説明

ゼオライトを用いた窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法

【課題】NO、NO、NOを含む窒素酸化物(NOx)を含有する排気ガスをアンモニア又は尿素などの還元剤を噴射して触媒反応を通じてNとHOに転換する技術の中で排気ガスを浄化するための触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)擬ベーマイト、蒸留水、及びpH調節剤を混合して均一に解膠(peptizing)させて無機バインダーを得る段階;(b)ゼオライト、前記無機バインダー、有機バインダー、及び蒸留水を混合した後、混練(kneading)して練りを得る段階;(c)前記練りを規則的な構造の貫通気孔を有する押出体で押出する段階;及び(d)前記押出体を乾燥した後、熱処理する段階;とを含めて製造される窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNO、NO、NOを含む窒素酸化物(NOx)を含有する排気ガスをアンモニア又は尿素などの還元剤を噴射して触媒反応を通じてNとHOに転換する技術の中で排気ガスを浄化するための触媒の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近数年間、全世界的に窒素、硫黄、及び炭素の有毒性酸化物の産業的放出による空気汚染に対する心配が高くなってきた。このような心配に対して、政府部処からはこれらの汚染物質の中で一つ以上の許容可能な放出量に対して制限を置き、規制が最も厳しくなる傾向である。特に、窒素系酸化物の場合、その自体でも有害であるが、大気中において光化学作用によりさらに有毒な2次汚染物を生成するため、その処理が要望されている時点である。
【0003】
従来、窒素系酸化物を含有する排気ガスの処理に使用された触媒のうち、Nの還元率が高い触媒としてシリカ担体上にCuなどの金属を硫酸化して担持した触媒が報告されたこと(日本特開平8−173766号公報)があるが、この触媒では反応中に金属を硫酸化した状態で保持するために、排気ガスに揮発性硫黄化合物を添加しなければならないという短所があり、チタニア及び/又はチタニア・シリカにバナジウム酸化物、タングステン酸化物、及びパラジウムを担持した触媒が報告されたこと(日本特開2001−293480号公報)があるが、高温(400℃以上)では触媒の活性が急激に低下される問題点があり、バナジウムの毒性によって使用に規制が加えられている。
【0004】
ゼオライトを担体で使用したり窒素酸化物に活性を有する金属が置換されたゼオライトを主成分とした触媒の場合、球状、柱状、粒状、又はハニカムの形態で製造して使用される。しかし、ゼオライト粉末それ自体としては可塑性及び焼結性が著しく低くてゼオライト担体又はゼオライト触媒の製造時、クラック(crack)によって破壊されなく、高比表面積を有する成形体を製造する成形技術が最も重要であり、これに対する活発な研究が進められている。
【0005】
一例として、ゼオライトの成形及び塑性のために天然粘土、ベントナイト、カオリン、コロイダルシリカなどの無機質結合剤やセルロース系の有機質結合剤を添加する(米国登録特許第5116586号)が、相対的に多量の無機質結合剤(天然粘土)を添加する必要があって、製造されたゼオライト担体又はゼオライト触媒のゼオライト比率が減少して触媒の性能が大きく減少するという短所がある。
【0006】
特に、高比表面積を有することができるハニカム型のゼオライト担体又はゼオライト触媒の場合、成形体を貫通する内部気孔が規則的に形成される構造であるため、球状又はペレット状のような単純な構造に比べて高い成形性及び高い物理的強度が要求されてその製造が特に難しいという難点がある。このような難点によって従来にはゼオライト及び窒素酸化物に活性を有する触媒物質を湿式粉砕して既に製造されたハニカム形状の構造体表面にコーティングして製造されたwash coated型ゼオライトが主に使用された。しかし、wash coated型ゼオライトの場合、ハニカム型ゼオライト押出体より単位体積当たり窒素酸化物の除去効率が低く、長期間の使用時にerosionによる触媒の損傷が大きくて窒素酸化物の除去効率が急激に減少するという短所がある。
【0007】
ゼオライトを主成分として成形上の難題を解決するための従来の技術としては、ゼオライトに加熱凝固性を有する多糖類を基本に添加し、粘土性鉱物または無機質繊維を選択的に添加してハニカム状で成形した後に、500乃至800℃においてか焼する製造方法が提案されたこと(日本特開1995−053208号公報)があり、塩処理されたメソポーラスゼオライトに擬ベーマイト、有機結合剤、可塑剤、及び潤滑剤を混合した後、低温熟成過程を経てハニカム形状で成形した後、乾燥及び高温焼成する製造方法が提案されたこと(韓国公開特許第2004−0063630号)がある。
