説明

セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤としてのN−ピロリジン−3−イル−アミド誘導体

式(I)の化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体[式中、Rは、H、C1〜6アルキル、−C(A)D、C3〜8シクロアルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、ここで、前記シクロアルキル、アリールまたはhet基は、置換されていてもよく、Aは、SまたはOであり、Dは、H、C1〜6アルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、アリールは、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、hetは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含み、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む第2の4員、5員または6員の複素環に縮合していてもよい4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環を表し、Rは、それぞれ置換されていてもよいアリールまたはhetであり、nは1または2であるが、ただし、nが1である場合、mは0または1であり、nが2である場合、mは0であり、ここで、mが0である場合には、*はキラル中心を表し、Rは、(CHEであり、ここで、aは0、1または2であり、Eは、式(i)(ここで、Xは、O、S、NR12、(CHまたは結合であり、bは、1、2、3または4であり、cは、1、2または3であり、vは、1または2であり、R10および11はそれぞれ独立に、HまたはC1〜4アルキルであり、R12は、H、アルキル、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルであり、ここで、隣接する炭素または窒素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、式(ii)6から12個の炭素原子を含む炭素環式スピロ基、式(iii)(ここで、dは、1、2、3または4であり、aは、1、2または3であり、fは、1または2であり、R30は、HまたはC14アルキルであり、ここで、隣接する炭素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、式(iv)(ここで、gは、0、1、2または3であり、Jは、NR40であり、R40は、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルである)、式(v)(ここで、hは、0、1、2または3であり、R50は、H、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルである)、式(vi)−CH(シクロプロパン)、式(vii)少なくとも1個の置換基により置換されているC1〜6アルキル、ならびに(viii)C3〜8シクロアルキル−C1〜6アルキル(ここで、C1〜6アルキル部分は、C3〜8シクロアルキル部分との結合位置以外の任意の結合位置で、少なくとも1個の置換基により置換されている)から選択される基である]。本化合物は、セロトニンおよび/またはノルアドレナリンの両方の再取り込み阻害剤としての活性を示すので、様々な治療分野、例えば尿失禁において実用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン再取り込みを阻害する新規のアミド化合物、それを調製する方法、それを含む医薬組成物および医薬品におけるその使用に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の化合物は、セロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取り込み阻害剤としての活性を示すので、様々な治療分野において有用性を有する。例えば、本発明の化合物は、モノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害、詳細には、セロトニンまたはノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関係する障害を治療する際に使用することができる。さらに、本発明の化合物は、セロトニンとノルアドレナリンの両方の阻害が関係する尿失禁などの障害において使用することができる。加えて、本発明の化合物は、ノルアドレナリンまたはセロトニンのうちの一方の再取り込みを他方に比較して優先的に阻害することが望ましい疼痛などの障害において使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体を提供する:
【0004】
【化1】

[式中、
は、H、C1〜6アルキル、−C(A)D、C3〜8シクロアルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、ここで、前記シクロアルキル、アリールまたはhet基は、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCHF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよく、
Aは、SまたはOであり、
Dは、H、C1〜6アルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、
アリールは、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
hetは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環を表し、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む第2の4員、5員または6員の複素環に縮合していてもよく、 Rは、Bから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいアリールまたはhetであり、
Bは、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、het、Oアリール、Ohet、SC1〜6アルキル、Sアリール、Shet、OH、ハロ、CF、CHF、OCHF、OCF、SCF、CFCF、CHCF、CFCH、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ、C3〜6シクロアルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、OC3〜6シクロアルキル、SC3〜6シクロアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキル、アリール−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルを表し、ここで、前記アリールおよびhet基は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
hetは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む5員または6員の芳香族複素環であり、アリール基に縮合していてもよく、
それぞれ存在する毎に、アリールは独立に、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
それぞれ存在する毎に、hetは独立に、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環を表し、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の第2の複素環に縮合していてもよく、 nは、1または2であるが、ただし、nが1である場合、mは0または1であり、nが2である場合、mは0であり、ここで、mが0である場合には、*はキラル中心を表し、
は、(CHEであり、ここで、aは0、1または2であり、Eは、
【0005】
(i)
【化2】

(ここで、
Xは、O、S、NR12、(CHまたは結合であり、
bは、1、2、3または4であり、
cは、1、2または3であり、
vは、1または2であり、
10およびR11はそれぞれ独立に、HまたはC1〜4アルキルであり、
12は、H、C1〜6アルキル、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルであり、
ここで、隣接する炭素または窒素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
(ii)6から12個の炭素原子を含む炭素環式スピロ基、
【0006】
(iii)
【化3】

(ここで、
dは、1、2、3または4であり、
eは、1、2または3であり、
fは、1または2であり、
30は、HまたはC1〜4アルキルであり、
ここで、隣接する炭素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
【0007】
(iv)
【化4】

(ここで、
gは、0、1、2または3であり、
Jは、NR40であり、
40は、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルである)、
【0008】
(v)
【化5】

(ここで、
hは、0、1、2または3であり、
50は、H、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルである)、
(vi)−CH(シクロプロパン)
(vii)C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されているC1〜6アルキル、ならびに
(viii)C3〜8シクロアルキル−C1〜6アルキル(ここで、C1〜6アルキル部分は、C3〜8シクロアルキル部分との結合位置以外の任意の結合位置で、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されており、C3〜8シクロアルキル部分は、C1〜8アルキル、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい)
から選択される基である]。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態では、RがHである。
【0010】
本発明の他の実施形態では、mが0である。mが0である場合、*がRまたはS鏡像異性配置を表す。したがって、他の実施形態では、mが0であり、*がS鏡像異性体を表す。さらに他の実施形態では、nが1である。
【0011】
さらに他の実施形態では、アリールが、フェニルおよびナフチルを表し、さらに好ましくは、アリールはフェニルを表す。さらに他の実施形態では、アリールがフェニルを表す。
【0012】
他の実施形態では、hetが、Bから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよいピリジニルまたはキノリニルを表し、好ましくはhetがピリジニルを表す。
【0013】
さらに他の実施形態では、Rが、Bから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよいアリールである。
【0014】
他の実施形態では、Bが、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、Oアリール、SC1〜6アルキル、Sアリール、C3〜6シクロアルキル、ハロ、CF、OCF、OCHF、CFCH、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキルオキシおよびアリール−C1〜4アルキルを表し、ここで、アリール基は独立に、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、好ましくはアリール基は独立に、ハロから選択される少なくとも1個の基により置換されていてもよく、好ましくはハロは、クロロおよびフルオロを表し、さらに好ましくはハロは、フルオロを表す。
【0015】
他の実施形態では、Bが、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、Oアリール、SC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、ハロ、CF、OCFを表し、ここで、アリール基は独立に、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、好ましくはアリール基は独立に、ハロから選択される少なくとも1個の基により置換されていてもよく、好ましくはC1〜8アルキルまたはC1〜8アルキルオキシ基は、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキルオキシを表し、さらに好ましくは、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルキルオキシを表し、さらにいっそう好ましくは、C1〜2アルキルまたはC1〜2アルキルオキシを表し、好ましくは、ハロはクロロおよびフルオロを表し、さらに好ましくは、ハロは、フルオロを表す。
【0016】
他の実施形態では、Bが、C1〜8アルコキシ、Oアリール、SC1〜6アルキル、ハロ、CFを表し、ここで、アリール基は独立に、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよく、好ましくはアリール基は独立に、ハロから選択される少なくとも1個の基により置換されていてもよく、好ましくはC1〜8アルキルオキシは、C1〜6アルキルオキシを表し、さらに好ましくは、C1〜4アルキルオキシを表し、さらにいっそう好ましくは、C1〜2アルキルオキシを表し、好ましくは、C1〜6アルキルは、C1〜4アルキルを表し、さらに好ましくは、C1〜2アルキルを表し、好ましくは、ハロは、クロロおよびフルオロを表し、さらに好ましくは、ハロは、フルオロを表す。
【0017】
他の実施形態では、Bが、C1〜8アルコキシ、Oアリール、ハロ、CFを表し、ここで、アリール基は独立に、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、好ましくはアリール基は独立に、ハロから選択される少なくとも1個の基により置換されていてもよく、好ましくはC1〜8アルキルオキシは、C1〜6アルキルオキシを表し、さらに好ましくは、C1〜4アルキルオキシを表し、さらにいっそう好ましくは、C1〜2アルキルオキシを表し、好ましくは、C1〜6アルキルは、C1〜4アルキルを表し、さらに好ましくは、C1〜2アルキルを表し、好ましくは、ハロは、クロロおよびフルオロを表し、さらに好ましくは、ハロは、フルオロを表す。
【0018】
さらに他の実施形態では、アリールおよびhetは独立に、1、2または3個の前記で定義された置換基により置換されている。さらに特には、アリールおよびhetは、1または2個の前記で定義された置換基により置換されている。
【0019】
さらに他の実施形態では、アリールおよびhetは独立に、前記で定義された1、2または3個の置換基により置換されている。さらに特には、アリールおよびhetは、1または2個の前記で定義された置換基により置換されている。
【0020】
他の実施形態では、Eが、前記(i)、(ii)、(vi)および(vii)から選択され、好ましくは、Eが、前記(i)および(vii)から選択される。さらに他の実施形態では、aが、0または1を表し、好ましくは、aが、0を表す。他の実施形態では、bが、2または3を表す。さらに他の実施形態では、cが、2を表す。さらに他の実施形態では、Xが、(CHまたは結合を表す。さらに他の実施形態では、vが、1を表す。他の実施形態では、R10が、Hを表す。さらに他の実施形態では、R11が、Hを表す。
【0021】
他の実施形態では、(vii)が、C1〜6アルキルオキシ、ハロおよびCFから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されているC1〜6アルキルを表し、好ましくはC1〜6アルキルオキシが、メトキシであり、好ましくは、ハロが、クロロまたはフルオロから選択され、さらに好ましくは、ハロがフルオロである。他の実施形態では、(vii)は、C1〜6アルキルオキシ、ハロおよびCFから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されているC1〜3アルキルを表し、好ましくはC1〜6アルキルオキシが、メトキシであり、好ましくは、ハロが、クロロまたはフルオロから選択され、さらに好ましくは、ハロがフルオロである。
【0022】
別の一実施形態では、式I’の化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体を提供する:
【0023】
【化6】

[式中、
は、H、C1〜6アルキル、−C(A)D、C3〜8シクロアルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、ここで、前記シクロアルキル、アリールまたはhet基は、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCHF、OCF3、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよく、
は、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、het、Oアリール、Ohet、Sアリール、Shet、OH、ハロ、CF、CHF、OCHF、OCF、SCF、CFCF、CHCF、CFCH、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ、C3〜6シクロアルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、OC3〜6シクロアルキル、SC3〜6シクロアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールおよびhet基は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、
Aは、SまたはOであり、
Dは、H、C1〜6アルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、
nは、1または2であるが、ただし、nが1である場合、mは0または1であり、nが2である場合、mは0であり、ここで、mが0である場合には、*はキラル中心を表し、
は、(CHEであり、ここで、aは0、1または2であり、Eは、
【0024】
(i)
【化7】

(ここで、
Xは、O、S、NR12、(CHまたは結合であり、
aは、1、2、3または4であり、
bは、1、2または3であり、
vは、1または2であり、
10およびR11はそれぞれ独立に、HまたはC1〜4アルキルであり、
12は、H、C1〜6アルキル、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルであり、
ここで、隣接する炭素または窒素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
(ii)6から12個の炭素原子を含む炭素環式スピロ基、
【0025】
(iii)
【化8】

(ここで、
aは、1、2、3または4であり、
bは、1、2または3であり、
cは、1または2であり、
30は、HまたはC1〜4アルキルであり、
ここで、隣接する炭素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
【0026】
(iv)
【化9】

(ここで、
dは、0、1、2または3であり、
Jは、SO、SOまたはNR40であり、
40は、H、C1〜6アルキル、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルであり、
ここで、隣接する炭素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
【0027】
(v)
【化10】

(ここで、
eは、0、1、2または3であり、
50は、H、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルである)、
(vi)−CH(シクロプロパン)
(vii)C1〜6アルキルまたはC3〜8シクロアルキル−C1〜6アルキル(ここで、前記C1〜6アルキル部分は、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されており、前記シクロアルキル基は、C1〜8アルキル、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい)
から選択される基であり、
アリールおよびアリールはそれぞれ独立に、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルであり、
ヘテロアリールは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含み、アリール基に縮合していてもよい5員または6員の芳香族複素環であり、
hetおよびhetはそれぞれ独立に、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環であり、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む第2の4員、5員または6員の複素環に縮合していてもよい]。
【0028】
本発明の一実施形態では、Rが、Hであり、R、Rおよびmは、前記と同様に定義される。
【0029】
本発明の他の実施形態では、mが0であり、R、RおよびRが、前記と同様に定義される。mが0である場合、*は、RまたはS鏡像異性配置を表す。したがって、他の実施形態では、mが0であり、R、RおよびRが、前記と同様に定義され、*がS鏡像異性体を表す。
【0030】
さらに他の実施形態では、R、Rおよびmは、前記と同様に定義され、Rは、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、het、Oアリール、Ohet、Sアリール、Shet、OH、ハロ、CF、CHF、OCHF、OCF、SCF、CFCF、CHCF、CFCH、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6シクロアルキル、C1〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル、OC1〜6シクロアルキル、SC3〜6シクロアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはキノリニルであり、ここで、アリールおよびhet基は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。
【0031】
他の実施形態では、Rが、前記で定義された少なくとも1個の置換基により置換されている。
【0032】
さらに他の実施形態では、置換基を、ハロ、OH、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシおよびCFから選択することができる。場合によって、フェニル、ナフチルまたはキノリニル基は、ハロ、OHおよびC1〜4アルキルからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基により置換されていてもよい。他の実施形態では、Rがフェニルであり、クロロ、フルオロ、OHおよびC1〜4アルキルから選択される2個の置換基により置換されている。さらに他の実施形態では、Rは、ジクロロフェニルである。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態では、式IIの化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体を提供する:
【0034】
【化11】

[式中、
は、前記と同様に定義され、
は、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、フェノキシ、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキル、SC1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはキノリニルであり、
mは、0または1であり、ここで、mが0である場合、*は、RまたはS鏡像異性体を表す]。
【0035】
他の実施形態では、Rは、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、フェノキシ、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキル、S−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルである。好ましくは、Rは、フェニルである。置換基は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、OH、フェノキシ、S−C1〜4アルキルおよびCFから選択することもできる。Rは、1、2または3個の置換基により置換されていてもよい。好ましくは、Rは、1または2個の置換基により置換されている。他の実施形態では、ハロは、クロロまたはフルオロを表す。
【0036】
さらに他の実施形態では、mが0であり、このような実施形態では、*が、RまたはS鏡像異性体を表す。他の実施形態では、mが0であり、*がS鏡像異性体を表す。
【0037】
さらに他の実施形態では、式IIIの化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体を提供する:
【0038】
【化12】

