説明

センサ素子アレイ及びその製造方法、撮像装置

【課題】1画素1バンプを実現しながら、感度を向上させる。
【解決手段】センサ素子アレイを、第1波長帯に対する第1活性層8と第2波長帯に対する第2活性層9とを積層した構造を有し、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dと、第1画素10Aの第1活性層と第2画素10Bの第1活性層とに電気的に接続された第1バンプ6Aと、第2画素の第2活性層に電気的に接続された第2バンプ6Bと、第1画素の第2活性層と第3画素10Cの第2活性層とに電気的に接続された第3バンプ6Cと、第4画素10Dの第1活性層に電気的に接続された第4バンプ6Dとを備えるものとし、第1〜第4バンプを、第1〜第4画素の上方にそれぞれ1つずつ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子アレイ及びその製造方法、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置に備えられ、2種類の波長帯に対する2つの活性層を積層した構造を有する複数の画素を二次元に配列したセンサ素子アレイを有するイメージセンサがある。
例えば、2種類の波長帯に感度を有する構造を持つ量子井戸型赤外線フォトディテクタ(2波長QWIP;Quantum Well Infrared Photodetector)によって各画素を構成した赤外線焦点面アレイ(IRFPA;Infrared focal plane array)を有する赤外線イメージセンサがある。
【0003】
このようなIRFPA100の各画素を構成する2波長QWIPは、例えば図21に示すように、下部コンタクト層101、下部活性層102、中間コンタクト層103、上部活性層104、上部コンタクト層105を順に積層させた構造になっている。ここでは、下部活性層102は、一の波長帯(波長2)に対して感度を持つ活性層であり、上部活性層104は、他の波長帯(波長1)に対して感度を持つ活性層である。また、下部コンタクト層101、中間コンタクト層103、上部コンタクト層105は、n−GaAs層である。なお、2波長QWIPを赤外線検知素子ともいう。
【0004】
また、これらの3つのコンタクト層101、103、105のそれぞれに接続されるように、1画素当たり3つのバンプ106(金属バンプ;例えばInバンプ)が設けられている。そして、中間コンタクト層103に接続されたバンプ106を介して上部及び下部活性層102、104にバイアスをかけるようになっている。また、下部コンタクト層101に接続されたバンプ106から下部活性層102からの出力信号を取り出し、上部コンタクト層105に接続されたバンプ106から上部活性層104からの出力信号を取り出すようになっている。
【0005】
さらに、このような2波長QWIPを備えるIRFPA100は、図22に示すように、フリップチップボンディング(FCB:Flip Chip Bonding)によって、信号処理回路チップ107(例えばSi信号処理回路チップ)に電気的かつ機械的に接続される。つまり、IRFPA100に複数の画素として備えられる2波長QWIPは、1画素当たり3つ設けられたバンプ106を介して、信号処理回路チップ107に備えられる複数の素子のそれぞれに電気的かつ機械的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−107121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、IRFPAの大規模化(多画素化)が進み、画素の数が多くなると、画素サイズを小さくする微細化が必要となり、バンプ間隔(バンプピッチ)が狭くなる。そうすると、図23に示すように、FCB時にバンプ106がずれて隣接するバンプ同士が接触し、ショートによる不良が発生しやすくなる。
このため、IRFPAの大規模化に対応するためには、1画素当たりのバンプ数を減らす必要がある。なお、バンプ間隔を変えずに(素子サイズを変えずに)大規模化することも考えられるが、この場合、チップサイズが大型化してしまうため、後述のような種々の問題が生じることになるため、現実的ではない。
【0008】
そこで、図24に示すように、下部コンタクト層101を全画素に共通とし、中間コンタクト層103を上下に分割し、これらの間に絶縁層108を設け、絶縁層108の上側の中間コンタクト層103Aと下部コンタクト層101とを配線109によって接続する。そして、下部コンタクト層101を介して下部活性層102にバイアスをかけるとともに、下部コンタクト層101、配線109、中間コンタクト層103Aを介して、上部活性層104にバイアスをかける。そして、絶縁層108の下側の中間コンタクト層103Bに配線110を介して接続されたバンプ106から下部活性層102からの出力信号を取り出し、上部コンタクト層105に接続されたバンプ106から上部活性層104からの出力信号を取り出す。これにより、バイアスをかけるためのバンプを設けずに、1画素当たり2つのバンプ106を設ければ良くなり、1画素当たりのバンプ数を減らすことが可能である。なお、ここでは、絶縁層108はi−GaAs層である。
【0009】
また、図25に示すように、下部コンタクト層101を全画素に共通とし、全画素につながっている表面側の配線111を上部コンタクト層105に接続することで、上部及び下部活性層102、104にバイアスをかけることも考えられる。この場合、中間コンタクト層103に配線112を介して接続されたバンプ106から、下部活性層102からの出力信号を取り出すとともに、上部活性層104からの出力信号を取り出す。これにより、1画素当たり1つのバンプ106を設ければ良くなり、1画素当たりのバンプ数をさらに減らすことが可能である。
【0010】
しかしながら、このようにして1画素当たりのバンプ数を1つに減らす場合、バイアスを切り替えることによって、上部活性層104からの出力信号と下部活性層102からの出力信号とを交互に取り出すことになるため、感度上不利にならざるを得ない。つまり、上部及び下部活性層102、104からの出力信号を取り出す際の積分時間を半分程度しか取ることができなくなるため、感度上不利にならざるを得ない。
【0011】
そこで、1画素1バンプを実現しながら、感度を向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本センサ素子アレイは、第1波長帯に対する第1活性層と第2波長帯に対する第2活性層とを積層した構造を有し、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素と、第1画素の第1活性層と第2画素の第1活性層とに電気的に接続された第1バンプと、第2画素の第2活性層に電気的に接続された第2バンプと、第1画素の第2活性層と第3画素の第2活性層とに電気的に接続された第3バンプと、第4画素の第1活性層に電気的に接続された第4バンプとを備え、第1〜第4バンプは、第1〜第4画素の上方にそれぞれ1つずつ設けられていることを要件とする。
【0013】
本撮像装置は、上記センサ素子アレイと、センサ素子アレイに少なくとも前記第1〜第4バンプを含む複数のバンプを介して接続された信号処理回路チップと、信号処理回路チップに接続された制御演算部とを備え、制御演算部は、第1バンプを介して第1画素及び第2画素の第1活性層から読み出された2画素分の出力信号を、第2画素の前記第2活性層から読み出された出力信号と第1画素の第2活性層から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素の第1活性層からの出力信号及び第2画素の第1活性層からの出力信号を求め、かつ、第3バンプを介して第1画素及び第3画素の第2活性層から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素の第1活性層から読み出された出力信号と第3画素の第1活性層から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素の第2活性層からの出力信号及び第3画素の第2活性層からの出力信号を求めるように構成されていることを要件とする。
【0014】
本センサ素子アレイは、一の波長帯に対する下部活性層の上方に他の波長帯に対する上部活性層を積層した構造を有する複数の画素と、下部活性層を2画素分の大きさに分断し、上部活性層を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝と、1画素分の大きさを有する複数の上部活性層のうち、2画素分の大きさを有する下部活性層が延びる方向に直交する方向に隣接する2つの上部活性層をそれぞれ電気的に接続する複数の配線と、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれの上方に、下部活性層が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれの上方に、下部活性層が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数の画素の上方にそれぞれ1つずつ設けられた複数のバンプとを備えることを要件とする。
【0015】
本センサ素子アレイの製造方法は、一の波長帯に対する下部活性層の上方に他の波長帯に対する上部活性層を積層させ、下部活性層を2画素分の大きさに分断し、上部活性層を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝を形成し、1画素分の大きさを有する複数の上部活性層のうち、2画素分の大きさを有する下部活性層が延びる方向に直交する方向に隣接する2つの上部活性層をそれぞれ配線によって電気的に接続し、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれの上方に、下部活性層が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれの上方に、下部活性層が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、各画素の上方にそれぞれ1つずつバンプを形成することを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
したがって、本センサ素子アレイ及びその製造方法、撮像装置によれば、1画素1バンプを実現しながら、感度を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)、(B)は、本実施形態のセンサ素子アレイの構成を示す模式図である。
【図2】(A)、(B)は、本実施形態のセンサ素子アレイの構成を示す模式図である。
【図3】本実施形態の撮像装置の構成を示す模式図である。
【図4】(A)〜(C)は、本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における処理を説明するための図である。
【図5】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における処理を示すフローチャートである。
【図6】2波長QWIPによって各画素が構成された赤外線検知素子アレイにおける各画素からの出力信号の強度分布を示す図である。
【図7】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素に均等な光が入射した場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図8】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素に均等な光が入射した場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図9】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素の中に入射光が無い画素が存在する場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図10】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素の中に入射光が無い画素が存在する場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図11】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素で入射光が比較的滑らかに変化する場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図12】本実施形態の撮像装置に備えられる制御演算部における、隣接する4つの画素で入射光が比較的滑らかに変化する場合の各画素の各活性層からの出力信号の演算例を示す図である。
【図13】本実施形態の撮像装置におけるターゲットの輪郭部分における空間分解能について説明するための図である。
【図14】1画素3バンプの場合のバンプの配置を示す模式図である。
【図15】1画素2バンプの場合のバンプの配置を示す模式図である。
【図16】(A)〜(C)は、本実施形態のセンサ素子アレイの具体的な構造を示す模式図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のX−Y線に沿う断面図、(C)は(A)のY−Z線に沿う断面図である。
【図17】本実施形態のセンサ素子アレイの動作を説明するための模式図である。
【図18】(A)、(B)は、本実施形態のセンサ素子アレイの変形例の構成を示す模式図である。
【図19】(A)、(B)は、本実施形態のセンサ素子アレイの変形例の構成を示す模式図である。
【図20】(A)、(B)は、本実施形態のセンサ素子アレイの変形例の構成を示す模式図である。
【図21】従来の1画素3バンプのIRFPAの構成を示す模式的断面図である。
【図22】IRFPAと信号処理回路チップとのフリップチップボンディングを示す模式的断面図である。
