説明

ソマトスタチン−アナログとドーパミン−または成長ホルモン受容体アンタゴニストの組合せ剤

本発明は、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)を40mg/28日またはパシレオチドと、ドーパミン−アゴニスト、好ましくはカベルゴリン、または成長ホルモン受容体アンタゴニスト、好ましくはペグビソマントを含む製品であって、末端肥大症治療に同時、個別または逐次使用するための組合せ製剤としての製品に関する。とりわけ、この治療は、少なくとも1種のソマトスタチンアナログを常套のレジメンで用いた少なくとも6ヶ月処置後に、生化学的正常化を得ていない末端肥大症患者の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端肥大症およびその合併症の治療処置に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチド、例えばSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)40mg/28日またはパシレオチドと、ドーパミン−アゴニスト、好ましくはカベルゴリンまたは成長ホルモン受容体アンタゴニスト、好ましくはペグビソマントを含む製品であって、末端肥大症治療に同時、個別または逐次使用するための組合せ製剤としての製品に関する。とりわけ、この治療は、少なくとも1種のソマトスタチンアナログを常套のレジメンで用いた少なくとも6ヶ月処置後に、生化学的正常化を得ていない末端肥大症患者の処置に有用である。
【背景技術】
【0003】
末端肥大症は、95%以上の患者において下垂体腺腫からの成長ホルモン(GH)過分泌によって引き起こされる臨床的代謝性疾患である。末端肥大症は、骨および軟組織過増殖を伴う潜行性の慢性疾患である。ほとんどの患者が手、足および頭サイズの増加、アゴの拡大、舌の巨大化および粗大化顔貌を有する。肝臓および腎臓を含む多くの臓器が巨大化する。一般的な臨床的症状は、頭痛、過剰な発汗、疲労、知覚異常、耗弱、関節疼痛、および体重増加を含む。患者はまた、骨関節炎、手根管症候群、視覚異常、睡眠時無呼吸または繁殖障害を有し得る。
【0004】
GHの過分泌は、末端肥大症の臨床的症状の大多数に主として関与し、そして最低の活動性疾病の患者においてさえ上昇し得る血漿循環インシュリン様成長因子(IGF−1)のレベル上昇をもたらす(Barkan et al., 1997)。下垂体腫瘍塊の実在が疾病率に寄与することもあるが、上昇したGHおよびIGF−1レベルの効果は、死亡率の2−3倍上昇に寄与する(Acromegaly Therapy Consensus Development Panel, 1994)。若年性の死は、主として心臓血管、脳血管、呼吸系の合併症または代謝障害、例えば糖尿病、および消化器がんの素因によってもたらされる(Colao et al., 2004)。疫学的データは、GH分泌レベルが上昇した死亡率および疾病率に関与していることを示している。事実、GHレベル<2.5μg/Lの末端肥大症患者は、正常な年齢のマッチした集団と生存率が等しいということが示されている。原因因子およびIGF−1との関連は、なおも明確に示されていない。419人の末端肥大症患者の情報を含むWest Midland Pituitary Database(Ajuk et al., 2004)の分析によって、GHレベル<2μg/Lへの減少が長期生存に有利であり、IGF−1の単独使用が効果的な処置のマーカーとして正当でないことが示された。
【0005】
従って、1.腫瘍を根絶する、2.安全値にGH分泌を抑制する、3.IGF−1レベルを正常化する、4.正常な下垂体機能を保存または回復する、および5.代謝異常および臨床的異常を反転させることを可能とする治療が必要とされている。
【0006】
経ちょう形骨外科的除去は、このアプローチが迅速な治療的応答を生み出すという利点があるため十分局在化した微小腺腫(直径10mm以下)を有するほとんどの患者に勧められる(Melmed et al., 1998)。GH濃度が数時間以内に正常に低下し、患者が退院する前にさえ、軟組織巨大化が改善され得る。侵襲的増殖性巨大腺腫(直径10mm以上)を有する患者、とりわけ鞍外伸展を有する者は、外科的除去の予後は比較的不良であり、典型的には外科的治癒(<2.5μg/Lに抑制されたGHと定義する)は50%未満である(Acromegaly Therapy Consensus Development Panel, 1994)。公表されるデータは通常優秀な研究拠点で作成され、したがって標準的な結果を反映し得ないにもかかわらず、より厳格な基準である<2.5μg/LおよびIGF−1の正常化を用いたとき、全体の外科的治癒率は約20−40%である(Barkan et al., 1997)。手術の副作用には、局所的合併症(髄液漏、くも膜炎)、恒常的な尿崩病、および下垂体不全が含まれ(Acromegaly Therapy Consensus Development Panel, 1994)、「治癒した」と定義される患者の多くは、術の1年以上後に再試験したとき、上昇したGHレベルを示し続ける(Fahlbusch et al., 1994)。
【0007】
