説明

センサ付軸受

【課題】センサ部への異物の侵入を防止し、長期に亘って高精度にその回転状態を計測可能な信頼性の高いセンサ付軸受を低コストに提供する。
【解決手段】回転輪2の回転状態を検出するセンサ20には、被検出体22の回転状態を検出する検出体24が備えられ、検出体24を収容するハウジング本体26、及びハウジング本体26を位置決め固定するハウジングカバー28でなるセンサハウジング25が設けられたセンサ付軸受Aであり、被検出体22は回転輪2に固定され、検出体24はハウジング本体26へ収容された状態でハウジングカバー28を介して静止輪4に固定され、被検出体22とセンサハウジング25のいずれか一方に一体的に設けることが可能なシール部材34を被検出体に一体的に設けた場合、シール部材34をハウジング本体26の外側から接触させることで、センサ20の配設側が密封され、軸受外部からの異物の侵入が防止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の産業用機械(例えば、工作機械、組立機械及び計測機械等)や家庭用電化製品などに備えられた回転軸を回転自在に支持し、その回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測するためのセンサ機能を有するセンサ付軸受のシール構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の産業用機械(例えば、工作機械、組立機械及び計測機械等)や家庭用電化製品などにおいて、これら装置に組み込まれた回転軸を適正な状態で回転させるべく、その回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測するため、当該回転軸を回転自在に支持する軸受に対し、センサ機能を設けた構成が知られている。また、その内部を密封状態(気密状態及び液密状態)に保ち、当該内部に封入した潤滑剤(例えば、潤滑油やグリースなど)の外部への漏洩を防止するとともに、外部から内部への異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を防止するため、前記軸受に対し、シール構造を設けた構成が知られている。
そして、部品点数の削減や組付作業の容易化などにより低コスト化を図るべく、シール構造にセンサ機能を併設させた軸受の構成も知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、シール部材である回転ディスク(非接触型シールド)にその回転状態(回転速度)を計測するためのセンサの被検出体(エンコーダ)を取り付けた、軸受のシール構造(密閉構造)が一例として開示されている。
しかしながら、特許文献1には、前記センサの検出体の構成について言及されておらず、当該検出体と被検出体を備えたセンサ機能をシール構造に併設させた軸受構成とすることはできない。
【0004】
これに対し、特許文献2には、検出体と被検出体を備えたセンサ機能をシール構造に併設させた軸受(センサ付軸受)の構成が一例として開示されている。
この場合、かかるセンサ付軸受においては、図4に示すようにシール部材(接触型シール)50に取り付けられた被検出体(磁気エンコーダ)62と、ホルダ部材(センサハウジング)66に収容された検出体(磁気センサ)64とが所定の間隔を空けて対向配置されており、外輪44に固定されたシール部材50とともに回転する被検出体62が、検出体64に対して相対回転する構造となっている。これにより、被検出体62の回転により生じる磁気変化(一例として、磁束密度の変化)を検出体64によって検出することで、センサ付軸受の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)が計測されている。
【0005】
その際、検出体64には所定の電源装置から電力が供給されるとともに、当該検出体64から出力された被検出体62の回転状態を示す検出信号が所定の信号処理部(図示しない)に送信されており、当該電力供給及び信号送信は、これらの動作を制御するための回路が配線された基板(回路基板)70によって行われている。
なお、かかるセンサ付軸受において、内外輪42,44は相対回転可能に対向配置されており、外輪44がセンサ付軸受の回転軸(図示しない)とともに回転する回転輪として構成されているのに対し、内輪42が常時静止状態に維持される静止輪として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−281018号公報
【特許文献2】特開2005−9671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、かかるセンサ付軸受においては、その内部がシール部材50によって密封(シール)され、気密状態並びに液密状態に保たれているのに対し、被検出体62と検出体64との間に形成される空隙部(以下、センサ部という)80は、完全に軸受外部に対して露出され、開放された状態となっている。
すなわち、かかるシール部材50ではセンサ部80のシール性を確保することができず、当該センサ部80には、軸受の外部から異物(例えば、鉄粉や水など)が侵入しやすい。
【0008】