[式中、
は、前記と同様に定義され、
は、ハロ、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ、SC1〜6アルキルおよびCFから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはキノリニルであり、
*は、RまたはS鏡像異性体を表す]。
【0039】
他の実施形態では、Rは、ハロ、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ、S−C1〜4アルキル、OアリールおよびCFから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよいフェニルである。置換基は、クロロ、フルオロ、C1〜4アルキル、OMe、CF、S−C1〜4アルキル、OアリールおよびOHから選択することもできる。フェニル基は、1、2または3個の置換基により、特に1または2個の置換基により置換されていてもよい。
【0040】
他の実施形態では、Rは、ハロ、OH、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ、S−C1〜4アルキル、OアリールおよびCFから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよいナフチルである。置換基は、クロロ、フルオロ、C1〜4アルキル、OMe、CF、S−C1〜4アルキル、OアリールおよびOHから選択することもできる。フェニル基は、1、2または3個の置換基により、特に1または2個の置換基により置換されていてよい。
【0041】
さらに他の実施形態では、*は、S鏡像異性体を表す。
【0042】
他の実施形態では、本発明は:
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−4−クロロ−2−メトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−クロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−[(1R,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−(ジシクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロプロピル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2−メトキシエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
3,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド、
2−(エチルチオ)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
から選択される化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体を提供する。
【0043】
本発明の前記実施形態を、1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせて、2つまたはそれ以上の置換基および変数が、さらに明確に組合されて定義される他の実施形態を得ることもできる。例えば、置換基および変数R、R、R、R、R、mおよびnが全て、前記さらに具体的な実施形態でそれらに当てられているさらに限定された定義を有する他の実施形態は、本発明の範囲内である。上記で記載および定義されたさらに具体的な実施形態のこのような組合せは全て、本発明の範囲内である。
【0044】
薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体とは、式(I)、(II)または(III)の化合物の任意の薬学的または獣医学的に許容できる塩、溶媒和物、エステルもしくはアミドまたはこのようなエステルもしくはアミドの塩もしくは溶媒和物、錯体、多形体、立体異性体、幾何異性体、互変異性形態または同位体変体を意味するか、または受容者に投与されると、式(I)、(II)または(III)の化合物を(直接または間接に)もたらしうる任意の他の化合物またはその活性な代謝産物もしくは残基を意味する。好ましくは、薬学的に許容できる誘導体は、式(I)、(II)または(III)の化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびアミドである。さらに好ましくは、薬学的に許容できる誘導体は、塩および溶媒和物である。
【0045】
薬学的または獣医学的使用では、前記で言及されている塩は、薬学的または獣医学的に許容できる塩であるが、例えば式(I)、(II)または(III)の化合物ならびにその薬学的または獣医学的に許容できる塩を調製する際に、他の塩を使用することもできる。
【0046】
前記薬学的または獣医学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基塩が含まれる。
【0047】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成させる。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、d−ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、半クエン酸塩、エジシル酸塩、半エジシル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩(gluceptate)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、パモ酸塩、リン酸/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩およびトシル酸塩が含まれる。
【0048】
適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成させる。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が含まれる。
【0049】
適切な塩に関する概説に関しては、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH,Weinheim,Germany,2002年)参照。
【0050】
式(I)、(II)または(III)の化合物の薬学的に許容できる塩は、本化合物ならびに所望の酸または塩基の溶液を適切に一緒に混合することにより容易に調製することができる。塩を溶液から沈殿させて、濾過により集めるか、溶媒を蒸発させることにより、回収することができる。塩における電離度は、完全な電離から、ほぼ非電離まで変動してよい。
【0051】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、式(I)、(II)または(III)の化合物の水和物および溶媒和物が含まれる。
【0052】
前記溶媒和物とは異なり、薬物およびホストが、化学量論量または非化学量論量で存在する包接化合物、薬物−ホスト包接複合体などの複合体も、本発明の範囲内である。さらに、化学量論量でも非化学量論量でもよい2種またはそれ以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も、本発明に含まれる。生じる複合体は、電離していてもよいし、部分的に電離していてもよいし、非電離でもよい。このような複合体に関する概説に関しては、HaleblianによるJ Pharm Sci,64(8)、1269〜1288ページ(1975年8月)参照。
【0053】
式(I)、(II)または(III)の化合物は、化合物中の官能基のいずれかにおいて、修飾してその薬学的または獣医学的に許容できる誘導体を得ることもできる。このような誘導体の例は、Drugs of Today,Volume 19,Number 9,1983年、499〜538ページ;Topics in Chemistry,Chapter 31、306〜316ページ;およびH.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」、Elsevier,1985年、Chapter1に記載されており(これらの文献中の開示は、参照により本願明細書に援用される)、エステル、炭酸エステル、半エステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、スルホンアミド、カルバメート、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールが含まれる。
【0054】
さらに、例えばH.Bundgaardにより「Design of Prodrugs」(前出)に記載されているような、プロ部分として当分野で知られている一定の部分を、適切な官能基に、本発明の化合物内にそのような官能基が存在している場合には、置くこともできることは、当業者であれば認めるであろう。
【0055】
式(I)、(II)または(III)の化合物は、RからRの一定の意味(例えばs−ブチル)または整数mの値により定義される不斉炭素原子により、1個または複数のキラル中心を有しうる。このような化合物には、いくつかの立体異性形態(例えば、光学異性体または鏡像異性体の対の形態で)が存在する。本発明は、幾何、互変異性および光学形態ならびにこれらの混合物(例えば鏡像異性体混合物またはラセミ混合物)全てを含む本発明の化合物の異性体全てを包含することを理解されたい。
【0056】
本発明の化合物は、1種または複数の互変異性形態で存在しうる。互変異性体およびその混合物は全て、本発明の範囲に含まれる。例えば、2−ヒドロキシピリジニルに対する要求は、その互変異性形態α−ピリドニルをもカバーしている。
【0057】
本発明は、式(I)、(II)または(III)の放射線標識化合物を含むことを、理解されたい。
【0058】
式(I)、(II)または(III)の化合物ならびにその薬学的および獣医学的に許容できる誘導体はさらに、1種を上回る結晶形態、多形体として知られている特性でも存在しうる。このような多形形態(「多形体」)は全て、本発明の範囲内に包含される。多形性は通常、温度もしくは圧力またはその両方の変化に応答して生じ、結晶化プロセスの変化によっても生じうる。多形体は、様々な物理的特性により識別することができ、典型的には、化合物のX線回折パターン、可溶性挙動および融点が、多形体を識別するために使用される。
【0059】
他に記載のない限り、アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってよく、1から8個の炭素原子、例えば1から6個の炭素原子または1から4個の炭素原子を有し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチルまたはtert−ブチル基である。アルキル基が1個を上回る炭素原子を含む場合、これは、不飽和であり得る。したがって、C1〜6アルキルとの用語には、C2〜6アルケニルおよびC2〜6アルキニルが含まれる。同様にC1〜8アルキルとの用語には、C2〜8アルケニルおよびC2〜8アルキニルが含まれ、C1〜4アルキルとの用語には、C2〜4アルケニルおよびC2〜4アルキニルが含まれる。
【0060】
ハロゲンとの用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表すために使用される。
【0061】
他に記載のない限り、hetとの用語は、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含む任意の4員、5員または6員の芳香族、飽和または不飽和複素環を含む。このような複素環基の例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリノ、ジチアニル、チオモルホリノ、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、スルホラニル、テトラゾリル、トリアジニル、アゼピニル、オキサザピニル、チアゼピニル、ジアゼピニルおよびチアゾリニルが含まれる。加えて、複素環との用語には、縮合複素環基、例えば、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、オキサゾロピリジニル、ベンゾフラニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキナジニル、ベンゾチアゾリル、フタルイミド、ベンゾジアゼピニル、インドリルおよびイソインドリルが含まれる。het、ヘテロシクリルおよび複素環式との用語は、同様に解釈されるべきである。
【0062】
疑問のないように、他に記載のない限り、置換との用語は、1個または複数の規定の基で置換されていることを意味する。基を、いくつかの選択可能な基から選択することができる場合、選択される基は、同じでも、異なってもよい。さらに、独立に、との用語は、1個を上回る置換基をいくつかの可能な置換基から選択する場合に、これらの置換基が同じでも異なってもよいことを意味している。
【0063】
下記では、式(I)、(II)または(III)の化合物ならびにその薬学的および獣医学的に許容できる誘導体、前記放射線標識類似体、前記異性体および前記多形体が、「本発明の化合物」と称される。
【0064】
本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、式(I)、(II)または(III)の化合物の薬学的または獣医学的に許容できる塩または溶媒和物(例えば式(I)、(II)または(III)の化合物の薬学的または獣医学的に許容できる塩)などの、式(I)、(II)または(III)の化合物の薬学的および獣医学的に許容できる誘導体である。
【0065】
本発明のさらに他の実施形態では、500nM以下、好ましくは200nM以下のSRIまたはNRI Ki値を有するセロトニンおよび/またはノルアドレナリンモノアミン再取り込みの阻害剤である本発明の化合物を提供する。他の実施形態では、化合物は、100nM以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。さらに他の実施形態では、化合物は、50nM以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。さらに他の実施形態では、化合物は、25nM以下のSRIおよび/またはNRI Ki値を有する。
【0066】
理論に結びつけられることは望まないが、本発明の化合物が必要な一定の疾患または状態では、化合物が、セロトニンまたはノルアドレナリンのうちの一方に対して、他方に対してよりも強力な再取り込み阻害剤であることが有用であると、考えられる。したがって、本発明の一実施形態では、ノルアドレナリンの再取り込みは、セロトニンの再取り込みよりも高い度合いで阻害される。他の実施形態では、セロトニンの再取り込みは、ノルアドレナリンの再取り込みよりも高い度合いで阻害される。例えば、疼痛の治療では、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する本発明の化合物が良好な効力を有すると考えられる。したがって、本発明の一実施形態は、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害しうる本発明による化合物を治療的有効量で、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、疼痛を治療する方法を提供する。この実施形態では、本発明の化合物は、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害しうるか、セロトニン再取り込みの阻害に対して優先的にノルアドレナリンの再取り込みを阻害しうるか、ノルアドレナリン再取り込みの阻害に対して優先的にセロトニンの再取り込みを阻害しうる。本発明の他の実施形態では、セロトニン再取り込み阻害剤よりも強力なノルアドレナリン再取り込み阻害剤である化合物を提供する。したがって、本発明のこのような実施形態は、セロトニンの再取り込みよりも高い度合いで、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害しうる本発明による化合物を治療的有効量で、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、疼痛を治療する方法を提供する。
【0067】
スキーム1では、式(V)の化合物を、式(VI)の化合物から、アルデヒドR3’CHOまたは適切なケトンと反応させ、続いて、酸もしくは酸塩化物RCOX(ここでXはOHまたはハロである)または酸無水物と反応させ、場合により、さらに続けて脱保護することにより調製することができる。
【0068】
【化13】

【0069】
前記スキームでは、Rおよびmは、前記と同様に定義され、PGは、保護基であり、−CH3’部分は、aが1である場合のRの定義を満たし、R3’は、Eである。
【0070】
(a)還元的アミノ化
2°アミン(VII)を形成するための1°アミン(VI)とアルデヒドとの反応は、還元的アミノ化反応であり、この際、アミンおよびアルデヒドの脱水の後に、金属水素化物試薬による形成イミンの還元または水素化を適切な溶媒中、室温で続ける。
【0071】
この反応では、等量のアミンおよびアルデヒドを通常は、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(STAB)、NaCN(BH)またはNaBHで適切な溶媒(例えばDCM、THF)中、室温で1から24時間処理する。あるいは、アミンおよびアルデヒドを1〜18時間混合した後に、適切な溶媒(例えばTHF、MeOH、EtOH)中の過剰な還元剤(例えばNaBH、LiAlH、STAB)を、場合によって乾燥剤(例えば分子篩い)の存在下に、または適切な溶媒(例えばトルエン、キシレン)を用いるDean−Stark装置を使用して水を除去しながら加える。他の選択肢は、パラジウムまたはニッケル触媒(例えばPd/C、ラネー(登録商標)Ni)の存在下、H雰囲気下、場合によって高い温度および圧力、適切な溶媒(例えばEtOH)中での触媒による水素化を伴う。
【0072】
還元的アミノ化のさらに具体的な例は、10%Pd/Cの存在下、場合によってトリエチルアミンの存在下、エタノール中、水素約415kPa(約60psi)下、室温で18時間か、過剰のホウ水素化ナトリウムの存在下にメタノール中、室温で6時間、アルデヒドをアミンで処理することを伴う。
【0073】
(b)アミド形成
酸、酸ハロゲン化物または他の適切なカルボニル含有基とアミン(VII)とのペプチド結合の形成は、
(i)適切な溶媒中で、過剰な酸受容体と共に、酸ハロゲン化物(または酸もしくは無水物)およびアミン(VII)、または
(ii)適切な溶媒中で、過剰な酸受容体と共に、場合によって触媒の存在下に、場合によって慣用の結合剤と共に酸およびアミン(VII)
を使用することにより行うことができる。このような反応の例は、以下である:
(i)酸塩化物(場合によってその場で形成)を過剰のアミン(VII)と、場合によって過剰のEtNなどの3°アミン、Huenig塩基またはNMMと共に、DCMまたはジオキサン中、場合によって高温で1から24時間反応させるか;
(ii)酸、WSCDI/DCCI/TBTUおよびHOBT/HOATを過剰のアミン(VII)および過剰のNMM、EtN、Huenig塩基と、THF、DCMまたはEtOAc中、室温で4から48時間反応させるか;
(iii)酸およびPYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/ムカイヤマ試薬を過剰のアミン(VII)および過剰のNMM、EtN、Huenig塩基と、THF、DCMまたはEtOAc中、室温で4から24時間反応させる。
【0074】
酸ハロゲン化物が酸塩化物(すなわちX=Cl)である場合、これを、標準的な方法によりその場で形成させ、次いでトリエチルアミンの存在下、ジクロロメタン中、70℃で90分間アミン(VII)と反応させる。
【0075】
(c)脱保護
PGが適切なアミン保護基、好ましくはBOC、トリフルオロアセテート、ベンジルオキシカルボニルまたはベンジルである場合、非保護アミン(V)を形成するための(VIII)からのPGの除去は、参照により本願明細書に援用されるTW GreeneおよびPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、3版(John Wiley and Sons,Inc、1999年)に記載されている保護基に対して選択的な方法により行う。
【0076】
このような脱保護反応の例は、以下である:
PGがBOCである場合、脱保護は、室温で、適切な溶媒中(例えばDCM、EtOAc、ジオキサン)で、(VIII)を過剰の強酸(例えばHCl、TFA)で処理することを伴う。
【0077】
PGがトリフルオロアセテートである場合には、脱保護は、アルコール溶媒(例えばMeOH、EtOH)中、場合によって水と共に、場合によって高温で、(VIII)を塩基(例えばKCO、NaCO、NH、Ba(OH))で処理することを伴う。
【0078】
PGがBnまたはBzである場合、脱保護は、水素ドナー(例えばNHHCO)の存在下、極性溶媒(例えばテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール)中、場合によって高い温度および/または圧力での遷移金属または遷移金属塩水素化触媒(例えばPd/C、Pd(OH)での水素移動か、パラジウムまたはニッケル触媒(例えばPd/C、ラネー(登録商標)Ni)の存在下、H雰囲気下、場合によって高い温度および圧力、適切な溶媒中での接触水素化を伴う。
【0079】
さらに具体的には:
PGがBOCである場合、脱保護は、ジオキサン中、室温、18時間、過剰の4Mの塩酸で、またはDCM中、室温で4.5時間、TFAで処理することを伴う。PGがトリフルオロアセテートである場合、脱保護は、メタノール:水混合物(5:1から10:1)中、室温で18時間、KCOで処理することを伴う。
【0080】
PGがBnまたはBzである場合、脱保護は、エタノール中、穏やかな環流下に、6から20時間、NHHCOおよび10%のPd/Cで処理することを伴う。
【0081】
第1級アミン化合物(VI)から第2級アミン化合物(VII)を調製するための別の方法を、下記のスキーム1aおよび1bに記載する。
【0082】
スキーム1aおよび1bでは、mの値は、0として示されており、nの値は、1である。しかしながら、mが1であるか、nが2である対応する試薬を、次のスキームで使用して、適切な目的化合物を調製することもできることは、当業者であればすぐに分かるであろう。
【0083】
【化14】

【0084】
スキーム1aでは、式VIIの化合物を、式VIの化合物から、塩化スルホニルと反応させ、続いて、生じたスルホニルアミドをアルキル化し、次いで、スルホニル部分を除去することにより調製することができる。
【0085】
(aa)スルホニルアミドの調製。適切な溶媒(DCM、THFまたはトルエンなど)中、有機塩基(ピリジンまたは2,6−ルチジンなど)または無機塩基(炭酸塩など)の存在下に、等量の第1級アミン(VI)および塩化2,4−ジニトロベンゼンスルホニルなどの塩化スルホニルを24時間まで反応させると、スルホニルアミド(XAA)が得られる。
【0086】
(bb)スルホニルアミドXAAのアルキル化。活性化アルキル化剤XBB(ここで、Xはハロゲン(例えばヨード、ブロモまたはクロロ)またはスルホニルエステル(メタンスルホネートなど)の脱離基である)を有機または無機塩基の存在下に、適切な溶媒(DMFまたはTHFなど)中で使用して、式XAAのスルホニルアミドをアルキル化する。あるいは、THFなどの適切な溶媒中、−20℃から45℃の温度で、24時間まで、アルコールXBB(ここでXはOHである)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなど)およびアゾジカルボキシレート化合物(DIADなど)を使用して、式XAAのスルホニルアミドのアルキル化を達成することができる。
【0087】
(cc)スルホニル基の除去。適切な溶媒(DCM、THFまたは低級アルコールなど)中、チオール(メルカプト酢酸)と共に、24時間まで、場合によって高温で、式XCCの化合物を有機塩基(トリエチルアミンなど)または無機塩基(炭酸塩または水酸化物など)で処理する。
【0088】
【化15】