【0008】
韓国公開特許第2004−0063630号は本発明から提案する製造方法と類似に無機結合剤で擬ベーマイトを使用するが、ゼオライト、無機結合剤、可塑剤、及び潤滑剤を同時に混練して成形するため、成形体の形状保持性及び微細成形性が相変わらず不十分であるという短所がある。
【0009】
本発明者らは数多い実験と刻苦の努力の末に内部気孔間の押出体の厚さが0.1乃至2mmである極微細気孔構造の高比表面積ハニカム型ゼオライト押出体が製造できる練りの粘度及び強度(極微細構造成形性)を決定する最も重要な要素と乾燥及び熱処理時に発生する亀裂による破損などを決定する要素が無機結合剤で使用した擬ベーマイトの膠質化であることを発見し、pH、水分含有量及び膠質化の遂行時間に応じて擬ベーマイトの膠質化が敏感に変化され、特に膠質化が行われる段階によって製造された成形体の品質(マクロクラック、破損など)が異なることを発見して本発明を提案するに至った。ひいては、塩基状態の膠質化が最も効果的であることを発見して本発明を提案するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した問題点を解決するための本発明の目的は既存のV/WO、(MoO)/TiOの脆弱点である高温(400℃)において窒素酸化物の除去効率は高く、触媒成分のうち毒性がなくてMobile用に活用可能であり、バナジウム触媒を使用することができない特定な窒素酸化物の発生設備(発電所を含むNO発生源)に装着可能である、高い比表面積を有するハニカム型の窒素酸化物の低減用ゼオライト触媒、前記触媒の製造方法、及び前記触媒を用いた窒素酸化物の排気ガスの処理方法を提供することである。
【0011】
詳しくはゼオライトに無機結合剤として擬ベーマイトを添加し、前記擬ベーマイトの最適化された膠質化の条件を通じて極微細気孔構造の高比表面積ハニカム型ゼオライトの押出体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
高い比表面積を有するハニカム型の窒素酸化物低減用ゼオライト触媒、前記触媒の製造方法及び前記触媒を用いた排気ガスの処理方法を詳細に説明しようとする。この際、使用される技術用語及び科学用語において他の定義がなければ、この発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を持ち、下記の説明で本発明の要旨を不要に不明になる公知機能及び構成に対する説明は省略する。
【0013】
本発明の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法は(a)擬ベーマイト、蒸留水及びpH調節剤を混合して均一に解膠(peptizing)させて無機バインダーを得る段階;(b)ゼオライト、前記無機バインダー、有機バインダー及び蒸留水を混合した後、混練(kneading)して練りを得る段階;(c)前記練りを規則的な構造の貫通気孔を有する押出体で押出する段階;及び(d)前記押出体を乾燥した後、熱処理する段階;とを含めて製造される特徴がある。
【0014】
上述したように、本発明の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法は擬ベーマイトがゼオライト及び有機バインダーと混合された状態で解膠が行わなく、独立された段階で行われる特徴がある。前記(a)段階の独立された擬ベーマイトの解膠は調節されたpH、調節された蒸留水の混合量、調節された解膠の時間下で行なって、前記(b)段階の練りの成形性を高め、強度を増加させ、極微細構造のハニカム型ゼオライト成形体が製造できるようになる。また、(a)段階の独立された擬ベーマイトの解膠によって製造された成形体の乾燥及び熱処理時に成形体の破損を防止するようになる。
【0015】
より詳しくは、擬ベーマイトの解膠がひど過ぎる場合、押出時に過度なせん断応力(shear stress)によって微細なピッチ(pitch、気孔の中心間の間隔)のハニカム形状の押出体を製造することができなく、前記擬ベーマイトの解膠が十分に生じない場合、押出体の物理的強度が弱過ぎて押出体形状の崩壊が生じるようになる。
【0016】
従って、前記解膠された程度を高度に調節する必要があり、このような調節によって内部気孔間の押出体の厚さが0.1乃至2mmである極微細気孔構造の高比表面積ハニカム型ゼオライト押出体が製造できるのである。
【0017】
高度に調節された擬ベーマイトの解膠のために、前記(b)段階の混合時でない前記(a)段階のように別途の独立された解膠段階を通じて無機バインダーを製造する必要があり、解膠が行われるpH、添加される蒸留水の量、及び解膠が行われる時間が最適化されなければならない。
【0018】
前記(b)段階において擬ベーマイトの解膠が行われる場合、成形性及び強度が高くなくて極微細構造を有するハニカム型押出体を製造することができなく、押出過程から微細クラックが生じる可能性が高く、押出体を乾燥し熱処理する過程から破損率が増加するようになる。
