説明

ゼロツリーにおけるウェーブレット係数の分散情報源符号化のための方法

【課題】ウェーブレット変換されたデータの効率的な分散情報源符号化方法を提供する。
【解決手段】最上位から最下位の順序で、ビットプレーンごとに、情報源画像のピクセルの階層的順序付けに従って、重要なピクセルのリスト(LSP)、非重要なピクセルのリスト(LIP)、及び非重要な集合のリスト(LIS)を取得することと、情報源画像のLSP、LIP及びLISをキー画像のLSP、LIP及びLISと同期させることと、情報源画像の非重要な集合の一時リスト(TLIS)を構成することと、情報源画像のLSP、LIP及びTLISにシンドローム符号化を適用し、情報源画像におけるピクセルの大きさ及び正負符号に対応するシンドロームを取得することを含み、これらのステップはプロセッサにおいて実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包括的には分散情報源符号化に関し、より詳細にはゼロツリーにおけるウェーブレット変換されたデータの情報源符号化に関する。
【背景技術】
【0002】
分散情報源符号化(DSC)は、互いに通信しない複数の相関のあるデータ情報源を圧縮する。復号化器において複数の情報源間の相関をチャネル符号を用いてモデル化することによって、DSCは、符号化器から復号化器に計算複雑度を移す。したがって、DSCは、センサー、衛星画像及びマルチメディア圧縮等の、複雑度制約付き符号化器を有する用途において頻繁に用いられる。DSCでは、相関のある情報源は、別々に符号化されるが、同時に復号化される。1つの利点として、情報源を別々に符号化することは、低い計算オーバーヘッド及びより単純な回路類を用いて実行することができる。
【0003】
DSCの枠組みは、可逆スレピアン−ウォルフ圧縮限界に基づいている。この可逆スレピアン−ウォルフ圧縮限界は、2つの分離された情報源が、あたかも互いに通信しているのと同程度に効率的にデータを圧縮することができることを述べている。後に、分散コーデックのレート歪み性能に関するワイナー−ジフ限界が、同時ガウス情報源(jointly Gaussian sources)の特殊な場合について、従来の圧縮に関して損失がないことを示した。ワイナー−ジフ符号化は、離散コサイン変換(DCT)ベースのイントラ符号化又はJPEGのような方式と比較して大きな圧縮利点を有する。しかしながら、ウェーブレット領域分散情報源符号化は、それらの非分散型の対応するものよりもあまり大きくない圧縮利得しか達成しない。
【0004】
ほとんどの従来のウェーブレットベースのDSCは、ウェーブレット係数があたかもDCT係数であるのとほぼ同じように係数間の相関を利用し、すなわち、従来のDSCは、情報源係数のビットプレーンのシンドローム符号化を実行し、サイド情報係数を用いてビットプレーンを復号化する。これは、ウェーブレット分解のスパース性構造を十分に利用しておらず、埋込みゼロツリーウェーブレット(EZW)符号化、階層ツリーにおける集合分割(SPIHT)又はJPEG2000等の先進的なウェーブレットベースの圧縮アルゴリズムに関して分散情報源符号化を不利な立場にする。それらの方法は、ウェーブレット係数のゼロツリーの独立した符号化を利用し、すなわち、少数のビットを用いて非重要なウェーブレット係数を表すことができるデータ構造、言い換えるとウェーブレット係数の重要度マップ(significance map)を利用する。
【0005】
1つの方法は、ウェーブレットビットプレーン、又はウェーブレット分解によって生成されたリファインメントビット及び正負符号ビット(sign bits)のいずれかに分散情報源符号化を直接適用する。しかしながら、この方法では、重要度マップの圧縮は、依然としてSPIHT等の非分散手法を用いて実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ウェーブレット変換されたデータの効率的な分散情報源符号化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の実施の形態は、ウェーブレット変換されたデータを符号化及び復号化する分散情報源符号化(DSC)のための方法を提供する。ゼロツリーに基づくデータ構造が、ウェーブレット係数の重要度マップの効率的な分散符号化に用いられる。係数は、第1の重要度パス及び第2のリファインメントパスを有する2つの段階で走査される。これらの2つのパスによって生成されたビットは、利用可能な符号の集合から選択されたシンドローム符号を用いてスレピアン−ウォルフ符号化される。