例えば、センサ部80に鉄粉などの磁性体が侵入した場合、設計時に意図した本来の磁気回路とは異なる磁気回路が形成される虞がある。この場合、被検出体62の回転により生じる磁気変化に影響を与え、検出体64による当該磁気変化の検出精度の悪化や、磁気変化の検出自体が不可能になるなどの問題が生じてしまう。すなわち、結果として軸受の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)の計測精度の悪化、さらには計測不能となる事態を招く場合がある。
また、例えば、センサ部80に水などの液体が浸入した場合、回路基板70のショートや、はんだ付け部分の腐食などの問題が生じてしまう虞がある。この場合も、結果として軸受の回転状態の計測精度の悪化や、計測不能となる事態を招いてしまう。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、センサ部への異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を防止することで、長期に亘って高精度にその回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測することが可能な信頼性の高いセンサ付軸受を低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明は、非回転状態に維持される静止輪と、当該静止輪に対向配置されて回転する回転輪と、当該回転輪の回転状態を検出するセンサを備えており、前記センサには、前記回転輪と同一の回転状態で回転する被検出体と、当該被検出体の回転状態を検出する検出体が備えられ、当該検出体を収容するハウジング本体、及び当該ハウジング本体を位置決め固定するように、当該ハウジング本体の外側を覆っているハウジングカバーでなるセンサハウジングが設けられたセンサ付軸受であって、被検出体は、前記回転輪に固定されて当該回転輪とともに回転するのに対し、検出体は、前記被検出体と所定間隔を空けて対向可能となるように前記ハウジング本体へ収容された状態で前記ハウジングカバーを介して前記静止輪に固定されており、前記被検出体と前記センサハウジングの、少なくともこれらのいずれか一方に一体的に設けることが可能なシール部材を備え、前記シール部材を前記被検出体に一体的に設けた場合、当該シール部材を前記ハウジング本体の外側から接触させることで、前記センサの配設側が密封され、軸受外部からの異物の侵入が防止されている。
本発明において、前記シール部材は、複数のシールリップを有して構成されており、前記被検出体に一体的に設けられた前記シール部材は、各シールリップを前記センサハウジングの外側に接触させている。
また、本発明は、非回転状態に維持される静止輪と、当該静止輪に対向配置されて回転する回転輪と、当該回転輪の回転状態を検出するセンサを備えており、前記センサには、前記回転輪と同一の回転状態で回転する被検出体と、当該被検出体の回転状態を検出する検出体が備えられ、当該検出体を収容するハウジング本体、及び当該ハウジング本体を位置決め固定するように、当該ハウジング本体の外側を覆っているハウジングカバーでなるセンサハウジングが設けられたセンサ付軸受であって、被検出体は、前記回転輪に固定されて当該回転輪とともに回転するのに対し、検出体は、前記被検出体と所定間隔を空けて対向可能となるように前記ハウジング本体へ収容された状態で前記ハウジングカバーを介して前記静止輪に固定されており、前記被検出体と前記センサハウジングの、少なくともこれらのいずれか一方に一体的に設けることが可能なシール部材を備え、前記シール部材を前記センサハウジングに一体的に設けた場合、当該シール部材を前記被検出体と接触させることで、前記センサの配設側が密封され、軸受外部からの異物の侵入が防止されている。
本発明において、前記シール部材は、複数のシールリップを有して構成されており、前記センサハウジングに一体的に設けられた前記シール部材は、各シールリップを前記被検出体に接触させている。
また、上記した発明において、前記センサは、磁気センサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサ付軸受によれば、センサ部への異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を防止することで、長期に亘って高精度にその回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測することができ、信頼性の高いセンサ付軸受を低コストに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサ付軸受の構成例を示す縦断面図。
【図2】第1実施形態の変形例に係るセンサ付軸受の構成例を示す縦断面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るセンサ付軸受の構成例を示す縦断面図。
【図4】従来のセンサ付軸受の構成例を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るセンサ付軸受について、添付図面を参照して説明する。図1には、本発明の第1実施形態に係るセンサ付軸受(以下、単に軸受Aという)が示されており、当該軸受Aには、非回転状態に維持される静止輪4と、当該静止輪4に対向配置されて回転する回転輪2と、当該回転輪2の回転状態を検出するセンサ20とが備えられている。