【0019】
(a)段階の前記pH調節剤は、一価酸、水酸化アンモニウム、アミン化合物、又はこれらの混合物である。前記一価酸はアセト酸、硝酸、又はこれらの混合酸が望ましく、前記アミン化合物は1次アミン、2次アミン、又はこれらの混合物が望ましく、前記アミン化合物はアルコール基を有するアルコールアミンであるものが望ましい。前記pH調節剤を使用して前記(a)段階の解膠はpH0.5乃至6の酸又はpH8乃至11の塩基状態で行われるのが望ましい。
【0020】
この際、たとえpH8乃至11の塩基状態であっても前記アセト酸、硝酸などの一価酸が添加された状態でpHを調節することが望ましい。pH0.5乃至6の酸状態はアセト酸、硝酸、又はこれらの混合酸を添加して調節し、前記pH8乃至11の塩基状態はアセト酸、硝酸、又はこれらの混合酸と共に水酸化アンモニウムを添加して調節するのが最も望ましい。前記一価酸及び前記塩基(水酸化アンモニウム、アミン化合物、又はこれらの混合物)が添加されて前記pH8乃至11の塩基状態で調節される場合、前記ゼオライト100重量部に対して前記一価酸が1乃至5重量部添加されることが望ましい。
【0021】
上述したような範囲の酸性又は塩基性の状態で、擬ベーマイト100重量部に対して蒸留水100乃至500重量部の条件で行われるのが望ましい。
【0022】
この時、pH0.5乃至4の酸又はpH8乃至11の塩基の状態において前記解膠は10乃至40分間行われるのが望ましい。pH0.5乃至4の酸、具体的にはpH0.4乃至3.5の酸又はpH8乃至11の塩基の状態において解膠時間が10分以下又は40分以上行われる場合、押出体の物理的強度が弱過ぎて押出体形状の崩壊が生じたり押出時に応力によって形状が破壊された押出体が製造されるようになる。
【0023】
また、4乃至6の酸、具体的にはpH4乃至6の酸状態において前記解膠は2乃至4日間行われるのが望ましい。2日以下行われる場合、押出体の物理的強度が弱過ぎて押出体形状の崩壊が生じ、4日以上行われる場合、擬ベーマイトの解膠程度の変化が些細である。
【0024】
上述したような条件を通じて解膠された擬ベーマイトの分散程度及び粒子サイズが調節されるが、これによって最終的に前記解膠された擬ベーマイトを含有するゲル状態となる。
【0025】
前記のような条件において解膠された擬ベーマイトを含有する無機バインダーを有機バインダーと共にゼオライトと混合するようになるが、混合時にゼオライト100重量部に対して10乃至150重量部の前記無機バインダー、1乃至15重量部の前記有機バインダー及び30乃至100重量部の前記蒸留水が添加して混合されるのが望ましい。前記混合は押出成形体を製造するために通常的に使用される混合方法を使用して行われ、前記ゼオライト及び前記有機バインダーを添加して1次混合(dry mixing)を行った後、前記無機バインダー及び前記蒸留水を添加して2次湿式混合(wet mixing)を行うことが望ましい。
【0026】
前記混合が完了された後、より均一な物性を得るために混練が行われるのが望ましい。
【0027】
前記混合時、ゼオライト100重量部に対しファイバー(fiber)又は粒子(particle)の形態のSi、Al、Ti、Zr、SiO、Al、TiO、ZrOから一つ以上選ばれる無機物0乃至150重量部がさらに添加されて混合が行われる。前記無機物は(b)段階の前記練りに物理的強度を追加的に増加させる役割を果たし、前記無機物が0乃至150重量部は前記練りが増加された物理的強度を有すると共に押出成形に適合した粘度を損なわない範囲であり、触媒の特性を減少させない範囲である。無機物の添加時、無機物の添加によって実質的な強度の増進効果を得るために、ゼオライト100重量部に対して10重量部以上の無機物が添加されるのが望ましい。
【0028】
本発明でハニカム型押出体で製造されるゼオライトは天然ゼオライト又は人工的に合成されたゼオライトの全てが使用可能であり、多様なSiO/Alのモル比率を有するゼオライトが使用できるが、前記モル比率が25乃至35であるものが望ましい。
【0029】
また、前記ゼオライトは窒素酸化物に活性を有する金属(以下活性金属)がイオン交換されたゼオライトであり、活性を有する金属が担持されたゼオライトであり得る。
【0030】
前記活性金属は転移金属及びランタン族から選ばれる一つ以上の金属であるものが望ましく、Fe、Cu、Co、Pt、V、Ce及びMoから選ばれる一つ以上の金属であるものがさらに望ましい。
【0031】
前記ゼオライトはMFI、β、Y又はこれらの混合形であるものが望ましく、Fe、Cu、Co、Pt、V、Ce及びMoから選ばれる一つ以上の金属が置換されたMFI、β、Y又はこれらの混合形であるものがさらに望ましい。
【0032】