【図23】従来の1画素3バンプのIRFPAと信号処理回路チップとをフリップチップボンディングする場合の課題を説明するための模式的断面図である。
【図24】1画素2バンプのIRFPAの構成を示す模式的断面図である。
【図25】1画素1バンプのIRFPAの構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかるセンサ素子アレイ及びその製造方法、撮像装置について、図1〜図17を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる撮像装置は、例えば赤外線撮像装置である。図3に示すように、本赤外線撮像装置1は、赤外線イメージセンサ2と、信号処理及び各種制御を行なう制御演算部3と、撮像された画像を表示するモニタ4とを備える。
【0019】
ここで、赤外線イメージセンサ2は、複数の赤外線検知素子(画素)を備える赤外線検知素子アレイ5と、赤外線検知素子アレイ5にバンプ6を介して接続され、信号処理回路を含む信号処理回路チップ7とを備える。
このうち、赤外線検知素子アレイ5は、赤外線の入射量に応じて光電流を発生する赤外線検知素子によって構成される複数の画素10が二次元に配列されている二次元赤外線検知素子アレイである(図14参照)。
【0020】
また、赤外線検知素子アレイ5は、異なる波長帯に対して感度を有する2つの多重量子井戸(MQW;Multi Quantum Well)層を赤外線吸収層として用いた量子井戸型赤外線フォトディテクタによって各画素を構成した量子井戸型赤外線検知素子アレイである。つまり、赤外線検知素子アレイ5に備えられる各赤外線検知素子、即ち、各画素は、2種類の波長帯に対して感度を有する2波長QWIPによって構成されている。そして、2波長QWIPは、第1波長帯に対する第1MQW層8と第2波長帯に対する第2MQW層9とを積層した構造を有する(図14参照)。なお、第1MQW層8を、第1活性層、表面側活性層、上部活性層ともいう。また、第2MQW層9を、第2活性層、基板側活性層、下部活性層ともいう。また、第1波長帯に含まれる波長を波長1ともいい、第2波長帯に含まれる波長を波長2ともいう。
【0021】
なお、赤外線検知素子アレイ5を、センサ素子アレイ、センサアレイ、(二次元)検知素子アレイ、(二次元)撮像素子アレイ、(二次元)受光素子アレイ、量子型赤外線検知素子アレイ、二次元素子アレイ、(二次元二波長)赤外線焦点面アレイ(IRFPA)、又は、QWIP焦点面アレイ(QWIP−FPA)ともいう。また、赤外線検知素子を、量子型赤外線検知素子、受光素子、センサ素子、フォトセンサ、QWIP素子、2波長QWIP素子、2波長素子、QWIP、又は、2波長QWIPともいう。
【0022】
信号処理回路チップ7は、各画素10から出力される電気信号が入力され、これを増幅する入力回路、入力回路の出力を外部に読み出す読出回路等の信号処理回路を備える。ここで、読出回路は、赤外線が入射して各赤外線検知素子に流れた電流量に応じた出力電圧を順次読み出す回路である。これをROIC(readout integrated circuit)ともいう。なお、入力回路と読出回路をまとめて読出回路と呼んでも良い。本実施形態では、信号処理回路チップ7は、例えばSi系の半導体材料によって形成されている。なお、信号処理回路チップ7は、信号処理回路アレイ又は信号読出回路チップともいう。
【0023】
そして、赤外線検知素子アレイ5と信号処理回路チップ7とは、各画素10に設けられた複数のバンプ6(金属バンプ;例えばInバンプ)を介して接続されている。つまり、異なる材料からなる赤外線検知素子アレイ5と信号処理回路チップ7とが、ハイブリッド接続された構造になっている。ここでは、複数のバンプ6は各画素10の上方に一つずつ設けられており、これらのバンプ6を介して、各画素10が対応する信号処理回路チップ7中の各セルに別個に電気的に接続されている。これにより、第1活性層8及び第2活性層9からの出力信号は、バンプ6を介して、信号処理回路チップ7中の各セルへ取り出されるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、上述のように構成される赤外線検知素子アレイ5及び信号処理回路チップ7を含む赤外線イメージセンサ2は、赤外線が入射しうる窓を有する真空容器11(検知器容器)内に設けられている。そして、赤外線イメージセンサ2は、冷却系(冷凍機)12に接続されたコールドヘッド13に取り付けられて冷却されるようになっている。つまり、本赤外線イメージセンサ2は、冷却型赤外線イメージセンサである。また、真空容器11の窓にはレンズ14が取り付けられており、撮像対象(ターゲット)からの赤外線は、レンズ14によって赤外線検知素子アレイ5上に結像するようになっている。
【0025】
また、上述の赤外線イメージセンサ2に備えられる信号処理回路チップ7には制御演算部3が接続されている。つまり、信号処理回路チップ7から真空容器11の外部へ出力配線15が引き出され、この出力配線15を介して信号処理回路チップ7と制御演算部3(外部装置)とが接続されている。そして、信号処理回路チップ7からの出力信号は、制御演算部3へ送られ、制御演算部3で信号処理されるようになっている。
【0026】
ここで、制御演算部3は、コンピュータやコントローラによって構成される。この制御演算部3は、駆動回路や信号処理回路を含み、赤外線検知素子アレイ5に含まれる各素子を駆動するための電力や駆動パルス等を出力するとともに、各素子からの出力信号の処理を行ない、モニタ4へ画像信号を出力するようになっている。
ところで、本実施形態では、1画素1バンプを実現しながら、感度を向上させるために、赤外線検知素子アレイ5を以下のように構成し、この構成に応じて、制御演算部3において以下のような処理を行なうようにしている。
【0027】
まず、本赤外線検知素子アレイ5では、図1(A)、(B)に示すように、隣接する4つの画素、即ち、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1〜第4画素10A〜10Dの上方に第1〜第4バンプ6A〜6Dがそれぞれ1つずつ設けられている。つまり、本赤外線検知素子アレイ5の各画素10を構成する2波長QWIPは1画素1バンプの2波長QWIPである。
【0028】
なお、ここでは、隣接する4つの画素10A〜10Dは、正方形状に配置されている。また、図1(A)は、横方向に2画素分の第1活性層8が電気的に接続されている状態を模式的に示しており、図1(B)は、縦方向に2画素分の第2活性層9が電気的に接続されている状態を模式的に示しており、実際には、これらが積層された状態になっている。
そして、第1バンプ6Aは、第1画素10Aの第1活性層8と第2画素10Bの第1活性層8とに電気的に接続されている。また、第2バンプ6Bは、第2画素10Bの第2活性層9と第4画素10Dの第2活性層9とに電気的に接続されている。また、第3バンプ6Cは、第1画素10Aの第2活性層9と第3画素10Cの第2活性層9とに電気的に接続されている。また、第4バンプ6Dは、第3画素10Cの第1活性層8と第4画素10Dの第1活性層8とに電気的に接続されている。
【0029】
このように、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第3画素10Cと第4画素10Dの2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第2画素10Bとで電気的に接続されている第1活性層8に第1バンプ6Aが電気的に接続されており、第3画素10Cと第4画素10Dとで電気的に接続されている第1活性層8に第4バンプ6Dが電気的に接続されている。
【0030】
また、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第2活性層9は、縦方向に第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分が電気的に接続されており、また、縦方向に第2画素10Bと第4画素10Dの2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第3画素10Cとで電気的に接続されている第2活性層9に第3バンプ6Cが電気的に接続されており、第2画素10Bと第4画素10Dとで電気的に接続されている第2活性層9に第2バンプ6Bが電気的に接続されている。
【0031】
ここでは、隣接する4つの画素10A〜10Dでは、縦方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第2活性層9の直上に、横方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第1活性層8が配置されている。
これを赤外線検知素子アレイ5の全体で見ると、2種類の波長帯に対する2つの活性層8、9のうちの一方の第1活性層8は、図2(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されたものが二次元に配列された構造になっている。また、2種類の波長帯に対する2つの活性層8、9のうちの他方の第2活性層9は、図2(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されたものが二次元に配列された構造になっている。なお、図2(A)は、横方向に2画素分が電気的に接続された複数の第1活性層8が縦方向及び横方向にそろえて二次元に配列された状態を模式的に示している。また、図2(B)は、縦方向に2画素分が電気的に接続された複数の第2活性層9が縦方向及び横方向にそろえて二次元に配列された状態を模式的に示している。実際には、これらは積層された状態になっている。
【0032】
そして、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、図2(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている第1活性層8のそれぞれの上方に、縦方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、図2(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている第2活性層9のそれぞれの上方に、横方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数のバンプ6が各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0033】
このような構造になっているため、2画素分が電気的に接続されている複数の活性層8、9のそれぞれから1つのバンプ6を介して読み出される出力信号は、2画素分の出力信号となる。
つまり、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dでは、第1バンプ6Aを介して、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8からの2画素分の出力信号が出力されることになる。また、第2バンプ6Bを介して、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9からの2画素分の出力信号が出力されることになる。また、第3バンプ6Cを介して、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9からの2画素分の出力信号が出力されることになる。また、第4バンプ6Dを介して、第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8からの2画素分の出力信号が出力されることになる。
【0034】
このため、このような構成に応じて、制御演算部3において以下のような処理を行なうようになっている。
つまり、制御演算部3は、第1バンプ6Aを介して第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0035】
また、制御演算部3は、第2バンプ6Bを介して第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号及び第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0036】
また、制御演算部3は、第3バンプ6Cを介して第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0037】
また、制御演算部3は、第4バンプ6Dを介して第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力信号及び第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0038】
このように、一方の活性層からの2画素分の出力信号、即ち、一方の波長帯の2画素分の出力信号を、一方の活性層に対応する位置に設けられた2つの他方の活性層からの2画素分の出力信号、即ち、2つの他方の波長帯の2画素分の出力信号の比率で分配して、各画素10の各活性層8、9からの出力信号を求めるようになっている。
つまり、電気的に接続されている2つの画素10の第1活性層8からバンプ6を介して読み出される2画素分の出力信号を、第1活性層8の一方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号と第1活性層8の他方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、2つの画素10のうちの一方の画素10の第1活性層8からの出力信号及び他方の画素10の第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0039】
同様に、電気的に接続されている2つの画素10の第2活性層9からバンプ6を介して読み出される2画素分の出力信号を、第2活性層9の一方の側の上方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号と第2活性層の他方の側の上方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、2つの画素10のうちの一方の画素10の第2活性層9からの出力信号及び他方の画素10の第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0040】