この場合、内輪が軸受Aの回転軸(図示しない)とともに回転する回転輪2として構成されているとともに、外輪が常時非回転状態に維持される静止輪4として構成されており、当該内外輪2,4間には、保持器8のポケット内に1つずつ回転自在に保持された状態で、複数の転動体(玉)6が転動可能に組み込まれている。かかる内輪2の外周面、並びに外輪4の内周面には、それぞれ転動体(玉)6を転動させるための軌道面2a,4aが全周に亘って形成されている。
【0014】
なお、図1には内輪2を回転輪、外輪4を静止輪とした構成が一例として示されているが、軸受Aの使用条件や使用目的などに応じて、内輪2を静止輪、外輪4を回転輪とした構成とすることも可能である。また、図1に示す構成においては、内外輪2,4の軌道面2a,4aを軸受Aの軸方向幅の略中央に位置付けているが、軸方向幅の中央から左側あるいは右側にずらして軌道面2a,4aを形成してもよい。
【0015】
転動体6としては、図1に示すような玉を適用してもよいし、センサ付軸受の使用条件や使用目的などに応じて各種のころ(円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなど)を適用してもよい。また、保持器8としては、転動体6の種類に応じて任意のタイプを適用すればよい。例えば、転動体を玉とした場合、図1に示すような波型の合わせタイプや冠型などのタイプを適用することができ、転動体を各種のころ(円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなど)とした場合、もみ抜き型、くし型及びかご型などのタイプを適用することができる。その際、保持器8の材質は特に限定されず、転動体6の種類や材質などに応じて各種の金属製や樹脂製などとすればよい。
【0016】
また、図1に示す構成において、軸受Aには、軸方向(図1の左右方向)の一方側(同図の左側)へ、環状を成すシール部材10が内外輪2,4間に介在されている。この場合、図1には、シール部材10を非接触型のシールとした構成が一例として示されており、当該シール部材10は、各種の弾性材(例えば、ニトリルゴムやフッ素ゴム等)などで構成され、その外径部が外輪4に形成された取付溝4mに固定されるとともに、その内径部に設けられたリップ部が内輪2に形成されたシール溝2mと極僅かな隙間を空けて対向するように位置決めされている。
【0017】
これにより、軸受Aは、前記一方側が軸受外部に対して密封(シール)され、軸受内部に封入された潤滑剤(例えば、潤滑油やグリースなど)の軸受外部への漏洩や、軸受外部の異物(例えば、鉄粉や水など)の軸受内部への侵入を有効に防止可能な構造とすることができる。
【0018】
なお、シール部材10の大きさ、形状及び数は、例えば、軸受Aの大きさなどによって任意に設定すればよいため、ここでは特に限定しない。また、シール部材10として、図1に示すような非接触型シールに代えて、その内径部(リップ部)が内輪2に形成されたシール溝2mに摺接する接触型のシール(例えば、鋼板製の芯金の全体若しくは一部を各種の弾性材で連結して成るシールなど)や、非接触型のシールド(例えば、ステンレス板、鉄板等の薄い金属板からプレス成形されたシールドなど)を適用してもよい。シール部材を接触型シールとした場合、例えば、当該シール部材の内径部の先端に複数のリップ部を設け、当該各リップ部を上述したシール溝2mの底部や側面部などにそれぞれ接触させることで、さらに軸受Aのシール性(気密性及び液密性)を高めることができる。
【0019】
これに対し、軸受Aには、軸方向(図1の左右方向)の他方側(同図の右側(以下、センサ配設側という)へセンサ20が備えられており、当該センサ20には、回転輪である内輪2と同一の回転状態で回転する被検出体22と、当該被検出体22の回転状態を検出する検出体24が備えられている。
【0020】
ここで、センサ20としては、例えば、磁気状態の変化(磁界の強弱や向き(具体的には、磁束密度の変化)など)を検出する磁気センサ、あるいは照射光に対する反射光の状態変化を検出する光学センサなどを任意に選択して用いることができる。本実施形態においては、一例として、センサ20が磁気センサである場合を想定し、かかる磁気センサの被検出体22として、周方向に沿って複数の欠落部位を有する環状部材(以下、トーンリング22という)を適用するとともに、検出体24として、トーンリング22が回転することにより生じる磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)を検出する磁気検出体、具体的にはホールIC(Integrated Circuit)やMR(Magneto Resistance)素子など(以下、検出素子24という)を適用している。
【0021】
なお、センサ20には所定の回路が配線された基板(以下、回路基板という)30が設けられており、当該回路基板30によって検出素子24に所定の電源装置(図示しない)から電力が供給されるとともに、当該検出素子24から出力された信号(エンコーダ22の回転状態を示す電気信号)が所定の信号処理部(図示しない)に送信されるセンサ構造となっている。この場合、検出素子24や信号処理部(図示しない)は、回路基板30に直接接続させてもよいし、ケーブル(図示しない)などを介して接続させてもよい。
【0022】