放射線は術後の第2ライン治療と考えられているが、近年の発表によって放射線療法が末端肥大症患者のIGF−1正常化に有効ではないことが示唆されている(Barkan et al., 1997)。Ajuk et al.は、放射線療法による処置が上昇した死亡率に関与し、死亡の主たる原因である脳血管疾患に関与することを見出した(Ajuk et al., 2004)。放射線が有効であるときでさえ、GHの減少が確認されるまで2年以上を要し、<5.0μg/LのGHレベルを達成するための90%の患者で20年以上を要する(Acromegaly Therapy Consensus Development Panel, 1994)。照射によって、50%以上の患者において下垂体機能低下症がもたらされ(Acromegaly Therapy Consensus Development Panel, 1994)、視覚異常、2次的脳悪性腫瘍の発生、脳壊死または脳損傷がほとんどもたらされ得ない(Jones, 1994)。
【0008】
今日まで、末端肥大症患者のための医学的処置の選択は、不完全な腫瘍除去後のGH分泌の迅速な抑制を達成するために、放射線療法のアジュバントとして、術後の第2ライン治療として、または手術もしくは照射の候補でない患者におけるこれらの方法の代替手段として用いられる、ソマトスタチンアナログ(SSA)である。伝統的に使用されるSSAには例えば、オクトレオチド、ランレオチド、パシレオチドおよびバプレオチド(RC−160)が含まれる。
【0009】
近年の研究によって、生化学的制御(GH<2.5μg/L、ならびに年齢および性別調節正常範囲内のIGF−1と定義する)が、SSAで処置した末端肥大症患者40から50%において達成され得ることが示されている(Freda et al., 2005)。
【0010】
Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)(酢酸オクトレオチド)は、末端肥大症の処置に最初に使用される、80−100分の半減期を有する長時間作用型合成SSAである。初期の試験によって、末端肥大症を有する患者の処置においてSandostatin(登録商標)の効果は65%の患者で<5.0μg/Lへ、そして40%の患者で<2.0μg/LへのGHレベルの減少、ならびに約60%の症例におけるIGF−1の正常化であることが示された(Newman et al. 1995)。
【0011】
その効果および安全性プロファイルのため、Sandostatin(登録商標)、例えばSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)は末端肥大症の好ましい医学的治療となった。Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)(Long Acting Repeatable)は、オクトレオチドを生分解性ポリマーの、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)グルコースのマイクロスフェアに封入した1ヶ月徐放製剤である(1996年7月23日の米国特許第5,538,739号に記載されている)。
【0012】
GHの2.5μg/L未満への低下は、生存利益の代用評価項目として、したがって望まれる治療的目標として一般に受け入れられている。しかし、活動性疾患のかかるレベルの制御は、手術および/またはSSAでの全用量処置にもかかわらず、約25%−35%の患者において達成されない。GHレベルを2.5μg/Lに低下させる試みとして、40mg用量を臨床的実施において用いることがある。予備的証拠は長時間作用型Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)40mgの筋肉内(i.m.)/28日が、GHおよびIGF−1の生化学的レベルの低下に有用であり、副作用の発生が制限されることを示している(Lancranjan et al., 1996)。
【0013】
遊離形または塩形、好ましくは乳酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩およびパモ酸塩である、モノ−およびジ−塩を含む塩、より好ましくはアスパラギン酸ジ−塩およびパモ酸モノ塩、最も好ましくはパモ酸モノ塩のパシレオチド(立体異性体およびその混合物を含むシクロ[{4−(NH2−C2H4−NH−CO−O−)Pro}−Phg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe] − Phgは−HN−CH(C6H5)−CO−を意味し、Bzlはベンジルを意味する)およびその合成は、例えばWO02/10192に詳細に記載されている(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)。
【0014】
本発明の文脈において、パシレオチドは好ましくは、長時間作用型投与形態におけるパモ酸塩、例えばマイクロパーティクルとして用いる。WO05/046645(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)は、例えば好適なビークルに懸濁した生体適合性の、薬理学的に許容されるポリマーに封入したパシレオチドを含むマイクロパーティクルの投与によって、延長された期間、例えば6ヶ月までの数週間、好ましくは少なくとも4週間にわたって全て、または実質的に全ての活性薬剤が放出されることが記載されている。
