患者を含む腺腫症ポリープを有する患者の治療に使用することができる。その上、そのような組成物は FAP の危険のある患者におけるポリープの形成を予防するために使用することができる。
【0063】
そのような組成物は収縮性プロスタノイドの合成を阻害することによりプロスタノイドが誘発する平滑筋収縮を抑制しそしてそれにより月経困難症、未熟分娩、喘息及びエオシン好性白血球が関連する障害の治療に使用することができる。それらは又、特に月経閉止後の婦人における骨損失を減らすため(すなわち骨粗鬆症の治療)、及び緑内障の治療のために使用することができる。
【0064】
本発明の組成物の好ましい用途はリウマチ様関節炎及び骨関節炎の治療のため、一般に痛みの処理(特に口部手術後の痛み、一般的手術後の痛み、整形手術後の痛み、骨関節炎の急性突発)のため、頭痛及び片頭痛の予防及び治療のため、アルツハイマー病の治療のため、及び結腸癌の化学的予防のためである。
【0065】
本発明の組成物により発揮されることができる治療効果の速い発現の理由から、これらの組成物は急性の COX-2 が介在する障害の治療のため、特に痛み、例えば老年頭痛及び片頭痛を含む頭痛におけるそれの軽減のため選択的 COX-2 阻害性薬物の従来の経口的に送達可能な組成物を上回る特別な利点を有する。
【0066】
人間の治療に有用である外に、本発明の組成物は伴侶動物、外来動物、農場動物など、特に哺乳動物の獣医分野の治療に有用である。より特別には、ウマ、イヌ及びネコの COX-2 介在障害の治療に有用である。
【0067】
病気又は障害を予防し、軽減をもたらし、又は改善するための投薬治療方式は好ましくは1日1回又は1日2回の治療が妥当であるが、しかしながら種々の要因により変更することができる。これらは患者の部類、年齢、体重、性別、食餌及び医療の条件並びに障害の性質及び軽重の度合いを含む。従って、実際に使用する投薬治療方式は広範囲に変動することがありそしてそれゆえ上に示した好ましい投薬治療方式からはずれることがあり得る。
【0068】
当初の治療は上に示した用量治療方式で開始することができる。治療は一般に必要に応じて数週間ないし数カ月又は数年に亙り病気又は障害が調節され又は排除されるまで継続される。本発明の組成物による治療を受ける患者は通常この技術分野でよく知られた方法のいずれかにより療法の有効性を測定することにより日常的に監視を受けることができる。そのような監視からのデータの連続的な解析により最適に有効用量が任意の時点で投与され、そして治療の持続を決定することができるように療法の間の治療方式の修正を可能にする。このようにして、治療方式及び投薬日程は満足な有効性を発現する最少量の組成物が投与され、そして投与を病気又は障害を成功裏に治療するために必要な間のみ継続するように療法の進行の全体に亙って基本的に修正することができる。
【0069】
好ましくは、N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩、例えばナトリウム塩を約10mgないし約100mgのセレコキシブと同等の1日当たり投薬量として投与する。より好ましい1日当たり投薬量は約50mgないし約400mg、例えば約100mg又は200mgのセレコキシブと同等である。
【0070】
特に驚くべき発見として、図1に示すように、プロドラッグの経口投与は少なくとも直接遊離形体である同等量のセレコキシブ自体の経口投与を仮定した場合に匹敵する早期の
セレコキシブの血漿濃度のピークをもたらすほどN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩のセレコキシブへの生体内変換は迅速且つ完全である。
【0071】
本発明の治療方法は更に本発明の組成物のオピオイド及び他の鎮痛薬から選ばれる1つ又はより多くの薬物との組合わせ療法を含み、前記薬物は中でも麻酔性鎮痛薬、Mu 受容体拮抗薬、Kappa 受容体拮抗薬、非麻酔性(すなわち非耽溺性)鎮痛薬、モノアミン摂取抑制薬、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、サブスタンス P拮抗薬、ニューロ
キニン−1受容体拮抗薬、ナトリウムチャンネル遮断薬である。好ましい組合わせ療法は本発明の組成物の1つ又はより多くの化合物との共同使用から成り、この場合前記化合物はアセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、ε−アセトアミドカプロン酸(ε−acetoamidocaproic acid)、アセトアミノフェン(acetaminophen)、アセトアミノサロール(acetaminosalol)、アセトアニリド(acetanilide)、アセチルサリチルサリチル酸(acetylsalicylsalicylic acid)、S−アデノシルメチオニン(S-adenosylmethionine)、アルクロフェナク(alclofenac)、アルフェンタニル(alfentanil)、アリルプロジン(allylprodine)、アルミノプロフェン(alminoprofen)、アロキシプリン(aloxiprin)、アルファプロジン(alphaprodine)、アルミニウム ビス(アセチルサリチラート)(aluminiumu bis(acetylsalicylate))、アムフェナク(amfenac)、アミノクロルテノキサジン(aminochlorthenoxazin)、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸(3-amino-4-hydroxybutyric