図1において、トーンリング22は、その外径寸法と内径寸法との寸法差(径差)が軸受Aの径差(外輪4の外径寸法と内輪2の内径寸法との差寸)よりも小さな寸法に設定された円板部22aと、当該円板部22aの内周縁及び外周縁にそれぞれ連続して軸受Aの外方(図1の右方)へ延出された2つの対向する円筒部22b,22c(以下、円板部22aの内周縁に連続する円筒部を内側円筒部22b、外周縁に連続する円筒部を外側円筒部22cという)により構成されており、当該外側円筒部22cは、その延出縁を所定間隔(一例として、等間隔)で欠落させ、当該延出縁が凹凸状(例えば、短冊状など)となるように構成されている。なお、外側円筒部22cの延出縁を凹凸状とする代わりに、例えば、周方向に所定間隔(一例として、等間隔)で貫通孔を形成した構成(梯子状など)としてもよい。
【0023】
なお、本実施形態においては、一例として、センサ20が磁気センサである場合を想定し、かかる磁気センサの被検出体22として、周方向に沿って複数の欠落部位を有するトーンリングを適用しているが、被検出体22をかかるトーンリングに代えて、多極に着磁された環状を成す磁石(いわゆるエンコーダ)を適用してもよい。この場合、かかるエンコーダが回転することにより生じる磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)を検出素子24により検出する構成とすればよい。なお、被検出体をエンコーダとした場合、被検出体をトーンリング22とした場合のように、検出素子24に対して後述する磁石(バイアス磁石32)を配設する必要はない。
【0024】
そして、トーンリング22は、その内側円筒部22bを内輪2の段部(以下、トーンリング取付部という)2dへ圧入することにより、外輪4、転動体(玉)6及び保持器8といずれも接触することなく、当該内輪2に対して固定されている。この場合、トーンリング取付部2dは、内輪2の外周面の一端部(図1の右端部)に全周に亘って連続して形成されており、その径寸法がトーンリング22の内径寸法(内側円筒部22bの径寸法(内径寸法))と略同一の寸法に設定されている。これにより、トーンリング22を内輪2に対して確実に固定することができ、軸受Aを回転させた場合、回転輪である内輪2とともに、当該内輪2と同一の回転状態でトーンリング22をスムーズに回転可能な構造とすることができる。
【0025】
なお、本実施形態においては、一例としてトーンリング22を内輪2に対して圧入固定する構成を想定しているが、トーンリング22を内輪2に対して確実に固定することが可能であれば、その方法は特に限定されない。例えば、トーンリング22を内輪2に対して加締めることにより固定してもよいし、各種の接着剤により接着固定してもよい。あるいは、これらの各種の方法を任意に組み合わせて固定してもよい。また、内輪2にトーンリング取付部2dを形成することなく、当該内輪2の外周面に対してトーンリング22を圧入固定させてもよいし、加締固定あるいは接着固定させてもよい。
【0026】
一方、検出素子24は、磁石(以下、バイアス磁石32という)と一体化され、回路基板30と接続された状態でセンサハウジング25によって静止輪である外輪4に固定されている。この場合、センサハウジング25は、検出素子24を収容するホルダ部材(以下、ハウジング本体という)26、及び当該ハウジング本体26を位置決め固定するカバー部材(以下、ハウジングカバーという)28で構成されている。
【0027】
具体的に説明すると、検出素子24は、ハウジング本体26に収容され、当該検出素子24を収容したハウジング本体26は、ハウジングカバー28に取り付けられ、収容した検出素子24のバイアス磁石32が外輪4側(図1の下側)に位置付けられるとともに、当該バイアス磁石30の反配設側(すなわち、内輪2側(同図の上側))がトーンリング22の外側円筒部22cと所定間隔を空けて対向して位置付けられるように、ハウジングカバー28を介して外輪4に対して位置決め固定されている。ここで、以下の説明においては、検出素子24とトーンリング22(外側円筒部22c)とが所定間隔を空けて対向した空隙部をセンサ部S(図1参照)という。
【0028】
なお、検出素子24とトーンリング22(外側円筒部22c)との対向間隔は、可能な限り狭めて設定することが好ましいが、その具体的な間隔は、検出素子24の磁気変化(磁束密度の変化)の検出精度やバイアス磁石32の磁力の大きさ、あるいは軸受Aの大きさや形状などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0029】
また、センサ20に設ける検出素子24の数は、例えば、軸受Aの回転状態(回転速度、回転方向あるいは回転角度など)の計測に対して要求される精度などに応じて任意に設定すればよい。すなわち、センサ20は、1つの検出素子24でのみ軸受Aの回転状態を計測する構成であってもよいし、2つ以上の検出素子24で軸受Aの回転状態を計測する構成であってもよい。例えば、2つの検出素子24をセンサ20に対して設けた構成の場合、当該2つの検出素子24は、磁気状態の変化を検出するタイミングにおいて、その電気角(信号正弦波の1周期を360°とした場合の位相)を所定角度(一例として、90°)だけずらして(所定角度の位相差を設けて)位置付けられるように、回路基板30に対して接続すればよい。これにより、回転方向を検出することが可能となり、より高機能、多機能なセンサ付軸受を構成することができる。
【0030】
図1において、ハウジング本体26は、軸受Aのセンサ配設側の周方向領域を覆うように延在した所定形状(例えば、環状形や環の一部を成す非環状形など)を成しており、一例として、その外径寸法が外輪4の外径寸法よりも小寸、且つ外輪4の内径寸法よりも大寸で、その内径寸法が内輪2の外径寸法よりも小寸、且つ内輪2の内径寸法よりも大寸に設定されている。例えば、ハウジング本体26を前記非環状形とした場合、環状に形成した場合と比較して少ない量の構成材で成形することができ、当該ハウジング本体26を形成するためのコスト、ひいては軸受Aの製造コストを削減することができる。