例えば、図4(A)に示すように、隣接する第1〜第4画素10A〜10Dからの出力信号(出力;信号強度)を、それぞれ、UL,UR,DL,DRとする。つまり、隣接する第1〜第4画素10A〜10Dの第1活性層8からの出力信号を、それぞれ、UL1,UR1,DL1,DR1とし、第2活性層9からの出力信号を、それぞれ、UL2,UR2,DL2,DR2とする。また、図4(B)に示すように、電気的に接続されている第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号をUとし、電気的に接続されている第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号をDとする。また、図4(C)に示すように、電気的に接続されている第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号をLとし、電気的に接続されている第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号をRとする。
【0041】
この場合、第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号Uを、第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号Lと、第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号Rとの比(L:R)で分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号UL1及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号UR1を求めるようになっている。
【0042】
また、第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号Dを、第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号Lと、第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号Rとの比(L:R)で分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力信号DL1及び第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号DR1を求めるようになっている。
【0043】
また、第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号Lを、第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号Uと、第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号Dとの比(U:D)で分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号UL2及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号DL2を求めるようになっている。
【0044】
また、第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号Rを、第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号Uと、第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号Dとの比(U:D)で分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号UR2及び第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号DR2を求めるようになっている。
【0045】
このようにして、制御演算部3は、第1〜第4画素10A〜10Dの上方にそれぞれ1つずつ設けられた第1〜第4バンプ6A〜6Dを介してそれぞれ読み出される2画素分の出力信号を分配することで、第1〜第4画素10A〜10Dの第1及び第2活性層8、9からの出力信号を求めるようになっている。つまり、各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられたバンプ6を介してそれぞれ読み出される2画素分の出力信号を分配(分割・配分)することで、各画素10の第1及び第2活性層8、9からの出力信号、即ち、各画素10の各波長の出力信号を求めるようになっている。
【0046】
具体的には、制御演算部3は、以下のような手順で、信号処理(演算処理)を行なうようになっている。
つまり、図5に示すように、まず、制御演算部3は、各バンプ6を介して、電気的に接続されている2つの画素10の第1及び第2活性層8、9から、それぞれ、2画素分の出力信号を読み出す(ステップS10)。
【0047】
例えば、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、制御演算部3は、第1バンプ6Aを介して、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から2画素分の出力信号を読み出す。また、制御演算部3は、第2バンプ6Bを介して、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から2画素分の出力信号を読み出す。また、制御演算部3は、第3バンプ6Cを介して、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から2画素分の出力信号を読み出す。また、制御演算部3は、第4バンプ6Dを介して、第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から2画素分の出力信号を読み出す。
【0048】
次に、制御演算部3は、読み出された2画素分の出力信号を分配する比率(分割比)を計算する(ステップS20)。
例えば、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、制御演算部3は、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号と第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号との比率を計算する。
【0049】
また、制御演算部3は、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率を計算する。
また、制御演算部3は、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率を計算する。
【0050】
また、制御演算部3は、第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号との比率を計算する。
このように、制御演算部3は、電気的に接続されている2つの画素10の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第1活性層8の一方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号と第1活性層8の他方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号との比率を計算する。
【0051】
同様に、制御演算部3は、電気的に接続されている2つの画素10の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を分配する比率として、第2活性層9の一方の側の上方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号と第2活性層9の他方の側の上方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号との比率を計算する。
次に、制御演算部3は、上述のようにして求められた比率に基づいて、読み出された2画素分の出力信号を分割し、電気的に接続されている2つの画素10の第1及び第2活性層8、9に配分することで、1画素分の出力信号、即ち、各画素10の第1及び第2活性層8、9からの出力信号を求める(ステップS30)。
【0052】
例えば、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、制御演算部3は、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号と第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求める。
【0053】
また、制御演算部3は、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号及び第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号を求める。
【0054】
また、制御演算部3は、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求める。
【0055】
また、制御演算部3は、第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力信号及び第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号を求める。
【0056】
このように、制御演算部3は、電気的に接続されている2つの画素10の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1活性層8の一方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号と第1活性層8の他方の側の下方の位置に設けられた第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、2つの画素10のうちの一方の画素10の第1活性層8からの出力信号及び他方の画素10の第1活性層8からの出力信号を求める。
【0057】
同様に、電気的に接続されている2つの画素10の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第2活性層9の一方の側の上方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号と第2活性層9の他方の側の下方の位置に設けられた第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、2つの画素10のうちの一方の画素10の第2活性層9からの出力信号及び他方の画素10の第2活性層9からの出力信号を求める。
【0058】
次に、制御演算部3は、上述のようにして求められた各画素10の第1及び第2活性層8、9からの出力信号に基づいて、モニタ4へ信号を出力して、モニタ4に画像を表示させる(ステップS40)。
ここで、2波長QWIPによって各画素10が構成された赤外線検知素子アレイ5の場合、同じターゲットを見ると、各画素10からの出力信号の強度分布は図6に示すようになり、同一画素の各活性層8、9からの出力信号の信号強度、即ち、各波長1、2の信号強度は、互いに比例関係にある。
【0059】
そこで、上述のように、電気的に接続されている2つの画素10の一方の活性層から読み出された2画素分の出力信号を各画素10の出力信号に分配する際の比率として、それらの画素10の他方の活性層から読み出される出力信号の比率を用いるようにしている(図4参照)。
この場合、隣接する4つの画素10A〜10Dで出力信号(出力;信号強度)の差が小さい場合、即ち、出力信号の変化が少ない場合は、以下のように、大きな誤差無く分配することが可能である。
【0060】
まず、隣接する4つの画素10A〜10Dに均等な光が入射した場合について、図7、図8を参照しながら説明する。
隣接する4つの画素に均等な光が入射した場合、図7の左側半分に示すように、各画素10A〜10Dの第1活性層8(上層;波長1)からの出力信号UL1,UR1,DL1,DR1は等しくなり、第2活性層9(下層;波長2)からの出力信号UL2,UR2,DL2,DR2は等しくなるはずである。ここでは、UL1、UR1、DL1、DR1として、それぞれ、「1」、「1」、「1」、「1」という値が得られ、UL2、UR2、DL2、DR2として、それぞれ、「0.5」、「0.5」、「0.5」、「0.5」という値が得られる。
【0061】
これに対し、上述のように構成する場合(図4参照)、隣接する4つの画素10A〜10Dにおいて、第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8は横方向に電気的に接続されている。このため、第1画素10Aの第1活性層8からの出力UL1と第2画素10Bの第1活性層8からの出力UR1とを足した値(UL1+UR1)が、第1画素10Aと第2画素10Bの第1活性層8からの出力Uとして得られる。ここでは、図7の右側半分に示すように、UL1、UR1は、いずれも「1」という値であるため、出力Uとして「2」という値が得られる。
【0062】
同様に、第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8は横方向に電気的に接続されている。このため、第3画素10Cの第1活性層8からの出力DL1と第4画素10Dの第1活性層8からの出力DR1とを足した値(DL1+DR1)が、第3画素10Cと第4画素10Dの第1活性層8からの出力Dとして得られる。ここでは、図7の右側半分に示すように、DL1、DR1は、いずれも、「1」という値であるため、出力Dとして「2」という値が得られる。
