説明

センサー付きディスプレイ装置

【課題】あらゆる大きさ、表面形状の画面を構成することができるセンサー付きディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】センサー付きディスプレイ装置10は、周縁部にセンサー120を備えた多角形のディスプレイ素子100を複数配置して表示画面を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー付きディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面表示に対する選択手段としてタッチセンサを画面上に配置したタッチパネルディスプレイが実用されている。タッチパネルディスプレイでは、ボタンや文字などが表示された部分に直接タッチするだけで容易に選択指示が行えるので幅広く利用されており、様々な構造や構成のディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−264845号公報(第7頁〜第12頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年のディスプレイ装置は大画面化が進行しているが、大きなディスプレイに従来のタッチパネルまたはタッチパネル機能を搭載しようとすると、製造コストが著しく高くなるという課題があった。これは、従来のタッチパネルディスプレイでは、ディスプレイの大きさに合わせてその都度タッチパネルまたはタッチパネル機能部を製造する必要があったためである。
【0004】
また、従来のタッチパネルディスプレイでは、検出構成の一部または複数の部分が故障することで全ての検出が不能となる場合があるという課題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、あらゆる大きさ、表面形状の画面を構成することができるセンサー付きディスプレイ装置を提供することが一例として挙げられる。また、本発明が解決しようとする別の課題としては、部分的な検出構成の故障に対しても検出精度が損なわれることなく、且つメンテナンス性の高いセンサー付きディスプレイ装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のセンサー付きディスプレイ装置は、画像を表示させる表示部と該表示部の周縁に設けられたセンサーとを備えた多角形のディスプレイ素子を複数配置して表示画面を構成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係るセンサー付きディスプレイ装置は、画像を表示させる表示部が中央部分に設けられ、その表示部の周縁部分にセンサー(タッチセンサー等)を備えた多角形の外形形状を有するディスプレイ素子を複数配置して装置全体の表示画面を構成することを、その最良の実施形態としている。
この構成により、あらゆる大きさ、表面形状の画面を構成することができ、また、部分的な検出構成の故障に対しても検出精度が損なわれることなく、且つメンテナンス性の高いセンサー付きディスプレイ装置を得ることができる。
【0008】
さらに、前記ディスプレイ素子は4角形であることが好ましい。これにより、表示画面全体が4角形の場合、隙間無く敷き詰めることができる。特に、正方形や長方形の場合はディスプレイ素子の製造が容易であるが、平行四辺形、菱形など他の形状の4角形でもよい。
【0009】
あるいは、前記ディスプレイ素子は6角形であることが好ましい。これにより、4角形の場合と比較して、周縁に配置されるセンサーの向きの種類が増える(縦・斜め2方向の3種類となる)ため、センシングの精度が高くなる。
【0010】
あるいは、前記ディスプレイ素子は8角形であることが好ましい。これにより、さらに6角形の場合より、周縁に配置されるセンサーの向きの種類が増える(縦・横・斜め2方向の4種類となる)ため、センシングの精度がさらに高くなる。また、8角形の場合は必然的に隙間(画像が表示されない箇所)ができる。この隙間は他の部材で塞ぐようにしてもよいが、意図的に空間にしておくことにより、例えば、通風を良くしたり、ディスプレイの背景がこの空間から透けて見える効果を得ることもできる(又はこの空間にガラス等の透明な部材も嵌め込んでもよい)。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明の実施形態の具体的な一実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例におけるセンサー付きディスプレイ装置の構成を概念的に示す模式図である。図1に示すように、センサー付きディスプレイ装置10は、複数のディスプレイ素子100を平面上に配置して構成される。この構成によって、各ディスプレイ素子100に表示される画像を組み合わせて、センサー付きディスプレイ装置10全体で、例えば、画像110aを表示することができる(画像110aは、センサー付きディスプレイ装置10全体で表示される画像の一例を模式的に示したものである)。
【0012】
図2は、図1に示すセンサー付きディスプレイ装置10を構成するディスプレイ素子100の外観を示す模式図である。ディスプレイ素子100は、表示部110、センサー120、レセプター130を備えており、複数の素子を連結することで任意の形状、大きさのディスプレイ装置を構成することができる。このセンサー120は、必要な分解能に応じて、4辺を1つものでカバーするようにしてもよいし、各辺に1つ等、必要に応じて独立したものを複数設けてもよい。