【0031】
なお、ハウジング本体26の材質は、検出素子24による磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)の検出に影響を与えることがない限り特に限定されず、軸受Aの使用条件や使用目的などに応じて任意の素材(樹脂や金属など)を選択して適用することができる。また、ハウジング本体26の成形方法も特に限定されず、例えば、ハウジング本体26を各種の樹脂製とした場合、かかる樹脂製のハウジング本体26は射出成形により成形すればよい。この場合、成形後のハウジング本体26に対して回路基板30、検出素子24やバイアス磁石32を組み付けてもよいし、ハウジング本体26の成形時に回路基板30などを当該ハウジング本体26と一体化させて組み付ける構成としてもよい(いわゆるインサート成形)。
また、ハウジング本体26を各種の金属製とした場合、かかる金属製のハウジング本体26は鋳造や鍛造などにより成形すればよい。
【0032】
また、図1において、ハウジングカバー28は、その外径寸法と内径寸法との寸法差(径差)がハウジング本体26の幅寸法(外径寸法と内径寸法との差寸)よりも大きな寸法に設定された円板部28aと、当該円板部28aの内周縁及び外周縁にそれぞれ連続して軸受Aの内方(同図の左方)へ延出された2つの対向する円筒部28b,28c(以下、円板部28aの内周縁に連続する円筒部を内側円筒部28b、外周縁に連続する円筒部を外側円筒部28cという)により構成されている。これにより、円板部28a、内側円筒部28b及び外側円筒部28cによって凹環状の空間が形成され、当該空間にハウジング本体26を取り付けることで、当該ハウジング本体26の全体をハウジングカバー28によって覆うことができる。なお、ハウジング本体26のハウジングカバー28への取付は、各種の接着剤による接着や各種の締結部材による締結など、任意の方法によって行えばよい。
【0033】
この場合、かかるハウジングカバー28の外側円筒部28cは、基端(図1の右端)から軸受Aの内方(同図の左方)へ延出した延出部位c1、当該延出部位c1から略直角を成して拡径方向へ延出した拡径部位c2、当該拡径部位c2から略直角を成して軸受Aの内方(同図の左方)へ先端(同図の左端)まで延出した先端部位c3が連続した形状を成している。
【0034】
そして、ハウジングカバー28は、その外側円筒部28c(具体的には、先端部位c3)を外輪4の段部(以下、ハウジングカバー取付部という)4dへ圧入することにより、ハウジング本体26、これに収容された検出素子24がいずれもトーンリング22と接触することなく、当該外輪4に対して固定されている。なお、ハウジングカバー取付部4dは、外輪4の外周面の一端部(図1の右端部)に全周に亘って連続して形成されており、その径寸法がハウジングカバー28の外径寸法(外側円筒部28cの先端部位c3の径寸法(内径寸法))と略同一の寸法に設定されている。これにより、ハウジングカバー28、すなわちハウジング本体26に収容された検出素子24を外輪4に対して確実に固定することができ、回転可能なトーンリング22に対して常時静止状態に維持することが可能な構造とすることができる。
【0035】
この場合、ハウジング本体26は、ハウジングカバー28に取り付けられ、当該ハウジングカバー28を介して外輪4に固定された状態で、収容された検出素子24とともに、内輪2、転動体(玉)6、保持器8及びトーンリング22といずれも接触することがない形態(大きさや形状)となるように成形すればよい。
【0036】
なお、本実施形態においては、一例としてハウジングカバー28を外輪4に対して圧入固定する構成を想定しているが、ハウジングカバー28を外輪4に対して確実に固定することが可能であれば、その方法は特に限定されない。例えば、ハウジングカバー28を外輪4に対して加締めることにより固定してもよいし、各種の接着剤により接着固定してもよい。あるいは、これらの各種の方法を任意に組み合わせて固定してもよい。また、外輪4にハウジングカバー取付部4dを形成することなく、当該外輪4の外周面に対してハウジングカバー28を圧入固定させてもよいし、接着固定あるいは加締固定させてもよい。
【0037】
また、ハウジングカバー28の材質は特に限定されず、軸受Aの使用条件や使用目的などに応じて任意の素材(樹脂や金属など)を選択して適用することができ、その材質に合わせた任意の方法(例えば、プレス加工や射出成形など)でハウジングカバー28を成形すればよい。ただし、ハウジングカバー28は、検出素子24による磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)の検出に影響を与えることがない素材を選択して構成することが好ましい。
【0038】
以上のようにトーンリング22と検出素子24及びバイアス磁石32を内外輪2,4に対して位置付けることで、センサ20は、トーンリング22が検出素子24と対向した状態、さらには当該検出素子24を介してトーンリング22がバイアス磁石32と対向した状態で内輪2とともに回転する構造とすることができる。
【0039】