acid)、2−アミノ−4−ピコリン(2-amino-4-picoline)、アミノプロピロン(aminopropylon)、アミノピリン(aminopyrine)、アミキセトリン(amixetrine)、サリチル酸アンモニウム(ammonium salicylate)、アンピロキシカム(ampiroxicam)、アムトルメチン グアシル(amtolmetin guacil)、アニレリジン(anileridine)、アンチピリン(antipyrine)、サリチル酸アンチピリン(antypirine salicylate)、アントラフェニン(antrafenine)、アパゾン(apazone)、アスピリン(aspirin)、バルサラジド(balsalazide)、ベンダザク(bendazac)、ベノリレート(benorylate)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、ベンジダミン(benzydamine)、ベンジルモルヒネ(benzylmorphine)、ベルベリン(berberine)、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ベジトラミド(bezitramide)、α−ビサボロール(α−bisabolol)、ブロムフェナク(bromfenac)、p−ブロモアセトアニリド(p-bromoacetanilide)、5−ブロモサリチル酸 アセタート(5-bromosalicylic acid acetate)、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブセチン(bucetin)、ブクロキシン酸(bucloxic acid)、ブコロメ(bucolome)、ブフェキサマク(bufexamac)、ブマジゾン(bumadizon)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブタセチン(butacetin)、ブチブフェン(butibufen)、ブトルファノール(butorphanol)、アセチルサリチル酸カルシウム(calcium acetylsalicylate)、カルバマゼピン(carbamazepine)、カルビフェン(carbiphene)、カルプロフェン(carprofen)、カルサラム(carsalam)、クロロブタノール(chlorobutanol)、クロルテノキサジン(chlorthenoxazin)、サリチル酸コリン(choline salicylate)、シンコフェン(cinchophen)、シンメタシン(cinmetacin)、シラマドール(ciramadol)、クリダナック(clidanac)、クロメタシン(clometacin)、クロニタゼン(clonitazene)、クロニキシン(clonixin)、クロピラク(clopilac)、クローブ(clove)、コデイン(codeine)、コデイン メチル ブロミド(codeine methyl bromide)、リン酸コデイン(codeine phosphate)、硫酸コデイン(codeine sulfate)、クロプロパミド(cropropamide)、クロテタミド(crotethamide)、デソモルヒネ(desomorphine)、デキソキサドロール(dexoxadrol)、デキストロモラミド(dextromoramide)、デゾシン(dezocine)、ジアンプロミド(diampromide)、ジクロフェナク(diclofenac)、ジフェナミゾール(difenamizole)、ジフェンピラミド(difenpiramide)、ジフルニサル(diflunisal)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ジヒドロコデイノン エノール アセタート(dihydrocodeinone enol acetate)、ジヒドロモルヒネ(dihydromorphine)、ジヒドロキシアルミニウム アセチルサリチラート(dihydroxyaluminium acetylsalicylate)、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアムブテン(dimethyithiambutene)、ジオキサフェチル ブチラート(dioxaphetyl butyrate)、ジピパノン(dipipanone)、ジピロセチル(dipyrocetyl)、ジピロン(dipyrone)、ジタゾール(ditazol)、ドロキシカム(droxicam)、エモルファゾン(emorfazone)、エンフェナミン酸(enfenamic acid)、エピリゾール(epirizole)、エプタゾシン(eptazocine)、エタネルセプト(etanercept)、エテルサレート(etersalate)、エテンザミド(ethenzamide)、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エトキサゾン(ethoxazone)、エチルメチルチアムブテン(ethylmethylthiambutene)、エチルモルヒネ(ethylmorphine)、エトドラク(etodolac)、エトフェナメート(etofenamate)、エトニタゼン(etonitazene)、オイゲノール(eugenol)、フェルビナク(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンタニル(fentanyl)、フェンチアザク(fentiazac)、フェプラジノール(fepradinol)、フェプラゾン(feprazone)、フロクタフェニン(floctafenine)、フルフェナム酸(flufenamic