【0008】
この発明は、ウェーブレット係数のビットプレーンごとに、情報源データの重要度パスを復号化器ベースのサイド情報の重要度パスと同期させることができ、重要度パス及びリファインメントパスの分散符号化が可能になるという認識に基づいている。これは、重要度パスが独立に符号化され、リファインメントパスがスレピアン−ウォルフ符号化される従来の方法とは実質的に異なる。
【0009】
例えば、この発明の一実施の形態は、情報源画像を符号化する方法であって、該情報源画像はピクセルのビットプレーンの集合を含み、該方法は、最上位から最下位の順序で、前記ビットプレーンごとに、
前記情報源画像のピクセルの階層的順序付けに従って、重要なピクセルのリスト(LSP)と、非重要なピクセルのリスト(LIP)と、非重要な集合のリスト(LIS)とを取得するステップと、
前記情報源画像の前記LSP、前記LIP及び前記LISをキー画像の前記LSP、前記LIP及び前記LISと同期させるステップと、
前記情報源画像のための非重要な集合の一時リスト(TLIS)を構成するステップと、
前記情報源画像の前記LSP、前記LIP及び前記TLISにシンドローム符号化を適用し、前記情報源画像におけるピクセルの大きさ及び正負符号に対応するシンドロームを取得するステップと、
を含み、前記ステップはプロセッサにおいて実行される、情報源画像を符号化する方法を開示する。
【0010】
さらに、本方法は、様々な他の任意選択のステップも含むことができる。例えば、本方法は、
前記情報源画像について前記TLISを前記LISに初期化するステップと、
前記情報源画像の非重要な集合の補助リスト(ALIS)を規定するステップであって、該ALISは、ウェーブレット変換分解に関して、前記TLISにおけるピクセルの子孫であるピクセルを含むものと、
前記情報源画像について前記ALISを前記LISにアペンドするステップと、
前記情報源画像について前記TLISを前記ALISに設定するステップと、
前記情報源画像について前記ALISを空集合に設定するステップと、
を任意選択で含むこともできる。
【0011】
本方法は、前記情報源画像の前記各ビットプレーンにおける前記各ピクセルの前記大きさ及び前記正負符号に対応する前記シンドロームを復号化するステップを任意選択で含むことができ、該復号化するステップは、キー画像に基づいており、
前記キー画像のピクセルの階層的順序付けに従って、重要なピクセルのリスト(LSP)と、非重要なピクセルのリスト(LIP)と、非重要な集合のリスト(LIS)とを取得するステップと、
前記キー画像のための非重要な集合の一時リスト(TLIS)を規定するステップと、
前記キー画像について前記TLISを前記LISに初期化するステップと、
前記キー画像のための非重要な集合の補助リスト(ALIS)を規定するステップであって、該ALISは、前記キー画像のウェーブレット変換分解に関して、前記キー画像の前記TLISにおけるピクセルの子孫であるピクセルを含む、規定するステップと、
前記キー画像について前記ALISを前記LISにアペンドするステップと、
前記キー画像について前記TLISを前記ALISに設定するステップと、
前記キー画像について前記ALISを空集合に設定するステップと、
前記キー画像の前記LSP、前記LIP及び前記TLISをサイド情報として用いて、前記情報源画像におけるピクセルの前記大きさ及び前記正負符号に対応する前記シンドロームにシンドローム復号化を適用し、前記情報源画像を再構成するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、ウェーブレット変換されたデータの効率的な分散情報源符号化方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態による分散情報源符号化のための方法のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態によるスレピアン−ウォルフ符号化器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ウェーブレットゼロツリーの分散符号化
図1は、この発明の実施の形態によるウェーブレット領域分散情報源符号化(DSC)のための方法を示している。本方法は、プロセッサ100を用いて実施することができる。離散ウェーブレット変換(DWT)は、周波数情報及びロケーション情報の双方を符号化する。情報源が独立に符号化され、復号化器においてのみ利用可能な幾つかの相関のあるサイド情報が存在する状態で条件付きで復号化される非対称DSCを用いる。幾つかの実施の形態では、情報源101及びサイド情報102は、等しいサイズの2D画像である。一様量子化(Q)を用いた離散ウェーブレット変換を情報源画像に適用する(110)。同一のレベル数のウェーブレット分解が情報源画像及びサイド情報画像に用いられる。量子化されたウェーブレット係数111がスレピアン−ウォルフ符号化器200に入力される。