【0089】
アシル化−還元
スキーム1bでは、式(VI)の1°アミンから、カルボン酸または酸ハロゲン化物AAA(場合によってその場で調製)R3’COX(ここでXはOHまたはハロである)と反応させ、続いて、ボランなどの還元剤と反応させることにより、式(VII)の化合物を調製することができる。
【0090】
(x)アミド形成
酸または酸ハロゲン化物と1°アミン(VI)とのアミド結合の形成を、
(i)アシルハロゲン化物(または酸または酸無水物)およびアミン(VI)を、過剰の酸受容体と共に適切な溶媒中で、または
(ii)場合によって慣用のカップリング剤と共に、酸およびアミン(VI)を、場合によって触媒の存在下、過剰の酸受容体と共に、適切な溶媒中で
使用して行うことができる。
【0091】
このような反応の例は、以下である:
(iv)酸塩化物(場合によってその場で形成)を過剰のアミン(VI)と、場合によってEtNなどの過剰の3°アミン、Huenig塩基またはNMMと共に、DCMまたはジオキサン中、場合によって高温で1から24時間反応させるか;
(v)酸、WSCDI/DCCI/TBTUおよびHOBT/HOATを過剰のアミン(VI)および過剰のNMM、EtN、Huenig塩基と共に、THF、DCMまたはEtOAc中、室温で4から48時間反応させるか;
(vi)酸および1−プロピルホスホン酸エステル環式無水物/PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/ムカイヤマ試薬を、過剰のアミン(VI)および過剰のNMM、EtN、Huenig塩基と、THF、DCMまたはEtOAc中、室温で1から24時間反応させる。
【0092】
アミド形成のより具体的な例は、1−プロピルホスホン酸エステル環式無水物の存在下およびトリエチルアミンの存在下、DCM中、室温で1時間、酸をアミンで処理することを伴う。
【0093】
酸ハロゲン化物が酸塩化物(すなわちX=Cl)である場合、標準的な方法でこれをその場で形成させ、次いでアミン(VI)およびトリエチルアミンと、ジクロロメタン中、70℃で90分間反応させることができる。
【0094】
(y)還元
反応(y)は、例えば水素化物還元剤による適切な条件下でのアミン(VII)へのアミドの還元である。
【0095】
簡便には、アミドの還元を、ボランの存在下、THF中、還流で2時間実施することができる。これに、メタノールの添加(場合によって、塩化アンモニウム水溶液の添加を伴う)および4から48時間の還流が続き、この時間の後に、アミン(VII)を単離する。
【0096】
スキーム2では、式(VI)の化合物から、適切な条件下でのR−L(ここでLは脱離基である)との反応により、式(IX)の化合物を調製することができる。次いで、生じた式(IX)の化合物を、スキーム1に関連して前記された方法と同様の方法で、アミド形成および脱保護することにより、式(II)の化合物に変換することができる。
【0097】
【化16】

【0098】
上記のスキームでは、R、Rおよびmは、前記と同様に定義され、PGは、適切な保護基であり、Lは、脱離基であるが、その意味は特に、反応の性質および使用される具体的な反応条件に左右される。適切な脱離基は、当業者には容易に明らかであり、多くの標準的な有機化学文献、例えば参照により本願明細書に援用される「Advanced Organic Chemistry」、Jerry March、3版、Wiley(1985年)、587ページに記載されており、これらには、ハロゲン(例えばBr)およびスルホネートエステル(例えば、メタンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネート)が含まれる。
【0099】
スキーム3では、式(IX)の化合物を、式(XII)のケトンから、適切な条件下に第1級アミンR−NHと反応させることにより調製することができる。次いで、生じた式(IX)の化合物を、スキーム1に関連して前記された方法と同様の方法で、アミド形成および脱保護することにより、式(II)の化合物に変換することができる。
【0100】
【化17】

【0101】
第1級アミンR−NHとケトン(XII)との反応(e)は簡便には、アミンおよびケトンの脱水の後に、適切な条件下で例えば金属水素化物試薬または水素化により、生じたイミンの還元を続ける還元的アミノ化反応であってよい。
【0102】
簡便には、アミンおよびケトンの反応を、チタン(IV)テトライソプロポキシドの存在下、THF中、室温で18時間実施し、続いて、メタノール中、室温で5時間、過剰のホウ水素化ナトリウムにより還元する。
【0103】
当業者であれば、式(I)、(II)または(III)の所望の化合物への最も適切な合成経路を選択することができる。前記スキームは勿論、当業者に共通する一般的な知識により適切に変更することができる。
【0104】
例えば、当業者であれば勿論、脱保護アミド(II)または(V)のピペリジンまたはピロリジン窒素(mの値による)に結合している水素を、慣用の合成方法を使用することにより、所望の別の基に代えて、nが1であり、mが0または1である式(I)の化合物を形成することができることを認めるであろう。
【0105】
加えて、nが2であり、mが0である式(I)の化合物を、前記方法と同様の方法により、適切な出発材料を使用して調製することもできる。
【0106】
1種または複数の感受性官能基は、式(I)、(II)または(III)の化合物を合成する間に保護および脱保護する必要があることは、当業者であれば認めるであろう。これは、慣用の技術、例えば、参照により本願明細書に援用されるTW GreeneおよびPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、3版(John Wiley and Sons,Inc、1999年)に記載されている技術により達成することができ、これは、このような基を除去するための方法も記載している。
【0107】
最終脱保護段階の前に調製されることのある本発明の化合物のある種の保護誘導体は、そのままでは薬理学的活性を有さないこともあるが、ある状況では、経口または非経口により投与することができ、その後、体内で代謝されて、薬理学的に活性な本発明の化合物を形成しうることは、当業者であれば認めるであろう。したがって、このような誘導体は、プロドラッグと記載される。さらに、本発明のある化合物は、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用しうる。
【0108】
したがって、本発明の他の態様では、式(I)、(II)または(III)の化合物を調製する方法を提供し、これは、式(X)の化合物:
【0109】
【化18】

[式中、R、nおよびmは、前記と同様に定義され、Yは、Rまたは保護基である]と、酸またはアシルハロゲン化物:RCOX(式中、XはOHまたはハロである)とを反応させ、必要ならば脱保護することを含む。
【0110】
が、窒素原子に直接結合するメチレン部分を含む場合には、次いで、式(XXI)の化合物とアルデヒドR3’CHO(ここで−CH3’は、aが1である場合のRの定義を満たし、R3’はEである)とを反応させることにより、式(X)の化合物を調製することもできる。
【0111】
【化19】

【0112】
あるいは、式(XXI)の化合物と化合物R−L(ここでLは脱離基であり、場合によってハライド、メタンスルホネートおよびトリフルオロメタンスルホネートから選択される)とを反応させることによって、式(X)の化合物を調製することもできる。
【0113】
さらに、式(XXII)の化合物と化合物R−NHとを反応させることにより、式(X)の化合物を調製することもできる。
【0114】
【化20】