前記有機バインダーは押出体を製造するために無機物の練りに通常的に添加される有機バインダーが全て使用可能であるが、エチルセルロース群、メチルセルロース(methylcellulose)群、エチルセルロース誘導体、メチルセルロース誘導体、又はこれらの混合物であるものが望ましく、さらに望ましくはメチルセルロース群を使用する。前記有機バインダーは押出時に成形性をよくし、乾燥時にクラック(crack)の生成を緩和する役割を果たす。
【0033】
(c)段階の前記押出時に押出機の内部が真空状態で保持され、300乃至500mm/minの成形速度で成形されるのが望ましい。前記押出のためにシリンダー型押出機又はピストン型押出機の全てが使用可能であるが、連続工程のためにシリンダー型押出機を使用するのが望ましい。前記成形速度は(b)段階の練り状態に最適化された成形速度で製造効率を増加させながら押出時に印加される過度な応力によってハニカム型押出体が損なわない条件である。
【0034】
本発明の(a)段階の最適化された解膠条件、(b)段階の最適化された混合条件及び混合比率によって練りの粘度及び強度が最適化されて(c)段階で長軸に貫通される円形又は多角形の形状(断面形状である)の微細気孔が規則的に配列され、比表面積のハニカム型押出体を得ることができる。前記押出を通じて前記規則的な構造を有する気孔間の厚さが0.1乃至2mmの優れる押出体が得られるようになる。
【0035】
前記押出過程を通じて製造されたハニカム型押出体を100℃以下で恒温恒湿の条件において乾燥した後、100乃至600℃の温度でか焼(熱処理、calcination)して窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を製造することができる。前記熱処理による亀裂を防止するために100乃至150℃の低温熱処理の後に400乃至600℃の高温熱処理が行なわれる2段熱処理がさらに望ましい。
【0036】
上述した本発明の製造方法から製造された窒素酸化物低減用ハニカム型触媒;とNO、NO、及びNOから選ばれる一つ以上の物質である窒素酸化物(NOx)を含有する排気ガスをアンモニア又は尿素などの還元剤を噴射して 200乃至500℃で触媒反応を通じて窒素酸化物を低減させることができる。
【0037】
この際、前記排気ガスは二酸化硫黄を含有し、前記窒素酸化物低減用ハニカム型触媒と接触するようになる前記排気ガスは制約はないが、100,000/h以下の空間速度を有するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の製造方法を通じて製造されるハニカム形状の一例である。
【図2】本発明の実施例1の乾燥段階の押出体の光学写真である。
【図3】比較例3の無機バインダーの光学写真である。
【図4】比較例3の押出段階の光学写真である。
【図5】窒素酸化物を含有する排気ガスの処理特性を測定するための装置構成図である。
【図6】SOのガスを400ppm注入した場合と注入しない場合、排出ガスのNO:NOの比を測定した結果である。
【図7】SOのガスを400ppm注入した場合と注入しない場合、排出ガスのN転換率を測定した結果である。
【図8】SOのガスを注入せず、反応温度を420℃で固定した状態において、アンモニアガスの状態注入量による排出ガスのN転換率を測定した結果である。
【図9】本発明の無機バインダーの添加量による排出ガスのN転換率を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付した図面及び実施例を参照して本発明の製造方法、本発明の製造方法を通じて製造された触媒及び排気ガスの処理方法を詳細に説明する。次に紹介される図面及び実施例は当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために例として提供されるものである。従って、本発明は以下提示される図面及び実施例に限られず異なる形態で具体化され得る。
【0040】
下記の実施例及び比較例に使用されたゼオライトは窒素酸化物に対する活性を有するFe金属が5%イオン交換されたMFI型ゼオライトである。
【0041】
(実施例1)
【0042】
pH=10の状態で解膠された擬ベーマイトを用いた6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム用触媒の製造
【0043】
擬ベーマイト(SASOL)100gに蒸留水330g、アセト酸(Sigma Aldrich, 99.8%+)1.5g及び16%モル濃度を有するアンモニア水を添加してpHを10に調節した後、30分間撹拌して擬ベーマイトの解膠を行なって無機バインダーを製造した。
【0044】
MFI型ゼオライト(Sud-Chemical)500gにメチルセルロース15gを添加して乾式混合を行なった後、前記無機バインダー100g及び蒸留水400gを添加して湿式混合を行なった。湿式混合の後、混練を行なって練りを製造した。