【0015】
その上、GH−受容体アンタゴニストは比較的新しいクラスの治療を意味する。現在利用可能な薬剤(ペグビソマント、Somavert(登録商標))は、GH受容体と結合して天然に生じるGHと競合するように開発された、遺伝的に加工されたGH−受容体アンタゴニストである。
【0016】
しかし、天然GHとは異なり、このGH−アンタゴニストはGH受容体の二量化およびシグナル伝達を阻止し、IGF−1の生産を減少させる。ドーパミンアンタゴニストおよびSSAとは逆に、GH−アンタゴニストは分泌よりもむしろGH作用を阻害する。臨床試験によってピグビソマント単独療法の毎日皮下投与が末端肥大症を有する患者のほぼ80から90%において良好な耐用性で循環IGF−1レベルを正常化することが示されている。しかし、GH濃度は治療の間約2倍に増加し、IGF−1濃度の低下の結果と推定されるが、上昇したGH濃度が腫瘍増殖に反映されるか否かは臨床試験でも答えが得られていない(Van der Lely et al., 2001)。
【0017】
近年の発表によると、SSAおよびGH受容体アンタゴニストの組合せによる末端肥大症患者の処置は、実現可能な選択肢と考えられる。研究者主導型42週間単一施設オープンラベル用量設定試験において、26人の末端肥大症患者を、長時間作用型SSAおよびGH−アンタゴニスト ピグビソマントの週1回投与によって処置した。ペグビソマントの開始用量は25mg/週であり、血清IGF−1濃度が年齢調整正常範囲内となるまで調節した。Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)30mgまたはランレオチド Autogel120gの月1回処置を継続した。18週後、ペグビソマント50mg/週で、IGF−1濃度は81%の患者で正常であり;42週目で95%の患者で正常であった。IGF−1濃度が正常に戻るのに必要なピグビソマントの週間用量の中央値は、60mg(40−80mgの範囲)であった。投与の12週目から開始して、肝臓トランスアミナーゼの軽度の非進行的増加が、ペグビソマント用量とは独立して、10人の患者において記録された(38%)。月1回常套用量の長時間作用型SSAと、週1回皮下ピグビソマント投与の組合せ処置は、末端肥大症患者における医学的処置に有望であると考えられる(Feenstra et al., 2005)。
【0018】
さらに、ドーパミンアゴニスト薬剤、例えばブロモクリプチンおよびより最近ではカベルゴリンが、単剤処置(Abs et al, 1998)およびSSAとの組合せ(Cozzi et al., 2004)として末端肥大症患者において使用されている。活動性疾患を有し、最大公認用量の慢性デポSSA投与に抵抗性の19人の末端肥大症患者において、最小有効および最大耐用用量(1−3.5mg/週の範囲)を用いてカベルゴリンを加えた。組合せ処置によって16%の患者においていずれもの生化学マーカー(GH<2.5μg/Lおよび年齢のIGF1)を正常化させたが、GH<2.5μg/Lの低下は21%、IGF1の正常化は42%の患者において得られた(Cozzi et al., 2004)。
【0019】
今日では様々な処置が利用可能であるがそれでもなお、常套のレジメン、すなわちSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)(酢酸オクトレオチド)30mg i.m./28日またはAutogel(登録商標)(ランレオチド)120mg i.m./28日の少なくとも6ヶ月後、多くの末端肥大症患者は生化学的正常化を達成しない。
【0020】
結果として、既知の処置によって不十分な満足のいく結果が得られていることに鑑みて、既知の処置の限界および副作用を克服することができるが、同様の、例えば少なくとも同様の、このましくはよりよい効果および満足を示す新規な処置が必要とされている。とりわけ、かかる新規な処置は、常套のレジメンによって適切に制御されない末端肥大症患者を成功裏に有利に処置することができるべきである。
【発明の概要】
【0021】
したがって、本発明の第1の局面は、第1の活性化合物として長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチド、例えばSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)と、ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物を含む、末端肥大症治療に同時、個別または逐次使用するための組合せ製剤としての組合せ剤であって、前記長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチドを40mg/28日で用いる、または第1の活性化合物としてパシレオチド、好ましくはパシレオチドマイクロパーティクルを用いる、組合せ剤に関する。
【0022】