【0115】
前記ある中間体は、新規化合物であり、本願明細書に記載の新規中間体は全て、本発明の更なる態様を形成することを理解されたい。
【0116】
ラセミ化合物を、分取HPLCおよびキラル固定相を有するカラムを使用して分離するか、当業者に知られている方法を利用して分割し、個々の鏡像異性体を得ることができる。加えて、キラル中間体化合物を分割して、本発明のキラル化合物を調製するために使用することもできる。
【0117】
本発明の他の態様では、in vivoで形成される本発明の化合物の1種または複数の代謝産物を提供する。
【0118】
本発明の化合物は、先行技術の化合物よりも強力で、より長い作用時間を有し、幅広い活性を有し、より安定で、副作用が少ないか、より選択的であるか、他のより有用な特性を有するという利点を示しうる。
【0119】
ヒトを含む哺乳類において薬理学的活性を示すので、本発明の化合物は、有用である。したがって、これらは、モノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害、特にセロトニンまたはノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関係する障害を治療または予防する際に有用である。さらに、本発明の化合物は、尿失禁などのセロトニンおよびノルアドレナリンの両方の阻害が関係する障害において使用することができる。加えて、本発明の化合物は、ノルアドレナリンまたはセロトニンのうちの一方の取り込みを他方に比べて優先的に阻害することが望ましい、疼痛などの障害において使用することができる。
【0120】
したがって、本発明の化合物は、真性ストレス失禁(GSI)、ストレス尿失禁(SUI)または高齢者における尿失禁などの尿失禁;特発性排尿筋不安定、神経疾患(例えばパーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷および発作)に続発する排尿筋過活動および膀胱流出路閉塞(例えば良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄または収縮)に続発する排尿筋過活動を含む過活動膀胱(OAB);夜尿症;前記状態の組合せによる尿失禁(例えば過活動性膀胱を伴うストレス失禁);ならびに頻繁および逼迫などの下部尿路症状の治療において有用である。OABとの用語は、OABウェットおよびOABドライの両方を包含することとする。
【0121】
前記薬理学的活性を考慮すると、本発明の化合物はさらに、大うつ病、反復うつ病、単一エピソードうつ病、亜症候群性症状うつ病、癌患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、小児うつ病、小児虐待誘発うつ病、不妊女性におけるうつ病、産後うつ病、月経前不快および不機嫌高齢者症候群などのうつ病を治療する際に有用である。
【0122】
前記薬理学的活性を考慮すると、本発明の化合物はさらに、認知症、特に変性認知症(高齢者性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルトヤコブ病を含む)および血管性認知症(多発梗塞性認知症)、さらに頭蓋内空間を占める病変、外傷、感染および関連症状(HIV感染を含む)、さらに代謝、毒素、無酸素およびビタミン欠乏に伴う認知症などの認識障害;加齢に伴う軽度認識障害、特に加齢性記憶障害(AAMI)、健忘症および加齢性認識低下(ARCD);統合失調症および躁病などの精神病;一般不安障害、恐怖症(例えば広場恐怖症、社会恐怖症および単純恐怖症)、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、混合不安およびうつ病などの不安障害;回避的人格障害および注意欠陥多動障害(ADHD)などの人格障害;精液早漏、男性勃起不全および(MED)女性性的不全(FSD)(例えば女性性的覚醒不全(FSAD))などの性的不全;月経前症候群;季節的感情障害(SAD);神経性食欲不振および神経性食欲亢進などの摂食障害;肥満;食欲抑制;ニコチン、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタールおよびベンゾジアゼピンへの耽溺などの薬物または物質乱用への耽溺から生じる化学物質依存;前記化学物質依存から生じうる症候群などの禁断症候群;偏頭痛、群発性頭痛、慢性発作性偏頭痛、血管障害を伴う頭痛、化学物質依存または化学物質依存から生じる禁断症候群を伴う頭痛および緊張性頭痛などの頭部疼痛;疼痛;パーキンソン病における認知症、神経弛緩剤誘発パーキンソン症候群および遅発性ジスキネジアなどのパーキンソン病;高プロラクチン血症などの内分泌障害;脳血管系などにおける血管痙攣;小脳性運動失調;トゥーレット症候群;抜毛癖;窃盗癖;情動不安定;病的号泣;睡眠障害(カタプレキシー)ならびにショックを治療する際に有用である。
【0123】
前記薬理学的活性を考慮すると、本発明の化合物はさらに、低血圧;過敏性腸症候群(IBS)、腸閉塞(例えば手術後腸閉塞および敗血症の間の腸閉塞)、胃不全麻痺(例えば糖尿病性胃不全麻痺)、消化性潰瘍、胃食道逆流疾患(GORDまたはその同意語GERD)、膨満などの胃腸管障害(運動性および分泌の変化を伴う)ならびに消化不良(例えば非潰瘍性消化不良(NUD))および非心臓性胸痛(NCCP)などの他の機能性腸障害;のぼせ;ならびに線維筋痛症症候群を含む、いくつかの他の症状または障害を治療する際に有用である。
【0124】
セロトニンおよび/またはノルアドレナリン再取り込み阻害剤である本発明の化合物は、疼痛を含む他の範囲の障害を治療する際に潜在的に有用である。
【0125】
生理的疼痛は、外部環境からの有害であるかもしれない刺激による危険を警告するように設計されている重要な保護機構である。このシステムは、一次感覚ニューロンの特殊なセットを介して作用され、末梢変換機構を介して有害な刺激により活性化される(概説に関してはMillan、1999年、Prog.Neurobiol.,57、1〜164ページ参照)。これらの感覚線維は、侵害受容器として知られており、遅い伝達速度を伴う独特の小直径軸索である。侵害受容器は、有害な刺激の強度、時間および質ならびに、その地形的に構成された脊髄に対する投射により、刺激の位置をコード化する。侵害受容器は、侵害神経線維に存在し、それには、2つの主なタイプ、Aデルタ線維(有髄)およびC線維(無髄)がある。侵害受容器インプットにより生じた活性は、背角での複雑な処理の後に、直接か、脳幹リレー核を介して、視床腹側基底へ、次いで皮質へと移行し、そこで、疼痛の感覚が生じる。
【0126】
疼痛は通常、急性または慢性と分類することができる。急性疼痛は、突然始まり、短寿命(ふつうは12週間以下)である。これは通常、特定の外傷などの特定の原因を伴い、往々にして、強く深刻である。これは、手術、歯科的処理、挫傷または捻挫から生じる特定の外傷の後に起こりうる疼痛の種類である。急性疼痛は通常、何らかの持続的な心理的応答はもたらさない。対照的に、慢性疼痛は、長期疼痛であり、典型的には、3ヶ月よりも長く持続し、著しい心理的および情動的問題をもたらす。慢性疼痛の一般的な例は、神経障害性疼痛(例えば疼痛性糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌疼痛、関節痛および慢性手術後疼痛である。
【0127】
疾患または外傷によりかなりの損傷が体組織に生じると、侵害受容器活性の特性が変化し、末梢で、損傷の周りで局所的に、さらに侵害受容器が終わる部分を中心として感覚がある。これらの作用が、疼痛の増強性感覚をもたらす。急性疼痛では、これらの機構が有用であり、修復プロセスをより良好に開始させうる保護行動を促進する。通常の予想は、損傷が治ったら、感覚が正常に戻ることであろう。しかしながら、多くの慢性疼痛状態では、知覚過敏が、治癒プロセスよりもはるかに長く続き、これは往々にして、神経系の損傷による。この損傷は往々にして、適応不良および異常な活性を伴う感覚神経線維の異常をもたらす(Woolf & Salter、2000年、Science、288、1765〜1768)。
【0128】
不快で異常な感覚が患者の症状のうちの主なものである場合に、臨床疼痛が存在する。各患者は、全く不均一である傾向があり、様々な疼痛症状を示しうる。このような症状には、1)鈍いか、灼熱感があるか、刺すようである自発的疼痛;2)有害な刺激に対する過大な疼痛応答(痛覚過敏);および3)正常で無害な刺激により生じる疼痛(異痛症−Meyerら、1994年、Textbook of Pain、13〜44ページ)が含まれる。急性および慢性疼痛の様々な形態を患う患者は、同様の症状を示しうるが、ベースにある機構は、様々であり、したがって、異なる治療方策が必要である。したがって、さらに疼痛を、侵害受容性、炎症性および神経障害性疼痛を含む異なる病態生理学によるいくつかの異なるサブタイプに分類することができる。
【0129】
侵害受容性疼痛は、組織損傷により、または損傷をもたらす潜在性を伴う激しい刺激により誘発される。疼痛求心性は、損傷部位での侵害受容器による刺激の導入により活性化され、その末端のレベルで脊髄中のニューロンを活性化する。次いでこれは、脊髄路から疼痛を知覚する脳へとリレーされる(Meyerら、1994年、Textbook of Pain、13〜44ページ)。侵害受容器の活性化は、2つのタイプの求心性神経線維を活性化する。有髄Aデルタ繊維は迅速に伝達し、強く、刺すような疼痛感覚の原因となる一方で、無髄C繊維は、比較的遅い速度で伝達し、鈍いか、うずく疼痛をもたらす。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞および急性膵臓炎、手術後疼痛(任意のタイプの外科的処置の後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌疼痛および背痛による顕著な形態である。癌疼痛は、腫瘍関連疼痛(例えば骨痛、頭痛、顔面痛または内臓痛)または癌療法に伴う疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性手術後疼痛症候群または放射線後症候群)などの慢性疼痛であり得る。癌性痛はさらに、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に応答して起こりうる。背痛は、椎間板ヘルニアまたは椎間板破断または腰咬合小面関節、仙腸関節、脊髄周囲筋または後縦靱帯の異常が原因であり得る。背痛は、自然に解消することもあるが、何人かの患者では、12週間より長く続くと、これは、特に衰弱性であり得る慢性症状になりうる。
【0130】
神経障害性疼痛は、神経系の一次病変または不全により開始または誘発される疼痛と現在定義されている。神経損傷は、外傷および疾患により誘発されうるので、「神経障害性疼痛」との用語は、様々な原因を伴う多くの障害を包含する。これらには、これらに限られないが、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌神経障害、HIV神経障害、幻想肢痛、手根管症候群、中枢発作後疼痛および慢性アルコール中毒に伴う疼痛、甲状腺機能減退症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、てんかんおよびビタミン欠乏が含まれる。神経障害性疼痛は、保護的役割を有さないので、異常である。これは往々にして、元の原因が散逸した後にも存在し、通常は数年間続き、患者の生活の質を著しく低下させる(Woolf and Mannion、1999年、Lancet、353、1959〜1964ページ)。神経障害性疼痛の症状は、同じ疾患を有する患者の間でも往々にして不均一であるので、治療が困難である(Woolf & Decosterd、1999年、Pain Supp.、6、S141〜S147ページ;WoolfおよびMannion、1999年、Lancet、353、1959〜1964ページ)。これらには、持続しうる自発疼痛ならびに痛覚過敏(有害な刺激に対する高い感受性)および異痛症(通常の無害な刺激に対する感受性)などの発作性または異常な誘発疼痛が含まれる。
【0131】
炎症プロセスは、組織損傷または外来物質の存在に応答して活性化される複雑な一連の生化学的細胞事象であり、膨潤および疼痛をもたらす(Levine and Taiwo、1994年、Textbook of Pain、45〜56ページ)。関節炎疼痛は、最も一般的な炎症性疼痛である。関節リウマチは、先進国に最も一般的な慢性炎症状態のうちのひとつであり、廃疾の一般的な原因である。関節リウマチの正確な原因は未知であるが、現在の仮説は、遺伝的および微生物学的因子の両方が重要であり得ることを示唆している(Grennan & Jayson、1994年、Textbook of Pain、397〜407ページ)。ほぼ1600万人のアメリカ人が症候性変形性関節症(OA)または変性関節疾患を有すると推定されており、そのうちのほとんどが、60歳を超えており、このことにより、人口の年齢が上がるにつれて、40000万人まで増加し、多大な公衆衛生問題になると予測される(Houge & Mersfelder、2002年、Ann Pharmacother.、36、679〜686ページ;McCarthyら、1994年、Textbook of Pain、387〜395ページ)。変形性関節症を伴うほとんどの患者が、随伴疼痛により、医学的注意を求める。関節炎は、心理社会的および物理的機能に多大な影響を有し、後半生での障害の主な原因であることが知られている。強直性脊椎炎も、脊椎関節および仙腸骨関節の関節炎をもたらすリウマチ性疾患である。これは、一生生じる背痛の間欠性事象から、脊椎、周辺関節および他の身体器官を攻撃する深刻な慢性疾患まで変動する。
【0132】
炎症性疼痛の他のタイプは、炎症性腸疾患(IBD)に随伴する疼痛が含まれる内臓疼痛である。内臓疼痛は、腹腔の器官を包含する内臓に関連する疼痛である。これらの器官には、性器官、脾臓および消化系の部分が含まれる。内臓に関連する疼痛は、消化性内臓疼痛および非消化性内臓疼痛に分類することができる。疼痛をもたらす通常起こる胃腸(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。これらのGI障害には、幅広い疾患状態が含まれ、これらは、FBD、胃食道逆流消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)に関して、さらに、IBD、クローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎に関してを含み、現在では多少しか制御されていなく、これらは全て、定期的に内臓疼痛をもたらす。他のタイプの内臓疼痛には、月経困難、膀胱炎および膵臓炎および骨盤疼痛に随伴する疼痛が含まれる。
【0133】
いくつかのタイプの疼痛は、多数の原因を有するので、1つの分野よりも多くに分類することができ、例えば、背痛および癌疼痛は、侵害受容性成分と神経障害性成分の両方を有することを特記すべきである。
【0134】
他のタイプの疼痛には;
筋肉痛、線維筋肉痛(fibromyalgia)、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、非関節リウマチ、栄養失調症(dystrophinopathy)、糖原分解、多発性筋炎および化膿性筋炎を含む筋骨格障害から生じる疼痛;
アンギナ、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症および骨格筋虚血による疼痛を含む心臓および血管疼痛;
偏頭痛(前兆を伴う偏頭痛および前兆を伴わない偏頭痛を含む)、群発性頭痛、緊張性頭痛混合頭痛および血管障害を伴う頭痛などの頭部疼痛;ならびに
歯痛、耳痛、バーニングマウス症候群および側頭下顎筋筋膜疼痛症候群を含む口顔疼痛
が含まれる。
【0135】
特に重要な障害には、混合失禁、GSIおよびUSIなどの尿失禁;疼痛;うつ病;強迫性障害および外傷後ストレス障害などの不安障害;ADHDなどの人格障害;性不全;ならびに化学物質依存性および化学物質依存性から生じる禁断症候群が含まれる。
【0136】
したがって、他の態様では、本発明は、
i)ヒトおよび獣医学の薬剤で使用するための本発明の化合物;
ii)モノアミントランスポーター機能の調節が関係する尿失禁などの障害を治療する際に使用するため本発明の化合物;
iii)モノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害を治療するための医薬品を製造する際の本発明の化合物の使用;
iv)セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関係する障害を治療する際に使用するための本発明の化合物;
v)セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関係する障害を治療するための医薬品を製造する際の本発明の化合物の使用;
vi)セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関係する障害を治療する際に使用するための本発明の化合物;
vii)セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関係する障害を治療するための医薬品を製造する際の本発明の化合物の使用;
viii)疼痛またはGSIもしくはUSIなどの尿失禁を治療する際に使用するための本発明の化合物;
ix)疼痛またはGSIもしくはUSIなどの尿失禁を治療するための医薬品を製造する際の本発明の化合物の使用;
x)治療的有効量の本発明の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、モノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害の治療方法;
xi)治療的有効量の本発明の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、セロトニンまたはノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関係する障害の治療方法;
xii)治療的有効量の本発明の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みの阻害が関係する障害の治療方法;
xiii)治療的有効量の本発明の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、疼痛またはGSIもしくはUSIなどの尿失禁の治療方法
を提供する。
【0137】
治療に関する本願明細書に記載の言及は全て、他に明らかに記載のない限り、治癒的、姑息的および予防的治療を含むことを認められたい。
【0138】
本発明の化合物は、単独でも、併用療法の一部として投与することもできる。治療剤の組合せを投与する場合には、活性成分を連続して、または同時に、別々か、組合せ製剤の形態で投与することができる。
【0139】
補助療法に適している薬剤の例には:
オピオイド鎮痛薬、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン;
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンまたはゾメピラック;
バルビツレート鎮静剤、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラル(theamylal)またはチオペンタール;
鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えばクロルジアゼポキシド、クロルアゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム;
鎮静作用を有するHアンタゴニスト、例えばジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミンまたはクロルシクリジン;
グルテチミド、メプロバメート、メタクワロンまたはジクロラルフェナゾンなどの鎮静剤;
骨格筋弛緩剤、例えばバクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン;
NMDA受容体アンタゴニスト、例えばデキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)またはその代謝産物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニン、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネおよびデキストロメトルファンの組合せ製剤)、トピラメート、ネラメキサンまたはNR2Bアンタゴニストを含むペルジンフォテル(perzinfotel)、例えばイフェンプロジル、トラキソプロジル(traxoprodil)または(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン};
α遮断薬、例えばドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デキスメタトミジン(dexmetatomidine)、モダフィニル、フェントラミン、テラザシン(terazasin)、プラザシン(prazasin)または4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
三環式抗うつ薬、例えばデシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン;
抗痙攣薬、例えばカルバマゼピン、ラモトリギン、トピラトメート(topiratmate)またはバルプロエート;
タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2またはNK−1アンタゴニスト、例えば(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S]−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S);
ムスカリン様アンタゴニスト、例えばオキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム;
COX−2選択的阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブまたはルミラコキシブ;
コールタール鎮痛薬、特にパラセタモール;
ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、ケチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドール(palindore)、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント、Miraxion(登録商標)またはサリゾタンなどの神経弛緩剤;
バニロイド受容体アゴニスト(例えばレシンフェラトキシン)またはアンタゴニスト(例えばカプサゼピン);
プロプラノロールなどのβ遮断薬;
メキシレチンなどの局所麻酔薬;
デキサメタゾンなどのコルチコステロイド;
5−HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、特に、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタンなどの5−HT1B/1Dアゴニスト;
R(+)−アルファ−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)などの5−HT2A受容体アンタゴニスト;
イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)またはニコチンなどのコリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬;
トラマドール(登録商標);
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミドなどのPDEV阻害剤;
ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルオクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプト6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチルオクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸および(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸などのアルファ−2−デルタリガンド;
カンナビノイド;
代謝共役型グルタメートサブタイプ1受容体(mGluR1)アンタゴニスト;
セルトラリン、セルトラリン代謝産物デメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝産物デスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミンおよびトラゾドンなどのセロトニン再取り込み阻害剤;
マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝産物ヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシンおよびビロキサジン(Vivalan(登録商標))などのノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害剤、特にレボキセチン、特に(S,S)−レボキセチンなどの選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤;
ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプランおよびイミプラミンなどの二重セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤;
S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル;2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジンカルボニトリル;2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミジンまたは二硫化グアニジノエチルなどの誘発性酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤;
ドネペジルなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤;
N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドまたは4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸などのプロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)アンタゴニスト;
1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)またはDPC−11870などのロイコトリエンB4アンタゴニスト;
ジレウトン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)などの5−リポキシゲナーゼ阻害剤;
リドカインなどのナトリウムチャンネル遮断薬;
オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、アザセトロン、ドラセトロンまたはアロセトロンなどの5−HT3アンタゴニスト;
エストロゲンアゴニストまたは選択的エストロゲン受容体調整剤(例えばHRT治療薬またはラソフォキシフェン);
フェニルプロパノールアミンまたはR−450などのαアドレナリン作用性受容体アゴニスト;
ドーパミンD2受容体アゴニスト(例えばプレミプリキサル(premiprixal)、Pharmacia Upjohn化合物番号PNU95666;またはロピニロール)を含むドーパミン受容体アゴニスト(例えばアポモルフィン、薬剤としてのその使用に関する教示は米国特許第5945117号明細書で見ることができる);
PGE1アゴニスト(例えばアルプロスタジル);
ならびにこれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物
が含まれる。
【0140】
したがって本発明は、他の態様では、本発明の化合物を他の治療薬とともに含む組合せを提供する。
【0141】
ヒトに使用するために、本発明の化合物を単独で投与することもできるが、ヒトの治療では通常、所定の投与経路および標準的な薬学的実施に関連して選択される適切な薬学的賦形剤、希釈剤または担体とともに混合された形態で投与される。
【0142】
例えば、本発明の化合物を、経口で、頬で、または舌下で、着香剤または着色剤を含有してもよい錠剤、カプセル(軟質ゲルカプセルを含む)、小卵剤(ovule)、エリキシル剤、溶液または懸濁液の形態で、即時、遅延、変性、持続、二重、制御放出または拍動性送達用途で投与することができる。本発明の化合物はさらに、鼻腔内(cavernosal)注射を介して投与することができる。本発明の化合物はさらに、即時分散または即時溶解投与形態を介して投与することができる。
【0143】
このような錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、グリシンおよびデンプン(好ましくはトウモロコシ、馬鈴薯またはタピオカデンプン)などの賦形剤、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび一定の複合体ケイ酸塩などの崩壊剤ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの顆粒結合剤を含有してよい。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの滑剤を加えることもできる。
【0144】
同様のタイプの固体組成物を、ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用することもできる。これに関する好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤では、本発明の化合物およびその薬学的に許容できる塩を、様々な甘味料または着香剤、着色剤または染料と、乳化剤および/または懸濁剤と、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤と、ならびにこれらの組合せと組み合わせることができる。
【0145】
調節放出および拍動性放出投与形態は、即時放出投与形態で詳述したもののような賦形剤を、デバイスのボディにコーティングされるおよび/またはそれに含まれる放出速度調節剤として作用する付加的な賦形剤と共に含有してよい。放出速度調節剤には、もっぱらこれらに限られないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、カルボマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、硬化ヒマシ油、カルナウバロウ、パラフィンロウ、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマーおよびこれらの混合物が含まれる。調節放出および拍動性放出投与形態は、放出速度調節賦形剤のうちの1種または組合せを含有することができる。放出速度調節賦形剤は、投与形態内、すなわち、マトリックス内にも、および/または剤形の上、すなわち、表面またはコーティング上にも存在してよい。
【0146】
即時分散または溶解投与製剤(FDDF)は、次の成分を含むことができる:アスパルテーム、アセスルフェームカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント着香剤、ポリエチレングリコール、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビトール、キシリトール。FDDFを記載するために本願明細書で使用される分散または溶解との用語は、使用される薬物物質の溶解性に左右され、すなわち、薬物物質が不溶性である場合には、即時分散投与形態を調製することができ、薬物物質が可溶性である場合には、即時溶解投与形態を調製することができる。
【0147】
本発明の化合物は、非経口で、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下で投与することもできるし、点滴技術により投与することもできる。このような非経口投与では、これらは、他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩またはグルコースを含んでもよい無菌の水溶液の形態で使用することが最良である。水溶液は、必要な場合には、適切に緩衝されるべきである(好ましくは3から9のpH)。無菌条件下での適切な非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的な製剤技術により容易に達成することができる。
【0148】
ヒト患者への経口および非経口投与では、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の1日投与用量は通常、10から500mg(単一または分割用量で)であろう。
【0149】
したがって、例えば、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の錠剤またはカプセルは、適切に1回または2回もしくはそれ以上の回数で投与するために、活性化合物5mgから250mgを含有してよい。いずれの場合にも医師は、個々の患者に最も適している実際の用量を決定するが、これは、特定の患者の年齢、体重および応答に応じて変動する。前記用量は、平均的な場合の例である。勿論、より高いか、より低い投与範囲が妥当である個々の状況も存在するはずであり、このような状況も、本発明の範囲内である。当業者であれば、一定の状態(PEを含む)の治療では、本発明の化合物は、「要求性」(すなわち「必要性」または「所望性」)をベースとして単一用量として摂取することができることも認めるであろう。
【0150】
錠剤製剤の例
一般に、錠剤製剤は典型的には、本発明による化合物(またはその塩)約0.01mgから500mgを含有し、錠剤充填重量は、50mgから1000mgであってよい。10mgの錠剤での製剤例を説明する:
成分 %w/w
化合物の遊離塩基または塩 10.000
ラクトース 64.125、
デンプン 21.375、
クロスカルメロースナトリウム 3.000、
ステアリン酸マグネシウム 1.500。
この量は通常、薬物活性に応じて調節され、遊離塩基の重量をベースとしている。
【0151】
本発明の化合物はさらに、鼻腔内で、または吸入により投与することができ、簡便には、乾燥粉末吸入器またはエアロゾルスプレー形態で、加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器から、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロ−エタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A(商標))もしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA(商標))などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素または他の適切なガスを用いて送達される。加圧エアロゾルでは、投与単位は、計測量を送達するバルブを用意することにより決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器は、例えば、エタノールと溶媒としての噴射剤の混合物を使用して、活性化合物の溶液または懸濁液を含有してよいが、これは追加的に、滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンを含有してもよい。吸入器または注入器で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えばゼラチン製)は、本発明の化合物ならびにラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有するように製剤することもできる。
【0152】
エアロゾルまたは乾燥粉末製剤は好ましくは、各計測用量または「パフ」が、患者に送達するための本発明の化合物1から50mgを含有するようにアレンジする。エアロゾルでの全体1日用量は、1から50mgの範囲であり、これを、単一用量で、より一般的には、1日を通して分割用量で投与することができる。
【0153】
本発明の化合物はさらに、噴霧器を介しての送達のために製剤することができる。噴霧器デバイスのための製剤は、可溶化剤、乳化剤または懸濁剤として次の成分を含有してよい:水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、フルオロカーボン、ポリエチレングリコールエーテル、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸。
【0154】
あるいは、本発明の化合物を、座剤またはペッサリの形態で投与することもできるし、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏または散布剤の形態で局所的に塗布することもできる。本発明の化合物はさらに、例えばスキンパッチを使用することにより、皮膚または経皮で投与することができる。これらはさらに、眼、肺または直腸経路により投与することもできる。
【0155】
眼使用では、化合物を、等張性のpH調節無菌食塩水中の超微粉砕懸濁液として、または好ましくは等張性のpH調節無菌食塩水中の溶液として、場合によって、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤と組み合わせて製剤することができる。あるいはこれらは、ワセリンなどの軟膏中で製剤することができる。
【0156】
皮膚に局所的に塗布するためには、本発明の化合物を、例えば1種または複数の次のもの:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウおよび水との混合物中に懸濁または溶解されている活性化合物を含有する適切な軟膏として製剤することができる。あるいは、これらは、例えば次のもの:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステル、ロウ、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の1種または複数の混合物中に懸濁または溶解されている適切なローションまたはクリームとして製剤することができる。
【0157】
本発明の化合物はさらに、シクロデキストリンと組み合わせて使用することができる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接および非包接複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の形成により、薬物分子の可溶性、溶解速度、生物学的利用率および/または安定性特性を変更することができる。薬物−シクロデキストリン複合体は通常、大抵の投与形態および投与経路のために使用することができる。薬物との直接的な複合化とは別に、シクロデキストリンを、補助助剤として、例えば、担持剤、希釈剤または可溶化剤として使用することもできる。アルファ−、ベータ−およびガンマシクロデキストリンが最も一般的に使用され、適切な例は、国際公開第91/11172号、国際公開第94/02518号および国際公開98/55148号に記載されている。
【0158】
ヒト患者への経口または非経口投与では、式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩の1日投与用量は、0.01から30mg/kg(単一または分割用量)であり、好ましくは0.01から5mg/kgの範囲内である。したがって錠剤は、単独で、または一度に2個またはそれ以上投与するために適切に、化合物1mgから0.4gを含有するであろう。医師は、各事象において、特定の患者に最も適しているであろう実際用量を決定するが、これは、特定の患者の年齢、体重および応答に応じて変動する。前記用量は勿論、平均的なケースでの例に過ぎず、より高いか、より低い用量が妥当である状況もあり、そのような状況は、本発明の範囲内である。
【0159】
経口投与が好ましい。
【0160】
獣医学的用途では、本発明の化合物を、通常の獣医学的実施に従い適切に許容できる製剤として処方することができ、獣外科医は、特定の動物に最も適切であろう投与レジームおよび投与経路を決定する。
【0161】
したがって他の態様では、本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容できる補助剤、希釈剤もしくは担体を含有する医薬製剤を提供する。
【0162】
前記で言及されている組合せをさらに簡便には、医薬製剤の形態で使用するために提供することができ、したがって、前記で定義された組合せを薬学的に許容できる補助剤、希釈剤または担体と共に含有する医薬製剤は、本発明の他の態様を構成する。このような組合せの個々の成分を、連続して、または同時に、別々か、組合せ医薬製剤の形態で投与することができる。
【0163】
本発明の化合物を第2の治療薬と組み合わせて投与する場合、各化合物の用量は、化合物を単独で使用する場合の用量とは異なる。適切な用量は、当業者であれば容易に分かるであろう。
【0164】
本発明を、次の非限定的実施例により詳述するが、この際、次の略語および定義を使用することがある:
APCI 常圧化学イオン化、
Arbocel(登録商標) 濾過剤、
br ブロード、
BOC t−ブトキシカルボニル、
CDI カルボニルジイミダゾール、
δ 化学シフト、
d 二重項、
Δ 熱、
DCCI ジシクロヘキシルカルボジイミド、
DCM ジクロロメタン、
DMF N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO ジメチルスルホキシド、
ES エレクトロスプレーイオン化ポジティブスキャン、
ES エレクトロスプレーイオン化ネガティブスキャン、
h 時間、
HOAT 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、
HPLC 高速液体クロマトグラフィー、
m/z 質量スペクトルピーク、
min 分、
MS 質量スペクトル、
NMM N−メチルモルホリン、
NMR 核磁気共鳴、
q 四重項、
s 一重項、
t 三重項、
m 多重項、
TBTU 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、
Tf トリフルオロメタンスルホニル、
TFA トリフルオロ酢酸、
THF テトラヒドロフラン、
TLC 薄層クロマトグラフィー、
TS サーモスプレーイオン化ポジティブスキャン、
WSCDI 塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド。
【0165】
以下の調製および実施例で、本発明を詳述するが、これは、本発明をなんら制限しない。出発物質は全て、市販されているか、文献に記載されている。温度は全て、℃である。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(9385)を使用して実施した。固相抽出(SPE)クロマトグラフィーは、Varian Mega Bond Elut(Si)カートリッジ(Anachem)を使用して真空15mmHgで実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merckシリカゲル60プレート(5729)で実施した。融点は、Gallenkamp MPD350装置を使用して決定し、補正しなかった。NMRは、Varian−Unity Inova 400MHz NMRスペクトロメーターまたはVarian Mercury 400 MHz NMRスペクトロメーターを使用して実施した。質量分光分析は、Finnigan Navigator単一四重極エレクトロスプレー質量分光計またはFinnigan aQa APCI質量分光計を使用して実施した。
【0166】
先行する調製または実施例に記載の方法で化合物を調製したと記載されている場合、当業者であれば、反応時間、試薬の当量数および反応温度を、特定の反応毎に変えることができること、それにもかかわらず、異なる後処理または精製条件を使用することが必要であるか、望ましいことがあることを理解するであろう。
【0167】
調製1:(3S)−3−[(1R,3r,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イルアミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0168】
【化21】