【0045】
前記製造された練りをシリンダー型押出機に投入し、押出機の内部を真空状態で保持しシリンダーの回転速度を50rpmにして、400mm/minの成形速度で押出体を製造した。製造された押出体を65℃で12時間乾燥した後、再び80℃で12時間乾燥した。焼成炉(furnace)を用いて乾燥された押出体を120℃で2時間熱処理した後、500℃で3時間熱処理して図1のような形状を有し、ピッチ(pitch=気孔中心間の間隔)が6.6mmである窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を製造した。図2は前記乾燥段階の押出体の写真である。製造された窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の物理的形状を下記の表1に整理した。
【0046】
【表1】

【0047】
(実施例2)
【0048】
pH=1.5の状態で解膠された擬ベーマイトを用いた6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム用触媒の製造
【0049】
前記実施例1の練り製造において、アセト酸及びアンモニア水の代わりに硝酸(Sigma Aldrich社, 60%+)を添加してpHを1.5に調節した後、20分間撹拌して無機バインダーを製造することを除いては前記実施例1と同一な方法で6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を製造した。
【0050】
(実施例3)
【0051】
pH=1.5の状態で解膠された擬ベーマイトを用いた2.1mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム用触媒の製造
【0052】
前記実施例2の硝酸を使用して製造された無機バインダーを用いて前記実施例1の押出、乾燥、及びか焼熱処理と同一な条件で2.1mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を製造した。製造された窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の物理的形状を下記の表2に整理した。
【0053】
【表2】

【0054】
(実施例4)
【0055】
無機バインダーの添加量による6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム用触媒の製造
【0056】
前記実施例1から製造された無機バインダーを150g、200gを添加して練りを製造することを除いては前記実施例1と同一な方法で30wt%の無機バインダーが添加された6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒及び40wt%の無機バインダーが添加された6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒をそれぞれ製造した。
【0057】
(比較例1)
【0058】
無機バインダーが添加されない練りの押出特性
【0059】
MFI型ゼオライト(Sud-Chemical)500gにメチルセルロース15gを添加して乾式混合を行なった後、蒸留水330gをさらに添加して湿式混合を行なった。湿式混合の後、混練を行なって練りを製造した。前記製造された練りをシリンダー型押出機に投入し、押出機の内部を真空状態で保持しシリンダーの回転速度を50rpmにして、400mm/minの成形速度で押出した結果、強度の低下でハニカム形状で押出されず、形状を失う無定形の押出体を得た。
【0060】
(比較例2)
【0061】
強塩基(pH=12)の状態で解膠された擬ベーマイトの押出特性
【0062】
擬ベーマイト100gに蒸留水330g、アセト酸1.5g及び16%モル濃度を有するアンモニア水を添加してpHを12に調節した後、30分間撹拌して擬ベーマイトの解膠を行なって無機バインダーを製造した。図3は強塩基の状態で解膠された擬ベーマイトの光学写真である。比較例2から製造された無機バインダーを使用することを除いては実施例1と同一な方法で練りを製造した。前記製造された練りをシリンダー型押出機に投入し、押出機の内部を真空状態で保持しシリンダーの回転速度を50rpmにして、400mm/minの成形速度で押出した結果、図4のようにハニカム形状の押出体を得ることができなかった。
【0063】