acid)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルオレソン(fluoresone)、フルピルチン(flupirtine)、フルプロクアゾン(fluproquazone)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ホスホサル(fosfosal)、ゲンチシン酸(gentisic acid)、グラフェニン(glafenine)、グルカメタシン(glucametacin)、グリコール サリチラート(glycol salicylate)、グアイアズレン(guaiazulene)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルホン(hydromorphone)、ヒドロキシペチジン(hydroxypethidine)、イブフェナク(ibufenac)、イブプロフェン(ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、サリチル酸イミダゾール(imidazole salicylate)、インドメタシン(indomethacin)、インドプロフェン(indoprofen)、インフリキシマブ(infliximab)、インターロイキン−10(interleukin-10)、イソフェゾラク(isofezolac)、イソラドール(isoladol)、イソメタドン(isomethadone)、イソニキシン(isonixin)、イソキセパック(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトベミドン(ketobemidone)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラク(ketorolac)、p−ラクトフェネチド(p-lactophenetide)、レフェタミン(lefetamine)、レボルファノール(levorphanol)、レキシパファント(lexipafant)、ロフェンタニル(lofentanil)、ロナゾラク(lonazolac)、ロモキシカム(lomoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、アセチルサリチル酸リジン(lysine acetylsalicylate)、アセチルサリチル酸マグネシウム(magnesium acetylsalicylate)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefenamic acid)、メペリジン(meperidine)、メプタジノール(meptazinol)、メサラミン(mesalamine)、メタゾシン(metazocine)、メタドン(methadone)、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)、メチアジン酸(metiazinic acid)、メトホリン(metofoline)、メトポン(metopon)、モフェブタゾン(mofebutazone)、モフェゾラック(mofezolac)、モラゾン(morazone)、モルヒネ(morphine)、塩酸モルヒネ(morphine hydrochloride)、硫酸モルヒネ(morphine sulfate)、サリチル酸モルホリン(morphorine salicylate)、ミロフィン(myrophine)、ナブメトン(nabumetone)、ナルブフィン(nalbuphine)、サリチル酸 1−ナフチル(1-naphthyl salicylate)、ナプロキセン(naproxen)、ナルセイン(narceine)、ネホパム(nefopam)、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ニフェナゾン(nifenazone)、ニフルミン酸(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、5’−ニトロ−2’−プロポキシアセトアニリド(5'-nitro-2'-propoxyacetanilide)、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、ノルメタドン(normethadone)、ノルモルヒネ(normorphine)、ノルピパノン(norpipanone)、オルサラジン(olsalazine)、アヘン(opium)、オキサセプロール(oxaceprol)、オキサメタシン(oxametacine)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルホン(oxymorphone)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、パパベレタム(papaveretum)、パラニリン(paranyline)、パルサルミド(parsalmide)、ペンタゾシン(pentazocine)、ペリソキサル(perisoxal)、フェナセチン(phenacetin)、フェナドキソン(phenadoxone)、フェナゾシン(phenazocine)、塩酸フェナゾピリジン(phenazopyridine