【0169】
(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.3g、12.4ミリモル)を、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−オン(1.5g、13.6ミリモル、国際公開第2001028978号に従い調製)および10%Pd/C(500mg)のエタノール(50ml)溶液に加え、この反応混合物を50℃で、水素ガス約345kPa(約50psi)下に16時間放置した。反応混合物をArbocel(登録商標)で濾過し、酢酸エチルで十分洗浄した。濾液を真空濃縮し、粗製生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール:アンモニア(100:10:1体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の生成物1.2g(35%)がシス−シクロペンチル化合物(nOe相関により決定)が得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.38〜1.42(m,2H)、1.45(s,9H)、1.72〜1.78(m,3H)、2.12(m,1H)、2.20〜2.27(m,4H)、2.62(m,2H)、3.00〜3.06(m,2H)、3.28(m,1H)、3.38(m,1H)、3.46(m,1H)、3.57(m,1H);MS APCI+ m/z 281[MH]
【0170】
調製2:(3S)−3−[(1R,3r,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0171】
【化22】

【0172】
調製1のアミン(500mg、1.78ミリモル)を、N−メチルモルホリン(360mg、3.56ミリモル)のトルエン(30ml)溶液に加え、この反応混合物を塩化2,3−ジクロロベンゾイル(450mg、2.13ミリモル)で処理した。次いで反応混合物を70℃に加熱し、3時間攪拌し、この後、10%のクエン酸溶液で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。粗製生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール(95:5体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の生成物がシス化合物660mg(81%)として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz,回転異性体)δ:1.42(s,2.5H)、1.48(s,6.5H)、1.75〜1.80(m,3H)、1.92〜1.96(m,2H)、2.09(m,1H)、2.22(m,3H)、2.45〜2.51(m,1.5H)、2.75(m,2H)、3.47(m,1H)、3.64〜3.72(m,2.5H)、3.89(m,1H)、4.07(m,0.5H)、4.31(m,0.5H)、7.2(m,1H)、7.38(m,1H)、7.59(m,1H);MS APCI+ m/z 453[MH]および353[(M−Boc)H]
【0173】
調製3:(3S)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0174】
【化23】

【0175】
調製1で記載された方法と同様の方法により、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルおよびノルカンファーを使用して、(3S)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルアミノ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを調製し、所望の生成物7.32g(97%、固体)をジアステレオ異性体の混合物として得た。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:0.61(m,1H)、1.07(m,1H)、1.19(m,1H)、1.33(m,3H)、1.45(s,9H)、1.51(m,1H)、1.60〜1.65(m,2H)、1.92(m,1H)、2.02(m,1H)、2.14(brs,1H)、2.24(brd,1H)、2.99〜3.07(m,2H)、3.22〜3.31(m,2H)、3.41〜3.60(m,2H);MS APCI m/z 281[MH]
【0176】
調製4:塩化4−クロロ−2−メトキシベンゾイル
【0177】
【化24】

【0178】
4−クロロ−2−メトキシ安息香酸(14.9g、79.8ミリモル)をジクロロメタン(180ml)に懸濁させ、氷浴中で冷却し、次いで、冷却溶液を塩化オキサリル(13.9ml、159.6ミリモル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10滴)で処理した。氷を除去し、反応混合物を室温まで加温した。次いでこれを、室温でさらに3時間攪拌した。次いで、反応混合物を真空濃縮し、ジクロロメタンと共に共沸させると、表題の化合物16.6g(100%)が白色の固体として得られた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:3.93(s,3H)、7.00(s,1H)、7.04(d,1H)、8.04(d,1H);MS APCI m/z 201[M−メチルエステルH]
【0179】
調製5:(3S)−3−[ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル(4−クロロ−2−メトキシベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0180】
【化25】

【0181】
調製4からの塩化ベンゾイル(1.25g、6.11ミリモル)を、N−メチルモルホリン(1.03g、10.19ミリモル)および調製3のアミン(1.5g、5.35ミリモル)のトルエン(50ml)溶液に加えた。反応混合物を50℃で一晩加熱した。次いで、クエン酸の10%水溶液で、1Nの水酸化ナトリウム溶液で2回、次いで、ブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。粗製生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレン:メタノール:アンモニア(100:10:1体積)を使用して精製すると、表題の生成物がオイル(1.01g、42%)として、ジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz,回転異性体)δ:1.18(m,2H)、1.46(brs,12H)、1.65〜1.73(m,3H)、2.04〜2.25(m,4H)、2.44(m,0.5H)、2.72(m,0.5H)、3.38(m,1H)、3.62(m,2H)、3.79(m,1H)、3.84(s,3H)、4.05(m,1H)、7.03(m,1H)、7.10(m,1H)、7.16(m,1H);MS APCI m/z 449[MH]
【0182】
調製6:(3S)−3−{ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0183】
【化26】

【0184】
調製5で記載した方法と同様の方法により、調製3のアミン、塩化2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルおよび4−ジメチルアミノピリジン(10モル%)を使用して、(3S)−3−{ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを調製すると、所望の生成物540mg(37%)がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.04(m,0.5H)、1.09(m,1H)、1.18(m,1H)、1.36〜1.40(m,2.5H)、1.46(s,9H)、1.64〜1.75(m,2.5H)、1.97(m,0.5H)、2.05(m,1H)、2.23(m,1H)、2.67(m,0.5H)、2.93(m,1H)、3.36(m,1H)、3.45(m,0.5H)、3.58〜3.83(m,4.5H)、4.14(m,0.5H)、7.29(m,1H)、7.47(m,1H)、7.56(m,1H)、7.67(m,1H);MS APCI m/z 453[MH]
【0185】
調製7:(3S)−3−{ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル[2−クロロベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0186】
【化27】

【0187】
調製5に記載の方法と同様の方法により、調製3のアミン、塩化2−クロロベンゾイルおよびジメチルアミノピリジン(10モル%)を使用して、(3S)−3−{ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル[2−クロロベンゾイル]アミノ}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを調製すると、所望の生成物940mg(72%)がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CDCl,400MHz,回転異性体)δ:1.09〜1.16(m,2H)、1.24〜1.29(m,3H)、1.26(s,9H)、1.63〜1.68(m,2H)、1.87(m,0.5H)、2.00(m,1H)、2.12(m,0.5H)、2.26(m,1.5H)、2.70(m,0.5H)、2.92(m,0.5H)、3.39(m,2H)、3.61〜3.74(m,3H)、3.88(m,1H)、4.14(m,0.5H)、7.23(m,1H)、7.28〜7.30(m,2H)、7.37(m,1H);MS APCI m/z 419[MH]
【0188】
調製8:(3S)−3−[(3,3,3−トリフルオロプロパノイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0189】
【化28】

【0190】
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(1.76g、13.74ミリモル)を(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.33g、12.50ミリモル)のジクロロメタン(63ml)溶液に室温で加えた。次いでトリエチルアミン(4.36ml、31.25ミリモル)を加えた。次いで反応を0℃に冷却し、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(酢酸エチル中50%w/w、8.9ml、13.75ミリモル)を加えた。次いで、混合物を室温で1.5時間攪拌し、次いで、減圧下に濃縮した。残留物をジクロロメタン(200ml)中で希釈し、20%炭酸カリウム水溶液(40ml)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌し、層を分離した。有機層をさらなる炭酸カリウム溶液(500ml)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮すると、表題の化合物が黄色の固体(3.70g、94%)として得られた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.43(s,9H)、1.82〜1.90(m,1H)、2.11(m,1H)、3.05(q,2H)、3.16〜3.25(m,1H)、3.35〜3.42(m,2H)、3.56(m,1H)、4.46(m,1H)、6.09(brs,0.5H)、6.36(brs,0.5H)。
MS APCI+ m/z 297[MH]
【0191】
調製9:(3S)−3−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0192】
【化29】

【0193】
ボラン(テトラヒドロフラン中1M、10ml、10.14ミリモル)を、調製8の化合物(1g、3.38ミリモル)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液に徐々に加えた。混合物を環流で2時間加熱した。次いで、メタノールを慎重に加えて反応混合物をクエンチし、混合物を真空濃縮した。残留物を、溶解のためにジクロロメタンおよび最小体積のメタノールに入れ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、酢酸エチルから酢酸エチル:ペンタン(30:70体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の生成物のボラン複合体が得られた。次いでこれを、メタノール(20ml)に入れ、環流で1時間加熱した。反応混合物を真空濃縮し、トルエンと共沸させると、表題の生成物が澄明なオイル(800mg、84%)として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.45(s,9H)、1.75(m,1H)、2.08(m,1H)、2.32〜2.41(m,2H)、2.79〜2.85(m,2H)、3.08(m,1H)、3.30〜3.33(m,2H)、3.44(m,1H)、3.53(m,1H);MS APCI+ m/z 283[MH]
【0194】
調製10:(3S)−3−[(2,3−ジクロロベンゾイル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0195】
【化30】

【0196】
調製2に記載の方法と同様の方法を使用して、調製9のアミンおよび塩化2,3−ジクロロベンゾイルを使用して、(3S)−3−[(2,3−ジクロロベンゾイル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを調製すると、所望の生成物(482mg、95%)が得られた。
HNMR(CDCl,400MHz,回転異性体)δ:1.44(d,9H)、1.90(m,1H)、2.15(m,1H)、2.45(m,1H)、2.81(m,1H)、3.10〜3.18(m,1.5H)、3.28(m,0.5H)、3.35〜3.44(m,1.5H)、3.52〜3.59(m,1.5H)、3.71(m,0.5H)、3.84(m,0.5H)、4.03(m,1H)、7.14(m,1H)、7.30(m,1H)、7.53(m,1H);MS APCI+ m/z 455[MH]
【0197】
調製11:(3S)−3−[(2−フェノキシベンゾイル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0198】
【化31】

【0199】
調製2に記載の方法と同様の方法により、調製9のアミンおよび塩化2−フェノキシベンゾイル(調製4に記載の方法と同様の方法により酸から調製)を使用して、表題の化合物を調製すると、所望の生成物(294mg、69%)が得られた。
HNMR(CDCl,400MHz,回転異性体)δ:1.44(2xs,9H)、1.89〜1.95(m,2H)、2.19(m,1H)、2.48〜2.65(m,1H)、3.10〜3.17(m,2H)、3.30(m,1H)、3.52(m,1H)、3.65(m,1H)、3.80(m,1H)、4.32(m,1H)、6.92〜6.97(m,3H)、7.14(m,1H)、7.14(m,1H)、7.32〜7.39(m,4H);MS APCI+ m/z 479[MH]
【0200】
調製12:(3S)−3−[(2,2−ジフルオロプロパノイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0201】
【化32】

【0202】
トリエチルアミン(950μl、6.8ミリモル)を、2,2−ジフルオロプロパン酸(300mg、2.7ミリモル)および(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(461mg、2.5ミリモル)のジクロロメタン(15ml)溶液に室温で加えた。次いで、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(酢酸エチル中50%w/w、1.75ml、2.7ミリモル)を加え、反応混合物を室温で17時間攪拌した。反応混合物を10%炭酸カリウム溶液(100ml)で希釈し、次いで、ジクロロメタン(100ml)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮すると、表題の化合物が澄明なオイル(609mg、95%)として得られた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.42(s,9H)、1.74〜1.98(m,4H)、2.17〜2.23(m,1H)、3.18〜3.52(m,3H)、3.61〜3.71(m,1H)、4.43(m,1H)、6.39(br s,1H)。
【0203】
調製13:(3S)−3−[(2,2−ジフルオロプロピル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0204】
【化33】

【0205】
調製12の化合物から、調製9に記載の手順と同様の手順に従い、表題の化合物を澄明なオイルとして定量的収率で得た。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.43(s,9H)、1.57〜1.63(m,3H)、1.70〜1.79(m,1H)、2.01〜2.11(m,1H)、2.87〜2.98(m,2H)、3.10(m,1H)、3.30(m,1H)、3.36(m,1H)、3.40〜3.58(m,2H);MS APCI+ m/z 265[MH]
【0206】
調製14:(3S)−3−[(2,2−ジフルオロプロピル)(2−フェノキシベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0207】
【化34】

【0208】
調製13からのアミン(583mg、2.2ミリモル)およびトリエチルアミン(641μl、3.5ミリモル)のジクロロメタン(10ml)溶液を塩化2−フェノキシベンゾイル(803mg、3.5ミリモル)に加え、この溶液を室温で18時間攪拌した。次いで溶液を、減圧下に濃縮し、残留物をエーテル(40ml)に再溶解した。溶液を10%クエン酸溶液(50ml)、2Mの水酸化ナトリウム溶液(50ml)で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下に蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール:アンモニア(98:1.8:0.2体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の化合物770mgが得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz,回転異性体)δ:1.40〜1.63(m,12H)、1.90〜2.21(m,2H)、3.05〜4.42(m,7H)、6.91〜7.02(m,3H)、7.12〜7.24(m,2H)、7.32〜7.50(m,4H)。
【0209】
調製15:(3S)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0210】
【化35】

【0211】
(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル2.2g(11.8ミリモル、1当量)およびトリフルオロ酢酸エチル4ml(過剰)をエタノール40mlに溶かした。溶液を、室温で一晩攪拌し、この時間の後に、トリフルオロ酢酸エチル2mlを加え、溶液を60℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下に除去すると、表題の化合物3.67g(粗製)が黄色のオイルとして得られた。粗製化合物をそのまま次のステップで使用した。
【0212】
調製16:(3S)−3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0213】
【化36】

【0214】
調製15からの粗製化合物を無水THF20mlに溶かし、THF中1Mのボラン−THF溶液48mlを滴加した。溶液を環流で一晩攪拌し、次いで、冷却し、塩化アンモニウム水溶液50mlを滴加した。次いで、混合物を60℃で2時間攪拌した。THFを減圧下に蒸発させ、水性相を酢酸エチル100mlで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下に濃縮すると、澄明なオイル3.04gが得られた。このオイルを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール:アンモニア(100:10:1体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の生成物2.44gがオイル(77%)として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.43(s,9H)、1.70〜1.80(m,1H)、2.00〜2.10(m,1H)、3.05〜3.55(m,7H);MS APCI+ m/z 269[MH]
【0215】
調製17:(3S)−3−[(ジフルオロアセチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0216】
【化37】