【0063】
また、第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9は縦方向に電気的に接続されている。このため、第1画素10Aの第2活性層9からの出力UL2と第3画素10Cの第2活性層9からの出力DL2とを足した値(UL2+DL2)が、第1画素10Aと第3画素10Cの第2活性層9からの出力Lとして得られる。ここでは、図7の右側半分に示すように、UL2、DL2は、いずれも「0.5」という値であるため、出力Lとして「1」という値が得られる。
【0064】
同様に、第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9は縦方向に電気的に接続されている。このため、第2画素10Bの第2活性層9からの出力UR2と第4画素10Dの第2活性層9からの出力DR2とを足した値(UR2+DR2)が、第2画素10Bと第4画素10Dの第2活性層9からの出力Rとして得られる。ここでは、図7の右側半分に示すように、UR2、DR2は、いずれも、「0.5」という値であるため、出力Rとして「1」という値が得られる。
【0065】
このため、出力Uとして得られた「2」という値を、出力Lとして得られた「1」という値と出力Rとして得られた「1」という値との比(1:1)で分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力UL1、第2画素10Bの第1活性層8からの出力UR1として、それぞれ、「1」という値が得られる。
同様に、出力Dとして得られた「2」という値を、出力Lとして得られた「1」という値と出力Rとして得られた「1」という値との比(1:1)で分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力DL1、第4画素10Dの第1活性層8からの出力DR1として、それぞれ、「1」という値が得られる。
【0066】
また、出力Lとして得られた「1」という値を、出力Uとして得られた「2」という値と出力Dとして得られた「2」という値との比(1:1)で分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力UL2、第3画素10Cの第2活性層9からの出力DL2として、それぞれ、「0.5」という値が得られる。
同様に、出力Rとして得られた「1」という値を、出力Uとして得られた「2」という値と出力Dとして得られた「2」という値との比(1:1)で分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力UR2、第4画素10Dの第2活性層9からの出力DR2として、それぞれ、「0.5」という値が得られる。
【0067】
このように、隣接する4つの画素10A〜10Dに均等な光が入射した場合は、2画素分の出力を正確に分配することができ、本来得られるはずの出力が得られる。
ここで、図8はこの結果をグラフ化したものである。図8中、横軸は隣接する4つの画素10A〜10Dから本来得られるはずの出力信号の値を表しており、縦軸は上述のような演算処理によって求められた出力信号の値を表している。
【0068】
上述の場合、両者は一致するため、当然ながら、傾きが「1」の直線上にのる。
次に、隣接する4つの画素10A〜10Dの中に入射光が無い画素(出力信号の値が「0」の画素)が存在する場合について、図9、図10を参照しながら説明する。
隣接する4つの画素10A〜10Dの中に入射光が無い画素が存在する場合、各画素10の各活性層8、9からの出力信号(出力;信号強度)は図9の左側半分に示すようになるはずである。ここでは、UL1、UR1、DL1、DR1として、それぞれ、「1」、「0」、「0」、「1」という値が得られ、UL2、UR2、DL2、DR2として、それぞれ、「0.5」、「0」、「0」、「0.5」という値が得られる。
【0069】
しかしながら、上述のように構成する場合(図4参照)、上述のような演算処理によって求められる出力信号の値は、図9の右側半分に示すように、4つの画素10A〜10Dでならされてしまい、均一な値となってしまう。ここでは、UL1、UR1、DL1、DR1として、それぞれ、「0.5」、「0.5」、「0.5」、「0.5」という値が得られてしまい、UL2、UR2、DL2、DR2として、それぞれ、「0.25」、「0.25」、「0.25」、「0.25」という値が得られてしまう。
【0070】
このため、これをグラフ化した場合、図10に示すように、傾きが「1」の直線上にのらない。
次に、隣接する4つの画素10A〜10Dで入射光が比較的滑らかに変化する場合について、図11、図12を参照しながら説明する。
隣接する4つの画素10A〜10Dで入射光が比較的滑らかに変化する場合、各画素10の各活性層8、9からの出力信号(出力;信号強度)は図11の左側半分に示すようになるはずである。ここでは、UL1、UR1、DL1、DR1として、それぞれ、「1」、「0.8」、「0.5」、「0.3」という値が得られ、UL2、UR2、DL2、DR2として、それぞれ、「0.5」、「0.4」、「0.25」、「0.15」という値が得られる。
【0071】
しかしながら、上述のように構成する場合(図4参照)、上述のような演算処理によって求められる出力信号の値は、図11の右側半分に示すように、比較的良好なものとなる。ここでは、UL1、UR1、DL1、DR1として、それぞれ、「1.0385」、「0.7615」、「0.4615」、「0.3385」という値が得られ、UL2、UR2、DL2、DR2として、それぞれ、「0.5192」、「0.3808」、「0.2308」、「0.1692」という値が得られる。
【0072】
このため、これをグラフ化した場合、図12に示すように、傾きが「1」の直線上にほぼのることになる。
したがって、例えば図13に示すようなターゲットを見た場合、例えば輪郭線は4画素分に広がって見えてしまうようなことが起こる。しかし、それ以外の信号が大きく変動しない領域では、良好な近似値が得られる。
【0073】
このように、1画素1バンプとし、画素サイズを1/4にして、4倍の画素数に多画素化することで、空間分解能(解像度)は完全に4倍とまではいかないが、信号が滑らかに変動する領域を見ている限りにおいてはほぼ4倍にすることができ、輪郭部分においても、多画素化前の空間分解能は補償される。
また、上述のように構成することで、1画素1バンプを実現することができる。また、1画素1バンプとすることで、1画素3バンプの場合(図14参照)と同じバンプピッチで、画素サイズを1/4にし、チップサイズを大きくすることなく画素数を4倍に多画素化することが可能となる。また、1画素1バンプにしても、バイアスを切り替えることによって第1活性層8からの信号と第2活性層9からの信号とを交互に読み出す必要がないため、感度を向上させることができる。
【0074】
つまり、1画素1バンプの場合、バンプピッチ(バンプの中心間距離)が同じであれば、1画素3バンプの場合(図14参照)と比較して画素サイズを1/4にすることができる。これにより、同じサイズの赤外線検知素子アレイ5で画素数を4倍にすることができる。なお、1画素2バンプの場合(図15参照)と比較しても画素サイズを1/2にすることができ、これにより、同じサイズの赤外線検知素子アレイ5で画素数を2倍にすることができる。
【0075】
但し、同じサイズの赤外線検知素子アレイ5で画素数を4倍にすることができても、ターゲットの境界線付近などの出力信号の差が大きい領域では空間分解能が落ちるため、撮像された画像の全体にわたって空間分解能がそのまま4倍とはならない。しかしながら、出力信号の差が小さい領域では空間分解能はほぼ4倍になる。
また、1画素1バンプとし、画素サイズを1/4に小さくすることで画素数を4倍に多画素化する場合、チップサイズは小さいままで、バンプピッチも変わらないため、赤外線検知素子アレイ5を製造する上で大きな優位性を持つ。つまり、画素サイズを変えずに画素数を4倍にすると、チップサイズは長さで2倍、面積で4倍に増大する。このため、ウェハ内のチップ数が減少したり、フォトリソグラフィのショットサイズの制限を受けるなど、製造プロセス上の不利益を被ることになる。また、FCBでも必要加重の増大や傾きに対する許容度の減少等、困難さを増すことになる。これらの点を考慮すると、多少空間分解能を犠牲にしても、バンプ数を1つに減らして、画素サイズを1/4に小さくすることで、チップサイズを大きくせず、バンプピッチも変えないで画素数を4倍に多画素化する方が有利であると言える。
【0076】
例えば、画素サイズ縦約40μm×横約40μmの画素を縦に256個、横に256個配列した赤外線検知素子アレイ5では、1画素3バンプの場合、バンプの最小ピッチは約20μmとなる。このバンプピッチの大きさは、FCBを行なうことを考慮すると、ほぼ限界に近い数字である。また、チップサイズを変えずに画素を縦に512個、横に512個配列して画素数を4倍にした赤外線検知素子アレイ5では、バンプピッチはさらに小さくなり、FCBを行なうにはほぼ不可能な数字となる。一方、画素サイズを変えないで、即ち、バンプピッチを変えないで、縦に512個、横に512個配列して多画素化した場合、有効画素部分の面積だけで約20.5mm角となり、画素周辺部分を加えると約22mm角よりも小さくなることはない。このサイズは、露光装置によっては1ショットの限界を超えている。仮に露光が可能であったとしても、チップサイズが大きいため、ウェハ内に形成できるチップ数が限られてしまう。また、チップサイズが長さで2倍になると、FCBのアライメント時に許容される傾きの量は1/2になり、非常に厳しいアライメント精度が要求されることになる。このため、上述のように、1画素当たりのバンプ数を1つに減らして、画素サイズを小さくする(長さで1/2、面積で1/4)ことで、チップサイズを大きくせず、バンプピッチも変えないで画素数を4倍に多画素化する方が有利である。
【0077】
次に、本実施形態の赤外線検知素子アレイ5の具体的な構造(素子構造)について、図16を参照しながら説明する。
本実施形態では、赤外線検知素子アレイ5は、図16に示すように、二次元に配列された複数の画素10(赤外線検知素子)と、複数の画素10を分離する複数の分離溝20、21とを備える。
【0078】
ここでは、各画素10は、半導体基板(図示せず)上に、下部コンタクト層22、一の波長帯の赤外線を吸収する第2MQW層(下部活性層)9、中間コンタクト層23、他の波長帯の赤外線を吸収する第1MQW層(上部活性層)8、上部コンタクト層24を順に積層した構造になっている。つまり、一の波長帯に対する下部活性層9の上方に他の波長帯に対する上部活性層8が積層された構造になっている。また、半導体積層構造の表面全体を覆うようにパッシベーション膜(絶縁膜)25が形成されている。
【0079】
例えば、半導体基板は、GaAs基板である。また、下部コンタクト層22、中間コンタクト層23、上部コンタクト層24は、GaAsコンタクト層である。つまり、本実施形態では、赤外線検知素子アレイ5は、例えばGaAs系の半導体材料によって形成されている。また、パッシベーション膜25は、SiN膜等である。
さらに、各画素10の表面側に、パッシベーション膜25を介して、各画素10の上方に一つずつバンプ6(金属バンプ;バンプ電極;ここではInバンプ)が形成されている。
【0080】
複数の分離溝20、21として、縦方向に延びる複数の分離溝21(第1分離溝)と、これに直交する横方向に延びる複数の分離溝20(第2分離溝)とが設けられている。なお、縦方向を、下部活性層9が延びる方向ともいい、横方向を、下部活性層9が延びる方向に直交する方向ともいう。
そして、縦方向の分離溝21は、1画素分の間隔をあけて平行に設けられている。この縦方向の分離溝21は、下部コンタクト層22まで分断する深さを有する。つまり、縦方向の分離溝21は、積層された2つの活性層8、9の両者を分断する深さを有する。
【0081】
また、横方向の分離溝20は、1画素分の間隔をあけて平行に設けられている。この横方向の分離溝20としては、下部コンタクト層22まで分断する深さを有する分離溝20Aと中間コンタクト層23の表面に達する深さを有する分離溝20Bとが交互に設けられている。つまり、横方向の分離溝20としては、積層された2つの活性層8、9の両者を分断する深さを有する分離溝20Aと、積層された2つの活性層8、9のうちの1つのみを分断する深さを有する分離溝20Bとが、交互に設けられている。
【0082】
このような縦方向の分離溝21と横方向の分離溝20とを設けることで、下部活性層9としての第1MQW層を2画素分の大きさに分断し、上部活性層8としての第2MQW層を1画素分の大きさに分断するようにしている。つまり、下部活性層9を2画素分の大きさに分断し、上部活性層8を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝20、21が設けられている。
【0083】
これにより、縦方向に延び、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層9と、1画素分の大きさを有する複数の上部活性層8とが設けられることになる。
この場合、上部コンタクト層24は1画素分の大きさに分断され、1画素分の大きさを有する複数の上部コンタクト層24となる。また、中間コンタクト層23は2画素分の大きさに分断され、2画素分の大きさを有する複数の中間コンタクト層23となる。
【0084】
また、ここでは、下部コンタクト層22は上下に分割されており、これらの間に絶縁層26が設けられている。
この場合、絶縁層26の上側の下部コンタクト層(第2下部コンタクト層)22Aは2画素分の大きさに分断され、2画素分の大きさを有する複数の第2下部コンタクト層22Aとなる。
【0085】