【0013】
図3は、ディスプレイ素子100の断面構造を模式的に示す図である。素子の上面に表示部110が、表示部110の周縁部にセンサー120が配置されている。この表示部110は、液晶ディスプレイ等であり、下層にバックライト140、制御モジュール150、電源及び制御信号線160、レセプター130の順に積層される。レセプター130には連結部があり、相互に接続してセンサー付きディスプレイ装置10を形成する。すなわち、表示部110は、液晶などの表示素子で形成され、外部から入力される画像信号に応じて表示を行う。センサー120は、指による押下などの接触を検知する。
【0014】
バックライト140は、表示部110におけるバックライトである。制御モジュール150は、外部から入力される画像信号を表示部110へ伝達したり、センサー120からの検知信号を外部へ伝達したりして、ディスプレイ素子100の動作全般に係る制御を行う。電源及び制御信号線160は、制御モジュール150と外部との接続を担うインターフェース部分に配置され、レセプター130を介して外部と接続する。
【0015】
レセプター130は、表示部110やセンサー120を含むブロックを載置するための構造体で、ディスプレイ素子同士を連結できるような形状に加工されている。また、隣接するディスプレイ素子との電気的な接続も可能なように配線されている。
【0016】
ところで、本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置を構成するディスプレイ素子は、以上に述べた実施例のような4角形に限定されるものではなく、あらゆる多角形形状への応用が可能である。
図4は、外形の形状が6角形の例(ディスプレイ素子101)及びその連結例を示す要部拡大模式図である。また、図5は、外形の形状が8角形の例(ディスプレイ素子102)及びその連結例を示す要部拡大模式図である。
【0017】
図4または図5において、各ディスプレイ素子101,102の表示部111,112は、例えば、複数のRGB画素200を敷き詰めることによって構成されており、これによりカラー画像を表示することができる。
なお、前述の4角形のディスプレイ素子100の表示部110では、細部を省略したが、同様に、複数のRGB画素を敷き詰めることによって構成されていてもよい。
【0018】
図4または図5に示すように、4角形の場合と比較して、周縁に配置されるセンサー120の向きの種類が増えるため、センシングの精度が高くなる。つまり、4角形の場合は、縦・横の2種類であるが、6角形は縦と斜め2方向の3種類、8角形は縦・横と斜めの2方向の4種類になるので、例えば、図4または図5の矢印で示す軌跡に沿って、ディスプレイ上を指などでスキャンする(指などでなぞる)場合などにおいて検知精度が高い。但し、8角形のディスプレイ素子の場合は、連結して配置する際に、隙間170が生じる。
【0019】
図6は、6角形のディスプレイ素子を配置して形成したセンサー付きディスプレイ装置に画像を表示した一例を概念的に示す図である。
【0020】
次に、上記構成のセンサー付きディスプレイ装置の動作について説明する。なお、ディスプレイ素子を多数連結して形成したセンサー付きディスプレイ装置の画像表示動作は、従来のディスプレイにおける公知の表示制御方法を用いてよく、従って詳細な説明は省略する。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置におけるセンサーの接触検知方法について説明する。
図7は、本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置の、センサーの接触検知方法を説明するための図である。図では、4角形のディスプレイ素子を配置したセンサー付きディスプレイ装置を例示している。m行n列に配置された素子の4辺の各々をA(m,n)、B(m,n)、C(m,n)、D(m,n)とすると、本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置を構成するディスプレイ素子は、各々のモジュールサイズが小さいことからD(1,1)&B(1,2)、C(1,1)&A(2,1)、もしくは面単一などの検出判別で簡略化することが可能となる。従って、従来の画面位置を検出する接触検知方法ではシステム故障に至るような場合でも、故障していないセル(素子)での検出によって全体のシステム故障を回避することができる。
【0022】
また、図8に示すように、6角形のディスプレイ素子を配置したセンサー付きディスプレイ装置でも同様の接触検知が行える。例えば、ディスプレイ上を指でスキャンしながら右方向に動かす場合、仮にDとEに示す素子が不良であったとしてもセンサーは独立しているので、水平(垂直)のラインが全て検出不良にはならず、該当箇所のディスプレイ素子を交換するだけで故障を修復できる。従って、従来のタッチパネルに比較して容易にメンテナンスを行うことができる。
【0023】
以上に説明した各形状のディスプレイ素子100,101,102の大きさは、例えば、指先程度、すなわち差し渡し1cm程度が好ましい。これにより、指でスキャンした場合に、スキャン位置として指の太さ程度の分解能を得ることができる。
但し、本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置は、ディスプレイ素子の大きさは上記の大きさに限定されるものではなく、また、ディスプレイ素子及びセンサーの数と配置は適宜設定することができる。
【0024】