【0217】
(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.24g、12ミリモル)、ジフルオロ酢酸(0.836ml、13.2ミリモル)およびトリエチルアミン(4.2ml、30ミリモル)をジクロロメタン(80ml)中で混合した。2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(酢酸エチル中50%w/w、8.6ml、13.2ミリモル)を加え、次いで反応混合物を室温で20時間攪拌した。溶液をジクロロメタン(150ml)で希釈し、2Mの水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させた。表題の化合物が、黄色のオイル(3.6g、13.6ミリモル、100%)として得られた。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.46(s,9H)、2.22(m,1H)、3.11(m,1H)、3.27(b,1H)、3.45(b,2H)、3.64(m,1H)、4.48(m,1H)、5.87(t,1H)、6.39(b,1H);MS APCI m/z 264[MH]
【0218】
調製18:(3S)−3−[(2,2−ジフルオロエチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0219】
【化38】

【0220】
調製17の化合物(3.6g、13.6ミリモル)のテトラヒドロフラン(130ml)溶液に、0℃で攪拌しながら、テトラヒドロフラン中1Mのボラン溶液(40ml、40ミリモル)を少しずつ加えた。反応混合物を65℃で3時間加熱し、次いで、室温でさらに18時間攪拌した。混合物を塩化アンモニウムの水溶液でクエンチし、室温でさらに44時間攪拌した。次いで溶液を酢酸エチル(100ml)で希釈し、10%炭酸カリウム水溶液(2×200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させた。残留物をメタノールに溶かし、75℃で2.5時間加熱した。溶媒を真空蒸発させると、表題の化合物が無色のオイル(2.7g、10.8ミリモル、83%)として得られた。
H−NMR(CDOD,400MHz):δ1.42(s,9H)、1.73(m,1H)、2.03(m,1H)、3.92(m,2H)、3.06(m,1H)、3.27〜3.38(m,2H)、3.29〜3.57(m,2H)、5.83(tt,1H);MS APCI m/z 251[MH]
【0221】
調製19:(3S)−3−[(2−フェノキシベンゾイル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0222】
【化39】

【0223】
調製16の化合物0.87g(3.24ミリモル、10当量)および塩化2−フェノキシベンゾイル(0.90g、3.89ミリモル、1.2当量)から、調製5に記載の手順と同様の手順に従い(N−メチルモルホリンの代わりにトリエチルアミンを使用)、表題の化合物を調製した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール:アンモニア(100:10:1体積)に変わる勾配を使用して精製すると、表題の生成物1.01gがオイル(67%)として得られた。
HNMR(CDOD,400MHz)δ:1.40(s,9H)、1.80〜2.20(br m,2H)、3.0〜3.2(br,2H)、3.30〜3.40(br m,2H)、4.05〜4.40(br m,3H)、6.80〜7.60(m,9H);MS APCI m/z 465[MH]
【0224】
調製20:(3S)−3−[(2,2−ジフルオロエチル)(2−フェノキシベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0225】
【化40】

【0226】
調製18の化合物0.50g(2.00ミリモル、1.0当量)および塩化2−フェノキシベンゾイル(0.56g、2.40ミリモル、1.2当量)から、調製5に記載の手順と同様の手順に従い(N−メチルモルホリンの代わりにトリエチルアミンを使用)、表題の化合物を調製した。表題の化合物0.73g(82%)がオイルとして得られた。
HNMR(CDOD,400MHz)δ:1.40(s,9H)、1.80〜2.20(br m,2H)、3.0〜3.90(br m,7H)、4.40(br m,1H)、6.80〜7.60(m,9H);MS APCI m/z 447[MH]
【0227】
調製21:(3S)−3−[(ジシクロプロピルメチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0228】
【化41】

【0229】
(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1g、5.36ミリモル)のエタノール(40ml)溶液に、ジシクロプロピルケトン(0.66ml、5.9ミリモル)およびチタンイソプロポキシド(7.86ml、26.8ミリモル)を加え、反応混合物を室温で72時間攪拌した。ホウ水素化ナトリウム(406mg、10.72ミリモル)を加え、反応混合物を室温でさらに18時間攪拌した。次いで、混合物を水(2ml)でクエンチし、エタノールを真空蒸発させた。残留物を1Mの水酸化ナトリウム(30ml)とジクロロメタン(50ml)との間に分配し、残りの固体を濾過により除去した。水性相をジクロロメタン(2×50ml)で抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させた。粗製物質をカラムクロマトグラフィーにより、ISCO(登録商標)シリカカートリッジを使用して、ジクロロメタンからジクロロメタン:メタノール:0.880アンモニア(90:10:1)で溶離して、精製した。表題の化合物が無色のオイル(77mg、0.27ミリモル、5%)として得られた。
H−NMR(CDCl,400MHz,):δ0.13(m,2H)、0.23(m,2H)、0.49(d,4H)、0.84(m,2H)、1.22(t,1H)、1.45(s,9H)、1.65(m,1H)、2.07(m,1H)、3.00(m,1H)、3.30(m,1H)、3.45(m,1H)、3.63(m,2H);MS APCI m/z 281[MH]
【0230】
調製22:(3S)−3−[(2,3−ジクロロベンゾイル)(ジシクロプロピルメチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0231】
【化42】

【0232】
調製21の化合物(65mg、0.232モル)のジクロロメタン(1ml)溶液に、トリエチルアミン(0.065ml、0.464ミリモル)および塩化2,3−ジクロロベンゾイル(63mg、0.302ミリモル)を加え、次いで、反応混合物を室温で72時間攪拌した。溶媒を真空蒸発させ、残留物をトルエン(1ml)に再溶解させた。トリエチルアミン(0.065ml、0.464ミリモル)を加え、反応混合物を60℃に8時間加熱した。混合物を疎水性フィルターで濾過し、溶媒を真空蒸発させた。粗製材料をカラムクロマトグラフィーにより、ISCO(登録商標)シリカカートリッジを使用して、0〜35%の酢酸エチル:ペンタン(50mg、0.11ミリモル、47%)で溶離して精製した。
H−NMR(CDCl3,400MHz):δ0.10〜0.39(m,4H)、0.46(m,2H)、0.60(m,2H)、0.69〜0.90(m,1H)、0.98(m,1H)、1.47(s,9H)、2.09(m,1H)、2.50(m,1H)、2.88〜3.02(m,1H)、3.41(四重線,1H)、3.61〜3.76(m,2H)、3.99(五重線,1H)、4.17(m,1H)、7.08(t,1H)、7.21(m,1H)、7.44(m,1H);MS APCI m/z 397[M−Bu]
【0233】
調製23:(3S)−3−[(メトキシアセチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0234】
【化43】

【0235】
塩化メトキシアセチル(4.2ml、46.1ミリモル)を、(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(7.15g、38.4ミリモル)およびトリエチルアミン(10.7ml、76.8ミリモル)のジクロロメタン(150ml)溶液に室温で窒素下に滴加した。18時間攪拌した後に、溶媒を減圧下に蒸発させることにより除去した。残留物をジエチルエーテル中に溶かし、5%w/wのクエン酸水溶液で洗浄した。水性相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。次いで、混合物を濾過し、溶媒を減圧下に蒸発させることにより除去すると、茶色のオイル(10.0g)が生じた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.46(s,9H)、1.85(m,1H)、2.16(m,1H)、3.20(m,1H)、3.44(m,5H)、3.63(m,1H)、3.88(s,2H)、4.49(m,1H)、6.56(m,1H);MS APCI m/z 259[MH]
【0236】
調製24:(3S)−3−[(2−メトキシエチル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0237】
【化44】

【0238】
ボラン(テトラヒドロフラン中1M、115ml、115ミリモル)を、調製23からの化合物(10.0g、38.4ミリモル)の無水テトラヒドロフラン(115ml)溶液に窒素下に加えた。反応混合物を環流で4時間攪拌した後に、次いでこれを、室温に冷却し、メタノールでクエンチした。溶媒を減圧下に蒸発させることにより除去し、残留物をメタノール(150ml)および飽和塩化アンモニウム水溶液に再溶解させた。溶液を環流で18時間、窒素下に加熱した後に、減圧下での蒸発により、体積を半分にし、次いで、ジエチルエーテル(200ml)で希釈した。次いで、水性相をジエチルエーテル(200ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、混合物を濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、無色のオイル(6.6g)が生じた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.38(m,1H)、1.43(s,9H)、1.54(m,1H)、2.05(m,1H)、2.22(m,1H)、2.98(m,2H)、3.36(m,4H)、3.49〜3.73(m,5H);MS APCI m/z 245[MH]
【0239】
調製25:(3S)−3−[(2−メトキシエチル)(2−フェノキシベンゾイル)アミノ]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0240】
【化45】

【0241】
表題の化合物を、調製20の方法と同様の方法により、調製24のアミンおよび塩化2−フェノキシベンゾイル(Tetrahedron(1988年)、44(18)、5857〜60ページ)を使用して調製すると、所望の生成物474mg(72%)が無色のオイルとして生じた。
HNMR(CDCl,400MHz)δ:1.44(s,9H)、1.83〜2.17(m,2H)、3.06〜3.74(m,11H)、4.29(m,1H)、6.91(m,1H)、6.97(m,2H)、7.15(m,2H)、7.31(m,4H):MS APCI m/z 441[MH]
【0242】
調製26:2−(エチルチオ)安息香酸
【0243】
【化46】

【0244】
水酸化ナトリウムの1M溶液(10ml)を、エタノール(10ml)中の2−メルカプト安息香酸(1g、6.4ミリモル)に、続いてヨードエタン(1g、6.4ミリモル)に加えた。反応混合物を72時間攪拌し、次いで、エタノールを減圧下に蒸発させた。反応混合物を氷浴中で冷却し、2Nの塩酸水溶液を用いてpH1まで酸性化した。沈殿物を濾過により集め、水で洗浄し、減圧下に乾燥させると、表題の化合物1.09g、98%が得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ:1.32(t,3H)、2.9(q,2H)、7.13(t,1H)、7.38(d,1H)、7.43(t,1H)、7.88(d,1H);MS APCI m/z181[M−H]
【実施例】
【0245】
(実施例1)
N−(1R,3r,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0246】
【化47】

【0247】
調製2のBoc保護化合物(600mg、1.32ミリモル)を、ジオキサン(20ml)中4Mの塩酸溶液に加え、この反応混合物を室温で6時間攪拌した。反応混合物を真空濃縮し、次いで、酢酸エチルに入れ、1Nの水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。層を分離し、水性層を再び酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。次いで、粗製生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、塩化メチレンから塩化メチレン:メタノール:アンモニア(100:10:1体積)に変化する勾配を使用して精製すると、表題の生成物(シス化合物)440mg(94%)が得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.72〜1.81(m,4H)、1.95(m,1H)、2.10(m,1H)、2.21〜2.26(m,2H)、2.46〜2.53(brm,4H)、3.21(m,1H)、3.52(m,1H)、3.59〜3.76(m,3H)、4.52(m,1H)、7.28〜7.32(dd,1H)、7.40(t,1H)、7.61(d,1H);MS APCI m/z 353[MH]
【0248】
(実施例2)
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−4−クロロ−2−メトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0249】
【化48】

【0250】
調製5のBoc保護化合物(980mg、2.18ミリモル)をジクロロメタン(15ml)に窒素下に溶かし、反応混合物を、0℃で滴加されるトリフルオロ酢酸(15ml)で処理した。次いで、反応混合物を0℃で3時間攪拌し、この時間の後に、これを蒸発させ、トルエンと共に2回共沸させ、次いで、真空濃縮した。生じた混合物を酢酸エチルに入れ、1Nの水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を分離し、真空濃縮した。粗製生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(100:10:1)で溶離して精製すると、表題の生成物(210mg、27%)がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.12〜1.18(m,2H)、1.46〜1.54(m,4H)、1.67〜1.77(m,2H)、2.04(m,0.5H)、2.16(m,1H)、2.26(m,2H)、2.48(m,0.5H)、2.95(m,1H)、3.25(m,1H)、3.53〜3.57(m,2H)、3.78〜3.86(m,4H)、4.12(m,1H)、7.05(m,1H)、7.11〜7.22(m,2H);MS APCI m/z 349[MH]
【0251】
(実施例3)
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−(トリフルオロメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0252】
【化49】

【0253】
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−(トリフルオロメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミドを、調製6の化合物から、実施例2に記載の方法と同様の方法により調製すると、表題の生成物300mg(24%)がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.04(m,1H)、1.09(m,1H)、1.15(m,1H)、1.50(m,3H)、1.70〜1.84(m,3H)、2.12〜2.24(m,3.5H)、2.43(m,0.5H)、2.78(m,0.5H)、2.93(m,0.5H)、3.04(m,1H)、3.14(m,0.5H)、3.40〜3.49(m,1H)、3.62(m,0.5H)、3.99(m,1H)、7.45(m,1H)、7.62(m,1H)、7.72〜7.76(m,2H);MS APCI m/z 353[MH]
【0254】
(実施例4)
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−クロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0255】
【化50】

【0256】
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−クロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミドを、調製7の化合物から、実施例2に記載の方法と同様の方法により調製すると、表題の生成物640mg(90%)がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.10(m,1H)、1.17(m,1H)、1.44〜1.51(m,3H)、1.65〜1.68(m,1.5H)、1.79〜1.86(m,1.5H)、2.06(m,0.5H)、2.16〜2.21(m,1.5H)、2.26(m,1.5H)、2.46(m,0.5H)、2.78(m,0.5H)、2.94(m,0.5H)、3.09(m,1H)、3.20(m,0.5H)、3.42(m,1H)、3.50(m,0.5H)、3.74(m,1H)、4.04(m,1H)、7.33(m,0.5H)、7.38〜7.42(m,2.5H)、7.47(m,1H);MS APCI m/z 319[MH]
【0257】
(実施例5)
塩酸2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド
【0258】
【化51】

【0259】
ジオキサン(4ml)中4Mの塩酸溶液を、調製10のBoc保護化合物(400mg、0.88ミリモル)に加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで、真空下に濃縮した。残留物をジエチルエーテルと共に共沸させ、蒸発させ、乾燥させると、表題の生成物が白色のフォーム(250mg、72%)として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:2.47〜2.59(m,4H)、3.26(m,1H)、3.43(m,1H)、3.51〜3.58(m,2H)、3.75〜3.81(m,2H)、4.35(m,1H)、7.38(m,1H)、7.40(t,1H)、7.68(d,1H);MS APCI m/z 355[MH]
【0260】
(実施例6)
塩酸2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド
【0261】
【化52】

【0262】
表題の化合物を、調製11の化合物から、実施例5に記載の方法と同様の方法により調製すると、表題の生成物(251mg、99%)が白色の固体として得られた。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:2.05(m,1H)、2.43(m,1H)、2.52〜2.59(m,2H)、3.14〜3.23(m,2H)、3.39〜3.74(m,4H)、4.31(m,1H)、6.97〜7.03(m,3H)、7.15(m,1H)、7.27(m,1H)、7.35〜7.39(m,2H)、7.43〜7.49(m,2H);MS APCI m/z 379[MH]
【0263】
(実施例7)
塩酸N−(2,2−ジフルオロプロピル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0264】
【化53】

【0265】
調製14の化合物から、実施例5に記載の手順に従い、表題の化合物を白色のフォーム(639mg、定量)として調製した。
HNMR(CD3OD,400MHz,回転異性体)δ:1.42〜1.57(m,3H)、1.93〜2.58(m,2H)、3.08〜3.77(m,4H)、3.80〜3.94(m,2H)、4.38(m,1H)、6.95〜7.01(m,3H)、7.12〜7.26(m,2H)、7.33〜7.50(m,4H);MS APCI m/z 361[MH]
【0266】
(実施例8)
塩酸2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド
【0267】
【化54】

【0268】
調製19のBoc保護化合物(1.00g、2.15ミリモル)を塩化メチレン(10ml)に溶かし、ジオキサン中4Mの塩酸溶液(10.8ml、43.00ミリモル、20当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌し、この時間の後に、揮発物質を減圧下に蒸発させると、表題の化合物749mgが白色の固体(83%)として得られた。
HNMR(CDOD,400MHz)δ:1.91〜2.61(b,2H)、3.12(b,2H)、3.34〜3.63(m,1H)、3.73(m,1H)、4.20(m,2H)、4.38(b,1H)、6.99(t,3H)、7.17(t,1H)、7.28(t,1H)、7.34〜7.52(m,4H);MS APCI m/z 365[MH]
【0269】
(実施例9)
塩酸N−(2,2−ジフルオロエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0270】
【化55】

【0271】
調製20のBoc保護化合物(730mg、1.63ミリモル)を塩化メチレン(10ml)に溶かし、次いで、ジオキサン中4Mの塩酸溶液(8.2ml、32.6ミリモル、20当量)を加えた。溶液を室温で3時間攪拌し、この時間の後に、揮発物質を減圧下に蒸発させると、表題の化合物554mgが黄色のゴム(85%)として得られた。
HNMR(CDOD,400MHz)δ:1.93〜2.60(b,2H)、3.15(b,2H)、3.34〜3.63(m,1H)、3.67〜3.95(m,3H)、4.36(b,1H)、5.99(t,1H)、6.93〜7.05(m,3H)、7.17(t,1H)、7.26(t,1H)、7.33〜7.52(m,4H);MS APCI m/z 347[MH]
【0272】
(実施例10)
塩酸2,3−ジクロロ−N−(ジシクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0273】
【化56】