hydrochloride)、フェノコル(phenocoll)、フェノペリジン(phenoperidine)、フェノピラゾン(phenopyrazone)、アセチルサリチル酸フェニル(phenyl acetylsalicylate)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、サリチル酸フェニル(phenyl salicylate)、フェニルアミドール(phenylamidol)、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピミノジン(piminodine)、ピペブゾン(pipebuzone)、ピペリロン(piperylone)、ピラゾラク(pilazolac)、ピリトラミド(piritramide)、ピロキシカム(piroxicam)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プログルメタシン(proglumetacin)、プロヘプタジン(proheptazine)、プロメドール(promedol)、プロパセタモール(propacetamol)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、プロピフェナゾン(propyphenazone)、プロクアゾン(proquazone)、プロチジン酸(protizinic acid)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、レミフェンタニル(remifentanil)、リマゾリウム メチルスルファート(rimazolium metilsulfate)、サラセタミド(salacetamide)、サリシン(salicin)、サリチルアミド(salicylamide)、サリチルアミド o−酢酸(salicylamide o-acetic acid)、サリチル硫酸(salicylsulfuric acid)、サルサレート(salsalate)、サルベリン(salverine)、サリチル酸ナトリウム(sodium salicylate)、スフェンタニル(sufentanil)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スリンダク(sulindac)、超酸化物不均化酵素(superoxide dismutase)、スプロフェン(suprofen)、スクシブゾン(suxibuzone)、タルニフルマート(talniflumate)、テニダップ(tenidap)、テノキシカム(tenoxicam)、テロフェナメート(terofenamate)、テトランドリン(tetrandrine)、チアゾリノブタゾン(thiazolinobutazone)、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、チアラミド(tiaramide)、チリジン(tilidine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェナム酸(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、トラマドール(tramadol)、トロペシン(tropesin)、ビミノール(viminol)、キセンブシン(xenbucin)、クシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ジコノチド(ziconotide)及びゾメピラック(zomepirac)から選ばれる(The Merck Index, 13th Edition (2001), Therapeutic Category and Biological Activity Index の中の “Analgesic”,“Anti-inflammatory”及び“Antipyretic”の標題を付した表を参照せよ)。
【0072】
特に好ましい組合わせ療法は本発明の組成物のオピオイド化合物、より特定するとオピオイド化合物がコデイン、メペリジン、モルヒネ又はそれらの誘導体である場合のそれとの共同使用から成る。
【0073】
本発明の組成物との組合わせ療法に使用される薬物は非経口、経口、局所などを含む任意の経路で投与することができる。N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩及びそれと組み合わせて投与される薬物の両方が共に経口的に送達される場合、それらは本発明の組成物中で別々に処方するか又は共同製剤化することができる。N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩が第二の薬物、例えばオピオイド薬物と共同製剤化される場合、第二の薬物は即時遊離、迅速開始、徐放又は二重遊離形体で製剤化することができる。
【0074】
本発明の実施態様、特に COX-2 が介在する病気が頭痛又は片頭痛である場合は、本組成物は血管調整剤、好ましくは血管調整効果を有するキサンチン誘導体、より好ましくはアルキルキサンチン化合物との組合わせ療法により投与される。
【0075】
本明細書で提案するアルキルキサンチン化合物を組成物と共同投与する組合わせ療法はアルキルキサンチンが血管調整剤であるか又は否かそして組合わせの治療の有効性が血管