ここで、本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置の具体的な適用例について説明する。
【0025】
本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置は、小さなディスプレイ素子を連結して構成するため、形状や大きさの自由度とともに画面の表面形状に係る自由度も大きい。
【0026】
図9は、湾曲した平面状にディスプレイ素子を配列して構成したセンサー付きディスプレイ装置を模式的に示す図である。表示の制御方法によっては、従来の平面的なディスプレイ装置で不可避的に生じる角部分の歪を緩和することが期待される。
【0027】
また、図10は、球面にディスプレイ素子を配列して構成した球面型のセンサー付きディスプレイ装置を模式的に示す図である。このディスプレイ装置では、あらゆる方向から表示を視認することができる。
【0028】
このように、本発明の実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置を適用すれば、あらゆる大きさや表面形状の画面を構成することができる。特に、画面を大きくしてもセンサーの検出解像度の低下を防ぐことができ、また画面の大型化に係るコストの急激な上昇を抑えることができる。さらに、メンテナンス性にも優れる。
【0029】
なお、前述の実施例では、表示部110を液晶ディスプレイとしたが、これに限定されるものではなく、有機EL(Electroluminescence),無機EL(Electroluminescence),LED(Light Emitting Diode),PDP(Plasma Display Panel)などを用いた表示ディスプレイを用いてもよい。また、センサー120は、物理的な接触を検知可能な圧電センサーやスイッチ類等の他、光検知センサーなどの非接触センサーであってもかまわない。
【0030】
以上、詳述したように、本実施形態に係るセンサー付きディスプレイ装置10は、周縁部にセンサー120を備えた多角形のディスプレイ素子100を複数配置して表示画面を構成する。
【0031】
これにより、所定形状のディスプレイ素子を2次元または3次元的に自在に連結すれば、あらゆる大きさや表面形状の画面を従来と比較して安価に構成することができる。また、ディスプレイ素子が故障しても隣接する素子で検出を行うことができ、当該素子を交換するだけで故障を解消することができるため、部分的な故障によって検出精度が損なわれることがなく、メンテナンス性にも優れるセンサー付きディスプレイ装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置の構成を概念的に示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置を構成するディスプレイ素子の外観を示す模式図である。
【図3】ディスプレイ素子の断面構造を模式的に示す図である。
【図4】外形の形状が6角形のディスプレイ素子と、その連結例を示す模式図である。
【図5】外形の形状が8角形のディスプレイ素子と、その連結例を示す模式図である。
【図6】6角形のディスプレイ素子を配置して形成したセンサー付きディスプレイ装置を概念的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置の、センサーの接触検知方法を説明するための図である(4角形)。
【図8】本発明の実施形態におけるセンサー付きディスプレイ装置の、センサーの接触検知方法を説明するための図である(6角形)。
【図9】湾曲した平面状にディスプレイ素子を配列して構成したセンサー付きディスプレイ装置を模式的に示す図である。
【図10】球面にディスプレイ装置を配列して構成した球面型のセンサー付きディスプレイ装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 センサー付きディスプレイ装置
100、101、102 ディスプレイ素子
110、111、112 表示部
120 センサー
130 レセプター
140 バックライト
150 制御モジュール
160 電源及び制御信号線
170 隙間
200 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示させる表示部と該表示部の周縁に設けられたセンサーとを備えた多角形のディスプレイ素子を複数配置して表示画面を構成することを特徴とするセンサー付きディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ディスプレイ素子は4角形であることを特徴とする請求項1に記載のセンサー付きディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ディスプレイ素子は6角形であることを特徴とする請求項1に記載のセンサー付きディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ素子は8角形であることを特徴とする請求項1に記載のセンサー付きディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−187794(P2007−187794A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4694(P2006−4694)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】