本発明の好ましい態様において、前記組合せ製剤を、少なくとも1種のソマトスタチンアナログを常套のレジメンで用いた少なくとも6ヶ月処置後に、生化学的正常化を得ていない末端肥大症患者の処置に用い、そしてとりわけ長時間作用型反復可能オクトレオチド、好ましくは酢酸オクトレオチド40mg/28日、またはパシレオチド、このましくはパシレオチドマイクロパーティクルを用いる。
【0023】
本発明の文脈において、「生化学的正常化」は、Elmlinger MW et al., Clin. Chem. Lab. Med. 2004, 42(6): 654-664による、1−h GHプロファイル≦2.5mcg/Lおよび年齢および性別調整正常範囲内を意味する。
【0024】
本発明の目的のために、「常套のレジメン」は:
− Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)30mg i.m./28日、または
− Autogel120mg i.m./28日
を意味する。
【0025】
本発明の文脈において、末端肥大症治療は好ましくは、患者に少なくとも4ヶ月間投与する。
【0026】
本発明の態様において、長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチドは注射可能である。この局面において、前記長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチドの40mg用量が、例えば各20mgの2回注射、または10mgの1回注射と30mgの1回注射によって、簡便に実際に得られる。長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチドの注射は、好ましくは筋肉内、例えば臀筋内である。あるいは、パシレオチド、好ましくはパシレオチドマイクロパーティクルを同様に用いることができる。
【0027】
他方、具体的な態様において、本発明の製品に用いる第2の活性化合物は、ドーパミン−アゴニスト、より具体的にはカベルゴリンである。
【0028】
この局面において、カベルゴリンの適当な用量は0.5mgから3.5mg/週である。よりとりわけ、下記スキームを有利に用いることができる:
− 治療の最初の第1週:0.5mg;
− 治療の第2週:1.0mg;
− 治療の第3週:2.0mg;
− 治療の第4週:3.5mg;
− 治療の少なくとも続く3ヶ月間:1.75mgまたは3.5mg/週、好ましくは3.5mg/週。
【0029】
カベルゴリンは好ましくは経口的に、例えば錠剤によって、例えば製造者の指示に従って投与される。
【0030】
他方、他の具体的な態様において、本発明の製品に用いる第2の活性化合物は、成長ホルモン受容体アンタゴニスト、好ましくはペグビソマントである。
【0031】
この場合、ペグビソマントの適当な用量は70mg/週である。
ペグビソマントは、好ましくは皮下的に、有利には注射され得る。
【0032】
本発明の第2の局面は、処置を必要とする患者における末端肥大症の処置用医薬の製造のための、長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチド40mg/28日またはパシレオチド、好ましくはパシレオチドマイクロパーティクルの、ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物との組合せにおける使用に関する。
【0033】
第3の局面において、本発明は処置を必要とする患者における末端肥大症を処置する方法であって、当該患者に少なくとも:
a)長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチド40mg/28日またはパシレオチド、好ましくはパシレオチドマイクロパーティクル、および
b)ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物
を投与することを含む方法に関する。
【0034】
本発明の第2および第3の局面の両方について、(i)処置する患者、(ii)長時間作用型反復可能酢酸オクトレオチド、またはパシレオチド、好ましくはパシレオチドマイクロパーティクル、(iii)第2の活性化合物、(iv)処置条件(治療の期間、製品の用量、投与経路等)に関する具体的な態様は、上記定義のとおりである。
【0035】
「製品」なる用語は、本発明において、組合せ剤または組合せ製剤、あるいはパーツのキットを意味する。
【0036】
「パッケージ」なる用語は、本発明において、1または2種の活性化合物を、他の活性化合物と投与するための指示書と共に含むユニットを意味する。
【0037】
本発明は、特許請求の範囲に記載の主題に関する。
【0038】
下記実施例部分は、本発明のいくつかの態様および利点を説明する。
【実施例】
【0039】
実施例
下記実施例は、従来のSSA治療によって適切に制御されなかった生化学的に確認された末端肥大症を有する患者の、本発明による新規処置に対する応答試験に関する。
【0040】
下記試験の目的は、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法、または成長ホルモン(GH)アンタゴニストもしくはドーパミンアゴニストのいずれかとの組合せにおけるSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)の8ヶ月処置の、常套のレジメンでのSSAの少なくとも6ヶ月後に適切に制御されなかった末端肥大症患者の大部分における両方の生化学的パラメーター(GHおよびIGF−1)の制御に対する効果を調査することである。