これに対し、絶縁層26の下側の下部コンタクト層(第1下部コンタクト層)22Bは、分離溝20、21によって分断されておらず、全画素10でつながっている。つまり、第1下部コンタクト層22Bは、全画素10に共通のコンタクト層(共通電極層)である。そして、第1下部コンタクト層22Bは、各画素10から素子外周部まで延びており、バンプを介して、素子外周部に設けられた信号処理回路チップ7のバイアス供給部に接続されている。また、第1下部コンタクト層22Bは、配線27(パッド28を含む;引き出し配線)を介して、各画素10の中間コンタクト層23に電気的に接続されている。これにより、各画素10に備えられる上部及び下部活性層8、9のそれぞれに、第1下部コンタクト層22B、配線27(パッドを含む)、中間コンタクト層23を介して、バイアス電圧が印加されるようになっている。なお、配線27を、金属配線又は配線金属ともいう。また、パッド28を、コンタクト金属又はコンタクト電極ともいう。
【0086】
具体的には、正方形状に隣接して配置されている4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、対角線上に、即ち、第1画素10Aの分離溝20、21に面している角部及び第4画素10Dの分離溝20、21に面している角部に、バイアス電圧を印加するための配線27(パッド28を含む)が設けられている。つまり、第1画素10Aの分離溝20、21に面している角部及び第4画素10Dの分離溝20、21に面している角部にコンタクト穴33を設けることによって露出した中間コンタクト層23の表面にパッド28が設けられている。また、これらの角部の近傍の分離溝20、21が交差する部分の底面、即ち、絶縁層26の開口部によって露出している第1下部コンタクト層22Bの表面にパッド28が設けられている。そして、これらのパッド28は、これらの角部に沿ってパッシベーション膜25を挟んで設けられた配線27によって電気的に接続されている。
【0087】
なお、これに限られるものではなく、複数の画素10の全てが接続されるように表面側に配線を形成するようにしても良い。そして、各画素10の上側に設けられている上部活性層8に金属配線を介してバイアス電圧が印加される一方、各画素10の下側に設けられている下部活性層9に下部コンタクト層22を介してバイアス電圧が印加されるようにしても良い。なお、配線を表面配線、金属配線又は配線金属ともいう。
【0088】
また、上述のように、上部活性層8は1画素分の大きさを有するものとなるため、1画素分の大きさを有する複数の上部活性層8のうち、横方向に隣接する2つの上部活性層8をそれぞれ配線29(パッド30を含む)によって電気的に接続するようにしている。なお、横方向を、2画素分の大きさを有する下部活性層9が延びる方向に直交する方向ともいう。また、配線29を、金属配線、表面配線又は配線金属ともいう。また、パッド30を、コンタクト金属又はコンタクト電極ともいう。
【0089】
この場合、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、縦方向に延び、2画素分の大きさを有する2つの下部活性層9が、それぞれ、第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分を電気的に接続する活性層、及び、第2画素10Bと第4画素10Dの2画素分を電気的に接続する活性層となる。そして、これらの下部活性層9のそれぞれに、下部コンタクト層22及び配線31(パッド32を含む)を介して電気的に接続され、第2画素10B及び第3画素10Cの上方に設けられたバンプ6が、それぞれ、第2バンプ6B、第3バンプ6Cとなる。なお、配線31を、金属配線又は配線金属ともいう。また、パッド32を、コンタクト金属又はコンタクト電極ともいう。
【0090】
また、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、横方向に隣接し、配線29(パッド30を含む)によって接続された2つの上部活性層8が、第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分を電気的に接続する活性層、及び、第3画素10Cと第4画素10Dの2画素分を電気的に接続する活性層となる。そして、これらの上部活性層8のそれぞれに、上部コンタクト層24及び配線29(パッド30を含む)を介して電気的に接続され、第1画素10A及び第4画素10Dの上方に設けられたバンプ6が、それぞれ、第1バンプ6A、第4バンプ6Dとなる。
【0091】
具体的には、正方形状に隣接して配置されている4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、対角線上に、即ち、第2画素10Bの分離溝20、21に面している角部及び第3画素10Cの分離溝20、21に面している角部に、それぞれ、2画素分の大きさを有する下部活性層9から表面側に信号を引き出すための配線31(パッド32を含む;引き出し配線)が設けられている。つまり、第2画素10Bの分離溝20、21に面している角部及び第3画素10Cの分離溝20、21に面している角部にコンタクト穴34を設けることによって露出した第2下部コンタクト層22Aの表面にパッド32が設けられている。そして、これらのパッド32は、これらの角部に沿ってパッシベーション膜25を挟んで設けられた配線31によって、それぞれ、第2画素10Bの上方に設けられた第2バンプ6B及び第3画素10Cの上方に設けられた第3バンプ6Cに電気的に接続されている。
【0092】
また、正方形状に隣接して配置されている4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、横方向に隣接し、分離溝21によって分離されている第1画素10Aの上部活性層8と第2画素10Bの上部活性層8とを電気的に接続するための配線29(パッド30を含む)が、第1画素10A、第2画素10B及びこれらの間の分離溝21の上方に設けられている。つまり、第1画素10Aの上部コンタクト層24と第2画素10Bの上部コンタクト層24のそれぞれの表面にパッド30が設けられている。そして、これらのパッド30は、パッシベーション膜25を挟んで設けられた配線29によって電気的に接続されている。また、この配線29は、第1画素10Aの上方に設けられた第1バンプ6Aに電気的に接続されている。
【0093】
同様に、正方形状に隣接して配置されている4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、横方向に隣接し、分離溝21によって分離されている第3画素10Cの上部活性層8と第4画素10Dの上部活性層8とを電気的に接続するための配線29(パッド30を含む)が、第3画素10C、第4画素10D及びこれらの間の分離溝21の上方に設けられている。つまり、第3画素10Cの上部コンタクト層24と第4画素10Dの上部コンタクト層24のそれぞれの表面にパッド30が設けられている。そして、これらのパッド30は、パッシベーション膜25を挟んで設けられた配線29によって電気的に接続されている。また、この配線29は、第4画素10Dの上方に設けられた第4バンプ6Dに電気的に接続されている。
【0094】
このようにして、2画素分の大きさを有する2つの下部活性層9から、1つの配線31及びバンプ6B、6Cを介して、2画素分の信号を取り出し、2画素分が配線によって電気的に接続された2つの上部活性層8から、1つの配線29及びバンプ6A、6Dを介して、2画素分の信号を取り出すことができるようになっている。
つまり、隣接する4つの画素10(第1〜第4画素10A〜10D)において、それぞれの画素10の上方に1つずつバンプ6(第1〜第4バンプ6A〜6D)を設け、これらのバンプ6をそれぞれ2画素分が電気的に接続された上部活性層8及び下部活性層9に電気的に接続している。これにより、2画素分が電気的に接続された上部活性層8及び下部活性層9から、それぞれのバンプ6を介して、2画素分の信号(光電流信号)を取り出すことができるようになっている。
【0095】
なお、下部コンタクト層22を上下に分割し、これらの間に絶縁層26を設けるのに代えて、中間コンタクト層23を上下に分割し、これらの間に絶縁層を設け、絶縁層の上側の中間コンタクト層と下部コンタクト層とを配線によって接続するようにしても良い(図24参照)。この場合、下部活性層9からの信号を読み出すためにバンプに接続するための配線は、絶縁層の下側の中間コンタクト層に接続すれば良い。
【0096】
このように構成される赤外線検知素子アレイ5は、全体として見ると、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層9のそれぞれに接続されるバンプ6が、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層9のそれぞれの上方に、下部活性層9が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、配線29によって接続された隣接する2つの上部活性層8のそれぞれに接続されるバンプ6が、配線29によって接続された隣接する2つの上部活性層8のそれぞれの上方に、下部活性層9が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数のバンプ6が各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられたものとなる(図2参照)。
【0097】
ところで、上述のように構成される赤外線検知素子アレイ5では、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、以下のように動作する。
つまり、図17に示すように、まず、第1下部コンタクト層22B及び配線27を介して、第1画素10Aと第3画素10Cとでつながっている中間コンタクト層23及び第2画素10Bと第4画素10Dとでつながっている中間コンタクト層23のそれぞれにバイアス電圧が供給される。
【0098】
そして、これらの中間コンタクト層23を介して、1画素分の大きさを有する第1〜第4画素10A〜10Dの上部活性層8のそれぞれにバイアス電圧が印加される。また、これらの中間コンタクト層23を介して、2画素分の大きさを有する下部活性層9、即ち、第1画素10Aと第3画素10Cとでつながっている下部活性層9及び第2画素10Bと第4画素10Dとでつながっている下部活性層9のそれぞれにバイアス電圧が印加される。
【0099】
また、2画素分が配線29によって電気的に接続されている第1画素10A及び第2画素10Bの上部活性層8から、第1バンプ6Aを介して、2画素分の信号を取り出す。また、2画素分が配線29によって電気的に接続されている第3画素10C及び第4画素10Dの上部活性層8から、第4バンプ6Dを介して、2画素分の信号を取り出す。また、第1画素10Aと第3画素10Cとでつながっている下部活性層9から、第3バンプ6Cを介して、2画素分の信号を取り出す。また、第2画素10Bと第4画素10Dとでつながっている下部活性層9から、第2バンプ6Bを介して、2画素分の信号を取り出す。
【0100】
次に、上述のように構成される赤外線検知素子アレイ5及びこれを備える赤外線イメージセンサ2の製造方法について、図16を参照しながら説明する。
まず、例えばGaAs基板などの半導体基板(図示せず)上に、n−GaAs第1下部コンタクト層22B、i−GaAs絶縁層26、n−GaAs第2下部コンタクト層22A、下部活性層9、n−GaAs中間コンタクト層23、上部活性層8、n−GaAs上部コンタクト層24を成長させる。これにより、各画素(赤外線検知素子)10を構成する半導体積層構造(ウェハ構造)が形成される。このようにして、一の波長帯に対する下部活性層9の上方に他の波長帯に対する上部活性層8を積層させる。
【0101】
次に、例えばドライエッチングによって、各画素10を分離する分離溝20、21を形成する。つまり、複数の画素10が形成されるように分離溝20、21を形成する。ここでは、n−GaAs上部コンタクト層24の表面からi−GaAs絶縁層26の表面まで延びる分離溝20A、21、及び、n−GaAs上部コンタクト層24の表面からn−GaAs中間コンタクト層23の表面まで延びる分離溝20Bを形成する。
【0102】
このようにして、下部活性層9を2画素分の大きさに分断し、上部活性層8を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝20、21を形成する。これにより、二次元に配列された複数の画素10が形成される。
ここでは、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、下部活性層9は、縦方向に第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分がつながっており、また、縦方向に第2画素10Bと第4画素10Dの2画素分がつながっている。つまり、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、上部活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第3画素10Cと第4画素10Dの2画素分が電気的に接続されている。
【0103】
また、隣接する4つの画素10A〜10Dのそれぞれの角部に、例えばドライエッチングによって、コンタクト穴33、34を形成する。ここでは、また、正方形状に隣接して配置される4つの画素10A〜10Dの一方の対角線上に位置する角部に、n−GaAs上部コンタクト層24の表面からn−GaAs中間コンタクト層23の表面まで延びるコンタクト穴33を形成する。また、正方形状に隣接して配置される4つの画素10A〜10Dの他方の対角線上に位置する角部に、n−GaAs上部コンタクト層24の表面からn−GaAs第2下部コンタクト層22Aの表面まで延びるコンタクト穴34を形成する。
【0104】
次に、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、分離溝20、21及びコンタクト穴33、34の中を含む表面全体を覆うように、パッシベーション膜25を形成する。