【0015】
サイド情報
サイド情報は、ビデオシーケンスにおける前の画像とすることもできるし、マルチスペクトル画像における1つのチャネルとすることもでき、独立に圧縮されて送信され、スレピアン−ウォルフ復号化器130によって解凍される。サイド情報画像は、キー画像103とも呼ばれ、情報源画像の「サイド情報復号化」を容易にするために用いられる。
【0016】
サイド情報、すなわち、キー画像103を、ウェーブレットベースの圧縮アルゴリズムを用いて圧縮(符号化)する。そのようなアルゴリズムは、ウェーブレット係数のゼロツリー又は同様のデータ構造に基づいている。この実施の形態では、階層ツリーにおける集合分割(SPIHT)に基づくサイド情報復号化及び分散符号化方法150を説明するが、他のゼロツリーベースのウェーブレット領域圧縮方式を用いた実施の形態も可能である。図2も参照されたい。所定数の2Dウェーブレット分解が画像に適用され、その後、一様量子化が適用される。最終的に、SPIHT復号化器160が、スレピアン−ウォルフ復号化器130のためのサイド情報104を回復する。SPIHT復号化器は、再構成されたキー画像102も出力する。再構成されたキー画像102は、サイド情報104と同一であってもよいし、同一でなくてもよい。
【0017】
逆離散ウェーブレット変換(IDWT)及び一様逆量子化(Q)が、スレピアン−ウォルフ復号化器の出力に適用され(140)、再構成された情報源画像105が取得される。
【0018】
SPIHT方法は、最上位(most significant)ビットプレーンから最下位(least significant)ビットプレーンに進みながら、ウェーブレット係数の重要度マップを該ウェーブレット係数の正負符号とともに記憶するか又は通信する。係数の大きさは、重要度マップ及び(第2の)別個のリファインメントパスにおいて符号化される。
【0019】
分散情報源符号化
分散符号化方法は、ワイナー−ジフ符号化においてキー画像103に基づいて情報源画像101を復号化することができるように該情報源画像101を符号化する。本方法は、重要度マップシンドローム121と、リファインメントシンドロームビット123と、正負符号シンドロームビット122とを最初に生成し、これらのビットを、ほぼ圧縮不可能であるシンドローム125のビットストリームに符号化し、すなわち、エントロピー符号化器は、圧縮比を僅かな量しか改善することができない。したがって、エントロピーコーダーは、複雑度の低い符号化の場合に省略することができる。重要度マップビットと、リファインメントビットと、正負符号ビットとからのシンドロームの生成は、スレピアン−ウォルフ符号化120と呼ばれ、スレピアン−ウォルフ符号化120は、低密度パリティ検査(LDPC)シンドローム符号を用いて実行することができる。復号化器における同期要件に起因して、SPIHTのこの発明の分散バージョンは、以下で説明するように、従来のSPIHTとは異なっている。埋込みゼロツリーウェーブレット(EZW)又はJPEG2000等の様々なウェーブレットゼロツリーベースのアルゴリズムが用いられる場合、復号化器において同期を維持するために、同様の変更が必要となる。
【0020】
図2に示すように、重要なピクセル、大きさ及び正負符号は、シンドローム符号化210がリファインメントシンドローム123、重要度シンドローム121及び正負符号ビットシンドローム122をそれぞれ取得するためのバッファーY、U及びVに記憶される。上記符号化ステップ及び復号化ステップは、符号化器及び復号化器、又はコーデックにおいて実行することができる。
【0021】
2Dウェーブレット変換及び一様量子化が情報源画像101に適用された(110)後、ウェーブレット分解から空間方位ゼロツリー(spatial orientation zerotree)を構成する。このツリーの各ノードは、該ノードの空間座標によってci,jとして識別されるウェーブレット係数に対応する。
【0022】