調整効果に何らかの程度で帰せられるか又は否かに拘わらず本発明の現在の実施態様に包含される。本明細書の用語「アルキルキサンチン」は1つ又はより多くのC1-4アルキル、好ましくはメチル置換基を有するキサンチン誘導体、及びそのようなキサンチン誘導体の医薬的に受容できる塩を含む。カフェイン、テオブロミン及びテオフィリンを含むジメチルキサンチン及びトリメチルキサンチンが特に好ましい。最も好ましくは、アルキルキサンチン化合物はカフェインである。
【0076】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド又はその塩の及び血管調整剤又はアルキルキサンチンの合計及び相対的投薬量は頭痛及び片頭痛と関連する痛みの軽減に治療上及び/又は予防上有効であるように選ばれる。適当な投薬量は選択した特定の血管調整要素又はアルキルキサンチンによるであろう。例えば、セレコキシブプロドラッグ及びカフェインの組合わせ療法の場合、代表的にはセレコキシブプロドラッグはセレコキシブの約50mgないし約400mg、好ましくは約100mgないし約200mgと同等の1日当たり投薬量、及びカフェインは約1mgないし約500mg、好ましくは約10mgないし約400mg、より好ましくは約20mgないし約300mgの1日当たり投薬量を投与可能であろう。
【0077】
組合わせ療法の血管調整剤又はアルキルキサンチン成分は任意の適当な経路、好ましくは経口的に任意の適当な投薬形体で投与することができる。血管調整剤又はアルキルキサンチンは場合によりN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドと共に1回分経口投薬形体に共同製剤化することができる。従って本発明の組成物は場合によりN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミド及びカフェインのような血管調整剤又はアルキルキサンチンの両方が合計及び相対的量において上に示した投薬量と一致するように構成される。別法としてN−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドは本明細書で提案した水性媒体への溶解に適当な乾燥組成物として提供することができ、そして血管調整剤又はアルキルキサンチンは水性媒体中に存在させることができる。例えば、茶、コーヒーのようなカフェイン含有飲料、又はカフェイン含有ソーダ又はスポーツ飲料を本発明の組成物の溶解のための媒体として使用することができる。
【0078】
〔実施例〕
次の実施例は本発明の態様を例証するためのものであって限定するためのものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0079】
4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−N−プロピオニルベンゼンスルホンアミドの製造
【化5】

セレコキシブ(4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド)(0.2mol,76.3g)、テトラヒドロフラン(300ml)、無水プロピオン酸(0.4mol,52.1g)、トリエチルアミン(0.22mol,22.3g)、及び4−ジメチルアミノピリジン(0.02mol,2.44g)を還流しながら4時間撹拌した。混合物を濃縮し、酢酸エチルに溶解しそして塩酸(1N)、塩水、及び水で連続して洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させそして高真空下で濃縮後、混合物をエタノールに溶解しそして4時間撹拌した。白色固体を濾過して集めた(79.1g,90.4%)。
融点 88.3−96.7℃。計算値 C20H18N3S03F3 : C, 54.91 ; H, 4.15 ; N, 9.61。実測値: C, 54.84 ; H, 4.23 ; N, 9.52。1H NMR (D6-アセトン): 11.6 (brs, 1H), 8.06 (d, 2H), 7.59 (d, 2H), 7.23 (s, 4H), 6.99 (s, 1H), 2.8(m, 2H), 0.98 (t, 3H)。
【実施例2】
【0080】
4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−N−プロピオニルベンゼンスルホンアミド、ナトリウム塩(化合物Z)の製造
【化6】

実施例1で製造した化合物(4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−N−プロピオニルベンゼンスルホンアミド)(0.18mol,78.7g)及びエタノール(300ml)を室温で撹拌しその際水酸化ナトリウム(0.4936N,0.18mol,364.5ml)を添加した。0.5時間後、混合物を濃縮し、水(脱イオン済み、300ml)を添加しそして混合物を再濃縮した。この過程を繰り返し、そして製造物、白色固体を70で2日間乾燥後得た(81.7g,98.8%)。
融点>300℃。計算値 C20H17N3SO3F3Na : C, 52.29 ; H, 3.73 ; N, 9.15。実測値: C, 52.17 ; H, 3.72 ; N, 9.22。
【実施例3】
【0081】
ビーグル犬におけるセレコキシブの血漿濃度を6匹の健康な雄成犬を使用する薬物動態学的研究において測定した。各個体はそれぞれ下記に詳述する3つの処理を受けた。処理(a)及び(b)は処理(c)より早い時間に、無作為化した順序で、但し同じ犬に対して投与した。処理は