【0041】
末端肥大症に対する従来のSSA療法を:
− Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)(オクトレオチド)30mg i.m./28日;または
− Autogel(登録商標)(ランレオチド)120mg i.m./28日
として定義される常套のレジメンで試験に組み込む前少なくとも6ヶ月間すでに投与されている。
【0042】
組み込み患者は:
○ 測定平均1−h GH>2.5μg/L、および
○ Central Laboratory (Diagn. Lab. Endocrinologie, Kamer Ee 518, Erasmus MC, Dr. Molewaterplein 40, Rotterdam, The Netherlands)範囲による年齢および性別調整上限以上のIGF−1
を有する。
【0043】
全ての処置前評価を1回目の薬剤投与(0日目)前14日以内に行う。
【0044】
工程1
患者を、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m./28日(20mg×2回注射)で3ヶ月間処置する。Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mgの1回目の投与の日が試験0日目である。
【0045】
来院2(2回目の来院、以下同じ)を、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m.の3回目の投与の後28日(+3日)に行う。
【0046】
来院2(処置の3ヶ月目の終わり)において、下記生化学的評価を行う:
○ IGF−1評価のための血液サンプルをRotterdam のCentral Laboratory(Erasmus Medical Centre)に送る
○ GH評価のための3つの血液サンプルをMunichのCentral Laboratoryに送る。1−hGHプロファイルのためのサンプリングに必要なスケジュールは、0、30および60分である。
【0047】
血液サンプルをCentral Laboratoriesに送り、IGF−1値およびGH値を分析し、検査値を臨床現場に返すため、患者にSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m(20mg×2回注射)をさらに投与する。
【0048】
来院3を来院2の後28日(±3日)に行う。
【0049】
工程2
Central LaboratoriesによってIGF−1値およびGH値が報告されるとすぐに、患者を下記のとおりに生化学的応答に従って割り当てる:
○ グループ1(コントロール)
平均GH≦2.5μg/LおよびCentral Laboratoryによる(年齢および性別調整)正常範囲内のIGF−1を有する患者は、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m./28日(20mg×2回注射)での処置をさらに4ヶ月間続ける。
○ グループ2(非コントロール)
平均GH>2.5μg/LおよびCentral Laboratoryによる(年齢および性別調整)正常範囲の上限以上のIGF−1を有する患者は、以下のとおり処置するためにInteractive Voice Recognition System(IVRS)によってランダム化する:
○ グループ2/グループA − 患者は、以前の療法(すなわち、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m./28日、20mg×2回注射)に加えて、週1回ピグビソマント70mg s.c.を投与される。この組合せ療法を4ヶ月間投与する。
○ グループ2/グループB −患者は、以前の療法(すなわち、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)単独療法40mg i.m./28日、20mg×2回注射)に加えて、経口的にカベルゴリンを下記スキームに従って、夕食中に投与される:
・ 第1週>>0.25mg、週2回(0.5mg/週)
・ 第2週>>0.50mg、週2回(1mg/週)
・ 第3週>>0.50mg、週4回(2mg/週)
・ 第4週>>0.50mg、毎日(3.5mg/週)
・ その後3ヶ月>>0.50mg、毎日(3.5mg/週)。
【0050】
全ての患者は、進行中の処置から独立して、2ヶ月で来院4に戻る。来院4は来院3後8週間±3日に行う。この中間来院の間、肝臓トランスアミナーゼ、プロラクチンおよび空腹時血糖レベルを、HbA1cと共に制御する。
【0051】
最終生化学的評価を、試験終了来院(来院5:処置の8ヶ月の終わり)に行う。来院5は来院4後8週間±3日に行う。両方の生化学的パラメーターが処置の8ヶ月後に制御されていれば、グループ1およびグループ2の患者を「完全寛解」(CR)と分類する。
【0052】
A−処置
A.1 薬剤