各ノードは、次のより細かなウェーブレット分解レベルにおけるゼロ個の直接子孫(direct descendants)又は隣接するウェーブレット係数の2×2アレイに配列された4つの直接子孫のいずれかを有する。直接子孫ではないノードの子孫は、間接子孫と呼ばれる。説明する実施の形態では、データ構造は、SPIHTウェーブレット符号化アルゴリズムに基づいている。他の実施の形態では、埋込みゼロツリーウェーブレット符号化(EZW)及びJPEG2000等の異なるウェーブレットベースの符号化アルゴリズムを用いることができる。
【0023】
SPIHTと同様に、次の集合を用いる。
O(i,j)は、ノード(i,j)の直接子孫の座標の集合である。この集合は、空集合であるか又は4つの要素を有するかのいずれかである。
D(i,j)は、ノード(i,j)の全ての子孫の集合である。
L(i,j)=D(i,j)−O(i,j)
【0024】
SPIHTと同様に、次のリストも規定する。
非重要なピクセルのリスト(LIP)151、
重要なピクセルのリスト(LSP)152、及び
非重要な集合のリスト(LIS)153。
【0025】
さらに、SPIHTとは異なり、非重要な集合の一時リスト(TLIS)154及び非重要な集合の補助リスト(ALIS)155も規定する。
【0026】
リストは、図2に示すスレピアン−ウォルフ符号化器200によって初期化され、用いられる。この符号化器の手順のステップは、当該技術分野で知られているようにメモリ及び入出力インターフェースに接続されたプロセッサにおいて実行することができる。コーデック等の専用ハードウェアを用いることもできる。
【0027】
また、ビットプレーンnの座標集合Aの重要度関数を
【0028】
Sn(A)=1(max(i,j)∈A|Ci,j|≧2の場合)、
=0(その他の場合)
【0029】
として規定する。式中、関数maxは最大値を返す。
【0030】
符号化器200の各反復の結果、異なる数のビットが重要度マップにシグナリングされる。さらに、正負符号ビットの数及びリファインメントビットの数は重要度マップに依存する。したがって、各反復において、異なるレートを有するスレピアン−ウォルフ符号が必要とされる。実際には、異なるレートのLDPC符号から導出されたシンドロームがスレピアン−ウォルフ符号として用いられる。
【0031】
LIS、LIP及びLSPをポピュレートし、スレピアン−ウォルフ符号化においてこれらの集合からビットを抽出するのに用いられる操作シーケンスは、従来のSPIHT手順において、情報源画像とキー画像との間の同期を失うことなくサイド情報の因果律に従う(casual)復号化を可能にするのに用いられる操作シーケンスとは異なる。
【0032】
ビットストリームが符号化器においてビットごとに生成され、復号化器において同じシーケンスでパースされる従来のSPIHT方法とは異なり、この発明の方法は、シンドロームのブロックの因果関係及び同期を維持する。これは、SPIHTとは異なり、あらゆるビットプレーンについて、LIPから導出されたビットが最初に圧縮され、その後、LISから導出されたビットが圧縮され、その後、LSPから導出されたビットが圧縮されることを意味する。具体的には、LISから導出されたビットについて、直接子孫を有する係数は、間接子孫を有する係数とは別に符号化される。
【0033】
サイド情報復号化
復号化器130は、符号化器と類似しているが、次の異なる点を有する。第1に、操作がサイド情報画像に対して実行される。第2に、対応するサイド情報ビットが、訂正されたビットに置換され、Uがクリアされる。誤り訂正ステップにおいて、情報源とサイド情報との間の相関が利用される。相関が高い場合、誤り訂正に必要とされるシンドロームの数は、場合によっては、バッファーU、V又はYのサイズよりもかなり小さい。
【0034】
復号化が完了した後、サイド情報ビットストリームは、情報源画像の再構成された誤りのないSPIHTビットストリームに変換され、この再構成された誤りのないSPIHTビットストリームは、その後、通常の方法で復号化することができる。この手順はSPIHTに基づいているので、ビットプレーンごとに復号化することが可能であり、所望の画質が得られたときはいつでも停止することが可能であり、余分なシンドロームは無視してもよい。
【0035】
重要度ビット、正負符号ビット及びリファインメントビットの予測子
サイド情報を与えられた情報源の分布は、LDPC確率伝搬復号化器によって用いられる初期対数尤度比(LLR)を確定する。幾つかの実施の形態では、重要度マップ及び正負符号ビットを復号化している間、ビットは、ベルヌーイp分布を有する独立同一分布(i.i.d.)を有すると仮定される。値pは、同様のデータ集合における測定によって実験的に求められる。他の実施の形態では、重要度マップ及び正負符号ビットに対して異なる分布が可能である。
【0036】
