説明

ソルダペースト塗布装置

【課題】プリント配線板5のパッド等にソルダペースト4を塗布するソルダペースト装置において、プリント配線板5のパターンが多種に亘る機種の製造や、試作段階などでパターンが頻繁に変更される場合などでも、短納期での製造を可能とし、かつプリント配線板5のコストを安くする。
【解決手段】ソルダペースト4を塗布するヘッド部1に半田粒子ガイド管2cとフラックスガイド管3cを設け、半田粒子2とフラックス3をそれぞれ独立して加圧制御できる構成とし、半田粒子2およびフラックス3の量を正確に制御して混煉し所望の箇所に塗布できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板のパッド上などにソルダペーストを塗布する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒状の半田と活性剤としてのフラックスの融合物であるソルダペースト4をプリント配線板5に塗布する従来のソルダペースト塗布装置では、図3に示したように、印刷用の金属や樹脂からなるスクリーンマスク10に、プリント配線板5の電子部品搭載用パッドとほぼ同形状をした孔10aを形成して置き、このスクリーンマスク10の上に所定の量のソルダペースト4aを載せ、樹脂や金属片からなるスキージ11という箆(へら)により前記ソルダペースト4aを押圧しながら図中X方向に移動させて、前記パッドに半田付けに適した量のソルダペースト4を塗布するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−39767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のソルダペースト塗布装置ではプリント配線板5のパターン毎にスクリーンマスク10を用意する必要があるので、量産枚数が少なく、プリント配線板5のパターンが多種に亘る機種の製造や、試作段階などでパターンが頻繁に変更される場合などでは、短納期での製造が困難であるとともにプリント配線板5のコストが高くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の課題を解決するため次の手段を採用する。すなわち、半田粒子と活性剤を混煉しプリント配線板に塗布するソルダペースト塗布装置において、ソルダペーストを塗布するヘッド部に前記半田粒子のガイド管と、前記活性剤のガイド管を設け、それぞれ独立した加圧により、前記半田粒子および前記活性剤の量を制御して混煉し、噴出口より前記プリント配線板に塗布するようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明のソルダペースト塗布装置によれば、当該ヘッド部に半田粒子のガイド管と活性剤のガイド管を設け、半田粒子と活性剤をそれぞれ独立して加圧制御できる構成としたので、半田粒子および活性剤の量を正確に制御して混煉して所望の箇所にソルダペーストをとして塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0007】
(構成)
図1は、本実施例のソルダペースト塗布装置のヘッド部1周辺の構成を示すものである。一般に、プリント配線板印刷用ソルダペーストは、半田粒子とフラックスといわれるハロゲンや有機酸などからなる活性剤からなり、これらが混合されたもので構成される。
【0008】
そして、半田粒子は、塗布するプリント配線板の密度に応じて、数μm〜数十μm、例えば、13μmm、25μmなど、粒子径の異なるものが用いられている。すなわち、密度の高いパターンなどへのソルダペーストの塗布の場合では、塗布する面積や量を精度よく制御する必要があるため、13μmm程度の粒子径の小さい半田粒子が用いられ、通常のプリント配線板などでは、25μm程度の粒子径の大きい半田粒子が用いられる。
【0009】
本実施例のソルダペースト塗布装置のヘッド部1は、半田粒子2を注入する半田注入口2a、半田粒子2を加圧するための図示しない制御弁等により圧力制御された圧縮エアを供給する圧縮エア口2b、半田粒子2に混煉させるフラックス3を注入するフラックス注入口3a、フラックス3を図示しない制御弁等により圧力制御された圧縮エアを供給する圧縮エア口3bからなる。
【0010】
そして、半田粒子2をヘッド1の噴出口1aにガイドする半田ガイド管2cの直径2Rは、半田粒子1個の径(2r)近傍とすると半田粒子2がスムーズに噴出口1cにガイドされないので、若干の余裕をもち、かつ噴出する半田粒子2の量を精度よく制御できるように、2R≧4rの関係となるようにしている。なお、半田粒子の流れをスムーズにし半田粒子の量を高精度に制御できれば、その他の関係となるように径を設定してもよい。例えば、2R≧3rなどの関係としてもよい。
【0011】