すなわち、かかる軸受Aにおいて、内輪2が回転すると、これとともにトーンリング22も回転し、凹凸状(例えば、短冊状など)を成す外側円筒部22cの延出縁の検出素子24及びバイアス磁石32に対する位置、具体的には当該延出縁の凹状部位と凸状部位の位置が交互に連続して変化する。このとき、バイアス磁石32によって発生され、検出素子24を通過する磁束(具体的には、磁束密度)がトーンリング22の外側円筒部22cの凹凸状部位によって連続的に変化し、かかる変化を当該検出素子24により検出することで、トーンリング22(すなわち、内輪2)の位置や角度などを検知することができる。
【0040】
そして、回路基板30は、検出素子24が検出した磁束密度の変化を電気信号に変換するとともに、当該電気信号(データ)を信号処理部(図示しない)に送信し、当該信号処理部において、単位時間当たりのトーンリング22の位置や角度などの変動量を演算処理することで、トーンリング22が固定された内輪2の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測することが可能となる。
なお、この場合、センサ20の回路基板30と信号処理部(図示しない)とは、所定の信号ケーブル(図示しない)で接続し、当該信号ケーブルを介して上述した電気信号が信号処理部(図示しない)へ送信(出力)される構成とすればよい。
【0041】
また、本実施形態において、ハウジングカバー28は、円板部28aの内径寸法(内側円筒部28bの径寸法(内径寸法))がトーンリング22の円板部22aの内径寸法(内側円筒部22bの径寸法(外径寸法))よりも僅かに大きな寸法に設定されており、外輪4に固定された状態で内側円筒部28bがトーンリング22の内側円筒部22bと所定間隔を空けて一部対向して位置付けられた構造(いわゆるラップした構造)を成している。その際、ハウジングカバー28の内側円筒部28bとトーンリング22の内側円筒部22bの対向間隔は、当該内側円筒部28bと内側円筒部22bの径差に相当する。
【0042】
かかる軸受Aにおいて、トーンリング22には、その内径側円筒部22bの延出縁に弾性材で成るシール部材(以下、リップ部という)34が当該延出縁の全周に亘って一体的に設けられており、当該リップ部34を介してトーンリング22(内径側円筒部22b)とハウジングカバー28(内径側円筒部28b)が接触(摺接)している。これにより、対向配置されたハウジングカバー28の内側円筒部28bとトーンリング22の内側円筒部22bの隙間(以下、円筒部隙間という)がリップ部34によって閉塞される。この結果、軸受Aのセンサ配設側がトーンリング22及びハウジングカバー28によって密封(シール)され、軸受外部からの異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を防止することができる。
【0043】
この場合、リップ部34は、トーンリング22の内径側円筒部22bの延出縁にその全周に亘って各種の弾性材が連結されることで、当該トーンリング22(具体的には、内径側円筒部22b)に一体を成して設けられている。トーンリング22(内径側円筒部22b)と弾性材を連結する場合、その連結方法としては、接着、かしめ、コーティング、射出成形及び加硫成形など、各種の方法を任意に選択すればよい。なお、リップ部34を構成する弾性材は、トーンリング22(内径側円筒部22b)の材質などに応じて任意の素材を選択して使用すればよいが、シール部材10と同様の弾性材(例えば、ニトリルゴムやフッ素ゴムなど)を適用することが好ましい。
【0044】
図1において、リップ部34は、内径側円筒部22bの延出縁の内側から外側を被覆し、ハウジングカバー28の内径側円筒部28bへ向けて延出された2つのシールリップを有した構成となっており、当該2つのシールリップをハウジングカバー28の内径側円筒部28bに接触(摺接)させることで、円筒部隙間が閉塞されている。なお、リップ部34の形態(大きさ、形状及び数など)は特に限定されず、任意に設定することができる。例えば、リップ部34をシールリップを1つだけ有する構成としてもよいし、3つ以上のシールリップを有する構成としてもよい。
【0045】
円筒部隙間が閉塞されることで、当該円筒部隙間と連通するセンサ部Sを軸受外部に対して密封状態(気密状態及び液密状態)に保つことができ、当該センサ部Sへの異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を確実に防止することができる。この結果、本実施形態に係る軸受Aによれば、トーンリング22、ハウジングカバー28及びリップ部34によるシール構造によって軸受内部のシール性(気密性及び液密性)を確保することができるのみならず、センサ部Sへの異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入も防止することが可能な非常に優れたシール性と、センサ機能を併せ持ったセンサ付軸受を実現することができる。
【0046】
これにより、例えば、センサ部Sに鉄粉などが侵入し、設計時に意図した本来の磁気回路とは異なる磁気回路が形成されることがなく、軸受Aの回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)の計測精度の悪化、さらには計測不能となる事態を招くことがない。また、例えば、センサ部Sに水などの液体が浸入し、回路基板30のショートや、はんだ付け部分の腐食などが生じることがなく、軸受Aの回転状態の計測精度の悪化や計測不能となる事態を招くことがない。