リファインメントパスビットは、所与のビットプレーンの重要度マップ及び正負符号ビットが復号化された後に復号化される。したがって、リファインメントビットのサイド情報復号化は、多くの分散ビデオ符号化方式において用いられるサイド情報復号化、すなわち、サイド情報のウェーブレット係数の値を条件とするサイド情報復号化と全く同様である。幾つかの実施の形態では、サイド情報を与えられた情報源のウェーブレット係数の対応する値は、ラプラス分布に従って分布する。
【0037】
d個の分解レベルを有する2D画像の場合、3d+1個のサブバンドが存在し、サブバンドごとに異なるラプラスパラメーターが用いられる。ラプラスパラメーターの値は、同様のデータ集合における測定から求められる。
【0038】
発明の効果
この発明は、ウェーブレット変換されたデータの効率的な分散情報源符号化アルゴリズムを構築する。この発明の手法は、相関のある情報源のウェーブレット係数間の相関だけでなく、それらの情報源のスパース性構造間、すなわち、キー画像及び情報源画像における大きなウェーブレット係数のロケーション間の相関をも利用する。
【0039】
この発明による方法は、マルチスペクトル画像、ハイパースペクトル画像、ビデオシーケンス、光場における画像アレイ、及び時間、空間、周波数等において相関が観測されるあらゆる視覚データ又は非視覚データを圧縮することができる。
【0040】
この発明の分散方法の重要な利点として、重要度マップが大きく圧縮される。従来技術における重要度マップの符号化は、通常、SPIHT又はJPEG2000において全ビットバジェットの50%よりも大きな割合を占める。情報源画像及びサイド情報画像の重要度マップ間の相関を利用することによって、この発明の方法は、重要度マップのオーバーヘッドを削減し、圧縮効率を向上させる。
【0041】
この発明の上述した実施の形態は、数多くの方法のいずれにおいても実施することができる。例えば、実施の形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組合せを用いて実施することができる。ソフトウェアで実施される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピューターに設けられるのか又は複数のコンピューター間に分散されるのかにかかわらず、任意の適したプロセッサ又はプロセッサの集合体において実行することができる。そのようなプロセッサは、1つ又は複数のプロセッサを集積回路部品に有する集積回路として実装することができる。ただし、プロセッサは、任意の適したフォーマットの回路類を用いて実装することができる。
【0042】
さらに、コンピューターは、ラックマウント型コンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ミニコンピューター又はタブレットコンピューター等の複数の形態のいずれにおいても具現化できることが理解されるべきである。また、コンピューターは、1つ又は複数の入力デバイス及び出力デバイスを有することもできる。これらのデバイスは、中でも、ユーザーインターフェースを提示するのに用いることができる。ユーザーインターフェースを提供するのに用いることができる出力デバイスの例には、出力を視覚提示するためのプリンター又は表示スクリーン、及び出力を可聴提示するためのスピーカー又は他の音発生デバイスが含まれる。ユーザーインターフェースに用いることができる入力デバイスの例には、キーボード、並びにマウス、タッチパッド及びデジタイジングタブレット等のポインティングデバイスが含まれる。別の例として、コンピューターは、音声認識を通じて又は他の可聴フォーマットで入力情報を受け取ってもよい。
【0043】
そのようなコンピューターは、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークとしてエンタープライズネットワーク又はインターネット等を含む1つ又は複数のネットワークによって任意の適した形態で相互接続することができる。そのようなネットワークは、任意の適した技術に基づくことができ、任意の適したプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワーク又は光ファイバーネットワークを含むことができる。
【0044】