本発明の製造方法から製造された触媒の窒素酸化物を含有する排気ガス処理の性能を測定するために図5のような試験装置を構成した。多様な種類の排気ガスを構成するためにN、O、NO、SOのガスがそれぞれMFCで調節されてガスミキサ(gas mixer)で混合され、混合されたガスは前熱機具(pre heater)により反応温度まで上昇される。温度が上昇された混合ガスが反応器(reactor)に流入する直前に、MFCで流量が調節されたNHが注入されるようになり、反応器に装着された触媒が前記反応温度まで加熱された混合ガス及びアンモニアと接触して窒素酸化物のN化反応が行われる。反応が生じ、後段で排出されるガスをサンプリングして触媒の特性評価を施した。この際、前記反応器も前記反応温度で保持された状態でN還元反応が行われる。
【0064】
このために前記反応器に前記実施例3から製造された2.1mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を25mm×25mm×250mmのサイズで切断して装着して図6乃至図8の結果を測定した。前記図5の試験装置を用いた詳細な試験条件を下記の表3に整理した。
【0065】
【表3】

【0066】
図6は前記表3の条件でSOのガスを400ppm注入した場合と注入しない場合、排出ガスのNO:NO比を測定した結果である。図6の結果からわかるように二酸化硫黄ガスが注入されない酸素雰囲気においてはNOの酸化反応が生じ、二酸化硫黄ガスが注入された場合、低温においてはNOの酸化反応が低減されるが、高温においては酸素雰囲気の場合と類似した程度のNO酸化反応が生じることがわかった。
【0067】
図7は前記表3の条件でSOのガスを400ppm注入した場合と注入しない場合、排出ガスのN転換率を測定した結果である。図7の結果からわかるように二酸化硫黄ガスが注入された場合、窒素酸化物(NO、NO)の除去効率が増大されることがわかり、300度の低い温度で80%以上の高いN転換率を有することがわかった。
【0068】
図8は前記表3の条件でSOのガスを注入せず、反応温度を420℃で固定した状態で200ppmのNOを基準にアンモニアガスの状態注入量が0.6乃至1.7の比を有する場合、排出ガスのN転換率を測定した結果である。図9の結果からわかるようにアンモニアガスの量が増加するほど窒素酸化物の低減効果が大きくなり、特に1.4以上の比を有するアンモニアガスガ投入される場合は95%以上の窒素酸化物が除去されることがわかった。
【0069】
図9は前記実施例4から製造された30wt%の無機バインダーが添加された6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒、40wt%の無機バインダーが添加された6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒、前記実施例1から製造された6.6mmピッチを有する窒素酸化物低減用ハニカム型触媒を25mm×25mm×250mmのサイズで切断してそれぞれ反応器に装着した後、前記表3の条件でSOのガスを注入せず、反応温度を420℃で固定した状態で排出ガスのN転換率を測定した結果である。図9の測定結果からわかるように、添加された無機バインダーの量が増加することにも関わらず、窒素酸化物の低減特性が減少しないことがわかった。
【0070】
以上のように本発明では具体的な物質、添加量のように特定された事項と限られた実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたのみならず、本発明は前記の実施例に限られるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0071】
従って、本発明の思想は説明された実施例に限って定められてはならなく、特許請求範囲のみならず、この特許請求範囲と均等であったり等価的な変形がある全てのものは本発明の思想の範疇に属すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の製造方法は規則的な構造の貫通気孔を有するハニカム型触媒を固形状、高収率で製造できるという長所があり、微細な貫通気孔及び小さい気孔間ピッチ(pitch)を有するハニカム形態を製造することができて、高い比表面積の触媒が製造可能であるという長所があり、本発明の製造方法から製造されたハニカム型触媒を用いた排気ガスの処理において、使用された無機バインダーによる触媒特性の低下が生じなく、300℃の低い温度で80%以上の高いN転換率を有し、特に400℃以上の高温で80%以上の高いN転換率を有するという長所がある。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)擬ベーマイト(pseudo-boehmite)、蒸留水、及びpH調節剤を混合して均一に解膠(peptizing)させて無機バインダーを得る段階;
(b)ゼオライト、前記無機バインダー、有機バインダー、及び蒸留水を混合した後、混練(kneading)して練りを得る段階;
(c)前記練りを規則的な構造の貫通気孔を有する押出体で押出する段階;及び
(d)前記押出体を乾燥した後、熱処理する段階;