したがって、長期に亘って高精度にその回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測することが可能となり、軸受Aの信頼性を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るトーンリング22、ハウジングカバー28及びリップ部34によるシール構造は、トーンリング22の内径側円筒部22bにリップ部34を一体的に連結させるだけで構成することができ、そのための部品点数が増加することがなく、組付工数も増加しないことから、非常に優れたシール性(気密性及び液密性)とセンサ機能を併せ持つ信頼性の高いセンサ付軸受を低コストに実現することができる。
【0048】
なお、トーンリング22、ハウジングカバー28及びリップ部34によるシール構造は、上述した本実施形態(図1に示す本発明の第1実施形態)の構造には限定されず、本発明の範囲内において任意に設計変更することができる。これにより、センサ付軸受の使用条件や使用目的などに応じて、各種のシール構造を適宜選択して適用することが可能となり、センサ付軸受の低コスト化を確実に図ることができるとともに、低コスト化が容易となる。
例えば、図2には本実施形態(図1)の変形例が示されており、図3には本発明の第2実施形態が示されている。以下、これらの変形例及び第2実施形態について説明する。その際、軸受Aの基本的な構成は、上述した本実施形態(図1)と同様の構成となっており、これと同一若しくは類似の部材については図面上で同一の符号を付してその説明を省略し、以下では、変形例及び第2実施形態に特徴的な構成についての説明に止める。
【0049】
図2に示す変形例では、トーンリング22に連結されたリップ部34をハウジングカバー28ではなく、ハウジング本体26に接触(摺接)させることでシール構造を構成している。
この場合、ハウジングカバー28は、円板部28aと外側円筒部28cのみで構成されており、内側円筒部28b(図1参照)を省略した構成となっている。すなわち、円板部28aからは外側円筒部28cのみが当該円板部28aの外周縁に連続して軸受Aの内方(図2の左方)へ延出されている。
また、ハウジング本体26は、軸受Aのセンサ配設側の周方向領域を全周に亘って覆うことが可能となるように環状形を成し、ハウジングカバー28を介して外輪4に固定された状態で、内周面26bがトーンリング22の内側円筒部22bと所定間隔を空けて一部対向して位置付けられた構成となっている。その際、ハウジング本体26の内周面26bとトーンリング22の内側円筒部22bの対向間隔は、当該内周面26bと内側円筒部22bの径差に相当する。
【0050】
そして、リップ部34をハウジング本体26の内周面26bへ向けてシールリップが延出され、当該シールリップを内周面26bと接触(摺接)させた構成とすることで、対向配置されたハウジング本体26の内周面26bとトーンリング22の内側円筒部22bの隙間をリップ部34によって閉塞することができる。
かかる隙間が閉塞されることで、当該隙間と連通するセンサ部Sを軸受外部に対して密封状態(気密状態及び液密状態)に保つことができ、当該センサ部Sへの異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を確実に防止することができる。
なお、本変形例に係るシール構造(リップ部34をハウジング本体26に接触(摺接)させた構造)によるその他の作用効果は、上述した第1実施形態(図1)と同様である。
【0051】
また、図3に示す第2実施形態では、リップ部34をトーンリング22ではなく、ハウジングカバー28に連結させ、当該リップ部34をトーンリング22に接触(摺接)させることでシール構造を構成している。
この場合、リップ部34は、ハウジングカバー28の内径側円筒部28bの延出縁にその全周に亘って弾性材が連結されることで、当該ハウジングカバー28(具体的には、内径側円筒部28b)に一体を成して設けられている。
【0052】
そして、リップ部34をトーンリング22の内径側円筒部22bへ向けてシールリップが延出され、当該シールリップを内径側円筒部22bと接触(摺接)させた構成とすることで、円筒部隙間(対向配置されたハウジングカバー28の内径側円筒部28bとトーンリング22の内側円筒部22bの隙間)をリップ部34によって閉塞することができる。
かかる円筒部隙間が閉塞されることで、当該円筒部隙間と連通するセンサ部Sを軸受外部に対して密封状態(気密状態及び液密状態)に保つことができ、当該センサ部Sへの異物(例えば、鉄粉や水など)の侵入を確実に防止することができる。
なお、本変形例に係るシール構造(リップ部34をハウジングカバー28に連結させた構造)によるその他の作用効果は、上述した第1実施形態(図1)と同様である。
【0053】
ここで、上述した第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図3)においては、リップ部34は、トーンリング22(内側円筒部22b)及びハウジングカバー28(内側円筒部28b)のいずれか一方に設けた構成としているが、トーンリング22及びハウジングカバー28の双方に設けた構成としてもよい。これにより、センサ部S並びに軸受内部に対するシール性をさらに高めることができる。
【0054】