a)Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)
Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)、40mgを各20mgの注射2回として、同じタイムフレームで28日ごとに右および左臀部に注射して投与する。
【0053】
aa)パシレオチド
パシレオチドの適当な用量は変化し得る。一般医、満足のいく結果が、約0.2から約100mg、例えば0.2から約35mg、好ましくは約3から約100mgのパシレオチド注射/1月、または約0.03から約1.2mg、例えば0.03から0.3mg/kg体重/1月のオーダーの用量で投与、例えば非経腸投与によって得られる。患者に好適な1ヶ月用量は、したがって、約0.3mgから約100mgパシレオチドのオーダーである。
【0054】
b)GH−アンタゴニスト(ペグビソマント)
1週間用量は、70mg、皮下注射投与である。
【0055】
c)オクトレオチド+ペグビソマントの組合せ:処置スケジュール
グループ2/グループAにランダム化された患者に、下記スケジュールに従って、高用量オクトレオチド40mg/28日 i.m.およびペグビソマントの皮下注射70mg/週を投与する:
【表1】

【0056】
d)ドーパミン−アゴニスト(カベルゴリン)
経口投与のためのカベルゴリン錠剤は、カベルゴリン0.5mgを含む。
【0057】
e)オクトレオチド+カベルゴリンの組合せ:処置スケジュール
グループ2/グループBにランダム化された患者に、下記スケジュールに従って、高用量オクトレオチド40mg/28日 i.m.および経口的にカベルゴリンを、好ましくは夕食と共に投与する:
【表2】

【0058】
→ 用量決定期間中(1−4週):用量および/または頻度の調節を行う。ただし、第4週の終わりまでに患者はカベルゴリンの全用量、すなわち3.5mg/週を服用する。
→ 全用量期間中(5−16週):カベルゴリンに関連した副作用が現れた場合には、医学的判断によって、用量を半分の1.75mg/週とする。
一旦用量を半分にした後は当該患者において再び増加させない。
【0059】
A.2 効能評価
効能評価はGHおよびIGF−1血清レベルの評価から成る。
【0060】
B−データ分析
B.1 変数
第1の効能変数は、如何なる処置であれ8ヶ月処置の終了時(来院5、試験終了)に「完全寛解」である患者の総数として定義される完全寛解率(CRR)である。
【0061】
この試験のため、両方の生化学的パラメーターが8ヶ月の処置の終了時に制御されているとき、すなわち:
・ GH<2.5μg/L(Central laboratoryによる)
および
・ Central Laboratory 正常範囲(年齢および性別について)内のIGF−1
患者を「完全寛解」(CR)と分類する。
【0062】
CRRは、上記定義を満たす患者の相対数として見積もる。対応する両側95%CIをCRRについて計算する。
カイ2乗検定を適用して、処置グループ間の比を比較する。
【0063】
B.2 第2目標
第2効能評価項目は:
○ オクトレオチド40mg i.m./28日での処置の3ヶ月の終わりに、「完全寛解」である患者の総数として定義される来院2での完全寛解率。
○ 如何なる処置であれ8ヶ月処置の終了時(来院5、試験終了)に下記基準の1つを満たす患者の総数として定義される試験終了時来院での部分寛解率(PRR):
○ 平均1h GH>2,5mcg/Lおよび<5mcg/L、ならびにベースラインと比較して少なくとも50%のIGF−1の減少または正常範囲のIGF−1
○ 平均1h GH<2,5mcg/L、ならびにベースラインと比較して少なくとも50%のIGF−1の減少および正常範囲外のIGF−1
PRRは上記定義を満たす患者の相対数として見積もる。対応する両側95%CIをPRRについて計算する。
○ ベースラインで、そして試験を通じて記録される末端肥大症関連臨床的徴候および症状の改善。頻度表ならびにベースラインからの変化が各来院によって、試験終了来院まで提供される。
○ ACROQoLアンケートを用いて回収し、対応するアルゴリズムに従って分析する健康に関連した生活の質(HRQoL)
である。
【0064】
検査値(ALT、ALT、空腹時グルコース、インシュリン、PRLおよびHbA1c)およびバイタルサインの表は、各数値について正常範囲を示す。各検査値は正常限界以上、以下または正常限界内として分類される。
【0065】
C−注意する実験変数基準、特別の方法およびスケール
IGF−1を、固相酵素標識化化学発光免疫学的アッセイによって、サンプル前処理後に測定する。使用するアッセイは、Immulite-2000 IGF-1、自動アッセイシステム(DPC, Diagnostic Products Corporation, Los Angeles, CA, USA)である。
Central Laboratoryによって用いられるIGF−1の参照値は、Elmlinger et al. (2004)に記載されている。