とを含めて製造される窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階の前記解膠は擬ベーマイト100重量部に対し蒸留水100乃至500重量部が添加して行われることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項3】
前記(a)段階の前記擬ベーマイトの解膠はpH0.5乃至6の酸又はpH8乃至11の塩基の状態において行われることを特徴とする請求項2に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項4】
前記(a)段階の前記解膠はpH0.5乃至4の酸又はpH8乃至11の塩基の状態において10乃至40分間行われることを特徴とする請求項3に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項5】
前記(a)段階の前記解膠はpH4乃至6の酸の状態において2乃至4日間行われることを特徴とする請求項3に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項6】
前記pH調節剤は、一価酸群から一つ以上選ばれる酸;水酸化アンモニウム及びアミン化合物から一つ以上選ばれる塩基;又は前記酸と前記塩基の混合物;であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項7】
前記pH8乃至11の塩基の状態は、一価酸群から一つ以上選ばれる酸;及び水酸化アンモニウム及びアミン化合物から一つ以上選ばれる塩基;によって調節されることを特徴とする請求項4に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項8】
前記(b)段階の前記混合はゼオライト100重量部に対し10乃至150重量部の前記無機バインダー、1乃至15重量部の前記有機バインダー、及び30乃至100重量部の前記蒸留水が混合されることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項9】
前記(b)段階の前記ゼオライトは、遷移金属及びランタン族群から一つ以上選ばれる金属がイオン交換された又は担持されたゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項10】
前記金属は、Fe、Cu、Co、Pt、V、Ce及びMoからなる群より一つ以上選ばれる金属であることを特徴とする請求項8に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項11】
前記(b)段階の前記練りは、前記ゼオライト100重量部に対しファイバー(fiber)又は粒子(particle)の形態のSi、Al、Ti、Zr、SiO、Al、TiO、ZrOから一つ以上選ばれる無機物0乃至150重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項12】
前記(c)段階の前記気孔は、断面が多角形又は円形であり、前記押出体の長軸方向に貫通した気孔であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項13】
前記(d)段階の前記熱処理は100乃至600℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項14】
前記有機バインダーはメチルセルロース(methylcellulose)群であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物低減用ハニカム型触媒の製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14から選ばれるいずれかに記載の製造方法で製造された窒素酸化物低減用ハニカム型触媒。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14から選ばれるいずれかに記載の製造方法で製造された窒素酸化物低減用ハニカム型触媒と;窒素酸化物及びアンモニアを含有した排気ガスと;を200乃至500℃で接触させてNに変換する工程を含む窒素酸化物排気ガスの処理方法。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−509822(P2011−509822A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543047(P2010−543047)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007642
【国際公開番号】WO2009/093811
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】