(a)Celebrex(R) カプセルの形体のセレコキシブ1回経口200mg用量;
(b)新しく調製したリンゴジュース中の懸濁液の形体のセレコキシブ1回経口200mg用量;及び
(c)10mlの液量中、20mg/mlのセレコキシブと同等の24.1mg/mlの濃度の化合物Zの水溶液の1回経口用量であった。
各処理は10mlの水に続いて胃内挿管法によりボーラス用量として投与した。
【0082】
セレコキシブ血漿濃度は妥当性確認された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を使用して測定した。投薬後0ないし24時間のセレコキシブの平均血漿濃度を図1に示す。セレコキシブについての計算した血漿薬物動態学的パラメーターを表1に示す。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】イヌにおける薬動力学的研究のデータを示し、(a)市販用カプセルとして処方したセレコキシブ、(b)リンゴジュース中の懸濁液中のセレコキシブ、及び(c)水性溶液中のセレコキシブプロドラッグ化合物Zであって、すべてが200mgのセレコキシブと同等の量を経口投与に続いて0ないし24時間のセレコキシブの平均血漿濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式、
【化1】

の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
N−[[4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル]スルホニル]プロパンアミドのナトリウム塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
その単位用量の中において請求項1又は2の少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む医薬組成物であって、経口的に送達可能でありそして実質的に水を含まずそして経口投与前に上記少なくとも1つの化合物のセレコキシブへの分解を阻止する手段を有する上記組成物。
【請求項4】
治療上有効な量はセレコキシブの約10mgないし約1000mg、好ましくは約50mgないし約400mgと同等の量である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
分解を阻止する手段は組成物の水への露出を実質的に防止するための手段から成る請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
露出を防止する手段は密閉したそして実質的に水不浸透性の包装又は容器から成る請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
露出を防止する手段は実質的に水不浸透性の被覆から成る請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
分解を阻止する手段は少なくとも1つの化合物と緊密な接触状態にある場合そのような分解を促進する傾向がある如何なる賦形剤も実質的に含まない組成物の処方から成る請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの化合物のセレコキシブへの分解を促進する傾向がある賦形剤を含む請求項3に記載の組成物であって、分解を阻止する手段は賦形剤及び少なくとも1つの化合物の間に障壁層を有する組成物の処方から成る上記組成物。
【請求項10】
実質的に水を含まずそして請求項1又は2の少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む経口的に送達可能な医薬組成物の1回分単位用量をその中に含む実質的に水不浸透性の包装から成る製造物。
【請求項11】
組成物は粉末の形体でありそして包装は組成物をその中で溶解することができる水性媒体の添加のため開口する場合に適当な密閉した容器である請求項10に記載の物品。
【請求項12】
組成物は錠剤の形体でありそして包装は箔包装又はブリスターパックである請求項10に記載の製造物。
【請求項13】
患者における COX-2 が介在する状態の治療又は予防の方法であって、該患者に請求項1又は2の少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を投与することから成る上記方法。
【請求項14】
(a)実質的に水を含まずそして請求項1又は2の少なくとも1つの化合物の全量で治療上有効な量を含む医薬組成物の少なくとも1つの単位用量を、医薬的に許容される水性媒体に溶解して溶液を作り、そして(b)該溶液を不溶性物質の実質的な沈殿が溶液中に生ずる前に患者に経口的に投与することから成る、患者における COX-2 が介在する病気を治療又は予防する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−508123(P2006−508123A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551736(P2004−551736)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/035222
【国際公開番号】WO2004/043934
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】