また、フラックス3をガイドするフラックスガイド管3cは、フラックス3の粘度および混煉させる量を精度よく制御できる径として、半田ガイド管2cと同様に、直径2R近傍となるようにしている。
【0012】
そして、以上の半田ガイド管2c、フラックスガイド管3cが、図1(b)の上面図に示したようにプリント配線板5の幅方向に複数配置された構成となっている。
【0013】
(動作)
以上の構成により、本実施例のソルダペースト塗布装置は以下のように動作する。この動作を、同様に図1を用いて説明する。まず、矢印Aのように半田注入口2aから注入された半田粒子2は、矢印Bのように圧縮エア口2bから圧力制御された圧縮エアにより押圧され、半田ガイド管2cによりガイドされ、一方、矢印Dのようにフラックス注入口3aから注入されたフラックス3は、矢印Cのように圧縮エア口3bから圧力制御された圧縮エアにより押圧され、フラックスガイド管3cによりガイドされ、矢印E方向に進み、半田粒子2と混煉され、ソルダペーストとして生成され、矢印Fのようにヘッド1の噴出口1aから噴出し、プリント配線板5にソルダペースト4として塗布される。
【0014】
そして、各圧縮エア口2b、3bからの圧力をそれぞれ制御しながら、プリント配線板5上をX方向に移動させ、IC等の各取り付けパッド位置に、半田粒子2およびフラックス3を適量塗布する。
【0015】
以上のように、半田粒子2およびフラックス3の量を精度よく制御して、プリント配線板上のパッド位置に塗布することができるので、図1a部の拡大図である図2に示したように、塗布する半田粒子の量、幅などを精度よく制御することができる。
【0016】
例えば、ソルダペースト4aと4bのように、幅Dxを同一として、高さをHa、Hbのように制御して塗布する量を制御することができる。また、ソルダペースト4cと4dのように、高さを同一とし、所望の幅になるように制御することもできる。
【0017】
そして、プリント配線板5のパッド以外のパターンで、単に、フラックス3のみを塗布する場合では、圧縮エア口2bからの圧縮エアを停止し、フラックス3のみを噴出口1cから噴出するようにすればよい。
【0018】
以上の説明では、図1(b)上面図に示したように、ヘッド部1の噴出口1aを複数並べる例を示したが、塗布時間が長くなるが、噴出口1aを1つとして、当該ヘッド1をプリント配線板5の幅方向(図中Y方向)にフィードして、1ラインの塗布を行い、次に、プリント配線板5の高さ方向(図中X方向)にラインフィードして、同様に1ラインの塗布を行うようにし、プリント配線板5の全面に所望のソルダペースト4を塗布するようにしてもよい。
【0019】
(実施例の効果)
以上のように、本実施例のソルダペースト塗布装置によれば、当該ヘッド部に半田粒子ガイド管とフラックスガイド管を設け、半田粒子とフラックスをそれぞれ独立した加圧制御できる構成としたので、半田粒子およびフラックスの量を正確に制御して混煉して所望の箇所に塗布することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上述べたように、本発明は、プリント配線板等の所望の位置にソルダペーストを塗布する装置などに広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のソルダペースト装置の構成図である。
【図2】図1のa部の拡大図である。
【図3】従来のソルダペースト装置の構成図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ヘッド部
1a 噴出口
2 半田粒子
2a 半田注入口
2b 圧縮エア口
2c 半田ガイド管
3 フラックス
3a フラックス注入口
3b 圧縮エア口
3c フラックスガイド管
4 ソルダペースト
5 プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田粒子と活性剤を混煉しプリント配線板に塗布するソルダペースト塗布装置において、
ソルダペーストを塗布するヘッド部に前記半田粒子のガイド管と、前記活性剤のガイド管を設け、
それぞれ独立した加圧により、前記半田粒子および前記活性剤の量を制御して混煉し、噴出口より前記プリント配線板に塗布するようにしたことを特徴とするソルダペースト塗布装置。
【請求項2】
前記噴出口を複数並べて配置した前記ヘッド部を設けたことを特徴とするソルダペースト塗布装置。
【請求項3】
前記半田粒子のガイド管の径を、前記半田粒子の径の略2倍以上としたヘッドを設けたことを特徴とするソルダペースト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−242874(P2007−242874A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62937(P2006−62937)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】