○ ペグビソマントからの干渉のない、内因性GHの分析を、ペグビソマント非感受性アッセイ方法によって行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)と、(b)ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物を含む、末端肥大症治療に同時、個別または逐次使用するための組合せ製剤としての組合せ剤であって、前記Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)を40mg/28日で用いる、組合せ剤。
【請求項2】
組合せ製剤を、少なくとも1種のソマトスタチンアナログを常套のレジメンで用いた少なくとも6ヶ月処置後に、生化学的正常化を得ていない末端肥大症患者の処置に用いることを特徴とする、請求項1に記載の組合せ剤。
【請求項3】
常套のレジメンがSandostatin(登録商標)LAR(登録商標)30mg/28日であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組合せ剤。
【請求項4】
組合せ製剤を少なくとも4ヶ月間投与することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項5】
Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)40mg用量を各20mgの2回の注射によって投与することを特徴とする、請求項4に記載の組合せ剤。
【請求項6】
Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)を筋肉内注射することを特徴とする、請求項5に記載の組合せ剤。
【請求項7】
第2の活性化合物がドーパミン−アゴニストであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項8】
ドーパミン−アゴニストがカベルゴリンであることを特徴とする、請求項7に記載の組合せ剤。
【請求項9】
カベルゴリンの用量が0.5mgから3.5mg/週であることを特徴とする、請求項8に記載の組合せ剤。
【請求項10】
カベルゴリンの用量が:
− 治療の最初の第1週:0.5mg;
− 治療の第2週:1.0mg;
− 治療の第3週:2.0mg;
− 治療の第4週:3.5mg;
− 治療の少なくとも続く3ヶ月間:1.75mgまたは3.5mg/週、好ましくは3.5mg/週
であることを特徴とする、請求項9に記載の組合せ剤。
【請求項11】
カベルゴリンを経口的に投与することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項12】
カベルゴリンが錠剤の形態であることを特徴とする、請求項11に記載の組合せ剤。
【請求項13】
第2の活性化合物が成長ホルモン受容体アンタゴニストであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項14】
成長ホルモン受容体アンタゴニストがペグビソマントであることを特徴とする、請求項13に記載の組合せ剤。
【請求項15】
ペグビソマントを70mg/週で投与することを特徴とする、請求項14に記載の組合せ剤。
【請求項16】
ペグビソマントが注射可能であることを特徴とする、請求項14または15に記載の組合せ剤。
【請求項17】
ペグビソマントを皮下注射することを特徴とする、請求項16に記載の組合せ剤。
【請求項18】
(a)パシレオチドと、(b)ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物を含む組合せ剤であって、末端肥大症治療に同時、個別または逐次使用するための組合せ製剤としての組合せ剤。
【請求項19】
ドーパミン−アゴニストがカベルゴリンであることを特徴とする、請求項18に記載の組合せ剤。
【請求項20】
成長ホルモン受容体アンタゴニストがペグビソマントである、請求項18に記載の組合せ剤。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の組合せ剤を、それを必要とする患者に投与するための指示書と共に含むパッケージ。
【請求項22】
末端肥大症を処置する方法であって、処置を必要とする患者に請求項1から20のいずれかに記載の組合せ剤を投与する方法。
【請求項23】
末端肥大症を有する患者の処置のための、ドーパミン−アゴニストおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストから成る群から選択される第2の活性化合物と組み合わせて用いるための医薬の製造のための、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)の使用(ここで、Sandostatin(登録商標)LAR(登録商標)を40mg/28日で用いる)。

【公表番号】特表2009−539803(P2009−539803A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513695(P2009−513695)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055599
【国際公開番号】WO2007/141306
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】