次に、隣接する4つの画素10A〜10Dの一方の対角線上に位置するコンタクト穴33の底面、即ち、n−GaAs中間コンタクト層23の表面上に形成されたパッシベーション膜25の一部を例えばドライエッチングによって除去した後、例えば蒸着によってコンタクト電極28を形成する。また、隣接する4つの画素10A〜10Dの一方の対角線上に位置するコンタクト穴33の近傍の分離溝20、21が交差する部分の底面、即ち、n−GaAs第1下部コンタクト層22Bの表面上に形成されたi−GaAs絶縁層26及びパッシベーション膜25の一部を例えばドライエッチングによって除去した後、例えば蒸着によってコンタクト電極28を形成する。また、各画素10の表面上に形成されたパッシベーション膜25の一部を例えばドライエッチングによって除去した後、例えば蒸着によってコンタクト電極30を形成する。
【0105】
次に、隣接する2つの画素10の表面上に形成された2つのコンタクト電極30を電気的に接続する配線29を形成する。ここでは、1画素分の大きさを有する複数の上部活性層8のうち、2画素分の大きさを有する下部活性層9が延びる方向に直交する方向に隣接する2つの上部活性層8をそれぞれ配線29によって電気的に接続する。特に、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、上部活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分を配線29によって電気的に接続し、また、横方向に第3画素10Cと第4画素10Dの2画素分を配線29によって電気的に接続する。ここでは、例えば配線金属をスパッタリングし、例えばイオンミリングによって不要部分を除去して、配線29を形成する。
【0106】
また、隣接する4つの画素10A〜10Dの一方の対角線上に位置するコンタクト穴33の底面に形成されたコンタクト電極28と、コンタクト穴33の近傍の分離溝20、21が交差する部分の底面に形成されたコンタクト電極28とを電気的に接続する配線27を形成する。ここでは、例えば配線金属をスパッタリングし、例えばイオンミリングによって不要部分を除去して、配線27を形成する。
【0107】
次いで、再び、表面全体を覆うようにパッシベーション膜25を形成する。
次に、隣接する4つの画素10A〜10Dの他方の対角線上に位置するコンタクト穴34の底面、即ち、n−GaAs第2下部コンタクト層22Aの表面上に形成されたパッシベーション膜25の一部を例えばドライエッチングによって除去した後、例えば蒸着によってコンタクト電極32を形成する。
【0108】
次に、隣接する4つの画素10A〜10Dの他方の対角線上に位置するコンタクト穴34の底面に形成されたコンタクト電極32の上部から表面上のバンプ6を設ける領域まで延びる配線31を形成する。ここでは、例えば配線金属をスパッタリングし、例えばイオンミリングによって不要部分を除去して、配線31を形成する。
次いで、再び、表面全体を覆うようにパッシベーション膜25を形成する。
【0109】
次に、各画素10のバンプ6を設ける領域のパッシベーション膜25を例えばドライエッチングによって除去した後、バンプ6を設ける領域に露出している配線29、31のそれぞれの表面上に、例えば蒸着又はめっきによって、バンプ6を形成する。このようにして、各画素10の上方にそれぞれ1つずつバンプ6を形成する。
ここでは、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層9のそれぞれに接続されるバンプ6が、2画素分の大きさを有する複数の下部活性層9のそれぞれの上方に、下部活性層9が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、配線29によって接続された隣接する2つの上部活性層8のそれぞれに接続されるバンプ6が、配線29によって接続された隣接する2つの上部活性層8のそれぞれの上方に、下部活性層9が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、各画素10の上方にそれぞれ1つずつバンプ6を形成する(図2参照)。
【0110】
特に、隣接する4つの画素、即ち、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dにおいては、第1〜第4画素10A〜10Dの上方に第1〜第4バンプ6A〜6Dがそれぞれ1つずつ形成される。つまり、第1画素10Aの上部活性層8と第2画素10Bの上部活性層8とに電気的に接続される第1バンプ6A、第2画素10Bの下部活性層9と第4画素10Dの下部活性層9とに電気的に接続される第2バンプ6B、第1画素10Aの下部活性層9と第3画素10Cの下部活性層9とに電気的に接続される第3バンプ6C、第3画素10Cの上部活性層8と第4画素10Dの上部活性層8とに電気的に接続される第4バンプ6Dが形成される。
【0111】
このように、第1画素10Aと第2画素10Bとで電気的に接続されている上部活性層8に電気的に接続される第1バンプ6A、第2画素10Bと第4画素10Dとで電気的に接続されている下部活性層9に電気的に接続される第2バンプ6B、第1画素10Aと第3画素10Cとで電気的に接続されている下部活性層9に電気的に接続される第3バンプ6C、第3画素10Cと第4画素10Dとで電気的に接続されている上部活性層8に電気的に接続される第4バンプ6Dが形成される。
【0112】
次に、チップサイズにダイシング(切断)して、複数の画素10が二次元的に配列された赤外線検知素子アレイ5とした後、これをフリップチップボンディング(FCB)によって信号処理回路チップ7に貼り合わせる。このようにして、各画素10を、バンプ6を介して、信号処理回路チップ7に電気的に接続する。
このようにして、本実施形態にかかる赤外線検知素子アレイ5及びこれを備える赤外線イメージセンサ2が完成する。
【0113】
したがって、本実施形態にかかるセンサ素子アレイ及びその製造方法、撮像装置によれば、1画素1バンプを実現しながら、感度を向上させることができるという利点がある。つまり、1画素1バンプを実現することができる。また、1画素1バンプとすることで、1画素3バンプの場合(図14参照)と同じバンプピッチで、画素サイズを1/4にし、チップサイズを大きくすることなく画素数を4倍に多画素化することが可能となる。また、1画素1バンプにしても、バイアスを切り替えることによって第1活性層8からの信号と第2活性層9からの信号とを交互に読み出す必要がないため、感度を向上させることができる。
【0114】
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、赤外線検知素子アレイ5を全体で見ると、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8を、縦方向及び横方向にそろえて配置し、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9を、縦方向及び横方向にそろえて配置し、さらに、縦方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第2活性層9の直上に、横方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第1活性層8を配置するようにしているが(図2参照)、これに限られるものではなく、ずらして配置しても良い。
【0115】
例えば、図18(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8を、横方向にそろえて配置し、縦方向に1画素分ずらして配置するようにしても良い。ここでは、図18(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9は、縦方向及び横方向にそろえて配置する。なお、図18(A)に示したものと図18(B)に示したものは、実際には積層された状態になっている。
【0116】
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、図18(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、横方向に2画素分が電気的に接続されている第1活性層8のそれぞれの上方に、縦方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、図18(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、縦方向に2画素分が電気的に接続されている第2活性層9のそれぞれの上方に、横方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数のバンプ6が各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられる。
【0117】
また、この場合も、隣接する4つの画素、即ち、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1〜第4画素10A〜10Dの上方に第1〜第4バンプ6A〜6Dがそれぞれ1つずつ設けられる。そして、第1バンプ6Aは、第1画素10Aの第1活性層8と第2画素10Bの第1活性層8とに電気的に接続される。また、第2バンプ6Bは、第2画素10Bの第2活性層9と第4画素10Dの第2活性層9とに電気的に接続される。また、第3バンプ6Cは、第1画素10Aの第2活性層9と第3画素10Cの第2活性層9とに電気的に接続される。また、第4バンプ6Dは、第4画素10Dの第1活性層8と第4画素10Dに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8とに電気的に接続される。
【0118】
このように、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第3画素10Cとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されており、横方向に第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第2画素10Bとで電気的に接続されている第1活性層8に第1バンプ6Aが電気的に接続されており、第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素とで電気的に接続されている第1活性層8に第4バンプ6Dが電気的に接続されている。
【0119】
また、第2活性層9は、縦方向に第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分が電気的に接続されており、また、縦方向に第2画素10Bと第4画素10Dの2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第3画素10Cとで電気的に接続されている第2活性層9に第3バンプ6Cが電気的に接続されており、第2画素10Bと第4画素10Dとで電気的に接続されている第2活性層9に第2バンプ6Bが電気的に接続されている。
【0120】
この場合、隣接する4つの画素10A〜10Dでは、縦方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第2活性層9の直上に、横方向に2画素分が電気的に接続されている1つの第1活性層8及び横方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第1活性層9の1画素分が配置されることになる。
このように構成する場合、制御演算部3では、以下のようにして、各画素10の第1活性層8及び第2活性層9からの出力信号UL1,UR1,DL1,DR1,UL2,UR2,DL2,DR2のそれぞれの値(計算値)を求めるようにすれば良い。
【0121】
ここで、各バンプ6を介して出力される出力信号を、バンプ6に付されたアルファベットと、第1活性層8(波長1)からの出力信号であることを示す数字「1」又は第2活性層9(波長2)からの出力信号であることを示す数字「2」との組み合わせで表すことにする。例えば、バンプAを介して出力される第1活性層8からの出力信号は「A1」である。
UL1=F1×B2/(B2+G2)
UR1=F1×G2/(B2+G2)
DL1=A1×B2/(B2+E2)
DR1=C1×G2/(D2+G2)
UL2=B2×F1/(A1+F1)
UR2=G2×F1/(C1+F1)
DL2=B2×A1/(A1+F1)
DR2=G2×C1/(C1+F1)
ここでは、制御演算部3は、上述の赤外線検知素子アレイ5の構成に応じて、以下のような処理を行なうようになっている。
【0122】
つまり、制御演算部3は、第1バンプ6Aを介して第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号と第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0123】
また、制御演算部3は、第2バンプ6Bを介して第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号及び第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0124】
また、制御演算部3は、第3バンプ6Cを介して第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Aで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0125】
また、制御演算部3は、第4バンプ6Dを介して第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第2画素10B及び第4画素10Dの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10Bに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第4画素に隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Dで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0126】