【0274】
調製22の化合物50mg(0.11ミリモル)をジオキサン中4Mの塩酸溶液3mlに溶かした。溶液を室温で3時間攪拌し、この時間の後に、揮発物質を減圧下に除去すると表題の化合物42mgが白色の固体(100%)として得られた。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ:0.31(m,2H)、0.41(m,2H)、0.55(m,2H)、0.68(m,2H)、1.04〜1.17(m,2H)、2.52〜2.69(m,3H)、3.62(m,2H)、3.87(m,2H)、4.76(m,1H)、7.35(四重線,1H)、7.45(m,1H)、7.68(d,1H);MS m/z APCI+:353[MH]
【0275】
(実施例11)
塩酸N−(2−メトキシエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド
【0276】
【化57】

【0277】
表題の化合物を、実施例10に記載の方法と同様の方法により、調製25の保護アミンを使用して調製すると、所望の生成物354mg(87%)が白色のゴムとして製造された。
HNMR(CDOD,400MHz)δ:2.00〜2.55(m,2H)、3.07〜3.80(m,11H)、4.32(m,1H)、6.99(m,3H)、7.12(t,1H)、7.22(t,1H)、7.41(m,4H);MS APCI m/z 341[MH]
【0278】
(実施例12)
以下の化合物は全て、記載の生物学的活性アッセイを使用して試験すると、200nM未満のNRI Kiおよび/またはSRI Kiを示した:
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−4−クロロ−2−メトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−クロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−[(1R,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−(ジシクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロプロピル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2−メトキシエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド(MS m/z APCI+:355[MH])、
3,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド(MS m/z APCI+:355[MH])、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド(MS m/z APCI+:341[MH])、
2−(エチルチオ)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド(MS m/z APCI+:347[MH])、
N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメトキシ)−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド(MS APCI+ m/z:371[MH])。
【0279】
生物学的活性
シンチレーション近接アッセイ(SPA)技術を使用して、ヒトセロトニンおよびノルアドレナリントランスポーター(それぞれSERTおよびNET)での選択的放射リガンドの結合を阻害するその能力により、化合物を生物学的活性に関して試験した。SERTまたはNET(hSERTおよびhNET)をコードするヒトcDNAを発現する細胞系から調製された細胞膜標本を使用し、放射リガンドH−シタロプラムおよびH−ニソキセチンを使用して、SPA結合を行った。
【0280】
i)細胞培養法
標準的な細胞培養技術を使用し、成長培地(組成に関しては培地および緩衝液参照)50mL中、225cmフラスコ中、37℃で、5%COが存在する加湿雰囲気中で、各トランスポーターを発現するヒト胚腎臓細胞(HEK−293)を連続培養として維持した。細胞を、1:3〜1:4の割合で、90%集密の単層から継代させた。細胞を採取するために、成長培地を単層から除去し、細胞を細胞分離溶液(Sigma)と共に、分離の兆候が示されるまでインキュベーションした。続いて、細胞をフラスコ底部から取り出し、後で使用する前に貯蔵のために(−80℃で凍結)、遠心分離によりペレット化した。
【0281】
ii)細胞膜標本
細胞ペレットを氷上で解凍し、細胞ペレットを分散させるためにボルテックスミキサーを使用して、充填細胞体積1mL当たり膜標本緩衝液(組成に関しては培地および緩衝液参照)3mLに再懸濁させた。氷の上で10分間インキュベーションした後に、懸濁液を、それぞれ10秒間隔で4回、手持ち式ホモジナイザーを使用して、均質化した。次いで、ホモジネートを1075×gで20分間、4℃で遠心分離した。
【0282】
次いで、上清を集め、保持した。続いて、最初の細胞および核ペレット(P1)を、再度均質化し、前記条件を使用して遠心分離し、上清を集め、第1の回転から保持されたものと共に貯留した。
【0283】
貯留された上清を35000×gで、30分間4℃で遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、ペレット(P2)を、当初充填細胞体積1ml当たり膜標本緩衝液1mlに再懸濁した。次いで、タンパク質濃度を測定し、膜懸濁液を、設定体積のアリコートで最終的に凍結し、アッセイで使用する前に−80℃で貯蔵した。
【0284】
iii)アッセイ方法
A.個々の膜バッチに最適なアッセイ条件の決定
特定のSPAビーズタイプは、各トランスポーターによって異なり、小麦麦芽凝集素コーティングされたケイ酸イットリウム(YSi WGA)SPAビーズを、hSERTのために、WGAコーティングされたポリビニルトルエン(PVT WGA)SPAビーズを、hNETアッセイのために使用した。使用される膜の各バッチに関して、ビーズおよび膜の最適な濃度を決定した。
【0285】
各トランスポーターに特異的なトリチウム標識放射リガンド(hSERTではH−シタロプラムおよびhNETではH−ニソキセチン)を使用した。アッセイ遊離放射リガンド濃度を、全遊離放射リガンド濃度に対するパーセンテージとして表し、放射リガンド消耗を推定した。両方のトランスポーターでのアッセイにおける放射リガンドの消耗は、結合に利用可能な十分な放射リガンドが存在することを保証するために30%未満であった。リガンド消耗値をさらに、新規の膜バッチを使用する場合に最適なアッセイ条件を選択するためにも使用した。個々のトランスポーターに対する特異的放射リガンドの親和性を、選択されたタンパク質およびビーズ濃度で、各膜バッチで決定した。K、トランスポーター結合部位の50%を占められる遊離放射リガンドの濃度を決定することにより、これを達成した。膜バッチでの放射リガンドに関する平均Kを、3つの別々のアッセイの最小値からのデータから決定した。続いて、ChengおよびPrussoff(Cheng YCおよびPrusoff WH、Relationship between the inhibition constant(K)and the concentration of inhibitor which causes 50% inhibition of an enzymatic reaction.Biochem Pharmacol 1973;22:2099〜3108)により決定された方法を使用して、研究された化合物のK値を決定することができるようにプロファイリングされた膜バッチを使用する全てのアッセイで、平均Kを使用した。
【0286】
B.アッセイプロトコル
ビーズ/膜複合体標本
必要量の膜を氷の上で解凍し、予め決定された体積のアッセイ緩衝液中のビーズ懸濁液に加えた。次いで、ビーズを、ビーズ1mg当たり予め決定されたタンパク質量を振盪器上、4℃の温度で2時間インキュベーションすることにより、予め結合させた。続いて、ビーズ/膜複合体を865×gで5分間回転させた。生じたペレットをアッセイ緩衝液に再懸濁させ、この回転/洗浄ステップを繰り返した。次いで、最終ペレットを、最終アッセイに必要な特異的濃度で、アッセイ緩衝液中に再懸濁させた。
【0287】
リガンド調製
H]−放射リガンドストックからのアリコートを、アッセイ緩衝液で希釈して、平衡解離定数(K)値未満の予め決定された最終アッセイ濃度を得た。
【0288】
化合物プレート調製
全ての試験化合物を、乾燥試料から、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中4mMの濃度で調製した。化合物をddHO中0.75%のDMSO中で希釈して、384ウェルプレートで適切な試験濃度を得て、最終体積20μLにした。同じ体積のアッセイ緩衝液を、プレートの特定のウェルに加えて、全放射リガンド結合の後続の測定を可能にした。さらに続いて、各トランスポーターアッセイに特異的な高濃度化合物20μLを予め決定されたウェルに加えて、非特異的結合(NSB)を決定した。フルオキセチン(10μMの最終アッセイ濃度)をhSERTのために、デシプラミン(40μMの最終アッセイ濃度)をhNETのために使用した。
【0289】
個々のトランスポーターアッセイそれぞれのために、調製された特定の放射リガンド20μLを、最終アッセイプレートの各ウェル(化合物溶液含有)に加えた。続いて、対応するビーズ/膜複合体20μLを、最終アッセイプレートの各ウェルに加えたが、その際、懸濁液がよく混合されることを保証した。次いで、プレートを密閉し、振盪しながら室温で1時間インキュベーションした。続いて、プレートを、暗順応を伴い、読み取り前にさらに6時間インキュベーションした。
【0290】
C.データ分析
1プレート当たりのアッセイウィンドウ(特異的結合)を、全結合測定値の平均から平均NSB測定値(1分当たりのカウントまたはcpm)を引くことにより算出した。続いて、1ウェル当たりのcpm測定値(平均NSBを引いて)を、プレートウィンドウのパーセンテージとして表して、トランスポーターに結合した放射リガンドの量を決定した。これらの値を、試験した化合物の濃度に対してプロットし、4パラメーターロジスティック式およびフリーフィッティングパラメーターを使用して、S字阻害濃度効果曲線を、データに合わせ、IC50値(神経伝達物質トランスポーターでの特異的結合を50%阻害するために必要な化合物の濃度)を得た。次いで、阻害解離定数(K)値を、Cheng−Prusoff式を使用して、IC50値から算出した。
【0291】
試験化合物での個々のK値を決定した後に、全体的な幾何平均を、95%信頼区間およびn値と共に算出した(nは、個々のK値の全数である)。実施例1、3、4および5で得られたKデータは、表1で見ることができる。
【0292】
iv)培地および緩衝液
hSERT細胞成長培地
DMEM、10%(w/v)透析FCS、
2mMのL−グルタミン(200mMストックから希釈)、
25mMのHEPES(1Mストックから希釈)、
ゲネテシン(genetecin)250μg/mL、
hNET細胞成長培地
DMEM、10%(w/v)FCS、
2mMのL−グルタミン(200mMストックから希釈)、
25mMのHEPES(1Mストックから希釈)、
ゲネテシン 250μg/mL。
【0293】
膜調製緩衝液
20mMのHEPES(ddHOで1Mストックから希釈)、室温でpH7.4、4℃で保存。使用前に、緩衝液50ml当たり完全プロテアーゼ阻害剤錠剤1個を溶かした。
【0294】
アッセイ緩衝液(1.5×最終アッセイ濃度)
30mMのHEPES(ddHOで1Mストックから希釈)および180mMのNaCl(ddHOで5Mストックから希釈)、室温でpH7.4、4℃で貯蔵。
【0295】
実施例1から12の化合物のNRI KiおよびSRI Kiを、次のように決定した。結果の抜粋を下記の表1に記載する。実施例化合物全てが、200nM未満のNRI Kiおよび/またはSRI Kiを示した。
【0296】
【表1】