また、上述した第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図3)においては、トーンリング22(内側円筒部22b)とハウジングカバー28(内側円筒部28b)の相対的な位置関係を、内側円筒部22bが内側円筒部28bよりも軸受Aの回転軸(図示しない)の近傍側(各図の上側)となるように設定している。すなわち、ハウジングカバー28の円板部28aの内径寸法(内側円筒部28bの径寸法)をトーンリング22の円板部22aの内径寸法(内側円筒部22bの径寸法)よりも僅かに大きな寸法に設定し、トーンリング22が内輪2に固定されるとともに、ハウジングカバー28が外輪4に固定された状態で、当該トーンリング22の内側円筒部22bをハウジングカバー28の内側円筒部28bよりも前記回転軸の近傍側へ位置付けて対向させている。
【0055】
トーンリング22(内側円筒部22b)とハウジングカバー28(内側円筒部28b)をこのような位置関係ではなく、内側円筒部28bが内側円筒部22bよりも軸受Aの回転軸(図示しない)の近傍側となるように設定してもよい。
この場合、トーンリング22の円板部22aの内径寸法(内側円筒部22bの径寸法)をハウジングカバー28の円板部28aの内径寸法(内側円筒部28bの径寸法)よりも僅かに大きな寸法に設定し、トーンリング22が内輪2に固定されるとともに、ハウジングカバー28が外輪4に固定された状態で、当該ハウジングカバー28の内側円筒部28bがトーンリング22の内側円筒部22bよりも前記回転軸の近傍側へ位置付けられて対向するように構成すればよい。
【符号の説明】
【0056】
2 回転輪(内輪)
4 静止輪(外輪)
20 センサ
22 被検出体(トーンリング)
24 検出体(検出素子)
25 センサハウジング
26 ハウジング本体
28 ハウジングカバー
30 回路基板
32 バイアス磁石
34 リップ部
A センサ付軸受
S センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非回転状態に維持される静止輪と、当該静止輪に対向配置されて回転する回転輪と、当該回転輪の回転状態を検出するセンサを備えており、
前記センサには、前記回転輪と同一の回転状態で回転する被検出体と、当該被検出体の回転状態を検出する検出体が備えられ、
当該検出体を収容するハウジング本体、及び当該ハウジング本体を位置決め固定するように、当該ハウジング本体の外側を覆っているハウジングカバーでなるセンサハウジングが設けられたセンサ付軸受であって、
被検出体は、前記回転輪に固定されて当該回転輪とともに回転するのに対し、検出体は、前記被検出体と所定間隔を空けて対向可能となるように前記ハウジング本体へ収容された状態で前記ハウジングカバーを介して前記静止輪に固定されており、
前記被検出体と前記センサハウジングの、少なくともこれらのいずれか一方に一体的に設けることが可能なシール部材を備え、
前記シール部材を前記被検出体に一体的に設けた場合、当該シール部材を前記ハウジング本体の外側から接触させることで、前記センサの配設側が密封され、軸受外部からの異物の侵入が防止されていることを特徴とするセンサ付軸受。
【請求項2】
前記シール部材は、複数のシールリップを有して構成されており、前記被検出体に一体的に設けられた前記シール部材は、各シールリップを前記センサハウジングの外側に接触させていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付軸受。
【請求項3】
非回転状態に維持される静止輪と、当該静止輪に対向配置されて回転する回転輪と、当該回転輪の回転状態を検出するセンサを備えており、
前記センサには、前記回転輪と同一の回転状態で回転する被検出体と、当該被検出体の回転状態を検出する検出体が備えられ、
当該検出体を収容するハウジング本体、及び当該ハウジング本体を位置決め固定するように、当該ハウジング本体の外側を覆っているハウジングカバーでなるセンサハウジングが設けられたセンサ付軸受であって、
被検出体は、前記回転輪に固定されて当該回転輪とともに回転するのに対し、検出体は、前記被検出体と所定間隔を空けて対向可能となるように前記ハウジング本体へ収容された状態で前記ハウジングカバーを介して前記静止輪に固定されており、
前記被検出体と前記センサハウジングの、少なくともこれらのいずれか一方に一体的に設けることが可能なシール部材を備え、
前記シール部材を前記センサハウジングに一体的に設けた場合、当該シール部材を前記被検出体と接触させることで、前記センサの配設側が密封され、軸受外部からの異物の侵入が防止されていることを特徴とするセンサ付軸受。
【請求項4】
前記シール部材は、複数のシールリップを有して構成されており、前記センサハウジングに一体的に設けられた前記シール部材は、各シールリップを前記被検出体に接触させていることを特徴とする請求項3に記載のセンサ付軸受。
【請求項5】
前記センサは、磁気センサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ付軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−177476(P2012−177476A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93584(P2012−93584)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【分割の表示】特願2008−93821(P2008−93821)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】