また、制御演算部3は、第1〜第4バンプ6A〜6D以外のバンプ(符号Aで示すもの)を介して第3画素10C及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第1画素10Aに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第3画素10Cに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Eで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第3画素の第1活性層からの出力信号を求めるようになっている。
【0127】
また、例えば図19(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9を、縦方向にそろえて配置し、横方向に1画素分ずらして配置するようにしても良い。ここでは、図19(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8は、縦方向及び横方向にそろえて配置する。なお、図19(A)に示したものと図19(B)に示したものは、実際には積層された状態になっている。
【0128】
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、図19(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、横方向に2画素分が電気的に接続されている第1活性層8のそれぞれの上方に、縦方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、図19(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、縦方向に2画素分が電気的に接続されている第2活性層9のそれぞれの上方に、横方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数のバンプ6が各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられる。
【0129】
また、この場合も、隣接する4つの画素、即ち、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1〜第4画素10A〜10Dの上方に第1〜第4バンプ6A〜6Dがそれぞれ1つずつ設けられる。そして、第1バンプ6Aは、第1画素10Aの第1活性層8と第2画素10Bの第1活性層8とに電気的に接続される。また、第2バンプ6Bは、第2画素10Bの第2活性層9と第2画素10Bに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9とに電気的に接続される。また、第3バンプ6Cは、第1画素10Aの第2活性層9と第3画素10Cの第2活性層9とに電気的に接続される。また、第4バンプ6Dは、第3画素10Cの第1活性層8と第4画素10Dの第1活性層8とに電気的に接続される。
【0130】
このように、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第3画素10Cと第4画素10Dの2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第2画素10Bとで電気的に接続されている第1活性層8に第1バンプ6Aが電気的に接続されており、第4画素10Dと第3画素10Cとで電気的に接続されている第1活性層8に第4バンプ6Dが電気的に接続されている。
【0131】
また、第2活性層9は、縦方向に第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分が電気的に接続されており、また、縦方向に第2画素10Bとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されており、縦方向に第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第3画素10Cとで電気的に接続されている第2活性層9に第3バンプ6Cが電気的に接続されており、第2画素10Bとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素とで電気的に接続されている第2活性層9に第2バンプ6Bが電気的に接続されている。
【0132】
この場合、隣接する4つの画素10A〜10Dでは、横方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第1活性層8の直下に、縦方向に2画素分が電気的に接続されている1つの第2活性層9及び縦方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第2活性層9の1画素分が配置されることになる。
このように構成する場合、制御演算部3では、以下のようにして、各画素10の第1活性層8及び第2活性層9からの出力信号UL1,UR1,DL1,DR1,UL2,UR2,DL2,DR2のそれぞれの値(計算値)を求めるようにすれば良い。
【0133】
ここで、各バンプ6を介して出力される出力信号を、バンプ6に付されたアルファベットと、第1活性層8(波長1)からの出力信号であることを示す数字「1」又は第2活性層9(波長2)からの出力信号であることを示す数字「2」との組み合わせで表すことにする。例えば、バンプAを介して出力される第1活性層8からの出力信号は「A1」である。
UL1=F1×J2/(E2+J2)
UR1=F1×E2/(E2+J2)
DL1=I1×J2/(M2+J2)
DR1=I1×M2/(M2+J2)
UL2=J2×F1/(F1+I1)
UR2=E2×F1/(A1+F1)
DL2=J2×I1/(F1+I1)
DR2=M2×I1/(I1+N1)
ここでは、制御演算部3は、上述の赤外線検知素子アレイ5の構成に応じて、以下のような処理を行なうようになっている。
【0134】
つまり、制御演算部3は、第1バンプ6Aを介して第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0135】
また、制御演算部3は、第2バンプ6Bを介して第2画素10B及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第1画素10Aに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第2画素10Bに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Aで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0136】
また、制御演算部3は、第3バンプ6Cを介して第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0137】
また、制御演算部3は、第4バンプ6Dを介して第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Mで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力信号及び第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0138】
また、制御演算部3は、第1〜第4バンプ6A〜6D以外のバンプ(符号Mで示すもの)を介して第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第3画素10C及び第4画素10Dの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10Cに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第4画素10Dに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Nで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0139】
また、例えば図20(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8を、横方向にそろえて配置し、縦方向に1画素分ずらして配置し、図20(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9を、縦方向にそろえて配置し、横方向に1画素分ずらして配置するようにしても良い。なお、図20(A)に示したものと図20(B)に示したものは、実際には積層された状態になっている。
【0140】
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、図20(A)に示すように、横方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第1活性層8のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、横方向に2画素分が電気的に接続されている第1活性層8のそれぞれの上方に、縦方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、図20(B)に示すように、縦方向に2画素分が電気的に接続されている複数の第2活性層9のそれぞれに電気的に接続されるバンプ6が、縦方向に2画素分が電気的に接続されている第2活性層9のそれぞれの上方に、横方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、複数のバンプ6が各画素10の上方にそれぞれ1つずつ設けられる。
【0141】
また、この場合も、隣接する4つの画素、即ち、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1〜第4画素10A〜10Dの上方に第1〜第4バンプ6A〜6Dがそれぞれ1つずつ設けられる。そして、第1バンプ6Aは、第1画素10Aの第1活性層8と第2画素10Bの第1活性層8とに電気的に接続される。また、第2バンプ6Bは、第2画素10Bの第2活性層9と第2画素に隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9とに電気的に接続される。また、第3バンプ6Cは、第1画素10Aの第2活性層9と第3画素10Cの第2活性層9とに電気的に接続される。また、第4バンプ6Dは、第4画素10Dの第1活性層8と第4画素10Dに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8とに電気的に接続される。
【0142】
このように、隣接する4つの第1〜第4画素10A〜10Dにおいて、第1活性層8は、横方向に第1画素10Aと第2画素10Bの2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第3画素10Cとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されており、また、横方向に第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第2画素10Bとで電気的に接続されている第1活性層8に第1バンプ6Aが電気的に接続されており、第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素とで電気的に接続されている第1活性層8に第4バンプ6Dが電気的に接続されている。
【0143】
また、第2活性層9は、縦方向に第1画素10Aと第3画素10Cの2画素分が電気的に接続されており、また、縦方向に第2画素10Bとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されており、縦方向に第4画素10Dとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の2画素分が電気的に接続されている。そして、第1画素10Aと第3画素10Cとで電気的に接続されている第2活性層9に第3バンプ6Cが電気的に接続されており、第2画素10Bとこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素とで電気的に接続されている第2活性層9に第2バンプ6Bが電気的に接続されている。
【0144】
この場合、隣接する4つの画素10A〜10Dでは、横方向に2画素分が電気的に接続されている1つの第1活性層8及び横方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第1活性層8の1画素分の直下に、縦方向に2画素分が電気的に接続されている1つの第2活性層9及び縦方向に2画素分が電気的に接続されている2つの第2活性層9の1画素分が配置されることになる。
【0145】
このように構成する場合、制御演算部3では、以下のようにして、各画素10の第1活性層8及び第2活性層9からの出力信号UL1,UR1,DL1,DR1,UL2,UR2,DL2,DR2のそれぞれの値(計算値)を求めるようにすれば良い。
ここで、各バンプ6を介して出力される出力信号を、バンプ6に付されたアルファベットと、第1活性層8(波長1)からの出力信号であることを示す数字「1」又は第2活性層9(波長2)からの出力信号であることを示す数字「2」との組み合わせで表すことにする。例えば、バンプAを介して出力される第1活性層8からの出力信号は「A1」である。
UL1=F1×J2/(J2+G2)
UR1=F1×G2/(J2+G2)
DL1=I1×J2/(J2+M2)
DR1=K1×O2/(O2+L2)
UL2=J2×F1/(F1+I1)
UR2=G2×F1/(C1+F1)
DL2=J2×I1/(F1+I1)
DR2=O2×K1/(K1+N1)
ここでは、制御演算部3は、上述の赤外線検知素子アレイ5の構成に応じて、以下のような処理を行なうようになっている。
【0146】