この発明を好ましい実施の形態の例として説明してきたが、この発明の趣旨及び範囲内において様々な他の適応及び変更を行えることが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、この発明の真の趣旨及び範囲内に入る全ての変形及び変更を包含することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報源画像を符号化する方法であって、該情報源画像はピクセルのビットプレーンの集合を含み、該方法は、最上位から最下位の順序で、前記ビットプレーンごとに、
前記情報源画像のピクセルの階層的順序付けに従って、重要なピクセルのリスト(LSP)と、非重要なピクセルのリスト(LIP)と、非重要な集合のリスト(LIS)とを取得するステップと、
前記情報源画像の前記LSP、前記LIP及び前記LISをキー画像の前記LSP、前記LIP及び前記LISと同期させるステップと、
前記情報源画像のための非重要な集合の一時リスト(TLIS)を構成するステップと、
前記情報源画像の前記LSP、前記LIP及び前記TLISにシンドローム符号化を適用し、前記情報源画像におけるピクセルの大きさ及び正負符号に対応するシンドロームを取得するステップと、
を含み、前記各ステップはプロセッサにおいて実行される、情報源画像を符号化する方法。
【請求項2】
前記構成するステップは、
前記情報源画像について前記TLISを前記LISに初期化するステップと、
前記情報源画像の非重要な集合の補助リスト(ALIS)を規定するステップであって、該ALISは、ウェーブレット変換分解に関して、前記TLISにおけるピクセルの子孫であるピクセルを含むものと、
前記情報源画像について前記ALISを前記LISにアペンドするステップと、
前記情報源画像について前記TLISを前記ALISに設定するステップと、
前記情報源画像について前記ALISを空集合に設定するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報源画像は、前記キー画像と相関のある画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記情報源画像は、マルチスペクトル画像データ集合内の画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記情報源画像は、ハイパースペクトル画像データ集合内の画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記情報源画像はビデオフレームである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キー画像は、独立に圧縮され、復号化器に入力される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シンドローム符号化は、低密度パリティ検査(LDPC)シンドローム符号を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記情報源画像の前記各ビットプレーンにおける前記各ピクセルの前記大きさ及び前記正負符号に対応する前記シンドロームを復号化するステップを更に含み、該復号化するステップは、キー画像に基づいており、
前記キー画像のピクセルの階層的順序付けに従って、重要なピクセルのリスト(LSP)と、非重要なピクセルのリスト(LIP)と、非重要な集合のリスト(LIS)とを取得することと、
前記キー画像のための非重要な集合の一時リスト(TLIS)を規定するステップと、
前記キー画像について前記TLISを前記LISに初期化するステップと、
前記キー画像のための非重要な集合の補助リスト(ALIS)を規定するステップであって、該ALISは、前記キー画像のウェーブレット変換分解に関して、前記キー画像の前記TLISにおけるピクセルの子孫であるピクセルを含むものと、
前記キー画像について前記ALISを前記LISにアペンドするステップと、
前記キー画像について前記TLISを前記ALISに設定するステップと、
前記キー画像について前記ALISを空集合に設定するステップと、
前記キー画像の前記LSP、前記LIP及び前記TLISをサイド情報として用いて、前記情報源画像におけるピクセルの前記大きさ及び前記正負符号に対応する前記シンドロームにシンドローム復号化を適用し、前記情報源画像を再構成するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−59021(P2013−59021A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−154508(P2012−154508)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】