【0297】
化合物をさらに次のように、疼痛モデルなどの特定の疾患モデルで試験することができる。
【0298】
神経障害性疼痛
神経障害性疼痛の治療における化合物の活性を、次の試験プロトコルに従い測定することができる。
【0299】
動物:オスのSDラットを、適切なサイズの群で飼育する。全ての動物は、飼料および水を自由に摂取させながら、12時間の明暗サイクル(7時0分に点灯)で維持する。全ての実験を、治療に関して盲検下の観察者により、Home Office Animals(Scientific Procedures)Act1986に従い実施する。
【0300】
神経障害性疼痛の慢性絞縮傷(CCI)ラットモデル
坐骨神経のCCIを、BennettおよびXie(Bennett GJ、Xie YK.A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man.、Pain:33:87〜107ページ、1988年)により以前に記載されたように行う。動物に、2%イソフルオラン/O2混合物で麻酔をかける。右後肢の大腿を剃り、1%のヨウ素で拭く。次いで、動物を手順の間、恒温ブランケットに移し、手術の間ノーズコーンを介して麻酔を維持する。大腿骨の線に皮膚を沿って切開する。通常の坐骨神経を、大腿二頭筋を介してのブラントジセクションにより、大腿の中央で暴露する。神経の下に鉗子を挿入することにより、神経約7mmを坐骨神経三分岐近くで外し、この神経を慎重に大腿から持ち上げる。鉗子を使用して、縫合糸を神経の下に引き、若干の抵抗が感じられるまで、単純な結び目で結び、次いで、二重に結ぶ。この手順を、約1mmの間隔で神経の周りに、4つの結紮(4−0シルク)がゆるく結ばれるまで繰り返す。切開を層状に閉じ、創傷を局所抗生物質で処置する。
【0301】
ラットにおけるストレプトゾシン(STZ)誘発糖尿病性神経障害
0.9%無菌食塩水に溶かしたてのストレプトゾトシン(50mg/kg)の1回腹腔内注射により、糖尿病を誘発する。ストレプトゾトシン注射は、3週間以内に少なくとも7週間続く再現性機械的異痛症を誘発する(Chen and Pan、(Chen SRおよびPan HL.Hypersensitivity of Spinothalamic Tract Neurons Associated With Diabetic Neuropathic Pain In Rats.J Neurophysiol 87:2726〜2733ページ、2002年)。
【0302】
静的および動的異痛症の評価
静的異痛症
異痛症を評価する前に、動物を、ワイヤ底の試験ケージに慣らす。静的異痛症を、フライ毛(Stoelting,Wood Dale、Illinois,USA)を、力を順に増しながら(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15および26グラム)、後肢の足底表面に当てて評価する。各フライ毛を、最大で6秒または引っ込め応答が生じるまで当てる。フライ毛に対する引っ込め応答が生じたら、引っ込めが生じたフィラメントよりも少ないフィラメントで開始し、続いて、残りのフィラメントで、力を弱めながら、引っ込めが生じなくなるまで、その足を再試験する。26gの最大力が後肢を持ち上げさせ、応答を誘発したら、これは、カットオフポイントを示している。各動物を、両方の後肢でこの方法により試験する。応答を誘発するために必要な最少の力は、グラムで足引っ込み閾値(PWT)と記録される。静的異痛症は、未処置のラットでは無害である4g以下の刺激に動物が応答したら存在すると定義される(Field MJ,Bramwell S,Hughes J.Singh L.Detection of static and dynamic components of mechanical allodynia in rat models of neuropathic pain:are they signalled by distinct primary sensory neurones?Pain,1999年;83:303〜11)。
【0303】
動的異痛症
綿芽で後肢の足底面を軽く打つことにより、動的異痛症を評価する。通常の運動活性を記録することを回避するために、活発でない完全に慣れたラットで、この手順を行うように配慮する。各時点で、少なくとも2回の測定を行い、その平均が、足引っ込め潜伏時間(PWL)を示す。15秒以内に反応が示されない場合には、手順を終え、動物をその引っ込め時間に当てる。疼痛引っ込め応答は往々にして、繰り返し足を脇によけたり、打ったりしながら達成される。動物が、叩き始めて8秒以内に綿刺激に応答したら、動的異痛症が存在すると考えられる(Fieldら、1999年)。
【0304】
侵害受容性疼痛
侵害受容性疼痛の治療における化合物の活性を、次の試験プロトコルにより測定することができる。
【0305】
ホットプレート
実験手順
オスのSDラットを、55±5℃に維持されたホットプレート(Ugo Basile,Italy)に置く。ホットプレートに動物を置いてから、前肢または後肢をなめるか、表面からジャンプするまでの時間を測定する。ベースラインの測定を行い、薬物投与の後に動物を再評価する。ホットプレート潜伏時間のカットオフタイムは、組織損傷を防ぐために20秒に設定する。
【0306】
卵巣子宮摘出術(OVX)
実験手順:メスのSDラットを、麻酔室に入れ、2%イソフルオランO混合物で麻酔をかける。手術の間、ノーズコーンを介して麻酔を維持する。OVXを、白線での正中線切開(長さ2cm)を介して行い、その間、動物を熱ブランケットの上に置く。5−0シルクで卵巣靱帯および頚を結紮するが、その際、単一クランプ技術を使用する。次いで、卵巣および子宮を除去する。4つの単一の中断縫合を使用して腹壁を閉じ、4つの創傷クリップを使用して皮膚を閉じる。手術直後に、動物を、個別のプレキシグラス室に入れる。麻酔から動物が回復したら、腹体位を30分で、様々な時点で記録する。評価される体位は、脊柱後湾、後肢の内向きの動きを伴う腹部筋肉の収縮、体の伸びおよび床方向への下部腹部の沈下である。これらの行動をそれぞれ、1つの体位に関して評価する。
【0307】
ブレナン
実験手順:オスのSDラットを、麻酔室に入れ、2%イソフルオランO混合物で麻酔をかける。手術の間、麻酔をノーズコーンを介して維持した。右後肢の足底面を、50%エタノールで清浄にした。長さ1cmの縦切開を、11番ブレードで、足の足底面の皮膚および筋膜を介して、かかとの近位端0.5cmから始め、つま先まで延ばして行う。鉗子を用いて、足底筋を持ち上げ、縦方向に切開し、筋起点および停止を無傷のままにする。軽い圧力で止血した後に、皮膚を、編み絹糸の2個の簡単な縫合糸で閉じる。
【0308】
モノヨード酢酸(MIA)誘発OAモデル
オスの6週齢SD(SD、Japan SLCまたはCharles River Japan)ラットにペントバルビタールで麻酔をかける。注射部位を剃り、70%エタノールで清浄にする。MIA溶液または生理食塩水25μlを、29G針を使用して、右膝関節に注射する。MIA注射の7、14、19および20日後に、ストレスをかけずに重量負荷(WB)を測定するために、ラットを訓練する。MIA注射の21日後に、各後肢2本でのWBを測定し、WB不足を算出する。WB不足値を「前値」と定義する。前値および前々値を考慮して、実験群を平均にアレンジする。試験化合物または媒体を投与した後に、各後肢でのWBを測定した。
【0309】
癌疼痛モデル
これらの実験では、成体のオスC3H/HeNマウス(Nihon SLC、静岡)を使用する。マウスを米国立衛生研究所ガイドラインに従い、22℃に維持された動物施設中で、12時間で変化する明暗サイクルで飼い、飼料および水を自由に摂取させた。使用する肉腫注射プロトコルは記載されている。イソフラン(2%)の吸入により全身麻酔を導入した後に、膝蓋骨の上にある皮膚でMoraはさみを使用して皮相切開を行った。次いで、膝蓋骨靱帯を切断し、遠位大腿骨の関節丘を暴露する。顆間ノッチのレベルで骨髄管に30ゲージ針を挿入して、最初の核経路を作成する。最初の核を作成した後に、29ゲージ針を使用して、骨への最終経路を作成する。次いで、空気式歯科用高速ハンドピースにおいて半円ドリルを使用して、0.5mm陥没を作成して、歯科用樹脂プラグのための機械的保持として役立てる。次いで、20μα最小必須培地(Sigma;擬注射)または2472溶骨性肉腫細胞1×10個を含む20μl培地(American Type Culture Collection,Rockville,Maryland;肉腫注射)を、29ゲージ針および25ccシリンジを使用して注射する。骨の外側への細胞の漏れを防ぐために、注射部位を、歯科用樹脂で閉じ、続いて、濾過水で十分に洗浄する。創傷閉鎖を、自動創傷クリップ(Becton Dickinson、San Jose,California)を使用して達成した。創傷クリップを、5日目に外して、行動試験の妨害を防ぐ。
【0310】
静的および動的異痛症の評価
静的異痛症
異痛症を評価する前に、動物を、ワイヤ底の試験ケージに慣らす。静的異痛症を、フライ毛(Stoelting,Wood Dale、Illinois,USA)を、力を順に増しながら(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15および26グラム)、後肢の足裏表面に当てて評価する。各フライ毛を、最大で6秒または引っ込め応答が生じるまで当てる。フライ毛に対する引っ込め応答が生じたら、引っ込めが生じたフィラメントよりも少ないフィラメントで開始し、続いて、残りのフィラメントで、力を弱めながら、引っ込めが生じなくなるまで、その足を再試験する。26gの最大力が後肢を持ち上げさせ、応答を誘発したら、これは、カットオフポイントを示している。各動物を、両方の後肢でこの方法により試験する。応答を誘発するために必要な最少の力は、グラムで足引っ込み閾値(PWT)と記録される。静的異痛症は、未処置のラットでは無害である4g以下の刺激に動物が応答したら存在すると定義される(Field MJ,Bramwell S,Hughes J.Singh L.Detection of static and dynamic components of mechanical allodynia in rat models of neuropathic pain:are they signalled by distinct primary sensory neurones?Pain,1999年;83:303〜11)。
【0311】
動的異痛症
綿芽で後肢の足底面を軽く打つことにより、動的異痛症を評価する。通常の運動活性を記録することを回避するために、活発でない完全に慣れたラットで、この手順を行うように配慮する。各時点で、少なくとも2回の測定を行い、その平均が、足引っ込め潜伏時間(PWL)を示す。15秒以内に反応が示されない場合には、手順を終え、動物をその引っ込め時間に当てる。疼痛引っ込め応答は往々にして、繰り返し足を脇によけたり、打ったりしながら達成される。動物が、叩き始めて8秒以内に綿刺激に応答したら、動的異痛症が存在すると考えられる(Fieldら、1999年)。
【0312】
輻射熱による足引っ込め
実験手順:熱による足引っこめを、ラット足底試験(Ugo Basile、Italy)を使用し、Hargreavesら(1988年)の変更方法に従い評価する。ラットを、高いガラステーブルの上の3つの個別のパースペックスボックスからなる装置に慣らす。可動式複写熱源を、テーブルの下に位置させ、後肢に焦点を合わせ、足引っ込め潜伏時間(PWL)を記録する。組織損傷を防ぐために、22.5秒を自動カットオフ点とする。各動物の両後肢で、PWLを2〜3回取り、この平均が、左右の後肢での基線を表す。装置を較正して、約10秒のPWLを得る。
【0313】
重量負荷
実験手順:動物を、「活動不能試験器」(incapacitance tester、Linton Instruments,Diss,Norkfolk,U.K.)を使用して、重量負荷試験で過敏性に関して試験する。ラットを、その前足でパースペックススロープに乗せ、後肢重量分布を、各後肢の下の力変換器を介して測定した。各動物を装置に置き、後肢により生じる重量負荷を記録する。重量負荷の差を、対側足(正常)から同側(損傷)足を引くことにより算出するが、これが、生データを構成する。
【0314】
炎症性疼痛
炎症性疼痛の治療における化合物の活性を、次の試験プロトコルに従い測定することができる。
【0315】
ラットにおけるCFA誘発重量負荷不足
オスの7週齢SDラットを一晩絶食させる。CFA(流動パラフィン(Wako)100μL中の結核菌H37RA(Difco Laboratories)300μg)を、ラットの右後肢蹠に注射する。CFA投与の2日後に、左(同側)と右(対側)足と後肢重量分布の変化を、Linton活動不能試験器(Linton Instrumentation、UK)を使用することにより、疼痛指数として測定する。0.1%MC(Wako)に懸濁されている試験化合物を、体重100g当たり1mlの体積で経口投与する。各動物を、装置に置き、後肢により生じる重量負荷を、薬物投与前、薬物投与の1、2および4時間後に測定する。
【0316】
ラットにおけるカラゲニン誘発機械的痛覚過敏
オスの4週齢SDラットを一晩絶食させる。ラムダカラゲニン(生理食塩水中1%w/v溶液0.1ml、ズシカガク)を足底内に注射することにより、痛覚過敏を誘発させる。試験化合物(0.1%メチルセルロース1ml/体重100g)を、カラゲニン注射の5.5時間後に経口投与する。足引っ込め閾値(グラム)を、無痛覚計(Ugo Basile)によりカラゲニン注射後の3.5、4.5、6.5および7.5時間目に測定する(Randall L.O.&Selitto I.J.,Arch.Int.Pharmacodyn.111,409〜419ページ、1957年)。
【0317】
ラットにおけるカラゲナン誘発熱痛覚過敏(CITH)
ラット足裏試験(Ugo Basile,Comerio、Italy)を使用し、Hargreavesら(1988年)により変更された方法に従い、熱痛覚過敏を評価する。簡略には、ラットを、ガラステーブルの上の3つの個別のパースペックスボックスからなる装置に慣らす。可動式輻射熱源を、テーブルの下に位置させ、所望の足に焦点を合わせる。足引っ込め潜伏時間(PWL)を各動物の両後肢で3回記録し、その平均が、左右の後肢での基線を表す。装置を較正して、未処置ラットで約10秒のPWLを得る。足裏領域の組織損傷を防ぐために、22.5秒カットオフを観察する。ラムダカラゲナンを右後肢に足底内注射(100μl、20mg/ml)し、PWTの基線記録を、投与の2時間後に行う。
【0318】
内臓疼痛
内臓疼痛の治療における化合物の活性を、次の試験プロトコルに従い測定することができる。
【0319】
内臓疾患を治療する際に化合物が有効であるかどうかを決定するために、いくつかのモデルを利用することができる。これらのモデルには、LPSモデル(Eutamene Hら、J Pharmacol Exp Ther 2000年295(1):162〜7ページ)、TNBSモデル(Diop Lら、Gastroenterology 1999年、116、4(2):A986)、IBDモデル(Clemett D,Markham A、Drugs 2000年4月;59(4):929〜56ページ)、膵臓疼痛モデル(Isia AM、Hosp Med 2000年6月;61(6):386〜9ページ)および内臓非消化性疼痛モデル(Boucher Mら、J Urol 2000年7月;164(1):203〜8)が含まれる。
【0320】
ラットにおけるTNBS誘発慢性内臓異痛症
覚醒時ラットにおける結腸膨満のこの実験モデルでは、近位結腸へのトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の予めの注射により、内臓疼痛閾値を低下させた。
【0321】
材料および方法:オスのSDラットを使用する。動物を通常の環境(20±1℃、湿度50±5%、AM8:00からPM8:00まで点灯)下に、1ケージ当たり3匹を飼育する。0日目に、麻酔下に(ケタミン80mg/kg、腹腔内;アセプロマジン12mg/kg、腹腔内)、TNBS(50mg/kg、エタノール30%中)または対照ラットには生理食塩水(1.5ml/kg)の注射を、近位結腸壁(盲腸から1cm)に行う。外科手術の後に、動物を個々に、ポリプロピレンケージ内で飼育し、通常の環境(20±1℃、湿度50±5%、AM8:00からPM8:00まで点灯)下に7日間保持する。TNBS投与後の7日目に、バルーン(長さ5〜6cm)を肛門に挿入し、カテーテルを尾の基部にテーピングすることにより、位置(肛門からバルーンの先端まで5cm)を維持した。試験化合物の経口投与を、結腸膨満サイクルの1時間前に行う:5mmHg(0.667kPa)ずつ、0から75mmHgまで、各膨張を30秒かけて、バルーンを徐々に膨張させる。結腸膨張の各周期を、標準的な圧調節器により制御する。閾値(mmHg)は、最初の腹部収縮をもたらす圧力に対応し、次いで、膨張サイクルを中止する。同じ動物で4回膨張サイクルを行った後に、結腸閾値を決定する。
【0322】
ラットにおけるLPS誘発直腸過敏症
細菌性リポ多糖類(LPS)の腹腔内注射により、覚醒ラットにおいて直腸痛覚過敏が誘発されることが判明している。
【0323】
材料および方法:動物を筋電図のために外科的に処置する。ラットに、アセプロマジン(0.6mg/kg)およびケタミン(120mg/kg)を腹腔内注射することにより麻酔をかける。3個の電極を含む3つの群を、鼠径部靱帯の真上の腹部外部斜筋系にインプラントする。電極を首の後ろで外面化させ、皮膚に取り付けたガラス管により保護する。動物を個別に、ポリプロピレンケージ内で飼育し、温度調節室(21℃)に保持する。食事(UARペレット、Epinay、France)および水を自由に摂らせる。
【0324】
手術の5日後に、筋電図記録を開始する。腹部横紋筋の電気的活性を、脳波計装置(Mini VIII Alvar,Paris,France)を用いて、低周波シグナル(<3Hz)を除くための短時間定数(0.03秒)および3.6cm/分の紙速度を使用して記録する。スパイクバーストを、腹部収縮の指数として記録する。
【0325】
膨満手順:動いたり、逃げたり反転することができないプラスチック製トンネル(直径6cm×長さ25cm)に、ラットを入れて、バルーンに対する損傷を防ぐ。動物を、直腸膨満の前4日間、この手順に慣れさせて、実験の間のストレス反応を最小にする。膨満に使用されるバルーンは、動脈塞栓摘出用カテーテル(Fogarty,Edwards Laboratories Inc.)である。直腸膨満を、バルーン(直径2mm×長さ2cm)を肛門から1cmの所で直腸に挿入することにより行い、尾の基部でカテーテルを固定する。0.4mlずつ、0から1.2mlの微温水を用いて、徐々に膨張させるが、各膨張を5分間続ける。起こりうる漏れを検出するために、バルーンに導入された水の体積を、膨張期間の終了時にシリンジを用いて完全に除去することによりチェックする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体
【化1】

[式中、
は、H、C1〜6アルキル、−C(A)D、C3〜8シクロアルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、ここで、前記シクロアルキル、アリールまたはhet基は、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCHF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよく、
Aは、SまたはOであり、
Dは、H、C1〜6アルキル、アリール、het、アリール−C1〜4アルキルまたはhet−C1〜4アルキルであり、
アリールは、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
hetは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環を表し、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む第2の4員、5員または6員の複素環に縮合していてもよく、
は、Bから独立に選択される少なくとも1個の置換基によりそれぞれ置換されていてもよいアリールまたはhetであり、
Bは、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、het、Oアリール、Ohet、SC1〜6アルキル、Sアリール、Shet、OH、ハロ、CF、CHF、OCHF、OCF、SCF、CFCF、CHCF、CFCH、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ、C3〜6シクロアルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、OC3〜6シクロアルキル、SC3〜6シクロアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキル、アリール−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルを表し、ここで、前記アリールおよびhet基は、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の基で置換されていてもよく、
アリールは、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
hetは、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む5員または6員の芳香族複素環であり、アリール基に縮合していてもよく、
それぞれ存在する毎に、アリールは独立に、フェニル、ナフチル、アントラシルまたはフェナントリルを表し、
それぞれ存在する毎に、hetは独立に、少なくとも1個のN、OまたはSヘテロ原子を含む4員、5員または6員の芳香族または非芳香族複素環を表し、5員または6員の炭素環基または少なくとも1個のN、OもしくはSヘテロ原子を含む第2の4員、5員または6員の複素環に縮合していてもよく、
nは、1または2であるが、ただし、nが1である場合、mは0または1であり、nが2である場合、mは0であり、ここで、mが0である場合には、*はキラル中心を表し、
は、(CHEであり、ここで、aは0、1または2であり、Eは、
(i)
【化2】

(ここで、
Xは、O、S、NR12、(CHまたは結合であり、
bは、1、2、3または4であり、
cは、1、2または3であり、
vは、1または2であり、
10およびR11はそれぞれ独立に、HまたはC1〜4アルキルであり、
12は、H、C1〜6アルキル、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルであり、
ここで、隣接する炭素または窒素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
(ii)6から12個の炭素原子を含む炭素環式スピロ基、
(iii)
【化3】

(ここで、
dは、1、2、3または4であり、
eは、1、2または3であり、
fは、1または2であり、
30は、HまたはC1〜4アルキルであり、
ここで、隣接する炭素原子上の1つまたは複数の水素原子対は、その環系が芳香族でなければ、対応する数の二重結合に置き換えられていてもよい)、
(iv)
【化4】

(ここで、
gは、0、1、2または3であり、
Jは、NR40であり、
40は、C(O)C1〜6アルキル、SO−C1〜6アルキルである)、
(v)
【化5】

(ここで、
hは、0、1、2または3であり、
50は、H、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルである)、
(vi)−CH(シクロプロパン)
(vii)C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されているC1〜6アルキル、ならびに
(viii)C3〜8シクロアルキル−C1〜6アルキル(ここで、前記C1〜6アルキル部分は、前記C3〜8シクロアルキル部分との結合位置以外の任意の位置で、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されており、前記C3〜8シクロアルキル部分は、C1〜8アルキル、C1〜6アルコキシ、OH、ハロ、CF、OCF、SCF、CN、CFCF、CF−C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜6アルキルおよびC1〜4アルキル−S−C1〜4アルキルから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい)
から選択される基である]。
【請求項2】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが0であり、*がRまたはS鏡像異性体を表す、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
*がS鏡像異性体を表す、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、Bから独立に選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよいアリールである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Bが、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、アリール、Oアリール、SC1〜6アルキル、Sアリール、C3〜6シクロアルキル、ハロ、CF、OCF、OCHF、CFCH、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキルオキシおよびアリール−C1〜4アルキルを表し、ここで、前記アリール基は独立に、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OC3〜6シクロアルキル、ハロ、CN、OH、CF、CHF、OCF、OCHF、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、SC1〜6アルキルおよびSCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Eが、請求項1に記載の(i)、(ii)、(vi)および(vii)から選択される、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−4−クロロ−2−メトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−2−クロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−[(1R,5S)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−(ジシクロプロピルメチル)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
N−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロプロピル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2,2−ジフルオロエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
N−(2−メトキシエチル)−2−フェノキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
3,4−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
2,3−ジクロロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド、
2−(エチルチオ)−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ベンズアミド、
ならびにその薬学的および/または獣医学的に許容できる誘導体から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物ならびに薬学的に許容できる補助剤、希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
医薬品として使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
哺乳動物においてモノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害を治療するための医薬品の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
哺乳動物においてセロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関係する障害を治療するための医薬品の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関係する、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
哺乳動物において尿障害、うつ病、疼痛、早漏、のぼせ、ADHDまたは線維筋痛症を治療するための医薬品の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
哺乳動物においてGSIまたはUSIなどの尿失禁を治療するための、請求項14に記載の化合物の使用。
【請求項16】
哺乳動物において疼痛を治療するための、請求項14に記載の化合物の使用。
【請求項17】
治療的有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、モノアミントランスポーター機能の調節が関係する障害の治療法。
【請求項18】
治療的有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、セロトニンまたはノルアドレナリンの調節が関係する障害の治療法。
【請求項19】
セロトニンおよびノルアドレナリンの調節が関係する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療的有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、尿障害、うつ病、疼痛、早漏、のぼせ、ADHDまたは線維筋痛症の治療法。
【請求項21】
前記尿障害が、GSIまたはUSIなどの尿失禁である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
疼痛を治療する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
式(X)の化合物:
【化6】

[式中、R、nおよびmは、前記と同様に定義され、Yは、Rまたは保護基である]と、酸またはアシルハロゲン化物:RCOX(式中、XはOHまたはハロである)とを反応させ、必要であるか所望の場合に脱保護することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。

【公表番号】特表2008−523136(P2008−523136A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546216(P2007−546216)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003742
【国際公開番号】WO2006/064332
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】