つまり、制御演算部3は、第1バンプ6Aを介して第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第2画素10B及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0147】
また、制御演算部3は、第2バンプ6Bを介して第2画素10B及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第2画素10Bに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Cで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第2画素10Bの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0148】
また、制御演算部3は、第3バンプ6Cを介して第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10C及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Iで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0149】
また、制御演算部3は、第4バンプ6Dを介して第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Oで示すバンプからの出力信号)と第4画素10Dに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第2画素10Bに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Lで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第4画素10Dの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0150】
また、制御演算部3は、第1〜第4バンプ6A〜6D以外のバンプ(符号Iで示すもの)を介して第3画素10C及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された出力信号と第3画素10Cに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された出力信号(符号Mで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第3画素10Cの第1活性層8からの出力信号を求めるようになっている。
【0151】
また、制御演算部3は、第1〜第4バンプ6A〜6D以外のバンプ(符号Oで示すもの)を介して第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第4画素10D及びこれに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10Cに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素及び第4画素10Dに隣接する第1〜第4画素10A〜10D以外の画素の第1活性層8から読み出された出力信号(符号Nで示すバンプからの出力信号)との比率に基づいて分配して、第4画素10Dの第2活性層9からの出力信号を求めるようになっている。
【0152】
要するに、赤外線検知素子アレイ5は、第1波長帯に対する第1活性層8と第2波長帯に対する第2活性層9とを積層した構造を有し、互いに隣接する第1〜第4画素10A〜10Dと、第1画素10Aの第1活性層8と第2画素10Bの第1活性層8とに電気的に接続された第1バンプ6Aと、第2画素10Bの第2活性層9に電気的に接続された第2バンプ6Bと、第1画素10Aの第2活性層9と第3画素10Cの第2活性層9とに電気的に接続された第3バンプ6Cと、第4画素10Dの第1活性層8に電気的に接続された第4バンプ6Dとを備え、第1〜第4バンプ6A〜6Dが、第1〜第4画素10A〜10Dの上方にそれぞれ1つずつ設けられるように構成すれば良い。
【0153】
そして、制御演算部3を、第1バンプ6Aを介して第1画素10A及び第2画素10Bの第1活性層8から読み出された2画素分の出力信号を、第2画素10Bの第2活性層9から読み出された出力信号と第1画素10Aの第2活性層9から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第1活性層8からの出力信号及び第2画素10Bの第1活性層8からの出力信号を求め、かつ、第3バンプ6Cを介して第1画素10A及び第3画素10Cの第2活性層9から読み出された2画素分の出力信号を、第1画素10Aの第1活性層8から読み出された出力信号と第3画素10Cの第1活性層8から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、第1画素10Aの第2活性層9からの出力信号及び第3画素10Cの第2活性層9からの出力信号を求めるように構成すれば良い。
【0154】
また、上述の実施形態では、活性層8、9に量子井戸層を用いた場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、活性層に量子ドット層を用いても良いし、バルク材料や超格子からなる半導体層を用いても良い。
また、上述の実施形態では、赤外線イメージセンサ5を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、可視光の検知に用いるイメージセンサにも本発明を適用することができる。また、撮像装置の構成も上述の実施形態のものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0155】
1 赤外線撮像装置
2 赤外線イメージセンサ
3 制御演算部
4 モニタ
5 赤外線検知素子アレイ
6 バンプ
6A 第1バンプ
6B 第2バンプ
6C 第3バンプ
6D 第4バンプ
7 信号処理回路チップ
8 第1MQW層(第1活性層;上部活性層)
9 第2MQW層(第2活性層;下部活性層)
10 画素(赤外線検知素子)
10A 第1画素
10B 第2画素
10C 第3画素
10D 第4画素
11 真空容器
12 冷却系(冷凍機)
13 コールドヘッド
14 レンズ
15 出力配線
20、20A、20B 分離溝(横方向の分離溝;第2分離溝)
21 分離溝(縦方向の分離溝;第1分離溝)
22 下部コンタクト層
22A 下部コンタクト層(第2下部コンタクト層)
22B 下部コンタクト層(第1下部コンタクト層)
23 中間コンタクト層
24 上部コンタクト層
25 パッシベーション膜(絶縁膜)
26 絶縁層
27 配線
28 パッド
29 配線
30 パッド
31 配線31
32 パッド
33、34 コンタクト穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯に対する第1活性層と第2波長帯に対する第2活性層とを積層した構造を有し、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素と、
前記第1画素の前記第1活性層と前記第2画素の前記第1活性層とに電気的に接続された第1バンプと、
前記第2画素の前記第2活性層に電気的に接続された第2バンプと、
前記第1画素の前記第2活性層と前記第3画素の前記第2活性層とに電気的に接続された第3バンプと、
前記第4画素の前記第1活性層に電気的に接続された第4バンプとを備え、
前記第1〜第4バンプは、前記第1〜第4画素の上方にそれぞれ1つずつ設けられていることを特徴とするセンサ素子アレイ。
【請求項2】
前記第2バンプは、さらに前記第4画素の前記第2活性層に電気的に接続されており、
前記第4バンプは、さらに前記第3画素の前記第1活性層に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ素子アレイ。
【請求項3】
前記第2バンプは、さらに前記第4画素の前記第2活性層に電気的に接続されており、
前記第4バンプは、さらに前記第4画素に隣接する前記第1〜第4画素以外の画素の第1活性層に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ素子アレイ。
【請求項4】
前記第2バンプは、さらに前記第2画素に隣接する前記第1〜第4画素以外の画素の第2活性層に電気的に接続されており、
前記第4バンプは、さらに前記第3画素の前記第1活性層に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ素子アレイ。
【請求項5】
前記第2バンプは、さらに前記第2画素に隣接する前記第1〜第4画素以外の画素の第2活性層に電気的に接続されており、
前記第4バンプは、さらに前記第4画素に隣接する前記第1〜第4画素以外の画素の第1活性層に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ素子アレイ。
【請求項6】
第1波長帯に対する第1活性層と第2波長帯に対する第2活性層とを積層した構造を有し、縦横2つずつ配列された第1〜第4画素と、
前記第1画素の前記第1活性層と前記第2画素の前記第1活性層とに電気的に接続された第1バンプと、
前記第2画素の前記第2活性層に電気的に接続された第2バンプと、
前記第1画素の前記第2活性層と前記第3画素の前記第2活性層とに電気的に接続された第3バンプと、
前記第4画素の前記第1活性層に電気的に接続された第4バンプとを備え、
前記第1〜第4バンプが、前記第1〜第4画素の上方にそれぞれ1つずつ設けられているセンサ素子アレイと、
前記センサ素子アレイに少なくとも前記第1〜第4バンプを含む複数のバンプを介して接続された信号処理回路チップと、
前記信号処理回路チップに接続された制御演算部とを備え、
前記制御演算部は、
前記第1バンプを介して前記第1画素及び前記第2画素の前記第1活性層から読み出された2画素分の出力信号を、前記第2画素の前記第2活性層から読み出された出力信号と前記第1画素の前記第2活性層から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、前記第1画素の前記第1活性層からの出力信号及び前記第2画素の前記第1活性層からの出力信号を求め、かつ、前記第3バンプを介して前記第1画素及び前記第3画素の前記第2活性層から読み出された2画素分の出力信号を、前記第1画素の前記第1活性層から読み出された出力信号と前記第3画素の前記第1活性層から読み出された出力信号との比率に基づいて分配して、前記第1画素の前記第2活性層からの出力信号及び前記第3画素の前記第2活性層からの出力信号を求めるように構成されていることを特徴とする、撮像装置。
【請求項7】
一の波長帯に対する下部活性層の上方に他の波長帯に対する上部活性層を積層した構造を有する複数の画素と、
前記下部活性層を2画素分の大きさに分断し、前記上部活性層を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝と、
前記1画素分の大きさを有する複数の上部活性層のうち、前記2画素分の大きさを有する下部活性層が延びる方向に直交する方向に隣接する2つの上部活性層をそれぞれ電気的に接続する複数の配線と、
前記2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、前記2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれの上方に、前記下部活性層が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、前記配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、前記配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれの上方に、前記下部活性層が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、前記複数の画素の上方にそれぞれ1つずつ設けられた複数のバンプとを備えることを特徴とするセンサ素子アレイ。
【請求項8】
一の波長帯に対する下部活性層の上方に他の波長帯に対する上部活性層を積層させ、
前記下部活性層を2画素分の大きさに分断し、前記上部活性層を1画素分の大きさに分断する複数の分離溝を形成し、
前記1画素分の大きさを有する複数の上部活性層のうち、前記2画素分の大きさを有する下部活性層が延びる方向に直交する方向に隣接する2つの上部活性層をそれぞれ配線によって電気的に接続し、
前記2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、前記2画素分の大きさを有する複数の下部活性層のそれぞれの上方に、前記下部活性層が延びる方向に直交する方向で互いに1画素分ずれて並び、かつ、前記配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれに接続されるバンプが、前記配線によって接続された隣接する2つの上部活性層のそれぞれの上方に、前記下部活性層が延びる方向で互いに1画素分ずれて並ぶように、各画素の上方にそれぞれ1つずつバンプを形成することを特徴とするセンサ素子アレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図16】
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【図17】
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【図21】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−21032(P2013−21032A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151199(P2011−151199)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】